JP6697255B2 - 亜リン酸化合物を含有する溶液及び亜リン酸化合物を含有する液体肥料組成物の製造方法 - Google Patents

亜リン酸化合物を含有する溶液及び亜リン酸化合物を含有する液体肥料組成物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、無電解ニッケルめっき廃液等の、次亜リン酸化合物を含む溶液から、肥料等として有用な亜リン酸化合物を含有する溶液を製造する技術に関する。
無電解めっきは還元剤による還元反応によって固体表面に金属皮膜を形成する方法である。特に、次亜リン酸塩を還元剤とする無電解ニッケルめっきは電子部品等の製造において広く用いられている。無電解ニッケルめっきに用いるめっき液(以下「無電解ニッケルめっき液」という)は、ニッケルイオンから金属ニッケルへの還元反応が進行するにつれ、還元剤である次亜リン酸塩が酸化され亜リン酸塩になり、めっき液中に蓄積する。亜リン酸塩が蓄積するとめっき液としては使用できなくなる。亜リン酸塩が蓄積してめっき液としての使用に適さなくなったものを「無電解ニッケルめっき廃液」という。無電解ニッケルめっき廃液には、ニッケルイオンと、次亜リン酸イオンと、亜リン酸イオンとが含まれる。ニッケル及びリンは資源としての価値が高く再利用が望まれる。
次亜リン酸化合物と亜リン酸化合物を含む無電解ニッケルめっき廃液において、亜リン酸化合物を酸化させることなく、次亜リン酸化合物を優先的に酸化して亜リン酸化合物に変換することができれば、次亜リン酸化合物及び亜リン酸化合物を亜リン酸化合物に集約することが実現できる。亜リン酸化合物はそのまま肥料として使用することができるため特に利用価値が高い。
特許文献1には、無電解ニッケルめっき廃液にシュウ酸を添加して廃液中のニッケルイオンをシュウ酸ニッケルとして沈殿除去して回収し、更に、残液中の重金属イオンを硫化物として除去し、更に残液にカルシウム化合物を添加し空気中で焼成して次亜リン酸塩及び亜リン酸塩のリン分をハイドロキシアパタイトに変換して回収する技術が開示されている。しかしこの方法ではリン分の回収工程が複雑であるという問題があった。この方法ではリン分が全てハイドロキシアパタイト(リン酸塩)に変換されるため、次亜リン酸塩及び亜リン酸塩を亜リン酸塩に集約することはできないという問題もある。
特許文献2では、無電解ニッケルめっき廃液を電解酸化することにより肥料水溶液を製造する方法が開示されている。特許文献2の方法では次亜リン酸化合物だけでなく亜リン酸化合物も酸化されるため亜リン酸化合物に集約させることはできない。
特許文献3では無電解ニッケルめっき廃液に塩酸を混合してpH調整し、還元鉄を接触させリン酸鉄を得る方法が開示されている。この方法では亜リン酸化合物を回収することはできない。
特許文献4では、次亜リン酸イオンを含む溶液に塩化銅等の銅塩を添加して、次亜リン酸イオンを亜リン酸イオンに優先的に酸化することが開示されている。この方法では、銅塩は次亜リン酸イオン1モルに対して0.5モル以上という比較的多量使用されるなど、十分に満足できるものではない。
特許文献5では、次亜リン酸イオンを含む溶液を金属パラジウムと接触させて次亜リン酸イオンを亜リン酸イオンに酸化させる方法が開示されている。この方法を本発明者らが再現したところ、次亜リン酸イオンの亜リン酸イオンへの酸化は十分でなく、しかも、亜リン酸イオンがさらにリン酸にまで酸化されるという問題があった。
特許文献6では次亜リン酸イオンを含む溶液をホウ素−ニッケル化合物と接触させて次亜リン酸イオンを亜リン酸イオンに酸化させる方法が開示されている。特許文献7では次亜リン酸イオンを含む溶液をホウ素−コバルト化合物と接触させて次亜リン酸イオンを亜リン酸イオンに酸化させる方法が開示されている。特許文献6及び7の方法はホウ素の使用を必須とするが、ホウ素は廃液処理が非常に煩雑であるという問題がある。
特開平8−34604号公報 特開平9−40482号公報 特開平8−199366号公報 特開昭58−119389号公報 特開平6−279009号公報 特開平6−263414号公報 特開平6−263413号公報
上記の通り、無電解ニッケルめっき廃液などの、次亜リン酸化合物を含有する水溶液から肥料等として有用な亜リン酸化合物を形成する方法として十分に満足できる方法は従来提供されていない。
そこで本発明は、次亜リン酸化合物を含有する水溶液において、次亜リン酸化合物を酸化して亜リン酸化合物に集約することにより、亜リン酸化合物を含有する水溶液を製造する方法を提供することを解決すべき課題とする。
上記課題を解決するための手段として本明細書では以下の発明を開示する。
(1)水中に次亜リン酸及び次亜リン酸塩から選ばれる1種以上の次亜リン酸化合物を少なくとも含有する溶液から、水中に亜リン酸及び亜リン酸塩から選ばれる1種以上の亜リン酸化合物を少なくとも含有する溶液を製造する方法であって、
水中に次亜リン酸化合物を少なくとも含有する前記溶液にパラジウムイオンを混合して次亜リン酸化合物を酸化させ亜リン酸化合物に変換する酸化工程
を含む方法。
(2)酸化工程が、開始時のpHが11.5以上に調整され且つパラジウム濃度が0.1mg/L以上である、前記溶液とパラジウムイオンとを含む混合物を、80℃以上の温度条件で30分以上処理することを含む、(1)に記載の方法。
(3)酸化工程よりも前に、酸化工程に用いる前記溶液を、水中にニッケルイオン及び次亜リン酸化合物を少なくとも含有する溶液Aからニッケルイオンを低減させることにより調製するニッケル低減工程を更に含む、(1)又は(2)に記載の方法。
(4)ニッケル低減工程が、
溶液Aと、溶液A中のニッケルイオンに対してモル比で1.0超の、シュウ酸及びシュウ酸塩から選ばれる1種以上のシュウ酸化合物とを、3.4以下のpH条件にて混合し、シュウ酸ニッケルを生成するシュウ酸ニッケル生成工程と、
シュウ酸ニッケル生成工程で生成したシュウ酸ニッケルを含む固形分と、残液である溶液Bとを分離する分離工程と
を含み、溶液Bが、酸化工程に用いる前記溶液である、(3)に記載の方法。
(5)亜リン酸及び亜リン酸塩から選ばれる1種以上の亜リン酸化合物を含有する液体肥料組成物を製造する方法であって、
(1)〜(4)のいずれかに記載の方法により、水中に亜リン酸化合物を少なくとも含有する前記溶液を製造する工程と、
水中に亜リン酸化合物を少なくとも含有する前記溶液から前記液体肥料組成物を調製する工程と
を含む方法。
本発明の方法によれば、無電解ニッケルめっき廃液等の次亜リン酸化合物を含有する水溶液から、亜リン酸化合物を含有する水溶液を効率的に製造することができる。
1.次亜リン酸化合物含有溶液
本発明において処理される、水中に次亜リン酸化合物を少なくとも含有する溶液(以下「次亜リン酸化合物含有溶液」という)は、次亜リン酸化合物を含有する水溶液であればよく、他の成分は特に限定されない。次亜リン酸化合物含有溶液は、好ましくは、水中に少なくともニッケルイオン及び次亜リン酸化合物を含有する後述する溶液Aや、溶液A中のニッケルイオンを低減させて調製された溶液等である。次亜リン酸化合物含有溶液は更に亜リン酸化合物を含んでよく、好ましくは、亜リン酸化合物を更に含有する溶液Aや、亜リン酸化合物を更に含有する溶液A中のニッケルイオンを低減させて調製された溶液等である。次亜リン酸化合物含有溶液は、好ましくは、後述する無電解ニッケルめっき廃液や、無電解ニッケルめっき廃液におけるニッケルイオンを低減させて調製された溶液である。
次亜リン酸化合物は、次亜リン酸及び次亜リン酸塩から選ばれる1種以上であり、複数種の混合物であってもよい。次亜リン酸化合物は通常、次亜リン酸イオンとなって水中に溶解しているから、本発明において水中に「次亜リン酸化合物」を含有する溶液は、次亜リン酸イオンを含有する溶液である。次亜リン酸塩としては、次亜リン酸のナトリウム、カリウム、アンモニウム等との塩が挙げられる。本明細書では、次亜リン酸化合物の量を、特に限定のない限り、次亜リン酸化合物が全て次亜リン酸イオン(HPO )の形態であると仮定したときの量(すなわち、次亜リン酸イオン換算量)で示す。
亜リン酸化合物は、亜リン酸及び亜リン酸塩から選ばれる1種以上であり、複数種の混合物であってもよい。亜リン酸塩としては、亜リン酸のナトリウム、カリウム、アンモニウム等との塩が挙げられる。亜リン酸塩には亜リン酸イオン(HPO 2−)を含む正塩と、亜リン酸水素イオン(HPO )を含む酸性塩とがあるが、本発明における亜リン酸塩はどちらであってもよい。亜リン酸化合物は通常、亜リン酸イオン又は亜リン酸水素イオンとなって水中に溶解しているから、本発明において水中に「亜リン酸化合物」を含有する溶液は、亜リン酸イオン又は亜リン酸水素イオンを含有する溶液である。本明細書では、亜リン酸化合物の量を、特に限定のない限り、亜リン酸化合物が全て亜リン酸イオン(HPO 2−)の形態であると仮定したときの量(すなわち、亜リン酸イオン換算量)で示す。
溶液中のニッケルイオンは、各種水溶性ニッケル化合物の形態で存在し得る。水溶性ニッケル化合物としては、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、スルファミン酸ニッケル、酢酸ニッケル等の水溶性ニッケル塩が挙げられる。ICP(誘導結合プラズマ)発光分析装置で測定した水溶液中のニッケルの量を、ニッケルイオンの量とみなすことができる。
次亜リン酸化合物含有溶液における次亜リン酸化合物の濃度は、特に限定されないが、次亜リン酸イオン(HPO )換算で1.0〜55g/L(0.02〜0.85mol/L)が例示できる。次亜リン酸化合物含有溶液が亜リン酸化合物を更に含有する場合には、亜リン酸化合物の濃度は亜リン酸イオン(HPO 2−)換算で0.1〜100g/L(0.001〜1.25mol/L)が例示できる。次亜リン酸化合物含有溶液中のニッケルイオンの濃度は好ましくは0.10g/L以下であり、より好ましくは0.05g/L以下であり、より好ましくはニッケルイオンを含まない。多すぎる場合には、次工程の酸化処理後に、ニッケル濃度が高く肥料には適さない。次亜リン酸化合物含有溶液のpHは例えば1.0〜3.0(測定温度25℃の場合)である。このような組成を有する次亜リン酸化合物含有溶液は、典型的には、無電解ニッケルめっき廃液からニッケルイオンを低減させて調製された溶液である。
2.ニッケルイオン及び次亜リン酸化合物を含む溶液A
本発明において「溶液A」とは、水中にニッケルイオン及び次亜リン酸化合物を少なくとも含有する水溶液を指す。溶液Aは好ましくは更に亜リン酸化合物を含有する。
溶液Aは典型的には、ニッケルイオン、次亜リン酸化合物及び亜リン酸化合物を含有する無電解ニッケルめっき廃液である。無電解ニッケルめっき廃液は通常、水中に、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、スルファミン酸ニッケル、酢酸ニッケル等のニッケル塩;還元剤としての、次亜リン酸ナトリウム等の次亜リン酸塩;次亜リン酸塩が酸化されて形成された、亜リン酸ナトリウム等の亜リン酸塩を少なくとも含有し、更に、錯化剤;pH調整剤等を含有する。錯化剤としてはクエン酸等の有機酸が挙げられる。pH調整剤としては水酸化ナトリウム、炭酸塩、アンモニア等の塩基性化合物、無機酸、有機酸が挙げられる。
無電解ニッケルめっき廃液等の溶液Aにおけるニッケルイオン、次亜リン酸化合物、及び亜リン酸化合物の濃度は特に限定されないが、通常は、ニッケルイオンの濃度はNi2+4〜7g/L(0.07〜0.12mol/L)、次亜リン酸化合物の濃度は次亜リン酸イオン(HPO )換算で10〜55g/L(0.15〜0.85mol/L)、亜リン酸化合物の濃度は亜リン酸イオン(HPO 2−)換算で40〜100g/L(0.50〜1.25mol/L)である。本発明の方法による処理の前の無電解ニッケルめっき廃液等の溶液AのpHは特に限定されないが通常は4.0〜5.5(25℃での測定時)である。
溶液A中のニッケルイオン、次亜リン酸化合物及び亜リン酸化合物の具体的な形態や量の定義は「1.次亜リン酸化合物含有溶液」の欄において述べた通りである。
3.各工程
3.1.酸化工程
本発明は、次亜リン酸化合物を少なくとも含有する溶液から、水中に亜リン酸化合物を少なくとも含有する溶液を製造する方法を提供する。該方法は、上記の次亜リン酸化合物含有溶液にパラジウムイオンを混合して次亜リン酸化合物を酸化させ亜リン酸化合物に変換する酸化工程を含むことを特徴とする。
酸化工程では、パラジウムイオンは、パラジウム塩を次亜リン酸化合物含有溶液と混合し溶解させることにより供給してもよいし、別途調製したパラジウムイオンを含む溶液を次亜リン酸化合物含有溶液と混合することにより供給してもよい。酸化工程では、パラジウムイオンが酸化触媒として機能して、次亜リン酸化合物(次亜リン酸イオン)が酸化され亜リン酸化合物(亜リン酸イオン又は亜リン酸水素イオン)に変換される可能性が考えられるが、本発明はこの機構に拘束されるものではない。酸化工程において次亜リン酸化合物の酸化に伴いガスが発生していることが確認されており、このガスは水素(H)の可能性が考えられる。
酸化工程では、好ましくは、反応開始時に、次亜リン酸化合物含有溶液とパラジウムイオンを含む混合物のpHを11.5以上、より好ましくは11.7以上、より好ましくは12.0以上に調整する。pH値の上限は特に限定されないが、通常は14.0以下である。pHの調整は、次亜リン酸化合物含有溶液とパラジウムイオンを含む混合物のpH値が上記の範囲になる限りどの時点で行ってもよい。例えばパラジウムイオンの混合前の次亜リン酸化合物含有溶液に対してpH調整用試薬を添加してpH調整を行った後にパラジウムイオンを混合してもよいし、パラジウムイオン混合後の混合物に対してpH調整を行ってもよい。
この工程に限らず本発明におけるpH値は、特に限定しない限り、25℃程度、好ましくは25℃、において測定されるpH値である。例えば酸化工程では、室温(25℃程度、好ましくは25℃)の環境下において、次亜リン酸化合物含有溶液又は次亜リン酸化合物含有溶液とパラジウムイオンとを含む混合物に、pH調整に用いる試薬を添加し撹拌しながらpHを測定し、目的のpH値となるよう調整すればよい。次亜リン酸化合物含有溶液又は前記混合物を室温を超える温度に加熱しながらpH調整をしてもよいが、その場合、pH値の測定時には液温を室温(25℃程度、好ましくは25℃)とした状態で測定するか、或いは、加熱した状態の次亜リン酸化合物含有溶液又は前記混合物のpH値を温度補償機能を有するpH計を用いて測定し、25℃での値に換算したpH値が目的の範囲となるように調整することができ、より好ましくは後者の方法を用いる。
pH調整用試薬は特に限定されないが、NaOH、KOH等の、アルカリ金属水酸化物を1種または2種以上用いることができる。pH調整用試薬は必要に応じて水に溶解した水溶液として、次亜リン酸化合物含有溶液又は前記混合物に混合してpH調整を行うことができる。
酸化工程では、パラジウム濃度が、次亜リン酸化合物含有溶液とパラジウムイオンとを含む混合物に対して0.1mg/L以上であることが好ましく、0.2mg/L以上であることがより好ましい。パラジウム濃度の上限は特に限定されないが、前記混合物に対して10.0mg/L以下が好ましい。次亜リン酸化合物に対するパラジウムイオンの相対的な配合量は特に限定されないが、次亜リン酸化合物1,000,000モル(次亜リン酸イオン換算)に対してパラジウムイオンが例えば0.3モル以上、好ましくは3モル以上、より好ましくは8モル以上となるように配合することができる。
パラジウムイオンを次亜リン酸化合物含有溶液と混合する際、塩化パラジウム(PdCl)、硝酸パラジウム(Pd(NO)、硫酸パラジウム(PdSO)などのパラジウム塩を溶解させることでパラジウムイオンとすることができる。パラジウム塩の固体(粉末、顆粒等の形状)を次亜リン酸化合物含有溶液に混合して溶解させてパラジウムイオンを供給してもよいし、パラジウムを溶解した水溶液を別途調製し、パラジウムイオンを含む該水溶液を次亜リン酸化合物含有溶液に混合して溶解させてもよい。パラジウムを溶解した、パラジウムイオンを含む水溶液は、例えば塩化パラジウムを使用する場合には、適当な濃度(例えば0.01〜1モル/L)のHCl水溶液に塩化パラジウムを溶解することで、早期に塩化パラジウムを溶解させ調製することができる。また、金属パラジウムを適当な濃度の酸水溶液(例えば10〜60%濃度の硝酸水溶液)で溶解することで早期にパラジウムを溶解させ調製することもできる。
酸化工程では、次亜リン酸化合物含有溶液とパラジウムイオンとを含む反応混合物を、80℃以上の温度条件で加熱処理することにより行う。温度条件はより好ましくは82℃以上であり、上限は特に限定されないが好ましくは100℃未満であり、より好ましくは95℃以下である。この温度での加熱処理の時間は好ましくは30分間以上であり、上限は特に限定されないが好ましくは12時間以下である。
酸化工程での上記の加熱処理は、亜リン酸化合物含有溶液とパラジウムイオンとを含む混合物を適宜撹拌しながら行うことが好ましい。該混合物を容器内に入れ、容器の上部で該混合物の液面を空気と接触させながら上記の加熱処理を行うことが好ましい。上記の通り、酸化工程で発生するガスは水素ガスの可能性が考えられるため、水素ガスによる爆発を避けるため、密閉容器を避け、必要に応じて換気をすることが好ましい。
上記の条件による酸化工程は、次亜リン酸化合物の大部分を亜リン酸化合物に変換し、且つ、亜リン酸化合物が酸化されリン酸化合物に変換される反応を実質的に起こさずに亜リン酸化合物を反応系中に蓄積することが可能である。
酸化工程で原料として用いる次亜リン酸化合物含有溶液がニッケルを含有する場合には、酸化工程においてニッケルが金属ニッケルとして析出することがある。また、パラジウムイオンに由来するパラジウムも、酸化工程において金属パラジウムとして析出することがある。そこで、酸化工程の終了後に前記混合物から固形分を分離して残液を得る工程を更に行うことが好ましい。この残液ではニッケル濃度及びパラジウム濃度が十分に低減されており(例えば、共に0.01g/L未満の濃度)、農業等に用いるのに安全性が高い。
3.2.ニッケル低減工程
本発明の酸化工程において原料として用いる上記の次亜リン酸化合物含有溶液は、水中にニッケルイオン及び次亜リン酸化合物を少なくとも含有する溶液Aからニッケルイオンを低減させるニッケル低減工程により調製することができる。
そこで以下にニッケル低減工程について詳述する。
ニッケル低減工程は、
溶液Aと、溶液A中のニッケルイオンに対してモル比で1.0超の、シュウ酸及びシュウ酸塩から選ばれる1種以上のシュウ酸化合物とを、3.4以下のpH条件にて混合し、シュウ酸ニッケルを生成するシュウ酸ニッケル生成工程と、
シュウ酸ニッケル生成工程で生成したシュウ酸ニッケルを含む固形分と、残液である溶液Bとを分離する分離工程と
を含む。分離工程で得られた溶液Bを、酸化工程において次亜リン酸化合物含有溶液として利用することができる。
シュウ酸ニッケル生成工程において溶液Aとシュウ酸化合物との混合を、pHを3.4以下に調整した条件で行うことにより、シュウ酸ニッケルの生成が進み易くニッケルの回収率が高まる。この段階でのpHが3.4を超える場合、ニッケルの回収率が低く、酸化工程で得られる亜リン酸化合物含有溶液中へのニッケルの混入量が多くなり好ましくない。
シュウ酸ニッケル生成工程において、溶液Aとシュウ酸化合物とを「3.4以下のpH条件にて混合」するには、溶液Aとシュウ酸化合物との混合液のpH値が3.4以下となるように適宜pH調整を行えばよい。溶液Aとシュウ酸化合物とを混合後にpHを調整してもよいが、より好ましくは、溶液AのpHを3.4以下に調整し、pH調整後の溶液Aとシュウ酸化合物とを混合する。通常は、溶液AのpHを3.4以下に調整しておけば、その後にシュウ酸化合物を混合した後も混合液のpHは3.4以下となるため、混合液形成後に再度pH調整を行う必要がない。
シュウ酸ニッケル生成工程において溶液AのpHを調整する際、pH値は好ましくは1.1以上である。pHが1.1以上であれば、酸化工程におけるpH調整の際に必要なアルカリ剤の量を少量とすることができる。
シュウ酸ニッケル生成工程におけるpHの調整方法は特に限定されず、適当な酸またはアルカリ試薬を添加することでpH調整可能である。例えば溶液Aまたは溶液Aとシュウ酸化合物との混合液のpHが3.4よりも高い場合、溶液Aまたは前記混合液に硫酸、塩酸、硝酸等の鉱酸、有機酸等を添加することによりpH調整を行うことができる。
シュウ酸ニッケル生成工程では、室温(25℃程度、好ましくは25℃)の環境下において溶液Aまたは前記混合液にpH調整に用いる試薬を添加し撹拌しながらpHを測定し、目的のpH値となるよう調整すればよい。溶液を室温を超える温度に加熱しながらpH調整をしてもよいが、その場合、pH値の測定時には液温を室温(25℃程度、好ましくは25℃)とした状態で測定するか、或いは、溶液のpH値を温度補償機能を有するpH計を用いて25℃での値に換算したpH値を測定し、その値が目的の範囲となるように調整することができ、より好ましくは後者の方法を用いる。
シュウ酸ニッケル生成工程では、溶液Aと、該溶液A中のニッケルイオンに対してモル比で1.0超のシュウ酸化合物とを混合することにより、十分に高いニッケルの回収率(例えば、97%よりも高い回収率)を達成することができる。シュウ酸ニッケル生成工程でのシュウ酸化合物の混合量の上限は特に限定されないが、経済的な観点から、溶液A中のニッケルイオンに対してモル比で1.5以下のシュウ酸化合物を混合することが好ましい。
シュウ酸化合物は、シュウ酸及びシュウ酸塩から選ばれる1種以上であり、複数種の混合物であってもよい。シュウ酸塩としては、シュウ酸塩のナトリウム、カリウム、アンモニウム等との塩が挙げられる。シュウ酸塩には、2つの水素イオンが共に他の陽イオンで置換された正塩と、1つの水素イオンが残存し1つの水素イオンが他の陽イオンで置換された酸性塩とがあるが、本発明におけるシュウ酸塩はどちらであってもよい。シュウ酸化合物の量はシュウ酸としての換算量で示す。シュウ酸化合物は特に好ましくはシュウ酸である。
シュウ酸化合物は無水和物、二水和物等の形態のものを使用することができる。固体または液体状のシュウ酸化合物をそのままpH調整後またはpH調整前の溶液Aに添加してもよいし、固体状のシュウ酸化合物を水に溶解したシュウ酸化合物水溶液をpH調整後またはpH調整前の溶液Aに添加してもよい。
シュウ酸ニッケル生成工程におけるシュウ酸ニッケルの生成条件は適宜選択することができるが、典型的には、pH調整された溶液Aと所定量のシュウ酸化合物との混合液を好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃以上の温度条件で、好ましくは30分間以上、より好ましくは1時間以上の時間保持する条件が挙げられる。このとき、混合液を必要に応じて連続的に又は間欠的に撹拌することが好ましい。
シュウ酸ニッケル生成工程では、シュウ酸ニッケルの生成反応が上記のpH値の範囲で行われるように適宜pH調整を行えばよい。反応開始時のpH値が反応中上記pH値の範囲内に維持される場合は更なるpH調整は必要ないが、pH値が反応途中で変動する場合は必要に応じて反応途中でpH調整を行うことができる。
分離工程では、生成したシュウ酸ニッケルを含む固形分と、残液である溶液Bとを分離する。固形分と残液との分離は、濾過、遠心分離等の適当な分離手段により行えばよい。分離された固形分のシュウ酸ニッケルは、試薬としてそのまま利用することができ、ニッケル金属源として再利用することもできる。必要に応じて洗浄し焼成してニッケル酸化物に変換し、顔料や金属ニッケル等の各用途に用いることができる。
分離された残液(溶液B)を次亜リン酸化合物含有溶液として酸化工程に用いる。溶液Aとして無電解ニッケルめっき廃液を用いた場合、残液(溶液B)の組成は典型的には、次亜リン酸化合物の濃度は次亜リン酸イオン(HPO )換算で1.0〜55g/L(0.02〜0.85mol/L)であり、亜リン酸化合物の濃度は亜リン酸イオン(HPO 2−)換算で0.1〜100g/L(0.001〜1.25mol/L)であり、pHは1.0〜3.0であり、COD(Mn)は5,000〜80,000mg/Lであり、ニッケルイオンの濃度は<0.1g/L(ICP検出限界以下)である。本明細書において「COD(Mn)」とは、JIS K0102:2013 記載の100℃における過マンガン酸カリウムによる酸素消費量の測定方法で求めた化学的酸素要求量を指す。
溶液Bは化学的酸素要求量(COD)が高く、またリン濃度も高いため、そのまま廃棄することは難しいが、酸化工程の原料として用いることで有効に活用することができる。
3.3.液体肥料組成物を製造する方法
本発明ではまた、亜リン酸及び亜リン酸塩から選ばれる1種以上の亜リン酸化合物を含有する液体肥料組成物を製造する方法を提供する。
この方法は、上記の方法により、次亜リン酸化合物含有溶液から、水中に亜リン酸化合物を少なくとも含有する溶液を製造する第1工程と、
第1工程で得られた、水中に亜リン酸化合物を少なくとも含有する前記溶液から液体肥料組成物を調製する第2工程を含む。
第1工程については既に述べた通りである。
第2工程では、第1工程で得られた、水中に亜リン酸化合物を少なくとも含有する溶液から、液体肥料組成物として使用可能な組成物を調製する。第2工程では、例えば前記溶液を水等で希釈する、前記溶液を濃縮する、前記溶液のpHを調整する、前記溶液中の植物に有害な物質を除去又は低減する、前記溶液に保存安定剤等の他の成分を添加する等の処理を含む。
第1工程で得られた前記溶液に含まれ得る有害物質としてはNaイオンが挙げられる。多量のNaイオンは植物の生育を阻害するため除去又は低減することが望ましい。たとえばイオン交換膜でのイオン交換することでNaを除去する工程や、処理液を冷却することでNaSO(芒硝)として晶析させ、濾過や遠心分離等で固液分離することによって、肥料としての価値を高めることが可能となる。
得られる液体肥料組成物は例えば亜リン酸化合物濃度を亜リン酸イオン換算で0.1〜6mol/Lとすることができ、ニッケルイオン濃度を肥料取締法で規定される基準値の範囲内(亜リン酸1wt%あたり0.005%以下)とすることができる。
1.材料
被処理液(溶液A)として、無電解ニッケルめっき液の廃液である下記組成の水溶液を用意した。当該水溶液は、硫酸ニッケルと次亜リン酸ナトリウムとを配合して調製された無電解ニッケルめっき液の、めっき処理後の廃液であり、次亜リン酸イオンの一部が亜リン酸イオンに酸化されたものである。
Figure 0006697255
本明細書においてpH測定は、特に記載のない限り、室温(25℃程度)の環境下において、ハンディpH計(堀場製作所社製 PH−METER D−51)を用いて行った。
2.各工程の手順
2.1.ニッケル低減工程
実験例1〜13及び比較例1〜5の各試料について、前記の溶液A200mLを容量500mLのガラスビーカーに加え、表2に示すpHに調整した。実験例14、15の試料について、前記の溶液A800mlを容量1000mLのガラスビーカーに加え、表2に示すpHに調整した。その後、実験例1〜15及び比較例1〜5の各試料について、pHの調整は、室温(25℃程度)環境下で溶液Aを撹拌しながら、溶液Aに対し1Lあたり15〜20mlの70質量%硫酸水溶液を少量ずつ小分けにして添加することで行った。
pH調整後の被処理液にシュウ酸二水和物の粉末(キシダ化学株式会社社製シュウ酸二水和物1級)を、被処理液中のニッケルイオンに対しシュウ酸イオン換算で表2に示す当量となるように添加した。ここで、ニッケルイオン1モルあたりシュウ酸イオン1モルを「1当量」とした。続いて、70℃で1時間撹拌した。撹拌後の被処理液を濾過して固形分と残液(溶液B)とに分離した。
固形分の洗浄および分析は以下の手順で行った。上記の濾過による分離後の固形分に水道水を200ml流して洗浄した。その後、オーブンを用いて105℃で4時間かけて固形分を乾燥した。その後、重量を測定してNiイオンの回収率を計算した。算出方法は、回収した乾燥後の固形分の総重量から、固形分をすべてシュウ酸ニッケルの2水和物とした場合のニッケル量を算出し、元液中のニッケル量の何%が回収できたかを算出した。
前記乾燥後の固形分を粉末にして、X線回折装置(リガク社製 RINT−2500)で同定したところ、シュウ酸ニッケルの2水和物であることが判明した。
一方、溶液Bの分析は以下の手順で行った。ニッケルイオンの濃度とリン含有量は、ICP(誘導結合プラズマ)発光分析装置(島津製作所社製 ICPE−9000)を用いた定量分析により、測定した。
溶液B中の次亜リン酸イオン(HPO )換算濃度、亜リン酸イオン(HPO 2−)濃度としては、キャピラリー電気泳動分析装置(大塚電子製CAPI−3300)を用いて各イオン濃度の測定を行い求めた。
2.2.酸化工程
実験例1〜15及び比較例1〜3で得られた溶液Bを試料液として以下の酸化工程を行った。
pH調整用のアルカリ水溶液としてNaOH水溶液及びNaOH−KOH水溶液を以下の通り調製した。
NaOH水溶液は、水中にNaOHを濃度が48重量%となるように溶解させて調製した。
NaOH−KOH水溶液は、前記NaOH水溶液に、固体KOHを1mol/Lの濃度となるように添加し溶解して調製した。
PdClを溶液として添加する場合は、HCl濃度が0.1mol/Lの塩酸水溶液に固体PdClを1g/L添加して調製したPdCl溶液を用いた。
比較例1〜3においてPdClに代えて用いた金属パラジウムとして、3cm×5cmの長方形のステンレス板に無電解パラジウム合金めっきを施したものを用いた。
各試験区のニッケル低減工程の残液である溶液B 50mLを、容量100mLのガラスビーカーに加えた。
続いてpH調整用のNaOH水溶液又はNaOH−KOH水溶液を滴下し、前記pH計を用いて各温度での撹拌の環境下でpHを測定しながら表3に示す各値となるようにした。次いで、溶液Bをウォータバス中で表3に示す温度に加熱し攪拌の状態を保持し、PdCl溶液(実験例1〜5、7〜13)又は固体PdCl(実験例6)を、Pd濃度が表3に示す濃度となるように添加した。実験例14では0.1gの金属Pdを60%硝酸で溶解し100ccとした溶液を作成し、Pd濃度が表3に示す濃度となるように添加した。実験例15では和光純薬工業社製試薬Pd(NOを、Pd濃度が表3に示す濃度となるように固体まま添加した。比較例1〜3ではPdCl溶液を添加せず、上記のパラジウム合金めっきを施したステンレス鋼材を、試料液に3cm×3cmの領域が浸かるよう浸漬した。表3ではpH値として、前記pH計の温度補償機能により算出された25℃条件でのpH値を示す。Pd塩又は前記ステンレス板添加後に表3に示す時間撹拌しながら反応させた。各反応時間経過後に上記と同様の手順でpH値を求めるとともに、状態を観察した。いずれの反応も反応時間経過に伴い液の濃縮が進んだため減少分の水を随時補給した。
反応後の各試料液を濾過して固形分と残液(溶液C)とに分離した。
溶液C中の各成分は以下の手順で分析した。
総リン量、ニッケル、パラジウム量は、ICP(誘導結合プラズマ)発光分析装置(島津製作所社製 ICPE−9000)を用いた定量分析により、測定した。次亜リン酸、亜リン酸、リン酸の含有割合は、キャピラリー電気泳動分析装置(大塚電子製CAPI-3300)を用いて各イオン濃度の測定を行い求めた。
前記濾過で分離された固形分を以下の手順で分析したところ、実験例1〜8で形成された固形分は、蛍光X線による定性分析によって、ニッケル及びパラジウム及びリン分であることが確認された。
実験例1〜15、比較例1〜3では反応中に気泡の発生が認められた。
3.結果
3.1.ニッケル低減工程
ニッケル低減工程における固形分及び残液(溶液B)の分析結果を表2に示す。
シュウ酸添加前の被処理液のpHを2.0とし、且つ、被処理液中のニッケルに対するシュウ酸の添加量を1.2当量とした実験例1〜15及び比較例1〜3ではニッケル回収率が99%であった。
一方、被処理液中のニッケルに対するシュウ酸の添加量を1.0当量とした比較例4ではニッケルの回収が十分に進まず、溶液Bのニッケル含量が0.12mg/Lという比較的高い値であった。
また、ニッケル低減工程でのシュウ酸添加前の被処理液のpHを4.0とした比較例5では、ニッケルの回収率が比較例4よりも更に低く97%を下回った。
比較例4及び5については酸化工程は行わなかった。
3.2.酸化工程
酸化工程での固形分と残液(溶液C)の分析結果を表4に示す。
実験例1〜8、14、15では透明な液中に黒色の析出物が生じた。実験例9〜13では反応後も黒色の液であった。比較例1及び2では透明な液となった。比較例3ではやや黒色を帯びた透明な液であった。
酸化工程においてpHを11.5以上に調整し、パラジウムを0.1mg/L以上10.0mg/L以下添加し、80℃以上で且つ0.5時間以上加熱撹拌した実験例1〜8、14、15では、溶液Bにおける次亜リン酸イオンが検出限界以下にまで低減されており、リン酸イオンが検出限界以下であることから、次亜リン酸イオンは全て亜リン酸イオンにまで酸化されており、リン酸イオンにまでは酸化されていないことが確認された。また、実験例1〜8、14、15では反応後の溶液B中のニッケルイオン濃度及びパラジウム濃度も検出限界以下であったことから、溶液Bは肥料取締法の基準(亜リン酸1wt%あたり0.005wt%以下)を満足しそのまま肥料として利用可能であることが確認された。
一方、酸化工程において、反応温度が70℃である実験例9、初期pHが11.2である実験例10、パラジウム濃度が0.06mg/Lである実験例11、反応時間が0.1時間である実験例12、反応時間が0.25時間である実験例13では、次亜リン酸イオンが十分に酸化されず残存していた。また、残存するニッケル濃度がやや高いという問題もあった。
酸化工程において、塩化パラジウムを用いず金属パラジウムを用いた比較例1〜3についても、次亜リン酸イオンが十分に酸化されず残存しており、一部亜リン酸が酸化されたリン酸イオンが確認された。また、残存するニッケル濃度がやや高いという問題もあった。
Figure 0006697255
Figure 0006697255
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Claims (4)

  1. 水中にニッケルイオン及び次亜リン酸及び次亜リン酸塩から選ばれる1種以上の次亜リン酸化合物を少なくとも含有する溶液から、水中に亜リン酸及び亜リン酸塩から選ばれる1種以上の亜リン酸化合物を少なくとも含有する溶液を製造する方法であって、
    酸化工程とニッケル低減工程とを含み、
    酸化工程が、
    水中に次亜リン酸化合物を少なくとも含有する溶と、パラジウムイオンとを含む、開始時のpHが11.5以上に調整され且つパラジウム濃度が0.1mg/L以上である混合物を、80℃以上の温度条件で30分以上処理することで次亜リン酸化合物を酸化させ亜リン酸化合物に変換する工であり、
    ニッケル低減工程が、
    水中にニッケルイオンを少なくとも含有する溶液と、ニッケルイオンに対してモル比で1.0超の、シュウ酸及びシュウ酸塩から選ばれる1種以上のシュウ酸化合物とを、3.4以下のpH条件にて混合し、シュウ酸ニッケルを生成するシュウ酸ニッケル生成工程と、
    シュウ酸ニッケル生成工程で生成したシュウ酸ニッケルを含む固形分と、残液とを分離する分離工程と
    を含む工程である、
    方法。
  2. 酸化工程よりも前に、ニッケル低減工程を行うことを含み、
    ニッケル低減工程により、酸化工程に用いる前記溶液を、水中にニッケルイオン及び次亜リン酸化合物を少なくとも含有する溶液Aからニッケルイオンを低減させることにより調製する、請求項に記載の方法。
  3. ニッケル低減工程が、
    水中にニッケルイオン及び次亜リン酸化合物を少なくとも含有する溶液Aと、溶液A中のニッケルイオンに対してモル比で1.0超の、シュウ酸及びシュウ酸塩から選ばれる1種以上のシュウ酸化合物とを、3.4以下のpH条件にて混合し、シュウ酸ニッケルを生成するシュウ酸ニッケル生成工程と、
    シュウ酸ニッケル生成工程で生成したシュウ酸ニッケルを含む固形分と、残液である溶液Bとを分離する分離工程と
    を含み、溶液Bが、酸化工程に用いる前記溶液である、請求項に記載の方法。
  4. 亜リン酸及び亜リン酸塩から選ばれる1種以上の亜リン酸化合物を含有する液体肥料組成物を製造する方法であって、
    請求項1〜のいずれか1項に記載の方法により、水中に亜リン酸化合物を少なくとも含有する前記溶液を製造する工程と、
    水中に亜リン酸化合物を少なくとも含有する前記溶液から前記液体肥料組成物を調製する工程と
    を含む方法。
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