JP6697935B2 - 車両用空調装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両に用いられる空調装置に関する。
従来、特許文献1には、車両のエンジンに吸入される空気の吸入空気温度を検出する吸気温センサと、車両の被加熱部に設けられたヒータと、吸入空気温度に基づいてヒータの温度を制御するヒータ制御部とを備える車両用ヒータ制御装置が記載されている。
具体的には、吸入空気温度が低いほど外気温が低いと判断してヒータ温度を高くする。すなわち、この従来技術では、外気温を検出する外気温センサの代わりに吸気温センサを用いてヒータの温度を制御している。
特開2012−218643号公報
上記従来技術では、外気温を用いることなくヒータの温度を制御できるので、外気温センサが不要であり、構成を簡素化できる。特に、外気温センサの故障を検出する装置が不要になるので構成を大幅に簡素化できる。
しかしながら、エンジンルームを有する車両に上記従来技術を適用した場合、吸気温センサはエンジンルーム内に配置されることとなるので、吸気温センサの検出温度はエンジン熱の影響を受けて外気温よりも高くなってしまう。すなわち、吸気温センサの検出温度は外気温から大きく乖離してしまうという問題がある。
本発明は上記点に鑑みて、吸入空気の温度を用いて暖房装置を制御する車両用空調装置において、エンジン熱の影響を極力排除することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の車両用空調装置では、
乗員に温感を与える暖房装置(36、37、90)と、
車両のエンジン(EG)に吸入される吸入空気の温度(Ti)を検出する吸気温度検出部(70a)と、
外気の温度(Tam)を推定し、推定した外気の温度に基づいて暖房装置の作動を制御する制御部(50)と、
日射量(Ts)を検出する日射量検出部(53)とを備え、
制御部は、車両システムを起動したときに、吸入空気に対するエンジンの熱の影響が少ないと判断される外気温推定条件を満たしている場合、車両システムを起動したときの吸入空気の温度に基づいて外気の温度を推定し、日射量に基づいて外気の温度(Tam)の推定値を減少させる補正を行い、日射量が閾値以下である場合、日射量が多いほど推定値の減少補正量(N)を第1補正量から第2補正量の範囲で増加させ、日射量が閾値以上である場合、補正量(N)を第2補正量にする
これによると、外気の温度に近いと判断される吸入空気の温度に基づいて外気の温度を推定するので、エンジン熱の影響を極力排除して暖房装置を制御できる。
なお、「車両システム」とは、車両用空調装置のみならず、車両走行用の駆動力を出力する駆動装置(すなわち、エンジンや走行用電動モータ)等を含む車両に搭載された制御対象システム全体のことを意味している。
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
一実施形態の車両用空調装置の全体構成図である。 一実施形態の車両用空調装置の電気制御部を示すブロック図である。 一実施形態の車両用空調装置の制御処理を示すフローチャートである。 一実施形態の車両用空調装置の制御処理の要部を示すフローチャートである。 一実施形態の車両用空調装置の制御処理の別の要部を示すフローチャートである。 一実施形態の車両用空調装置の制御処理の別の要部を示すフローチャートである。 一実施形態の車両用空調装置の制御処理の別の要部を示すフローチャートである。 一実施形態の車両用空調装置の制御処理の別の要部を示すフローチャートである。 一実施形態の車両用空調装置の制御処理の別の要部を示すフローチャートである。 一実施形態の車両用空調装置の制御処理の別の要部を示すフローチャートである。 一実施形態の車両用空調装置の制御処理の別の要部を示すフローチャートである。 一実施形態の車両用空調装置の制御処理の別の要部を示すフローチャートである。
以下、実施形態について図に基づいて説明する。図1は、本実施形態の車両用空調装置1の全体構成図であり、図2は、車両用空調装置1の電気制御部の構成を示すブロック図である。本実施形態では、車両用空調装置1は、内燃機関EG(換言すればエンジン)および走行用電動モータから車両走行用の駆動力を得るハイブリッド車両に適用されている。
本実施形態のハイブリッド車両は、車両停車時に外部電源(換言すれば商用電源)から供給された電力を、車両に搭載されたバッテリ81に充電可能なプラグインハイブリッド車両として構成されている。
このプラグインハイブリッド車両は、車両走行開始前の車両停車時に外部電源から供給された電力をバッテリ81に充電しておくことによって、走行開始時のようにバッテリ81の蓄電残量SOCが予め定めた走行用基準残量以上になっているときには、主に走行用電動モータの駆動力によって走行する運転モードとなる。以下、この運転モードをEV運転モードという。
一方、車両走行中にバッテリ81の蓄電残量SOCが走行用基準残量よりも低くなっているときには、主にエンジンEGの駆動力によって走行する運転モードとなる。以下、この運転モードをHV運転モードという。
より詳細には、EV運転モードは、主に走行用電動モータが出力する駆動力によって車両を走行させる運転モードであるが、車両走行負荷が高負荷となった際にはエンジンEGを作動させて走行用電動モータを補助する。つまり、EV運転モードは、走行用電動モータから出力される走行用の駆動力がエンジンEGから出力される走行用の駆動力よりも大きくなる運転モードである。
一方、HV運転モードは、主にエンジンEGが出力する駆動力によって車両を走行させる運転モードであるが、車両走行負荷が高負荷となった際には走行用電動モータを作動させてエンジンEGを補助する。つまり、HV運転モードは、内燃機関側駆動力がモータ側駆動力よりも大きくなる運転モードである。
本実施形態のプラグインハイブリッド車両では、このようにEV運転モードとHV運転モードとを切り替えることによって、車両走行用の駆動力をエンジンEGのみから得る通常の車両に対してエンジンEGの燃料消費量を抑制して、車両燃費を向上させている。また、このようなEV運転モードとHV運転モードとの切り替え、および、駆動力比の制御は、駆動力制御装置70によって制御される。
さらに、エンジンEGから出力される駆動力は、車両走行用として用いられるのみならず、発電機80を作動させるためにも用いられる。そして、発電機80にて発電された電力および外部電源から供給された電力は、バッテリ81に蓄えることができ、バッテリ81に蓄えられた電力は、走行用電動モータのみならず、車両用空調装置1を構成する電動式構成機器をはじめとする各種車載機器に供給できる。
次に、本実施形態の車両用空調装置1の詳細構成を説明する。この車両用空調装置1は、バッテリ81から供給される電力による車室内の空調に加えて、車両走行前の車両停車時に外部電源から供給される電力によって車室内の空調(例えば、プレ空調)を実行可能に構成されている。
本実施形態の車両用空調装置1は、図1に示す冷凍サイクル10、室内空調ユニット30、図2に示す空調制御装置50等を備えている。
まず、室内空調ユニット30は、車室内最前部の計器盤(換言すればインストルメントパネル)の内側に配置されて、その外殻を形成するケーシング31内に送風機32、蒸発器15、ヒータコア36、PTCヒータ37等を収容したものである。
ケーシング31は、車室内に送風される送風空気の空気通路を形成しており、ある程度の弾性を有し、強度的にも優れた樹脂(例えば、ポリプロピレン)にて成形されている。ケーシング31内には、空気が流れる空気通路が形成されている。
ケーシング31内の送風空気流れ最上流側には、内気(換言すれば車室内空気)と外気(換言すれば車室外空気)とを切替導入する内外気切替部としての内外気切替箱20が配置されている。
より具体的には、内外気切替箱20には、内気導入口21および外気導入口22が形成されている。内気導入口21は、ケーシング31内に内気を導入させる。外気導入口22は、ケーシング31内に外気を導入させる。
さらに、内外気切替箱20の内部には、ケーシング31内へ導入させる内気の風量と外気の風量との風量割合を変化させる内外気切替ドア23が配置されている。内外気切替ドア23は、吸込口モードを切り替える吸込口モード切替部であり、内気導入口21および外気導入口22の開口面積を連続的に調整する。
従って、内外気切替ドア23は、ケーシング31内に導入される内気の風量と外気の風量との風量割合を変更する風量割合変更部(換言すれば内外気切替部)を構成する。換言すれば、内外気切替ドア23は、空気通路に導入される内気および外気に対する外気の比率(以下、外気率と言う。)を調整する外気率調整部である。
より具体的には、内外気切替ドア23は、電動アクチュエータ62によって駆動される。この電動アクチュエータ62は、空調制御装置50から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
また、吸込口モードとしては、全内気モード、全外気モードおよび内外気混入モードがある。
内気モードでは、内気導入口21を全開とするとともに外気導入口22を全閉としてケーシング31内の空気通路へ内気を導入する。外気モードでは、内気導入口21を全閉とするとともに外気導入口22を全開としてケーシング31内の空気通路へ外気を導入する。
内外気混入モードでは、内気モードと外気モードとの間で、内気導入口21および外気導入口22の開口面積を連続的に調整することにより、ケーシング31内の空気通路への内気と外気の導入比率を連続的に変化させる。
内外気切替箱20の空気流れ下流側には、内外気切替箱20を介して吸入した空気を車室内へ向けて送風する送風機32(換言すればブロア)が配置されている。送風機32は、ケーシング31内の空気通路を流れる空気の風量を調整する風量調整部である。
送風機32は、ファンを電動モータにて駆動する電動送風機であって、空調制御装置50から出力される制御電圧によって回転数(換言すれば送風能力)が制御される。従って、この電動モータは、送風機32の送風能力変更部を構成している。
送風機32のファンは、遠心多翼ファン(例えばシロッコファン)である。ファンは、空気通路に配置されており、内気導入口21からの内気、および外気導入口22からの外気を空気通路に送風する。
送風機32の空気流れ下流側には、蒸発器15が配置されている。蒸発器15は、空気通路の全域に亘って配置されている。蒸発器15は、その内部を流通する冷媒と送風機32から送風された送風空気とを熱交換させて、送風空気を冷却する冷却部として機能する。具体的には、蒸発器15は、圧縮機11、凝縮器12、気液分離器13および膨張弁14等とともに、蒸気圧縮式の冷凍サイクル10を構成している。
ここで、本実施形態に係る冷凍サイクル10の主要な構成について説明すると、圧縮機11は、エンジンルーム内に配置され、冷凍サイクル10において冷媒を吸入し、圧縮して吐出するものであり、吐出容量が固定された固定容量型圧縮機構11aを電動モータ11bにて駆動する電動圧縮機として構成されている。電動モータ11bは、インバータ61から出力される交流電圧によって、その回転数が制御される交流モータである。
また、インバータ61は、空調制御装置50から出力される制御信号に応じた周波数の交流電圧を出力する。そして、この回転数制御によって、圧縮機11の冷媒吐出能力が変更される。従って、電動モータ11bは、圧縮機11の吐出能力変更部を構成している。
凝縮器12は、エンジンルーム内に配置されて、内部を流通する冷媒と、室外送風機としての送風ファン12aから送風された外気とを熱交換させることにより、圧縮機11から吐出された冷媒を放熱させて凝縮させる室外熱交換器(換言すれば放熱器)である。送風ファン12aは、空調制御装置50から出力される制御電圧によって稼働率、すなわち、回転数(換言すれば送風空気量)が制御される電動式送風機である。
気液分離器13は、凝縮器12にて凝縮された冷媒を気液分離して余剰冷媒を蓄えるとともに、液相冷媒のみを下流側に流すレシーバである。膨張弁14は、気液分離器13から流出した液相冷媒を減圧膨張させる減圧部である。蒸発器15は、膨張弁14にて減圧膨張された低圧冷媒を蒸発させて、冷媒に吸熱作用を発揮させる室内熱交換器である。これにより、蒸発器15は、送風空気を冷却除湿する冷却用熱交換器として機能する。
以上が本実施形態に係る冷凍サイクル10の主要構成の説明であり、以下、室内空調ユニット30の説明に戻る。ケーシング31内の空気通路において、蒸発器15の空気流れ下流側には、蒸発器15通過後の空気を流す加熱用通路33およびバイパス通路34が並列に形成されている。加熱用通路33には、蒸発器15通過後の空気を加熱するためのヒータコア36およびPTCヒータ37が、送風空気流れ方向に向かってこの順に配置されている。ヒータコア36およびPTCヒータ37は、乗員に温感を与える暖房装置である。
空気通路において、加熱用通路33およびバイパス通路34の空気流れ下流側には、加熱用通路33およびバイパス通路34から流出した空気を混合させる混合空間35が形成されている。
ヒータコア36は、発熱体であるエンジンEGを冷却するエンジン冷却水(以下、単に冷却水という。)を熱媒体として蒸発器15通過後の送風空気を加熱する加熱用熱交換器(換言すれば空気加熱部)である。エンジンEGは、冷却水を加熱する冷却水加熱部(換言すれば熱媒体加熱部)である。
具体的には、ヒータコア36とエンジンEGは、冷却水配管によって接続されて、ヒータコア36とエンジンEGとの間を冷却水が循環する冷却水回路40が構成されている。
冷却水回路40には、冷却水を循環させるための冷却水ポンプ40aが配置されている。冷却水ポンプ40aは、空調制御装置50から出力される制御電圧によって回転数(換言すれば冷却水循環流量)が制御される電動式の水ポンプである。
冷却水回路40には、冷却水がヒータコア36をバイパスして流れるバイパス流路40bが配置されている。冷却水回路40には、ヒータコア36への冷却水流れを断続するヒータコア用電磁弁40cが配置されている。ヒータコア用電磁弁40cは、ヒータコア36側の冷却水流路を開閉する開閉弁である。
ヒータコア用電磁弁40cは、ヒータコア36に冷却水が流通する状態と、ヒータコア36への冷却水の流通が遮断される状態とを切り替える遮断部である。
冷却水ポンプ40aおよびヒータコア用電磁弁40cは、ヒータコア36を流れる冷却水の流量を調整する流量調整部である。
冷却水回路40の冷却水は、オートマチックトランスミッションフルード(すなわちATF)の冷却にも用いられる。
PTCヒータ37は、PTC素子(換言すれば正特性サーミスタ)を有し、このPTC素子に電力が供給されることによって発熱して、ヒータコア36通過後の空気を加熱する補助加熱部としての電気ヒータである。なお、本実施形態のPTCヒータ37を作動させるために必要な消費電力は、冷凍サイクル10の圧縮機11を作動させるために必要な消費電力よりも少ない。
より具体的には、このPTCヒータ37は、複数(本実施形態では、3本)のPTC素子37a、37b、37cから構成されている。各PTC素子37a、37b、37cの正極側はバッテリ81側に接続され、負極側はスイッチ素子を介して、グランド側へ接続されている。スイッチ素子は各PTC素子の通電状態(換言すればON状態)と非通電状態(換言すればOFF状態)とを切り替えるものである。スイッチ素子の作動は、空調制御装置50から出力される制御信号によって制御される。
空調制御装置50は、各PTC素子37a、37b、37cの通電状態と非通電状態とを独立に切り替えるようにスイッチ素子の作動を制御することによって、通電状態となり加熱能力を発揮するPTC素子の本数を切り替えて、PTCヒータ37全体としての加熱能力を変化させることができる。
バイパス通路34は、蒸発器15通過後の空気を、ヒータコア36およびPTCヒータ37を通過させることなく、混合空間35に導くための空気通路である。従って、混合空間35にて混合された送風空気の温度は、加熱用通路33を通過する空気およびバイパス通路34を通過する空気の風量割合によって変化する。
そこで、本実施形態では、空気通路における蒸発器15の空気流れ下流側であって、加熱用通路33およびバイパス通路34の入口側に、加熱用通路33およびバイパス通路34へ流入させる冷風の風量割合を連続的に変化させるエアミックスドア39を配置している。
エアミックスドア39は、混合空間35内の空気温度(換言すれば、車室内へ送風される送風空気の温度)を調整する温度調整部である。
より具体的には、エアミックスドア39は、共通の電動アクチュエータ63によって駆動される共通の回転軸と、その共通の回転軸に連結された板状のドア本体部を有して構成される、いわゆる片持ちドアで構成されている。また、エアミックスドア用の電動アクチュエータ63は、空調制御装置50から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
さらに、ケーシング31の送風空気流れ最下流部には、混合空間35から空調対象空間である車室内へ温度調整された送風空気を吹き出す吹出口24〜26が配置されている。
この吹出口24〜26としては、具体的に、フェイス吹出口24、フット吹出口25およびデフロスタ吹出口26が設けられている。
フェイス吹出口24は、車室内の乗員の上半身に向けて空調風を吹き出す上半身側吹出口である。フット吹出口25は、乗員の足元に向けて空調風を吹き出す足元側吹出口である。デフロスタ吹出口26は、車両前面窓Wの内側面に向けて空調風を吹き出す窓側吹出口である。
また、フェイス吹出口24、フット吹出口25、およびデフロスタ吹出口26の空気流れ上流側には、それぞれ、フェイス吹出口24の開口面積を調整するフェイスドア24a、フット吹出口25の開口面積を調整するフットドア25a、デフロスタ吹出口26の開口面積を調整するデフロスタドア26aが配置されている。
これらのフェイスドア24a、フットドア25a、デフロスタドア26aは、吹出口モードを切り替える吹出口モードドア(換言すれば吹出口モード切替部)を構成するものであって、図示しないリンク機構を介して、吹出口モードドア駆動用の電動アクチュエータ64に連結されて連動して回転操作される。なお、この電動アクチュエータ64も、空調制御装置50から出力される制御信号によってその作動が制御される。
吹出口モードとしては、フェイスモード、バイレベルモード、フットモードおよびフットデフロスタモードがある。図面では、フェイスモードをFACEと略記し、フットモードをFOOTと略記し、バイレベルモードをB/Lと略記する。
フェイスモードでは、フェイス吹出口24を全開してフェイス吹出口24から車室内乗員の上半身に向けて空気を吹き出す。バイレベルモードでは、フェイス吹出口24とフット吹出口25の両方を開口して車室内乗員の上半身と足元に向けて空気を吹き出す。フットモードでは、フット吹出口25を全開するとともにデフロスタ吹出口26を小開度だけ開口して、フット吹出口25から主に空気を吹き出す。フットデフロスタモードでは、フット吹出口25およびデフロスタ吹出口26を同程度開口して、フット吹出口25およびデフロスタ吹出口26の双方から空気を吹き出す。
乗員が、図2に示す操作パネル60のデフロスタスイッチをマニュアル操作することによって、デフロスタモードとすることもできる。デフロスタモードでは、デフロスタ吹出口26を全開してデフロスタ吹出口26から車両フロント窓ガラス内面に空気を吹き出す。
本実施形態の車両用空調装置1は、図示しない電熱デフォッガを備えている。電熱デフォッガは、車室内窓ガラスの内部あるいは表面に配置された電熱線であって、窓ガラスを加熱することで防曇あるいは窓曇り解消を行う窓ガラス加熱部である。この電熱デフォッガについても空調制御装置50から出力される制御信号によって、その作動を制御できるようになっている。
車両用空調装置1は、図2に示すシートヒータ90を備えている。シートヒータ90は、乗員が着座する座席の表面温度を上昇させる補助加熱部である。具体的には、このシートヒータ90は、座席表面に埋め込まれた電熱線で構成され、電力を供給されることによって発熱する座席加熱部である。シートヒータ90は、乗員に温感を与える暖房装置である。
そして、室内空調ユニット10の各吹出口24〜26から吹き出される空調風によって車室内の暖房が不十分となり得る際に作動させて乗員の暖房感を補う機能を果たす。なお、このシートヒータ90は、空調制御装置50から出力される制御信号によって作動が制御され、作動時には座席の表面温度を約40℃程度となるまで上昇させるように制御される。
シートヒータ90は、車両が備える複数の座席のうち一部の座席(例えば運転席)のみに装着されている。
車両用空調装置1は、シート送風装置、ステアリングヒータ、膝輻射ヒータを備えていてもよい。シート送風装置は、座席の内側から乗員に向けて空気を送風する送風部である。ステアリングヒータは、電気ヒータでステアリングを加熱するステアリング加熱部である。膝輻射ヒータは、輻射熱の熱源となる熱源光を乗員の膝に向けて照射する暖房部である。シート送風装置、ステアリングヒータ、膝輻射ヒータの作動は、空調制御装置50から出力される制御信号によって制御できる。
次に、図2により、本実施形態の電気制御部について説明する。空調制御装置50(換言すれば空調制御部)、駆動力制御装置70(換言すれば駆動力制御部)および電力制御装置71(換言すれば電力制御部)は、CPU、ROMおよびRAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成され、そのROM内に記憶された制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行い、出力側に接続された各種機器の作動を制御する。
駆動力制御装置70の出力側には、エンジンEGを構成する各種エンジン構成機器および走行用電動モータへ交流電流を供給する走行用インバータ等が接続されている。各種エンジン構成機器としては、具体的に、エンジンEGを始動させるスタータ、エンジンEGに燃料を供給する燃料噴射弁(換言すればインジェクタ)の駆動回路(いずれも図示せず)等が接続されている。
駆動力制御装置70の入力側には、電圧計、電流計、アクセル開度センサ、エンジン回転数センサ、車速センサ(いずれも図示せず)、および吸気温度センサ70a等の種々のエンジン制御用のセンサ群が接続されている。
電圧計は、バッテリ81の端子間電圧VBを検出する。電流計は、バッテリ81へ流れ込む電流ABinあるいはバッテリ81から流れる電流ABoutを検出する。アクセル開度センサは、アクセル開度Accを検出する。エンジン回転数センサは、エンジン回転数Neを検出する。車速センサは、車速Vvを検出する。吸気温度センサ70aは、エンジンEGの吸気温度Tiを検出する吸気温度検出部である。
空調制御装置50は、直近の10トリップの間で最も低い吸気温度Tiの値を最低吸気温度として記憶する。ただし、初期冷却水温度が40℃以上かつ最終冷却水温度が70℃以下になったトリップについては最低吸気温度を記憶しない。
トリップとは、車両のイグニッションスイッチがオンされてからオフされるまでの行程のことである。
初期冷却水温度は、車両のイグニッションスイッチがオンされた時の冷却水温度Twである。最終冷却水温度は、車両のイグニッションスイッチがオフされた時の冷却水温度Twである。
空調制御装置50の出力側には、送風機32、圧縮機11の電動モータ11b用のインバータ61、送風ファン12a、各種電動アクチュエータ62、63、64、PTCヒータ37、冷却水ポンプ40a、シートヒータ90等が接続されている。
空調制御装置50の入力側には、内気センサ51、日射センサ53、吐出温度センサ54、吐出圧力センサ55、蒸発器温度センサ56、冷却水温度センサ58、および窓表面湿度センサ59等の種々の空調制御用のセンサ群が接続されている。
内気センサ51は、車室内温度Trを検出する内気温度検出部である。日射センサ53は、車室内の日射量Tsを検出する日射量検出部である。
吐出温度センサ54は、圧縮機11吐出冷媒温度Tdを検出する吐出温度検出部である。吐出圧力センサ55は、圧縮機11吐出冷媒圧力Pdを検出する吐出圧力検出部である。
蒸発器温度センサ56は、蒸発器15からの吹出空気温度TE(以下、蒸発器温度と言う。)を検出する蒸発器温度検出部である。
本実施形態の蒸発器温度センサ56は、蒸発器15の熱交換フィン温度を検出している。蒸発器温度センサ56は、蒸発器15のその他の部位の温度を検出する温度検出部であってもよい。蒸発器温度センサ56は、蒸発器15を流通する冷媒自体の温度を直接検出する温度検出部であってもよい。
冷却水温度センサ58は、冷却水温度Twを検出する冷却水温度検出部である。冷却水温度センサ58は、エンジンEGを冷却する熱媒体の温度Twを検出する熱媒体温度検出部である。
窓表面湿度センサ59は、窓近傍湿度を検出する湿度検出部である。窓近傍湿度は、車室内の窓ガラス近傍の車室内空気の相対湿度である。
空調制御装置50の入力側には、車室内前部の計器盤付近に配置された操作パネル60に設けられた各種空調操作スイッチからの操作信号が入力される。操作パネル60に設けられた各種空調操作スイッチは、空調ユニット30の作動を手動設定するための手動操作部である。
操作パネル60に設けられた各種空調操作スイッチとしては、具体的に、エアコンスイッチ60a、オートスイッチ60b、吸込口モードの切替スイッチ60c、吹出口モードの切替スイッチ60d、デフロスタスイッチ、風量設定スイッチ60e、エコノミースイッチ、車室内温度設定スイッチ60f、現在の車両用空調装置1の作動状態等を表示する表示部60g等が設けられている。
エアコンスイッチ60aは、乗員の操作によって圧縮機11の起動および停止を切り替える圧縮機作動設定部である。エアコンスイッチ60aには、エアコンスイッチ60aの操作状況に応じて点灯・消灯するエアコンインジケータが設けられている。
オートスイッチ60bは、乗員の操作によって車両用空調装置1の自動制御を設定あるいは解除する自動制御設定部である。
吹出口モード切替スイッチ60dは、フェイスモード、バイレベルモード、フットモードおよびフットデフロスタモードを切り替える吹出口モード切替部である。デフロスタスイッチは、乗員の操作によってデフロスタモードを設定するデフロスタモード設定部である。
フットデフロスタモードおよびデフロスタモードでは、他の吹出口モードに比べて窓の防曇性が高くなる。吹出口モード切替スイッチ60dおよびデフロスタスイッチは、空調ユニット30による窓の防曇性を向上させる指令を空調制御装置50に出力するための防曇操作部である。
風量設定スイッチ60eは、送風機32の送風量を手動設定するための風量設定部である。車室内温度設定スイッチ60fは、乗員の操作によって車室内目標温度Tsetを設定する目標温度設定部である。
エコノミースイッチは、環境への負荷の低減を優先させるスイッチである。エコノミースイッチを投入することにより、車両用空調装置1の作動モードが、空調の省動力化を優先させるエコノミーモードに設定される。エコノミースイッチは省動力優先モード設定部である。
また、エコノミースイッチを投入することにより、EV運転モード時に、走行用電動モータを補助するために作動させるエンジンEGの作動頻度を低下させる信号が駆動力制御装置70に出力される。
また、空調制御装置50および駆動力制御装置70は、電気的に接続されて通信可能に構成されている。これにより、一方の制御装置に入力された検出信号あるいは操作信号に基づいて、他方の制御装置が出力側に接続された各種機器の作動を制御することもできる。例えば、空調制御装置50が駆動力制御装置70へエンジンEGの要求信号を出力することによって、エンジンEGの作動を要求することが可能となっている。なお、駆動力制御装置70では、空調制御装置50からのエンジンEGの作動を要求する要求信号を受信すると、エンジンEGの作動の要否を判定し、その判定結果に応じてエンジンEGの作動を制御する。
さらに、空調制御装置50は、電力制御装置71が電気的に接続されている。電力制御装置71は、車両外部の電源から供給される電力やバッテリ81に蓄えられた電力に応じて、車両における各種電気機器に配分する電力の決定等を行う。本実施形態の空調制御装置50には、電力制御装置71から出力される出力信号(例えば、空調用に使用を許可する空調使用許可電力を示すデータ等)が入力される。
さらに、空調制御装置50は、ボデー制御装置72に電気的接続されている。ボデー制御装置72は、パワーウインドウやドア等の車体の駆動機構を制御する。空調制御装置50およびボデー制御装置72は互いに電気的に通信可能に構成されている。これにより、一方の制御装置に入力された検出信号あるいは操作信号に基づいて、他方の制御装置が出力側に接続された各種機器の作動を制御することもできる。
本例では、ボデー制御装置72の入力側に着座センサ73の検出信号が入力される。着座センサ73は、車両の各座席に乗員が着座していることを検出する着座検出部である。着座センサ73としては、座席に乗員が着座しているときに乗員から受ける圧力を検出する圧力センサの他、赤外線センサ等を用いることができる。
空調制御装置50は、着座センサ73の検出信号に基づいて、シートヒータ90が装着されている座席、およびシートヒータ90が装着されていない座席のそれぞれについて、乗員が着座しているか否かを判定することができる。
ここで、空調制御装置50および駆動力制御装置70は、その出力側に接続された各種制御対象機器を制御する制御部が一体に構成されたものであるが、それぞれの制御対象機器の作動を制御する構成(例えば、ハードウェアおよびソフトウェア)が、それぞれの制御対象機器の作動を制御する制御部を構成している。
例えば、空調制御装置50のうち、送風部である送風機32の作動を制御して、送風機32の送風能力を制御する構成は送風能力制御部50aである。空調制御装置50のうち、圧縮機11の電動モータ11bに接続されたインバータ61から出力される交流電圧の周波数を制御して、圧縮機11の冷媒吐出能力を制御する構成は圧縮機制御部50bである。
空調制御装置50のうち、吸込口モードの切り替えを制御する構成は吸込口モード切替部50cである。空調制御装置50のうち、吹出口モードの切り替えを制御する構成は吹出口モード切替部50dである。
空調制御装置50のうち、冷却水ポンプ40aおよびヒータコア用電磁弁40cの作動を制御して、ヒータコア36を流れる冷却水の流量を制御する構成は流量制御部50eである。
空調制御装置50における駆動力制御装置70と制御信号の送受信を行う構成は要求信号出力部である。駆動力制御装置70における空調制御装置50と制御信号の送受信を行うと共に、要求信号出力部等からの出力信号に応じてエンジンEGの作動の要否を決定する構成(換言すれば作動要否決定部)は信号通信部である。
次に、図3〜図12により、上記構成における本実施形態の車両用空調装置1の作動を説明する。図3は、本実施形態の車両用空調装置1のメインルーチンとしての制御処理を示すフローチャートである。この制御処理は、車両用空調装置1を構成する電動式構成機器をはじめとする各種車載機器にバッテリ81や外部電源等から電力が供給された状態で、車両用空調装置1の作動スイッチが投入されるとスタートする。なお、図3〜図12中の各制御ステップは、空調制御装置50が有する各種の機能実現部を構成している。
まず、ステップS1では、フラグ、タイマ等の初期化、および上述した電動アクチュエータを構成するステッピングモータの初期位置合わせ等のイニシャライズが行われる。なお、このイニシャライズでは、フラグや演算値のうち、前回の車両用空調装置1の作動終了時に記憶された値が維持されるものもある。
次に、ステップS2では、操作パネル60の操作信号等を読み込んでステップS3へ進む。具体的な操作信号としては、車室内温度設定スイッチ60fによって設定される車室内目標温度Tset、吸込口モードスイッチ60cの設定信号等がある。
次に、ステップS3では、空調制御に用いられる車両環境状態の信号、すなわち上述のセンサ群51〜58の検出信号や、外部電源からの電力の供給状態を示す電力状態信号等を読み込む。なお、電力状態信号が、外部電源から車両に電力を供給可能な状態(プラグイン状態)を示す場合には、外部電源フラグがONされ、外部電源から車両に電力を供給できない状態(プラグアウト状態)を示す場合には、外部電源フラグがOFFされる。
また、このステップS3では、駆動力制御装置70の入力側に接続されたセンサ群の検出信号、および駆動力制御装置70から出力される制御信号等の一部も、駆動力制御装置70から読み込んでいる。
また、ステップS3では、駆動力制御装置70の入力側に接続された吸気温度センサ70aの検出信号等に基づいて外気温Tamを推定する。このステップS3の詳細については、図4のフローチャートを用いて説明する。
図4に示すように、ステップS31、S32、S33では外気温推定条件が成立しているか否かを判定する。外気温推定条件が成立している場合、吸入空気に対するエンジンEGの熱の影響が少なく、外気温Tamを精度良く推定できると判断できる。
まず、ステップS31では、車両のイグニッションスイッチが前回オフされてから今回オンされるまでに360分以上経過していたか否かを判定する。車両のイグニッションスイッチが前回オフされてから今回オンされるまでに360分以上経過していたと判定した場合、車両の温度は外気になじんでいる可能性が高いと判断できるので、ステップS32へ進み、初期冷却水温度が40℃未満であるか否かを判定する。
初期冷却水温度が40℃未満であると判定した場合、冷却水の熱が吸気温度センサ70aの検出値に与える影響は小さいと判断できるので、ステップS33へ進み、初期吸気温度と初期冷却水温度との差が3℃未満であるか否かを判定する。
初期吸気温度は、車両のイグニッションスイッチがオンされた時のエンジンEGの吸気の温度Tiである。
初期吸気温度と初期冷却水温度との差が3℃未満であると判定した場合、エンジンルーム内の温度は概ね均一になっていると判断できるので、ステップS34、S35へ進み、外気温Tamを推定する。
すなわち、ステップS31、S32、S33の外気温推定条件が成立していると判定して外気温Tamを推定する。ステップS34では、日射補正量Nを決定する。日射補正量Nは、日射量に応じて外気温Tamを推定するために用いられる。
具体的には、図4のステップS34に示すように、日射センサ53が検出した日射量Tsに基づいて日射補正量Nを決定する。日射量Tsが0〜1000W/m2である場合、日射量Tsが増えるにつれて日射補正量Nを0〜15℃の範囲で増加させる。
これにより、日射によってエンジンルームに熱がこもり吸気温度Tiが上昇することを考慮して補正を行うことによって、外気温の推定精度を上げる。
続くステップS35では、次の数式F1により外気温Tamを算出する。
外気温Tam=MIN(初期吸気温度,現在吸気温度)−N …F1
なお、数式F1のMIN(初期吸気温度,現在吸気温度)とは、初期吸気温度および現在吸気温度のうち小さい方の値を意味している。現在吸気温度は、吸気温度センサ70aの現在の検出値である。
基本的には初期吸気温度を外気温Tamとするが、現在吸気温度が初期吸気温度を下回った場合には現在吸気温度を外気温Tamとする。これにより、外気温Tamの推定精度を上げる。車両が暖かいガレージから出た等の要因が考えられるためである。
空調制御装置50は、今回のステップS35で算出した外気温Tamが、今回のトリップで算出した外気温Tamの中で最小値であった場合、今回のステップS35で算出した外気温Tamを今回トリップの最小外気温として記憶する。
一方、ステップS31にて車両のイグニッションスイッチが前回オフされてから今回オンされるまでに360分以上経過していなかったと判定した場合、ステップS32にて初期冷却水温度が40℃未満でないと判定した場合、またはステップS33にて初期吸気温度と初期冷却水温度との差が3℃未満でないと判定した場合、ステップS36へ進み、前回トリップにおいてステップS31、S32、S33の外気温推定条件が成立したか否かを判定する。
すなわち、前回トリップにおいてステップS34、S35を実行して外気温Tamを推定したか否かを判定する。
前回トリップにおいてステップS31、S32、S33の外気温推定条件が成立した場合、ステップS37へ進み、前回トリップで記憶した最小外気温を今回の外気温Tamに決定する。ステップS37では、前回トリップにおいて最後に算出した外気温Tamを今回の外気温Tamに決定してもよい。
一方、ステップS36にて前回トリップにおいて外気温推定条件が成立しなかったと判定した場合、ステップS38へ進み、最低吸気温度の値を今回の外気温Tamに決定する。これにより、寒い時期に、必要な暖房ができないといった不具合を減らすことができる。
空調制御装置50は、初期冷却水温度が40℃以上であったトリップでは最低吸気温度を記憶しないので、冷却水温度の影響の少ない吸気温度に基づいて外気温Tamを決定できる。空調制御装置50は、最終冷却水温度が70℃以下であったトリップでは最低吸気温度を記憶しないので、例外的な短時間のトリップにおける吸気温度に基づいて外気温Tamを決定してしまうことを回避できる。
そのため、外気温Tamの推定精度を高めることができる。また、信頼性の低い吸気温度のデータを記憶することを防止できるので、空調制御装置50の記憶容量を節約できる。
次に、ステップS4では、車室内吹出空気の目標吹出温度TAOを算出する。従って、ステップS4は目標吹出温度決定部を構成している。
目標吹出温度TAOは、以下の数式F2により算出される。
TAO=Kset×Tset−Kr×Tr−Kam×Tam−Ks×Ts+C…F2
ここで、Tsetは車室内温度設定スイッチ60fによって設定された車室内目標温度、Trは内気センサ51によって検出された車室内温度(換言すれば内気温)、Tamは、ステップS3で推定された外気温、Tsは日射センサ53によって検出された日射量である。Kset、Kr、Kam、Ksは制御ゲインであり、Cは補正用の定数である。
なお、目標吹出温度TAOは、車室内を所望の温度に保つために車両用空調装置1が生じさせる必要のある熱量に相当するもので、車両用空調装置1に要求される空調負荷(空調熱負荷)として捉えることができる。
続くステップS5〜S13では、空調制御装置50に接続された各種機器の制御状態が決定される。
まず、ステップS5では、エアミックスドア39の目標開度SWを目標吹出温度TAO、蒸発器温度センサ56によって検出された吹出空気温度TE、および冷却水温度センサ58によって検出された冷却水温度Twに基づいて算出する。
具体的には、次の数式F3によりエアミックス開度SWを算出する。
SW={(TAO−TE)/(Tw−TE)}×100(%)…F3
エアミックス開度SW=0%の場合、エアミックスドア39は加熱用通路33を全閉してバイパス通路34を全開する。エアミックス開度SWが増加するにつれて加熱用通路33の開度を増加させバイパス通路34の開度を減少させる。エアミックス開度SW≧100%の場合、エアミックスドア39は加熱用通路33を全開してバイパス通路34を全閉する。
次のステップS6では、送風機32の送風能力(具体的には、電動モータに印加する電圧)を決定する。換言すれば、ステップS6では、ケーシング31内の空気通路を流れる空気の風量を決定する。このステップS6の詳細については、図5のフローチャートを用いて説明する。
図5に示すように、まず、ステップS61では、操作パネル60のオートスイッチ60bが投入されているか否かを判定する。この結果、オートスイッチ60bが投入されていないと判定された場合は、ステップS62で、操作パネル60の風量設定スイッチ60eによってマニュアル設定された乗員の所望の風量となるブロワ電圧が決定されて、ステップS7に進む。
具体的には、本実施形態の風量設定スイッチ60eは、Lo→M1→M2→M3→Hiの5段階の風量を設定することができ、それぞれ4V→6V→8V→10V→12Vの順にブロワ電圧が高くなるように決定される。
一方、ステップS61にて、オートスイッチ60bが投入されていると判定された場合は、ステップS63で、ステップS4にて決定されたTAOおよび冷却水温度センサ58によって検出された冷却水温度Twに基づいて予め空調制御装置50に記憶された制御マップを参照して基本ブロワ電圧f(TAO)および暖機時上限ブロワ電圧f(水温)を決定する。
基本ブロワ電圧f(TAO)は、空調熱負荷に応じて決定される。基本ブロワ電圧f(TAO)は、ステップS6で最終的に決定されるブロワ電圧の候補値として用いられる。ブロワ電圧は、送風機32の電動モータに印加する送風機電圧である。
本実施形態における基本ブロワ電圧f(TAO)を決定する制御マップは、TAOに対する基本ブロワ電圧f(TAO)の値がバスタブ状の曲線を描くように構成されている。
すなわち、図5のステップS63に示すように、TAOの極低温域(本実施形態では、−20℃以下)および極高温域(本実施形態では、80℃以上)では、送風機32の風量が最大風量付近となるように基本ブロワ電圧f(TAO)を高レベルに上昇させる。
また、TAOが極低温域から中間温度域に向かって上昇すると、TAOの上昇に応じて送風機32の送風量が減少するように、基本ブロワ電圧f(TAO)を減少させる。さらに、TAOが極高温域から中間温度域に向かって低下すると、TAOの低下に応じて、送風機32の風量が減少するように基本ブロワ電圧f(TAO)を減少させる。
そして、TAOが所定の中間温度域内(本実施形態では、10℃〜38℃)に入ると、送風機32の風量が低風量となるように基本ブロワ電圧f(TAO)を低レベルに低下させる。これにより、空調熱負荷に応じた基本ブロワ電圧が算出される。
すなわち、基本ブロワ電圧f(TAO)は、TAOに基づいて決定される値である。換言すれば、基本ブロワ電圧f(TAO)は、車室内目標温度Tset、内気温Tr、外気温Tam、日射量Tsに基づいて決定される値に基づいて決定されている。
基本ブロワ電圧f(TAO)は、通常使用域の風量に対応する値(具体的には4〜12)に決定される。
暖機時上限ブロワ電圧f(水温)は、エンジンEGの暖機時(すなわち冷却水温度Twが低温の時)におけるブロワ電圧の上限値である。
具体的には、図5のステップS63に示すように、冷却水温度Twの低温域(本実施形態では、40℃以下)では、暖機時上限ブロワ電圧f(水温)を0にする。冷却水温度Twの極高温域(本実施形態では、65℃以上)では、暖機時上限ブロワ電圧f(水温)を11にする。冷却水温度Twが低温域から高温域へと上昇するにつれて暖機時上限ブロワ電圧f(水温)を0以上11以下の範囲で上昇させる。
これにより、冷却水温度Twが十分に上昇しておらずヒータコア36で空気を十分に加熱できない状態のときに吹出風量が高くなって乗員が寒気を感じることを防止できる。
続くステップS64では、前回のステップS8で決定された仮の吹出口モードがフェイスモード、フットモードまたはバイレベルモードであるか否かを判定する。
仮の吹出口モードがフットモードまたはバイレベルモードであると判定された場合、ステップS65へ進み、ヒータコア36への通水が停止しているか否かを判定する。換言すれば、ヒータコア用電磁弁40cがヒータコア36側の冷却水流路を閉じているか否かを判定する。
ヒータコア36への通水が停止していないと判定した場合、ステップS66へ進み、次の数式F4によりブロワ電圧を算出する。
ブロワ電圧=MIN{f(TAO),f(水温)}…F4
なお、数式F4のMIN{f(TAO),f(水温)}とは、f(TAO)およびf(水温)のうち小さい方の値を意味している。
これにより、吹出口モードがフットモードまたはバイレベルモードであり且つヒータコア36に通水されている場合、送風機32の送風能力が目標吹出温度TAOおよび冷却水温度Twに応じて適切に調整される。すなわち、冷却水温度Twが低い場合、送風機32の送風能力が低くされるので、ヒータコア36で十分に加熱されていない冷風が乗員に吹き出されて乗員が寒さを感じることが抑制される。
一方、ステップS65にてヒータコア36への通水が停止していると判定した場合、ステップS67へ進み、ブロワ電圧を2Vに決定する。これにより、ブロワ電圧は、基本ブロワ電圧f(TAO)よりも低い値に決定される。すなわち、ヒータコア36で空気が加熱されない場合、ブロワ風量が通常使用域の風量よりも少なくされるので、ヒータコア36で加熱されていない冷風が乗員に吹き出されて乗員が寒さを感じることが抑制される。
一方、ステップS64にて仮の吹出口モードがフェイスモードであると判定された場合、ステップS68へ進み、ブロワ電圧を基本ブロワ電圧f(TAO)に決定する。
これにより、吹出口モードがフェイスモードである場合、送風機32の送風能力が目標吹出温度TAOに応じて適切に調整される。すなわち、吹出口モードがフェイスモードである場合、冷却水温度Twに応じた風量制御を行わない。
次のステップS7では、吸込口モード、すなわち内外気切替箱20の切替状態を決定する。このステップS7の詳細については、図6のフローチャートを用いて説明する。図6に示すように、まず、ステップS701では、操作パネル60のオートスイッチ60bが投入されているか否かを判定する。この結果、オートスイッチ60bが投入されていないと判定された場合は、ステップS702〜S704で、マニュアルモードに応じた外気導入率を決定してステップS8へ進む。
具体的には、マニュアル吸込口モードが全内気モード(換言すればRECモード)の場合、ステップS703で外気率を0%に決定し、マニュアル吸込口モードが全外気モード(換言すればFRSモード)の場合、ステップS704で外気率を100%に決定する。外気率は、内外気切替箱20からケーシング31内に導入される導入空気(すなわち外気および内気)に対して外気が占める比率である。
一方、ステップS701にて、オートスイッチ60bが投入されていると判定された場合は、ステップS705へ進み、ステップS4で算出した目標吹出温度TAOに基づいて、空調運転状態が冷房運転か暖房運転かを判定する。図6の例では、目標吹出温度TAOが25℃を上回っている場合、暖房運転と判定し、それ以外の場合、冷房運転と判定する。
ステップS705にて冷房運転と判定した場合、ステップS706へ進み、目標吹出温度TAOに基づいて、予め空調制御装置50に記憶された制御マップを参照して、外気率を決定してステップS8へ進む。
具体的には、TAOが低いときは外気率を小さくし、TAOが高いときは外気率を大きくする。図6の例では、TAO≦0℃であれば外気率を0%とし、TAO≧15℃であれば外気率を100%とし、0℃<TAO<15℃であればTAOが高いほど外気率を0〜100%の範囲で大きくする。
決定された外気率に応じて内外気切替ドア23の開度が変更される。具体的には、外気率が0%に設定された場合、吸込口モードが全内気モードとなるように内外気切替ドア23の開度が制御される。外気率が100%に設定された場合、吸込口モードが全外気モードとなるように内外気切替ドア23の開度が制御される。外気率が0%超100%未満に設定された場合、吸込口モードが内外気混入モードとなるように内外気切替ドア23の開度が制御される。
これにより、冷房負荷が高いほど内気の導入率を高くして冷房効率を高めることができる。
一方、ステップS705にて暖房運転と判定された場合、ステップS707へ進み、窓表面湿度センサ59で検出した窓近傍湿度に基づいて、予め空調制御装置50に記憶された制御マップを参照して、外気率を決定してステップS8へ進む。
具体的には、窓近傍湿度が低いときは外気率を小さくし、窓近傍湿度が高いときは外気率を大きくする。図6の例では、窓近傍湿度≦70%であれば外気率を50%とし、窓近傍湿度≧85%であれば外気率を100%とし、50%<窓近傍湿度<85%であれば窓近傍湿度が高いほど外気率を50〜100%の範囲で大きくする。
これにより、窓近傍湿度が高いほど外気の導入率を高くして車室内空間の湿度を低下させ、ひいては窓曇りを抑制する。
次のステップS8では、吹出口モード、すなわちフェイスドア24a、フットドア25a、デフロスタドア26aの切替状態を決定する。このステップS8の詳細については、図7のフローチャートを用いて説明する。
図7に示すように、まず、ステップS81では、操作パネル60のオートスイッチ60bが投入されているか否かを判定する。この結果、オートスイッチ60bが投入されていないと判定された場合は、ステップS82で、マニュアルモードに応じた吹出口モードを決定してステップS9へ進む。
具体的には、マニュアル吹出口モードがフェイスモードの場合、フェイスモードに決定し、マニュアル吹出口モードがバイレベルモードの場合、バイレベルモードに決定し、マニュアル吹出口モードがフットモードの場合、フットモードに決定し、マニュアル吹出口モードがフットデフロスタモードの場合、フットデフロスタモードに決定し、マニュアル吸込口モードがデフロスタモードの場合、デフロスタモードに決定する。
一方、ステップS81にて、オートスイッチ60bが投入されていると判定された場合は、ステップS83へ進み、ステップS4で算出した目標吹出温度TAOに基づいて予め空調制御装置50に記憶された制御マップを参照して仮の吹出口モードを決定する。
本実施形態では、図7のステップS83に示すように、TAOが低温域から高温域へと上昇するにつれて仮の吹出口モードをフェイスモード→バイレベルモード→フットモードへと順次切り替える。従って、夏季は主にフェイスモード、春秋季は主にバイレベルモード、そして冬季は主にフットモードが選択され易くなる。なお、図7のステップS83に示す制御マップでは、制御ハンチング防止のためのヒステリシス幅が設定されている。
続くステップS84では、ステップS83で決定された仮の吹出口モードがフェイスモード、フットモードまたはバイレベルモードであるか否かを判定する。
仮の吹出口モードがフットモードまたはバイレベルモードであると判定された場合、ステップS85へ進み、ヒータコア36への通水が停止しているか否かを判定する。換言すれば、ヒータコア用電磁弁40cがヒータコア36側の冷却水流路を閉じているか否かを判定する。
ヒータコア36への通水が停止していないと判定した場合、ステップS86へ進み、吹出口モードを、ステップS83で決定された仮の吹出口モードに決定してステップS9へ進む。これにより、目標吹出温度TAOに応じて吹出口モードを決定できる。
一方、ステップS85にてヒータコア36への通水が停止していると判定した場合、ステップS87へ進み、吹出口モードをデフロスタモードに決定してステップS9へ進む。これにより、ヒータコア36への通水が停止していることによってヒータコア36で空気を加熱できない場合であっても窓の防曇性を極力確保できる。
一方、ステップS84にて仮の吹出口モードがフェイスモードであると判定された場合、ステップS88へ進み、吹出口モードを、ステップS83で決定された仮の吹出口モードに決定してステップS9へ進む。すなわち、吹出口モードをフェイスモードに決定する。これにより、目標吹出温度TAOに応じて吹出口モードを決定できる。
次のステップS9では、圧縮機11の冷媒吐出能力(具体的には、圧縮機11の回転数)を決定する。なお、ステップS9における圧縮機回転数の決定は、図3のメインルーチンが繰り返される制御周期τ毎に行われるものではなく、所定の制御間隔(本実施形態では1秒)毎に行われる。
このステップS9の詳細については、図8のフローチャートを用いて説明する。図8に示すように、まず、ステップS91では、室内蒸発器26からの吹出空気温度TEの目標吹出温度TEOを決定する。
このステップS91の詳細については、図9のフローチャートを用いて説明する。まず、ステップS911では、ステップS4で決定したTAOに基づいて、予め空調制御装置50に記憶されている制御マップを参照して、仮の目標吹出温度f(TAO)を算出する。
図9の例では、TAO≦4℃であれば仮の目標吹出温度f(TAO)を1℃とし、TAO≧12℃であれば仮の目標吹出温度f(TAO)を10℃とし、4℃<TAO<12℃であればTAOが大きいほど仮の目標吹出温度f(TAO)を1〜10℃の範囲で大きくする。
続くステップS912では、外気温Tamに基づいて、予め空調制御装置50に記憶されている制御マップを参照して、防曇目標吹出温度f(外気温)を算出する。具体的には、防曇目標吹出温度f(外気温)を外気温Tamよりも低くする。
図9の例では、外気温≦5℃であれば防曇目標吹出温度f(外気温)を1℃とし、外気温≧15℃であれば防曇目標吹出温度f(外気温)を10℃とし、5℃<外気温<15℃であれば外気温が高いほど防曇目標吹出温度f(外気温)を1〜10℃の範囲で大きくする。
続くステップS913では、ヒータコア36への通水が停止しているか否かを判定する。換言すれば、ヒータコア用電磁弁40cがヒータコア36側の冷却水流路を閉じているか否かを判定する。
ヒータコア36への通水が停止していないと判定した場合、ステップS915へ進み、仮の目標吹出温度f(TAO)および防曇目標吹出温度f(外気温)のうち小さい方の値を目標吹出温度TEOとして決定する。これにより、外気温が低い場合、目標吹出温度TEOを小さい値に決定して室内蒸発器26の除湿能力を高め、防曇性を確保することができる。
一方、ステップS913にてヒータコア36への通水が停止していると判定した場合、ステップS914へ進み、ステップS8で決定された吹出口モードがデフロスタモードであるか否かを判定する。
ステップS914にて吹出口モードがデフロスタモードでないと判定した場合、ステップS915へ進み、仮の目標吹出温度f(TAO)および防曇目標吹出温度f(外気温)のうち小さい方の値を目標吹出温度TEOとして決定する。これにより、外気温が低い場合、目標吹出温度TEOを小さい値に決定して室内蒸発器26の除湿能力を高め、防曇性を確保することができる。
一方、ステップS914にてデフロスタモードであると判定された場合、ステップS916へ進み、目標吹出温度TEOを外気温Tamよりも2℃低い温度に決定する。これにより、ヒータコア36で空気が加熱されない場合であっても、デフロスタモードであれば室内蒸発器26の除湿能力を高めて防曇性を極力確保することができる。
このときの目標吹出温度TEOは、外気温Tamよりも若干低い温度になる。すなわち、ヒータコア36への通水が停止している場合において、デフロスタモードである場合、目標吹出温度TEOを外気温Tamよりも若干低い温度以上に保つ。
したがって、ヒータコア36で空気が加熱されない場合、車両の窓Wに当たる空気の温度が低すぎて窓Wが車外側で結露してしまうことを抑制できる。
続くステップS92では、前回の圧縮機回転数に対する回転数変化量Δfを求める。具体的には、目標吹出温度TEOと吹出空気温度TEの偏差を算出し、今回算出された偏差から前回算出された偏差を減算した偏差変化率を算出し、偏差と偏差変化率tとを用いて、予め空調制御装置50に記憶されたメンバシップ関数とルールとに基づいたファジー推論に基づいて、前回の圧縮機回転数に対する回転数変化量Δfを求める。
続くステップS93では、今回の圧縮機回転数を次の数式F5により算出する。
今回の圧縮機回転数=MIN{(前回の圧縮機回転数+Δf),MAX回転数}…F5
なお、数式F5のMIN{(前回の圧縮機回転数+Δf),MAX回転数}とは、前回の圧縮機回転数+ΔfおよびMAX回転数のうち小さい方の値を意味している。本例では、MAX回転数は10000rpmである。
これにより、窓近傍湿度が高い場合、圧縮機回転数を高くして、室内蒸発器26の除湿能力を高めることができる。
次のステップS10では、PTCヒータ37の作動本数および電熱デフォッガの作動状態を決定する。このステップS10の詳細については、図10のフローチャートを用いて説明する。
図10に示すように、まず、ステップS101では、ステップS5で決定したエアミックス開度SWが最大暖房開度(いわゆるMAX HOT)であるか否かを判定する。
エアミックス開度SWが最大暖房開度であると判定された場合、ステップS102へ進み、PTCヒータ37の作動本数を3本に決定する。
一方、ステップS101にてエアミックス開度SWが最大暖房開度でないと判定された場合、ステップS103へ進み、ステップS4にて決定された目標吹出温度TAO、蒸発器温度センサ56で検出された蒸発器温度TE、内気センサ51で検出された車室内温度Tr、およびステップS3で推定した外気温Tamに基づいて予め空調制御装置50に記憶された制御マップを参照してPTCヒータ37の作動本数を決定する。
具体的には、目標吹出温度TAOから蒸発器温度TEを減じた差が大きく且つ車室内温度Trから外気温Tamを減じた差が大きいほど、PTCヒータ37の作動本数を0〜3本の範囲で多い本数に決定する。
すなわち、エアミックス開度SWが最大暖房開度でないことは、加熱用通路33にて送風空気を加熱する必要性が少ないことを意味しているのでPTCヒータ37の作動本数を作動させる必要性も少なくなる。
一方、目標吹出温度TAOから蒸発器温度TEを減じた差が大きく且つ車室内温度Trから外気温Tamを減じた差が大きいほど乗員が寒さを感じやすい。
そこで、エアミックス開度SWが最大暖房開度でない場合であっても、目標吹出温度TAOから蒸発器温度TEを減じた差が大きく且つ車室内温度Trから外気温Tamを減じた差が大きいほどPTCヒータ37の作動本数を増加させる。
具体的には、Tr−Tam>10℃である場合、目標吹出温度TAOから蒸発器温度TEを減じた差TAO−TEの値にかかわらずPTCヒータ37の作動本数を0本に決定する。5℃<Tr−Tam≦10℃である場合、TAO−TE≦10℃であればPTCヒータ37の作動本数を0本に決定し、10℃≦TAO−TE≦30℃であればTAO−TEが大きくなるにつれてPTCヒータ37の作動本数を0〜2本の範囲で増加させ、TAO−TE≧30℃であればPTCヒータ37の作動本数を2本に決定する。Tr−Tam≦5℃である場合、TAO−TE≦10℃であればPTCヒータ37の作動本数を0本に決定し、10℃≦TAO−TE≦30℃であればTAO−TEが大きくなるにつれてPTCヒータ37の作動本数を0〜3本の範囲で増加させ、TAO−TE≧30℃であればPTCヒータ37の作動本数を3本に決定する。
電熱デフォッガについては、車室内の湿度および温度から窓ガラスに曇りが発生する可能性が高い場合、あるいは窓ガラスに曇りが発生している場合は、電熱デフォッガを作動させる。
次のステップS11では、空調制御装置50から駆動力制御装置70へ出力される要求信号を決定する。この要求信号としては、エンジンEGの作動要求信号(換言すればエンジンON要求信号)や、EV/HV運転モードの要求信号等がある。
ここで、車両走行用の駆動力をエンジンEGのみから得る通常の車両では、走行時に常時エンジンを作動させているので冷却水も常時高温となる。従って、通常の車両では冷却水をヒータコア36に流通させることで十分な暖房能力を発揮することができる。
これに対して、本実施形態のプラグインハイブリッド車両では、車両走行用の駆動力を走行用電動モータからも得ることができることから、エンジンEGの作動を停止させることがあり、車両用空調装置1にて車室内の暖房を行う際に、冷却水の温度が暖房用の熱源として充分な温度にまで上昇していない場合がある。
そこで、本実施形態の車両用空調装置1は、走行用の駆動力を出力させるためにエンジンEGを作動させる必要がない走行条件であっても、所定条件を満たした場合には、エンジンEGの駆動力を制御する駆動力制御装置70に対してエンジンEGの作動を要求する要求信号を出力して、冷却水温度を暖房用の熱源として充分な温度となるまで上昇させるようにしている。
次に、ステップS12では、冷却水ポンプ40aに要求する冷却水吐出能力(具体的には、冷却水ポンプ40aの回転数)を決定する。すなわち、冷却水回路40にてヒータコア36とエンジンEGとの間で循環する冷却水の要求流量を決定する。
このステップS12の詳細については、図11のフローチャートを用いて説明する。まず、ステップS121では、送風機32が作動しているか否かが判定される。ステップS121にて送風機32が作動していないと判定された場合は、ステップS122に進み、省動力化のために冷却水ポンプ40aを停止させることを要求する。
一方、ステップS121にて送風機32が作動していると判定された場合は、ステップS123へ進み、ステップS6で決定したブロワ電圧とステップS5で決定したエアミックス開度SWの積の値に基づいて、予め空調制御装置50に記憶されている制御マップを参照して、空調要求流量を決定する。
空調要求流量は、空調のために最低限必要な冷却水流量である。ステップS123で用いられるエアミックス開度SWの値は、百分率で表された値(すなわち0以上100以下の値)ではなく、割合で表された値(すなわち0以上1以下の値)である。
具体的には、ブロワ電圧とエアミックス開度SWとの積の値が小さいときは空調要求流量を大きくし、ブロワ電圧とエアミックス開度SWとの積の値が大きいときは空調要求流量を大きくする。すなわち、ヒータコア36を流れる空気の風量(以下、ヒータコア風量と言う。)が小さいときは空調要求流量を大きくし、ヒータコア風量が大きいときは空調要求流量を大きくする。
図11の例では、ブロワ電圧とエアミックス開度SWとの積の値が6V以下であれば空調要求流量を1.0L/minとし、ブロワ電圧とエアミックス開度SWとの積の値が12V以上であれば空調要求流量を10.0とし、ブロワ電圧とエアミックス開度SWとの積の値が6V以上、12V以下であればブロワ電圧とエアミックス開度SWとの積の値が大きいほど空調要求流量を1.0〜10.0L/minの範囲で大きくする。
そして、冷却水ポンプ40aから吐出される冷却水の流量が空調要求流量以上となるように冷却水ポンプ40aの冷却水吐出能力(具体的には、冷却水ポンプ40aの回転数)を決定する。
これにより、冷却水ポンプ40aが作動して、冷却水が冷媒回路内を循環するので、ヒータコア36を流れる冷却水とヒータコア36を通過する空気とを熱交換させて送風空気を加熱することができる。
ヒータコア36を流れる冷却水の流量(以下、ヒータコア流量と言う。)が小さい場合、ヒータコア36の吹出空気の温度分布が大きくなる。このとき、ヒータコア風量が多すぎると、ヒータコア36の吹出空気の温度分布がさらに大きくなって乗員が違和感を感じるレベルになる。
この点に鑑みて、ステップS123においてヒータコア風量が多いほど空調要求流量を大きくするので、ヒータコア風量が多いときにヒータコア流量を増加させることができる。そのため、乗員が違和感を感じるほどヒータコア36の吹出空気の温度分布が大きくなることを抑制できる。
次に、ステップS13では、ヒータコア用電磁弁40cの作動状態、すなわちヒータコア用電磁弁40cの開閉状態を決定する。このステップS13の詳細については、図12のフローチャートを用いて説明する。
まず、ステップS131では、冷却水温度Twが70℃未満であるか否かを判定する。冷却水温度Twが70℃未満であると判定した場合、ステップS132へ進み、ステップS8で決定された吹出口モードがマニュアルデフロスタモードであるか否かを判定する。すなわち、乗員が操作パネル60のデフロスタスイッチをマニュアル操作することによってデフロスタモードが設定されているか否かを判定する。
吹出口モードがマニュアルデフロスタモードでないと判定した場合、ステップS133へ進み、最大閉時間Tmaxを決定する。最大閉時間Tmaxは、ヒータコア用電磁弁40cを閉じる時間の上限値である。最大閉時間Tmaxは、ヒータコア36への冷却水の流通を遮断する時間の上限値である。換言すれば、最大閉時間Tmaxは、最大遮断時間である。
具体的には、ステップS3で推定した外気温Tam、ステップS8で決定された吹出口モード、および乗員の着座状態に基づいて、予め空調制御装置50に記憶された制御マップを参照して、最大閉時間Tmaxを決定する。
図12の例では、外気温Tamが0℃以下の場合、最大閉時間Tmaxを0秒に決定する。すなわち、外気温Tamが0℃以下の場合、窓曇りの可能性が高い上、温感的にも非常に寒く感じることから、少しでも防曇性および温感を上げるためにヒータコア用電磁弁40cを開く。
外気温Tamが0℃以上25℃以下の場合、外気温Tamが上がるにつれて最大閉時間Tmaxを減少させる。着座センサ73の検出信号に基づいてシートヒータ90が装着されている座席のみに乗員が着座していると判断される場合、最大閉時間Tmaxを400秒から60秒の範囲で減少させる。着座センサ73の検出信号に基づいてシートヒータ90が装着されていない座席に乗員が着座していると判断される場合、最大閉時間Tmaxを300秒から60秒の範囲で減少させる。
外気温Tamが低いときは暖機前のエンジンEGの温度も低いため、暖機に必要な時間が長くなることから、最大閉時間Tmaxを長くすることによってエンジンEGを十分に暖機して燃費を向上できるようにする。また、最大閉時間Tmaxを長くすることによって、オートマチックトランスミッションフルードの温度を早く上げて燃費を向上できる。外気温Tamが低い時に暖機に時間がかかるのは乗員にもイメージしやすいため、暖房できない時間が長くなっても乗員の違和感が少なく、暖房感への不満も最小限に抑えられる。
外気温Tamが高いときは暖機前のエンジンEGの温度も高いため、暖機に必要な時間が短くなることから、最大閉時間Tmaxを短くして暖房を早期に開始できるようにする。
シートヒータ90が装着されている座席のみに乗員が着座している場合、乗員の温感をシートヒータ90である程度維持可能であるので、最大閉時間Tmaxを長くすることによってエンジンEGを十分に暖機して燃費を向上できるようにしつつ乗員温感への悪影響を抑えることができる。
外気温Tamが25℃以上の場合、吹出口モードがフェイスモードであれば最大閉時間Tmaxを400秒に決定し、吹出口モードがフェイスモード以外であれば最大閉時間Tmaxを60秒に決定する。
外気温Tamが25℃以上の場合、冷房と判断できるため、暖房の寄与度は減る。特に吹出口モードがフェイスモードである場合、乗員足元への吹き出しがないため、最大閉時間Tmaxを長くすることによってエンジンEGを十分に暖機して燃費を向上できるようにしつつ乗員温感への悪影響を抑えることができる。
吹出口モードがフェイスモード以外である場合、乗員足元への吹き出しがあるため、最大閉時間Tmaxを短くすることによって乗員温感への悪影響を抑えることができる。
続くステップS134では、車両のイグニッションスイッチをオンしてからの経過時間が最大閉時間Tmax未満であるか否かを判定する。最大閉時間Tmaxは、ヒータコア用電磁弁40cを閉じる時間の上限値である。
車両のイグニッションスイッチをオンしてからの経過時間が最大閉時間Tmax未満であると判定した場合、ステップS135へ進み、ヒータコア用電磁弁40cを閉じる。すなわち、ヒータコア36側の冷却水流路を閉じてヒータコア36に冷却水が流れない状態にする。
これにより、冷却水温度Twが低い時にヒータコア36で冷却水が放熱することを抑制して冷却水温度Twの上昇を促進でき、ひいてはエンジンEGの暖機を促進できる。
一方、ステップS131にて冷却水温度Twが70℃以上であると判定した場合、エンジンEGの暖機が終了したと判断してステップS136へ進み、ヒータコア用電磁弁40cを開ける。すなわち、ヒータコア36側の冷却水流路を開けてヒータコア36に冷却水が流れる状態にする。
ステップS132にて吹出口モードがマニュアルデフロスタモードであると判定した場合、乗員が窓の防曇を強く望んでいると判断してステップS136へ進み、ヒータコア用電磁弁40cを開ける。これにより、エンジンEGの暖機中であってもヒータコア36に冷却水を流し、少しでも窓ガラス温度が上がるようにする。
ステップS134にて車両のイグニッションスイッチをオンしてからの経過時間が最大閉時間Tmax以上であると判定した場合、ステップS136へ進み、ヒータコア用電磁弁40cを開ける。これにより、ヒータコア用電磁弁40cが閉じられてヒータコア36への冷却水の流通が遮断される時間が最大閉時間Tmax未満になるので、ヒータコア36での空気の加熱が長時間停止されることを抑制できる。
次に、ステップS14では、シートヒータ90の作動要否を決定する。シートヒータ90の作動状態は、ステップS5で決定した目標吹出温度TAO、仮のエアミックス開度Sdd、ステップS3で推定した外気温Tamに基づいて、予め空調制御装置50に記憶されている制御マップを参照して決定される。
次に、ステップS15では、上述のステップS5〜S14で決定された制御状態が得られるように、空調制御装置50より各種機器12a、32、37、40a、40c、61、62、63、64、90に対して制御信号および制御電圧が出力される。さらに、要求信号出力部50cから駆動力制御装置70に対して、ステップS11にて決定された要求信号が送信される。
次に、ステップS16では、制御周期τの間待機し、制御周期τの経過を判定するとステップS2に戻るようになっている。なお、本実施形態は制御周期τを250msとしている。これは、車室内の空調制御は、エンジン制御等と比較して遅い制御周期であってもその制御性に悪影響を与えないからである。これにより、車両内における空調制御のための通信量を抑制して、エンジン制御等のように高速制御を行う必要のある制御系の通信量を十分に確保することができる。
本実施形態の車両用空調装置1は、以上の如く作動するので、送風機32から送風された送風空気が、蒸発器15にて冷却される。そして蒸発器15にて冷却された冷風は、エアミックスドア39の開度に応じて、加熱用通路33およびバイパス通路34へ流入する。
加熱用通路33へ流入した冷風は、ヒータコア36およびPTCヒータ37を通過する際に加熱されて、混合空間35にてバイパス通路34を通過した冷風と混合される。そして、混合空間35にて温度調整された空調風が、混合空間35から各吹出口を介して車室内に吹き出される。
この車室内に吹き出される空調風によって車室内の内気温Trが外気温Tamより低く冷やされる場合には、車室内の冷房が実現されており、一方、内気温Trが外気温Tamより高く加熱される場合には、車室内の暖房が実現されることになる。
冷却水温度Twが70℃未満である場合、ヒータコア用電磁弁40cが閉じられてヒータコア36に冷却水が流れない状態になるので、ヒータコア36で冷却水が放熱することが抑制されて冷却水温度Twの上昇が促進される。
外気温Tamが低い場合、ヒータコア用電磁弁40cが閉じられる時間を長く確保するので、冷却水温度Twを早期に上昇させる時間を確保できる。そのため、エンジンEGおよびオートマチックトランスミッションフルードの温度を早期に上昇させることができるので燃費を向上させることができる。
吸気温度Tiに基づいて外気温Tamを推定するので、外気温センサが不要である。外気温センサが不要になることによって、外気温センサの故障検出が不要になる。そのため、システム構成を簡素化できる。
外気温推定条件を満たした場合、吸気温度Tiに基づいて外気温Tamを推定するので、エンジンEGの熱の影響を受けることを極力排除できる。
車両が最初ガレージに入っている等の場合、冬だとガレージから出た途端に外気温が下がる。そのため、車両がガレージに入っているときに推定した外気温と実際の外気温との間に乖離が発生してしまう。
この点に鑑みて、現在吸気温度が初期吸気温度から下がった場合には現在吸気温度に基づいて外気温を推定するので、推定した外気温と実際の外気温との間に乖離が発生することを防止できる。
冷却水温度センサ58の検出値と吸気温度センサ70aの検出値とが大凡同じであった場合、車両の温度が大凡外気温と同程度に低下したと推定できるので、吸気温度Tiを外気温Tamとして使う。
エンジンEGが冷えるのに十分な時間(具体的には6時間程度以上)経過した場合、車両の温度が大凡外気温と同程度に低下したと推定できるので、吸気温度Tiを外気温として使う。
冷却水温度Twが40℃以下に低下した場合、夏季でも車両の温度が大凡外気温と同程度に低下したと想定できるため、吸気温度Tiを外気温として使う。
本実施形態では、ステップS3で説明したように、空調制御装置50は、外気の温度Tamを推定し、推定した外気の温度Tamに基づいて暖房装置36、37、90の作動を制御する。そして、空調制御装置50は、車両システムを起動したときの吸入空気の温度Tiに対してエンジンEGの熱の影響が少ないと判断される外気温推定条件を満たしている場合、車両システムを起動したときの吸入空気の温度Tiに基づいて外気の温度Tamを推定する。
これによると、外気の温度に近いと判断される吸入空気の温度Tiに基づいて外気の温度Tamを推定するので、エンジン熱の影響を極力排除して暖房装置を制御できる。
本実施形態では、ステップS33で説明したように、外気温推定条件は、車両システムを起動したときの吸入空気の温度Tiと、車両システムを起動したときの冷却水の温度Twとの差が所定値未満になっていることである。
これによると、吸入空気に対するエンジンEGの熱の影響が少ないことを適切に判断できるので、外気の温度Tamを精度良く推定できる。
本実施形態では、ステップS31で説明したように、外気温推定条件は、車両システムを前回停止してから今回起動するまでに所定時間以上経過していることである。
これによると、吸入空気に対するエンジンEGの熱の影響が少ないことを適切に判断できるので、外気の温度Tamを精度良く推定できる。
本実施形態では、ステップS32で説明したように、外気温推定条件は、冷却水の温度Twが所定温度未満になっていることである。
これによると、吸入空気に対するエンジンEGの熱の影響が少ないことを適切に判断できるので、外気の温度Tamを精度良く推定できる。
冬期において車両がガレージに入っている状態で車両システムを起動した場合、ガレージの中よりも外の方が寒いため、車両がガレージから外に出た途端に吸入空気の温度が低下することがある。そのため、車両システムを起動したときの吸入空気の温度Tiに基づいて推定した外気の温度は、ガレージの外における外気の温度に対して乖離するおそれがある。
この点に鑑みて、本実施形態では、ステップS35で説明したように、空調制御装置50は、直近の吸入空気の温度Tiが車両システムを起動したときの吸入空気の温度Tiよりも低い場合、直近の吸入空気の温度Tiに基づいて外気の温度Tamを推定する。
これにより、冬期において車両がガレージに入っている状態で車両システムを起動した場合であっても、外気の温度Tamを精度良く推定できる。
例えば、車両システムを停止してから短時間後に車両システムを再起動した場合、エンジンルーム内にエンジンEGの熱が残っているため、次に車両システムを起動したときに吸入空気に対するエンジンEGの熱の影響が多くなる。そのため、車両システムを起動したときの吸入空気の温度Tiに基づいて推定した外気の温度は、実際の外気の温度に対して乖離するおそれがある。
この点に鑑みて、本実施形態では、ステップS37で説明したように、空調制御装置50は、外気温推定条件を満たさなかった場合、車両システムが前回停止される前に推定した外気の温度Tamに基づいて外気の温度Tamを推定する。
これにより、車両システムを起動したときの吸入空気の温度Tiに対してエンジンEGの熱の影響が多い場合であっても、前回トリップで推定した外気の温度を用いることによって、外気の温度Tamを精度良く推定できる。
本実施形態では、ステップS38で説明したように、空調制御装置50は、外気温推定条件を満たさなかった場合、過去の複数回に車両システムを起動したときの吸入空気の温度Tiのうち最も低い温度に基づいて外気の温度Tamを推定する。
これにより、車両システムを起動したときに吸入空気に対するエンジンEGの熱の影響が多い場合であっても、過去の複数回のトリップにおける吸入空気の温度のうちエンジンEGの熱の影響が極力少ないと判断される吸入空気の温度に基づいて外気の温度を推定するので、外気の温度Tamを精度良く推定できる。
本実施形態では、ステップS34、S35で説明したように、空調制御装置50は、車両システムを起動したときの吸入空気の温度Tiと、日射量Tsとに基づいて外気の温度Tamを推定する。
これによると、日射によって車体が熱せられてエンジンルームの温度が高くなり吸入空気の温度が高くなっても、日射の影響を考慮して外気の温度Tamを精度良く推定できる。
本実施形態では、ステップS133で説明したように、空調制御装置50は、推定した外気の温度Tamが所定温度よりも低い場合、推定した外気の温度Tamが所定温度よりも高い場合と比較して、ヒータコア36を流れる冷却水の流量が増加するようにヒータコア用電磁弁40cの作動を制御する。
これによると、推定した外気の温度Tamが低い場合、ヒータコア36における空気の加熱量を増やして暖房能力を高めることができる。
また、車両の内装材の温度を反映してヒータコア36における空気の加熱量を調整でき、ひいては乗員の温感を適切に確保できる。この理由を以下に説明する。
車両の内装材は暖房時に暖房熱を吸収することによって温度が高くなるが、暖房を停止してから時間が経過するにつれて車両の内装材の温度が低くなって外気の温度に近づく。
一方、車両システムを停止してから時間が経過するにつれて吸入空気の温度が低くなって外気の温度に近づく。ステップS35で説明したように、車両システムを起動したときの吸入空気の温度が低い場合、推定した外気の温度Tamも低くなる。そのため、車両システムを起動したときの車両の内装材の温度は、推定した外気の温度Tamとある程度相関関係がある。
車両システムを起動したときの車両の内装材の温度が低い場合、暖房を開始しても車室内が車両の内装材によって冷やされてしまうので、暖房能力を高めることによって乗員の温感を確保するのが好ましい。
そこで、推定した外気の温度Tamが低い場合、ヒータコア36における空気の加熱量を増やして暖房能力を高めることによって、車両の内装材の温度が低いときに暖房能力を高めて乗員の温感を適切に確保できる。すなわち、車両の内装材の温度を反映してヒータコア36における空気の加熱量を調整でき、ひいては乗員の温感を適切に確保できる。
(他の実施形態)
上記実施形態を例えば以下のように種々変形可能である。
(1)上記実施形態では、ステップS31、S32、S33の全ての判定が成立している場合、外気温推定条件が成立しているとして外気温Tamを推定するが、ステップS31、S32、S33の少なくとも1つの判定が成立している場合、外気温推定条件が成立していると判定して外気温Tamを推定してもよい。
(2)上記実施形態では、ステップS34において、現在の日射量に基づいて日射補正量Nを決定するが、過去数時間の累積日射量に基づいて日射補正量Nを決定してもよい。この場合、日射量による熱のこもりを一層精度良く推定することができる。
(3)上記実施形態では、ヒータコア用電磁弁40cは、ヒータコア36側の冷却水流路を開閉する開閉弁であるが、ヒータコア用電磁弁40cは、ヒータコア36側の冷却水流路の開度を任意に調整可能な開度調整弁であってもよい。
(4)上記実施形態では、ハイブリッド車両の車両走行用の駆動力について詳細を述べていないが、エンジンEGおよび走行用電動モータの双方から直接駆動力を得て走行可能な、いわゆるパラレル型のハイブリッド車両に車両用空調装置1を適用してもよいし、エンジンEGを発電機80の駆動源として用い、発電された電力をバッテリ81に蓄え、さらに、バッテリ81に蓄えられた電力を供給されることによって作動する走行用電動モータから駆動力を得て走行する、いわゆるシリアル型のハイブリッド車両に車両用空調装置1を適用してもよい。
また、車両用空調装置1を、エンジンEGを備えることなく車両走行用の駆動力を走行用電動モータのみから得る電気自動車に適用してもよい。この場合、冷却水を加熱するための冷却水加熱部として、例えばPTCヒータ等の電気ヒータを用いることができる。
また、車両用空調装置1を、走行用電動モータを備えることなく車両走行用の駆動力をエンジンEGのみから得る自動車に適用してもよい。この場合、圧縮機11は、エンジンEGの駆動力によってエンジンベルトで駆動されるベルト駆動式圧縮機を用いることができる。
36 ヒータコア(加熱用熱交換器)
39 エアミックスドア(風量割合調整部)
40c ヒータコア用電磁弁(流量調整部)
50 空調制御装置(制御部)
58 冷却水温度センサ(熱媒体温度検出部)
70a 吸気温度センサ(吸気温度検出部)

Claims (8)

  1. 乗員に温感を与える暖房装置(36、37、90)と、
    車両のエンジン(EG)に吸入される吸入空気の温度(Ti)を検出する吸気温度検出部(70a)と、
    外気の温度(Tam)を推定し、推定した前記外気の温度(Tam)に基づいて前記暖房装置(36、37、90)の作動を制御する制御部(50)と、
    日射量(Ts)を検出する日射量検出部(53)とを備え、
    前記制御部(50)は、車両システムを起動したときの前記吸入空気の温度(Ti)に対して前記エンジン(EG)の熱の影響が少ないと判断される外気温推定条件を満たしている場合、前記車両システムを起動したときの前記吸入空気の温度(Ti)に基づいて前記外気の温度(Tam)を推定し、前記日射量に基づいて前記外気の温度(Tam)の推定値を減少させる補正を行い、前記日射量が閾値以下である場合、前記日射量が多いほど前記推定値の減少補正量(N)を第1補正量から第2補正量の範囲で増加させ、前記日射量が前記閾値以上である場合、前記補正量(N)を前記第2補正量にする車両用空調装置。
  2. 前記エンジン(EG)を冷却する熱媒体の温度(Tw)を検出する熱媒体温度検出部(58)を備え、
    前記外気温推定条件は、前記車両システムを起動したときの前記吸入空気の温度(Ti)と、前記車両システムを起動したときの前記熱媒体の温度(Tw)との差が所定値未満になっていることである請求項1に記載の車両用空調装置。
  3. 前記外気温推定条件は、前記車両システムを前回停止してから今回起動するまでに所定時間以上経過していることである請求項1に記載の車両用空調装置。
  4. 前記エンジン(EG)を冷却する熱媒体の温度を検出する熱媒体温度検出部(58)を備え、
    前記外気温推定条件は、前記熱媒体の温度(Tw)が所定温度未満になっていることである請求項1に記載の車両用空調装置。
  5. 前記制御部(50)は、直近の前記吸入空気の温度(Ti)が前記車両システムを起動したときの前記吸入空気の温度(Ti)よりも低い場合、直近の前記吸入空気の温度(Ti)に基づいて前記外気の温度(Tam)を推定する請求項1ないし4のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
  6. 前記制御部(50)は、前記外気温推定条件を満たさなかった場合、前記車両システムが前回停止される前に推定した前記外気の温度(Tam)に基づいて前記外気の温度(Tam)を推定する請求項1ないし5のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
  7. 前記制御部(50)は、前記外気温推定条件を満たさなかった場合、過去の複数回に前記車両システムを起動したときの前記吸入空気の温度(Ti)のうち最も低い温度に基づいて前記外気の温度(Tam)を推定する請求項1ないし5のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
  8. 前記暖房装置は、車室内へ送風される空気と前記エンジン(EG)を冷却する熱媒体とを熱交換させて前記空気を加熱する熱交換器(36)を有しており、
    前記熱交換器(36)を流れる前記熱媒体の流量を調整する流量調整部(40c)を備え、
    前記制御部(50)は、推定した前記外気の温度(Tam)が所定温度よりも低い場合
    、推定した前記外気の温度(Tam)が前記所定温度よりも高い場合と比較して、前記熱交換器(36)を流れる前記熱媒体の流量が増加するように前記流量調整部(40c)の作動を制御する請求項1ないしのいずれか1つに記載の車両用空調装置。
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