以下に図面を用いて、本発明の一実施の形態を詳細に説明する。以下で述べる構成、形状等は説明のための例示であって、部品実装装置、部品供給装置(トレイフィーダ)の仕様に応じ、適宜変更が可能である。以下では、全ての図面において対応する要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。図1、及び後述する一部では、水平面内で互いに直交する2軸方向として、基板搬送方向のX方向(図1における左右方向)、基板搬送方向に直交するY方向(図1における上下方向)が示される。図2、及び後述する一部では、水平面と直交する高さ方向としてZ方向が示される。Z方向は、部品実装装置が水平面上に設置された場合の上下方向または直交方向である。
まず図1を参照して、部品実装装置1の構成を説明する。図1において、基台1aの上面には、基板搬送機構2がX方向に配設されている。基板搬送機構2は、部品実装対象となる基板3を搬送して、以下に説明する部品実装機構による作業位置に位置決め保持する。基板搬送機構2の両側方には、基板3に実装される部品を供給する部品供給部4A、4Bが配設されている。
部品供給部4Aには、部品供給装置5(トレイフィーダ)が配置されている。部品供給装置5は、部品Pを格子配列に収納するトレイ6(ここでは2つ)を装着したパレット7を、以下に説明する部品実装機構に部品Pを供給する部品供給位置に移動させる。部品供給部4Bには、複数のテープフィーダ8が並列して配置されている。テープフィーダ8は、部品Pを保持したキャリアテープをピッチ送りすることにより部品実装機構に部品Pを供給する。
基台1a上面においてX方向の一方側の端部には、リニア駆動機構を備えたY軸ビーム9が配設されている。Y軸ビーム9には、同様にリニア駆動機構を備えた2基のX軸ビーム10が、Y方向に移動自在に結合されている。2基のX軸ビーム10には、それぞれ実装ヘッド11がX方向に移動自在に装着されている。実装ヘッド11は複数の保持ヘッドを備えた多連型ヘッドであり、それぞれの保持ヘッドの下端部には部品Pを吸着する吸着ノズルが装着されている。
Y軸ビーム9、X軸ビーム10を駆動することにより、実装ヘッド11は部品供給部4A、4Bと基板搬送機構2に保持された基板3との間で水平移動(X方向、Y方向)し、部品供給部4A、4Bが供給する部品Pを吸着ノズルによって取り出して基板3に実装する。したがって、Y軸ビーム9、X軸ビーム10、実装ヘッド11は、吸着ノズルによって部品Pを基板3に実装する部品実装機構を構成する。
部品供給部4A、4Bと基板搬送機構2との間には、部品認識カメラ12が配設されている。部品供給部4A、4Bから部品Pを取り出した実装ヘッド11が部品認識カメラ12の上方を移動する際に、部品認識カメラ12は実装ヘッド11に保持された部品Pを撮像する。これにより、実装ヘッド11に保持された部品Pの識別や位置認識が行われる。実装ヘッド11にはX軸ビーム10の下面側に位置して、それぞれ実装ヘッド11と一体的に移動する基板認識カメラ13が装着されている。実装ヘッド11が移動することにより、基板認識カメラ13は基板搬送機構2に位置決め保持された基板3の上方に移動して基板3を撮像する。これにより、基板3の位置認識が行われる。
次に図2,3を参照して、部品供給装置5の構成を説明する。部品供給装置5は車輪21によって作業床上で移動自在な台車部20を備えている。台車部20の上面には、ラック部22、パレット移動部23が備えられている。ラック部22には、部品Pを収納するトレイ6を装着するパレット7を段積みして収納するマガジン40を収納する複数(ここでは2つ)のマガジン保持部24が上下方向に配設されている。
ラック部22の作業者による操作側には、各マガジン保持部24のマガジン出入口24aに対応して、上下方向に開放自在(図3の矢印a)のラック扉24bが設けられている。ラック扉24bを開けてマガジン出入口24aを開放した状態(図3における上段側)で、そのラック扉24bに対応するマガジン出入口24aよりマガジン40が水平方向に挿抜される。ラック扉24bを閉じると、そのラック扉24bに対応するマガジン出入口24aは閉止される(図3における下段側の状態)。このように、ラック部22は、上下方向に配設された複数のマガジン保持部24を有し、各マガジン保持部24に対応して設けられたマガジン出入口24aより水平方向に挿入されたマガジン40をマガジン保持部24に保持する。
図3において、パレット移動部23はラック部22の後方(作業者による操作側とは反対側)に設けられ、パレット載置台25、昇降機構26および取出し機構27を備えている。昇降機構26は、上下方向に延びたボールねじ26aおよびボールねじ26aを回転駆動させるモータ26bを有している。昇降機構26は、モータ26bを駆動させてパレット載置台25を昇降させる(矢印b)。取出し機構27は、係合具27aおよび係合具27aをパレット載置台25の上面で前後方向(Y方向)に移動させる移動機構27bを備えている。
マガジン40とパレット載置台25との間でのパレット7の出し入れは、次のように行われる。まず昇降機構26は、取り出そうとするパレット7が収納されている所定のマガジン40の後方(詳細には、そのマガジン40を保持しているマガジン保持部24に対応して設けられたパレット取出し口24cの後方)の移送高さにパレット載置台25を位置させる。
次いで移動機構27bは、係合具27aをパレット取出し口24c(マガジン40の方向)に移動させてパレット7の後方に設けられた係合部7a(図2参照)に係合させる。移動機構27bは、この状態で係合具27aを後方に移動させることでパレット7をパレット載置台25まで引き出す。また移動機構27bは、係合具27aが係合部7aに係合した状態で係合具27aをパレット取出し口24c(マガジン40の方向)に移動させることで、パレット7をマガジン40内に収納する。
部品供給位置にパレット7を移動させる際は、マガジン40からパレット7を引き出してパレット載置台25に保持した状態で、モータ26bを駆動させてパレット載置台25を部品供給位置まで上昇させる。これにより部品供給位置に部品Pが供給され、部品実装機構による基板3への部品Pの実装が可能となる。このように、パレット移動部23は、各マガジン保持部24に対応して設けられたパレット取出し口24cを通じてラック部22に保持された複数のマガジン40からパレット7を取り出して部品供給位置に移動させる。すなわち、部品供給装置5は、部品Pを格納するトレイ6を装着したパレット7を段積みして収納するマガジン40から取り出して部品供給位置に移動させる。
次に図4,5を参照して、部品供給装置5のマガジン保持部24の構成を説明する。上下方向に配設された2つのマガジン保持部24の構造は同じである。マガジン保持部24において、保持されるマガジン40とラック部22の左右の側面カバー22aとの間には、それぞれチェーン30(ローラーチェーン)と4つのスプロケット31を収納するチェーン収納部28が設けられている。図4では、便宜上、チェーン30の一対の外プレート30aと一対の内プレート30bの間に挿入されるピン30c(図8参照)の位置のみを円で表示している。
図4において、4つのスプロケット31は、YZ平面内の長方形の頂点の位置に回転軸31aをX方向に向けて配設されている。チェーン30は、4つのスプロケット31とかみ合ってYZ平面内を周回するように取り付けられている。すなわち、各マガジン保持部24は、マガジン40の挿入方向(Y方向)に並行で互いに対向する一対のチェーン30を有している。
図4,5において、一対のチェーン30の対向する一部のピン30c間(図4に黒円で表示している部分)には、ロッド32が懸架して設けられている(ここでは20本)。この複数のロッド32によって、マガジン保持部24にマガジン40がない状態では(上側のマガジン保持部24の状態)、パレット取出し口24cが閉鎖(遮断)されている。これにより、作業者がラック扉24bを開けて解放されたマガジン出入口24aからパレット取出し口24cを通じて稼働中のパレット移動部23にアクセスすることが防止される。すなわち、複数のロッド32は、一対のチェーン30間に懸架して設けられたシャッタS(遮断手段)となり、マガジン40が抜去された状態でパレット取出し口24cを遮断している。
ここで図6〜8を参照して、作業者による操作側から見て右側のチェーン30の下辺のマガジン出入口24a付近(図4に2点鎖線の長方形で示すC領域)について詳細に説明する。図6は側面カバー22a側から見たC領域を図示している。便宜上、図6は側面カバー22a、後述するチェーン収納部28の内壁28a、上側ガイド部材28b、下側ガイド部材28cの表示を省略しており、図6(b)はさらにチェーン30とスプロケット31を簡略化して表示している。図7はマガジン保持部24の内部側から見たC領域を図示している。便宜上、図7(b)はチェーン収納部28の内壁28a、上側ガイド部材28b、下側ガイド部材28c、後述する保護部材38の表示を省略している。図8は、作業者による操作側から見た図7(a)に示すDD断面を示している。
図6〜8はマガジン保持部24にマガジン40がない状態を示しており、チェーン30に接続されてチェーン30の走行と連動してY方向に移動自在な連結部材33がマガジン出入口24a付近の連結位置Pcに移動している。連結部材33はYZ平面に広がる板状で、連結部材33のYZ面にはX方向に貫通してZ方向に長く開口する開口部33aが形成されている。開口部33aには、チェーン30に一端が接続されてX方向に延伸する連結ピン34の他端が貫通している。連結ピン34はチェーン30と一体となってY方向に移動し、その際、連結ピン34は開口部33a内をZ方向に移動する。
連結部材33のマガジン出入口24a側の上部には、U字型の連結溝33bが形成されている。連結溝33bには、マガジン40の側面41の下部の後側(マガジン出入口24aに挿入される側)に配設された板状の結合部材42に一端が接続されてX方向に延伸する結合ピン43(図13、14参照)の他端が上方から連結する。結合部材42は、スペーサ42aを介してマガジン40の側面41に接続されている。すなわち、マガジン40の側面41と結合部材42との間には、スペーサ42aの厚さ分の隙間が形成されている。
図8において、チェーン収納部28の内壁28aの下部側方には、Y方向に延伸する上側ガイド部材28b及び下側ガイド部材28cが設けられている。内壁28a、上側ガイド部材28b及び下側ガイド部材28cは、連結部材33を上下左右から挟みこみ、連結部材33のX方向およびZ方向の移動を規制してY方向に延伸するガイド路28dを形成する(図12も参照)。連結部材33は、マガジン出入口24a付近の連結位置Pcとパレット取出し口24c付近の保持位置Phの間を、ガイド路28dに沿ってチェーン30と一体となって自在に移動する。
図6,7において、連結位置Pc付近のチェーン30の下方には、一端がX方向に沿う回転軸35aに接続されて回転軸35aを中心に揺動するYZ面内に広がる略長方形の板状のロック部材35が配設されている。ロック部材35は、図示省略するバネなどの弾性体によって、回転軸35aとは反対側の他端が上方に付勢されている。
チェーン30において、接続された連結ピン34付近であって連結ピン34よりパレット取出し口24cに近い側には、その一端がチェーン30に接続されたX方向に延伸するロックピン36が配設されている。ロック部材35の回転軸35aとは反対側の他端付近の上辺には、ロックピン36に係合する凹部35bが形成されている。連結部材33が連結位置Pcにある状態のロックピン36に、上方に付勢されたロック部材35の凹部35bが係合する。これによって、一対のチェーン30の走行が阻止(ロック)される。
ロック部材35の回転軸35aと凹部35bの間には、その一端がロック部材35に接続されたX方向に延伸する当接ピン37が配設されている。図8において、当接ピン37は、下側ガイド部材28cに形成された切欠き28e(図7(a)も参照)を通じて保護部材38付近まで延伸している。すなわち、当接ピン37の他端は、保護部材38と下側ガイド部材28cの間まで延伸している。当接ピン37は、ロック部材35と一体となって切欠き28e内を揺動する。
ここで図9〜11を参照して、マガジン40がマガジン保持部24に挿入される際に、凹部35bとロックピン36の係合が外れて一対のチェーン30の走行が許容(ロック解除)されるまでの動作について説明する。図9,10は、便宜上、マガジン40の記載は簡略化して結合部材42及び結合ピン43のみ表示する。図11は、図9(b)の状態を作業者による操作側から見た図7(a)におけるDD断面を示している。
図11において、結合部材42は、保護部材38と上側ガイド部材28b及び下側ガイド部材28cの間に侵入し、マガジン40と一体となってY方向に移動する。結合部材42は、連結位置Pcにおいて保護部材38と下側ガイド部材28cの間まで延伸する当接ピン37に上方から当接する。図9において、結合部材42の下面で当接ピン37に当接して押し下げる面は、水平な面(以下、「押下面42b」と称する。)と、マガジン出入口24aに向かって斜めに切れ上がる斜面(以下、「押下斜面42c」と称する。)を含んで構成される。
マガジン40をマガジン保持部24に挿入して保持される位置まで移動させる工程では、まず、マガジン40の後側(マガジン出入口24aに挿入される側)をやや持ち上げた状態で、連結位置Pcに位置する連結部材33に結合ピン43が当接するまで挿入する(図9(a)の矢印e)。次いでマガジン40の後側を下げて(矢印f)、マガジン40の下面がマガジン保持部24の床面24dに着地するよう載置する(図9(b))。
図9(a)から図9(b)の状態に至る過程で、結合ピン43(結合部)は連結溝33bに侵入して連結部材33と連結される。また、押下面42bは当接ピン37に当接して押しさげ、ロック部材35が下方に揺動する(矢印g)。これにより、ロック部材35の凹部35bがロックピン36から外れて一対のチェーン30の走行が許容(ロック解除)される(図11も参照)。
ロック解除されると、結合部材42、結合ピン43、連結部材33、連結ピン34は一体となってY方向に移動する(図10(a)の矢印h)。図10(a)に示す状態では、押下面42bは継続して当接ピン37に当接している。マガジン40を更にY方向に移動させ(図10(b)の矢印j)、連結ピン34がロック部材35の上方を通過すると、当接ピン37は押下斜面42cに沿って上方に移動する(図10(b))。当接ピン37の上方への移動に伴い、ロック部材35が上方に揺動して(矢印k)、図示省略する上限抑制手段によって上限位置で停止する。
マガジン40をマガジン保持部24から引き抜く際は、押下斜面42cに沿って当接ピン37が押し下げられてロック部材35が下方に揺動した後に、連結ピン34がロック部材35の上方を通過する。そのため、ロック部材35は、Y方向に往復移動する連結ピン34と干渉することがない。
このように、ロック部材35と当接ピン37は、マガジン40がマガジン保持部24に挿入されてマガジン保持部24の床面24dに載置された状態では一対のチェーン30の走行を許容し(ロック解除)、マガジン40が載置されない状態では一対のチェーン30の走行を阻止(ロック)する阻止手段となる。そして、阻止手段は、結合ピン43(結合部)が連結部材33(連結手段)に連結した状態で、一対のチェーン30の走行を許容(ロック解除)している。また、結合部材42の押下面42bは、結合ピン43(結合部)が連結部材33(連結手段)に連結する際に、阻止手段を一対のチェーン30の走行を許容(ロック解除)する状態とする開放手段となる。
また、一対のチェーン30は、一対のチェーン30に接続されるロックピン36をさらに有している。そして、ロック部材35(阻止手段)は、ロックピン36に係合して一対のチェーン30の走行を阻止する凹部35b(係合機構)をさらに有している。また、結合部材42の押下面42bは、当接ピン37に当接してロック部材35を押し下げて、ロックピン36に係合している凹部35b(係合機構)からロックピン36を外して一対のチェーン30の走行を許容する状態にする開放手段となる。
図11において、マガジン40をマガジン保持部24に挿入して保持位置Phまで移動させる間に結合部材42が移動する領域と、マガジン40の側面41との間のスペーサ42aによって確保された隙間には、マガジン保持部24の床面24dに立設されてY方向に延伸する板状の保護部材38が配設されている。すなわち、マガジン保持部24は、ロック部材35(阻止手段)とマガジン保持部24に挿入されるマガジン40との間に保護部材38を有している。
保護部材38は、上側ガイド部材28b及び下側ガイド部材28cと共に、当接ピン37に作業者の指が触れることができないように保護している。これよって、作業者がマガジン40を挿入する以外の方法でチェーン30のロックが解除できないように安全が確保される。図7において、チェーン収納部28の作業者による操作側は、前側カバー22bによって塞がれている。さらに前側カバー22bは、挿入される結合部材42と干渉しない位置までX方向に延伸し、操作側から当接ピン37に振れることができないように保護している(図5も参照)。
次に図12を参照して、マガジン40がマガジン保持部24に挿入されて保持されるまでのチェーン30の動作について説明する。図12では、便宜上、マガジン40の記載は簡略して結合部材42のみ表示し、連結ピン34の位置を黒円で示す。また図12では、チェーン30の走行を阻止(ロック)する阻止手段の記載、およびロック解除の過程の説明は省略する。
図12(a)において、マガジン40をマガジン保持部24に挿入し、結合部材42の結合ピン43が連結位置Pcに位置する連結部材33の連結溝33bに上方から連結する(矢印m)。すなわち、結合ピン43は、マガジン40が各マガジン保持部24に挿入される際に連結部材33(連結手段)と連結する結合部となる。
図12(b)において、マガジン40をパレット取出し口24cに向かって移動させると、結合部材42、結合ピン43、連結部材33、連結ピン34は一体となってY方向に移動する(矢印n)。これにより、連結ピン34に接続されるチェーン30が図12(b)における反時計方向に走行し(矢印o)、パレット取出し口24cを遮断していた複数のロッド32(シャッタS)が順に上方に移動する。
図8(c)において、マガジン40をマガジン保持部24に保持される保持位置Phまで移動させると、全てのロッド32(シャッタS)が上方に移動してパレット取出し口24cが開放されている。これにより、マガジン40に収納されるパレット7を、パレット取出し口24cを通してパレット載置台25に引き出すことができるようになる。
このように、一対のチェーン30は、マガジン40のマガジン保持部24への出し入れに連動して走行する。そして、一対のチェーン30は、一対のチェーン30の走行と連動する連結部材33(連結手段)を有している。そして、各マガジン保持部24は、マガジン出入口24aからのマガジン40の出し入れに連動して閉開し、マガジン40が抜去された状態でパレット取出し口24cを遮断する遮断手段(シャッタS)を備えている。
なお、チェーン30にマガジン40を連結させる連結手段は、連結部材33を介する方法に限定されることなく、例えば、チェーン30に接続された連結ピン34をマガジン40に接続された結合部材42に直接係合させて連結させるようにしてもよい。
また、上記説明したチェーン30の走行を阻止(ロック)する阻止手段によって、マガジン40をマガジン保持部24の所定の位置(連結位置Pc)まで挿入し、結合ピン43を連結部材33に結合させて一対のチェーン30のロック解除を行うまで、一対のチェーン30の走行が阻止される。これにより、パレット取出し口24cを遮断する複数のロッド32(シャッタS)の移動も阻止される。すなわち、マガジン40がマガジン保持部24に挿入されない状態でシャッタS(遮断手段)がパレット取出し口24cを遮断することが担保され、作業者の安全が確保される。
次に図13〜15を参照して、マガジン40の構成について説明する。図13〜15では、マガジン40をマガジン保持部24に挿入する際にマガジン出入口24aに挿入される側を後側、その反対を前側とする。また、前側から見て右手を右側、左手を左側として、上下をそれぞれ上側、下側とする。図13において、左右の側面41の前側の上部には、マガジン40をマガジン保持部24に挿入する際に作業者が把持する把持部44が配設されている。
図14(b)において、マガジン40の内部には、上下方向に複数(ここでは6段)の棚45が設けられており、各棚45には、トレイ6を装着するパレット7が収納されている。マガジン40の上部には、パレット7の上側からの飛出しを防止する棒41aが配設されている。
マガジン40の前方には、上下方向に開放自在(図13(b)の矢印p)のマガジン扉46が設けられている。すなわちマガジン40は、各マガジン保持部24に保持された状態でマガジン出入口24aに面する側に、開閉するマガジン扉46を有している。作業者は、マガジン扉46を開放した状態(図13(b)、図14(b))で、棚45へのパレット7の出し入れを行う。そして作業者は、マガジン扉46を閉じた状態(図13(a)、図14(a)、図15)で、把持部44を把持してマガジン40をマガジン出入口24aからマガジン保持部24に挿入する。
図13(a)、図13(b)において、マガジン扉46の両端の下部には、マガジン扉46を閉じた状態で前側に突出し、マガジン扉46を開放した状態で下側に突出する張出し部46aが形成されている。左右の張出し部46aには、それぞれマガジン扉46を左右の側面41に接続するヒンジ47が配設されている。左右のヒンジ47には、ヒンジ47の回転中心と中心軸が一致してX方向の対向する向きに延伸するヒンジピン47aがそれぞれ設けられている。左右のヒンジピン47aは、マガジン扉46の開閉でその位置が変化しない。
左右の張出し部46aには、マガジン扉46を閉じた状態でヒンジピン47aの前側となる位置に、ヒンジピン47aとY方向とZ方向が同一で、X方向の対向する向きに延伸する規制ピン48がそれぞれ設けられている。左右の規制ピン48は、マガジン扉46を開放した状態でヒンジピン47aの下側に位置する。
ここで図5,16,17を参照して、張出し部46a、ヒンジピン47a、規制ピン48の機能について説明する。ラック扉24bの内壁24eには、ラック扉24bを開放した状態(図5の上方のマガジン保持部24の状態)でY方向に延伸する一対の扉レール29aが配設されている。また、マガジン保持部24の床面24dのマガジン出入口24a付近には、Y方向に延伸する一対の床レール29bが配設されている。一対の扉レール29aおよび一対の床レール29bは、ラック扉24bを開放した状態で、X方向およびZ方向の位置が一致し、内壁24eおよび床面24dからZ方向に突出する壁29cと、壁29cの上端からX方向に延出する天井29dからなるL字型をした同一Y軸上に延伸する一対のレールとなる。
図16(a)において、マガジン扉46を閉じたマガジン40を、ラック扉24bを開放したマガジン保持部24に挿入する際は(矢印q)、ヒンジピン47aおよび規制ピン48は、ラック扉24bの内壁24e、扉レール29aの壁29cと天井29dより形成される空隙内を扉レール29aに沿ってY方向に移動する。図16(b)において、さらにマガジン40をマガジン保持部24内で押し込むと(矢印p)、ヒンジピン47aおよび規制ピン48は、マガジン保持部24の床面24d、床レール29bの壁29cと天井29dより形成される空隙内を床レール29bに沿ってY方向に移動する。
張出し部46aまたは規制ピン48(開放規制手段)は、マガジン扉46が閉じている状態ではマガジン40の下面より上方にあり、マガジン扉46が開いている状態ではマガジン40の下面より下方に突出している。これによって、マガジン40がマガジン保持部24に保持される保持位置Phで、作業者がマガジン扉46を開放しようとすると、張出し部46aまたは規制ピン48がマガジン保持部24の床面24dに干渉してマガジン扉46の開放が規制(阻止)される。
すなわち、マガジン40が備える張出し部46aまたは規制ピン48は、マガジン40がマガジン保持部24に保持された状態でマガジン扉46が開放されることを規制する開放規制手段となる。これにより、マガジン保持部24に保持されるパレット7が収納されていない空のマガジン40の前側(マガジン扉46側)から、空のマガジン40、シャッタS(遮断手段)が開放されたパレット取出し口24cを通じて、稼動中のパレット移動部23に作業者がアクセスすることが防止され、作業者の安全が確保される。
図17において、マガジン扉46が開放されたマガジン40を、ラック扉24bを開けてマガジン出入口24aが開放されたマガジン保持部24に挿入しようとすると、下方に突出した張出し部46aまたは規制ピン48がラック扉24bを開放した状態で前側に位置するラック扉24bの上端42fと干渉する。これによって、マガジン40がマガジン保持部24に挿入されることが規制(抑制)される。マガジン扉46が閉じた状態では、張出し部46aはマガジン40の下方から突出することなく、マガジン40の挿入は規制されない。
すなわち、張出し部46aは、マガジン扉46が開いている状態ではマガジン40がマガジン保持部24に挿入されることを抑制し、マガジン扉46が閉じている状態ではマガジン保持部24に挿入されることを許容する挿入規制手段となる。そして、挿入規制手段は、マガジン扉46が開いている状態ではマガジン出入口24aと干渉し、マガジン扉46が閉じている状態ではマガジン出入口24aとは干渉しない。
図13において、マガジン40の左右の側面41において、後側の上方にはZ方向を揺動軸として水平面内で揺動する略L字型の揺動部材49配設されている。揺動部材49の揺動中心49aは、マガジン40の側面41の上端からX方向に対向する向きに延出している上部接続部41bに接続されている。マガジン40の左右の側面41において、後側の下方にはZ方向を揺動軸として水平面内で揺動する略I字型の支持部材50が配設されている。
支持部材50の揺動中心50aは揺動部材49の揺動中心49aと同一のZ軸上にあり、マガジン40の側面41の下端からX方向に対向する向きに延出している下部接続部41cに接続されている。左右の揺動部材49の一端および左右の支持部材50の一端は、それぞれ揺動中心49aおよび揺動中心50aより後側にあり、その間には、上下方向の伸びる棒状のストッパ部材51が接続されている。すなわち、マガジン40は、中間にある揺動中心49aがマガジン40と連結され、一端がストッパ部材51と連結され、水平面内で揺動する略L字型の揺動部材49を備えている。
図15において、左右の揺動部材49は、図示を省略するバネなどの弾性体によって対向する向きに付勢されている。そして、マガジン40がマガジン保持部24に保持されていない状態では、ストッパ部材51は揺動中心49aおよび揺動中心50aとほぼ同一Y軸上となる位置で規制されて停止している。このように、左右のストッパ部材51はマガジン40に収納されるパレット7の後側に位置し、収納されるパレット7が後方から流出することを防止する。
すなわち、ストッパ部材51、揺動部材49、支持部材50は、マガジン40に備えられ、マガジン40がマガジン保持部24に保持されていない状態で、収納するパレット7がマガジン40の後側から流れ出ることを防止する流出防止手段となる。そして、マガジン40にパレット7を収納した後にマガジン扉46を閉じることにより、マガジン40の前側からのパレット7の流出も防止でき、作業者は、マガジン40からのパレット7を流出させることなくマガジン40を搬送することができる。
図14において、左右の揺動部材49の他端には、それぞれカムフォロア52が配設されている。左のカムフォロア52はその揺動中心50aの左側に位置し、右のカムフォロア52はその揺動中心50aの右側に位置している。すなわち左右のカムフォロア52は、マガジン40の左右の側面41の外側に位置し、前側(マガジン出入口24aに挿入される方向の逆向き)に揺動する。
ここで図18,19を参照して、ストッパ部材51、揺動部材49、支持部材50(流出防止手段)の機能について説明する。図18(a)において、マガジン保持部24の左右のチェーン収納部28の内壁28aのパレット取出し口24c付近には、マガジン保持部24の収納されるマガジン40のカムフォロア52と同じ高さ位置に当接部材53(板カム)がそれぞれ配設されている(図5も参照)。左右の当接部材53には、前側(マガジン出入口24a側)から後側(パレット取出し口24c)に向けて、左右の当接部材53の間隔が狭くなる板カム面53aが形成されている。すなわち、マガジン保持部24は、その側面の内側(左右のチェーン収納部28の内壁28a)に、揺動部材49の他端(カムフォロア52)が当接する当接部材53を備えている。
図18(a)において、マガジン保持部24に挿入したマガジン40をパレット取出し口24cに向けて移動させると(矢印r)、揺動部材49のカムフォロア52(揺動部材49の他端)が当接部材53の板カム面53aに当接する。カムフォロア52が板カム面53aに当接した後、さらにマガジン40をパレット取出し口24cに向けて移動させるとカムフォロア52は板カム面53aに沿ってマガジン40の側面41側に移動し、左右の揺動部材49がそれぞれ外側に揺動する。
図18(b)において、マガジン40をマガジン保持部24に保持される保持位置Phまで移動させると、ストッパ部材51はパレット7の左右の側端7bよりも外側まで揺動して移動する(矢印t)。すなわち、マガジン40がマガジン保持部24に保持された状態で、当接する揺動部材49の他端(カムフォロア52)が当接部材53によってマガジン40側に押されることによりストッパ部材51が外側に退避する。図19(a)において、マガジン40がマガジン保持部24に保持され、ストッパ部材51がパレット7の左右の側端7bよりも外側まで移動すると、パレット7がストッパ部材51と干渉することなくパレット取出し口24cから出し入れ可能となる(矢印u)。
このように、マガジン40は、マガジン40がマガジン保持部24に保持された状態でパレット取出し口24cに面する側(後側)に設けられた上下方向に伸びるストッパ部材51を備えている。そして、ストッパ部材51は、マガジン40がマガジン保持部24に保持されていない状態では収納されるパレット7の後側に位置し、マガジン40がマガジン保持部24に保持された状態ではパレット取出し口24cから取り出されるパレット7と干渉しない位置に退避する。これによって、マガジン40をマガジン保持部24に挿入し、保持される保持位置Phまで移動させる間にパレット7がマガジン40から流出することが防止できる。
図19(b)において、揺動部材49には、ストッパ部材51より外側(ストッパ部材51より見た揺動中心49aとは反対方向)に延伸する延伸部49bが形成されている。図19(b)は、マガジン保持部24に保持されているマガジン40にパレット7を完全に収納せず一部がマガジン40より飛び出した状態で、マガジン40をマガジン保持部24から取り出そうとマガジン出入口24aの方向(前側)に移動(矢印v)させている状態を示している。
この状態で、カムフォロア52は板カム面53aから離れ、弾性体によって付勢されている揺動部材49が内側に揺動することによって、パレット7と干渉しない位置に退避していたストッパ部材51は飛び出したパレット7の側端7bに当接している。さらに、延伸部49bが矢印wの位置で当接部材53と干渉しており、延伸部49bによってマガジン40が前側に引き出されるのが阻止されている。
すなわち、揺動部材49(流出防止手段)は、ストッパ部材51が退避している状態で、マガジン40がマガジン出入口24aの方向に引き出されるのを阻止する延伸部49b(引出し阻止手段)を備えている。これによって、パレット7が飛び出してストッパ部材51がパレット7の流出を防止する位置に戻っていない状態で、マガジン40がマガジン保持部24から引き出されることが防止できる。
上記説明したように本実施の形態の部品供給装置は、上下方向に配設された部品Pを格納するトレイ6を装着したパレット7を段積みして収納するマガジン40を保持する複数のマガジン保持部24を有している。そして、各マガジン保持部24は、マガジン出入口24aからのマガジン40の出し入れに連動して閉開し、マガジン40が抜去された状態でパレット7を部品供給位置に移動させるパレット取出し口24cを遮断する遮断手段(シャッタS)を備えている。
これによって、部品供給装置のサイズを大型化させることなく、部品供給装置を稼働させながらマガジン40を交換する作業者の安全を確保することができる。