以下、本発明の加飾部材、有機EL素子について説明する。
A.加飾部材
本発明の加飾部材は、透明基材と、上記透明基材上にパターン状に配置された淡色加飾部と、上記透明基材の上記淡色加飾部が配置された側の面上であって、パターン状の上記淡色加飾部により画定された開口領域に配置された平坦化層と、上記淡色加飾部および上記平坦化層の、上記透明基材が配置された側とは反対の面上に配置された円偏光層とを有し、上記円偏光層と、上記淡色加飾部および上記平坦化層とが、透明または淡色の層を介して積層しているか、あるいは直に積層しているかのいずれかであることを特徴とする部材である。
本発明の加飾部材について、図を参照しながら説明する。図1(a)、(b)は、本発明の加飾部材の一例を示す概略断面図である。図1(a)に示すように、本発明の加飾部材10は、透明基材1と、透明基材1上にパターン状に配置された淡色加飾部2と、透明基材1の淡色加飾部2が配置された側の面上であって、パターン状の淡色加飾部2により画定された開口領域Dに配置された平坦化層3と、淡色加飾部2および平坦化層3の、透明基材1が配置された側とは反対の面上に配置された円偏光層4とを有する。また、本発明の加飾部材10は、円偏光層4と、淡色加飾部2および平坦化層3とが、透明または淡色の層5を介して積層しているか、あるいは図2に示すように、直に積層していることを特徴とする。
また、図1(b)に示すように、本発明の加飾部材10は、透明基材1と、透明基材上に配置された透明または淡色の層5aと、透明または淡色の層5aの透明基材1とは反対側の面に配置された淡色加飾部2と、透明基材1の淡色加飾部2が配置された側の面上であって、パターン状の淡色加飾部2により画定された開口領域Dに配置された平坦化層3と、淡色加飾部2および平坦化層3の、透明基材1が配置された側とは反対の面上に配置された透明または淡色の層5b〜5dと、透明または淡色の層5b〜5dの、透明基材1が配置された側とは反対の面上に配置された円偏光層4とを有していても良い。図1(b)に示す加飾部材10は、基材への密着性や加飾部材の着色を目的として配置された透明または淡色の層5a、着色を目的として配置された淡色の層5b、淡色加飾部2および平坦化層3とが配置された表面の平坦化を目的として配置された透明または淡色の層5c、および円偏光板4の粘着を目的として配置された透明または淡色の層5dとを有する例である。このように、本発明の加飾部材は、必要に応じて上述のような層を有していても良い。
ここで、「円偏光層と、淡色加飾部および平坦化層とが、透明または淡色の層を介して積層している」とは、例えば図1に示すように、円偏光層4と、淡色加飾部2および平坦化層3との間に、透明または淡色の層5を有することを指す。したがって、この場合、開口領域Dでは、透明基材1、平坦化層3、透明または淡色層5、および円偏光層4が、この順で積層しており、開口領域D以外の非開口領域D’では、透明基材1、淡色加飾部2、透明または淡色の層5、および円偏光層4が、この順で積層していることを指す。
また、「円偏光層と、淡色加飾部および平坦化層とが、直に積層している」とは、例えば図2に示すように、円偏光層4と、淡色加飾部2および平坦3化層との間に、他の層を有しないことを指す。したがって、この場合、開口領域Dでは、透明基材1、平坦化層3、および円偏光層4が、この順で積層しており、開口領域D以外の非開口領域D’では、透明基材1、淡色加飾部2、および円偏光層4が、この順で積層していることを指す。
さらに、「淡色加飾部」および「透明または淡色の層」での「淡色」とは、純粋な白色(純白)以外に、アイボリー色、ベージュ色、赤色がかった白色(薄いピンク色)、黄色がかった白色、青色がかった白色、緑色がかった白色、紫色がかった白色、茶色がかった白色、黒色がかった灰色(ライトグレー)、銀色がかった白色、金色がかった白色等の有彩色で白を呈する色、および無彩色で白を呈する色等を指す。本発明においては、淡色が白色であることが好ましい。
また、「透明または淡色の層」での「透明」とは、特段の断りがない限り、本発明の加飾部材が用いられたフラットパネル素子の操作者が、操作面からの視認を妨げない程度に透明であることをいう。したがって、「透明」は、無色透明、および視認性を妨げない程度の有色透明を含み、また厳密な透過率で定義されず、本発明の加飾部材の用途等に応じて透過性の度合いを決定することができる。
本発明によれば、円偏光層を有することにより、膜厚の増加を抑制することができるとともに、例えば外周部に配置された配線や制御回路等を隠すことができる程度の遮光性を有し、かつ淡色加飾部が所望の輝度を有する加飾部材とすることができる。
具体的には、以下のような効果が得られる。
まず、本発明の発明者等は、淡色加飾部の視認側とは反対側の面に円偏光層を設けることにより、淡色加飾部が裏打ち層を有しない場合であっても、例えば外周部に配置された配線や制御回路等を隠すことができる程度の遮光性が得られることを新たに発見した。
このような効果が得られる理由としては、次のようなことが考えられる。
従来の加飾部材を有機EL素子等に用いた場合、配線や制御回路等は、加飾部の背面、すなわち加飾部の透明基材とは反対側の面に配置される。そのため、透明基材側から入射した光は、加飾部を介して配線や制御回路に反射し、この反射光が再度加飾部を介して透明基材側から出射される。これにより、配線や制御回路等が加飾部を介して視認されてしまうと考えられる。
これに対し、本発明の加飾部材を有機EL素子等に用いた場合、配線や制御回路等は、円偏光層の背面、すなわち円偏光層の淡色加飾部とは反対側の面に配置される。そのため、例えば、図3に示すように、本発明における円偏光層4が、透明基材1側から偏光板4aと、面内レターデーション値がλ/4に相当する位相差層(λ/4板)4bとを有する場合には、次のような原理によって、配線や制御回路等に反射した光が透過基材から出射するのを防ぐことができると考えられる。まず、図3に示すように、透明基材1から入射した光は、淡色加飾部材2を介して偏光板4aを透過する。このとき、偏光板4aは、透過軸方向の光のみを透過する。このようにして偏光板4aを透過した透過軸方向の光は、次に、λ/4板4bを透過して、λ/4板4bによって遅相軸方向へと回転(ここでは45°)して右偏光へと変換される。この右偏光は、その後、配線や制御回路30に反射することとなるが、このとき反射した反射光は、右偏光から左偏光となる。次に、この左偏光は、再度λ/4板4bを透過して、λ/4板4bによって遅相軸方向へとさらに45°回転する。そのため、回転後の光軸は、次に透過する偏光板4aの吸収軸方向と一致することとなり、偏光板4aを透過することができなくなる。このような原理により、本発明においては、配線や制御回路等に反射した光が透過基材から出射するのを防ぎ、配線や制御回路等が視認されるのを抑制することができると考えられる。
また、本発明において用いられる円偏光板は、例えば透過率が40%程度である。そのため、加飾部材が円偏光板を有することにより、円偏光板を透過する光量を低減させ、配線や制御回路等への光の反射を抑制することができる。さらに、仮に配線や制御回路等に光が反射したとしても、円偏光板が所定の透過率を有することにより、円偏光板を透過する当該反射光量を低減させ、配線や制御回路等に反射した光が透過基材から出射するのを抑制することができる。したがって、本発明においては、加飾部材を有機EL素子等に用いた場合に、配線や制御回路等が視認されるのを抑制することができると考えられる。
なお、本発明においては、淡色加飾部および円偏光層の背面に配置される部材が、配線や制御回路以外の部材、例えば、遮光性の材料を有する遮光部材等であっても、上述した原理と同様の原理によって、本発明の効果を奏し得ると考えられる。
また、本発明によれば、円偏光層を淡色加飾部の背面に設けることにより、従来のような遮光性の顔料を有する裏打ち層を要しない。そのため、淡色加飾部の色味が、淡色加飾部の背面に配置される裏打ち層により暗くなり、透明基材側から観察される淡色加飾部の輝度が低下することを抑制することができると考えられる。また、本発明によれば、上述した効果を奏することにより、従来のように、淡色加飾部の遮光性を向上させるために、淡色加飾部に含まれる淡色顔料濃度を高める必要がない。したがって、淡色加飾部の膜厚の増加を抑制することが可能であると考えられる。
以下、本発明の加飾部材について詳細に説明する。
本発明の加飾部材は、上記淡色加飾部の厚みが25μm以下であり、上記透明基材と上記淡色加飾部と上記円偏光層とが積層された領域の厚み方向のOD値が、4.0以上であることが好ましい。
ここで、「透明基材と淡色加飾部と円偏光層とが積層された領域の厚み方向のOD値」とは、例えば、図1および図2における破線Lで示す位置において測定した値である。また、ここでのOD値とは、Optical Density(OD)値であり、いわゆる光学濃度を示す。また、OD値は、垂直入射した入射光の強度Iinと垂直に透過した透過光の強度Ioutとを用いた「log10(Iin/Iout)」によって特定され、顕微分光測色計(オリンパス株式会社製、OSP−SP200)によって測定することができる。
本発明の加飾部材は、淡色加飾部の厚みが25μm以下のときに、透明基材と淡色加飾部と円偏光層とが積層された領域の厚み方向のOD値が、例えば4.0以上であることが好ましく、中でも4.2以上であることが好ましく、特に4.3以上であることが好ましい。膜厚の増加を抑制することができるとともに、例えば外周部に配置された配線や制御回路等を隠すことができる程度の遮光性を有する加飾部材とすることができるからである。
また、本発明の加飾部材は、上記淡色加飾部の厚みが25μm以下であり、上記透明基材と上記淡色加飾部と上記円偏光層とが積層された領域を、上記透明基材側の面から観察したときのL値が、86以上であることが好ましい。
ここで、「透明基材と淡色加飾部と円偏光層とが積層された領域を、透明基材側の面から観察したときのL値」とは、パターン状の淡色加飾部が形成された領域であって、例えば図1および図2の符号D’で示す領域を、透明基材側から測定した値である。また、ここでのL値とは、国際照明委員会で定義されたCIE−Lab表色系において、明度Lを表わす値であり、例えば、分光光度計により測定することができる。
本発明の加飾部材は、淡色加飾部の厚みが25μm以下のときに、透明基材と淡色加飾部と円偏光層とが積層された領域を、透明基材側の面から観察したときのL値が、例えば86以上であることが好ましく、中でも88以上であることが好ましく、特に89以上であることが好ましい。膜厚の増加を抑制することができるとともに、淡色加飾部が所望の輝度を有する加飾部材とすることができるからである。
本発明の加飾部材が、淡色加飾部の背面、すなわち淡色加飾部の透明基材とは反対側の面に円偏光層が配置されることにより、円偏光層の淡色加飾部とは反対側の面に配置された配線や制御回路等の機能層が透けて視認されることを抑制することができる。したがって、本発明の加飾部材は、淡色加飾部と円偏光層との間に、視認を抑制しようとする配線や制御回路等の機能層を有しないことが好ましい。
以下、本発明の加飾部材を構成する各部材について説明する。
1.淡色加飾部
本発明における淡色加飾部は、透明基材上にパターン状に配置される部材である。
本発明における淡色加飾部のパターン形状は、本発明の加飾部材の用途等に応じて適宜調整することができ、特に限定されない。一方、本発明の加飾部材が、配線や制御回路等を隠すことができるという効果を奏することを考慮すると、淡色加飾部は、通常、配線や制御回路等が配置される外周部を覆うことのできるパターン形状であることが好ましい。
本発明においては、後述する円偏光層を淡色加飾部の視認側とは反対側の面、すなわち背面に配置することにより、透明基材と淡色加飾部と円偏光層とが積層された領域の厚み方向のOD値を、例えば配線や制御回路等の機能層が透けて見えない程度とすることができる。なお、具体的なOD値については上述したため、ここでの記載は省略する。
本発明における淡色加飾部は、淡色加飾部の単層でも所定の遮光性(不透明性)を有することが好ましい。淡色加飾部が単層で所定の遮光性を有することにより、透明基材と淡色加飾部と円偏光層とが積層された領域の厚み方向の遮光性をより向上させることができるからである。
また、本発明における淡色加飾部は、淡色加飾部の単層でのOD値が、所定の範囲内であることが好ましい。例えば、淡色加飾部の厚みが25μmのときの淡色加飾部の単層でのOD値が、1.8以上であることが好ましく、中でも2.0以上であることが好ましく、特に2.5以上であることが好ましい。なお、淡色加飾部の単層でのOD値は、上述した「透明基材と淡色加飾部と円偏光層とが積層された領域の厚み方向のOD値」と同様に測定することができるため、ここでの記載は省略する。
本発明における淡色加飾部は、所定の厚みを有することが好ましい。例えば、淡色加飾部の厚みが、10μm〜25μmの範囲内であることが好ましく、中でも、10μm〜20μmの範囲内であることが好ましく、特に10μm〜15μmの範囲内であることが好ましい。淡色加飾部の厚みが上記範囲内であることにより、本発明の加飾部材の膜厚の増加を抑制することができ、必要に応じてフレキシブル性を付与することが可能となる。また、本発明の加飾部材にフレキシブル性を付与した場合には、淡色加飾部の厚みが上記範囲内であることにより、折り曲げることによる剥がれや割れの発生を効果的に抑制することが可能となる。
本発明における淡色加飾部は、所定の屈曲性を有することが好ましい。本発明の加飾部材に対し、必要に応じてフレキシブル性を付与することができ、当該加飾部材を折り曲げることによる淡色加飾部の剥がれや割れの発生を効果的に抑制することができるからである。淡色加飾部の屈曲性としては、例えば、加飾部材がフレキシブル性を有する場合に、当該加飾部材の屈曲耐久試験において、3mmの屈曲半径で10万回以上曲げ試験を実施後、淡色加飾部の割れまたは加飾部材からの淡色加飾部の剥がれがないことが好ましい。中でも、3mmの屈曲半径で15万回以上曲げ試験を実施後、淡色加飾部の割れまたは加飾部材からの淡色加飾部の剥がれがないことが好ましく、特に、3mmの屈曲半径で20万回以上曲げ試験を実施後、淡色加飾部の割れまたは加飾部材からの淡色加飾部の剥がれがないことが好ましい。
なお、上述した屈曲耐久試験は、ユアサシステム株式会社製 DLDMLH−FU 面状体U字繰り返し試験機を用いて、曲げ半径R=3mm、回転数120rpm、ストローク20mmの条件で測定することができる。また、本発明においては、10万回以上の曲げ試験実施後、淡色加飾部の割れまたは加飾部材からの淡色加飾部の剥がれがない場合に、淡色加飾部が屈曲性を有すると評価した。
本発明における淡色加飾部は、通常、感光性樹脂を含む樹脂バインダ中に淡色顔料が含まれた硬化物である。ここでいう「硬化物」とは、光重合性化合物のみの硬化物に限定されず、例えば、分散剤、界面活性剤、あるいは、アルカリ現像適性のために配合されるアルカリ可溶性樹脂として用いられ得る非光重合性重合物、その他の非光重合性化合物等を、通常は含み得る硬化物をいう。
本発明における淡色加飾部の全固形分量に対する淡色顔料の顔料濃度は、所望の輝度が得られる程度の範囲内であることが好ましい。具体的には、固形分中の濃度で、40質量%〜90質量%の範囲内であることが好ましく、中でも50質量%〜85質量%の範囲内であることが好ましく、特に60質量%〜80質量%の範囲内であることが好ましい。
本発明において用いられる淡色顔料は、淡色を呈する顔料であることが好ましい。ここでいう「淡色」とは、純粋な白色(純白)以外に、アイボリー色、ベージュ色、赤色がかった白色(薄いピンク色)、黄色がかった白色、青色がかった白色、緑色がかった白色、紫色がかった白色、茶色がかった白色、黒色がかった灰色(ライトグレー)、銀色がかった白色、金色がかった白色等の有彩色で白を呈する色、および無彩色で白を呈する色等が挙げられる。
このような淡色は、例えば、各種表色系を用いて数値として定義することができる。中でも、慣用的な表色系の1種であるマンセル表色系(JIS Z 8721)を用いた場合、本発明における淡色は、明度が8.0以上であり、かつ彩度が2.0以下の色であると定義することができる。色相については、特に制限はなく、どのような色味であっても良い。
なお、マンセル表色系では、全ての色を明度、彩度および色相の三属性により表現することができる。マンセル表色系における明度は、最も明るい理想的な白を10とし、最も暗い理想的な黒を0とする。本発明における淡色顔料は、淡色を呈するため、明度は小さくても8であり、8.0以上であることが好ましい。また、マンセル表色系における彩度は、無彩色を0とし、色が濃くなるほど値が大きくなり、最大値は明度と色相に応じて適宜変化するが、最大で14である。本発明においては、有彩色であっても淡色を呈することから、彩度は最大でも2であり、2.0以下であることが好ましい。
マンセル表色系の三属性は、市販の分光測色計、分光光度計等を用いることにより測定することができる。
本発明において用いられる淡色顔料としては、例えば、酸化チタン、シリカ、タルク、カオリン、クレイ、硫酸バリウム、水酸化カルシウム等が挙げられる。中でも、酸化チタンは代表的である。酸化チタンの結晶型には、ルチル型およびアナターゼ型があるが、ルチル型のものを用いることがより好ましい。ルチル型は、アナターゼ型に比べて触媒活性が低く、加熱時に樹脂バインダを変質させる等の不具合を抑制することができるからである。なお、本発明における淡色顔料には、1種の白色顔料のみを用いても良く、2種以上の淡色顔料を混合して用いても良い。また、淡色顔料に、その他の有色顔料を混合して用いても良い。
本発明において用いられる感光性樹脂としては、加飾部に一般的に用いられる材料が挙げられる。具体的には、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリ桂皮酸ビニル系樹脂、環化ゴム、等の反応性ビニル基等の光反応性基を有する感光性樹脂が挙げられる。また、このような感光性樹脂は、1種以上用いることができる。アクリル系樹脂では、例えば、アルカリ可溶性樹脂、多官能アクリレート系モノマー、光重合開始剤、その他添加剤等からなる感光性樹脂を樹脂バインダの樹脂成分として用いることができる。
アルカリ可溶性樹脂には、ベンジルメタクリレート−メタクリル酸共重合体等のメタクリル酸エステル共重合体、ビスフェノールフルオレン構造を有するエポキシアクリレート等のカルド樹脂、等を1種以上用いることができる。多官能アクリレート系モノマーには、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を1種以上用いることができる。
なお、本発明において、(メタ)アクリレートとは、メタクリレート、または、アクリレートのいずれかであることを意味する。
光重合開始剤には、アルキルフェノン系、オキシムエステル系、トリアジン系、チタネート系等、公知のものを1種以上用いることができる。例えば、アルキルフェノン系では、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン(イルガキュア(登録商標)907、BASFジャパン株式会社製)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モノフォリオフェニル)ブタノン−1(イルガキュア(登録商標)369、BASFジャパン株式会社製)、オキシムエステル系では、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−,2−(O−ベンゾイルオキシム)(イルガキュア(登録商標)OXE01、BASFジャパン株式会社製)等を用いることができる。
本発明における樹脂バインダは、上述した材料の他にも、光増感剤、分散剤、界面活性剤、安定剤、レベリング剤などの、公知の各種添加剤を含むことができる。
本発明における淡色加飾部の形成方法は、所望の淡色加飾部を形成することができる方法であれば特に限定されない。例えば、淡色顔料と感光性樹脂の未硬化物とを含む淡色感光性樹脂組成物を、後述する透明基材上に塗布した後、所定のパターンで露光して現像するという、いわゆるフォトリソグラフィ法が挙げられる。フォトリソグラフィ法により形成した淡色加飾部は、スクリーン印刷法により形成した淡色加飾部に比べて厚みを薄くすることができる。また、グラビア印刷法に比べて高い直線性で淡色加飾部を形成することができる。
また、淡色感光性樹脂組成物を、透明基材上に塗布する塗布法としては、例えば、スピンコート法、ロールコート法、ダイコート法、スプレーコート法、ビードコート法等の公知の方法が挙げられる。
本発明における淡色加飾部は、必要に応じてその他の層を有していても良い。その他の層としては、例えば、淡色加飾部の遮光性を向上させるための色調整層が挙げられる。なお、本発明における色調整層については、例えば特開2015−014733号公報に記載された内容と同様とすることができるため、ここでの記載は省略する。
2.円偏光層
本発明における円偏光層は、淡色加飾部および平坦化層の、透明基材が配置された側とは反対の面上に配置される部材である。
本発明における円偏光層は、淡色加飾部および平坦化層の面上に配置される部材であり、通常は、淡色加飾部および平坦化層の面上である全面に連なるように配置される部材である。
ここで、円偏光層とは、本発明により得られる加飾部材に、所定の光学特性を付与することが可能な層をいい、例えば、偏光板や、各種位相差層が積層された層が挙げられる。
本発明において用いられる偏光板は、例えば、透過光を直交する二つの偏光成分に分解し、一方の方向(透過軸と平行な方向)の偏光成分を透過させ、上記一方の方向に直交する他方の方向(吸収軸と平行な方向)の偏光成分を吸収することができる。このような偏光板は、ポリビニルアルコール(PVA)によるフィルム材に、ヨウ素化合物分子を吸着配向させることにより形成することができる。
また、位相差層としては、例えば、面内レターデーション値がλ/4に相当する位相差層、面内レターデーション値がλ/2に相当する位相差層、光軸が位相差補正層の法線方向を向くとともに、常光線屈折率よりも大きな異常光線屈折率を位相差補正層の法線方向に有する、いわゆる正のCプレートとして形成することができる。また、円偏光層は、光軸が円偏光層の法線方向を向くとともに、常光線屈折率よりも小さな異常光線屈折率を円偏光層の法線方向に有する、いわゆる負のCプレートとして形成することができる。位相差層の組み合わせや構成については、本発明の加飾部材の用途等に応じて適宜調整することができ、特に限定されない。
本発明における円偏光層の厚みは、円偏光層が示す位相差や円偏光層を構成する重合性液晶化合物の種類等に応じて適宜調整され、特に限定されない。本発明においては、例えば、5μm以下であることが好ましく、中でも3μm以下であることが好ましく、特に2μm以下であることが好ましい。円偏光層の厚みが上記範囲内であることにより、所望の光学調整能を発揮することが可能となる。また、円偏光層の厚みは、例えば、0.3μm以上とすることができる。
本発明における円偏光層は、例えば、熱重合または電離放射線重合が可能な重合性液晶化合物により構成することができる。ここで、電離線とは、紫外線等を含む電磁波、および電子線等を含み分子を重合し得るエネルギー量子を有する粒子線のいずれをも含む。なお、具体的な重合性液晶化合物については、一般的に用いられる重合性液晶化合物と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
本発明における円偏光層の形成方法としては、例えば、基材上に、円偏光層を形成するための重合性液晶化合物を含有する円偏光層形成用組成物を塗布して塗膜を形成し、当該塗膜中に存在する重合性液晶分子を所望の方向に配向させた後、配向状態を保持したまま重合させて固定化することにより円偏光層を形成する方法が挙げられる。
円偏光層形成用組成物を塗布する方法としては、例えば、スピンコーティング方法、ダイコーティング方法、スリットコーティング方法、グラビア印刷法、オフセット印刷法、凸版印刷法、スクリーン印刷法、転写印刷法、静電印刷法、無版印刷法等の各種印刷法や、グラビアコート法、ロールコート法、ナイフコート法、エアナイフコート法、バーコート法、ディップコート法、キスコート法、スプレーコート法、コンマコート法、インクジェット法等が挙げられる。
次に、円偏光層形成用組成物を塗布して得られた塗膜において、重合性液晶分子を所望の方向に配向させる方法としては、例えば、塗膜に熱を照射する等して加熱し、塗膜に含まれる溶剤を除去することともに、塗膜中に存在する重合性化合物を液晶相が発現する温度にまで昇温させて所望の方向に配向させる方法が挙げられる。このときの加熱の温度および時間については、円偏光層形成用組成物に含まれる重合性液晶化合物の特性に応じて適宜調整することができ、特に限定されない。
最後に、重合性液晶分子を所望の方向に配向させた状態を保持したまま重合させて固定化する方法としては、例えば、重合性液晶分子を所望の方向に配向させた状態の塗膜に向け、電離放射線または熱を照射して重合させることにより、液晶化合物を固定化する方法が挙げられる。このとき、電離放射線としては、紫外線を用いることが好ましく、紫外線照射には、例えば、高圧水銀ランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ等を用いることができる。なお、紫外線の照射光量は、重合性液晶化合物の種類や組成、光重合開始剤の種類や量等によって適宜調整することができる。
本発明における円偏光層が、偏光板および位相差層を有する場合、基材上に形成された各層を、接着層を介して積層しても良く、転写法を用いて各層を、接着層を介して積層しても良い。
3.平坦化層
本発明における平坦化層は、透明基材の淡色加飾部が配置された側の面上であって、パターン状の淡色加飾部により画定された開口領域に配置される部材である。
本発明における平坦化層を構成する材料には、所定の光透過性を有し、また淡色加飾部と同様に所定の屈曲性を有する材料を用いることが好ましい。例えば、ポリイミド(PI)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、またはアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、シクロオレフィン樹脂等の樹脂材料が挙げられる。
平坦化層の厚みは、透明基材と淡色加飾部との段差により円偏光層の形成が困難になるという不具合を抑制することができる程度の厚みであることが好ましい。具体的には、上述した淡色加飾部の厚みと同等であるか、あるいは淡色加飾部の厚みよりも薄いことが好ましい。
本発明における平坦化層の形成方法としては、例えば、所定の樹脂組成物を塗布して形成する方法が挙げられる。樹脂組成物を塗布する塗布法としては、例えば、スピンコート法、ロールコート法、ダイコート法、スプレーコート法、ビードコート法等の公知の方法が挙げられる。
4.透明基材
本発明における透明基材は、上述した淡色加飾部、平坦化層、円偏光層を支持する部材である。
ここで、「透明」とは、特段の断りがない限り、本発明の加飾部材が用いられたフラットパネル素子の操作者が、操作面からの視認を妨げない程度に透明であることをいう。したがって、「透明」は、無色透明、および視認性を妨げない程度の有色透明を含み、また厳密な透過率で定義されず、本発明の加飾部材の用途等に応じて透過性の度合いを決定することができる。
本発明における透明基材は、フレキシブル性を有する部材であることが好ましい。ここで、フレキシブル性を有するとは、耐屈曲性試験を行うことにより確認することができる。例えば、ユアサシステム株式会社製 DLDMLH−FU 面状体U字繰り返し試験機を用いて曲げ半径R=3mm、回転数120rpm/min、ストローク20mmの条件下にて測定することにより確認することができる。
本発明における透明基材を構成する材料としては、例えば、ポリイミド(PI)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、またはアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、シクロオレフィン樹脂等の樹脂材料や、ガラスが挙げられる。本発明においては、屈曲性や耐熱性等の観点から、樹脂材料を用いることが好ましく、中でもPIを用いることが好ましい。
また、PIやPET等の樹脂材料は、ガラス基材等に比べて透明性が低い傾向にある。そのため、透明基材としてPIやPET等の樹脂材料を用いた場合には、ガラス基材を用いる場合に比べて、透明基材を介して観察される淡色加飾部材の輝度が低下してしまうという問題がある。一方、本発明においては、従来のように、淡色加飾部の背面に遮光性の顔料を有する裏打ち層を要しないため、仮に透明基材としてPIやPET等の樹脂材料を用いたとしても、淡色加飾部の輝度の低下を抑制することが可能となる。すなわち、本発明においては、透明基材としてPIやPET、中でもPIのように透明性が低い樹脂材料を用いた場合に、上述した効果が顕著となる。
本発明における透明基材の厚みは、加飾部材として機能する程度の剛性を有する厚みであることが好ましい。透明基材の具体的な厚みは、10μm〜100μmの範囲内であることが好ましく、中でも20μm〜85μmの範囲内であることが好ましく、特に30μm〜60μmの範囲内であることが好ましい。
本発明における透明基材は、市販のものを準備しても良いが、例えば、ガラス基材上に、所定の樹脂組成物を塗布して透明基材としても良い。また、本発明における透明基材は、1層から構成されていても良く、あるいは複数層から構成されていても良い。樹脂組成物を、ガラス基材上に塗布する塗布法としては、例えば、スピンコート法、ロールコート法、ダイコート法、スプレーコート法、ビードコート法等の公知の方法が挙げられる。
5.透明または淡色の層
本発明における透明または淡色の層は、円偏光層と、淡色加飾部および平坦化層との間に配置される部材である。
本発明における透明または淡色の層としては、例えば、粘着層としての機能を有する層(粘着層)、バリア層としての機能を有する層(バリア層)、平坦化層としての機能を有する層(平坦化層)、着色層としての機能を有する層(着色層)が挙げられる。
本発明における透明または淡色の層が平坦化層である場合には、上述した加飾部および平坦化層の表面を平坦化することが可能となる。本発明における透明または淡色の層が平坦化層である場合には、パターン状の加飾部の開口部に配置される平坦化層と同一の材料により一体の部材として形成することができ、この場合、製造工程の増加を抑制することができる。なお、透明または淡色の層が平坦化層である場合については、上述した「3.平坦化層」の項に記載した内容と同様とすることができるため、ここでの記載は省略する。
さらに、本発明における透明または淡色の層が着色層である場合には、パターン状の加飾部により画定された開口部を所望の色調に着色することや、淡色加飾部の色調を調整することが可能となる。なお、透明または淡色の層が着色層である場合については、上述した「1.淡色加飾部」の項に記載した内容と同様とすることができるため、ここでの記載は省略する。
以下、本発明における透明または淡色の層が粘着層として機能する場合、およびバリア層として機能する場合について説明する。
(1)粘着層
本発明における粘着層は、円偏光層と、淡色加飾部および平坦化層との間に配置することができる。粘着層が配置されていることにより、円偏光層と、淡色加飾部および平坦化層との間を容易に貼り付けることが可能となる。
本発明における粘着層を構成する材料には、所定の光透過性を有する材料を用いることが好ましい。具体的には、光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂等の一般的な材料を用いることができるため、ここでの説明は省略する。
本発明における粘着層の厚みは、例えば円偏光層と、淡色加飾部および平坦化層との間を貼り合わせることができる程度の厚みであることが好ましく、本発明の加飾部材の用途等に応じて適宜調整することができる。
(2)バリア層
本発明におけるバリア層は、円偏光層と、淡色加飾部および平坦化層との間に配置することができる。バリア層が配置されていることにより、酸素や水蒸気等の侵入を抑制することが可能である。また、円偏光層を薬液から保護することが可能である。
本発明におけるバリア層の材料は、無機材料であっても良く、有機材料であっても良い。バリア層が無機材料を含有する場合には、酸素や水蒸気等の侵入を良好に抑制することができ、バリア層が有機材料を含有する場合には、樹脂層を薬液から保護することができる。バリア層に用いられる無機材料としては、例えば、ケイ素化合物が挙げられ、具体的には、酸化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化窒化ケイ素等が挙げられる。また、バリア層に用いられる有機材料としては、耐アルカリ性または耐酸性を有する樹脂材料が挙げられ、具体的には、例えば、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂等が挙げられる。さらにその他にも、ゾルゲル材料、アクリル酸亜鉛、有機無機ハイブリッド材等が挙げられる。
本発明におけるバリア層の厚みは、例えばバリア層を構成する材料や、本発明により得られる加飾部材の用途等に応じて適宜調整することができる。
バリア層の形成方法としては、例えば、バリア層が無機材料を含有する場合、スパッタリング法、真空蒸着法、プラズマCVD法等が挙げられる。また、バリア層が有機材料を含有する場合、スピンコーティング、ロールコーティング、グラビアロールコーティング等の塗布法を用いて塗布する方法や、バリア層を単独で形成して粘着層等を介して貼り合せる方法等が挙げられる。
6.加飾部材の製造方法
本発明の加飾部材の製造方法は、所望の加飾部材を得ることができる方法であれば特に限定されない。以下、図を参照しながら説明する。
図4(a)〜(c)は、本発明の加飾部材の製造方法の一例を示す概略工程図である。本発明の加飾部材の製造方法は、例えば、図4(a)に示すように、透明基材1を準備し、透明基材1上に、パターン状に淡色加飾部2を形成する淡色加飾部形成工程と、図4(b)に示すうように、パターン状の淡色加飾部2により画定された開口領域Dに平坦化層3を形成する平坦化層形成工程と、図4(c)に示すように、淡色加飾部2および平坦化層3の面上に、透明または淡色の層5を介して円偏光層4を積層する円偏光層形成工程とを有することが好ましい。なお、図4(c)は、透明または淡色の層5を介して円偏光層4を積層する円偏光層形成工程の一例であるが、淡色加飾部2および平坦化層3の面上に、直に円偏光層4を積層する円偏光層形成工程であっても良い。
なお、加飾部材を構成する各部材の具体的な形成方法については、各部材を説明する項に記載した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
B.有機EL素子
本発明の有機EL素子は、上述した加飾部材と、有機EL基材とを有する素子である。
以下、本発明の有機EL素子について、図を参照しながら説明する。
図5は、本発明の有機EL素子の一例を示す概略平面図である。図5に示すように、本発明においては、加飾部材10および有機EL基材20を有していれば良い。
以下、本発明の有機EL素子を構成する加飾部材、有機EL基材について説明する。
1.加飾部材
本発明における加飾部材は、透明基材と、上記透明基材上にパターン状に配置された淡色加飾部と、上記透明基材の上記淡色加飾部が配置された側の面上であって、パターン状の上記淡色加飾部により画定された開口領域に配置された平坦化層と、上記淡色加飾部および上記平坦化層の、上記透明基材が配置された側とは反対の面上に配置された円偏光層とを有し、上記円偏光層と、上記淡色加飾部および上記平坦化層とが、透明または淡色の層を介して積層しているか、あるいは直に積層しているかのいずれかであることを特徴とする部材である。
なお、加飾部材については、上記「A.加飾部材」の項に記載した内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
2.有機EL基材
本発明における有機EL基材は、一般的な有機EL基材であれば特に限定されるものではない。有機EL基材については、例えば、特開2015−162588号公報、特開2015−072827号公報等と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
3.用途
本発明の有機EL素子の用途としては、高精細なディスプレイに好適であり、例えば、モバイル機種のノートパソコンや多機能端末機器(高機能端末機器ともいう。)等のモバイル電子機器用が挙げられる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
[実施例1〜6]
透明基材(材料:ポリイミドフィルム、厚み:30μm)上に、ダイコート法を用いて淡色加飾部形成用組成物を塗布し、フォトリソグラフィ法によりパターン状の淡色加飾部を形成した。淡色加飾部材形成用組成物には、淡色色顔料(材料:酸化チタン)を有し、アクリル系樹脂、アルカリ可溶性樹脂を主成分とする感光性樹脂組成物を用いた。また、得られた淡色加飾部の厚みは、下記表1に示すように調整した。
得られたパターン状の淡色加飾部により画定された開口領域に、平坦化層(材料:アクリル樹脂)を形成した。なお、平坦化層の厚みは、上述した淡色加飾部の厚みと同じように調整した。
次いで、パターン状の淡色加飾部および平坦化層の面上に、粘着層(材料:紫外線硬化型樹脂、厚み:3μm)を介して円偏光層を配置した。円偏光層には、偏光板(材料:ポリビニルアルコール(PVA)フィルムにヨウ素化合物分子を吸着配向して形成、厚み:1μm)およびλ/4板(材料:液晶化合物を有する塗膜を硬化して形成、厚み:1μm)を用いた。
このようにして、本発明の加飾部材を形成した。
[比較例1、2]
円偏光層の代わりに黒色顔料を有する裏打ち層(材料:アクリル樹脂、厚み:1μm)を用いたこと以外は、実施例1〜6と同様にして加飾部材を形成した。
[評価]
実施例1〜6、および比較例1、2について、輝度(L値)を測定した。なお、実施例1〜6のL値の測定は、図2の破線Lで示すように、透明基材1、淡色加飾部2、粘着層5および円偏光層4が積層された領域の透明基材1側の面から行った。一方、比較例1、2のL値の測定は、透明基材、淡色加飾部、粘着層、裏打ち層が積層された領域の透明基材側の面から行った。結果は、表1および図6に示す。なお、表1に示す評価は、下記の通りである。
◎:肉眼で視認した際に、明るい白色である。
○:肉眼で視認した際に、通常の白色である。
×:肉眼で視認した際に、灰色に近い暗い白色である。
また、実施例1〜6および比較例1、2について、遮光性(OD値)を測定した結果、いずれもOD値は4.0以上を達成していた。なお、OD値の測定位置は、上述したL値の測定位置と同様とした。
表1および図6に示すように、実施例1〜6により得られた加飾部材の場合には、膜厚を25μm以下として、膜厚の増加を抑制するとともに、OD値が4.0以上の遮光性を達成し、かつ淡色加飾部の輝度(L値)を86.0以上とすることができた。一方、比較例1、2では、膜厚を25μm以下として、膜厚の増加を抑制するとともに、OD値が4.0以上の遮光性を達成することができたものの、淡色加飾部の輝度(L値)が86.0以上を達成することができず、淡色加飾部の色合いが灰色に近い暗い色合いとなってしまった。
このように、本発明の加飾部材においては、円偏光層を有することにより、裏打ち層を有しなくとも所望の遮光性(OD値)を達成することができ、かつ裏打ち層を有しないことにより、優れた輝度(L値)を達成することができることが明らかとなった。また、円偏光層を有する実施例1〜6の加飾部材では、光学調子層を有さず、裏打ち層を有する比較例1〜2に比べて、淡色加飾部の厚みを薄くした場合であっても、優れた輝度(L値)を達成することができた。