JP6681766B2 - 斜面安定化工法の地上部分保護構造 - Google Patents
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特許文献1は、斜面崩壊防止等に使用されるグラウンドアンカー頭部の保護キャップ等の、斜面に設置された突起物に作用する斜面雪圧による雪荷重を正確に算定できるようにする、雪荷重の算定方法の技術である。
斜面安定化工法のアンカー頭部に雪荷重が働いた際に、破損することがないようにアンカーそのものの断面剛性を向上させることを考えた場合、例えば、アンカーを大径化するあるいは打設ピッチを狭めて雪荷重の負担を小さくするなどが考えられる。
しかし、アンカーを大径化する場合、受ける雪荷重も相対的に大きくなるため効率が悪くなる。
また、アンカーを大径化する場合、打設ピッチを狭めて雪荷重の負担を小さくする場合のいずれも、斜面の安定に本来必要とする設計強度を大幅に超える構造となるため不経済である。
また、アンカーの打設ピッチを狭めて雪荷重の負担を小さくする場合、アンカーや部材数量が増加するので施工が大変になる。
また、アンカーを大型化する場合、アンカーの重量が増大するため、自然斜面に対して人力で施工するような斜面安定化工法の場合、人力での施工が困難となり、大掛かりなアンカー設置機械が必要となる。
上記のような、アンカーを大型化するような断面剛性の向上を、アンカーの頭部付近だけ行うことも考えられるが、アンカーの通常部分との接合が複雑になりコストが掛かるうえ、断面剛性を向上させたアンカー頭部とアンカーの通常部分との連結部に応力が集中して破損するおそれがある。
しかし、特許文献2は、斜面安定化工法の技術分野ではなく、山間部などの広大な斜面の大量の積雪量とは条件が大きく異なっており、屋根のような上側の傾斜部分がある程度の高さまでしかない場所への適用を目的とした技術である。そのため、積雪量が多い山間部などの広大な斜面の場合、雪割り4の左右に雪が大量に存在するため、左右へ振り分けた雪の行き場がなく、雪割り4を雪が乗り越えて保護したい部分に到達してしまい、保護したい部分を雪荷重から保護できない。
前記支圧板に、平面視でアンカー頭部を覆うとともに、上端縁に逆V形の角部を有してキャップ状をなす雪割り部を設けたことを特徴とする。
なお、雪荷重は支圧板を介してアンカー頭部に伝達するが、支圧板は地表面に密着しており地表面との摩擦力も雪荷重に抵抗するので、支圧板を介してアンカー頭部に伝達する雪荷重は低減される。したがって、施工の地上部分及びアンカーの地上部近傍がグライドの雪荷重で破損するおそれはない。
実施例の斜面安定化工法は、斜面に多数のアンカー1を間隔をあけて設置し、前記アンカー1の頭部に支圧板2を取り付け、これをアンカーの頂部に取り付けたナット(締着部材)3で締着して斜面の安定を図る斜面安定化工法であり、図示例ではさらに、各アンカー1を周囲のアンカー1とワイヤロープ(線条体)4で連結している。
この雪割り部10は、上部で接合して断面が斜面下方側から見て山形をなす左右両側に傾斜した平滑な面材10a、10aを有し、その2つの面材10a、10aが斜面上方に尖った三角錐の2面を形成するキャップ状をなしている。したがって、雪割り部10の上端縁が図4に示すように断面逆V形で、図3に示すように斜面上方(図で右側)に傾斜した角部10bとなっている。そして、アンカー頭部と接触しない内部空間を形成し、斜面下方側が開放されている。
また、雪割り部10の前記面材10aには、ワイヤロープ4を通すワイヤロープ通過孔(線条体通過孔)10cをあけている。なお、ワイヤロープ4でアンカー1間を連結する場合、直接にはワイヤロープ4を円筒体6の外周を引き回して行うので、ワイヤロープ4を通す位置が各アンカー1についてすべて同じになるとは限らず、通す位置として考え得る位置にあけている。
グライド現象で斜面下方に移動する積雪11は、雪割り部10の角部10bで割られ雪割り部10を容易に乗り越え、アンカー頭部を超えて斜面下方側に到達する。特に、左右両側が傾斜した平滑な面材10a、10aなので、積雪は容易に乗り越える。したがって、アンカー頭部に直接雪荷重が加わることはない。また、アンカーの地上部近傍がグライドによる直接の雪荷重で破損するおそれはない。
また、雪割り部10がアンカー頭部と接触しない内部空間を有するので、雪割り部10に加わった雪荷重が直接アンカー頭部に伝達することはない。なお、雪荷重は支圧板2を介してアンカー頭部に伝達するが、支圧板2は地表面に密着しており地表面との摩擦力も雪荷重に抵抗するので、支圧板2を介してアンカー頭部に伝達する雪荷重は低減される。したがって、施工の地上部分及びアンカー1の地上部近傍がグライドの雪荷重で破損するおそれはない。
また、雪割り部10の斜面下方側が開放されているので、作業者がアンカー頭部の保護キャップ8を外してナット3を操作することができる。したがって、設置後にナット3の増し締めができる。また、ナット3を取り外して容易にメンテナンス(点検)を行うことができる。
雪割り部10を設けていても、ワイヤロープ通過孔10cを設けているので、ワイヤロープ4をワイヤロープ通過孔10cを通過させて容易に他のアンカー頭部と連結することができ、雪割り部10の存在は障害にはならない。
例えば、雪割り部10の両面材10a、10aの下端縁に、それぞれ三角形の底板5の両辺の下面に回り込むような折り返し部を形成する構成、あるいは、概ね三角形の底板5の頂点側切欠き部10dの下面に回り込むような折り返し部を形成する構成、その他の手段を採用することができる。
2 支圧板
3 ナット(締着部材)
4 ワイヤロープ(線条体)
5 (支圧板の)底板
5a 中心孔
6 円筒体
7 補強リブ
8 保護キャップ
10 雪割り部(地上部分保護構造)
10a 面材
10b 角部
10c ワイヤロープ通過孔(線条体通過孔)
11 積雪
Claims (7)
- 自然斜面に多数のアンカーが間隔をあけて設置され、前記アンカーの頭部に支圧板が取り付けられて、締着部材がアンカーの頂部に締着された斜面の安定を図る斜面安定化工法の地上部分保護構造であって、
前記支圧板に、平面視でアンカー頭部を覆うとともに、上端縁に逆V形の角部を有してキャップ状をなす雪割り部を設けたことを特徴とする斜面安定化工法の地上部分保護構造。 - 前記雪割り部は、前記アンカー頭部との間に空間を有してアンカー頭部と接触しないことを特徴とする請求項1記載の斜面安定化工法の地上部分保護構造。
- 前記雪割り部は、斜面下方側が開放されていることを特徴とする請求項1又は2記載の斜面安定化工法の地上部分保護構造。
- 前記雪割り部は、アンカー同士を連結する線条体を通過させる線条体通過孔を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の斜面安定化工法の地上部分保護構造。
- 前記雪割り部は、前記角部の左右両側に傾斜した平滑な面材を有することを特徴とする請求項1〜4の記載のいずれか1項に記載の斜面安定化工法の地上部分保護構造。
- 前記雪割り部の下端縁を支圧板の底板に溶接固定したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の斜面安定化工法の地上部分保護構造。
- 前記支圧板の底板の形状を概ね三角形とし、概ね三角形の頂点側が斜面上方に向くように支圧板が斜面に設置されて、前記雪割り部が底板に固定されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の斜面安定化工法の地上部分保護構造。
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