以下、発明を実施するための形態について説明するが、本発明は、以下の形態に限定されることはない。
(1)第1の形態
図1は、第1の形態におけるX線CT装置の外観図である。
図1に示すように、X線CT装置1は、ガントリ(gantry)2、テーブル(table)4、及び操作コンソール(console)6を備えている。
ガントリ2及びテーブル4は、スキャンルームR1に設置されている。操作コンソール6は、スキャンルームR1とは異なる操作ルームR2に設置されている。
ガントリ2の前面には、センサ部19および表示部18が備えられている。センサ部19および表示部18については後述する。
図2は、第1の形態に係るX線CT装置1のハードウェアの構成を概略的に示す図である。
ガントリ2は、X線管21、アパーチャ(aperture)22、コリメータ装置(collimator device)23、X線検出器24、データ収集部(data acquisition system)25、回転部26、高電圧電源27、アパーチャ駆動装置28、回転駆動装置29、ガントリ・テーブル制御部30を有している。尚、図2では、ガントリ2の前面に設けられているセンサ部19および表示部18は図示省略されている。
X線管21、アパーチャ22、コリメータ装置23、X線検出器24、およびデータ収集部25は、回転部26に搭載されている。
X線管21及びX線検出器24は、被検体5が載置される撮影空間、すなわちガントリ2の空洞部Bを挟んで互いに対向して配置されている。
アパーチャ22は、X線管21と空洞部Bとの間に配置されている。アパーチャ22は、X線管21のX線焦点からX線検出器24に向けて放射されるX線をファンビーム(fan beam)やコーンビーム(cone beam)に成形する。
コリメータ装置23は、空洞部BとX線検出器24との間に配置されている。コリメータ装置23は、X線検出器24に入射する散乱線を除去する。
X線検出器24は、X線管21から放射される扇状のX線ビームの広がり方向および厚み方向に、2次元的に配列された複数のX線検出素子を有している。各X線検出素子は、空洞部Bに配された被検体5の透過X線をそれぞれ検出し、その強度に応じた電気信号を出力する。
データ収集部25は、X線検出器24の各X線検出素子から出力される電気信号を受信し、X線データに変換して収集する。
テーブル4は、クレードル(cradle)41および駆動装置42を有している。被検体5は、クレードル41の上に載置される。駆動装置42は、クレードル41がy方向およびz方向に移動することができるように、テーブル4およびクレードル41を駆動する。
高電圧電源27は、X線管21に高電圧及び電流を供給する。
アパーチャ駆動装置28はアパーチャ22を駆動しその開口を変形させる。
回転駆動装置29は回転部26を回転駆動する。
ガントリ・テーブル制御部30は、ガントリ2内の各装置・各部、および駆動装置42等を制御する。
また、ガントリ2は、テーブル4が設置されている側の面の上部に、表示部(以下、「ガントリ表示部」と呼ぶ)18とセンサ部19とを有している。
図3は、センサ部19およびガントリ表示部18の説明図である。図3の上側には、ガントリ2およびテーブル4の側面図が概略的に示されており、図3の下側には、ガントリ2およびテーブル4の上面図が概略的に示されている。
ガントリ表示部18は、タッチパネル(touch-panel)式のGUI(Graphical User Interface)を備えたディスプレイを有している。撮影技師50は、ガントリ表示部18上でタッチパネル操作を行うことにより、X線CT装置1に係る各種の操作や設定を行うことができる。また、ガントリ表示部18は、各種の設定画面、グラフ表示、画像などをディプレイ上に表示することができる。
センサ部19は、n×mの画素数を有しており、画像データおよび距離データを取得するように構成されている。nおよびmは、例えば、n=640、m=480である。センサ部19の各画素は、画像データを取得するための撮像部を有している。
撮像部は、例えば、RGB(Red Green Blue)の色情報を取得するためのCCD(Charge Coupled Device)や、モノクロのCCDである。撮像部は、テーブル4のクレードル41に載置された被検体5の画像データを出力する。
また、センサ部19の各画素は、上記の撮像部の他に、距離データを取得するための受光部が備えられている。受光部は、センサ部19に備えられた赤外線源から被検体5に向けて照射された赤外線の反射線を受光し、受光した反射線に基づいて、センサ部19と被検体5の表面内における各位置までの距離を求めるための距離データを出力する。センサ部19としては、例えば、パナソニック フォト・ライティング(Panasonic Photo & Lighting)社製のTOF方式のカメラなどを用いることができる。尚、赤外線の代わりに、超音波やレーザ光を用いて、距離データを取得するようにしてもよい。
図3では、テーブル4のガントリ2側の部分は視野領域RVに含まれるが、テーブル4のガントリ2とは反対側の部分は視野領域RVから外れるように、センサ部19の視野の範囲が規定されている。しかし、テーブル4の全体が視野領域RVに含まれるように、センサ部19の視野領域RVを設定してもよい。
ガントリ・テーブル制御部30は、必要に応じて、ガントリ表示部18やセンサ部19からの入力信号に基づいて、駆動装置42を制御する。
図2に戻って説明を続ける。
操作コンソール6は、撮影技師からの各種操作を受け付ける。操作コンソール6は、入力装置61、表示装置62、記憶装置63、及び演算処理装置64を有している。
なお、ここでは、被検体5の体軸方向をz方向とする。また、クレードル41の昇降方向をy方向、y方向およびz方向に直交する水平方向をx方向とする。
図4は、X線CT装置の機能ブロック図(block diagram)である。尚、実際には、X線CT装置は、多数の機能ブロックを有しているが、ここでは、第1の形態の説明に必要な機能ブロックのみが示されている。
第1の形態において、X線CT装置は、主な機能ブロックとして、画像生成部101、検出部102、表示制御部103、および計算部104を有している。
画像生成部101は、被検体5等の断面画像、3次元画像などの各種画像を生成する。画像生成部101は生成手段の一例である。
検出部102は、センサ部19により得られた距離データに基づいて被検体5の撮影部位を検出する。
表示制御部103は、ガントリ表示部18に画像や必要な情報などが表示されるようにガントリ表示部18を制御する。
計算部104は、被検体5の撮影部位をガントリ2の空洞部B内の所定位置に搬送するために必要なクレードル41のy方向(クレードル41の昇降方向)における移動量Δycおよびクレードル41のz方向における移動量Δzcを計算する。この計算方法については後述する。
各機能ブロックを実行させるためのプログラムは、操作コンソール6の記憶装置63に記憶させておくことができ、また、ガントリ2内の記憶部、およびテーブル4内の記憶部のうちの少なくともいずれか一つの記憶部に記憶させておくこともできる。ガントリ2、テーブル4、および操作コンソール6は、記憶装置又は記憶部に記憶されたプログラムを実行するためのコンピュータ(computer)としての役割を有しており、当該コンピュータは、記憶装置又は記憶部に記憶されたプログラムを実行することにより、各機能ブロックとして機能する。尚、プログラムの少なくとも一部を、操作コンソール6に外部接続された記憶部又は記憶媒体90(図2参照)に記憶させることも可能である。図4に示す機能の詳細は、X線CT装置における処理の流れを説明する際に併せて説明する。
第1の形態のCT装置1は、被検体5をガントリ2に載置させた後、被検体5がガントリ2の空洞部Bへと搬送される前に、撮影技師が、クレードル41と被検体5の撮影部位とのx方向における位置関係を確認することができるように構成されている。したがって、クレードル41に対する被検体5のx方向における位置がスキャンに適した位置からずれている場合、撮影技師は、被検体5をガントリ2の空洞部Bに搬送する前に、クレードル41に対する被検体5のx方向における位置を調整することができる。以下に、被検体5をスキャンするときのフローについて、図5を参照しながら説明する。
ステップS1では、図3に示すように、被検体5をテーブル4のクレードル41に載置させる。また、撮影技師は、被検体5のスキャン条件(例えば、撮影部位)を設定する。ここでは、撮影部位は頭部および頚部とするが、撮影部位は頭部および頚部に限定されることは無く、肩部、胸部、腹部、脚部などの他の部位を撮影部位としてもよい。
また、画像生成部101(図4参照)は、センサ部19から得られた画像データに基づいて、被検体5の俯瞰画像を生成する。表示制御部103(図4参照)は、画像生成部101により生成された画像がガントリ表示部18に表示されるように、ガントリ表示部18を制御する。図6は、ガントリ表示部18に表示された画像を概略的に示す図である。図6の上側には、ガントリおよびテーブルの正面図が示されており、図6の下側には、ガントリ表示部18の拡大図が示されている。
ステップS2では、撮影技師は、俯瞰画像に対する撮影部位の範囲が視覚的に認識できるように、撮影部位の範囲を表示するための命令を入力する。この命令が入力されると、検出部102(図4参照)は、撮影部位を検出するための処理を行う(図7参照)。
図7は、撮影部位の検出処理の説明図である。
検出部102は、センサ部19から得られた距離データに基づいて視野領域RV内における被検体5の体表面の三次元的な形状を表す三次元データを生成し、この三次元データから撮影部位を検出するための処理を実行する。ここでは、撮影部位として頭部および頚部が設定されているので、検出部102は、被検体5の頭部および頚部を検出するための処理を実行する。本形態では、三次元データの中から、形状に特徴があり特定しやすい部位(例えば、肩部)を基準部位として特定し、当該基準部位の位置に基づいて撮影部位の位置を検出する。基準部位の位置に基づいて撮影部位の位置を検出するため、本形態では、基準部位と各撮影部位との間の距離を表すルックアップテーブルが記憶部に記憶されている。例えば、撮影部位として(1)頭部および頚部を含む部位、(2)肩部、(3)胸部、(4)腹部、並びに(5)脚部が考えられる場合、ルックアップテーブルには、頭部および頚部を含む部位と基準部位との間の距離D1、肩部と基準部位との間の距離D2、胸部と基準部位との間の距離D3、腹部と基準部位との間の距離D4、および脚部と基準部位との間の距離D5が登録されている。ルックアップテーブルに登録されている各距離D1〜D5は、標準的な体格の人間を考慮した上で被検体5の撮影前に予め決められている固定値である。視野領域RVに基準部位が含まれている場合、検出部102は、センサ部19により得られた三次元データから基準部位を検出することができる。したがって、検出部102は、ルックアップテーブルから、基準部位と撮影部位との間の距離を検索することで、撮影部位の位置を検出することができる。
第1の形態では、肩部が基準部位であるとする。図7を参照すると、視野領域RVに、基準部位である肩部が含まれている。したがって、検出部102は、距離データに基づいて基準部位である肩部を検出することができる。図7では、肩部のz方向における位置が「zr」で示されている。肩部を検出した後、検出部102は、ルックアップテーブルの中から、撮影部位である頭部および頚部に対応する距離D1を認識し、肩部からz方向において距離D1だけ離れた位置zhを求める。
位置zhを求めた後、検出部102は、位置zhに基づいて、撮影部位の範囲RSを求める。以下、撮影部位の範囲RSの求め方について説明する。
検出部102は、三次元データに基づいて、頭部の頭頂部に対応する位置z1を求める。被検体5の頭頂部又はその近傍では三次元データのy座標の値が急激に変化するので、y座標の値が急激に変化する位置を検出することにより、頭部の頭頂部に対応する位置z1を求めることができる。また、検出部102は、位置zhからz方向のプラス側にΔznだけ離れた位置znを求める。Δznは、予め決められた固定値であり、例えば、10cm〜20cm程度の値である。
第1の形態では、検出部102は、位置z1と位置znとに挟まれた範囲を、撮影部位の範囲RSとして検出する。撮影部位の範囲RSを検出した後、ステップS3に進む。
ステップS3では、表示制御部103(図4参照)は、俯瞰画像に対して撮影部位の範囲RSが表示されるように、ガントリ表示部18を制御する。図8は、撮影部位の範囲RSが表示された後のガントリ表示部18を概略的に示す図である。図8の上側には、ガントリおよびテーブルの正面図が示されており、図8の下側には、ガントリ表示部18の拡大図が示されている。ガントリ表示部18に撮影部位の範囲RSが表示されているので、撮影技師は、撮影部位の範囲RSを視覚的に認識することができる。撮影部位の範囲RSを表示した後、ステップS4に進む。
ステップS4では、センサ部19により得られたデータに基づいて、クレードル41に対する撮影部位のx方向における位置を撮影技師が視覚的に認識することを支援するための支援画像が生成される。そして、ガントリ表示部18に、生成された支援画像が表示される。図9に、ガントリ表示部18に表示された支援画像SIの一例を概略的に示す。
以下、ステップS4において支援画像SIを生成し、表示する方法の一例について説明する。
ステップS4では、先ず、撮影部位の断面の情報を含む画像を生成する。
図10は、撮影部位の画像の生成方法の一例の説明図である。
図10の左側には、撮影部位をz方向に対して垂直に横切る面Sの斜視図が示されており、図10の右側には、面Sをz方向から見た図が示されている。
第1の形態では、画像生成部101は、センサ部19から得られた距離データに基づいて、撮影部位をz方向に対して垂直に横切る面Sを特定し、面Sにおける画像を、撮影部位の画像として生成する。撮影部位を横切る面Sのz方向における位置は、撮影部位の範囲RS内であれば、任意の位置に設定することができる。
ここでは、z=z0を横切る面Sにおける撮影部位の画像T1が生成される。z0は、撮影部位のz方向における範囲z1〜znの中間位置とする。撮影部位の画像T1を生成した後、図9に示すように、この画像T1を含む支援画像SIが表示される。
支援画像SIには、撮影部位の画像T1が含まれている。したがって、撮影技師は、支援画像SIを見るだけで、撮影部位の位置z0における断面の大まかな形状を視覚的に認識することができる。
また、第1の形態では、支援画像SIは、画像T1の他に、直線L1を含んでいる。直線L1は、x方向におけるクレードル41と撮影部位との位置関係を視覚的に認識しやすくするための指標として表示されるものである。図9では、直線L1は、クレードル41のx方向(幅方向)における中心位置を表している。したがって、撮影技師は、ガントリ表示部18を見ることによって、被検体5の撮影部位がクレードル41のx方向における中心位置に対してどの程度ずれているかを視覚的に認識することができる。
支援画像SIを表示した後、ステップS5に進む。
ステップS5では、撮影技師は、支援画像SIを参考にして、撮影部位の位置を調整する必要があるか否かを判定する。
図9の支援画像SIを参照すると、被検体5の断面の画像T1は、クレードル41の中心位置を表す直線L1によって略均等に二分される位置に表示されている。したがって、被検体5の撮影部位はクレードル41に対して所望の位置に載置されていると考えることができるので、撮影技師は、撮影部位の位置の調整は不要であると判定する。
一方、被検体5の撮影部位の位置が、クレードル41の右側(又は左側)に寄ってしまうことがある(図11参照)。図11では、被検体5の撮影部位は、クレードル41の右側に寄っている。この場合、ガントリ表示部18には、例えば、図12に示すような画像T1が表示される。
図12では、被検体5の撮影部位は、クレードル41のx方向における中心位置を表す直線L1に対して右側に寄っている。したがって、撮影技師は、ガントリ表示部18を見ると、被検体5の撮影部位は、クレードル41に対する所望の位置からずれていることが視認できる。この場合、撮影技師は、撮影部位の位置を調整する必要があると判定する。撮影部位の位置を調整する必要がある場合、ステップS6に進み、撮影技師は、図12に示す支援画像SIを見て、直線L1に対する画像T1のずれを確認し、被検体5の撮影部位が直線L1で略均等に二分されるように、被検体5の撮影部位の位置を調整する。
被検体5の撮影部位の位置が調整されている間も、センサ部19は、撮影部位の最新の位置に対応した画像データおよび距離データを出力する。そして、画像生成部101は、センサ部19から得られた距離データに基づいて、図10を参照しながら説明した方法で、撮影部位の位置z0における画像を生成する。そして、表示制御部103は、支援画像SIが表示されるようにガントリ表示部18を制御する。したがって、撮影技師は、ガントリ表示部18を見ることにより、位置が調整された後の撮影部位と直線L1との位置関係を認識することができる。このため、撮影技師は、撮影部位の位置が直線L1に対してずれている場合は、ガントリ表示部18を見ながら、被検体5の撮影部位が、クレードル41のx方向の中心位置を表す直線L1で略均等に二分されるまで、撮影部位の位置を調整することができる。
被検体5の撮影部位が、クレードル41のx方向の中心位置を表す直線L1で略均等に二分されるように、撮影部位の位置を調整することができたら、ステップS7に進む。
ステップS7では、撮影技師は、被検体5の撮影部位をガントリ2の空洞部B内の所定位置(ys,zs)(例えば、図7参照)に搬送するための命令を入力する。この命令が入力されると、計算部104(図4参照)は、ガントリ2の空洞部B内の所定位置(ys,zs)に被検体5の撮影部位を位置決めするために必要なクレードル41の移動量を計算する(図13参照)。
図13は、クレードル41の移動量の計算方法の一例の説明図である。
先ず、計算部104は、撮影部位の基準位置Pv=(y0,z0)を求める。y0は、撮影部位の基準位置Pvのy座標であり、z0は、撮影部位の基準位置Pvのz座標である。
計算部104は、被検体5の撮影部位の表面のy方向における最大値yvと、クレードル41のy方向における位置yiとの間の中間位置、即ち、y=(yi+yv)/2を、撮影部位のy方向における位置y0として求める。また、計算部104は、ステップS4で求められたz0(図10参照)を、撮影部位のz方向における位置z0として求める。しかし、上記の位置からずれた位置を撮影部位の位置として求めてもよい。例えば、撮影部位のz方向における位置z0については、z0=zh、即ち、位置zrからD1だけ離れた位置zh(図7参照)を位置z0として求めてもよい。
撮影部位の基準位置Pvを求めた後、計算部104は、撮影部位の基準位置Pvと、ガントリ2の空洞部B内の所定位置(ys,ys)とに基づいて、クレードル41の移動量ΔycおよびΔzcを計算する。
移動量Δycは、被検体5の撮影部位をガントリ2の空洞部B内のy方向における所定位置ysに位置決めするために必要なクレードル41のy方向における移動量である。一方、移動量Δzcは、被検体5の撮影部位をガントリ2の空洞部B内のz方向における所定位置zsに位置決めするために必要なクレードル41のz方向における移動量である。ここでは、撮影部位のy方向における位置はy0であるので、計算部104は、Δyc=ys−y0と計算する。また、撮影部位のz方向における位置はz0であるので、計算部104は、Δzc=z0−zsと計算する。
移動量ΔycおよびΔzcが計算されたら、ステップS8に進む。
ステップS8では、制御部30が、クレードル41がy方向にΔycだけ移動し、z方向にΔzcだけ移動するように、テーブル4を制御する。図14は、クレードル41が、y方向にΔycだけ移動し、z方向にΔzcだけ移動した後の様子を示す図である。
クレードル41がΔycおよびΔzcだけ移動することにより、撮影部位がボア内の位置(ys,ys)に到達する。撮影部位が位置(ys,ys)に到達したら、制御部はクレードル41の移動を停止する。そして、ステップS9に進み、被検体5のスキャンが実行され、フローが終了する。
第1の形態では、被検体5をガントリ2に搬送する前に、ガントリ表示部18に、クレードル41に対する撮影部位のx方向における位置を撮影技師が視覚的に認識することを支援するための支援画像SIが表示される。支援画像SIは、撮影部位の画像T1と、x方向におけるクレードル41と撮影部位との位置関係を表す直線L1とを含んでいる。したがって、撮影技師は、直線L1に対する画像T1の位置を視認することにより、撮影部位が空洞部B内に搬送される前に、被検体5の撮影部位がクレードル41の所望の位置に配置されているか否かを確認することができる。このため、撮影技師は、撮影部位の位置が直線L1に対してずれている場合は、被検体5の撮影部位をガントリ2の空洞内に搬送する前に、被検体5の撮影部位が直線L1で略均等に二分されるように、被検体5の撮影部位の位置を調整することができる。したがって、撮影部位がクレードル41の中心位置を表す直線L1からずれている状態でスキャンを実行することが回避できるので、被検体5のスキャンをやり直す手間をなくすことができる。
(2)第2の形態
第1の形態では、撮影部位のz方向における位置z0を横切る断面の画像T1を生成し、この断面の画像T1を含む支援画像SIをガントリ表示部18に表示する例(図9参照)について説明した。第2の形態では、撮影部位のz方向における厚さの変化を表す情報を含む画像を生成し、この画像を含む支援画像をガントリ表示部18に表示する例について説明する。尚、第2の形態についても、第1の形態と同様に、図5のフローを参照しながら説明する。
また、第2の形態のX線CT装置は、第1の形態のX線CT装置と比較すると、ガントリ表示部18に表示される支援画像が異なるだけであるので、第2の形態については、ガントリ表示部18に表示される支援画像について主に説明する。
ステップS1〜S3は、第1の形態と同じであるので、説明は省略する。ステップS3において撮影部位の範囲RS(図8参照)を表示した後、ステップS4に進む。
ステップS4では、センサ部19により得られた三次元データに基づいて、クレードル41に対する撮影部位のx方向における位置を撮影技師が視覚的に認識できることを支援するための支援画像が生成される。そして、ガントリ表示部18に、生成された支援画像が表示される。以下に、第2の形態における支援画像の生成方法の一例について、図15を参照しながら説明する。
ステップS4では、画像生成部101は、撮影部位の範囲RS内において、z方向に並ぶ複数の断面における画像TA1〜TAnを生成する。画像TA1〜TAnは、それぞれ、撮影部位のz方向の位置z1〜znにおける画像である。ここでは、説明の便宜上、3枚の画像(TA1、TA2、およびTAn)が生成される場合について考えることにする。画像TA1、TA2、およびTAnは、被検体5の体内に対応する領域R1、R2、およびRn(グレーで示されている領域)と、被検体5の体外に対応する領域W1、W2、およびWn(白で示されている領域)とを含んでいる。被検体5の体内に対応する領域R1、R2、およびRnに含まれるピクセルにはピクセル値p=1が与えられており、被検体5の体外に対応する領域W1、W2、およびWnに含まれるピクセルにはピクセル値0が与えられている。
画像TA1、TA2、およびTAnを生成した後、画像生成部101は、画像TA1、TA2、およびTAnのピクセルのピクセル値をz方向に加算する。図15の右下に、画像TA1、TA2、およびTAnを加算することにより得られた加算画像TAが概略的に示されている。画像TA1、TA2、およびTAnを加算することにより、撮影部位のz方向における厚さの変化を表す情報を含む加算画像TAを得ることができる。
以下に、画像TA1、TA2、およびTAnを加算することにより、撮影部位のz方向における厚さの変化を表す情報を含む加算画像TAを得ることができる理由について説明する。
尚、撮影部位のz方向における厚さの変化を表す情報を含む加算画像TAを得ることができる理由を理解しやすくするために、ここでは、先ず、画像TA1、TA2、およびTAnのピクセルのピクセル値を加算する例として、以下の3つを取り上げて、加算画像TAについて説明する。
(1)画像T1、T2、およびTnのz方向に並ぶピクセルP1a(xa,ya,z1)、P2a(xa,ya,z2)、およびPna(xa,ya,zn)のピクセル値を加算する。
(2)画像T1、T2、およびTnのz方向に並ぶピクセルP1b(xb,yb,z1)、P2b(xb,yb,z2)、およびPnb(xb,yb,zn)のピクセル値を加算する。
(3)画像T1、T2、およびTnのz方向に並ぶピクセルP1c(xc,yc,z1)、P2c(xc,yc,z2)、およびPnc(xc,yc,zn)のピクセル値を加算する。
先ず、画像TA1、TA2、およびTAnのz方向に並ぶピクセルP1a(xa,ya,z1)、P2a(xa,ya,z2)、およびPna(xa,ya,zn)について考える。これらのピクセルP1a、P2a、およびPnaは体内領域(グレーで示された領域)R1、R2、およびRnの内側に位置している。したがって、これらのピクセルP1a、P2a、およびPnaのピクセル値は、P1a=P2a=Pna=1である。このため、ピクセルP1a、P2a、およびPnaのピクセル値の加算値Aは、A=3となるので、加算画像TAのピクセルPa(xa,ya)のピクセル値は「3」となる。
次に、画像TA1、TA2、およびTAnのz方向に並ぶピクセルP1b(xb,yb,z1)、P2b(xb,yb,z2)、およびPnb(xb,yb,zn)について考える。これらのピクセルP1b、P2b、およびPnbのうち、ピクセルP1bおよびP2bは体内領域(グレーで示された領域)R1およびR2の内側に位置しているが、ピクセルPnbは体外領域Wnに位置している。したがって、ピクセルP1bおよびP2bのピクセル値は、P1b=P2b=1であるが、ピクセルPnbのピクセル値は、Pnb=0である。このため、ピクセルP1b、P2b、およびPnbのピクセル値の加算値Aは、A=2となるので、加算画像TAのピクセルPb(xb,yb)のピクセル値は「2」となる。
最後に、画像TA1、TA2、およびTAnのz方向に並ぶピクセルP1c(xc,yc,z1)、P2c(xc,yc,z2)、およびPnc(xc,yc,zn)について考える。これらのピクセルP1c、P2c、およびPncのうち、ピクセルP2cは体内領域(グレーで示された領域)R2の内側に位置しているが、ピクセルP1cおよびPncは体外領域W1およびWnに位置している。したがって、ピクセルP2cのピクセル値は、P2c=1であるが、ピクセルP1cおよびPncのピクセル値は、P1c=Pnc=0である。このため、ピクセルP1c、P2c、およびPncのピクセル値の加算値Aは、A=1となるので、加算画像TAのピクセルPc(xc,yc)のピクセル値は「1」となる。
したがって、加算画像TAの撮影部位を表す領域Raは、画像TA1、TA2、およびTAnの3つの画像の体内領域R1、R2、およびRnが重なる領域を表している。しかし、加算画像TAの領域Rbは、2つの体内領域R1およびR2が重なる領域を表しており、領域Rcは、領域R1、R2、およびRnのうちの領域R2のピクセル値しか反映していない領域である。したがって、加算画像TAは、領域Ra、Rb、およびRcの順にピクセル値が小さくなる。このため、画像TA1〜TAnのz方向に並ぶピクセルのピクセル値を加算することにより、撮影部位のz方向の位置z1、z2、およびznにおける厚さの違いを反映した加算画像を得ることができる。尚、図15では、説明の便宜上、3枚の画像TA1、TA2、およびTAnを加算することにより加算画像TAを得る例が示されているが、2枚の画像を加算して加算画像TAを得てもよいし、4枚以上の画像を加算して加算画像TAを得てもよい。
加算画像TAを生成した後、加算画像TAを含む支援画像SIが生成される。図16に、ガントリ表示部18に表示された支援画像SIを概略的に示す。支援画像SIに含まれる加算画像TAは、グレーの濃淡によって、撮影部位のz方向における厚さの違いを表している。したがって、撮影技師は、加算画像TAを見るだけで、撮影部位のz方向における厚さの違いを視覚的に認識することができる。
支援画像SIが表示された後、ステップS5に進む(図5参照)。
ステップS5〜ステップS9は、第1の形態と同様であるので説明は省略する。ステップS9においてスキャンを実行したら、フローが終了する。
第2の形態では、ガントリ表示部18に、撮影部位のz方向における厚さの変化を表す情報を含む加算画像TAが表示される。したがって、撮影技師は、ガントリ表示部18に表示された加算画像TAを見ることによって、撮影部位の厚さの違いを考慮して、被検体5の撮影部位をより撮影に適した位置に位置決めすることができる。
尚、第2の形態では、加算画像TAが、撮影部位のz方向における厚さの変化を表す情報を含む画像として生成されている。しかし、加算画像TAの代わりに、例えば、複数の画像を乗算することにより得られる乗算画像や、画像ごとに重み付けを行い、重み付けされた複数の画像に対して四則演算することにより得られる演算画像を、撮影部位のz方向における厚さの変化を表す情報を含む画像として生成してもよい。
(3)第3の形態
第3の形態では、ガントリ表示部18に、画像T1および直線L1の他に、FOVも表示する例について説明する。
第3の形態のX線CT装置は、第1の形態のX線CT装置と比較すると、機能ブロックに違いがあるが、ハードウェアの構成は同じである。したがって、第3の形態のX線CT装置の説明に当たっては、ハードウェアの構成の説明は省略し、機能ブロックについて説明する。
図17は、第3の形態におけるX線CT装置の機能ブロック図である。尚、実際には、X線CT装置は、多数の機能ブロックを有しているが、ここでは、第3の形態の説明に必要な機能ブロックのみが示されている。
第3の形態において、X線CT装置は、主な機能ブロックとして、画像生成部101、検出部102、表示制御部103、計算部104、および位置合わせ部105を有している。
画像生成部101、検出部102、表示制御部103、および計算部104は、基本的に第1の形態と同じであるので説明は省略する。
位置合わせ部105は、画像とFOVとの位置合わせを行う。位置合わせの方法は後述する。
以下、第3の形態について、第1の形態と同様に、図5のフローを参照しながら説明する。
ステップS1〜S3は第1の形態と同じであるので、説明は省略する。ステップS3において撮影部位の範囲RS(図8参照)を表示した後、ステップS4に進む。
ステップS4では、支援画像が生成され、ガントリ表示部18に、生成された支援画像が表示される。第3の形態では、支援画像は、クレードル41に対する撮影部位のx方向における位置を撮影技師が視覚的に認識できることを支援するとともに、スキャン中において撮影部位がFOV内に収まっているかどうかを撮影技師が視覚的に判断することを支援するための画像である。図18に、ガントリ表示部18に表示された第3の形態における支援画像の一例を概略的に示す。
以下、図18に示す支援画像の生成方法の一例について、図19を参照しながら説明する。
図19は、ステップS4において支援画像を表示するために実行される第3の形態における具体的な処理の一例を表すフローを示す図である。
ステップS41では、画像生成部101が、センサ部19から得られた距離データに基づいて、撮影部位の断面の情報を含む画像T1を生成する。画像T1は、第1の形態と同様に、図10を参照しながら説明した方法で生成することができる。
ステップS42では、位置合わせ部105(図17参照)が、画像T1とFOVとの位置合わせを行う。以下、位置合わせの処理について説明する。
先ず、位置合わせ部105は、撮影部位のy方向における基準位置y0を計算する(図20参照)。
図20は、撮影部位のy方向における基準位置y0を計算するための説明図である。
図20には、ガントリおよびテーブルの正面図が示されている。図20では、画像T1とFOVとの位置関係を視覚的に理解しやすくするため、クレードル41上にステップS41で求めた画像T1が概略的に示されている。また、図20には、2つのFOV1およびFOV2が示されている。FOV1は、被検体5の撮影部位の中で、径が比較的小さい撮影部位(例えば、頭部)を撮影するのに適したFOVであり、FOV1の径は、例えば、30cm〜35cmである。一方、FOV2は、被検体5の撮影部位の中で、径が比較的大きい撮影部位(例えば、腹部)を撮影するのに適したFOVであり、FOVの径は、例えば、45cm〜55cmである。
位置合わせ部105は、画像T1に基づいて撮影部位のy方向における基準位置y0を計算する。位置合わせ部105は、例えば、画像T1に基づいて、撮影部位のy方向における断面の範囲y01〜y02を求め、y01とy02との間の位置(例えば、y01とy02との中間位置)を、撮影部位のy方向における基準位置y0として計算することができる。
撮影部位のy方向における基準位置y0を計算した後、位置合わせ部105は、撮影部位のy方向における基準位置y0と、ガントリ2の空洞部B内のy方向における所定位置ysとの間の差Δycを計算する。Δycは、Δyc=ys−y0で求めることができる。
Δycを求めた後、位置合わせ部105は、画像T1の位置がΔycだけプラスの方向にシフトするように画像T1の位置を変更し、画像T1およびFOV1およびFOV2の位置合わせを行う。図21は、Δycだけ位置を変更した後の画像T1とFOV1およびFOV2との位置関係を概略的に示す図である。画像T1の位置をΔycだけ変更することにより、画像T1をFOV1およびFOV2に対して位置合わせすることができる。
ステップS43では、表示制御部103が、図18に示すように、画像T1を用いた支援画像SIが表示されるように、ガントリ表示部18を制御する。支援画像SIは、画像T1および直線L1の他に、FOV1およびFOV2を含んでいる。FOV1およびFOV2の範囲は、Δycだけ位置が変更された後の画像T1とFOV1およびFOV2との位置関係が保たれた状態で表示される。
ガントリ表示部18には、画像T1と、クレードル41の中心位置を表す直線L1が表示されている。したがって、撮影技師は、ガントリ表示部18を見ることにより、クレードル41を移動させる前に、撮影部位がクレードル41の中心位置に対してどの程度ずれているかを視覚的に認識することができる。したがって、撮影部位がクレードル41の中心位置に対して右側または左側に寄り過ぎている場合は、クレードル41を移動させる前に、撮影部位をクレードルに対して所望の位置に調整することができる。
また、ガントリ表示部18には、Δycだけ位置が変更された後の画像T1に対するFOV1およびFOV2が表示されている。したがって、撮影技師は、被検体5をボア内に搬送する前に、スキャン中における画像T1とFOV1およびFOV2との位置関係を視覚的に認識することができる。このため、撮影技師は、撮影部位がFOV1(又はFOV2)内に収まっているか否かを視覚的に認識することができる。撮影部位がFOV1内に収まっている場合は、撮影技師は、FOV1を用いたスキャンが実行可能であることがわかる。一方、撮影部位がFOV1からはみ出ているが、FOV2内に収まっている場合は、撮影技師は、FOV1を用いたスキャンは実行可能ではないが、FOV2を用いたスキャンは実行可能であることがわかる。したがって、撮影部位の大きさに応じたFOVを用いた撮影をすることができる。
尚、図18では、FOV1およびFOV2の中心は表示されていないが、FOV1およびFOV2の中心を撮影技師が視覚的に認識できるようにしてもよい(図22参照)。
図22は、撮影技師がFOV1およびFOV2の中心を視覚的に認識できるようにするための一例の説明図である。
図22では、ガントリ表示部18に、直線L1の他に、直線L2が表示されている。直線L2は、FOV1およびFOV2の中心を通り、直線L1に対して垂直に交差する線である。したがって、撮影技師は、ガントリ表示部18に表示された直線L1とL2との交点を、FOV1およびFOV2の中心として視覚的に認識することができる。このため、撮影技師は、ガントリ表示部18を見るだけで、撮影部位がFOV1(又はFOV2)の中心からどの程度ずれているかを視覚的に認識することができる。
支援画像SIが表示されたら、図19に示すフローが終了し、ステップS5に進む(図5参照)。
ステップS5では、撮影技師は、支援画像SIを参照しながら、撮影部位の位置を調整する必要があるか否かを判定する。撮影部位の位置を調整する必要があると判定された場合、ステップS6に進み、撮影部位の位置を調整する。
そして、撮影部位が所望の位置に位置決めされていることを確認したら、ステップS7に進む。
ステップS7では、クレードル41の移動させるための命令を入力する。この命令が入力されると、計算部104は、撮影部位をガントリ2の空洞部に搬送するために必要なクレードル41のz方向における移動距離Δzcを計算する(尚、ステップS42で計算されたΔyc(図20および図21参照)は、クレードル41のy方向における移動距離Δycと考えることができるので、ステップS7ではΔycを計算しなくてもよい)。Δzcが計算されたら、ステップS8に進む。
ステップS8では、制御部30が、クレードル41がy方向にΔycだけ移動し、z方向にΔzcだけ移動するように、テーブル4を制御する。クレードル41がΔycおよびΔzcだけ移動したらクレードル41が停止する。そして、ステップS9に進み、被検体5のスキャンが実行され、フローが終了する。
第3の形態では、撮影部位がクレードル41に対してずれている場合だけでなく、FOV1(又はFOV2)に対してずれている場合も、撮影部位の位置を調整することができる。したがって、撮影部位を、スキャンに更に適した位置に位置決めすることができる。
尚、第3の形態では、2つのFOV1およびFOV2の範囲を表す指標として、円が使用されている。この円は、実線、破線、一点鎖線、二点鎖線などで表すことができる。また、FOV1およびFOV2の範囲を円で表現する代わりに、例えば、FOV1およびFOV2を異なる色で表示することにより、FOV1およびFOV2の範囲が表示されるようにしてもよい。
また、第3の形態では、2つのFOV1およびFOV2の範囲を表示する例について説明されている。しかし、径が異なる3つ以上のFOVが表示されるようにしてもよい。更に、1つのFOVのみを表示し、撮影技師が表示されたFOVの径を所定の範囲内で自在に変更できるようにしてもよい。
また、第3の形態では、画像T1の位置をΔycだけずらすことにより、画像T1とFOV1およびFOV2との位置合わせを行っている。しかし、画像T1の位置をΔycだけずらすやり方とは別のやり方で、画像T1とFOV1およびFOV2との相対的な位置を変更することにより、画像T1とFOV1およびFOV2との位置合わせを行ってもよい。例えば、画像T1の代わりに、FOV1およびFOV2の位置をΔycだけずらしてもよいし、画像T1をΔyc1だけずらすとともに、FOV1およびFOV2をΔyc2(=Δyc−Δyc1)だけずらすことにより、画像T1とFOV1およびFOV2との位置合わせを行ってもよい。
また、第3の形態では、画像T1として、撮影部位のz0における断面の画像が表示されている。しかし、画像T1の代わりに、撮影部位のz方向における厚さの変化を表す情報を含む画像(例えば、加算画像TA)を表示してもよい。
(4)第4の形態
第4の形態では、撮影部位のうち、FOV2からはみ出ている部分を特定し、FOV2からはみ出ている部分を撮影技師が視覚的に認識できるようにするための支援画像を表示する例について説明する。
第4の形態のX線CT装置は、第1の形態のX線CT装置と比較すると、機能ブロックに違いがあるが、ハードウェアの構成は同じである。したがって、第4の形態のX線CT装置の説明に当たっては、ハードウェアの構成の説明は省略し、機能ブロックについて説明する。
図23は、第4の形態におけるX線CT装置の機能ブロック図である。尚、実際には、X線CT装置は、多数の機能ブロックを有しているが、ここでは、第4の形態の説明に必要な機能ブロックのみが示されている。
第4の形態において、X線CT装置は、主な機能ブロックとして、画像生成部101、検出部102、表示制御部103、計算部104、位置合わせ部105、および特定部106を有している。
画像生成部101、検出部102、表示制御部103、計算部104、および位置合わせ部105は、基本的に第3の形態と同じであるので説明は省略する。
特定部106は、支援画像の一部として使用される画像T1の第1の部分H1、H2、およびH3(図31参照)を特定する。画像の第1の部分H1、H2、およびH3の特定方法については後述する。
以下、第4の形態について、第1の形態と同様に、図5のフローを参照しながら説明する。
ステップS1では、図24に示すように、被検体5をテーブル4のクレードル41に載置させる。また、撮影技師は、被検体5のスキャン条件(例えば、撮影部位)を設定する。
また、画像生成部101は、センサ部19から得られた画像データに基づいて、被検体5の俯瞰画像を生成する。生成された俯瞰画像は、図25に示すように、ガントリ表示部18に表示される。俯瞰画像が表示されたら、ステップS2に進む。
ステップS2では、撮影技師は、俯瞰画像に対する撮影部位の範囲が視覚的に認識できるように、撮影部位の範囲を表示するための命令を入力する。この命令が入力されると、検出部102は、撮影部位を検出するための処理を行う。尚、第3の形態では、撮影部位は肩部であるとする。したがって、検出部102は、肩部を検出するための処理を行う。
検出部102は、センサ部19から得られた距離データに基づいて視野領域RV内における被検体5の体表面の三次元的な形状を表す三次元データを生成し、この三次元データから肩部を検出するための処理を実行する。肩部は、形状に特徴がある部位であり、三次元データを解析することにより、肩部の位置zr(図24参照)を求めることができる。
肩部の位置zrを求めた後、検出部102は、位置zrからz方向のマイナス側にΔzaだけ離れた位置zaと、位置zrからz方向のプラス側にΔzbだけ離れた位置zbとを求める。第4の形態では、検出部102は、位置zaと位置zbとに挟まれた範囲を、撮影部位である肩部の範囲RSとして検出する。撮影部位の範囲RSを検出した後、ステップS3に進む。
ステップS3では、表示制御部103は、俯瞰画像に対して撮影部位の範囲RSが表示されるように、ガントリ表示部18を制御する。図26は、撮影部位の範囲RSが表示された後のガントリ表示部18を概略的に示す図である。ガントリ表示部18に撮影部位の範囲RSが表示されているので、撮影技師は、撮影部位の範囲RSを視覚的に認識することができる。撮影部位の範囲RSを表示した後、ステップS4に進む。
ステップS4では、支援画像が生成され、ガントリ表示部18に、生成された支援画像が表示される。第4の形態では、支援画像は、クレードル41に対する撮影部位のx方向における位置を撮影技師が視覚的に認識できることを支援するとともに、撮影部位にFOV2からはみ出ている部分が含まれているか否かを撮影技師が視覚的に判断することを支援するための画像である。図27に、ガントリ表示部18に表示された第4の形態における支援画像の一例を概略的に示す。
以下、図27に示す支援画像の生成方法の一例について、図28のフローを参照しながら説明する。
図28は、ステップS4において支援画像を表示するために実行される第4の形態における具体的な処理の一例を表すフローを示す図である。
ステップS41では、画像生成部101が、センサ部19から得られた距離データに基づいて、撮影部位(肩部)の断面の情報を含む画像T1を生成する。図29は、撮影部位の画像T1の生成方法の一例の説明図である。第4の形態では、画像生成部101は、撮影部位をz方向に対して垂直に横切る面Sを特定し、面Sにおける画像を、撮影部位の画像として生成する。撮影部位を横切る面Sのz方向における位置は、撮影部位の範囲RS内であれば、任意の位置に設定することができる。
ここでは、位置zrを横切る面S内における撮影部位の画像T1が生成される。撮影部位の画像T1を生成した後、ステップS42に進む。
ステップS42では、位置合わせ部105が、画像T1とFOVとの位置合わせを行う。以下、位置合わせの処理について説明する。
先ず、位置合わせ部105は、撮影部位のy方向における基準位置y0を計算する(図30参照)。
図30は、撮影部位のy方向における基準位置y0を計算するための説明図である。
図30には、ガントリおよびテーブルの正面図が示されている。図30では、画像T1とFOVとの位置関係を視覚的に理解しやすくするため、クレードル41上にステップS41で求めた画像T1が概略的に示されている。また、図30には、2つのFOV1およびFOV2が示されている。FOV1およびFOV2は、第3の形態で説明したFOV1およびFOV2(図20参照)と同じである。
位置合わせ部105は、画像T1に基づいて撮影部位のy方向における基準位置y0を計算する。位置合わせ部105は、例えば、画像T1に基づいて、撮影部位のy方向における断面の範囲y01〜y02を求め、y01とy02との間の位置(例えば、y01とy02との中間位置)を、撮影部位のy方向における基準位置y0として計算することができる。
撮影部位のy方向における基準位置y0を計算した後、位置合わせ部105は、撮影部位のy方向における基準位置y0と、ガントリ2の空洞部B内のy方向における所定位置ysとの間の差Δycを計算する。Δycは、Δyc=ys−y0で求めることができる。
Δycを求めた後、位置合わせ部105は、画像T1の位置がΔycだけプラスの方向にシフトするように、画像T1の位置を変更し、画像T1およびFOV1およびFOV2の位置合わせを行う。図31にΔycだけ位置を変更した後の画像T1を概略的に示す。画像T1の位置をΔycだけ変更することにより、画像T1を所定位置ysに位置決めすることができる。画像T1とFOV1およびFOV2との位置合わせを行ったら、ステップS420に進む。
ステップS420では、特定部106(図23参照)が、画像T1の第1の部分H1、第2の部分H2、および第3の部分H3(図31参照)を特定する。以下に、この特定方法について説明する。
先ず、特定部106が、位置がΔycだけ変更された後の画像T1のうち、FOV1内に収まっている部分を特定する。図31では、画像の第1の部分H1がFOV1内に収まっている。したがって、特定部106は、画像の第1の部分H1を、FOV1内に収まっている部分として特定する。
次に、特定部106は、位置がΔycだけ変更された後の画像T1のうち、FOV2内に収まっているがFOV1からはみ出ている第2の部分H2を特定する。画像T1に第2の部分H2が含まれていない場合、特定部106は、画像T1に第2の部分H2が含まれていないと判定する。図31では、画像T1は、FOV2内に収まっているがFOV1からはみ出ている部分H2を含んでいる。したがって、特定部106は、位置がΔycだけ変更された後の画像T1から、FOV2内に収まっているがFOV1からはみ出ている部分H2を特定する。
次に、特定部106は、位置がΔycだけ変更された後の画像T1のうち、FOV2からはみ出ている第3の部分H3を特定する。画像T1に第3の部分H3が含まれていない場合、特定部106は、画像T1に第3の部分H3が含まれていないと判定する。図31では、画像T1は、FOV2からはみ出ている部分H3を含んでいる。したがって、特定部106は、位置がΔycだけ変更された後の画像T1から、FOV2からはみ出ている部分H3を特定する。
したがって、特定部106は、画像の第1の部分H1、第2の部分H2、および第3の部分H3を特定することができる。これらの部分H1、H2、およびH3を特定した後、ステップS43に進む。
ステップS43では、表示制御部103が、図27に示すように、画像T1を用いた支援画像SIが表示されるように、ガントリ表示部18を制御する。支援画像SIは、画像T1および直線L1を含んでいる。また、第4に形態では、画像T1の第1の部分H1、H2、およびH3が3つの異なる色で表示されている。例えば、第1の部分H1は黒色、第2の部分H2は黄色、および第3の部分H3は赤色で表示することができる。
支援画像SIが表示された後、ステップS5に進む。
ステップS5では、撮影技師は、ガントリ表示部18に表示された支援画像SIを参考にして、被検体の姿勢や撮影部位の位置を調整する必要があるか否かを判定する。
ガントリ表示部18には、画像T1と、クレードル41の中心位置を表す直線L1が表示されている。したがって、撮影技師は、ガントリ表示部18を見ることにより、クレードル41を移動させる前に、撮影部位がクレードル41の中心位置に対してどの程度ずれているかを視覚的に認識することができる。したがって、撮影部位がクレードル41の中心位置に対して右側または左側に寄り過ぎている場合は、クレードル41を移動させる前に、ステップS6に進み、撮影部位をクレードルに対して所望の位置に調整することができる。
また、ガントリ表示部18には、FOV1およびFOV2の範囲に基づいて、画像T1が異なる色で表示されている。したがって、撮影技師は、撮影部位にFOV1からはみ出ている部分H2が含まれているか否か、および撮影部位にFOV2からはみ出ている部分H3が含まれているか否かを視覚的に認識することができる。
撮影部位がFOV2からはみ出た部分H3を含む場合、スキャン中に、検出器のレファレンスチャネルで受信されるX線が、FOV2からはみ出た部分H3で減衰してしまい、X線の適切な強度補正を行うことができず、X線画像のIQが低下する恐れがある。しかし、第4の形態では、撮影技師は、被検体のスキャン前に、FOV2からはみ出た部分H3の有無を視覚的に認識することができる。したがって、撮影技師は、はみ出た部分H3が視認された場合、ステップS6に進み、撮影技師は、撮影部位がFOV2からできるだけはみ出ないように、被検体5の姿勢を調整することができる。したがって、IQの劣化が軽減されたX線画像を得ることが可能となる。
必要に応じて撮影部位の位置又は被検体の姿勢を調整した後、ステップS7に進む。
ステップS7では、クレードル41の移動させるための命令を入力する。この命令が入力されると、計算部104は、撮影部位をガントリ2の空洞部に搬送するために必要なクレードル41のz方向における移動距離Δzcを計算する(尚、ステップS42で計算されたΔyc(図30および図31参照)は、クレードル41のy方向における移動距離Δycと考えることができるので、ステップS7ではΔycを計算しなくてもよい)。Δzcが計算されたら、ステップS8に進む。
ステップS8では、制御部30が、クレードル41がy方向にΔycだけ移動し、z方向にΔzcだけ移動するように、テーブル4を制御する。クレードル41がΔycおよびΔzcだけ移動したらクレードル41が停止する。そして、ステップS9に進み、被検体5のスキャンが実行され、フローが終了する。
第4の形態では、撮影部位がFOV2からはみ出た部分H3を含む場合、ガントリ表示部18に、FOV2からはみ出た部分H3を視覚的に認識することができる。したがって、撮影技師は、被検体5をガントリ2の空洞部Bに搬送する前に、撮影部位がFOV2からできるだけはみ出ないように、被検体5の姿勢を調整することができる。
また、第4の形態では、画像T1として、撮影部位のz0における断面の画像が表示されている。しかし、画像T1の代わりに、撮影部位のz方向における厚さの変化を表す情報を含む画像(例えば、加算画像TA)を表示してもよい。
尚、第1〜第4の形態では、ガントリ表示部18に、クレードルの左右方向における中心位置を表す直線L1が表示される。撮影技師は、ガントリ表示部18に表示された直線L1と画像T1との位置関係に基づいて、クレードルに対して撮影部位の位置がどの程度ずれているかを視覚的に認識している。しかし、撮影技師がクレードルに対する撮影部位の位置ずれを認識することができるのであれば、クレードルの左右方向における中心位置からずれた位置を、クレードルの左右方向における基準位置に設定し、この基準位置に直線L1が表示されるようにしてもよい。更に、直線L1の代わりに、破線、一点鎖線、二点鎖線、矢印などの別の指標を用いて、クレードルの左右方向における基準位置を表してもよい。
尚、第1〜第4の形態では、被検体5の撮影部位が検出されたら、撮影部位が空洞部B内に搬送されるまで、クレードル41を移動させる例について説明されている。しかし、クレードルが移動している途中で、撮影技師がクレードル41を停止できるようにしてもよい。この場合、撮影技師は、撮影部位が空洞部B内に搬送される前に、被検体5の姿勢を微調整することができる。したがって、クレードルの移動中に被検体5が動いてしまい、被検体の姿勢が所望の姿勢からずれてしまっても、被検体の姿勢を所望の姿勢に直した後で、被検体5の撮影部位を空洞部B内に搬送することができる。
尚、第1〜第4の形態では、撮影部位を検出する場合、形状に特徴のある基準部位を検出し、この基準部位に基づいて撮影部位を検出している。しかし、基準部位を用いて撮影部位を検出する方法の代わりに、各撮影部位に対応するテンプレートを用意しておき、テンプレートマッチングの手法を用いて撮影部位を検出してもよい。
また、第1〜第4の形態では、センサ部19は、各画素に、画像データを取得するための撮像部と、距離データを取得するための受光部とが備えられている。しかし、センサ部19は、各画素に撮像部と受光部とを備えたタイプに限定されることはなく、画像データを取得するためのイメージセンサと、距離データを取得するためのセンサ(例えば、深度センサ)とを別々に備えた構成であってもよい。
また、第1〜第4の形態では、センサ部19は画像データと距離データとを取得するように構成されているが、画像データを取得せずに、距離データのみを取得するように、センサ部19を構成することも可能である。
また、第1〜第4の形態では、ガントリ表示部18に支援画像SIを表示しているが、ガントリ表示部18の代わりに、操作コンソール6の表示部に支援画像SIを表示してもよいし、ガントリ表示部18と、操作コンソール6の表示部との両方に支援画像SIを表示してもよい。
また、第1〜第4の形態では、CT装置を取り上げて本発明について説明したが、CT装置とは異なる医用装置(例えば、MRI装置)に対しても本発明を適用することができる。