JP6686365B2 - トグル式型締機構の型締異常判定方法 - Google Patents

トグル式型締機構の型締異常判定方法 Download PDF

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Description

本発明は、ダイカストマシンや射出成形機等に用いられる、トグル式型締機構の型締異常判定方法に関する。
ダイカストマシンや射出成形機においては、固定盤に取り付けられた固定型に対して、可動盤に取り付けられた可動型を、型閉じ、型締め及び型開きさせる型締機構により、これら2つの金型の型開閉を行わせ、型閉じさせた金型に型締力を付与させる。そして、射出機構により、溶融状態の軽金属や樹脂を、型閉じさせた金型内部に形成される金型キャビティ(空間)内に射出充填させて、金型キャビティ内の軽金属や樹脂の冷却固化後にこれら2つの金型を開いて、所望の形状の成形品を得ることができる。
このような型締機構には、大きく分けて直圧式型締機構とトグル式型締機構とがある。後者のトグル式型締機構は、トグルリンクを屈曲・伸張させて、上記可動型の型閉じ、型締め及び型開きを行わせる型締機構であり、型開閉と型締めとを1つの駆動源(直動アクチュエータ)で行える点や、所望される型締力を、それよりも小さな駆動力を有する駆動源により得られる(倍力特性)点や、最大型締力が得られる、トグルリンクを完全に伸張させた状態(ロッキング状態)においては、これを維持するのに駆動源の出力維持を必要としない点等のメリットがある。
図1他を用いて、一般的なトグル式型締機構10について説明する。図1のトグル式型締機構10は油圧駆動式である。マシンベース13上には、固定盤14が固定キー14aを介して固定的に載置されている。可動盤15は、マシンベース13上に、摺動移動可能に載置されている。固定盤14及び可動盤15間には、固定型12aと可動型12bとからなる金型12が取り付けられており、可動盤15を前後方向(型開閉方向/図1の左右方向)に移動させることにより、固定型12aに対して可動型12bを型開閉させることができる。
可動盤15の後方(図1の左側)には、トグルリンクが装着されている。可動盤15の上方側には、トグルピン40を介してトグルリンク22の一端が連結され、更に、同他端にはミッドリンク23の一端が連結されている。ミッドリンク23の他端は、リンクハウジング16の上方側にトグルピンを介して連結されると共に、同ミッドリンク23の略中間部が、クロスヘッドリンク24の一端ともトグルピンを介して連結される。クロスヘッドリンク24の他端はクロスヘッド25の上方側と連結されている。一方、可動盤15及びリンクハウジング16の下方側間にも上記と同様のトグルリンクが構成され、下方側のクロスヘッドリンク24の他端がクロスヘッド25の下方側と連結されている。そして、リンクハウジング16に固定されている型締シリンダー20(直動アクチュエータ)のシリンダーロッド21の可動盤15側の端部(図1の右側)が、クロスヘッド25と結合されている。尚、トグルピンは全て符号40で示すものとするが、図1においては、代表して、トグルリンク22の一端側(可動盤15側)のトグルピン40のみ表記する。また、トグルリンク22、ミッドリンク23及びクロスヘッドリンク24を総称してトグルリンクと呼称することがある。
固定盤14、可動盤15及びリンクハウジング16には、4本のタイバー17が貫通しており、それぞれのタイバー17は、固定ナット18により固定盤14にねじ固定され、可動ナット19によりリンクハウジング16にねじ固定される。
また、可動盤15と同様に、リンクハウジング16もマシンベース13上に、摺動移動可能に載置されている。ここで、可動ナット19は、リンクハウジング16の可動ナット19と同じ面に配置される図示せぬダイハイト調整装置によって回転させることが可能である。この構成により、ダイハイト調整装置によって可動ナット19を回転させ、金型12の型厚及び所望する型締力に応じてリンクハウジング16及び、トグルリンクでリンクハウジング16と連結された可動盤15の、マシンベース13上の型開閉方向の位置を調整することができる。
型締シリンダー20には、図示せぬ油圧装置から高圧の作動油を供給させて、シリンダーロッド21を前進(図1の右側)させたり(ヘッド室20aに作動油を供給)、後退(図1の左側)させたり(ロッド室20bに作動油を供給)することができる。この動作によって、クロスヘッド25を型開閉方向に移動させると共に、トグルリンクを屈曲・伸張させて、可動盤15を型開閉方向に移動させることができる。
図2は、可動盤15を後退(図2の左側)させ、固定型12aから可動型12bを型開きさせた状態を示す。型締シリンダー20のロッド室20bに作動油を供給させて、シリンダーロッド21を後退させて、トグルリンクを屈曲させることによって可動盤15を後退させる。この型開き状態において、金型12内で成形された成形品を図示しない取出手段により金型から取り外し、機外へと搬送させる。この状態において、トグルリンク22及びミッドリンク23は最大屈曲状態であり、固定ナット18及び可動ナット19間距離はLである。
図2の状態から、型締シリンダー20のヘッド室20aに作動油を供給させ、シリンダーロッド21を前進(図2の右側)させると、トグルリンクを伸張させて、可動盤15を前進させることができる。そして、図1に示すように、可動型12bを固定型12aに接触(型タッチ)させる。この状態において、トグルリンク22及びミッドリンク23は屈曲状態であり、固定ナット18及び可動ナット19間距離はLである。
この状態から、更に、シリンダーロッド21を前進(図1の右側)させると、クロスヘッド25も前方に移動し、図3に示すように、トグルリンク22及びミッドリンク23が一直線(固定ナット18及び可動ナット19間距離はL+α(アルファ))となり、金型12に型締力が付与される状態になる。このように、図1の状態(トグルリンク22及びミッドリンク23は屈曲状態)から図3の状態(トグルリンク22及びミッドリンク23が一直線)にさせることによって、その両端が、固定盤14及びリンクハウジング16に固定されているタイバー17を長さαだけ伸張(弾性変形)させて、その反力として、タイバー17の伸張量に準じた型締力を金型12に付与させることができる。尚、図1の状態から図3の状態にさせる間、4本のタイバー17が、均一に伸張されるよう、また、所望する伸張量(所望する型締力)を得られるように、それぞれの可動ナット19を回転させて、マシンベース13上のリンクハウジング16の型開閉方向の位置は予め調整されている。
このようなトグル式型締機構においては、クロスヘッド25の位置により、型締シリンダー20の駆動力に対する、可動盤15が金型12を押圧させる押圧力の比率(トグル倍率)が変化する。具体的には、クロスヘッド25を固定盤14側へ移動させて、トグルリンク22及びミッドリンク23の屈曲状態を伸張状態へと移行させ、両リンクを一直線に近づけるに連れてトグル倍率が大きくなる。すなわち、両リンクを一直線にさせる型締状態において、型締シリンダー20の駆動力に対して、可動盤15が金型12を押圧させる押圧力を最も大きくさせることができるので、型締シリンダー20の駆動力に対して、同駆動力より大きな型締力を発生させることできる(倍力特性)。
図4に、正常な型締動作を示す。図4(a)に示す型締途中(型締力が上昇中)においては、クロスヘッド25を前進(図4の右側)させることにより、トグルリンク22及びミッドリンク23を一直線になるまで伸張させる。この時、トグルリンク22、ミッドリンク23及びクロスヘッドリンク24には、それぞれのリンク両端のトグルピンから矢印で示す圧縮力が作用している。そして、トグルリンク22及びミッドリンク23を一直線にさせた、図4(b)に示す型締完了時において、トグルリンク22及びミッドリンク23の、それぞれのリンク両端のトグルピンから作用する圧縮力は最大になる一方、クロスヘッドリンク24に、その両端のトグルピンからの圧縮力や引張力が作用しない状態となる。そのため、先に説明したように、この状態(ロッキング状態)を維持するのに、型締シリンダー20のヘッド室20aに作動油の供給を継続させて、型締シリンダー20に出力維持させる必要がない。
図5に、リンクハウジング16とミッドリンク24を連結する、トグルピン40とブッシュ40aを示す。トグルピン40は、図示しないトグルピンカバーによってリンクハウジング16側に固定されており、またブッシュ40aはミッドリンク24に嵌め込まれて固定されている。型開閉時のトグルリンクの屈曲・伸張動作においては、トグルピン40を回転中心としてミッドリンク24が回転する。その時、トグルピン40とブッシュ40aの間には潤滑油が供給されているので、大きな型締力が作用している状態でも、滑らかに回転することができる。
しかしながら、潤滑油の供給が不適切な場合、あるいは、潤滑油の供給が適切であったとしても、型開閉時のトグルリンクの屈曲・伸張動作は、負荷を伴う各リンクの回転摺動であるため、長期間の使用により、全てのリンクピン40と組み合わされるブッシュの摩耗の進行は回避し得ない。例えば、リンクハウジング16とミッドリンク24を連結するトグルピン40及びブッシュ40aについては、図5に示すように、トグルピン40がブッシュ40aの固定盤14側(図5の右側)に食い込むようにブッシュ40aの磨耗(図5の磨耗部分)が進行する。その結果、型開閉時のトグルリンクの屈曲・伸張動作において、それぞれのトグルリンクの回転運動にガタツキが生じ、可動盤15とリンクハウジング16との相対的な位置関係にも影響を及ぼす。
トグル式型締機構10によって、型締状態から型開き工程に移行する時の状態を、図6に示す。図6(a)はトグルリンク22及びミッドリンク23が一直線となる正常な型締状態から、型開き工程に移行する場合である。各リンクのトグルピン40と組み合わされるブッシュ40aの磨耗が進行しておらず、各リンクのガタツキのない正確な回転摺動が確保されているため、上方側のトグルリンク22及びミッドリンク23と、下方側のトグルリンク22及びミッドリンク23とが、クロスヘッド25の後退(図6の左側)動作に伴い、共に中心線側に対称に内側へ屈曲を開始し、スムーズな型開き工程が実施できる。
しかしながら、ブッシュ40aの磨耗が進行し、各リンクの回転摺動にガタツキが生じると、型締状態であっても、トグルリンク22及びミッドリンク23が一直線にならず、図6(b)に示すような、上方側及び下方側のトグルリンク22及びミッドリンク23が、それぞれのリンクの自重により、下方側へ僅かに突出する屈曲状態となる。また、この上下各リンクの下方側へ突出する屈曲状態により、クロスヘッド25は、上方のクロスヘッドリンク24からは同自重分、下方に押圧され、下方のクロスヘッドリンク24からは同自重分、下方への引張力を受け、クロスヘッド25全体として下方への荷重を受ける。
一方、型締シリンダー20のシリンダーロッド21と平行に、同シリンダーロッド21の左右(図6の図面奥及び図面手前)に、リンクハウジング16側から水平支持された図示しないガイドロッドが配置されている。そして、クロスヘッド25も、同ガイドロッドに、図示しないガイドロッドブッシュを介して、型開閉方向の移動を案内及び支持されている。そのため、ガイドロッドブッシュが磨耗していない状態においては、上記のような下方への荷重に対して型開閉方向の移動が支持されるが、ガイドロッドブッシュの磨耗が進行すると、正規の型開閉動作における水平位置より下方を摺動したり、ガタツキが生じて傾きを生じたりする。
また、型締シリンダー20のシリンダーロッド21については、型締シリンダー20の本体内の、同ロッドのヘッド室20a側のピストン(図示せず)と、同ロッドの、型締シリンダー20のクロスヘッド25側の摺動部(図示せず)とが所定距離だけ離間している状態においては水平に2点支持される。そのため、シリンダーロッド21の可動盤15側の端部(図6の右側)に結合されているクロスヘッド25に、下方への荷重が作用しても、上記2点支持の距離が所定距離確保されている状態においては、シリンダーロッド21を水平に支持させることができる。しかしながら、型締状態においては、型締シリンダー20のシリンダーロッド21は、同ロッドを最も前進(図6の右側)させた状態であるため、上記2点支持の距離が最短となり、クロスヘッド25を介してシリンダーロッド21先端に作用する下方への荷重を支持することが困難である。従って、トグルピンのブッシュ40aの磨耗や、ガイドロッドブッシュの磨耗の進行に伴い、上下両方のクロスヘッドリンク24から下方への荷重を受けるクロスヘッド25には、傾いた姿勢での型締状態が発生する。
このような、型締時において、クロスヘッド25が傾き、上下双方のトグルリンクが共に下方に屈曲された状態における、下方のトグルリンクの状態を逆トグル状態と呼称する。このような逆トグル状態(図6(b)のP部)が発生した場合、逆トグル状態の程度にもよるが、クロスヘッド25を後退(図6の左側)させて型開き工程を行なおうとしても、既に下方のトグルリンク22とミッドリンク23とが下方に屈曲状態であるため、これら2つのリンクをトグル式型締機構10の中心線側(図6の上方)に屈曲させることが困難となる。これをロックアップ状態と呼称する。
また、このように、下方のトグルリンクに逆トグル状態が発生した場合、上方のトグルリンク22及びミッドリンク23は、下方に屈曲された状態から一直線になる手前で型締め状態となり、下方のトグルリンク22及びミッドリンク23は、上方に屈曲された状態から、一直線になるロッキング状態を一度経由して、更に、下方へと屈曲されて型締め状態となっている。そのため、図6(b)に示す状態においては、上方及び下方のいずれのタイバー17も、設定型締力を発生させるために必要なタイバー17の伸張量αまで伸張されず、後述するような伸張量α”や伸張量β(ベータ)(α”<α、β<α)までの伸張に留まっており、型開きが困難なばかりか、型締め状態において、金型12に設定型締力を付与させることも困難となる。
更に、型締シリンダー20が油圧式の場合、型開き動作時に、型締シリンダー20のシリンダーロッド21を後退(図6の左側)させる、すなわち、受圧面積がヘッド室20aよりも小さなロッド室20b側に作動油を供給させることが一般的であるため、型締動作時のシリンダーロッド21の前進力に対して、シリンダーロッド21の後退力は小さい。その結果、型閉じから型締状態へとトグルリンクを伸張させる際に、ロックアップ状態を発生させることあっても、型締め状態から型開きさせる際に、このロックアップ状態を解消させることが困難な場合が多い。ロックアップ状態が発生すると、鋳造運転を即座に停止し、型締装置を分解するなどして修復をする必要がある。
尚、これまで説明したように、トグルリンク22及びミッドリンク23の自重が下方に作用するため、トグルピンのブッシュやガイドロッドブッシュの磨耗の進行を主要因とする逆トグル状態は下方のトグルリンクに発生する場合が多い。しかしながら、逆トグル状態は、タイバー17に案内されて型開閉方向に移動される可動盤15のマシンベース13に対する高さ調整や、固定盤14(の金型取付面)に対する可動盤15(の金型取付面)の平行度の調整が適正でない場合にも発生する。このような場合、これとは逆に、上下方向のトグルリンクがそれぞれ上方に屈曲状態となり、上方のトグルリンクが逆トグル状態になったり、ブッシュ類が磨耗した場合と同様に、下方のトグルリンクが逆トグル状態になったりする場合もある。また、このように、可動盤15の高さや、固定盤14に対する可動盤15の平行度の調整が適正でない場合、トグルピンのブッシュやガイドロッドブッシュの磨耗を正常時よりも早く進行させたり、偏磨耗状態を発生させたりするような、可動盤15に関する適正でない調整とブッシュ類の磨耗の進行との複合的な要因で逆トグル状態が発生する場合もある。すなわち、逆トグル状態は、トグルリンクの幾何学的な上下の対称性が許容範囲内で確保されていない場合に発生するものであって、逆トグル状態の要因によらず、いずれの逆トグル状態の場合もロックアップ状態となり、型開きが困難になる。
このような、トグル式型締機構の逆トグル状態の発生や、逆トグル状態の発生に起因するロックアップ状態の発生を防止するため、出願人は、特許文献1(トグル式型締装置におけるトグル機構の劣化診断方法及び装置)を考案している。具体的には、トグル式型締機構を構成する各構成部品の相対位置関係を非接触式変移センサーで測定し、基準値からの差異で劣化を診断させるものである。
特開2011−005796号公報
特許文献1においては、トグル式型締機構を構成する各構成部品の相対位置関係として、クロスヘッドの傾きや、可動プラテンとリンクハウジングとの間の距離を挙げている。これらの相対的位置関係を非接触式変移センサーで測定するため、型開閉動作毎に可動する各構成部品に、直接センサー類を配置させる必要がなく、センサー類の取付位置や配線の取り回しの制約が少ないため、型締状態における、下方のトグルリンクの逆トグル状態や、その程度を測定することが容易である。
しかしながら、ダイカストマシンや射出成形機のトグル式型締機構は、複数の構成部材から構成される機構であるため、構成部材であるクロスヘッドの傾きや、可動プラテンとリンクハウジングとの間の距離には僅かな機械的誤差や機差が生じる。これら機械的誤差や機差を許容範囲内とすることで、トグル式型締機構の品質が維持されるが、特許文献1のトグル式型締装置におけるトグル機構の劣化診断方法及び装置においては、これらのクロスヘッドの傾きや、可動プラテンとリンクハウジングとの間の距離を計測して、その計測値と予め設定する基準値(許容値)と比較して劣化を診断させる。すなわち、基準となる正常な状態のクロスヘッドの傾きや、可動プラテンとリンクハウジングとの間の距離に、許容範囲内であっても機械的誤差や機差があるため、同じ仕様のトグル式型締機構であっても、劣化診断を行なわせる基準値を一律に設定することができないという問題がある。
また、上記のような機構毎の機械的誤差や機差があるため、逆トグル状態となるクロスヘッドの傾きや、可動プラテンとリンクハウジングとの間の距離を机上の計算で求めたとしても、実際に逆トグル状態となるこれら計測値が机上の計算と異なる場合がある。そのため、先に説明した、正常な状態における基準となるこれら計測値が一様でない点と合わせて、実際に逆トグル状態を診断(判定)させる基準値(許容値)を設定するためには、そのトグル式型締機構の運転実績や、その運転実績中におけるロックアップ状態発生時のこれら計測値の記録データが必要となるため、これらデータが蓄積されるまでは、好適な基準値(許容値)の設定が難しいという問題がある。
本発明は、上記したような問題点に鑑みてなされたもので、具体的には、逆トグル状態の発生を容易に判定して、ロックアップ状態の発生を防止することができる、トグル式型締機構の型締異常判定方法を提供することを目的としている。
本発明の上記目的は、固定盤に取り付けられた固定型に対して、可動盤に取り付けられた可動型を、トグルリンクを屈曲・伸張させて、型閉じ、型締め及び型開きさせるトグル式型締機構の型締異常判定方法であって、
前記型閉じ、前記型締め及び前記型開きの間、前記可動盤を型開閉方向に案内させる複数のタイバーの動ひずみ量を、タイバー動ひずみ量検出手段により計測させて、該動ひずみ量から算出させる型締力を監視させると共に、
前記型締め状態の初期及び末期の少なくとも一方における型締力1が、前記型締め状態の中期における型締力2よりも許容値1より大きい場合に逆トグル状態の発生であると判定させる、トグル式型締機構の型締異常判定方法によって達成される。
そして、このトグル式型締機構の型締異常検出方法においては、1回目の型締異常判定時に警報を発信させ、
2回目以降の型締異常判定時に、前記型締力1と前記型締力2との差異が許容値2より大きい場合に次サイクルを開始させないことが好ましい。
また、本発明の上記目的は、固定盤に取り付けられた固定型に対して、可動盤に取り付けられた可動型を、トグルリンクを屈曲・伸張させて、型閉じ、型締め及び型開きさせるトグル式型締機構の型締異常判定方法であって、
前記型閉じ、前記型締め及び前記型開きの間、前記可動盤を型開閉方向に案内させる複数のタイバーの動ひずみ量を、タイバー動ひずみ量検出手段により計測させて、該動ひずみ量を監視させると共に、
前記型締め状態の初期及び末期の少なくとも一方における動ひずみ量1が、前記型締め状態の中期における動ひずみ量2よりも許容値1より大きい場合に逆トグル状態の発生であると判定させる、トグル式型締機構の型締異常判定方法によっても達成される。
そして、このトグル式型締機構の型締異常検出方法においても、1回目の型締異常判定時に警報を発信させ、
2回目以降の型締異常判定時に、前記動ひずみ量1と前記動ひずみ量2との差異が許容値2より大きい場合に次サイクルを開始させないことが好ましい。
また、上記いずれのトグル式型締機構の型締異常検出方法であっても、前記型締異常が、前記型締め状態において、前記トグルリンクが伸張状態を越えて、通常の屈曲方向と逆に屈曲する状態の発生であるものとする。
本発明に係る、トグル式型締機構の型締異常検出方法は、固定盤に取り付けられた固定型に対して、可動盤に取り付けられた可動型を、トグルリンクを屈曲・伸張させて、型閉じ、型締め及び型開きさせるトグル式型締機構の型締異常判定方法であって、
前記型閉じ、前記型締め及び前記型開きの間、前記可動盤を型開閉方向に案内させる複数のタイバーの動ひずみ量を、タイバー動ひずみ量検出手段により計測させて、該動ひずみ量から算出させる型締力を監視させると共に、
前記型締め状態の初期及び末期の少なくとも一方における型締力1が、前記型締め状態の中期における型締力2よりも許容値1より大きい場合に型締異常と判定させるため、逆トグル状態の発生を容易に判定して、ロックアップ状態の発生を防止することができる。
また、本発明に係る、トグル式型締機構の型締異常検出方法は、複数のタイバーの動ひずみ量から算出させる型締力の代わりに、
前記型締め状態の初期及び末期の少なくとも一方における動ひずみ量1が、前記型締め状態の中期における動ひずみ量2よりも許容値1より大きい場合に型締異常と判定させるため、逆トグル状態の発生を容易に判定して、ロックアップ状態の発生を防止することができる。
ダイカストマシンや射出成形機に用いられる、一般的な油圧駆動のトグル式型締機構を示す図である。 トグル式型締機構の、金型を開いた状態を示す図である。 トグル式型締機構の、金型に型締力を付与させている状態を示す図である。 トグル式型締機構における正常なトグル型締状態を示す図である。 トグル式型締機構のブッシュが摩耗している状態を示す図である。 トグル式型締機構の、正常な型締状態、及び、逆トグル状態が発生した型締状態からの型開き開始時を示す図である。 トグル式型締機構において、型閉じ、型締め及び型開きさせる間の時間経過に伴う型締力の増減を示す図(グラフ)である。
以下、本発明を実施するための形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
図7を参照しながら本発明の実施例1に係る、トグル式型締機構の型締異常判定方法を説明する。本実施例1に係る、トグル式型締機構の型締異常判定方法を行うために、先に、図1他を用いて説明した一般的なトグル式型締機構10に特殊な構成は必要ない。必要な構成は、タイバーの動ひずみ量(伸張量)をリアルタイムで計測可能なタイバー動ひずみ量計測手段のみである。
このようなタイバー動ひずみ量計測手段は各種市販されているが、タイバーゲージやリニアゲージ(リニアスケール)が一般的である。
まず、タイバーゲージは、ベース部に貼り付けたひずみゲージを、フィルム等の保護カバー及び同ベースを介して、タイバー17表面に金属製ベルト等で圧着させるものであり、計測値を別体の受信機やパソコン等に有線・無線で送信することができる。タイバーゲージに使用されるひずみゲージは、一般的には、薄い絶縁体上に金属の導体を櫛歯状に配置した等方性導体であり、これを測定対象に圧着させた状態で通電させる。通電中に被測定対象に応力が加わり変形する(ひずみが生じる)と、ひずみゲージ中の櫛歯状に配置された金属の導体も、非計測対象と同様に変形するため、この導体の電気抵抗率が変化し、電流値や電圧値も変化する。これを測定することによって被測定対象の1方向の変形量(タイバー17の伸張量)を測定できる。
簡易的には、出荷前のトグル式型締機構10の型締力調整等において、単体のひずみゲージを、測定したいひずみ方向(タイバー17の伸張量)に合わせて、瞬間接着剤等で複数のタイバー17それぞれの同じ位置に貼り付け、型締時のタイバー17毎の伸張量を計測して、型締状態において、すべてのタイバー17が許容範囲内で略均等に伸張するように調整する(具体的には、各タイバー17に対する可動ナット19の位置調整)ために使用される。一方、鋳造中も含め、常時、型締力を監視させたい場合等には、タイバーゲージが採用される。
また、常時、タイバー17の伸張量を監視させたい場合等には、リニアゲージ(リニアスケール)が採用される場合もある。リニアゲージは、寸法検出部分に光または磁気を使用したデジタルスケールを用い、光パルスあるいは磁気パルスをデジタルカウンターで検出・カウントする棒状の精密測長器である。例えば、固定盤14側に突出したタイバー17の端面に、装着するリニアゲージのデジタルスケールが挿入可能な軸心方向の孔を加工し、同端面側にリニアゲージの一端を固定すると共に、リニアゲージの他端(デジタルスケールの寸法検出部)を加工した孔の底部に固定する。リニアゲージの一端が固定されたタイバー17の端面は、型締め状態や射出充填工程中においても、タイバー17の伸張量の影響を受けることはない。そのため、タイバー17が伸張されると、加工した孔の底部に固定されたリニアゲージの他端の位置もタイバー17の伸張方向(軸方向)に移動するため、リニアゲージ全体が挿入された孔の長さの伸張量を直接、正確に測定できる。
リニアゲージは、ひずみゲージやタイバーゲージに比べれば高価格であり、タイバー17端に孔加工が必要になる等のデメリットがある一方、タイバー17の外周面にセンサーや電気配線が露出せず、外部環境の影響を受け難いため、恒久的にセンサーを装着したい場合により好適である。
また、タイバー動ひずみ量計測手段は、タイバーゲージやリニアゲージだけでなく、レーザーや赤外線等の各種光線や超音波等を使用して、正確に2点間の距離を計測可能な距離センサーを、固定盤14及び可動盤15の各タイバー17近傍に配置させ、固定盤14及び可動盤15間距離をリアルタイムで計測させて、この盤間距離の変化を各タイバー17の伸張量とする形態でもあっても良い。更に、同様の計測は、固定型14及び可動型15の金型側面に対向するように配置させた各種距離センサーにより、固定型14及び可動型15間距離を計測することによっても行うことができる。タイバー動ひずみ量計測手段にどのような手段やセンサーを採用するかは、適宜選択されればよい。
ここで、トグル式型締機構10のタイバー17のヤング率や直径等の情報があれば、タイバーの軸方向の動ひずみ量、すなわち、タイバー17の伸張量から、その反力として発生するタイバー17毎の型締力の算出は、トグル式型締機構10を有するダイカストマシンや射出成形機の制御装置内において容易に行わせることができる。すなわち、タイバー17の動ひずみ量とその動ひずみ量に対応する型締力は1対1の関係にあり、両数値は同等の意味合いを有する。本実施例1においては、複数のタイバー17の動ひずみ量を、タイバー動ひずみ量計測手段によりリアルタイムで計測させて、その動ひずみ量から型締力を算出させる構成であり、算出させた型締力をリアルタイムで監視させるものとする。尚、図を簡単にするために、図1他に、タイバー動ひずみ量計測手段は図示していない。
図7は、トグル式型締機構10において、型閉じ、型締め及び型開きさせる間の時間経過に伴う、1本のタイバー17に生じる型締力の増減を示す図(グラフ)である。グラフの左下が原点であり、横軸が時間経過(sec.)、縦軸が設定型締力を100%とした型締力(%)を示している。図7(a)は、トグルリンクの幾何学的な上下の対称性が許容範囲内で確保されており、且つ、トグルピンのブッシュやガイドロッドブッシュの磨耗が進行しておらず、近傍のトグルリンクに逆トグル状態が発生しない、正常な型閉じ、型締め及び型開きが行われる場合の時間経過に伴う型締力の増減を示している。
可動型12bを固定型12aに型閉じさせて、接触(型タッチ)させるまで(型閉じ工程A)は、タイバー17が伸張されることはなく型締力は発生していない(型締力0%)。図1や図4(a)に示す型タッチ状態において、トグルリンク22及びミッドリンク23は屈曲状態であり、固定ナット18及び可動ナット19間距離はLである。
この状態から、更に、シリンダーロッド21を前進(図1の右側)させると、クロスヘッド25も前方に移動し、図3に示すように、トグルリンク22及びミッドリンク23が一直線(固定ナット18及び可動ナット19間距離はL+α(アルファ))となり、金型12に設定型締力が付与される状態になる。この型締め状態への移行の間、図7(a)に示すように、型締力が発生して、設定型締力(型締力100%)まで一気に到達する(型締力付与工程B)。先に説明したように、トグルリンク22及びミッドリンク23を一直線にさせると、クロスヘッドリンク24に、その両端のトグルピンから圧縮力や引張力は作用せず、型締シリンダー20に出力維持させる必要はない。
予め設定させた型締時間(型締め工程C)が経過した後、図2に示すように、型締シリンダー20のシリンダーロッド21を後退させて、トグルリンクを屈曲させることによって可動盤15を後退させる。この間、型締力は、設定型締力(型締力100%)が開放されて、一気に型締力0%まで低下(型締力開放工程D)し、そのまま可動盤15の後退が継続される(型開き工程E)。尚、本実施例においては、図7における型締力付与工程B、型締め工程C及び型締力開放工程Dを合わせて「型締め」と呼称し、特に、型締め工程Cを「型締め状態」と呼称するものとする。
このように、正常な型閉じ、型締め及び型開きが行われる場合の時間経過に伴う型締力の増減のグラフは、どのタイバーであっても、型締力付与工程Bに連続する型締め状態の初期、及び、型締力開放工程Dへと連続する型締め状態の末期における型締力(型締力1)が、型締め状態の中期の型締力(型締力2)と略直線状となり、その結果、この場合のグラフは略台形形状となり、型締力1≒型締力2≒設定型締力の関係が成立する。
一方、トグルピンのブッシュやガイドロッドブッシュの磨耗の進行や、可動盤15の高さや平行度の調整に起因して、トグルリンクの幾何学的な上下の対称性が許容範囲内で確保されない状態になり、下方もしくは上方いずれかのトグルリンクに逆トグル状態が発生すると、逆トグル状態が発生した近傍のタイバー17において、型締め状態の初期及び末期において、図7(b)のQ部に示すように、型締め状態の中期の型締力(型締力2)を超える型締力(型締力1)が短時間発生する現象が発生する。これは、正常な型閉じ、型締め及び型開きが行われる図7(a)のグラフにはない現象であり、図7のように、型閉じ、型締め及び型開きさせる間の時間経過に伴う型締力の増減を示すグラフにおいて、明確なグラフ形状の差異として出現するため、目視での確認が容易である。尚、図7(b)に示すこのグラフでは、逆トグル状態が発生したトグルリンク22及びミッドリンク23の通常の屈曲方向と逆への突出量(屈曲角度)がわずかであるため、正常な型閉じ及び型開きと同様に、型閉じ及び型開きが行われているものとする。
図7(b)のQ部に示す現象は、以下のような理由で発生するものと推測される。トグル式型締装置10においては、型締シリンダー20のシリンダーロッド21を同シリンダーの機械的前進限まで前進させた状態で、図3に示すような、トグルリンク22及びミッドリンク23が一直線となり、設定型締力に対応する長さ(例えばα)だけタイバー17が伸張されるロッキング状態になるように設計・型締力調整が成されている。そのため、トグルピンのブッシュやガイドロッドブッシュの磨耗の進行に起因して、トグルリンクの幾何学的な上下の対称性が許容範囲内で確保されない状態になると、型締シリンダー20のシリンダーロッド21がその前進限位置に到達する手前で、逆トグル状態が発生するトグルリンクが図3に示すようなロッキング状態になる(型締め状態の初期)。
トグルピンのブッシュの磨耗は、型開閉方向に進行するため、型締シリンダー20のシリンダーロッド21がその前進限位置に到達する手前の、このロッキング状態における固定ナット18及び可動ナット19間距離はL+α’(α’<α)である。型締シリンダー20のシリンダーロッド21がこの位置に到達した時点(仮に仮想ロッキング状態とする)で、この状態における最大型締力(型締力1)が発生し、その後、同シリンダーロッド21が機械的前進限まで前進する間(型締め状態の初期)は、トグルリンク22及びミッドリンク23を、仮想ロッキング状態から逆トグル状態に移行させるだけなので、型締力(タイバー伸張量)は増加することなく減少し、同シリンダーロッド21が機械的前進限に到達した状態(逆トグル状態が発生)では、図6(b)に示すように、固定ナット18及び可動ナット19間距離はL+α”(α”<α’)となり、このタイバー伸張量(α”)に対応する型締力(型締力2)が付与・維持される(型締め状態の中期)。当然ながら、この型締力2(タイバー伸張量α”)は、設定型締力(タイバー伸張量α)よりも型締力1(タイバー伸張量α’)よりも小さい。そのため、型締め状態の初期に、仮想ロッキング状態における型締力1が、型締め状態の中期における型締力2よりも大きなピーク値(Q1)として発生する。
そして、予め設定させた型締時間が経過した後、図2に示すように、型締シリンダー20のシリンダーロッド21を後退させて、トグルリンクを屈曲させることによって可動盤15を後退させる(型締め状態の末期)。この際も、トグルリンク22及びミッドリンク23を、逆トグル状態から仮想ロッキング状態を経由して屈曲させるため、型締め状態の末期に、仮想ロッキング状態における型締力1が、型締め状態の中期における型締力2よりも大きなピーク値(Q2)として発生する。
次に、トグルピンのブッシュやガイドロッドブッシュの磨耗は進行しておらず、可動盤15の高さや平行度の調整に起因して、トグルリンクの幾何学的な上下の対称性が許容範囲内で確保されない状態になる場合について説明する、この場合、ブッシュ類の磨耗が進行していないため、型締シリンダー20のシリンダーロッド21がその前進限位置に到達する手前の、仮想ロッキング状態における固定ナット18及び可動ナット19間距離は略L+αであり、この状態における最大型締力(型締力1≒設定型締力)がピーク値(Q1)として発生する。その後、同シリンダーロッド21が機械的前進限まで前進する間(型締め状態の初期)は、トグルリンク22及びミッドリンク23を、仮想ロッキング状態から逆トグル状態に移行させるだけなので、型締力(タイバー伸張量)は増加することなく減少し、同シリンダーロッド21が機械的前進限に到達した状態(逆トグル状態)では、図6(b)に示すように、固定ナット18及び可動ナット19間距離はL+β(β<α)となり、このタイバー伸張量(β)に対応する型締力(型締力2)が付与・維持される(型締め状態の中期)。
型締め状態の末期も、トグルリンク22及びミッドリンク23を、逆トグル状態から仮想ロッキング状態を経由して屈曲させるため、型締め状態の末期に、仮想ロッキング状態における型締力1(≒設定型締力)が、型締め状態の中期における型締力2よりも大きなピーク値(Q2)として発生する。尚、可動盤15に関する適正でない調整とブッシュ類の磨耗の進行との複合的な要因で逆トグル状態が発生する場合は、ブッシュ類の磨耗の進行に起因する場合に準ずる。このように、逆トグル状態の要因によらず、逆トグル状態の発生により、型締め状態の初期及び末期の少なくとも一方の型締力1が、型締め状態の中期の型締力2よりも大きい、すなわち、型締め状態の初期及び末期のピーク値の発生が生じる。
尚、トグルリンクのトグルピンのブッシュやガイドロッドブッシュは、上下方向だけでなく、左右方向にも複数配置されており、すべてのブッシュの磨耗が完全にバランスをとって進行することは考え難い。また、可動盤15の調整が、高さのみ、あるいは、平行度が二次元的(左右方向や上下方向)にのみ、適正に調整されていない場合も考え難く、実際には、可動盤15の左右の高さ調整が適正でない、あるいは、固定盤14に対して可動盤15が三次元的(左右方向及び上下方向の両方向)に適正に調整されていない場合が多い。そのため、このピーク値は、トグルリンクの幾何学的な上下の対称性の許容範囲からの逸脱の程度によって、型締め状態の初期及び末期の一方にだけ発生する可能性がある。出願人の経験に依れば、型締め状態の末期のみに発生する場合が多い。
特許文献1のように、トグル式型締機構を構成する各構成部品の相対位置関係として、クロスヘッドの傾きや、可動プラテンとリンクハウジングとの間の距離を計測させて、これを基準値(許容値)と比較して劣化診断を行わせる方法では、このようなトグルリンクの逆トグル状態(仮ロッキング状態)が発生しても、これらの、クロスヘッドの傾きや、可動プラテンとリンクハウジングとの間の距離の基準値からの差異が微少な、通常の屈曲方向と逆に屈曲する、その突出量(屈曲角度)がわずかな段階で、逆トグル状態の発生を診断(判定)させることが難しい。
また、先に説明したように、逆トグル状態が発生する場合、型締め状態の中期における型締力2は、設定型締力や型締力1より低くなる。従って、型閉じ、型締め及び型開きさせる間、型締力をリアルタイムで監視せずとも、型締め状態の中期において発生する型締力2のみを監視させれば、設定型締力との比較により、このような逆トグル状態の発生を判定させることは不可能ではない。しかしながら、型締力の計測値には、金型間への異物のかみ込み等により、誤差が生じる場合があったり、先に説明したように、逆トグル状態の発生要因によっては、型締力1が、設定型締力と略同じ場合や、設定型締力よりも小さい場合があったりするため、型締力2と設定型締力との比較ではその差異による判定が難しい。また、どの程度の差異で逆トグル状態が発生するかを判定するには、特許文献1と同様に、そのトグル式型締機構の運転実績や、その運転実績中におけるロックアップ状態発生時の型締力2と設定型締力や型締力1との差異等、計測値の記録データが必要となる。
一方、本実施例に係る、トグル式型締装置の型締異常判定方法においては、型閉じ、型締め及び型開きさせる間の型締力をリアルタイムで監視させて、その結果を、図7に示すような、時間経過に伴う型締力の増減を示すグラフで表示させることができるので、トグルリンクの逆トグル状態の発生を、型締め状態の初期及び末期の少なくとも一方の型締力1が、型締め状態の中期の型締力2よりも大きい、すなわち、型締め状態の初期及び末期のピーク値の発生という、グラフ形状の差異の出現として目視での確認が容易である。
当然ながら、トグルリンクの逆トグル状態の発生から、型締め状態の初期及び末期の型締力1と、型締め状態の中期の型締力2との差異がどの程度になればロックアップ状態が発生するかは判定が難しい。しかしながら、本実施例に係る、トグル式型締装置の型締異常判定方法においては、そのトグル式型締機構の運転実績や、その運転実績中におけるロックアップ状態発生時の型締力2と型締力1との差異等の計測値の記録データがない場合であっても、且つ、通常の屈曲方向と逆に屈曲する、トグルリンクの突出量(屈曲角度)がわずかな逆トグル状態であっても、少なくともそのような逆トグル状態の発生そのものを、グラフ形状の差異の出現として目視で容易に判定することができる。尚、本実施例では、このような逆トグル状態の発生を型締異常と呼称する。
そこで、逆トグル状態の発生、すなわち、型締異常を判定させるための、型締め状態の初期及び末期の少なくとも一方における型締力1が、型締め状態の中期における型締力2よりも大きいと判定するための差異に関する許容値1を予め小さく設定させる。そして、1回目の型締異常判定時にまず警報を発信させることが好ましい。この警報により、トグル式型締機構を備えたダイカストマシンや射出成形機の操作者(オペレータ)は、同トグル式型締機構に逆トグル状態が発生し始めたことを把握できる。
ここで、図7(b)に示すグラフのように、逆トグル状態が発生したからといって、すぐにロックアップ状態が発生する訳ではない。ロックアップ状態は、トグルピンのブッシュやガイドロッドブッシュの磨耗の進行や、可動盤15の高さや平行度の適正でない調整により、逆トグル状態におけるトグルリンクの突出量(屈曲角度)が漸次増加し、ある限界を超えた時点で発生する。そこで、2回目以降の型締異常判定時に、型締力1と型締力2とのその差異が許容値2より大きい場合に次サイクルを開始させないようにすることが更に好ましい。許容値2を許容値1と略同じ値として、2回目の異常判定時に必ず、トグル式型締機構を備えたダイカストマシンや射出成形機をサイクル停止させるという、より安全な対応を行う選択肢も可能である。
しかしながら、そのトグル式型締機構の運転実績や、その運転実績中におけるロックアップ状態発生時の型締力2と型締力1との差異等、計測値の記録データがない、あるいは不十分な間は、ロックアップ状態を発生させないように、許容値2を許容値1より少しだけ大きく設定させることが好ましい。その場合、1回目の異常判定がなされた後、2回目以降の早い段階での異常判定時に、トグル式型締機構10を備えたダイカストマシンや射出成形機が次サイクル停止される。その際、トグルリンクを伸張させて、目視や定められた方法により、リンクピンのブッシュやガイドロッドブッシュの磨耗の進行度合いを確認する。その結果によって、これらブッシュを交換する、あるいは、許容値2をもう少し大きく再設定させて、ダイカストマシンや射出成形機の運転を継続させる、等の判断を行えば良い。こうすることによって、予期せぬロックアップ状態の発生を防止すると共に、逆トグル状態の発生を把握しつつ、リンクピンのブッシュやガイドロッドブッシュの好適な交換タイミングまで、ダイカストマシンや射出成形機の運転を継続させることができる。
以上説明した実施例は、トグル式型締機構10であれば、油圧駆動式でも電動駆動式でも両方に適用可能である。また、トグル式型締機構10を備えたダイカストマシンあるいは射出成形機であれば、いずれにも適用することができる。
本発明は、上記の実施の形態に限定されることなく色々な形で実施できる。例えば、本実施例においては、複数のタイバー17の動ひずみ量を、タイバー動ひずみ量計測手段によりリアルタイムで計測させて、その動ひずみ量から型締力を算出させる構成であり、算出させた型締力をリアルタイムで監視させるものとしたが、先に説明したように、タイバー17の動ひずみ量とその動ひずみ量に対応する型締力は1対1の関係にあり、両数値は同等の意味合いを有する。
そのため、本実施例で説明した型締力を動ひずみ量に置き換えても、トグルリンクの逆トグル状態の発生を、型締め状態の初期及び末期の少なくとも一方の動ひすみ量1が、型締め状態の中期の動ひずみ量2よりも大きい、すなわち、型締め状態の初期及び末期のピーク値の発生という、グラフ形状の差異の出現として目視での確認が容易であるため、本実施例と同様の効果を奏することができる。
10 トグル式型締機構
12a 固定型
12b 可動型
14 固定盤
15 可動盤
17 タイバー
22 トグルリンク
23 ミッドリンク
24 クロスヘッドリンク
25 クロスヘッド
40 トグルピン
40a ブッシュ

Claims (4)

  1. 固定盤に取り付けられた固定型に対して、可動盤に取り付けられた可動型を、トグルリンクを屈曲・伸張させて、型閉じ、型締め及び型開きさせるトグル式型締機構の型締異常判定方法であって、
    前記型閉じ、前記型締め及び前記型開きの間、前記可動盤を型開閉方向に案内させる複数のタイバーの動ひずみ量を、タイバー動ひずみ量検出手段により計測させて、該動ひずみ量から算出させる型締力を監視させると共に、
    前記型締め状態の初期及び末期の少なくとも一方における型締力1が、前記型締め状態の中期における型締力2よりも許容値1より大きい場合に逆トグル状態の発生であると判定させる、トグル式型締機構の型締異常判定方法。
  2. 1回目の型締異常判定時に警報を発信させ、
    2回目以降の型締異常判定時に、前記型締力1と前記型締力2との差異が許容値2より大きい場合に次サイクルを開始させない、請求項1に記載のトグル式型締機構の型締異常判定方法。
  3. 固定盤に取り付けられた固定型に対して、可動盤に取り付けられた可動型を、トグルリンクを屈曲・伸張させて、型閉じ、型締め及び型開きさせるトグル式型締機構の型締異常判定方法であって、
    前記型閉じ、前記型締め及び前記型開きの間、前記可動盤を型開閉方向に案内させる複数のタイバーの動ひずみ量を、タイバー動ひずみ量検出手段により計測させて、該動ひずみ量を監視させると共に、
    前記型締め状態の初期及び末期の少なくとも一方における動ひずみ量1が、前記型締め状態の中期における動ひずみ量2よりも許容値1より大きい場合に逆トグル状態の発生であると判定させる、トグル式型締機構の型締異常判定方法。
  4. 1回目の型締異常判定時に警報を発信させ、
    2回目以降の型締異常判定時に、前記動ひずみ量1と前記動ひずみ量2との差異が許容値2より大きい場合に次サイクルを開始させない、請求項3に記載のトグル式型締機構の型締異常判定方法。
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