ところで、上記操作装置においては、往復移動部をより確実に復動させるべく、摩擦等力等を考慮した比較的大きな付勢力が発生するように構成する必要があり、結果的に、付勢力に抗して被操作部を押圧するためには大きな力が必要となってしまうおそれもある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、極めて優れた操作性を実現することができるとともに、外観品質等を向上させることが可能な操作装置を提供することにある。
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
手段1.槽体の排水口を開閉するための栓蓋を遠隔操作するための操作装置であって、
前記槽体の貯水空間側に開口する通水孔を形成し、前記槽体の右側側壁部又は左側側壁部に設けられるように構成された孔形成部と、
前記孔形成部に接続されたオーバーフロー管と、
前記孔形成部における前記貯水空間側の開口に対応して配置されるとともに、前記開口を前記貯水空間側から見たときにおける自身の幅方向一端部が前記孔形成部に対し直接又は間接的に軸支されており、前記開口の端であって使用者から見て手前側に位置する回動軸にて回動可能に構成された被操作部と、
前記通水孔内における前記被操作部の背後に配置され、往復移動可能であるとともに復動方向への付勢力が付与され、かつ、前記被操作部を前記貯水空間側から押圧して回動させた場合に往動方向に移動し、さらに、所定の第一位置及び当該第一位置よりも前記貯水空間側に突出した第二位置に配置可能に構成された往復移動部とを備え、
前記排水口が開状態であるときにおいて、前記往復移動部が前記第一位置に配置された状態となるように構成され、
前記排水口が閉状態であるときにおいて、少なくとも前記被操作部における幅方向他端部側に位置する部位が前記開口から前記貯水空間側に突出するとともに、この突出部分の背後に前記通水孔に連通する隙間が形成され、かつ、前記往復移動部が前記第二位置に配置された状態となるように構成され、
前記排水口が開状態であるときに、前記貯水空間側から前記被操作部を押圧した場合、前記付勢力により前記往復移動部が前記第一位置から前記第二位置へと復動して、前記排水口が閉状態となるように構成され、
前記排水口が閉状態であるときに、前記貯水空間側から前記被操作部を押圧した場合、この押圧力により前記往復移動部が前記第二位置から前記第一位置へと往動して、前記排水口が開状態となるように構成されていることを特徴とする操作装置。
上記手段1によれば、排水口における開閉状態の切換えを、被操作部に対する押圧操作(プッシュ操作)のみによって行うことができる。
さらに、排水口を閉状態から開状態に切換える場合〔つまり、付勢力に抗したり、栓蓋を持ち上げたりするために、被操作部の操作に比較的大きな押圧力が必要となる場合(尚、槽体に水が溜まっているときには特に大きな押圧力が必要となる)〕には、被操作部のうち前記開口から突出した部位を押せばよいため、被操作部に対し十分な押圧力を容易に加えることができる。そのため、排水口を閉状態から開状態へと容易に切換えることができる。
一方、排水口が開状態であるときには、付勢力を利用することで、排水口を開状態から閉状態へと容易に切換えることができる。
併せて、被操作部の押圧時において、被操作部のうち、往復移動部へと力を伝達する部位(例えば、往復移動部と直接接触する部位や、被操作部及び往復移動部間に設けられた介在部と接触する部位、往復移動部と連結された部位など)と幅方向他端部との間に位置する部位(対象部分)を押圧位置(操作位置)とすれば、てこの原理(被操作部の回動軸を支点とし、被操作部のうち往復移動部へと力を伝達する部位を作用点とし、被操作部の前記対象部分を力点とする)により、比較的小さな力で往復移動部を押圧し移動させることができる。また、被操作部のうち、往復移動部へと力を伝達する部位と回動軸との間に位置する部位を押圧位置(操作位置)とすれば、小さな押圧量で往復移動部を十分に移動させることができる。このように押圧位置(操作位置)を変更すれば、押圧力や押圧量が変化するため、使用者は、被操作部の押圧時において、押圧力や押圧量の点で自身にとって操作のしやすい押圧位置を適宜選択することができる。
さらに、使用者(例えば、腕近辺のある点)から被操作部に対する押圧位置(力点)に向けた線(操作方向線)と、被操作部の移動方向に沿って延びるとともに前記押圧位置を通過する線(移動方向線)とのなす角のうち小さい方の角度が小さいほど操作が容易になると考えられるが、上記手段1は、この点においても有利に作用する。例えば、使用者から見て槽体(洗面器や流し台など)の右側又は左側の側壁部に孔形成部の開口が存在し、この開口に対応して被操作部が設けられる場合、被操作部が従来の往復移動するタイプのもの(例えば、押ボタン)では、前記角度は直角に近いものとなる。これに対し、上記手段1によれば、被操作部が使用者から見て手前側に位置する回動軸にて回動するため、回動範囲の大部分において、前記操作方向線側に前記移動方向線が傾いた状態となり、前記角度は従来の往復移動するタイプの被操作部を用いた場合と比べて小さなものとなる。このように上記手段1によれば、被操作部の操作をより容易に行うことが可能となる。
以上のような各種効果が相乗的に作用することで、非常に優れた操作性を実現することができる。
尚、排水口の開閉状態の切換えを、被操作部に対する押圧操作(プッシュ操作)のみによって行うようにすることは、例えば、被操作部を往復移動可能な押ボタンで構成することにより実現することができる。ここで、排水口を閉状態としたときに孔形成部側において十分な排水性能を確保するためには、排水口を閉状態としたときに、被操作部を前記開口から突出させる必要がある。しかしながら、被操作部の周囲には水垢や汚れ等が比較的付着しやすいところ、上記のような押ボタンを用いることで被操作部の全体が前記開口から突出するように構成した場合には、被操作部のうち使用者から見て手前側に位置する部位、つまり、使用者から特に見えやすい部位が視認可能となり、ひいては水垢や汚れ等が容易に視認可能となってしまう。そのため、外観品質の低下を招いてしまうおそれがある。
この点、上記手段1によれば、被操作部は、前記開口の端であって使用者から見て手前側(つまり、使用者の目に近い側)に位置する回動軸にて回動可能とされる。従って、被操作部における使用者から特に見えやすい部位(幅方向一端側)の部位は、常に前記開口に配置された状態となり、貯水空間側へと突出することはない。これにより、水垢や汚れ等が容易に視認可能となってしまうことを確実に防止でき、外観品質の向上を図ることができる。
さらに、上記手段1によれば、排水口が閉状態であるときに、つまり、排水口側における排水が行われないときに、少なくとも被操作部における幅方向他端部側に位置する部位が前記開口から突出し、この突出部分の背後に通水孔に連通する隙間が形成される。従って、この隙間を通って通水孔へと排水が流れ込むこととなり、孔形成部側において良好な排水性能を得ることができる。
尚、被操作部、孔形成部における排水の流路となる部分、及び、被操作部の周囲には、排水による水垢や汚れが付着してしまいやすく、この水垢等の付着した部分が使用者から見えやすいと、外観品質が低下してしまうおそれがあるが、上記手段1によれば、被操作部のうち前記開口から突出する部位は、使用者から見て被操作部の回動軸よりも先方(奥側)に位置することとなる。そのため、使用者から汚れの付着しやすい部分が見えにくくなり、良好な外観品質を維持することができる。
手段2.前記被操作部にはその上側端縁部の裏側から延びる上側目隠し板部が設けられ、前記排水口が閉状態であるときに、前記上側目隠し板部によって前記被操作部における前記突出部分の背後に位置する前記隙間が使用者から見て隠れた状態となるように構成されていることを特徴とする手段1に記載の操作装置。
上記手段2によれば、排水口を閉状態とし、被操作部を突出させた状態において、上側目隠し板部によって、被操作部における突出部分の背後に位置する隙間を使用者から見て隠れた状態とすることができる。従って、使用者から汚れの付着しやすい部分が一層見えにくくなり、外観品質をより良好なものとすることができる。
手段3.前記排水口が開状態であるときにおいて、前記被操作部により前記開口が閉鎖されるように構成されていることを特徴とする手段1又は2に記載の操作装置。
尚、「被操作部により前記開口が閉鎖される」とあるのは、被操作部により前記開口が完全に閉鎖されている場合のみならず、孔形成部における前記開口を形成する部位と被操作部との間に若干の隙間が存在する状態で、前記開口に対し被操作部が配置されている場合も含む。
通常、オーバーフロー管は槽体の排水口側に接続された状態となっている。そのため、排水口側において泡が発生した場合に、泡がオーバーフロー管を上ってきて、ひいては孔形成部の開口から溢れ出てしまうといった事態が生じ得る。従って、衛生性や快適性が損なわれてしまうことが考えられる。
この点、上記手段3によれば、排水口が開状態であるときに、つまり、排水口側から排水が行われるときに、被操作部によって孔形成部における貯水空間側の開口が閉鎖される。従って、オーバーフロー管を泡が上がってきたとしても、被操作部の存在によって、孔形成部の前記開口からの泡の溢れ出しをより確実に防止することができる。その結果、衛生性や快適性の向上を図ることができる。
手段4.前記排水口が開状態であるときにおいて、前記孔形成部と前記被操作部との間における隙間がほとんどなくなるように構成されていることを特徴とする手段3に記載の操作装置。
尚、「隙間がほとんどなくなる」とあるのは、孔形成部と被操作部との間の隙間が、最も広い部分であっても1.5mm以下とされている状態ということができる。
上記手段4によれば、被操作部により前記開口が閉鎖された状態であるときに、使用者は、通水孔をほぼ視認できないこととなる。従って、外観品質をより一層向上させることができる。また、前記開口からの泡の溢れ出しを一層確実に防止することができ、衛生性や快適性を効果的に高めることができる。
手段5.前記排水口が開状態であるときにおいて、前記被操作部のうち前記貯水空間側に位置する表面部が前記孔形成部における前記貯水空間側の面と面一となるように構成されていることを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載の操作装置。
上記手段5によれば、排水口が開状態であるときに、表面部が孔形成部における貯水空間側の面と面一となるように構成されている。従って、被操作部が邪魔となりにくくなり、使用者の利便性を高めることができる。また、被操作部に対して手などが引っ掛かりにくくなり、安全性の向上を図ることができる。さらに、孔形成部及び被操作部は、外観上非常にまとまりの良い状態となり、外観品質を一層良好なものとすることができる。
尚、槽体が洗面器である場合では、基本的に排水口は開状態で維持されることが多く、排水口が開状態であるときがいわば通常状態といえるが、上記手段5によれば、この通常状態において、上記のような各種作用効果が奏されることとなる。すなわち、上記手段5は、槽体が洗面器である場合に特に有効である。
手段6.前記被操作部は、前記貯水空間側に位置する表面部及び当該表面部の裏側に位置する裏側部を有し、
前記往復移動部は、前記貯水空間側から前記表面部を押圧して前記被操作部を回動させた場合、前記裏側部によって直接又は間接的に押圧されることで往動方向に移動するように構成されていることを特徴とする手段1乃至5のいずれかに記載の操作装置。
上記手段6によれば、非常に簡易な構成によって、被操作部の回動による力を往復移動部へと伝達することができる。従って、装置の簡素化を図ることができ、コストの増大抑制などを図ることができる。
尚、上記手段5に対し上記手段6が従属する場合には、表面部が重複した記載となるが、表面部が複数存在することを意味するものではなく、上記手段5の表面部と上記手段6の表面部とは同じものを指す(以下、表面部が重複した記載となる手段においても同様)。
手段7.前記裏側部のうち前記往復移動部を直接又は間接的に押圧する部位は、前記回動軸から遠ざかるにつれて前記表面部までの距離が徐々に大きくなる傾斜面状及び湾曲面状の少なくとも一方をなしていることを特徴とする手段6に記載の操作装置。
尚、上記手段7は、換言すれば、前記回動軸を含むとともに、被操作部における前記回動軸側(一端側)の端部と、前記回動軸とは反対側(他端側)の端部とを通過する仮想平面を取ったとき、前記裏側部のうち往復移動部を直接又は間接的に押圧する部位が、前記回動軸から遠ざかるにつれて前記仮想平面からの距離が徐々に大きくなる傾斜面状及び湾曲面状の少なくとも一方をなしているということができる。
上記手段7によれば、より小さな押圧力で往復移動部を移動させることができ、操作性を一層高めることができる。
また、上記手段7によれば、被操作部を押圧したときに、往復移動部に印加される押圧力の向きが往復移動部の移動方向に対し過度に斜めになってしまうことを抑制できる。これにより、操作性を一層高めることができるとともに、往復移動部の破損防止を図ることができる。
手段8.前記貯水空間側から前記被操作部を押圧し、前記被操作部を回動させた場合、前記裏側部が、前記往復移動部に直接接触するように構成されていることを特徴とする手段6又は7に記載の操作装置。
上記手段8によれば、操作時において、裏側部が往復移動部に対して直接接触する。従って、部品点数の削減を図ることができ、装置の安定的な動作や製造コストの低減を図ることができる。
手段9.前記往復移動部と前記被操作部とを連結し、前記往復移動部から前記被操作部が離れることを規制する規制部を備えることを特徴とする手段8に記載の操作装置。
上記手段9によれば、規制部によって、往復移動部から被操作部が離れてしまうことを規制でき、往復移動部及び被操作部を常に連動した状態とすることができる。これにより、操作性を一層向上させることができる。
手段10.前記被操作部は、前記往復移動部を挟んで相対向する2つの壁部を有し、
前記往復移動部は、外周に凹状及び凸状の一方をなす被係止部を有するとともに、前記両壁部間に形成された溝に沿って前記被操作部に対し相対移動可能に構成されており、
前記両壁部には、凹状及び凸状の他方をなし、前記被係止部に係止される係止部が設けられ、
前記規制部は、前記被係止部及び前記係止部からなることを特徴とする手段9に記載の操作装置。
上記手段10によれば、規制部を比較的容易な構造により実現することができ、装置の簡素化を図ることができる。その結果、装置の安定的な動作やコストの増大抑制などをより確実に図ることができる。
また、上記手段10によれば、排水口の開閉状態を切換える際に、両壁部や係止部、被係止部によって、被操作部に対する往復移動部の相対移動がガイドされることとなる。従って、装置の安定的な動作をより一層確実に図ることができる。
手段11.スナップフィットによって前記被係止部に対し前記係止部を係止可能に構成されており、
前記被係止部に対し前記係止部が係止されていない状態において、前記往復移動部を前記第一位置に配置した場合に、少なくとも前記被操作部における前記幅方向他端部側に位置する部位が前記開口から前記貯水空間側に突出した状態となるように構成されていることを特徴とする手段5に従属する手段6に従属する手段8に従属する手段9に従属する手段10に記載の操作装置。
上記手段11によれば、スナップフィットを利用することで、被係止部に対し係止部をより容易に係止することができ、取付作業性などを高めることができる。
また、取付状態が正常であれば(被係止部に対し係止部が係止されている状態であれば)、排水口が開状態であるときに、表面部と孔形成部における貯水空間側の面とは面一となるところ、上記手段11によれば、被係止部に対し係止部が係止されていない状態では、被操作部が前記開口から突出した状態となるように構成されている。従って、被操作部の状態に基づき、取付が正常に行われたか否かを容易に把握することができ、取付時やメンテナンス時等における利便性をさらに向上させることができる。
手段12.前記排水口が閉状態であるときにおいて、前記被操作部のうち前記開口から突出する部位の裏側には、異物を捕集可能なヘアキャッチャー部が設けられていることを特徴とする手段1乃至11のいずれかに記載の操作装置。
上記手段12によれば、ヘアキャッチャー部によって、排水に含まれるゴミや毛髪等の異物を捕集することができ、衛生性をより一層高めることができる。
尚、ヘアキャッチャー部は被操作部の裏側にあるため、被操作部が前記開口から突出した状態であっても視認しにくくなる。そのため、ヘアキャッチャー部を設けたことによる外観品質の低下をより確実に防止することができる。
手段13.前記被操作部のうち前記貯水空間側に位置する表面部には、押圧することで前記被操作部が回動することとなる部分を示す目印部が設けられていることを特徴とする手段1乃至12のいずれかに記載の操作装置。
上記手段1等の操作装置は、排水口が開状態であるときに、孔形成部の内周に被操作部が配置された外観となることがあり、被操作部が往復移動するタイプの操作装置(押ボタンタイプの操作装置)と似たような外観を呈することがあり得る。従って、使用者は、排水口を開状態から閉状態とするために、被操作部の表面を単に押圧すればよいと考えてしまう可能性がある。このように考えた上で、使用者が被操作部の表面を押圧したときに、押圧位置が回動軸側であると、被操作部が適正に動作しない可能性がある。
この点、上記手段13によれば、目印部の存在により、排水口を開状態から閉状態とするときに、被操作部のどの位置を押せばよいかを使用者に容易に認識させることができる。その結果、使用者にとっての利便性を一段と高めることができる。また、操作方法が分からない場合、使用者は、被操作部が適正に動作しない原因が押圧力の不足であると考え、より大きな力で被操作部を押圧してしまうといった事態が生じ得るが、上記手段13によれば、操作方法が分かりやすくなるため、このような事態を生じにくくすることができる。これにより、誤った操作による不具合(例えば、装置の故障など)の発生を効果的に抑制することができる。
尚、排水口が閉状態であるときには、被操作部が前記開口から突出した状態となるため、使用者は、排水口を閉状態から開状態とするときに、被操作部におけるどの位置を押圧すればよいのかを容易に理解することができる。
尚、被操作部の押圧操作がより円滑に、かつ、より容易に行われるようにするという観点では、目印部を、表面部における前記幅方向に沿った中心部分や、表面部における前記中心部分よりも前記回動軸とは反対側の部分に設けることが好ましい。
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1に示すように、操作装置1は、槽体としての洗面器100に取付けられている。尚、洗面器100は、排水口104の形成された底壁部103と、当該底壁部103の外周において立設された側壁部101とを備えており、底壁部103及び側壁部101によって貯水空間105が形成されている。そして、側壁部101のうち、使用者側から見て右側に位置する右側側壁部101R又は左側に位置する左側側壁部101L(本実施形態では、右側側壁部101R)には、洗面器100からの水の溢れ出しを防止するための軸直交断面において矩形状をなすオーバーフロー口102(図3等参照)が貫通形成されている。尚、図示は省略するが、洗面器100には、排水口104を開閉するための上下動可能な栓蓋(図示せず)が設置されている。
操作装置1は、前記栓蓋を遠隔操作することで前記排水口104を開閉するために用いられるものである。操作装置1は、図2〜図4に示すように、孔形成部としてのフランジ部材2、オーバーフロー管3、支持部材4、操作部材5、操作側機構部6及び伝達部材7を備えている。
フランジ部材2は、矩形筒状をなしており、オーバーフロー口102に挿通されている。また、フランジ部材2は、その一端部に外側に突出形成された鍔部21を備えており、その他端部に内側に向けて突出形成された張出部22を備えている。
張出部22には、フランジ部材2の軸方向に沿って延びる複数(本実施形態では、2つ)の取付孔221が貫通形成されている。さらに、張出部22のうち取付孔221が形成されている部位よりも内側には、操作側機構部6を支持するための機構支持部222が設けられている。
機構支持部222は、操作側機構部6の挿通される円筒状の支持筒部222Aと、当該支持筒部222Aから外側に向けて放射状に延び、フランジ部材2内において支持筒部222Aを支持するアーム部222Bとを有している。アーム部222Bは、支持筒部222Aの周方向に沿って間隔を隔てて複数(本実施形態では、4つ)設けられており、隣接するアーム部222B間の隙間が通水路となっている。
さらに、本実施形態では、フランジ部材2の内周面によって前記貯水空間105側に開口する通水孔23が形成されており、排水は貯水空間105側から通水孔23へと流入するようになっている。尚、通水孔23に流入した排水は、アーム部222B間に形成された隙間(通水路)を通ってオーバーフロー管3側へと流れるようになっている。
オーバーフロー管3は、エルボー部材31と接続菅(図示せず)とを備えている。
エルボー部材31は、ほぼ直角に屈曲する筒状をなし、一端側部分が水平方向に延びる矩形筒状をなす一方、他端側部分が鉛直下方に向けて延びる円筒状をなしている。また、エルボー部材31の一端側部分の内側には、その軸方向に沿って延びるとともに、前記取付孔221に対応する複数(本実施形態では、2つ)のねじ穴31Aが形成されている。
さらに、エルボー部材31は、その一端側部分がフランジ部材2に対し直列的に接続されている。具体的には、側壁部101(右側側壁部101R)の裏側においてエルボー部材31の一端側部分をオーバーフロー口102とほぼ同軸に配置した上で、オーバーフロー口102を通してエルボー部材31の一端部内周にフランジ部材2を挿入し、次いで、所定の雄ねじ8を前記取付孔221を通して前記ねじ穴31Aに螺合することで、フランジ部材2及びエルボー部材31が直列的に接続されるとともに、鍔部21及びエルボー部材31の一端面により側壁部101が挟み込まれ、ひいてはフランジ部材2及びエルボー部材31が側壁部101に取付けられた状態となっている。
尚、側壁部101及びエルボー部材31の一端面間には、環状のシール部材9が両者に挟み込まれた状態で配置されている。これにより、側壁部101及びエルボー部材31間が水密にシールされ、両者間からの漏水防止が図られている。
前記接続菅は、その一端部がエルボー部材31の他端部に接続されるとともに、その他端部が前記排水口104に対応して設けられた排水管(図示せず)と接続されている。これにより、通水孔23へと流入した排水は、オーバーフロー管3を通って前記排水管へと至るようになっている。
支持部材4は、フランジ部材2の内部に設けられ、操作部材5を回動可能な状態で軸支するものである。本実施形態において、支持部材4は、前記通水孔23における前記貯水空間105側に位置する開口24を貯水空間105側から見たときにおいて、フランジ部材2の内部における幅方向一端側に配置されている。尚、本実施形態における「幅方向」とは、貯水空間105側から操作装置1を見たときにおける左右方向であり、図3及び図4の左右方向を意味する。
また、支持部材4は、挿通孔41Aの形成された被取付部41と、前記幅方向と直交する方向(本実施形態では、上下方向)に延びる軸部42と、フランジ部材2の内周面に沿って配置され、被取付部41及び軸部42を連結する連結部43とを備えている。本実施形態では、フランジ部材2及びエルボー部材31を接続する際に、前記雄ねじ8を前記挿通孔41Aへと通すことにより、被取付部41がフランジ部材2(張出部22)及び前記雄ねじ部8の頭により挟み込まれた状態となり、その結果、支持部材4がフランジ部材2に対し取付けられた状態となっている。尚、支持部材4の取付対象はフランジ部材2に限られず、例えば、支持部材4をオーバーフロー管3に対して取付けることとしてもよい。また、支持部材4をフランジ部材2やオーバーフロー管3と一体に形成してもよい。
操作部材5は、前記排水口を開閉する際に操作される部材であり、フランジ部材2における前記貯水空間105側の開口24に対応して配置されている。操作部材5は、図5及び図6に示すように、被操作部51と、上側目隠し板部52と、ヘアキャッチャー部としての下側ヘアキャッチャー部53及び側方側ヘアキャッチャー部54とを備えている。
被操作部51は、前記貯水空間105側から見たときに前記幅方向に沿って幅広とされた矩形板状をなしている。被操作部51は、前記幅方向一端部であって前記貯水空間105とは反対側(裏側)に位置する把持部511と、前記貯水空間105側に位置する表面部512と、当該表面部512の裏側に位置する裏側部513とを備えている。
把持部511は、前記幅方向と直交する方向(本実施形態では、上下方向)に延びる筒状をなしており、その長手方向一端から他端に貫通するとともに、前記表面部512とは反対側に向けて開口するスリット511Aを備えている。把持部511は、スリット511Aの幅を増減する方向に弾性変形可能となっている。そして、スリット511Aの幅が増大する方向に把持部511を弾性変形させつつ、スリット511Aを通して把持部511の内周に対し前記軸部42が配置されることにより、つまり、スナップフィットを用いることにより、被操作部51(操作部材5)は、自身の幅方向一端部が支持部材4に対し軸支された状態となっている。これにより、本実施形態において、被操作部51(操作部材5)は、フランジ部材2に対し支持部材4を介して間接的に軸支された状態となっている。そして、被操作部51(操作部材5)は、フランジ部材2における前記開口24の端であって使用者から見て手前側に位置する回動軸にて回動可能となっている。但し、被操作部51における幅方向一端側の部位は、被操作部51が回動しても、常に前記開口24に配置された状態となり、貯水空間105側へと突出することはない。
表面部512は、前記排水口104を開閉する際に押圧操作される部位であり、前記幅方向他端側に、正面視円形状の目印部512Aを備えている(図2等参照)。目印部512Aは、押圧することで操作部材5が回動することとなる部分を示すものである。本実施形態において、目印部512Aは、円形状の窪みによって構成されている。
裏側部513は、基本的にはその大部分が平坦面となっているが、その中心のみに、前記平坦面から突出する摺動突起部513Aを備えた形状となっている。摺動突起部513Aは、前記幅方向に沿って延びる接触押圧部513Bと、当該接触押圧部513Bの両端部から突出した一対の壁部513C,513Dとを備えている。
接触押圧部513Bは、操作部材5(表面部512)を押圧したときに後述する操作軸62の先端部に接触した状態で操作軸62を押圧し、操作部材5の回動による駆動力を操作軸62に対し伝達する部位である。接触押圧部513Bの少なくとも一部(本実施形態では、前記回動軸とは反対側に位置する部位)は、操作部材5の回動軸から遠ざかるにつれて表面部512(裏側部513の前記平坦面)からの距離が徐々に大きくなる傾斜面状及び湾曲面状の少なくとも一方(本実施形態では、湾曲面状)をなすものとされている。
壁部513C,513Dは、接触押圧部513Bを挟むようにして相対向する壁状をなしており、互いに接近・離間する方向に弾性変形可能となっている。また、各壁部513C,513Dは、他方の壁部513C,513D側に向けて突出する係止部513E,513Fを備えている。各係止部513E,513Fは、それぞれ接触押圧部513Bと平行な状態で延びる突条により構成されている。
上側目隠し板部52は、被操作部51の上端縁部分から突出する平板状をなしている。
下側ヘアキャッチャー部53は、被操作部51の下端縁部分から突出する形状をなしている。下側ヘアキャッチャー部53は、排水に含まれるごみや毛髪等の異物を捕集するためのものであり、複数の通水用の孔を備えた網目状をなしている。また、下側ヘアキャッチャー部53は、その外縁形状が、上側目隠し板部52の外縁形状とほぼ同一とされている。
側方側ヘアキャッチャー部54は、被操作部51における、前記幅方向に沿って前記把持部511とは反対側の端縁部分から突出し、上側目隠し板部52と下側ヘアキャッチャー部53との間において両者に連なった状態で設けられている。側方側ヘアキャッチャー部54は、下側ヘアキャッチャー部53と同様に、排水に含まれる異物を捕集するためのものであり、複数の通水用の孔を備えた網目状をなしている。
図3及び図4に戻り、操作側機構部6は、通水孔23内において、前記支持筒部222Aに挿通されることでフランジ部材2に取付けられた状態となっている。また、操作側機構部6は、円筒状の筒状部61と、当該筒状部61の内周に配置された往復移動部としての棒状の操作軸62とを備えている。
操作軸62は、筒状部61の軸方向に沿って往復移動可能であり、本実施形態では、フランジ部材2の軸方向にほぼ沿った方向に往復移動可能となっている。尚、操作軸62の往動方向とは、エルボー部材31の奥側へと操作軸62を押し込むこととなる方向(図3における下から上に向けた方向)である。一方、操作軸62の復動方向とは、フランジ部材2の内部から操作軸62の先端部が突出することとなる方向(図3における上から下に向けた方向)である。また、操作軸62は、所定の第一位置と、当該第一位置よりも前記貯水空間105側に突出した第二位置とに配置可能となっている。尚、図3及び図4においては、操作軸62が第一位置に配置された状態を示している。
さらに、操作軸62は、被操作部51の背後であって、その先端部が前記摺動突起部513Aに対応する位置に配置されている。また、操作軸62は、その先端側部分の外周に、凹状の被係止部62Aを備えている。そして、操作軸62は、その先端側部分が前記両壁部513C,513D間に配置されるとともに、自身の被係止部62Aに対し前記両係止部513E,513Fが係止された状態となることにより、その先端側部分が被操作部51(操作部材5)と連結された状態となっている。これにより、操作軸62の先端部から被操作部51(操作部材5)が離れてしまうことを規制できるようになっている。すなわち、本実施形態では、係止部513E,513F及び被係止部62Aによって規制部10が構成されている。
また、本実施形態では、スナップフィットにより被係止部62Aに対し両係止部513E,513Fを係止可能となっている。具体的には、フランジ部材2に対し操作側機構部6を取付けるとともに、支持部材4によって操作部材5を軸支した状態とした上で、操作部材5を押圧し、操作軸62側に向けて回動させる。これにより、操作軸62の先端部で押し広げられるようにして、両壁部513C,513Dが両者間の距離を広げる方向に弾性変形していく。そして、この距離が操作軸62のうち被係止部62Aよりも先端に位置する部位の外径よりも大きくなると、当該部位が係止部513E,513F間を通過する。さらに、両壁部513C,513Dの弾性変形が解除され、被係止部62Aに対し両係止部513E,513Fが係止された状態となる。
加えて、操作軸62は、操作部材5(表面部512)を前記貯水空間105側から押圧し、操作部材5を回動させた場合に、その先端側部分が、前記両壁部513C,513D間に形成された溝に沿って操作部材5に対し相対移動するとともに、前記接触押圧部513Bを摺動しつつ接触押圧部513Bによって押圧される。その結果、操作軸62が往動するようになっている。
また、操作側機構部6の内部には、操作軸62をロックするための図示しないロック機構と、操作軸62に対しその復動方向に向けた付勢力を付与するための図示しない戻しばねとが設けられている。そして、操作部材5(表面部512)を押圧する度に、前記ロック機構によって操作軸62が前記第一位置においてロックされることと、ロック解除に伴い、前記戻しばねからの付勢力によって操作軸62が復動し、前記第二位置に配置されることとが交互に行われるようになっている。
伝達部材7は、例えば、金属製のワイヤーにより構成されており、長尺筒状をなすチューブ部材11の内周に配置されている。伝達部材7は、チューブ部材11の内周面に沿って往復移動可能な状態とされている。
また、伝達部材7は、その一端部が操作軸62の他端部と接触可能に構成されており、操作部材5の押圧に伴い操作軸62が往動することで、チューブ部材11内にて往動する。これにより、操作部材5の変位による駆動力が前記栓蓋側へと伝達されるようになっている。
尚、操作軸62を前記第一位置に配置した状態においては、操作軸62のロックに伴い、伝達部材7が往動した状態で維持され、ひいては伝達部材7によって前記栓蓋が持ち上げられた状態で保たれる。すなわち、操作軸62を前記第一位置に配置した状態においては、前記排水口104は開状態で維持される。
一方、操作軸62を前記第二位置に配置した状態においては、伝達部材7による前記栓蓋の持ち上げは解除された状態となる。すなわち、操作軸62を前記第二位置に配置した状態において、前記排水口104は閉状態で維持される。
次いで、前記排水口104を開状態又は閉状態としたときにおける操作装置1の詳細な状態と、前記排水口104を開閉させる際における操作装置1の動作とについてそれぞれ説明する。
まず、前記排水口104が開状態であるときの操作装置1の状態について説明する。前記排水口104が開状態であるときには、上記の通り、操作軸62は前記第一位置に配置されるとともに、前記ロック機構によってロックされた状態となっている。また、この状態においては、被操作部51によりフランジ部材2における前記開口24が閉鎖され、フランジ部材2における前記開口24を形成する部位と被操作部51との間における隙間は、ほとんどない状態となっている。具体的には、フランジ部材2における前記開口24を形成する部位と被操作部51との間の隙間が、最も広い部分であっても1.5mm以下とされている。さらに、表面部512とフランジ部材2における前記貯水空間105側の面(本実施形態では、鍔部21の表面)とは面一とされている。
尚、本実施形態では、被係止部62Aに対し係止部513E,513Fが係止されていない状態(被操作部51から操作軸62が外れている状態)において、操作軸62を前記第一位置に配置した場合には、図7に示すように、被係止部62Aに対し係止部513E,513Fが係止されない限り、被操作部51における前記幅方向他端部側に位置する部位が前記開口24から前記貯水空間105側へと突出した状態となる。
次いで、前記排水口104を開状態から閉状態に切換える場合の操作装置1の動作について説明する。まず、前記排水口104を開状態から閉状態と切換える際には、前記貯水空間105側から表面部512のうち操作部材5の回動軸とは反対側の部位が押圧される。例えば、表面部512における目印部512Aの存在する部位が押圧される。これにより、接触押圧部513Bにより操作軸62が押圧され、操作軸62は、両壁部513C,513Dや係止部513E,513F、被係止部62Aによって、被操作部51に対する相対移動がガイドされた状態で若干往動する。すると、前記ロック機構による操作軸62のロックが解除される。そして、この状態で表面部512に加えられていた押圧力が解除されることで、前記戻りばねからの付勢力によって操作軸62が復動して前記第二位置に配置される。その結果、伝達部材7が復動するとともに、前記栓蓋が下動し、前記排水口104が閉状態へと切換えられる。
次に、前記排水口が閉状態であるときの操作装置1の状態について説明する。前記排水口104が閉状態であるときには、上記の通り、操作軸62は前記第二位置に配置されるとともに、前記ロック機構によるロックが解除された状態となっている。また、図8及び図9に示すように、この状態においては、少なくとも被操作部51における幅方向他端部側に位置する部位が、フランジ部材2の前記開口24から前記貯水空間105側に突出し、かつ、この突出部分の背後に通水孔23に連通する隙間12(図9参照)が形成された状態となる。本実施形態では、この隙間12を通って、前記下側ヘアキャッチャー部53及び側方側ヘアキャッチャー部54に形成された通水用の孔を通過した排水が通水孔23へと流入可能となっている。但し、前記上側目隠し板部52によって前記隙間12は使用者から見て隠れた状態となっている。
次いで、前記排水口104を閉状態から開状態に切換える場合の操作装置1の動作について説明する。まず、前記排水口104を閉状態から開状態と切換える際には、前記貯水空間105側から、被操作部51のうち前記開口24から突出した部位(表面部512のうち操作部材5の回動軸とは反対側の部位)が押圧される。これにより、接触押圧部513Bにより操作軸62が押圧され、操作軸62は、両壁部513C,513Dや係止部513E,513F、被係止部62Aによって被操作部51に対する相対移動がガイドされた状態で往動する。そして、操作軸62が前記第一位置を若干超えた位置まで往動した状態で、表面部512に加えられていた押圧力が解除されると、操作軸62が前記戻りばねからの付勢力により若干復動し、前記第一位置に配置された状態で前記ロック機構によりロックされる。その結果、伝達部材7によって前記栓蓋が持ち上げられた状態で維持され、前記排水口104は開状態へと切換えられることとなる。
以上詳述したように、本実施形態によれば、排水口104における開閉状態の切換えを、被操作部51の表面部512に対する押圧操作(プッシュ操作)のみによって行うことができる。
さらに、排水口104を閉状態から開状態に切換える場合〔つまり、付勢力に抗したり、前記栓蓋を持ち上げたりするために、被操作部51の操作に比較的大きな押圧力が必要となる場合(尚、洗面器100に水が溜まっているときには特に大きな押圧力が必要となる)〕には、被操作部51のうち前記開口24から突出した部位を押せばよいため、被操作部51に対し十分な押圧力を容易に加えることができる。そのため、排水口104を閉状態から開状態へと容易に切換えることができる。
一方、排水口104が開状態であるときには、付勢力を利用することで、排水口104を開状態から閉状態へと容易に切換えることができる。
併せて、被操作部51の押圧時において、被操作部51のうち操作軸62に接触する部位と前記幅方向他端部との間に位置する部位(対象部分)を押圧位置とすれば、てこの原理(被操作部51の回動軸を支点とし、被操作部51のうち操作軸62と接触する部位を作用点とし、被操作部51の前記対象部分を力点とする)により、比較的小さな力で操作軸62を押圧し移動させることができる。また、被操作部51のうち操作軸62と接触する部位と前記回動軸との間に位置する部位を押圧位置とすれば、小さな押圧量で操作軸62を大きく移動させることができる。このように押圧位置を変更すれば、押圧力や押圧量が変化するため、使用者は、被操作部51の押圧時において、押圧力や押圧量の点で自身にとって操作のしやすい押圧位置を適宜選択することができる。
また、使用者(例えば、腕近辺のある点)から被操作部に対する押圧位置(力点)に向けた線(操作方向線)と、被操作部51の移動方向に沿って延びるとともに前記押圧位置を通過する線(移動方向線)とのなす角のうち小さい方の角度が小さいほど操作が容易になると考えられる。この点、図16に示すように、被操作部75が従来の往復移動するタイプのもの(例えば、押ボタン)では、操作方向線L1及び移動方向線L2のなす角のうち小さい方の角度θは、直角に近いものとなる。これに対し、本実施形態によれば、図17に示すように、被操作部51が使用者から見て手前側の回動軸にて回動するため、回動範囲の大部分において、操作方向線L1側に移動方向線L2が傾いた状態となり、角度θは従来の往復移動するタイプの被操作部を用いた場合と比べて小さなものとなる。従って、被操作部51の操作をより容易に行うことが可能となる。
以上のような各種効果が相乗的に作用することで、非常に優れた操作性を実現することができる。
さらに、本実施形態において、被操作部51における使用者から特に見えやすい部位(幅方向一端側の部位)は、常に前記開口24に配置された状態となり、貯水空間105側へと突出することはない。これにより、水垢や汚れ等が容易に視認可能となってしまうことを確実に防止でき、外観品質の向上を図ることができる。
併せて、排水口104が閉状態であるときには、つまり、排水口104側において排水が行われないときには、少なくとも被操作部51における幅方向他端部側に位置する部位が前記開口24から突出し、この突出部分の背後に通水孔23に連通する隙間12が形成される。従って、この隙間12を通って通水孔23へと排水が流れ込むこととなり、フランジ部材2(オーバーフロー口102)側において良好な排水性能を得ることができる。
加えて、被操作部51のうち前記開口24から突出する部位は、使用者から見て被操作部51の回動軸よりも先方に位置することとなる。そのため、使用者から汚れの付着しやすい部分が見えにくくなり、良好な外観品質を維持することができる。特に本実施形態では、被操作部51を突出させた状態において、上側目隠し板部52によって前記隙間12を使用者から見て隠れた状態とすることができる。従って、使用者から汚れの付着しやすい部分が一層見えにくくなり、外観品質をより良好なものとすることができる。
さらに、本実施形態では、排水口104が開状態であるときに、つまり、排水口104側から排水が行われるときに、被操作部51によって前記開口24が閉鎖されるように構成されている。従って、排水口104側において泡が発生した場合において、この泡がオーバーフロー管3を上がってきたとしても、被操作部51の存在によって、前記開口24からの泡の溢れ出しをより確実に防止することができる。その結果、衛生性や快適性の向上を図ることができる。
また、被操作部51により前記開口24が閉鎖された状態であるときには、フランジ部材2と被操作部51との間における隙間がほとんどない状態となるため、使用者は、通水孔23をほぼ視認できないこととなる。従って、外観品質をより一層向上させることができる。また、前記開口24からの泡の溢れ出しを一層確実に防止することができ、衛生性や快適性を効果的に高めることができる。
併せて、排水口104が開状態であるときに、表面部512が鍔部21の表面と面一となるように構成されている。従って、被操作部51が邪魔となりにくくなり、使用者の利便性を高めることができる。また、被操作部51に対して手などが引っ掛かりにくくなり、安全性の向上を図ることができる。さらに、フランジ部材2及び被操作部51は、外観上非常にまとまりの良い状態となり、外観品質を一層良好なものとすることができる。
さらに、裏側部513のうち操作軸62を押圧する部位(接触押圧部513B)は、操作部材5の回動軸から遠ざかるにつれて表面部512までの距離が徐々に大きくなる傾斜面状及び湾曲面状の少なくとも一方をなしている。そのため、より小さな押圧力で操作軸62を移動させることができ、操作性を一層高めることができる。また、被操作部51を押圧したときに、操作軸62に印加される押圧力の向きが操作軸62の中心軸に対し過度に斜めになってしまうことを抑制できる。これにより、操作性を一層高めることができるとともに、操作軸62の破損防止を図ることができる。
加えて、本実施形態では、操作時において、裏側部513が操作軸62の先端部に対して直接接触する。従って、部品点数の削減を図ることができ、装置の安定的な動作や製造コストの低減を図ることができる。
また、規制部10によって、操作軸62の先端部から被操作部51が離れてしまうことを規制でき、操作軸62及び被操作部51を常に連動した状態とすることができる。これにより、操作性を一層向上させることができる。さらに、本実施形態において、規制部10は、被係止部62A及び係止部513E,513Fにより構成されており、比較的簡易な構造により実現されている。従って、装置の簡素化を図ることができ、ひいては装置の安定的な動作やコストの増大抑制などをより確実に図ることができる。
加えて、排水口104の開閉状態を切換える際に、両壁部513C,513Dや係止部513E,513F、被係止部62Aによって、被操作部51に対する操作軸62の相対移動がガイドされることとなる。従って、装置の安定的な動作をより一層確実に図ることができる。
また、スナップフィットを利用することで、被係止部62Aに対し係止部513E,513Fをより容易に係止することができ、取付作業性などを高めることができる。
さらに、本実施形態では、取付状態が正常でない場合(被係止部62Aに対し係止部513E,513Fが係止されていない場合)には、被操作部51が前記開口24から突出した状態となる。従って、被操作部51の状態に基づき、取付が正常に行われたか否かを容易に把握することができ、取付時やメンテナンス時等における利便性をさらに向上させることができる。
加えて、下側ヘアキャッチャー部53及び側方側ヘアキャッチャー部54によって、排水に含まれるゴミや毛髪等の異物を捕集することができ、衛生性をより一層高めることができる。特に本実施形態では、両ヘアキャッチャー部53,54は被操作部51の裏側にあるため、被操作部51が前記開口24から突出した状態であっても視認しにくくなる。そのため、ヘアキャッチャー部53,54を設けたことによる外観品質の低下をより確実に防止することができる。
また、目印部512Aの存在により、排水口104を開状態から閉状態とするときに、被操作部51のどの位置を押せばよいかを使用者に容易に認識させることができる。その結果、使用者にとっての利便性を一段と高めることができる。また、操作方法が分からない場合、使用者は、被操作部51が適正に動作しない原因が押圧力の不足であると考え、より大きな力で被操作部51を押圧してしまうといった事態が生じ得るが、目印部512Aを設けることで、このような事態を生じにくくすることができる。これにより、誤った操作による不具合(例えば、装置の故障など)の発生を効果的に抑制することができる。
さらに、排水口104が閉状態であるときには、被操作部51が前記開口24から突出した状態となるため、使用者は、排水口104を閉状態から開状態とするときに、被操作部51におけるどの位置を押圧すればよいのかを容易に理解することができる。
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
(a)上記実施形態では、フランジ部材2によって、貯水空間105側に開口する通水孔23を形成する孔形成部が構成されているが、フランジ部材2を設けることなく、洗面器100へとオーバーフロー管3を直接接続する場合などでは、洗面器100のうちオーバーフロー口102を形成する部位によって孔形成部を構成してもよい。
(b)上記実施形態では、使用者から見て手前側に操作部材5の回動軸が位置するように操作装置1が構成されているが、図10に示すように、使用者から見て上側に操作部材135の回動軸が位置するように操作装置13を構成してもよい。すなわち、上記実施形態において、「幅方向」は、貯水空間105側から見て左右方向とされているが、貯水空間105側から見て上下方向であってもよい。勿論、左右方向や上下方向に対し斜めになった方向であってもよい。尚、使用者から見て上側に操作部材135の回動軸が位置するように構成した場合には、図11に示すように、被操作部136のうちフランジ部材121における貯水空間105側の開口122から突出する部位は、使用者から見て被操作部51の回動軸よりも下方に位置することとなる。そのため、使用者から汚れの付着しやすい部分が見えにくくなり、良好な外観品質を維持することができる(但し、参考例)。
また、使用者から見て上側に操作部材135の回動軸が位置するように構成した場合には、被操作部136のうち使用者側(手前側)に位置する端縁部に裏側に向けて延びる手前側目隠し板部137を設けることとしてもよい。そして、前記排水口104が閉状態であるとき、すなわち、被操作部136が突出した状態であるときに、手前側目隠し板部137によって、被操作部136の突出部分の背後に位置する隙間が使用者から見て隠れた状態となるように構成してもよい。この場合には、使用者から汚れの付着しやすい部分が一層見えにくくなり、外観品質をより良好なものとすることができる(但し、参考例)。
さらに、上記実施形態では、右側側壁部101Rに対し操作装置1が取付けられているが、左側側壁部101Lに対し操作装置1を取付けることとしてもよい。この場合、被操作部は、使用者から見て手前側にその回動軸が位置するように構成される。
また、図12に示すように、側壁部101のうち使用者の正面に位置する正面側壁部101Fに対し操作装置14を設けることとしてもよい(但し、参考例)。
(c)上記実施形態において、操作軸62は一部材により構成されているが、図13に示すように、操作軸62を複数部材(例えば、直列的に接続された第一部材621及び第二部材622)によって構成してもよい。
(d)上記実施形態では、裏側部513における操作軸62を押圧する部位である接触押圧部513Bが突出形状をなしているが、図14に示すように、例えば、被操作部55における裏側部553のほぼ全域が平坦面状をなすように構成することで、裏側部513における操作軸63を押圧する部位が平坦状であってもよい。
(e)上記実施形態では、裏側部513及び操作軸62が直接接触し、裏側部513によって操作軸62が直接押圧されるように構成されているが、図15に示すように、操作軸64及び被操作部55間に設けられた介在部65を介して、裏側部553により操作軸64が間接的に押圧されるように構成してもよい。尚、介在部は、例えば、自由回転可能なローラなどによって構成することができるが、その構成は適宜変更可能である。
(f)上記実施形態において、被操作部51は、正面視矩形状をなしているが、被操作部の形状はこれに限定されるものではない。従って、例えば、被操作部を正面視円形状や楕円形状、長円形状、多角形状(例えば、六角形状)などとしてもよい。
(g)上記実施形態において、目印部512Aは、円形状の窪みにより構成されているが、目印部の構成はこれに限定されるものではない。従って、目印部を、小突起により構成してもよいし、文字や図形などからなる情報により構成してもよい。
(h)上記実施形態において、操作部材5は、孔形成部としてのフランジ部材2に対し間接的に軸支されるように構成されているが、操作部材を孔形成部に対し直接軸支するように構成してもよい。
(i)上記実施形態では、被操作部51の裏側に下側ヘアキャッチャー部53及び側方側ヘアキャッチャー部54が設けられているが、ヘアキャッチャー部を設けないこととしてもよい。
(j)上記実施形態では、槽体として洗面器100を例示しているが、本発明の技術思想を適用可能な槽体は洗面器に限定されるものではない。従って、例えば、浴槽やキッチンの流し台などに対して本発明の技術思想を適用することとしてもよい。
(k)上記実施形態では、貯水空間105側から表面部512を押圧して被操作部51を回動させた場合、裏側部513によって操作軸62が押圧されることで伝達部材7が移動するように構成されている。すなわち、被操作部51の回動に伴う力は操作軸62を介して伝達部材7に伝達されるように構成されている。これに対し、伝達部材7に対しその復動方向に沿った付勢力を付与するとともに、伝達部材7のうち操作装置1側に位置する端部(一端部)を被操作部51の裏側に配置し、貯水空間105側から表面部512を押圧して被操作部51を回動させた場合、被操作部51の回動に伴う力が伝達部材7に対し直接伝達されるように構成してもよい。尚、この場合には、伝達部材7の一端部が往復移動部に相当する。また、裏側部513によって伝達部材7の一端部が押圧されるように構成してもよいし、伝達部材7の一端部が被操作部51に対し連結されるように構成してもよい。