JP6683187B2 - 飲料用含水チョコレート及びそれを含有するチョコレート飲料 - Google Patents
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Description
これらの生チョコレートはそのまま喫食するものであるが、この濃厚なチョコレート風味を生かし、洋菓子と組み合わせるためフィリングやサンドなどの充填用途に利用する試みが行われてきた。
そのため、濃厚なチョコレート風味を有した冷たいチョコレート飲料を調製することは非常に困難であり、現状よりも濃厚なチョコレート飲料を望む傾向にある市場ニーズに十分に応えられていない。
(1)(A)カカオ固形分、(B)二糖類及び/または単糖類、及び(C)全粉乳,乳化剤,液体油の群から選ばれる二種以上を含有する飲料用含水チョコレート。
(2)全粉乳が2.5重量%〜30重量%、乳化剤が0.02重量%〜2重量%、液体油が3〜38重量%含有する、(1)記載の飲料用含水チョコレート。
(3)乳化剤がショ糖脂肪酸エステル,ポリグリセリン脂肪酸エステル及びソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選ばれた一種以上である、(1)または(2)記載の飲料用含水チョコレート。
(4)(A)カカオ固形分、(B)二糖類及び/または単糖類、及び(C)全粉乳,乳化剤,液体油の群から選ばれる二種以上を配合することを特徴とする、飲料用含水チョコレートの製造方法。
(5)(1)〜(3)記載の飲料用含水チョコレートを含有するチョコレート飲料。
である。
本発明の飲料用含水チョコレートは、(A)カカオ固形分、(B)二糖類及び/または単糖類、及び(C)全粉乳,乳化剤,液体油の群から選ばれる二種以上を含有するものである。
本発明の飲料用含水チョコレートの製造方法の一例を挙げれば、カカオマスやココアバター等のカカオ固形分、全粉乳、二糖類もしくは単糖類、液体油、乳化剤等を常法通りロール掛け、コンチング処理等して原料チョコレートを調製し、得られた原料チョコレートに生クリーム等の水性成分を混合後、殺菌、冷却することにより得ることができる。
特に本発明においては飲料にした際に濃厚なチョコレート感が得られるようなカカオ固形分の多いチョコレート類を使用する。
含水チョコレートは一般的にはO/W型あるいはW/O型、そのそれぞれを組み合わせた二重乳化や一部が転相したものなどがある。本発明では特に限定されないが、O/WまたはO/Wの一部転相系といった水相が連続相である部分が大きい方がより望ましい。
原料チョコレート類と水性成分との混合は既存の含水チョコレート類の定法に従い作成し、その配合・工程には特に限定はない。
水性成分としては水、糖類、天然の生クリーム類あるいは牛乳等の他に従来種々開発されてきた動植物性油脂等を使用したフィルドクリーム類、及び特許庁公報の周知慣用技術集にいう合成クリームの他、濃縮乳あるいは各種フルーツ類、果汁、天然蜂蜜、洋酒類などが例示でき、これらの一種あるいは二種以上を使用することができる。
本発明における含水チョコレートは以上のような水性成分を用いて水分を2〜50重量%、好ましくは5〜45重量%、さらに好ましくは10〜40重量%となるように調製する。
また、上述の通り本発明は濃厚なチョコレート感が特徴であるため、一般的なココアを糖液に分散させたようなチョコレートシロップとは異なる風味のものである。
本発明の含水チョコレートに含まれるカカオ固形分とは、カカオ豆由来の固形分であり、カカオマスやココア、ココアバター等を挙げることができるが、より濃厚な生チョコレートの風味を得るためには、カカオ固形分としてカカオマスを多く使用することが好ましい。
本発明において、含水チョコレート中のカカオ固形分量として、好ましくは10重量%以上、より好ましくは15重量%以上含有させると、より濃厚な生チョコレート風味を得ることができる。
本発明の含水チョコレートに含まれる糖類としては、二糖類及び/または単糖類である。二糖類として、好ましくはショ糖,果糖,麦芽糖であり、単糖類として、好ましくはブドウ糖である。これらの糖類は単独で用いることもでき、又は二種以上を組み合わせて用いることもできる。
本発明において糖類の量は特に限定はされず、従来の含水チョコレートに用いられる糖類の添加量・添加方法に準じ、用途に合わせ適宜用いることができる。
全粉乳の配合量は好ましくは2.5重量%〜30重量%、より好ましくは5重量%〜25重量%である。全粉乳の配合量が少なすぎると含水チョコレートの、冷水や炭酸水等への分散性が悪くなる場合があり、多すぎると効果に差が出ない場合やチョコレートの濃厚さを付与できない場合がある。
本発明の含水チョコレートに配合する乳化剤としては、ショ糖脂肪酸エステル、モノグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、レシチン、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル等を使用することができ、これらの乳化剤を単独又は二種以上併用して使用することができる。乳化剤は、好ましくはショ糖脂肪酸エステル,ポリグリセリン脂肪酸エステルまたはソルビタン脂肪酸エステル、より好ましくはショ糖脂肪酸エステルまたはポリグリセリン脂肪酸エステルである。
また、乳化剤のHLBは、含水チョコレートの冷水や炭酸水等への分散性が向上する点で、好ましくは5以上、より好ましくは7以上、さらに好ましくは10以上が適当である。
乳化剤の配合量は、好ましくは、0.02重量%〜2重量%、より好ましくは0.05重量%〜1重量%、さらに好ましくは0.1重量%〜0.5重量%である。乳化剤の配合量が少なすぎると含水チョコレートの、冷水や炭酸水等への分散性が悪くなる場合があり、多すぎると風味が悪くなる場合がある。
本発明の含水チョコレートに配合する液体油としては、天然パーム油を溶剤、非溶剤分別法によって分別して得られる低融点画分であるパームオレインやパームオレインをさらに一段分別、もしくは二段分別して得られるヨウ素価60以上の食用パームオレイン、大豆油、菜種油、ヒマワリ種子油、綿実油、落花生油、米ぬか油、コーン油、サフラワー油等を挙げることができ、これらを単独あるいは二種以上を併用して使用することができる。
液体油の配合量は、好ましくは3重量%〜38重量%、さらに好ましくは5重量%〜20重量%である。液体油の配合量が少なすぎると含水チョコレートの、冷水や炭酸水等への分散性が悪くなる場合があり、多すぎると風味が悪くなる場合や、チョコレートの濃厚感が得られない場合がある。
本発明の含水チョコレートは、飲料と混合すると分散性が非常に良好であることを特徴とする。ここでいう飲料とは、水,氷水、炭酸水,ソーダ水,甘味系炭酸飲料等の炭酸飲料、牛乳等の乳飲料などの冷たい飲料すべてを意味する。
このように、従来のチョコレート素材では、分散することが困難であった、10℃以下の冷水や炭酸水等に対しても容易に分散することが可能となるため、冷たく濃厚なチョコレート感のあるチョコレート飲料を手間をかけることなく簡単に調製することができる。
なお、本発明の含水チョコレートは冷水や炭酸水等への分散性が良好であるため、お湯や熱した牛乳などこれまでのチョコレート飲料に使用されてきた温かい飲料にも当然良好に分散する。
表1のBの配合で、常法に従い原料チョコレート類を製造した。次いで乳化剤(製品名:リョートーシュガーエステルS-1670、三菱化学フーズ株式会社製、HLB=16)を水とともに分散させた後、生クリーム(製品名:明治十勝フレッシュクリーム47、株式会社明治製)、水をすべて混合したうえで60℃に加温し、表2の配合ロに従って加え混合した。
上記混合物を加温しながらホモミキサー(T.Kホモディスパー、プライミクス株式会社製)を用いて2000rpmにて撹拌を行い、65℃、30分間保持後洋酒を加え混合した。その後、5℃にて冷却してO/W型乳化物である含水チョコレートを得た。
表1のLの配合で原料チョコレート類を常法に従い製造し、表2の配合ロに従い参考例1と同様にして含水チョコレートを得た。
表1のDの配合で原料チョコレート類を常法に従い製造し、表2の配合ロに従い参考例1と同様にして含水チョコレートを得た。
表1のIの配合で原料チョコレート類を常法に従い製造し、表2の配合イに従い参考例1と同様にして含水チョコレートを得た。
表1のGの配合で原料チョコレート類を常法に従い製造し、表2の配合イに従い参考例1と同様にして含水チョコレートを得た。
表1のHの配合で原料チョコレート類を常法に従い製造し、表2の配合ロに従い参考例1と同様にして含水チョコレートを得た。
表1のMの配合で原料チョコレート類を常法に従い製造し、表2の配合ロに従い参考例1と同様にして含水チョコレートを得た。
表1のNの配合で原料チョコレート類を常法に従い製造し、表2の配合ロに従い参考例1と同様にして含水チョコレートを得た。
乳化剤(製品名:SYグリスターMSW-7S、阪本薬品工業株式会社製、HLB=13.4)を水とともに分散させた後、表1のBの配合で原料チョコレート類を常法に従い製造し、表2の配合ロに従って参考例1と同様にして含水チョコレートを得た。
表1のEの配合で原料チョコレート類を常法に従い製造し、表2の配合ロに従い参考例1と同様にして含水チョコレートを得た。
表1のHの配合で原料チョコレート類を常法に従い製造し、表2の配合ホに従い参考例1と同様にして含水チョコレートを得た。
表1のAの配合で原料チョコレート類を常法に従い製造し、表2の配合イに従い参考例1と同様にして含水チョコレートを得た。
表1のHの配合で原料チョコレート類を常法に従い製造し、表2の配合イに従い参考例1と同様にして含水チョコレートを得た。
表1のFの配合で原料チョコレート類を常法に従い製造し、表2の配合ロに従い参考例1と同様にして含水チョコレートを得た。
表1のJの配合で原料チョコレート類を常法に従い製造し、表2の配合ロに従い参考例1と同様にして含水チョコレートを得た。
表1のAの配合で原料チョコレート類を常法に従い製造し、表2の配合ロに従い参考例1と同様にして含水チョコレートを得た。
表1のHの配合で原料チョコレート類を常法に従い製造し、表2の配合ハに従い参考例1と同様にして含水チョコレートを得た。
表1のHの配合で原料チョコレート類を常法に従い製造し、表2の配合二に従い参考例1と同様にして含水チョコレートを得た。
表1のKの配合で原料チョコレート類を常法に従い製造し、表2の配合イに従い参考例1と同様にして含水チョコレートを得た。
表1のKの配合で原料チョコレート類を常法に従い製造し、表2の配合ロに従い参考例1と同様にして含水チョコレートを得た。
なお、分散性の評価は、◎:非常に良好、○:良好、×:不良とし、◎または○の評価のものを合格とした。また、風味評価は、◎:非常に良好、○良好、△:やや良好、×:不良とし、◎、○、△の評価のものを合格とした。評価結果を表3に示した。
SE:シュガーエステル(製品名:リョートーシュガーエステルS-1670);HLB=16
PG:ポリグリセリンエステル(製品名:SYグリスターMSW-7S);HLB=13.4
*全粉乳と液体油のカッコ内の数値は、含水チョコレート中の含有量(%)を表す
一方、比較例1〜3、5、6のように、全粉乳,乳化剤及び液体油の中で乳化剤のみ、または液体油のみ配合されている場合や、全粉乳、乳化剤、液体油の含有量が低いものについては、冷水へ分散せずチョコレート飲料を調製できなかった。また、比較例4、7、9は冷水へ分散するものの、比較例4、9は油っぽさを感じ、比較例7は乳化剤の風味が感じられ、いずれも風味が悪くなり良好なチョコレート飲料が調製できなかった。また、二糖類または単糖類を配合していない比較例8は分散性が悪く、比較例9は乳化剤をさらに配合することで分散性が改善されるものの風味が悪かった。
表4のaの配合で原料チョコレート類を常法に従い製造し、表2の配合イに従い参考例1と同様にして含水チョコレートを得た。
表4のbの配合で原料チョコレート類を常法に従い製造し、表2の配合イに従い参考例1と同様にして含水チョコレートを得た。
一方、比較例10のように全粉乳、乳化剤を配合していないものは、冷水へ分散せずチョコレート飲料を調製できなかった。
Claims (5)
- (A)カカオ固形分、(B)二糖類及び/または単糖類、及び(C)全粉乳13.4重量%〜30重量%及び液体油1.2〜38重量%を含有し、水分が2〜50重量%である冷水又は炭酸水用含水チョコレート(ただし、ショ糖脂肪酸エステル,ポリグリセリン脂肪酸エステル及びソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選ばれた一種以上であるHLBが5以上の乳化剤0.02重量%〜2重量%を使用する態様を除く)。ただし、冷水又は炭酸水は10℃以下の温度である。
- (A)カカオ固形分、(B)二糖類及び/または単糖類、及び(C)全粉乳13.4重量%〜30重量%及び液体油1.2〜38重量%を含有し、水分が2〜50重量%である冷水又は炭酸水用含水チョコレート(ただし、ショ糖脂肪酸エステル,ポリグリセリン脂肪酸エステル及びソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選ばれた一種以上であるHLBが5以上の乳化剤を使用する態様を除く)。ただし、冷水又は炭酸水は10℃以下の温度である。
- (A)カカオ固形分、(B)二糖類及び/または単糖類、及び(C)全粉乳13.4重量%〜30重量%及び液体油1.2〜38重量%を配合することを特徴とする、冷水又は炭酸水用含水チョコレート(ただし、ショ糖脂肪酸エステル,ポリグリセリン脂肪酸エステル及びソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選ばれた一種以上であるHLBが5以上の乳化剤0.02重量%〜2重量%を使用する態様を除く)の製造方法。ただし、冷水又は炭酸水は10℃以下の温度である。
- (A)カカオ固形分、(B)二糖類及び/または単糖類、及び(C)全粉乳13.4重量%〜30重量%及び液体油1.2〜38重量%を配合することを特徴とする、冷水又は炭酸水用含水チョコレート(ただし、ショ糖脂肪酸エステル,ポリグリセリン脂肪酸エステル及びソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選ばれた一種以上であるHLBが5以上の乳化剤を使用する態様を除く)の製造方法。ただし、冷水又は炭酸水は10℃以下の温度である。
- 請求項1または2記載の冷水又は炭酸水用含水チョコレートを含有するチョコレート飲料。
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