JP6684135B2 - 衛生薄葉紙の製造装置及び衛生薄葉紙の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、保湿剤等を含む薬液を含有する薄葉紙に関するものである。
風邪や花粉症などが原因で鼻水が出る場合には、鼻をかむために衛生薄葉紙としてのティッシュペーパーが一般に使用されるが、その使用頻度が高くなると、鼻の表皮の油分が失われてこすれによる痛みを感じるようになる。このため、近年は、保湿成分であるグリセリン等を含んだローションが塗布され、滑性が良く、肌触りが滑らかなティッシュペーパーが流通している(例えば、特許文献1参照)。
また、香料等の機能性を有するマイクロカプセルをローションに加えることにより、清涼感を与えて鼻炎や鼻づまりによる精神的なストレス緩和を図るティッシュペーパーも提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特表2007−534386号公報 特開2013−78373号公報
上述のようにローションにマイクロカプセルを添加した薬液を塗布したティッシュペーパーにおいては、マイクロカプセルによる機能性の調整を行う場合、例えば、マイクロカプセルが香料を内包したものである場合には、香りの強度や種別を変更するためには、調整された別の薬液を使用しなければならず、交換作業が必要となるため、切り替え作業や塗布する設備の洗浄等、多大な労力と時間が必要となっていた。
なお、上記の問題は、ティッシュペーパーに限らず、広く衛生薄葉紙全体について生じ得る問題である。
本発明は、マイクロカプセルとローション薬液とが塗布された衛生薄葉紙の生産性の向上を図ることをその目的とする。
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、衛生薄葉紙の製造装置において、
衛生薄葉紙の原紙に対してマイクロカプセルを塗布するマイクロカプセル塗布装置と、
前記マイクロカプセル塗布装置によりマイクロカプセルが塗布された衛生薄葉紙の原紙の塗布面に対してローション薬液を塗布する液体塗布装置と
を備え、
前記マイクロカプセル塗布装置は、前記マイクロカプセルを静電塗布により前記原紙に塗布することを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の衛生薄葉紙の製造装置において、
前記液体塗布装置は、ローターダンプニング印刷装置であることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2記載の衛生薄葉紙の製造装置において、
前記マイクロカプセルは、ウレタン、尿素−メラミン、尿素−ホルマリンのいずれかを主たる原料とすることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、衛生薄葉紙の製造方法において、
衛生薄葉紙の原紙に対してマイクロカプセルを塗布するマイクロカプセル塗布工程と、
前記マイクロカプセルが塗布された衛生薄葉紙の原紙の塗布面に対してローション薬液を塗布する液体塗布工程とを備え、
前記マイクロカプセル塗布工程は、前記マイクロカプセルが静電塗布により前記原紙に塗布されることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項4記載の衛生薄葉紙の製造方法において、
前記液体塗布工程は、ローターダンプニング印刷方式により行われることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項4又は5記載に記載の衛生薄葉紙の製造方法において、
前記マイクロカプセル塗布工程は、ウレタン、尿素−メラミン、尿素−ホルマリンのいずれかを主たる原料とする前記マイクロカプセルの塗布が行われることを特徴とする。
本発明にかかる衛生薄葉紙の製造装置又は製造方法によれば、ローション薬液にマイクロカプセルを混入させる必要がないので、マイクロカプセルの機能性について調整する場合でも塗布するマイクロカプセルのみを交換すれば良く、ローション薬液の交換を伴わないので、作業負担の軽減と作業時間の低減を図ることができ、衛生薄葉紙の生産性を向上させることが可能となる。
本発明の実施形態である衛生薄葉紙の製造装置の概略構成図である。 図1の製造装置のマイクロカプセル塗布装置の詳細を示す構成図である。 図3(A)は衛生薄葉紙の製造方法における用紙供給工程を示す説明図、図3(B)はマイクロカプセル塗布工程を示す説明図、図3(C)は液体塗布工程を示す説明図である。 実施例と比較例による操業性及び官能評価の比較試験の条件及び結果を示す図表である。
[発明の実施の形態の概略]
本発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。
図1は本発明の実施の形態である衛生薄葉紙の製造装置の概略構成図である。
この衛生薄葉紙の製造装置10は、衛生薄葉紙の原紙に対してローション薬液とマイクロカプセルとを塗布することを主たる目的とする製造装置である。
[衛生薄葉紙の原紙]
本発明の衛生薄葉紙の原紙としては、JIS P 8124(1998)による坪量が10〜18g/m2であるクレープ紙を積層して2プライとしたものであるのが望ましい。また、JIS P 8111(1998)の条件下で、ダイヤルシックネスゲージ(厚み測定器)「PEACOCK G型」(尾崎製作所製)を用いて2プライのままで測定した紙厚は80〜250μm、好ましくは100〜200μm、より好ましくは130〜180μmとするのが望ましい。JIS P 8113(1998)に規定される乾燥引張強度(以下、乾燥紙力ともいう)の縦方向が、2プライで200〜700cN/25mm、好ましくは250〜600cN/25mm、特に好ましくは300〜600cN/25mmとされ、他方、横方向が、2プライで50〜250cN/25mm、好ましくは80〜220cN/25mm、特に好ましくは100〜200cN/25mmとされる。乾燥引張強度が低すぎると、製造時及び使用時の断紙や伸び等のトラブルが発生し易くなり、高過ぎると使用時にごわごわした肌触りとなる。なお、本発明における衛生薄葉紙としては、ティッシュペーパー、トイレットペーパー、ペーパタオルなどが挙げられる。
また、本発明に係る原紙は、その原料は公知のものが使用できるが、特に、パルプ原料は、NBKPとLBKPとで構成されているのが好ましい。適宜古紙パルプが配合されていてもよいが、水系のローション薬液との相性がよく、得られる風合いの点でも望ましいことから、バージンパルプのNBKPとLBKPのみから構成されているのがよい。その場合の配合割合(JIS P 8120)としては、NBKP:LBKP=10:90〜70:30がよく、特に、NBKP:LBKP=30:70〜60:40が望ましい。
[衛生薄葉紙に塗布するローション薬液]
本発明では、衛生薄葉紙の原紙中にローション薬液が塗布される。ローション薬液の塗布は、2プライに積層された原紙の両面に対して行なうのが望ましい。そして、本発明におけるローション薬液の塗布量は、原紙重量(米坪)の20〜30重量%の範囲とすることが望ましい。
ローション薬液としては、水及びポリオールを含有するものとする。特には、ポリオールを70〜90%、水分を10〜20%を含むもの、特に好ましくは、さらに機能性薬剤を0.01〜22%含むものである。かかる水系薬液は、原紙のクレープを伸ばす作用があり、保湿性とともに衛生薄葉紙の表面の滑らかさをも向上させる。
なお、ポリオールはグリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、およびその誘導体等の多価アルコール、ソルビトール、グルコース、キシリトール、マルトース、マルチトール、マンニトール、トレハロース等の糖類を含む。
機能性薬剤としては、柔軟剤、界面活性剤、無機および有機の微粒子粉体、油性成分などがある。柔軟剤、界面活性剤は衛生薄葉紙に柔軟性を与えたり表面を滑らかにしたりする効果があり、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤及び両性イオン界面活性剤を適用する。無機および有機の微粒子粉体は表面を滑らかな肌触りとする。油性成分は滑性を高める働きがあり、流動パラフィン、セタノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等の高級アルコールを用いることができる。
また機能性薬剤としてポリオールの保湿性を維持させる薬剤として親水性高分子ゲル化剤、コラーゲン、加水分解コラーゲン、加水分解ケラチン、加水分解シルク、ヒアルロン酸若しくはその塩、セラミド等の1種以上を任意の組合せ等の保湿剤を加えることができる。
また機能性薬剤として香料、各種天然エキス等のエモリエント剤、ビタミン類、配合成分を安定させる乳化剤、ローション薬液の発泡を抑え塗布を安定させるための消泡剤、防黴剤、有機酸などを適宜配合することができる。さらには、ビタミンC、ビタミンEの抗酸化剤を含有させてもよい。
上記成分のうち、グリセリン、プロピレングリコール等の多価アルコールを主成分とする場合には、ローション薬液の粘度、塗布量を安定させる点で、塗布の点で好ましい。
[衛生薄葉紙に塗布するマイクロカプセル]
一方、本発明では、マイクロカプセルがローション薬液とは別に原紙に塗布される。
本発明のマイクロカプセルとしては、後述する衛生薄葉紙の製造装置10のマイクロカプセル塗布装置40による静電塗布に適したものであることが望ましい。
マイクロカプセルは香料を内包している。かかるマイクロカプセルの材料としては、ウレタン、尿素−メラミン、尿素−ホルマリン、寒天、ゼラチンを主原料とするものが利用可能だが、当該マイクロカプセルは、ローション薬液に曝されるので、水分に対する安定性からウレタン、尿素−メラミン、尿素−ホルマリンがより好ましい。
なお、マイクロカプセルは、後述する製造装置10のマイクロカプセル塗布装置40においてドクターブレード44による掻き取りが行われるので、当該掻き取りに耐え得る強度に設計することが望ましい。マイクロカプセルの膜厚は、特に限定されないが、概ね、0.1〜1.0μm、好ましくは0.1〜0.5μmである。香料含有マイクロカプセル32mの平均粒子径は、10〜50μmであるのが望ましい。この範囲であれば、カプセル重量に対する香料比を大きくすることができ所望の芳香シート材に十分な香料量を含有させることができる。但し、カプセル径が大きくなると製造時にカプセルが多量に破壊されて歩留まりの低下するおそれがあるため、より好ましい香料含有マイクロカプセルの平均粒径は、15〜30μmである。なお、ここでの平均粒子径は、メジアン径による。
また、マイクロカプセルに内包させる香料として、冷涼剤及びl−メントールを含むメントール系香料を用いる。この香料は、鼻をかんだ際に、メントールの揮発性及び冷涼剤により、皮膚に優れた冷涼感を与える。
[衛生薄葉紙の製造装置:全体構成]
衛生薄葉紙の製造装置10は、図1に示すように、原紙Pのロールを保持して原紙の繰り出しを行う原紙供給装置20と、原紙Pに対してマイクロカプセルを塗布するマイクロカプセル塗布装置40と、原紙Pに対してローション薬液を塗布する液体塗布装置30と、原紙Pを折り畳みながら積み重ねる積層装置60とを備えている。
[原紙供給装置]
衛生薄葉紙の原紙Pは、製造装置10の前段階として、先ず、抄紙装置においてパルプ繊維(望ましくは古紙パルプを含まないバージンパルプ100%のパルプ繊維)から薄葉紙を抄造し、必要によりクレープを施し、カレンダー処理を施した上で、これを巻き取り、一次原反ロール(一般にジャンボロールともいわれている)を製造し、次いで図示しないが、この一次原反ロールを公知のプライマシンにセットし、複数の一次原反ロールから繰り出した一次連続シートを重ね合わせて巻き取るとともに輪切り(幅方向に複数に分割)にし、複数枚のプライからなる二次原反ロールを製造する。
原紙供給装置20は、プライマシンで製造された二つの二次原反ロール21を回転可能に保持し、それぞれの二次原反ロールから二次連続シートを原紙Pとして繰り出しを行う。
かかる原紙供給装置20は、各二次原反ロール21から繰り出される原紙Pを個別に搬送する搬送ローラ22と、各搬送ローラ22により形成されるそれぞれの搬送経路の途中に設けられたテンションローラ23とを備えている。
上記テンションローラ23は、搬送ローラ22により搬送される原紙Pに加えられる張力を制御するためのものである。
[マイクロカプセル塗布装置]
マイクロカプセル塗布装置40は、マイクロカプセルをローション薬液に混入させることなく原紙Pに塗布するものであって、2ルートで搬送されるそれぞれの原紙Pについて、片面にマイクロカプセルの塗布を行う二基の塗布ユニット41を備えている。
各塗布ユニット41は、図2に示すように、マイクロカプセルが充填されたマイクロカプセル貯留部42と、マイクロカプセル貯留部42の下部に配置されて充填されたマイクロカプセルに外周面の上部が曝された散布ローラ43と、散布ローラ43の外周面に摺接して付着したマイクロカプセルを均一な膜状とするドクターブレード44と、散布ローラ43に対して原紙Pの搬送方向上流側と下流側とに接する二つの飛散防止ローラ45と、散布ローラ43と二つの飛散防止ローラ45のそれぞれの外周に摺接する放電線46と、搬送される原紙Pの下側に配置された帯電器47とを備えている。
マイクロカプセル貯留部42はその下部が広く開口し、当該開口部を塞ぐように散布ローラ43が配置されている。これにより、散布ローラ43の外周面の上部がマイクロカプセル貯留部42の内部に充填されたマイクロカプセルに曝された状態となり、当該散布ローラ43が回転を行うことによってその外周面の周全体にマイクロカプセルが付着する。
ドクターブレード44は、散布ローラ43に対して原紙Pの搬送方向の上流側と下流側とにそれぞれ設けられており、回転を行う散布ローラ43の外周面に付着したマイクロカプセルを均一な厚さに薄層化する。
二つの飛散防止ローラ45は、散布ローラ43に摺接して回転を行う。散布ローラ43の下側は、当該散布ローラ43と二つの飛散防止ローラ45とに囲まれたマイクロカプセル散布領域が形成されている。
そして、二つの飛散防止ローラ45の外周の下部に対して僅かな隙間をあけた状態で原紙Pが搬送される。この時、マイクロカプセル散布領域内で散布ローラ43と二つの飛散防止ローラ45にそれぞれ摺接する放電線46が除伝を行うことにより、マイクロカプセルが散布ローラ43及び二つの飛散防止ローラ45の外周面から掻き落とされ、原紙P側に落下する。
また、原紙Pの下側に配置された帯電器47が帯電状態となることにより、マイクロカプセル散布領域内のマイクロカプセルを原紙P側に引き寄せるので、原紙Pに対してより効果的にマイクロカプセルの塗布を行うことができる。
[液体塗布装置]
液体塗布装置30は、2ルートで搬送されるそれぞれの原紙Pについて、表面にローション薬液の塗布を行うものと裏面にローション薬液の塗布を行うものとで合計四基の塗布ユニット31を備えている。
塗布ユニット31は、ローターダンプニング印刷方式のローターダンプニング印刷装置としての構成を採っており、ローション薬液を噴霧する噴霧器32と、当該噴霧器32の前方に対向配置され、その外周面に原紙Pを沿わせて搬送するバックローラ33とを備え、バックローラ33によって搬送される原紙Pに対して噴霧器32によりローション薬液の塗布が行われる。
これらの構成により、2ルートで搬送されるそれぞれの原紙Pの両面にローション薬液が塗布される。
[積層装置]
積層装置60は、2ルートで搬送されるそれぞれの原紙Pに個別にエンボス加工を行う二つのエンボスローラ61と、それぞれの原紙Pを折り畳みながら積み重ねる積層部62とを備えている。これらは周知のものと同一であるため詳細な説明は省略する。
[衛生薄葉紙の製造方法]
図3は衛生薄葉紙の製造工程を順番に示した説明図である。製造装置10を用いた衛生薄葉紙の製造方法を図1〜図3に基づいて説明する。
まず、パルプ繊維から抄造された2プライの薄葉紙からなる原紙Pが巻かれた二つの二次原反ロール21が用意され、原紙供給装置20にセットされる。そして、原紙Pが2ルートで下流側に供給される。この時、それぞれの原紙Pは、テンションローラ23により所定の張力が付与された状態でマイクロカプセル塗布装置40に送られる(図3(A):用紙供給工程)。
次いで、各原紙Pはマイクロカプセル塗布装置40において、片面について個々の塗布ユニット41によりマイクロカプセルの塗布が行われる。マイクロカプセル塗布装置40は静電塗布を行うので、静電気力によりマイクロカプセルは原紙Pの平面に付着する(図3(B):マイクロカプセル塗布工程)。なお、図3(B)中の符号mはマイクロカプセルを示す。
次いで、各原紙Pは液体塗布装置30において、搬送される原紙Pの両側に配置されたそれぞれの塗布ユニット31によって、その両面にローション薬液が塗布される(図3(C):液体塗布工程)。塗布されたローション薬液は原紙Pの内側に浸透する。なお、図3(C)中の符号lはローション薬液を示す。
次いで、各原紙Pは積層装置60において、各エンボスローラ61によりエンボスが付与され、さらに、積層部62により折り畳まれて積み重ねられる(積層工程)。
このようにして折り畳まれ、積層された原紙Pは、最終的には、後段設備において製品幅と同幅の間隔をおいて裁断され、箱詰め、包装等の処理を経て製品(衛生薄葉紙)となる。
[発明の実施の形態の技術的効果]
上記衛生薄葉紙の製造装置10は、液体塗布装置30とは別の工程で原紙Pにマイクロカプセルを塗布するマイクロカプセル塗布装置40と、原紙Pにローション薬液を塗布する液体塗布装置30とを備えているので、マイクロカプセル塗布工程と液体塗布工程とがそれぞれ別工程で行われることとなる。
このため、ローション薬液にマイクロカプセルを混入させて塗布する場合と異なり、マイクロカプセルの機能性の調整、例えば、香料の強度や種別を変更する場合でも塗布するマイクロカプセルのみを交換すれば良く、ローション薬液の交換を伴わないので、作業負担の軽減と作業時間の低減を図ることができ、衛生薄葉紙の生産性を向上させることが可能となる。
また、上記構成の製造装置10は、従来からあるローション薬液を塗布し、マイクロカプセルを塗布しない衛生薄葉紙の製造装置に対してマイクロカプセル塗布装置40を加えるだけ実現することができ、既存の設備利用を図ることができる。
また、製造装置10のマイクロカプセル塗布装置40は、その塗布ユニット41が放電線46と帯電器47とを備え、マイクロカプセルを静電塗布により原紙Pに塗布するので、マイクロカプセル塗布工程を静電塗布により行うことができる。
これにより、マイクロカプセルのローション薬液への混入を不要としつつも、マイクロカプセル塗布の際にマイクロカプセルが粉塵化して周囲に拡散することを効果的に抑制することが可能となる。
また、製造装置10の液体塗布装置30は、ローターダンプニング印刷装置であることから、液体塗布工程においてローターダンプニング印刷方式によりローション薬液の塗布を行うことができる。
これにより、グラビア印刷やフレキソ印刷のように、ローション薬液を原紙に供給するための溝や凸条が形成された特殊形状のローラを使用することなく、簡易な構成により塗布を行うことが可能となる。
また、製造装置10では、マイクロカプセル塗布工程において塗布するマイクロカプセルとして、ウレタン、尿素−メラミン、尿素−ホルマリンのいずれかを主たる原料とするものを利用している。
これらを主材料とするマイクロカプセルであればローション薬液に曝されても安定性を維持することができ、衛生薄葉紙を使用するまで香料を保持することが可能である。また、衛生薄葉紙が香料の機能を失わない耐用期限を長く維持することが可能となる
[その他]
なお、上記製造装置10の液体塗布装置30による液体塗布工程は、ローターダンプニング方式に限定されない。例えば、フレキソ印刷方式、ロール転写方式、インクジェット方式、スプレー方式、グラビア印刷方式等の他の液体塗布方法を利用しても良い。
また、マイクロカプセル塗布装置40によりマイクロカプセル塗布工程は、静電塗布に限定されない。例えば、静電吹き付け方式、スプレー方式等の他の粉体塗布方法をマイクロカプセルの塗布に適用しても良い。
また、静電力を利用しない方式を採用する場合には、マイクロカプセルは、静電塗布に適したものに限らず、より広範囲の種類の材料からなるマイクロカプセルを使用することが可能である。
また、香料を内包するマイクロカプセルを利用する場合を例示したが、他の機能成分を内包するマイクロカプセルを利用しても良い。
(実施例1、2および比較例1〜3)
図4の図表に示す各種の2プライティッシュペーパー(実施例1、2および比較例1〜3)を製造し、表中に記したローション薬液及び香料カプセルを塗布し、操業性及び官能評価を行った。なお、ローション薬液は5.6g/m、香料カプセル(マイクロカプセル)は平均粒子径が10μmのものを0.60g/mを塗布した。
実施例1は、香料カプセル粉体(マイクロカプセル)を静電装置により塗布した後、ローション薬液をグラビア方式で塗布した。実施例2は、香料カプセル粉体(マイクロカプセル)を静電装置により塗布した後、ローション薬液をスプレー方式で塗布した。
比較例1は、ローション薬液中に香料カプセル(マイクロカプセル)を混合した薬液をグラビア塗工した。その際、静電装置は使用していない。
比較例2は、ローション薬液をグラビア方式で塗布した後、香料カプセル(マイクロカプセル)を水に分散させてスプレー塗布した。その際、静電装置は使用していない。
比較例3は、ローション薬液をグラビア方式で塗布した後、香料カプセル(マイクロカプセル)を水に分散させてグラビア塗工した。その際、静電装置は使用していない。
(柔らかさの官能評価)
柔らかさの官能評価については、被験者10名により、紙の表面を手で触った際の柔らかさについて5点満点(5点:とても良い、4点:良い、3点:どちらでもない、2点:悪い、1点:とても悪い)で点数をつけて平均点を算出し、その平均点が、4点以上の場合を「◎」、3点以上4点未満の場合を「〇」、3点未満を「×」とそれぞれ評価した。
(香りの強さの官能評価)
香りの強さの官能評価については、被験者10名により、紙の表面を鼻にあてた際の香りの強さについて5点満点(5点:とても良い、4点:良い、3点:どちらでもない、2点:悪い、1点:とても悪い)で点数をつけて平均点を算出し、その平均点が、4点以上の場合を「◎」、3点以上4点未満の場合を「〇」、3点未満を「×」
とそれぞれ評価した。
(薬液切り替え時間)
薬液の切り替え時間は、ローション薬液を0.8mのタンクから0.5mの薬液を抜き取り、系内の紛体を水で洗い流した上でタンク内に薬液を0.5m入れた際の所要時間が0.5時間未満の場合を「◎」、0.5時間以上1.0時間未満の場合を「〇」、1.0時間以上の場合を「×」とした。
表1からもわかる通り、本発明に係る実施例1、実施例2は、比較例1〜3とは異なり、優れた柔らかさと香りの強さを示し、なおかつ設備の残香がないため、薬液の切り替え時間が短縮された。
10 製造装置
20 原紙供給装置
21 二次原反ロール
22 搬送ローラ
23 テンションローラ
30 液体塗布装置
31 塗布ユニット
32 噴霧器
33 バックローラ
40 マイクロカプセル塗布装置
41 塗布ユニット
42 マイクロカプセル貯留部
43 散布ローラ
44 ドクターブレード
45 飛散防止ローラ
46 放電線
47 帯電器
60 積層装置
61 エンボスローラ
62 積層部
100 バージンパルプ
l ローション薬液
m マイクロカプセル
P 原紙

Claims (6)

  1. 衛生薄葉紙の原紙に対してマイクロカプセルを塗布するマイクロカプセル塗布装置と、
    前記マイクロカプセル塗布装置によりマイクロカプセルが塗布された衛生薄葉紙の原紙の塗布面に対してローション薬液を塗布する液体塗布装置と
    を備え、
    前記マイクロカプセル塗布装置は、前記マイクロカプセルを静電塗布により前記原紙に塗布することを特徴とする衛生薄葉紙の製造装置。
  2. 前記液体塗布装置は、ローターダンプニング印刷装置であることを特徴とする請求項1記載の衛生薄葉紙の製造装置。
  3. 前記マイクロカプセルは、ウレタン、尿素−メラミン、尿素−ホルマリンのいずれかを主たる原料とすることを特徴とする請求項1又は2記載の衛生薄葉紙の製造装置。
  4. 衛生薄葉紙の原紙に対してマイクロカプセルを塗布するマイクロカプセル塗布工程と、
    前記マイクロカプセルが塗布された衛生薄葉紙の原紙の塗布面に対してローション薬液を塗布する液体塗布工程とを備え、
    前記マイクロカプセル塗布工程は、前記マイクロカプセルが静電塗布により前記原紙に塗布されることを特徴とする衛生薄葉紙の製造方法。
  5. 前記液体塗布工程は、ローターダンプニング印刷方式により行われることを特徴とする請求項4記載の衛生薄葉紙の製造方法。
  6. 前記マイクロカプセル塗布工程は、ウレタン、尿素−メラミン、尿素−ホルマリンのいずれかを主たる原料とする前記マイクロカプセルの塗布が行われることを特徴とする請求項4又は5記載の衛生薄葉紙の製造方法。
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