JP6693899B2 - 密閉型電池および電極端子 - Google Patents
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Description
かかる密閉型電池のケースには、他の電池やモーターなどの外部機器と電気的に接続される電極端子が設けられている。例えば、2個以上の密閉型電池を隣接して配列し、各々の電池の電極端子同士をバスバーを介して接続することによって、複数の電池からなる組電池を構築することができる。
各々の電極端子30は、集電部材32と、ボルト34と、外部接続部材36とを備えている。集電部材32の一方の端部32aはケース10内の電極体20と接続され、他方の端部32bはケース10外に露出している。また、ボルト34は、上記した外部機器と電気的に接続される柱状の接続部34aを備えている。そして、この電極端子30では、上記した集電部材32とボルト34とが板状の外部接続部材36によって電気的に接続されている。また、この電極端子30では、上記した各々の部材がケース10(蓋体14)と通電することを防止するために、外部接続部材36と蓋体14との間に絶縁ホルダ38が配置されている。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、簡素な構造で蓋体と集電部材との通電を確実に防止することができる電極端子を有した密閉型電池を提供することを目的とする。
かかる密閉型電池の電極端子は、一方の端部がケース内の電極体と電気的に接続されていると共に、他方の端部がケースの外部に露出している集電部材と、ケースの外部において集電部材と電気的に接続されている板状の外部接続部材と、外部接続部材とケースとの間に配置される絶縁部材であって集電部材の他方の端部が挿通される第1挿通孔が形成されている絶縁ホルダと、ケースの内部においてケースと集電部材との間に介在する絶縁部材であって集電部材の他方の端部が挿通される第2挿通孔が形成され、当該第2挿通孔の周囲にケースを貫通して絶縁ホルダの底面に圧着される円筒状の封止部が形成されているシール部材とを備えている。
そして、ここで開示される密閉型電池では、第1挿通孔の周囲の絶縁ホルダの底面に切り欠き部が設けられており、円筒状の封止部の上面の内周縁部が絶縁ホルダの切り欠き部に入り込むようにシール部材の封止部と絶縁ホルダとが圧着されている。
そして、かかる検討の結果、図8に示す構造の電極端子30では、絶縁ホルダ38の底面とシール部材39の封止部39bとを面で接触させて圧着しているため、かかる接触面における面圧が低くなると、絶縁ホルダ38の底面と封止部39bの上面との間に隙間が生じる可能性があることが分かった。本発明者は、密閉型電池の使用環境によっては、かかる隙間に水蒸気が入り込んで結露することにより蓋体14と集電部材32とが通電する虞があると考えた。
そして、かかる検討によって思い至った種々の絶縁構造のうち、電極端子の強度が低下せず、かつ、部品コストや製造効率の点でも好ましい効果が得られるような簡素な絶縁構造についてさらに検討を進め、ここで開示される密閉型電池を完成させるに至った。
具体的には、ここで開示される密閉型電池では、第1挿通孔の周囲の絶縁ホルダの底面に切り欠き部が設けられている。これによって、絶縁ホルダの底面側の第1挿通孔の径を若干広げるような加工をするのみで切り欠き部を容易に形成できるため、絶縁ホルダやシール部材などに複雑な加工を施す必要がなく、部品コストの上昇や製造効率の低下を適切に抑制することができる。
また、ここで開示される密閉型電池では、シール部材の封止部と絶縁ホルダの底面のうち、絶縁ホルダの底面の方に切り欠き部を設けている。これは、円筒状の突起である封止部に切り欠き部を設けると当該封止部の強度が低下し、圧着の際に封止部の破損による圧着不良や電極端子の強度低下などが生じる虞があるためである。
さらに、ここで開示される密閉型電池においては、円筒状の封止部の内周縁部のみが絶縁ホルダの切り欠き部に入り込むように切り欠き部が形成されている。このように、圧着の際の封止部の変形量が少なくすることによって、封止部の変形不良による圧着不良や強度低下の発生を好適に防止することができる。
かかる態様のようにテーパー状の切り欠き部を形成した場合、絶縁ホルダとシール部材とを圧着させる際に、シール部材の封止部を切り欠き部の傾斜面に沿って変形させることができるため、封止部の変形不良をより好適に防止することができる。
上記した切り欠き部の寸法は、シール部材や絶縁ホルダの材質などを考慮して適宜調整することが好ましい。封止部の厚みに対する切り欠き部の径方向の長さが短すぎると、当該切り欠き部に封止部を十分に入り込ませることができなくなる虞がある。一方、切り欠き部の径方向の長さが長すぎると、圧着の際の封止部の変形量が大きくなるため、変形不良が生じる可能性が高くなる。これらを考慮すると、径方向における切り欠き部の長さは、シール部材の厚みの10%〜60%であることが好ましい。
上記した切り欠き部の径方向における長さと同様に、切り欠き部の深さについても、シール部材や絶縁ホルダの材質などを考慮して適宜調整することが好ましい。例えば、切り欠き部が浅すぎると、当該切り欠き部に封止部を十分に入り込ませることができなくなる虞がある。一方、切り欠き部が深すぎると、圧着の際の封止部の変形量が大きくなるため、変形不良が生じる可能性が高くなる。これらを考慮すると、切り欠き部の深さは絶縁ホルダの厚みの10%〜40%であることが好ましい。
かかる電極端子は、一方の端部がケース内の電極体と電気的に接続されていると共に、他方の端部がケースの外部に露出している集電部材と、ケースの外部において集電部材と電気的に接続されている板状の外部接続部材と、外部接続部材とケースとの間に配置される絶縁部材であって集電部材の他方の端部が挿通される第1挿通孔が形成されている絶縁ホルダと、ケースの内部においてケースと集電部材との間に介在する絶縁部材であって集電部材の他方の端部が挿通される第2挿通孔が形成され、当該第2挿通孔の周囲にケースを貫通して絶縁ホルダの底面に圧着される円筒状の封止部が形成されているシール部材とを備えている。
そして、ここで開示される電極端子では、第1挿通孔の周囲の絶縁ホルダの底面に切り欠き部が設けられており、円筒状の封止部の上面の内周縁部が絶縁ホルダの切り欠き部に入り込むようにシール部材の封止部と絶縁ホルダとが圧着されている。
本実施形態に係る密閉型電池の基本的な構造は従来の密閉型電池と同様である。具体的には、図1に示すように、本実施形態に係る密閉型電池100は、扁平な角型のケース10の内部に電極体20が収納されることによって構成されている。かかる密閉型電池100のケース10は、上面が開口した扁平な角型のケース本体12と、当該ケース本体12上面の開口部を塞ぐ板状の蓋体14とから構成されている。かかるケース10は、軽量で熱伝導性の良い金属材料を主体に構成されていることが好ましく、かかる金属材料としてはアルミニウムなどが挙げられる。
本実施形態においては、電極体20として捲回電極体が用いられている。図示は省略するが、かかる捲回電極体20は、箔状の正極集電体の表面に正極合材層が付与された長尺シート状の正極と、箔状の負極集電体の表面に負極合材層が付与された長尺シート状の負極とを備えており、これらの正負極をセパレータを介して積層させ、該積層体を捲回することによって形成される。そして、幅方向Xにおける捲回電極体20の中央部には、正負極の合材層が対向した捲回コア部20Aが形成されている一方で、幅方向Xの両側縁部には、合材層が付与されていない集電体が巻き重ねられた端子接続部20Bが形成されている。
なお、本実施形態に係る密閉型電池100において、電極体20を構成する各部材(例えば正極、負極およびセパレータ等)の材料は、従来の一般的なリチウムイオン二次電池に用いられるものと同様のものを制限なく使用可能であり、本発明を特徴づけるものではないため、詳細な説明を省略する。
以下、本実施形態における電極端子30の具体的な構造について説明する。
(1)電極端子の構成部材
図3は本実施形態に係る密閉型電池100の電極端子30近傍の構造を模式的に示す断面図である。本実施の形態に係る密閉型電池100の電極端子30は、集電部材32と、ボルト34と、外部接続部材36と、絶縁ホルダ38と、シール部材39とを備えている。以下、かかる電極端子30を構成する各々の部材の構造を説明する。
集電部材32は、導電性材料によって構成された長尺の部材である。図1に示すように、集電部材32の一方の端部32aはケース10内の電極体20と電気的に接続されており、他方の端部32bはケース10の蓋体14を貫通して外部に露出している。具体的には、集電部材32の一方の端部32aは、長尺の板状に形成されており、密閉型電池100の縦方向Zに沿って延びてケース10内の電極体20の端子接続部20Bに接続されている。一方、集電部材32の他方の端部32bは、図3に示すように、シール部材39、蓋体14、絶縁ホルダ38、外部接続部材36の各々を貫通してケース10の外部に露出している。そして、集電部材32は、図2に示すように円筒状に成形された他方の端部32bを図3に示すようにかしめることによって上記した各々の部材をケース10の蓋体14に固定している。かかる集電部材32に用いられる導電性材料としては、例えば、アルミニウム、銅などが挙げられる。
ボルト34は、ケース10外部において密閉型電池の縦方向Zに沿って立設する柱状の接続部34aを備えた導電性部材であり、上記した集電部材32と同種の材料から構成されていることが好ましい。かかる柱状の接続部34aの外周面にはネジ溝(図示省略)が形成されている。例えば、ボルト34の接続部34aを板状のバスバー(図示省略)に貫通させた後、当該接続部34aにナットを締め込むことによって、密閉型電池と外部機器とが電気的に接続される。
一方、このボルト34では、上記した外部機器との接続の際にボルト34が供回りすることを防止するために、図2および図3に示すように、他方の端部に矩形の凸部である嵌合部34bが形成されている。かかるボルト34の嵌合部34bは、絶縁ホルダ38のボルト収納部38aと形状・寸法が対応するように設計されている。
外部接続部材36は、ケース10の外部において、集電部材32と電気的に接続されている板状の導電部材である。本実施形態における外部接続部材36は、集電部材32と上記したボルト34とを電気的に接続するように密閉型電池の幅方向X(図1参照)に沿って延びている。そして、図2に示すように、外部接続部材36の一方の端部には、集電部材32を挿通させる集電部材挿通孔36bが形成されており、他方の端部にはボルト34を挿通させるボルト挿通孔36aが設けられている。また、本実施形態における外部接続部材36は、後述する絶縁ホルダ38の上面の形状と対応するように段差状に折り曲げられている。なお、外部接続部材36についても、上記した集電部材32と同種の導電性材料を用いることができる。
絶縁ホルダ38は、外部接続部材36と蓋体14とを絶縁するために設けられた絶縁部材である。かかる絶縁ホルダ38の材料については、上記したシール部材39と同種の絶縁性材料(例えば、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリイミド樹脂など)を好ましく用いることができる。
かかる絶縁ホルダ38は、外部接続部材36と蓋体14との間に配置されており、電極端子30を構成する各々の導電性部材(集電部材32、ボルト34、外部接続部材36)がケース10の蓋体14と通電することを防止している。具体的には、絶縁ホルダ38は、上記した外部接続部材36と同様に密閉型電池100の幅方向Xに沿って延びており、外部接続部材36と蓋体14との間に配置されている。そして、絶縁ホルダ38の一方の端部にはボルト34の嵌合部34bを収納するために角型の凹部であるボルト収納部38aが設けられている。本実施形態における電極端子30では、当該ボルト収納部38aに、上記したボルト34の嵌合部34bを嵌合させることによってボルト34の回転が規制される。
シール部材39は、ケース10の内部においてケース10と集電部材32との間に介在する絶縁部材である。具体的には、シール部材39は、蓋体14の集電部材挿通孔14aを挿通された集電部材32と当該蓋体14とが通電することを防止するために、ケース10の蓋体14の下面に配置される板状の絶縁部材である。かかるシール部材39には集電部材32の端部32bを挿通させる第2挿通孔39aが形成されており、当該第2挿通孔39aの周囲に上方に向けて突出した円筒状の封止部39bが設けられている。図3に示すように、シール部材39の封止部39bは、蓋体14の集電部材挿通孔14aに挿入されることによって蓋体14を貫通し、絶縁ホルダ38の底面に圧着される。なお、シール部材39には、上記した絶縁ホルダと同様の絶縁性樹脂(例えば、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリイミド樹脂など)が用いられる。
本実施形態に係る密閉型電池100の電極端子30は、上記した各々の部材をケース10の蓋体14に組み付けることによって構築されている。
上記したように、本実施形態に係る密閉型電池100では、絶縁ホルダ38の底面とシール部材39の封止部39bとを適切に圧着させて集電部材32とケース10(蓋体14)との通電を確実に防止するために、第1挿通孔38cの周囲の絶縁ホルダ38の底面に切り欠き部が設けられている。以下、かかる絶縁ホルダ38の切り欠き部について説明する。図4は本実施形態における絶縁ホルダの第1挿通孔の近傍の拡大断面図であり、図5は図3中のVで示す領域を拡大した断面図である。
また、本実施形態においては、シール部材39の封止部39bではなく、絶縁ホルダ38に切り欠き部38dが形成されているため、封止部39bの強度を十分に確保することができる。このため、絶縁ホルダ38とシール部材39との圧着に際して封止部39bの先端が破損して圧着不良や強度低下を生じさせることを好適に防止できる。
さらに、本実施形態では、封止部39bの内周縁部のみを切り欠き部38dに入り込ませるという僅かな変形で絶縁ホルダ38とシール部材39とを隙間なく圧着させることができる。このため、圧着時に封止部39bの変形不良が生じて、圧着不良や強度低下が生じることを好適に防止することができる。
以上、ここで開示される密閉型電池の一実施形態について説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されず、種々の構造を変更することができる。
例えば、切り欠き部38dの他の例として図6に示すような形状が挙げられる。図6に示される切り欠き部38dは断面矩形に形成されており、切り欠き部38dと絶縁ホルダ38の底面との間に段差が形成されている。かかる構造の切り欠き部38dが形成された絶縁ホルダ38を用いた場合、当該切り欠き部38dの底面の段差に応力集中点Pを生じさせることができるため、封止部39bと絶縁ホルダ38とをより強固に圧着させることができる。
12 ケース本体
14 蓋体
14a 集電部材挿通孔
20 電極体(捲回電極体)
20A 捲回コア部
20B 端子接続部
30 電極端子
32 集電部材
32a、32b 正極集電部の端部
34 ボルト
34a 接続部
34b 嵌合部
36 外部接続部材
36a ボルト挿通孔
36b 外部接続部材の集電部材挿通孔
38 絶縁ホルダ
38a ボルト収納部
38c 第1挿通孔
38d 切り欠き部
39 シール部材
39a 第2挿通孔
39b 封止部
100 密閉型電池
d1 切り欠き部の深さ
d2 絶縁ホルダの厚み
P 応力集中点
r1 上面側の集電部材挿通孔の径
r2 底面側の集電部材挿通孔の径
t1 切り欠き部の径方向の長さ
t2 封止部の厚み
X 幅方向
Z 縦方向
Claims (5)
- ケース内に電極体が収容されることによって構成されており、外部機器と接続される電極端子が前記ケースに設けられている密閉型電池であって、
前記電極端子は、
一方の端部が前記ケース内の前記電極体と電気的に接続されていると共に、他方の端部が前記ケースの外部に露出している集電部材と、
前記ケースの外部において前記集電部材と電気的に接続されている板状の外部接続部材と、
前記外部接続部材と前記ケースとの間に配置される絶縁部材であって、前記集電部材の他方の端部が挿通される第1挿通孔が形成されている絶縁ホルダと、
前記ケースの内部において前記ケースと前記集電部材との間に介在する絶縁部材であって、前記集電部材の他方の端部が挿通される第2挿通孔が形成され、当該第2挿通孔の周囲に前記ケースを貫通して前記絶縁ホルダの底面に圧着される円筒状の封止部が形成されているシール部材と
を備えており、
ここで、前記第1挿通孔の周囲の前記絶縁ホルダの底面に切り欠き部が設けられており、前記円筒状の封止部の上面の内周縁部が前記絶縁ホルダの切り欠き部に入り込むように前記シール部材の封止部と前記絶縁ホルダとが圧着されている、密閉型電池。 - 前記切り欠き部が、前記絶縁ホルダの底面に向かうに従って前記第1挿通孔の径が大きくなるように傾斜したテーパー状に形成されている、請求項1に記載の密閉型電池。
- 前記シール部材の封止部の厚みを100%としたときの前記絶縁ホルダの底面における前記切り欠き部の径方向の長さが10%〜60%である、請求項1または請求項2に記載の密閉型電池。
- 前記絶縁ホルダの厚みを100%としたときの前記切り欠き部の深さが10%〜40%である、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の密閉型電池。
- ケース内に電極体が収容された密閉型電池の前記ケースに設けられ、外部機器と接続される電極端子であって、
一方の端部が前記ケース内の前記電極体と電気的に接続されていると共に、他方の端部が前記ケースの外部に露出している集電部材と、
前記ケースの外部において前記集電部材と電気的に接続されている板状の外部接続部材と、
前記外部接続部材と前記ケースとの間に配置される絶縁部材であって、前記集電部材の他方の端部が挿通される第1挿通孔が形成されている絶縁ホルダと、
前記ケースの内部において前記ケースと前記集電部材との間に介在する絶縁部材であって、前記集電部材の他方の端部が挿通される第2挿通孔が形成され、当該第2挿通孔の周囲に前記ケースを貫通して前記絶縁ホルダの底面に圧着される円筒状の封止部が形成されているシール部材と
を備えており、
ここで、前記第1挿通孔の周囲の前記絶縁ホルダの底面に切り欠き部が設けられており、前記円筒状の封止部の上面の内周縁部が前記絶縁ホルダの切り欠き部に入り込むように前記シール部材の封止部と前記絶縁ホルダとが圧着されている、電極端子。
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