JP6696397B2 - 薄肉鋳片の製造装置、及び、薄肉鋳片の製造方法 - Google Patents
薄肉鋳片の製造装置、及び、薄肉鋳片の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6696397B2 JP6696397B2 JP2016200146A JP2016200146A JP6696397B2 JP 6696397 B2 JP6696397 B2 JP 6696397B2 JP 2016200146 A JP2016200146 A JP 2016200146A JP 2016200146 A JP2016200146 A JP 2016200146A JP 6696397 B2 JP6696397 B2 JP 6696397B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- sic
- peripheral surface
- cooling drum
- thin cast
- molten steel
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Continuous Casting (AREA)
Description
また、上述の双ドラム式連続鋳造装置においては、例えば特許文献2に示すように、凝固を均一に行うために、冷却ドラムの周面に微細な凹凸が形成されている。
薄肉鋳片においては、上述のように、柱状晶からなる凝固シェルが貼り合わされて形成されているので、1/2厚部に径1mm以下のミクロポロシティや中心偏析が生成しやすい傾向にある。また、柱状晶は方向性を有していることから、薄肉鋳片を巻き取る際や巻き戻す際に、割れが生じやすいといった問題があった。
等軸晶比率を向上させる手段としては、凝固核生成を促進する物質を溶鋼中に分散させる「接種」が知られている。凝固核生成を促進する物質としては、凝固初晶と結晶格子定数が近似した、すなわち結晶整合性の良好な物質が有効である。
また、凝固が進行する冷却ドラムの周面に接種核(β型SiC)が付着されているので、溶鋼溜まり部におけるマクロ的な溶鋼流動の影響が少なく、幅方向及び長手方向において等軸晶比率が安定した薄肉鋳片を製造することが可能となる。
この場合、冷却ドラムの周面にSiC含有材を接触させた際に、冷却ドラムの周面に接種効果を有するβ型SiCを十分に付着させることができ、β型SiCを接種核として作用させて、等軸晶比率を向上させることが可能となる。
本実施形態において製造される薄肉鋳片1は、凝固する際に初晶としてδ相(δ−Fe)が晶出するδ凝固鋼からなるものとされている。δ凝固鋼としては、例えば、炭素量が0.53mass%以下の炭素鋼、Si含有鋼、Cr系のステンレス鋼等が挙げられる。
また、本実施形態では、製造される薄肉鋳片1の幅が300mm以上2000mm以下の範囲内、厚さが1mm以上5mm以下の範囲内とされている。
そして、本実施形態である薄肉鋳片の製造装置10においては、β型SiCを含むSiC含有材31を冷却ドラム11,11の周面に接触させて、冷却ドラム11,11の周面にβ型SiCを付着させるSiC付着手段30が配設されている。
本実施形態においては、SiC含有材31を冷却ドラム11,11の周面に接触させることにより、冷却ドラム11,11の周面の微小な凹凸によってβ型SiCが削り取られて、冷却ドラム11,11の周面にβ型SiCが付着することになる。
また、本実施形態においては、図2に示すように、チャンバー20の内部においてスカム堰19よりもドラム回転方向Rの後方側の位置にも、SiC付着手段30が配設されている。
SiC含有材31におけるβ型SiCの含有量は、体積比率で33%以上であることが好ましく、50%以上であることがさらに好ましい。
ここで、SiC粒子を用いる場合には、薄肉鋳片1における割れの起点となることを抑制するために、粒径の上限を10μm以下とすることが好ましく、5μm以下とすることがさらに好ましい。また、SiC粒子が溶鋼3内で溶融してしまうことを抑制して接種効果を的確に得るためには、粒径の下限を0.1μm以上とすることが好ましい。
ここで、上記のような単一の繊維をフィラメントと呼ぶことがある。そして、シート等の部材を製造する場合は、一般的に、まずフィラメントを数百から数千本を束ねたフィラメント束を形成し、フィラメント束を織って製造する。本実施形態では、フィラメントであるか、フィラメント束かは特に規定せず、使用し易い形態を選択することができる。例えば、SiC繊維シート等部材を用いる場合はフィラメント束から成ることが一般的である。他の無機物繊維と混合する場合は、フィラメントを用いた方が均一に分散させ易い傾向がある。
長さ数mm以下の短繊維やウィスカーを、例えば他の無機物繊維に混ぜた場合、全長まるごと剥離する可能性があるが、冷却ドラム11への接触圧力を調整すれば避けることができる。SiC繊維の形態や混合方法等により、接触圧力を調整すれば良い。一般に、繊維が長いほど剥離しにくいので、接触圧力を強くして、冷却ドラム11の周面の凹凸で削り取られて生じるSiC片を増やすことができる。
あるいは、図6に示すように、SiC含有材31をそのまま冷却ドラム11の周面に接触させている。
図3(b)においては、支持体32の底面の半分にシート状のSiC含有材31を配置し、冷却ドラム11の周面にSiC含有材31を接触させている。
図4(b)においては、支持体32の内部に複数の縦溝35を形成し、この複数の縦溝35にシート状のSiC含有材31を挿入した構造とされている。
図4(c)においては、支持体32の内部に縦溝35を形成し、この縦溝35にSiC含有材31として上述のSiC繊維を充填した構造とされている。
図4(d)においては、支持体32の内部に縦溝35を形成し、この縦溝35にSiC含有材31として上述のSiC粒子を充填した構造とされている。
図5(b)においては、支持体32の内部に複数の縦溝35を形成し、この複数の縦溝35にシート状のSiC含有材31を挿入し、その先端を折り曲げて冷却ドラム11との接触面積を大きくした構造とされている。
図6(b)においては、SiC粒子を含むSiC含有材31が冷却ドラム11に直接接触させられている。
冷却ドラム11,11の周面にβ型SiCが付着した状態で、冷却ドラム11,11が溶鋼溜まり部16の溶鋼3と接触するように構成されていることから、このβ型SiCの接種効果により、等軸晶比率が向上する。
また、凝固が進行する冷却ドラム11の周面に接種核(β型SiC)が付着されているので、溶鋼溜まり部16におけるマクロ的な溶鋼流動の影響が少なく、幅方向及び長手方向において等軸晶比率が安定した薄肉鋳片1を製造することが可能となる。
例えば、本実施形態では、図1に示すように、ベンダーロール及びピンチロールを配設した双ドラム式連続鋳造装置を例に挙げて説明したが、これらのロール等の配置に限定はなく、適宜設計変更してもよい。
実施形態で説明した薄肉鋳片の製造装置を用いて、C;0.13mass%、Si;1.0mass%、Mn;2.2mass%、P;0.01mass%、S;0.005mass%、Al;0.03mass%、Ti;0.02mass%、Nb;0.04mass%、V;0.03mass%を含有する鋼材からなる薄肉鋳片を、以下の条件で鋳造した。
冷却ドラムの直径 : 1200mm
鋳造ドラムの表面粗度 : Niメッキ被覆面にショットブラスト加工、Ry=40〜120μm(JIS B0601−1994準拠、抽出曲線:ガウス分布特性位相補償粗さ曲線、最大高さRy、評価長さ40mm、カットオフ値8.0mm、フィルタ種別:ガウシアン )
鋳造速度 : 平均50m/min
鋳造幅 : 1300mm
スカム堰浸漬深さ : 15mm
溶鋼溜まり部の過熱度 : 25℃目標、20〜30℃の範囲内
鋳造雰囲気 : Ar+N2
鋳造厚み : 平均2.0mm
鋳造量 : 10ton
また、SiC含有材の冷却ドラムへの接触圧力は、表1に示すように、0.01〜0.1MPa(0.102〜1.02kgf/cm2)の範囲内に設定した。
そして、冷却ドラムに接触させるSiC含有材の構造、形態は、表1及び図3から図6に示す方法で実施した。
得られた薄肉鋳片の等軸晶の比率を測定した。鋳片1/4幅、1/2幅、3/4幅部の鋳造方向に直交する断面の凝固組織を観察し、各位置の(等軸晶厚み)/(鋳片全厚み)×100(%)を算出し、3ヶ所の平均値を代表値とした。
鋳造方向に直交する断面において、1/4幅、1/2幅、3/4幅を中心とした±15mm(合計30mm)の領域を光学顕微鏡で観察して、内部欠陥(ポロシティや引け巣、あるいはこれらの密集領域全体の厚み)の最大厚みを測定し、鋳片厚みに占める比率(%)を評価した。
コイラーに巻取り後、室温まで冷却してから鋳片を巻き戻し、鋳片表面における横割れの有無を目視観察した。鋳片長さ1mあたり1個以上の場合を「不合格」、1個未満の場合を「合格」とした。
室温で、薄肉鋳片試料(鋳造幅方向30mm×鋳造長手方向180mm)をバイスに挟み、曲率半径3mmの棒に当てて90°曲げた際の割れの発生の有無を目視観察した。割れ無しを「合格」、割れ有りを「不合格」とした。
比較例No.102は、支持体の底面にSiC繊維シートを貼り付けて冷却ドラムの周面に接触させたが、δ−Feに対する接種作用があるβ型SiCではなかったため、等軸晶比率は15%未満であり、内部欠陥厚み比率は15%を超えた。また、巻き戻し時の横割れが発生し、曲げ試験も不合格であった。
これに対して、本発明例No.1〜14においては、β型SiC片を冷却ドラムの周面に供給しているため、等軸晶比率は15%以上であり、内部欠陥厚み比率は15%以下であった。その結果、巻き戻し後の鋳片に横割れは発生せず、曲げ試験も合格した。
実施形態で説明した薄肉鋳片の製造装置を用いて、主要鋳造条件は実施例1と同様にして、表2に示す成分を含有する薄肉鋳片を鋳造した。
ここで、本発明例No.21〜36においては、SiC繊維シート(β型SiCが100vol%)を、図3(a)に示すようにアルミナ繊維製支持体の底面全面に貼り付けて、冷却ドラムの周面に接触させた。
一方、比較例No.111〜116においては、アルミナ繊維製の支持体のみ鋳造ドラム表面に接触させた。
これに対して、本発明例No.21〜36においては、SiC繊維シート(β型SiCが100vol%)が冷却ドラムの周面に接触させられたため、β型SiC片が冷却ドラムの周面に供給された。これにより、いずれもδ凝固鋼である、極低炭素鋼、炭素鋼、高張力鋼、Si鋼、Cr系ステンレス鋼の各鋼種にて、等軸晶比率は15%以上であり、内部欠陥厚み比率は15%以下であった。その結果、巻き戻し後の鋳片に横割れは発生せず、曲げ試験も合格した。
3 溶鋼
11 冷却ドラム
30 SiC付着手段
31 SiC含有材
Claims (3)
- 回転する一対の冷却ドラムと一対のサイド堰を有し、これら一対の冷却ドラムと一対のサイド堰によって形成された溶鋼溜まり部に溶鋼を供給し、前記冷却ドラムの周面に凝固シェルを形成・成長させて薄肉鋳片を製造する薄肉鋳片の製造装置であって、
β型SiCを含むSiC含有材を前記冷却ドラムの周面に接触させて、前記冷却ドラムの周面に前記β型SiCを付着させるSiC付着手段を備え、
前記冷却ドラムは、その周面に前記β型SiCが付着された状態で、前記溶鋼溜まり部の壁面を構成することを特徴とする薄肉鋳片の製造装置。 - 前記SiC含有材は、β型SiCの含有量が体積比率で33%以上であることを特徴とする請求項1に記載の薄肉鋳片の製造装置。
- 回転する一対の冷却ドラムと一対のサイド堰によって形成された溶鋼溜まり部に溶鋼を供給し、前記冷却ドラムの周面に凝固シェルを形成・成長させて、薄肉鋳片を製造する薄肉鋳片の製造方法であって、
請求項1又は請求項2に記載の薄肉鋳片の製造装置を用いて、
β型SiCを含むSiC含有材を前記冷却ドラムの周面に接触させて、前記冷却ドラムの周面に前記β型SiCを付着させ、
前記冷却ドラムの周面に前記β型SiCが付着された状態で、前記冷却ドラムの周面に凝固シェルを形成・成長させることを特徴とする薄肉鋳片の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016200146A JP6696397B2 (ja) | 2016-10-11 | 2016-10-11 | 薄肉鋳片の製造装置、及び、薄肉鋳片の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016200146A JP6696397B2 (ja) | 2016-10-11 | 2016-10-11 | 薄肉鋳片の製造装置、及び、薄肉鋳片の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018061963A JP2018061963A (ja) | 2018-04-19 |
JP6696397B2 true JP6696397B2 (ja) | 2020-05-20 |
Family
ID=61966324
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2016200146A Active JP6696397B2 (ja) | 2016-10-11 | 2016-10-11 | 薄肉鋳片の製造装置、及び、薄肉鋳片の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6696397B2 (ja) |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5961551A (ja) * | 1982-09-29 | 1984-04-07 | Hitachi Metals Ltd | 急冷薄帯製造用ロ−ル |
JPH01273652A (ja) * | 1988-04-25 | 1989-11-01 | Nisshin Steel Co Ltd | 金属薄板の連続鋳造方法 |
JPH02117749A (ja) * | 1988-10-26 | 1990-05-02 | Nippon Kinzoku Kogyo Kk | 金属薄帯の連続鋳造方法 |
JP5942712B2 (ja) * | 2012-09-06 | 2016-06-29 | 新日鐵住金株式会社 | スカム堰、薄肉鋳片の製造方法、薄肉鋳片の製造装置 |
-
2016
- 2016-10-11 JP JP2016200146A patent/JP6696397B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2018061963A (ja) | 2018-04-19 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR920000513B1 (ko) | 금속박대를 제조하기 위한 연속주조장치용 냉각드럼 | |
JP5678721B2 (ja) | 炭化珪素単結晶育成用種結晶及び炭化珪素単結晶の製造方法 | |
JPWO2014050585A1 (ja) | サファイア単結晶育成用坩堝およびサファイア単結晶育成用坩堝の製造方法 | |
JP2006117441A (ja) | 炭化珪素単結晶の製造方法 | |
WO2011152529A1 (ja) | 複合材料、連続鋳造用部品、連続鋳造用ノズル、連続鋳造方法、鋳造材、およびマグネシウム合金鋳造コイル材 | |
JP6696397B2 (ja) | 薄肉鋳片の製造装置、及び、薄肉鋳片の製造方法 | |
TWI664032B (zh) | 鋼之連續鑄造方法 | |
JP5942712B2 (ja) | スカム堰、薄肉鋳片の製造方法、薄肉鋳片の製造装置 | |
JP6859827B2 (ja) | スカム堰、双ロール式連続鋳造装置、及び、薄肉鋳片の製造方法 | |
JPS63199049A (ja) | 連続結晶成長方法 | |
JP7056387B2 (ja) | 薄肉鋳片の製造方法、及び、薄肉鋳片の製造装置 | |
JP6531625B2 (ja) | 薄肉鋳片の製造方法 | |
JP4497943B2 (ja) | シリコン鋳造用鋳型とそれを用いたシリコン鋳造装置 | |
JP2010052997A (ja) | 炭化ケイ素単結晶成長用種結晶の製造方法及び炭化ケイ素単結晶の製造方法 | |
US11618072B2 (en) | Thin strip manufacture method | |
JP6805596B2 (ja) | 薄肉鋳片の製造方法及び薄肉鋳片の製造装置 | |
JP7120319B2 (ja) | 薄肉鋳片の製造方法 | |
JP6569550B2 (ja) | 双ドラム式連続鋳造装置、冷却ドラム、及び、薄肉鋳片の製造方法 | |
JP7127505B2 (ja) | 薄肉鋳片の製造方法 | |
JP2007197269A (ja) | 結晶育成坩堝及び単結晶育成方法 | |
US20210370390A1 (en) | Scum adsorbing member, twin roll continuous casting device, and method of producing slab | |
JP2021016866A (ja) | スカム堰、双ロール式連続鋳造装置、及び、薄肉鋳片の製造方法 | |
JP2023026036A (ja) | 薄肉鋳片の製造方法 | |
JP5700248B2 (ja) | 連続鋳造用ノズル、連続鋳造方法、および鋳造材 | |
JP5168211B2 (ja) | 急冷凝固薄帯鋳造用ノズル |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
RD03 | Notification of appointment of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423 Effective date: 20181019 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20190605 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20200313 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20200324 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20200406 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 6696397 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |