JP6698497B2 - ポンプ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、吸入口から吐出口まで液体が通過する流路部と、往復動作によって流路部の容積を変化させる駆動部と、を備えたポンプ装置に関する。
一般に、ポンプ室の容積を変化させることで吸入口から液体を吸入して吐出口から吐出するポンプ装置において、液体に気体が混入することにより、吐出量が低下してしまったり、液体を吐出できなくなってしまったり(ガスロック)する場合があった。即ち、気体は液体よりも膨張及び収縮しやすいことから、ポンプ室の容積変化を気体が吸収してしまい、ポンプ室の加圧によって液体を吐出口側に送り出したり、減圧によって液体を吸入口側から吸入したりしにくくなってしまう。従って、ポンプ室を有する流路部から気体を除去することが求められていた。
そこで、ガス抜き機構が設けられた往復動ポンプ(ポンプ装置)が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された従来の往復動ポンプでは、ポンプ室の上方且つ吐出口側に設けられた通路に、上方に延びるガス抜き用の通路と、水平方向に延びる吐出用の通路と、が接続されている。ガス抜き用の通路には、液体及び気体を排出可能な弁が設けられており、流路から気体が除去され、液体及び気体が吸入側のタンクに回収されるようになっている。
特開平9−203380号公報
しかしながら、特許文献1に記載の往復動ポンプでは、気体の混入時だけでなく非混入時であってもガス抜き用の通路から液体が排出されて回収されてしまうため、吐出効率(即ち、ポンプ室の容積変化に対する液体の吐出量)が低下してしまうという不都合があった。従って、流路部から気体を除去することと、吐出効率を向上させることと、を両立させることは困難であった。
本発明の目的は、吐出効率を向上させるとともに流路部から気体を除去することができるポンプ装置を提供することにある。
本発明のポンプ装置は、下方側の吸入口から上方側の吐出口まで液体が通過する流路部と、往復動作によって前記流路部の容積を変化させる駆動部と、を備えて液体を吸入及び吐出するポンプ装置であって、前記流路部は、前記吸入口から上方側に延びる吸入流路と、吸入側逆止弁を介して前記吸入流路に接続されるポンプ室と、前記ポンプ室に対して上方側に位置して接続される中間室と、吐出側逆止弁を介して前記中間室に接続されるとともに前記吐出口に向かって延びる吐出流路と、を有し、前記中間室には、前記液体よりも密度が低くなるように構成されて前記液体内で浮上しようとするフロート弁体と、該フロート弁体の下方側に位置する弁座部と、前記フロート弁体の上方側への移動を規制しつつ前記液体及び気体が通過可能な規制部と、が設けられるとともに、前記規制部と前記吐出側逆止弁との間に気体滞留部が形成され、前記フロート弁体は、前記液体内で浮上して前記規制部に当接する上方位置と、前記弁座部に着座して前記中間室と前記ポンプ室とを区画する下方位置と、に移動自在に設けられ、前記フロート弁体は、前記気体滞留部及び前記規制部の下方側に気体が流入することにより、前記上方位置から下方側に移動するように構成され、 前記フロート弁体が前記上方位置から下方に移動した状態で、前記気体滞留部の圧力が前記吐出流路の圧力を超えることで、前記気体滞留部に流入した前記気体が前記吐出口から排出されることを特徴とする。
以上のような本発明によれば、液体が通過可能な規制部によってフロート弁体の上方側への移動が規制されていることで、ポンプ室内における気体の量が充分に少ない場合(気体が存在しない場合を含む)、ポンプ室内の液体が中間室を通過して吐出流路に送り出される。
一方、吸入流路からポンプ室に気体が流入した場合、この気体は、上方側の中間室に移動し、浮上したフロート弁体と弁座部との隙間を通過して気体滞留部に流入する。このとき、ポンプ室の気体は、ポンプ室の膨張および収縮によって、或いは、単に液体中で浮上していくことによって、中間室に移動する。
気体が気体滞留部に流入すると、気体滞留部の圧力が上昇してフロート弁体が下方に移動したり、ポンプ室の膨張によって、気体滞留部の気体も膨張してフロート弁体が下方側に移動したりする。これにより、フロート弁体が弁座部に着座してポンプ室と気体滞留部とが区画され、ポンプ室の膨張による容積変化が気体滞留部の気体によって吸収されなくなり、吸入側逆止弁が開動作して充分な量の液体がポンプ室内に流入する。従って、ポンプ室の収縮時に、中間室に液体が送り込まれやすくなり、吐出側逆止弁が開動作し、気体滞留部の気体が液体とともに吐出される。
以上のように、ポンプ室に気体が流入した場合であっても、この気体が、ポンプ室から中間室を介して吐出流路に移動することで、流路部から除去される。このとき、気体は吐出口から排出されることから、ガス抜きのために液体を吸入口側に回収する構成と比較して、吐出効率を向上させることができる。
この際、本発明のポンプ装置では、前記フロート弁体が着座時に前記弁座部に対して線状に接触することが好ましい。このような構成によれば、フロート弁体の弁座部に対する接触圧を向上させることができ、ポンプ室と中間室とを区画しやすくすることができる。このとき、例えば弁体の下面を曲面状に形成するとともに、弁座部の着座面を、弁体の下面よりも曲率半径が大きい曲面状に形成することにより、線状に接触させてもよいし、弁座部の着座面を逆円錐状(断面直線状)とすることにより、線状に接触させてもよい。
また、本発明のポンプ装置では、前記ポンプ室は、前記吸入側逆止弁から前記中間室まで上方側に向かって延びる鉛直部と、該鉛直部に対して水平方向に隣り合うとともに膨張および収縮するポンプ室本体と、前記ポンプ室本体から水平方向に沿って延びて前記鉛直部に接続される水平部と、該水平部よりも上方側において前記ポンプ室から斜め上方に延びて前記鉛直部に接続される傾斜部と、を有することが好ましい。このような構成によれば、ポンプ室に流入した気体は、ポンプ室本体の膨張時に水平部を通過してポンプ室本体に流入しやすく、ポンプ室本体の収縮時に傾斜部を通過して再び鉛直部に流れ込みやすい。これにより、ポンプ室から中間室に気体が移動しやすくなる。
また、本発明のポンプ装置では、前記駆動部は、コイルに通電することで磁力によって動作するソレノイド式の動作機構を有することが好ましい。このような構成によれば、駆動部の1往復(特にポンプ室が収縮する際の動作)に要する時間が短くなり、ポンプ室に滞留した気体に適宜な振動を加え、上方側の中間室に移動させやすくすることができる。従って、気体滞留部に気体を流入させてフロート弁体を下方側に移動させやすくし、ポンプ室から気体をさらに除去しやすくすることができる。
また、本発明のポンプ装置は、前記液体として発泡性を有するものを用いることが好ましい。このような構成によれば、発泡性を有する液体(例えば次亜塩素酸ナトリウムや過酸化水素等を含む水溶液)が分解して酸素等の気体が発生しても、ポンプ室から気体を除去することができる
以上のような本発明のポンプ装置によれば、中間室にフロート弁体が設けられ、気体滞留部に気体が流入してフロート弁体が下方側に移動するように構成されていることで、吐出効率を向上させるとともに流路部から気体を除去することができる。
本発明の第1実施形態に係るポンプ装置を示す断面図である。 前記ポンプ装置のポンプ室が膨張して気体が流入した様子を示す断面図である。 前記ポンプ装置において前記ポンプ室内の気体が上方側に移動する様子を示す断面図である。 前記ポンプ装置において気体滞留部に気体が滞留した様子を示す断面図である。 前記ポンプ装置においてフロート弁体が弁座部に着座した様子を示す断面図である。 前記ポンプ装置においてフロート弁体が弁座部に着座した状態でポンプ室本体が膨張した様子を示す断面図である。 前記ポンプ装置において前記ポンプ室が収縮することで気体が吐出される様子を示す断面図である。 本発明の第2実施形態に係るポンプ装置を示す断面図である。 本発明の変形例に係るポンプ装置の要部を拡大して示す断面図である。
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。尚、第2実施形態においては、第1実施形態で説明する構成部材と同じ構成部材及び同様な機能を有する構成部材には、第1実施形態と同じ符号を付すとともに説明を省略する。
[第1実施形態]
本実施形態のポンプ装置1は、図1に示すように、下方側の吸入口11から上方側の吐出口12まで液体が通過する流路部10と、水平方向に沿った往復動作によって流路部10の後述するポンプ室4の容積を変化させる駆動部20と、を備える。吸入口11には図示しないチューブの一端が接続されるとともに、チューブの他端が液体を貯蔵するタンク等に接続されている。吐出口12には図示しないチューブの一端が接続されるとともに、チューブの他端が液体供給先に設けられている。従って、ポンプ装置1は、吸入口11から液体を吸入して吐出口12から吐出することにより、タンクから液体供給先に液体を供給するように構成されている。ポンプ装置1による液体の吐出量は、例えば10〜30ml/minに設定されている。
ポンプ装置1が吸入及び吐出する液体は、例えば次亜塩素酸ナトリウム水溶液である。次亜塩素酸ナトリウムは、分解されて気体としての酸素を発生しやすく、温度が高い場合にこの分解反応が進みやすい。また、ポンプ装置1が次亜塩素酸ナトリウム水溶液を吸入及び吐出する場合、液体供給先は、水道施設やプール、浴場の浴槽等に水又は湯を供給するための流水路が例示される。
流路部10は、下方側から順に、吸入流路2と、2つの吸入側逆止弁3A、3Bと、ポンプ室4と、中間室5と、吐出側逆止弁6と、吐出流路7と、を有し、全体として上下方向に沿って延びている。
吸入流路2は、吸入口11から上方側に向かって筒状に延びている。吸入側逆止弁3A、3Bは、吸入流路2の上端に設けられるとともに、それぞれ、球状の弁体31及び弁座32を有している。2つの吸入側逆止弁3A、3Bは上下方向に並んで直列に接続されているが、1つの吸入側逆止弁のみが設けられる構成としてもよい。吸入側逆止弁3A、3Bにおいて、弁体31の密度は、液体の密度よりも高くなっており、弁体31に生じる重力と浮力との差を弁閉力として弁を閉じるように構成されている。また、弁体31は、液体の逆流を充分に抑制するとともに、後述するようなポンプ室4の膨張によって容易に開動作するような密度を有しているものとする。
ポンプ室4は、2つの吸入側逆止弁3A、3Bを介して吸入流路2に接続され、上方側の吸入側逆止弁3Bの上端から上方側に向かって延びる鉛直部41と、鉛直部41に対して水平方向に隣り合うポンプ室本体42と、ポンプ室本体42の下側部分から水平方向に沿って延びて鉛直部41に接続される水平部43と、ポンプ室本体42の上側部分から斜め上方に延びて鉛直部41に接続される傾斜部44と、を有して構成されている。
ポンプ室本体42は、水平方向の一方側の面を底面として他方側の面を天面とする円筒状(即ち、水平方向から見て略円形)に形成され、底面がダイヤフラム部45によって形成されるとともに、ダイヤフラム部45との対向面である天面421に水平部43および傾斜部44が接続されている。ダイヤフラム部45は、例えばゴム等の弾性部材によって膜状に形成されるとともに、その中央部に駆動部20が一体的に固定されることにより、駆動部20の往復動作に従動する。即ち、ダイヤフラム部45は、駆動部20が往復動作することにより、その中心部が天面421に近づいたり離れたりする。これにより、ポンプ室本体42が膨張または収縮し、ポンプ室4が加圧または減圧される。
中間室5は、ポンプ室4の鉛直部41の上端に接続されるとともに、上方側に向かって延びる空間を形成し、ポンプ室4の上方側に位置している。中間室5には、液体内で浮上しようとするフロート弁体51と、フロート弁体51の下方側に位置する弁座部52と、フロート弁体51の上方側への移動を規制するとともに液体が通過可能な規制部53と、が設けられている。
フロート弁体51は、例えば中空のボールによって構成され、液体よりも密度が低いことで浮上しようとするものであればよい。フロート弁体51は、全体が球状に形成されることで、その下面が曲面状に形成されている。
弁座部52は、その上面に曲面状の着座面521を有し、下方側に移動したフロート弁体51が着座するようになっている。着座面521は、フロート弁体51の下面よりも大きな曲率半径を有している。即ち、着座時において、フロート弁体51が着座面521の内周部分に線状(円状)に接触し、この接触部分よりも外側(上方側)においては互いに離隔するようになっている。
規制部53は、例えば水平面に沿った板状に形成されるとともにフロート弁体51の上方側に配置されている。弁座部52から所定の間隔をあけて離座したフロート弁体51が、規制部53の下面に当接することで、フロート弁体51がさらに上方側に移動することが規制される。また、規制部53には、上下方向に貫通したスリット等の貫通孔が形成されており、フロート弁体51が当接した状態においても液体および気体が通過することができるようになっている。
中間室5の上端には吐出側逆止弁6が設けられており、規制部53よりも上方側(即ち、フロート弁体51と吐出側逆止弁6との間)に気体滞留部54が形成されている。
吐出側逆止弁6は、吸入側逆止弁3A、3Bと同様に、弁体61及び弁座62を有する。吐出流路7は、吐出側逆止弁6からの上端から吐出口12まで上方側に向かって延びる。尚、吐出流路7には、吐出口に向かう流路とは分岐した分岐路が形成されるとともに分岐路に手動ガス抜き弁部が設けられていてもよい。即ち、手動ガス抜き弁部を開放することにより、流路部10を外気に開放して手動でガス抜き可能な構成としてもよい。
駆動部20は、一般的なソレノイド式の動作機構を有するものであって、ダイヤフラム部45に固定された駆動本体部と、鉄心又はマグネットと、ソレノイドコイルと、スプリングと、電力供給部と、を有する。例えば、駆動本体部がスプリングによって水平方向の一方側に付勢され、電力供給部によってソレノイドコイルに通電することでソレノイドコイルとマグネットとの間に磁力(反発力又は吸引力)が生じ、バネの付勢力に逆らって駆動本体部が他方側に移動するようになっている。電力供給部は、ソレノイドコイルに対してパルス的に電流を流すように構成され、その連続通電時間は例えば70〜80msecとされており、駆動本体部が動作方向に一往復するのに要する時間は、例えば約0.2secとされている。また、単位時間当たりの通電回数(往復回数)は、ポンプ装置1の吐出量に応じて可変に構成されている。
以上のようなポンプ装置1における各部の動作について説明する。ここで、吸入流路2内の圧力を吸入圧力Paとし、ポンプ室4内の圧力をポンプ圧力Pbとし、中間室5の気体滞留部54内の圧力を滞留部圧力Pcとし、吐出流路7内の圧力を吐出圧力Pdとする。尚、各逆止弁が開動作するか否かは、その両側の圧力の高低だけでなく、逆止弁の重量や浮力にも影響されるが、以下では説明の都合上、一方側の圧力が他方側の圧力よりも低く(または高く)なった場合に弁開するものとする。
まず、液体に気体が混入しない(または混入量が充分に少ない)場合について説明する。ポンプ室本体42が膨張することでポンプ圧力Pbが吸入圧力Paよりも低くなり、吸入側逆止弁3A、3Bが弁開する。これにより、吸入流路2を介して吸入口11からポンプ室4に液体が吸入される。このとき、ポンプ圧力Pbと滞留部圧力Pcとが略等しく、フロート弁体51はほとんど移動しない。その後、ポンプ室本体42が収縮することでポンプ圧力Pbおよび滞留部圧力Pcが吐出圧力Pdよりも高くなり、吐出側逆止弁6が弁開する。これにより、吐出流路7を介して吐出口12から液体が吐出される。
次に、液体に気体が混入した場合について説明する。上記のようにポンプ室本体42が膨張して吸入側逆止弁3A、3Bが弁開した際、図2に示すように、液体に混入した気体Gがポンプ室4に流入する。尚、図2(図3〜図7についても同様)では、流路部10は、気体Gを図示した部分以外は液体で満たされているものとする。ポンプ室4に流入した気体Gは水平部43を通過してポンプ室本体42に流入しやすくなっている。
ポンプ室4に気体Gが存在することで、ポンプ室本体42が収縮してもポンプ圧力Pbおよび滞留部圧力Pcが吐出圧力Pdよりも高くならず、吐出側逆止弁6が弁開しなくなる。図示の例のように吸入流路2にさらに気体Gが存在する場合には、気体Gが吸入側逆止弁3A、3Bを持ち上げようとし、ポンプ室本体42の膨張時に弁開する。尚、ガスロックによって吸入側逆止弁3A、3Bも弁開しなくなってもよい。
このような状態においてポンプ室本体42が膨張と収縮とを繰り返すことで、その振動および気体Gに生じる浮力により、図3に示すようにポンプ室4の気体Gが上方側に向かって移動して中間室5に流れ込む。このとき、ポンプ室本体42内の気体Gが傾斜部44を通過して中間室5に流れ込んでもよいし、鉛直部41内の気体Gがポンプ室本体42を経由せずに中間室5に流れ込んでもよい。また、フロート弁体51は弁座部52から離座しており、気体Gはこれらの間を通過して気体滞留部54に流入する。
図4に示すように気体滞留部54に気体Gが滞留すると滞留部圧力Pcが上昇し、規制部53の下方側にも気体Gが滞留する。その結果、フロート弁体51が下方に移動しようとする。規制部53の下方側の気体Gの量が充分に多くなると、図5に示すように、フロート弁体51が弁座部52に着座し、気体滞留部54とポンプ室4とが区画される。このような状態でポンプ室本体42が膨張すると、気体滞留部54内の気体Gの影響を受けず、ポンプ圧力Pbが充分に低くなり、図6に示すように、吸入側逆止弁3A、3Bが弁開して充分な量の液体(図示のように気体が混入していてもよい)がポンプ室4内に流れ込む。尚、フロート弁体51が弁座部52に着座していない場合であっても、ポンプ室本体42の膨張時に気体滞留部54内の気体Gが膨張することにより、フロート弁体51が着座してもよい。即ち、気体滞留部54内の気体Gが、ポンプ室本体42の膨張または収縮によって気体ばねとして機能してもよい。
その後、ポンプ室本体42が収縮すると、図7に示すように、ポンプ圧力Pbが滞留部圧力Pcよりも高くなってフロート弁体51が上昇して弁開し、さらに、滞留部圧力Pcが吐出圧力Pdよりも高くなって吐出側逆止弁6が弁開する。尚、気体滞留部54内に充分な量の気体Gが滞留することにより、気体Gによって吐出側逆止弁6が持ち上げられて弁開してもよい。これにより、気体滞留部54内の気体Gが吐出流路7に流れ込み、吐出口12から液体とともに吐出される。流路部10から気体Gが除去されるまで、上記のような動作が繰り返される。
尚、上記の説明では駆動部20の動作が充分に早く(周期が短く)、ガスロック状態におけるポンプ室本体42の膨張および収縮による振動で気体Gが中間室5に移動するものとしたが、例えばポンプ室4の経路(鉛直部41、水平部43及び傾斜部44)の内径が充分に大きく気体Gが通過しやすい場合には、気体Gは、ポンプ室本体42の振動に依らず単に液体中を浮上していくことで中間室5に移動することもある。このとき、駆動部20の動作周期が長く、ガスロックが生じる前に気体滞留部54に気体が流入してフロート弁体51が弁座部52に着座することで本発明の効果が奏される(即ち、ガスロックが生じなくても効果が奏され得る)。
このような本実施形態によれば、以下のような効果がある。即ち、ポンプ室4の上方側に位置する中間室5にフロート弁体51が設けられ、気体滞留部54に気体Gが流入することによりフロート弁体51が下方側に移動することで、ポンプ室4に流入した気体Gを流路部10から除去することができる。このとき、気体Gは吐出口12から排出されることから、ガス抜きのために液体を吸入口側に回収する構成と比較して、吐出効率を向上させることができる。
さらに、弁座部52の着座面521がフロート弁体51の下面よりも大きな曲率半径を有し、フロート弁体51の下面が着座面521に対して線状に接触することで、フロート弁体51の着座面521に対する接触圧を向上させることができる。従って、ポンプ室4と中間室5とを区画しやすくすることができる。
また、ポンプ室本体42に対して下から順に水平部43及び傾斜部44が接続されていることで、ポンプ室4に流入した気体Gは、ポンプ室本体42の膨張時に水平部43を通過してポンプ室本体42に流入しやすく、ポンプ室本体42の収縮時に傾斜部44を通過して再び鉛直部41に流れ込みやすい。これにより、ポンプ室4から中間室5に気体Gが移動しやすくなる。
また、駆動部20がソレノイド式の動作機構を有することで、駆動部20の1往復に要する時間が短くなり、ポンプ室4に滞留した気体Gに適宜な振動を加え、上方側の中間室5に移動させやすくなる。従って、気体滞留部54に気体Gを流入させてフロート弁体51を下方側に移動させやすくし、ポンプ室4から気体Gをさらに除去しやすくすることができる。
[第2実施形態]
第2実施形態に係るポンプ装置1Bについて図8に基づいて説明する。ポンプ装置1Bは、下方側の吸入口11から上方側の吐出口12まで液体が通過する流路部10Bと、往復動作によって流路部10Bの容積を変化させる駆動部20と、を備えて液体を吸入及び吐出するものであって、流路部10Bは、吸入口11から上方側に延びる吸入流路2と、吸入側逆止弁3A、3Bを介して吸入流路2に接続されるポンプ室4Bと、ポンプ室4Bに対して水平方向に並ぶように配置される中間室8と、吐出側逆止弁6を介して中間室8に接続されるとともに吐出口に向かって延びる吐出流路7Bと、を有する。
ポンプ室4Bは、ポンプ室本体42と、吸入側逆止弁3Bから斜め上方に延びてポンプ室本体42に接続される第1上昇路46と、ポンプ室本体42から斜め上方に延びる第2上昇路47と、を有する。
中間室8は、水平方向に沿って延びるとともに第2上昇路47の上端に接続されるシリンダ部81と、シリンダ部81の上面から上方側に延びて吐出側逆止弁6に接続される鉛直路82と、を有する。
シリンダ部81は、水平方向の一端に第2上昇路47が接続されており、他端が開口となっている。シリンダ部81には、水平方向に沿って延びる弁体83が収容されており、弁体83を駆動するための弁体駆動手段84によって水平方向の他端の開口が塞がれている。弁体駆動手段84は、弁体83を水平方向に沿って移動させるものであり、例えば駆動部20と同様の動作機構を有していればよい。本実施形態では、弁体駆動手段84が駆動部20と共通の電源から電力が供給されて動作し、これにより、駆動部20と弁体駆動手段84とが同期して駆動するものとする。
弁体83の先端にはOリング831が設けられており、Oリング831がシリンダ部81の水平方向における一端側の内壁811に接離するようになっている。即ち、弁体83は、水平方向に沿って移動し、Oリング831が内壁811に当接することで弁閉し、内壁811から離れることで弁開する。また、Oリング831は内壁811のうち第2上昇路47が接続された部分を囲むように設けられている。弁体83のうち弁体駆動手段84の軸受部841によって支持される部分には、摺接用のOリング832が設けられている。
吐出流路7Bには、手動ガス抜き部71が設けられるとともに、手動ガス抜き部71よりも吐出側に、逆止弁72が設けられている。
以下、ポンプ装置1Bの各部の動作について説明する。駆動部20と弁体駆動手段84とが同期して駆動することから、駆動部20が一方側に移動してポンプ室本体42が最膨張状態となった場合に弁体83が弁閉し、駆動部20が他方側に移動してポンプ室本体42が最収縮状態となった場合に弁体83が弁開する。これにより、ポンプ室本体42が収縮することで液体が中間室8に送り込まれ、吐出側逆止弁6が弁開することで中間室8内の気体が吐出流路7に送り込まれる。
ここで、液体中に気体が混入した場合について考える。ポンプ室4B内の気体は、ポンプ室本体42の収縮時に弁体83が弁開することにより、シリンダ部81に送り込まれる。シリンダ部81内の気体は、鉛直路82の上端まで移動して吐出側逆止弁6の弁体を持ち上げようとする。鉛直路82の上端に滞留した気体が吐出側逆止弁6の弁体を持ち上げて弁開した場合、この気体は吐出流路7Bを通過して吐出口12から除去される。
鉛直路82の上端に滞留した気体が少なく吐出側逆止弁6の弁体が持ち上げられない場合について説明する。ポンプ室本体42の膨張時に弁体83が弁閉することで、ポンプ室4Bと中間室8とが区画される。中間室8の気体によって容積変化が吸収されず、吸入側逆止弁3A、3Bが弁開する。これにより、ポンプ室本体42の収縮時に充分な量の液体が中間室8に送り込まれるようになり、吐出側逆止弁6が弁開し、気体が吐出口12から除去される。
このような本実施形態によれば、以下のような効果がある。即ち、中間室8に設けられた弁体83が、ポンプ室4Bを膨張又は収縮させる駆動部20と同期して弁開又は弁閉することで、ポンプ室4B内の気体を除去することができる。
以上、2つの実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は、これら実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。例えば、前記第1実施形態では、弁座部52の着座面521がフロート弁体51の下面よりも大きな曲率半径を有し、フロート弁体51が着座時に着座面521に線状に接触するものとしたが、フロート弁体が弁座部に対して線状に接触すれば、他の形状であっても同様の効果が奏される。
例えば、図9に示すように、弁座部52Bが逆円錐状(断面直線状)の着座面521Bを有することで、フロート弁体51が弁座部52Bに対して線状に接触してもよい。また、フロート弁体は球状のものに限定されず、棒状の弁体のうち下面のみが曲面状に形成されていてもよい。また、フロート弁体と弁座部とのうち一方に角部が形成され、この角部が他方に当接することで線状に接触する構成としてもよい。このように、線状の接触を実現するためにフロート弁体および弁座部を種々の形状とすることが可能であり、想定される気体の混入量やポンプ室の容積、駆動部の動作速度、各径路の断面積、吐出圧力等の各種条件に応じて適宜な形状が選択されればよい。
また、例えばフロート弁体の下面と着座面とが略等しい曲率半径を有することで面接触する構成としてもよい。このとき、フロート弁体の下面と着座面との接触面積を適宜に設定し、充分な接触圧が得られるようにすればよい。また、適宜な接触面積を確保することにより、フロート弁体と着座面との間に隙間を生じにくくすることができる。
また、前記第1実施形態では、ポンプ室4が鉛直部41と水平部43と傾斜部44とを有するものとしたが、ポンプ室はこのような形状のものに限定されない。ポンプ室は、例えば吸入側逆止弁3A、3Bからポンプ室本体まで斜め上方に延びる経路と、ポンプ室本体から吐出側逆止弁6まで斜め上方に延びる経路と、を有するものであってもよい。
また、前記第1実施形態では、ポンプ装置1が次亜塩素酸ナトリウム水溶液を対象として吸入及び吐出するものとしたが、ポンプ装置1は、分解等によって気体を生じ得る(即ち発泡性を有する)他の液体を対象としてもよいし、吸入側のタンクに気体が混入しやすい場合には、気体を生じない液体を対象としてもよい。
また、前記第2実施形態では、弁体駆動手段84が駆動部20と共通の電源から電力が供給され、駆動部20と弁体駆動手段84とが同期して駆動するものとしたが、弁体駆動手段84と駆動部20とがそれぞれ別電源から電力が供給されて駆動してもよい。このように別電源によって駆動させる場合、前記第2実施形態と同様に弁体83の動作とポンプ室4Bの容積変化とを同期させてもよいし、同期させなくてもよい。例えば、弁体83の動作の周期がポンプ室4Bの容積変化の周期の整数倍であってもよいし、ポンプ室4Bの容積変化の周期が弁体83の動作の周期の整数倍であってもよい。また、弁体83が弁開又は弁閉するタイミングと、ポンプ室4Bが最収縮又は最膨張するタイミングと、がずれていてもよい。例えば、ポンプ室4Bの収縮開始に先立って弁体83を弁開させれば、中間室8に液体を送り込みやすくすることができる。また、ポンプ室4Bの膨張開始に先立って弁体83を弁閉させれば、中間室8の気体の影響を受けにくくすることができる。
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部、もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
1 ポンプ装置
10 流路部
20 駆動部
2 吸入流路
3A、3B 吸入側逆止弁
4 ポンプ室
41 鉛直部
42 ポンプ室本体
43 水平部
44 傾斜部
5 中間室
51 フロート弁体
52 弁座部
521 着座面
53 規制部
54 気体滞留部
6 吐出側逆止弁
7 吐出流路

Claims (5)

  1. 下方側の吸入口から上方側の吐出口まで液体が通過する流路部と、往復動作によって前記流路部の容積を変化させる駆動部と、を備えて液体を吸入及び吐出するポンプ装置であって、
    前記流路部は、前記吸入口から上方側に延びる吸入流路と、吸入側逆止弁を介して前記吸入流路に接続されるポンプ室と、前記ポンプ室に対して上方側に位置して接続される中間室と、吐出側逆止弁を介して前記中間室に接続されるとともに前記吐出口に向かって延びる吐出流路と、を有し、
    前記中間室には、前記液体よりも密度が低くなるように構成されて前記液体内で浮上しようとするフロート弁体と、該フロート弁体の下方側に位置する弁座部と、前記フロート弁体の上方側への移動を規制しつつ前記液体及び気体が通過可能な規制部と、が設けられるとともに、前記規制部と前記吐出側逆止弁との間に気体滞留部が形成され、
    前記フロート弁体は、前記液体内で浮上して前記規制部に当接する上方位置と、前記弁座部に着座して前記中間室と前記ポンプ室とを区画する下方位置と、に移動自在に設けられ、
    前記フロート弁体は、前記気体滞留部及び前記規制部の下方側に気体が流入することにより、前記上方位置から下方側に移動するように構成され、
    前記フロート弁体が前記上方位置から下方に移動した状態で、前記気体滞留部の圧力が前記吐出流路の圧力を超えることで、前記気体滞留部に流入した前記気体が前記吐出口から排出されることを特徴とするポンプ装置。
  2. 前記フロート弁体が着座時に前記弁座部に対して線状に接触することを特徴とする請求項1に記載のポンプ装置。
  3. 前記ポンプ室は、前記吸入側逆止弁から前記中間室まで上方側に向かって延びる鉛直部と、該鉛直部に対して水平方向に隣り合うとともに膨張および収縮するポンプ室本体と、前記ポンプ室本体から水平方向に沿って延びて前記鉛直部に接続される水平部と、該水平部よりも上方側において前記ポンプ室から斜め上方に延びて前記鉛直部に接続される傾斜部と、を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のポンプ装置。
  4. 前記駆動部は、コイルに通電することで磁力によって動作するソレノイド式の動作機構を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポンプ装置。
  5. 前記液体は、発泡性を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポンプ装置。
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