JP5700248B2 - 連続鋳造用ノズル、連続鋳造方法、および鋳造材 - Google Patents

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本発明は、可動鋳型を用いて連続鋳造する際に用いるのに適した連続鋳造用ノズル、この連続鋳造用ノズルを用いた鋳造材の製造方法、及びこの鋳造方法により得られる鋳造材に関するものである。特に、純マグネシウム又はマグネシウム合金の鋳造材を製造するのに適した連続鋳造用ノズルに関するものである。
従来、ロールやベルトなどからなる可動鋳型に金属溶湯を供給し、この溶湯を可動鋳型に接触させることで冷却して凝固させ、鋳造材を連続的に製造する連続鋳造が知られている。金属溶湯は、ノズルを介して可動鋳型に供給される。この鋳造用ノズルとして、例えば、特許文献1や2に記載されるものがある。特許文献1には、鋳造時、素材の幅方向における溶湯の温度のばらつきを小さくするために、ノズルの先端が良熱伝導層、低熱伝導層、高強度弾性層の3層構造でできたノズルが開示されている。また、特許文献2には、純マグネシウム又はマグネシウム合金を連続鋳造する際に用いるのに適したノズルが開示されている。マグネシウムは活性な金属であるため、マグネシウムの溶湯とノズルの形成材料との反応を防止するために、ノズルの本体を酸化物材料で形成した場合、溶湯と接触する面に低酸素材料からなる被覆層を設けたノズルが記載されている。
特開2006‐015361号公報 特開2006‐263784号公報
しかし、金属溶湯がノズルから可動鋳型に供給される際、この供給箇所において、ノズルと可動鋳型との間に隙間ができる。この隙間は、ノズル先端の内周縁からノズルの軸方向に延びる延長線と、可動鋳型とで囲まれる領域にできる。隙間にわずかに流れ込んだ溶湯は、可動鋳型によって冷却され、その隙間で凝固することにより局所的に湯流れを乱し、鋳造材の表面性状の低下を招く原因となる。また、凝固物となった溶湯は、可動鋳型(例えばロール)に付着し、鋳造材の表面欠陥を発生させる原因とも考えられる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、ノズルと可動鋳型との間にできる隙間に溶湯が流れ込み難く、表面品質に優れる鋳造材を得るのに最適な連続鋳造用ノズルを提供することにある。また、本発明の別の目的は、この連続鋳造用ノズルを用いた鋳造材の鋳造方法、及びこの鋳造方法により得られた鋳造材を提供することにある。
本発明は、鋳造用ノズルと可動鋳型との間にできる隙間に溶湯が流れ込み難いように、鋳造用ノズルの可動鋳型側の先端部分に、溶湯に対して濡れ性が低い材料からなる層を設けることで上記目的を達成する。
本発明は、純マグネシウム又はマグネシウム合金の溶湯を連続鋳造用の可動鋳型に供給する連続鋳造用ノズルに関するものである。本発明のノズルは、ノズル本体と、ノズル本体の表面のうち、少なくとも可動鋳型側の先端面から外周面に亘る先端領域に設けられる被覆層と、を備え、上記被覆層が、窒化物、炭化物、および炭素から選択される少なくとも1種を主成分として含有することを特徴とする。ここで、被覆層の主成分とは、被覆層のうち、60質量%以上を占める成分のことである。
上記本発明の構成によれば、純マグネシウム又はマグネシウム合金の溶湯がノズルを介して可動鋳型に供給される際、ノズルの先端領域において溶湯は弾かれるので、ノズルと可動鋳型との間にできる隙間に溶湯が流れ込み難くできる。その結果、ノズルと可動鋳型との間にできる隙間において、局所的に湯流れが乱れることがなく、溶湯が凝固することを防ぐことができ、表面品質に優れる鋳造材を得ることができる。
ここで、窒化物、炭化物、および炭素のうち、特に窒化物は、溶湯に濡れたり反応したりせずに溶湯を弾き易く、化学的安定性に優れている。また窒化物は、実質的に酸素を含んでいない低酸素材料であるため、純マグネシウムやマグネシウム合金の溶湯との反応により浸食され難い。更に窒化物は、高熱伝導性と低熱膨張性を有するので、溶湯からの熱伝導による伸縮が小さく、被覆層がノズル本体から剥離し難く、破損し難い。
本発明連続鋳造用ノズルの一形態として、被覆層は、主成分以外の成分としてアルミナを含有することが好ましい。
溶湯に対する被覆層の濡れ性を決定する要素として、被覆層の緻密さも重要な要素として挙げることができる。また、緻密さが低すぎると層の耐久性が低下し剥離したり破損したりする。アルミナは、この被覆層の緻密さを向上させる効果を有する。
本発明連続鋳造用ノズルの一形態として、上記被覆層の相対密度は、30%以上95%以下であることが好ましく、さらには40%以上85%以下が好ましい。
被覆層が緻密である程、より溶湯を弾くことができるので、ノズルと可動鋳型との間にできる隙間に溶湯が流れ込むのを防ぐことができ、また被覆層の耐久性が良い。また、被覆層の密度が上記上限以下の場合、被覆層の熱伝導率を下げることができ、ノズル部材から鋳造ロールへの抜熱を下げることができ、安定した鋳造のために好適である。ここで、上記相対密度は、(被覆層の密度)/(主成分の理論密度×成分比率+副成分の理論密度×成分比率)×100(%)で求められる値をいう。この被覆層の密度は、例えばかさ密度測定やアルキメデス法により測定される値である。
本発明連続鋳造用ノズルの一形態として、上記被覆層の厚さは、200μm以上であることが挙げられる。
ノズル本体の先端領域に設けられる被覆層の厚さは薄すぎると、溶湯の進行によって剥離や破壊の恐れがあるため、200μm以上であることが好ましい。より好ましくは300μm以上である。しかし被覆層の厚さが厚すぎると、被覆層とノズル本体との密着性が薄れ、被覆層がノズル本体から剥離する恐れがあるため、1000μm以下であることが好ましく、500μm以下であることがより好ましい。
本発明連続鋳造用ノズルの一形態として、被覆層は、前記ノズル本体の先端領域の表面に熱処理によって粉体を固着させることで形成された層であることが挙げられる。
被覆層の形成方法としては、例えば、被覆層の原料となる粉体(つまり、主成分の粉体)に所定量の溶剤やバインダーを混合してスラリーを作製し、ノズル本体の先端領域の表面にそのスラリーを塗布して熱処理を施す方法が挙げられる。塗布は、刷毛で行ってもよいし、エアスプレーで噴射して行ってもよい。また、塗布したスラリーに熱処理を施すことによって、粉体同士を焼成あるいは焼結させ、ノズル本体の先端領域の表面に密着した高強度・高硬度の被覆層が形成される。粉体は、熱処理後の被覆層の表面粗さRaが10μm以下となるような平均粒径のものを用いることが好ましい。粉体を固着させる方法によれば、強固で且つ濡れ性の低い被覆層が得られるほか、前述した密度の調整が容易になるため好ましい。このような材料はノズル本体に使用するには強度が不足していたとしても、被覆層としては好適に用いられる。また、粉体固着は生産性にも優れている。
その他、被覆層の形成方法として、他に、CVD法やPVD法によって形成する方法も挙げられる。但し、有機溶媒などで例えば20%以下に希釈され、有機バインダーなどを用いた市販の離型剤(スプレー)は、密度が低く密着強度も弱いため耐久性に乏しく、また本願の狙いとする効果を十分有しないので好ましくない。
一方、本発明連続鋳造方法は、本発明連続鋳造用ノズルと、双ロール式の可動鋳型と、を用いて双ロール鋳造を行なうことを特徴とする。
双ロール法によって連続鋳造を行うと、鋳型面(溶湯と接触する鋳型の表面)の位置を一定に保持し易い。また、ロールの回転に伴って溶湯に接触する面が連続的に現れる構成であるため、鋳造に用いられた面が再度溶湯と接触するまでの間に離型剤の塗布や付着物の除去などを効率よく行い、これら塗布や除去などの作業を行う設備を簡略化できる。なお、言うまでもないが、本発明連続鋳造用ノズルは、双ロール鋳造以外の連続鋳造に利用することもできる。
本発明連続鋳造方法の一形態として、連続鋳造用ノズルと双ロール式の可動鋳型との隙間に形成される溶湯のメニスカス部の厚さをD1、ロール間の距離をD2としたとき、D1<1.4×D2となるように、連続鋳造用ノズルを双ロール式の可動鋳型に臨ませて双ロール鋳造を行なうことが好ましい。
連続鋳造用ノズルは、出来るだけ可動鋳型の近くに臨ませておくことが好ましい。連続鋳造用ノズルと可動鋳型との隙間が大きくなると、当該隙間に溶湯が漏れ出てしまい、その漏れて凝固物となった溶湯が可動鋳型に付着すると、鋳造材の表面欠陥を発生させる原因となるからである。かといって、連続鋳造用ノズルと可動鋳型とが接触すると、連続鋳造用ノズルが冷却されることで当該ノズル内の溶湯も冷却され、溶湯が可動鋳型に接触する前に凝固してしまう恐れもある。これに対して、D1<1.4×D2となるように連続鋳造用ノズルを可動鋳型に臨ませておけば、上記問題が生じることを効果的に抑制することができるとともに、他の品質上においても良好な鋳造状態を得ることができる。本願の構成はこのような条件下において最も効果的に用いることができる。
また、本発明鋳造材は、上記本発明連続鋳造方法により得られたことを特徴とする。
本発明連続鋳造方法により得られた鋳造材は、その表面形状が均一なものである。
なお、本発明において、純マグネシウムとは、意図的に他の元素を添加することなく、質量でMg成分が99.0質量%以上含まれるものとし、マグネシウム合金とは、添加元素と残部がMg及び不純物からなるものとする。添加元素としては、例えば、Al、Zn、Mn、Si、Cu、Ag、Y、Zr、Ca、Sr、Sn、Li、Ce、Be、Ni、Au、希土類元素(Y、Ceを除く)などの元素群のうち、少なくとも1種の元素が挙げられる。このような添加元素は、マグネシウム合金中に7.3質量%以上含有されていることが好ましい。添加元素を含むマグネシウム合金として、例えば、ASTM記号におけるAZ系、AS系、AM系、ZK系などを挙げることができる。特に、Alを7.3〜12質量%含有するマグネシウム合金、更に、Y、Ce、Ca、希土類元素の少なくとも1種を合計で0.1質量%含有するマグネシウム合金は、高強度で耐食性に優れるため、好ましい。その他、本発明の連続鋳造用ノズルは、マグネシウム合金と炭化物とからなる複合材料、マグネシウム合金と酸化物とからなる複合材料の連続鋳造にも利用することができる。
本発明の連続鋳造用ノズルは、ノズル本体の先端部分に溶湯に対して濡れ性が低い材料からなる被覆層を設けることで、ノズルと可動鋳型との間にできる隙間に溶湯が流れ込み難くできる。また、この連続鋳造用ノズルを用いて鋳造を行うことで、表面品質に優れる鋳造材を得ることができる。
実施形態1の連続鋳造用ノズルを用いて双ロール法による連続鋳造を行っている様子を示す概略構成図である。
以下、本発明についての実施形態を図面に基づいて説明する。
<実施形態1>
[全体構成]
本発明に係るノズル(連続鋳造用ノズル)1について、図1に基づいて説明する。このノズル1は、溶解炉(図示せず)にて溶解された純マグネシウムの溶湯やマグネシウム合金の溶湯10を、湯だめ30などを介して可動鋳型20に供給する溶湯の輸送路として利用される部材である。このノズル1は、特に、一対のロール21からなる可動鋳型20を用いた連続鋳造(双ロール法)に用いられるものである。
ノズル1は、筒状のノズル本体2を備え、その内周側が溶湯10の輸送路となる。ノズル1において、開口部を有する一端側が、溶湯10を可動鋳型20に供給する注湯口4として利用される。注湯口4は、鋳造材100の横断面に合わせて、注湯口4の長径(鋳造材100の幅)≫注湯口4の短径(鋳造材100の厚さ)となるような矩形状である。注湯口4の長径や短径は、所望の鋳造材100の幅や厚さに対応させて適宜変更する。他に、例えば、注湯口4の両側に堰を配置させることで、鋳造材100の幅を変更することもできる。ノズル1の他端側は、溶解炉(図示せず)からの溶湯10を一時的に貯留する湯だめ30に固定される。湯だめ30には、移送樋31が接続され、溶解炉からの溶湯10は移送樋31を介して湯だめ30に供給される。そして、溶湯10は、湯だめ30からノズル1に輸送され、ノズル1からロール21間に供給される。各ロール21は、円筒状体であり、所定の間隔をあけて対向配置され、図1の矢印で示すように互いに反対方向に回転する。ロール21間の間隔は、所望の鋳造材100の厚さに応じて適宜選択されるが、ノズル1の注湯口4の短径と同じかもしくは若干狭い方が好ましい。ロール21の内部には、水路22が設けられて随時水が流通され、ロール21の表面はこの水によって冷却される。即ち、ロール21は水冷構造を備えるものである。
上記ノズル1は、図示するように、ノズル1とロール21との隙間に形成されるメニスカス部の厚さ(最大厚さ)をD1、ロール21間の距離D2としたとき、D1<1.4×D2となるように、ノズル1をロール21に臨ませると良い。そうすることで、ノズル1とロール21のサイズによらず、ノズル1とロール21との距離dを適正な値にすることができる。これらD1,D2は、鋳造を一旦中断することで確認できる。
上記ノズル1及びロール21を利用して鋳造することで、鋳造材100を得ることができる。溶湯10は、ノズル1内を輸送され、ノズル1の先端の注湯口4からロール21間に供給される。供給された溶湯10は、回転するロール21に接触することで急激に冷却されて凝固し、鋳造材100としてロール21間から排出される。このように溶湯10をロール21間に連続的に供給することで、長尺な鋳造材100が得られる。本例では、板状の鋳造材100が製造される。
[ノズル]
ノズル1を構成するノズル本体2は、例えば、炭素系材料やモリブデン、タングステン、タンタル、SUSなど低酸素材料にて形成することができる。炭素系材料は、熱伝導性に優れるので、ノズル1の横断幅方向において、溶湯10の温度のばらつきを小さく抑えることができる。また、アルミナやシリカなどの酸化物材料と比較して低酸素性であるため、純マグネシウムやマグネシウム合金を連続鋳造する場合、マグネシウムが酸素と結合して、表面品質を低下させることを低減させることができるので好ましい。
このノズル1の特徴とするところは、ノズル本体2の先端領域に、ノズル本体2よりも溶湯10に対して濡れ性が低い材料を主成分とする被覆層3を設ける点にある。溶湯10に対して濡れ性が低い材料としては、AlN,BN,SiNなどの窒化物、SiC,TaCなどの炭化物、あるいはCを用いることができる。ここで、主成分とは、被覆層3における含有量が20質量%以上の成分のことである。
また、被覆層3は、主成分以外の成分としてアルミナを含有していても良い。被覆層3にアルミナを含有させることによって、被覆層3を緻密にすることができる。被覆層3におけるアルミナの含有量は、被覆層3の主成分に対して2〜10質量%であること(つまり、質量%で主成分を100としたとき、アルミナが2〜10)が好ましい。
この被覆層3は、被覆層3の原料となる粉体をノズル本体2の先端領域の表面に熱処理によって固着させることで形成される。例えば、主成分としてBNを含むと共に、主成分以外の成分としてアルミナを含む被覆層3を形成する場合、まずBN粉体とアルミナ粉体を含有するスラリーを作製する。次いで、そのスラリーをノズル本体2の先端領域の表面に塗布して、熱処理を行なう。BN粉末の平均粒径は 5μm以下、アルミナ粉体の平均粒径は1μm以下とすることが好ましい。そうすることで、被覆層3の表面を滑らかにできる。
一方、被覆層3を設けるノズル本体2の先端領域とは、ノズル本体2の可動鋳型20側において、ノズル本体2の内周縁と外周縁との間の先端面及びこの先端面から連続してノズル本体2の外周面に亘る領域であり、ノズル内の溶湯接触面以外を指す。ここでは、ノズル本体2の内周面には被覆層3は設けていない。
[効果]
溶湯10に対して濡れ性が低い被覆層3をノズル本体2の先端領域に設けることによって、溶湯10がその被覆層3によって弾かれるので、ノズル1と可動鋳型20との間にできる隙間に溶湯10が流れ込み難くできる。また被覆層3は、低酸素性を有するので、純マグネシウムやマグネシウム合金の溶湯10との反応により浸食され難い。よって、純マグネシウム又はマグネシウム合金の溶湯10が、ノズル1を介して可動鋳型20に供給される際、局所的な湯流れの乱れを防ぎ、溶湯10がロール21間に注入される前に凝固することを防ぐことができ、表面品質に優れる鋳造材100を得ることができる。
<試験例1>
本試験例では、作製されるマグネシウム合金からなる鋳造材に及ぼす被覆層の有無、および被覆層の厚さの影響を調べた。
[試料1]
まず、カーボンを加工したノズル本体2を用意した。ノズル本体2の先端厚さは1mm、幅は300mmであった。
次に、ノズル本体2の可動鋳型20側の先端領域に被覆層3を形成し、ノズル1を完成させた。被覆層3は、窒化アルミ粉体に対して10質量%で平均粒径0.3μmのアルミナ粉体を窒化アルミ粉体に含有してスラリーを作製し、ノズル本体2の先端領域にそのスラリーをスプレーにて塗布した後、800℃の温度で熱処理を施すことで形成した。熱処理後の被覆層3の表面粗さRa(算術平均粗さ)は5μmであり、被覆層3の厚さは300μmであり、窒化アルミの相対密度は65%であった。表面粗さRaの測定方法は、JIS B 0601に規定の方法に準じて測定した。具体的には、測定長さ3mmにて5点測定した値の平均値である。
上記被覆層3を有したノズル1を、可動鋳型20側に配置されるノズル1の先端と可動鋳型20との間の距離dを50μmとなるように配置させた。そして、AZ91相当のマグネシウム合金の溶湯10をノズル1から可動鋳型20に供給し、厚さ5mm×幅300mmの板状の鋳造材100を製造した。このとき、メニスカス部の厚さD1は、ロール21間の距離D2の1.2倍であった。上記鋳造材100を製造するに当たり、0.5t/ロットの上記マグネシウム合金の溶湯10を用いたときの不良率を出す。不良率とは、ノズル1とロール21との間に溶湯が漏れたことに起因して、製造された鋳造材100の表面性状が悪くなった箇所(凹みや割れ等のある箇所)を目視により確認し、溶湯全量を鋳造したときの鋳造材の長さに対して、不良と判断した鋳造材の長さの割合を算出したものである。不良率およびノズル1の構成は、表1に示す。
[試料2,3]
被覆層3の厚みを変えて測定した試料2,3は、被覆層3の厚みだけが試料1と異なり、その他、カーボンから形成されているノズル本体2の寸法、被覆層3の厚み以外の寸法、鋳造方法、不良率の算出方法は、試料1と同様である。
[試料4]
試料4は、被覆層3がAlNのみからなり、被覆層3の厚みが5μm、相対密度が29%である点が試料1と異なる。これらの点以外は試料1と同様である。
[試料5]
試料5は、ノズル本体2の先端領域に被覆層3を備えていない点が試料1と異なり、それ以外は試料1と同様である。
[結果]
Figure 0005700248
被覆層3を備えるノズル1を用いた試料1〜4と、被覆層3を備えないノズルを用いた試料5を比較することで、被覆層3を備えることにより不良率を低下できることがわかる。これは、ノズル1の先端領域に、溶湯10に対して濡れ性が低い被覆層3を設けることによって、溶湯10がその被覆層3によって弾かれるので、ノズル1と可動鋳型20との間にできる隙間に溶湯10が流れ込み難くなっていると考えられる。よって、ノズル1と可動鋳型20との間にできる隙間において、局所的に湯流れが乱れることがなく、溶湯10が凝固することを防ぐことができ、表面品質に優れる鋳造材100を得ることができる。
また、試料1〜4を比較することで、被覆層3の厚さを200〜1000μmの範囲とすることで、不良率を劇的に低減できることができることが明らかになった。
<試験例2>
ノズル1とロール21との位置関係を示すD1の相違が、鋳造材に及ぼす影響を調べた。
[試料6]
試料6は、被覆層3の主成分がSiC、被覆層3の厚さが200μm、相対密度が70%である点が試料2と異なり、それ以外は試料2と同様である。
[試料7]
試料7は、被覆層3の主成分がBN、相対密度が95%である点が試料6と異なり、それ以外は試料6と同様である。
[試料8]
試料8は、モリブデンからなるノズル本体2を用いた点、D1=1.3×D2である点が試料6と異なり、それ以外は試料6と同様である。
[試料9]
試料9は、アルミナからなるノズル本体2を用いた点、被覆層3の主成分がBN、被覆層3の相対密度が80%である点、D1=1.5×D2である点が、試料6と異なる。それ以外は試料6と同様である。
[試料10]
試料10は、D1=1.5×D2である点が、試料6と異なる。それ以外は試料6と同様である。
[結果]
Figure 0005700248
試料6〜10を比較することで、D1<1.4×D2とすることで、鋳造材の不良率を低減できることがわかった。これは、ノズル1とロール21との距離が離れすぎると、両者の隙間に溶湯が漏れ、その漏れた溶湯が凝固してノズル1に付着することと、良好な冷却条件が得られないことが原因であると推察される。
上述した実施形態は、本発明の要旨を逸脱することなく、適宜変更することが可能であり、本発明の範囲は上述した構成に限定されるものではない。
本発明の連続鋳造用ノズルは、純マグネシウム又はマグネシウム合金の連続鋳造を行う際、溶解炉などから可動鋳型に溶湯を供給する溶湯輸送部材として好適に利用できる。また、本発明の連続鋳造方法は、表面性状に優れる鋳造材を得るのに最適である。更に、この連続鋳造方法により得られた鋳造材は、圧延などの二次加工材として利用することができる。
1 ノズル(連続鋳造用ノズル)
2 ノズル本体
3 被覆層
4 注湯口
10 溶湯 100 鋳造材
20 可動鋳型 21 ロール 22 水路
30 湯だめ 31 移送樋

Claims (8)

  1. 純マグネシウム又はマグネシウム合金の溶湯を連続鋳造用の可動鋳型に供給する連続鋳造用ノズルであって、
    ノズル本体と、
    前記ノズル本体の表面のうち、少なくとも前記可動鋳型側の先端面から外周面に亘る先端領域に設けられる被覆層とを備え、
    前記被覆層が、窒化物、炭化物、および炭素から選択される少なくとも1種を主成分として含有することを特徴とする連続鋳造用ノズル。
  2. 前記被覆層は、主成分以外の成分としてアルミナを含有することを特徴とする請求項1に記載の連続鋳造用ノズル。
  3. 前記被覆層の相対密度は、30%以上95%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の連続鋳造用ノズル。
  4. 前記被覆層の厚さは、200μm以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の連続鋳造用ノズル。
  5. 前記被覆層は、前記ノズル本体の先端領域の表面に熱処理によって粉体を固着させることで形成された層であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の連続鋳造用ノズル。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の連続鋳造用ノズルと、双ロール式の可動鋳型と、を用いて双ロール鋳造を行なうことを特徴とする連続鋳造方法。
  7. 前記連続鋳造用ノズルと双ロール式の可動鋳型との隙間に形成される溶湯のメニスカス部の厚さをD1、前記ロール間の距離をD2としたとき、
    D1<1.4×D2となるように、前記連続鋳造用ノズルを双ロール式の可動鋳型に臨ませて双ロール鋳造を行なうことを特徴とする請求項6に記載の連続鋳造方法。
  8. 請求項6または7に記載の連続鋳造方法により得られたことを特徴とする鋳造材。
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