(実施例1)
本発明を具体的に説明する前に、まず概要を述べる。本発明の実施例1は、基地局装置が複数設置されているとともに、そのうちのいずれかに端末装置が接続して無線通信を実行する通信システムに関する。通信システムにおける基地局装置と端末装置との通信には、リソースが使用される。リソースの一例はチャネルである。チャネルは、基地局装置と端末装置との間の通信を形成するための通信路であり、中心周波数、時間、符号によって特定される。本実施例において、チャネルは中心周波数によって特定されるものとする。通信システムには複数のチャネルが規定されており、各チャネルの中心周波数は互いに異なっている。
各基地局装置は、いずれかのチャネルで運用されており、当該チャネルを使用しながら端末装置との通信を実行する。端末装置は、いずれのチャネルを使用して基地局装置に接続している場合であっても、各チャネルの状況を測定する。この測定処理は、チャネルスキャンとも呼ばれ、チャネルスキャンによって各チャネルで運用されている基地局装置の存在が探索される。チャネルスキャンの結果は、例えば端末装置が接続すべき基地局装置を選択するために使用される。なお、チャネルをリソースと総称した場合、「スキャン」は「選択」に対応する。ここで、通信の成立しやすさを考慮した効率的なチャネルスキャンを実行するために、本実施例は次の処理を実行する。
基地局装置には、ネットワークを介して管理装置が接続されている。管理装置は、基地局装置とチャネルとの関係が示されたデータベースを記憶する。管理装置は、端末装置がチャネルスキャンを実行する際に使用させたいチャネルの優先度に関する情報(以下、「チャネル指示コマンド」という)を生成し、基地局装置から送信させる。その際、管理装置は、複数の基地局装置のそれぞれに位置登録された端末装置の数に応じて、チャネル指示コマンドを生成する。端末装置は、チャネル指示コマンドにしたがってチャネルスキャンを実行する。
図1に、通信システム100の構成を示す。通信システム100は、端末装置10と総称される第1端末装置10a、第2端末装置10b、第3端末装置10c、基地局装置12と総称される第1基地局装置12a、第2基地局装置12b、第3基地局装置12c、ネットワーク14、管理装置16を含む。ここで、端末装置10の数、基地局装置12の数はいずれも「3」であるが、それに限定されない。
図示のごとく、第1基地局装置12aと通信可能なエリア、つまり第1基地局装置12aからの信号を受信可能なエリアは、第1通信可能エリア20aとして示される。また、第2基地局装置12b、第3基地局装置12cに対して、第2通信可能エリア20b、第3通信可能エリア20cが同様に示される。ここで、第1通信可能エリア20a、第2通信可能エリア20b、第3通信可能エリア20cは、通信可能エリア20と総称される。
端末装置10は、無線通信システムに対応し、基地局装置12に接続する。無線通信システムの一例は、業務用無線システム、携帯電話システム等であるが、これらは公知の技術であるので、ここでは説明を省略する。端末装置10は、通信可能エリア20に進入し、当該通信可能エリア20を形成している基地局装置12のチャネルにおいて信号を受信した場合、基地局装置12に対して、位置登録(Registration)要求を実行する。
複数の基地局装置12のそれぞれは、一端側において、端末装置10と同一の無線通信システムに対応し、端末装置10を接続可能である。また、各基地局装置12は、他端側において、ネットワーク14を接続する。ここで、各基地局装置12は、通信システム100において規定された複数のチャネルのいずれかによって運用される。例えば、近接して配置される2つ以上の基地局装置12には、互いに異なったチャネルが設定される。基地局装置12は、端末装置10からの位置登録要求を受信した場合、端末装置10に対して使用許可を送信し、かつ位置登録数(位置登録された端末装置10の数)を保持する。基地局装置12は、ネットワーク14を介して管理装置16に位置登録数を送信する。このような処理の結果、図示のごとく、第1端末装置10aと第1基地局装置12aが接続され、第1基地局装置12aに設定されたチャネルが、第1端末装置10aと第1基地局装置12aとに使用される。
基地局装置12は、ネットワーク14を介して管理装置16に接続されている。ネットワーク14は、さまざまな装置間のデータを送受信する。ネットワーク14は、任意のものでよく、例えば、有線ネットワークでもよく、無線ネットワークでもよく、それらの組合せであってもよい。このような構成によって、端末装置10は、基地局装置12、ネットワーク14を介して図示しない通信装置と通信可能である。図示しない通信装置は、ネットワーク14に直接接続された装置であってもよく、いずれかの基地局装置12に接続された他の端末装置10であってもよい。また、通信は、通話であったり、データ通信であったりする。
管理装置16は、ネットワーク14、基地局装置12を介して、端末装置10と通信する。管理装置16は、いずれかの基地局装置12に含まれていてもよい。管理装置16は、ネットワーク14を介して基地局装置12から位置登録数を受信することによって、各基地局装置12に接続する端末装置10の数を保持する。保持される位置登録数は、各基地局装置12を利用する端末装置10の移動に伴って変化する。また、管理装置16は、各基地局装置12の位置登録数の許容値を保持するとともに、各基地局装置12について、隣接の基地局装置12の情報、チャネルの情報を保持している。
管理装置16は、位置登録数の許容値を超えた基地局装置12に対して、当該基地局装置12に隣接した他の基地局装置12の中で、位置登録数の許容値を超えず、かつ最も少ない位置登録数の他の基地局装置12のチャネルを選択する。また、管理装置16は、選択したチャネルに端末装置10のチャネルを変更させるためのチャネル指示コマンドを基地局装置12に送信させる。チャネル指示コマンドを受信した端末装置10は、チャネル指示コマンドに応じてチャネルスキャンを実行する。
図2に、管理装置16の構成を示す。管理装置16は、通信部30、生成部32、記憶部34を含む。また、通信部30は、受信部36、送信部38を含み、生成部32は、取得部40を含む。通信部30は、ネットワーク14を介して、基地局装置12に接続する。受信部36は、各基地局装置12からの位置登録数を受信する。受信部36は、位置登録数を記憶部34に記憶させる。
記憶部34は、図3(a)−(c)に示すデータベースを記憶する。図3(a)−(c)は、記憶部34に記憶されるデータベースのデータ構造を示す。図3(a)は、各基地局装置12に対する位置登録数、許容値を示すデータベースである。位置登録数は、受信部36により書き込まれる。一方、許容値は、予め入力されていればよい。図3(b)は、各基地局装置12に隣接した基地局装置12が示されるデータベースである。例えば、第1基地局装置12aに対して、第2基地局装置12b、第3基地局装置12cが隣接している。図3(c)は、各基地局装置12におけるチャネルが示されるデータベースである。例えば、第1基地局装置12aでは、チャネルAが使用される。図2に戻る。
取得部40は、図3(a)に示されたデータベースから、各基地局装置12の位置登録数、つまり各基地局装置12に登録された端末装置10の数を取得する。この位置登録数は、複数の基地局装置12のそれぞれに対して、基地局装置12のチャネル不足を予想可能なパラメータである。図3(a)に示されるように、第1基地局装置12aの位置登録数「140」が許容値「100」を超えているので、生成部32は、第1基地局装置12aにおいてチャネル不足が発生してしまう可能性が高くなることを認識する。また、生成部32は、図3(b)に示されたデータベースより、第1基地局装置12aに隣接した基地局装置12である第2基地局装置12b(位置登録数「50」)、第3基地局装置12c(位置登録数「70」)の中から、位置登録数が最も少ない第2基地局装置12bを選択する。さらに、生成部32は、図3(c)に示されたデータベースより、選択した第2基地局装置12bのチャネルBを選択する。これに続いて、生成部32は、選択したチャネルが含まれたチャネル指示コマンドを生成する。
図4(a)−(c)は、通信システム100において送受信される信号のフォーマットを示す。これらに示されているように、信号は、「コマンド」、「パラメータ1」、「パラメータ2」の順で構成されている。「コマンド」には、信号の種類を示すための情報が含まれており、「パラメータ1」、「パラメータ2」には、各コマンドに対応した値が含まれている。図4(a)は、チャネル指示コマンドのフォーマットである。「コマンド」には、「優先チャネル指定」が含まれ、「パラメータ1」には、「優先度」が含まれる。ここでの優先度は「1」、つまり「高」に設定される。「パラメータ2」には、「チャネルB」が含まれる。なお、図4(a)に示すように、1つのチャネルのみを指定する場合は、「パラメータ1(優先度)」を省略してもよい。その場合は、指定されたチャネルが「高」の優先度を持つと解釈される。
図4(b)は、チャネル指示コマンドの別のフォーマットである。これは、前述の例において、第1基地局装置12aに隣接した基地局装置12として、第3基地局装置12cも使用可能であるので、これも追加した場合である。図4(b)では、図4(a)と比較して、「パラメータ3」、「パラメータ4」が追加される。「パラメータ3」には、「優先度」が含まれる。ここでの優先度は「2」、つまり「中」に設定される。「パラメータ4」には、「チャネルC」が含まれる。
図4(c)は、チャネル指示コマンドのさらに別のフォーマットである。これは、前述の例において、第1基地局装置12aに接続されている端末装置10が、第2基地局装置12bおよび第3基地局装置12cに接続できないエリアに位置した場合に、第1基地局装置12aを継続して利用させるためのものである。そのために、第1基地局装置12aのチャネルが追加される。図4(c)では、図4(b)と比較して、「パラメータ5」、「パラメータ6」が追加される。「パラメータ5」には、「優先度」が含まれる。ここでの優先度は「3」、つまり「低」に設定される。「パラメータ6」には、「チャネルA」が含まれる。図2に戻る。
このように、生成部32は、取得部40において取得したパラメータである位置登録数に応じて、複数の基地局装置12のうちの1つに接続された端末装置10に使用させたいチャネルの優先度に関する情報を生成する。特に、生成部32は、位置登録数が許容値よりも大きくなった基地局装置12に対して、チャネルの優先度に関する情報を生成する。
送信部38は、生成部32において生成したチャネル指示コマンドを基地局装置12に送信する。前述の例において、第1基地局装置12aにチャネル指示コマンドが送信される。第1基地局装置12aは、チャネル指示コマンドを送信する。その結果、第1基地局装置12aに接続されている端末装置10は、チャネル指示コマンドを受信する。
なお、管理装置16が、第1基地局装置12aの障害を検知した場合に、第2基地局装置12bおよび第3基地局装置12cから、図4(b)に示すチャネル指示コマンドが送信されてもよい。このような処理を行うことで、障害の発生した第1基地局装置12aのチャネルに対する端末装置10のスキャンが回避されるので、チャネルスキャンの効率が向上する。また、第2基地局装置12bまたは第3基地局装置12cの位置登録数も許容値を超えた場合、すべての基地局装置12の位置登録数が許容値を超えた場合、図4(c)に示すチャネル指示コマンドが各基地局装置12から送信される。各端末装置10が使用する基地局装置12を変更した後も、継続して基地局装置12の使用が可能になるので、端末装置10の通信が阻害されない。
これまでの説明では、位置登録数が少ない基地局装置12ほど、優先度が高くされているが、別の方法を用いてもよい。例えば、生成部32は、位置登録数から許容値を引いた値、つまり位置登録数と許容値との差分値(位置登録数−許容値)が小さい基地局装置12ほど、優先度を高くしてもよい。位置登録数が許容値よりも小さければ、この差分値は、マイナスの値となる。また、生成部32は、位置登録数を許容値で割った値、つまり許容値に対する位置登録数の割合(位置登録数/許容値)が小さい基地局装置12ほど、優先度を高くしてもよい。例えば、第1基地局装置12aの位置登録数が「140」、第2基地局装置12bの位置登録数が「50」、第3基地局装置12cの位置登録数が「70」であり、それぞれの許容値が、「100」、「60」、「100」である場合を想定する。許容値に対する位置登録数の割合は、各々「1.4」、「0.83」、「0.7」となり、第3基地局装置12cのチャネルの優先度が「1」で、最も高く、第2基地局装置12bの優先度が「2」、第1基地局装置12aの優先度が「3」になる。
図2に示す管理装置16の構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
図5は、端末装置10の構成を示す。端末装置10は、測位部50、選択部52、マイク54、スピーカ56、処理部58、制御部60、通信部62を含み、通信部62は、受信部64、送信部66を含む。前述のごとく、端末装置10は、複数の基地局装置12のうちの1つの基地局装置12とチャネルを使用して通信する。
測位部50は、GPS(Global Positioning System)の測位機能を有し、端末装置10の位置を測位する。測位した結果である位置情報は、緯度と経度によって示される。測位部50は、位置情報を制御部60に出力する。制御部60は、通信部62に対して、基地局装置12へ位置登録要求を送信させる。その際、制御部60は、測位部50から入力した位置情報を位置登録要求に含めてもよい。
マイク54は、ユーザからの音声を受けつけ、音声を電気信号(以下、「音声信号」という)として処理部58に出力する。スピーカ56は、音声が示された電気信号(以下、これもまた「音声信号」という)を処理部58から入力し、音声を出力する。そのため、マイク54、スピーカ56は、ユーザが通話する際のインターフェイスに相当する。なお、ユーザとのインターフェイスとして、ユーザからの操作を受けつけるためのボタン等が含まれてもよいが、ここでは説明を省略する。
処理部58は、マイク54からの音声信号を入力するとともに、スピーカ56に音声信号を出力する。処理部58は、音声信号に対する音声信号処理を実行する。音声信号処理には公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。処理部58は、制御部60、通信部62とともに、通話のための無線通信を実行する。そのため、通信部62は、図示しない基地局装置12に信号を送信したり、受信したりする。
受信部64は、図示しないネットワーク14、基地局装置12を介して、管理装置16からのチャネル指示コマンドを受信する。前述のごとく、チャネル指示コマンドは、管理装置16において生成されており、本端末装置10に使用させたいチャネルの優先度に関する情報であるといえる。また、これは、複数の基地局装置12のそれぞれに対するパラメータであって、かつ各基地局装置12のチャネル不足を予想可能なパラメータに応じて生成されている。受信部64は、チャネル指示コマンドを制御部60に出力する。
制御部60は、受信部64からのチャネル指示コマンドを入力する。また、制御部60は、選択部52にスキャンを実行させるチャネルの優先度が示されたリスト(以下、「スキャンチャネルリスト」という)を記憶しており、入力したチャネル指示コマンドに応じて、スキャンチャネルリストを更新する。図6(a)−(d)は、制御部60に記憶されるスキャンチャネルリストのデータ構造を示す。図6(a)は、本端末装置10が第1基地局装置12aに接続されている場合のスキャンチャネルリストが示される。ここでは、第1基地局装置12aのチャネルである「チャネルA」だけが示されている。
図6(b)は、図4(a)に示されたチャネル指示コマンドに応じて更新したスキャンチャネルリストを示す。図6(a)における「チャネルA」が「チャネルB」に更新されている。なお、元々記憶されていた「チャネルA」を消去せずに、新たに指定された「チャネルB」よりも低い優先度にして、優先度(中)として「チャネルA」を保持してもよい。図6(c)は、図4(b)に示されたチャネル指示コマンドに応じて更新したスキャンチャネルリストを示す。図6(b)に対して、「優先度(中)」の「チャネルC」が追加されている。図6(d)は、図4(c)に示されたチャネル指示コマンドに応じて更新したスキャンチャネルリストを示す。図6(c)に対して、「優先度(低)」の「チャネルA」が追加されている。図5に戻る。
選択部52は、制御部60に記憶されたスキャンチャネルリストをもとにチャネルスキャン処理を実行する。具体的には、選択部52は、スキャンチャネルリストにおいて優先度の高い方のチャネルを優先的に設定する。選択部52は、設定したチャネルにおいて基地局装置12、例えば、第2基地局装置12bからの信号を受信した場合、そのときのチャネルを選択して制御部60に報告する。制御部60は、報告を受けつけると、第2基地局装置12bに対して位置登録要求を送信する。その後、端末装置10は、第2基地局装置12bのチャネルを使用しながら、第2基地局装置12bとの通信を実行する。その結果、第1基地局装置12aを使用している複数の端末装置10のうち、スキャンに成功した端末装置10は、第1基地局装置12aの代わりに第2基地局装置12bを使用して通信する。そのため、第1基地局装置12aのチャネル不足が発生する可能性が軽減される。
なお、端末装置10は、図4(b)−(c)に示されたチャネル指示コマンドを受信した場合、チャネルスキャンの実行とともに受信状態を計測して、更新したスキャンチャネルリストの中から、最も受信状態のよいチャネルを選択してもよい。あるいは、端末装置10は、優先度の高い順にスキャンし、その中で受信状態が所定のしきい値以上になる最初のチャネルを選択してもよい。このような処理によって、第1基地局装置12aを使用していた端末装置10の受信状態が向上し、通話品質も向上する。端末装置10は、リソースの優先度に関する情報(チャネル指示コマンド)に基づき、優先度の高いリソースが本当に使用できるか否かを判定し、その判定結果に応じて、使用するリソースを選択する動作を行う。そして、優先度の高いリソースが実際には使用できない場合は、それよりも優先度が低いリソースを対象にして同様の処理を繰り返し、使用するリソースを選択する動作を行う。
以上の構成による通信システム100の動作を説明する。図7は、通信システム100におけるスキャンチャネルリストの更新手順を示すシーケンス図である。第1端末装置10aは、第1基地局装置12aに位置登録要求を送信し(S10)、第1基地局装置12aは、第1端末装置10aにAckを送信する(S12)。第1基地局装置12aは、管理装置16に位置登録数を追加する(S14)。管理装置16では、第1基地局装置12aにおける位置登録数が許容値より大きくなる(S16)。
管理装置16は、第1基地局装置12aにチャネル指示コマンドを送信し(S18)、第1基地局装置12aは、管理装置16にAckを送信する(S20)。第1基地局装置12aは、第1端末装置10aにチャネル指示コマンドを送信する(S22)。第1端末装置10aは、スキャンチャネルリストを更新する(S24)。第1端末装置10aは、第1基地局装置12aにAckを送信する(S26)。
本実施例によれば、各基地局装置のチャネル不足を予想可能なパラメータをもとに、端末装置に使用させたいチャネルの優先度に関する情報を生成するので、通信を成立させやすいチャネルの優先度を高くできる。また、端末装置に使用させたいチャネルの優先度に関する情報を端末装置に通知するので、通信の成立しやすさを考慮した効率的なチャネルのスキャンを実行できる。また、通信の成立しやすさを考慮した効率的なチャネルのスキャンが実行されるので、チャネルスキャンに要する時間を短縮できる。また、各基地局装置のチャネル不足を予想可能なパラメータを適宜取得するので、環境の変動に応じて、端末装置に使用させたいチャネルの優先度に関する情報を生成できる。
また、各基地局装置における位置登録数を使用して、チャネルの優先度に関する情報を生成するので、処理を簡易にできる。また、位置登録数が許容値よりも大きくなった基地局装置に対して、チャネルの優先度に関する情報を生成するので、チャネル不足が発生してしまう可能性が高い基地局装置から別の基地局装置への移動を可能にできる。また、位置登録数と許容値との差に応じて、チャネルの優先度に関する情報を生成するので、構成の自由度を向上できる。また、許容値に対する位置登録数の割合に応じて、チャネルの優先度に関する情報を生成するので、構成の自由度を向上できる。
また、端末装置はチャネルの優先度に関する情報を受信すると、当該情報をもとにチャネルをスキャンするので、通信の成立しやすさを考慮した効率的なチャネルのスキャンを実行できる。また、実際の通信条件等を加味したチャネルスキャンがなされるので、通信を成立させやすくできる。また、管理装置側のみ設定すればよいので端末装置を回収してデータを書き直す作業を不要にできる。また、実際の状況に合わせて運用できる。また、端末装置と通信システムの通信プロトコルに影響せず、環境やデータをメンテナンスできる。
(実施例2)
次に、実施例2を説明する。実施例2も、実施例1と同様に、基地局装置が複数設置されているとともに、そのうちのいずれかに端末装置が接続して無線通信を実行する通信システムに関する。また、管理装置は、チャネル指示コマンドを生成し、基地局装置を介して端末装置に送信する。実施例1では、位置登録数に応じて、チャネル指示コマンドが生成される。一方、実施例2では、基地局装置のチャネルあたりの位置登録数に応じて、チャネル指示コマンドが生成される。実施例2に係る通信システム100、管理装置16、端末装置10は、図1、図2、図5と同様のタイプである。ここでは、実施例1との差異を中心に説明する。
図2の記憶部34は、図8に示すデータベースを記憶する。図8は、記憶部34に記憶されるデータベースのデータ構造を示す。位置登録数は、受信部36によって書き込まれる。また、基地局装置12のチャネル数、許容値は、予め入力されていればよい。そのため、1チャネルあたりの位置登録数は、位置登録数を基地局装置12のチャネル数で除算することによって導出される。図2に戻る。
取得部40は、図8に示されたデータベースから、各基地局装置12における1チャネルあたりの位置登録数を取得する。この1チャネルあたりの位置登録数も、複数の基地局装置12のそれぞれに対して、基地局装置12のチャネル不足を予想可能なパラメータである。図8に示されるように、第2基地局装置12bに対する1チャネルあたりの位置登録数が許容値を超えているので、生成部32は、第2基地局装置12bにおいてチャネル不足が発生してしまう可能性が高くなることを認識する。そのため、生成部32は、実施例1と同様に、チャネル指示コマンドを生成することによって、第2基地局装置12bから端末装置10にチャネル指示コマンドを送信させる。
その際、生成部32は、第2基地局装置12bに隣接した基地局装置12の中で、1チャネルあたりの位置登録数が最も少ない第1基地局装置12aを選択する。また、生成部32は、第1基地局装置12aのチャネルの優先度を最も高くする。これにより第2基地局装置12bに接続された端末装置10は、第1基地局装置12aのチャネルを優先的にスキャンする。その結果、第2基地局装置12bの負荷が軽減される。なお、通信システム100全体で算出される1チャネルあたりの位置登録数が許容値として利用されてもよい。これにより、各基地局装置12における負荷の度合いが均一に近くなる。
このように、生成部32は、取得部40において取得した1チャネルあたりの位置登録数に応じて、チャネルの優先度に関する情報を生成する。特に、生成部32は、取得部40において取得した1チャネルあたりの位置登録数が許容値よりも大きくなった基地局装置12に対して、チャネルの優先度に関する情報を生成する。
これまで、1チャネルあたりの位置登録数が少ない基地局装置12ほど、優先度が高くされているが、別の方法を用いてもよい。例えば、生成部32は、1チャネルあたりの位置登録数から許容値を引いた値、つまり1チャネルあたりの位置登録数と許容値との差分値が小さい基地局装置12ほど、優先度を高くしてもよい。また、生成部32は、1チャネルあたりの位置登録数を許容値で割った値、つまり許容値に対する1チャネルあたりの位置登録数の割合が小さい基地局装置12ほど、優先度を高くしてもよい。
本実施例によれば、各基地局装置における1チャネルあたりの位置登録数を使用して、チャネルの優先度に関する情報を生成するので、チャネル不足の予想精度を向上できる。また、1チャネルあたりの位置登録数が許容値よりも大きくなった基地局装置に対して、チャネルの優先度に関する情報を生成するので、チャネル不足が発生してしまう可能性が高い基地局装置から別の基地局装置への移動を可能にできる。また、1チャネルあたりの位置登録数と許容値との差に応じて、チャネルの優先度に関する情報を生成するので、構成の自由度を向上できる。また、許容値に対する1チャネルあたりの位置登録数の割合に応じて、チャネルの優先度に関する情報を生成するので、構成の自由度を向上できる。
(実施例3)
次に、実施例3を説明する。実施例3も、これまでと同様に、基地局装置が複数設置されているとともに、そのうちのいずれかに端末装置が接続して無線通信を実行する通信システムに関する。また、管理装置は、チャネル指示コマンドを生成し、基地局装置を介して端末装置に送信する。実施例1では、位置登録数に応じて、チャネル指示コマンドが生成される。一方、実施例3では、端末装置によるグループ通話を前提として、グループ登録数に応じて、チャネル指示コマンドが生成される。実施例3に係る通信システム100、管理装置16、端末装置10は、図1、図2、図5と同様のタイプである。ここでは、これまでとの差異を中心に説明する。
図1において、通信システム100が業務用無線システムに対応する場合、端末装置10における1対多通信であるグループ通話が広く使用される。端末装置10は、チャネルスキャン処理により基地局装置12からの信号を受信した場合、当該基地局装置12に対して位置登録要求を送信するとともに、グループ登録要求を送信する。基地局装置12は、位置登録要求およびグループ登録要求を受信した場合、端末装置10に対し、グループ通話を含めた使用許可を送信するとともに、位置登録数およびグループ登録数を保持する。基地局装置12は、ネットワーク14を介して管理装置16に位置登録数およびグループ登録数を送信する。
グループ通話の特徴は、1つの基地局装置12における同一グループの端末装置10によって1つのチャネルが使用されることである。そのため、基地局装置12を使用するグループ登録数が1つしかなければ、1つのチャネルだけが使用される。また、基地局装置12におけるグループ登録数が、基地局装置12のチャネル数以下である場合は、各グループに含まれる端末装置10の位置登録数が増加しても、基地局装置12におけるチャネルの負荷はそれほど高くはならない。一方、基地局装置12におけるグループ登録数が、基地局装置12のチャネル数よりも多い場合は、各グループに含まれる端末装置10の位置登録数の増加に伴い、チャネル不足が発生する可能性が高くなる。さらに、基地局装置12におけるグループ登録数が増加すれば、基地局装置12のチャネル不足が発生する可能性が高くなる。このことから、管理装置16は、グループ登録数を保持し、これを用いてチャネルの優先度に関する情報を生成する。
図2の記憶部34は、図9に示すデータベースを記憶する。図9は、記憶部34に記憶されるデータベースのデータ構造を示す。グループ登録数は、受信部36によって書き込まれる。また、許容値は、予め入力されていればよい。図2に戻る。取得部40は、図9に示されたデータベースから、グループ登録数を取得する。このグループ登録数も、複数の基地局装置12のそれぞれに対して、基地局装置12のチャネル不足を予想可能なパラメータである。
図9に示されるように、第1基地局装置12aのグループ登録数が許容値を超えているので、生成部32は、第1基地局装置12aにおいてチャネル不足が発生してしまう可能性が高くなることを認識する。そのため、生成部32は、これまでと同様に、チャネル指示コマンドを生成することによって、第1基地局装置12aから端末装置10にチャネル指示コマンドを送信させる。
その際、生成部32は、第1基地局装置12aに隣接した基地局装置12の中で、グループ登録数が最も少ない第2基地局装置12bを選択する。また、生成部32は、第2基地局装置12bのチャネルの優先度を最も高くする。これにより第1基地局装置12aに接続された端末装置10は、第2基地局装置12bのチャネルを優先的にスキャンする。その結果、第1基地局装置12aの負荷が軽減される。なお、図9に示される許容値は、システム管理者が任意に決定して入力するか、変化するグループ登録数に応じて自動的に変更させてもよい。
このように、生成部32は、取得部40において取得したグループ登録数に応じて、チャネルの優先度に関する情報を生成する。特に、生成部32は、取得部40において取得したグループ登録数が許容値よりも大きくなった基地局装置12に対して、チャネルの優先度に関する情報を生成する。
これまで、グループ登録数が少ない基地局装置12ほど、優先度が高くされているが、別の方法を用いてもよい。例えば、生成部32は、グループ登録数から許容値を引いた値、つまりグループ登録数と許容値との差分値が小さい基地局装置12ほど、優先度を高くしてもよい。また、生成部32は、グループ登録数を許容値で割った値、つまり許容値に対するグループ登録数の割合が小さい基地局装置12ほど、優先度を高くしてもよい。
本実施例によれば、各基地局装置におけるグループ登録数を使用して、チャネルの優先度に関する情報を生成するので、グループ通話におけるチャネル不足の予想精度を向上できる。すなわち、通信の成立しやすさに関する予測精度を向上できる。また、グループ登録数が許容値よりも大きくなった基地局装置に対して、チャネルの優先度に関する情報を生成するので、チャネル不足が発生してしまう可能性が高い基地局装置から別の基地局装置への移動を可能にできる。また、グループ登録数と許容値との差に応じて、チャネルの優先度に関する情報を生成するので、構成の自由度を向上できる。また、許容値に対するグループ登録数の割合に応じて、チャネルの優先度に関する情報を生成するので、構成の自由度を向上できる。
(実施例4)
次に、実施例4を説明する。実施例4も、これまでと同様に、基地局装置が複数設置されているとともに、そのうちのいずれかに端末装置が接続して無線通信を実行する通信システムに関する。また、管理装置は、チャネル指示コマンドを生成し、基地局装置を介して端末装置に送信する。実施例3では、グループ登録数に応じて、チャネル指示コマンドが生成される。一方、実施例4では、基地局装置のチャネルあたりのグループ登録数に応じて、チャネル指示コマンドが生成される。実施例3に係る通信システム100、管理装置16、端末装置10は、図1、図2、図5と同様のタイプである。ここでは、これまでとの差異を中心に説明する。
図2の記憶部34は、図10に示すデータベースを記憶する。図10は、記憶部34に記憶されるデータベースのデータ構造を示す。グループ登録数は、受信部36によって書き込まれる。また、基地局装置12のチャネル数、許容値は、予め入力されていればよい。ここでは、通信システム100全体として、許容値が「7」とされている。1チャネルあたりのグループ登録数は、グループ登録数を基地局装置12のチャネル数で除算することによって導出される。図2に戻る。
取得部40は、図10に示されたデータベースから、各基地局装置12における1チャネルあたりのグループ登録数を取得する。この1チャネルあたりのグループ登録数も、複数の基地局装置12のそれぞれに対して、基地局装置12のチャネル不足を予想可能なパラメータである。図10に示されるように、第2基地局装置12bに対する1チャネルあたりのグループ登録数が許容値を超えているので、生成部32は、第2基地局装置12bにおいてチャネル不足が発生してしまう可能性が高くなることを認識する。そのため、生成部32は、これまでと同様に、チャネル指示コマンドを生成することによって、第2基地局装置12bから端末装置10にチャネル指示コマンドを送信させる。
その際、生成部32は、第2基地局装置12bに隣接した基地局装置12の中で、1チャネルあたりのグループ登録数が最も少ない第1基地局装置12aを選択する。また、生成部32は、第1基地局装置12aのチャネルの優先度を最も高くする。これにより第2基地局装置12bに接続された端末装置10は、第1基地局装置12aのチャネルを優先的にスキャンする。その結果、第2基地局装置12bの負荷が軽減される。なお、通信システム100全体で算出される1チャネルあたりのグループ登録数が許容値として利用されてもよい。これにより、各基地局装置12における負荷の度合いが均一に近くなる。
さらに、図10で示される各端末装置10または通信システム100全体の1チャネルあたりのグループ登録数が、「1」と等しくなる場合、グループ登録数と使用可能なチャネル数が等しくなる。そのため、チャネル不足が発生しない基地局装置12または通信システム100になる。通信システム100全体の1チャネルあたりのグループ登録数が、「1」以下である場合、各基地局装置12の許容値を「1」に設定したり、または自動的に「1」に変更したりしてもよい。これにより、1チャネルあたりのグループ登録数が、許容値を超えた基地局装置12はチャネル指示コマンドを管理装置16から受信するので、通信システム100全体として、チャネル不足が発生しない状態になるように動作する。
このように、生成部32は、取得部40において取得した1チャネルあたりのグループ登録数に応じて、チャネルの優先度に関する情報を生成する。特に、生成部32は、取得部40において取得した1チャネルあたりのグループ登録数が許容値よりも大きくなった基地局装置12に対して、チャネルの優先度に関する情報を生成する。
これまで、1チャネルあたりのグループ登録数が少ない基地局装置12ほど、優先度が高くされているが、別の方法を用いてもよい。例えば、生成部32は、1チャネルあたりのグループ登録数から許容値を引いた値、つまり1チャネルあたりのグループ登録数と許容値との差分値が小さい基地局装置12ほど、優先度を高くしてもよい。また、生成部32は、1チャネルあたりのグループ登録数を許容値で割った値、つまり許容値に対する1チャネルあたりのグループ登録数の割合が小さい基地局装置12ほど、優先度を高くしてもよい。
本実施例によれば、各基地局装置における1チャネルあたりのグループ登録数を使用して、チャネルの優先度に関する情報を生成するので、グループ通話におけるチャネル不足の予想精度をさらに向上できる。また、1チャネルあたりのグループ登録数が許容値よりも大きくなった基地局装置に対して、チャネルの優先度に関する情報を生成するので、チャネル不足が発生してしまう可能性が高い基地局装置から別の基地局装置への移動を可能にできる。また、1チャネルあたりのグループ登録数と許容値との差に応じて、チャネルの優先度に関する情報を生成するので、構成の自由度を向上できる。また、許容値に対する1チャネルあたりのグループ登録数の割合に応じて、チャネルの優先度に関する情報を生成するので、構成の自由度を向上できる。
(実施例5)
次に、実施例5を説明する。実施例5も、これまでと同様に、基地局装置が複数設置されているとともに、そのうちのいずれかに端末装置が接続して無線通信を実行する通信システムに関する。また、管理装置は、チャネル指示コマンドを生成し、基地局装置を介して端末装置に送信する。これまでは、位置登録数、グループ登録数等に応じて、チャネル指示コマンドが生成される。一方、実施例5では、基地局装置の混雑度を示す指標を算出し、その指標に応じて、チャネル指示コマンドが生成される。実施例5に係る通信システム100、端末装置10は、図1、図5と同様のタイプである。ここでは、これまでとの差異を中心に説明する。
図11は、本発明の実施例5に係る管理装置16の構成を示す。管理装置16は、図2の構成における生成部32に指標算出部42がさらに含まれる。取得部40は、基地局装置12の位置登録数、基地局装置12のグループ登録数、基地局装置12のチャネル数を図8および図10に示す各々のデータベースから取得する。指標算出部42は、取得されたデータに基づいて、混雑度を示す指標を基地局装置12ごとに導出する。指標算出部42は、式(1)または式(2)にしたがって、第i基地局装置12iの混雑度を示す指標Z[i]を算出する。
式(1)において、N[i]は第i基地局装置12iにおける位置登録数であり、G[i]は第i基地局装置12iにおけるグループ登録数であり、C[i]は第i基地局装置12iのチャネル数である。また、α1、α2は、「0」以上の定数であり、少なくとも一方は「0」より大きい。γ1、γ2は、0より大きい定数である。式(1)は、α1、α2を重み係数として、1チャネルあたりの位置登録数と、1チャネルあたりのグループ登録数を加重平均しているといえる。1チャネルあたりの位置登録数が多く、かつ1チャネルあたりのグループ登録数が多いほど、混雑度Z[i]は大きな値となる。グループ通話の場合、基本的にはグループ登録数が多いほど、チャネル不足の可能性が高くなるが、グループ登録数が同程度である基地局装置12を比べた場合、位置登録数が多いほど、チャネル不足の可能性が高くなるといえる。したがって、混雑度Z[i]を算出することにより、チャネル不足の予想を高い精度で行うことができる。またγ1、γ2を調整することにより、位置登録数とグループ登録数という2つの要素が、混雑度に及ぼす影響力を調整することができる。また、γ1=γ2=1として、べき乗演算を行わないようにしてもよい。
式(2)において、μ1、μ2は、「0」以上の定数であり、少ないとも一方は「0」より大きい。またμ1、μ2を調整することにより、位置登録数とグループ登録数という2つの要素が、混雑度に及ぼす影響力を調整することができる。また、μ1=μ2=1として、べき乗演算を行わないようにしてもよい。
混雑度Z[i]の値が大きいと、例えば、端末装置10が発呼した場合に、空きチャネルがない等の理由により、端末装置10と基地局装置12間の通信が成立しない可能性が高い。一方、混雑度Z[i]の値が小さい基地局装置12ほど、端末装置10と基地局装置12間の通信が成立する可能性が高いといえる。このため、混雑度Z[i]が小さいほど、第i基地局装置12iのチャネルに関するチャネルスキャンの優先度を高く設定すればよい。そのため、生成部32は、指標算出部42において算出した指標に応じて、チャネルの優先度に関する情報を生成する。なお、本実施例では、指標算出部42が指標を算出したが、他の方法を用いることもできる。例えば、各基地局装置12または他の装置が、各基地局装置12の混雑度を示す指標を算出し、取得部40がその指標を取得するようにしてもよい。その場合は、管理装置16の指標算出部42を省略することができる。
本実施例によれば、各基地局装置の混雑度を示す指標を生成するので、チャネル不足の予想精度をさらに向上できる。すなわち、通信の成立しやすさに関する予測精度をさらに向上できる。また、各基地局装置の混雑度を示す指標に応じて、チャネルの優先度に関する情報を生成するので、システム全体のチャネルを有効に利用でき、通信が成立しやすい通信システムを提供できる。
(実施例6)
次に、実施例6を説明する。実施例6も、これまでと同様に、基地局装置が複数設置されているとともに、そのうちのいずれかに端末装置が接続して無線通信を実行する通信システムに関する。また、管理装置は、チャネル指示コマンドを生成し、基地局装置を介して端末装置に送信する。実施例5では、基地局装置の混雑度を示す指標を算出し、その指標に応じて、チャネル指示コマンドが生成される。実施例6では、端末装置10の受信電力に関するデータを使用して、チャネル指示コマンドが生成される。実施例6に係る通信システム100、管理装置16、端末装置10は、図1、図11、図5と同様のタイプである。ここでは、これまでとの差異を中心に説明する。
実施例6における端末装置10、基地局装置12、管理装置16の処理のシーケンスは、これまでと異なるので、ここでは、構成の前に動作を説明する。図12は、通信システム100におけるスキャンチャネルリストの更新手順を示すシーケンス図である。管理装置16は、第1基地局装置12aにエリア取得要求を送信し(S50)、第1基地局装置12aは、第1端末装置10aにエリア取得要求を送信する(S52)。エリアは、これまでの通信可能エリア20よりも小さくなるように規定された領域であり、詳細は後述する。
第1端末装置10aは、第1基地局装置12aに位置情報を送信し(S54)、第1基地局装置12aは、管理装置16にエリア情報更新を送信する(S56)。管理装置16は、第1端末装置10aが存在するエリアに関する情報を第1端末装置10aに保存させるために、エリア情報保存要求を第1基地局装置12aに送信し(S58)、第1基地局装置12aは、第1端末装置10aにエリア情報保存要求を送信する(S60)。第1端末装置10aは、エリア情報を保存する(S62)。
管理装置16は、第1基地局装置12aにチャネル指示コマンドを送信し(S64)、第1基地局装置12aは、管理装置16にAckを送信する(S66)。第1基地局装置12aは、第1端末装置10aにチャネル指示コマンドを送信する(S68)。第1端末装置10aは、エリアを判定し(S70)、スキャンチャネルリストを更新する(S72)。第1端末装置10aは、第1基地局装置12aにAckを送信する(S74)。
このような動作において、端末装置10は、位置情報を送信する際に、受信しているチャネルと受信状態(電界強度、受信電力など)も合わせて基地局装置12に送信する。基地局装置12または管理装置16は、端末装置10からの位置情報、チャネル、受信状態をデータベースに記憶する。図13は、記憶部34に記憶されるデータベースのデータ構造を示す。図示のごとく、位置情報、チャネル、受信状態が、日時およびエリアコードに対応させて記憶される。なお、端末装置10から受信した情報をもとにデータベースを作成するのではなく、事前に計測を行ってデータベースが作成されてもよい。また、実測ではなく、基地局装置12からの距離や地形を考慮したレイトレーシング等のシミュレーションによって、各地点の電界強度または受信電力を推定することによって、データベースが作成されてもよい。
図13に示されたエリアコードは、前述のエリアを識別するためのコードである。図14は、管理装置16において定義されるエリアの構成を示す。前述の第1通信可能エリア20aから第3通信可能エリア20cの中に、「エリアA−1」等のエリアが定義される。つまり、エリアは、通信可能エリア20を細分化した領域であるといえる。ここで、「エリアA−1」における「A−1」がエリアコードに相当する。
図12において、第1端末装置10aは、位置情報を第1基地局装置12aに送信し、第1基地局装置12aは、位置情報およびエリア情報(エリアコード)を管理装置16に送信する。管理装置16の指標算出部42は、図13に示したデータベースを参照して、エリアコードが受信したエリアコードに一致する行を選択し、それらのデータを対象に、チャネルごとの受信電力の平均値を算出する。さらに、生成部32は、受信電力の平均値が大きい順に、チャネルの優先度を設定する。すなわち、受信電力の平均値が最も大きいチャネルの優先度を「1」、2番目に大きいチャネルの優先度を「2」とする。
ここでは、このような処理を図14を使用しながらさらに詳細に説明する。図14において、端末装置10は、エリアC−1に位置しており、3つの基地局装置12を使用可能である。また、図13に示されたデータベースには、エリアC−1に関して、3つのデータが格納されている。この場合、チャネルA、B、Cに対して、1つずつしかデータが存在しないので、受信電力の平均値は、データベースに含まれた値そのものとなり、チャネルAが「−115」、チャネルBが「−120」、チャネルCが「−100」となる。生成部32は、受信電力が最大となるチャネルCを第1優先チャネルとして選択し、これを格納したチャネル指示コマンドを生成する。また、次に受信電力が大きいチャネルAを第2優先チャネルとして選択し、第1優先チャネルと第2優先チャネルとを格納したチャネル指示コマンドを生成してもよい。図15(a)−(b)は、通信システム100において送受信される信号のフォーマットを示す。図15(a)−(b)は、図4(a)−(b)に対応するように示される。
以下では、受信電力と、実施例5の混雑度とを用いて、チャネルの優先度を決定する方法を説明する。例えば、端末装置10がエリアC−1に位置する場合、指標算出部42は、チャネルA、B、Cに対応する第1基地局装置12aから第3基地局装置12cの混雑度Z[i](i=1〜3)を実施例5で述べた方法で算出する。次に、上述の説明と同様に、指標算出部42は、チャネルごとの受信電力の平均値を算出する。なお、本実施例では、説明を簡潔にするため、1つのチャネルが1つの基地局装置12に対応しており、第i基地局装置12iのチャネルの受信電力の平均値がP[i]で表され、P[i]の値は常にマイナスであり、その絶対値が小さいほど受信電力が大きいことを示すものとする。指標算出部42は、混雑度および受信電力を用いて、式(3)または式(4)にしたがって、第i基地局装置12i(チャネルi)に関する指標S[i]を算出する。
つまり、指標算出部42において算出される指標は、端末装置10における受信電力も反映された指標である。ここで、式(3)において、β1、β2は「0」以上の定数であり、少なくとも一方は「0」より大きい。λ1、λ2は、「0」より大きい定数である。式(3)によれば、混雑度が小さいほど、かつ受信電力が大きいほど、指標S[i]は小さな値となる。また、式(4)において、θ1、θ2は、「0」以上の定数であり、少ないとも一方は「0」より大きい。式(4)によれば、混雑度が小さいほど、かつ受信電力が大きいほど、指標S[i]は小さな値となる。また、指標S[i]が小さい順にチャネルの優先度を高くする。すなわち、指標S[i]が最も小さいチャネルの優先度を「1」、2番目に小さいチャネルの優先度を「2」とする。なお、本実施例では、指標算出部42が指標を算出したが、他の方法を用いることもできる。例えば、各基地局装置または他の装置が、各基地局装置の混雑度を示す指標を算出し、取得部40がその指標を取得するようにしてもよい。その場合は、管理装置16の指標算出部42を省略することができる。
本実施例によれば、端末装置における受信電力も指標に反映させるので、通信の成立しやすさに関する予測精度をさらに向上できる。また、受信電力も反映された指標に応じて、チャネルの優先度に関する情報を生成するので、システム全体のチャネルを有効に利用でき、通信が成立しやすい通信システムを提供できる。
(実施例7)
次に、実施例7を説明する。実施例7も、これまでと同様に、基地局装置が複数設置されているとともに、そのうちのいずれかに端末装置が接続して無線通信を実行する通信システムに関する。また、管理装置は、チャネル指示コマンドを生成し、基地局装置を介して端末装置に送信する。実施例7は、実施例1の変形例に相当する。実施例1では、位置登録数に応じて、チャネル指示コマンドが生成される。一方、実施例7では、ビジー数に応じて、チャネル指示コマンドが生成される。
このような実施例7の課題は、次のように示される。距離によるチャネル割当てでは、基地局装置を使用する端末装置の数が増加したことによって、基地局装置のチャネル不足が発生してしまうケースを考慮できない。一方、情報を端末装置で持っている場合、基地局装置の配置などが変化したときに端末装置のデータを更新する必要がある。すなわち、端末装置と基地局装置間の通信が成立する確率は、その時々の状況によって動的に変化するが、従来は、通信の成立しやすさを十分に考慮した効率的なチャネルスキャンがなされていない。また、ある基地局装置で通話が多い状態が続き、基地局装置のチャネルが多く使用されているときに、さらに別の端末装置から通話要求があると、その基地局装置のチャネル不足によって通話チャネルが割り当てられない状態(「以下、「ビジー」という)が発生する。このような場合、当該端末装置は、隣接する基地局装置を使用できるケースも存在するが、通信の成立しやすさを十分に考慮した効率的なチャネルスキャンがなされないために、通話ができない状態に陥る。実施例7では、実施例1との差異を中心に説明する。
実施例7に係る通信システム100は、図1と同様に示される。基地局装置12は、端末装置10からの位置登録要求を受信した場合、端末装置10に対して使用許可を送信する。これによって、例えば、第1端末装置10aと第1基地局装置12aが接続され、第1基地局装置12aに設定されたチャネルが、第1端末装置10aと第1基地局装置12aとに使用される。一方、基地局装置12は、端末装置10からの通話要求を受けても、端末装置10が通話で使用するチャネルが不足していた場合、端末装置10に対し、使用不許可を送信する。その際、基地局装置12は、チャネル不足をビジー発生としてカウントする。ビジー発生回数(以下、「ビジー発生数」という)は管理装置16で保持されてもよい。
管理装置16は、単位時間あたりのビジー発生数の許容値を超えた基地局装置12に対して、当該基地局装置12に隣接した他の基地局装置12の中で、単位時間あたりのビジー発生数の許容値を超えず、かつ最も少ない単位時間あたりのビジー発生数の他の基地局装置12のチャネルを選択する。また、管理装置16は、選択したチャネルに端末装置10のチャネルを変更させるためのチャネル指示コマンドを基地局装置12に送信させる。チャネル指示コマンドを受信した端末装置10は、チャネル指示コマンドに応じてチャネルスキャンを実行する。
実施例7に係る管理装置16は、図2と同様に示される。受信部36は、各基地局装置12からのビジー発生数を受信する。受信部36は、ビジー発生数を記憶部34に記憶させる。記憶部34は、図3(a)の代わりに、図16に示すデータベースを記憶する。また、記憶部34は、図3(b)−(c)に示すデータベースも記憶する。図16は、本発明の実施例7に係る記憶部34に記憶されるデータベースのデータ構造を示す。図16は、各基地局装置12に対する単位時間(例えば、1時間)あたりのビジー発生数、許容値を示すデータベースである。単位時間あたりのビジー発生数は、各基地局装置12のチャネル数および、各基地局装置12を利用する端末装置10の通話頻度に伴って変化する。単位時間あたりのビジー発生数は、受信部36により書き込まれる。一方、許容値は、単位時間あたりのビジー発生の上限しきい値に相当する。図2に戻る。
取得部40は、図16に示されたデータベースから、各基地局装置12のビジー発生数を取得する。図16に示されるように、第1基地局装置12aのビジー発生数「10」が許容値「5」を超えているので、生成部32は、第1基地局装置12aにおけるチャネル不足を認識する。また、生成部32は、図3(b)に示されたデータベースより、第1基地局装置12aに隣接した基地局装置12である第2基地局装置12b(ビジー発生数「2」)、第3基地局装置12c(ビジー発生数「5」)の中から、ビジー発生数が最も少ない第2基地局装置12bを選択する。さらに、生成部32は、図3(c)に示されたデータベースより、選択した第2基地局装置12bのチャネルBを選択する。これに続いて、生成部32は、選択したチャネルが含まれたチャネル指示コマンドを生成する。
このように、生成部32は、取得部40において取得したパラメータであるビジー発生数に応じて、複数の基地局装置12のうちの1つに接続された端末装置10に使用させたいチャネルの優先度に関する情報を生成する。特に、生成部32は、位置登録数が許容値よりも大きくなった基地局装置12に対して、チャネルの優先度に関する情報を生成する。ここで、ビジー発生数は、ビジー数とも呼ばれ、各基地局装置12において通信が成立しなかった回数に相当する。
これまでの説明では、ビジー発生数が少ない基地局装置12ほど、優先度が高くされているが、別の方法を用いてもよい。例えば、生成部32は、ビジー発生数から許容値を引いた値、つまりビジー発生数と許容値との差分値(ビジー発生数−許容値)が小さい基地局装置12ほど、優先度を高くしてもよい。ビジー発生数が許容値よりも小さければ、この差分値は、マイナスの値となる。また、生成部32は、ビジー発生数を許容値で割った値、つまり許容値に対するビジー発生数の割合(ビジー発生数/許容値)が小さい基地局装置12ほど、優先度を高くしてもよい。例えば、第1基地局装置12aのビジー発生数が10、第2基地局装置12bのビジー発生数が5、第3基地局装置12cのビジー発生数が7であり、それぞれの許容値が、5、3、6である場合、ビジー発生数の許容値に対するビジー発生数の割合は各々、「2」、「1.67」、「1.17」となる。その結果、第3基地局装置12cのチャネルの優先度が「1」で最も高く、第2基地局装置12bの優先度が「2」、第1基地局装置12aの優先度が「3」となる。
また、第1基地局装置12aだけでなく、第2基地局装置12bまたは第3基地局装置12cにおいてもビジー発生数が許容値を超えてしまった場合、ほとんどの基地局装置12、あるいはすべての基地局装置12でチャネル不足が発生していることになる。すべて基地局装置12が許容値を超えてしまった場合も、ほとんどの基地局装置12、あるいはすべての基地局装置12でチャネル不足が発生していることになる。前述したビジー発生数と許容値との差分値、あるいは許容値に対するビジー発生数の割合で選択した各基地局装置12の優先チャネルを図4(c)のようなチャネル指示コマンドに対応する指示コマンドとして通知してもよい。
なお、上述の説明では、チャネルごとの優先度を指定する形式のチャネル指示コマンドを使用したが、他の形式のチャネル指示コマンドを使用してもよい。例えば、端末装置10に設定されているスキャンチャネルリストを基準にして、優先度の相対的な変化を指定するチャネル指示コマンドを使用してもよい。図17(a)−(c)は、本発明の実施例7に係る通信システム100において送受信される信号のフォーマットを示す。
例えば、端末装置10に設定されているスキャンチャネルリストが「第1優先=チャネルB、第2優先=チャネルC、第3優先=チャネルA」である状態で、図17(a)に示すコマンドを受信した場合を想定する。この場合、第3優先のチャネルAの順位を優先度の高い方向に1つ上げて、「第1優先=チャネルB、第2優先=チャネルA、第3優先=チャネルC」とする。なお、同じ順位に2つのチャネル(第2優先=チャネルA,チャネルC)が並ぶ場合は、チャネル指示コマンドで指定されたチャネル(チャネルA)を採用し、他のチャネルの順位を下げる。
上記の状態で、図17(b)に示すコマンドを受信した場合、第1優先のチャネルBの順位を優先度の低い方向に1つ下げ、その移動先の第2優先に指定されていたチャネルCを1つ上げて、「第1優先=チャネルC、第2優先=チャネルB、第3優先=チャネルA」とする。上記の状態で、図17(c)に示すコマンドを受信した場合、第1優先のチャネルBの順位を2つ下げ、第3優先のチャネルAの順位を2つ上げて、「第1優先=チャネルA、第2優先=チャネルC、第3優先=チャネルB」とする。つまり、端末装置10に設定されているチャネルスキャン優先度を基準にして、それとの相対変化を指示するチャネル指示コマンドが使用される。
本実施例によれば、各基地局装置におけるビジー発生数を使用して、チャネルの優先度に関する情報を生成するので、チャネルの優先度に関する情報の精度を向上できる。また、各基地局装置におけるビジー発生数を使用して、チャネルの優先度に関する情報を生成するので、処理を簡易にできる。また、ビジー発生数が許容値よりも大きくなった基地局装置に対して、チャネルの優先度に関する情報を生成するので、チャネル不足が発生してしまう可能性が高い基地局装置から別の基地局装置への移動を可能にできる。また、ビジー発生数と許容値との差に応じて、チャネルの優先度に関する情報を生成するので、構成の自由度を向上できる。また、許容値に対するビジー発生数の割合に応じて、チャネルの優先度に関する情報を生成するので、構成の自由度を向上できる。また、端末装置に設定されているチャネルスキャン優先度を基準にして、それとの相対変化を指示するチャネル指示コマンドを使用するので、構成の自由度を向上できる。
(実施例8)
次に、実施例8を説明する。実施例8も、これまでと同様に、基地局装置が複数設置されているとともに、そのうちのいずれかに端末装置が接続して無線通信を実行する通信システムに関する。また、管理装置は、チャネル指示コマンドを生成し、基地局装置を介して端末装置に送信する。実施例8は、実施例2の変形例に相当する。実施例2では、基地局装置のチャネルあたりの位置登録数に応じて、チャネル指示コマンドが生成される。一方、実施例8では、単位時間における1チャネルあたりの平均ビジー発生数に応じて、チャネル指示コマンドが生成される。実施例8では、実施例2との差異を中心に説明する。
図2の記憶部34は、図18に示すデータベースを記憶する。図18は、本発明の実施例8に係る記憶部34に記憶されるデータベースのデータ構造を示す。単位時間あたりのビジー発生数は、受信部36によって書き込まれる。また、基地局装置12のチャネル数、許容値は、予め入力されていればよい。1チャネルあたりの平均ビジー発生数は、単位時間あたりのビジー発生数を基地局装置12のチャネル数で除算することによって導出される。なお、単位時間あたりのビジー発生上限しきい値である許容値は、システム管理者が任意に決定して入力してもよく、変化するビジー発生数に応じて自動的に変更させてもよい。図2に戻る。
取得部40は、図18に示されたデータベースから、各基地局装置12における1チャネルあたりの平均ビジー発生数を取得する。図18に示されるように、第2基地局装置12bに対する1チャネルあたりの平均ビジー発生数が許容値を超えているので、生成部32は、第2基地局装置12bにおいてチャネル不足が発生してしまう可能性が高くなることを認識する。そのため、生成部32は、チャネル指示コマンドを生成することによって、第2基地局装置12bから端末装置10にチャネル指示コマンドを送信させる。
その際、生成部32は、第2基地局装置12bに隣接した基地局装置12の中で、1チャネルあたりの平均ビジー発生数が最も少ない第1基地局装置12aを選択する。また、生成部32は、第1基地局装置12aのチャネルの優先度を最も高くする。これにより第2基地局装置12bに接続された端末装置10は、第1基地局装置12aのチャネルを優先的にスキャンする。その結果、第2基地局装置12bの負荷が軽減される。なお、通信システム100全体で算出される1チャネルあたりの平均ビジー発生数が許容値として利用されてもよい。これにより、各基地局装置12における負荷の度合いが均一に近くなる。
このように、生成部32は、取得部40において取得した1チャネルあたりのビジー発生数に応じて、チャネルの優先度に関する情報を生成する。特に、生成部32は、取得部40において取得した1チャネルあたりのビジー発生数が許容値よりも大きくなった基地局装置12に対して、チャネルの優先度に関する情報を生成する。
これまで、1チャネルあたりの平均ビジー発生数が少ない基地局装置12ほど、優先度が高くされているが、別の方法を用いてもよい。例えば、生成部32は、1チャネルあたりの平均ビジー発生数から許容値を引いた値、つまり1チャネルあたりの平均ビジー発生数と許容値との差分値が小さい基地局装置12ほど、優先度を高くしてもよい。また、生成部32は、1チャネルあたりの平均ビジー発生数を許容値で割った値、つまり許容値に対する1チャネルあたりの平均ビジー発生数の割合が小さい基地局装置12ほど、優先度を高くしてもよい。
本実施例によれば、各基地局装置における1チャネルあたりの平均ビジー発生数を使用して、チャネルの優先度に関する情報を生成するので、チャネル不足の予想精度を向上できる。また、1チャネルあたりの平均ビジー発生数が許容値よりも大きくなった基地局装置に対して、チャネルの優先度に関する情報を生成するので、チャネル不足が発生してしまう可能性が高い基地局装置から別の基地局装置への移動を可能にできる。また、1チャネルあたりの平均ビジー発生数と許容値との差に応じて、チャネルの優先度に関する情報を生成するので、構成の自由度を向上できる。また、許容値に対する1チャネルあたりの平均ビジー発生数の割合に応じて、チャネルの優先度に関する情報を生成するので、構成の自由度を向上できる。
(実施例9)
次に、実施例9を説明する。実施例9も、これまでと同様に、基地局装置が複数設置されているとともに、そのうちのいずれかに端末装置が接続して無線通信を実行する通信システムに関する。また、管理装置は、チャネル指示コマンドを生成し、基地局装置を介して端末装置に送信する。実施例9は、実施例5の変形例に相当する。実施例5では、基地局装置の混雑度を示す指標を位置登録数を使用しながら算出し、その指標に応じて、チャネル指示コマンドが生成される。一方、実施例9では、基地局装置の混雑度を示す指標をビジー発生数を使用しながら算出し、その指標に応じて、チャネル指示コマンドが生成される。実施例9では、実施例5との差異を中心に説明する。
実施例9に係る管理装置16は、図11と同様に示される。取得部40は、基地局装置12のビジー発生数、基地局装置12の位置登録数、基地局装置12のチャネル数を図18、図8に示す各々のデータベースから取得する。指標算出部42は、取得されたデータに基づいて、混雑度を示す指標を基地局装置12ごとに導出する。指標算出部42は、式(5)または式(6)にしたがって、第i基地局装置12iの混雑度を示す指標Z[i]を算出する。
式(5)において、B[i]は第i基地局装置12iにおける単位時間あたりのビジー発生数であり、D[i]は第i基地局装置12iに登録された端末装置10の数であり、C[i]は第i基地局装置12iのチャネル数である。式(5)は、α1、α2を重み係数として、1チャネルあたりのビジー発生数と、1チャネルあたりの位置登録数を加重平均しているといえる。1チャネルあたりのビジー発生数が多く、かつ1チャネルあたりの位置登録数が多いほど、混雑度Z[i]は大きな値となる。またγ1、γ2を調整することにより、ビジー発生数と位置登録数という2つの要素が、混雑度に及ぼす影響力を調整することができる。式(6)は、式(5)と同様に示される。
また、式(5)および式(6)において、第i基地局装置12iに登録された端末装置10の数D[i]の代わりに、第i基地局装置12iに登録されたグループ数G[i]を用いてもよい。この場合は、1チャネルあたりのビジー発生数が多く、かつ1チャネルあたりのグループ数が多いほど、混雑度Z[i]は大きな値となる。グループ通話が多い無線システムでは、グループ数G[i]を用いるのがよい。また、1チャネルあたりのビジー発生数と、1チャネルあたりの位置登録数と、1チャネルあたりのグループ数の3つの要素を用いて、混雑度を算出してもよい。式(5)と同様に、3つの要素の重み付き加算値を算出してもよい。また、式(6)と同様に、3つの要素の乗算値を算出してもよい。
また、端末装置10の位置における電界強度あるいは端末装置10の受信電力を考慮して、チャネルの優先度を決定してもよい。例えば、基地局装置12を移動させる候補の端末装置10の位置における電界強度が大きいほど、大きな値となる指標を基地局装置12ごとに算出し、その指標が大きいほど、チャネルの優先度を高くする。例えば、第1基地局装置12aに登録されている第1端末装置10aおよび第2端末装置10bを第2基地局装置12bまたは第3基地局装置12cに移動させる場合を想定する。なお、説明を明瞭にするために、ここでは、第1端末装置10aを端末装置Aと示し、第2端末装置10bを端末装置Bと示す。
端末装置Aの位置における第2基地局装置12bの電界強度をE(2,A)、第3基地局装置12cの電界強度をE(3,A)とする。また、端末装置Bの位置における第2基地局装置12bの電界強度をE(2,B)、第3基地局装置12cの電界強度をE(3,B)とする。基地局装置12ごとに移動候補の端末装置10の電界強度の合計を算出し指標とする。第2基地局装置12bの指標S[2]は、S[2]=E(2,A)+E(2,B)であり、第3基地局装置12cの指標S[3]は、S[3]=E(3,A)+E(3,B)である。なお、各端末装置10の位置における電界強度(受信電力)の合計を算出する他に、平均値、中央値などの代表値を算出し、それを用いて指標を算出してもよい。すなわち、複数の端末装置10の位置における電界強度(受信電力)を集約した値を算出し、それを用いて指標を算出してもよい。また、移動候補の端末装置10の電界強度(受信電力)の最小値または下位X%に相当する値を、基地局装置12ごとに算出し、それを用いて指標を算出してもよい。
ここで下位X%に相当する値とは、電界強度の高い順に端末装置10を並べた場合に、下位X%の順位に該当する端末装置10の電界強度である。最小値を使う場合は、E(2,A)< E(2,B)であるとすると、S[2]=E(2,A)となる。E(3,A)> E(3,B)であるとすると、S[3]=E(3,B)となる。そして、S[2]>S[3]であるとすると、第2基地局装置12bのチャネルスキャン優先度を第3基地局装置12cよりも高くする。なお、各位置における電界強度(受信電力)のデータは、端末装置10から位置情報と受信電力の情報を逐次受信し、それを利用すればよい。あるいは、過去に端末装置10などの計測装置から受信した情報を蓄積し、各地点の電界強度を示すデータベースを作成し、それを用いてもよい。また、実測ではなく、基地局装置12からの距離や地形を考慮したシミュレーションによって、各地点の電界強度または受信電力を推定し、各地点の電波状況を示すデータベースを作成してもよい。
また、混雑度と電界強度の両方を考慮した指標を算出し、それに応じてチャネルの優先度を決定してもよい。例えば、混雑度Z[i]が小さいほど、かつ移動候補の端末装置10の位置のおける電界強度が大きいほど、大きな値となる指標S[i]を、端末装置10を移動させる移動先候補の基地局装置12のそれぞれについて算出する。さらに、指標S[i]が大きいほど、チャネルの優先度を高くすればよい。
本実施例によれば、各基地局装置の混雑度を示す指標をビジー発生数を使用しながら生成するので、チャネル不足の予想精度をさらに向上できる。すなわち、通信の成立しやすさに関する予測精度をさらに向上できる。また、各基地局装置の混雑度を示す指標に応じて、チャネルの優先度に関する情報を生成するので、システム全体のチャネルを有効に利用でき、通信が成立しやすい通信システムを提供できる。
(実施例10)
次に、実施例10を説明する。実施例10も、これまでと同様に、基地局装置が複数設置されているとともに、そのうちのいずれかに端末装置が接続して無線通信を実行する通信システムに関する。また、管理装置は、チャネル指示コマンドを生成し、基地局装置を介して端末装置に送信する。実施例10は、実施例6の変形例に相当する。実施例6では、位置登録数を使用した混雑度を示す指標と受信電力を使用して、チャネル指示コマンドが生成される。一方、実施例10では、ビジー発生数を使用した混雑度を示す指標と受信電力を使用して、チャネル指示コマンドが生成される。実施例10では、実施例6との差異を中心に説明する。
実施例6と同様に、指標算出部42は、混雑度および受信電力を用いて、式(3)または式(4)にしたがって、第i基地局装置12i(チャネルi)に関する指標S[i]を算出する。ここで、混雑度には、実施例9のごとく、ビジー発生数が反映されている。
本実施例によれば、受信電力も反映された指標に応じて、チャネルの優先度に関する情報を生成するので、システム全体のチャネルを有効に利用でき、通信が成立しやすい通信システムを提供できる。
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
本実施例1乃至10において、リソースとしてチャネルを使用する。しかしながらこれに限らず例えば、リソースは、コンピュータのシステムを構成し、稼動させるためのハードウエア、ソフトウエアであってもよい。本変形例によれば、構成の自由度を向上できる。