JP6700127B2 - マイクロ波プラズマ処理装置 - Google Patents

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本発明は、マイクロ波プラズマ処理装置に関する。
マイクロ波プラズマ処理装置は、平行平板型のプラズマ処理装置と比較して、高密度で低電子温度の表面波プラズマを均一に形成することが可能である。マイクロ波プラズマ処理装置では、マイクロ波は複数のマイクロ波導入機構を介してチャンバの天井部からチャンバ内に放射される。放射されたマイクロ波によりチャンバ側の表面に表面波プラズマが生成され、表面波プラズマにより基板にプラズマ処理が施される(例えば、特許文献1、2を参照)。特許文献1,2は、チャンバの天井部にてマイクロ波導入機構毎に誘電体からなるマイクロ波透過窓を設け、マイクロ波透過窓を介してチャンバ内にマイクロ波を放射する。
国際公開第2008/013112号パンフレット 特開2012−216745号公報
しかしながら、かかる構成では、マイクロ波導入機構の構成や配置によっては、周方向にプラズマが十分に広がらず、プラズマが不均一になるという課題が生じる場合がある。
上記課題に対して、一側面では、本発明は、マイクロ波の放射効率を高めることを目的とする。
上記課題を解決するために、一の態様によれば、基板を収容するチャンバと、前記チャンバ内にマイクロ波を放射するマイクロ波放射部材とを有し、表面波プラズマによって基板にプラズマ処理を施すマイクロ波プラズマ処理装置であって、前記マイクロ波放射部材は、金属の本体部と、前記本体部内のマイクロ波が導入される側に形成され、マイクロ波を透過させる誘電体の遅波材と、前記本体部内の前記遅波材の外周部及び内周部の少なくともいずれかに配置され、前記遅波材よりも比誘電率が低い誘電体の共振機構と、前記遅波材の下面にて長手方向がマイクロ波の磁場方向と揃うように形成され、前記遅波材及び前記共振機構を伝播したマイクロ波を放射する複数のスロットとを有するマイクロ波プラズマ処理装置が提供される。
一の側面によれば、マイクロ波の放射効率を高めることができる。
一実施形態に係るマイクロ波プラズマ処理装置の縦断面の一例を示す図。 一実施形態に係るマイクロ波プラズマ源の構成の一例を示す図。 一実施形態に係るマイクロ波放射部材の一例を示す拡大図。 図3のA−A断面図。 図3のA−A断面図(変形例)。 図4のB−B断面図。 一実施形態に係る遅波材によるマイクロ波電力の分配を説明するための図。 一実施形態に係る誘電体層の効果を説明するための図。 比誘電率の異なる誘電体を透過するマイクロ波の波長を説明するための図。 一実施形態に係る共振機構とマイクロ波の放射効率との関係を説明するための図。 一実施形態に係る共振機構による放射効率の一例を示す図。 一実施形態の変形例1に係るマイクロ波プラズマ処理装置の縦断面の一例を示す図。 一実施形態の変形例2に係るマイクロ波プラズマ処理装置の縦断面の一例を示す図。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く。
[マイクロ波プラズマ処理装置の全体構成]
図1は、本発明の一実施形態に係るマイクロ波プラズマ処理装置100の断面図の一例を示す。図2は、図1のマイクロ波プラズマ処理装置100に用いられるマイクロ波プラズマ源2の構成の一例を示すブロック図である。
マイクロ波プラズマ処理装置100は、マイクロ波により表面波プラズマを形成して基板の一例である半導体ウェハW(以下、「ウェハW」と称呼する)に対して所定のプラズマ処理を行う。プラズマ処理の一例としては、成膜処理またはエッチング処理が例示される。
マイクロ波プラズマ処理装置100は、ウェハWを収容するチャンバ1を有する。チャンバ1は、気密に構成されたアルミニウムまたはステンレス鋼等の金属材料からなる略円筒状の容器であり、接地されている。マイクロ波プラズマ源2は、チャンバ1の上部に形成された開口部1aからチャンバ1の内部に臨むように設けられている。マイクロ波プラズマ源2によりチャンバ1内にマイクロ波が導入されると、チャンバ1内にて表面波プラズマが形成される。
チャンバ1内にはウェハWを載置する載置台11が設けられている。載置台11は、チャンバ1の底部中央に絶縁部材12aを介して立設された筒状の支持部材12により支持されている。載置台11および支持部材12を構成する材料としては、表面をアルマイト処理(陽極酸化処理)したアルミニウム等の金属や内部に高周波用の電極を有した絶縁性部材(セラミックス等)が例示される。載置台11には、ウェハWを静電吸着するための静電チャック、温度制御機構、ウェハWの裏面に熱伝達用のガスを供給するガス流路等が設けられてもよい。
載置台11には、整合器13を介して高周波バイアス電源14が電気的に接続されている。高周波バイアス電源14から載置台11に高周波電力が供給されることにより、ウェハW側にプラズマ中のイオンが引き込まれる。なお、高周波バイアス電源14はプラズマ処理の特性によっては設けなくてもよい。
チャンバ1の底部には排気管15が接続されており、この排気管15には真空ポンプを含む排気装置16が接続されている。排気装置16を作動させるとチャンバ1内が排気され、これにより、チャンバ1内が所定の真空度まで高速に減圧される。チャンバ1の側壁には、ウェハWの搬入出を行うための搬入出口17と、搬入出口17を開閉するゲートバルブ18とが設けられている。
マイクロ波プラズマ源2は、マイクロ波出力部30とマイクロ波伝送部40とマイクロ波放射部材50とを有する。マイクロ波出力部30は、複数経路に分配してマイクロ波を出力する。
マイクロ波伝送部40は、マイクロ波出力部30から出力されたマイクロ波を伝送する。周縁マイクロ波導入機構43aおよび中心マイクロ波導入機構43bは、アンプ部42から出力されたマイクロ波をマイクロ波放射部材50に導入する機能およびインピーダンスを整合する機能を有する。
周縁マイクロ波導入機構43aおよび中心マイクロ波導入機構43bは、筒状の外側導体52およびその中心に設けられた棒状の内側導体53を同軸状に配置する。外側導体52と内側導体53との間の空間にマイクロ波電力が給電され、マイクロ波放射部材50に向かってマイクロ波が伝播するマイクロ波伝送路44となっている。
周縁マイクロ波導入機構43aおよび中心マイクロ波導入機構43bには、スラグ61と、その先端部に位置するインピーダンス調整部材140とが設けられている。スラグ61を移動させることにより、チャンバ1内の負荷(プラズマ)のインピーダンスをマイクロ波出力部30におけるマイクロ波電源の特性インピーダンスに整合させる機能を有する。インピーダンス調整部材140は、誘電体で形成され、その比誘電率によりマイクロ波伝送路44のインピーダンスを調整するようになっている。
マイクロ波放射部材50は、チャンバ1の上部に設けられた支持リング29に気密にシールされた状態で設けられ、マイクロ波伝送部40から伝送されたマイクロ波をチャンバ1内に放射する。マイクロ波放射部材50は、チャンバ1の天井部を構成している。
マイクロ波放射部材50にはシャワー構造の第1ガス導入部21が設けられており、第1ガス導入部21には、ガス供給配管111を介して第1ガス供給源22が接続されている。第1ガス供給源22から供給される第1のガスは、第1ガス導入部21を通ってチャンバ1内にシャワー状に供給される。第1ガス導入部21は、チャンバ1の天井部に形成された複数のガス孔から第1の高さで第1ガスを供給する第1のガスシャワーヘッドの一例である。第1のガスの一例としては、例えばArガス等のプラズマ生成用のガスや、例えばOガスやNガス等の高エネルギーで分解させたいガスが挙げられる。
マイクロ波放射部材50は、本体部120、遅波材121、マイクロ波透過部材122、スロット123、誘電体層124及び誘電体の共振機構129を有する。本実施形態では、共振機構129の内部は空気により充填されている。ただし、共振機構129の内部はテフロン(登録商標)により充填されていてもよい。
共振機構129の厚さは、遅波材121の厚さよりも薄い。本体部120の内部であって遅波材121の外周部に、遅波材121が嵌め込まれる空間よりも高さが低い空間を形成することで、遅波材121が本体部120に嵌め込まれたときに遅波材121の位置決めと、共振機構129の空間の形成とを行うことができる。なお、マイクロ波放射部材50の詳細な構造については後述する。
また、チャンバ1内の載置台11とマイクロ波放射部材50との間の位置には、シャワープレートとして構成される第2ガス導入部23がチャンバ1に水平に設けられている。第2ガス導入部23は、格子状に形成されたガス流路24と、ガス流路24に形成された多数のガス孔25とを有しており、格子状のガス流路24の間は空間部26となっている。ガス流路24には、チャンバ1の外側に延びるガス供給配管27が接続されており、ガス供給配管27には第2ガス供給源28が接続されている。第2ガス供給源28からは、成膜処理やエッチング処理等のプラズマ処理の際に、極力分解させずに供給したい処理ガス、例えばSiHガスやCガス等の第2のガスが供給されるようになっている。第2ガス導入部23は、第1ガスを供給する第1の高さよりも低い第2の高さで複数のガス孔から第2ガスを供給する第2のガスシャワーヘッドの一例である。第1ガス導入部21及び第2ガス導入部23は、ガスシャワーヘッドからチャンバ1内にガスを供給するガス供給機構の一例である。なお、第1ガス供給源22および第2ガス供給源28から供給されるガスとしては、プラズマ処理の内容に応じた種々のガスを用いることができる。
マイクロ波プラズマ処理装置100の各部は、制御装置3により制御される。制御装置3は、マイクロプロセッサ4、ROM(Read Only Memory)5、RAM(Random Access Memory)6等を有している。ROM5やRAM6にはマイクロ波プラズマ処理装置100のプロセスシーケンス及び制御パラメータであるプロセスレシピが記憶されている。マイクロプロセッサ4は、プロセスシーケンス及びプロセスレシピに基づき、マイクロ波プラズマ処理装置100の各部を制御する制御部の一例である。また、制御装置3は、タッチパネル7及びディスプレイ8等を有し、プロセスシーケンス及びプロセスレシピに従って所定の制御を行う際の入力や結果の表示等が可能になっている。
かかる構成のマイクロ波プラズマ処理装置100においてプラズマ処理を行う際には、まず、ウェハWが、搬送アーム上に保持された状態で、開口したゲートバルブ18から搬入出口17を通りチャンバ1内に搬入される。ゲートバルブ18はウェハWを搬入後に閉じられる。ウェハWは、搬送アームからプッシャーピンに移され、プッシャーピンが降下することにより載置台11に載置される。チャンバ1内の圧力は、排気装置16により所定の真空度に保持される。第1のガスが第1ガス導入部21からシャワー状にチャンバ1内に導入され、第2のガスが第2ガス導入部23からシャワー状にチャンバ1内に導入される。周縁マイクロ波導入機構43aおよび中心マイクロ波導入機構43bを介してマイクロ波放射部材50から放射されたマイクロ波により、第1及び第2のガスが分解され、チャンバ側の表面に生成される表面波プラズマによってウェハWにプラズマ処理が施される。
(マイクロ波プラズマ源)
マイクロ波プラズマ源2は、マイクロ波出力部30と、マイクロ波伝送部40と、マイクロ波放射部材50とを有する。図2に示すように、マイクロ波出力部30は、マイクロ波電源31と、マイクロ波発振器32と、発振されたマイクロ波を増幅するアンプ33と、増幅されたマイクロ波を複数に分配する分配器34とを有している。
マイクロ波発振器32は、所定周波数(例えば、860MHz)のマイクロ波を例えばPLL(Phase Locked Loop)発振させる。分配器34では、マイクロ波の損失ができるだけ起こらないように、入力側と出力側のインピーダンス整合を取りながらアンプ33で増幅されたマイクロ波を分配する。なお、マイクロ波の周波数としては、860MHzの他に、915MHz等、700MHzから3GHzの範囲の種々の周波数を用いることができる。
図1に示すように、マイクロ波伝送部40は、複数のアンプ部42と、アンプ部42に対応して設けられた周縁マイクロ波導入機構43aおよび中心マイクロ波導入機構43bとを有する。周縁マイクロ波導入機構43aは、マイクロ波放射部材50の周縁部の上に周方向に沿って複数(例えば6つ)設けられており、中心マイクロ波導入機構43bは、マイクロ波放射部材50の中央部の上に一つ設けられている。周縁マイクロ波導入機構43aの数は2以上であればよいが、3以上が好ましく、例えば3〜6であってもよい。
図2に示すように、アンプ部42は、分配器34にて分配されたマイクロ波を周縁マイクロ波導入機構43a及び中心マイクロ波導入機構43bに導く。アンプ部42は、位相器46と、可変ゲインアンプ47と、ソリッドステートアンプを構成するメインアンプ48と、アイソレータ49とを有している。
位相器46は、マイクロ波の位相を変化させることにより放射特性を変調させることができる。例えば、周縁マイクロ波導入機構43a及び中心マイクロ波導入機構43bのそれぞれに導入されるマイクロ波の位相を調整することにより指向性を制御してプラズマ分布を変化させることができる。また、隣り合うマイクロ波導入機構において90°ずつ位相をずらすようにして円偏波を得ることができる。また、位相器46は、アンプ内の部品間の遅延特性を調整し、チューナ内での空間合成を目的として使用することができる。ただし、このような放射特性の変調やアンプ内の部品間の遅延特性の調整が不要な場合には位相器46は設けなくてもよい。
可変ゲインアンプ47は、メインアンプ48へ入力するマイクロ波の電力レベルを調整し、プラズマ強度を調整する。可変ゲインアンプ47をアンテナモジュール毎に変化させることによって、発生するプラズマに分布を生じさせることができる。
ソリッドステートアンプを構成するメインアンプ48は、例えば、入力整合回路と、半導体増幅素子と、出力整合回路と、高Q共振回路とを有する。アイソレータ49は、スロットアンテナ部で反射してメインアンプ48に向かう反射マイクロ波を分離するものであり、サーキュレータとダミーロード(同軸終端器)とを有している。サーキュレータは、反射したマイクロ波をダミーロードへ導き、ダミーロードはサーキュレータによって導かれた反射マイクロ波を熱に変換する。周縁マイクロ波導入機構43aおよび中心マイクロ波導入機構43bは、アンプ部42から出力されたマイクロ波をマイクロ波放射部材50に導入する。
(マイクロ波放射部材)
次に、マイクロ波放射部材50について、図3及び図4を参照しながら説明する。図3は、マイクロ波放射部材50の主要部を示す断面の一例を示す。図4は、図3のA−A断面を示す。
マイクロ波放射部材50は、マイクロ波出力部30から出力され、マイクロ波伝送部40を伝送したマイクロ波をチャンバ1内に放射する。マイクロ波放射部材50は、金属製の本体部120を有する。本体部120は、アルミニウムや銅のような熱伝導率の高い金属から形成されることが好ましい。
本体部120は、周縁マイクロ波導入機構43aが配置される周縁部と、中心マイクロ波導入機構43bが配置される中央部とを有している。周縁部はウェハWの周縁領域に対応し、中央部はウェハの中央領域に対応する。
本体部120周縁部の上部(本体部120内のマイクロ波が導入される側)には、周縁マイクロ波導入機構43aの配置部分を含む周縁マイクロ波導入機構配置領域に沿って遅波材121が嵌め込まれている。遅波材121は、マイクロ波を透過させる誘電体から形成されている。遅波材121は、真空よりも大きい比誘電率を有しており、例えば、石英、アルミナ(Al)等のセラミックス、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂やポリイミド系樹脂により形成され得る。すなわち、真空中ではマイクロ波の波長が長くなることから、遅波材121は、比誘電率が真空よりも大きい材料で構成されることにより、マイクロ波の波長を短くしてスロット123を含むアンテナを小さくする機能を有する。
本体部120周縁部の下面(チャンバ1側表面)には、周縁マイクロ波導入機構配置領域に沿って設けられたリング状をなすマイクロ波透過部材122が嵌め込まれている。本体部120の遅波材121とマイクロ波透過部材122との間の部分には複数のスロット123および誘電体層124が上下に形成される。
マイクロ波透過部材122は、マイクロ波を透過する材料である誘電体材料で構成されており、リング状にチャンバ1側に露出し、周方向に均一な表面波プラズマを形成するための誘電体窓としての機能を有する。マイクロ波透過部材122は、遅波材121と同様、例えば、石英、アルミナ(Al)等のセラミックス、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂やポリイミド系樹脂により形成され得る。なお、マイクロ波透過部材122は、周方向に沿って複数に分割されていてもよい。
スロット123は、図3に示すように、本体部120の遅波材121の下面に接する位置から誘電体層124の上面まで達しており、周縁マイクロ波導入機構43aから伝送されたマイクロ波の放射特性を決定する。本体部120の遅波材121と誘電体層124との間の領域は、スロット123を含むスロットアンテナ部となっている。
マイクロ波伝送路44の先端の底板には円柱部材82が設けられている。スロット123は、周縁マイクロ波導入機構43aから円柱部材82を通ってTEM波として伝送されてきたマイクロ波をTE波にモード変換する機能を有する。そして、スロット123から放射されたマイクロ波は、TE波の単一モードで誘電体層124およびマイクロ波透過部材122を経て、チャンバ1内に放射される。
図3のA−A断面を示す図4を参照すると、複数のスロット123は、本体部120の隔離部分120aにより分離され、同一径の円周上に円弧状に均等に配置されている。スロット123の形状および配置によりマイクロ波の放射特性が決定されるが、このように複数の円弧状をなすスロット123が、全体形状が円周状をなすように設けられることにより、電界を均一に分散させることができる。
本実施形態では、図3及び図4に示すように、遅波材121の外周部には、遅波材121よりも比誘電率が低い誘電体の共振機構129が形成されている。本実施形態では、共振機構129の機能により、スロット123から放射されるマイクロ波の放射効率が高められる。共振機構129の機能については後述される。
図4では円弧状のスロット123を円周上に一列に12個設けた例が示されているが、スロット123の形状および個数は、これに限らず、マイクロ波透過部材122のサイズおよびマイクロ波の波長に応じて適宜設定される。例えば、図5は、図3のA−A断面の他の例を示す。図5では円弧状のスロット123を円周上に一列に6個設けた例が示されている。
スロット123内は真空であってもよいし、テフロン(登録商標)の誘電体で充填されていてもよい。スロット123に誘電体を充填することにより、マイクロ波の実効波長が短くなり、スロットの厚さを薄くできる。
一つのスロット123の円周方向(長手方向の)の長さは、電界強度を高くして良好な効率を得る観点からスロットλg/2が好ましい。ここで、λgはマイクロ波の実効波長であり、以下の式(1)で示すことができる。
Figure 0006700127
εはスロット123に充填される誘電体の比誘電率であり、λは真空中のマイクロ波の波長である。また、λcはカットオフ波長であり、TE01モードで給電する場合、空洞共振器の長手方向の長さをaとして、
λ=2a
と表される。
円周方向に電界強度の均一性が高くなるように微調整する微調整成分δ(0を含む)を考慮すると、スロット123の円周方向の長さは、(λg/2)−δが好ましい。
なお、スロット123は、遅波材121およびマイクロ波透過部材122の径方向の中央に設けられているが、周縁マイクロ波導入機構43aは、径方向中央よりも内側に設けられている。これは、遅波材121の内周と外周の長さの違いを考慮して、内側と外側とで均等に電界を分散させるためである。
図4のB−B断面を示す図6を参照すると、誘電体層124が、スロット123の下部に一対一に対応して設けられている。図4の例では、12個のスロット123のそれぞれに対して12個の誘電体層124が設けられている。隣接する誘電体層124は金属製の本体部120の隔離部分120aにより分離されている。誘電体層124内には、対応するスロット123から放射されるマイクロ波によって単一ループの磁場を形成させることができ、その下のマイクロ波透過部材122において磁場ループのカップリングが生じないようになっている。これにより、複数の表面波モードが出現することを防止することができ、単一の表面波モードを実現することができる。誘電体層124の周方向の長さは、複数の表面波モードの出現を防止する観点からはλg/2以下であることが好ましい。また、誘電体層124の厚さは、1〜5mmが好ましい。
誘電体層124は空気(真空)であってもよく、誘電体セラミックスや樹脂等の誘電体材料であってもよい、誘電体材料としては、例えば、石英、セラミックス、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂やポリイミド系樹脂を用いることができる。マイクロ波プラズマ処理装置100が300mmウェハを処理し、マイクロ波の波長が860MHz、遅波材121やマイクロ波透過部材122およびスロット123内の誘電体として比誘電率が10程度のアルミナを用いる場合、誘電体層124として空気層(真空層)を好適に用いることができる。
図3に戻り、本体部120の中央部の上部には、中心マイクロ波導入機構43bに対応する中心マイクロ波導入機構配置領域に円板状をなす遅波材131が嵌め込まれ、遅波材131に対応する部分に円板状をなすマイクロ波透過部材132が嵌め込まれている。そして、本体部120の遅波材131とマイクロ波透過部材132との間の部分は、スロット133を有するスロットアンテナ部となっている。スロット133の形状や大きさは、モードジャンプの発生を抑制し、かつ均一な電界強度が得られるように適宜調整される。例えば、スロット133はリング状に形成されてもよい。これにより、スロット間の継ぎ目が存在せず、均一な電界を形成することができ、モードジャンプも発生し難くなる。
スロット133内にもスロット123と同様、誘電体が充填されていることが好ましい。スロット133に充填される誘電体としては、スロット123に用いたものと同様のものを用いることができる。また、遅波材131およびマイクロ波透過部材132を構成する誘電体についても、上述した遅波材121およびマイクロ波透過部材122と同様のものを用いることができる。
本体部120の上面には、周縁マイクロ波導入機構配置領域と中心マイクロ波導入機構配置領域との間に、リング状の溝126が形成されている。これにより、周縁マイクロ波導入機構43aと中心マイクロ波導入機構43bとの間のマイクロ波干渉を抑制することができる。
また、本体部120には、上述した第1ガス導入部21が設けられている。第1ガス導入部21は、周縁マイクロ波導入機構配置領域を有する周縁部と中心マイクロ波導入機構配置領域を有する中央部との間に環状をなし、同心状に形成された外側ガス拡散空間141と内側ガス拡散空間142とを有している。外側ガス拡散空間141の上面には、本体部120の上面から繋がるガス導入孔143が形成されており、外側ガス拡散空間141の下面には、本体部120の下面に至る複数のガス孔144が形成されている。一方、内側ガス拡散空間142の上面には、本体部120の上面から繋がるガス導入孔145が形成されており、内側ガス拡散空間142の下面には、本体部120の下面に至る複数のガス孔146が形成されている。ガス導入孔143および145には、第1ガス供給源22からの第1のガスを供給するためのガス供給配管111が接続されている。
(マイクロ波電力の分配)
図7は、マイクロ波放射部材50の周縁部におけるスロット123の配置とマイクロ波電力の分配を示す。図7に示すように、周縁マイクロ波導入機構43aは、それぞれ2枚の遅波材121の間に跨るようにして配置されている。すなわち、図4の例では、12枚の遅波材121は、それぞれ6つの周縁マイクロ波導入機構43aに対応する位置から両側に延びるように配置されている。図5の例では、6枚の遅波材121は、それぞれ3つの周縁マイクロ波導入機構43aに対応する位置から両側に延びるように配置されている。
このように、周縁マイクロ波導入機構43aの直下位置には本体部120の隔離部分120aが配置されているため、周縁マイクロ波導入機構43aを伝送されてきたマイクロ波電力は、隔離部分120aで分離され、その両側の遅波材121に等分配される。これにより、電力が等配分されたマイクロ波が各スロット123から放射される。
周縁マイクロ波導入機構43aからTEM波として伝送されてきたマイクロ波は、スロット123にてTE波にモード変換され、誘電体層124及びマイクロ波透過部材122を経て、チャンバ1内に放射される。
(誘電体層)
円弧上に設けられた複数のスロット123の直下にマイクロ波透過部材122を配置した場合、図8(a)に示すように、各スロット123から放射されたマイクロ波により発生する磁場Hは、マイクロ波透過部材122でカップリングする場合がある。マイクロ波透過部材122で磁場がカップリングしたり、しなかったりすることで、複数の表面波モードが出現する。複数の表面波モードが出現すると、プラズマ処理の際にモードジャンプが生じることがあり、プラズマが安定せず、ウェハWに均一なプラズマ処理を施す際の妨げとなる。
表面波モードの出現確率は、マイクロ波透過部材因子(形状、材料)とスロット因子(形状、寸法)とで決まり、これらを調整することで単一モードを実現することができる。しかし、マイクロ波透過部材は予め設計されており、これを変更することは困難である。このため、スロット因子を調整することが有効である。
そこで、本実施形態では、図8(b)に示すように、複数のスロット123の下に、各スロット123に対応して複数の誘電体層124を互いに分離して設ける。これにより、各スロット123から放射されたマイクロ波により各誘電体層124内に単一ループの磁場を発生させることができる。これにより、マイクロ波透過部材122内に誘電体層124の磁場ループに対応する磁場ループが形成され、マイクロ波透過部材122内に磁場カップリングが生じることを防止することができる(デカップリング)。このため、マイクロ波透過部材122内で磁場ループが生じたり生じなかったりすることによる複数の表面波モードが出現することを防止することができ、モードジャンプが生じない安定したプラズマ処理を実現することができる。
この場合に、誘電体層124に定在波の「はら」または「ふし」が複数存在すると複数のモードが出やすくなるため、誘電体層124の周方向の長さはλg/2以下であることが好ましい。また、複数のスロット123を円周状に配置しているので、マイクロ波を円周状に放射することができ、周方向のプラズマの均一性を高めることができる。
(共振機構)
次に、共振機構129について、図9及び図10を参照しながら説明する。図9は、比誘電率の異なる誘電体を透過するマイクロ波の波長を説明するための図である。図10は、一実施形態に係る共振機構129とマイクロ波の放射効率との関係を説明するための図である。
本実施形態では、遅波材121はアルミナ(Al)で形成され、共振機構129は空気層となっている。共振機構129には、テフロン(登録商標)が充填されていてもよい。共振機構129は、遅波材121を形成する誘電体よりも低い比誘電率を有する誘電体であればよい。
図9に示すように、比誘電率が異なる二つの誘電体を隣接したとき、二つの誘電体内を伝播するマイクロ波の波長は上記式(1)にて表される。
本実施形態では、εはアルミナ(Al)の比誘電率を示す。本実施形態では、遅波材121はアルミナにより形成されており、遅波材121におけるマイクロ波の実効波長λgは、共振機構129におけるマイクロ波の実効波長λよりも短くなる。
図10(a)には、遅波材121の外周部に共振機構129の空気層がないときに、遅波材121を伝播するマイクロ波により形成される磁場Hの一例を模式的に示す。磁場Hは金属表面に形成されるため、遅波材121の両端部の磁場Hが最も強くなり、遅波材121の中央の磁場Hが最も弱くなる。
その際、遅波材121の中央付近に形成されたスロット123の長手方向は、磁場Hの方向に揃えて形成され、マイクロ波を放射できる。しかし、遅波材121の中央の磁場Hの強度Hが、磁場Hの強度の最大値と比べて弱いためにスロット123から放射されるマイクロ波の放射効率は、最大値と比較すると低くなっている。
これに対して、スロット123を遅波材121の端部に形成すれば、マイクロ波の放射効率を高くすることができる。しかしながら、そうすると、複数の表面波モードが発生し、単一の表面波モードが得られなくなる。
これに対して、図10(b)には、遅波材121の外周部に共振機構129の空気層があるときのマイクロ波により形成される磁場Hの一例を模式的に示す。共振機構129が存在するために、スロット123の位置における磁場Hの強度H(>H)が高くなっている。つまり、遅波材121の外周部に共振機構129を形成することによって、遅波材121の中央付近に形成されたスロット123から放射されるマイクロ波の放射効率を高めることができる。
本実施形態における共振機構129は、遅波材121よりも低い比誘電率の誘電体を使用する。これに対して、遅波材121を単に共振機構129の位置まで広げることも考えらえる。しかしながら、このように遅波材121を単に広げると、遅波材121の幅が広くなり、複数の表面波モードが発生する場合がある。このため、共振機構129は、遅波材121と異なる比誘電率の誘電体を配置する必要がある。
また、共振機構129を遅波材121の比誘電率よりも高い比誘電率を持つ誘電体で形成すると、共振機構129におけるマイクロ波の実効波長λが遅波材121におけるマイクロ波の実効波長λgよりも短くなる。この場合、共振機構129において新たな表面波モードが発生する場合があり、単一の表面波モードに制御することが困難になるおそれがある。よって、本実施形態では、共振機構129には、遅波板121よりも低い比誘電率の誘電体を配置する。これにより、表面波モードを単一にし、かつ、マイクロ波の放射効率を高めることができる。
また、共振機構129におけるマイクロ波の実効波長λが遅波材121におけるマイクロ波の実効波長λgよりも短い場合、遅波板121の組み立て時に機械加工上生じ得る、共振機構129の幅の誤差に対して、マイクロ波の実効波長λが短いためにマイクロ波の伝播経路としては大きな誤差となる。この結果、機械加工上生じ得る共振機構129の寸法誤差により、スロット123における放射効率を向上させるための精度が得られない場合がある。
したがって、本実施形態では、共振機構129は、遅波材121の比誘電率よりも低い比誘電率を持つ誘電体で形成する。これにより、共振機構129におけるマイクロ波の実効波長λが遅波材121におけるマイクロ波の実効波長λgよりも伸びる。この結果、本実施形態では、共振機構129に、機械加工上例えば1mm程度の寸法誤差が生じた場合においても、スロット123における放射効率を向上させることができる。
(放射効率)
本実施形態に係る共振機構129によるマイクロ波の放射効率について、図11を参照しながら説明する。図11(a)は、本実施形態に係る共振機構129が遅波材121の外周部に形成されている場合に、スロット123から放射されるマイクロ波の磁場の強さの一例を示す。図11(b)は、本実施形態に係る共振機構129が遅波材121の外周部に形成されていない場合に、スロット123から放射されるマイクロ波の磁場の強さの一例を示す。
この結果によれば、共振機構129が遅波材121の外周部に形成されている場合、共振機構129が遅波材121の外周部に形成されていない場合よりも、スロット123部分の磁場が強くなっていることがわかる。これにより、本実施形態に係る共振機構129によれば、マイクロ波の放射効率を高めることができることが証明された。
<プラズマ処理装置の動作>
次に、以上のように構成されるマイクロ波プラズマ処理装置100における動作について説明する。
まず、ウェハWをチャンバ1内に搬入し、載置台11上に載置する。そして、第1ガス供給源22から例えばArガス等のプラズマ生成ガスや高エネルギーで分解させたいガスが第1のガスとして供給される。第1のガスは、マイクロ波放射部材50の第1ガス導入部21からチャンバ1内へ導入する。
マイクロ波出力部30からマイクロ波伝送部40の複数のアンプ部42および複数のマイクロ波導入機構43a、43bを伝送されたマイクロ波は、マイクロ波放射部材50を介してチャンバ1内に放射される。天井部の表面に放射されたマイクロ波の高い電界エネルギーにより第1のガスがプラズマ化され、表面波プラズマが生成される。
第2ガス供給源28から極力分解せずに供給したい処理ガスが第2のガスとして供給される。第2のガスは、第2ガス導入部23を介してチャンバ1内に導入される。第2ガス導入部から導入された第2のガスは、第1のガスのプラズマにより励起される。このとき、第2のガス導入位置はマイクロ波放射部材50の表面から離れた、よりエネルギーが低い位置であるため、第2のガスは不要な分解が抑制された状態で励起される。そして、第1のガスおよび第2のガスのプラズマによりウェハWにプラズマ処理、例えば成膜処理やエッチング処理を施す。
このとき、6本の周縁マイクロ波導入機構43aへは、マイクロ波出力部30のマイクロ波発振器32から発振され、アンプ33で増幅された後、分配器34により複数に分配され、アンプ部42を経たマイクロ波電力が給電される。これら周縁マイクロ波導入機構43aに給電されたマイクロ波電力は、マイクロ波伝送路44を伝送され、マイクロ波放射部材50の周縁部に導入される。その際にスラグ61によりインピーダンスが自動整合され、電力反射が実質的にない状態でマイクロ波が導入される。導入されたマイクロ波は、遅波材121を透過し、スロットアンテナ部のスロット123およびマイクロ波透過部材122を介してチャンバ1内に放射され、マイクロ波透過部材122および本体部120の下表面の対応部分に表面波が形成され、この表面波によりチャンバ1内のマイクロ波放射部材50の直下部分に表面波プラズマが生成される。
このとき、円弧状の12枚の遅波材121が周縁マイクロ波導入機構配置領域に沿って全体がリング状をなすように配置される。12枚の遅波材121は、本体部120の一部をなす隔離部分120aで分離されており、周縁マイクロ波導入機構43aは、それぞれ2枚の遅波材121の間に跨るようにして配置されている。すなわち、12枚の遅波材121は、それぞれ6つの周縁マイクロ波導入機構43aに対応する位置から両側に延びるように配置されている。このように、周縁マイクロ波導入機構43aの直下位置には本体部120の隔離部分120aが配置されている。このため、周縁マイクロ波導入機構43aを伝送されてきたマイクロ波は、隔離部分120aで分離され、通常マイクロ波電界が大きくなる周縁マイクロ波導入機構43a直下部分の電界強度が大きくならずに、その両側の遅波材121に等分配される。
さらに、遅波材121の外周部に共振機構129を形成することによって、遅波材121の中央付近に形成されたスロット123から放射されるマイクロ波の放射効率を高めることができる。
そして、周縁マイクロ波導入機構配置領域に沿って全体形状が円周状をなすように設けられたスロット123からマイクロ波が放射される。スロット123の下面にリング状にマイクロ波透過部材122が設けられているので、遅波材121で均一に分配されたマイクロ波電力は、スロット123で均一に放射され、さらにマイクロ波透過部材122で円周状に広げることができる。このため、マイクロ波透過部材122直下では周縁マイクロ波導入機構配置領域に沿って均一なマイクロ波電界を形成することができ、チャンバ1内に周方向に均一な表面波プラズマを形成することができる。
なお、このようにしてマイクロ波電力を周方向に広げることができるので、周縁マイクロ波導入機構43aを6つから3つに少なくすることができ、装置コストを低減することが可能となる。
また、円周状に配置されたスロット123の個数や形状・配置等を調整することにより、表面波モードの数を少なくすることができ、スロットの個数や形状・配置を最適化することによりモード数を2つ、さらには1つにすることが可能である。このように表面波モードの数を低減することにより、モードジャンプが少ない安定したプラズマ処理を行うことができる。また、このようにスロット123の個数や形状・配置等を調整することにより、一つの周縁マイクロ波導入機構43aから他の周縁マイクロ波導入機構43aへマイクロ波が侵入するマイクロ波の干渉も抑制することができる。
さらに、本体部120の上面には、周縁マイクロ波導入機構配置領域と中心マイクロ波導入機構配置領域との間に、リング状の溝126が形成されている。これにより、周縁マイクロ波導入機構43aと中心マイクロ波導入機構43bとの間のマイクロ波干渉およびモードジャンプを抑制することができる。
また、マイクロ波放射部材50の中央部には、中心マイクロ波導入機構43bからマイクロ波が導入される。中心マイクロ波導入機構43bから導入されたマイクロ波は、遅波材131を透過し、スロットアンテナ部のスロット133およびマイクロ波透過部材132を介してチャンバ1内に放射され、チャンバ1内の中央部にも表面波プラズマが生成される。このため、チャンバ1内のウェハ配置領域全体に均一なプラズマを形成することができる。
また、マイクロ波放射部材50に第1ガス導入部21を設け、第1ガス供給源22から第1のガスを、マイクロ波が放射されるチャンバ1の上面領域に供給する。これにより、第1のガスを高いエネルギーで励起させ、ガスを分解させて表面波プラズマを形成することができる。また、第1ガス導入部21より低い位置に第2ガス導入部23を設けて第2のガスを供給することにより、第2のガスはより低いエネルギーによって、不要な分解が抑制された状態でプラズマ化させることができる。これにより、要求されるプラズマ処理に応じて好ましいプラズマ状態を形成することができる。
(変形例1に係るマイクロ波プラズマ処理装置)
次に、上記に説明した共振機構129を適用した、一実施形態の変形例1に係るマイクロ波プラズマ処理装置100について、図12を参照しながら説明する。図12は、本実施形態の変形例1に係るマイクロ波プラズマ処理装置100の縦断面の一例を示す。変形例1に係るマイクロ波プラズマ処理装置100では、図1に示すマイクロ波プラズマ処理装置100と比較して、第2ガス導入部23の機構のみが異なる。よって、ここでは、変形例1に係る第2ガス導入部23の機構のみについて説明する。
本変形例では、マイクロ波放射部材50にリング状のシャワー構造を有する第2ガス導入部23が設けられている。第2ガス導入部23は、天井部よりも下方に伸びる複数のノズル23aが均等に配置されている。第2ガス導入部23には、ガス供給配管112を介して第2ガス供給源28が接続されている。
第2ガス供給源28からは、成膜処理やエッチング処理等のプラズマ処理の際に、極力分解させずに供給したい処理ガス、例えばSiHガスやCガス等の第2のガスが供給されるようになっている。第2のガスは、ガス供給配管112を介してリング状のシャワー構造からウェハW側に伸びるノズル23aを通り、チャンバ1の天井部より低い位置に供給される。変形例に係る第2ガス導入部23は、第1のガスを供給する第1の高さよりも低い第2の高さで複数のガス孔から第2ガスを供給する第2のガスシャワーヘッドの一例である。
変形例1においても、第1ガス導入部21より低い位置に第2のガスを供給することにより、第2のガスはより低いエネルギーによって、不要な分解が抑制された状態でプラズマ化させることができる。これにより、要求されるプラズマ処理に応じて好ましいプラズマ状態を形成することができる。
(変形例2に係るマイクロ波プラズマ処理装置)
次に、一実施形態の変形例2に係るマイクロ波プラズマ処理装置100について、図13を参照しながら説明する。図13は、本実施形態の変形例2に係るマイクロ波プラズマ処理装置100の縦断面の一例を示す。
変形例2のマイクロ波プラズマ処理装置100では、中心マイクロ波導入機構43bは設けられておらず、周縁マイクロ波導入機構43aの配置領域を含む環状のマイクロ波放射部材50が設けられている。その内側の中央部分には、絶縁部材151を介してウェハWとほぼ同等の大きさを有する導電性をなすシャワーヘッド150が設けられている。
シャワーヘッド150は、円板状に形成されたガス拡散空間152と、ガス拡散空間152からチャンバ1内に臨むように形成された多数のガス孔153と、ガス導入孔154とを有している。ガス導入孔154にはガス供給配管158を介してガス供給源157が接続されている。シャワーヘッド150には、整合器155を介してプラズマ生成用の高周波電源156が電気的に接続されている。載置台11は導電性部分を有しており、シャワーヘッド150の対向電極として機能する。ガス供給源157からガス供給配管158およびシャワーヘッド150を介してチャンバ1内にプラズマ処理に必要なガスが供給される。高周波電源156からシャワーヘッド150に高周波電力が供給されることにより、シャワーヘッド150と載置台11の間に高周波電界が形成され、ウェハWの直上の空間に容量結合プラズマが形成される。
かかる構成のマイクロ波プラズマ処理装置100は、中央部分の構成が、ウェハWに対しプラズマエッチングを行う平行平板型のプラズマエッチング装置と同様である。よって、例えばウェハの周縁のプラズマ密度調整をマイクロ波を用いた表面波プラズマで行うプラズマエッチング装置として用いることができる。また、中央部にプラズマを生成する機構を設けないことも可能である。
以上に説明したように、本実施形態及び変形例1,2に係るマイクロ波プラズマ処理装置100によれば、遅波材121の外周部に共振機構129が形成される。これにより、表面波モードを単一にしつつ、マイクロ波の放射効率を高め、均一なプラズマを生成することができる。なお、共振機構129は、遅波材121の外周部に形成される場合に限らない。共振機構129は、遅波材121の外周部及び内周部の少なくともいずれかに形成されてもよい。
以上、マイクロ波プラズマ処理装置を上記実施形態により説明したが、本発明に係るマイクロ波プラズマ処理装置は上記実施形態及び変形例1,2に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。上記実施形態及び変形例1,2に記載された事項は、矛盾しない範囲で組み合わせることができる。
例えば、上記実施形態及び変形例1,2では、マイクロ波出力部30やマイクロ波伝送部40の構成等は、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、スロットアンテナ部から放射されるマイクロ波の指向性制御を行ったり円偏波にしたりする必要がない場合には、位相器は不要である。
さらに、上記実施形態では、マイクロ波プラズマ源2をマイクロ波放射部材50に導入する際に複数のマイクロ波導入機構を用いた例について説明した。しかしながら、本発明は、円周状に複数配置されたスロットからマイクロ波を放射して表面波プラズマを生成する際に単一の表面波モードを得られればよく、マイクロ波導入機構は一つであってもよく、マイクロ波の導入態様も限定されない。また、中央部にプラズマを生成する機構を設けないことも可能である。
また、上記実施形態においては、プラズマ処理装置として成膜装置およびエッチング装置を例示したが、これに限らず、酸化処理および窒化処理を含む酸窒化膜形成処理、アッシング処理等の他のプラズマ処理にも用いることができる。
また、基板はウェハWに限定されず、LCD(液晶ディスプレイ)用基板に代表されるFPD(フラットパネルディスプレイ)基板や、セラミックス基板等の他の基板であってもよい。
1 チャンバ
2 マイクロ波プラズマ源
3 制御装置
11 載置台
21 第1ガス導入部
22 第1ガス供給源
23 第2ガス導入部
28 第2ガス供給源
30 マイクロ波出力部
40 マイクロ波伝送部
43a 周縁マイクロ波導入機構
43b 中心マイクロ波導入機構
44 マイクロ波伝送路
50 マイクロ波放射部材
52 外側導体
53 内側導体
61 スラグ
100 マイクロ波プラズマ処理装置
120 本体部
121 遅波材
122 マイクロ波透過部材
123 スロット
124 誘電体層
129 共振機構
140 インピーダンス調整部材

Claims (5)

  1. 基板を収容するチャンバと、前記チャンバ内にマイクロ波を放射するマイクロ波放射部材とを有し、表面波プラズマによって基板にプラズマ処理を施すマイクロ波プラズマ処理装置であって、
    前記マイクロ波放射部材は、
    金属の本体部と、
    前記本体部内のマイクロ波が導入される側に形成され、マイクロ波を透過させる誘電体の遅波材と、
    前記本体部内の前記遅波材の外周部及び内周部の少なくともいずれかに配置され、前記遅波材よりも比誘電率が低い誘電体の共振機構と、
    前記遅波材の下面にて長手方向がマイクロ波の磁場方向と揃うように形成され、前記遅波材及び前記共振機構を伝播したマイクロ波を放射する複数のスロットと、
    を有するマイクロ波プラズマ処理装置。
  2. 前記共振機構の内部は、空気又はテフロン(登録商標)により充填されている、
    請求項1に記載のマイクロ波プラズマ処理装置。
  3. 前記共振機構は、前記遅波材の外周部に設けられる、
    請求項1又は2に記載のマイクロ波プラズマ処理装置。
  4. 前記共振機構の厚さは、前記遅波材の厚さよりも薄い、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載のマイクロ波プラズマ処理装置。
  5. ガスシャワーヘッドから前記チャンバ内にガスを供給するガス供給機構を有し、
    前記ガスシャワーヘッドは、
    前記マイクロ波放射部材に形成された複数のガス孔から第1の高さで第1ガスを供給する第1のガスシャワーヘッドと、
    複数のノズルを有し、前記第1ガスを供給する第1の高さよりも低い第2の高さで前記複数のノズルから第2ガスを供給する第2のガスシャワーヘッドと、を有する、
    請求項1〜4のいずれか一項に記載のマイクロ波プラズマ処理装置。
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