JP6685844B2 - 金属部品の製造方法 - Google Patents

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本発明の実施形態は、金属部品の製造方法に関する。
火力発電プラントを構成する発電機器の金属部品のうち、蒸気タービンを構成するタービン翼(動翼、静翼)や、主蒸気止め弁(MSV)を構成する弁棒などの部品は、酸素や水蒸気を含む雰囲気に曝される。このため、雰囲気中の酸素や水蒸気と金属部品の金属元素(たとえば、鉄、クロム)との間で反応が起こることによって、金属部品の表面に金属酸化物の皮膜が形成される。金属酸化物の皮膜は、一定の膜厚以上の厚みになると、金属部品の表面から剥離する。金属部品の表面では、金属酸化物の皮膜の形成と、その皮膜の剥離とが繰り返し発生する。その結果、金属部品において減肉(肉厚の減少)が発生するため、火力発電プラントの運転や寿命に影響を与える。
具体的には、火力発電プラントにおいて、蒸気タービンを構成するタービン翼は、通常、12質量%以上15質量%以下のCrを組成に含む合金鋼を用いて形成されている。主蒸気止め弁を構成する弁棒は、9質量%のCrを組成に含む合金鋼で形成されている。蒸気タービンを構成するタービン翼および主蒸気止め弁を構成する弁棒は、温度が500℃以上である高温環境で使用される。このため、下記の反応式で示す高温酸化反応が生じる。その結果、上記したように、金属部品の表面に金属酸化物の皮膜が形成される。そして、その皮膜の剥離が生ずる。
4Cr+3O→2Cr
3Fe+2O→Fe
火力発電プラントなどの蒸気タービンシステムを構成する金属部品において、高温酸化反応が生ずることを抑制して腐食を防止するために、さまざまな技術が提案されている。
特開2007−231781号公報 特開2003−500317号公報 特開2013−221215号公報
しかしながら、上記技術は、金属部品において高温酸化反応が生ずることを十分に防止することが困難である。たとえば、金属部品を構成する基体の表面を酸化防止層(アモルファス状膜)で被覆することが提案されているが、その酸化防止層の耐熱温度(450℃以下)が低く分解され易いために、高温酸化反応の防止が十分でない場合がある。また、酸化防止層の作成に熱処理等が必要であって、その熱処理を高温条件(1000℃以上)で行う必要があるので、高温酸化反応の防止を実現することが容易でない。
したがって、本発明が解決しようとする課題は、金属部品において高温酸化反応が生じることを容易に防止可能であって、減肉が生ずることを効果的に抑制可能な、金属部品の製造方法を提供することである。
実施形態は、蒸気タービンシステムを構成する金属部品の製造方法であって、前記金属部品を構成する基体の表面に、TiAlSiNからなり、Tiの含有割合が20質量%以上69.9質量%以下であって、Alの含有割合が20質量%以上69.9質量%以下であって、Siの含有割合が0.1質量%以上10質量%以下であって、Nの含有割合が0.01質量%以上1.0質量%以下である酸化防止層を物理蒸着法で成膜する。
本発明によれば、金属部品において高温酸化反応が生じることを容易に防止することが可能であって、減肉が生ずることを効果的に抑制可能な、金属部品の製造方法を提供することができる。
図1は、実施形態に係る金属部品10の一部を拡大して示す断面図である。 図2は、実施形態に係る金属部品10を製造するときの様子を模式的に示す図である。 図3は、実施形態に係る金属部品10において、酸化防止層12の厚みt(μm)と高温酸化相対量ΔW(g/cm2)との関係を示す図である。 図4Aは、実施形態に係る製造方法で製造した金属部品10の具体例を示す図である。 図4Bは、実施形態に係る製造方法で製造した金属部品10の具体例を示す図である。 図5Aは、実施形態に係る製造方法で製造した金属部品10の他の具体例を示す図である。 図5Bは、実施形態に係る製造方法で製造した金属部品10の他の具体例を示す図である。
[金属部品10の構成]
実施形態に係る金属部品の構成に関して説明する。
図1は、実施形態に係る金属部品10の一部を拡大して示す断面図である。
金属部品10は、蒸気タービンシステム(図示省略)を構成する機器の部品である。図1に示すように、金属部品10は、基体11と酸化防止層12(耐高温酸化コーティング)とを有する。
金属部品10において、基体11は、金属部品10の本体を構成する部分である。本実施形態では、基体11は、9質量%以上15質量%以下のCrを組成に含む合金鋼で形成されている。
金属部品10において、酸化防止層12は、基体11の表面に形成されている。ここでは、酸化防止層12は、基体11の表面のうち、600℃以上の蒸気に曝される部分を被覆している。つまり、酸化防止層12は、基体11の表面において上記した高温酸化反応が生じ得る部分を被覆することによって、基体11に金属酸化物の皮膜が形成されることを防止している。詳細については後述するが、酸化防止層12は、物理蒸着法で成膜されている。
酸化防止層12は、CrとTiとAlとSiとの少なくとも1つを組成に含む窒化物(=(Cr,Ti,Al,Si)N)からなる。上記の窒化物は、耐熱温度が高く、耐高温酸化性に優れるが、特に、TiAlNまたはTiAlSiNであることが好ましい。上記の窒化物において、TiNの耐熱温度は、約500℃であり、CrNの耐熱温度は、約600℃であり、TiCrNの耐熱温度は、約600℃である。これらに対して、TiAlNの耐熱温度は、約800℃であり、TiAlSiNの耐熱温度は、約1000℃である。このように、TiAlNおよびTiAlSiNは、耐熱温度が特に高いため好ましい。また、TiAlNおよびTiAlSiNは、耐高温酸化性が特に優れているため好ましい。
本実施形態では、TiAlNの組成は、Tiの含有割合x1が59質量%以上64質量%以下であって、Alの含有割合y1が35質量%以上40質量%以下であって、Nの含有割合z1が0.01質量%以上1.0質量%以下であることが好ましい(換言すると、59≦x1≦64,35≦y1≦40,0.01≦z1≦1.0,x1+y1+z1=100)。TiAlNにおいてTi成分が上記範囲よりも少ない場合には、酸化防止層12が軟化する不具合が生ずる場合があり、上記範囲よりも多い場合には、耐高温酸化性が低下する不具合が生ずる場合がある。TiAlNにおいてAl成分が上記範囲よりも少ない場合には、耐高温酸化性が低下する不具合が生ずる場合があり、上記範囲よりも多い場合には、酸化防止層12が軟化する不具合が生ずる場合がある。TiAlNにおいてN成分が上記範囲よりも少ない場合には、健全なTiAlN耐酸化層(酸化防止層12)の形成が不十分となり、耐高温酸化性が低下する不具合が生ずる場合があり、上記範囲よりも多い場合には、酸化防止層12が脆化する不具合が生ずる場合がある。よって、TiAlNの組成を上記範囲にすることにより、酸化防止層12の耐熱温度を約800℃にすることが可能であり、かつ酸化防止層12は軟化および脆化にもならず、健全なTiAlN耐酸化層を形成することができる。また、蒸気タービンシステムにおいて、約800℃以下の温度環境での耐高温酸化が要求される部位に、このTiAlN耐酸化層の適用が望ましい。
本実施形態では、TiAlSiNの組成は、Tiの含有割合x2が20質量%以上69.9質量%以下であって、Alの含有割合y2が20質量%以上69.9質量%以下であって、Siの含有割合v2が0.1質量%以上10質量%以下であって、Nの含有割合z2が0.1質量%以上1.0質量%以下であることが好ましい(換言すると、20≦x2≦69.9,20≦y2≦69.9,0.1≦v2≦10,0.01≦z2≦1.0,x2+y2+v2+z2=100)。TiAlSiNにおいてTi成分が上記範囲よりも少ない場合には、酸化防止層12が軟化する不具合が生ずる場合があり、上記範囲よりも多い場合には、耐高温酸化性が低下する不具合が生ずる場合がある。TiAlSiNにおいてAl成分が上記範囲よりも少ない場合には、耐高温酸化性が低下する不具合が生ずる場合があり、上記範囲よりも多い場合には、酸化防止層12が軟化する不具合が生ずる場合がある。TiAlSiNにおいてSi成分が上記範囲よりも少ない場合には、耐高温酸化温度が低下する不具合が生ずる場合があり、上記範囲よりも多い場合には、酸化防止層12が脆化し、剥離しやすくなる不具合が生ずる場合がある。TiAlSiNにおいてN成分が上記範囲よりも少ない場合には、健全なTiAlSiN耐酸化層の形成が不十分となる不具合が生ずる場合があり、上記範囲よりも多い場合には、酸化防止層が脆化する不具合が生ずる場合がある。よって、TiAlSiNの組成を上記範囲にすることにより、酸化防止層12の耐熱温度を約1000℃にすることが可能であり、かつ酸化防止層12は軟化および脆化にもならず、健全なTiAlSiN耐酸化層を形成することができる。蒸気タービンシステムにおいて、より高い温度環境(例えば、約1000℃以下の温度環境)での耐高温酸化が要求される部位に、このTiAlSiN耐酸化層の適用が望ましい。
特に、TiAlSiNの組成は、Tiの含有割合x2が57質量%以上62質量%以下であって、Alの含有割合y2が35質量%以上38質量%以下であって、Siの含有割合v2が2質量%以上5質量%以下であって、Nの含有割合z2が0.01質量%以上1.0質量%以下であることが好ましい(換言すると、57≦x2≦62,35≦y2≦38,2≦v2≦5,0.01≦z2≦1.0,x2+y2+v2+z2=100)。
[金属部品10の製造方法]
上記の金属部品10を製造する製造方法に関して説明する。
本実施形態において金属部品10を製造する際には、金属部品10を構成する基体11の表面に、CrとTiとAlとSiとの少なくとも1つを組成に含む窒化物(TiAlN、TiAlSiNなど)を物理蒸着法で成膜することによって、酸化防止層12を形成する。
図2は、実施形態に係る金属部品10を製造するときの様子を模式的に示す図である。図2では、金属部品10として、蒸気タービンの動翼を製造する場合について例示している。
図2に示すように、物理蒸着装置100を用いて、金属部品10の製造を行う。物理蒸着装置100は、真空チャンバー110、陰極120、アーク電源130、陽極140、窒素ガス注入管150、回転台160、および、バイアス電源170を有する。物理蒸着装置100は、物理蒸着法のうち、アーク・イオン・プレーティング法(アーク放電式のイオン・プレーティング法)で成膜を行うように構成されている。
金属部品10を製造する際には、真空チャンバー110の内部において回転台160の支持面に、金属部品10を構成する基体11を支持させる。そして、酸化防止層12として成膜される上記窒化物の原材料(Ti,Al,Siなど)で形成された固体ターゲットを陰極120(蒸発源)として設置する。
そして、窒素ガス注入管150から真空チャンバー110の中に窒素(N)ガスを反応ガスとして注入した状態で、アーク電源130を用いて陰極120と陽極140との間に電圧を印加する。これにより、真空チャンバー110の内部においてアーク放電が起こり、陰極120である固体ターゲットが蒸発して、正イオンとして真空チャンバー110の内部に放出される。
この一方で、基体11は、回転台160において回転した状態で、バイアス電源170により負のバイアス電圧(負圧)が印加される。これにより、アーク放電によって陰極120から放出された正イオンが加速して、基体11へ向かう。そして、放出された正イオンと窒素(N)とが反応して生成された窒化物が、基体11の表面に堆積することによって、基体11に酸化防止層12が成膜される。
上記のように、本実施形態では、物理蒸着法で成膜を行うので、他の成膜法(化学蒸着法(CVD法)など)で成膜を行う場合よりも、成膜温度が低い。具体的には、物理蒸着法の成膜温度は、約250〜約600℃であって、CVD法(約1000℃)と比較して低く、基材11を構成する金属に対する温度的な影響が少なくすることができる。また、物理蒸着法では、厚い膜を容易に成膜することができる。特に、本実施形態では、物理蒸着法のうち、アーク・イオン・プレーティング法で成膜を行っているので、他の物理蒸着法(スパッタリング法、アーク・イオン・プレーティング法以外のイオン・プレーティング法など)で成膜を行う場合よりも、酸化防止層12と基材11との間の密着力を高くすることができる。また、アーク・イオン・プレーティング法で成膜を行うことによって、成膜速度を更に高めることが可能であり、かつ、対象物の複雑な形状に殆ど影響を受けずに成膜を実施することができる。
[酸化防止層12の厚み]
図3は、実施形態に係る金属部品10において、酸化防止層12の厚みt(μm)と高温酸化相対量ΔW(g/cm)との関係を示す図である。高温酸化相対量ΔWは、高温酸化試験を行った後の試験サンプルの重量W2から高温酸化試験を行う前の試験サンプルの重量W1を減算した重量である(つまり、ΔW=W2−W1)。高温酸化試験は、基体11に酸化防止層12を成膜した試験サンプルについて、下記に示す条件で行った。
(高温酸化試験の条件)
・温度:約700℃
・時間:約500hr
図3においては、試験サンプルの酸化防止層12がTiAlNである場合(破線)とTiAlSiNである場合(一点鎖線)の結果について示している。具体的には、TiAlNの組成、および、TiAlSiNの組成が下記に示す条件である場合に関して示している。
(TiAlNの組成)
・Tiの含有割合x1: 約63.9質量%
・Alの含有割合y1: 約36質量%
・Nの含有割合z1: 約0.1質量%
(TiAlSiNの組成)
・Tiの含有割合x2: 約56質量%
・Alの含有割合y2: 約40質量%
・Siの含有割合v2: 約3.8質量%
・Nの含有割合z2: 約0.2質量%
なお、試験サンプルの基体11としては、下記組成の合金鋼を用いた。
(基体11の組成)
・Crの含有割合: 約12質量%
・基材残り金属(鉄(Fe))の含有割合: 約88質量%
図3に示すように、酸化防止層12の厚みtが10μm以下の薄い厚みである場合、耐高温酸化性が十分でないので、高温酸化相対量ΔWは、非常に多くなる。そして、酸化防止層12の厚みtが60μmを超える場合、酸化防止層12が基体11の表面から剥離しやすくなるために、高温酸化相対量ΔWが多い。酸化防止層12の厚みtが25μm以上60μm以下の範囲では、高温酸化相対量ΔWは、十分に少ない。このため、酸化防止層12の厚みtは、25μm以上60μm以下の範囲であることが好ましい(25μm≦t≦60μm)。特に、酸化防止層12の厚みtは、25μm以上45μm以下の範囲であることが好ましい(25μm≦t≦45μm)。
[金属部品10の具体例1]
図4A、図4Bは、実施形態に係る製造方法で製造した金属部品10の具体例を示す図である。ここで、図4Aは、火力発電プラントなどの蒸気タービンシステムを構成する蒸気タービン200を模式的に示している。そして、図4Bは、図4Aに示す蒸気タービン200の一部(A1部分)を拡大して示しており、作動媒体である蒸気の流れを白色の矢印で併記している。
図4Aに示すように、蒸気タービン200は、高圧タービン部210と中圧タービン部220と低圧タービン部230とを備えている。蒸気タービン200においては、ボイラ(図示省略)の過熱器(図示省略)で加熱された蒸気が、高圧タービン部210に作動流体として導入されて、仕事を行う。そして、高圧タービン部210から排出された蒸気が、ボイラの再熱器(図示省略)において再度加熱された後に、中圧タービン部220に作動流体として導入されて、仕事を行う。そして、中圧タービン部220から排出された蒸気が、低圧タービン部230に作動流体として導入され仕事を行う。低圧タービン部230から排出された蒸気は、復水器(図示省略)で凝縮された後に、過熱器へ戻る。
図4Bに示すように、高圧タービン部210は、ケーシング211とタービンロータ212とを有し、ケーシング211がタービンロータ212を内部に収容している。高圧タービン部210は、多段式であって、複数段のタービン段落213が、ケーシング211の内部においてタービンロータ212の回転軸AXに沿った軸方向に配列されている。複数のタービン段落213のそれぞれは、静翼214(ノズル翼)と動翼215とを含む。タービン段落213のうち、静翼214は、ケーシング211の内周面において複数が回転方向に配列されている。動翼215は、タービンロータ212の外周面において、複数が回転方向に配列されている。また、動翼215の先端側の部分には、シール部218が設けられている。
本実施形態において、静翼214および動翼215は、図3で示したように、基体11の表面に物理蒸着法で酸化防止層12を成膜した金属部品10である。静翼214および動翼215において、基体11は、12質量%以上15質量%以下のCrを含有する合金鋼であり、約600℃の高温環境で高温酸化反応が生じる。しかし、本実施形態では、静翼214および動翼215は、上述したように、基体11の表面に物理蒸着法で酸化防止層12が成膜されているので、高温酸化反応の発生を防止することが可能であって、耐高温酸化性に優れる。
[金属部品10の具体例2]
図5A、図5Bは、実施形態に係る製造方法で製造した金属部品10の他の具体例を示す図である。ここで、図5Aは、火力発電プラントなどの蒸気タービンシステムを構成する主蒸気止め弁300を模式的に示している。そして、図5Bは、図5Aに示す主蒸気止め弁300の一部(A2部分)を拡大して示しており、蒸気の流れを白色の矢印で併記している。
主蒸気止め弁300は、図5Aに示すように、弁ケーシング310と弁棒320と弁体330と弁座340とを備える。主蒸気止め弁300は、弁ケーシング310の内部に、弁棒320の一端に設置された弁体330が収容されている。これと共に、主蒸気止め弁300は、弁ケーシング310の弁座340が設置されている。
主蒸気止め弁300は、弁棒320を鉛直方向の上方に移動して弁体330と弁座340との間が離れることによって、開いた状態になる。これにより、弁ケーシング310の入口部311から蒸気が内部に流入し、出口部312から外部へ流出する。この一方で、主蒸気止め弁300は、弁棒320を鉛直方向の下方に移動して弁体330と弁座340との間が密着することによって、閉じた状態になる。
本実施形態において、弁棒320は、図5Bに示すように、基体11である弁棒本体321の表面に酸化防止層12が成膜された金属部品10である。同様に、弁体330は、基体11である弁体本体331の表面に酸化防止層12が成膜された金属部品10である。酸化防止層12は、図3で示したように、物理蒸着法で酸化防止層12を成膜されている。弁棒本体321(基体11)および弁体本体331(基体11)は、9質量%のCrを含有する合金鋼であり、約600℃の高温環境で高温酸化反応が生じる。しかし、本実施形態では、上述したように、弁棒320は、基体11である弁棒本体321の表面に酸化防止層12が成膜されており、弁体330は、基体11である弁体本体331の表面に酸化防止層12が成膜されている。このため、本実施形態では、弁棒320、および、弁体330は、高温酸化反応の発生を防止可能であって、耐高温酸化性に優れる。
上記においては、蒸気タービンシステムにおいて、蒸気タービン200を構成する静翼214および動翼215と、主蒸気止め弁300を構成する弁棒320および弁体330とが、図3に示した製造方法で製造した金属部品10である場合について説明したが、これに限らない。蒸気タービンシステムを構成する他の機器において高温酸化反応が生じ得る基体の表面を被覆するように、上記の酸化防止層を適宜成膜してもよい。
<その他>
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
10…金属部品、11…基体、12…酸化防止層、13…タービン段落、15…窒素ガス注入管、100…物理蒸着装置、110…真空チャンバー、120…陰極、130…アーク電源、140…陽極、150…窒素ガス注入管、160…回転台、170…バイアス電源、200…蒸気タービン、210…高圧タービン部、211…ケーシング、212…タービンロータ、213…タービン段落、214…静翼、215…動翼、218…シール部、220…中圧タービン部、230…低圧タービン部、300…蒸気止め弁、310…弁ケーシング、311…入口部、312…出口部、320…弁棒、321…弁棒本体、330…弁体、331…弁体本体、340…弁座。

Claims (4)

  1. 蒸気タービンシステムを構成する金属部品の製造方法であって、
    前記金属部品を構成する基体の表面に、TiAlSiNからなり、
    Tiの含有割合が20質量%以上69.9質量%以下であって、
    Alの含有割合が20質量%以上69.9質量%以下であって、
    Siの含有割合が0.1質量%以上10質量%以下であって、
    Nの含有割合が0.01質量%以上1.0質量%以下である
    酸化防止層を物理蒸着法で成膜することによって、前記金属部品を製造することを特徴とする、
    金属部品の製造方法。
  2. 前記物理蒸着法は、アーク・イオン・プレーティング法である、
    請求項1に記載の金属部品の製造方法。
  3. 前記酸化防止層の厚みは、25μm以上60μm以下である、
    請求項1又は2に記載の金属部品の製造方法。
  4. 前記基体は、Crを9質量%以上15質量%以下含む合金鋼で形成されており、
    前記基体の表面のうち600℃以上の蒸気に曝される部分に前記酸化防止層を形成する、
    請求項1からのいずれかに記載の金属部品の製造方法。
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