JP6680006B2 - マンガン酸化物およびその製法並びにこれを用いるリチウム二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、マンガン酸化物およびその製法並びにこれを用いるリチウム二次電池に関する。
リチウム二次電池は他の蓄電池に比べてエネルギー密度が高いことから、携帯端末用の蓄電池として幅広く使用されてきた。最近では、定置用や車載用といった大型で大容量が必要とされる用途への適用も進められている。
大容量が必要とされる用途では高エネルギー密度化の要望が強く、コストダウンに対する要求が特に厳しい。
高エネルギー密度化を目指して現在開発中のリチウム二次電池の正極材料には、コバルト(Co)やニッケル(Ni)などの金属元素を多く含む酸化物材料が主に検討されている。これら希少元素を多く含む正極材料のコストダウンは極めて難しく、現時点では高エネルギー密度と低コストを両立する実用材料はない。
マンガン(Mn)は、CoやNiなどの希少金属元素に比べて埋蔵量が多く、安価な元素である。また、CoやNiに比べて安全性が高く環境への負荷も小さい。
高エネルギー密度のマンガン系正極材料を実用化できればコストとの両立が可能になり、大型で大容量のリチウム二次電池市場の拡大が後押される。特に、希少金属元素を全く使用しないマンガン系正極材料を開発することができれば、車載用を中心にリチウム二次電池市場が飛躍的に拡大するものと思われる。
希少元素を含まないマンガン系正極材料は以前から検討が進められ、リチウム(Li)の可逆的な挿入脱離が容易で安定なスピネル型構造のLiMnが実用化されている。スピネル型構造のLiMnは安全性が高く環境への影響が小さいことから、電動工具、電動自転車、電気自動車等を中心に使用が広がっている。
スピネル型構造のLiMnは、立方晶の空間群Fd3−mの8aサイトをLi、16dサイトをMnが占めており、(Li)8a[Mn]16d(O32eと標記できる。
8aサイトと16dサイトの格子間に空の16cサイトが位置しており、Liの挿入脱離に対する高い可逆性を示す理由のひとつとされている。
空の16cサイトにLiを満たすことも可能で、原理的にはLiMn組成、すなわち、(Li)8a[Li]16c[Mn]16d(O32eまでLiを挿入することが可能である。この場合、電気化学容量はCoやNiを含む層状岩塩型構造の酸化物、例えば、LiCoO、Li(Ni1−X・Al)O、Li(Ni1/3Co1/3Mn1/3)Oと同程度の285mAh/gになる。
しかし、16cサイトへのLi挿入は結晶構造の立方晶から正方晶への変化や電子伝導性の低下を招き、充放電サイクルを重ねる度に微結晶化とそれに伴う不活性化が進み充放電容量が低下する。このため可逆的な16cサイトへのLi挿入は難しい。加えて、既存リチウムイオン電池は、そのほとんどの場合、正極材料に含まれるLiのみが充放電反応を担うために空の16cサイトに予めLiを挿入しておくことが望ましいが、スピネル型構造のLiMn組成物は水と容易に反応してLiMn組成に戻り易く、取り扱いが極めて煩雑である。従って、スピネル型構造のLiMnの実用的な電気化学容量は100mAh/g程度に留まり、小さい電気化学容量がゆえに一部の用途への適用に留まっている。
ここに、LiMnとLi/Mn比が同じLi8/9Mn16/9(LiMn)も、リチウム二次電池用正極材料として検討されている。
従来、Li8/9Mn16/9(LiMn)は、非特許文献1に記載されているように、Liを挿入する還元反応、すなわち放電反応からの使用に制限されていた。
これは、Li8/9Mn16/9(LiMn)のMn原子価は全て+4価で、LiMnの+3.5価(+3価と+4価が1:1の割合で共存する状態)と異なり、+3価を含んでいない。これまで、リチウムイオン電池で安定に存在し得るMnの原子価は+4価が最高と考えられていたため、LiMnのようにMnの+3価を含む材料では充電反応、即ち酸化反応が行えるが、Li8/9Mn16/9(LiMn)はMnの+4価を含む材料のため、放電反応、すなわち還元反応からの使用のみに限られている。放電で得られる容量は150mAh/g程度に留まり、この容量以下で充放電を繰り返すことが可能と考えられていた(特許文献1)。
特開平7−85878号公報
M.M.Thackeray,A de Kock,M.H.Rossouw,D.Liles and,R.Bittihn,J.Electrochem.Soc.,vol.139,363−366(1992).
本発明の目的は、高エネルギー密度と低コストを両立できる従来にはない新しいマンガン系リチウム二次電池用正極材料であるマンガン酸化物を提供するものであり、さらには、これを正極に用いた高エネルギー密度のリチウム二次電池を提供するものである。
本発明者は、高エネルギー密度のマンガン系リチウム二次電池用正極材料であるマンガン酸化物について鋭意検討を重ねた。その結果、一般式Li8/9Mn(16/9)−Z(ここで、0≦Z≦8/9を満たし、MはLi、Mn、O以外の元素から選ばれるひとつ以上の元素である。)で表されるリチウム含有マンガン組成物を電気化学的に酸化することで得られるマンガン酸化物が、従来のマンガン系正極材料に比べて極めて高い容量で充放電することが可能になり、これをリチウム二次電池の正極に使用することで高エネルギー密度のリチウム二次電池が構成できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、一般式Li(8/9)−XMn(16/9)−Z4−(X/2)(ここで、0<X≦8/9、0≦Z≦1/3を満たし、MはLi、Mn、O以外の元素から選ばれるひとつ以上の元素である。)で表されるマンガン酸化物、一般式Li8/9Mn(16/9)−Z(ここで、0≦Z≦8/9を満たし、MはLi、Mn、O以外の元素から選ばれるひとつ以上の元素である。)で表されるリチウム含有マンガン組成物を電気化学的に酸化するマンガン酸化物の製法、およびマンガン酸化物を含有する正極を備えるリチウム二次電池である。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明のマンガン酸化物は、一般式Li(8/9)−XMn(16/9)−Z4−(X/2)(ここで、0<X≦8/9、0≦Z≦8/9を満たし、MはLi、Mn、O以外の元素から選ばれるひとつ以上の元素である。)で表されるものである。
本発明のマンガン酸化物である一般式Li(8/9)−XMn(16/9)−Z4−(X/2)のXの値は、電気化学的酸化によるLiとOの脱離に対応することから、電気化学的酸化の際の電気量からクーロンの法則を用いて算出することができる。
本発明のマンガン酸化物である一般式Li(8/9)−XMn(16/9)−Z4−(X/2)のZの値は、本発明のリチウム含有マンガン組成物である一般式Li8/9Mn(16/9)−Zの組成分析から求めることができる。組成分析から求める方法としては、例えば、誘電結合プラズマ発光分析、原子吸光分析等が例示される。
本発明のマンガン酸化物である一般式Li(8/9)−XMn(16/9)−Z4−(X/2)のMには、Li、Mn、O以外の元素から選ばれるひとつ以上の元素を用いることができる。Li、Mn、O以外の元素から選ばれるひとつ以上の元素としては、例えば、Ia族元素のH、Na、K、Rb、Cs、Ib族元素のCu、Ag、Au、IIa族元素のBe、Mg、Ca、Sr、Ba、IIb族元素のZn、Cd、IIIa族元素のSc、Y、IIIb族元素のB、Al、Ge、In、Mn以外の遷移金属としては、Mnを除く第一遷移系列元素のTi、V、Cr、Fe、Co、Ni、第二および第三遷移系列元素のZr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au等が例示される。正極としての重量あたりの容量を維持するため、H、Na、K、Mg、Ca、Al、Zn、Ga,Ti、V、Cr、Fe、Co、Niが好ましい。
本発明のマンガン組成物のMn原子価は、一般的な遷移金属の原子価評価手法で求めることができる。例えば、XPS測定(X−ray photoelectron spectroscopy)、XAFS測定(X−ray adsorption fine structure)、PES測定(Photoelectron spectroscopy)で得られる各スペクトルから見積もる方法、JIS(日本工業規格)に記載のMnの定量分析手法(G 1311‐1)とJISに記載の二酸化マンガン分析手法(K 1467)を組み合わせた方法等が例示されるが、これらに制限されない。
本発明のマンガン酸化物は、可逆的にリチウムを挿入脱離させるため、スピネル型構造が好ましい。スピネル型構造はLiの移動経路を備えた構造を持つ。そのため、粒子内での組成や構造の不均一性が起き難いと考えられ、充放放電サイクルに伴う容量の低下が抑制されるものと考えられる。
本発明のマンガン酸化物である一般式Li(8/9)−XMn(16/9)−Z4−(X/2)(ここで、0<X≦8/9、0≦Z≦8/9を満たし、MはLi、Mn、O以外の元素から選ばれるひとつ以上の元素である。)は、一般式Li8/9Mn(16/9)−Z(ここで、0≦Z≦8/9を満たし、MはLi、Mn、O以外の元素から選ばれるひとつ以上の元素である。)で表されるリチウム含有マンガン組成物を電気化学的に酸化することで得られる。
電気化学的に酸化するのは、リチウム含有マンガン組成物からLiOを取り除くためである。電気化学的に酸化する以外の方法では、Mnの価数を+4価のままでLiとOを同時に取り除くことはできない。電気化学的にLiとOを同時に取り除くことで、本発明のマンガン酸化物はリチウム含有マンガン組成物のスピネル型構造を維持できる。
電気化学的に酸化する方法としては、例えば、電池を作製して電池内で充電する方法や酸化剤を使用する方法等が例示される。
電池を作製して電池内で充電する方法としては、本発明のリチウム含有マンガン組成物である一般式Li8/9Mn(16/9)−Z(ここで、0<Z≦8/9を満たし、MはLi、Mn、O以外の元素から選ばれるひとつ以上の元素である。)を正極材料に用いて、リチウム電池を作製して電池内で充電する方法が例示される。例えば、正極に本発明のリチウム含有マンガン組成物である一般式Li8/9Mn(16/9)−Zを使用したリチウム電池を構成して、定電流、定電圧、または定電流と定電圧を組み合わせて充電する方法が例示される。リチウム電池の構成としては、そのままリチウム二次電池として使用できる構成が好ましい。
酸化剤を使用する方法としては、例えば、溶媒のアセトニトリルに酸化剤のNOBFを溶解した溶液中で、本発明のリチウム含有マンガン組成物である一般式Li8/9Mn(16/9)−Zを撹拌する方法が例示される。酸化剤のNOBFの酸化電位はリチウム基準で5.1Vにあり、Mnの価数を+4価に保った状態でLiとOを取り除くことが可能である。
そのまま電池として使用できることから、電気化学的に酸化する方法は、電池を作製して電池内で充電する方法が好ましい。
スピネル型構造を有するリチウム含有マンガン組成物を電気化学的に酸化することで、スピネル構造を有する本発明のマンガン酸化物が得られる。
本発明のマンガン酸化物である一般式Li(8/9)−XMn(16/9)−Z4−(X/2)(ここで、0<X≦8/9、0<Z≦8/9を満たし、MはLi、Mn、O以外の元素から選ばれるひとつ以上の元素である。)の製造で使用するリチウム含有マンガン組成物の一般式Li8/9Mn(16/9)−Z(ここで、0<Z≦8/9を満たし、MはLi、Mn、O以外の元素から選ばれるひとつ以上の元素である。)は、(□1/9Li8/98a[□2/9Mn(16/9)−Z16d(O32e(ここで□は空のサイトを表す。)と標記され、LiMnの8aサイトLiの1/9と16dサイトMnの2/9が空のスピネル型構造を持つ。
本発明のマンガン酸化物である一般式Li(8/9)−XMn(16/9)−Z4−(X/2)の製造で使用するリチウム含有マンガン組成物である一般式Li8/9Mn(16/9)−Zの組成は、組成分析から求めることができる。組成分析から求める方法としては、例えば、誘電結合プラズマ発光分析、原子吸光分析等が例示される。
本発明のマンガン酸化物である一般式Li(8/9)−XMn(16/9)−Z4−(X/2)(ここで、0<X≦8/9、0<Z≦8/9を満たし、MはLi、Mn、O以外の元素から選ばれるひとつ以上の元素である。)の製造で使用するリチウム含有マンガン組成物である一般式Li8/9Mn(16/9)−Z(ここで、0<Z≦8/9を満たし、MはLi、Mn、O以外の元素から選ばれるひとつ以上の元素である。)は、(Mn原料+M原料)とLi原料のモル比[Li/(Mn+M)比]を1/2、Mn原料とM原料のモル比[M/(Mn+M)比]を0≦M/(Mn+M)比≦1/2にして、Mn原料とLi原料、又はMn原料とM原料とLi原料とを固相、液相、または両者を組み合わせて混合したものを焼成することで調製することができる。Mnの価数を+4価とするために、大気流通下や大気以上の酸素含有量の雰囲気下で、300〜800℃で焼成することが好ましい。焼成時の昇温および降温条件としては、一定速度での昇温や降温、段階的な昇温や降温が例示されるが、これらに制限されない。
リチウム含有マンガン組成物の製造で使用するMn原料に特に制限はないが、層状岩塩型構造とスピネル型構造を含有するためには、+2価のマンガンを含むマンガン原料および/又は単斜晶マンガン原料を使用することが好ましい。+2価のマンガンを含むマンガン原料としては、例えば、硫酸マンガン、炭酸マンガン、硝酸マンガン、塩化マンガン、四三酸化マンガン(Mn)、MnO、Mn(OH)、これらのマンガン原料の酸処理物等が例示されるが、これらに制限されない。単斜晶マンガン原料としては、例えば、Birnessite、Hollandite、Manganite、Romanechite、Todorokite、これらに類似の構造を持つマンガン酸化物、これらのマンガン原料の酸処理物等が例示されるが、これらに制限されない。リチウム含有マンガン組成物の製造で使用するLi原料に特に制限はないが、例えば、炭酸リチウム、水酸化リチウム、硝酸リチウム、塩化リチウム、ヨウ化リチウム、蓚酸リチウム、硫酸リチウム、酸化リチウム等が例示されるが、これらに制限されない。
リチウム含有マンガン組成物の製造で使用するM原料に制限はないが、用いるM元素の炭酸塩、硝酸塩、蓚酸塩、塩化物、酸化物等が例示されるが、これらに制限されない。
本発明のマンガン酸化物をリチウム二次電池の正極に使用することで、従来では得ることができなかった高容量のリチウム二次電池を構成することが可能になる。
正極以外のリチウム二次電池の構成としては、特に制限はないが、負極にはLiを吸蔵放出する材料、例えば、炭素系材料、酸化錫系材料、LiTi12、SiO、Liと合金を形成する材料等が例示され、Liと合金を形成する材料としては、例えば、シリコン系材料やアルミニウム系材料等が例示される。電解質には、例えば、有機溶媒にLi塩や各種添加剤を溶解した有機電解液や、Liイオン伝導性の固体電解質、これらを組み合わせたもの等が例示される。
本発明のマンガン酸化物は、従来のマンガン系正極材料に比べて極めて高い容量での充放電が可能になり、これをリチウム二次電池の正極に使用することで高エネルギー密度と低コストを両立できるリチウム二次電池の提供が可能になる。
実施例1〜実施例3と比較例4のリチウム含有マンガン組成物の粉末X線回折パターンである。 実施例4〜実施例7のリチウム含有マンガン組成物の粉末X線回折パターンである。 実施例1〜実施例2の充放電試験前後の粉末X線回折パターンである。 実施例3と比較例4の充放電プロファイルである。
次に、本発明を具体的な実施例で説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<電池の作製>
得られたリチウム含有マンガン組成物と導電性バインダー(商品名:TAB−2,宝泉株式会社製)を重量比2:1でメノウ乳鉢を使用して混合を行い、13mmφのSUSメッシュ(SUS316)に1ton/cmで一軸プレスしてペレット状にした後に、150℃で2時間、減圧乾燥して正極とした。
負極に金属リチウムを、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートの体積比1:2の溶媒にLiPFを1mol/dm溶解したものを電解液に、セパレータにポリエチレンシート(商品名:セルガード,ポリポア株式会社製)を使用して2032型コインセルを作製した。
<充放電試験>
1)実施例1〜実施例7および比較例4の試験条件
作製したコインセルを用いて、室温条件下(22〜27℃)、10mA/gの定電流でセル電圧が4.8Vと2.0Vの間で、最初に充電を行い、次に放電を行い、以後充電・放電を繰り返して、1サイクル目の充電容量(mAh/g)、1サイクル目の放電容量(mAh/g)、10サイクル目の放電容量(mAh/g)を測定し、容量維持率(1サイクル目の放電容量に対する10サイクル目の放電容量の割合(%))を求めた。
2)比較例1〜比較例3、比較例5〜比較例8の試験条件
作製したコインセルを用いて、室温条件下(22〜27℃)、10mA/gの定電流でセル電圧が2.0Vと3.3Vの間で、最初に放電を行い、次に充電を行い、以後放電・充電充放電を繰り返して、1サイクル目の放電容量(mAh/g)、1サイクル目の充電容量(mAh/g)、10サイクル目の放電容量(mAh/g)を測定し、容量維持率(1サイクル目の放電容量に対する10サイクル目の放電容量の割合(%))を求めた。
<組成分析>
調製したリチウム含有マンガン組成物のリチウムとマンガンの組成、又は調製したリチウム含有マンガン組成物のリチウムとマンガンとM(リチウム、マンガン、酸素以外の元素から選ばれるひとつ以上の元素)の組成は、誘電結合プラズマ発光分析装置(商品名:ICP−AES,株式会社パーキンエルマージャパン製)で分析した。
<結晶性の評価>
調製したリチウム含有マンガン組成物の結晶構造の同定を粉末X線回折測定装置(商品名:MXP3,マックサイエンス製)で行った。
計測条件は、以下の通りとした。
ターゲット:Cu
出力:1.2kW(30mA‐40kV)
ステップスキャン:0.04°(2θ/θ)
計測時間:3秒
<充放電試験前後の結晶性の変化>
充放電試験後のコインセルを解体して正極を取り出し、マンガン酸化物の結晶性の評価を粉末X線回折測定装置(商品名:MXP3,マックサイエンス製)で行った。
計測条件は、以下の通りとした。
ターゲット:Cu
出力:1.2kW(30mA−40kV)
ステップスキャン:0.04°(2θ/θ)
計測時間:3秒
実施例1
炭酸マンガンの0.5水和物(特級試薬)6.05gと水酸化リチウムの1水和物(特級試薬)1.06g(Li/Mn比=1/2)とを乳鉢を使用して30分間乾式混合した後、目開き150μmのメッシュを全量通るまで粉砕した。
得られた混合粉の2gを焼成皿に入れて、管状炉にて1分間に1リットルの空気通気条件下、400℃で32時間加熱処理を行い、室温まで冷却して試料を取り出した。昇温速度と降温速度はそれぞれ、50℃/hr、100℃/hrとした。降温の際、150℃以下では炉冷状態となった。
調製した試料の組成分析と結晶性の評価から、得られたリチウム含有マンガン組成物はスピネル構造を有しており、Li/Mn比は1/2で、Li8/9Mn16/9(LiMn)であった。
充放電試験の結果を表1に示す。その結果から、放電容量が高く、容量維持率も高いことが分かった。
Figure 0006680006
1サイクル目の充電容量から算出したXの値は0.70で、マンガン酸化物の組成はLi0.19Mn16/93.65であった。
充放電試験前後の結晶性の変化については、充放電試験前後のX線回折パターンの比較から、リチウム含有マンガン組成物とマンガン酸化物の結晶性が変化していないことが分かった。
実施例2
調製温度を600℃とした以外は実施例1と同様にしてリチウム含有マンガン組成物を調製した。調製した試料の組成分析と結晶性の評価から、得られたリチウム含有マンガン組成物はスピネル構造を有しており、Li/Mn比は1/2で、Li8/9Mn16/9(LiMn)であった。
充放電試験の結果を表1に示す。その結果から、放電容量が高く、容量維持率も高いことが分かった。
1サイクル目の充電容量から算出したXの値は0.81で、マンガン酸化物の組成はLi0.08Mn16/93.60であった。
充放電試験前後の結晶性の変化については、充放電試験前後のX線回折パターンの比較から、リチウム含有マンガン組成物とマンガン酸化物の結晶性が変化していないことが分かった。
実施例3
調製温度を800℃とした以外は実施例1と同様にしてリチウム含有マンガン組成物を調製した。調製した試料の組成分析と結晶性の評価から、得られたリチウム含有マンガン組成物はスピネル構造を有しており、Li/Mn比は1/2で、Li8/9Mn16/9(LiMn)であった。
充放電試験の結果を表1に示す。その結果から、放電容量が高く、容量維持率も高いことが分かった。
1サイクル目の充電容量から算出したXの値は0.88で、マンガン酸化物の組成はLi0.01Mn16/93.56であった。
充放電試験前後の結晶性の変化については、充放電試験前後のX線回折パターンの比較から、リチウム含有マンガン組成物とマンガン酸化物の結晶性が変化していないことが分かった。
比較例1
実施例1で調製した試料を用いてコインセルを作製して、室温条件下(22〜27℃)、10mA/gの定電流で電池電圧が2.0Vと3.3Vの間で充放電を繰り返す充放電試験を実施した。
充放電試験の結果を表1に示す。その結果から、実施例のマンガン酸化物よりも放電容量が小さいことが分かった。
比較例2
実施例2で調製した試料を用いてコインセルを作製して、比較例1と同様にして充放電試験を行った。
充放電試験の結果を表1に示す。その結果から、実施例のマンガン酸化物よりも放電容量が小さいことが分かった。
比較例3
実施例3で調製した試料を用いてコインセルを作製して、比較例1と同様にして充放電試験を行った。
充放電試験の結果を表1に示す。その結果から、実施例のマンガン酸化物よりも放電容量が小さいことが分かった。
比較例4
電解二酸化マンガン(東ソー日向株式会社製)の20.00gと炭酸リチウム(特級試薬)の4.58gとを乳鉢を使用して30分間乾式混合した後、目開き150μmのメッシュを全量通るまで粉砕した。
得られた混合粉の2gを焼成皿に入れて、大気開放箱型炉を用いた以外は実施例3と同条件でリチウム含有マンガン組成物を調製した。
調製した試料の組成分析と結晶性の評価から、得られたリチウム含有マンガン組成物はスピネル構造を有しており、Li/Mn比は2.81/5で、Li1.08Mn1.92(Li25/81Mn144/2512)であった。Mnの価数は+3.6であった。
充放電試験の結果を表1に示す。その結果から、同条件で調製した実施例3と比較して、1サイクル目の充放電容量は小さく、容量維持率も小さいことが分かった。
実施例4
四三酸化マンガン<化学式:Mn>(商品名:CMO(登録商標),東ソー株式会社製)を硫酸処理して得られた二酸化マンガン(Mn含有量:60.3wt%)10.0gと水酸化リチウムの1水和物(特級試薬)2.33g(Li/Mn比=1/2)を使用した以外は実施例1と同様にしてリチウム含有マンガン組成物を調製した。
調製した試料の組成分析と結晶性の評価から、得られたリチウム含有マンガン組成物はスピネル構造を有しており、Li/Mn比は1/2で、Li8/9Mn16/9(LiMn)であった。
充放電試験の結果を表1に示す。その結果から、放電容量が高く、容量維持率も高いことが分かった。
1サイクル目の充電容量から算出したXの値は0.88で、マンガン酸化物の組成はLi0.01Mn16/93.56であった。
充放電試験前後の結晶性の変化については、充放電試験前後のX線回折パターンの比較から、リチウム含有マンガン組成物とマンガン酸化物の結晶性が変化していないことが分かった。
実施例5
炭酸マンガンの0.5水和物(特級試薬)3.04gと水酸化マグネシウム(特級試薬)0.03gと水酸化リチウムの1水和物(特級試薬)0.53gを使用した以外は実施例1と同様にしてリチウム含有マンガン組成物を調製した。
調製した試料の組成分析と結晶性の評価から、得られたリチウム含有マンガン組成物はスピネル型構造を有しており、Li/(Mn+Mg)比は1/2で、Mg/(Mn+Mg)比は0.02であった。この値から、Zの値は8/225で、Li8/9Mn392/225Mg8/225のリチウム含有マンガン組成物が得られたことが分かった。
充放電試験の結果を表1に示す。その結果から、放電容量が高く、容量維持率も高いことが分かった。
1サイクル目の充電容量から算出したXの値は0.81で、マンガン酸化物の組成はLi0.08Mn392/225Mg8/2253.60であった。
充放電試験前後の結晶性の変化については、充放電試験前後のX線回折パターンの比較から、リチウム含有マンガン組成物とマンガン酸化物の結晶性が変化していないことが分かった。
実施例6
四三酸化マンガン<化学式:Mn>(商品名:CMO(登録商標),東ソー株式会社製)を硫酸処理して得られた二酸化マンガン(Mn含有量:60.3wt%)10.0gと水酸化マグネシウム(特級試薬)0.34gと水酸化リチウムの1水和物(特級試薬)2.45gを使用した以外は実施例1と同様にしてリチウム含有マンガン組成物を調製した。
調製した試料の組成分析と結晶性の評価から、得られたリチウム含有マンガン組成物は層状岩塩型構造とスピネル型構造を有しており、Li/(Mn+Mg)比は1/2で、Mg/(Mn+Mg)比は0.05であった。この値から、Zの値は4/45で、Li8/9Mn76/45Mg4/45のリチウム含有マンガン組成物が得られたことが分かった。
充放電試験の結果を表1に示す。その結果から、放電容量が高く、容量維持率も高いことが分かった。
1サイクル目の充電容量から算出したXの値は0.80で、マンガン酸化物の組成はLi0.09Mn76/45Mg4/453.60であった。
充放電試験前後の結晶性の変化については、充放電試験前後のX線回折パターンの比較から、リチウム含有マンガン組成物とマンガン酸化物の結晶性が変化していないことが分かった。
実施例7
炭酸マンガンの0.5水和物(特級試薬)5.76gと水酸化マグネシウム(特級試薬)0.15gと炭酸ナトリウム(特級試薬)0.11gと水酸化リチウムの1水和物(特級試薬)1.06gを使用して、実施例1と同様にしてリチウム含有マンガン組成物を調製した(Li/(Mn+Mg+Na)比=1/2、Mg/(Mn+Mg+Na)比=0.05、Na/(Mn+Mg+Na)=0.02)。
調製した試料の組成分析と結晶性の評価から、得られたリチウム含有マンガン組成物はスピネル型構造を有しており、Li/(Mn+Mg+Na)比は1/2で、Mg/(Mn+Mg+Na)比は0.05、Na/(Mn+Mg+Na)比は0.02であった。この値から、Zの値は28/225で、Li8/9Mn372/225Mg4/45Na8/225のリチウム含有マンガン組成物が得られたことが分かった。
充放電試験の結果を表1に示す。その結果から、放電容量が高く、容量維持率も高いことが分かった。
1サイクル目の充電容量から算出したXの値は0.79で、マンガン酸化物の組成はLi0.10Mn372/225Mg4/45Na8/2253.61であった。
充放電試験前後の結晶性の変化については、充放電試験前後のX線回折パターンの比較から、リチウム含有マンガン組成物とマンガン酸化物の結晶性が変化していないことが分かった。
比較例5
実施例4で調製した試料を用いてコインセルを作製して、比較例1と同様にして充放電試験を行った。
充放電試験の結果を表1に示す。その結果から、実施例のマンガン酸化物よりも放電容量が小さいことが分かった。
比較例6
実施例5で調製した試料を用いてコインセルを作製して、比較例1と同様にして充放電試験を行った。
充放電試験の結果を表1に示す。その結果から、実施例のマンガン酸化物よりも放電容量が小さいことが分かった。
比較例7
実施例6で調製した試料を用いてコインセルを作製して、比較例1と同様にして充放電試験を行った。
充放電試験の結果を表1に示す。その結果から、実施例のマンガン酸化物よりも放電容量が小さいことが分かった。
比較例8
実施例7で調製した試料を用いてコインセルを作製して、比較例1と同様にして充放電試験を行った。
充放電試験の結果を表1に示す。その結果から、実施例のマンガン酸化物よりも放電容量が小さいことが分かった。
本発明のマンガン酸化物は、リチウム二次電池の正極に使用することができる。

Claims (1)

  1. 一般式Li8/9Mn(16/9)−Z(ここで、0≦Z≦8/9を満たし、MはLi、Mn、O以外の元素から選ばれるひとつ以上の元素である。)で表されるリチウム含有マンガン組成物を電気化学的に酸化するもので、かつ、該リチウム含有マンガン組成物が、スピネル構造を有し、該電気化学的に酸化することが、電池内で充電するものであることを特徴とする、一般式Li (8/9)−X Mn (16/9)−Z 4−(X/2) (ここで、0<X≦8/9、0≦Z≦8/9を満たし、MはLi、Mn、O以外の元素から選ばれるひとつ以上の元素である。)で表されるもので、かつ、スピネル構造を有するマンガン酸化物の製法。
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