JP6701689B2 - 固形組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、オンジエキスを含有する固形組成物に関する。
オンジエキスはヒメハギ科イトヒメハギの根から得られるものであり、去痰、鎮静、滋養強壮、精神安定、記憶力改善等の目的で用いられる。オンジエキスの製剤化には工夫が必要である。
特にオンジエキス末は吸湿してべたつきを生じる。吸湿するエキス末を使用して組成物を製造する際、生薬エキスのべたつきを改善する手法として、無機物、結晶セルロース及びクロスカルメロースナトリウムを一定の割合で配合する手法が報告されている(特許文献1)が、クロスポビドンで検討された例はない。
また、生薬エキスの固化又は変色を抑制する手法として、吸着量の高い第1の吸着剤(ケイ酸カルシウムなど)と、この第1の吸着剤よりも吸着量の低い第2の吸着剤(軽質無水ケイ酸など)の複数の吸着剤を用いて生薬エキスまたは漢方エキス(複数の軟エキスなど)の固化や変色を防止する手法が報告されている(特許文献2)。しかし、これらの手法は吸着のための煩雑な工程を有する。
一方、クロスポビドンは、水溶性生薬乾燥エキスを吸着させて生薬担持粒子とすることによって、錠剤の崩壊性、耐衝撃性ともに向上させることが知られている(特許文献3)。この文献では、シャクヤク乾燥エキスについては言及されているが、オンジエキスについては言及されておらず、長期間保存後の変色やべたつきの問題について検討されていない。
特開2012-1474 特開2013-32346 特開2011-136939
本発明の目的は、経時的な変色又はべたつきを防止したオンジエキスを含有する固形組成物を簡便に提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、クロスポビドンを配合すると、オンジエキス含有固形組成物の経時的な変色及びべたつきが抑制されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)オンジエキス、及びクロスポビドンを含有することを特徴とする固形組成物、
(2)固形組成物が内服用である、(1)に記載の固形組成物、
(3)固形組成物が錠剤、顆粒剤、散剤、チュアブル錠剤、口腔内崩壊錠又はドライシロップ剤である、(1)又は(2)に記載の固形組成物、
(4)オンジエキスを含有する固形組成物の変色又はべたつきを抑制するために、クロスポビドンを使用する方法、
(5)クロスポビドンを添加することによって、オンジエキス含有固形組成物の変色又はべたつきを抑制する方法、
である。
本発明により、長期にわたって変色又はべたつきが抑制されたオンジエキス含有固形組成物の提供が可能となった。
実施例1及び比較例1〜3の固形阻止物の色差の結果を示した図である。
本発明のオンジエキスとは、第16改正日本薬局方収載のオンジ(ヒメハギ属のイトヒメハギ(Polygala tenuifolia)の根)から水やエタノール等の有機溶媒により抽出したものを使用することができる。オンジエキス又はエキスを粉末化したオンジエキス末を使用することができる。市販品としては、例えばオンジエキス−A(日本粉末薬品)、オンジエキス(常盤植物化学)、オンジ乾燥エキス(アルプス薬品工業)等を使用できる。本発明の固形組成物において、オンジエキスの含有量は、固形組成物全体の10質量%以上であり、好ましくは14質量%以上、好ましくは30質量%以上である。固形組成物中に10質量%以上配合すると、固形組成物の変色が目立つようになるからである。また上限は90質量%である。
本発明のクロスポビドンは崩壊剤として公知のものである。本発明のクロスポビドンは粒状のものでも粉末状のものであってもよく、市販品としては例えばクロスポビドン(DSP五協フード&ケミカル)やコリドンCl(BASF)等が使用できる。クロスポビドンの含有量は、発明の効果の点から、オンジエキス1質量部に対し0.1〜2質量部が好ましく、0.3〜2質量部が更に好ましい。また、本発明の固形組成物全体の3質量%〜90質量%が望ましく、10質量%〜70質量%が更に好ましい。
本発明の固形組成物とは、2成分以上の成分により構成される常温で固体状の組成物をいい、例えば、混合することにより得られる粉末、造粒により得られる造粒物、粉末や造粒物を打錠することにより得られる錠剤などを挙げることができる。剤型としては、錠剤、顆粒剤、散剤、チュアブル錠剤、口腔内崩壊錠又はドライシロップ剤等を挙げることができ、特にこれらに限定されるものではないが、錠剤、チュアブル錠剤、口腔内崩壊錠がより好ましい。また、その製造方法は、医薬品の製剤化における一般的な方法で製造することができ、本発明の効果を損なわない範囲で製剤製造時に一般的に配合される成分を適宜配合することができる。オンジエキス末及びクロスポビドンを配合し、必要に応じて他の公知の添加剤、例えば賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、抗酸化剤、コーティング剤、着色剤、矯味矯臭剤、界面活性剤、可塑剤等を混合して常法により製造することができる。
以下に実施例及び比較例を挙げ、本説明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。なお、表中の単位はmgである。
(実施例1、及び比較例1〜3)
以下表1に実施例1及び比較例1〜3の処方を示す。オンジエキス(原生薬換算量500mg)と各成分をビニール袋内で混合した後、篩を通してオンジエキス含有粉体を調製した。
(試験例1)
実施例1、及び比較例1〜3の粉体について25℃60%RH条件下で24時間静置したのち、2gずつガラスビンに入れて密閉し、65℃条件下で3日保存した。保存後の粉体について、それぞれ製造直後品との色差ΔE*(ab)について分光式光度計(SE6000 日本電色工業製)を用いて測定した。結果を、表1及び図1に示す。
Figure 0006701689
表1及び図1より明らかなように、オンジエキスを含む固形組成物は変色した(比較例1)。本発明のクロスポビドンを配合した実施例1の固形組成物は、デンプン系の崩壊剤を配合した比較例2、3の固形組成物と比べて、経時的な色の変化は抑制された。
(実施例2、及び比較例4〜6)
以下表2に、実施例2及び比較例4〜6の処方を示す。オンジエキス(原生薬換算量500mg)とオンジエキス以外の成分aを混合した後篩顆し、成分bを添加後、混合・篩顆したものを打錠用粉末とした。1錠重量341.7 mgとして簡易錠剤成型機(HANDTAB−200;市橋精機社製)で錠剤を製した。
(試験例2)
実施例2及び比較例4〜6の錠剤6錠をガラス瓶へ入れ、25℃60%RH開放条件下で24時間静置した後ビンを逆さまにし、落下しなかった錠剤をべたつきによる固結数と計数した。
Figure 0006701689
表2から明らかなように、オンジエキスを含む錠剤はべたつきにより固結した(比較例4)。本発明のクロスポビドンを配合した錠剤はべたつきによる固結を防止できた。一方、クロスポビドンの代わりにデンプン系の崩壊剤を配合した比較例5、6の錠剤は、べたつきによる固結を防止できなかった。
(実施例3)
以下表3に実施例3の処方を示す。オンジエキス(原生薬換算量500mg)とオンジエキス以外の成分aを乳鉢にて混合した後篩顆したものをオンジエキス含有粉体とした。オンジエキス含有粉体に成分bを添加後、混合・篩顆したものを打錠用粉末とした。1錠重量341.7 mgとして簡易錠剤成型機(HANDTAB−200;市橋精機社製)で錠剤を製した。
(試験例3)
実施例3のオンジエキス含有粉体について25℃60%RH条件下で24時間静置したのち、2gずつガラスビンに入れて密閉し、65℃条件下で3日保存した。保存後の粉体について、それぞれ製造直後品との色差ΔE*(ab)について分光式光度計(SE6000 日本電色工業製)を用いて測定した。また、実施例3のオンジエキス含有錠剤6錠をガラス瓶へ入れ、25℃60%RH開放条件下で24時間静置した後ビンを逆さまにし、落下しなかった錠剤をべたつきによる固結数と計数した。結果を、表3に示す。
Figure 0006701689
表3から明らかのように、クロスポビドンを配合したオンジエキス配合錠剤はべたつきによる固結を防止でき、かつ経時的な色の変化も抑制できた。
(実施例4)
以下表4に実施例4の処方を示す。オンジエキス(原生薬換算量500mg)とオンジエキス以外の成分aを混合した後篩顆し、成分bを添加後、混合・篩顆したものを打錠用粉末とした。1錠重量341.7mgとして簡易錠剤成型機(HANDTAB−200;市橋精機社製)で錠剤を製した。
(試験例4)
実施例4の錠剤6錠をガラス瓶へ入れ、25℃60%RH開放条件下で24時間静置した後ビンを逆さまにし、落下しなかった錠剤をべたつきによる固結数と計数した。25℃60%RH条件下で24時間静置した6錠をガラスビンに入れて密閉し、65℃条件下で3日保存した。保存後の錠剤について、それぞれ製造直後品との色差ΔE*(ab)について分光式光度計(SE6000 日本電色工業製)を用いて測定した。結果を表4に示す。
Figure 0006701689
表4から明らかのように、クロスポビドンを配合した錠剤はべたつきによる固結を防止でき、かつ経時的な色の変化も抑制できた。
本発明により、経時的な変色及び/又はべたつきが抑制された、商品価値の高いオンジエキス配合の固形組成物の提供が可能となった。

Claims (5)

  1. オンジエキス、及びクロスポビドンを含有し、生薬エキスとしてオンジエキスのみを含み、クロスポビドンの含有量がオンジエキス1質量部に対し0.3〜2質量部であることを特徴とする固形組成物。
  2. 固形組成物が内服用である、請求項1に記載の固形組成物。
  3. 固形組成物が錠剤、顆粒剤、散剤、チュアブル錠剤、口腔内崩壊錠又はドライシロップ剤である、請求項1又は2に記載の固形組成物。
  4. 生薬エキスとしてオンジエキスのみを含有する固形組成物の変色又はべたつきを抑制するための、オンジエキス1質量部に対し0.3〜2質量部のクロスポビドンを使用する方法。
  5. オンジエキス1質量部に対し0.3〜2質量部のクロスポビドンを添加することによって、生薬エキスとしてオンジエキスのみを含有固形物の変色又はべたつきを抑制する方法。
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