JP6673413B2 - フルオロオレフィンの製造方法 - Google Patents

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Description

本開示は、フルオロオレフィンの製造方法に関する。
近年、CF=CHで表される1,1−ジフルオロエチレン(HFO−1132a)、CFH=CFHで表される1,2−ジフルオロエチレン(HFO−1132)等は、地球温暖化係数(GWP)の低い冷媒化合物として有望視されている。
例えば、特許文献1には、1,1,1−トリフルオロエタン(HFC−143a)又は1,1,2−トリフルオロエタン(HFC−143)を、金属触媒と接触させて、脱フッ化水素反応によってHFO−1132aを製造する方法が記載されている。
特許文献2には、ジクロロフルオロメタン(HCFC−21)を、熱分解し、1,2−ジクロロ−1,2−ジフルオロエチレン(CFC−1112)を得る工程と、得られたCFC−1112を、水素化する工程とを備えるHFO−1132の製造方法が記載されている。
特許文献3には、水素化触媒の存在下に、1−クロロ−1,2−ジフルオロエチレン(HCFO−1122a)と水素とを気相で反応させることによってHFO−1132を製造する方法が記載されている。
国際公開第2017/104828号 特開2013−237624号公報 特開2016−056132号公報
本開示は、一般式(1):CX=CX(式中、X、X、X及びXは同一又は異なって、水素原子又はフッ素原子を示す。)で表されるフルオロオレフィンを高い選択率で製造することを目的とする。
本開示は以下の通りである。
項1.一般式(1):CX=CX(式中、X、X、X及びXは同一又は異なって、水素原子又はフッ素原子を示す。)で表されるフルオロオレフィンの製造方法であって、
一般式(2):CXFCXH(式中、X、X、X及びXは前記に同じである。)で表されるフルオロカーボンを金属触媒と接触させて脱フッ化水素する脱フッ化水素工程を含み、
前記脱フッ化水素工程を、水の存在下、気相で行い、
前記水の濃度が、前記一般式(2)で表されるフルオロカーボンに対して、500ppm未満である、製造方法。
項2.前記一般式(1)で表されるフルオロオレフィンが、1,2−ジフルオロエチレン(HFO−1132)、1,1−ジフルオロエチレン(HFO−1132a)及びトリフルオロエチレン(HFO−1123)からなる群より選択される少なくとも1種である、項1に記載の製造方法。
項3.前記一般式(2)で表されるフルオロカーボンが、1,1,1−トリフルオロエタン(HFC−143a)、1,1,2−トリフルオロエタン(HFC−143)、1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFC−134)及び1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)からなる群より選択される少なくとも1種である、項1又は2に記載の製造方法。
項4.前記脱フッ化水素工程を、酸化剤の存在下で行う、項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
項5.前記酸化剤が、酸素である、項4に記載の製造方法。
項6.前記酸素の濃度が、前記一般式(2)で表されるフルオロカーボンに対して、0.01〜21mol%である、項5に記載の製造方法。
項7.前記金属触媒が、酸化クロム、フッ化酸化クロム、フッ化クロム、酸化アルミニウム、フッ化酸化アルミニウム、フッ化アルミニウム、酸化鉄、フッ化酸化鉄、フッ化鉄、酸化ニッケル、フッ化酸化ニッケル、フッ化ニッケル、酸化マグネシウム、フッ化酸化マグネシウム及びフッ化マグネシウムからなる群より選択される少なくとも1種である、項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
項8.前記脱フッ化水素工程を、300〜600℃の温度で行う、項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法。
項9.前記脱フッ化水素工程において、前記一般式(2)で表されるフルオロカーボンと前記金属触媒との接触時間(W/F)が、10g・sec/mL〜200g・sec/mLである、項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法。
項10.前記脱フッ化水素工程を、不活性ガス存在下及び/又はフッ化水素存在下で行う、項1〜9のいずれか1項に記載の製造方法。
項11.前記脱フッ化水素工程を、不活性ガス存在下で行い、
前記不活性ガスが、窒素、ヘリウム、アルゴン及び二酸化炭素からなる群より選択される少なくとも1種である、項10に記載の製造方法。
項12.一般式(3):CX=CX(式中、X、X、X及びXは同一又は異なって、水素原子、フッ素原子又は塩素原子を示し、少なくとも一つはフッ素原子を示す。)で表されるフルオロオレフィンを水素化反応させることにより前記一般式(2)で表されるフルオロカーボンを得る水素化工程を含む、項1〜11のいずれか1項に記載の製造方法。
項13.前記一般式(3)で表されるフルオロオレフィンが、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)である、項12に記載の製造方法。
本開示の製造方法によれば、上記一般式(1)で表されるフルオロオレフィンを高い選択率で製造することができる。
本発明者らは、鋭意研究を行った結果、原料化合物と金属触媒とを、非常に少量の水の存在下、気相で反応させることによって、上記一般式(1)で表されるフルオロオレフィンを高い選択率で製造できることを見出した。
本開示は、かかる知見に基づき、更に研究を重ねた結果完成されたものである。本開示は、以下の実施形態を含む。
本開示の一般式(1):CX=CX(式中、X、X、X及びXは同一又は異なって、水素原子又はフッ素原子を示す。ただし、X、X、X及びXのうち、少なくとも1つはフッ素原子を示す。)で表されるフルオロオレフィン(本開示において、目的化合物とも称する。)の製造方法は、一般式(2):CXFCXH(式中、X、X、X及びXは前記に同じである。)で表されるフルオロカーボン(本開示において、原料化合物とも称する。)を金属触媒と接触させて脱フッ化水素する、脱フッ化水素工程を備えている。
本開示では、当該脱フッ化水素工程を、水の存在下、気相で行う。
本開示では、当該水の濃度が、上記一般式(2)で表されるフルオロカーボンに対して、500ppm未満である。
本開示においては、上記要件を満たすことにより、原料化合物の転化率が高く、高い選択率で目的化合物を得ることができる。
本開示において、水の濃度とは、原料化合物に対する水分濃度を意味し、単位「ppm」とは、質量ppmを意味する。
本開示において、「転化率」とは、反応器に供給される原料化合物のモル量に対する反応器出口からの流出ガスに含まれる原料化合物以外の化合物の合計モル量の割合(mol%)を意味する。「選択率」とは、反応器出口からの流出ガスにおける原料化合物以外の化合物の合計モル量に対する当該流出ガスに含まれる目的化合物の合計モル量の割合(mol%)を意味する。
(原料化合物)
本開示において、原料化合物は、一般式(2):CXFCXH(式中、X、X、X及びXは上記に同じである。)で表されるフルオロカーボンである。
上記一般式(2)で表されるフルオロカーボンは、1,1,1−トリフルオロエタン(HFC−143a)、1,1,2−トリフルオロエタン(HFC−143)、1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFC−134)及び1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。これらのうち、1,1,2−トリフルオロエタン(HFC−143)がより好ましい。
HFC−143は、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)を、パラジウム又は白金触媒の存在下で水素により還元する方法によって製造することができる。また、HFC−143は、HFO−1123又はCFC−113(1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン)を、パラジウム存在下で水素により還元する方法によって製造することができる。さらに、HFC−143は、1,1,2−トリクロロエタンを、フッ化水素の存在下で酸化水銀によりフッ素化する方法によって製造することができる。
(脱フッ化水素工程)
本開示における脱フッ化水素工程では、水の存在下、気相中で、原料化合物を金属触媒と接触させて脱フッ化水素することを必須とする。
例えば、原料化合物としてHFC−134を用いた場合の脱フッ化水素反応は以下の反応式に従う。
CFHCFH → CF=CHF + HF
(HFC−134) (HFO−1123)
本工程で用いられる金属触媒は、酸化クロム、フッ化酸化クロム、フッ化クロム、酸化アルミニウム、フッ化酸化アルミニウム、フッ化アルミニウム、酸化鉄、フッ化酸化鉄、フッ化鉄、酸化ニッケル、フッ化酸化ニッケル、フッ化ニッケル、酸化マグネシウム、フッ化酸化マグネシウム及びフッ化マグネシウムからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。これらのうち、原料化合物の転化率をより向上させ、目的化合物をより高い選択率で得ることができる点から、酸化クロム、フッ化酸化クロム、酸化アルミニウム、フッ化酸化アルミニウムがより好ましい。
本工程において、水の存在下、気相中で、原料化合物と金属触媒とを接触させるに当たっては、金属触媒を固体の状態(固相)で原料化合物と接触させることが好ましい。
上記金属触媒のBET法により測定した比表面積(以下、BET比表面積とも称する。)は、通常10〜400m/gであり、好ましくは20〜375m/gであり、より好ましくは30〜350m/gである。金属触媒のBET比表面積がこのような範囲にある場合、金属触媒の粒子の密度が小さすぎることがないため、原料化合物の転化率を向上させることができ、高い選択率で目的化合物を得ることができる。
上記金属触媒は、担体に担持されていることが好ましい。担体としては、例えば、炭素、アルミナ(Al)、ジルコニア(ZrO)、シリカ(SiO)、チタニア(TiO)等が挙げられる。炭素としては、活性炭、不定形炭素、グラファイト、ダイヤモンド等を用いることができる。
本開示における触媒の一例として、酸化クロム及びフッ素化された酸化クロムについて、具体的に説明する。
上記酸化クロムは、例えば、酸化クロムをCr・nHOで表した場合に、nの値が3以下であることが好ましく、1〜1.5であることがより好ましい。
また、上記酸化クロムは、組成式:CrOにおいて、mが通常1.5<m<3であり触媒としてのフッ素化された酸化クロムは、酸化クロムをフッ素化することにより調製することができる。フッ素化としては、フッ化水素(HF)によるフッ素化、フルオロカーボン等によるフッ素化を挙げることができる。
触媒としてのフッ素化された酸化クロムは、例えば、日本特許第3412165号公報に記載されている方法に従って得ることができる。以下、触媒としての酸化クロムの調製法、及びフッ素化された酸化クロムの調製法の一例を示す。
まず、クロム塩の水溶液(硝酸クロム、塩化クロム、クロムミョウバン、硫酸クロム等)とアンモニア水とを混合することよって、水酸化クロムの沈殿を得る。例えば、硝酸クロムの5.7%水溶液に、10%のアンモニア水を等当量から等当量の1.2倍滴下することができる。この時の沈澱反応の反応速度により水酸化クロムの物性を制御することができる。反応速度は、速いことが好ましい。反応速度は反応溶液温度、アンモニア水混合方法(混合速度)、撹拌状態により左右される。
上記水酸化クロムの沈殿を濾過洗浄後、乾燥する。乾燥は、例えば、空気中、70〜200℃で1〜100時間行うことが好ましい。乾燥は、空気中、120℃で12時間行うことがより好ましい。
本開示において上記乾燥後の触媒を水酸化クロムとする。乾燥後の触媒を解砕する。解砕品(粒径は1000μ以下、46〜1000μの粒径品が95%)の粉体密度が0.6〜1.1g/ml、好ましくは0.6〜1.0g/mlになるように、沈澱反応速度を調整する。粉体密度がこのような範囲内にある場合、ペレットの強度及び触媒の活性が良好なものとなる。
上記水酸化クロムの粉体に、グラファイトを3重量%混合し、打錠機によりペレットを形成する。ペレットは、例えば、直径3.0mm、高さ3.0mmである。当該ペレットの圧潰強度(ペレット強度)は210±40Kg/cmであることが好ましい。
ペレット強度が大きすぎると、ガスの接触効率が低下し触媒活性が低下するとともにペレットが割れ易くなる。一方、ペレット強度が小さすぎると、ペレットが粉化しやすくなり取扱いが困難になる。
成形された触媒を窒素気流中等の不活性雰囲気中で、焼成し、非晶質の酸化クロムにする。焼成温度は360℃以上であることが好ましい。焼成温度を高くし過ぎると、酸化クロムが結晶化するため、結晶化を回避できる範囲で、焼成温度を高くすることが望まれる。焼成は、380〜460℃で1〜5時間行うことが好ましく、380〜420℃で2時間行うことがより好ましい。
次いで、酸化クロムをフッ化水素によりフッ素化(HF処理)することによってフッ素化された酸化クロムを得ることができる。フッ素化の温度は、生成する水が凝縮しない温度(例えば、1気圧において150℃)であることが好ましく、反応熱により触媒が結晶化しない温度を上限とすることが好ましい。フッ素化の温度は、例えば、100〜460℃が好ましい。フッ素化の圧力は、触媒反応に供される時の圧力が好ましい。
本開示において、フッ素含有量の多い高フッ素化−酸化クロム触媒を用いることが特に好ましい。高フッ素化−酸化クロム触媒は、酸化クロムを通常より高温で、長時間フッ素化することにより得ることができる。
高フッ素化−酸化クロム触媒は、フッ素含有量が30質量%以上であることが好ましく、30〜45質量%であることがより好ましい。フッ素含有量は、触媒の質量変化、又は一般的なクロム酸化物の定量分析法によって測定することができる。
本工程の脱フッ化水素反応は、酸化剤の存在下で行うことが好ましい。
本工程で用いられる酸化剤は、原料化合物の転化率が高く、目的化合物を高い選択率で得ることができる点から、酸素、塩素、臭素又はヨウ素が好ましい。これらの酸化剤の中でも、酸素がより好ましい。
本開示において、酸化剤の濃度は、原料化合物に対して、0.01〜21mol%であることが好ましい。酸化剤の濃度は、原料化合物の転化率をより向上させることができ、より高い選択率で目的化合物を得ることができる点から、原料化合物に対して、1〜20mol%であることより好ましく、5〜18mol%であることが更に好ましく、7.5〜16mol%であることが特に好ましい。
脱フッ化水素反応における反応温度の下限値は、より効率的に脱フッ化水素反応を進行させ、且つ転化率の低下を抑制する観点から、好ましくは300℃であり、より好ましくは320℃であり、更に好ましくは340℃であり、特に好ましくは350℃である。
脱フッ化水素反応における反応温度の上限値は、より効率的に脱フッ化水素反応を進行させ、且つ反応生成物が分解又は重合することによる選択率の低下を抑制する観点から、好ましくは600℃であり、より好ましくは550℃であり、更に好ましくは500℃であり、特に好ましくは450℃である。
脱フッ化水素反応の反応時間は、原料化合物の金属触媒に対する接触時間(W/F)[W:金属触媒の重量(g)、F:原料化合物の流量(mL/sec)]を長くすれば原料化合物の転化率を上げることができるが、金属触媒の量が多くなって設備が大きくなり、非効率である。
そのため、脱フッ化水素反応の反応時間は、原料化合物の転化率を向上させる点、及び設備コストを抑制する点から、原料化合物の金属触媒に対する接触時間(W/F)が、10g・sec/mL〜200g・sec/mLであることが好ましく、20g・sec/mL〜175g・sec/mLであることがより好ましく、30g・sec/mL〜150g・sec/mLであることが更に好ましく、40g・sec/mL〜125g・sec/mLであることが特に好ましい。
上記原料化合物の金属触媒に対する接触時間とは、原料化合物及び金属触媒が接触する時間を意味する。
脱フッ化水素反応の反応圧力は、より効率的に脱フッ化水素反応を進行させる点から、−0.05MPa〜2MPaであることが好ましく、−0.01MPa〜1MPaであることがより好ましく、常圧〜0.5MPaであることが更に好ましい。なお、本開示において、圧力については表記が無い場合はゲージ圧とする。
脱フッ化水素反応において、原料化合物と金属触媒とを接触させて反応させる反応器としては、上記温度及び圧力に耐えうるものであれば、形状及び構造は特に限定されない。反応器としては、例えば、縦型反応器、横型反応器、多管型反応器等が挙げられる。反応器の材質としては、例えば、ガラス、ステンレス、鉄、ニッケル、鉄ニッケル合金等が挙げられる。
脱フッ化水素反応は、反応器に原料化合物を連続的に仕込み、当該反応器から目的化合物を連続的に抜き出す流通式及びバッチ式のいずれの方式によっても実施することができる。目的化合物が反応器に留まると、さらに脱フッ化水素反応が進行し得ることから、流通式で実施することが好ましい。
脱フッ化水素反応を行う際の雰囲気については、金属触媒の劣化を抑制する点から、不活性ガス存在下及び/又はフッ化水素存在下であることが好ましい。当該不活性ガスは、窒素、ヘリウム、アルゴン及び二酸化炭素からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。これらの不活性ガスの中でも、コストを抑える点から、窒素がより好ましい。当該不活性ガスの濃度は、反応器に導入される気体成分の0〜50mol%とすることが好ましい。
本開示において、水の濃度が、原料化合物に対して、500ppm未満であることにより、原料化合物の転化率が高くなり、且つ目的化合物を高い選択率で得ることができる。
本開示において、水の濃度の上限値は、原料化合物の転化率をより一層向上させ、目的化合物をより一層高い選択率で得ることができる点から、好ましくは300ppmであり、より好ましくは100ppmであり、更に好ましくは50ppmであり、特に好ましくは10ppmである。
本開示において、水の濃度の下限値は、原料化合物の転化率をより一層向上させ、目的化合物をより一層高い選択率で得ることができる点から、好ましくは1ppmであり、より好ましくは2ppmであり、更に好ましくは3ppmであり、特に好ましくは5ppmである。
本開示において、脱フッ化水素反応は、金属触媒の表面のルイス酸点が活性点となることにより進行すると考えられる。水の存在下、気相で脱フッ化水素反応を行うことにより、金属触媒の表面のルイス酸点に水が吸着する。水の濃度を、上記一般式(2)で表されるフルオロカーボンに対して、500ppm未満にすることにより、金属触媒の表面のルイス酸点が潰れてブレンステッド酸点に似た構造を形成し、金属触媒の活性が低下することを抑制すると推測される。
(目的化合物)
本開示における目的化合物は、一般式(1):CX=CX(式中、X、X、X及びXは前記と同じである。)で表されるフルオロオレフィンである。
上記一般式(1)で表されるフルオロオレフィンは、1,2−ジフルオロエチレン(HFO−1132)、1,1−ジフルオロエチレン(HFO−1132a)及びトリフルオロエチレン(HFO−1123)からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。これらのうち、HFO−1132がより好ましい。
本開示において、上記原料化合物と上記目的化合物との組合わせは、以下の通りである。
上記原料化合物としてHFC−143を用いた場合、脱フッ化水素反応を経て、上記目的化合物としてHFO−1132を得ることができる。
上記原料化合物としてHFC−143aを用いた場合、脱フッ化水素反応を経て、上記目的化合物としてHFO−1132aを得ることができる。
上記原料化合物としてHFC−134を用いた場合、脱フッ化水素反応を経て、上記目的化合物としてHFO−1123を得ることができる。
上記原料化合物としてHFC−134aを用いた場合、脱フッ化水素反応を経て、上記目的化合物としてHFO−1123を得ることができる。
HFO−1132には、トランス−1,2−ジフルオロエチレン[(E)−HFO−1132]、シス−1,2−ジフルオロエチレン[(Z)−HFO−1132]が含まれるが、本開示では(Z)−HFO−1132が好ましい。
本開示では、転位点の活性化の理由から、気相における脱フッ化水素工程を酸素の存在下で行うことによって、HFO−1132の異性体比を一定の値に維持し易くなる。
本開示におけるHFO−1132の異性体比は、ガスクロマトグラフィーによって測定することができ、脱フッ化水素反応の条件(温度、圧力)を変更することにより当該異性体比を変化させることができる。
本開示において、(Z)−HFO−1132と(E)−HFO−1132との組成比は、熱力学的安定性に依存し、(Z)−HFO−1132が(E)−HFO−1132よりも熱力学的に安定であるため、目的化合物においては(Z)−HFO−1132の収率が高くなると推測される。
本開示において、(Z)−HFO−1132を望む場合、収率の点から、(E)−HFO−1132:(Z)−HFO−1132=1:5であることが好ましく、1:10であることがより好ましく、1:20であることが更に好ましい。
本開示において、(E)−HFO−1132を望む場合、収率の点から、(E)−HFO−1132:(Z)−HFO−1132=1:4であることが好ましく、1:3であることがより好ましく、1:2であることが更に好ましい。
(原料化合物の前駆体)
本開示において、一般式(3):CX=CX(式中、X、X、X及びXは同一又は異なって、水素原子、フッ素原子又は塩素原子を示し、少なくとも一つはフッ素原子を示す。)で表されるフルオロオレフィン(本開示において、原料化合物の前駆体とも称する。以下、原料化合物の前駆体を「前駆体」と表記する。)を、水素化反応させることにより原料化合物を得る水素化工程を含むことが好ましい。
本開示において、上記一般式(1)で表されるフルオロオレフィンと、上記一般式(3)で表されるフルオロオレフィンとは同一の化合物ではない。
上記前駆体は、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)であることが好ましい。
本開示の一般式(1):CX=CX(式中、X、X、X及びXは同一又は異なって、水素原子又はフッ素原子を示す。ただし、X、X、X及びXのうち、少なくとも1つはフッ素原子を示す。)で表されるフルオロオレフィンの製造方法は、
(i)一般式(3):CX=CX(式中、X、X、X及びXは同一又は異なって、水素原子、フッ素原子又は塩素原子を示し、少なくとも一つはフッ素原子を示す。)で表されるフルオロオレフィンを、水素化反応させることにより一般式(2):CXFCXH(式中、X、X、X及びXは前記に同じである。)で表されるフルオロカーボンを得る水素化工程、及び
(ii)前記水素化工程で得られた前記一般式(2)で表されるフルオロカーボンを金属触媒と接触させて脱フッ化水素する、脱フッ化水素工程
を含むことが好ましい。
(水素化工程)
本開示における水素化工程では、公知の水素化反応を採用できる。例えば、還元触媒の存在下、反応器中に前駆体と水素とを供給して水素化反応を行うことが好ましい。
還元触媒としては、公知の還元触媒を広く使用でき、例えば、Pd、Pt、Rh、Ru、Rc等の金属を活性炭、アルミナ等の金属酸化物又は金属フッ化物に担持したものを使用できる。
水素化工程における反応温度は、効率的に水素化反応を進行させる観点から、通常30℃〜500℃である。
水素化工程における反応器としては、上記温度及び圧力に耐えうるものであれば、形状及び構造は特に限定されない。反応器としては、例えば、縦型反応器、横型反応器、多管型反応器等が挙げられる。反応器の材質としては、例えば、ガラス、ステンレス、鉄、ニッケル、鉄ニッケル合金等が挙げられる。
水素化反応の反応時間は、前駆体の転化率を向上させる点から、前駆体の還元触媒に対する接触時間(W/F)[W:還元触媒の充填量(g)、F:反応器に供給する前駆体の流量(mL/sec)]が、通常0.5g・sec/mL〜40g・sec/mLである。
水素化工程の反応器に供給される水素と前駆体との供給モル比[水素の供給量(mL/min)/前駆体の供給量(mL/min)]は、収率の点から、通常2〜10である。
本開示において、前駆体としてCTFEを用いた場合、水素化反応を経て、原料化合物としてHFC−143を得ることができる。
以下に実施例、比較例及び参考例を挙げ、本開示を具体的に説明するが、本開示は、これら実施例によって何ら限定されるものではない。
(実施例1)
SUS配管(外径:1/2インチ)に、触媒としてCrを主成分とする酸化クロム10gを充填した。当該触媒を脱フッ化水素反応に使用する前処理として、反応器に無水フッ化水素を流通させ、反応器の温度を300℃から460℃としてフッ素化処理を行った。フッ素化された酸化クロムを取り出し、脱フッ化水素反応に用いた。フッ素化された酸化クロムのBET比表面積は、75m/gであった。
反応器であるSUS配管(外径:1/2インチ)に、金属触媒としてフッ素化した酸化クロム(フッ化酸化クロム)を10g加えた。窒素雰囲気下、200℃で2時間乾燥した後、圧力を常圧、HFC−143とフッ素化した酸化クロムとの接触時間(W/F)が40g・sec/mLとなるように、反応器に原料化合物としてHFC−143を流通させた。
原料化合物中の水の濃度をカールフィッシャー水分測定器(三菱化学アナリテック社製、商品名「CA−200型微量水分測定装置」)で測定したところ、10ppmであった。
また、酸化剤として酸素を、酸素の濃度がHFC−143に対して15mol%となるように、反応器に供給し、350℃で加熱して脱フッ化水素反応を開始した。
脱フッ化水素反応を開始してから1時間後に、除害塔を通った留出分を集めた。その後、ガスクロマトグラフィー(島津製作所社製、商品名「GC−2014」)を用いてガスクロマトグラフィー/質量分析法(GC/MS)により質量分析を行い、NMR(JEOL社製、商品名「400YH」)を用いてNMRスペクトルによる構造解析を行った。
質量分析及び構造解析の結果から、(E)−HFO−1132及び(Z)−HFO−1132が生成したことが確認された。
HFC−143の転化率は68mol%であった。(E)−HFO−1132及び(Z)−HFO−1132の合計の収率(選択率)は91mol%であり、(E)−HFO−1132の選択率は18mol%、(Z)−HFO−1132の選択率は73mol%であった。結果は後掲の表1に示している。
(実施例2)
HFC−143中の水の濃度をカールフィッシャー水分測定器で測定したところ300ppmであったこと以外は、実施例1と同様にして、脱フッ化水素反応、質量分析及び構造解析を実施した。結果は後掲の表1に示している。
(比較例1)
SUS配管(外径:1/2インチ)に、触媒としてCrを主成分とする酸化クロム10gを充填した。当該触媒を脱フッ化水素反応に使用する前処理として、反応器に無水フッ化水素を流通させ、反応器の温度を300℃から460℃としてフッ素化処理を行った。フッ素化された酸化クロムを取り出し、脱フッ化水素反応に用いた。フッ素化された酸化クロムのBET比表面積は、75m/gであった。
反応器であるSUS配管(外径:1/2インチ)に、金属触媒としてフッ素化した酸化クロム(フッ化酸化クロム)を10g加えた。窒素雰囲気下、200℃で2時間乾燥した後、圧力を常圧、HFC−143とフッ素化した酸化クロムとの接触時間(W/F)が40g・sec/mLとなるように、反応器に原料化合物としてHFC−143を流通させた。
原料化合物中の水の濃度をカールフィッシャー水分測定器で測定したところ、500ppmであった。
また、酸化剤として酸素を、酸素の濃度がHFC−143に対して15mol%となるように、反応器に供給し、350℃で加熱し脱フッ化水素反応を開始した。
脱フッ化水素反応を開始してから1時間後に、除外塔を通った留出分を集めた。その後、ガスクロマトグラフィー(島津製作所社製、商品名「GC−2014」)を用いてガスクロマトグラフィー/質量分析法(GC/MS)により質量分析を行い、NMR(JEOL社製、商品名「400YH」)を用いてNMRスペクトルによる構造解析を行った。
質量分析及び構造解析の結果から、(E)−HFO−1132及び(Z)−HFO−1132が生成したことが確認された。
HFC−143の転化率は42mol%であった。(E)−HFO−1132及び(Z)−HFO−1132の合計の収率(選択率)は89mol%であり、(E)−HFO−1132の選択率は8mol%、(Z)−HFO−1132の選択率は81mol%であった。結果は後掲の表1に示している。
(実施例3)
HFC−143中の水の濃度をカールフィッシャー水分測定器で測定したところ10ppmであったこと、及び金属触媒であるフッ化酸化クロムを窒素雰囲気下、400℃で2時間乾燥したこと以外は、実施例1と同様にして、脱フッ化水素反応、質量分析及び構造解析を実施した。結果は後掲の表1に示している。
(実施例4)
酸素濃度がHFC−143に対して0mol%となるようにしたこと、及び脱フッ化水素反応を開始する際の反応温度を400℃にしたこと以外は、実施例1と同様にして、脱フッ化水素反応、質量分析及び構造解析を実施した。結果は後掲の表2に示している。
(実施例5)
実施例4から連続して脱フッ化水素反応を行い、脱フッ化水素反応を開始してから3時間経過後に、実施例1と同様にして、質量分析及び構造解析を実施した。結果は後掲の表2に示している。
(実施例6)
実施例4から連続して脱フッ化水素反応を行い、脱フッ化水素反応を開始してから10時間経過後に、実施例1と同様にして、質量分析及び構造解析を実施した。結果は後掲の表2に示している。
(実施例7)
脱フッ化水素反応を開始する際の反応温度を400℃に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、脱フッ化水素反応、質量分析及び構造解析を実施した。結果は後掲の表2に示している。
(実施例8)
実施例7から連続して脱フッ化水素反応を行い、脱フッ化水素反応を開始してから3時間経過後に、実施例1と同様にして、質量分析及び構造解析を実施した。結果は後掲の表2に示している。
(実施例9)
実施例7から連続して脱フッ化水素反応を行い、脱フッ化水素反応を開始してから10時間経過後に、実施例1と同様にして、質量分析及び構造解析を実施した。結果は後掲の表2に示している。
(実施例10)
酸素の濃度がHFC−143に対して0mol%となるようにしたこと以外は実施例1と同様にして、脱フッ化水素反応、質量分析及び構造解析を実施した。結果は後掲の表3に示している。
(実施例11)
SUS配管(外径:1/2インチ)に、触媒として700℃以上で焼成したCrを主成分とする酸化クロム10gを充填した。当該触媒を脱フッ化水素反応に使用する前処理として、反応器に無水フッ化水素
を流通させ、反応器の温度を300℃から460℃としてフッ素化処理を行った。フッ素化された酸化クロムを取り出し、脱フッ化水素反応に用いた。フッ素化された結晶化酸化クロムのBET比表面積は、15m/gであった。
金属触媒として上記フッ素化された結晶化酸化クロムを10g使用したこと、酸素濃度がHFC−143に対して0mol%となるようにしたこと、及び脱フッ化水素反応を開始する際の反応温度を600℃にしたこと以外は、実施例1と同様にして、脱フッ化水素反応、質量分析及び構造解析を実施した。結果は後掲の表3に示している。
(実施例12)
金属触媒として実施例12で調製したフッ素化された結晶化酸化クロムを10g使用したこと、酸素濃度がHFC−143に対して0mol%となるようにしたこと、及び脱フッ化水素反応を開始する際の反応温度を680℃に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、脱フッ化水素反応、質量分析及び構造解析を実施した。結果は後掲の表3に示している。
(実施例13)
金属触媒として実施例12で調製したフッ素化された結晶化酸化クロムを10g使用したこと、酸素濃度がHFC−143に対して5mol%となるようにしたこと、及び脱フッ化水素反応を開始する際の反応温度を400℃に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、脱フッ化水素反応、質量分析及び構造解析を実施した。結果は後掲の表3に示している。
(実施例14)
金属触媒として実施例12で調製したフッ素化された結晶化酸化クロムを10g使用したこと、酸素濃度がHFC−143に対して10mol%となるようにしたこと、及び脱フッ化水素反応を開始する際の反応温度を400℃に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、脱フッ化水素反応、質量分析及び構造解析を実施した。結果は後掲の表3に示している。
(実施例15)
金属触媒として実施例12で調製したフッ素化された結晶化酸化クロムを10g使用したこと、及び脱フッ化水素反応を開始する際の反応温度を400℃に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、脱フッ化水素反応、質量分析及び構造解析を実施した。結果は後掲の表3に示している。
(実施例16)
接触時間(W/F)が60g・sec/mLとなるようにしたこと、及び脱フッ化水素反応を開始する際の反応温度を400℃にしたこと以外は、実施例1と同様にして、脱フッ化水素反応、質量分析及び構造解析を実施した。結果は後掲の表3に示している。
(実施例17)
接触時間(W/F)が100g・sec/mLとなるようにしたこと、及び脱フッ化水素反応を開始する際の反応温度を400℃にしたこと以外は、実施例1と同様にして、脱フッ化水素反応、質量分析及び構造解析を実施した。結果は後掲の表3に示している。
(実施例18)
SUS配管(外径:1/2インチ)に、触媒としてAl(日揮触媒化成株式会社製、N612N)10gを充填した。当該触媒を脱フッ化水素反応に使用する前処理として、反応器に無水フッ化水素を流通させ、反応器の温度を300℃から460℃としてフッ素化処理を行った。フッ素化された酸化アルミニウムを取り出し、脱フッ化水素反応に用いた。フッ素化された酸化アルミニウムのBET比表面積は、90m/gであった。
金属触媒として上記フッ素化された酸化アルミニウムを10g使用したこと、酸素濃度がHFC−143に対して0mol%となるようにしたこと、及び脱フッ化水素反応を開始する際の反応温度を400℃にしたこと以外は、実施例1と同様にして、脱フッ化水素反応、質量分析及び構造解析を実施した。結果は後掲の表3に示している。
(実施例19)
反応器であるSUS配管(外径:1/2インチ)に、金属触媒として実施例1で調製したフッ素化した酸化クロム(フッ化酸化クロム)を10g加えた。窒素雰囲気下、200℃で2時間乾燥した後、圧力を常圧、HFC−134aとフッ素化した酸化クロムとの接触時間(W/F)が60g・sec/mLとなるように、反応器に原料化合物としてHFC−134aを流通させた。
原料化合物中の水の濃度をカールフィッシャー水分測定器(三菱化学アナリテック社製、商品名「CA−200型微量水分測定装置」)で測定したところ、10ppmであった。
また、酸化剤として酸素を、酸素の濃度がHFC−134aに対して15mol%となるように、反応器に供給し、400℃で加熱して脱フッ化水素反応を開始した。
脱フッ化水素反応を開始してから1時間後に、除外塔を通った留出分を集めた。その後、ガスクロマトグラフィー(島津製作所製、商品名「GC−2014」)を用いてガスクロマトグラフィー/質量分析法(GC/MS)により質量分析を行い、NMR(JEOL社製、商品名「400YH」)を用いてNMRスペクトルによる構造解析を行った。質量分析及び構造解析の結果から、HFO−1123が生成したことが確認された。
HFC−134aの転化率は53mol%であった。HFO−1123の収率(選択率)は85mol%であった。結果は後掲の表3に示している。
(参考例1)
反応器であるSUS配管(外径:1/2インチ)において、CTFE及び水素を流通させ、公知の方法によって水素化反応を行った。
水素化反応を開始してから1時間後に、除害塔を通った留出分を集めた。その後、ガスクロマトグラフィー(島津製作所社製、商品名「GC−2014」)を用いてガスクロマトグラフィー/質量分析法(GC/MS)により質量分析を行い、NMR(JEOL社製、商品名「400YH」)を用いてNMRスペクトルによる構造解析を行った。質量分析及び構造解析の結果から、上記水素化反応によってHFC−143が生成したことが確認された。
各実施例及び各比較例の結果を以下の表1〜表3に示す。
表1〜3において、接触時間(W/F)とは、流通する原料ガスをどの程度の速度で流すか、即ち、金属触媒及び原料ガスが接触する時間を意味する。
表2において、反応継続時間(h)とは、原料ガスの流通を開始してからの時間を意味する。
表2及び表3の酸素濃度(mol%)に関して、「n.d.」との表記は、酸素濃度を酸素分析計(テレダイン社製、商品名「311 微量酸素分析計」)を用いて測定したところ、検出限界未満であることを意味している。なお、「n.d.」とは「not detected」を意味する。
Figure 0006673413
Figure 0006673413
Figure 0006673413

Claims (13)

  1. 一般式(1):CX=CX(式中、X、X、X及びXは同一又は異なって、水素原子又はフッ素原子を示す。)で表されるフルオロオレフィンの製造方法であって、
    一般式(2):CXFCXH(式中、X、X、X及びXは前記に同じである。)で表されるフルオロカーボンを金属触媒と接触させて脱フッ化水素する脱フッ化水素工程を含み、
    前記脱フッ化水素工程を、水の存在下、気相で行い、
    前記水の濃度が、前記一般式(2)で表されるフルオロカーボンに対して、500ppm未満である、製造方法。
  2. 前記一般式(1)で表されるフルオロオレフィンが、1,2−ジフルオロエチレン(HFO−1132)、1,1−ジフルオロエチレン(HFO−1132a)及びトリフルオロエチレン(HFO−1123)からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記一般式(2)で表されるフルオロカーボンが、1,1,1−トリフルオロエタン(HFC−143a)、1,1,2−トリフルオロエタン(HFC−143)、1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFC−134)及び1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記脱フッ化水素工程を、酸化剤の存在下で行う、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 前記酸化剤が、酸素である、請求項4に記載の製造方法。
  6. 前記酸素の濃度が、前記一般式(2)で表されるフルオロカーボンに対して、0.01〜21mol%である、請求項5に記載の製造方法。
  7. 前記金属触媒が、酸化クロム、フッ化酸化クロム、フッ化クロム、酸化アルミニウム、フッ化酸化アルミニウム、フッ化アルミニウム、酸化鉄、フッ化酸化鉄、フッ化鉄、酸化ニッケル、フッ化酸化ニッケル、フッ化ニッケル、酸化マグネシウム、フッ化酸化マグネシウム及びフッ化マグネシウムからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
  8. 前記脱フッ化水素工程を、300〜600℃の温度で行う、請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法。
  9. 前記脱フッ化水素工程において、前記一般式(2)で表されるフルオロカーボンと前記金属触媒との接触時間(W/F)が、10g・sec/mL〜200g・sec/mLである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法。
  10. 前記脱フッ化水素工程を、不活性ガス存在下及び/又はフッ化水素存在下で行う、請求項1〜9のいずれか1項に記載の製造方法。
  11. 前記脱フッ化水素工程を、不活性ガス存在下で行い、
    前記不活性ガスが、窒素、ヘリウム、アルゴン及び二酸化炭素からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項10に記載の製造方法。
  12. 一般式(3):CX=CX(式中、X、X、X及びXは同一又は異なって、水素原子、フッ素原子又は塩素原子を示し、少なくとも一つはフッ素原子を示す。)で表されるフルオロオレフィンを水素化反応させることにより前記一般式(2)で表されるフルオロカーボンを得る水素化工程を含
    前記一般式(2)で表されるフルオロカーボンが、1,1,2−トリフルオロエタン(HFC−143)及び1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFC−134)からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の製造方法。
  13. 前記一般式(3)で表されるフルオロオレフィンが、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)である、請求項12に記載の製造方法。
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