JP6696397B2 - 薄肉鋳片の製造装置、及び、薄肉鋳片の製造方法 - Google Patents

薄肉鋳片の製造装置、及び、薄肉鋳片の製造方法 Download PDF

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本発明は、一対の冷却ドラムと一対のサイド堰によって形成された溶鋼溜まり部に、溶鋼を供給して、δ凝固鋼からなる薄肉鋳片を製造する薄肉鋳片の製造装置、及び、薄肉鋳片の製造方法に関するものである。
鋼の薄肉鋳片を製造する方法として、内部に水冷構造を有する冷却ドラムを備え、回転する一対の冷却ドラム間に形成された溶鋼溜まり部に溶鋼を供給し、前記冷却ドラムの周面に凝固シェルを形成・成長させ、一対の冷却ドラムの外周面にそれぞれ形成された凝固シェル同士をドラムキス点で接合し、圧下して所定の厚さの薄肉鋳片を製造する双ドラム式連続鋳造装置が提供されている。このような双ドラム式連続鋳造装置は、鋼以外の各種金属においても適用されている。
上述の双ドラム式連続鋳造装置においては、例えば特許文献1に示すように、溶鋼溜まり部における溶鋼の酸化を抑制するために、前記溶鋼溜まり部及び前記冷却ドラムの上方にチャンバーを配設し、このチャンバー内を不活性ガス雰囲気として鋳造を行っている。ここで、チャンバーと冷却ドラムの周面との接続部には、耐熱性を有するアルミナ繊維シートが配設されており、回転する冷却ドラムの上に配設されたチャンバー内の雰囲気がシールされている。
また、上述の双ドラム式連続鋳造装置においては、例えば特許文献2に示すように、凝固を均一に行うために、冷却ドラムの周面に微細な凹凸が形成されている。
ところで、上述の双ドラム式連続鋳造装置を用いて製造される薄肉鋳片においては、溶鋼が凝固時に急冷されることから、凝固組織のほぼ全体が、両面の表層から1/2厚部に向かう柱状晶となる。鋼種や鋳造条件によっては、1/2厚部にわずかに等軸晶が形成されることもあるが、薄肉鋳片においては、鋳片厚みに対する等軸晶比率は10%未満であった。
薄肉鋳片においては、上述のように、柱状晶からなる凝固シェルが貼り合わされて形成されているので、1/2厚部に径1mm以下のミクロポロシティや中心偏析が生成しやすい傾向にある。また、柱状晶は方向性を有していることから、薄肉鋳片を巻き取る際や巻き戻す際に、割れが生じやすいといった問題があった。
ここで、ポロシティ及び中心偏析の低減や曲げ時の割れを抑制するためには、凝固組織の等軸晶比率を向上させることが有効である。
等軸晶比率を向上させる手段としては、凝固核生成を促進する物質を溶鋼中に分散させる「接種」が知られている。凝固核生成を促進する物質としては、凝固初晶と結晶格子定数が近似した、すなわち結晶整合性の良好な物質が有効である。
ここで、特許文献3には、初晶としてδ−Feが晶出するδ凝固鋼を対象として、溶鋼溜まり部に浸漬されているスカム堰に接種核となる物質を含有させ、このスカム堰の表面で凝固核の生成を促進することにより、等軸晶比率を向上させる技術が提案されている。
特開平06−297111号公報 特開昭64−083342号公報 特開2014−050855号公報
ところで、特許文献3に記載されたようにスカム堰に接種核となる物質を含有させた場合、スカム堰の表面で生成した凝固核が凝固界面にまで運ばれる必要がある。このため、スカム堰と冷却ドラムの周面との間の溶鋼流動の変化によって、鋳片の幅方向で等軸晶比率が安定しないおそれがあった。また、溶鋼高さが変動した場合には、スカム堰の浸漬量も変化するため、等軸晶化効果が安定しないおそれがあった。
本発明は、前述した状況に鑑みてなされたものであって、δ凝固鋼からなる薄肉鋳片を製造する場合において、幅方向及び長手方向にわたって等軸晶比率が高くかつ安定した薄肉鋳片を製造可能な薄肉鋳片の製造装置及び薄肉鋳片の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る薄肉鋳片の製造装置は、回転する一対の冷却ドラムと一対のサイド堰を有し、これら一対の冷却ドラムと一対のサイド堰によって形成された溶鋼溜まり部に溶鋼を供給し、前記冷却ドラムの周面に凝固シェルを形成・成長させて薄肉鋳片を製造する薄肉鋳片の製造装置であって、β型SiCを含むSiC含有材を前記冷却ドラムの周面に接触させて、前記冷却ドラムの周面に前記β型SiCを付着させるSiC付着手段を備え、前記冷却ドラムは、その周面に前記β型SiCが付着された状態で、前記溶鋼溜まり部の壁面を構成することを特徴としている。なお、β型SiCは、δ―Feの接種核として有効に作用する物質である。
この構成の薄肉鋳片の製造装置によれば、冷却ドラムの周面にβ型SiCを付着させるSiC付着手段を備えており、冷却ドラムは、その周面にβ型SiCが付着された状態で前記溶鋼溜まり部の壁面を構成するので、このβ型SiCを接種核として冷却ドラムの周面上の多くの地点で凝固が開始される。凝固開始点の間隔が近いことから、冷却ドラムに接した面(鋳片表層)の凝固組織サイズが小さくなる。そして、冷却ドラムの回転に伴う溶鋼流動により、冷却ドラムの表面から凝固組織が剥離したり、凝固組織の一部が溶断したりして、凝固界面前方に多数の凝固組織の小片が分布し、これらが成長することで等軸晶比率が大幅に向上する。
また、凝固が進行する冷却ドラムの周面に接種核(β型SiC)が付着されているので、溶鋼溜まり部におけるマクロ的な溶鋼流動の影響が少なく、幅方向及び長手方向において等軸晶比率が安定した薄肉鋳片を製造することが可能となる。
ここで、本発明に係る薄肉鋳片の製造装置においては、前記SiC含有材は、β型SiCの含有量が体積比率で33%以上であることが好ましい。
この場合、冷却ドラムの周面にSiC含有材を接触させた際に、冷却ドラムの周面に接種効果を有するβ型SiCを十分に付着させることができ、β型SiCを接種核として作用させて、等軸晶比率を向上させることが可能となる。
本発明に係る薄肉鋳片の製造方法は、回転する一対の冷却ドラムと一対のサイド堰によって形成された溶鋼溜まり部に溶鋼を供給し、前記冷却ドラムの周面に凝固シェルを形成・成長させて、薄肉鋳片を製造する薄肉鋳片の製造方法であって、上述の薄肉鋳片の製造装置を用いて、β型SiCを含むSiC含有材を前記冷却ドラムの周面に接触させて、前記冷却ドラムの周面に前記β型SiCを付着させ、前記冷却ドラムの周面に前記β型SiCが付着された状態で、前記冷却ドラムの周面に凝固シェルを形成・成長させることを特徴としている。
この構成の薄肉鋳片の製造方法によれば、上述の薄肉鋳片の製造装置を用いており、β型SiCを含むSiC含有材を前記冷却ドラムの周面に接触させて、前記冷却ドラムの周面に前記β型SiCを付着させ、前記冷却ドラムの周面に前記β型SiCが付着された状態で、前記冷却ドラムの周面に凝固シェルを形成・成長させているので、等軸晶比率が大幅に向上し、かつ、幅方向及び長手方向において等軸晶比率が安定した鋳片を製造することが可能となる。
上述のように、本発明によれば、δ凝固鋼からなる薄肉鋳片を製造する場合において、幅方向及び長手方向にわたって等軸晶比率が高くかつ安定した薄肉鋳片を製造可能な薄肉鋳片の製造装置及び薄肉鋳片の製造方法を提供することができる。
本発明の実施形態である薄肉鋳片の製造装置の概略説明図である。 図1に示す薄肉鋳片の製造装置の拡大説明図である。 SiC含有材及び支持体の一例を示す概略説明図である。 SiC含有材及び支持体の一例を示す概略説明図である。 SiC含有材及び支持体の一例を示す概略説明図である。 SiC含有材及び支持体の一例を示す概略説明図である。
以下に、本発明の実施形態である薄肉鋳片の製造装置及び薄肉鋳片の製造方法について、添付した図面を参照して説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
本実施形態において製造される薄肉鋳片1は、凝固する際に初晶としてδ相(δ−Fe)が晶出するδ凝固鋼からなるものとされている。δ凝固鋼としては、例えば、炭素量が0.53mass%以下の炭素鋼、Si含有鋼、Cr系のステンレス鋼等が挙げられる。
また、本実施形態では、製造される薄肉鋳片1の幅が300mm以上2000mm以下の範囲内、厚さが1mm以上5mm以下の範囲内とされている。
本実施形態である薄肉鋳片の製造装置10は、図1に示すように、一対の冷却ドラム11、11と、薄肉鋳片1を曲げるベンダーロール12、12と、薄肉鋳片1を支持するピンチロール13、13と、一対の冷却ドラム11、11の幅方向端部に配設されたサイド堰15と、これら一対の冷却ドラム11、11とサイド堰15とによって形成された溶鋼溜まり部16に供給される溶鋼3を保持するタンディッシュ17と、このタンディッシュ17から溶鋼溜まり部16へと溶鋼3を供給する浸漬ノズル18と、を備えている。
ここで、冷却ドラム11,11の周面には、凝固を均一に行うために、微小な凹凸が形成されている。本実施形態では、冷却ドラム11の周面の表面粗さが、JIS B0601−1994に準拠して最大高さRyが40μm以上120μm以下の範囲内とされている。
図2に、図1における溶鋼溜まり部16周辺の拡大説明図を示す。本実施形態である薄肉鋳片の製造装置10においては、図2に示すように、溶鋼溜まり部16に、スカム堰19が配設されている。このスカム堰19は、浸漬ノズル18と冷却ドラム11、11との間に配置され、その一部が溶鋼3内に浸漬されている。
本実施形態である薄肉鋳片の製造装置10においては、図2に示すように、溶鋼溜まり部16及び冷却ドラム11,11の上方には、チャンバー20が配設されている。
そして、本実施形態である薄肉鋳片の製造装置10においては、β型SiCを含むSiC含有材31を冷却ドラム11,11の周面に接触させて、冷却ドラム11,11の周面にβ型SiCを付着させるSiC付着手段30が配設されている。
本実施形態においては、SiC含有材31を冷却ドラム11,11の周面に接触させることにより、冷却ドラム11,11の周面の微小な凹凸によってβ型SiCが削り取られて、冷却ドラム11,11の周面にβ型SiCが付着することになる。
本実施形態においては、図2に示すように、SiC付着手段30は、チャンバー20の冷却ドラム11,11との接続部分に配設されており、このSiC付着手段30によってチャンバー20内の雰囲気がシールされる構造とされている。
また、本実施形態においては、図2に示すように、チャンバー20の内部においてスカム堰19よりもドラム回転方向Rの後方側の位置にも、SiC付着手段30が配設されている。
なお、これらのSiC付着手段30は、冷却ドラム11,11の周面の汚れを除去するブラシ21よりもドラム回転方向Rの前方側に配設されており、SiC付着手段30によって冷却ドラム11,11の周面にβ型SiCが付着した状態で、冷却ドラム11,11が溶鋼溜まり部16の溶鋼3と接触するように構成されている。
ここで、SiC含有材31は、上述のようにβ型SiCを含んでいる。SiCの結晶構造には、α型(ウルツ鉱構造)とβ型(ZnS構造)があり、さらに非晶質のSiCも存在する。δ−Feの接種核として有効に作用するのはβ型SiCであり、α型SiCや非晶質のSiCは接種核としては作用しない。このため、SiC含有材31においては、β型SiCを含有する必要がある。
SiC含有材31におけるβ型SiCの含有量は、体積比率で33%以上であることが好ましく、50%以上であることがさらに好ましい。
また、SiC含有材31としては、例えばSiC繊維からなるSiCシート材や、SiC繊維を含有するSiC含有シート材を用いることができる。また、SiC粒子及びSiC繊維の成形体やSiC粒子及びSiC繊維を含む成形体等を用いることができる。
ここで、SiC粒子を用いる場合には、薄肉鋳片1における割れの起点となることを抑制するために、粒径の上限を10μm以下とすることが好ましく、5μm以下とすることがさらに好ましい。また、SiC粒子が溶鋼3内で溶融してしまうことを抑制して接種効果を的確に得るためには、粒径の下限を0.1μm以上とすることが好ましい。
一方、SiC繊維を用いる場合には、径や長さは特に規定する必要はない。SiC繊維としては、全体がSiCで構成されたものと、芯材の表面にSiCを被覆させたものなどがある。全体がSiCで構成されたものでは、径が10〜15μm程度となる。一方、芯材の表面にSiCを被覆したものでは、径が20〜180μm程度となる。
ここで、上記のような単一の繊維をフィラメントと呼ぶことがある。そして、シート等の部材を製造する場合は、一般的に、まずフィラメントを数百から数千本を束ねたフィラメント束を形成し、フィラメント束を織って製造する。本実施形態では、フィラメントであるか、フィラメント束かは特に規定せず、使用し易い形態を選択することができる。例えば、SiC繊維シート等部材を用いる場合はフィラメント束から成ることが一般的である。他の無機物繊維と混合する場合は、フィラメントを用いた方が均一に分散させ易い傾向がある。
また、シート等を形成する長さ数cm以上の長繊維の場合であっても、通常の接触圧力であれば繊維全体がシートから剥離して巻込まれることは少ない。なお、本実施形態においては、SiC繊維の側面が冷却ドラム11の周面の凹凸で削り取られて、β型SiCの小片(SiC片)が冷却ドラム11の周面に付着することになる。
長さ数mm以下の短繊維やウィスカーを、例えば他の無機物繊維に混ぜた場合、全長まるごと剥離する可能性があるが、冷却ドラム11への接触圧力を調整すれば避けることができる。SiC繊維の形態や混合方法等により、接触圧力を調整すれば良い。一般に、繊維が長いほど剥離しにくいので、接触圧力を強くして、冷却ドラム11の周面の凹凸で削り取られて生じるSiC片を増やすことができる。
ここで、冷却ドラム11の周面に対するSiC含有材31の接触圧力については、特に規定しないが、0.01MPa以上0.1MPa以下(0.102kgf/cm以上1.02kgf/cm以下)の範囲内とすることができる。上述のように、SiC含有材31の形態に応じて適宜設定することが好ましい。なお、図示はしないが、SiC含有材の接触圧力を調整する圧力調整手段を備えていることが好ましい。
上述のSiC含有材31は、図3から図5に示すように、例えばアルミナ繊維等の無機物繊維シートからなる支持体32に支持されて冷却ドラム11の周面に接触させられている。
あるいは、図6に示すように、SiC含有材31をそのまま冷却ドラム11の周面に接触させている。
図3(a)においては、支持体32の底面全体にシート状のSiC含有材31を配置し、冷却ドラム11の周面にSiC含有材31を接触させている。
図3(b)においては、支持体32の底面の半分にシート状のSiC含有材31を配置し、冷却ドラム11の周面にSiC含有材31を接触させている。
図4(a)においては、支持体32の内部に縦溝35を形成し、この縦溝35にシート状のSiC含有材31を挿入した構造とされている。
図4(b)においては、支持体32の内部に複数の縦溝35を形成し、この複数の縦溝35にシート状のSiC含有材31を挿入した構造とされている。
図4(c)においては、支持体32の内部に縦溝35を形成し、この縦溝35にSiC含有材31として上述のSiC繊維を充填した構造とされている。
図4(d)においては、支持体32の内部に縦溝35を形成し、この縦溝35にSiC含有材31として上述のSiC粒子を充填した構造とされている。
図5(a)においては、支持体32の内部に縦溝35を形成し、この縦溝35にシート状のSiC含有材31を挿入し、その先端を折り曲げて冷却ドラム11との接触面積を大きくした構造とされている。
図5(b)においては、支持体32の内部に複数の縦溝35を形成し、この複数の縦溝35にシート状のSiC含有材31を挿入し、その先端を折り曲げて冷却ドラム11との接触面積を大きくした構造とされている。
図6(a)においては、SiC繊維を含むSiC含有材31が冷却ドラム11に直接接触させられている。
図6(b)においては、SiC粒子を含むSiC含有材31が冷却ドラム11に直接接触させられている。
次に、上述した薄肉鋳片の製造装置10を用いた本実施形態である薄肉鋳片の製造方法について説明する。
一対の冷却ドラム11、11とサイド堰15によって形成された溶鋼溜まり部16に、タンディッシュ17から浸漬ノズル18を介して溶鋼3を供給するとともに、一対の冷却ドラム11、11を回転方向Rに向けて、すなわち、一対の冷却ドラム11、11同士が近接する領域が薄肉鋳片1の引抜方向(図1においては下方向)に向かうように、それぞれの冷却ドラム11、11を回転させる。
すると、冷却ドラム11の周面には、凝固シェル5が形成される。そして、冷却ドラム11の周面の上で凝固シェル5が成長し、一対の冷却ドラム11、11にそれぞれ形成された凝固シェル5、5同士がドラムキス点で圧着されることにより、所定厚みの薄肉鋳片1が鋳造される。
ここで、本実施形態においては、SiC付着手段30によってSiC含有材31が冷却ドラム11,11の周面に接触させられており、冷却ドラム11,11の周面の微小な凹凸によってβ型SiCが削り取られて、冷却ドラム11,11の周面にβ型SiCの小片(SiC片)が付着する。
冷却ドラム11,11の周面にβ型SiCが付着した状態で、冷却ドラム11,11が溶鋼溜まり部16の溶鋼3と接触するように構成されていることから、このβ型SiCの接種効果により、等軸晶比率が向上する。
以上のような構成とされた本実施形態である薄肉鋳片の製造装置10及び薄肉鋳片の製造方法においては、冷却ドラム11の周面にβ型SiCを付着させるSiC付着手段30を備えており、冷却ドラム11の周面にβ型SiCが付着された状態で冷却ドラム11の周面に凝固シェル5を形成・成長させる構成とされているので、このβ型SiCが接種核として作用し、等軸晶比率が大幅に向上される。
また、凝固が進行する冷却ドラム11の周面に接種核(β型SiC)が付着されているので、溶鋼溜まり部16におけるマクロ的な溶鋼流動の影響が少なく、幅方向及び長手方向において等軸晶比率が安定した薄肉鋳片1を製造することが可能となる。
また、本実施形態では、SiC含有材31におけるβ型SiCの含有量が体積比率で33%以上とされているので、冷却ドラム11の周面にSiC含有材31を接触させた際に、冷却ドラム11の周面に接種効果を有するβ型SiCを十分に付着させることができ、β型SiCを接種核として作用させることによって等軸晶比率を的確に向上させることができる。
さらに、本実施形態では、冷却ドラム11の周面に対するSiC含有材31の接触圧力が0.01MPa以上0.1MPa以下(0.102kgf/cm以上1.02kgf/cm以下)の範囲内としており、SiC含有材31の形態に応じて適宜設定する構成としているので、SiC含有材31を冷却ドラム11の周面に接触させることで、β型SiCを冷却ドラム11の周面に的確に付着させることが可能となる。
また、本実施形態では、冷却ドラム11の周面の表面粗さが、JIS B0601−1994に準拠して最大高さRyが40μm以上120μm以下の範囲内とされているので、この微小な凹凸によってSiC含有材31から削り取られたβ型SiCの小片(SiC片)の大きさが適正な範囲となり、このSiC片が割れの起点となることを抑制できる。また、SiC片が融解することを抑制でき、的確に接種効果を作用させて等軸晶比率の向上を図ることができる。
以上、本発明の実施形態である薄肉鋳片1の製造方法について具体的に説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施形態では、図1に示すように、ベンダーロール及びピンチロールを配設した双ドラム式連続鋳造装置を例に挙げて説明したが、これらのロール等の配置に限定はなく、適宜設計変更してもよい。
以下に、本発明の効果を確認すべく、実施した実験結果について説明する。
<実施例1>
実施形態で説明した薄肉鋳片の製造装置を用いて、C;0.13mass%、Si;1.0mass%、Mn;2.2mass%、P;0.01mass%、S;0.005mass%、Al;0.03mass%、Ti;0.02mass%、Nb;0.04mass%、V;0.03mass%を含有する鋼材からなる薄肉鋳片を、以下の条件で鋳造した。
(鋳造条件)
冷却ドラムの直径 : 1200mm
鋳造ドラムの表面粗度 : Niメッキ被覆面にショットブラスト加工、Ry=40〜120μm(JIS B0601−1994準拠、抽出曲線:ガウス分布特性位相補償粗さ曲線、最大高さRy、評価長さ40mm、カットオフ値8.0mm、フィルタ種別:ガウシアン )
鋳造速度 : 平均50m/min
鋳造幅 : 1300mm
スカム堰浸漬深さ : 15mm
溶鋼溜まり部の過熱度 : 25℃目標、20〜30℃の範囲内
鋳造雰囲気 : Ar+N
鋳造厚み : 平均2.0mm
鋳造量 : 10ton
ここで、冷却ドラムの表面は、Niメッキ被覆面にショットブラスト加工を行うことにより、最大高さRy=40〜120μm(JIS B0601−1994準拠、抽出曲線:ガウス分布特性位相補償粗さ曲線、評価長さ40mm、カットオフ値8.0mm、フィルタ種別:ガウシアン )とした。
また、SiC含有材の冷却ドラムへの接触圧力は、表1に示すように、0.01〜0.1MPa(0.102〜1.02kgf/cm)の範囲内に設定した。
そして、冷却ドラムに接触させるSiC含有材の構造、形態は、表1及び図3から図6に示す方法で実施した。
そして、得られた薄肉鋳片の等軸晶比率、内部欠陥厚み比率、横割れの有無、曲げ性を以下のような手順で評価した。評価結果を表1に示す。
(等軸晶比率)
得られた薄肉鋳片の等軸晶の比率を測定した。鋳片1/4幅、1/2幅、3/4幅部の鋳造方向に直交する断面の凝固組織を観察し、各位置の(等軸晶厚み)/(鋳片全厚み)×100(%)を算出し、3ヶ所の平均値を代表値とした。
(内部欠陥の最大厚み比率)
鋳造方向に直交する断面において、1/4幅、1/2幅、3/4幅を中心とした±15mm(合計30mm)の領域を光学顕微鏡で観察して、内部欠陥(ポロシティや引け巣、あるいはこれらの密集領域全体の厚み)の最大厚みを測定し、鋳片厚みに占める比率(%)を評価した。
(鋳片横割れ)
コイラーに巻取り後、室温まで冷却してから鋳片を巻き戻し、鋳片表面における横割れの有無を目視観察した。鋳片長さ1mあたり1個以上の場合を「不合格」、1個未満の場合を「合格」とした。
(曲げ試験)
室温で、薄肉鋳片試料(鋳造幅方向30mm×鋳造長手方向180mm)をバイスに挟み、曲率半径3mmの棒に当てて90°曲げた際の割れの発生の有無を目視観察した。割れ無しを「合格」、割れ有りを「不合格」とした。
Figure 0006696397
比較例No.101はアルミナ繊維製の支持体のみを冷却ドラムの周面に接触させた例であり、SiC片は冷却ドラムの周面に供給されなかった。そのため、等軸晶比率は15%未満であり、内部欠陥厚み比率は15%を超えた。また、巻き戻し時の横割れが発生し、曲げ試験も不合格であった。
比較例No.102は、支持体の底面にSiC繊維シートを貼り付けて冷却ドラムの周面に接触させたが、δ−Feに対する接種作用があるβ型SiCではなかったため、等軸晶比率は15%未満であり、内部欠陥厚み比率は15%を超えた。また、巻き戻し時の横割れが発生し、曲げ試験も不合格であった。
これに対して、本発明例No.1〜14においては、β型SiC片を冷却ドラムの周面に供給しているため、等軸晶比率は15%以上であり、内部欠陥厚み比率は15%以下であった。その結果、巻き戻し後の鋳片に横割れは発生せず、曲げ試験も合格した。
<実施例2>
実施形態で説明した薄肉鋳片の製造装置を用いて、主要鋳造条件は実施例1と同様にして、表2に示す成分を含有する薄肉鋳片を鋳造した。
ここで、本発明例No.21〜36においては、SiC繊維シート(β型SiCが100vol%)を、図3(a)に示すようにアルミナ繊維製支持体の底面全面に貼り付けて、冷却ドラムの周面に接触させた。
一方、比較例No.111〜116においては、アルミナ繊維製の支持体のみ鋳造ドラム表面に接触させた。
得られた薄肉鋳片の等軸晶比率、内部欠陥厚み比率、横割れの有無、曲げ性を実施例1と同様の手順で評価した。評価結果を表2に示す。
Figure 0006696397
比較例No.111〜116では、アルミナ繊維製の支持体のみを冷却ドラムの周面に接触させため、冷却ドラムの周面にβ型SiC片は供給されなかった。そのため、本発明例と成分が類似したδ凝固鋼ではあったが、等軸晶比率は15%未満であり、内部欠陥厚み比率は15%を超えて、巻き戻し時の横割れが発生し、曲げ試験も不合格であった。
これに対して、本発明例No.21〜36においては、SiC繊維シート(β型SiCが100vol%)が冷却ドラムの周面に接触させられたため、β型SiC片が冷却ドラムの周面に供給された。これにより、いずれもδ凝固鋼である、極低炭素鋼、炭素鋼、高張力鋼、Si鋼、Cr系ステンレス鋼の各鋼種にて、等軸晶比率は15%以上であり、内部欠陥厚み比率は15%以下であった。その結果、巻き戻し後の鋳片に横割れは発生せず、曲げ試験も合格した。
以上のことから、本発明によれば、δ凝固鋼からなる薄肉鋳片を製造する場合において、幅方向及び長手方向にわたって等軸晶比率が高くかつ安定した薄肉鋳片を製造可能であることが確認された。
1 薄肉鋳片
3 溶鋼
11 冷却ドラム
30 SiC付着手段
31 SiC含有材

Claims (3)

  1. 回転する一対の冷却ドラムと一対のサイド堰を有し、これら一対の冷却ドラムと一対のサイド堰によって形成された溶鋼溜まり部に溶鋼を供給し、前記冷却ドラムの周面に凝固シェルを形成・成長させて薄肉鋳片を製造する薄肉鋳片の製造装置であって、
    β型SiCを含むSiC含有材を前記冷却ドラムの周面に接触させて、前記冷却ドラムの周面に前記β型SiCを付着させるSiC付着手段を備え、
    前記冷却ドラムは、その周面に前記β型SiCが付着された状態で、前記溶鋼溜まり部の壁面を構成することを特徴とする薄肉鋳片の製造装置。
  2. 前記SiC含有材は、β型SiCの含有量が体積比率で33%以上であることを特徴とする請求項1に記載の薄肉鋳片の製造装置。
  3. 回転する一対の冷却ドラムと一対のサイド堰によって形成された溶鋼溜まり部に溶鋼を供給し、前記冷却ドラムの周面に凝固シェルを形成・成長させて、薄肉鋳片を製造する薄肉鋳片の製造方法であって、
    請求項1又は請求項2に記載の薄肉鋳片の製造装置を用いて、
    β型SiCを含むSiC含有材を前記冷却ドラムの周面に接触させて、前記冷却ドラムの周面に前記β型SiCを付着させ、
    前記冷却ドラムの周面に前記β型SiCが付着された状態で、前記冷却ドラムの周面に凝固シェルを形成・成長させることを特徴とする薄肉鋳片の製造方法。
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