以下に、本発明に係る機器制御システムの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る機器制御システムを模式的に示す図である。機器制御システムは、被制御機器1、外部接続部2、無線LANルータ3、手元操作端末4、サーバ5、および操作端末7で構成されている。サーバ5はネットワーク6を介して無線LANルータ3と操作端末7に接続され、無線LANルータ3には外部接続部2が接続されている。外部接続部2には被制御機器1が接続される。以下の説明では、特に言及しない限り被制御機器1は「機器1」、外部接続部2は「接続部2」、無線LANルータ3は「ルータ3」、操作端末7は「端末7」と省略して説明する。
機器1は、空気調和機、冷蔵庫、テレビなどの家電機器である。機器1から出力される情報としては、機器1の機種を特定するための機種情報、機器1の運転状態や運転モードなどを表す動作状態情報、機器1を特定するための型名や製造番号などの識別情報などである。以下、特に言及しない限りこれらの情報は被制御機器情報1aと称する。なお、本実施の形態に係る機器制御システムでは、機器1に接続部2が接続されているが、後述する遠隔通信部24に接続部2の機能を持たせるように構成してもよい。また、機器1の機種は空気調和機、冷蔵庫、およびテレビに限定されるものではなく遠隔操作を行うことができる家電機器であればどのような機器でもよい。また、接続部2に接続される機器1は複数であってもよい。
端末7は、機器1を制御可能な端末であり、機器1を制御するための専用の制御端末でもよいし、機器1を制御する機能を実行するアプリケーションソフトウェアを携帯電話やタブレット端末、スマートフォン等に実装することで制御端末として使用するようにしてもよい。
端末7は2種類の通信モードを選択可能に構成されており、一方の通信モードは接続部2が接続されたルータ3の電波が届く無線LAN環境下にあるときの宅内モードであり、他方の通信モードは接続部2が接続されたルータ3の電波が届かない環境下にあるときの宅外モードである。
端末7のモード切替は、予め端末7に登録されたルータ3(接続部2が接続されたルータ3)の電波が届く範囲(例えば宅内)にあるときには自動的に宅内モードが選択され、接続部2が接続されたルータ3の電波が届く範囲にないときには自動的に宅外モードが選択される。宅内モードが選択された端末7は、無線LAN通信機能(Wi−Fi(登録商標)通信)によってルータ3にアクセスし、ルータ3、および接続部2を経由して機器1を制御することができる。端末7が無線LAN通信機能で機器1を制御(モニタおよび操作)することを宅内操作と呼ぶ。宅外モードが選択された端末7は、インターネット通信機能によって3G、4G、LTEなどの通信規格に準拠した通信網やインターネットなどの公共無線通信網(以下単に「ネットワーク6」と称する)にアクセスし、サーバ5、ルータ3、および接続部2を経由して機器1を制御することができる。端末7がインターネット通信機能で機器1を制御することを宅外操作と呼ぶ。
一般にルータ3には、ルータ3に接続されるデバイスのIPアドレスをDHCPによって決める機能があり、ルータ3に接続されるデバイスである接続部2および端末7には固有のIPアドレスが割り当てられる。なお図示省略されているが、ルータ3とネットワーク6との間にはルータ3をネットワーク6に接続するための光回線あるいはADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)のモデムが設置されている。
手元操作端末4は機器1に標準で付属する赤外リモコンなどであり、例えば38kHzの近赤外線を搬送波として用い、近赤外線の伝播特性から、機器1と同一室内での使用に向いている。機器制御システムにおいては、宅外にある端末7からの操作よりも宅内にある手元操作端末4からの操作が優先される。また手元操作端末4は端末7に操作権が与えられている場合でも優先して操作を反映できるため、仮に端末7やネットワーク6が故障した場合でも手元操作端末4から機器1の設定が可能である。一方、端末7はルータ3との間で無線LAN通信ができない場合でもネットワーク6を使用して遠距離での通信ができるため、機器1との間の障害物の有無に拘わらず通信ができるというメリットがある。
サーバ5には、端末7が接続されるWebサーバ5−1と、Webサーバ5−1が処理したデータを格納するデータベースサーバ5−2などがある。データベースサーバ5−2内の固有エリアは機器1ごとに割り当てられており、端末7は予め登録された機器1の固有エリアにだけアクセスすることができる。またサーバ5の操作権管理部5−3は、例えば端末7が操作に関するアプリケーションを立上げたときにその端末7に対して操作権を与えることで、操作権が与えられた端末7による遠隔操作のみを許可する。操作権が与えられた端末7は、サーバ5にアクセスすることによりデータベースサーバ5−2内の固有エリアにある被制御機器情報1aを取得する以外にも機器1の設定を変更する場合、操作権が与えられた端末7がサーバ5にアクセスしてデータベースサーバ5−2内の固有エリアの設定を端末7から変更する。操作権管理部5−3における操作権の管理動作に関しての詳細は後述する。
接続部2とルータ3との間の通信は無線通信であっても有線通信であってもよく、無線通信としては例えばWi−Fi(登録商標)のようなIEEE802.11シリーズの無線LAN通信方式に準拠した信号や、Bluetooth(登録商標)もしくは900MHz帯の特定小電力通信を用いることができる。ただし、必ずしもこれらの規格に準拠している必要はなく、それ以外の通信方式に準拠した無線通信でもよい。また、有線通信についてもIEEE802.3のEthernet(登録商標)やRS485通信などがよく利用されているがこれ以外の通信方式でもよい。
接続部2は、機器1の通信方式とルータ3の通信方式とを相互に変換する機能を有する。例えば、機器1がもつ独自の通信方式で機器1から送信された被制御機器情報1aを、Wi−Fi(登録商標)などの無線通信方式に準拠した通信データに変換してルータ3へ送信する。また、無線通信方式でルータ3から送信された設定情報を、機器1の通信方式に準拠した通信データに変換して機器1へ送信する。設定情報は機器1をモニタおよび操作するための情報であり、端末7が操作されたとき接続部2を介して機器1に対して送信される。
また接続部2は、宅外モードと宅内モードを選択可能に構成されている。接続部2のモード切替は、端末7の操作により切替えられ、または接続部2に設けられたモード切替用スイッチを選択することにより切替えられる。
宅内モードが選択された接続部2は、機器1に一定周期でアクセスして被制御機器情報1aの送信を要求し、機器1からの被制御機器情報1aを記憶する。このとき接続部2に格納される被制御機器情報1aは最新の情報だけでもよいが、例えば1分周期で過去5分のデータを接続部2に保存しておき、それらのデータを端末7に送信するように構成してもよい。そして、接続部2は、例えば端末7からの送信要求を受信したとき、記憶した被制御機器情報1aを、ルータ3を介して端末7に送信する。また、端末7からの設定情報はルータ3を介して接続部2に送信され、接続部2は受信した設定情報を機器1に転送する。
このように、宅内モードに切替えられた接続部2および端末7ではサーバ5を介さずに通信が行われるため、接続部2とサーバ5との間の通信周期T1(図8参照)に依存することなく、即座に機器1をモニタおよび操作することができる。また、サーバ5にアップロードされる情報量が低減されるためサーバ5の負担増を抑制することができる。
なお、機器1は手元操作端末4でも操作することができるが、接続部2を用いることにより、機器1の通信方式が汎用的な通信方式、例えばWi−Fi(登録商標)やEthernet(登録商標)などの通信方式に変換される。そのため、Wi−Fi(登録商標)に対応した端末7が宅内にある場合にはルータ3との無線LAN通信で機器1をモニタおよび操作することができる。
一方、接続部2は、宅外モードが選択されているときの通信モードとして宅内通信または宅外通信(図5参照)がある。宅内通信とは、操作権が与えられ宅内モードで動作中の端末7で宅内操作が行われた際、端末7と接続部2との間でサーバ5を経由せずに行われる通信である。宅外通信とは、操作権が与えられ宅外モードで動作中の端末7で宅外操作が行われた際、端末7と接続部2との間でサーバ5を経由して行われる通信である。
端末7がルータ3と無線LAN通信をしている場合、接続部2はルータ3を介して、宅内通信にて端末7からの通信を受けつける。宅内通信中の接続部2では、機器1に一定周期(例えば1秒間隔)でアクセスして被制御機器情報1aの送信を要求し、機器1からの被制御機器情報1aを記憶する。被制御機器情報1aを記憶した接続部2は、例えば端末7からの送信要求を受信したとき、記憶した被制御機器情報1aをルータ3経由で端末7に送信する。また、端末7からの設定情報はルータ3経由で接続部2に送信され、接続部2は受信した設定情報を機器1に転送する。このように接続部2は、宅外モードが選択されている場合でも端末7が無線LAN環境にあるとき、サーバ5を経由しない通信(宅内通信)を行うように構成されている。
端末7が無線LAN通信でルータ3と通信していない場合、接続部2では、機器1に一定周期でアクセスして被制御機器情報1aの送信を要求し、機器1からの被制御機器情報1aを記憶する。そして、宅外通信中の接続部2は通信周期T1(例えば5分間隔)でデータベースサーバ5−2内の固有エリアにアクセスし、記憶した被制御機器情報1aをアップロードすると共に、データベースサーバ5−2内の固有エリアに格納されている設定情報をダウンロードして機器1に送信する。設定情報をダウンロードすることによって、宅外にある端末7は、サーバ5経由で機器1の操作を間接的に行うことができる。インターネット経由で機器1にアクセスするためには専用の通信経路(IPアドレス)を持つ必要がある。一般にはプロバイダとの契約は1契約であり、専用経路のための費用を削減するため使用中のインターネット契約を変更させることなく機器1のモニタおよび操作を行う通信方式が望ましい。そこで本実施の形態の機器制御システムは、宅外操作される端末7と接続部2とがサーバ5経由で情報の伝送を行うように構成されている。
なお、一般的に接続部2は機器1に接続されて使用されるが、給電用の電源線、グラウンド線、通信線などを用いて接続することにより機器1からの給電により駆動するように構成してもよい。また、通信データについては端末7が機器1の通信プロトコルを認識する必要があり、接続部2は汎用通信プロトコルに変換するものであっても、機器1の独自の通信プロトコルに変換するものであってもよく、機器1の機能が拡張されたとしても端末7の機能も合わせて拡張すればよい。また、端末7のユーザが機器1を制御する場合、端末7が操作された時点での操作および応答が要求される。そのため、接続部2は端末7からの通信を常時受け付けることができるように構成されている。
図2は、機器1および接続部2の内部構成図である。機器1は、機器1の全体の制御を行う制御部10と、手元操作端末4や接続部2との通信を行う通信部20と、上下フラップや左右ベーンなどを操作して室内空間に向かって吹き出す気流の風向(室内空間の上下、左右等の方向)を変更する風向変更部30と、ラインフローファンを制御して気流の風速を変更する風速変更部40と、機器1の冷凍サイクルの動作を制御して吹き出す気流の温度を変更する出力温度変更部50とを備えている。
制御部10は、風向変更部30を操作して機器1から吹き出す気流の風向を制御する風向制御部11と、風速変更部40を操作して吹き出し気流の風速を制御する風速制御部12と、出力温度変更部50を操作して吹き出し気流の温度を制御する温度制御部13と、通信部20を操作して機器1以外の機器との通信を行う通信制御部14と、を備えている。
温度制御部13は、機器1の室内機の内部や手元操作端末4に設置されたサーミスタを用いて室内温度を検出する温度検出部13−1と、手元操作端末4や端末7で設定された設定温度を通信部経由で入力する設定温度入力部13−2と、温度検出部13−1で検出された室内温度と設定温度入力部13−2に入力された設定温度とを比較して温度差分を検出する温度差分検出部13−3と、温度差分検出部13−3で検出された温度差分に基づいて出力温度変更部50を操作して吹き出し気流温度を制御する出力温度制御部13−4とで構成される。
通信部20は、機器1の室内機と室外機との間の通信を行う室内−室外機間通信部21と、手元操作端末4との間の通信を行うリモコン間通信部22と、外部通信部23または遠隔通信部24とで構成される。
外部通信部23は、機器1の通信に汎用性を持たせるためのインターフェイスであり、例えば汎用の通信アダプタ(接続部2)を接続して外部との通信を行う場合に用いられる。外部通信部23は、接続部2に電源を供給する電源供給部23−1と、接続部2との間で被制御機器情報1aや設定情報の通信を行う外部通信処理部23−2とで構成される。遠隔通信部24は外部通信部23の機能と接続部2の機能とを併せ持ち、接続部2を使わずに通信を行うためのインターフェイスである。従って端末7で機器1のモニタおよび操作を行うためには、外部通信部23または遠隔通信部24のいずれか一方を用いればよい。ただし遠隔通信部24を使わない場合、外部通信部23に接続部2を接続する必要がある。
接続部2は、電源供給部23−1から供給される電源を接続部2の内部で使用する電圧レベルの電圧に変換する電源変換部2−1と、外部通信処理部23−2と通信する外部通信処理部2−2と、外部通信処理部2−2が受信した機器1からのデータを無線通信方式に準拠した通信データに変換すると共に、無線通信部2−4で受信されたルータ3からの通信データを機器1の通信方式に準拠した通信データに変換する通信変換部2−3と、通信変換部2−3で変換された通信データを無線通信方式でルータ3へ送信すると共に、ルータ3から送信された通信データを通信変換部2−3へ送信する無線通信部2−4とで構成される。電源供給部23−1と電源変換部2−1との間は電源配線で接続され、外部通信処理部23−2と外部通信処理部2−2との間は通信用配線で接続される。電源配線は接続部2が消費する電力を供給するための配線であるため、一般には通信用配線と同じ仕様の配線を使用してよい。
なお、電源供給部23−1は必ずしも機器1内に搭載する必要は無く、ACアダプタを用意してこのACアダプタから接続部2に給電するようにしてもよい。ただし一般的に機器1は室内上部、特に室内上部の壁面に設置されることが多く、室内床面付近に給電コンセントがある場合にはACアダプタと接続部2との間の電源配線の引き回しが面倒となる。従って機器1に接続部2の機能を搭載した方が利便性の面で有利である。
図3は、端末7に表示される操作画面7−1の一例を示す図である。図3には端末7の表示制御機能(図示せず)によってタッチパネル液晶に表示される操作画面7−1の一例が示され、図示例の操作画面7−1は操作対象の機器1が空気調和機の場合の例である。操作画面7−1は、ユーザによって設定された設定内容(例えば運転モードなど)や機器1の運転状態(室温など)を表示する情報表示部7−1aと、操作ボタン情報表示部7−1bとで構成される。操作画面7−1を表示するためのアプリケーションは、予め機器1の種類別に作成されてサーバ5に記録されており、端末7がサーバ5にアクセスしてアプリケーションをダウンロードすることにより端末7に記録され、端末7のアプリケーションにより操作画面7−1を作成する。
操作ボタン情報表示部7−1bには複数の操作ボタンが表示され、操作ボタンとしては、例えば、機器1の運転を起動する運転ボタンと機器1を停止させる停止ボタンとから成る運転/停止操作ボタン部と、冷房・暖房・除湿・送風などの運転モードを設定する運転モードボタンと、設定温度や風速の上げ下げや風向の向きを設定する操作ボタンとで構成した設定操作ボタン部がある。なお、図3の情報表示部7−1aでは、室内機の風向の表示例として、室内機の側面方向から見た風向がイラストで示されているが、このようなイラストの代わりに「上」「中」「下」などの文字で風向を表示してもよい。また、風速についても「静」「弱」「中」「強」と文字だけの表示にしてもよい。また、運転ボタンが押された直後に操作内容を反映させると、操作ボタンの押し間違えや変更に対応できない。そのため、操作を確認する目的も含めて設定内容を送信するための送信ボタンを設けて、この送信ボタンが押されたときに設定内容を送信するように構成すれば、操作ボタンの押し間違えなどに起因した誤操作を抑制することができる。
図4は、機器制御システムに適用される通信モードを説明するための第1の図である。図5は、機器制御システムに適用される通信モードを説明するための第2の図である。前述したように接続部2および端末7にはそれぞれ2種類の通信モードが設定されている。図5に記される(1)〜(5)の通信内容は図4の(1)〜(5)の符号に対応している。
宅内通信(1),(2),(4)では、接続部2が接続されたルータ3の電波が届く範囲にある端末7と接続部2との間で、サーバ5を介さずに機器1の操作およびモニタが行われる。宅外通信(3),(5)では、接続部2が接続されたルータ3の電波が届かない範囲にある端末7と接続部2との間で、サーバ5経由で機器1の操作およびモニタが行われる。
宅内通信(1),(2),(4)では端末7で操作設定が行われたときのみ接続部2と端末7との間の通信が発生し、その通信がサーバ5を経由することなく伝送される。これに対して宅外通信(3),(5)では、通信周期T1で機器1のデータがサーバ5にアップロードされ、かつ、サーバ5の設定情報が接続部2にダウンロードされる。従って、宅内通信(1),(2),(4)では端末7で操作設定が行われたときのみ接続部2と端末7との間の通信が発生するのに対して、宅外通信(3),(5)では端末7における操作設定の有無とは無関係に通信が発生する。
このように接続部2と端末7の双方で宅内通信中である場合、宅内通信(1),(4)によってサーバ5を介すことなく機器1の操作およびモニタが可能である。また、接続部2と端末7の双方で宅外通信中である場合、端末7が宅外にあるか否かに係わらず(端末7の通信モードに係わらず)、機器1の操作およびモニタが可能である。
なお、接続部2とサーバ5との通信周期T1によるサーバ5の接続負荷を軽減するため、接続部2にはデフォルトの設定として宅内モードを設定しておき、宅外モードに切替える必要があるときにだけ、接続部2のスイッチまたは端末7で宅外モードに切替えるように構成してもよい。また端末7で接続部2の通信モードを切替える場合にはよりセキュアであるように、端末7が宅内モードであるときにだけ切り替えることができるように構成してもよい。
図6は、端末7が無線LAN通信をできる環境にあるときの動作を説明するための図である。例えば接続部2が接続されたルータ3の電波が届く範囲にある端末7は宅内モードに切替えられ、接続部2では宅内通信(1)または(2)が行われる。宅内モードに切替えられた端末7で設定操作が行われたとき、設定情報はルータ3、接続部2の順で接続部2に送信される(経路a)。機器1からの被制御機器情報1aは接続部2、ルータ3の順で端末7に送信される(経路b)。なお、端末7とルータ3は、無線LANで使用される汎用的な暗号方式(WPA−AES、TKIPなど)で接続され、接続部2が接続されたルータ3の電波の届く範囲であれば宅内モードで機器1を操作できる。
端末7の設定情報は、ルータ3、ネットワーク6の順でサーバ5にも送信され(経路c)、設定情報を受信した操作権管理部5−3では端末7に対する操作権が与えられ、その操作権が登録される。操作権が登録されたタイミングから端末7の操作権が発生し、端末7から接続部2に対して設定を送信できるようになり、端末7の設定が有効となる。このように宅内モードで操作設定が行われる場合でも端末7の操作権が管理される。そのため端末7からの操作を確実に機器1へ反映することができると共に、機器1を操作したにも係わらず操作設定が、他の端末7による操作により反映されていない、ということを防ぐことができる。
図7は、端末7が無線LAN通信をできない環境にあるときの動作を説明するための図である。図6との違いは端末7がインターネット通信でネットワーク6に接続されている点である。なお、端末7が宅内にある場合でも無線LAN通信が有効になっていない場合には図7のように通信が行われる。
接続部2が接続されたルータ3の電波が届く範囲にいない端末7は宅外モードに切替えられる。接続部2は、サーバ5に対して自己のMAC(Media Access Control)アドレスやシリアル番号と共に機器情報(被制御機器情報1a)をアップロード(経路N1)すると共に、データベースサーバ5−2内の自己のデータ(MACアドレスやシリアル番号で管理された設定データ)をダウンロード(経路N2)する。設定データが変更されている場合、機器1は設定データに基づいて設定を変更する。
なお、サーバ5内の操作対象のデータ領域を例えばMACアドレスにより管理しておき、複数の端末7が操作およびモニタできるデータ領域は、予めMACアドレス情報を含めて登録した機器1だけの情報としておくことで、不特定の端末7からの操作を防ぐことができる。また、手元操作端末4のように機器1が見える位置からの操作とは異なり、宅外操作では誤操作によって意図しない設定がされる可能性がある。このようなことを防止するために操作権の管理が行われるが、機器1の状態確認については操作権が与えられた端末7以外の端末でも確認することができる。なお、操作権を与えるタイミングは端末7で設定操作が行われたときに限定されるものではなく、例えば端末7が起動したときでもよい。
端末7の設定情報は、ネットワーク6経由でサーバ5に送信される(経路d)。設定情報を受信した操作権管理部5−3では端末7に対する操作権が与えられ、その操作権が登録される。操作権を登録されたタイミングから端末7の操作権が発生する。
図8は、機器制御システムの動作を示すシーケンス図である。図8では2台の端末7a,7bが示されているが、これらの端末7a,7bは前述した端末7と同様の機能を有するものである。ここでは何れも端末7a,7bにも操作権が与えられていない状態で端末7aの操作が端末7bの操作よりも先に行われた場合の動作を説明する。
Un(nは1以上の整数)は、接続部2が通信周期T1でサーバ5に被制御機器情報1aをアップロードし、かつ、サーバ5に格納された設定情報をダウンロードするタイミングである。Mn(nは1以上の整数)は端末7aが画面更新周期T2(端末7が画面を自動更新する周期。例えば3分)で状態表示を最新の状態に更新するタイミングである。
(1)AM09:00に接続部2からサーバ5に被制御機器情報1aがアップロード(U1)され、(2)AM09:02に端末7aからサーバ5に機器1の設定(S1)の変更が指示された場合、(3)接続部2は、AM09:05のU2のタイミングでダウンロードした設定指示を機器1に送信する。これにより設定(SH1)が機器1に反映される。
(4)接続部2は、機器1に設定(SH1)が反映された後のAM09:10のU3のタイミングで、機器1に反映された設定(SH1)の情報をサーバ5にアップロードする。これにより機器1の設定内容がサーバ5にフィードバックされる(SF1)。(5)そのため端末7aによりAM09:11のM3のタイミングで、機器1に設定が反映されたことを確認することができる。
なお、機器1の外部通信部23または遠隔通信部24は、端末7からの設定情報を受信したとき、設定情報を制御部10に伝達し、制御部10は設定情報に基づいて機器1内の動作を制御する。例えば、設定温度の上昇/下降に関する設定情報を受信したとき、出力温度制御部13−4は設定温度に対応した出力温度が得られるように出力温度変更部50を制御する。例えば、夏場に現在の室温が28度のとき、端末7で設定された設定温度も28度である場合、設定温度通りの室内温度になっている。この状態で屋外から帰宅した人が、室内が暑いために設定温度ボタンを操作して設定温度を2度下げると、温度検出部13−1の検出温度が28度であるのに対して、設定温度入力部での入力温度は26度になる。温度差分検出部13−3は設定温度に対して室内温度が2度高いことを検出し、出力温度制御部13−4は室内温度を2度下げるため、出力温度変更部50を用いて例えば室内機と室外機との間に循環する冷媒量を制御する。その結果、冷媒温度が下げられ、室内温度を下げることができる。
また、機器1が風速設定の操作ボタンの入力情報を受信したとき、風速制御部12が設定風速値に対応した風速が得られるように風速変更部40を制御する。例えば、現在の風速が弱の状態から、端末7により風速を上げて強に設定した場合、機器1の風速制御部12は風速変更部40の風速を予め登録してある「強値」に対応するファン回転数に変更して風速を変更する。
また、機器1が風向設定の操作ボタンの入力情報を受信したとき、風向制御部11が設定風向値に対応した風向が得られるように、風向変更部30を制御する。例えば、現在下向きに吹き出している風向を端末7で上向きに風向変更する信号を送信した場合、端末7の設定変更信号を機器1の通信部20が受信して制御部10に伝達し、制御部10の風向制御部11が風向変更部30のフラップの向きを上向きに変更することで風向が変更される。
機器1の操作は手元操作端末4でも行うことも可能であり、この場合、手元操作端末4からのリモコン信号はリモコン間通信部22で受信されて制御部10に伝達される。それ以降の処理は端末7から操作信号を受信した場合と同じである。
機器1は、前述した動作状態情報を、外部通信部23または遠隔通信部24を介して端末7へ送信し、動作状態情報を受信した端末7では被制御機器情報1aの運転モードや風向などが表示される。手元操作端末4で機器1の設定変更が行われた場合でも、動作状態情報が端末7へ送信されるため、機器1の最新の運転状態を確認することができる。
次に操作権の管理動作について説明する。図9は、操作権管理部5−3における操作権管理動作のフローチャートである。ここでは端末7aに操作権が与えられた場合を想定して説明する。
端末7aの操作権が登録されたとき、操作権管理部5−3は操作権の登録タイミングで操作権タイマのカウントを開始する(ステップS31)。操作権タイマはアップカウンタでもダウンカウンタでもよいが、ここではアップカウンタと仮定して説明する。
操作権タイマが所定時間T未満のとき(ステップS32,Yes)、操作権管理部5−3は、端末7aからの設定情報(設定操作要求)の有無により端末7aが操作されたか否かを判断する。端末7aの操作が無い場合(ステップS33,No)、操作権タイマが所定時間Tを超えたか否かが判断される(ステップS32)。
ステップS33において、端末7aの操作があった場合(ステップS33,Yes)、操作権管理部5−3では操作権タイマのカウントがリセットされ(ステップS34)、再び操作権タイマのカウントが開始される(ステップS31)。
ステップS32において、端末7aの操作が無いため操作権タイマが所定時間Tを超えたとき(ステップS32,No)、操作権管理部5−3では端末7aの操作権が解除される(ステップS35)。
接続部2とサーバ5の通信周期T1が5分であるとき、はじめの5分で設定操作要求が機器1に伝達され、次の5分で機器1の状態がサーバ5に伝達されるため、設定操作要求から状態表示までの時間だけ操作権を維持させるためには、例えば、通信周期T1の3倍の時間(約15分)を操作権の維持時間(時間T)として設定すればよい。このように時間Tとして設定することで端末7aの操作時点から時間Tが経過するまでは端末7aのユーザの指示による機器1の運転を維持することができ、操作が頻繁に変更されて誤操作につながることを抑制することができる。
なお、時間Tが経過して端末7aの操作権が解除された場合、操作権管理部5−3は端末7a以外の端末(端末7bなど)に対して端末7aの操作権が解除されたことを送信するように構成してもよい。さらにその送信の要否を各端末7で選択できるように構成してもよい。
また、端末7aが機器1を設定操作するタイミング、通信方式、通信経路などによっては通信周期T1より早く設定操作が反映されることもある。その場合、操作権の維持は時間T(上記例では15分)よりも短くしてもよい。
また、操作権は必ずしも時間Tだけ維持する必要はなく、例えば操作権の付与を待機している端末7bを操作権管理部5−3に登録しておき、操作権を与えられた端末7aがログアウトあるいはシャットダウンされたタイミングで端末7bに操作権を付与するように構成してもよい。
次に、図8のシーケンスを用いて操作権の管理動作を具体的に説明する。(1)AM09:00に接続部2からサーバ5に被制御機器情報1aがアップロード(U1)される。(2)AM09:02に端末7aからサーバ5に機器1の設定(S1)の変更が指示されたタイミングで、端末7a,7bの何れにも操作権が与えられていない場合、サーバ5は端末7aからの設定S1を受け付けると同時に操作権が端末7aであることを登録(S&K1)する。このS&K1のタイミングから端末7aの操作権Aが発生する。
(2−1)端末7aに操作権Aが与えられた後、例えばAM09:05に端末7bで同一の機器1の設定操作が行われたとき、サーバ5には設定の変更指示(S2)が送信されるが、サーバ5は操作権Aを認識しているため、端末7bに対して操作権が無いことを応答する。(3)接続部2は、AM09:05のU2のタイミングでダウンロードした設定指示を機器1に送信する。これにより設定(SH1)が機器1に反映される。(4)接続部2は、機器1に設定(SH1)が反映された後のAM09:10のU3のタイミングで、機器1に反映された設定(SH1)の情報をサーバ5にアップロードする。これにより機器1の設定内容がサーバ5にフィードバックされる(SF1)。(5)そのため端末7は、AM09:11のM3のタイミングで、機器1に設定が反映されたことを確認することができる。
M3のタイミングで端末7aのユーザは、端末7aで設定した内容が機器1に反映されたことを確認できるので、サーバ5は操作権Aを解除してもよいが、端末7aのユーザはM3のタイミングで機器1に設定内容が反映されたことに気付かない可能性もある。また、気付いたとしても例えば端末7bのユーザにより別の設定に変更されてしまう可能性もある。このようなことを防止するため、設定内容をフィードバックできたM3のタイミングから一定時間経過するまで操作権Aを維持してもよく、図示例ではM3のタイミングから次の状態更新タイミングまで操作権Aが維持されている。
(6)そして、操作権AがなくなったAM09:16のタイミングで端末7bからの設定変更が指示(S3)されたとき、操作権管理部5−3は、端末7bからの指示(S3)を受け付けると同時に、端末7bの操作権Bを登録(S&K2)する。このことにより端末7bに対する操作権Bが発生する。
なお、本実施の形態では通信周期T1が5分に設定されているが、通信周期T1は5分に限定されるものではない。通信周期を早くするほど操作が早期に反映されるが、サーバ5に機器1が多数接続される場合には通信負荷が大きくなるため、通信周期T1はサーバ5に接続される機器1などを考慮して最適な値に設定することが望ましい。また、機器1と接続部2との間では、例えば1秒周期で接続部2の要求に対して機器1が応答する通信が行われる。
次に、本発明の実施の形態1に係る機器制御システムにおいて前述した課題を解消するための機能および動作を説明する。
図10は、本発明の実施の形態1に係る機器制御システムにおいてルータ3に接続されるデバイスの情報を端末7に登録する際のシーケンス図である。図10に示される機器1、接続部2、端末7、およびサーバ5は本実施の形態に係る機器制御システムを構成するものである。
(1)接続部2は、機器1の機器情報等を蓄積したり操作設定するためのデータをもつ専用のサーバ(データベースサーバ5−2など)にアクセスするためのURL(Uniform Resource Locator)情報を持ち、接続部2はそのURLに対して自身の機器情報(例えばMACアドレスやID番号)を送信し、サーバ5は各MACアドレスに対応したデータ領域を持ち、その領域に受信した機器情報や、設定情報を記録する。
(2)そして、接続部2がサーバ5に機器情報を送信したあと、宅内モードの端末7は、一般には立ち上げ処理が完了した後に、同一宅内のローカルネットワークに接続されたデバイス(機器1や接続部2)に対して、UDP通信で特有の応答要求がブロードキャスト送信される。この応答要求は、例えば「機器Aか?」という問合せである。この問合わせの内容は、必ずしも同一宅内のローカルネットワークに接続された全てのデバイスが応答する必要のあるものではなく、例えば機器1または接続部2など特定のデバイスだけが応答するものでもよい。また、この問合わせの内容は、機器Aであるか否かを問い合わせるものでなくてもよく、例えば、デバイスの型名、メーカ名、数字の羅列などでもよい。このように特定のデバイスだけがUDP応答するように構成すれば、不要なデバイスからの応答を処理する負荷がなくなる。
(3)UDP問合せに対するUDP応答にはデバイスのIPアドレスも付与されているため、端末7は特定のデバイスのIPアドレスだけを取得することができる。
(4)UDP応答をするデバイスは複数の場合もあるため、端末7は応答があったIPアドレスに対してHTTP通信でIPアドレス以外の機器情報を問合わせる。この機器情報は例えばMACアドレス、ID番号、機器1の型名、ソフトウェアバージョンなどである。ただし、接続部2には、端末7からのHTTP問合わせに対して機器情報を応答するように、予め機器情報応答機能を搭載しておく。これにより、宅内モードの端末7は、接続したいデバイスのみのIPアドレスとIPアドレス以外の機器情報(MACアドレスなど)を取得することができる。
(5)端末7は接続部2から送信されたデバイスの機器情報を受信して機器情報を自身に登録(機器登録)する。なお、取得したMACアドレスを自動入力により端末7へ登録するように構成してもよい。MACアドレスを自動入力で登録することにより、ユーザがデバイスのMACアドレスを調べたり入力する必要がなくなるというメリットがある。
(6)端末7は取得したMACアドレスとIPアドレスをサーバ5へ転送する。(7)端末7からのMACアドレスやIDを受信したサーバ5は、このMACアドレス等を、サーバ5に予め登録された各デバイスのMACアドレス等に照合することによって、端末7に登録された各デバイスとサーバ5に登録された各デバイスとが一致するか否かを判断し、その照合結果を端末7に送信する。(8)端末7は、サーバ5からの照合結果と接続部2から送信されたIPアドレスとに基づいてデバイス(機器1、接続部2)を操作する通信を行う。このことにより端末7に登録されたデバイスを端末7からモニタおよび操作することができる。
なお、サーバ5におけるデバイスの照合においては、端末7に接続したいデバイスが端末7と同一宅内にあるか否かを照合する仕組みを入れてもよい。仮にMACアドレスの情報だけで宅外の端末7から操作できるようにしてしまうと、MACアドレスは、その上位がメーカ固有の番号でありその下位がユニークな番号であるため、下位の番号を通し番号にしておく場合、端末7が操作するデバイスのMACアドレスをユーザが誤って入力した場合、別の住宅に設置された機器1が操作されてしまうことになる。このようなことを防ぐため、例えば機器1や接続部2の本体に表記された値(製造番号、シリアル番号、IDなど)を認証キーとしてMACアドレス値が正規であるか否かを照合するように構成してもよい。
この仕組みの具体例としては、例えば図10の(1)のタイミングで接続部2が動作する際、接続部2は自身のMACアドレスとIDをサーバ5に送信しているため、サーバ5はMACアドレスに関連したIDを認識している。そして、端末7のユーザが例えば宅内モードの端末7(機器登録画面など)に、機器1や接続部2の本体に表示されたMACアドレスやIDを登録する。端末7に登録された情報はサーバ5に送信され、この情報を受信したサーバ5は、予め登録したデバイスのMACアドレスとIDに端末7からの情報(端末7に登録されたMACアドレスやID)を照合することによって、端末7で登録されたデバイスとサーバ5に登録されたデバイスとが一致するか否かを判断する。一致していれば端末7に登録された特定のデバイスを端末7からモニタおよび操作することができる。
また、接続部2がルータ3から割り当てられるIPアドレスは変更されることがあるため、端末7はアプリケーションを立ち上げたときに、IPアドレスの確認処理やデバイスの照合処理をするようにしてもよい。また、端末7を長時間使用していない場合、端末7が再び使用されたときに、再度、IPアドレスの確認処理やデバイスの照合処理をするようにしてもよい。
図11は、従来のシステムにおける問題点を説明するための第1の図である。図12は、従来のシステムにおける問題点を説明するための第2の図である。
図11に示されるシステムは宅内に設置された複数の機器1−1,1−2,1−3をネットワーク6経由で操作する無線LANを使用したシステムである。ネットワーク6に接続されたルータ3には、ルータ3以下に接続される複数のデバイス(接続部2a,2b、機器1−3,端末7など)に固有のIPアドレスを自動的に割り当てる機能(DHCP機能)がある。ここで、ルータ3は各デバイスにIPアドレスを割り当てたため、各デバイスのIPアドレスを知っているが、端末7は機器1−1,1−2を操作したくても接続部1のIPアドレスが分からないためルータ3経由で接続部2a,2bにアクセスすることができない。
このような問題を解消するために図12に示されるシステム(上記特許文献1に記される従来技術)は以下のように構成されている。LAN8とインターネット(ネットワーク6)の間にDHCP機能を有するルータ3が接続され、ルータ3には複数の機器1−1,1−2と制御リモコン70が接続されている。制御リモコン70はルータ3経由で機器1−1,1−2の状態をモニタしたり操作設定をすることができる。このシステムに新たな機器1−3が接続された場合、機器1−3は、ネットワーク6への接続に必要な自身の機器情報をLAN8に接続された全てのデバイス(機器1−1,1−2、ルータ3)に対して送信する。そして、この機器情報はルータ3経由で制御リモコン70にも送信され、制御リモコン70内に登録される。そのため、例えば機器情報に機器1−3のIPアドレスを含めておけば、制御リモコン70は機器1−3のIPアドレスを知ることができるので機器1−3を操作することが可能となる。
しかしながら図12に示される従来の通信システムではDHCP機能が用いられているため、不定期に割り当てられたIPアドレスが変化することがあり、制御リモコン70から機器1−3にネットワーク6経由でアクセスできなくなることがあった。また、新たにLAN8に接続される機器1−3の機器情報はLAN8に接続された全てのデバイスに対して送信されるためセキュリティ面で不安があるという課題もあった。
一方、図12の通信システムとは異なる方法でIPを知る方法がある。図13は、OSI参照モデルを示す図であり、図14は、ARPを用いたMACアドレス取得の流れを説明するための図である。
図13のOSI(Open Systems Interconnection)参照モデルでは、2層目のデータリンク層に機器個別に割り当てられた固定アドレスであるMACアドレスがあり、3層目のネットワーク層にIPアドレスがあり、4層目のトランスポート層にネットワーク層のIPとセッション層以上のプロトコル(例えば7層目のアプリケーション層のプロトコル)との橋渡しをするUDP(User Datagram Protocol)がある。例えば、端末7のアプリケーションからこのUDPを使用して同一宅内のローカルネットワークに接続されるデバイスに対してIPアドレスを返すよう指令するとIPアドレスを応答として取得することができるが、取得したIPアドレスがどのデバイスのIPアドレスなのか分からない。機器1を特定するため2層目のMACアドレスを取得できればよいが、アプリケーション層からUDPを介してMACアドレスを確認することもできない。
そこで、IPアドレスからMACアドレスを照会する技術として図14のARP(Address Resolution Protocol)がある。ARPは、MACアドレスを宛先のIPアドレスから求めるためのプロトコルであり、宛先のMACアドレスが分からない場合に送信元がIPアドレスのMACアドレスをブロードキャストで問合わせ、この問合わせに対して、指定されたIPアドレスを持っていないデバイスは応答せず、該当するIPアドレスをもったデバイスがMACアドレスを返信するものである。ARPを使用することで不特定のIPアドレスに対してデバイス固有のMACアドレスの情報を取得できるので、取得したMACアドレスとデバイス本体に表記されたMACアドレスとを照合することで、そのデバイスのIPアドレスを知ることができる。
しかしながらARPを用いた方法ではローカルネットワークに接続されたすべてのデバイスに対してIPアドレスの応答を要求することから、応答があった多くのIPアドレスに対するMACアドレスをどのデバイスなのか照会しなければならなく、照合の手間がかかり、また、どの操作端末からも要求および応答することができるのでセキュアでないという課題もある。
本実施の形態に係る機器制御システムは、ネットワーク6に接続されたサーバ5を備え、宅内の機器(接続部2および機器1の少なくとも一方)をネットワーク6経由で端末7から制御する機器制御システムであって、端末7は、宅内のLAN環境にあるときサーバ5を経由せずに機器(例えば接続部2)との通信を行う第一の通信モード(宅内モード)で動作し、宅内のLAN環境にないときサーバ5経由で前記機器との通信を行う第二の通信モード(宅外モード)で動作し、第一の通信モードに設定された端末7は、この端末7と同一宅内のネットワーク(ローカルネットワーク)に接続された機器(接続部2および機器1の少なくとも一方)に対して、この機器のIPアドレスを含む情報の応答要求を行うように構成されている。この構成により、ルータ3のDHCP機能で割り当てられたIPアドレスが変化している場合でも、端末7では特定のデバイスのIPアドレスだけを取得することができる。また、図12に示される従来の通信システムのように新たな機器1−3がLAN8に接続された場合でも全てのデバイスにIPアドレスが送信されるということがなく、セキュア面での問題も解消することができる。また図14に示したARPを用いた方法のように、応答があった多くのIPアドレスに対するMACアドレスをどのデバイスなのか照会するという手間が不要である。
なお、端末7に登録済みのデバイスに関しては、端末7の画面上に登録済みであることが分かるように表示させるように構成してもよい。例えばHTTP問合せに対する応答としてMACアドレスなどの機器情報を受信した端末7は、端末7に新たに入力された機器情報を端末7に登録済みの機器情報に照合する。照合の結果、登録済みデバイスが有る場合、端末7は、登録済みデバイスの情報を、例えば「機器1−1は登録済み」のように端末7の画面上に表示する。未登録のデバイスがある場合、端末7は、例えば未登録の機器1の場所や名称など機器情報を画面上に表示して、さらにその機器1の名称と対応付けるようにMACアドレスやIDの入力欄を表示する。
実施の形態2.
図15は、本発明の実施の形態2に係る機器制御システムにおいてルータ3に接続されるデバイスの情報を端末7に登録する際のシーケンス図である。実施の形態2は実施の形態1とは異なる方法でIPアドレスを取得するように構成されている。
図15に示される機器1、接続部2、端末7、およびサーバ5は実施の形態2に係る機器制御システムを構成するものである。
(1)接続部2は、サーバ5に対して機器情報(例えばMACアドレスやID番号)を送信するだけでなくIPアドレスも送信する。サーバ5は受信したMACアドレスに対応したデータ領域にそれらの情報を記録する。
(2)接続部2がサーバ5にIPアドレス等を送信して接続部2が立ち上がった後、宅内モードの端末7のユーザが接続部2や機器1の本体に表示されたMACアドレス、IDなどを端末7に入力することによって機器登録が行われ、登録されたMACアドレス等の情報はサーバ5へ送信される。
(3)端末7からのMACアドレスやIDを受信したサーバ5は、このMACアドレス等を、サーバ5に予め登録された各デバイスのMACアドレス等に照合することによって、端末7に登録された各デバイスとサーバ5に登録された各デバイスとが一致するか否かを判断し、その照合結果とMACアドレスに対応するIPアドレスとを端末7に送信する。
(4)端末7は、サーバ5からの照合結果およびIPアドレスに基づいてデバイス(機器1、接続部2)を操作する通信を行う。このことにより端末7に登録されたデバイスを端末7からモニタおよび操作することができる。
以上に説明したように本実施の形態に係る機器制御システムは、ネットワーク6に接続されたサーバ5を備え、宅内の機器(接続部2および機器1の少なくとも一方)をネットワーク6経由で端末7から制御する機器制御システムであって、端末7は、宅内のLAN環境にあるときサーバ5を経由せずに機器(例えば接続部2)との通信を行う第一の通信モード(宅内モード)で動作し、宅内のLAN環境にないときサーバ5経由で機器(例えば接続部2)との通信を行う第二の通信モード(宅外モード)で動作し、機器(接続部2および機器1の少なくとも一方)は、IPアドレスを含む情報をサーバ5に送信し、サーバ5は、第一の通信モードに設定された端末7に登録されたIPアドレス以外の機器情報を予めサーバ5に記録された機器情報に照合し、照合結果とIPアドレスとを、端末7に送信するように構成されている。この構成により機器1、接続部2に表示されているMACアドレスおよびIDがユーザによって端末7に登録された場合でも実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
なお、本実施の形態に示した機器制御システムは、本発明の内容の一例を示すものであり、更なる別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、一部を省略する等、変更して構成することも可能であることは無論である。