JP6684280B2 - 軸封装置及び水中ポンプ - Google Patents

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Description

本発明は、例えばポンプや発電機などに用いられる軸封装置、及び、その軸封装置を用いた水中ポンプに関する。
水中ポンプや水中発電機等においては、一般的に、電動機(モータ)又は発電機に密封液(封止液体)や発電流体が浸入しないように、軸封装置としてメカニカルシールが使用されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示の軸封装置及びポンプ装置を含む従来のこの種の装置においては、密封液や発電流体とモータ又は発電機との間にオイル室を設けオイルを封入することにより、メカニカルシールの潤滑とともに、密封液等がオイル室に浸水してもモータ又は発電機まで浸入するのは防ぐ構成としている場合が多い。封入オイルは、通常、密封液等と比較してモータ又は発電機内に浸入しても装置に故障が発生する可能性が低く、このような構成が幅広く使用されている。
このような従来の軸封装置及びポンプ装置においては、オイル室を設けるためにメカニカルシールを軸方向に2つ、各々の摺動面が逆方向に向くように設けたダブル型メカニカルシールが通常使用されているが、ダブル型メカニカルシールは構成が複雑で大型のシールのため装置を小型化する場合の支障となる場合があり、改善が望まれている。また、このような従来の軸封装置及びポンプ装置においては、オイルを封入するため、あるいは封入したオイルを維持するための作業が必要でメンテナンスが面倒であり、その点においても改善が望まれている。
そこで、オイル室を設けずにシングル型のメカニカルシールを用いて軸封装置あるいはポンプ装置を構成することも考えられるが、密封液等がモータ又は発電機等へ浸入する恐れがあり、長期のメンテナンスフリー運転が難しい。
特開2014−142051号公報
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであって、その目的は、構成が簡単で装置の小型化が可能であり、長期間にわたりメンテナンスフリーで使用することができる軸封装置及び水中ポンプを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明に係る軸封装置は、ハウジング内に設置された回転機械の回転軸に沿って、封止液体空間と前記ハウジング内の機内空間との間を封止する軸封装置であって、
前記回転軸の一端に設置されるメカニカルシールと、
前記メカニカルシールの前記機内空間に形成され、前記メカニカルシールから漏洩した封止液体を一時的に貯溜可能な蒸発室と、
前記蒸発室に形成され、外気空間に連通する吸気口と、
前記蒸発室に形成され、外気空間に連通する排気口とを有し、
前記排気口から前記外気空間に連通する通路と前記蒸発室とが、前記回転機械及び前記メカニカルシールの発熱により昇温されることを特徴とする。
このような構成の本発明の軸封装置によれば、メカニカルシールから漏洩した封止液体を一時的に蒸発室に貯溜し、蒸発させて排気口を介して外部空間に排出することができるので、漏洩した封止液体が回転機械へ浸入することを防ぎ、長期間にわたりメンテナンスフリーで使用することができる。
好ましくは、前記吸気口は、前記回転軸の軸方向において前記排気口より前記メカニカルシール側に形成され、前記排気口は、前記軸方向において前記吸気口より前記回転機械側に形成される。
また好ましくは、本発明に係る軸封装置は、前記吸気口から吸気され前記蒸発室を通過し前記排気口から排気される気流を強制的に生成するように前記回転軸と一体に回転する羽根車をさらに有する。
前記羽根車は、前記蒸発室に設置されていてもよいし、前記蒸発室に前記ハウジング内の中間通路を通して連通する補助蒸発室に設置されていてもよい。
このような構成の本発明の軸封装置によれば、メカニカルシールから漏洩し蒸発室に貯溜した封止液体を、一層効率的に排気口を介して外部空間に排出することができる。
また本発明に係る軸封装置は、前記メカニカルシールと前記排気口との間に配置され、前記漏洩した前記封止液体を吸収する吸水材をさらに有してもよい。
このような構成の本発明の軸封装置によれば、メカニカルシールから漏洩する封止液体の量が一時的に増大した場合においても、漏洩した封止液体が回転機械へ浸入することを適切に防ぐことができる。
好ましくは、本発明に係る軸封装置は、一端が前記吸気口に接続され他端は前記外気空間に配置されている吸気管と、一端が前記排気口に接続され他端は前記外気空間に配置される排気管とをさらに有し、前記吸気口及び前記排気口は前記吸気管及び前記排気管を介して各々前記外気空間に連通されている。
また好ましくは、本発明に係る軸封装置は、前記吸気管に設置され外気を前記吸気管に供給する送風機、又は、前記排気管に設置され外気を前記排気管から排出する送風機の少なくともいずれか一方を有する。
このような形態の軸封装置においては、例えば水没される水中ポンプに適用した場合にも、メカニカルシールから漏洩した封止液体を確実に外気空間に排出することができる。
好ましくは、前記メカニカルシールは、シングル型メカニカルシールである。
このような形態の軸封装置においては、装置の構成を簡単にし、メンテナンスを容易にし、小型化し、コストを低減することができる。
また、本発明の軸封装置は、前記回転軸の前記一端は水中のインペラーに接続され、前記回転軸はベアリングにより回転可能に保持されている水中ポンプの軸封装置であって、
前記蒸発室は、前記回転軸に設置された前記メカニカルシールと、前記ベアリングとの間に形成されていてもよい。
このような形態の軸封装置を用いれば、メカニカルシールから漏洩した水がベアリングに浸入するのを適切に防ぐことができ、構成が簡単で装置の小型化が可能であり、長期間にわたりメンテナンスフリーで使用することができる水中ポンプを提供することができる。
また、本発明に係る水中ポンプは、前述のいずれかの軸封装置を有することを特徴とするものである。
図1は、本発明の第1実施形態の軸封装置を有する水中ポンプの構成を示す概略断面図である。 図2は、本発明の第2実施形態の軸封装置を有する水中ポンプの構成を示す概略断面図である。 図3は、本発明の第3実施形態の軸封装置を有する水中ポンプの構成を示す概略断面図である。 図4は、図3に示す水中ポンプが具備する吸水材の構造を示す図であり、図4(A)は吸水材の構造を示す平面図であり、図4(B)は吸水材の他の構造を示す平面図であり、図4(C)は吸水材の構造を示す断面図であって図4(A)のV−Vの箇所における断面図である。 図5は、図3に示す吸水材の設置方法を説明するための図であり、図5(A)〜図5(C)は、各々、吸水材の水中ポンプのハウジングへの設置形態を示す図である。 図6は、本発明の第4実施形態の軸封装置を有する水中ポンプの構成を示す概略断面図である。 図7は、本発明の第5実施形態の軸封装置を有する水中ポンプの構成を示す概略断面図である。 図8は、本発明の第6実施形態の軸封装置を有する水中ポンプの構成を示す概略断面図である。
本発明の実施形態について図1〜図8を参照して説明する。
以下に説明する第1〜第6実施形態は、いずれも、本発明に係る軸封装置を、ポンプ本体を水没させて使用する水中ポンプに適用したものである。各実施形態において、本発明の軸封装置は、モータの回転軸に沿って、インペラーが配置された水中空間(封止液体空間)と、水中ポンプのモータ側機内空間との間を封止するために設置されている。
第1実施形態
図1は、本発明の第1実施形態に係る水中ポンプ1のモータ側の構成を示す概略断面図であり、水中ポンプ1のインペラー側の図示は省略してある。
図1に示すように、水中ポンプ1は、ハウジング10を有する。ハウジング10は、主としてモータ12のケーシングを構成する第1ハウジング部材10aと、水中ポンプ1のポンプ本体を構成する第2ハウジング部材10bとを有する。第1ハウジング部材10aと第2ハウジング部材10bとは、Oリング11を介在させて嵌合され、一体化されている。
第1ハウジング部材10aは、内部に、モータ12等を収容するモータ側機内空間A(以後、単に機内空間Aと称する場合もある)が形成されている。また、第2ハウジング部材10bは、図示しないが、封止液体空間Wにおいて回転軸15の一端に設置されたインペラーを収容するケーシングを構成する。封止液体空間Wは、水中ポンプ1のモータ側機内空間Aが気密性を維持する必要のある空間であり、本実施形態の水中ポンプ1においては、水中ポンプ1が投入される水中空間に連通する空間である。水中ポンプ1の図示せぬインペラーは、封止液体空間Wの封止液体に推力を加え、水中ポンプ1にポンプとしての機能を発揮させる。
また、ハウジング10には、水中ポンプ1のモータ側機内空間Aと封止液体空間Wとを連通するとともに、モータ12の回転軸15が貫通する孔10cが形成されている。
ハウジング10の機内空間Aにはモータ12が固定設置されている。モータ12は、ケーブル19を介して外部から入力される電力や制御信号等に基づいて制御される。モータ12の回転軸15はベアリング14により回転可能に保持されており、その自由端側は、ハウジング10の孔10cを貫通して封止液体空間(水中空間)Wに達し、その端部には前述した図示せぬインペラーが設置されている。
回転軸15のハウジング10の孔10cを通過する箇所には、メカニカルシール30が設置されている。メカニカルシール30は、回転軸15に沿って、封止液体空間Wと機内空間Aとの間を封止する。換言すれば、メカニカルシール30は、回転軸15の外周面とハウジング10の孔10cの内周面との間の隙間を封止する。
メカニカルシール30は、回転側摺動面31sを有する回転密封環31、回転側摺動面31sと密接摺動する静止側摺動面32sを有する静止密封環32、静止密封環32とハウジング10との間に取り付けられるカップガスケット33、回転密封環31が設置されるベローズ34、ベローズ34を回転軸15に装着するための締め付けリング35、回転密封環31を静止密封環32方向に付勢するスプリング37、回転密封環31とベローズ34とを結合する取り付け金具38、及び、スプリング37の一端が当接されるカラー39を有する。
ベローズ34は、回転軸15の外周面に密着して取り付けられる円筒部34aと、円筒部34aの機内空間A側の一端に一体に成形されるベロー部34bとを有する。ベローズ34の円筒部34aを回転軸15の外周面に密着させるために、円筒部34aの外周面には締め付けリング35が配置してあり、円筒部34aを回転軸15の外周面に締め付けている。
ベローズ34のベロー部34bは、回転軸15の軸方向に沿って弾性変形可能であり、ベロー部34bの外周部には、回転密封環31の背面が凹凸嵌合してある。ベロー部34bのリング状外周部と回転密封環31の外周部とは、取り付け金具38の図示せぬカシメ部により一体化してある。また、取り付け金具38のカシメ部の内周面に形成される図示せぬ凸部と、回転密封環31の外周面に形成してある図示せぬ切り欠きが係合することにより、回転密封環31の回り止めが成されている。
ベローズ34の外周側にはスプリング37が配置される。スプリング37の軸方向の一端は、取り付け金具38の背面に当接し、スプリング37の軸方向の他端は、回転軸15に固設されたカラー39に当接されている。このスプリング37のバネ力により、回転密封環31は取り付け金具38を介して静止密封環32方向に付勢され、回転密封環31の回転側摺動面31sは静止密封環32の静止側摺動面32sに密接される。
静止密封環32とハウジング10との間には、カップガスケット33が配置される。カップガスケット33は、静止密封環32の外周面と、ハウジング10の孔10cに形成してある段差面との間で圧縮状態に保持される。カップガスケット33と静止密封環32との接合面には図示せぬ係合部が構成されており、静止密封環32が回転密封環31とともに回転することが抑制されている。
本実施形態の水中ポンプ1において、回転密封環31及び静止密封環32は、例えばカーボン、SiC、セラミックあるいは超硬合金などの金属などで構成される。また、ベローズ34は、例えばゴムや合成樹脂、あるいはバネ材などの弾性変形が可能な材料で構成してあり、締め付けリング35及び取り付け金具38は、例えば金属などで構成してある。また、カップガスケット33は、弾力性に優れたゴム材料、あるいは合成樹脂などで構成される。
このように本実施形態の水中ポンプ1のメカニカルシール30は、密接摺動するシール面(回転側摺動面31s、静止側摺動面32s)が1つのシングル型のメカニカルシールであり、封止液体空間Wがシール面の外周側となるインサイド形のメカニカルシールである。そしてこのような構成のメカニカルシール30により、封止液体空間(水中空間)Wと機内空間Aとの間が封止される。
回転軸15の外周面とハウジング10(第1ハウジング部材10a)の内周面との間の空間であって、軸方向において第1ハウジング部材10aの封止液体空間W側の端面と第2ハウジング部材10bの機内空間A側の端面との間には、図示のごとく、蒸発室40としての空洞部分が形成されている。蒸発室40は、水中ポンプ1の機内空間Aのメカニカルシール30のモータ12側に隣接して形成されている。
蒸発室40は、メカニカルシール30から封止液体が漏洩した場合に、漏洩した封止液体を一時的に貯溜する空間である。
蒸発室40の周面を形成するハウジング10の内周面には、ハウジング10内を貫通する吸気通路72を介してハウジング10の外面に形成された吸気ポート75に連通する吸気口71が形成されている。吸気口71は、蒸発室40の周面のメカニカルシール30近傍であって、少なくとも後述する排気口81よりもメカニカルシール30側に形成されている。吸気口71に連通する吸気通路72は、図示のごとくハウジング10を径方向に貫通する通路に形成され、比較的短い経路を経て吸気ポート75に達している。
水中ポンプ1を水没させて使用する際には、吸気ポート75には、他端が外気空間に開口した図示せぬ吸気管の一端が装着される。これにより、吸気口71は、外気空間に連通することとなり、蒸発室40は吸気口71を介して外気空間と通気可能となる。なお、吸気口71、吸気通路72及び吸気ポート75は、蒸発室40に対する吸気系70を構成する。
また、同じく蒸発室40の周面を形成するハウジング10の内周面には、ハウジング10内を貫通する排気通路82を介してハウジング10の外面に形成された排気ポート85に連通する排気口81が形成されている。排気口81は、蒸発室40のモータ12側であって、少なくとも前述した吸気口71よりもモータ12側に形成される。排気口81に連通する排気通路82は、図示のごとく、ハウジング10の内部のモータ12の近傍を軸方向に貫通する通路部分を有し、比較的長い経路を経て水中ポンプ1のモータ12側の端部に形成された排気ポート85に達している。
水中ポンプ1を水没させて使用する際には、排気ポート85には、他端が外気空間に開口した図示せぬ排気管の一端が装着される。これにより、排気口81は、外気空間に連通することとなり、蒸発室40は排気口81を介して外気空間と通気可能となる。なお、排気口81、排気通路82及び排気ポート85は、蒸発室40に対する排気系80を構成する。
なお、図1には、吸気口71を含む吸気系70及び排気口81を含む排気系80を各々1系統しか図示していないが、水中ポンプ1においてこれらは各々複数系統具備されていてよい。
このような構成の水中ポンプ1において、モータ12及びメカニカルシール30は、(或いは、ベアリング14は、)回転軸15の回転により発熱する。これらモータ12及びメカニカルシール30等の発熱(排熱)は、ハウジング10を伝わりモータ12とメカニカルシール30との間に配置される蒸発室40、吸気系70及び排気系80の各部を昇温させる。その結果、蒸発室40にメカニカルシール30から漏洩した封止液体が貯溜されていた場合、蒸発室40が昇温されることにより封止液体は加熱され蒸発(気化)される。
また、蒸発室40には吸気口71及び排気口81が形成されているが、排気口81に連通する排気通路82は、モータ12の近傍を長い経路で通過しているため昇温の程度は高くなる。そして、排気通路82が加熱されその中の空気が外気空間に排出されることにより、蒸発室40から排気系80に流れる気流が生成され、蒸発室40内の気体の対流も促進され、最終的には吸気系70から蒸発室40を介して排気系80に流れる気流が継続・持続的に生成される。すなわち、メカニカルシール30から漏洩し蒸発室40に貯溜されていた封止液体は、蒸発室40において蒸発され、排気口81から排気通路82、排気ポート85及び図示せぬ排気管を介して、外気空間(大気空間)に排出される。
このように、第1実施形態の水中ポンプ1においては、メカニカルシール30の機内空間A側に蒸発室40を形成し、蒸発室40に吸気口71を含む吸気系70及び排気口81を含む排気系80を接続し、蒸発室40及び排気通路82をメカニカルシール30及びモータ12の排熱により加熱することにより、メカニカルシール30から漏洩した封止液体は効率よく蒸発され、継続、持続的に排気口81を介して外気空間に排出される。
その結果、メカニカルシール30から漏洩し機内空間Aに浸入した封止液体がモータ12あるいはベアリング14の内部に浸入することを防ぐことができ、メカニカルシール30から封止液体が漏洩することに起因するベアリング14やモータ12の故障を防止することができ、水中ポンプ1の耐久性を高めることができる。また、水中ポンプ1を長期間にわたりメンテナンスフリーで使用することができる。すなわち、水中ポンプ1の連続運用時間を長期化することができる。
また、このような構成の軸封装置を有する水中ポンプ1においては、メカニカルシール30から漏洩した液体を適切に排出することができるため、軸封装置が備えるメカニカルシール30として従来ダブル型メカニカルシールを使用していたものをシングル型のメカニカルシールとすることができる。その結果、メカニカルシールの構成を簡単にし小型化することができ、ひいては軸封装置あるいは水中ポンプの構成を簡単かつ小型化することができる。
なお、第1実施形態の水中ポンプ1において、本発明に係る軸封装置は、メカニカルシール30、蒸発室40、吸気系70及び排気系80を含む構成である。
第2実施形態
図2は、本発明の第2実施形態に係る水中ポンプ2のモータ側の構成を示す概略断面図であり、図1を参照して前述した第1実施形態の水中ポンプ1と同様に、水中ポンプ2のインペラー側の図示は省略してある。図2に示す水中ポンプ2において、前述した第1実施形態の水中ポンプ1と基本的に同一の構成については、前述した実施形態と同一の参照符号を付すとともにその説明は省略する。
第2実施形態の水中ポンプ2が第1実施形態の水中ポンプ1と異なる点は、排気系80の排気口81と排気ポート85とを接続する排気通路83の構成と、蒸発室40に羽根車51が備えられる点である。
第1実施形態の水中ポンプ1において、蒸発室40の内周面に形成された排気口81に連通する排気通路82は、図1に示したように、ハウジング10の内部のモータ12の近傍を軸方向に貫通し比較的長い経路を経て排気ポート85に達するものであった。これに対して第2実施形態の水中ポンプ2の排気通路83は、図2に示すように、ハウジング10を径方向に貫通する通路に形成され、吸気通路72と同様に比較的短い経路に形成されている。なお、排気口81及びこれに連通する排気通路83が、吸気口71及びこれに連通する吸気通路72よりもモータ12側に形成されていることは第1実施形態の水中ポンプ1と同じである。
そして、排気通路83がこのように形成されていることと関連し、蒸発室40の排気口81が形成されている軸方向箇所には羽根車51が設置されている。羽根車51は、回転軸15に装着された羽根車であり、回転軸15と一体に回転することにより蒸発室40内に強制的に気流を発生させることのできる部材である。水中ポンプ2においては、図2に示すように羽根車51のすぐ外周側に排気口81が形成されており、羽根車51の羽根形状は、回転軸15の所定の回転(水中ポンプ2が通常運転される際の回転方向への回転)に伴って、蒸発室40の回転軸15の周辺部から羽根車51の外周方向に気流が発生するような形状に構成されている。
蒸発室40にこのような羽根車51を設置することにより、蒸発室40にメカニカルシール30から漏洩した封止液体が貯溜されていた場合、蒸発室40が昇温されることにより封止液体が加熱され蒸発されることに加えて、羽根車51により強制的に生成された気流により封止液体の蒸発が促進される。また、気化された封止液体は、羽根車51により強制的に生成された蒸発室40から排気口81方向への気流により、排気通路83、排気ポート85及び図示せぬ排気管を介して外気空間(大気空間)に効率的に排出される。すなわち、メカニカルシール30から漏洩した封止液体は効率よく蒸発され、継続、持続的に排気口81を介して外気空間に排出される。
その結果、水中ポンプ2においては、第1実施形態の水中ポンプ1と同様に、メカニカルシール30から漏洩した封止液体がモータ12あるいはベアリング14の内部に浸入することを防ぐことができ、ベアリング14やモータ12の故障を防止し、水中ポンプ2の耐久性を高め、水中ポンプ2を長期間にわたりメンテナンスフリーで使用することができる。また、軸封装置が備えるメカニカルシール30をシングル型のメカニカルシールとすることができるため、メカニカルシールの構成を簡単に小型化することができ、ひいては軸封装置あるいは水中ポンプの構成を簡単かつ小型化することができる。
一般的に、メカニカルシールからの封止液体の漏れ量は回転軸の軸径の影響を受けるが、軸径が50mm以下の場合その漏れ量は経験的に0.1ml/hr以下程度であり、この程度の漏れ量であれば、外気温等の影響はあるものの自然蒸発により漏洩した封止液体を排出することが可能である。しかしながら、本実施形態のようにポンプ本体を水没させて使用する水中ポンプにおいては、自然蒸発のみで漏洩した封止液体を排出させることが難しい場合がある。これに対して、本実施形態の水中ポンプ2のように羽根車51を有する構成であれば、漏洩した封止液体の蒸発及び排気系80を介した外気空間への排出を確実に効率よく行うことができる。
また、本実施形態の水中ポンプ2においては、蒸発室40に羽根車51を設けることにより、第1実施形態の水中ポンプ1のように排気通路82をモータ12の近傍に長い経路で通過させなくとも、漏洩した封止液体の蒸発及び排気系80を介した外気空間への排出を確実に効率よく行うことができる。その結果、排気通路83及びハウジング10の構成を簡単にすることができ、水中ポンプの小型化やコスト低減をすることができる。
なお、水中ポンプ2において、漏洩した封止液体の可能回収排出量は、吸気系70の吸気口71及び吸気通路72等の径、排気系80の排気口81及び排気通路83等の径、及び羽根車51の生成気流量を変化させることにより所望の量に制御することが可能であり、水中ポンプ2の使用環境、負荷、モータ12の軸径等に応じて適宜好ましい性能とすることができる。
なお、第2実施形態の水中ポンプ2において、本発明に係る軸封装置は、メカニカルシール30、蒸発室40、羽根車51、吸気系70及び排気系80を含む構成である。
第3実施形態
図3は、本発明の第3実施形態に係る水中ポンプ3のモータ側の構成を示す概略断面図であり、前述した各実施形態の水中ポンプと同様に、水中ポンプ3のインペラー側の図示は省略してある。図3に示す水中ポンプ3において、前述した各実施形態の水中ポンプと基本的に同一の構成については、前述した実施形態と同一の参照符号を付すとともにその説明は省略する。
第3実施形態の水中ポンプ3が第2実施形態の水中ポンプ2と異なる点は、蒸発室40に吸水材61が設置されている点である。第3実施形態の水中ポンプ3において、蒸発室40の周面を形成するハウジング10の内周面であって、軸方向において吸気口71と排気口81との間、換言すれば吸気口71と羽根車51との間には、吸水材設置溝45が形成されており、この吸水材設置溝45に環状の吸水材61が設置されている。吸水材61は、メカニカルシール30から漏洩し蒸発室40に浸入した封止液体を毛細管現象で一時的に吸収する一方、熱あるいは循環気流等により吸収した液体を蒸発(気化)により放出可能な部材である。
吸水材61は、布あるいはスポンジ等の材料を図4(A)に示すように環状に形成した部材、あるいは、帯状あるいは筒状等の長尺形状の布あるいはスポンジ等の材料を、図4(B)に示すように両端の切断面61bを接面させて吸水材設置溝45に沿って環状に設置可能に、吸水材設置溝45の長さに対応する必要な長さに切断した部材である。いずれの場合も、蒸発室40に形成された吸水材設置溝45に嵌合設置されることにより、図4(A)又は図4(B)に示すように、また、径方向断面を図4(C)に示すように、環状の吸水材61として構成される。
また、吸水材61の蒸発室40の吸水材設置溝45への装着は、図5(A)に示すように、蒸発室40の周面に形成された段差面46に吸水材61を設置し押え部材47により吸水材61を軸方向に挟み込み固定してもよいし、図5(B)に示すように、弾性を持たせた吸水材61を一時的に変形させて蒸発室40の吸水材設置溝45に嵌め込むようにしてもよい。また、図5(C)に示すように、図5(B)に示すように蒸発室40の吸水材設置溝45に嵌合させた吸水材61の内周面61aにさらに張リング48を装着し、吸水材61を径方向にハウジング10の内周面(蒸発室40の周面)に押し付け固定するようにしてもよい。
なお、吸水により吸水材61が変形し吸水材設置溝45から脱落等する可能性がある場合には、吸水材61が脱落しないよう、布あるいはスポンジ等の吸水材の材料と樹脂あるいは金網等の弾性体とを一体成型をしたり、あるいは、例えば図5(C)に示すように弾性体と組み合わせて使用したりするのが好ましい。
また、水中ポンプ3において吸水材61は、図3〜図5に示すように、その内周面61aが回転軸15の周面と対向するように配置されるのが好ましい。これにより、メカニカルシール30から漏洩した封止液体は、回転軸15の回転による遠心力により径方向外側に飛ばされ吸水材61の内周面61aに当接し易く、また吸水材61に吸収され易くなる。その結果、漏洩した封止液体を吸水材61へ吸収させることが効率よく行われる。
一般的に、メカニカルシールからの封止液体の漏れ量は常に一定とは限らず、メカニカルシールの摺動面の状態、摺動面への異物の噛み込み等で一時的に漏れ量が多くなることがある。第3実施形態の水中ポンプ3においては、蒸発室40にこのような吸水材61を設置することにより、一時的に封止液体の漏れ量が多くなった場合に、蒸発室40に設置された吸水材61に漏れた封止液体を吸収させておくことができる。
すなわち、水中ポンプ3の軸封装置の通常の動作においては、メカニカルシール30から漏洩し蒸発室40に浸入した封止液体は、モータ12やメカニカルシール30等の発熱(排熱)による蒸発室40等の昇温(加熱)及び羽根車51による強制的な気流の生成により蒸発(気化)され、排気口81を介して外気空間に排出されるが、一時的に漏れ量が多くなったり、上述した作用による封止液体の外気空間への排出量を超える封止液体の漏洩が生じた場合には、多く発生した封止液体は一時的に吸水材61に吸収させた後、漏洩する封止液体の量が減少し安定したときに通常の作用により外気空間に排出される。
その結果、メカニカルシール30からの封止液体の漏れ量が一時的に多くなった場合においても、封止液体がモータ12あるいはベアリング14の内部に浸入することを防ぐことができ、ベアリング14やモータ12の故障を防止することができ、水中ポンプ3の耐久性を一層高め、水中ポンプ3をより一層長期間にわたりメンテナンスフリーで使用することができる。
なお、第3実施形態の水中ポンプ3において、本発明に係る軸封装置は、メカニカルシール30、蒸発室40、羽根車51、吸水材61、吸気系70及び排気系80を含む構成である。
第4実施形態
図6は、本発明の第4実施形態に係る水中ポンプ4のモータ側の構成を示す概略断面図であり、前述した各実施形態の水中ポンプと同様に、水中ポンプ4のインペラー側の図示は省略してある。図6に示す水中ポンプ4において、前述した各実施形態の水中ポンプと基本的に同一の構成については、前述した実施形態と同一の参照符号を付すとともにその説明は省略する。
図4に示す水中ポンプ4は、前述した第1実施形態の水中ポンプ1に対して、前述した第3実施形態の水中ポンプ3が具備する吸水材61を装着した形態の水中ポンプである。
第4実施形態の水中ポンプ4においては、蒸発室40の周面がそのまま吸水材設置溝45として使用されており、この吸水材設置溝45に吸水材61が装着されている。また、第1実施形態の水中ポンプ1において蒸発室40のメカニカルシール30側に形成されていた吸気口71を含む吸気系70は、本実施形態の水中ポンプ4においては、蒸発室40のモータ12側の位置に形成されている。吸気口71は、軸方向において排気系80の排気口81とほぼ同じ位置に形成されている。
このような構成の水中ポンプ4においても、蒸発室40、吸気系70及び排気系80は、モータ12及びメカニカルシール30等の排熱(発熱)により昇温され、排気系80の排気通路82はモータ12の近傍を長い経路で通過しているため昇温の程度が高くなり吸気系70から蒸発室40を介して排気系80に流れる気流が生成される。また、水中ポンプ4においては、メカニカルシール30から漏洩し蒸発室40に浸入した封止液体は、蒸発室40の周面の全体に配置された吸水材61に高い割合で吸収されることとなり、蒸発室40に貯溜される。その結果、蒸発室40に貯溜されていた封止液体、あるいは蒸発室40の吸水材61に吸収されていた封止液体は、安定的に蒸発(気化)され、排気系80を介して効率よく外気空間に排出される。
本発明において、吸水材は、このような形態で水中ポンプに適用してもよい。
なお、第4実施形態の水中ポンプ4において、本発明に係る軸封装置は、メカニカルシール30、蒸発室40、吸水材61、吸気系70及び排気系80を含む構成である。
第5実施形態
図7は、本発明の第5実施形態に係る水中ポンプ5のモータ側の構成を示す概略断面図であり、前述した各実施形態の水中ポンプと同様に、水中ポンプ5のインペラー側の図示は省略してある。図7に示す水中ポンプ5において、前述した各実施形態の水中ポンプと基本的に同一の構成については、前述した実施形態と同一の参照符号を付すとともにその説明は省略する。
図7に示す水中ポンプ5は、図1を参照して前述した第1実施形態の水中ポンプ1に対して、モータ12の背面側に補助蒸発室42を設け、補助蒸発室42に図2を参照して前述した第2実施形態の羽根車51を設置したものである。
図7に示すように、水中ポンプ5においては、モータ12の軸方向おいて、モータ12の蒸発室40とは反対側(背面側)に、回転軸15の端部が突出した補助蒸発室42が形成されており、回転軸15のその端部に羽根車51が設置されている。回転軸15は、図示のごとく、モータ12の軸方向の両側においてベアリング14,14により回転可能に保持されているが、蒸発室40及び補助蒸発室42は、そのベアリング14,14に対し、モータ12とは反対側に各々形成される。
蒸発室40と補助蒸発室42とは、第1実施形態の水中ポンプ1における排気通路82と同様の形態に形成された中間通路41により接続されている。すなわち、中間通路41は、ハウジング10の内部のモータ12の近傍を軸方向に貫通するように比較的長い経路に形成された流路であって、蒸発室40のモータ12側に形成された開口と補助蒸発室42のモータ12側に形成された開口とを接続する。すなわち、中間通路41は、蒸発室40と補助蒸発室42とを連通させている。
そして、補助蒸発室42には、回転軸15に装着した羽根車51が配置されており、羽根車51のすぐ外周側に排気口81、比較的短い排気通路83及び排気ポート85を有する排気系80が形成されている。羽根車51の羽根形状は、回転軸15の所定の回転(水中ポンプ5が通常運転される際の回転方向への回転)に伴って、補助蒸発室42回転軸15の周辺部から羽根車51の外周方向に気流が発生する形状に形成される。このような構成の水中ポンプ5においては、羽根車51が所定の回転をした場合、吸気系70、蒸発室40、中間通路41、補助蒸発室42を通過して排気系80から外気空間に流れる気流が生成される。
従って、水中ポンプ5においては、蒸発室40にメカニカルシール30から漏洩した封止液体が貯溜された場合、蒸発室40が昇温されることにより封止液体が加熱され蒸発されるとともに、補助蒸発室42の羽根車51により強制的に生成された気流により蒸発室40の封止液体の蒸発が促進される。蒸発室40において気化された封止液体は、羽根車51により強制的に生成された気流により蒸発室40から中間通路41を介して補助蒸発室42に流入され、補助蒸発室42における排気口81方向への気流により、排気通路83、排気ポート85及び図示せぬ排気管を介して外気空間(大気空間)に排出される。
本発明において、蒸発室(補助蒸発室)の形成形態、羽根車の設置形態はこのような形態であってもよい。このような形態の水中ポンプ5においても、前述した各実施形態の水中ポンプと同様に、メカニカルシール30から漏洩した封止液体は効率よく蒸発され、継続、持続的に排気口81を介して外気空間に排出される。
なお、第5実施形態の水中ポンプ5において、本発明に係る軸封装置は、メカニカルシール30、蒸発室40、中間通路41、補助蒸発室42、羽根車51、吸気系70及び排気系80を含む構成である。
第6実施形態
図8は、本発明の第6実施形態に係る水中ポンプ6のモータ側の構成を示す概略断面図であり、前述した各実施形態の水中ポンプと同様に、水中ポンプ6のインペラー側の図示は省略してある。図7に示す水中ポンプ6において、前述した各実施形態の水中ポンプと基本的に同一の構成については、前述した実施形態と同一の参照符号を付すとともにその説明は省略する。
図8に示す水中ポンプ6は、図1を参照して前述した第1実施形態の水中ポンプ1に対して、メカニカルシール30から漏洩し蒸発室40に貯溜される封止液体の量を検知する漏れ感知センサー92を蒸発室40に設置し、吸気系70の吸気ポート75に接続する吸気管76を設置し、排気系80の排気ポート85に接続する排気管86を設置し、排気管86の外気側端部に送風機90を設置した構成である。
図8に示すように、水中ポンプ6には、吸気系70の吸気ポート75に一端が接続され他端が水面上の外気空間に配置された吸気管76と、排気系80の排気ポート85に一端が接続され他端が水面上の外気空間に配置された排気管86とが設置されている。また、排気管86の外気側の端部には、排気管86の内部から外部方向への気流を生成する可変容量送風機たる送風機90が設置されている。
従って、送風機90を作動させて排気管86の内部から外気空間への強制的な気流を生成することにより、水中ポンプ6においては、吸気管76の他端から吸い込まれ吸気管76及び吸気系70を介して吸気口71から蒸発室40に流れ、蒸発室40を通過し、蒸発室40に形成される排気口81から排気系80及び排気管86を介して排気管86の他端から排出される気流が生成される。
その結果、水中ポンプ6において蒸発室40にメカニカルシール30から漏洩した封止液体が貯溜された場合、蒸発室40が昇温されることにより封止液体が加熱され蒸発されるとともに、排気管86の他端に設置された送風機90により強制的に生成された気流により蒸発室40の封止液体の蒸発が促進される。そして、蒸発室40において気化された封止液体は、送風機90により強制的に生成された気流により蒸発室40から排気口81を介して排気系80を通過し排気管86に流入され、排気管86を介して外気空間(大気空間)に排出される。
また、水中ポンプ6においては、蒸発室40に貯溜される漏洩した封止液体の有無及びその量を感知する感知センサー92が蒸発室40に設置されており、漏れ感知センサー92の感知結果に基づいて送風機90の送風量が制御される構成となっている。従って、メカニカルシール30から漏洩する封止液体の量が増えた場合には送風機90の送風量を増やし、強制的に生成される気流を強くする(増やす)ことにより、蒸発室40において蒸発され排出される封止液体の量を増やすことができる。また、メカニカルシール30から漏洩する封止液体の量が減少した場合には、送風機90の送風量を減らし、強制的に生成される気流を弱くする(減らす)ことにより、蒸発室40において蒸発され排出される封止液体の量を適切な量とすることができる。
本発明の水中ポンプは、このような形態で実施してもよく、このような形態の水中ポンプ6においても、前述した各実施形態の水中ポンプと同様に、メカニカルシール30から漏洩した封止液体は効率よく蒸発され、継続、持続的に排気口81を介して外気空間に排出される。
また、本実施形態の水中ポンプ6においては、漏れ感知センサー92により送風機90の作動量を制御することができるので、漏洩する封止液体が増えた場合にも封止液体を確実に排出させることができ、水中ポンプ6の耐久性を一層高め、水中ポンプ6をより一層長期間にわたりメンテナンスフリーで使用することができる。また、漏洩する封止液体が少ない場合には送風機90の送風量を少なくすることができるので、消費エネルギーを必要最小限にすることができ、効率のよい水中ポンプ6が達成できる。
なお、第6実施形態の水中ポンプ6において、本発明に係る軸封装置は、メカニカルシール30、蒸発室40、吸気系70、吸気管76、排気系80、排気管86及び送風機90等を含む構成である。
他の実施形態
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
例えば、前述した実施形態はいずれも、本発明に係る軸封装置をポンプ本体を水没させて使用する水中ポンプに適用した例であったが、本発明に係る軸封装置の適用形態はこれに限られるものではない。例えば、モータに代わる回転機械として発電機を具備し、水流等によりインペラーが回転され発電を行う発電装置に適用してもよい。
また、前述した実施形態において軸封装置が備えるメカニカルシールは、いずれもシングル型のメカニカルシールとしたが、ダブル型のメカニカルシールを用いてもよい。シングル型のメカニカルシールは前述したように装置の小型化等に対して有効であるが、装置を小型化する必要の無い場合や、メカニカルシールからの液体の漏れ量を少なくし、軸封装置あるいは水中ポンプの連続使用時間や耐久性を一層向上させたい場合には、ダブル型メカニカルシールを用いるのも有効である。
また、第6実施形態として例示した水中ポンプ6において、送風機90は、排気管86の他端(大気側端部)に設置するものとした。しかしながら、送風機90は、吸気管76の他端(大気側端部)に設置するようにしてもよい。
その他、メカニカルシールの具体的な構成や、各構成部分の材質等は、任意好適に変更してよい。例えば、前述した実施形態のメカニカルシールはインサイド形のメカニカルシールであったが、アウトサイド形のメカニカルシールで構成してもよい。
1〜6…水中ポンプ
10…ハウジング
10a…第1ハウジング部材
10b…第2ハウジング部材
10c…孔
11…Oリング
12…モータ(回転機械)
14…ベアリング
15…回転軸
19…ケーブル
30…メカニカルシール
31…回転密封環
31s…回転側摺動面
32…静止密封環
32s…静止側摺動面
33…カップガスケット
34…ベローズ
34a…円筒部
34b…ベロー部
35…締め付けリング
37…スプリング
38…取り付け金具
39…カラー
40…蒸発室(空洞部)
41…中間通路
42…補助蒸発室
45…吸水材設置溝
46…段差面
47…押え部材
48…張リング
51…羽根車
61…吸水材
61a…吸水材内周面
61b…吸水材切断面
70…吸気系
71…吸気口
72…吸気通路
75…吸気ポート
76…吸気管
80…排気系
81…排気口
82,83…排気通路
85…排気ポート
86…排気管
90…送風機
92…漏れ感知センサー
A…機内空間(モータ側機内空間)
W…封止液体空間(水中空間)

Claims (11)

  1. ハウジング内に設置された回転機械の回転軸に沿って、封止液体空間と前記ハウジング内の機内空間との間を封止する軸封装置であって、
    前記回転軸の一端に設置されるメカニカルシールと、
    前記メカニカルシールの前記機内空間に形成され、前記メカニカルシールから漏洩した封止液体を一時的に貯溜可能な蒸発室と、
    前記蒸発室に形成され、外気空間に連通する吸気口と、
    前記蒸発室に形成され、外気空間に連通する排気口とを有し、
    前記排気口から前記外気空間に連通する通路と前記蒸発室とが、前記回転機械及び前記メカニカルシールの発熱により昇温されることを特徴とする軸封装置。
  2. 前記吸気口から吸気され前記蒸発室を通過し前記排気口から排気される気流を強制的に生成するように、前記回転軸と一体に回転する羽根車をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の軸封装置。
  3. 前記羽根車は、前記蒸発室に設置されることを特徴とする請求項2に記載の軸封装置。
  4. 前記羽根車は、前記蒸発室に前記ハウジング内の中間通路を通して連通する補助蒸発室に設置されることを特徴とする請求項2に記載の軸封装置。
  5. 前記メカニカルシールと前記排気口との間に配置され、前記漏洩した前記封止液体を吸収する吸水材をさらに有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の軸封装置。
  6. 前記吸気口は、前記回転軸の軸方向において前記排気口より前記メカニカルシール側に形成され、前記排気口は、前記軸方向において前記吸気口より前記回転機械側に形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の軸封装置。
  7. 一端が前記吸気口に接続され他端は前記外気空間に配置されている吸気管と、一端が前記排気口に接続され他端は前記外気空間に配置される排気管とをさらに有し、前記吸気口及び前記排気口は前記吸気管及び前記排気管を介して各々前記外気空間に連通されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の軸封装置。
  8. 前記吸気管に設置され外気を前記吸気管に供給する送風機、又は、前記排気管に設置され外気を前記排気管から排出する送風機の少なくともいずれか一方を有することを特徴とする請求項7に記載の軸封装置。
  9. 前記メカニカルシールは、シングル型メカニカルシールであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の軸封装置。
  10. 前記回転軸の前記一端は水中のインペラーに接続され、前記回転軸はベアリングにより回転可能に保持されている水中ポンプの軸封装置であって、
    前記蒸発室は、前記回転軸に設置された前記メカニカルシールと、前記ベアリングとの間に形成されている
    ことを特徴とすることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の軸封装置。
  11. 請求項10に記載の軸封装置を有することを特徴とする水中ポンプ。
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