JP6694318B2 - ヒト細胞の定量的検出方法 - Google Patents

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Description

本発明は、非ヒト動物に投与したヒト細胞を検出する方法に関する。
近年、細胞を移植することによって治療を試みる再生医療が着目されている。このような細胞を含む治療剤であっても従来の医薬品と同様に安全性および有効性を担保するためインビボでの体内動態を調べる必要がある。そこで従来、標識処理をした細胞を投与し、当該標識物質を検出することでその分布を調べる方法が実施されているが、標識物質が引き起こす免疫拒絶など、体内動態への標識物質の影響を否定することができない。また、このような方法では、大規模な研究設備を必要とするほか、少量の細胞の残存を定量的にとらえることは難しいことから、PCR法を利用した体内動態解析が試みられている。このようなPCR法を利用する場合、非ヒト動物へヒト細胞を投与することから、Alu配列を利用することが提案されている(非特許文献1)。
Aluは、short interspersed element(SINE)の一つであり、およそ6500万年以上前からヒトゲノムへ挿入され、さらにこれらがコピーされることで、現在のヒトゲノムのおよそ10%以上も占めている。また、Aluは、進化の過程でその配列が変化しており、 3 種のサブファミリー、older (Alu Jo, Jbなど)、intermediate (Alu Sc, Sx, Sqなど)、およびyounger (Alu Y, Ya, Ybなど)に分類される(非特許文献2)。
Aluに対するPCR法では非ヒト細胞で陽性反応が起こることを避けるため、youngerのAluでもさらに新しいサブファミリーであるAlu‐Yd6のみをPCR法により増幅して、ヒト細胞を検出する方法が提案されている(非特許文献3)。
しかし、Aluは、上述のとおりヒトゲノム内に多数の配列を有しているため、実験者のわずかな遺伝子でさえ試料に混入することで検出してしまい、感度が高すぎることが問題となっている。
McBride C, et al, Cytotherapy. 5:7‐18, 2003. Batzer MA, et al, J Mol Evol. 42:3‐6, 1996. Walker JA, et al, Anal Biochem. 315:122‐128, 2003.
ゲノムDNAを含む試料におけるAlu配列をPCR法により増幅し検出する場合、ヒト細胞を含まない陰性対照においても手技者のDNAの混入等により陽性と判定してしまう可能性がある。そこで、陰性対照での偽陽性を抑制できるようAluを検出するPCR法を改良する必要がある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、PCR法によるAluの増幅量を適宜調節し、陰性対照での反応を抑制する検出方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、Alu‐Yd6配列を特異的に増幅するプライマーを用いることで、陰性対照での偽陽性を抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記に関するものである:
[1]次の工程を含む、動物組織におけるヒト細胞を検出する方法;
(i)ヒト細胞を投与した動物から単離した組織よりゲノムDNAを含む試料を調製する工程、
(ii)Alu‐Yd6配列を特異的に増幅するプライマーを用いたPCR法により前記工程(i)で調製された試料に含まれるAlu‐Yd6配列を増幅する工程、および
(iii)前記工程(ii)で増幅されたDNAを検出し、定量する工程。
[2]前記Alu‐Yd6配列を特異的に増幅するプライマーセットが、配列番号4の塩基配列を含むプライマーと配列番号5の塩基配列を含むプライマーの組み合わせ、配列番号6の塩基配列を含むプライマーと配列番号3の塩基配列を含むプライマーの組み合わせ、配列番号7の塩基配列を含むプライマーと配列番号8の塩基配列を含むプライマーの組み合わせ、ならびに配列番号7の塩基配列を含むプライマーと配列番号13の塩基配列を含むプライマーの組み合わせから成る群から選択されるいずれか一つの組み合わせである、[1]に記載の方法。
[3]前記Alu‐Yd6配列を特異的に増幅するプライマーセットが、配列番号7の塩基配列を含むプライマーと配列番号8の塩基配列を含むプライマーの組み合わせである、[2]に記載の方法。
[4]前記Alu‐Yd6配列を特異的に増幅するプライマーセットが、配列番号7の塩基配列から成るプライマーと配列番号8の塩基配列から成るプライマーの組み合わせである、[3]に記載の方法。
[5]前記工程(iii)が、加水分解プローブを用いて行われる、[1]から[4]のいずれかに記載の方法。
[6]前記加水分解プローブが、配列番号16の塩基配列、配列番号19の塩基配列および配列番号20の塩基配列から成る群より選択されるいずれか一つの配列を含む、[5]に記載の方法。
[7]前記加水分解プローブが、配列番号16の塩基配列、配列番号19の塩基配列および配列番号20の塩基配列から成る群より選択されるいずれか一つの配列から成る、[6]に記載の方法。
[8](iv)前記工程(iii)において定量されたDNA量から、動物組織の単位量あたりに含まれるヒト細胞数を算出する工程
をさらに含む、[1]から[7]のいずれかに記載の方法。
[9][1]から[7]のいずれかに記載の方法で検出されたDNA量から、動物組織の単位量あたりに含まれるヒト細胞数を定量する方法。
[10]Alu‐Yd6配列を特異的に増幅するプライマーを含んでなる、[1]から[9]のいずれかに記載の方法に用いるためのヒト細胞検出用キット。
[11]前記Alu‐Yd6配列を特異的に増幅するプライマーセットが、配列番号4の塩基配列を含むプライマーと配列番号5の塩基配列を含むプライマーの組み合わせ、配列番号6の塩基配列を含むプライマーと配列番号3の塩基配列を含むプライマーの組み合わせ、配列番号7の塩基配列を含むプライマーと配列番号8の塩基配列を含むプライマーの組み合わせ、ならびに配列番号7の塩基配列を含むプライマーと配列番号13の塩基配列を含むプライマーの組み合わせから成る群から選択されるいずれか一つの組み合わせである、[10]に記載のキット。
[12]前記Alu‐Yd6配列を特異的に増幅するプライマーセットが、配列番号7の塩基配列を含むプライマーと配列番号8の塩基配列を含むプライマーの組み合わせである、[11]に記載のキット。
[13]前記Alu‐Yd6配列を特異的に増幅するプライマーセットが、配列番号7の塩基配列から成るプライマーと配列番号8の塩基配列から成るプライマーの組み合わせである、[12]に記載のキット。
[14]DNAを検出する加水分解プローブをさらに含む、[10]から[13]のいずれかに記載のキット。
[15]前記加水分解プローブが、配列番号16の塩基配列、配列番号19の塩基配列および配列番号20の塩基配列から成る群より選択されるいずれか一つの配列を含む、[14]に記載のキット。
[16]前記加水分解プローブが、配列番号16の塩基配列、配列番号19の塩基配列および配列番号20の塩基配列から成る群より選択されるいずれか一つの配列から成る、[14]に記載のキット。
[17]Alu‐Yd6配列を特異的に増幅するプライマーを製造する方法。
[18]前記Alu‐Yd6配列を特異的に増幅するプライマーセットが、配列番号4の塩基配列を含むプライマーと配列番号5の塩基配列を含むプライマーの組み合わせ、配列番号6の塩基配列を含むプライマーと配列番号3の塩基配列を含むプライマーの組み合わせ、配列番号7の塩基配列を含むプライマーと配列番号8の塩基配列を含むプライマーの組み合わせ、ならびに配列番号7の塩基配列を含むプライマーと配列番号13の塩基配列を含むプライマーの組み合わせから成る群から選択されるいずれか一つの組み合わせである、[17]に記載の方法。
[19]前記Alu‐Yd6配列を特異的に増幅するプライマーセットが、配列番号7の塩基配列を含むプライマーと配列番号8の塩基配列を含むプライマーの組み合わせである、[18]に記載の方法。
[20]前記Alu‐Yd6配列を特異的に増幅するプライマーセットが、配列番号7の塩基配列から成るプライマーと配列番号8の塩基配列から成るプライマーの組み合わせである、[18]に記載の方法。
[21][17]から[20]に記載のプライマーで増幅されるDNAを検出するための加水分解プローブを製造する方法。
[22]前記加水分解プローブが、配列番号16の塩基配列、配列番号19の塩基配列および配列番号20の塩基配列から成る群より選択されるいずれか一つの配列を含む、[21]に記載の方法。
[23]前記加水分解プローブが、配列番号16の塩基配列、配列番号19の塩基配列および配列番号20の塩基配列から成る群より選択されるいずれか一つの配列から成る、[22]に記載の方法。
本発明によれば、ヒト細胞を動物に投与した後の動物組織における当該ヒト細胞を検出することが可能となる。また、当該方法に用いるヒト細胞検出用キットを提供することができる。さらに、本発明によれば、Alu‐Yd6配列を特異的に増幅するプライマーを製造することができる。
図1は、各プライマーを用いたPCRの結果を示す。図中「+」は、hMSC‐DNA溶液の結果を示し、「−」は、陰性対照の結果を示す。 図2は、各プライマーを用いたPCRの結果を示す。図中「+」は、hMSC‐DNA溶液の結果を示し、「−」は、陰性対照の結果を示す。
本発明は、次の工程を含む、動物組織におけるヒト細胞を検出する方法を提供する;
(i)ヒト細胞を投与した動物から単離した組織よりゲノムDNAを含む試料を調製する工程、
(ii)Alu‐Yd6配列を特異的に増幅するプライマーを用いたPCR法により前記(i)で調製された試料に含まれるAlu‐Yd6配列を増幅する工程、および
(iii)前記工程(ii)で増幅されたDNA量を検出する工程。
本発明の方法は、(iv)前記工程(iii)において定量されたDNA量から、動物組織の単位量あたりに含まれるヒト細胞数を算出する工程
をさらに含むことができる。
本発明において、動物組織とは、ヒト細胞を投与された動物の組織を意味し、当該動物は、特に限定されないが、ヒトを除く哺乳動物である。ヒトを除く哺乳動物は、マウス、ラットまたはハムスターなどのネズミ目、ウサギなどのウサギ目、が挙げられるが、これらに限定されない。この他にも、ヒトを除く哺乳動物として、ネコ科(ネコ)、イヌ科(イヌ)を含む食肉目、ウシ科(ウシ)、ブタ科(ブタ)を含むウシ目、ウマ科(ウマ)を含むウマ目、サル目、セボイド目、シモイド目(サル)、または霊長目(猿人類)などが挙げられる。動物を用いた体内動態を検出する場合、マウスが好適に用いられる。また、組織は、臓器や器官を意味し、ヒト細胞の投与経路に依存して、所望の組織が適宜選択される。従って、本発明において、組織は、特に限定されないが、舌、咽喉頭、食道、胃、十二指腸、空腸、回腸、盲腸、結腸、直腸、肝臓、胆嚢、膵臓、唾液腺、気管、肺、気管支、胸腺、脾臓、骨、心臓、腎臓、膀胱、精巣、精巣上体、前立腺、精嚢、卵巣、子宮、腟、下垂体、甲状腺、副腎、脳(大脳、小脳、延髄または橋)、脊髄、筋肉、皮膚、乳腺、脂肪組織、血管および血液などが例示される。
本発明において、ヒト細胞とは、ヒト由来の細胞であれば、特に限定されないが、好ましくは、治療等のため対象への投与を予定された医薬用途の細胞である。従って、本発明の方法は、医薬用途のヒト細胞を動物へ投与した際の当該細胞の組織への分布を解析する方法である。このような医薬用途のヒト細胞は、ヒトから単離した細胞であってもよく、ヒトから単離した細胞を培養や遺伝子導入等により加工した細胞であっても良い。このような細胞として、特に限定されないが、多能性幹細胞、体性幹細胞、間葉系幹細胞、造血幹細胞、間質細胞、神経細胞、内皮細胞、上皮細胞、軟骨細胞、脂肪細胞、骨細胞、心筋細胞、骨格筋細胞、またはこれらの前駆細胞等が例示される。
本発明において、動物組織からゲノムDNAを含む試料の調製は、当業者に周知の方法を用いて行うことができる。組織からゲノムDNAを含む試料を調製するためのキットは、タカラバイオ社、Qiagen社、オメガ バイオテック社、モーバイオ ラボラトリーズ社、プロメガ社、ジェンスクリプト社等から購入して用いることができる。
本発明において、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法に供する試料に含まれるゲノムDNAの容量は、特に限定されないが、25ng以上、50ng以上、75ng以上、100ng以上、125ng以上、150ng以上、175ng以上または200ng以上が例示される。微小量のヒト細胞の混入を検出できるとの観点から、より多くの容量のゲノムDNAをPCR法に供することが有利であるが、より多くの容量のゲノムDNAにてPCR法を行うことで、非ヒトゲノムDNAを検出される非特異的な検出が起きる危険性が高くなる。一方、本発明では、後述の実施例に示されているとおり、Alu‐Yd6を特異的に増幅するプライマーを用いた場合、100ngの動物組織から調製されたゲノムDNAをPCR法へ供したところ非ヒト動物由来のゲノムDNAを検出しないことが確認されていることから、少なくとも100ngの動物組織から調製されたゲノムDNAをPCR法へ供することができる。
PCR法に供する試料の調製にあたり、微小量の手技者の細胞またはDNA等が試料へ混入することは避けられない。このため、すべてのAlu配列を標的として検出する場合、コピー数が多いことから、感度が高くなり、陰性対照の試料に対しても偽陽性として検出されてしまう。そこで、検出に適したヒトゲノム中でのコピー数を有するAluサブファミリーを用いることで、偽陽性の検出を抑制するとの観点から、Alu‐Yd6を標的として検出することが望ましい。
本発明において、Alu‐Yd6とは、配列番号1に示される塩基配列を有する核酸または、1塩基、2塩基、3塩基、4塩基、5塩基またはそれ以上の置換が行われている核酸でもよく、例えば、当該配列に相補的な核酸に対してストリンジェントな条件でハイブリダイズすることができる程度の塩基配列を有する核酸も含まれる。また、Alu‐Yd6配列を特異的に増幅するプライマーとは、配列番号1において連続する少なくとも50塩基、連続する少なくとも60塩基、連続する少なくとも70塩基、連続する少なくとも100塩基、連続する少なくとも150塩基、連続する少なくとも200塩基、または連続する少なくとも250塩基、もしくは、それらの配列に実質的に同一な配列を有する核酸を増幅できるプライマーを意味する。好ましくは、配列番号1において連続する少なくとも100塩基を増幅できるプライマーである。本発明において、実質的に同一な配列とは、当該配列に相補的な核酸に対してストリンジェントな条件でハイブリダイズすることができる程度の配列であり、好ましくは、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、または99%一致する配列である。
本発明において、プライマーは、primer3またはベクターNTI等のソフトウェアを用いて適宜選択でき、例えば、プライマーの配列において、G/C量が20から80%の領域内で選択される。なぜならば、G/C量がこれを越える領域は、加熱サイクルにおいて変性が起こらず、PCR反応が効果的に進まない場合があるためである。この他にも、G/Cが多い配列は、反応効率の低下を招く、非特異的な相互作用を起こしやすいため、G塩基が4つ以上連続する配列を含むプライマーおよびプローブ配列は、一般的に避けられる。さらに、A/Tが多い配列は、PCRにおいて推奨される融解温度を得るために、長いプライマーおよびプローブ配列が必要となる。従って、好ましいプライマーセットとして、例えば、配列番号4の塩基配列を含むプライマーと配列番号5の塩基配列を含むプライマー、配列番号6の塩基配列を含むプライマーと配列番号3の塩基配列を含むプライマー、配列番号7の塩基配列を含むプライマーと配列番号8の塩基配列を含むプライマーならびに配列番号7の塩基配列を含むプライマーと配列番号13の塩基配列を含むプライマーから成る群から選択されるいずれか一つの組み合わせが挙げられる。より好ましいプライマーセットとして、例えば、配列番号4の塩基配列を含むプライマーと配列番号5の塩基配列を含むプライマー、配列番号6の塩基配列を含むプライマーと配列番号3の塩基配列を含むプライマーならびに配列番号7の塩基配列を含むプライマーと配列番号8の塩基配列を含むプライマーから成る群から選択されるいずれか一つの組み合わせが挙げられる。本発明においてプライマーは、15塩基長から100塩基長、好ましくは15塩基長から50塩基長、より好ましくは16塩基長から30塩基長の範囲を有するものが例示される。さらに好ましいプライマーとして、配列番号4の塩基配列から成るプライマーと配列番号5の塩基配列から成るプライマー、配列番号6の塩基配列から成るプライマーと配列番号3の塩基配列から成るプライマー、配列番号7の塩基配列から成るプライマーと配列番号8の塩基配列から成るプライマーならびに配列番号7の塩基配列から成るプライマーと配列番号13の塩基配列から成るプライマーから成る群から選択されるいずれか一つの組み合わせ、もしくは、配列番号4の塩基配列から成るプライマーと配列番号5の塩基配列から成るプライマー、配列番号6の塩基配列から成るプライマーと配列番号3の塩基配列から成るプライマーならびに配列番号7の塩基配列から成るプライマーと配列番号8の塩基配列からなるプライマーから成る群から選択されるいずれか一つの組み合わせが挙げられる。本発明では、Alu‐Yd6の検出感度が高いという観点から、配列番号7の塩基配列を含むプライマーと配列番号8の塩基配列を含むプライマーの組み合わせが好適に例示される。さらに好ましくは、配列番号7の塩基配列から成るプライマーと配列番号8の塩基配列から成るプライマーの組み合わせである。本発明において、プライマーの配列には、上述の配列と実質的に同一な配列も含有する。
本発明において、プライマーとして使用される核酸は、当業で公知の手法を用いて、化学的な合成、および/または酵素による核酸連結反応により調製できる(例えば、Sambrook et al. (eds.), Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 3rdEdition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York (2001) and Ausubel et al, Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing Associates and John Wiley & Sons, NY (1994)を参照)。例えば、核酸は、天然のヌクレオチドや、分子の生物学的な安定性を向上させたり、ハイブリダイゼーション時の二本鎖の物理的安定性を向上させたりするように設計された様々な修飾ヌクレオチド(例えば、ホスホロチオエート由来物、アクリジン置換ヌクレオチドなど)を用いて化学的に合成できる。核酸の産生に用いられる修飾ヌクレオチドとしては、例えば、5‐フルオロウラシル、5‐ブロモウラシル、5‐クロロウラシル、5‐ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4‐アセチルシトシン、5‐(カルボキシヒドロキシメチル)ウラシル、5‐カルボキシメチルアミノメチル‐2‐チオウリジン、5‐カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、β‐D‐ガラクトシルケウオシン、イノシン、N6‐イソペンテニルアデニン、1‐メチルグアニン、1‐メチルイノシン、2,2‐ジメチルグアニン、2‐メチルアデニン、2‐メチルグアニン、3‐メチルシトシン、5‐メチルシトシン、N6‐置換アデニン、7‐メチルグアニン、5‐メチルアミノメチルウラシル、5‐メトキシアミノメチル‐2‐チオウラシル、β‐D‐マンノシルケウオシン、5´‐メトキシカルボキシメチルウラシル、5‐メトキシウラシル、2‐メチルチオ‐N6‐イソペンテニルアデニン、ウラシル‐5‐オキシ酢酸(v)、ワイブトキソシン、シュードウラシル、ケウオシン、2‐チオシトシン、5‐メチル‐2‐チオウラシル、2‐チオウラシル、4‐チオウラシル、5‐メチルウラシル、ウラシル‐5‐オキシ酢酸メチルエステル、3‐(3‐アミノ‐3‐N‐2‐カルボキリプロピル)ウラシル、2,6‐ジアミノプリンが挙げられるが、特にこれらに限定されない。
本発明において、増幅されたDNA量の検出・定量は、定量リアルタイムPCR(qPCR)、またはデジタルPCRを用いて行われても良い。当該PCR法により検出・定量されるDNA量から、試料中に含まれる増幅対象となった配列のコピー数またはこれに準ずる値が数値として算出されるが、本発明において増幅対象となるAlu‐Yd6のコピー数は、PCR法に供した試料中に含まれるヒトゲノムDNA量と比例することから、本発明において、PCR法で検出されるDNA量は、ヒトゲノムDNA量を意味する。なお、定量リアルタイムPCRを用いる場合、DNA量は、インターカレーティング色素または蛍光標識したプローブを用いて、蛍光強度として検出し、既知のヒトゲノムDNA量と当該蛍光強度の関係から予め作成した検量線に基づいて、PCR法に供した試料中に含まれるヒトゲノムDNA量を算出することができる。本発明においてインターカレーティング色素として、SYBR(登録商標)Green、SYTO‐60、SYTO‐62、POPO‐3、TOTO‐3、BOBO‐3、TO‐PRO‐3、YO‐PRO‐1、およびSYTOX Orangeが例示されるが、特にこれらに限定されない。増幅されたDNAを特異的に検出するという観点から、好ましくは、蛍光標識したプローブを用いて検出する方法である。蛍光標識したプローブとして、蛍光部分と消光部分とを同一のプローブに有する複ラベルのプローブが挙げられるが、これらに限定されない。蛍光は、プローブのハイブリダイズにより発せられ、このハイブリダイズは、複ラベルのオリゴヌクレオチドのステムループ構造の崩壊により消光部分を蛍光部分に近接する部位から外すことで検出できる。この他にも、増幅サイクルの間のタックDNAポリメラーゼによるプローブの進行性の崩壊により、消光部分を蛍光部分から外すことで、蛍光が発せられる加水分解プローブが例示される。加水分解プローブとして、タックマンプローブ(登録商標)が例示される。本発明に用いられるプローブを標識する蛍光色素として、6‐FAM、JOE、TET、Cal FLUOR Gold、Cal FLUOR Orange、Cal FLUOR Red、HEX、TAMRA、Cy3、Cy5、Cy5.5、Quasar570、Quasar670、ROX、テキサスレッドが挙げられ、消光剤としては、BHQ‐1、BHQ‐2、BHQ‐3、TAMRAが挙げられる。
本発明において、プローブとは、相補的な配列の標的核酸に結合(ハイブリダイゼーション)することができる核酸をいう。従って、プローブは、相補的な配列の標的核酸に結合することができれば、標的の核酸に対して完全な相補性を欠いてもよい。当該不適正塩基対の数は、ハイブリダイゼーション条件に依存する。プローブは、一本鎖または部分的に一本鎖、および部分的に二本鎖であってもよい。プローブの鎖は、標的配列の構造、組成、特性によって適宜決定される。本発明においてプローブの塩基長は、5〜50塩基長、好ましくは5〜25塩基長、より好ましくは8〜20塩基長であるが、これらに限定はされない。一般に、プローブが長いほどハイブリダイゼーション効率が上昇し、感度は高くなり、短いほど感度は低くなるが、特異性が上昇する。本発明において好ましいプローブとして、配列番号16の配列を含む核酸、配列番号19の配列を含む核酸および配列番号20の配列を含む核酸から成る群より選択されるいずれか一つの核酸が例示される。より好ましいプローブとして、配列番号16の配列、配列番号19の配列および配列番号20の配列から成る群より選択されるいずれか一つの配列から成る核酸である。本発明において、プローブの配列には、上述の配列と実質的に同一な配列も含有する。ただし、プローブは、プライマーを用いて増幅されたDNAに依存して検出できるとの観点から、例えば、配列番号6の塩基配列を含むプライマーと配列番号3の塩基配列を含むプライマーの組み合わせを用いた場合、プローブは、配列番号20の配列を含む核酸であることが好ましく、配列番号7の塩基配列を含むプライマーと配列番号8の塩基配列を含むプライマーの塩基配列を含むプライマーの組み合わせ、または配列番号7の塩基配列を含むプライマーと配列番号13の塩基配列を含むプライマーの組み合わせを用いた場合、プローブは、配列番号16の配列を含む核酸、配列番号19の配列を含む核酸および配列番号20の配列を含む核酸から成る群より選択されるいずれか一つの核酸であることが好ましい。
上述の方法によって、試料中に含まれるヒトゲノムDNA量が検出できるが、当該ヒトゲノムDNA量は、単位量あたりの動物組織に含まれるヒト細胞数に比例することから、動物組織の単位量あたりに含まれるヒト細胞数を算出することができる。算出にあたり、既知のヒト細胞数と検出されるヒトゲノムDNA量の関係から予め作成した検量線に基づいて、検出した試料中のヒトゲノムDNA量からヒト細胞数へと換算してもよく、または当業者に周知の通常のヒト細胞に含まれるヒトゲノムDNA量からヒト細胞数へと換算してもよい。従って、本発明は、動物組織の単位量あたりに含まれるヒト細胞数を定量する方法を提供することができる。さらに、PCR法へ供する試料を調製するために用いた動物組織の量に基づいて、当該ヒト細胞数を補正することで、動物の組織に分布したヒト細胞数を算出することができる。従って、本発明を用いることで、ヒト細胞を投与した動物における当該細胞の組織分布を知ることができる。特に、ヒト細胞を静脈中に投与した場合、当該ヒト細胞が動物のどの組織にどれほどの数が到達し得るのかを検出することができる。この他にも、特定の動物組織に投与したヒト細胞が、他の組織へどれほど漏出し得るかを検出することもできる。このような検査は、ヒト細胞を有効成分として含む医薬品の安全性や有効性を考察するために重要である。
本発明は、さらに、上述したAlu‐Yd6配列を特異的に増幅するプライマーを含んでなるヒト細胞検出用キットまたはヒト細胞の体内動態の検査キットを提供する。当該キットは、ゲノムDNAを含む試料を調製する試薬、PCR用の試薬、陽性対照試料、陰性対照試料または検量線作成用の試料等をさらに含んでもよい。PCR用の試薬には、ポリメラーゼ、バッファー、上述のDNA検出用のプローブなどが含まれる。
さらに、当該キットは、本発明の方法の実施のための指示(すなわち、プロトコール)を含む指示書を備えていてもよい。指示書には、一般に、記載または印刷された紙が含まれるが、それらの指示を格納し、指示を使用者に伝えることができる電子記憶媒体(例えば、磁気ディスク、テープ、カートリッジ、チップ)、光学メディア(例えば、CDROM)等の任意のメディアであってもよい。メディアには、そのような指示書を提供するインターネットサイトのアドレスが含まれる。
以下の実施例にて本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
[実施例1]
試料調製
5×10cellsのヒト脂肪由来幹細胞(Lomza)をQIAamp DNA micro kit(Qiagen)用いてDNAを抽出、精製し(hMSC-DNA溶液という)、Nano drop1000を用いてDNA濃度を測定した。
プライマー
表1に記載のプライマーをInvitrogen社またはApplied Biosystems社へ製造依頼し、HPLC精製グレードを購入して用いた。
PCR
EagleTaq Master Mix with ROX (Roche)(5μL)、上述のForward Primer(10μmol/Lを0.9μL,終濃度:0.9μmol/L)、上述のReverse Primer(10μmol/Lを0.9μL,終濃度:0.9μmol/L)を混和し、PCR Master Mixを調製した。 なお、プライマーの組み合わせとして、配列番号2と配列番号3(PCR産物名:Alu 1)、配列番号4と配列番号5(PCR産物名:Alu‐Yd6‐S)、配列番号6と配列番号3(PCR産物名:Alu‐Yd6‐M)、配列番号7と配列番号8(PCR産物名:Alu‐Yd6‐L)、配列番号9と配列番号10(PCR産物名:Alu‐Yd8)、配列番号11と配列番号12(PCR産物名:Alu‐Ya5)、および配列番号7と配列番号13(PCR産物名:Alu‐Yd6)でそれぞれ示される塩基配列からなるプライマーセットを用いた。上述のhMSC‐DNA溶液(2ng/3.2μL)または陰性対照としてHO(PCR‐grade、Roche)(3.2μL)とPCR Master Mix(6.8μL)を96ウェルホワイトプレートの各ウェル中で混和した(合計10μL)。PCR反応は、工程1として、95℃で10 minを1 cycle、ならびに工程2として、95℃, 15 sec(Step 1)および60℃, 60 sec(Step 2)の2Stepを40 cyclesにてLightCycler 480 II(ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社)を用いて行った。
得られたPCR産物へLoading Buffer(バイオクラフト)を 2μLを添加し、2%のアガロースゲルを用いて電気泳動を行った。泳動後、イメージアナライザー(Image Quant Las4000, GEヘルスケアジャパン)を用いてゲルを撮影した。
その結果、hMSC‐DNA溶液(+)を添加したPCRでは、いずれのプライマーセットを用いた場合でもバンドが検出された。一方、陰性対照(−)において、バンドが確認されなかったのはAlu‐Yd6のみであり、hMSC‐DNA溶液と比較して陰性対照のバンドが薄いものはAlu 1、Alu‐Yd6‐S、Alu‐Yd6‐MおよびAlu‐Yd6‐Lであった(図1)。
再度、Alu‐Yd6、Alu‐Yd6‐Lについて電気泳動を実施した結果、Alu‐Yd6の陰性対照ではバンドが確認されなかった。Alu‐Yd6‐LについてもhMSC‐DNA溶液と比較して陰性対照のバンドの濃さが薄く、上述と同様の結果が得られた(図2)。
[実施例2]
試料調製
上述と同様にhMSC‐DNA溶液を調製した。
プローブ
5’末端にFAMが標識された表2に記載のプローブをApplied Biosystems社またはRoche社より購入して用いた。
定量PCR
LightCycler 480 Probes Master(ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社)(10 μL),Forward Primer(10 μmol/Lを1.8 μL,終濃度:0.9 μmol/L),Reverse Primer(10 μmol/Lを1.8 μL,終濃度:0.9 μmol/L),およびプローブ(0.5 μL:Alu 1‐P、0.48 μL :Alu‐1Yd6‐P 、0.4 μL:UPL#2、UPL#30、UPL#33、UPL#51、UPL#75およびUPL#87)へhMSC‐DNA溶液(2ng DNA量)またはHO(PCR‐grade)を加えて合計20 μLとし、96ウェルホワイトプレートの各ウェル中で混和した。なお、プライマーの組み合わせとして、配列番号2と配列番号3(PCR産物名:Alu 1)、配列番号7と配列番号8(PCR産物名:Alu‐Yd6‐L)、および配列番号7と配列番号13(PCR産物名:Alu‐Yd6)を用いた。さらに、Alu 1については、半分の反応用量(合計10 μL)についても用意した。 PCR反応は、工程1として、95℃で10 minを1 cycle、工程2として、95℃, 10 sec(Step 1)、60℃, 50 sec(Step 2)および72℃, 1 sec(Step 3)の3 Stepを40 cycles、ならびに工程3として、40℃, 30 secを1 cycleにてLightCycler 480 II(ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社)を用いて行った。Cp値の算出には、LightCycler 480 IIに付属のソフトウェアを用いた。Cp値の算出結果(Cp値)および工程2における40 cycleで検出された蛍光強度と 1 cycleで検出された蛍光強度の差(蛍光強度差)を表3に示す。
その結果、Alu 1については、陰性対照(HO)においてもCp値が算出されることから、ヒト細胞の検出には不適切であることが示唆された。また、hMSC−DNA溶液においてはAlu‐Yd6とAlu‐Yd6‐Lでは、Alu‐Yd6‐LのCp値の方が低く、より感度が高いとの理由により、Alu‐Yd6‐Lが適していることが示唆された。さらに、プローブについては、UPL#2、UPL#51、およびUPL#75を用いることで検出される蛍光強度が高く、プローブとしての検出感度が優れていることが確認された。以上より、配列番号7と配列番号8(PCR産物名:Alu‐Yd6‐L)をプライマーとして用い、UPL#2(配列番号16)、UPL#51(配列番号19)、またはUPL#75(配列番号20)にて検出する定量PCRがヒト細胞の検出に最適であることが確認された。
[実施例3]
ヒト試料調製
上述と同様にhMSC‐DNA溶液をヒトDNA溶液として調製した。
定量PCR
LightCycler 480 Probes Master(ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社)(10 μL),Forward Primer(Alu‐Yd6‐L‐F:配列番号7)(10 μmol/Lを1.8 μL,終濃度:0.9 μmol/L),Reverse Primer(Alu‐Yd6‐L‐R:配列番号8)(10 μmol/Lを1.8 μL,終濃度:0.9 μmol/L),上述のプローブ(UPL#51:配列番号19)(0.4μL)およびHO(PCR‐grade)を混和し,リアルタイムPCR Master Mixを調製した。後述の検量線用ヒトDNA溶液または各検体溶液(5 μL)とリアルタイムPCR Master Mix(15 μL)を96ウェルホワイトプレートの各ウェル中で混和した(合計20 μL)。PCR反応は、工程1として、95℃で10 minを1 cycle、工程2として、95℃, 10 sec(Step 1)、60℃, 50 sec(Step 2)および72℃, 1 sec(Step 3)の3 Stepを35 cycles、ならびに工程3として、40℃, 30 secを1 cycleにてLightCycler 480 II(ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社)を用いて行った。Cp値の算出と検量線の作成には、LightCycler 480 IIに付属のソフトウェアを用いた。
ヒトDNA溶液での検量線の作成
ヒトDNA溶液を6濃度(20、2、0.2、0.02、0.002または0.0002 μg/mL)で調製した。当該検量線用ヒトDNA溶液を上述の定量PCRで測定した結果、表4に記載のとおり、0.002 μg/mL(5μl中のDNA量として0.01 ng)の溶液についてもDNAが検出されることが確認された。以上の結果より、本方法は5μl中のDNA量が0.01 ng以上の試料において検出可能であることが示唆された。以下の実施例では、当該検量線に従って反応液中のDNA量を算出した。
マウス組織DNA溶液での測定
BALB/cマウス雌雄各1匹からEDTA‐2Na処理血液および表5に示す各組織を入手し、DNeasy Blood & Tissue Kit(キアゲン)を用いて製造者プロトコールに従ってDNAを抽出し、DNA濃度を測定し、適宜HO(PCR‐grade)を加えて20、0.2、または0.002 μg/mLの濃度に調製し、マウス組織DNA溶液を作製した。ただし、抽出したマウス組織DNA溶液の濃度が20 μg/mLに満たなかったものは、最大濃度として、抽出したマウス組織DNA溶液を調製せずそのまま用いた(すなわち、PCRに供したマウス組織DNAの最大量は、100ng未満であった)。当該マウス組織DNA溶液を上述の定量PCRで測定した結果、いずれも定量下限未満または検出限界以下であることが確認された。以上の結果より、本方法では、マウスDNAを検出しないことが示された。
ヒトDNAとマウス組織DNAの混合DNA溶液での測定
主要組織(心臓、肺または肝臓)より同様にDNAを抽出し、25 ng/μLに調製したマウス組織DNA溶液4 μLを0.01または100 ng/μLの濃度のヒトDNA溶液1 μLと混合したヒトDNAとマウス組織DNAの混合DNA溶液を調製した。当該ヒトDNAとマウス組織DNAの混合DNA溶液を上述のとおり定量PCRで測定した結果、以下の表6に記載のとおり、すべての検体でヒトDNAを検出することができ、混入したヒトDNA量とPCRの結果からの算出値は、ほぼ一致した。以上の結果より、マウスDNAと混合しても、正確にヒトDNA量が検出できることが示された。
ヒトDNA混入マウス組織DNA溶液での測定
凍結した主要組織(心臓,肺,肝臓)の一部(15〜20mg程度)へATLバッファーを入れ、ここへ200、20または2 ng/μLの濃度に調製したヒトDNA溶液を5 μL添加(DNA量として1、0.1または0.01 μg)し、上述と同様にDNAの抽出を行い、20 μg/mLのヒトDNA混入マウス組織DNA溶液を作製した(一部、20 μg/mLに満たないDNA溶液あり)。当該ヒトDNA混入マウス組織DNA溶液を上述のとおり定量PCRで測定した結果、以下の表7に記載のとおり、ヒトDNAを検出することができた。従って、細胞1個あたりのDNA量を6.7pgと仮定すると、本方法を用いることで、採取した心臓に少なくとも1500個程度のヒト細胞が分布すれば検出可能であることが示唆された。

Claims (7)

  1. 次の工程を含む、動物組織におけるヒト細胞を検出する方法;
    (i)ヒト細胞を投与した動物から単離した組織よりゲノムDNAを含む試料を調製する工程、
    (ii)Alu‐Yd6配列を特異的に増幅するプライマーを用いたPCR法により前記工程(i)で調製された試料に含まれるAlu‐Yd6配列を増幅する工程であり、前記Alu‐Yd6配列を特異的に増幅するプライマーが、配列番号7の塩基配列から成るプライマーと配列番号8の塩基配列から成るプライマーの組み合わせであることを特徴とする工程、および
    (iii)前記工程(ii)で増幅されたDNAを検出し、定量する工程。
  2. 前記工程(iii)が、加水分解プローブを用いて行われる、請求項1に記載の方法。
  3. (iv)前記工程(iii)において定量されたDNA量から、動物組織の単位量あたりに含まれるヒト細胞数を算出する工程
    をさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記加水分解プローブが、配列番号16の塩基配列、配列番号19の塩基配列および配列番号20の塩基配列から成る群より選択されるいずれか一つの配列を含む、請求項2又は3に記載の方法。
  5. Alu‐Yd6配列を特異的に増幅する、配列番号7の塩基配列からなるプライマーと配列番号8の塩基配列からなるプライマーのプライマーセットを含んでなる、請求項1からのいずれか一項に記載の方法に用いるためのヒト細胞検出用キット。
  6. DNAを検出する加水分解プローブをさらに含む、請求項に記載のキット。
  7. 前記加水分解プローブが、配列番号16の塩基配列、配列番号19の塩基配列および配列番号20の塩基配列から成る群より選択されるいずれか一つの配列を含む、請求項に記載のキット
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