JP6683112B2 - 表皮付き製品の製造方法 - Google Patents
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Description
賦形工程では、予め成形された基材が、その基材の裏面において真空成形型に装着され、その基材の表面側に、表皮の材料である表皮材が配置される。真空成形型及び基材を通じて表皮材が吸引されることで、表皮材の主要部が基材の表面に密着するように変形させられる。
しかし、真空引きされながら余剰部分が切断されると、その切断された箇所から少なからず空気が吸引される。余剰部分を基材の裏面側に引張る力が切断前よりも低下し、余剰部分が、真空引きにより引張られる前の形状に戻ろうとする。
上記表皮付き製品の製造方法において、前記巻込み工程では、前記端末部を前記巻込み機構により前記境界面に直交する方向へ押して、同端末部を、前記基材の前記境界面を含む裏面に密着するように変形させることで、前記端末部を巻込むことが好ましい。
この点、上記の製造方法によれば、基材は、巻込み機構により端末部を押す方向へ動くことを規制される。端末部は、この状態で巻込み機構により押されるため、基材に強く押付けられる。その結果、端末部は基材の裏面に強固に接着(圧着)される。
また、真空成形型及び巻込み機構のそれぞれの一部をなすプラグは次のように作動する。
トリミング工程では、基材が真空成形型の上記残部に装着された状態で、プラグがトリム刃の移動経路から外れた箇所まで後退させられる。そのため、プラグは、トリム刃による余剰部分の切断の妨げとなりにくい。
以下、表皮付き製品の製造方法の第1実施形態について、図1〜図9を参照して説明する。
最初に、第1実施形態の製造方法によって製造される表皮付き製品について説明する。図1(a)〜(c)に示すように、表皮付き製品11は、骨格部分をなす基材12に、装飾性及び手触り感の良好な表皮21を被せて一体化したものである。
表皮21は、その大部分を占める主要部22と、主要部22の周囲の端末部23とからなる。上記主要部22は基材12の表面17に被せられ、端末部23は基材12の裏面18側に巻込まれている。
<製造装置30について>
次に、上記表皮付き製品11の製造に用いられる製造装置30について説明する。
真空成形型31の上部には、上記基材12の裏面18に対応した形状を有する突部32a,32bが形成されている。これらの突部32a,32bは、賦形工程に際し、基材12が装着される箇所である。真空成形型31には、表皮21の端末部23を基材12の裏面18側に巻込むための巻込み機構35が設けられている。巻込み機構35は、真空成形型31の一部をなし、かつ上記基材12の境界面18aに対し直交する方向である上下方向へ往復動し得るプラグ36を備えている。プラグ36は、上端部に上記突部32bを有している。真空成形型31のうち、プラグ36とは異なる箇所を残部37というものとすると、この残部37の一部は、自身の上端部に上記突部32aを有している。上記残部37において、突部32aの下方であって、後述するトリム刃46の移動経路上となる箇所には、切断用溝部38が形成されている。
次に、第1実施形態の作用として、上記製造装置30を用いて表皮付き製品11を製造する方法について、効果とともに説明する。
<賦形工程>
図2に示すように、賦形工程の実施に先立ち、予め所定の形状に成形された基材12が準備される。この基材12において、表皮21が被せられる予定の箇所に接着剤が塗布される。また、加熱されることにより軟化した表皮材20が準備される。
賦形工程の次に行なわれるトリミング工程では、基材12が真空成形型31の上記残部37に装着された状態で、プラグ36が、図3における二点鎖線の矢印で示す方向へ移動されることで、トリム刃46の移動経路から外れた箇所まで後退させられる。そのため、プラグ36は、トリム刃46による表皮材20の切断の妨げとなりにくい。
トリミング工程の次に行なわれる巻込み工程では、上記中間製品における基材12が真空成形型31の残部37に装着された状態に維持される。基材12は、残部37によって裏面18側から支えられ続ける。
・比較例として、図9(b)に示すように、トリム刃46を基材12の境界面18aに対し直交する方向である上下方向へ移動させても、表皮材20の余剰部分24を、主要部22の周囲に端末部23が残るように切断することができる。ただし、この場合には、端末部23は、主要部22に隣接し、かつ上記境界面18aに直交する部分61と、その部分61に対し主要部22とは反対側に隣接し、かつ上記境界面18aに平行な部分62とによって構成される。この平行な部分62の分、端末部23が長くなってしまい、その結果、端末部23が過渡に長くなるおそれがある。
次に、表皮付き製品の製造方法の第2実施形態について、上記図5及び図6に加え、図10及び図11を参照して説明する。
基材12における本体部13の周りの周縁部14は、複数の直線部分15と、隣り合う直線部分15を繋ぐ複数のコーナ部分16とによって構成されている。この点で、第2実施形態は第1実施形態と共通している。さらに、各コーナ部分16は、本体部13から遠ざかる側へ膨らむように円弧状に湾曲している。各コーナ部分16は、いずれの直線部分15の長さよりも短い周長を有している。
切断機構45における複数のトリム刃として、複数の第1トリム刃71と、複数の第2トリム刃72とが用いられている。各第1トリム刃71は、表皮材20の余剰部分24のうち、基材12の直線部分15に対応する箇所を、主要部22の周囲に端末部23が残るように切断するためのものである。第1トリム刃71のうち、余剰部分24において比較的長さの長い直線部分15に対応する箇所を切断するものについては、複数に分割されている。また、各第2トリム刃72は、表皮材20の余剰部分24のうち、基材12のコーナ部分16に対応する箇所を、主要部22の周囲に端末部23が残るように切断するためのものである(図5参照)。
第2実施形態では、真空引きにより表皮材20が吸引されながら、第2トリム刃72による余剰部分24の切断が行なわれ、その後に、第1トリム刃71による余剰部分24の切断が行なわれる。
次に、表皮付き製品11を製造する方法について説明する。この方法の実施に際しては、第1実施形態と同様に、賦形工程、トリミング工程及び巻込み工程が順に行なわれる。これらの工程のうち、トリミング工程に第2実施形態の特徴がある。
しかし、真空引きされながら余剰部分24が切断されると、その切断された箇所から少なからず空気が吸引され、余剰部分24を基材12の裏面18側に引張る力が切断前よりも低下する。そのため、余剰部分24が、真空引きにより引張られる前の形状に戻ろうとする。
次に、表皮付き製品の製造方法の第3実施形態について、図12を参照して説明する。
<基材12について>
基材12の裏面18のうち、端末部23が密着される箇所とは異なる複数箇所には、その基材12の剛性を高めるための板状のリブ75が一体に形成されている。また、基材12の裏面18のうち、端末部23が密着される箇所と、上記リブ75が形成された箇所とは異なる複数箇所には、巻込み工程で基材12を掴むために使用される板状のリブ76が一体に形成されている。いずれのリブ75,76も、基材12の表面17から遠ざかる側(裏側)へ突出している。
第3実施形態では、上型41を備えない製造装置30が用いられている。
<チャック機構77について>
真空成形型31において、基材12のリブ76に接近した箇所にはチャック機構77が備えられている。チャック機構77は、リブ76の厚み方向(図12の左右方向)に対向して配置された一対のアーム78を備えている。各アーム78は、一方(図12の下方)の端部において軸79により回動可能に支持され、かつ他方(図12の上方)の端部に爪81を有している。このチャック機構77では、図12において実線で示すように、両爪81の間隔が狭まる方向へ各アーム78が回動されることで、リブ76が厚み方向の両側から両爪81によって掴まれる。その逆に、図12において二点鎖線で示すように、両爪81の間隔が広がる方向へ各アーム78が回動されることで、リブ76を掴む力が弱められる。さらに、チャック機構77は、両爪81によってリブ76を掴んだ状態の両アーム78を、そのリブ76から遠ざかる側(下側)へ移動させる機構(図示略)を備えている。
基材12において、表皮21が被せられる予定の箇所に接着剤が塗布されることについては、上述した通りである。この接着剤は、上記第1実施形態及び第2実施形態では図示が省略されたが、第3実施形態(図12参照)では符号82で示されている。接着剤82は、基材12の表面17に塗布されるとともに、同基材12の裏面18のうち端末部23が巻込まれる予定の箇所にも塗布される。
巻込み工程では、巻込み機構35により端末部23を押して巻込む動作が、その押す方向へ基材12が動くのをチャック機構77によって規制した状態で行なわれる。
次に、表皮付き製品11を製造する方法について説明する。この方法の実施に際しては、第1実施形態と同様に、賦形工程、トリミング工程及び巻込み工程が順に行なわれる。これらの工程のうち、巻込み工程に第3実施形態の特徴がある。
・プラグ36としては、単一の部品によって構成されるものが用いられてもよいし、基材12の周縁部14(図1(c)参照)に沿って複数に分割されたものが用いられてもよい。後者の場合には、プラグ36毎に最適なタイミングで同プラグ36を移動させることができるメリットがある。
・第1及び第2実施形態においても、第3実施形態と同様に、上型41を備えない製造装置30によって表皮付き製品11が製造されてもよい。
・上記表皮付き製品の製造方法は、ドアトリムとは異なる自動車用内装部品を表皮付き製品として製造する場合にも適用可能である。
Claims (6)
- 表皮の主要部が基材の表面に被せられ、かつ前記表皮における前記主要部の周囲の端末部が前記基材の裏面側に巻込まれてなる表皮付き製品を製造する方法であって、
予め成形された基材を、その基材の裏面において真空成形型に装着するとともに、前記基材の表面側に、前記表皮の材料である表皮材を配置した後、前記真空成形型及び前記基材を通じて前記表皮材を吸引することで、同表皮材の前記主要部を前記基材の表面に密着するように変形させる賦形工程と、
前記賦形工程を経た後に、前記基材を前記真空成形型に装着された状態に維持しつつ、前記表皮材のうち前記基材の表面に密着していない余剰部分を、前記主要部の周囲に前記端末部が残るようにトリム刃で切断することにより、前記端末部を有する前記表皮を形成するトリミング工程と、
前記トリミング工程を経た後に、前記基材を前記真空成形型に装着された状態に維持しつつ、前記表皮の前記端末部を巻込み機構により前記基材の裏面側に巻込む巻込み工程とを備え、
前記基材として、裏面が表面との境界部分に平坦な境界面を有するものを用い、
前記トリム刃として、前記境界面に沿う方向へ往復動し得る第1トリム刃及び第2トリム刃を用い、
前記基材の周縁部は、複数の直線部分と、隣り合う前記直線部分を繋ぎ、かつ前記直線部分の長さよりも短い周長を有する湾曲状の複数のコーナ部分とにより構成されており、
前記第1トリム刃は、前記表皮材の前記余剰部分のうち、前記基材の前記直線部分に対応する箇所を切断し、前記第2トリム刃は、前記表皮材の前記余剰部分のうち、前記基材のコーナ部分に対応する箇所を切断し、
前記トリミング工程では、真空引きにより前記表皮材を吸引しながら、前記第1トリム刃及び第2トリム刃を前記境界面に沿って前記余剰部分に近づく側へ移動させて前記余剰部分に押付けることにより切断を行い、前記第2トリム刃による前記余剰部分の切断を行なった後に、前記第1トリム刃による前記余剰部分の切断を行なう表皮付き製品の製造方法。 - 前記巻込み工程では、前記端末部を前記巻込み機構により前記境界面に直交する方向へ押して、同端末部を、前記基材の前記境界面を含む裏面に密着するように変形させることで、前記端末部を巻込む請求項1に記載の表皮付き製品の製造方法。
- 前記巻込み工程は、前記基材の裏面のうち少なくとも前記端末部が巻込まれる予定の箇所に接着剤を塗布した状態で行なうものであり、
前記巻込み工程では、前記巻込み機構により前記端末部を押して巻込む動作を、その押す方向へ前記基材が動くのを規制した状態で行なう請求項2に記載の表皮付き製品の製造方法。 - 前記基材として、前記裏面のうち前記端末部が密着される箇所とは異なる箇所にリブが形成されたものを用い、
前記巻込み工程では、前記真空成形型に設けられたチャック機構により前記リブを掴むことで、前記巻込み機構により前記端末部が押される方向へ前記基材が動くのを規制し、この状態で、前記端末部を押して巻込む請求項3に記載の表皮付き製品の製造方法。 - 前記巻込み機構として、前記真空成形型の一部をなし、かつ前記境界面に対し直交する方向へ往復動し得るプラグを備えるものを用い、
前記賦形工程では、前記プラグを、前記基材を裏面側から支える箇所まで移動させ、
前記トリミング工程では、前記プラグを前記トリム刃の移動経路から外れた箇所まで後退させ、
前記巻込み工程では、前記プラグを、前記基材を裏面側から支える箇所まで移動させる請求項2〜4のいずれか1項に記載の表皮付き製品の製造方法。 - 表皮の主要部が基材の表面に被せられ、かつ前記表皮における前記主要部の周囲の端末部が前記基材の裏面側に巻込まれてなる表皮付き製品を製造する方法であって、
予め成形された基材を、その基材の裏面において真空成形型に装着するとともに、前記基材の表面側に、前記表皮の材料である表皮材を配置した後、前記真空成形型及び前記基材を通じて前記表皮材を吸引することで、同表皮材の前記主要部を前記基材の表面に密着するように変形させる賦形工程と、
前記賦形工程を経た後に、前記基材を前記真空成形型に装着された状態に維持しつつ、前記表皮材のうち前記基材の表面に密着していない余剰部分を、前記主要部の周囲に前記端末部が残るようにトリム刃で切断することにより、前記端末部を有する前記表皮を形成するトリミング工程と、
前記トリミング工程を経た後に、前記基材を前記真空成形型に装着された状態に維持しつつ、前記表皮の前記端末部を巻込み機構により前記基材の裏面側に巻込む巻込み工程とを備え、
前記トリム刃として、列をなすように並べられた複数の歯を有し、かつ各歯の先端部が尖り、さらに、隣り合う歯間の谷部が、刃の角度が一様となるように湾曲した状態に形成されたものを用い、
前記トリミング工程では、前記トリム刃の各歯を前記余剰部分に押付けることで切断を行なう表皮付き製品の製造方法。
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