JP2009290829A - ループアンテナ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】巻線数を増やしつつも、開口面積が大きく、且つ、Q値の高いループアンテナ装置を提供する。
【解決手段】絶縁基板(4)上に螺旋状に巻線された導電体を具備するループアンテナ装置(2)であって、導電体は、所定の高さ及び幅を有した断面視で略長方形状のループが複数連なっており、この高さ部分が対峙した隣接するループ同士では、一方のループ(20)の高さが他方のループ(10,30)の高さよりも小さく、他方のループの幅が一方のループの幅よりも小さくされる。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えばHF帯域を使用したRFID(Radio Frequency IDentification)用の通信機器に用いられるループアンテナ装置に関するものである。
この種のループアンテナ装置は、例えば交通機関の自動改札機に用いられており、2つのアンテナ間の磁界結合を利用して信号の授受が行われる。
詳しくは、ユーザに所持されたICカードがリーダ/ライタのアンテナで発生した磁界内を通過すると、電気的な共振が生じ、このカードのアンテナには誘導電流が流れてICチップが起動し、また、当該アンテナにはリーダ/ライタから送られた磁束とは逆向きの磁界が発生する。これにより、これらカードとリーダ/ライタとの間で非接触によるデータのやり取りが可能になる。
ここで、ループアンテナ装置には、螺旋状に巻線された導電体を絶縁基板上に配置した構造がある。そして、隣接するループ間の寄生容量を小さくすると、アンテナの利得が高くなり、その通信可能距離が長くなる旨が開示されている(例えば、特許文献1,2参照)。
特開平11−272826号公報 特開2005−223402号公報
ところで、上述したループアンテナ装置では、その低背化や通信品質の向上が望まれる。
つまり、仮に、所定の高さ及び幅を有したループが絶縁基板上に配置される場合を想定すると、総てのループが、その幅がその高さよりも大きく形成された場合、換言すれば、横置きのループのみで構成させた場合には、装置の低背化が達成可能になる。
しかしながら、この横置きのループのみで構成させた場合には、通信品質の向上が図れないとの問題がある。なぜならば、巻線数が増加すると、基板上にてループの内側に形成された開口面積が小さくなり、磁束が打ち消され易くなる結果、アンテナの通信可能距離が短くなるからである。
一方、総てのループが、その高さがその幅よりも大きく形成された場合、換言すれば、縦置きのループのみで構成させた場合には、この開口面積が大きくなるものの、やはり通信品質の向上が図れない。隣接するループ間の寄生容量が大きくなり、外部に放出する磁界エネルギが少なくなるためである。
このように、通信品質の向上を図るためには、ループ内側の開口面積とループ間の寄生容量とのバランスに配慮する必要があるが、上記従来の技術では、当該配慮については依然として課題が残されている。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解消し、巻線数を増やしつつも、開口面積が大きく、且つ、Q値の高いループアンテナ装置を提供することである。
上記目的を達成するための第1の発明は、絶縁基板上に螺旋状に巻線された導電体を具備するループアンテナ装置であって、導電体は、所定の高さ及び幅を有した断面視で略長方形状のループが複数連なっており、この高さ部分が対峙した隣接するループ同士では、一方のループの高さが他方のループの高さよりも小さく、他方のループの幅が一方のループの幅よりも小さくされる。
第1の発明によれば、ループアンテナ装置は螺旋状で一続きの導電体を具備し、この導電体は、所定の高さ及び幅を有した断面視で略長方形状のループが複数連なって構成され、絶縁基板上に配置されている。
ここで、仮に、総てのループが横置きのループのみで構成された場合には、開口面積が小さくなり、アンテナの通信可能距離が短くなってしまう。これに対し、仮に、総てのループが縦置きのループのみで構成された場合には、隣接するループ間の寄生容量が大きくなり、やはりアンテナの通信可能距離が短くなってしまう。
しかしながら、本発明のループは交互巻きで構成されている。すなわち、高さ部分が対峙した隣接する一方及び他方のループでは、当該一方のループの高さが他方のループの高さよりも小さくされ、この他方のループの幅が一方のループの幅よりも小さくされている。
したがって、巻線数が増加しても、幅の小さな他方のループの構成によって開口面積は、上述した横置きのループのみで構成させた場合に比して大きくなり、このアンテナの通信可能距離が長く、通信品質が向上する。
しかも、高さの小さな一方のループの構成によって寄生容量は、上述した縦置きループのみで構成させた場合に比して小さくなる。よって、Q値が高く、外部に放出する磁界エネルギが多くなることから、アンテナの通信可能距離が長くなる。
この結果、線路長が長く、開口面積が大きく、且つ、共振特性の鋭いアンテナになり、ループアンテナ装置の通信品質が良好になる。
第2の発明は、第1の発明の構成において、一方のループの断面積と、他方のループの断面積とは略同一の大きさであることを特徴とする。
第2の発明によれば、第1の発明の作用に加えてさらに、各ループの断面積をいずれの場所においても略同一にし、狭窄箇所をなくしているので、ループのインピーダンスを低くでき、電力損失が確実に抑えられる。
第3の発明は、第1や第2の発明の構成において、一方のループは、その幅がその高さよりも大きく形成されるのに対し、他方のループは、その高さがその幅よりも大きく形成されることを特徴とする。
第3の発明によれば、第1や第2の発明の作用に加えてさらに、一方のループ、つまり、横置きのループと、他方のループ、つまり、縦置きのループとが、交互に連なっている。
したがって、当該縦置きのループの構成によって開口面積は、上述した横置きのループのみで構成させた場合に比して確実に大きくなる。しかも、当該横置きのループの構成によって寄生容量は、上述した縦置きループのみで構成させた場合に比して確実に小さくなる。
第4の発明は、第1から第3の発明の構成において、他方のループは、その一部分が基板に埋設され、他方のループの幅をなす表面と、一方のループの幅をなす表面とが略面一で配置されていることを特徴とする。
第4の発明によれば、第1から第3の発明の作用に加えてさらに、一方及び他方のループの幅をなす表面が基板上に表出するが、これら各幅をなす表面が略面一に配置されているので、ループアンテナ装置の低背化が達成可能になる。
第5の発明は、第1から第4の発明の構成において、導電体が奇数個のターンで連なっている場合には、一方のループが他方のループの間に配置されることを特徴とする。
第5の発明によれば、第1から第4の発明の作用に加えてさらに、導電体が奇数巻きの場合には、隣接するループ同士で見ると、両側に他方のループを配置し、その間に一方のループを配置する。これにより、開口面積の拡大、及び寄生容量の削減の双方を確実に満たすことができる。
本発明によれば、交互巻きのループを用いることにより、線路長が長く、開口面積が大きく、且つ、Q値の高いアンテナになり、通信品質が良好なループアンテナ装置を提供することができる。
以下、本発明の好適な実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施例のループアンテナ装置の平面図であり、当該装置2は、例えばRFID用のリーダ/ライタに使用される。
また、このアンテナ装置2は、略直方体形状の絶縁基板4の上に螺旋状に巻線された導電体を具備している。
詳しくは、この基板4は、同図に示されるように、略長方形状の上面6を有し、この上面6の4辺には略長方形状の側面がそれぞれ連なっている。さらに、これら各側面は上面6と同じ面積を有した下面にも連なり、この下面は上面6に対向して配置される。
そして、この上面6には、例えば3回巻き(3ターン)のループを有した導電体が配置されている。
本実施例の装置2は3つのループ10,20,30からなり、これら各ループ10,20,30は、例えば導電性ペーストが基板4にスクリーン印刷されており、螺旋状で一続きに連結している。
より具体的には、まず、ループ10は、これらループ20,30よりも外側に配置され、上面6の周縁に最も近い位置に形成されている。また、このループ10の一端には接続ランド16が形成され、このランド16は図示しない整合回路に接続されている。
一方、このループ10の他端はループ20に接続される。詳しくは、ループ10は、上面6の4辺に沿って図1でみて時計回りに延び、接続ランド16の近傍位置にてループ20の側面24に接続している。
ここで、本実施例のループ10は、図2に示される如く、断面視で略長方形状に構成された縦置きループ(他方のループ)であり、その側面14の高さがその表面12の幅よりも大きく形成される。
具体的には、当該ループ10は、その側面14の一部分が基板4に埋設し、側面14の残りの部分が上面6から上方に向けて突出しており、幅狭の表面12が上面6に対して略平行に配置される。
次に、ループ20は、ループ10とループ30との間に配置されている。このループ20は、ループ10に対して所定の間隔で配置され、このループ10に沿って図1でみて時計回りに延びており、ループ20の側面24とループ10の側面14とが対峙している。
また、このループ20の一端近傍の側面24がループ10の他端に接続され、これらループ20の表面22とループ10の表面12とは略面一で配置される。一方、ループ20の他端は、ループ10とループ20との接続箇所の近傍位置にてループ30に接続される。ループ20の表面22とループ30の表面32ともまた略面一で配置される(図2)。
ここで、本実施例のループ20は、断面視で略長方形状に構成された横置きループ(一方のループ)であり、その表面22の幅がその側面24の高さよりも大きく形成されている。当該ループ20の断面積は、ループ10の断面積と略同一の大きさで構成される。
また、当該ループ20は、その表面22に対向した裏面が上面6に載置され、幅広の表面22が上面6に対して略平行に配置されている。
続いて、ループ30は、ループ10とループ20との間隔に等しい間隔で、ループ20よりも内側に配置されており、このループ20に沿って図1でみて時計回りに延びており、ループ30の側面34とループ20の側面24とが対峙している。
このループ30の一端近傍の側面34はループ20の他端に接続され(図3)、このループ30の他端には接続ランド36が形成される(図1)。このランド36もまた上記整合回路に接続されている。
再び図2に戻り、本実施例のループ30は、上記ループ10と同様に、断面視で略長方形状に構成された縦置きループ(他方のループ)である。つまり、その側面34の高さはその表面32の幅よりも大きく形成されており、さらに、当該ループ30の断面積は、ループ10,20の断面積と略同一の大きさで構成されている。
そして、当該ループ30もまた、その側面34の一部分が基板4に埋設しており、幅狭の表面32が上面6に対して略平行に配置される。
なお、この基板4の上面6の適宜位置には、上述した整合回路の他、図示しないチップ部品や発振器(AC電源)等の電子部品が実装され、これら電子部品もループ10,20,30に接続されている。
以上のように、本実施例によれば、ループアンテナ装置2は螺旋状で一続きの導電体を具備し、この導電体は、所定の高さ及び幅を有した断面視で略長方形状のループ10,20,30が3ターン連なって構成され、基板4上に配置されている。
そして、これらループ10,20,30は交互巻きで構成されており、縦置きのループ10と横置きのループ20とが隣接し、この横置きのループ20と縦置きのループ30とが隣接している。
これにより、巻線数を増やしつつも、開口面積が大きく、且つ、Q値も高くなる。
この点について詳述すると、図4に示されたループアンテナ装置100Aの如く、総てのループ200が横置きのループのみで構成された場合には、本実施例の巻線数と同じであったとしても、幅広の表面220が基板4の上面6の多くを占有するので、ループ200の内側に形成された開口面積が小さくなり、アンテナの通信可能距離が短くなってしまう。
これに対し、図5に示されたループアンテナ装置100Bの如く、総てのループ300が縦置きのループのみで構成された場合には、本実施例の巻線数と同じであるとすれば、幅狭の表面320が基板4の上面6を占めることから、開口面積は大きくなるものの、図4の側面240の大きさと比較しても明らかなように、その側面340が上面6から上方に向けて大きく突出する。
つまり、これら対峙する側面340,340で形成された空間が非常に大きくなる結果、隣接するループ間の寄生容量が大きくなり、Q値が低くなるので、やはりアンテナの通信可能距離が短くなってしまうのである。
しかしながら、本実施例では交互巻きのループが採用され、縦置きのループ10に続いて横置きのループ20が巻かれ、この横置きのループ20に続いて縦置きのループ30が巻かれている。
したがって、巻線数が増加して線路長が長くなっても、当該縦置きのループ10,30の構成によって開口面積は、上述した図4の装置100Aに比して大きくなり、アンテナの利得が高くなる。よって、このアンテナの通信可能距離が長く、アンテナ効率が高くなる。
しかも、この横置きのループ20の構成によれば、開口面積は上述した図5の装置100Bに比して小さくなるものの、寄生容量が当該装置100Bに比して小さくなり、上述した図4の装置100Aと同じになる。これら対峙する側面14,24(或いは側面24,34)で形成された空間は、ループ10,30の間に配置したループ20の側面24の高さに依存するからである。
したがって、当該横置きのループ20の構成によってQ値が高く、損失が小さくなって共振特性が鋭くなり、外部に放出する磁界エネルギが多くなるので、アンテナの通信可能距離が長くなる。
この結果、線路長が長く、開口面積が大きく、且つ、共振特性の鋭いアンテナになり、ループアンテナ装置2の通信品質が良好になる。
なお、本実施例の構成は、巻線数を図4の装置100Aや図5の装置100Bと同じにした場合について示されているが、開口面積を装置100Aと同じ大きさで考えれば、この装置100Aよりも巻線数を増やせるし、装置100BよりもQ値が依然として高くなるとも云える。
また、各ループ10,20,30の断面積をいずれの場所においても略同一にし、狭窄箇所をなくしているので、ループ10,20,30のインピーダンスを低くでき、電力損失が確実に抑えられる。
さらに、横置きのループ20の表面22、及び縦置きのループ10,30の表面12,32が基板4の上面6から最も突出することになるが、これら各表面12,22,32が略面一に配置されているので、このループ20の側面24の高さに抑えられ、ループアンテナ装置2の低背化が達成可能になる。
さらにまた、上記3回巻きの場合には、隣接するループ同士で見ると、両側に縦置きのループ10,30を配置し、その間に横置きのループ20を配置している。
これにより、両側に横置きのループを配置し、その間に縦置きのループを配置した場合に比して開口面積を拡大できるし、また、両側に横置きや縦置きのループを配置し、その間に縦置きのループを配置した場合に比して寄生容量を削減でき、これら開口面積の拡大及び寄生容量の削減の双方を確実に満たすことができる。
本発明は、上記実施例に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。例えば上記実施例の各構成は、その一部を省略したり、上記とは異なるように任意に組み合わせることができる。
また、本実施例では、横置きのループ20と縦置きのループ10,30との組み合わせで構成されているが、ループが交互巻きで連なっている限り、互いに隣接した一方のループの高さよりも他方のループの高さが大きく、当該一方のループの幅よりも他方のループの幅が小さくされていても良い。
換言すれば、本発明のループには、これら一方のループ及び他方のループのいずれもが、その高さよりも幅がそれぞれ大きく形成されている場合も該当する。いずれかのループのみで構成させた場合に比して、開口面積を大きく、寄生容量を小さくできるからである。
また、上記実施例では、3回巻きの構成が示されているが必ずしもこの例に限定されるものではなく、さらに、本発明のループアンテナ装置はリーダ/ライタのみならず、ICカードにも適用可能である。
そして、これらいずれの場合にも上記と同様に、巻線数を増やしつつも、開口面積が大きく、且つ、Q値の高いループアンテナ装置になるとの効果を奏する。
本実施例のループアンテナ装置を概略的に示した平面図である。 図1のII−II線における矢視断面図である。 図1の交互巻きの説明図である。 (a)は従来のループアンテナの概略構成図であり、(b)はB−B線における矢視断面図である。 (a)は従来の他のループアンテナの概略構成図であり、(b)はB−B線における矢視断面図である。
符号の説明
2 ループアンテナ装置
4 絶縁基板
6 上面
10 縦置きループ(他方のループ)
12 表面
14 側面
20 横置きループ(一方のループ)
22 表面
24 側面
30 縦置きループ(他方のループ)
32 表面
34 側面

Claims (5)

  1. 絶縁基板上に螺旋状に巻線された導電体を具備するループアンテナ装置であって、
    該導電体は、所定の高さ及び幅を有した断面視で略長方形状のループが複数連なっており、
    該高さ部分が対峙した隣接するループ同士では、一方のループの高さが他方のループの高さよりも小さく、該他方のループの幅が前記一方のループの幅よりも小さいことを特徴とするループアンテナ装置。
  2. 請求項1に記載のループアンテナ装置であって、
    前記一方のループの断面積と、前記他方のループの断面積とは略同一の大きさであることを特徴とするループアンテナ装置。
  3. 請求項1又は2に記載のループアンテナ装置であって、
    前記一方のループは、その幅がその高さよりも大きく形成されるのに対し、前記他方のループは、その高さがその幅よりも大きく形成されることを特徴とするループアンテナ装置。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載のループアンテナ装置であって、
    前記他方のループは、その一部分が前記基板に埋設され、該他方のループの幅をなす表面と、前記一方のループの幅をなす表面とが略面一で配置されていることを特徴とするループアンテナ装置。
  5. 請求項1から4のいずれか一項に記載のループアンテナ装置であって、
    前記導電体が奇数個のターンで連なっている場合には、前記一方のループが前記他方のループの間に配置されることを特徴とするループアンテナ装置。
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