JP6697932B2 - 車輪用軸受装置 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車用の車輪を回転自在に支持する車輪用軸受装置に関する。詳しくは、水抜き経路を有する車輪用軸受装置に関する。
従来、自動車等の懸架装置において車輪を回転自在に支持し、車輪の回転速度を検出する回転速度検出装置を備えた車輪用軸受装置が知られている。車輪用軸受装置は、車輪に接続されるハブ輪が転動体を介して回転自在に支持されている。また、車輪用軸受装置の回転速度検出装置は、円周方向に異なる磁極が交互に着磁された磁気エンコーダと磁気センサとから構成されている。車輪用軸受装置は、ハブ輪に磁気エンコーダが固定され、ハブ輪と一体的に回転しない部分に磁気センサが配置されている。車輪用軸受装置は、ハブ輪と一体的に回転する磁気エンコーダが磁気センサ近傍を通過する際の磁性の変化の間隔からハブ輪に接続される車輪の回転速度を検出することができる。
このような車輪用軸受装置において、回転速度検出装置の磁気エンコーダへの飛石等による破損、泥土や磁性体等の付着による誤検出を防止するために磁気エンコーダをカバーによって保護しているものがある。車輪用軸受装置の外輪の開口部を非磁性体のカバーで覆うことで外輪の内部に磁気エンコーダを密閉するものである。このように構成することで、車輪用軸受装置は、磁気エンコーダを飛石や泥土から保護しつつ、磁気センサによって磁気エンコーダの磁性の変化を検出することができる。例えば、特許文献1に記載の如くである。
特許文献1に記載の車輪用軸受装置は、外輪を構成する外方部材と、ハブ輪とハブ輪を回転自在に支持する転動体とからなる内方部材と、カバー(保護カバー)と、回転速度検出装置とを具備する。外方部材の内部には、内方部材を構成するハブ輪が転動体を介して回転自在に支持されている。ハブ輪の一側端部には、回転速度検出装置を構成する磁気エンコーダが固定されている。磁気エンコーダの検出面と対向する外方部材の開口部には、円筒状のカバーが嵌合されている。カバーの磁気エンコーダ側には、回転速度検出装置を構成する回転速度センサ(磁気センサ)が固定されている。
特許文献1に記載の車輪用軸受装置において、カバーには水抜き用のドレーン穴が開口されている。このようなドレーン穴は、走行中に跳ね上げられた泥水や小石等の異物が入りにくくするために、切起こしによるスリットタイプにするものが知られている。そして、カバーを外方部材に嵌合する際には、ドレーン穴からの水の排出を円滑にする必要があるため、ドレーン穴が車両下側に位置するように外方部材に対するカバーの周方向位置を合わせる必要があった。このように、従来の車輪用軸受装置においては、カバーを外方部材に組付ける際に、周方向の位置合わせが必要であるために、組付け作業が煩雑であった。また、カバーが周方向に回転してずれた場合、水の排出性能が低下する虞があった。また、カバーに切起こしによってドレーン穴を加工するために、カバーの製造工数が多くなっていた。
特開2009−108876号公報
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、カバーの外方部材への組付け作業を簡素化し、水の排出性能の低下を防止するとともに、カバーの製造工数を低減させることができる車輪用軸受装置の提供を目的とする。
即ち、車輪用軸受装置は、内周に複列の外側転走面が一体に形成される外方部材と、一端部に車輪を取り付けるための車輪取り付けフランジを一体に有し、外周に軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に圧入された少なくとも一つの内輪からなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、前記内方部材と前記外方部材のそれぞれの転走面間に転動自在に収容された複列の転動体と、前記内方部材のインナー側の端部に設けられる磁気エンコーダと、前記外方部材のインナー側に形成された円筒状のパイロット部に嵌合されている円筒状のカバーと、検出部が前記磁気エンコーダに対向するようにして前記カバーに設けられる磁気センサと、を備えた、車体のナックルに取り付けられる車輪用軸受装置であって、前記外方部材における前記パイロット部の外周面には、前記ナックルに取り付けた際の鉛直方向下側に、前記カバーの内周面との間に間隙を有する水抜き経路が形成されるものである。
また、車輪用軸受装置は、前記外方部材における前記パイロット部の前記外周面には、半径方向外側に延出されるフランジ部が形成され、前記フランジ部における前記パイロット部側の面には、前記水抜き経路と連通される水抜き溝が形成されるものである。
また、車輪用軸受装置は、前記ナックルにおいて前記水抜き経路に対応する部分に、水抜き用の凹部が形成されるものである。
また、車輪用軸受装置は、前記カバーが前記パイロット部に加締められているものである。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
即ち、車輪用軸受装置によれば、水抜き経路がカバーではなく外方部材に形成されるため、ドレーン穴が車両下側に位置するように外方部材に対するカバーの周方向位置を合わせる必要がなく、カバーの外方部材への組付け作業を簡素化することができる。また、カバーが周方向に回転してずれた場合でも、水抜き経路の位置は変わらないため、水の排出性能が低下することがない。また、カバーを製造する際にドレーン穴の加工工程が不要となるため、カバーの製造工数を低減させることができる。さらに、カバーにドレーン穴が形成されない構成であるため、ドレーン穴を介して泥水や小石等の異物が侵入することを防止できる。
また、車輪用軸受装置によれば、外方部材のフランジ部に形成された水抜き溝を介して水を排出できるため、水の排出性能をより向上させることができる。
また、車輪用軸受装置によれば、軸受組付部材に形成された凹部を介して水を排出できるため、水の排出性能をより向上させることができる。
また、車輪用軸受装置によれば、パイロット部の外周面に水抜き経路を形成した場合でも、抜け力を確保することができる。
(a)車輪用軸受装置の第一実施形態における回転速度検出装置の構成を示す斜視図、(b)同じく、回転速度検出装置が組み込まれた状態を示す斜視図。 車輪用軸受装置の第一実施形態における全体構成を示す断面図。 車輪用軸受装置の第一実施形態における部分断面斜視図。 車輪用軸受装置の第一実施形態における軸方向側面図。 車輪用軸受装置の別実施例における全体構成を示す断面図。 車輪用軸受装置の第二実施形態における軸方向側面図。 車輪用軸受装置の第三実施形態における軸方向側面図。
以下に、図1と図2とを用いて、車輪用軸受装置の第一実施形態である車輪用軸受装置1について説明する。図2は鉛直方向に切断面を有する断面図である。
図1と図2とに示すように、車輪用軸受装置1は、自動車等の車両の懸架装置において車輪を回転自在に支持するものである。車輪用軸受装置1は、外方部材2、ハブ輪3、内輪4、転動列である二列の一側ボール列5a(図2参照)、他側ボール列5b(図2参照)、一側(インナー側)シール部材6(図2参照)、他側(アウター側)シール部材7(図2参照)および回転速度検出装置8を具備する。
図2に示すように、外方部材2は、内方部材(ハブ輪3と内輪4)を支持するものである。外方部材2は、略円筒状に形成されたS53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中高炭素鋼で構成されている。外方部材2の一側(インナー側)端部には、円筒状のパイロット部2Pが突出して形成され、パイロット部2Pには一側シール部材6が嵌合可能な一側開口部2aが形成されている。外方部材2の他側(アウター側)端部には、他側シール部材7が嵌合可能な他側開口部2bが形成されている。外方部材2の内周面には、一側開口部2aの近傍に一側ボール列5aが転走する環状の一側の外側転走面2cが形成されている。同様に、外方部材2の内周面には、他側開口部2bの近傍に他側ボール列5bが転走する環状の他側(後述の車輪取り付けフランジ3b側)の外側転走面2dが形成されている。一側の外側転走面2cと他側の外側転走面2dとは、周方向に互いに平行になるように形成されている。一側の外側転走面2cと他側の外側転走面2dとのピッチ円直径は、等しい大きさに構成されている。なお、一側の外側転走面2cと他側の外側転走面2dとのピッチ円直径は、異なる大きさに構成してもよい。一側の外側転走面2cと他側の外側転走面2dとには、高周波焼入れによって表面硬さを58〜64HRCの範囲とする硬化層が形成されている。パイロット部2Pの外周面には、車輪用軸受装置1が組付けられる軸受組付部材であるナックル21(図5を参照)に取り付けるためのフランジ部である車体取り付けフランジ2eが半径方向外側に延出して一体的に形成されている。車体取り付けフランジ2eの取り付け面である一側面および他側面は、切削加工等の機械加工が施されている。
外方部材2は、その外周が車体のナックル21に取り付けられる。本実施形態では、懸架装置の一種である独立懸架式サスペンションに車輪を回転自在に支承するため、この独立懸架式サスペンションの一部を構成するナックル21に形成された支持孔21aに、外方部材2のパイロット部2Pが内嵌されると共に、この外方部材2とナックル21とが図示しない複数の固定ボルトにより締結されている。
内方部材を構成するハブ輪3は、図示しない車両の車輪を回転自在に支持するものである。ハブ輪3は、円筒状に形成されたS53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中高炭素鋼で構成されている。ハブ輪3の一側端部(インナー側)には、外周面に縮径された小径段部3aが形成されている。ハブ輪3の他側端部(アウター側)には、車輪を取り付けるための車輪取り付けフランジ3bが一体的に形成されている。ハブ輪3の他側(車輪取り付けフランジ3b側)の外周面には、周方向に環状の内側転走面3cと環状のシール摺動面3dとが形成されている。車輪取り付けフランジ3bには、円周等配位置にハブボルト3eが設けられている。ハブ輪3の内周面にはトルク伝達用のセレーション3f(またはスプライン)が形成されている。
ハブ輪3の一側端部の小径段部3aは、内方部材を構成する内輪4が圧入されている。内輪4は、SUJ2等の高炭素クロム軸受鋼からなり、ズブ焼入れにより芯部まで58〜64HRCの範囲で硬化処理されている。内輪4の外周面には、周方向に環状の内側転走面4aが形成されている。内側転走面3cと内側転走面4aとのピッチ円直径は、等しい大きさに構成されている。内輪4は、圧入により所定の予圧が付与された状態でハブ輪3の一側端部に一体的に固定されている。つまり、ハブ輪3の一側には、内輪4によって内側転走面4aが構成されている。ハブ輪3は、一側の小径段部3aから他側の内側転走面3cまでを高周波焼入れにより表面硬さを58〜64HRCの範囲に硬化処理されている。これにより、ハブ輪3は、車輪取り付けフランジ3bに付加される回転曲げ荷重に対して充分な機械的強度を有し、ハブ輪3の耐久性が向上する。ハブ輪3は、一側端部の内輪4に形成されている内側転走面4aが外方部材2の一側の外側転走面2cに対向し、他側に形成されている内側転走面3cが外方部材2の他側の外側転走面2dに対向するように配置されている。
転動列である一側ボール列5aと他側ボール列5bとは、ハブ輪3を回転自在に支持するものである。一側ボール列5aと他側ボール列5bとは、転動体である複数のボールが保持器によって環状に保持されている。一側ボール列5aと他側ボール列5bとは、SUJ2等の高炭素クロム軸受鋼からなり、ズブ焼入れにより芯部まで58〜64HRCの範囲で硬化処理されている。一側ボール列5aは、内輪4に形成されている内側転走面4aと、それに対向している外方部材2の一側の外側転走面2cとの間に転動自在に挟まれている。他側ボール列5bは、ハブ輪3に形成されている内側転走面3cと、それに対向している外方部材2の他側の外側転走面2dとの間に転動自在に挟まれている。つまり、一側ボール列5aと他側ボール列5bとは、外方部材2に対してハブ輪3と内輪4とを回転自在に支持している。車輪用軸受装置1は、外方部材2とハブ輪3と内輪4と一側ボール列5aと他側ボール列5bとから複列アンギュラ玉軸受が構成されている。なお、本実施形態において、車輪用軸受装置1には、複列アンギュラ玉軸受が構成されているがこれに限定されるものではなく、複列円錐ころ軸受等で構成されていても良い。
一側(インナー側)シール部材6は、外方部材2と内輪4との隙間を塞ぐものである。一側シール部材6は、略円筒状のシール板と一側端部に鍔を有する略円筒状のスリンガとを具備する。一側シール部材6は、フェライト系ステンレス鋼板(JIS規格のSUS430系等)等から構成されているシール板に、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)等の合成ゴムからなる複数の一側シールリップが加硫接着されている。スリンガは、シール板と同等の鋼板から構成されている。一側シール部材6は、シール板が外方部材2の一側開口部2aに嵌合され、スリンガの円筒部分が内輪4に嵌合され、パックシールを構成している。スリンガは、その鍔部分が外側(インナー側)に向くようにして内輪4に固定されている。スリンガの鍔部分の外側(インナー側)には、回転速度検出装置8の磁気エンコーダ9が接着されている(図1、図2における薄い網掛け部分)。一側シール部材6は、シール板の一側シールリップが油膜を介してスリンガと接触することでスリンガに対して摺動可能に構成されている。これにより、一側シール部材6は、外方部材2の内部からの潤滑グリースの漏れ、および外部からの雨水や粉塵等の侵入を防止する。
他側(アウター側)シール部材7は、外方部材2とハブ輪3との隙間を塞ぐものである。他側シール部材7はニトリルゴム等の合成ゴムからなる複数の他側シールリップが加硫接着によって略円筒状に形成された芯金に一体に接合されている。他側シール部材7は、外方部材2の他側開口部2bに円筒部分が嵌合され、ハブ輪3のシール摺動面3dに複数の他側シールリップが接触している。他側シール部材7は、他側シールリップが油膜を介してハブ輪3のシール摺動面3dと接触することでハブ輪3に対して摺動可能に構成されている。これにより、他側シール部材7は、外方部材2の内部からの潤滑グリースの漏れ、および外部からの雨水や粉塵等の侵入を防止する。
図1と図2とに示すように、回転速度検出装置8は、ハブ輪3と内輪4との軸回りの回転速度を検出するものである。回転速度検出装置8は、磁気エンコーダ9(図1、図2における薄い網掛け部分)とカバー10(図1、図2における濃い網掛け部分)と磁気センサ11とから構成されている。
磁気エンコーダ9は、フェライト等の磁性紛体が混入された合成ゴムが環状に形成され、周方向に等ピッチで磁極Nと磁極Sとに着磁されたものである。磁気エンコーダ9は、シール部材6を構成するスリンガの一側(インナー側)端部に形成されている鍔部分に加硫接着によって一体に接合されている。すなわち、磁気エンコーダ9は、外方部材2の一側開口部2aに配置されている。また、磁気エンコーダ9は、スリンガを介してハブ輪3および内輪4と一体的に回転可能に構成されている。スリンガは、防錆性の向上と検出精度の安定性の向上のため強磁性体の鋼板、例えば、フェライト系のステンレス鋼鈑(JIS規格のSUS430系等)や防錆処理された冷間圧延鋼鈑(JIS規格のSPCC系等)からプレス加工にて形成されている。
カバー10は、外方部材2の一側(インナー側)開口部2aを塞いで磁気エンコーダ9を保護するものである。カバー10は、非磁性のオーステナイト系ステンレス鋼鈑(JIS規格のSUS304系等)から構成されている。カバー10は、プレス加工によって円筒状に形成され、円筒状の側部10aから軸心に向かって延びる円環支持部10bが一体的に形成されている。つまり、カバー10は、その軸心部分の所定の大きさの連通孔10cが形成されている。カバー10の側部10aは、その内径が外方部材2の一側開口部2aの外径よりも僅かに小さい外径に形成されている。カバー10は、側部10aの内周面に外方部材2のパイロット部2Pが圧入されている。また、図2中の拡大図(一点鎖線で囲んだ部分)に示す如く、カバー10の側部10aは、パイロット部2Pに圧入された後に、その数か所がパイロット部2Pに加締められている。複数の加締め部10dは側部10aの周方向距離(軸心からの位相差)が互いに均等になるように配置されている。これにより、カバー10は、側部10aによって外方部材2に固定される。本実施形態においては、カバー10を圧入した後に複数の加締め部10dで加締めることにより、後述する如くパイロット部2Pの外周面に水抜き経路2fを形成した場合でも、抜け力を確保する構成としている。このように配設されることにより、カバー10は一側開口部2a近傍に配置されている回転速度検出装置8の磁気エンコーダ9を保護している。この際、円環支持部10bは、所定の軸方向の隙間をあけて磁気エンコーダ9に対向するように配置されている。また、円環支持部10bには、磁気センサ11が設けられている。
磁気センサ11は、磁気エンコーダ9の磁性を検出するものである。磁気センサ11は、ホール素子、磁気抵抗素子(MR素子)等の磁束の流れ方向に応じて特性を変化させる磁気検出素子およびこの磁気検出素子の出力波形を整えるICが組み込まれた検出部11aと、信号線や電力線からなるハーネス部11bとから構成されている。磁気センサ11は、検出部11aにハーネス部11bが接続されて構成されている。磁気センサ11は、検出部11aが磁気エンコーダ9に対向するようにしてカバー10の円環支持部10bに固定されている。磁気センサ11は、磁気エンコーダ9から検出部11aの略中央の磁気検出素子が配置されている磁気検出位置までの隙間G1が所定のエアギャップ(軸方向すきま)になるように配置されている(図5参照)。磁気センサ11は、ハブ輪3および内輪4と一体的に回転することにより交互に検出部11aの磁気検出位置(磁気検出素子)を通過する磁気エンコーダ9の各磁性の通過時間を検出する。
このように構成される車輪用軸受装置1は、外方部材2とハブ輪3と内輪4と一側ボール列5aと他側ボール列5bとから複列アンギュラ玉軸受が構成され、ハブ輪3が一側ボール列5aと他側ボール列5bを介して外方部材2に回転自在に支持されている。また、車輪用軸受装置1は、外方部材2の一側開口部2aと内輪4との隙間を一側シール部材6で塞がれ、外方部材2の他側開口部2bとハブ輪3との隙間を他側シール部材7で塞がれている。これにより、車輪用軸受装置1は、内部からの潤滑グリースの漏れ、および外部からの雨水や粉塵等の侵入を防止しつつ、外方部材2に支持されているハブ輪3が回転可能に構成されている。さらに、車輪用軸受装置1は、一側シール部材6のスリンガに設けられた磁気エンコーダ9と、外方部材2に設けられたカバー10と、カバー10に設けられた磁気センサ11とから回転速度検出装置8が構成されている。これにより、車輪用軸受装置1は、ハブ輪3および内輪4と一体的に回転する磁気エンコーダ9の磁性の変化を外方部材2に固定されている磁気センサ11により検出することでハブ輪3および内輪4の回転速度を検出可能に構成されている。車輪用軸受装置1は、ハブ輪3の内周面にその一側端部側からトルク伝達用のドライブシャフト12がカバー10の連通孔10cを通じて嵌合されている。
次に、図2から図4を用いて、車輪用軸受装置1に形成される水抜き経路について説明する。本実施形態に係る車輪用軸受装置1において、外方部材2におけるパイロット部2Pの外周面には、ナックル21に取り付けた際の鉛直方向下側に、カバー10の内周面との間に間隙を有する溝状の水抜き経路2fが、ドライブシャフト12の軸心方向に沿って形成される。水抜き経路2fは、カバー10内部に入り込んだ粉塵や泥水等の異物を排出するものである。
このように、本実施形態に係る車輪用軸受装置1によれば、水抜き経路2fがカバー10ではなく外方部材2のパイロット部2Pの外周面に形成される。このため、ドレーン穴が車両下側に位置するように、外方部材2に対するカバー10の周方向位置を合わせる必要がない。これにより、カバー10の外方部材2への組付け作業を簡素化することができる。また、カバー10が周方向に回転してずれた場合でも、水抜き経路2fの位置は変わらないため、水の排出性能が低下することがない。また、カバー10を製造する際にドレーン穴の加工工程が不要となるため、カバー10の製造工数を低減させることができる。さらに、カバー10にドレーン穴が形成されず、水抜き経路2fがパイロット部2Pとカバー10との隙間に形成される構成であるため、ドレーン穴を介して泥水や小石等の異物が侵入することを防止できる。
本実施形態に係る車輪用軸受装置1において、水抜き経路2fは外方部材2のパイロット部2Pを鍛造成形する際に、鍛造により同時に形成する。これにより、水抜き経路2fを加工するための工数を削減することができる。ただし、水抜き経路2fの形成方法は上記に限定されるものではなく、例えば外方部材2のパイロット部2Pを鍛造成形した後に、水抜き経路2fを切削加工することにより形成することも可能である。この場合、水抜き経路2fの寸法精度が良くなるため、薄肉のパイロット部2Pを有する外方部材2に対しても、水抜き経路2fを形成することができる。
また、本実施形態に係る車輪用軸受装置1によれば、外方部材2の車体取り付けフランジ2eにおけるパイロット部2P側の面には、水抜き経路2fと連通される水抜き溝2gが形成されている。このように、本実施形態においては車体取り付けフランジ2eに形成された水抜き溝2gを介して水を排出できるため、車輪用軸受装置1における水の排出性能をより向上させることができる。
また、図5に示す如く、別実施例に係る車輪用軸受装置1によれば、ナックル21において外方部材2の水抜き経路2fに対応する部分(ナックル21が車体取り付けフランジ2eと対向する面における鉛直方向下側)に、水抜き用の凹部21bが形成されている。このように、本実施例に係る車輪用軸受装置1によれば、ナックル21に形成された凹部21bを介して水を排出できるため、水の排出性能をより向上させることができる。
以上の如く、本実施形態に係る車輪用軸受装置1は、ハブ輪3の外周に一側ボール列5aの内側転走面3cが直接形成されている第3世代構造の車輪用軸受装置1として説明したがこれに限定されるものではなく、例えば、ハブ輪3に一対の内輪4が圧入固定された内輪回転の第2世代構造であっても良い。また、上述の実施形態は、本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
本実施形態においては、水抜き経路2fを溝状に形成しているが、水抜き経路はカバー10の内周面との間に間隙を有する構成であれば良く、例えば図6の第二実施形態に係る車輪用軸受装置101に示す如く、パイロット部2Pの外周面に平面状の切欠き部2hを形成して水抜き経路を構成することも可能である。この場合、切欠き部2hと連通される水抜き溝2iは図6の如く、前記実施形態における水抜き溝2gよりも幅広く形成される。このように、水抜き経路を平面状に構成することにより、水抜き経路の加工方法に自由度が出るため、安価な加工方法を選択することが可能となる。なお、本実施形態以降に示す車輪用軸受装置については、前記実施形態に係る車輪用軸受装置1とは水抜き経路及び水抜き溝の形状のみが異なるため、他の部材については同符号を付して詳細な説明を省略している。
また、図7の第三実施形態に係る車輪用軸受装置201に示す如く、パイロット部2Pの外周面に水抜き経路2jを二本形成することも可能である。この場合、図7に示す如く水抜き経路2j・2jと連通される水抜き溝2k・2kも二本形成することが好ましい。このように、水抜き経路2j及び水抜き溝2kをそれぞれ二本形成することにより、一方の水抜き経路2j及び水抜き溝2kにおいて異物等による目詰まりが生じた場合でも、他方の水抜き経路2j及び水抜き溝2kを介して異物を排出することができる。
1 車輪用軸受装置
2 外方部材
2f 水抜き経路
2P パイロット部
3 ハブ輪
4 内輪
10 カバー

Claims (3)

  1. 内周に複列の外側転走面が一体に形成される外方部材と、
    一端部に車輪を取り付けるための車輪取り付けフランジを一体に有し、外周に軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に圧入された少なくとも一つの内輪からなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、
    前記内方部材と前記外方部材のそれぞれの転走面間に転動自在に収容された複列の転動体と、
    前記内方部材のインナー側の端部に設けられる磁気エンコーダと、
    前記外方部材のインナー側に形成された円筒状のパイロット部に嵌合されている円筒状のカバーと、
    検出部が前記磁気エンコーダに対向するようにして前記カバーに設けられる磁気センサと、
    を備えた、車体のナックルに取り付けられる車輪用軸受装置であって、
    前記外方部材における前記パイロット部の外周面には、前記ナックルに取り付けた際の鉛直方向下側に、前記カバーの内周面との間に間隙を有する水抜き経路が形成され
    前記外方部材における前記パイロット部の前記外周面には、半径方向外側に延出されるフランジ部が形成され、
    前記フランジ部における前記パイロット部側の面には、前記水抜き経路と連通される水抜き溝が形成される車輪用軸受装置。
  2. 前記ナックルにおいて前記水抜き経路に対応する部分に、水抜き用の凹部が形成される、請求項1に記載の車輪用軸受装置。
  3. 前記カバーが前記パイロット部に加締められている、請求項1又は請求項2に記載の車輪用軸受装置。
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