JP6691687B2 - 転写装置及び画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、転写装置及び画像形成装置に関するものである。
従来、画像形成装置の転写装置として、像担持体に当接するニップ形成部材により転写ニップを形成して転写材である用紙を挟み込み、像担持体上のトナー像を用紙に転写するものが知られている。
特許文献1には、係る転写装置であって、複数の張架部材によって回転可能に張架されたベルト像担持体である中間転写ベルト上に形成されたトナー像を、用紙に二次転写する二次転写装置が記載されている。この二次転写装置には、前記複数の張架部材の1つであって、中間転写ベルトを回転駆動させる駆動ローラが設けられている。また、中間転写ベルトのおもて面に当接するニップ形成部材である二次転写ローラと、前記複数の張架部材の1つであって、二次転写ローラと対向して中間転写ベルト裏面に当接する二次転写対向ローラとが設けられている。二次転写ローラは、二次転写駆動モータにより回転軸を一定の回転速度で回転させて駆動されている。そして、二次転写ローラと二次転写対向ローラとの間に中間転写ベルトを挟み込んで二次転写ニップを形成し、二次転写ニップに搬送されてきた用紙に、中間転写ベルト上のトナー像を転写する。
また、前記二次転写装置には、中間転写ベルトを回転駆動させる駆動ローラの回転速度を検出する駆動ローラ速度検出器と、中間転写ベルトの移動速度を検出するベルト速度検出器とが設けられている。そして、駆動ローラ速度検出器とベルト速度検出器との検出結果に基づいて、中間転写ベルトの移動速度が一定速度となるように、駆動ローラを駆動させる中間転写駆動モータを制御して駆動ローラの回転速度を調整している。
経時使用によりローラ表面が変形したり、温湿度環境により膨張または収縮したりしてローラ径が変わると、二次転写ローラの表面速度が変動する。二次転写ローラは中間転写ベルトに接触してベルト搬送力を発生させており、二次転写ローラの表面速度が変動すると、二次転写ローラによる中間転写ベルトの搬送力も変動する。このように、二次転写ローラによる中間転写ベルトの搬送力が変動すると、中間転写ベルト回転方向で駆動ローラと二次転写ローラとの間にあるベルト部分を引っ張ったり弛ませたりする現象が生じる。そして、前記現象が大きく生じると、中間転写ベルトの移動速度が一定となるように駆動ローラの回転速度制御を行っても、中間転写ベルトの移動速度を高精度に制御するのが困難となり、中間転写ベルトの移動速度が変動するといった問題が生じる。
上記課題を解決するために、本発明は、複数の張架部材によって回転可能に張架された無端状のベルト像担持体と、前記複数の張架部材の1つであり、前記ベルト像担持体を回転駆動させる駆動ローラと、前記駆動ローラを回転駆動させる第一駆動モータと前記ベルト像担持体の外周面に当接して転写ニップを形成する回転可能な転写ローラと、前記転写ローラを回転駆動させる第二駆動モータとを備え、前記ベルト像担持体の外周面に担持した画像を転写ニップ内に挟み込んだ転写材へ転写する転写装置において、前記ベルト像担持体と前記転写ローラとを接離させる接離手段と、前記接離手段によって前記ベルト像担持体と前記転写ローラとを離間させた第一状態での前記第一駆動モータの駆動トルクに関する値に対しての、前記接離手段によって前記ベルト像担持体と前記転写ローラとを接触させた第二状態での前記第一駆動モータの駆動トルクに関する値の変化量と、前記第一状態での前記第二駆動モータの駆動トルクに関する値に対しての、前記第二状態での前記第二駆動モータの駆動トルクに関する値の変化量とが、予め設定された所定変化量よりも少なくなるような、前記ベルト像担持体と前記転写ローラとの相対速度を求める相対速度設定手段と、環境情報を取得するための環境情報取得手段と、前記環境情報取得手段が取得した環境情報に応じて前記相対速度設定手段で求めた前記相対速度を補正し、標準環境で最適な前記相対速度を求める標準環境最適相対速度導出手段と、前記環境情報取得手段が取得した環境情報に応じて前記標準環境で最適な前記相対速度を補正し補正速度とする速度補正手段と、前記補正速度で前記ベルト像担持体または前記転写ローラを回転させるように、前記第一駆動モータと前記第二駆動モータとの少なくとも一方を制御する制御手段とを有することを特徴とする。
以上、本発明によれば、ベルト像担持体の移動速度を第一駆動モータによって高精度に制御することができるという優れた効果がある。
二次転写設定速度の最適値の導出に係る制御のフローチャート。 プリンタの一例における画像形成部全体の概略構成図。 中間転写ベルト駆動装置を駆動制御部とともに示す斜視図。 二次転写ローラの駆動機構を示す図。 中間転写装置の中間転写駆動モータ及び二次転写駆動モータのモータ制御部を中心にしたブロック図。 二次転写ローラの当接状態と干渉トルクの関係を示す図。 二次転写ローラの速度設定の最適値を導出する過程を示す図。 定着ヒータの稼働情報を環境情報として取得して実施される、二次転写設定速度の最適値の導出に係る制御のフローチャート。
本発明の実施対象となる画像形成装置である電子写真方式のカラープリンタ(以下、単にプリンタという)に適用した第1の実施形態について説明する。なお、本実施形態のプリンタは、いわゆるタンデム式の画像形成装置であって、乾式二成分現像剤を用いた乾式二成分現像方式を採用したものであるが、本発明はこれに限定されない。
図2は、プリンタの一例における画像形成部全体の概略構成図である。このプリンタは、画像読取部から画像情報である画像データを受け取って画像形成処理を行う。このプリンタには、図2に示すように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の各色用の4個の回転体としての潜像担持体である感光体ドラム1Y,1M,1C,1Bkが並設されている。これら感光体ドラム1Y,1M,1C,1Bkは、駆動ローラ10を含む回転可能な複数のローラに支持された無端ベルト状の中間転写ベルト5に接触するように、そのベルト移動方向に沿って並んで配置されている。また、感光体ドラム1Y,1M,1C,1Bkの周りには、帯電器2Y,2M,2C,2Bk、現像装置9Y,9M,9C,9Bk、クリーニング装置4Y,4M,4C,4Bk、除電ランプ3Y,3M,3C,3Bkなどがプロセス順に配設されている。
本実施形態のプリンタでフルカラー画像を形成する場合、感光体ドラム1Yを回転駆動しながら帯電器2Yで一様帯電した後、光書込装置からの光ビームLYを照射して感光体ドラム1Y上にY静電潜像を形成する。このY静電潜像は、現像装置9Yにより、現像剤中のYトナーにより現像される。現像時には、現像ローラと感光体ドラム1Yとの間に所定の現像バイアスが印加され、現像ローラ上のYトナーは、感光体ドラム1Y上のY静電潜像部分に静電吸着する。
このように現像されて形成されたYトナー像は、感光体ドラム1Yの回転に伴い、感光体ドラム1Yと中間転写ベルト5とが接触する一次転写位置に搬送される。この一次転写位置において、中間転写ベルト5の裏面には、一次転写ローラ6Yにより所定のバイアス電圧が印加される。そして、このバイアス印加によって発生した一次転写電界により、感光体ドラム1Y上のYトナー像を中間転写ベルト5側に引き寄せ、中間転写ベルト5上に一次転写する。以下、同様にして、Mトナー像、Cトナー像、Bkトナー像も、中間転写ベルト5上のYトナー像に順次重ね合うように一次転写される。
そして、中間転写ベルト5上に4色重なり合ったトナー像は、中間転写ベルト5の回転に伴い、二次転写ローラ7と対向する二次転写位置に搬送される。また、この二次転写位置には、レジストローラ対30により所定のタイミングで転写材である用紙が搬送される。そして、この二次転写位置において、二次転写ローラ7により用紙の裏面に所定のバイアス電圧が印加され、そのバイアス印加により発生した二次転写電界及び二次転写位置での当接圧により、中間転写ベルト5上のトナー像が用紙上に一括して二次転写される。その後、トナー像が二次転写された用紙は、定着装置8に送られる。定着装置8は、加熱源である定着ヒータ8cを内包する加熱ローラ8aと、この加熱ローラ8aと当接して定着ニップを形成する加圧ローラ8bとで構成されている。定着装置8に送られた用紙は、定着ニップに挟み込まれ熱と圧力とによりトナー像を用紙に定着させる定着処理がなされた後、装置外に排出される。
図3は、中間転写ベルト駆動装置をモータ制御部20とともに示す斜視図である。中間転写ベルト5は、ベルトループ内に配設された複数の張架ローラによって張架されながら、張架ローラの1つである駆動ローラ10の回転駆動によって無端移動せしめられる。この駆動ローラ10は、減速機構を介して駆動源としての中間転写駆動モータ17に接続されている。 この減速機構は、中間転写駆動モータ17の回転軸にある小径歯車17aと、駆動ローラ10の回転軸にある大径歯車10aとを噛合わせた構成となっている。
中間転写ベルト5の搬送速度検出器として、ベルトエンコーダ方式がある。中間転写ベルト5の表面もしくは裏面にはエンコーダパターン16が刻まれており、このエンコーダパターン16をベルトエンコーダセンサ15で読み取ることによって、ベルト表面速度を検出する。
図3では従動ローラ11と駆動ローラ10の中央にベルトエンコーダセンサ15を設置しているが、ベルト表面速度を正しく測定するために、平坦な部分であれば他の場所でも良い。例えば、平坦でない回転軸上にベルトエンコーダセンサ15をレイアウトしてしまうと、軸の曲率の影響が出てしまい、中間転写ベルト5の製造上の厚み変動や環境変化による変動によって、エンコーダパターン16の間隔が変化してしまう。そのため、正しいベルト表面速度ではなくなってしまうので、避ける必要がある。エンコーダパターン16は、シート状のエンコーダパターンを貼り付けたり、ベルト上に直接パターン加工したり、中間転写ベルト5の製造工程で一体加工したりと、製作方法はどのような方法でも良い。
ここでは、ベルトエンコーダセンサ15は等間隔のスリットを備えた反射式の光学センサを想定しているが、エンコーダパターン16からベルト表面位置を正確に検出できるセンサであれば良い。例えば、CCDカメラ等を使用し、画像処理によって表面位置を検出するものでも良い。また、ドップラー方式やベルト表面の凹凸から画像処理によって表面位置を検出できるセンサ方式であれば、エンコーダパターン16を無くすことも可能となる。
中間転写ベルト5の他の搬送速度検出器として、ロータリーエンコーダ方式がある。複数の張架ローラの1つである従動ローラ11の回転軸に設けた回転検出器である。従動ローラ11は中間転写ベルト5の無端移動に伴って従動回転するローラで、中間転写ベルト5の搬送速度を検出することができる。
中間転写ベルト5の周方向における全領域のうち、従動ローラ11に対する掛け回し位置を通過してから、駆動ローラ10に対する掛け回し位置に進入する前の箇所が、M,C,Y,K用の感光体と当接してM,C,Y,K用の一次転写ニップを形成する。中間転写ベルト5におけるM,C,Y,K用の一次転写ニップの形成箇所に対しては、ベルト裏面側から転写ローラがそれぞれ当接している。これら転写ローラにそれぞれ電源によって転写バイアスが印加されることで、各色の一次転写ニップにおいてベルトと感光体との間に転写電界が形成される。
一次転写部にてカラー画像が形成されるため、この部分でのベルト搬送速度を検出して制御するのが良い。そこで、従動ローラ11にロータリーエンコーダを設置するか、従動ローラ11と駆動ローラ10の間にベルトエンコーダセンサ15を設置するのが望ましい。
また、図中で符号12が付されている張架ローラは、テンションローラである。テンションローラ12はベルトループの外側からベルトに押し当てられ、一定のベルト張力を発生させるものである。テンションローラ12によって生じるベルト張力によって、中間転写ベルト5は各張架ローラの表面に当接して、中間転写ベルト5が周方向に搬送される。特に、駆動ローラ10の表面と中間転写ベルト5との当接力は、駆動ローラ10のベルト搬送摩擦力と相関があるために重要で、中間転写ベルト5搬送するために必要な搬送摩擦力が確保できるようにテンションローラ12の押し当て力を設定する。
また、図中で符号13が付されている張架ローラは、二次転写対向ローラである。なお、ベルトループの外側においては、二次転写対向ローラ13との対向位置で中間転写ベルト5のおもて面に当接する二次転写ローラ7が配設されている。そして、二次転写ローラ7と中間転写ベルト5のおもて面に電荷を付与することで、当該おもて面に用紙を吸着させる。
また、ベルトループ外側にて二次転写ローラ7のベルト搬送方向下流に配設されたベルトクリーニング装置14がベルトに当接している。ベルトクリーニング装置14は、ベルトのおもて面に付着しているトナー等の異物を、トナーと自らとの電位差によってベルト表面からトナーを回収する。
モータ制御部20では、中間転写ベルト5の搬送速度を一定とするために、中間転写駆動モータ17をフィードバック制御する。中間転写ベルト5の搬送速度情報となるセンサ出力21と駆動ローラ10の回転情報となるセンサ出力22を基に中間転写駆動モータ駆動制御信号23を出力する。また同時に、二次転写ローラ7の当接や二次転写部を通過する用紙の影響による中間転写ベルト5の搬送速度変動を抑制するために、二次転写駆動モータをフィードバック制御する。中間転写ベルト5の搬送速度情報であるセンサ出力21と駆動ローラ10の回転情報となるセンサ出力22を基に二次転写駆動モータの二次転写駆動モータ制御信号24を出力する。
次に、二次転写ローラ7の駆動機構について説明する。図4は、本実施形態の画像形成装置で採用した二次転写ローラ7の駆動機構を示す図である。駆動ローラ10を回転駆動させる中間転写駆動モータ17とは別に、二次転写ローラ7を回転駆動させる二次転写駆動モータ42が設けられている。そして、モータ制御部20(図5参照)から送信される二次転写駆動モータ制御信号24によって、二次転写駆動モータ42を回転させたり停止させたりと回転が制御される。二次転写駆動モータ42としては、中間転写駆動モータ17と同じく、ブラシ付きDCモータやブラシレスDCモータを用いることができる。
二次転写駆動モータ42の回転速度は、二次転写駆動モータ42の回転軸にある小径歯車42aと二次転写ローラ7の回転軸にある大径歯車7aとで構成される減速機構により減速される。そして、減速機構に連結された二次転写ローラ7の図中反時計回り方向の回転により、二次転写部に搬送された用紙を搬送する。
二次転写ローラ7の対向側には、中間転写ベルト5を支持している二次転写対向ローラ13があり、二次転写ローラ7は、中間転写ベルト5を挟んで二次転写対向ローラ13に当接されている。このような二次転写ローラ7の当接は、スプリングによって行われる。また、カム機構によって二次転写ローラ7は、前記スプリングの付勢力に抗して中間転写ベルト5から離間可能である。そして、前記スプリングと前記カム機構とによって構成される接離機構により図中矢印方向に二次転写ローラ7が移動することで、二次転写部での中間転写ベルト5(二次転写対向ローラ13)に対する二次転写ローラ7の当接状態と離間状態とが切り替えられる。また、中間転写ベルト5に対して二次転写ローラ7を離間させることにより、用紙搬送ジャム時のメンテナンスなどが可能となる。
二次転写部の転写性を向上させるために、二次転写ローラ7の表面部に弾性層を設けている。これは、ニップ領域を広げたり、用紙の表面粗さに追従したりして、転写ローラが当接する。二次転写ローラ7の例としては、低慣性薄肉金属パイプを中心に、シリコンゴム等の低硬度ゴム材料ローラ部(弾性ゴム層)を設け、その表層に塗布されるウレタンコーティング層から構成される。近年の画像形成装置で採用される二次転写ローラ7では、導電性ゴムローラ部はゴム硬度40[°](ゴム硬度Aスケール)以下の加硫ゴムまたはシリコン系ゴムを下層に構成し、その表層には粘性を無効とするウレタンコーティング層を薄層として設けている。これにより、導電性ゴムローラ部の当接変形により、ニップ領域を拡げ、且つ、適切な転写必要圧力を確保する構造としている。一般に発泡ゴム構造以外の方法で40[°]以下の低硬度を実現しようとすると、加硫ゴムの場合は可塑剤の添加により粘性が増加する。また、シリコンゴムの場合も高粘性になる。その結果、転写ベルト接触部での粘着、或いは用紙接触部との粘着による両移動体の移動不良が生じる。これを回避するために、上述した表層に塗布されるウレタンコーティングが有効である。
従来の二次転写駆動モータの駆動制御手法は、定速性に優れたステッピングモータを採用してモータ自身の回転を一定に駆動するか、ブラシレスDCモータを採用してモータ軸の回転をFG信号により検出しモータ軸回転速度を一定に駆動する手法であった。中間転写駆動モータ17は、先に説明した中間転写ベルト駆動制御により、中間転写ベルト5を所定搬送に駆動制御される。一方、二次転写駆動モータ42は、モータ軸または二次転写ローラ軸を一定とするように駆動される。この時、二次転写ローラ7の変形量が当初の設計値から変化すると二次転写ローラ表面速度が中間転写ベルト搬送速度と異なり、二次転写ベルトの搬送に影響を与えてしまう。
近年、二次転写部における中間転写ベルト5から用紙への転写性向上のために、二次転写ローラ7はゴム硬度40[°]程度の変形しやすい、表面硬度の低いローラ部材を採用している。そのため、二次転写ローラ径の公差、接触圧力変化や、環境、経時によるローラ形状の変化量は大きく、二次転写ローラ7の表面速度の偏差(変動)が深刻となり、二次転写ローラ表面速度と中間転写ベルト搬送速度との速度差に変動が生じやすい。また、二次転写ローラ表層にウレタンコーティングをしているが、ニップ領域の広がりによる転写ベルトとの摩擦力が増加しており、速度差が中間転写ベルト5へ与える影響が大きくなっている。
近年、様々な用紙への対応要求が高まり、搬送する用紙の厚み幅が増加している。用紙の厚みにより二次転写ローラ7の変形量も変化するため、速度差の変動は更に大きくなる。また、用紙の種類、特に表面コート紙や表面の紙繊維の荒さが特徴の和紙などの搬送により、転写ベルトとの摩擦力が大きく変動し、速度差が中間転写ベルト5へ与える影響が更に大きくなっている。
中間転写ベルト5の表面速度に対する二次転写ローラ7の表面速度は、中間転写ベルト駆動制御性能へ影響するだけでなく、転写画像にも大きく影響する。中間転写ベルト5の表面速度に対して二次転写ローラ7の表面速度が速いと、中間転写ベルト5から用紙に転写された画像は引き伸ばされ画像長が長くなる。逆に、中間転写ベルト5の表面速度に対して二次転写ローラ7の表面速度が遅いと、中間転写ベルト5から用紙に転写された画像は縮まり画像長が短くなる。例えば、A3サイズの用紙上に長さ400[mm]の画像を転写する際に、中間転写ベルト5の表面速度に対して二次転写ローラ7の表面速度が0.1[%]速いと、中間転写ベルト5から用紙に転写された画像は0.4[mm]長くなる。このような画像長の変化は、用紙の表裏転写画像の位置精度が要求される印刷物や、画像枠が既定されている印刷物では大きな問題となる。
図5は、本実施形態に係る中間転写装置の中間転写駆動モータ17、及び二次転写駆動モータ42のモータ制御部20を中心にしたブロック図である。図5において、モータ制御部20は、制御CPU25を内蔵している。モータ制御部20は、画像形成装置全体を制御するメイン制御部44(記憶手段であるメモリ43、設定手段を含む。)からのモータ指令値を受け、中間転写駆動モータ17の回転速度を制御(回転体当接装置における第1の制御手段に相当する。)と、二次転写駆動モータ42の回転速度を制御する(回転体当接装置における第2の制御手段に相当する)。
また、モータ制御部20において、制御CPU25では後述する各種情報を収集し、各モータへの制御出力を演算してPWM(パルス幅変調信号)として出力する。前記各種情報としては、次のものが挙げられる。すなわち、エンコーダ18やベルトエンコーダセンサ15や二次転写ローラエンコーダ26や二次転写駆動モータエンコーダ27からの回転速度情報、及び、中間転写駆動モータ17や二次転写駆動モータ42の駆動電流値などである。
プリドライバ350,450では、モータの回転角をホール素子信号により認識して、PWM信号をモータ三相出力信号に変換して、FET360,460を介してモータを駆動する。これによって、各モータの指示値である目標速度信号に基づき中間転写駆動モータ17及び二次転写駆動モータ42の回転速度が目標となるように制御する。PWM信号によってモータの駆動電流は算出することができるが、プリドライバを含むモータ駆動回路の変動や応答性の影響を受けて誤差が発生してしまう。そこで、より高精度にモータの駆動電流を把握するために、FETの電流を計測して駆動電流を把握してもよい。
さらに、制御CPU25は、必要に応じて、メモリ43(回転体当接装置における記憶手段に相当する。)に収集データや演算データを格納したり、メイン制御部44に中間転写装置の異常通知などの情報を通知したりする。メイン制御部44は、他のモータによる二次転写ローラ7の当接動作情報を取得する。また、メイン制御部44は操作部45と接続されており、オペレータが操作部45からメイン制御部44を介してモータ制御部20に指示を出し制御することもできる。
図6は、二次転写ローラ7の当接状態と干渉トルクの関係を示す図である。図6の横軸は、二次転写ローラ7の速度設定値であり、標準設定値を「0」としてパーセント表示とした。なお、標準設定値とは、設計値から二次転写ローラ7の当接状態におけるローラ表面速度が中間転写ベルト表面速度と一致すると想定された値である。実際には、ローラ公差、接触圧変動、環境、経時変化などで、標準設定値通りの表面速度とはならない。図6の縦軸は、二次転写ローラ7と中間転写ベルト5それぞれの表面での搬送力である。これは、二次転写ローラ7や中間転写ベルト5の駆動トルク[Nm]を、ローラ径などの設計値を基に表面の搬送力[N]に換算した数値である。二次転写ローラ7と中間転写ベルト5それぞれのトルクを、グラフの同じ軸で表現できるため便宜上、換算している。
中間転写ベルト5の駆動トルクは、中間転写駆動モータ17のトルク推定値を、減速比や駆動ローラ径や中間転写ベルト5の厚みなどを考慮して、中間転写ベルト5の表面の搬送力に換算した。また、二次転写ローラ7の駆動トルクは、二次転写駆動モータ42のトルク推定値を、減速比や二次転写ローラ径などを考慮して、二次転写ローラ7の表面の搬送力に換算した。なお、トルク推定値とは、各駆動モータの電流値または各駆動モータへのPWM指示値などの駆動指令値と、実際の中間転写ベルト5や二次転写ローラ7の回転速度とを基に、メイン制御部44で算出された負荷トルク値である。各駆動モータが一定速度または既定速度で精度よく制御されている状態では、前記電流値や前記PWM指示値のみから負荷トルク値を算出することができる。
図6における干渉トルクについて説明する。二次転写ローラ7を中間転写ベルト5から離間した状態で、それぞれ一定速度のフィードバック制御で駆動する。そして、干渉トルクが全く発生しない状態における中間転写ベルト5と二次転写ローラ7のトルクをそれぞれ、中間転写単体搬送トルク、二次転写単体駆動トルクとして、基準「0」とする。中間転写ベルト5、二次転写ローラ7のそれぞれが一定速フィードバック制御したまま、二次転写ローラ7を当接させる。この時、二次転写ローラ7の表面速度は、公差などの要因で、中間転写ベルト表面速度と一致しない。
例えば、二次転写ローラ7が当接されて二次転写ローラ7の変形が大きく、表面速度が増加した場合、二次転写駆動トルクが増加し、中間転写ベルト5の搬送トルクは減少する。この両者のトルク推移の逆相関が干渉トルクである。また、図6は、この干渉トルク分を搬送力に換算して表示している。図6では、二次転写ローラ7の設定速度を変更した場合の中間転写ベルト搬送トルクと二次転写駆動トルクから求めた搬送力推移である。干渉トルク及び、換算した搬送力は、二次転写ローラ7と中間転写ベルト5で逆相関であることが分かる。このような干渉トルク特性(ここでは搬送力特性)から、ゼロクロスポイントの二次転写ローラ速度設定値が最適値となる。最適条件では、単体駆動時と当接駆動時で駆動トルクの変化がなく、中間転写ベルト駆動や用紙搬送において、より安定した駆動が実現できる。
図6では、3つの条件において、干渉トルク特性を計測した結果である。同じ装置でも条件によって、ゼロクロスポイントの最適値が異なることがわかる。なお、前記条件とは、温度環境、機内温度、二次転写ローラ接触圧及び搬送速度である。以下に、前記3つの条件(条件1、条件2、条件3)を示す。
・条件1:常温環境(25[℃])、機内温度30[℃]、二次転写ローラ接触圧100[%]、搬送速度200[mm/s]
・条件2:常温環境(25[℃])、機内温度30[℃]、二次転写ローラ接触圧80[%]、搬送速度400[mm/s]
・条件3:常温環境(35[℃])、機内温度45[℃]、二次転写ローラ接触圧100[%]、搬送速度200[mm/s]
これらの条件で最適値が異なるので、随時、干渉トルク特性を計測して、二次転写ローラ7の速度設定値の最適化を実施する必要がある。本実施形態では、このような干渉トルク特性から二次転写ローラ7の速度設定をメイン制御部44で導出する。
図7は、本実施形態の二次転写ローラ7の速度設定値を導出する過程を示す図である。図7に示した干渉トルク特性の計測については、中間転写ベルト5と二次転写ローラ7とを離間した状態でのトルク推定値を基準にしている。そして、中間転写ベルト5と二次転写ローラ7とを当接し、さらに設定速度の水準を幾つか設定して、各水準におけるトルク推定値が基準値から変動した量を、干渉トルクとしてプロットすると特性計測できる。しかし、実際の装置上のモータトルク推定値には、干渉トルク成分だけでなく、他の負荷トルク成分が多く含まれてしまう。負荷トルク成分とは、クリーニングブレードの接触負荷や感光体ドラム1の接触負荷、二次転写ローラ7、中間転写ベルト5の速度変動を補正するための加減速トルクなどが挙げられる。
これらの負荷トルク成分(ノイズ成分)を除去して干渉トルク成分を判断するには、フィルタ処理が必要となる。フィルタ処理するための計測データ(計測時間)が必要となる。また、特性が非線形性を有している場合が多く、計測ポイントが少ないと高精度なゼロクロスポイントが判断できない。計測ポイントを増やした干渉トルク特性の計測に多大な時間が必要となってしまう。装置個体差や稼動条件、環境、経時に対応するために、生産工程ではなく、オンマシンで、かつ、頻繁に干渉トルク特性を計測したい状況において、計測時間は非常に大きな問題となる。
このような干渉トルク特性の計測精度と時間短縮の課題に対して、有効な手段を提案する。ノイズである負荷トルク成分は、定常成分と感光体ドラム1や駆動ローラ10など回転周期で変化する周期変動成分が多くある。また、数分の計測時間では周期性が確認できない、徐々に増加または減少する変動成分がある。そこで、干渉トルク特性の計測では、干渉トルク成分を負荷トルク成分に無い周期変動にして計測する手法が有効である。例えば、感光体ドラム周期、各ローラ周期は、概ね、1〜40[Hz]である。特性計測時の水準変更である二次転写ローラ7の速度設定変更を正弦波状に変化させて、その正弦波周期を0.2[Hz]程度とする。この周期で変化するトルク推定値成分を干渉トルク成分として特性評価する。なお、中間転写ベルト5と二次転写ローラ7との当接状態で、中間転写ベルト5と二次転写ローラ7との相対速度(二次転写ローラ7の設定速度)を正弦波や三角波の周期波状に変化させればよい。
例えば、二次転写ローラ7の当接状態で、図7(a)に示すように約6秒周期の正弦波状に二次転写ローラ7の設定速度を変化させる。この時の干渉トルク特性を図7(b)に示す。二次転写ローラ7の設定速度変化に応じて、中間転写ベルト5と二次転写ローラ7の搬送力が同じ正弦波状に変化している。この特性データの抽出には、ローパスフィルタを用いて抽出が可能である。また、速度設定水準も多く、ゼロクロスポイントの判断が正確となる。図7(b)のゼロクロスポイント時刻から、図7(a)の同時刻の二次転写ローラ7の速度設定値を最適値とする。または、中間転写ベルト5と二次転写ローラ7の搬送力変動成分を正弦波近似して、その近似結果から、より正確にゼロクロスポイントを算出してもよい。
図1は、二次転写設定速度の最適値の導出に係る制御のフローチャートである。この制御は、画像形成装置の電源ON時に実行されるイニシャライズ動作で行うが、画像出力動作時にも継続して行うことが可能である。
図1に示すように、二次転写設定速度の導出制御をスタートすると、まず、自動調整実行時の環境情報を、二次転写ローラ近傍に設けた温湿度検知センサ50によって取得する(STEP1)。次に、二次転写ローラ7を中間転写ベルト5から離間する動作を行い、画像形成時の基準の速度指令値で中間転写ベルト5の駆動制御を行い、また、既定速度で二次転写ローラ7の駆動制御を行う(STEP2)。次に、二次転写ローラ7と中間転写ベルト5とが離間状態での二次転写ローラ速度と中間転写ベルト5の駆動搬送力推移データとを取得する。搬送力推移データに対して必要に応じてローパスフィルタ処理を行う。この搬送力の値を単体駆動時の基準搬送力(データ1)とする(STEP3)。その後、二次転写ローラ7と中間転写ベルト5とを当接する当接動作を行う(STEP4)。そして、二次転写ローラ7の設定速度が正弦波のような周期状となるように二次転写駆動モータ42をスイープ駆動する(STEP5)。「STEP5」に記した駆動時における二次転写ローラ速度と中間転写ベルト5の駆動搬送力推移データ(データ2)とを取得する。搬送力推移データに対して必要に応じてローパスフィルタ処理を行う(STEP6)。そして、データ1とデータ2との差分が0となるポイントでの二次転写ローラ7の速度を導出し、その速度を修正前最適速度とする(STEP7)。「STEP5」から「STEP7」の処理を、N回実施したか判定する(STEP8)。N回実施していなければ(STEP8でNO)、「STEP5」から「STEP7」の処理を実施する。一方、N回実施していれば(STEP8でYES)、「STEP1」で取得した環境情報に対応する二次転写ローラ速度補正量を、補正データベースより取得する(STEP9)。なお、前記「補正データベース」については後述する。「STEP7」で算出した修正前最適速度に対して、「STEP9」で算出した二次転写ローラ速度補正量を差分修正して、最適速度を導出し(STEP10)、処理を終了する。
ここで、図1の少なくとも「STEP2」から「STEP8」までの処理で、温湿度検知センサ50などにより温湿度環境を検知することなく温湿度環境に応じた二次転写ローラ7の最適速度を求めることはできる。ところが、二次転写ローラ7と中間転写ベルト5との接離動作や、「STEP5」の処理で実施される二次転写駆動モータのスイープ駆動や、「STEP8」の繰り返し処理などで、時間を費やすことになる。そのため、「STEP2」から「STEP8」までの処理を温湿度環境の影響を抑えるために所定のタイミングごとで頻繁に行うと、画像形成装置のダウンタイムが増えてしまい生産性が悪化してしまう。
一方で、温湿度検知センサ50などにより温湿度環境を検知して温湿度環境に応じた二次転写ローラ7の最適速度を求めると、二次転写ローラ7と中間転写ベルト5との接離動作は必要ない。そのため、所定のタイミングごとに頻繁に行っても、画像形成装置のダウンタイムが増えて生産性が悪化してしまうことはない。
しかしながら、二次転写ローラ表面速度は、温湿度環境以外にも製造時のローラ寸法誤差や経時使用によるローラ変形などによっても変化するため、単に温湿度環境を検知して二次転写ローラ速度を補正しても、最適な速度にならないおそれがある。
これに対し、前述したような二次転写ローラ7と中間転写ベルト5との接離動作を伴う二次転写ローラ速度の自動調整制御では、温湿度環境だけではなく温湿度環境以外の要因も考慮された二次転写ローラ7の最適速度が求まる。そのため、その求まった最適速度に対して、所定のタイミングごとに温湿度環境に応じた補正量で二次転写ローラ速度を補正する。これにより、画像形成装置のダウンタイムを低減させつつ、温湿度環境及び温湿度環境以外の要因も考慮された二次転写ローラ7の最適速度を設定することが可能となると考えられる。
しかしながら、実際には、温湿度環境に応じた補正量が、ある基準となる環境(標準環境)に対して定められている。一方で、二次転写ローラ7と中間転写ベルト5との接離動作を伴う二次転写ローラ速度の自動調整制御が、基準となる環境(標準環境)以外の環境で行われることがある。そのため、所定のタイミングごとで、温湿度検知センサ50などにより検知した温湿度環境に応じて二次転写ローラ7の最適速度の補正を行った場合に、適切な補正量で補正することができず、二次転写ローラ7の最適速度が設定できないといった問題が生じてしまう。
そこで、本実施形態においては、二次転写ローラ7と中間転写ベルト5との接離動作を伴う二次転写ローラ速度の自動調整制御で求めた二次転写ローラ7の最適速度を、一旦、温湿度環境に応じた補正量で補正して標準環境での最適速度を導出する。そして、その後、所定のタイミングごとに、温湿度検知センサ50などにより検知した温湿度環境に応じて、標準環境に対して定められた各温湿度環境ごとの補正量で、前記導出した標準環境での最適速度を補正する。これにより、適切な補正量で補正された温湿度環境に応じた最適速度で、二次転写ローラ7を駆動させることができる。よって、画像形成装置のダウンタイムを低減させつつ、温湿度環境及び温湿度環境以外の要因も考慮された二次転写ローラ7の最適速度を設定することが可能となる。
このように、本実施形態では、二次転写ローラ7と中間転写ベルト5との接離動作を伴う、最終的に標準環境での最適速度を導出する制御とは別に、温湿度環境に基づき、導出した標準環境での最適速度に対して補正を行う制御とを実施している。なお、二次転写ローラ7と中間転写ベルト5との接離動作を伴う、二次転写ローラ速度の自動調整制御は、経時使用により劣化した二次転写ローラ7や二次転写ユニットを、新品のものに交換した場合などに実施する。また、温湿度検知センサ50などによる温湿度検知は、電源ON時は常時行っている。温湿度検知センサ50などにより検知した温湿度環境に基づき、導出した標準環境での最適速度に対して補正して駆動するタイミングは、例えば、次の通りである。すなわち、二次転写ローラ駆動モータON時と、用紙が二次転写ローラ7より手前の所定距離の位置に到達した時とに、毎回、温湿度環境情報を取得し、それに応じた補正量で駆動する。
ここで、「STEP1」の処理で実施される環境情報取得について説明する。環境情報の取得方法については、以下のものが挙げられる。まず、一つ目としては、二次転写ローラ7の直径が温湿度環境変動の影響を受けて膨張または収縮するため、温湿度環境情報を取得するセンサ類(温湿度検知センサ50など)を、二次転写ローラ近傍に設置する。次に、二つ目として、二次転写ローラ近傍の温度に変化を与える大きな要因の一つとして、定着装置8に設けられた定着ヒータ8cからの熱がある。そのため、定着ヒータ8cがONされて発熱が開始されてから所定時間が経過すると、二次転写ローラ近傍の温度が変化する。よって、定着ヒータ8cの稼働情報を環境情報を取得するための間接的手段とすることができる。
図8は、定着ヒータ8cの稼働情報を環境情報として取得して実施される、二次転写設定速度の最適値の導出に係る制御のフローチャートである。
図8に示すように、二次転写設定速度の導出制御をスタートすると、まず、定着ヒータ8cをONにしてからの経過時間Tを取得する(STEP1)。次に、二次転写ローラ7を中間転写ベルト5から離間する動作を行い、画像形成時の基準の速度指令値で中間転写ベルト5の駆動制御を行い、また、既定速度で二次転写ローラ7の駆動制御を行う(STEP2)。次に、二次転写ローラ7と中間転写ベルト5とが離間状態での二次転写ローラ速度と中間転写ベルト5の駆動搬送力推移データとを取得する。搬送力推移データに対して必要に応じてローパスフィルタ処理を行う。この搬送力の値を単体駆動時の基準搬送力(データ1)とする(STEP3)。その後、二次転写ローラ7と中間転写ベルト5とを当接する当接動作を行う(STEP4)。そして、二次転写ローラ7の設定速度が正弦波のような周期状となるように二次転写駆動モータ42をスイープ駆動する(STEP5)。「STEP5」に記した駆動時における二次転写ローラ速度と中間転写ベルト5の駆動搬送力推移データ(データ2)とを取得する。搬送力推移データに対して必要に応じてローパスフィルタ処理を行う(STEP6)。そして、データ1とデータ2との差分が0となるポイントでの二次転写ローラ7の速度を導出し、その速度を修正前最適速度とする(STEP7)。「STEP5」から「STEP7」の処理を、N回実施したか判定する(STEP8)。N回実施していなければ(STEP8でNO)、「STEP5」から「STEP7」の処理を実施する。一方、N回実施していれば(STEP8でYES)、「STEP1」で取得した経過時間Tが所定時間T1を越えているかを判断する(STEP9)。経過時間Tが所定時間T1を超えていたら(STEP9でYES)、二次転写ローラ7が膨張したと判断して、補正量をP[%]とする(STEP10)。そして、「STEP7」で算出した修正前最適速度に対して補正量Pだけ差分修正して、最適速度を導出し(STEP12)、処理を終了する。一方、経過時間Tが所定時間T1を超えていなければ(STEP9でNO)、二次転写ローラ7が膨張していないと判断して、補正量を0[%]とする(STEP11)。そして、「STEP7」で算出した修正前最適速度に対して補正量0だけ差分修正して、最適速度を導出し(STEP12)、処理を終了する。
ここで、「STEP9」で記載した「補正データベース」について説明する。二次転写ローラ7の外径は、温湿度環境により膨張または収縮するので、「STEP7」で得られる修正前最適速度は温湿度環境によって変動する。そのため、各温湿度環境での変動量を、補正データベースとして所有しておくことで、「STEP10」で実施される修正により、常に標準環境での最適速度を導出することができる。
補正データベースとしては、標準環境を基準にした各温湿度環境の二次転写ローラ速度補正量をデータベースとする。例えば、表1のように構築する。表1では、20[℃]50[%]RHを標準環境として、各温湿度環境に対応した二次転写ローラ速度補正量データをもつ。なお、二次転写ローラ7の湿度による膨張の影響が小さい場合は、各温度に応じた補正量のデータベースであっても構わない。また、表1のようなデータベースは予め用意しているが、画像形成装置でデータベースを構築しても構わない。例えば、定着ヒータ8cなどの熱源にて二次転写ローラ近傍の温度を任意の値に設定する。その状態で「STEP2」から「STEP8」の処理を実施することにより修正前最適速度を算出して、標準環境での修正前最適速度と差を取ることでデータベースを構築することができる。なお、上述の議論は、二次転写ローラ7と中間転写ベルト5とを入れ替えても成立する。
Figure 0006691687
次に、印刷動作時の二次転写ローラ速度調整について説明する。上述した二次転写設定速度の最適値の導出に係る制御を実施して求めた二次転写ローラ7の最適速度をVoとする。この最適速度Voは、二次転写ローラ7と中間転写ベルト5との間に用紙が介在していないときにおける、二次転写ローラ7及び中間転写ベルト5の表面線速が釣り合う速度である。一方、実際の印刷動作時は、二次転写ローラ7と中間転写ベルト5との間に用紙が介在して、用紙厚さ分だけ二次転写ローラ7を中心とした回転半径が増加する。そのため、用紙の中間転写ベルト5側の表面速度は、中間転写ベルト表面速度に対して速くなる。その場合、用紙の中間転写ベルト5側の表面速度と、中間転写ベルト5の表面速度とで速度変動が生じる。したがって、印刷動作時は、用紙厚さに応じて最適速度からさらに補正した速度で二次転写ローラ7を駆動する必要がある、この速度を印刷時最適速度Vcとすると、印刷時最適速度Vcは数1で求めることができる。なお、数1中の「r」は二次転写ローラ半径であり、「t」は用紙厚さである。
Figure 0006691687
二次転写ローラ7を印刷時最適速度Vcで駆動することで、用紙の中間転写ベルト5側の表面速度と、中間転写ベルト5の表面速度との速度変動を抑制して印刷動作を実施することができる。
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様A)
複数の張架部材によって回転可能に張架された無端状の中間転写ベルト5などのベルト像担持体と、前記複数の張架部材の1つであり、前記ベルト像担持体を回転駆動させる駆動ローラ10などの駆動ローラと、前記駆動ローラを回転駆動させる中間転写駆動モータ17などの第一駆動モータと、前記ベルト像担持体の回転速度を検出するベルトエンコーダセンサ15などの第一速度検出手段と、前記ベルト像担持体の外周面に当接して転写ニップを形成する回転可能な二次転写ローラ7などの転写ローラと、前記転写ローラを回転駆動させる二次転写駆動モータ42などの第二駆動モータと、前記転写ローラの回転速度を検出する二次転写ローラエンコーダ26などの第二速度検出手段とを備え、前記ベルト像担持体の外周面に担持した画像を転写ニップ内に挟み込んだ転写材へ転写する転写装置において、前記ベルト像担持体と前記転写ローラとを接離させる接離機構などの接離手段と、前記接離手段によって前記ベルト像担持体と前記転写ローラとを離間させた第一状態での前記第一駆動モータの駆動トルクに関する値及び前記第二駆動モータの駆動トルクに関する値に対しての、前記接離手段によって前記ベルト像担持体と前記転写ローラとを接触させた第二状態での前記第一駆動モータの駆動トルクに関する値及び前記第二駆動モータの駆動トルクに関する値の変化量が、予め設定された所定変化量よりも少なくなるような、前記ベルト像担持体と前記転写ローラとの相対速度を求めて設定するメイン制御部44などの相対速度設定手段と、環境情報を取得するための温湿度検知センサ50などの環境情報取得手段と、前記環境情報取得手段が取得した環境情報に応じて前記相対速度を補正し補正速度とするメイン制御部44などの速度補正手段と、前記補正速度で前記ベルト像担持体または前記転写ローラを回転させるように、前記第一駆動モータと前記第二駆動モータとの少なくとも一方を制御するモータ制御部20などの制御手段とを有する。
(態様A)においては、まずベルト像担持体と転写ローラとを離間させた第一状態で、第一駆動モータの駆動トルクに関する値及び第二駆動モータの駆動トルクに関する値を求める。次に、ベルト像担持体と転写ローラとを接触させた第二状態で、第一駆動モータの駆動トルクに関する値及び第二駆動モータの駆動トルクに関する値を求める。そして、第一状態での第一駆動モータ及び第二駆動モータの駆動トルクに関する値に対する、第二状態での第一駆動モータ及び第二駆動モータの駆動トルクに関する値の変化量が、所定変化量よりも少なくなるような相対速度を、相対速度設定手段で求める。このように求めた前記相対速度が得られる転写ローラの回転速度は、少なくとも経時使用などによるローラ径の変化に起因した転写ローラの表面速度変動が抑えられたものである。一方、前記相対速度は、環境に応じて転写ローラが膨張または収縮することによりローラ径が変化することで変動する。そのため、環境情報取得手段が取得した環境情報に応じた補正量で、前記相対速度を補正し補正速度とする。これにより、その補正速度でベルト像担持体または転写ローラを回転させることで、環境によらず第二状態での転写ローラによるベルト像担持体の搬送力の影響を低減でき、ベルト像担持体の移動速度を第一駆動モータによって高精度に制御することができる。
(態様B)
(態様A)において、前記環境情報取得手段は、前記転写ローラ近傍に設置されている。これによれば、上記実施形態について説明したように、転写ローラが受ける環境変動の影響を精度良く検知することができる。
(態様C)
(態様A)または(態様B)において、前記環境情報は、温湿度情報である。これによれば、上記実施形態について説明したように、転写ローラの径が環境によって変動する主要因は温湿度であるため、温湿度を検知することで転写ローラの径変動に対応することができる。
(態様D)
(態様A)において、前記環境情報は、転写材に画像を定着させる定着装置8などの定着手段が有する定着ヒータ8cなどの加熱源のON/OFF情報である。これによれば、上記実施形態について説明したように、環境情報を直接的に検知するための温湿度検知センサなどが不要なため、その分、低コスト化を図ることが可能となる。
(態様E)
(態様A)乃至(態様D)のいずれかにおいて、前記転写ローラの材質における熱膨張係数と湿度膨張係数との少なくとも一方と、前記環境情報とから計算して構築される補正データベースを有する。これによれば、上記実施形態について説明したように、どの温湿度環境で調整動作を実施しても、標準環境の最適速度に補正することが可能となる。
(態様F)
(態様A)乃至(態様D)のいずれかにおいて、各環境にて前記相対速度設定手段と前記速度補正手段とから得られる回転速度によって構築される補正データベースを有する。これによれば、上記実施形態について説明したように、補正データベースを前もって準備する必要が無く、速度調整手段によって各環境で取得していくため、前もってデータベースを構築する工数を削減することができる。
(態様G)
(態様A)乃至(態様F)において、前記相対速度設定手段と前記速度補正手段とによって得られた回転速度に対して、前記転写材の厚さに応じて回転速度を修正する。これによれば、上記実施形態について説明したように、転写材のベルト像担持体側の表面速度と、ベルト像担持体の表面速度との速度変動を抑制することができる。
(態様H)
トナー像を形成するトナー像形成手段と、前記トナー像形成手段により形成されたトナー像を担持するベルト像担持体と、前記ベルト像担持体から転写材にトナー像を転写する転写手段とを備えた画像形成装置において、前記転写手段として、(態様A)乃至(態様G)のいずれか一記載の転写装置を用いた。これによれば、上記実施形態について説明したように、画像形成装置のダウンタイムを低減させ印刷物の生産性の低下を抑えつつ、温湿度環境に応じた最適な速度で転写ローラを駆動することができる。
1 感光体ドラム
2 帯電器
3 除電ランプ
4 クリーニング装置
5 中間転写ベルト
6 一次転写ローラ
7 二次転写ローラ
7a 大径歯車
8 定着装置
8a 加熱ローラ
8b 加圧ローラ
8c 定着ヒータ
9 現像装置
10 駆動ローラ
10a 大径歯車
11 従動ローラ
12 テンションローラ
13 二次転写対向ローラ
14 ベルトクリーニング装置
15 ベルトエンコーダセンサ
16 エンコーダパターン
17 中間転写駆動モータ
17a 小径歯車
18 エンコーダ
20 モータ制御部
21 センサ出力
22 センサ出力
23 中間転写駆動モータ駆動制御信号
24 二次転写駆動モータ制御信号
25 制御CPU
26 二次転写ローラエンコーダ
27 二次転写駆動モータエンコーダ
30 レジストローラ対
42 二次転写駆動モータ
42a 小径歯車
43 メモリ
44 メイン制御部
45 操作部
50 温湿度検知センサ
特開2013−242380号公報

Claims (7)

  1. 複数の張架部材によって回転可能に張架された無端状のベルト像担持体と、
    前記複数の張架部材の1つであり、前記ベルト像担持体を回転駆動させる駆動ローラと、
    前記駆動ローラを回転駆動させる第一駆動モータと
    前記ベルト像担持体の外周面に当接して転写ニップを形成する回転可能な転写ローラと、
    前記転写ローラを回転駆動させる第二駆動モータとを備え、
    前記ベルト像担持体の外周面に担持した画像を転写ニップ内に挟み込んだ転写材へ転写する転写装置において、
    前記ベルト像担持体と前記転写ローラとを接離させる接離手段と、
    前記接離手段によって前記ベルト像担持体と前記転写ローラとを離間させた第一状態での前記第一駆動モータの駆動トルクに関する値に対しての、前記接離手段によって前記ベルト像担持体と前記転写ローラとを接触させた第二状態での前記第一駆動モータの駆動トルクに関する値の変化量と、前記第一状態での前記第二駆動モータの駆動トルクに関する値に対しての、前記第二状態での前記第二駆動モータの駆動トルクに関する値の変化量とが、予め設定された所定変化量よりも少なくなるような、前記ベルト像担持体と前記転写ローラとの相対速度を求める相対速度設定手段と、
    環境情報を取得するための環境情報取得手段と、
    前記環境情報取得手段が取得した環境情報に応じて前記相対速度設定手段で求めた前記相対速度を補正し、標準環境で最適な前記相対速度を求める標準環境最適相対速度導出手段と、
    前記環境情報取得手段が取得した環境情報に応じて前記標準環境で最適な前記相対速度を補正し補正速度とする速度補正手段と、
    前記補正速度で前記ベルト像担持体または前記転写ローラを回転させるように、前記第一駆動モータと前記第二駆動モータとの少なくとも一方を制御する制御手段とを有することを特徴とする転写装置。
  2. 請求項1に記載の転写装置において、
    前記環境情報取得手段は、前記転写ローラ近傍に設置されていることを特徴とする転写装置。
  3. 請求項1または2に記載の転写装置において、
    前記環境情報は、温湿度情報であることを特徴とする転写装置。
  4. 請求項1に記載の転写装置において、
    前記環境情報は、転写材に画像を定着させる定着手段が有する加熱源のON/OFF情報であることを特徴とする転写装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一記載の転写装置において、
    標準環境最適相対速度導出手段で用いる、前記環境情報に応じた前記相対速度の補正量の補正データベースを有することを特徴とする転写装置
  6. 求項1乃至のいずれか一記載の転写装置において、
    前記相対速度設定手段と前記速度補正手段とによって得られた回転速度に対して、前記転写材の厚さに応じて回転速度を修正することを特徴とする転写装置。
  7. トナー像を形成するトナー像形成手段と、
    前記トナー像形成手段により形成されたトナー像を担持するベルト像担持体と、
    前記ベルト像担持体から転写材にトナー像を転写する転写手段とを備えた画像形成装置において、
    前記転写手段として、請求項1乃至のいずれか一記載の転写装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
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