本発明を実施するための実施形態について、図面を用いて説明する。本発明は、以下に記載の構成に限定されるものではなく、同一の技術的思想において種々の構成を採用することができる。例えば、以下に示す構成の一部は、省略し又は他の構成等に置換してもよい。他の構成を含むようにしてもよい。
<インクジェット記録装置>
インクジェット記録装置10について、図1〜図4等を参照して説明する。インクジェット記録装置10では、長尺の記録媒体15が搬送され、記録媒体15に画像が記録される。記録媒体15に記録される画像は、第一画像と第二画像である。第一画像は、記録媒体15を装飾する装飾柄となる。第一画像は、例えば、記録媒体15の長手方向に連続した連続模様、又は記録媒体15の長手方向に繰り返された総柄とされる。第二画像は、第一画像とは異なる装飾柄以外の画像である。第二画像に関するこの他の説明は、後述する。図1及び図2で、記録媒体15の記録面16に示す格子柄は、第一画像に対応する。実施形態では、第一画像と第二画像を区別しない場合、又は第一画像と第二画像を総称する場合、単に画像という。記録面16は、画像が記録される記録媒体15の面である。画像の記録に用いられるインク色は、ブラック、マゼンタ、イエロー及びシアンの4色とする。インク色は、これら以外の色であってもよい。インク色数は、3色以下又は5色以上としてもよい。
記録媒体15は、長尺の布帛17を複数継ぎ合わせた長尺の記録媒体である。記録媒体15では、複数の布帛17のうちの2枚の布帛17は、各布帛17の端部を重ね合わせた状態で継ぎ合わされる。例えば、2枚の布帛17は、各布帛17の端辺を揃えた状態で重ね合わされ、端辺より各布帛17の長手方向の内側の位置で接合される。布帛17の端辺は、長手方向において端となる布帛17の辺である。接合方法としては、縫製が例示される。接合方法が縫製とされる場合、前述した例に基づけば、2枚の布帛17は、各布帛17の端辺を揃えた状態で重ね合わされ、端辺より各布帛17の長手方向の内側の位置で、各布帛17の短手方向に縫い合わされる(図2参照)。実施形態では、記録媒体15は、図2に示すように、2枚の布帛17が縫製されて継ぎ合わされた構成とする。2枚の布帛17の縫い合わせには、導電性の糸18が用いられるとする。2枚の布帛17が重ね合わされ糸18によって継ぎ合わされた記録媒体15の部分を、「継ぎ目19」という。図1では、継ぎ目19の図示は、簡略化されている。記録媒体15では、2枚の布帛17を、粘着テープ又はステープラといった締結具によって継ぎ合わせるようにしてもよい。
インクジェット記録装置10は、図1に示すように、搬送部20と、キャリッジ30と、インクジェットヘッド31Y,31M,31C,31Kと、第一検出部40と、第二検出部50と、離間部60と、制御装置90を備える。搬送部20は、記録媒体15を、記録媒体15の長手方向に沿って搬送する。搬送部20によって搬送される記録媒体15は、インクジェットヘッド31Y,31M,31C,31Kを通過する。実施形態では、搬送部20によって記録媒体15が搬送される方向を、「搬送方向」という。搬送方向は、記録媒体15の長手方向に沿った方向である。
搬送部20は、ベルトコンベアである。搬送部20は、一対の搬送ローラ21,22と、無端ベルト23と、モータ25を備える。搬送ローラ21は、キャリッジ30より搬送方向の下流側に設けられる。搬送ローラ22は、キャリッジ30より搬送方向の上流側に設けられる。無端ベルト23は、環状のベルトである。無端ベルト23は、搬送ローラ21,22に、張力が作用した状態で架け渡される。無端ベルト23が搬送ローラ21,22に架け渡された状態において、搬送面24は、搬送ローラ21,22の間で、水平な状態となる。搬送面24は、無端ベルト23の外周面によって形成される。記録媒体15は、搬送面24に載せ置かれる。
モータ25は、搬送ローラ21に連結される。モータ25としては、例えば、エンコーダ26を備えるサーボモータが採用される。モータ25は、搬送ローラ21を搬送方向に対応する方向に回転させる。モータ25の回転は、一定の回転速度とされる。無端ベルト23は、搬送ローラ21の回転に伴い、搬送方向に対応する方向に回転する。搬送ローラ22は、無端ベルト23の回転に従動して、搬送方向に対応する方向に回転する。図1で、搬送ローラ21の内部に示す矢印は、搬送ローラ21の回転方向を示す。エンコーダ26は、モータ25の回転量を計測する。エンコーダ26は、モータ25の回転量に応じたパルス信号を出力する。このパルス信号は、制御装置90に入力される。
インクジェット記録装置10では、公知のインクジェット記録装置と同様、粘着部と押圧部と剥離部を設けるようにしてもよい。粘着部は、搬送面24に全周に亘って設けられる。押圧部は、搬送部20の搬送方向の上流側の端部に設けられ、搬送部20に供給された記録媒体15を粘着部が設けられた搬送面24に押圧する。記録媒体15は、粘着部によって搬送面24に固定された状態で、搬送方向に搬送される。剥離部は、キャリッジ30より搬送方向の下流側に設けられ、記録媒体15を搬送面24から剥離する。図1では、粘着部と押圧部と剥離部の図示は、省略されている。インクジェット記録装置10では、公知のインクジェット記録装置と同様の粘着部と押圧部と剥離部を採用することができる。従って、粘着部と押圧部と剥離部に関するこの他の説明は、省略する。
キャリッジ30には、インクジェットヘッド31Y,31M,31C,31Kが、搬送方向に隣り合った状態で搭載される。インクジェット記録装置10では、インクジェットヘッド31Y,31M,31C,31Kは、搬送方向に、インクジェットヘッド31Y、インクジェットヘッド31M、インクジェットヘッド31C、インクジェットヘッド31Kの順で設けられている。インクジェットヘッド31Y,31M,31C,31Kの搬送方向の配置順は、前述した配置順とは異なる順序としてもよい。これらの配置順は、諸条件を考慮して適宜決定される。
インクジェットヘッド31Y,31M,31C,31Kは、キャリッジ30に搭載された状態で、搬送部20の上方に設けられる。インクジェットヘッド31Yは、イエローインクを吐出するインクジェットヘッドである。インクジェットヘッド31Mは、マゼンタインクを吐出するインクジェットヘッドである。インクジェットヘッド31Cは、シアンインクを吐出するインクジェットヘッドである。インクジェットヘッド31Kは、ブラックインクを吐出するインクジェットヘッドである。インクジェットヘッド31Y,31M,31C,31Kによれば、記録媒体15にフルカラーの画像を記録することができる。インクジェットヘッド31Y,31M,31C,31Kは、同様の構成を有する。各色のインクは、色毎のインクタンクに貯留され、各色用のインク流路を流れて、インクジェットヘッド31Y,31M,31C,31Kのうち、対応する色のインクジェットヘッドにそれぞれ供給される。図1では、各色用のインクタンクと各色用のインク流路の図示は、省略されている。
インクジェットヘッド31Y,31M,31C,31Kは、図3に示すように、複数のノズル32を含む。複数のノズル32は、吐出面33に設けられる。吐出面33は、鉛直方向の下側となるインクジェットヘッド31Y,31M,31C,31Kの面である。吐出面33は、搬送部20の搬送面24に対向する。吐出面33は、搬送面24に対して平行な状態とされる。インクジェットヘッド31Y,31M,31C,31Kは、ライン型のインクジェットヘッドである。ライン型のインクジェットヘッド31Y,31M,31C,31Kでは、複数のノズル32は、幅方向に配列される。幅方向は、搬送方向に直交する方向である。幅方向は、記録媒体15の長手方向に直交し、記録媒体15の短手方向に一致する。幅方向に配列されたノズル32によるノズル列を、搬送方向に複数列配置するようにしてもよい。図3に示すインクジェットヘッド31Y,31M,31C,31Kにおける複数のノズル32の配置及び数は例示である。従って、複数のノズル32の配置及び数は、図3とは異なる態様であってもよい。複数のノズル32の配置及び数は、諸条件を考慮して適宜決定される。
第一検出部40は、記録媒体15の継ぎ目19を検出するセンサである。記録媒体15が導電性の糸18によって布帛17の端部同士を継ぎ合わせて形成される場合(図2参照)、第一検出部40は、2個の電気接点を備える。搬送部20による記録媒体15の搬送に応じて、継ぎ目19が第一検出部40の位置を通過する際、2個の電気接点には、糸18が接触する。これに伴い、2個の電気接点の間を電流が流れる。第一検出部40では、2個の電気接点の間を流れる電流によって、継ぎ目19が検出される。
第二検出部50は、記録媒体15の凸部のうちの特定の凸部を検出するセンサである。記録媒体15の凸部は、搬送状態で記録媒体15に生じた吐出面33の側に突出した記録媒体15の部分である。搬送状態は、記録媒体15が搬送部20によって搬送されている状態である。第二検出部50の検出対象とされる前述の特定の凸部は、搬送面24及び吐出面33に垂直な方向において吐出面33までの距離が基準値より小さくなる記録媒体15の部分である。換言すれば、前述の特定の凸部は、搬送面24及び吐出面33に垂直な方向において搬送面24からの寸法が、記録媒体15の厚みTより大きな所定の値を超える記録媒体15の部分である。
インクジェット記録装置10では、搬送面24及び吐出面33に垂直な方向は、鉛直方向である。実施形態では、搬送面24及び吐出面33に垂直な方向を、鉛直方向として説明する。厚みTは、継ぎ目19を除く記録媒体15の部分の厚みである(図2及び図4参照)。換言すれば、厚みTは、布帛17の厚みである。基準値は、第一間隔G1(図4参照)と厚みTの差分値未満の所定の値とされる。例えば、基準値は、「第一間隔G1−厚みT」の5%〜95%の所定の値とされる。基準値は、諸条件を考慮して適宜設定される。実施形態における以下の説明では、第二検出部50の検出対象とされる上述の特定の凸部を、「記録媒体15の凸部」という。
記録媒体15の凸部には、継ぎ目19が含まれる。継ぎ目19の高さH(図2及び図4参照)は、一定とはならず変化することがある。例えば、記録媒体15において、糸18が布帛17の端辺より各布帛17の長手方向の内側に湾曲した状態である場合、継ぎ目19の高さHは、糸18が布帛17の短手方向に沿った直線的である場合(図2参照)と比較し、高くなる。この他、記録媒体15(布帛17)の短手方向に沿って直線的に縫製される場合であっても、端辺が揃えられた2枚の布帛17で、糸18によって縫製される布帛17の長手方向の位置がばらつくことで、継ぎ目19の高さHは、変化する。この他、記録媒体15の凸部としては、記録媒体15に生じた皺、折り目又は捩れが例示される。更に、記録媒体15の凸部としては、継ぎ目19での布帛17の端部の解れ、又は布帛17の表面から浮き上がった状態で縫製された糸18が例示される。
インクジェット記録装置10では、第二検出部50として、2個の検出部が設けられる。実施形態では、第二検出部50として設けられる2個の検出部のうちの1個を、「第三検出部51」といい、他の1個を、「第四検出部52」という。第三検出部51と第四検出部52を区別しない場合、又は第三検出部51と第四検出部52を総称する場合、「第二検出部50」という。上述した基準値は、第三検出部51と第四検出部52で異なる値としてもよい。第三検出部51及び第四検出部52として採用可能なセンサとしては、光電センサが例示される。光電センサとしては、例えば、透過型の光電センサと回帰反射型の光電センサが実用化されている。
透過型の光電センサは、投光部と受光部を備える。透過型の光電センサでは、検出対象が、投光部と受光部が対向して設けられた位置を通過することで、投光部からの光が、検出対象によって遮られる。透過型の光電センサによれば、遮光率から遮光高さが換算され、検出対象の高さ又は検出対象の高さに対応する情報を特定することができる。但し、透過型の光電センサでは、検出対象が投光部からの光の遮光量が小さくなる形状である場合、検出精度が低下することがある。回帰反射型の光電センサは、投受光部と、反射体を備える。投受光部は、投光部と受光部が一体をなした構成である。投受光部は、光を投光すると共に、反射体で反射した光を受光する。従って、投受光部からの光は、反射体までの往路と反射体からの復路で、検出対象によって遮光される。回帰反射型の光電センサによれば、透過型の光電センサでは検出精度が低下し易い検出対象を、安定して検出することが可能となる。透過型の光電センサと回帰反射型の光電センサは、上述した通り、公知の光電センサである。従って、透過型の光電センサと回帰反射型の光電センサに関するこの他の説明は、省略する。
第三検出部51と第四検出部52としては、上述したような異なるタイプの光電センサを採用することができる。例えば、第三検出部51として、透過型の光電センサを採用し、第四検出部52として、回帰反射型の光電センサを採用するようにしてもよい。但し、第三検出部51及び第四検出部52は、同種の光電センサとしてもよい。この他、第三検出部51又は第四検出部52は、光電センサとは異なる非接触式のセンサとしてもよい。
第一検出部40と第三検出部51と第四検出部52は、搬送方向に、第三検出部51、第一検出部40、第四検出部52の順で設けられている。第一検出部40と第三検出部51と第四検出部52の搬送方向の配置順は、前述した配置順とは異なる順序としてもよい。これらの配置順は、諸条件を考慮して適宜決定される。第一検出部40と第三検出部51と第四検出部52のうち、搬送方向の最下流側に設けられる第四検出部52の搬送方向の位置は、搬送部20での記録媒体15の搬送速度と、搬送面24と吐出面33の間の第一間隔G1を第二間隔G2(図4参照)とするのに要する時間に基づき適宜決定される。第一間隔G1と第二間隔G2については、後述する。
離間部60は、搬送部20とインクジェットヘッド31Y,31M,31C,31Kを相対移動させる。インクジェット記録装置10では、キャリッジ30を移動させることで、搬送部20とインクジェットヘッド31Y,31M,31C,31Kの相対移動が実現される。インクジェットヘッド31Y,31M,31C,31Kが搭載されたキャリッジ30の移動方向は、搬送面24及び吐出面33に垂直な鉛直方向とされる。離間部60による移動は、搬送面24と吐出面33の間が第一間隔G1から第二間隔G2(第一間隔G1<第二間隔G2 図4参照)となる範囲で行われる。
第一間隔G1は、記録媒体15に第一画像を記録する場合の搬送面24と吐出面33の間の鉛直方向の間隔である。第一間隔G1は、記録媒体15に第一画像を好適な品質で記録するために必要となる記録面16と吐出面33の間の間隔に基づき適宜設定される。即ち、第一間隔G1は、記録媒体15の厚みTに従って変化する。第二間隔G2は、吐出面33と記録媒体15の凸部の接触を回避できる距離として予め定められる。第二間隔G2の設定には、想定される記録媒体15の凸部の鉛直方向の寸法が考慮される。記録媒体15の凸部が継ぎ目19である場合、前述の寸法は、継ぎ目19の高さH(図2及び図4参照)である。
離間部60は、ガイド部61,62,63と、駆動部66を備える。ガイド部61,62,63は、シャフト64とリニアブッシュ65を組み合わせた構成とされる。但し、ガイド部61,62,63は、シャフト64とリニアブッシュ65とは異なる公知の装置による構成としてもよい。例えば、ガイド部61,62,63として、ボールスプラインを採用するようにしてもよい。シャフト64は、鉛直方向に沿った状態で設けられる。シャフト64は、例えば、インクジェット記録装置10が備えるフレームに固定される。図1では、前述のフレームの図示は、省略されている。リニアブッシュ65は、キャリッジ30に固定される。キャリッジ30に固定されたリニアブッシュ65には、鉛直方向に沿った状態のシャフト64が通される。
駆動部66は、ボールねじ67とモータ70を組み合わせた構成とされる。但し、駆動部は、ボールねじ67とモータ70とは異なる公知の装置による構成としてもよい。例えば、駆動部は、ボールスプラインとエアシリンダを組み合わせた構成としてもよい。ボールねじ67は、ナット部68とねじ軸69を備える。ナット部68は、キャリッジ30に固定される。ねじ軸69には、モータ70が連結される。モータ70としては、例えば、エンコーダ71を備えるサーボモータが採用される。エンコーダ71は、モータ70の回転量を計測する。エンコーダ71は、モータ70の回転量に応じたパルス信号を出力する。このパルス信号は、制御装置90に入力される。
モータ70は、ねじ軸69を回転させる。図1で、ねじ軸69の外周に示す矢印は、ねじ軸69の回転方向を示す。モータ70によって、ねじ軸69が所定の方向に回転すると、ナット部68は、鉛直方向の上側に移動する。キャリッジ30は、ナット部68の鉛直方向の上側への移動に伴い、ナット部68と同じ方向に同じ量移動する。モータ70の回転量は、「第二間隔G2−第一間隔G1」に対応する量とされる。これに伴い、搬送面24と吐出面33の間の鉛直方向の間隔は、第一間隔G1から第二間隔G2へと変化する。モータ70によって、ねじ軸69が前述した方向とは反対の方向に回転すると、ナット部68は、鉛直方向の下側に移動する。キャリッジ30は、ナット部68の鉛直方向の下側への移動に伴い、ナット部68と同じ方向に同じ量移動する。モータ70の回転量は、前述した場合と反対方向に同じ量とされる。これに伴い、搬送面24と吐出面33の間の鉛直方向の間隔は、第二間隔G2から第一間隔G1へと変化する。実施形態では、第二間隔G2と第一間隔G1の差分の絶対値を、「設定量」という。
実施形態では、3個のガイド部61,62,63と1個の駆動部66を備える離間部60を例として説明する。但し、ガイド部と駆動部の数は、これとは異なるようにしてもよい。ガイド部と駆動部の数は、諸条件を考慮して適宜決定される。キャリッジ30におけるガイド部61,62,63と駆動部66の配置は、諸条件を考慮して適宜決定される。
制御装置90は、接続インターフェース91と、CPU92と、記憶装置93と、RAM94を備える。実施形態では、接続インターフェース91を「接続I/F91」と記載する。接続I/F91は、制御装置90に、所定の外部装置を接続するインターフェースである。例えば、接続I/F91には、第一検出部40と第三検出部51と第四検出部52とエンコーダ26,71が、信号ケーブルを介して接続される。この他、接続I/F91には、パーソナルコンピュータのような情報処理装置が接続される。図1では、前述した信号ケーブルを含む各種の信号ケーブルと情報処理装置の図示は、省略されている。
CPU92は、演算処理を実行し、インクジェット記録装置10で実行される各種の処理を実行する。CPU92は、インクジェット記録装置10を制御する制御部として機能する。CPU92は、第一検出部40による継ぎ目19の検出と、第三検出部51による記録媒体15の凸部の検出と、第四検出部52による記録媒体15の凸部の検出を制御する。第一検出部40による継ぎ目19の検出と第三検出部51及び第四検出部52による記録媒体15の凸部の検出は、例えば、次のような方法によって判断される。
第一検出部40では、2個の電気接点の間を流れる電流が計測され、計測された電流値に対応する検出信号が出力される。第一検出部40からの検出信号は、接続I/F91を介して制御装置90に入力される。CPU92は、接続I/F91を介して第一検出部40からの検出信号を取得する。CPU92は、第一検出部40からの検出信号に従い、継ぎ目19の有無を判断する。第三検出部51では、検出値に対応する検出信号が出力される。第三検出部51からの検出信号は、接続I/F91を介して制御装置90に入力される。CPU92は、接続I/F91を介して第三検出部51からの検出信号を取得する。CPU92は、第三検出部51からの検出信号に従い、記録媒体15の凸部の有無を判断する。第四検出部52では、検出値に対応する検出信号が出力される。第四検出部52からの検出信号は、接続I/F91を介して制御装置90に入力される。CPU92は、接続I/F91を介して第四検出部52からの検出信号を取得する。CPU92は、第四検出部52からの検出信号に従い、記録媒体15の凸部の有無を判断する。
記憶装置93は、例えば、不揮発性のメモリ及び/又はハードディスクによって構成される。記憶装置93には、インクジェット記録装置10で実行される各種の処理のプログラムが記憶される。例えば、後述する記録処理(図5及び図6参照)のプログラムが記憶される。記憶装置93には、第二画像データが記憶される。第二画像データは、第二画像に対応する画像データである。第二画像データは、ノズル32の詰まりを解消させるメンテナンス用の画像データである。第二画像データに従った第二画像の記録によれば、インクジェットヘッド31Y,31M,31C,31Kに設けられた全てのノズル32から、各色のインクが1回又は所定の回数連続して吐出される。RAM94は、CPU92が記憶装置93に記憶されたプログラムを実行する際の作業領域となる。RAM94には、処理の実行途中に所定のデータが記憶される。
インクジェット記録装置10は、上述した構成の他、供給部と、回収部を備える。図1では、供給部と回収部の図示は、省略されている。供給部には、記録媒体15がセットされる。供給部にセットされた記録媒体15は、供給部から送出される。供給部は、公知のインクジェット記録装置が備える供給部と同様の構成を有する。従って、供給部に関するこの他の説明は、省略する。供給部から送出された記録媒体15は、搬送部20に供給される。搬送部20によって搬送される記録媒体15には、インクジェットヘッド31Y,31M,31C,31Kで記録面16に画像が記録される。その後、記録媒体15は、搬送部20を通過し、回収部で回収される。回収部は、公知のインクジェット記録装置が備える回収部と同様の構成を有する。従って、回収部に関するこの他の説明は、省略する。
<記録処理>
記録処理について、図5及び図6を参照して説明する。記録処理は、インクジェット記録装置10で、第一画像を記録媒体15に記録させる処理である。制御装置90には、第一画像の記録の開始指示が入力される。開始指示は、接続I/F91に接続された情報処理装置から出力される。CPU92は、接続I/F91を介して開始指示を取得する。CPU92は、開始指示の取得に応じて、記録処理を開始させる。インクジェット記録装置10では、記録処理の開始に合わせて、搬送部20が駆動を開始させ、記録媒体15の搬送が開始される。記録処理の開始時、キャリッジ30は、搬送面24と吐出面33の間が第一間隔G1となる位置に設けられる(図4参照)。
記録処理を開始させたCPU92は、第一画像の記録を開始させる(S1)。第一画像の記録は、第一画像データに従い実行される。CPU92は、第一画像データを取得する。第一画像データは、開始指示と共に情報処理装置から出力され、制御装置90に入力される。CPU92は、接続I/F91を介して第一画像データを取得する。但し、第一画像データは、記憶装置93に記憶されていてもよい。この場合、CPU92は、記憶装置93から第一画像データを読み出す。インクジェットヘッド31Y,31M,31C,31Kでは、第一画像データに従い、各色のインクが、インクジェットヘッド31Y,31M,31C,31Kの各ノズル32から吐出される。吐出された各色のインクは、記録面16に着弾する。これに伴い、第一画像が、記録媒体15に記録される。
CPU92は、S1での第一画像の記録の開始に合わせ、第一画像の記録量のカウントを開始する。カウントされた第一画像の記録量は、RAM94に記憶される。CPU92は、記録処理の開始時、第一画像の記録量を初期化する。記録量は、第一画像が記録された量に対応する所定の量である。実施形態では、記録量は、モータ25の回転量とする。モータ25の回転量によれば、搬送部20によって搬送される記録媒体15の搬送量を特定することができる。第一画像は、記録媒体15に記録される。従って、記録媒体15の搬送量は、第一画像が記録された量に対応する。制御装置90には、搬送部20の駆動に応じて、エンコーダ26からのパルス信号が入力される。CPU92は、接続I/F91を介して取得されるパルス信号から、モータ25の回転量を取得する。CPU92は、第一画像の記録量として、モータ25の回転量をカウントする。第一画像の記録量は、第一画像の記録の継続時間としてもよい。この場合、S1の実行に伴い、時間の経過がカウントされる。
次に、CPU92は、第三検出部51で記録媒体15の凸部が検出されたか否かを判断する(S3)。この判断は、上述したように行われる。第三検出部51で記録媒体15の凸部が検出されていない場合(S3:No)、CPU92は、処理をS11に移行する。第三検出部51で記録媒体15の凸部が検出された場合(S3:Yes)、CPU92は、離間部60に離間動作を実行させる(S5)。CPU92は、離間動作の開始に際し、実行中の第一画像の記録を停止させる。CPU92は、モータ70に第一指令を出力する。第一指令は、モータ70を回転させる指令である。第一指令によるモータ70の回転方向は、ねじ軸69がナット部68が鉛直方向の上側に移動する方向に回転することとなる方向である。モータ70は、第一指令に応じて、前述した方向への回転を開始させる。これに伴い、キャリッジ30は、鉛直方向の上側に移動する。制御装置90には、エンコーダ71からのパルス信号が入力される。CPU92は、接続I/F91を介して取得されるパルス信号から、モータ70の回転量を取得する。CPU92は、モータ70の回転量をカウントする。CPU92は、モータ70の回転量が設定量となった場合、モータ70に第二指令を出力する。第二指令は、回転中のモータ70を停止させる指令である。モータ70は、第二指令に応じて停止する。これに伴い、キャリッジ30は、搬送面24と吐出面33が第二間隔G2となる位置に配置される(図4参照)。
S5を実行した後、CPU92は、再度、第三検出部51で記録媒体15の凸部が継続して検出されているか否かを判断する(S7)。第三検出部51で記録媒体15の凸部が検出されている場合(S7:Yes)、CPU92は、S7を繰り返し実行する。第三検出部51で記録媒体15の凸部が検出されていない場合(S7:No)、CPU92は、離間部60に復帰動作を実行させる(S9)。CPU92は、モータ70に第三指令を出力する。第三指令は、モータ70を回転させる指令である。第三指令によるモータ70の回転方向は、第一指令とは反対の方向である。即ち、第三指令によるモータ70の回転方向は、ねじ軸69がナット部68が鉛直方向の下側に移動する方向に回転することとなる方向である。
第三指令の出力は、第三検出部51で記録媒体15の凸部が検出されなくなったタイミングから、次に記載の時間が経過したタイミングで実行されるようにするとよい。前述の時間は、第三検出部51で検出された記録媒体15の凸部が、第三検出部51が設けられた位置からインクジェットヘッド31K(キャリッジ30)を通過した位置まで搬送されるのに要する時間である。モータ70は、第三指令に応じて、前述した方向への回転を開始させる。これに伴い、キャリッジ30は、鉛直方向の下側に移動する。制御装置90には、エンコーダ71からのパルス信号が入力される。CPU92は、接続I/F91を介して取得されるパルス信号から、モータ70の回転量を取得する。CPU92は、モータ70の回転量をカウントする。CPU92は、モータ70の回転量が設定量となった場合、モータ70に第二指令を出力する。モータ70は、第二指令に応じて停止する。これに伴い、キャリッジ30は、搬送面24と吐出面33が第一間隔G1となる位置に配置される(図4参照)。その後、CPU92は、処理をS23に移行する。
S11でCPU92は、第一検出部40で継ぎ目19が検出されたか否かを判断する。この判断は、上述したように行われる。継ぎ目19が検出されていない場合(S11:No)、CPU92は、処理を図6のS25に移行する。継ぎ目19が検出された場合(S11:Yes)、CPU92は、第四検出部52で記録媒体15の凸部が検出されたか否かを判断する(S13)。この判断は、上述したように行われる。第四検出部52で記録媒体15の凸部が検出されていない場合(S13:No)、CPU92は、処理を図6のS27に移行する。
第四検出部52で記録媒体15の凸部が検出された場合(S13:Yes)、CPU92は、離間部60に離間動作を実行させる(S15)。CPU92は、離間動作の開始に際し、実行中の第一画像の記録を停止させる。S15によって、キャリッジ30は、搬送面24と吐出面33が第二間隔G2となる位置に配置される(図4参照)。S15は、上述したS5と同じ処理手順である。従って、CPU92は、S5に関連して説明した通り、S15を実行する。S15に関するこの他の説明は、省略する。
続けて、CPU92は、第二画像を記録させる(S17)。第二画像の記録は、第二画像データに従い実行される。CPU92は、記憶装置93から第二画像データを読み出す。インクジェットヘッド31Y,31M,31C,31Kでは、第二画像データに従い、各色のインクが、インクジェットヘッド31Y,31M,31C,31Kに設けられた全てのノズル32から吐出される。吐出された各色のインクは、記録面16のうち、S11で検出(S11:Yes参照)された継ぎ目19と記録媒体15の長手方向に隣り合う所定の領域Rに着弾する。記録面16には、第二画像が、継ぎ目19と長手方向に隣り合った状態で記録される(図2参照)。S17では、第二画像データに従った第二画像の記録は、予め設定された一定回数実行される。例えば、第二画像の記録は、1回実行される。この場合、1個の第二画像が記録される。CPU92は、第二画像の記録に伴い、RAM94に記憶された第一画像の記録量を初期化する。
S17を実行した後、CPU92は、再度、第四検出部52で記録媒体15の凸部が継続して検出されているか否かを判断する(S19)。第四検出部52で記録媒体15の凸部が検出されている場合(S19:Yes)、CPU92は、S19を繰り返し実行する。第四検出部52で記録媒体15の凸部が検出されていない場合(S19:No)、CPU92は、離間部60に復帰動作を実行させる(S21)。S21によって、キャリッジ30は、搬送面24と吐出面33が第一間隔G1となる位置に配置される(図4参照)。S21は、上述したS9と同じ処理手順である。従って、CPU92は、S9に関連して説明した通り、S21を実行する。但し、S21での第三指令の出力は、第四検出部52で記録媒体15の凸部が検出されなくなったタイミングから、次に記載の時間が経過したタイミングで実行されるようにするとよい。前述の時間は、第四検出部52で検出された記録媒体15の凸部が、第四検出部52が設けられた位置からインクジェットヘッド31K(キャリッジ30)を通過した位置まで搬送されるのに要する時間である。S21に関するこの他の説明は、省略する。その後、CPU92は、処理をS23に移行する。
S23でCPU92は、終了指示が取得されたか否かを判断する。終了指示は、記録処理を終了させる指示である。終了指示は、接続I/F91に接続された情報処理装置から出力される。CPU92は、接続I/F91を介して終了指示を取得する。終了指示が取得された場合(S23:Yes)、CPU92は、記録処理を終了する。これに伴い、インクジェットヘッド31Y,31M,31C,31Kでは、各ノズル32からの各色のインクの吐出が停止される。搬送部20は、停止する。終了指示が取得されていない場合(S23:No)、CPU92は、処理をS1に戻す。その後、CPU92は、S1以降の処理を、上記同様に実行する。
図6のS25でCPU92は、第一画像の記録量が第一量以上であるか否かを判断する。第一量は、第一画像の記録が継続される場合に、第二画像を定期的に記録させる間隔として予め設定される。例えば、第一量は、第一画像の記録に用いられるインクの特性を考慮して適宜設定される。前述のインクの特性としては、インクの粘度の変化率が例示される。インクの溶媒が蒸発し易い場合、第一量は、溶媒が蒸発し難いインクと比較し、小さな値に設定される。この場合、第二画像が記録される間隔は、短くなる。第一量は、記録処理のプログラムに登録される。S25での判断条件は、「記録量>第一量」としてもよい。CPU92は、記憶装置93に記憶された記録処理のプログラムから、第一量を取得する。CPU92は、RAM94に記憶された第一画像の記録量を、取得された第一量と比較する。第一画像の記録量が第一量以上である場合(S25:Yes)、CPU92は、処理をS29に移行する。第一画像の記録量が第一量以上でない場合(S25:No)、CPU92は、処理をS31に移行する。
図6のS27でCPU92は、第一画像の記録量が第二量以上であるか否かを判断する。第二量は、第一量に近似した第一量未満の所定の値に設定される。例えば、第二量は、第一量の80%以上、100%未満の所定の値に設定される。第二量は、記録処理のプログラムに登録される。S27での判断条件は、「記録量>第二量」としてもよい。CPU92は、記憶装置93に記憶された記録処理のプログラムから、第二量を取得する。CPU92は、RAM94に記憶された第一画像の記録量を、取得された第二量と比較する。第一画像の記録量が第二量以上である場合(S27:Yes)、CPU92は、処理をS29に移行する。第一画像の記録量が第二量以上でない場合(S27:No)、CPU92は、処理をS31に移行する。
S29でCPU92は、第二画像を記録させる。S29は、上述した図5のS17と同じ処理手順である。従って、CPU92は、S17に関連して説明した通り、S29を実行する。S29がS25に続けて実行されている場合、第二画像は、継ぎ目19とは関わりのない記録面16の所定の位置に記録される。S29がS27に続けて実行されている場合、第二画像は、図5のS17の場合と同様、継ぎ目19と長手方向に隣り合った状態で記録される(図2参照)。S29に関するこの他の説明は、省略する。CPU92は、第二画像の記録に伴い、RAM94に記憶された第一画像の記録量を初期化する。その後、CPU92は、処理を図5のS23に移行する。
S31でCPU92は、終了指示が取得されたか否かを判断する。S31は、上述したS23と同じ処理手順である。CPU92は、上述した通り、接続I/F91を介して終了指示を取得する。終了指示が取得された場合(S31:Yes)、CPU92は、図5のS23の場合と同様、記録処理を終了する。終了指示が取得されていない場合(S31:No)、CPU92は、処理を図5のS3に移行する。その後、CPU92は、S3以降の処理を上記同様に実行する。この場合、前回のS1で開始させた第一画像の記録は、継続される。
<実施形態の効果>
実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
(1)インクジェット記録装置10は、第一検出部40と、第二検出部50と、制御装置90を備える(図1参照)。第一検出部40では、継ぎ目19が検出される。第二検出部50では、記録媒体15の凸部が検出される。制御装置90では、CPU92によって、記録処理が実行される(図5及び図6参照)。記録処理では、第一検出部40で継ぎ目19が検出されず、第二検出部50で記録媒体15の凸部が検出されない場合、第一状態によるインクの吐出が繰り返し実行される(図5のS1、S3及びS11:No、図6のS25及びS31:No参照)。第一状態は、記録媒体15に第一画像を記録している状態である(図1参照)。即ち、第一状態では、インクが、複数のノズル32から記録媒体15を装飾する所定の柄の第一画像の記録に対応させて吐出される。
第一状態によるインクの吐出が実行されている状態で、第一検出部40で継ぎ目19が検出され、第四検出部52で検出済みの継ぎ目19が記録媒体15の凸部として検出されない場合、第一状態によるインクの吐出は、継続される(図5のS11:Yes、S13:No、図6のS27及びS31:No参照)。そのため、継ぎ目19が吐出面33までの距離が基準値より小さくならない凸部である場合、第一画像の記録を継続させることができる。記録媒体15における第一画像の記録面積を増加させることが可能となる。
第一状態によるインクの吐出が実行されている状態で、第一検出部40で継ぎ目19が検出され、第四検出部52で検出済みの継ぎ目19が記録媒体15の凸部として検出された場合、第二状態によるインクの吐出が実行される(図5のS11及びS13:Yes、S17参照)。第二状態は、記録媒体15に第二画像を記録している状態である。即ち、第二状態では、各色のインクが、インクジェットヘッド31Y,31M,31C,31Kに設けられた全てのノズル32から、1回又は所定の回数連続して吐出される。そのため、継ぎ目19が吐出面33までの距離が基準値より小さくなる凸部である場合、第二画像の記録に対応させたインクの吐出を、吐出面33までの距離が基準値より小さくなる継ぎ目19と長手方向に隣り合った記録媒体15の領域Rに向けて行うことができる。つまり、前述した記録媒体15の領域Rを利用し、インクジェットヘッド31Y,31M,31C,31Kに設けられた全てのノズル32の詰まりを抑制することができる。記録媒体15に、第一画像を高品質に記録することができる。
第一状態によるインクの吐出が実行されている状態で、第三検出部51で記録媒体15の凸部が検出された場合、離間動作の実行に際し、第一吐出状態によるインクの吐出が停止される(図5のS3:Yes、S5参照)。即ち、第三検出部51で記録媒体15の凸部が検出された場合、第一画像の記録を停止させることができる。
(2)インクジェット記録装置10では、第一画像が記録される場合、第一画像の記録量がカウントされる。記録処理では、第一検出部40で継ぎ目19が検出されず、第二検出部50で記録媒体15の凸部が検出されず、第一状態によるインクの吐出が繰り返し実行された結果、第一画像の記録量が第一量以上となった場合、第二状態によるインクの吐出が実行される(図5のS1、S3及びS11:No、図6のS25:Yes、S29参照)。そのため、第一量に応じた一定間隔で、第二画像の記録に対応させたインクの吐出を実行させることができる。
記録処理では、第一検出部40で継ぎ目19が検出され、第四検出部52で検出済みの継ぎ目19が記録媒体15の凸部として検出されない場合で、且つ第一画像の記録量が第二量以上となった場合、第二状態によるインクの吐出が実行される(図5のS1、S3:No、S11:Yes、S13:No、図6のS27:Yes、S29参照)。そのため、第一画像の記録量が第一量に近似した第二量である場合、第二画像の記録に対応させたインクの吐出を、継ぎ目19と長手方向に隣り合った記録媒体15の領域Rに向けて行うことができる。この場合、前述の継ぎ目19は、吐出面33までの距離が基準値より小さくならない凸部である。
(3)記録処理では、第二検出部50で記録媒体15の凸部が検出された場合、離間動作が実行される(図5のS3:Yes、S5、S13:Yes、S15参照)。そのため、インクジェットヘッド31Y,31M,31C,31Kへの記録媒体15の接触を回避することができる。
<変形例>
実施形態は、次のようにすることもできる。以下に示す変形例のうちの幾つかの構成は、適宜組み合わせて採用することもできる。以下では上記とは異なる点を説明することとし、同様の点についての説明は、適宜省略する。
(1)第二画像は、インクジェットヘッド31Y,31M,31C,31Kに設けられた全てのノズル32から1回又は所定の回数連続して吐出された各色のインクによって形成された画像とされる。即ち、上記における第二画像は、インクジェットヘッド31Y,31M,31C,31Kに設けられた全てのノズル32の詰まりを解消するための画像である。第二画像は、このような画像とは異なる画像としてもよい。例えば、第二画像は、検査画像としてもよい。検査画像は、インクジェットヘッド31Y,31M,31C,31Kに設けられた各ノズル32からのインクの吐出状態を判定するための画像である。インクジェットヘッド31Y,31M,31C,31Kでは、第二画像としての検査画像に対応する第二画像データに従い、各色のインクが、インクジェットヘッド31Y,31M,31C,31Kに設けられた全てのノズル32から吐出される。
第二画像が検査画像である場合、インクジェット記録装置10には、撮像部が設けられる。撮像部は、搬送方向の最下流側に設けられるインクジェットヘッド31K(キャリッジ30)より搬送方向の下流側に設けられる。撮像部は、記録媒体15に記録された第二画像としての検査画像を撮像する。幅方向において、撮像部による撮像範囲は、第二画像の寸法以上の範囲とされる。CPU92は、撮像部で撮像された第二画像を基準画像と比較し、インクの吐出状態を判定する。検査画像による吐出状態の判定は、公知の技術である。従って、第二画像としての検査画像と検査画像による吐出状態の判定に関するこの他の説明は、省略する。
(2)インクジェット記録装置10は、記録媒体15の凸部を検出する第二検出部50として、第三検出部51と第四検出部52を備える。第三検出部51又は第四検出部52は、省略するようにしてもよい。この場合、記録媒体15の凸部を検出する第二検出部50は、第三検出部51及び第四検出部52の何れか1個の検出部とされる。第三検出部51が省略される場合、記録処理(図5及び図6参照)では、図5のS3〜S9は、省略される。第四検出部52が省略される場合、図5のS13と図6のS27は、省略される。図5のS11が肯定された場合(S11:Yes参照)、S15以降の処理手順が上記同様に実行される。第四検出部52が省略される場合、S15以降の処理手順は、次のような場合に実行されるようにしてもよい。即ち、記録処理では、継ぎ目19の検出数がカウントされる。図5のS11が肯定された場合(S11:Yes参照)、CPU92は、継ぎ目19の検出数を1アップさせる。カウントされた継ぎ目19の検出数は、RAM94に記憶される。続けて、CPU92は、継ぎ目19の検出数が、予め設定された回数以上であるか否か又は予め設定された回数より大きな値であるか否かを判断する。判断条件となる前述の回数は、例えば、2以上の所定の値に設定される。但し、前述の回数は、1に設定されてもよい。前述の回数は、任意の値に変更可能とするようにしてもよい。継ぎ目19の検出数が、予め設定された回数以上である場合又は予め設定された回数より大きな値である場合、CPU92は、処理をS15に移行する。継ぎ目19の検出数が、予め設定された回数以上でない場合又は予め設定された回数より大きな値でない場合、CPU92は、処理を図5のS3に戻す、又は図6のS31に移行する。継ぎ目19の検出数は、記録処理の開始時、初期化される。その後、継ぎ目19の検出数は、図5のS17又は図6の29による第二画像の記録に伴い、初期化される。
(3)インクジェット記録装置10は、ライン型のインクジェットヘッド31Y,31M,31C,31Kを備える(図1及び図3参照)。インクジェット記録装置としては、シリアル型のインクジェット記録装置も実用化されている。シリアル型のインクジェット記録装置では、各色用のインクジェットヘッドが搭載されたキャリッジは、幅方向に往復移動される。幅方向は、上述した通り、搬送方向に直交する方向である。シリアル型のインクジェット記録装置では、キャリッジが往復移動される幅方向は、主走査方向と称されることもある。搬送部20による記録媒体15の搬送は、キャリッジの幅方向への往復移動に対応させて間欠的に行われる。シリアル型のインクジェット記録装置に、第一検出部40と第二検出部50を上記同様に設け、このインクジェット記録装置で、記録処理(図5及び図6参照)が実行されるようにしてもよい。図5のS5では、各色のインクジェットヘッドが搭載されたキャリッジは、各色のインクジェットヘッドの吐出面が搬送面24と対向しない幅方向の一方側の領域に移動される。図5のS9では、キャリッジは、S5での離間動作前の位置に戻される。図5のS15では、離間動作が上記同様に実行され、S19では、復帰動作が上記同様に実行される。図5のS17では、搬送面24と吐出面の間が第二間隔G2とされた状態で、キャリッジが幅方向に往復移動され、第二画像が記録される。シリアル型のインクジェット記録装置は、公知のインクジェット記録装置である。従って、シリアル型のインクジェット記録装置に関するこの他の説明は、省略する。
(4)記録媒体15は、導電性の糸18によって布帛17を継ぎ合わせて形成される。第一検出部40は、2個の電気接点を備える。第一検出部40では、糸18を介して2個の電気接点の間を流れる電流を計測することで、継ぎ目19が検出される。第一検出部による継ぎ目19の検出は、次のように行うようにしてもよい。例えば、第一検出部として、撮像部が採用される。第一検出部としての撮像部は、第一検出部40と同じ搬送方向の位置で、搬送部20によって搬送される記録媒体15の記録面16を撮像する。制御装置90で、CPU92は、第一検出部としての撮像部によって撮像された画像を画像解析し、解析結果に従い継ぎ目19の有無を判断する。前述した画像解析には、公知の画像解析技術を採用することができる。
(5)インクジェット記録装置10は、離間部60を備える(図1参照)。離間部60は、インクジェットヘッド31Y,31M,31C,31Kが搭載されたキャリッジ30を鉛直方向に移動させる(図4参照)。搬送部20とインクジェットヘッド31Y,31M,31C,31Kの相対移動は、搬送部20を鉛直方向に移動させて行うようにしてもよい。この場合、離間部は、例えば、搬送ローラ21,22を回転自在に支持する搬送部20のフレームを、鉛直方向に移動させる移動機構とされる。図1では、搬送部20のフレームの図示は、省略されている。搬送部20の鉛直方向の移動は、上述した出願人による特許文献1に開示された構成のように、搬送部による搬送経路を、鉛直方向に変化させることで実現するようにしてもよい。搬送経路は、記録媒体15が搬送部によって搬送方向に搬送される経路である。