JP6688152B2 - 折板屋根構造及びその施工方法 - Google Patents

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Description

本発明は、折板屋根構造及びその施工方法に関する。
近年、耐久性と外観の美しさを備えた金属屋根が普及している。特許文献1には、ステンレス材などの非メッキ長尺鋼板の立ち上がり部同士をシーム溶接で連結させた屋根構造が記載されている。この屋根構造はステンレス鋼板を用いるがゆえに水密性と耐久性に優れる。一方で、ステンレスを用いるゆえに高価である。そのため、このような屋根構造は博物館、展示場や空港等の恒久的に使用される公共施設に用いられることが多い。このような屋根構造の課題は、広く普及させるには高コストであることである。
また、特許文献2には、一般的にメッキ鋼板で形成される長尺鋼板を使った折板屋根構造が記載されており、上記課題を解決することができる。一般にメッキ鋼板は溶接に向かない。このため、前記長尺鋼板側部に設けられた長尺な連結屈曲部を緊締止具(同文献では、吊子C)で連結することにより、複数の前記長尺鋼板(屋根板)同士を連結している。更に、同屋根構造では緊締受け躯体(同文献では、受金具20)に前記緊締止具を固定することにより、前記連結された長尺鋼板(屋根板)を建屋に固定している。このようにメッキ鋼板で形成される長尺鋼板(折板)で構成された屋根構造は軽量且つコスト面で優れる。そのため、このような屋根構造は、要求される耐用年数が20年以下の建屋、例えば、工場や倉庫等で多用されている。
特開昭57−100876号公報 特開平5−86696号公報
特許文献2に記載の屋根構造が代表する折板屋根構造は、緊締止具による連結と固定という簡単な構成ながらも水密性と強度に優れ、軽量構造という点でも優れている。しかし、爆弾低気圧や突風などにより、許容を超える負圧が作用すると前記連結部が分解して屋根構造が破壊されてしまうという課題を有している。
そこで、本発明の目的、すなわち解決しようとする技術的課題は、溶接固着に向かない折板を用いながらも、負圧耐力を向上させた折板屋根構造及びその施工方法を提供することにある。
そこで、請求項1の発明を、メッキ鋼板で形成された長尺な屋根板たる折板が、前記長尺な方向に適宜設けられた緊締止具を間に介して隣接する折板で構成される折板屋根構造において、隣接する2つの折板の連結部同士の連結であって、前記緊締止具を介さずに前記隣接する2つの折板が対向する所において、前記隣接する2つの折板の連結部同士に渡された当て板と該連結部との間、若しくは、前記隣接する2つの折板の連結部同士を覆うキャップ材と該連結部との間に、局所的な溶接部が形成されてなることを特徴とする折板屋根構造としたことにより、上記課題を解決した。
また、請求項2の発明を、請求項1に記載の折板屋根構造において、前記長尺な折板を、前記緊締止具で緊締受け躯体に固定する折板屋根構造であって、前記長尺方向を長手方向と称することとし、該長手方向に直交する方向を幅方向と称することとしたときに、前記折板には主板の幅方向の一端に長尺である第1連結部が設けられ、他の一端には長尺である第2連結部が設けられ、前記折板の第1連結部と、前記折板に隣接する折板の第2連結部が連結した配置であって、前記第1連結部と前記第2連結部が一定の間隔を保って前記緊締止具に保持された状態にして、前記緊締止具を介さずに前記隣接する2つの折板が対向する所において、前記隣接する2つの折板の連結部同士に渡された当て板と該連結部との間、若しくは、前記隣接する2つの折板の連結部同士を覆うキャップ材と該連結部との間に、局所的な溶接部が形成されてなることを特徴とする折板屋根構造としたことにより、上記課題を解決した。
請求項3の発明を、請求項2に記載の折板屋根構造において、前記緊締止具を介さずに前記隣接する2つの折板が対向する所において、前記隣接する2つの折板の連結部同士に渡された当て板を有し、前記第1連結部と前記当て板の間に局所的な溶接部が形成され、前記第2連結部と前記当て板の間にも局所的な溶接部が形成されてなることを特徴とする折板屋根構造としたことにより、上記課題を解決した。
請求項4の発明を、請求項2又は請求項3に記載の折板屋根構造において、前記第1連結部と前記第2連結部を覆うキャップ材を有し、
前記緊締止具を介さずに前記隣接する2つの折板が対向する所において、前記第1連結部と前記キャップ材の間に局所的な溶接部が形成され、前記第2連結部と前記キャップ材の間にも局所的な溶接部が形成されてなることを特徴とする折板屋根構造としたことにより、上記課題を解決した。
請求項5の発明を、請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4のいずれかに記載の折板屋根構造において、前記溶接部は、前記連結部が前記緊締止具に接している部分から、前記折板の長手方向に20mm以上離れていることを特徴とする折板屋根構造としたことにより、上記課題を解決した。
請求項6の発明を、メッキ鋼板で形成された長尺な屋根板たる折板が、前記長尺方向に適宜設けられた緊締止具を間に介して隣接する折板で構成される折板屋根構造において、隣接する2つの折板の連結部同士の接合であって、前記緊締止具を介さずに前記隣接する2つの折板が対向する所において、前記隣接する2つの折板の連結部同士に当て板を渡して、該当て板と前記連結部との間、若しくは、前記隣接する2つの折板の連結部同士をキャップ材で覆い、該キャップ材と前記連結部との間を、局所的に溶接することを特徴とする折板屋根構造の施工方法としたことにより、上記課題を解決した。
請求項7の発明を、請求項6に記載の折板屋根構造の施工方法において、長尺な折板を、前記緊締止具で緊締受け躯体に固定する折板屋根構造の施工方法であって、前記長尺方向を長手方向と称することとし、該長手方向に直交する方向を幅方向と称することとしたときに、前記折板には主板の幅方向の一端に長尺である第1連結部を設けて、他の一端には長尺である第2連結部を設け、前記第1連結部と前記第2連結部を一定の間隔を保つように前記緊締止具で保持し、前記緊締止具を介さずに前記隣接する2つの折板が対向する所において、前記隣接する2つの折板の連結部同士に前記当て板を渡し、前記第1連結部と前記当て板の間を局所的に溶接し、前記第2連結部と前記当て板の間を局所的に溶接することを特徴とする折板屋根構造の施工方法としたことにより、上記課題を解決した。
請求項8の発明を、請求項6又は請求項7に記載の折板屋根構造の施工方法において、長尺な折板を、前記緊締止具で緊締受け躯体に固定する折板屋根構造の施工方法であって、前記長尺方向を長手方向と称することとし、該長手方向に直交する方向を幅方向と称することとしたときに、前記折板には主板の幅方向の一端に長尺である第1連結部を設けて、他の一端には長尺である第2連結部を設け、前記第1連結部と前記第2連結部を一定の間隔を保つように前記緊締止具で保持して前記隣接する2つの折板の連結部同士をキャップ材で覆い、前記緊締止具を介さずに前記隣接する2つの折板が対向する所において、前記第1連結部と前記キャップ材の間を局所的に溶接し、前記第2連結部と前記キャップ材の間を局所的に溶接することを特徴とする折板屋根構造の施工方法
としたことにより、上記課題を解決した。
請求項9の発明を、請求項6、請求項7又は請求項8のいずれかに記載の折板屋根構造の施工方法において、前記連結部が前記緊締止具に接している部分から、前記折板の長手方向に20mm以上離れている箇所に溶接することを特徴とする折板屋根構造の施工方法としたことにより、上記課題を解決した。
請求項1に係る発明は、少ない溶接箇所にもかかわらず、折板屋根構造の負圧耐力を格段に向上させることができる効果がある。請求項2に係る発明は、前記隣接する2つの折板の連結部同士に渡された当て板と該連結部との間、若しくは、前記隣接する2つの折板の連結部同士を覆うキャップ材と該連結部との間が、スポット溶接などの局所的な溶接で固着されているため、溶接箇所が極めて少ないにもかかわらず、前記第1連結部と前記第2連結部の合わせ角が開くことを効果的に防止することができる。このことにより、前記緊締止具が、前記第1連結部と前記第2連結部の挟持から抜けることを防げるので、同折板屋根構造の負圧耐力を格段に向上させることができる効果がある。
請求項3に係る発明は、溶接箇所が極めて少ないにもかかわらず、格段に負圧耐力を向上させる効果がある。また、板材に貫通孔を設けてボルト等で締め付けるものではないため、水密性が確保されるという効果もある。更に前記当て板は上向きであって、溶接すべき箇所を視認しやすいという効果がある。また、溶接後に前記第1連結部と第2連結部をキャップ材で覆えば、該溶接部を形成するに際してメッキが剥げたとしても、直接風雨に曝されることがないという効果がある。
請求項4に係る発明は、溶接箇所が極めて少ないにもかかわらず、格段に負圧耐力を向上させる効果がある。更に、前記キャップ材で前記第1連結部及び前記第2連結部を覆った後に溶接するため、当て板が不要で、作業が単純化される効果がある。また、前記キャップ材も溶接されるので、ずれなくなるという効果がある。更に、キャップ材で覆った後に溶接するので、既設の屋根に対して、容易に負圧耐力を強化できる効果がある。
請求項5に係る発明の構成にすることで、負圧耐力を向上させつつも、前記折板と前記隣接折板の長手方向の動きを強固に規制するものではないものとすることができる。このため、これら折板の伸縮により内部に生じた応力を解放することができるという効果がある。このように応力を解放できるので、前記折板の板鳴低減効果と金属疲労防止効果がある。請求項6に係る発明は、溶接箇所が極めて少ないにもかかわらず、格段に負圧耐力を向上させる効果がある。
請求項7に係る発明は、溶接箇所が極めて少ないにもかかわらず、格段に負圧耐力を向上させる効果がある。また、板材に貫通孔を設けてボルト等で締め付けるものではないため、水密性が確保されるという効果もある。更に前記当て板は上向きであって、溶接すべき箇所を視認しやすいという効果がある。また、溶接後に前記第1連結部と第2連結部をキャップ材で覆えば、該溶接部を形成するに際してメッキが剥げたとしても、直接風雨に曝されることがないという効果がある。
請求項8に係る発明は、溶接箇所が極めて少ないにもかかわらず、格段に負圧耐力を向上させる効果がある。更に、前記キャップ材で前記第1連結部及び前記第2連結部を覆った後に溶接するため、当て板が不要で、作業が単純化される効果がある。また、前記キャップ材も溶接されるので、ずれなくなるという効果がある。更に、キャップ材で覆った後に溶接するので、既設の屋根に対して、容易に負圧耐力を強化できる効果がある。
請求項9に係る発明の構成にすることで、負圧耐力を向上させつつも、前記折板と前記隣接折板の長手方向の動きを強固に規制するものではないものとすることができる。このため、これら折板の伸縮により内部に生じた応力を解放することができるという効果がある。このように応力を解放できるので、前記折板の板鳴低減効果と金属疲労防止効果がある。
は本発明の折板屋根構造の第1実施形態に係る図であって、(A)は同折板屋根構造において、緊締止具が無い部分の断面図、(B)は折板屋根構造の斜視図、(C)はX1−X1矢視断面図である。 は本発明の折板屋根構造の第2実施形態に係る図であって、(A)は同折板屋根構造の斜視図、(C)はX2−X2矢視断面図である。 は本発明の折板屋根構造の第1実施形態の施工方法に係る図であって、(A)は同折板屋根構造において、緊締止具が有る部分の断面図、(B)は同折板屋根構造において、緊締止具の無い部分の断面図、(C)同屋根構造において当て板を渡した図、(D)は前記当て板にスポット溶接をした図である。 は本発明の折板屋根構造の第2実施形態の施工方法に係る図であって、(A)は同折板屋根構造において、緊締止具が無い部分の断面図、(B)は同折板屋根構造の連結部をキャップ材で覆ってスポット溶接した図である。 は従来の折板屋根構造の例を示す図であって、(A)は折板を形成するためのメッキ鋼板の平面図、(B)は同折板屋根構造の緊締受け躯体を含む部分の断面図であって、Y1−Y1矢視断面図、(C)は同折板屋根構造に用いられる緊締止具の例を示す図、(D)は同折板屋根構造の緊締止具と緊締受け躯体を含む断面拡大図である。 は従来の折板屋根構造の例を示す図であって、(A)は緊締受け躯体を含まない部分の断面図、(B)は同断面図の拡大図、(C)は緊締受け躯体を含まない断面図において、負圧によって同折板屋根構造が破壊される順序例を示す図、(D)及び(E)緊締受け躯体を含む断面図において、負圧によって同折板屋根構造が破壊される例を示す図である。
図5を参照して、従来の典型的な折板屋根構造を確認する。図5(A)は折板に加工されるべき、長尺のメッキ鋼板である。説明の便宜上、このメッキ鋼板から形成される折板の1つを折板3とし、これに隣接して設置される折板を隣接折板4と呼ぶこととする。原則的には、折板3と隣接折板4は同一形状をした折板である。また、説明の便宜上、前記長尺方向を長手方向と称することとし、該長手方向に直交する方向を幅方向と称することとする。
折板3及び隣接折板4の中央部は帯状の主板32であって、折板屋根本体を形成する部分である。そして、折板3及び隣接折板4の一端には長尺である第1連結部31が設けられている。前記折板3及び隣接折板4の他の一端には長尺である第2連結部41が設けられている。この構成は、従来の折板と同等な構成なので、図5(A)を参照することができる。
折板屋根構造を形成するに当たっては、折板3と隣接折板4が隣接するように配置されている。また、これら折板の長手方向に亘って、所定の距離毎に緊締止具2が設けられている。折板3の第1連結部31と隣接折板4の第2連結部41は、それぞれ、緊締止具2のフック機能部23に折り込まれて連結形成されている。そして、これらの緊締止具2のいくつかが、そのフック基部22が緊締受け躯体1に固定されることにより、前記折板3と隣接折板4が建物本体に固定されることとなる。
図5(B)は、前記合金鋼板を折板に加工して屋根構造を形成した図であって、Y1−Y1の方向に見た断面図である。折板3と隣接折板4は緊締止具2で緊締受け躯体1に固定される。緊締受け躯体1は、建屋本体に設けられた梁(図示せず)に固定されている。
図5(C)は一般的な緊締止具2の例である。緊締止具2はボルト等で緊締受け躯体1に固定されるフック基部22とフック機能部23を有する。該フック機能部23は、垂直上方に伸びたフック首部233a,233bと、その先に延設された、巻き込み形状のフック中央部232a,232b及びフック先端部231a,231bで構成されている。
図5(D)は緊締止具2によって、折板3と隣接折板4が緊締受け躯体1に固定されている例である。フック基部22はボルト等で緊締受け躯体1に固定されている。上述のとおり、フック機能部23は緊締受け躯体1から上方に延びるフック首部233a,233bと、該フック首部233a,233bに延設されたフック中央部232a,232b及びフック先端部231a,231bを有している。一方、図5(A)に示すように、折板の中央には帯状の主板32が設けられ、その両側には、長尺である第1連結部31と、長尺である第2連結部41が設けられている。
そして、折板3の第1連結部31と隣接折板4の第2連結部41が連結可能なように配置されている。そして、フック中央部232aとフック先端部231aが前記第1連結部31を折り込んで保持している。更に、フック中央部232bとフック先端部231bが前記第2連結部41を折り込んで保持している。このようにして、緊締止具2で折板3と隣接折板4が連結されている。また、緊締止具2のいくつかは、図5(D)に示すように緊締受け躯体1に固定されていて、この構成により折板3と隣接折板4は該緊締受け躯体1に固定されている。
図6(A)に、緊締止具2及び緊締受け躯体以外1の存在しない所の折板屋根構造の断面図を示す。折板屋根構造のほとんどの領域はこのように、緊締止具2を介さず折板3と隣接折板4が対向している構造である。図6(B)は断面拡大図である。
この折板屋根構造は軽量にもかかわらず、優れた強度を有している。しかし、この折板屋根構造に対して、上方から許容を超える負圧が作用すると、緊締止具2による折板3及び隣接折板4の第1連結部31及び第2連結部41の折込み構造が崩れて、その結果折板屋根構造が分解してしまう。我々の研究によれば、この折り込み構造の崩れは、前記第1連結部31と前記第2連結部41が、許容を超える負圧の作用で離れてしまうことをきっかけとして分解が進むことが分かっている。
図6(C)は緊締受け躯体1及び緊締止具2が存在しない領域での折板屋根構造の分解を示している。ここでは、折板3と隣接折板4を隣接させて保持する力がそもそも作用していないため、負圧によって大きくその構成が崩れている。一方、図6(E)は緊締受け躯体1と緊締止具2が存在する領域での折板屋根構造の分解を示している。ここでは、同図(C)程でないにせよ、許容を超える負圧によって構造が壊れつつある。
[第1実施形態の構成]
そこで、本発明の折板屋根構造に係る第1実施形態は、緊締受け躯体1と緊締止具2が存在しない所の断面において図1に示す折板屋根構造である。図1(A)は同折板屋根構造の断面図、(B)は斜視図、(C)はX1−X1矢視断面図である。対向している折板3の第1連結部31と隣接折板4の第2連結部41に当て板51が渡されている。該当て板51と前記第1連結部31が局所的な溶接、例えば、スポット溶接で固定されている。また、該当て板51と前記第2連結部41が局所的な溶接、例えば、スポット溶接で固定されている。図1(B)と(C)の溶接部5Aがスポット溶接された箇所である。当て板51の長さは、1箇所又は複数個所スポット溶接をするのに必要な長さを適宜確保すれば十分である。
折板屋根構造の分解は、折板3の第1連結部31と、隣接折板4の第2連結部41の間が開いてしまうことがきっかけとなるので、この部分を溶接部5Aで固着することは、効率的に折板同士の開きを防ぐことができる。したがって、溶接箇所を最小限に抑えながら、折板屋根構造の負圧耐力を最大限に向上させる効果がある。
また、板材に貫通孔を設けてボルト等で締め付けるものではないため、水密性が確保されるという効果もある。更に前記当て板は上向きであって、溶接すべき箇所を視認しやすいという効果がある。また、溶接部5Aはキャップ材6で覆われるため、該溶接部5Aを形成するに際してメッキが剥げたとしても、直接風雨に曝されることがないという効果がある。
[第2実施形態の構成]
本発明の折板屋根構造に係る第2実施形態は、緊締受け躯体1と緊締止具2が存在しない所の構造であって、図2(A)の斜視図及び(B)のX2−X2矢視断面図に示された折板屋根構造である。同折板屋根構造では、折板3の第1連結部31と隣接折板4の第2連結部42との連結部が長尺であるキャップ材6Dで覆われている。該キャップ材6Dは折板3と同じ長さでも良いが、継ぎ足して、該折板3と同じ長さにしても良い。
そして、同折板屋根構造では、前記第1連結部31とキャップ材6Dが局所的に溶接されている。例えば、スポット溶接である溶接部5Bが形成されている。更に、前記第2連結部41とキャップ材6Dが局所的に溶接されている。例えば、スポット溶接である溶接部5Bが形成されている。
第2実施形態に係る折板屋根構造は、溶接箇所が極めて少ないにもかかわらず、格段に負圧耐力を向上させる効果がある。更に、前記キャップ材6Dで前記第1連結部及び前記第2連結部を覆った後に溶接するため、当て板が不要で、作業が単純化される効果がある。また、前記キャップ材6Dも溶接されるので、ずれなくなるという効果がある。更に、キャップ材6Dで覆った後に溶接するので、既設の屋根に対して、容易に負圧耐力を強化できる効果がある。
[第3実施形態の構成]
本発明の折板屋根構造の緊締止具2は、折板3と隣接折板4の移動を規制するものである。これら折板の長手方向以外の方向への移動は強く規制されている。しかし、長手方向については、フック機能部23と第1連結部31間の摩擦力と、該フック機能部23と第2連結部41間の摩擦力で、動きが規制されているに過ぎない。緊締止具2のある場所を避けるようにして設けられた溶接部5があってもこの事情に変わりはない。
ところで、折板温度の変化により、同折板は長手方向に若干の伸縮をする。100メートル以上に亘る長尺な折板では、この伸縮量が20mmに及ぶことがある。そこで、本発明の第3実施形態に係る折板屋の構造では、溶接部5を第1連結部31が緊締止具2に接している部分から、折板3の長手方向に20mm以上離れている所に形成されていることとする。
このような構成にすることで、負圧耐力を向上させつつも、折板3と隣接折板4の長手方向の動きを強固に規制するものではないものとすることができる。このため、これら折板の伸縮により内部に生じた応力を解放することができるという効果がある。このように応力を解放できるので、前記折板の板鳴低減効果と金属疲労防止効果がある。尚、前記折板3及び隣接折板4の長さに応じて伸縮量に差異がある。そこで、前記折板3の長さが短い場合には、前記20mmよりも隔離距離が小さくてもよい。
[第1実施形態の施工方法]
本発明の折板屋根構造に係る第1実施形態の施工方法を説明する。同施工方法は、メッキ鋼板を材料とする長尺な折板3及び隣接折板4と、緊締受け躯体1及び緊締止具2を有する折板屋根構造の施工方法である。緊締止具2は緊締受け躯体1に固定されたフック基部22とフック機能部23を形成する。一方、折板3と隣接折板4として、その中央部に帯状の主板32を有して、その両側の中の一端には長尺である第1連結部31が設けられ、他の一端には長尺である第2連結部41が設けられている折板を用いる。
まず、従来施工法と同様に、折板3の第1連結部31と、隣接折板4の第2連結部41をそれぞれ、緊締止部2のフック機能部23に折り込んで保持させる(図3(A))。この工程を経た後は、緊締止具2の存在しない領域においても同折板屋根構造では、緊締止具2を介さず折板3の第1連結部31と隣接折板4の第2連結部41が対向している状態となる(同図(B))。そこで、緊締止具2を介さずに、対向している折板3の第1連結部31と隣接折板41に当て板51を渡す(同図(C))。次いで、当て板51と前記第1連結部31の間をスポット溶接する。更に、前記当て板51と前記第2連結部41の間をスポット溶接する(同図(D))。
以上の施工方法により、溶接箇所が極めて少ないにもかかわらず、格段に負圧耐力を向上させることができる。また、板材に貫通孔を設けてボルト等で締め付けるものではないため、水密性が確保されるという効果もある。更に前記当て板51は上向きであって、溶接すべき箇所を視認しやすいという効果がある。また、溶接後に前記第1連結部31と第2連結部41をキャップ材6で覆えば、該溶接部5Aを形成するに際してメッキが剥げたとしても、直接風雨に曝されることがないという効果がある。
[第2実施形態の施工方法]
次に、図4に基づいて本発明の折板屋根構造に係る第2実施形態の施工方法を説明する。折板3の第1連結部31と、隣接折板4の第2連結部41をそれぞれ、緊締止部2のフック機能部に折り込んで保持させる。この工程を経た後は、緊締止具2の存在しない領域においても同折板屋根構造では、緊締止具2を介さず折板3の第1連結部31と隣接折板4の第2連結部41が対向している状態となる。
ここまでは、第1実施形態と同様である(図3(B)と図4(A))。そこで、これら第1連結部31と第2連結部41をキャップ材6Dで覆う。覆った後は、図3(B)に示すように、前記キャップ材6Dと前記第1連結部31を局所的にスポット溶接して固定し、前記キャップ材6Dと前記第2連結部41を局所的にスポット溶接して固定する。
同折板屋根構造の施工方法は、溶接箇所が極めて少ないにもかかわらず、格段に負圧耐力を向上させる効果がある。更に、前記キャップ材6Dで前記第1連結部及び前記第2連結部を覆った後に溶接するため、当て板が不要で、作業が単純化される効果がある。また、前記キャップ材6Dも溶接されるので、ずれなくなるという効果がある。更に、キャップ材6Dで覆った後に溶接するので、既設の屋根に対して、容易に負圧耐力を強化できる効果がある。
[第3実施形態の施工方法]
次に、本発明の折板屋根構造の第3実施形態の施工方法を説明する。同折板屋根構造の施工方法は、第1実施形態又は第2実施形態の施工方法において、局所的な溶接箇所を、折板3の第1連結部31若しくは隣接折板4の第2連結部41が緊締止具2に接している部分から、折板3の長手方向に20mm以上離れている箇所とする施工方法である。
同折板屋根構造に施工方法を実施することで、負圧耐力を向上させつつも、前記折板と前記隣接折板の長手方向の動きを強固に規制するものではないものとすることができる。このため、これら折板の伸縮により内部に生じた応力を解放することができるという効果がある。このように応力を解放できるので、前記折板の板鳴低減効果と金属疲労防止効果がある。
一般に、メッキ鋼板は電気溶接に向かないといわれている。しかし、アルミニウム重量比55%の合金による、合金メッキ鋼板であれば、その他のメッキ鋼板よりも溶接性が良いとされている。したがって、本発明の折板屋根構造に用いる折板は、例えば、アルミニウム重量比55%の合金メッキ鋼板(例えばガルバリウム鋼板(登録商標)等)など、溶接性に優れたメッキ鋼板を用いることが好ましい。
溶接性に優れたメッキ鋼板を用いても、合金メッキ鋼板の溶接加工は、メッキ成分が溶接電極を汚す等の問題があり、可能な限り溶接箇所を限定したいものである。そこで、本発明の折板屋根構造は、極めて溶接箇所を減じたにもかかわらず、効果的に負圧耐力を向上させる折板屋根構造を提供するものである。
以上説明した、本発明の折板屋根構造の実施形態ではスポット溶接を例として説明したが、各スポット溶接をつなげることにより、シーム溶接化したとしても本発明思想の範囲内である。また、本発明の折板屋根構造は、主に折板屋根に用いられる構造であるが、ルーフデッキなどの床材として用いたり、或いは、垂直に立てて壁材として用いたりしても、本発明思想の範囲内である。
1…緊締受け躯体、2…緊締止具、22…フック基部、23…フック機能部、
231a,231b…フック先端部、232a,232b…フック中央部、
233a,233b…フック首部、3…折板、31…第1連結部、32…主板、
4…隣接折板、41…第2連結部、5,5A ,5B…溶接部、51…当て板、
6,6D…キャップ材。

Claims (9)

  1. メッキ鋼板で形成された長尺な屋根板たる折板が、前記長尺な方向に適宜設けられた緊締止具を間に介して隣接する折板で構成される折板屋根構造において、隣接する2つの折板の連結部同士の連結であって、前記緊締止具を介さずに前記隣接する2つの折板が対向する所において、前記隣接する2つの折板の連結部同士に渡された当て板と該連結部との間、若しくは、前記隣接する2つの折板の連結部同士を覆うキャップ材と該連結部との間に、局所的な溶接部が形成されてなることを特徴とする折板屋根構造。
  2. 請求項1に記載の折板屋根構造において、前記長尺な折板を、前記緊締止具で緊締受け躯体に固定する折板屋根構造であって、前記長尺方向を長手方向と称することとし、該長手方向に直交する方向を幅方向と称することとしたときに、前記折板には主板の幅方向の一端に長尺である第1連結部が設けられ、他の一端には長尺である第2連結部が設けられ、前記折板の第1連結部と、前記折板に隣接する折板の第2連結部が連結した配置であって、前記第1連結部と前記第2連結部が一定の間隔を保って前記緊締止具に保持された状態にして、前記緊締止具を介さずに前記隣接する2つの折板が対向する所において、前記隣接する2つの折板の連結部同士に渡された当て板と該連結部との間、若しくは、前記隣接する2つの折板の連結部同士を覆うキャップ材と該連結部との間に、局所的な溶接部が形成されてなることを特徴とする折板屋根構造
  3. 請求項2に記載の折板屋根構造において、前記緊締止具を介さずに前記隣接する2つの折板が対向する所において、前記隣接する2つの折板の連結部同士に渡された当て板を有し、前記第1連結部と前記当て板の間に局所的な溶接部が形成され、前記第2連結部と前記当て板の間にも局所的な溶接部が形成されてなることを特徴とする折板屋根構造。
  4. 請求項2又は請求項3に記載の折板屋根構造において、前記第1連結部と前記第2連結部を覆うキャップ材を有し、前記緊締止具を介さずに前記隣接する2つの折板が対向する所において、前記第1連結部と前記キャップ材の間に局所的な溶接部が形成され、前記第2連結部と前記キャップ材の間にも局所的な溶接部が形成されてなることを特徴とする折板屋根構造。
  5. 請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4のいずれかに記載の折板屋根構造において、前記溶接部は、前記連結部が前記緊締止具に接している部分から、前記折板の長手方向に20mm以上離れていることを特徴とする折板屋根構造。
  6. メッキ鋼板で形成された長尺な屋根板たる折板が、前記長尺方向に適宜設けられた緊締止具を間に介して隣接する折板で構成される折板屋根構造において、隣接する2つの折板の連結部同士の接合であって、前記緊締止具を介さずに前記隣接する2つの折板が対向する所において、前記隣接する2つの折板の連結部同士に当て板を渡して、該当て板と前記連結部との間、若しくは、前記隣接する2つの折板の連結部同士をキャップ材で覆い、該キャップ材と前記連結部との間を、局所的に溶接することを特徴とする折板屋根構造の施工方法。
  7. 請求項6に記載の折板屋根構造の施工方法において、長尺な折板を、前記緊締止具で緊締受け躯体に固定する折板屋根構造の施工方法であって、前記長尺方向を長手方向と称することとし、該長手方向に直交する方向を幅方向と称することとしたときに、前記折板には主板の幅方向の一端に長尺である第1連結部を設けて、他の一端には長尺である第2連結部を設け、前記第1連結部と前記第2連結部を一定の間隔を保つように前記緊締止具で保持し、前記緊締止具を介さずに前記隣接する2つの折板が対向する所において、前記隣接する2つの折板の連結部同士に前記当て板を渡し、前記第1連結部と前記当て板の間を局所的に溶接し、前記第2連結部と前記当て板の間を局所的に溶接することを特徴とする折板屋根構造の施工方法。
  8. 請求項6又は請求項7に記載の折板屋根構造の施工方法において、長尺な折板を、前記緊締止具で緊締受け躯体に固定する折板屋根構造の施工方法であって、前記長尺方向を長手方向と称することとし、該長手方向に直交する方向を幅方向と称することとしたときに、前記折板には主板の幅方向の一端に長尺である第1連結部を設けて、他の一端には長尺である第2連結部を設け、前記第1連結部と前記第2連結部を一定の間隔を保つように前記緊締止具で保持して前記隣接する2つの折板の連結部同士をキャップ材で覆い、前記緊締止具を介さずに前記隣接する2つの折板が対向する所において、前記第1連結部と前記キャップ材の間を局所的に溶接し、前記第2連結部と前記キャップ材の間を局所的に溶接することを特徴とする折板屋根構造の施工方法
  9. 請求項6、請求項7又は請求項8のいずれかに記載の折板屋根構造の施工方法において、前記連結部が前記緊締止具に接している部分から、前記折板の長手方向に20mm以上離れている箇所に溶接することを特徴とする折板屋根構造の施工方法。
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