JP6698449B2 - 殺虫成分を含有するマルチフィラメント及び繊維製品 - Google Patents
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Description
[1].ポリエステル製のマルチフィラメントの表面に、5−クロロ−4−エチル−6−[2−(4−トリフルオロメチルフェニル)エチルアミノ]ピリミジンを保持させたマルチフィラメント。
[2].ポリエステル製のマルチフィラメントを用いて作成された繊維製品の表面に、5−クロロ−4−エチル−6−[2−(4−トリフルオロメチルフェニル)エチルアミノ]ピリミジンを保持させた繊維製品。
[3].[2]記載の繊維製品を用いて作成された蚊帳。
[4].[1]記載のマルチフィラメント、または[2]記載の繊維製品を、有害生物に接触させる工程を有する、有害生物の防除方法。
マルチフィラメントの製造方法としては、次のような方法があげられる。まず、紡糸ノズルから吐出された多数の溶融フィラメントを、冷却ゾーンを通過させて冷却する。ここでの冷却は単糸フィラメントが互いに融着しない程度でよく、冷却後、オイリングローラーにより油剤が付与される。未延伸糸を巻き取った後、または続けて延伸工程において撚り(ドラフト)をかけて引取り製造される。
フィラメントの太さは1〜25デニールが好ましく、マルチフィラメントとした時に50〜300デニールの太さであることが好ましいが、用途によって適宜選択できる。
また、マルチフィラメントから成る繊維製品は、上記記載で得られる製造法等により得たマルチフィラメントをボビンに巻き付け、公知の方法で編んだり、織ったり、熱融着したりすることにより、ネット状の繊維製品が製造される。得られたネット状の繊維製品の目の大きさ(フィラメントとフィラメントの間のすきまの大きさ、ホールサイズ)は有害生物の防除、特に蚊の防除の観点から1〜5mmのものが好ましい。
で示される。本化合物は、化合物(2)と化合物(3)とを反応させることにより製造することができる。
〔式中、Xは脱離基(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子のハロゲン原子、メタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基等のアルキルスルホニルオキシ基、及びベンゼンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基等のアリールスルホニルオキシ基等)を表す。〕
反応は、通常溶媒中で行われる。
反応に用いられる溶媒としては、例えば水;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、1,4−ジオキサン等のエーテル;N,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFと記す。)等の酸アミド;アセトニトリル等のニトリル;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素;酢酸エチル等のエステル;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド;スルホラン;1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素及びそれらの混合物が挙げられる。
化合物(3)は化合物(3)そのものを用いても、化合物(3)と酸との塩を用いてもよい。酸としては塩酸、硫酸、リン酸等が挙げられる。
化合物(3)の使用量は、化合物(2)1モルに対して、通常0.5〜5モルである。
反応は通常塩基の存在下で行われる。
反応に用いられる塩基としては、例えば水素化ナトリウム等のアルカリ金属水素化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等の炭酸塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;カリウムtert−ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシド及びトリエチルアミン、ピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン等の有機アミンが挙げられる。塩基の使用量は、化合物(2)1モルに対して、通常1〜5モルである。
反応は、相間移動触媒の存在下行われることもある。相間移動触媒としては、例えば臭化テトラブチルアンモニウム、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム等の第四級アンモニウム塩が挙げられる。相間移動触媒の使用量は、化合物(2)1モルに対して、通常0.01〜0.5モルである。
反応温度は、通常0〜150℃の範囲であり、反応時間は通常0.1〜24時間の範囲である。
反応終了後は、反応混合物を有機溶媒抽出し、乾燥、濃縮する等の後処理操作を行うことにより、本発明化合物を単離することができる。単離された本化合物はクロマトグラフィー、再結晶等によりさらに精製することもできる。
バインダーが水溶性の場合には、水に溶解して水溶液として添加してもよいし、粉末として添加してもよいし、加熱によって融解した溶融物として使用してもよいし、水中にこれらの微粒子が分散したエマルジョンとして使用してもよい。
バインダーが水に不溶性の場合には、水に分散したエマルジョンして添加するか、加熱によって融解した溶融物として使用するか、水中にこれらの微粒子が分散したエマルジョンとして使用することが好ましい。
バインダーは二種類以上を任意の割合に混合して使用してもよい。また、バインダーの添加量はバインダーの種類によっても変化し得るが、通常、ポリエステル製のマルチフィラメントまたは繊維製品の全重量に対して0.1〜40重量%、好ましくは1〜30重量%の割合である。
2−(4−トリフルオロメチルフェニル)エチルアミン2.00g(10.57mmol)とDMF20mlとの混合物に炭酸カリウム2.92g(21.13mmol)及び4,5−ジクロロ−6−エチルピリミジン2.06g(11.63mmol)を加え、90℃で5時間撹拌し、室温に冷却後、水60mlを加え、酢酸エチルで3回抽出した。有機層を水及び飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、5−クロロ−4−エチル−6−[2−(4−トリフルオロメチルフェニル)エチルアミノ]ピリミジン(本化合物)3.00gを得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.27 (3H, t, J = 7.5 Hz), 2.79 (2H, q, J = 7.5 Hz), 3.00 (2H, t, J = 7.0 Hz), 3.79 (2H, q, J = 7.0 Hz), 5.42 (1H, bs), 7.35 (2H, d, J = 7.9 Hz), 7.58 (2H, d, J = 7.9 Hz), 8.45 (1H, s).
(1)繊維製品Aの製造方法
ソルポール1200 0.053ml、ジメチルスルホキシド 0.526mlおよびキシレン 0.421mlを混合し、混合溶剤(A)を得た。またシクロヘキサン 0.9mlおよびジメチルスルホキシド 0.1mlを混合し、混合溶剤(B)を得た。スクリュー管に本化合物 7.8125mgを秤量し、混合溶剤(A) 1ml、混合溶剤(B) 1ml、およびイオン交換水 18mlを添加して十分に混合し、含浸溶媒Aを得た。マルチフィラメント太さ0.2mmおよびホールサイズ2mmのポリエステル製編み生地を縦25cmおよび横25cmで切り出し、ステンレスバットの中に広げ、含浸溶媒Aをポリエステル製編み生地に注いだ。ピンセットを用いて含浸溶媒Aをポリエステル製編み生地になじませ、繊維製品Aを作成した。その後繊維製品Aを一晩遮光条件で室温にて乾燥させた。
(1)繊維製品Bの製造方法
スクリュー管に本化合物 15.625mgを秤量し、製造例2で調製した混合溶剤(A) 1ml、混合溶剤(B) 1ml、およびイオン交換水 18mlを添加してよく混ぜ、含浸溶媒Bを得た。マルチフィラメント太さ0.2mmおよびホールサイズ2mmのポリエステル製編み生地を縦25cmおよび横25cmで切り出し、ステンレスバットの中に広げ、含浸溶媒Bをポリエステル製編み生地に注いだ。ピンセットを用いて含浸溶媒Bをポリエステル製編み生地になじませ、繊維製品Bを作成した。その後繊維製品Bを一晩遮光条件で室温にて乾燥させた。
(1)繊維製品Cの製造方法
スクリュー管にデルタメトリン 15.625mgを秤量し、製造例2で調製した混合溶剤(A) 1ml、混合溶剤(B) 1ml、およびイオン交換水 18mlを添加してよく混ぜ、含浸溶媒Cとした。マルチフィラメント太さ0.2mmおよびホールサイズ2mmのポリエステル製編み生地を縦25cmおよび横25cmで切り出し、ステンレスバットの中に広げ、含浸溶媒Cをポリエステル製編み生地に注いだ。ピンセットを用いて含浸溶媒Cをポリエステル製編み生地になじませ、繊維製品Cを作成した。その後繊維製品Cを一晩遮光条件で室温にて乾燥させた。
(1)繊維製品Dの製造方法
製造例2で調製した混合溶剤(A) 1ml、混合溶剤(B) 1ml、およびイオン交換水 18mlを添加してよく混ぜ、含浸溶媒Dとした。マルチフィラメント太さ0.2mmおよびホールサイズ2mmのポリエステル製編み生地を縦25cmおよび横25cmで切り出し、ステンレスバットの中に広げ、含浸溶媒Dをポリエステル製編み生地に注いだ。ピンセットを用いて含浸溶媒Dをポリエステル製編み生地になじませ、繊維製品Dを作成した。その後繊維製品Dを一晩遮光条件で室温にて乾燥させた。
(1)繊維製品Eの製造方法
200ml容メスフラスコに本化合物 2.291gを秤量し、エタノールを添加して溶解させ200mlとしたものを薬液(C)とした。100ml容メスフラスコにアクリル酸エステル共重合44%エマルジョン 18.940gを秤量し、エタノールを添加して分散させ100mlとしたものをバインダー液Eとした。100ml容メスフラスコに薬液(C)を10mlおよびバインダー液Eを25mlそれぞれ採取し、エタノールを添加して100mlとしたものを含浸溶媒Eとした。マルチフィラメント太さ0.2mmおよびホールサイズ2mmのポリエステル製編み生地を縦25cmおよび横25cmで切り出し、ステンレスバットの中に広げ、含浸溶媒Eをポリエステル製編み生地に注いだ。ピンセットを用いて含浸溶媒Eをポリエステル製編み生地になじませ、繊維製品Eを作成した。その後繊維製品Eを一晩遮光条件で室温にて乾燥させた。
(1)繊維製品Fの製造方法
100ml容メスフラスコにポリカーボネート系ウレタン40%エマルジョン 20.730gを秤量し、エタノールを添加して分散させ100mlとしたものをバインダー液Fとした。100ml容メスフラスコに製造例6で調製した薬液(C)を10mlおよびバインダー液Fを25mlそれぞれ採取し、エタノールを添加して100mlとしたものを含浸溶媒Fとした。マルチフィラメント太さ0.2mmおよびホールサイズ2mmのポリエステル製編み生地を縦25cmおよび横25cmで切り出し、ステンレスバットの中に広げ、含浸溶媒Fをポリエステル製編み生地に注いだ。ピンセットを用いて含浸溶媒Fをポリエステル製編み生地になじませ、繊維製品Fを作成した。その後繊維製品Fを一晩遮光条件で室温にて乾燥させた。
(1)繊維製品Gの製造方法
100ml容メスフラスコにアクリル酸エステル共重合44%エマルジョン 18.940gを秤量し、エタノールを添加して分散させ100mlとしたものをバインダー液Gとした。100ml容メスフラスコに製造例6で調製した薬液(C)を14.5mlおよびバインダー液Gを25mlそれぞれ採取し、エタノールを添加して100mlとしたものを含浸溶媒Gとした。マルチフィラメント太さ0.2mmおよびホールサイズ2mmのポリエステル製編み生地を縦25cmおよび横25cmで切り出し、ステンレスバットの中に広げ、含浸溶媒Gをポリエステル製編み生地に注いだ。ピンセットを用いて含浸溶媒Gをポリエステル製編み生地になじませ、繊維製品Gを作成した。その後繊維製品Gを一晩遮光条件で室温にて乾燥させた。
(1)繊維製品Hの製造方法
100ml容メスフラスコにポリカーボネート系ウレタン40%エマルジョン 20.730gを秤量し、エタノールを添加して分散させ100mlとしたものをバインダー液Hとした。100ml容メスフラスコに製造例6で調製した薬液(C)を14.5mlおよびバインダー液Hを25mlそれぞれ採取し、エタノールを添加して100mlとしたものを含浸溶媒Hとした。マルチフィラメント太さ0.2mmおよびホールサイズ2mmのポリエステル製編み生地を縦25cmおよび横25cmで切り出し、ステンレスバットの中に広げ、含浸溶媒Hをポリエステル製編み生地に注いだ。ピンセットを用いて含浸溶媒Hをポリエステル製編み生地になじませ、繊維製品Hを作成した。その後繊維製品Hを一晩遮光条件で室温にて乾燥させた。
(1)繊維製品Iの製造方法
100ml容メスフラスコにポリカーボネート系ウレタン40%エマルジョン 20.730gを秤量し、エタノールを添加して分散させ100mlとしたものをバインダー液Iとした。100ml容メスフラスコに製造例6で調製した薬液(C)を45.5mlおよびバインダー液Iを25mlそれぞれ採取し、エタノールを添加して100mlとしたものを含浸溶媒Iとした。マルチフィラメント太さ0.2mmおよびホールサイズ2mmのポリエステル製編み生地を縦25cmおよび横25cmで切り出し、ステンレスバットの中に広げ、含浸溶媒Iをポリエステル製編み生地に注いだ。ピンセットを用いて含浸溶媒Iをポリエステル製編み生地になじませ、繊維製品Iを作成した。その後繊維製品Iを一晩遮光条件で室温にて乾燥させた。
(1)繊維製品Jの製造方法
200ml容メスフラスコにデルタメトリン 2.291gを秤量し、エタノールを添加して溶解させ200mlとしたものを薬液(D)とした。100ml容メスフラスコにアクリル酸エステル共重合44%エマルジョン 18.940gを秤量し、エタノールを添加して分散させ100mlとしたものをバインダー液Jとした。100ml容メスフラスコに薬液(D)を14.5mlおよびバインダー液Jを25mlそれぞれ採取し、エタノールを添加して100mlとしたものを含浸溶媒Jとした。マルチフィラメント太さ0.2mmおよびホールサイズ2mmのポリエステル製編み生地を縦25cmおよび横25cmで切り出し、ステンレスバットの中に広げ、含浸溶媒Jをポリエステル製編み生地に注いだ。ピンセットを用いて含浸溶媒Jをポリエステル製編み生地になじませ、繊維製品Jを作成した。その後繊維製品Jを一晩遮光条件で室温にて乾燥させた。
(1)繊維製品Kの製造方法
100ml容メスフラスコにアクリル酸エステル共重合44%エマルジョン 18.940gを秤量し、エタノールを添加して分散させ100mlとしたものをバインダー液Kとした。100ml容メスフラスコにバインダー液Kを25ml採取し、エタノールを添加して100mlとしたものを含浸溶媒Kとした。マルチフィラメント太さ0.2mmおよびホールサイズ2mmのポリエステル製編み生地を縦25cmおよび横25cmで切り出し、ステンレスバットの中に広げ、含浸溶媒Kをポリエステル製編み生地に注いだ。ピンセットを用いて含浸溶媒Kをポリエステル製編み生地になじませ、繊維製品Kを作成した。その後繊維製品Kを一晩遮光条件で室温にて乾燥させた。
本化合物の基礎的な殺虫活性を局所施用法で調べた。種々の濃度に調製した本化合物のアセトン溶液を、炭酸ガスで麻酔した未吸血のハマダラカ雌成虫(Anopheles gambiae Kisumu系統)の胸背部にマイクロシリンジを用いて0.3μl滴下処理した。処理後、ハマダラカ雌成虫をプラスチックカップ(直径9cm、高さ約4.5cm)に移し入れ、5%砂糖水を与えて24時間後の死虫率を求めた。供試したハマダラカ雌成虫は、1濃度につき10頭2反復とした。試験結果より本化合物の半数致死量(LD50値)をプロビット法で算出した。比較対象として、デルタメトリンを用いて本化合物と同様の実験を行った。ここで、半数致死量が低い化合物ほど基礎殺虫活性が高いことを意味する。本化合物のデルタメトリンに対する相対効力を求めるため、デルタメトリンのLD50値に対するLD50値の比を算出した。結果を表1に示した。
製造例2〜5で得た繊維製品A〜Dのハマダラカ雌成虫(Anopheles gambiae Kisumu系統)に対する致死効果を下記の参考文献に記載の標準WHOトンネル法に従って調査した。トンネル試験のための装置は下記の参考文献の記載に従って作成した。すなわち、本装置はガラス製のトンネル部分(高さ25cm, 幅25cm, 長さ60cm)と、その両端に接続したケージ部分(25cm角)から構成されている。各繊維製品を金属フレームに固定し、20×20cmを露出させて、これをガラストンネルの一端から3分1(一端から20cm)の位置に設置し、トンネルに2つのセクションを設けた。各繊維製品には蚊が通過できるように直径1cmの穴を5cm間隔で9箇所開口した。蚊がこの穴を通過してセクション間を移動する際は必ず繊維製品に接触する。誘引源をトンネルの短いセクションに置き、18:00に供試サンプルを挟んで誘引源とは反対側のセクションに羽化後3−5日令のハマダラカ雌成虫(Anopheles gambiae Kisumu系統)を110頭放虫した。
翌朝9:00トンネル試験終了時にハマダラカ雌成虫をプラスチックカップ(直径9cm、高さ約4.5cm)に移し入れ、5%砂糖水を与えて24時間後の死虫率を求めた。試験サンプルにおける死虫率は、対照サンプルの死虫率で補正した24時間後の補正死虫率を式(a)により算出した。ここで、24時間後の補正死虫率が高いサンプルほど、誘引源が存在する条件で接触殺虫活性が高いことを意味する。なお、ここで対照サンプルは繊維製品Dである。結果を表2に示した。
(参考文献)
WHOPES(2005), Guidelines for laboratory and field testing of long-lasting insecticidal mosquito nets, WHO/CDS/WHOPES/GCDPP/2005.11 Geneva, WHO.
本化合物とデルタメトリンの基礎的な殺虫活性を試験例1と同様の方法で調べた。ただし、供試したハマダラカ雌成虫はピレスロイド抵抗性ハマダラカ(Anopheles gambiae VK7系統)とし、1濃度につき10頭2反復とした。本化合物のデルタメトリンに対する相対効力を求めるため、デルタメトリンのLD50値に対するLD50値の比を算出した。結果を表3に示した。
製造例2〜5で得た繊維製品A〜Dのピレスロイド抵抗性ハマダラカ(Anopheles gambiae VK7系統)に対する致死効果を、ハマダラカ雌成虫(Anopheles gambiae Kisumu系統)のかわりにピレスロイド抵抗性ハマダラカ(Anopheles gambiae VK7系統)を用いたこと以外は試験例2と同様の方法で調査した。なお、ここで対照サンプルは繊維製品Dである。結果を表4に示す。
製造例6〜12で得た繊維製品E〜Kのピレスロイド抵抗性ハマダラカ(Anopheles gambiae VK7系統)に対する吸血阻害効果を、下記の参考文献に記載の標準WHOトンネル法に従って確認した。標準WHOトンネル法に用いる装置は、下記の参考文献の記載に従って作成した。すなわち、本装置はガラス製のトンネル部分(高さ25cm, 幅25cm, 長さ60cm)と、その両端に接続したケージ部分(25cm角)から構成されている。各成形品を金属フレームに固定し、20×20cmを露出させて、これをガラストンネルの一端から3分の1(一端から20cm)の位置に設置し、トンネルに2つのセクションを設けた。各樹脂ネットには蚊が通過できるように直径1cmの穴を5cm間隔で9箇所開口した。蚊がこの穴を通過してセクション間を移動する際は必ず樹脂ネットに接触する。誘引源をトンネルの短いセクションに置き、18:00に供試サンプルを挟んで誘引源とは反対側のセクションに羽化後3−5日令のピレスロイド抵抗性ハマダラカ雌成虫(Anopheles gambiae VK7系統)を110頭放虫した。
翌朝9:00の試験終了時にハマダラカ雌成虫をプラスチックカップ(直径9cm、高さ約4.5cm)に移し入れ、吸血率を求めた。試験サンプルにおける吸血阻害率は対照サンプルの吸血率で補正した式(b)により算出した。ここで、吸血阻害率が高いサンプルほど、誘引源が存在する条件で吸血阻害活性が高いことを意味する。なお、ここで対照サンプルは繊維製品Kである。結果を表5に示した。
(参考文献)
WHOPES(2005), Guidelines for laboratory and field testing of long-lasting insecticidal mosquito nets, WHO/CDS/WHOPES/GCDPP/2005.11 Geneva, WHO.
Claims (4)
- ポリエステル製のマルチフィラメントの表面に、5−クロロ−4−エチル−6−[2−(4−トリフルオロメチルフェニル)エチルアミノ]ピリミジンを保持させたマルチフィラメント。
- ポリエステル製のマルチフィラメントを用いて作成された繊維製品の表面に、5−クロロ−4−エチル−6−[2−(4−トリフルオロメチルフェニル)エチルアミノ]ピリミジンを保持させた繊維製品。
- 請求項2記載の繊維製品を用いて作成された蚊帳。
- 請求項1記載のマルチフィラメント、または請求項2記載の繊維製品を、有害生物に接触させる工程を有する、有害生物の防除方法。
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