以下に、本発明に係る機器制御システムの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態.
図1は実施の形態に係る機器制御システムを模式的に示す図である。機器制御システム100は、無線機器200、無線LANルータ3、手元操作端末4、サーバ5及び操作端末7を備える。
無線機器200は被制御機器1及び外部接続部2を備える。サーバ5は、ネットワーク6を介して無線LANルータ3と操作端末7とに接続され、無線LANルータ3には外部接続部2が接続されている。外部接続部2には被制御機器1が接続される。以下の説明では、特に言及しない限り被制御機器1は「機器1」、外部接続部2は「接続部2」、無線LANルータ3は「ルータ3」、操作端末7は「端末7」と省略して説明する場合がある。
機器1は、空気調和機、冷蔵庫又はテレビといった家電機器である。機器1から出力される情報としては、機種情報、動作状態情報又は識別情報を例示できる。機種情報は、機器1の機種を特定するための情報である。動作状態情報は、機器1の運転状態及び運転モードを表す情報である。識別情報は、機器1を特定するための型名及び製造番号といった情報である。以下の説明では、特に言及しない限りこれらの情報は「被制御機器情報1a」と称する。なお、本実施の形態に係る機器制御システム100では、機器1に接続部2が接続されているが、機器制御システム100は、後述する遠隔通信部24に接続部2の機能を持たせるように構成してもよい。また、機器1の機種は、空気調和機、冷蔵庫及びテレビに限定されるものではなく、遠隔操作が可能な家電機器であればどのような機器でもよい。また、接続部2に接続される機器1は、1つに限定されず複数であってもよい。
端末7は、機器1を制御可能な端末であり、機器1を制御するための専用の制御端末でもよいし、機器1を制御する機能を実行するアプリケーションソフトウェアを、携帯電話、タブレット端末又はスマートフォンに実装することで制御端末として使用される機器でもよい。
端末7は2種類の通信モードを選択可能に構成されている。一方の通信モードは、接続部2に接続されたルータ3の電波が届く無線LAN環境下に存在するときの宅内モードである。他方の通信モードは、接続部2に接続されたルータ3の電波が届かない環境下に存在するときの宅外モードである。
端末7のモード切替では、予め端末7に登録されたルータ3、すなわち接続部2に接続されたルータ3の電波が届く範囲に端末7が存在するときには自動的に宅内モードが選択され、接続部2に接続されたルータ3の電波が届く範囲に端末7が存在しないときには自動的に宅外モードが選択される。ルータ3の電波が届く範囲としては、宅内を例示できる。
宅内モードが選択された端末7は、無線LAN通信機能によるWi−Fi(登録商標)通信によってルータ3にアクセスし、ルータ3及び接続部2を経由して機器1を制御できる。端末7が無線LAN通信機能で機器1を制御、すなわちモニタ及び操作することを「宅内操作」と称する。
宅外モードが選択された端末7は、インターネット通信機能によって3G、4G及びLTEといった通信規格に準拠した通信網及びインターネット公共無線通信網にアクセスし、サーバ5、ルータ3及び接続部2を経由して機器1を制御できる。以下では、上記の通信網及びインターネット公共無線通信網を「ネットワーク6」と称する。端末7がインターネット通信機能で機器1を制御することを「宅外操作」と称する。
一般にルータ3には、ルータ3に接続されるデバイスのIP(Internet Protocol)アドレスをDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)によって決める機能があり、ルータ3に接続されるデバイスである接続部2及び端末7には固有のIPアドレスが割り当てられる。なお図示省略されているが、ルータ3とネットワーク6との間には、ルータ3をネットワーク6に接続するための光回線又はADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)のモデムが設置されている。
手元操作端末4としては、機器1に標準で付属する赤外リモコンを例示できる。手元操作端末4は、38kHzの近赤外線を搬送波として用いており、近赤外線の伝播特性から、機器1と同一室内での使用に向いている。機器制御システム100では、宅外に存在する端末7からの操作よりも、宅内に存在する手元操作端末4からの操作が優先される。また手元操作端末4は、端末7に操作権が与えられている場合でも優先して操作を反映できる。そのため、仮に端末7又はネットワーク6が故障した場合でも手元操作端末4から機器1の設定が可能である。一方、端末7は、ルータ3との間で無線LAN通信ができない場合でもネットワーク6を使用して遠距離での通信ができる。そのため、端末7には、機器1と手元操作端末4の間の障害物の有無に拘わらず通信ができるというメリットがある。
サーバ5には、端末7が接続されるWebサーバ5−1と、Webサーバ5−1が処理したデータを格納するデータベースサーバ5−2と、操作権管理部5−3とが含まれる。
データベースサーバ5−2内の固有エリアは機器1ごとに割り当てられており、端末7は予め登録された機器1の固有エリアにだけアクセスできる。
操作権管理部5−3は、端末7が操作に関するアプリケーションを立ち上げたときに、その端末7に対して操作権を与えることで、操作権が与えられた端末7による遠隔操作のみを許可する。操作権が与えられた端末7は、サーバ5にアクセスすることによりデータベースサーバ5−2内の固有エリアに存在する被制御機器情報1aを取得する。また操作権が与えられた端末7は、これ以外にも、機器1の設定を変更する場合、操作権が与えられた端末7がサーバ5にアクセスしてデータベースサーバ5−2内の固有エリアの設定を変更する。操作権管理部5−3における操作権の管理動作に関しての詳細は後述する。
接続部2とルータ3との間の通信は、無線通信であっても有線通信であってもよい。無線通信としては、Wi−Fi(登録商標)のようなIEEE802.11シリーズの無線LAN通信と、標準規格化されたBluetooth(登録商標)と、900MHz帯の特定小電力通信とを例示できる。ただし、接続部2とルータ3との間の無線通信は、これらの通信方式に限定されず、これらの以外の通信方式でもよい。また有線通信としては、IEEE802.3で規格化されたEthernet(登録商標)と、RS485通信とを例示できるが、接続部2とルータ3との間の有線通信は、これらの通信方式に限定されず、これらの以外の通信方式でもよい。
接続部2は、機器1の通信方式とルータ3の通信方式とを相互に変換する機能を有する。具体的には、接続部2は、機器1が有する独自の通信方式で機器1から送信された被制御機器情報1aを、Wi−Fi(登録商標)の無線通信方式に準拠した通信データに変換してルータ3へ送信する。また接続部2は、無線通信方式でルータ3から送信された設定情報を、機器1の通信方式に準拠した通信データに変換して機器1へ送信する。設定情報は、機器1をモニタ及び操作するための情報であり、端末7が操作されたとき接続部2を介して機器1に対して送信される。
また接続部2は、宅外モードと宅内モードを選択可能に構成されている。接続部2のモード切替は、端末7の操作により切替えられ、又は接続部2に設けられたモード切替用スイッチを選択することにより切替えられる。
宅内モードが選択された接続部2は、機器1に一定周期でアクセスして被制御機器情報1aの送信を要求し、機器1からの被制御機器情報1aを記憶する。このとき接続部2に格納される被制御機器情報1aは、最新の情報だけでもよいが、1分周期で過去5分のデータを接続部2に保存しておき、それらのデータを端末7に送信するように構成してもよい。そして接続部2は、端末7からの送信要求を受信したとき、記憶した被制御機器情報1aを、ルータ3を介して端末7に送信する。また、端末7からの設定情報はルータ3を介して接続部2に送信され、接続部2は受信した設定情報を機器1に転送する。
このように、宅内モードに切替えられた接続部2及び端末7では、サーバ5を介さずに通信が行われる。そのため、接続部2とサーバ5との間の通信周期T1(図8参照)に依存することなく、即座に機器1をモニタ及び操作できる。また、サーバ5にアップロードされる情報量が低減されるためサーバ5の負担増を抑制できる。
なお、機器1は手元操作端末4でも操作できるが、接続部2を用いることにより、機器1の通信方式が、Wi−Fi(登録商標)又はEthernet(登録商標)といった、汎用的な通信方式に変換される。そのため、Wi−Fi(登録商標)に対応した端末7が宅内に存在する場合、端末7は、ルータ3との間で無線LAN通信を行うことにより、機器1をモニタ及び操作できる。
一方、宅外モードが選択されているときの通信モードには、宅内通信又は宅外通信(図5参照)がある。宅内通信とは、操作権が与えられ宅内モードで動作中の端末7において宅内操作が行われた際、端末7と接続部2との間でサーバ5を経由せずに行われる通信である。宅外通信とは、操作権が与えられ宅外モードで動作中の端末7において宅外操作が行われた際、端末7と接続部2との間でサーバ5を経由して行われる通信である。
端末7がルータ3と無線LAN通信をしている場合、接続部2はルータ3を介して、宅内通信によって、端末7からの通信を受け付ける。宅内通信中の接続部2では、機器1に一定周期でアクセスして被制御機器情報1aの送信を要求し、機器1からの被制御機器情報1aを記憶する。一定周期としては1秒を例示できる。被制御機器情報1aを記憶した接続部2は、端末7からの送信要求を受信したとき、記憶した被制御機器情報1aをルータ3経由で端末7に送信する。また、端末7からの設定情報はルータ3経由で接続部2に送信され、接続部2は受信した設定情報を機器1に転送する。このように接続部2は、宅外モードが選択されている場合でも端末7が無線LAN環境下に存在するとき、サーバ5を経由しない宅内通信を行うように構成されている。
端末7が無線LAN通信でルータ3と通信していない場合、接続部2は、機器1に一定周期でアクセスして被制御機器情報1aの送信を要求し、機器1からの被制御機器情報1aを記憶する。そして、宅外通信中の接続部2は、通信周期T1でデータベースサーバ5−2内の固有エリアにアクセスし、記憶した被制御機器情報1aをアップロードすると共に、データベースサーバ5−2内の固有エリアに格納されている設定情報をダウンロードして機器1に送信する。通信周期T1としては5分を例示できる。設定情報をダウンロードすることによって、宅外に存在する端末7は、サーバ5経由で機器1の操作を間接的に行うことができる。インターネット経由で機器1にアクセスするためには専用の通信経路(IPアドレス)を確保する必要がある。一般にプロバイダとの契約は1契約である。従って、専用の通信経路の確保に要する費用を削減するためには、使用中のインターネット契約を変更させることなく、機器1のモニタ及び操作を行う通信方式が望ましい。そこで本実施の形態の機器制御システム100は、宅外操作される端末7と接続部2とがサーバ5経由で情報の伝送を行うように構成されている。
なお、一般的に接続部2は機器1に接続されて使用されるが、接続部2は、給電用の電源線と、グラウンド線と、通信線との何れかを用いて、機器1と相互に接続することにより、機器1からの給電により駆動するように構成してもよい。また、通信データについては、端末7が機器1の通信プロトコルを認識する必要があり、接続部2は汎用通信プロトコルに変換するものであっても、機器1の独自の通信プロトコルに変換するものであってもよく、機器1の機能が拡張されたとしても端末7の機能も合わせて拡張すればよい。また、端末7のユーザが機器1の動作を制御する場合、端末7が操作された時点での操作及び応答が要求される。そのため、接続部2は、端末7からの通信を常時受け付けることができるように構成されている。
図2は被制御機器及び外部接続部の内部構成図である。機器1は、機器1の全体の制御を行う制御部10と、手元操作端末4及び接続部2との通信を行う通信部20と、上下フラップ及び左右ベーンを操作して室内空間に向かって吹き出す気流の風向、すなわち室内空間の上下左右の方向を変更する風向変更部30と、ラインフローファンを制御して気流の風速を変更する風速変更部40と、機器1の冷凍サイクルの動作を制御して吹き出す気流の温度を変更する出力温度変更部50とを備える。
制御部10は、風向変更部30を操作して機器1から吹き出す気流の風向を制御する風向制御部11と、風速変更部40を操作して吹き出し気流の風速を制御する風速制御部12と、出力温度変更部50を操作して吹き出し気流の温度を制御する温度制御部13と、通信部20を操作して機器1以外の機器との通信を行う通信制御部14とを備える。
温度制御部13は、機器1の室内機の内部に設置されたサーミスタ、又は手元操作端末4に設置されたサーミスタを用いて、室内温度を検出する温度検出部13−1と、手元操作端末4又は端末7で設定された設定温度を通信部経由で入力する設定温度入力部13−2と、温度検出部13−1で検出された室内温度と設定温度入力部13−2に入力された設定温度とを比較して温度差分を検出する温度差分検出部13−3と、温度差分検出部13−3で検出された温度差分に基づいて出力温度変更部50を操作して吹き出し気流温度を制御する出力温度制御部13−4とを備える。
通信部20は、機器1の室内機と室外機との間の通信を行う室内−室外機間通信部21と、手元操作端末4との間の通信を行うリモコン間通信部22と、外部通信部23と、遠隔通信部24とを備える。
外部通信部23は、機器1の通信に汎用性を持たせるためのインターフェイスであり、汎用の通信アダプタである接続部2に接続され、機器1の外部に設けられた装置との通信を行う場合に用いられる。外部通信部23は、接続部2に電源を供給する電源供給部23−1と、接続部2との間で被制御機器情報1a及び設定情報の通信を行う外部通信処理部23−2とを備える。遠隔通信部24は、外部通信部23の機能と接続部2の機能とを併せ持ち、接続部2を使わずに通信を行うためのインターフェイスである。従って端末7で機器1のモニタ及び操作を行うためには、外部通信部23又は遠隔通信部24を用いればよい。ただし遠隔通信部24を使わない場合、外部通信部23に接続部2を接続する必要がある。
接続部2は、電源供給部23−1から供給される電圧を接続部2の内部で使用する電圧レベルの電圧に変換する電圧変換部2−1と、外部通信処理部23−2と通信する外部通信処理部2−2と、外部通信処理部2−2が受信した機器1からのデータを無線通信方式に準拠した通信データに変換すると共に、無線通信部2−4で受信されたルータ3からの通信データを機器1の通信方式に準拠した通信データに変換する通信変換部2−3と、通信変換部2−3で変換された通信データを無線通信方式でルータ3へ送信すると共に、ルータ3から送信された通信データを通信変換部2−3へ送信する無線通信部2−4と、Web表示部2−5とを備える。
電源供給部23−1と電圧変換部2−1とは電源用配線で接続され、外部通信処理部23−2と外部通信処理部2−2との間は通信用配線で接続される。電源用配線は、接続部2が消費する電力を供給するための配線であるため、一般に電源用配線には、通信用配線と同じ仕様の配線を使用してよい。なお、電源供給部23−1は必ずしも機器1内に設置する必要は無く、電源供給部23−1の代わりにAC(Alternating Current)アダプタを用いて、このACアダプタから接続部2に給電してもよい。ただし、一般的に機器1は室内上部、特に室内上部の壁面に設置されることが多いため、室内床面付近に給電コンセントがある場合にはACアダプタと接続部2との間の電源用配線の引き回しが面倒となる。従って機器1に接続部2の機能を搭載した方が利便性の面で有利である。
図3は操作端末に表示される操作画面の一例を示す図である。図3には、端末7の表示制御機能(図示せず)によってタッチパネル液晶に表示される操作画面7−1の一例が示される。操作画面7−1は、操作対象の機器1が空気調和機の場合の例である。操作画面7−1は、ユーザによって設定された設定内容と、機器1の運転状態を表示する情報表示部7−1aと、操作ボタン情報表示部7−1bとで構成される。設定内容としては、冷房、暖房、除湿又は送風といった機器1の運転モードを例示できる。運転状態としては、機器1で検出された室温と、機器1から吹き出される風速と、機器1から吹き出される風向とを例示できる。
操作画面7−1を表示するためのアプリケーションは、予め機器1の種類別に作成されてサーバ5に記録されており、端末7がサーバ5にアクセスしてアプリケーションをダウンロードすることにより端末7に記録される。端末7に記録されたアプリケーションにより操作画面7−1が作成される。
操作ボタン情報表示部7−1bには複数の操作ボタンが表示される。操作ボタンとしては、機器1の運転を起動する運転ボタンと機器1を停止させる停止ボタンとで構成される運転/停止操作ボタン部7−1b1と、運転モードを設定する運転モードボタン7−1b2と、設定温度の変更と風速の変更と風向の変更とを設定する操作ボタン7−1b3とを例示できる。なお図3の情報表示部7−1aでは、室内機の風向の表示例として、室内機の側面方向から見た風向がイラストで示されているが、このようなイラストの代わりに「上」「中」「下」といった文字で風向を表示してもよい。また風速についても「静」「弱」「中」「強」といった文字だけの表示にしてもよい。また運転ボタンが押された直後に操作内容が反映されると、操作ボタンの押し間違えと操作ボタンの変更とに対応できない。そのため、操作を確認する目的も含めて、設定内容を送信するための送信ボタンを操作ボタン情報表示部7−1bに設けて、端末7は、この送信ボタンが押されたときに設定内容を送信するように構成してもよい。これにより、操作ボタンの押し間違えに起因した誤操作を抑制できる。
図4は機器制御システムに適用される通信モードを説明するための第1の図である。図5は機器制御システムに適用される通信モードを説明するための第2の図である。前述したように接続部2及び端末7のそれぞれには、2種類の通信モードが設定されている。図5の(1)から(5)に示す通信内容は、図4に示される(1)から(5)の符号に対応している。
宅内通信(1),(2),(4)では、接続部2に接続されたルータ3の電波が届く範囲に存在する端末7と接続部2との間で、サーバ5を介さずに機器1の操作及びモニタが行われる。宅外通信(3),(5)では、接続部2に接続されたルータ3の電波が届かない範囲に存在する端末7と接続部2との間で、サーバ5経由で機器1の操作及びモニタが行われる。
宅内通信(1),(2),(4)では、端末7で操作設定が行われたときのみ、接続部2と端末7との間の通信が発生し、その通信がサーバ5を経由することなく伝送される。これに対して宅外通信(3),(5)では、通信周期T1で機器1のデータがサーバ5にアップロードされ、かつ、サーバ5の設定情報が接続部2にダウンロードされる。従って、宅内通信(1),(2),(4)では、端末7で操作設定が行われたときのみ、接続部2と端末7との間の通信が発生するのに対して、宅外通信(3),(5)では、端末7における操作設定の有無とは無関係に通信が発生する。
このように接続部2と端末7との双方で宅内モードが選択されている場合、宅内通信(1),(4)によって、サーバ5を介すことなく機器1の操作及びモニタが可能である。また、接続部2と端末7との双方で宅外モードが選択されている場合、端末7が宅外に存在するか否かに係わらず、すなわち端末7の通信モードに係わらず、機器1の操作及びモニタが可能である。
なお、接続部2とサーバ5との通信周期T1によるサーバ5の接続負荷を軽減するため、機器制御システム100は、デフォルトの設定として宅内モードを接続部2に設定しておき、宅外モードに切替える必要があるときにだけ、接続部2のスイッチ又は端末7において宅外モードに切替えるように構成してもよい。
また機器制御システム100は、端末7で接続部2の通信モードを切替える場合、より一層セキュアであるように、端末7が宅内モードであるときにだけ切替えることができるように構成してもよい。
図6は操作端末が無線LAN通信をできる環境下に存在するときの動作を説明するための図である。接続部2に接続されたルータ3の電波が届く範囲に存在する端末7は宅内モードに切替えられ、このとき接続部2では、図4及び図5に示すように宅内通信(1)又は(2)が行われる。宅内モードに切替えられた端末7で設定操作が行われたとき、設定情報はルータ3、接続部2の順で機器1に送信される(通信経路a)。機器1からの被制御機器情報1aは接続部2、ルータ3の順で端末7に送信される(通信経路b)。なお、端末7及びルータ3は、WPA−AES(Wi−Fi Protected Access−Advanced Encryption Standard)及びTKIP(Temporal Key Integrity Protocol)といった無線LANで使用される汎用的な暗号方式で接続され、接続部2に接続されたルータ3の電波の届く範囲であれば宅内モードで機器1を操作できる。
端末7の設定情報は、ルータ3、ネットワーク6の順でサーバ5にも送信され(通信経路c)、設定情報を受信した操作権管理部5−3では、端末7に対する操作権が与えられ、その操作権が登録される。操作権が登録されたタイミングから端末7の操作権が発生し、端末7から接続部2に対して設定を送信できるようになり、端末7の設定が有効となる。このように宅内モードで操作設定が行われる場合でも端末7の操作権が管理される。そのため端末7からの操作を確実に機器1へ反映できると共に、機器1を操作したにも係わらず操作設定が、他の端末7による操作により反映されていない、ということを防ぐことができる。
図7は操作端末が無線LAN通信をできない環境下に存在するときの動作を説明するための図である。図7と図6との相違点は、図7では、端末7がインターネット通信でネットワーク6に接続されていることである。なお、端末7が宅内に存在する場合でも、無線LAN通信が有効になっていない場合、図7のように通信が行われる。
接続部2に接続されたルータ3の電波が届く範囲にいない端末7は宅外モードに切替えられる。接続部2は、サーバ5に対して自己のMACアドレスとシリアル番号と共に、被制御機器情報1aをアップロード(通信経路N1)すると共に、データベースサーバ5−2内の自己のデータをダウンロード(通信経路N2)する。自己のデータとしては、MACアドレス及びシリアル番号で管理された設定データを例示できる。設定データが変更されている場合、機器1は設定データに基づいて設定を変更する。
なお、サーバ5内の操作対象のデータ領域をMACアドレスにより管理しておき、複数の端末7が操作及びモニタできるデータ領域は、予めMACアドレス情報を含めて登録した機器1だけの情報としておくことで、不特定の端末7からの操作を防ぐことができる。また、手元操作端末4のように機器1が見える位置からの操作とは異なり、宅外操作では誤操作によって意図しない設定がされる可能性がある。このようなことを防止するために操作権の管理が行われるが、機器1の状態確認については操作権が与えられた端末7以外の端末でも確認できる。なお、操作権を与えるタイミングは、端末7で設定操作が行われたときに限定されるものではなく、端末7が起動したときでもよい。
端末7の設定情報は、ネットワーク6経由でサーバ5に送信される(通信経路d)。設定情報を受信した操作権管理部5−3では端末7に対する操作権が与えられ、その操作権が登録される。操作権を登録されたタイミングから端末7の操作権が発生する。
図8は機器制御システムの動作を示すシーケンス図である。図8では2台の端末7a,7bが示されているが、これらの端末7a,7bは前述した端末7と同様の機能を有するものである。ここでは、何れの端末7a,7bにも操作権が与えられていない状態で、端末7aの操作が端末7bの操作よりも先に行われた場合の動作を説明する。
Un(nは1以上の整数)は、接続部2が通信周期T1でサーバ5に被制御機器情報1aをアップロードし、かつ、サーバ5に格納された設定情報をダウンロードするタイミングである。Mn(nは1以上の整数)は端末7aが画面更新周期T2で状態表示を最新の状態に更新するタイミングである。画面更新周期T2は端末7が画面を自動更新する周期であり、当該周期としては、3分を例示できる。
(1)AM09:00に接続部2からサーバ5に被制御機器情報1aがアップロード(U1)され、(2)AM09:02に端末7aからサーバ5に機器1の設定(S1)の変更が指示された場合、(3)接続部2は、AM09:05のU2のタイミングでダウンロードした設定指示を機器1に送信する。これにより設定(SH1)が機器1に反映される。
(4)接続部2は、機器1に設定(SH1)が反映された後のAM09:10のU3のタイミングで、機器1に反映された設定(SH1)の情報をサーバ5にアップロードする。これにより機器1の設定内容がサーバ5にフィードバックされる(SF1)。(5)そのため端末7aによりAM09:11のM3のタイミングで、機器1に設定が反映されたことを確認できる。
なお、図2に示される機器1の外部通信部23又は遠隔通信部24は、端末7からの設定情報を受信したとき、設定情報を制御部10に伝達し、制御部10は設定情報に基づいて機器1内の動作を制御する。具体的には、出力温度制御部13−4は、設定温度の上昇又は下降に関する設定情報を受信したとき、設定温度に対応した出力温度が得られるように出力温度変更部50を制御する。夏場の特定時刻における室温が28度のとき、端末7で設定された設定温度も28度である場合、設定温度通りの室内温度になっている。この状態で屋外から帰宅した人が、室内が暑いために設定温度ボタンを操作して設定温度を2度下げると、温度検出部13−1の検出温度が28度であるのに対して、設定温度入力部13−2の入力温度は26度になる。温度差分検出部13−3は設定温度に対して室内温度が2度高いことを検出し、出力温度制御部13−4は室内温度を2度下げるため、出力温度変更部50を用いて、室内機と室外機との間に循環する冷媒量を制御する。その結果、冷媒温度が下げられ、室内温度を下げることができる。
また、機器1が風速設定の操作ボタンの入力情報を受信したとき、風速制御部12が設定風速値に対応した風速が得られるように風速変更部40を制御する。具体的には、特定時刻における風速が「弱」の状態から、端末7により風速が「強」に設定された場合、機器1の風速制御部12は、風速変更部40の風速を予め登録してある「強値」に対応するファン回転数に変更して風速を変更する。
また、機器1が風向設定の操作ボタンの入力情報を受信したとき、風向制御部11は、設定風向値に対応した風向が得られるように、風向変更部30を制御する。具体的には、特定時刻において下向きに風を吹き出しているときに、上向きに風向を変更するための信号が端末7から送信された場合、機器1の通信部20は端末7の設定変更信号を受信して制御部10に伝達し、制御部10の風向制御部11が風向変更部30のフラップの向きを上向きに変更することよって、風向が変更される。
機器1の操作は手元操作端末4でも行うことも可能であり、この場合、手元操作端末4からのリモコン信号はリモコン間通信部22で受信されて制御部10に伝達される。それ以降の処理は端末7から操作信号を受信した場合と同じである。
機器1は、前述した動作状態情報を、外部通信部23又は遠隔通信部24を介して端末7へ送信し、動作状態情報を受信した端末7では、被制御機器情報1aの運転モード及び風向が表示される。手元操作端末4で機器1の設定変更が行われた場合でも、動作状態情報が端末7へ送信されるため、機器1の最新の運転状態を確認できる。
次に操作権の管理動作について説明する。図9は図1に示す操作権管理部における操作権管理動作のフローチャートである。ここでは端末7aに操作権が与えられた場合を想定して説明する。
端末7aの操作権が登録されたとき、操作権管理部5−3は、操作権の登録タイミングで操作権タイマのカウントを開始する(ステップS31)。操作権タイマは、アップカウンタでもダウンカウンタでもよいが、ここではアップカウンタと仮定して説明する。
操作権タイマが、予め設定された時間T未満のとき(ステップS32,Yes)、操作権管理部5−3は、端末7aからの設定情報である設定操作要求の有無により、端末7aが操作されたか否かを判断する。端末7aの操作が無い場合(ステップS33,No)、操作権タイマが時間Tを超えたか否かが判断される(ステップS32)。
ステップS33において、端末7aの操作があった場合(ステップS33,Yes)、操作権管理部5−3では、操作権タイマのカウントがリセットされ(ステップS34)、再び操作権タイマのカウントが開始される(ステップS31)。
ステップS32において、端末7aの操作が無いため、操作権タイマが時間Tを超えたとき(ステップS32,No)、操作権管理部5−3では端末7aの操作権が解除される(ステップS35)。
接続部2とサーバ5の通信周期T1が5分であるとき、はじめの5分で設定操作要求が機器1に伝達され、次の5分で機器1の状態がサーバ5に伝達されるため、設定操作要求から状態表示までの時間だけ操作権を維持させるためには通信周期T1の3倍の時間(15分)を操作権の維持時間として設定すればよい。このように、操作権の維持時間を、前述した時間Tとして設定することによって、端末7aが操作された時点から時間Tが経過するまでは、端末7aのユーザの指示による機器1の運転を維持することができ、操作が頻繁に変更されて誤操作につながることを抑制できる。
なお、時間Tが経過して端末7aの操作権が解除された場合、操作権管理部5−3は、端末7a以外の端末7bに対して、端末7aの操作権が解除されたことを送信するように構成してもよい。さらにその送信の要否を各端末7で選択できるように構成してもよい。
また、端末7aが機器1を設定操作するタイミングと、通信方式と、通信経路とによっては、通信周期T1より早く設定操作が反映されることもある。その場合、操作権の維持は時間Tよりも短くしてもよい。この時間Tは、前述した通信周期T1の3倍の時間(15分)を例示できる。
また、操作権は必ずしも時間Tだけ維持する必要はなく、操作権の付与を待機している端末7bを操作権管理部5−3に登録しておき、操作権管理部5−3は、操作権を与えられた端末7aがログアウト又はシャットダウンされたタイミングで、端末7bに操作権を付与するように構成してもよい。
次に、図8のシーケンスを用いて操作権の管理動作を具体的に説明する。
(1)AM09:00に接続部2からサーバ5に被制御機器情報1aがアップロード(U1)される。(2)AM09:02に端末7aからサーバ5に機器1の設定(S1)の変更が指示されたタイミングで、端末7a,7bの何れにも操作権が与えられていない場合、サーバ5は、端末7aからの設定S1を受け付けると同時に、操作権が端末7aであることを登録(S&K1)する。このS&K1のタイミングから端末7aの操作権Aが発生する。
(2−1)端末7aに操作権Aが与えられた後、AM09:05に端末7bで同一の機器1の設定操作が行われたとき、サーバ5には設定の変更指示(S2)が送信されるが、サーバ5は、操作権Aを認識しているため、端末7bに対して操作権が無いことを応答する。(3)接続部2は、AM09:05のU2のタイミングでダウンロードした設定指示を機器1に送信する。これにより設定(SH1)が機器1に反映される。(4)接続部2は、機器1に設定(SH1)が反映された後のAM09:10のU3のタイミングで、機器1に反映された設定(SH1)の情報をサーバ5にアップロードする。これにより機器1の設定内容がサーバ5にフィードバックされる(SF1)。(5)そのため端末7aは、AM09:11のM3のタイミングで、機器1に設定が反映されたことを確認できる。
M3のタイミングで端末7aのユーザは、端末7aで設定した内容が機器1に反映されたことを確認できるので、サーバ5は操作権Aを解除してもよいが、端末7aのユーザはM3のタイミングで機器1に設定内容が反映されたことに気付かない可能性もある。また、気付いたとしても、端末7bのユーザによって、別の設定に変更されてしまう可能性もある。このようなことを防止するため、設定内容をフィードバックできたM3のタイミングから一定時間経過するまで、サーバ5は、操作権Aを維持してもよく、図示例では、M3のタイミングから次の状態更新タイミングまで操作権Aが維持されている。
(6)そして、操作権AがなくなったAM09:16のタイミングで端末7bからの設定変更が指示(S3)されたとき、操作権管理部5−3は、端末7bからの指示(S3)を受け付けると同時に、端末7bの操作権Bを登録(S&K2)する。このことにより端末7bに対する操作権Bが発生する。
なお、本実施の形態では通信周期T1が5分に設定されているが、通信周期T1は5分に限定されるものではない。通信周期を早くするほど操作が早期に反映されるが、サーバ5に機器1が多数接続される場合、通信負荷が大きくなる。そのため、通信周期T1は、サーバ5に接続される機器1を考慮して最適な値に設定することが望ましい。また、機器1と接続部2との間では、例えば1秒周期で接続部2の要求に対して機器1が応答する通信が行われる。
次に、機器制御システム100において前述した課題を解消するための機能及び動作を説明する。
図10は実施の形態に係る機器制御システムにおいてルータに接続される外部接続部の情報を操作端末に登録する際のシーケンス図である。図10に示される機器1、接続部2、端末7及びサーバ5は、機器制御システム100を構成するものである。
(1)接続部2は、機器1の被制御機器情報1aを蓄積すると共に、操作設定するためのデータを有する専用のデータベースサーバ5−2にアクセスするためのURL(Uniform Resource Locator)情報を有する。接続部2は、このURLに対して、接続部2の機器情報を送信し、サーバ5は、MACアドレスに対応したデータ領域を持ち、その領域に受信した機器情報と設定情報とを記録する。接続部2の機器情報としては、MACアドレス及びID(IDentification)番号を例示できる。
(2)そして、接続部2がサーバ5に接続部2の機器情報を送信した後、宅内モードの端末7は、一般には立ち上げ処理が完了した後に、同一宅内のローカルネットワークに接続されたデバイスである機器1及び接続部2に対して、UDP(User Datagram Protocol)通信で特有の応答要求がブロードキャスト送信される。この応答要求は「機器Aか?」という問合せである。この問合わせの内容は、必ずしも同一宅内のローカルネットワークに接続された全てのデバイスが応答する必要のあるものではなく、機器1又は接続部2といった特定のデバイスだけが応答するものでもよい。また、この問合わせの内容は、機器Aであるか否かを問合わせるものでなくてもよく、デバイスの型名と、メーカ名と、数字の羅列との何れでもよい。このように特定のデバイスだけがUDP応答するように構成すれば、不要なデバイスからの応答を処理する負荷がなくなる。
(3)UDP問合せに対するUDP応答には、デバイスのIPアドレスも付与されているため、端末7は特定のデバイスのIPアドレスだけを取得できる。
(4)UDP応答をするデバイスは複数の場合もあるため、端末7は、応答があったIPアドレスに対してHTTP通信でIPアドレス以外の機器情報を問合わせる。この機器情報としては、MACアドレスと、ID番号と、機器1の型名と、ソフトウェアバージョンとを例示できる。ただし、接続部2には、端末7からのHTTP問合わせに対して機器情報を応答するように、予め機器情報応答機能が設けられている。これにより、宅内モードの端末7は、接続したいデバイスのみのIPアドレスと、IPアドレス以外の機器情報とを取得できる。IPアドレス以外の機器情報としては、MACアドレスを例示できる。
(5)端末7は、接続部2から送信されたデバイスの機器情報を受信して、機器情報を端末7に登録する。端末7への機器情報の登録を以下では「機器登録」と称する。なお、端末7は、取得したMACアドレスを、自動入力により端末7へ登録するように構成してもよい。MACアドレスを自動入力で登録することにより、ユーザがデバイスのMACアドレスを調べる必要がなくなるというメリットがある。
(6)端末7は、取得したMACアドレスとIDとをサーバ5へ転送する。(7)端末7からのMACアドレスとIDとを受信したサーバ5は、このMACアドレスを、サーバ5に予め登録された各デバイスのMACアドレスに照合することによって、端末7に登録された各デバイスとサーバ5に登録された各デバイスとが一致するか否かを判断し、その照合結果を端末7に送信する。(8)端末7は、サーバ5からの照合結果と接続部2から送信されたIPアドレスとに基づいて、デバイスの一例である、機器1及び接続部2を操作する通信を行う。このことにより端末7に登録されたデバイスの一例である機器1及び接続部2を、端末7からモニタ及び操作できる。
なお、サーバ5におけるデバイスの照合においては、端末7に接続したいデバイスが端末7と同一宅内に存在するか否かを照合する仕組みを入れてもよい。仮にMACアドレスの情報だけで宅外の端末7から操作できるようにしてしまうと、MACアドレスは、その上位がメーカ固有の番号であり、その下位がユニークな番号であるため、下位の番号を通し番号にしておく場合、端末7が操作するデバイスのMACアドレスをユーザが誤って入力した場合、別の住宅に設置された機器1が操作されてしまうことになる。このようなことを防ぐため、機器1及び接続部2の本体に表記された製造番号、シリアル番号及びIDを認証キーとして、MACアドレス値が正規であるか否かを照合するように構成してもよい。
この仕組みの具体例としては、図10の(1)のタイミングで接続部2が動作する際、接続部2は自身のMACアドレスとIDとをサーバ5に送信しているため、サーバ5はMACアドレスに関連したIDを認識している。そして、端末7のユーザが宅内モードの端末7の機器登録画面に、機器1及び接続部2の本体に表示されたMACアドレスとIDとを登録する。端末7に登録された情報はサーバ5に送信され、この情報を受信したサーバ5は、予め登録したデバイスのMACアドレスとIDとに、端末7に登録されたMACアドレスとIDとを照合することによって、端末7で登録されたデバイスとサーバ5に登録されたデバイスとが一致するか否かを判断する。一致していれば端末7に登録された特定のデバイスを端末7からモニタ及び操作できる。
また、接続部2がルータ3から割り当てられるIPアドレスは変更されることがあるため、端末7はアプリケーションを立ち上げたときに、IPアドレスの確認処理とデバイスの照合処理とをするようにしてもよい。また、端末7を長時間使用していない場合、端末7が再び使用されたときに、再度、IPアドレスの確認処理とデバイスの照合処理とをするようにしてもよい。
図11は比較例に係る機器制御システムにおける問題点を説明するための第1の図である。図12は比較例に係る機器制御システムにおける問題点を説明するための第2の図である。
図11に示される機器制御システム100Aは、宅内に設置された複数の機器1−1,1−2,1−3をネットワーク6経由で操作する無線LANを使用したシステムである。ネットワーク6に接続されたルータ3には、ルータ3以下に接続される複数のデバイスである、接続部2a、接続部2b、機器1−3及び端末7に、固有のIPアドレスを自動的に割り当てるDHCP機能がある。ここで、ルータ3は、各デバイスにIPアドレスを割り当てたため、各デバイスのIPアドレスを有しているが、端末7は、機器1−1,1−2を操作したくても、接続部2a,2bのIPアドレスを有していないため、ルータ3経由で接続部2a,2bにアクセスすることができない。
このような問題を解消するために図12に示される機器制御システム100Bは以下のように構成されている。なお機器制御システム100Bは上記特許文献1に開示される従来のシステムに相当する。LAN8とネットワーク6の間にはDHCP機能を有するルータ3が接続され、ルータ3には複数の機器1−1,1−2と制御リモコン70とが接続されている。制御リモコン70は、ルータ3経由で、機器1−1,1−2の状態をモニタし、また機器1−1,1−2の操作設定が可能である。機器制御システム100Bに新たな機器1−3が接続された場合、機器1−3は、ネットワーク6への接続に必要な機器1−3の機器情報を、LAN8に接続された全てのデバイスである、機器1−1、機器1−2及びルータ3に対して送信する。そして、機器1−3の機器情報は、ルータ3経由で制御リモコン70にも送信され、制御リモコン70内に登録される。そのため、機器1−3の機器情報に、機器1−3のIPアドレスを含めておけば、制御リモコン70は、機器1−3のIPアドレスを知ることができるため、機器1−3を操作することが可能となる。
しかしながら機器制御システム100Bでは、DHCP機能が用いられているため、不定期に割り当てられたIPアドレスが変化することがあり、制御リモコン70から機器1−3にネットワーク6経由でアクセスできなくなることがある。また、新たにLAN8に接続される機器1−3の機器情報は、LAN8に接続された全てのデバイスに対して送信されるため、機器制御システム100Bは、セキュリティ面で不安があるという課題もあった。
一方、機器制御システム100Bとは異なる方法でIPアドレスを知る方法がある。図13はOSI参照モデルを示す図であり、図14はARPを用いたMACアドレス取得の流れを説明するための図である。
図13のOSI参照モデルでは、2層目のデータリンク層に機器個別に割り当てられた固定アドレスであるMACアドレスがあり、3層目のネットワーク層にIPアドレスがあり、4層目のトランスポート層にネットワーク層のIPアドレスとセッション層以上のプロトコル(例えば7層目のアプリケーション層のプロトコル)との橋渡しをするUDPがある。端末7のアプリケーションからこのUDPを使用して同一宅内のローカルネットワークに接続されるデバイスに対してIPアドレスを返すよう指令すると、IPアドレスを応答として取得できるが、取得したIPアドレスがどのデバイスのIPアドレスなのか分からない。機器1を特定するため2層目のMACアドレスを取得できればよいが、アプリケーション層からUDPを介してMACアドレスを確認することもできない。
そこで、IPアドレスからMACアドレスを照会する技術として図14のARPがある。ARPは、MACアドレスを宛先のIPアドレスから求めるためのプロトコルであり、宛先のMACアドレスが分からない場合に送信元がIPアドレスのMACアドレスをブロードキャストで問合わせ、この問合わせに対して、指定されたIPアドレスを持っていないデバイスは応答せず、該当するIPアドレスをもったデバイスがMACアドレスを返信するものである。ARPを使用することで不特定のIPアドレスに対してデバイス固有のMACアドレスの情報を取得できるので、取得したMACアドレスとデバイス本体に表記されたMACアドレスとを照合することで、そのデバイスのIPアドレスを知ることができる。
しかしながらARPを用いた方法では、ローカルネットワークに接続されたすべてのデバイスに対してIPアドレスの応答を要求するため、応答があった多くのIPアドレスに対するMACアドレスをどのデバイスなのか照会しなければならなく、照合の手間がかかり、また、どの操作端末からも要求及び応答できるのでセキュアでないという課題もある。
本実施の形態に係る機器制御システム100は、ネットワーク6に接続されたサーバ5を備え、宅内の接続部2及び機器1の少なくとも一方を、ネットワーク6経由で端末7から制御するシステムであって、端末7は、宅内のLAN環境下に存在するとき、サーバ5を経由せずに接続部2との通信を行う第1の通信モードである宅内モードで動作し、宅内のLAN環境下に存在しないとき、サーバ5経由で前記機器との通信を行う第2の通信モードである宅外モードで動作する。そして第1の通信モードに設定された端末7は、この端末7と同一宅内のローカルネットワークに接続された接続部2及び機器1の少なくとも一方に対して、この機器のIPアドレスを含む情報の応答要求を行うように構成されている。この構成により、ルータ3のDHCP機能で割り当てられたIPアドレスが変化している場合でも、端末7は、特定のデバイスのIPアドレスだけを取得できる。
また、図12に示される機器制御システム100Bのように新たな機器1−3がLAN8に接続された場合でも、全てのデバイスにIPアドレスが送信されるということがなく、セキュア面での問題も解消できる。また図14に示したARPを用いた方法のように、応答があった多くのIPアドレスに対するMACアドレスをどのデバイスなのか照会するという手間が不要である。
なお、端末7は、端末7に登録済みのデバイスを、端末7の画面上に表示させるように構成してもよい。具体的には、HTTP問合せに対する応答として、MACアドレスを含む機器情報を受信した端末7は、端末7に新たに入力された機器情報を、端末7に登録済みの機器情報に照合する。照合の結果、登録済みデバイスがある場合、端末7は、登録済みデバイスの情報を、「機器1−1は登録済み」のように端末7の画面上に表示する。未登録のデバイスがある場合、端末7は、未登録の機器1の場所と、未登録の機器1の名称とを画面上に表示して、さらに未登録の機器1の名称に対応付けるように、MACアドレスの入力欄及びIDの入力欄を端末7の画面上に表示する。
図15は本実施の形態の特徴である通信モードを説明するための図である。図15には、図6の表記内容に加えて、通信経路N1と、通信経路N2と、通信経路dと、通信経路eとが追加されている。通信経路eでは、接続部2と端末7とが直接通信をしている。接続部2と端末7とが直接通信する例として以下に2つの事例を挙げる。
1つ目の事例では、通信経路a,b,cを構築するため、又は通信経路dを構築するために、接続部2がルータ3に接続され、接続部2の無線通信部2−4の設定情報を端末7から書き換えるために一時的に端末7及び接続部2が接続される。
2つ目の事例では、ルータ3及びサーバ5を介さずに、端末7が接続部2の無線通信部2−4に記録された外部通信処理部2−2に関する情報を読み込み、又は端末7が設定を接続部2の無線通信部2−4に書き込むことにより、機器1をモニタ及び操作するために、端末7及び接続部2が直接接続される。
次に、上記の2つの事例の詳細を説明する。なお、以下では、通信経路a及び通信経路bによって接続部2がルータ3に接続される第1の接続モードを「ルータ接続モード」と称し、通信経路eによって接続部2が端末7に接続される第2の接続モードを「端末接続モード」と称する。第1の接続モードでは、ルータ3を介して接続部2及び端末7が接続される。第2の接続モードでは、ルータ3を介することなく、接続部2及び端末7が接続される。
図16は外部接続部及び操作端末のそれぞれをルータ接続モード又は端末接続モードに切替える方法と、外部接続部及び操作端末の接続状態とを示す図である。
ルータ接続モードに設定された外部接続部2及び操作端末7は、図15に示す通信経路a,bにより、ルータ3に接続される。端末接続モードに設定された外部接続部2は、図15に示す通信経路eにより、操作端末7に直接接続される。端末接続モードに設定された操作端末7は、図15に示す通信経路eにより、外部接続部2に直接接続される。
外部接続部2のモード切替方法としては、外部接続部2に設けられたスイッチを切替える方法を例示できる。外部接続部2に設けられたスイッチは、後述するスイッチ25に相当する。操作端末7のモード切替方法としては、操作端末7において手動で変更する方法、又は接続履歴に基づき自動接続する方法を例示できる。接続履歴に基づき自動接続する方法は、以前に接続したことのある外部接続部2及びルータ3を操作端末7が検出したとき、操作端末7は自動で外部接続部2又はルータ3に接続する。なお操作端末7は、操作端末7が以前に接続したことのあるルータ3のリストを操作端末7に表示させ、操作端末7のユーザにルータ3を選択させるように構成してもよい。
図17は外部接続部の製品イメージを示す図である。外部接続部2は、2つのスイッチ25と、4つのダイオードであるLED26とを備える。
外部接続部2は、2つのスイッチ25の内の一方が押される時間の長さによって、接続モードが切替えられるように構成されている。このスイッチ25を「モード切替スイッチ」と称する。
外部接続部2には表示部がないため、接続モードがどの状態にあるかを判別できるようにLED26が設けられている。図17では、4つのLED26の内の1つがモード状態を表示している。モード状態を示すLED26を「モード状態LED」と称する。
図18は図17のモード切替スイッチにより接続モードを切替えるときの動作を説明するための図である。外部接続部2は、モード切替スイッチの押時間の長さによって、接続モードを、ルータ接続モード又は端末接続モードに切替える。
「MODE switch PUSH」は、モード切替スイッチが押されたことを示す。「0sec」は、モード切替スイッチが押された時点を示す。「1sec」、「5sec」及び「10sec」のそれぞれは、モード切替スイッチが押された時点からの経過時間を示す。「0sec」から「1sec」までの「OFF」は、モード状態LEDが消灯状態を示す。「1sec」から「5sec」までの「Flash every 1 sec」は、モード状態LEDが1秒周期で点滅している状態を示す。「5sec」から「10sec」までの「Lit for 5 sec」は、モード状態LEDが5秒間点灯している状態を示す。「10sec」以降の「Flash every 0.5 sec」は、モード状態LEDが0.5秒周期で点滅している状態を示す。
外部接続部2は、モード切替スイッチが押された時点から1秒以上経過し、かつ、5秒経過するまで、モード状態LEDを1秒周期で点滅させる。この期間にモード切替スイッチが押されなくなると、外部接続部2は、ルータ接続モードに移行する。
外部接続部2は、モード切替スイッチが押された時点から5秒以上経過し、かつ、10秒経過するまで、モード状態LEDを点灯させる。この期間にモード切替スイッチが押されなくなると、外部接続部2は、接続モードを、ルータ接続モードから端末接続モードに切替える。
外部接続部2は、モード切替スイッチが押された時点から10秒以上経過すると、モード状態LEDを0.5秒周期で点滅させる。このとき外部接続部2は、別の接続モードに切替わるように、モード切替スイッチの押時間に応じて接続モードを切替えてもよい。
なお、外部接続部2は、モード切替スイッチが押された時点から一定時間が経過するまで、接続モード及びLED点灯パターンが切替わらないように構成されている。一定時間としては1秒を例示できる。これは、モード切替スイッチが誤って押されたときに誤設定されないようにするためである。なお、このようなモード切替機能を有する外部接続部2は、被制御機器1に搭載してもよい。
次に、前述した1つ目の事例において、外部接続部2と操作端末7とが一時的に接続され、外部接続部2の無線通信部2−4の設定情報を操作端末7から書き替える動作を、図19から図23を使用して説明する。
図19は外部接続部の無線通信部の設定情報を操作端末から書き替える動作のフローチャートである。図19の例では、最初に外部接続部2が端末接続モードに切替えられる前のルータ接続モードに設定されている(S1)。
このルータ接続モードの状態で通信経路eを確立するために、モード切替スイッチが押された時点からの経過時間が5秒以上、かつ、10秒未満で、モード切替スイッチが押されなくなると、外部接続部2の無線通信部2−4は、図19に示すように、外部接続部2の周囲に存在する1又は複数のルータ3を検索する。外部接続部2の無線通信部2−4は、検索の結果、抽出された1又は複数のルータ3のネットワーク情報、すなわちSSIDをリスト化する(S2)。
SSIDがリスト化された後の外部接続部2は、端末接続モードに切替わる(S3)。なお、外部接続部2の無線通信部2−4は、周囲のルータ3の情報を定期的に検索し、検索したルータ3の情報を外部接続部2の内部メモリに保存してもよい。そして、操作端末7にて無線接続先として外部接続部2が選択される。
図20は外部接続部の選択方法の一例を説明するための図である。図20のように外部接続部2の本体には、外部接続部2の接続情報であるSSID及びKEYが表示されている。なお外部接続部2の接続情報は、外部接続部2の取扱説明書又は梱包箱に表示してもよい。
外部接続部2を選択する場合、操作端末7において、図20に示すSSID及びKEYを入力することで、外部接続部2の無線通信部2−4が操作端末7と無線接続される。このとき、操作端末7において、外部接続部2が操作端末7と無線接続されたかを確認できる。なお図17に示す外部接続部2のLED26における無線接続後の点灯パターンを、無線接続前の点灯パターンから変化させることで、外部接続部2を見て無線接続できたか否かを判断できるようにしてもよい。
図21は外部接続部に付与された2次元コードの一例を示す図である。Web表示部2−5のアドレスの入力を簡略化するため、図21のように外部接続部2に2次元コード2−6を付与しておき、操作端末7に設けられる不図示のカメラを用いて2次元コード2−6を読み取ることによって、外部接続部2への接続先の入力を省略できるようにしてもよい。2次元コード2−6は接続先表記の一例である。図22は操作端末の表示画面にWeb表示部のアドレスが入力された状態を示す図である。操作端末7を、図2に示すWeb表示部2−5に接続するためには、図21に示す操作端末7の表示画面7−2において、Web表示部2−5のアドレス「http://192.168.11.1/network」を直接入力してもよい。
図23は操作端末に表示される第1の画面であるネットワーク設定画面の一例を示す図である。図23には、外部接続部2が操作端末7に接続されている状態で、ルータ3のSSID及びKEYが設定されることによって、外部接続部2がルータ3に接続されるように設定変更を行う事例が示される。
操作端末7がWeb表示部2−5に接続されると、操作端末7には、図23のようなネットワーク設定画面7−3が表示される。操作端末7は、ネットワーク設定画面7−3において、無線通信部2−4を接続させたいSSID及びKEYを入力可能に構成され、また必要に応じてIPアドレス及びDNSを設定可能に構成される。そして操作端末7のSubmitボタン7−4が押されることにより、入力された設定情報が外部接続部2の無線通信部2−4に記憶される。
なお、ルータ3のSSIDは、ルータ3に記載された値を操作端末7のソフトキーを使用して、Web表示部2−5に直接入力してもよい。また、前述したようにルータ接続モードから端末接続モードに切替える際に抽出したルータ3のSSIDリストを、Web表示部2−5に表示させて、そのリストから接続設定したいルータ3を選択させることで、SSID入力の手間を省けるようにしてもよい。また「接続部に接続しますか?」というコメントをWeb表示部2−5に表示させて、ユーザの同意を確認した後に自動接続設定できるようにしてもよい。
図24はWeb表示部に表示されるSSIDリストの一例を示す図である。Web表示部2−5には、図24に示すように、複数のルータ3のSSIDリストが表示される。図24では一例として2つのルータ3のSSIDリストが表示されている。Web表示部2−5に表示されるSSIDリストにおけるSSID表示の順序は、外部接続部2とルータ3との間の電波強度が大きいものから順に表示するのがよい。ここで、電波環境によりルータ3の検索中に一旦は見つかっても抽出判定中に外部接続部2とルータ3との間の電波強度が弱くなり、ルータ3が見つからなくなる場合と、複数のルータ3が抽出される場合とがある。そこで外部接続部2のWeb表示部2−5は、ルータ接続モードにおいてルータ3の検索が完了しなければ、一定時間で完了した分だけをSSIDリストに表示させることによって、端末接続モードに切替わらない、又は切替えまで時間が掛かり過ぎるような課題を解消できる。また、ルータ接続モードにてルータ3を1台も検索できなくても、外部接続部2は、端末接続モードに切替えて手動入力できるようにしておいてもよい。
外部接続部2は、無線通信部2−4の設定情報が切替えられた後、端末接続モードからルータ接続モードに切替えるようにすることで、接続先を操作端末7からルータ3に切替えることができる。ここでも、外部接続部2の接続モードが切替わったことを、ユーザが外部接続部2のLED26で確認できるように、外部接続部2は、接続モードの切替えに連動してLED26の点灯パターンを変更するように構成してもよい。
また、一般にルータ3はインターネット回線に接続されており、図15の通信経路N1のように外部接続部2がルータ3に接続することでインターネットを経由してサーバ5に接続できる。外部接続部2がサーバ5に被制御機器1の情報を通信経路N1で通知し、その通知に対してサーバ5が通信経路N2で受信応答を出力することで、外部接続部2は、通信経路N2で受信応答を受信したとき、サーバ5への接続が成功したと判断し、その後、外部接続部2のLED点灯パターンをサーバ通信状態のパターンに切替える。これにより、ユーザは外部接続部2だけを見て通信状態がどのように切替わったか判断できる。
ここで、外部接続部2が端末接続モードからルータ接続モードに切替える際、ルータ3のSSID又はKEYが誤って入力されても、その入力が正しいものであるか否かは、モードをルータ接続モードに切替えて接続確認するしかない。また、外部接続部2の接続モードが切替わるため、操作端末7も外部接続部2とは直接接続できない状態となる。
そこで、外部接続部2は、ルータ接続モードに切替わったことをユーザが判断できるように、LED26の点灯パターンを切替える。すなわち外部接続部2は、端末接続モードにおいて、操作端末7からの設定により接続部2がルータ3に接続できないとき、ルータ接続モードに切替えると共に、LED26の点灯パターンをルータ接続モードであることを表す点灯パターンに変更する。これにより、ルータ接続モードでありながら外部接続部2がルータ3と接続できていないことを表示できる。
また、外部接続部2は、ルータ3に接続できないことを認識した場合、再度、端末接続モードに戻り、併せてLED26の点灯パターンを、端末接続モードであることを表示するパターンに変更することによって、ユーザに再度の入力設定を促すようにしてもよい。
また、操作端末7は、どの入力内容が不正であるかをユーザに知らせるため、不正なパラメータのフォント色を変えて注記を表示するようにしてもよい。具体的には、KEYの値が不正である場合、操作端末7は、KEYの文字色を、KEYの値が正常なときの文字色とは異なる色に変化させる。
次に、前述した2つ目の事例において、ルータ3を介さずに外部接続部2及び操作端末7を接続させて、操作端末7が直接外部接続部2の設定を変更することによって、機器1を操作する動作を詳細に説明する。
ここで、サーバ5を介して外部接続部2が操作端末7に接続される事例では、外部接続部2が自発的に通信を開始するマスター状態となっている。ところが、前述した2つ目の事例では、外部接続部2は、操作端末7からの操作要求を待ち、操作要求を受信したら操作要求に対する応答を返すスレーブ状態となっている。
スレーブ状態においては、HTTPd(HyperText Transfer Protocol Daemon)、又はUDPの特定の通信ポートを開放しておき、操作端末7が当該通信ポートに接続することで、操作端末7は、外部接続部2に任意のタイミングで直接接続して、外部接続部2との通信が可能である。HTTPdは、外部からの接続を受け付けて要求された設定情報を送信し、又は送信された設定情報を受信して保存するというように、予め設定された動作を行うWebサーバ上の機能である。
図2に示されるWeb表示部2−5は、接続部2のネットワーク情報を設定する第1の画面と、機器1の状態を表示する第2の画面と、機器1の設定を変更する第3の画面とを備える。Web表示部2−5のこれらの画面に表示される情報は、外部通信処理部2−2を介して、機器1との間で送受信される。操作端末7は、端末接続モードにおいて機器1の状態を表示するように構成され、又は端末接続モードにおいて機器1の設定の変更操作が可能に構成されている。これにより、外部接続部2に接続された操作端末7のユーザが機器1の状態を確認でき、また外部接続部2に接続された操作端末7のユーザによって、機器1の設定情報の変更操作が可能になる。
なお、これらの画面は、図3に示される操作画面7−1、すなわちサーバ5にアクセスしてアプリケーションをダウンロードすることにより操作端末7に表示される画面と共用してもよい。
また操作端末7をWeb表示部2−5に接続するときには、Web表示部2−5に接続するためのIPアドレスにポート番号を付加したもの「http://192.168.1.1:100」を設定し、又はIPアドレスにドメイン名を付加したもの「http://192.168.1.1/setting」を設定してもよい。また操作端末7をWeb表示部2−5に接続するときには、設定内容に秘匿性があればユーザを限定できるように、操作画面7−1への接続にパスワードで制限をかけるようにしてもよい。すなわち操作端末7は、接続部2の第1の画面、第2の画面及び第3の画面への接続時にパスワードの入力を要求するように構成してもよい。
なお、操作端末7は、外部接続部2を介しての機器1の設定操作だけでなく、機器1の情報を操作端末7に表示させることによって、ユーザが機器1の状態をモニタできるように構成してもよい。図15に示す通信経路eで操作端末7及び外部接続部2が接続された場合、ルータ3が不要のため、操作端末7だけで機器1の状態を確認できる。そのため操作端末7は、ルータ3が故障しているとき、又はルータ3が待機電力モードになっているときでも、サービスツールとして利用することができる。これにより、機器制御システム100の全体のエネルギ消費を抑制でき、またルータ3が設置される前の環境下においても機器1を運転させて、機器1の動作確認をすることもできる。
端末接続モードにおいて、操作端末7から外部接続部2の設定を直接変更する場合、操作端末7と外部接続部2と機器1とは、無線電波が届く範囲に存在する。すなわち、操作端末7と外部接続部2と機器1とは、図15に示すようなネットワーク6を介した通信経路N1,N2で接続されるのではなく、赤外線リモコンで操作可能な通信範囲に存在する。このような環境下ではユーザが機器1の近くに存在するため、端末接続モードが設定された機器制御システム100では、ユーザを容易に把握でき、前述した操作権の管理が必須ではなくなる。従って、端末接続モードが設定された機器制御システム100では、ルータ3及びサーバ5が不要となり、外部接続部2に接続された操作端末7によって、赤外線リモコンに代わる操作を実現できる。
また、操作端末7に設定されたアプリケーションを使用することにより、操作端末7は、Web表示部2−5が有する機器状態確認画面及び設定情報変更画面を実現でき、操作端末7のユーザが機器1の状態を確認したり、機器1の設定情報の変更操作が可能になる。
以上に説明したように本実施の形態に係る機器制御システム100は、宅内の無線機器をネットワーク経由で操作端末から制御し、又は宅内の無線機器をネットワークを経由せずに操作端末から制御する機器制御システムであって、無線LANルータを介して、無線機器及び操作端末を接続する第1の接続モードと、無線LANルータを介することなく、無線機器及び操作端末を接続する第2の接続モードと、第1の接続モードと第2の接続モードとを切替えるスイッチとを備える。また無線機器は、第1の接続モードに設定された状態でスイッチが一定時間以上押された後に、無線機器の周囲に存在する1又は複数の無線LANルータを検索し、検索された1又は複数の無線LANルータのネットワーク情報をリスト化した後、第1の接続モードから第2の接続モードに切替える。この構成により、機器制御システム100は、操作端末が専用のアプリケーションを備えなくても外部接続部をルータ3に接続できる。また機器制御システム100は、ルータ3が存在しない環境下でも、操作端末を手元操作端末4のように利用することによって、機器1の操作とモニタとが可能である。
また本実施の形態に係る無線機器は、スイッチが押されてから一定時間が経過するまで、第1の接続モードから第2の接続モードへの切替と、第2の接続モードから第1の接続モードへの切替とを行わないように構成されている。この構成により、モード切替スイッチが誤操作されたときでも接続モードの誤設定を防止できる。
また本実施の形態に係る無線機器は、無線LANルータが検索されない場合でもスイッチが押されてから一定時間が経過したとき、第1の接続モードから第2の接続モードに切替えるように構成されている。この構成により、無線機器は、ルータ接続モードが設定されているときにルータ3が1台も検索できない場合でも、端末接続モードによって端末7との通信が可能になる。
また無線機器の本体と、無線機器の取扱説明書と、無線機器の梱包箱との何れかには、ネットワーク情報が表示され、第2の接続モードにおいて操作端末には、本体と取扱説明書と梱包箱との何れかに表示されたネットワーク情報が入力されるように構成してもよい。この構成により、ユーザは、操作端末7において、操作端末7の無線接続先を把握できると共に、操作端末7が無線接続されたか否かを容易に確認できる。
また無線機器は、ダイオードを備え、ダイオードの点灯パターンは、第1の接続モードが設定されているときのパターンと、第2の接続モードが設定されているときのパターンと、無線機器が操作端末に接続されたときのパターンとが異なるように構成してもよい。この構成により、ユーザは、無線機器を確認するだけで、無線機器と端末7との通信状態を容易に把握できる。
また無線機器は、リスト化したネットワーク情報を操作端末に選択可能に表示させるように構成してもよい。この構成により、ユーザは、操作端末にSSIDを入力しなくても、ルータ3のリストの中から接続したいルータ3のSSIDを選択できるため、ユーザの利便性が向上する。
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。