(実施例1)
本発明を具体的に説明する前に、まず概要を述べる。本発明の実施例1は、基地局装置が複数設置されているとともに、そのうちのいずれかに端末装置が接続して無線通信を実行する通信システムに関する。通信システムにおける基地局装置と端末装置との通信には、リソースが使用される。リソースの一例はチャネルである。チャネルは、基地局装置と端末装置との間の通信を形成するための通信路であり、中心周波数、時間、符号によって特定される。本実施例において、チャネルは中心周波数によって特定されるものとする。通信システムには複数のチャネルが規定されており、各チャネルの中心周波数は互いに異なっている。
各基地局装置は、いずれかのチャネルで運用されており、当該チャネルを使用しながら端末装置との通信を実行する。端末装置は、いずれのチャネルを使用して基地局装置に接続している場合であっても、各チャネルの状況を測定する。この測定処理は、チャネルスキャンとも呼ばれ、チャネルスキャンによって各チャネルで運用されている基地局装置の存在が探索される。チャネルスキャンの結果は、例えば端末装置が接続すべき基地局装置を選択するために使用される。なお、チャネルをリソースと総称した場合、「スキャン」は「選択」に対応する。
さらに、本通信システムではグループ通話が実行されている。グループ通話とは、複数の端末装置に形成されたグループ内においてなされる1対多の通話である。グループ通話において、1つの基地局装置に接続されている同一グループ内の複数の端末装置は、共通のチャネルを使用する。そのため、グループ通話では、1対1でなされる個別通話と比較して、チャネルが効率的に使用される。各基地局装置に接続される端末装置の数の増加にともなって、1つのグループに含まれる端末装置の数も増加する傾向にある。1つのグループに含まれる端末装置の数が増加すると、各グループの通話発生確率が高くなりうる。そのため、各基地局装置において、端末装置の数が多いグループでは、通話発生確率が高くなるので、チャネルを占有する時間が長くなる可能性がある。それにより、チャネル不足になる要因の1つとなる。このような状況のもと、通信の成立しやすさを考慮した効率的なチャネルスキャンを実行するために、本実施例は次の処理を実行する。
基地局装置には、ネットワークを介して管理装置が接続されている。管理装置は、基地局装置とチャネルとの関係が示されたデータベースを記憶するとともに、各基地局装置におけるグループ毎の端末装置の数が示されたデータベースも記憶する。管理装置は、チャネル不足の要因になりうるグループとして、1つの基地局装置における端末装置の数が多いグループを特定する。また、管理装置は、当該1つの基地局装置において特定したグループに含まれた端末装置がチャネルスキャンを実行する際に使用させたいチャネルの優先度に関する情報(以下、「チャネル指示コマンド」という)を生成する。さらに、管理装置は、当該1つの基地局装置を介して、特定したグループに対して、チャネル指定コマンドを送信する。グループに含まれた端末装置は、チャネル指示コマンドにしたがってチャネルスキャンを実行する。
図1に、通信システム100の構成を示す。通信システム100は、端末装置10と総称される第1端末装置10a、第2端末装置10b、第3端末装置10c、基地局装置12と総称される第1基地局装置12a、第2基地局装置12b、第3基地局装置12c、ネットワーク14、管理装置16を含む。ここで、端末装置10の数、基地局装置12の数はいずれも「3」であるが、それに限定されない。
図示のごとく、第1基地局装置12aと通信可能なエリア、つまり第1基地局装置12aからの信号を受信可能なエリアは、第1通信可能エリア20aとして示される。また、第2基地局装置12b、第3基地局装置12cに対して、第2通信可能エリア20b、第3通信可能エリア20cが同様に示される。ここで、第1通信可能エリア20a、第2通信可能エリア20b、第3通信可能エリア20cは、通信可能エリア20と総称される。
端末装置10は、無線通信システムに対応し、基地局装置12に接続する。無線通信システムの一例は、業務用無線システム、携帯電話システム等であるが、これらは公知の技術であるので、ここでは説明を省略する。複数の基地局装置12のそれぞれは、一端側において、端末装置10と同一の無線通信システムに対応し、端末装置10を接続可能である。また、各基地局装置12は、他端側において、ネットワーク14を接続する。ここで、各基地局装置12は、通信システム100において規定された複数のチャネルのいずれかによって運用される。例えば、近接して配置される2つ以上の基地局装置12には、互いに異なったチャネルが設定される。
基地局装置12は、ネットワーク14を介して管理装置16に接続されている。ネットワーク14は、さまざまな装置間のデータを送受信する。ネットワーク14は、任意のものでよく、例えば、有線ネットワークでもよく、無線ネットワークでもよく、それらの組合せであってもよい。このような構成によって、端末装置10は、基地局装置12、ネットワーク14を介して図示しない通信装置と通信可能である。図示しない通信装置は、ネットワーク14に直接接続された装置であってもよく、いずれかの基地局装置12に接続された他の端末装置10であってもよい。また、通信は、通話であったり、データ通信であったりする。管理装置16は、ネットワーク14、基地局装置12を介して、端末装置10と通信する。管理装置16は、いずれかの基地局装置12に含まれていてもよい。
通信システム100では、端末装置10による1対1の通話である個別通話が実行されるとともに、端末装置10による1対多の通話であるグループ通話も実行される。本実施例では、グループ通話を説明の対象とするが、それに先だって、前提となる個別通話の概略を説明する。端末装置10は、通信可能エリア20に進入し、当該通信可能エリア20を形成している基地局装置12のチャネルでの信号を受信した場合、基地局装置12に対して、位置登録(Registration)要求を実行する。基地局装置12は、端末装置10からの位置登録要求を受信した場合、端末装置10に対して使用許可を送信する。その結果、図示のごとく、第1端末装置10aと第1基地局装置12aが接続され、第1基地局装置12aに設定されたチャネルが、第1端末装置10aと第1基地局装置12aとの通信に使用される。つまり、基地局装置12では、個別通話を実行している端末装置10の数だけチャネルが使用される。
グループ通話の特徴は、1つの基地局装置12における同一グループの端末装置10において1つのチャネルが使用されることである。そのため、基地局装置12を使用するグループ登録数が1つしかなければ、1つのチャネルだけが使用される。また、基地局装置12におけるグループ登録数が、基地局装置12のチャネル数以下である場合は、各グループに含まれる端末装置10の位置登録数が増加しても、基地局装置12におけるチャネルの負荷はそれほど高くはならない。一方、基地局装置12におけるグループ登録数が、基地局装置12のチャネル数よりも多い場合は、各グループに含まれる端末装置10の位置登録数の増加に伴い、チャネル不足が発生する可能性が高くなる。さらに、基地局装置12におけるグループ登録数が増加すれば、基地局装置12のチャネル不足が発生する可能性が高くなる。
グループ通話におけるチャネル不足の発生を抑制するために、端末装置10は、基地局装置12のチャネルでの信号を受信した場合、当該基地局装置12に対して位置登録要求を送信するとともに、グループ登録要求を送信する。基地局装置12は、位置登録要求およびグループ登録要求を受信した場合、端末装置10に対し、グループ通話を含めた使用許可を送信するとともに、グループ毎の位置登録数を保持する。基地局装置12は、ネットワーク14を介して管理装置16に、グループ毎の位置登録数を送信する。
管理装置16は、ネットワーク14を介して基地局装置12から、グループ毎の位置登録数を受信することによって、各基地局装置12に対するグループ毎の位置登録数を保持する。グループ毎の位置登録数は、各基地局装置12を利用する端末装置10の移動にともなって変化する。また、管理装置16は、各基地局装置12に対するグループ毎の位置登録数の許容値を保持するとともに、各基地局装置12について、隣接の基地局装置12の情報、チャネルの情報を保持している。
管理装置16は、各基地局装置12に対するグループ毎の位置登録数と許容値とを比較し、1つの基地局装置12において位置登録数が許容値よりも大きいグループを特定する。また、管理装置16は、当該1つの基地局装置12に隣接した他の基地局装置12の中で、特定したグループの位置登録数が最も少ない他の基地局装置12のチャネルを選択する。さらに、管理装置16は、当該1つの基地局装置12において特定したグループに含まれた端末装置10のチャネルを変更させるためのチャネル指示コマンドを生成する。当該1つの基地局装置12は、特定したグループに対して、チャネル指示コマンドを送信する。チャネル指示コマンドを受信した端末装置10は、チャネル指示コマンドに応じてチャネルスキャンを実行する。
図2に、管理装置16の構成を示す。管理装置16は、通信部30、生成部32、記憶部34を含む。また、通信部30は、受信部36、送信部38を含み、生成部32は、取得部40、特定部42を含む。通信部30は、ネットワーク14を介して、基地局装置12に接続する。受信部36は、各基地局装置12からのグループ毎の位置登録数を受信する。受信部36は、グループ毎の位置登録数を記憶部34に記憶させる。
記憶部34は、図3(a)−(c)に示すデータベースを記憶する。図3(a)−(c)に、記憶部34に記憶されるデータベースのデータ構造を示す。図3(a)は、各基地局装置12におけるグループ番号、グループ毎の位置登録数、許容値を示すデータベースである。グループ番号は各グループを識別するために付与されている。本図に示す例では、第1基地局装置12aには3つのグループが登録されており、第2基地局装置12bには4つのグループが登録されており、第3基地局装置12cには4つのグループが登録されている。すなわち、図3(a)に示すデータベースには、基地局装置12毎のグループ登録数の情報も記録されている。また、グループ毎の位置登録数は、グループ番号に対応づけられる。ここで、同一のグループ番号が付与された端末装置10は、異なった基地局装置12に接続されていても、同一のグループであるので、グループ通話を実行可能である。
例えば、第1基地局装置12aに接続されたグループ番号「1」の端末装置10と、第3基地局装置12cに接続されたグループ番号「1」の端末装置10とは、グループ通話を実行可能である。なお、以下では、グループ番号「1」のグループを「グループ1」ということもある。他のグループ番号のグループについても同様である。ここで、グループ番号、グループ毎の位置登録数は、受信部36により書き込まれる。一方、許容値は、予め入力されていればよい。
図3(b)は、各基地局装置12に隣接した基地局装置12が示されるデータベースである。例えば、第1基地局装置12aに対して、第2基地局装置12b、第3基地局装置12cが隣接している。図3(c)は、各基地局装置12におけるチャネルが示されるデータベースである。例えば、第1基地局装置12aでは、チャネルAが使用される。なお、説明を明瞭にするため、本実施例では、各基地局装置12のチャネル数を「1」として説明する。ただし、これに限定されるわけではなく、各基地局装置12が備えるチャネル数は任意の数であってよい。また、図3(c)に示すデータベースには、各基地局装置12が備えるチャネル数の情報が記録されている。図2に戻る。
取得部40は、図3(a)に示されたデータベースから、グループ番号、グループ毎の位置登録数を基地局装置12毎に取得する。このグループ番号およびグループ毎の位置登録数は、複数の基地局装置12のそれぞれに対して、基地局装置12のチャネル不足を予想可能なパラメータである。特定部42は、取得部40において取得したグループ毎の位置登録数と許容値とを比較することによって、許容値を超えた位置登録数に対応したグループ番号および基地局装置12を特定する。つまり、特定部42は、グループ毎の端末装置10の数に応じて、グループを特定する。例えば、図3(a)において、第1基地局装置12a「グループ1」の位置登録数「50」、第2基地局装置12bの「グループ2」の位置登録数「30」が許容値「20」を超えている。そのため、特定部42は、第1基地局装置12a「グループ1」と第2基地局装置12bの「グループ2」とを特定する。
生成部32は、特定部42において特定したグループに対するチャネルの優先度を決定する。例えば、生成部32は、特定したグループの位置登録数が許容値以下である他の基地局装置12を対象にして、そのグループの位置登録数を比較し、位置登録数が少ない順に、優先度を高く設定する。前述のごとく、図3(a)では、第1基地局装置12aのグループ1が特定されている。その場合、生成部32は、第2基地局装置12bにおけるグループ1の位置登録数と、第3基地局装置12cにおけるグループ1の位置登録数とを比較する。第2基地局装置12bの位置登録数は「0」、第3基地局装置12cの位置登録数は「10」であるので、生成部32は、第2基地局装置12bの優先度を最も高い「1」に設定する。また、生成部32は、第3基地局装置12cの優先度を「2」に設定する。また、図3(a)では、第2基地局装置12bのグループ2が特定されている。その場合、生成部32は、第1基地局装置12aと第3基地局装置12cとにおけるグループ2の位置登録数を比較して、第3基地局装置12cの優先度を「1」に設定し、第1基地局装置12aの優先度を「2」に設定する。
さらに、生成部32は、図3(c)に示されたデータベースより、優先度を設定した基地局装置12に対応したチャネルを選択する。これに続いて、生成部32は、選択したチャネルが含まれたチャネル指示コマンドを生成する。図4(a)−(b)は、通信システム100において送受信される信号のフォーマットを示す。これらに示されているように、信号は、「コマンド」、「対象グループ」、「パラメータ1」、「パラメータ2」の順で構成されている。「コマンド」には、信号の種類を示すための情報が含まれており、「対象グループ」は、チャネル指示コマンドの受信対象になるグループ番号が含まれており、「パラメータ1」、「パラメータ2」には、各コマンドに対応した値が含まれている。
図4(a)は、前述のグループ1に対するチャネル指示コマンドであり、これは第1基地局装置12aに出力される。「コマンド」には、「優先チャネル指定」が含まれ、「パラメータ1」には、「優先度」が含まれる。ここでの優先度は「1」、つまり「高」に設定される。「パラメータ2」には、「チャネルB」が含まれる。また、図4(b)は、前述のグループ2に対するチャネル指示コマンドであり、これは第2基地局装置12bに出力される。「コマンド」、「パラメータ1」は、図4(a)と同様であるが、「パラメータ2」には、「チャネルC」が含まれる。なお、図4(a)−(b)に示すように、1つのチャネルのみを指定する場合は、「パラメータ1(優先度)」を省略してもよい。その場合は、指定されたチャネルが「高」の優先度を持つと解釈される。
図5(a)−(b)は、通信システム100において送受信される信号の別のフォーマットを示す。図5(a)は、チャネル指示コマンドの別のフォーマットである。これは、前述の例において、第1基地局装置12aに隣接した基地局装置12として、第3基地局装置12cも使用可能であるので、これも追加した場合である。図5(a)では、図4(a)と比較して、「パラメータ3」、「パラメータ4」が追加される。「パラメータ3」には、「優先度」が含まれる。ここでの優先度は「2」、つまり「中」に設定される。「パラメータ4」には、「チャネルC」が含まれる。
図5(b)は、チャネル指示コマンドのさらに別のフォーマットである。これは、前述の例において、第1基地局装置12aに接続されている端末装置10が、第2基地局装置12bおよび第3基地局装置12cに接続できないエリアに位置した場合に、第1基地局装置12aを継続して利用させるためのものである。そのために、第1基地局装置12aのチャネルが追加される。図5(b)では、図5(a)と比較して、「パラメータ5」、「パラメータ6」が追加される。「パラメータ5」には、「優先度」が含まれる。ここでの優先度は「3」、つまり「低」に設定される。「パラメータ6」には、「チャネルA」が含まれる。図2に戻る。
このように、生成部32は、特定部42において特定したグループに属する端末装置10に使用させたいチャネルの優先度に関する情報を生成する。その際、生成部32は、処理対象の基地局装置12(グループの位置登録数が許容値を超えた基地局装置12)とは別の基地局装置12で使用されるチャネルの優先度を高くする。特に、生成部32は、特定部42において特定したグループに属する端末装置10の数が少ない別の基地局装置12ほど、当該別の基地局装置12で使用されるチャネルの優先度を高くする。また、生成部32は、特定部42において特定したグループを識別するための識別情報をチャネル指示コマンドに含める。
送信部38は、特定部42において特定したグループに属する端末装置10に対して、生成部32において生成したチャネル指示コマンドを送信するために、特定したグループが接続される基地局装置12にチャネル指示コマンドを送信する。前述の場合、第1基地局装置12aおよび第2基地局装置12bは、チャネル指示コマンドを送信する。その結果、第1基地局装置12aに接続されているグループ1の端末装置10、第2基地局装置12bに接続されているグループ2の端末装置10は、チャネル指示コマンドを受信する。
これまでの説明では、処理対象のグループの位置登録数が少ない基地局装置12ほど、優先度が高くされているが、別の方法を用いてもよい。例えば、生成部32が、図3(a)に示すデータベースを使用して、基地局装置12毎の位置登録数に応じて優先度を決める例を説明する。まず、グループ1に関して、位置登録数が許容値以下である、第2基地局装置12bと第3基地局装置12cを処理対象の基地局装置12として特定する。第2基地局装置12bの位置登録数の合計は、「30+20+10+5=65」、第3基地局装置12cの位置登録数の合計は、「10+10+10+15=45」である。そのため、位置登録数の最も少ない第3基地局装置12cの優先度が「1」、位置登録数が2番目に少ない第2基地局装置12bの優先度が「2」になる。つまり、生成部32は、登録された端末装置10の数が少ない別の基地局装置12ほど、当該別の基地局装置12で使用されるチャネルの優先度を高くする。なお、同様に、生成部32は、1チャネルあたりの端末装置10の数が少ない別の基地局装置12ほど、当該別の基地局装置12で使用されるチャネルの優先度を高くしてもよい。
この構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
図6は、端末装置10の構成を示す。端末装置10は、測位部50、選択部52、マイク54、スピーカ56、処理部58、制御部60、通信部62を含み、通信部62は、受信部64、送信部66を含む。前述のごとく、端末装置10は、複数の基地局装置12のうちの1つの基地局装置12とチャネルを使用して通信する。
測位部50は、GPS(Global Positioning System)の測位機能を有し、端末装置10の位置を測位する。測位した結果である位置情報は、緯度と経度によって示される。測位部50は、位置情報を制御部60に出力する。制御部60は、通信部62に対して、基地局装置12へ位置登録要求およびグループ登録要求を送信させる。その際、制御部60は、測位部50から入力した位置情報を位置登録要求に含めてもよい。
マイク54は、ユーザからの音声を受けつけ、音声を電気信号(以下、「音声信号」という)として処理部58に出力する。スピーカ56は、音声が示された電気信号(以下、これもまた「音声信号」という)を処理部58から入力し、音声を出力する。そのため、マイク54、スピーカ56は、ユーザが通話する際のインターフェイスに相当する。なお、ユーザとのインターフェイスとして、ユーザからの操作を受けつけるためのボタン等が含まれてもよいが、ここでは説明を省略する。
処理部58は、マイク54からの音声信号を入力するとともに、スピーカ56に音声信号を出力する。処理部58は、音声信号に対する音声信号処理を実行する。音声信号処理には公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。処理部58は、制御部60、通信部62とともに、通話のための無線通信を実行する。そのため、通信部62は、図示しない基地局装置12に信号を送信したり、受信したりする。
受信部64は、図示しないネットワーク14、基地局装置12を介して、管理装置16からのチャネル指示コマンドを受信する。前述のごとく、チャネル指示コマンドは、管理装置16において生成されており、特定したグループに属する端末装置10に使用させたいチャネルの優先度に関する情報であるといえる。また、これは、複数の基地局装置12のそれぞれに対するパラメータであって、かつ各基地局装置12のチャネル不足を予想可能なパラメータに応じて生成されている。受信部64は、チャネル指示コマンドを制御部60に出力する。
制御部60は、受信部64からのチャネル指示コマンドを入力する。制御部60は、チャネル指示コマンドに含まれた対象グループが、本端末装置10が含まれるグループ番号に一致していれば、チャネル指示コマンドを取り込む。一方、制御部60は、チャネル指示コマンドに含まれた対象グループが、本端末装置10が含まれるグループ番号と異なっていれば、チャネル指示コマンドを破棄する。また、制御部60は、選択部52にスキャンを実行させるチャネルの優先度が示されたリスト(以下、「スキャンチャネルリスト」という)を記憶しており、取り込んだチャネル指示コマンドに応じて、スキャンチャネルリストを更新する。
図7(a)−(d)は、制御部60に記憶されるスキャンチャネルリストのデータ構造を示す。図7(a)は、本端末装置10が第1基地局装置12aに接続されている場合のスキャンチャネルリストが示される。ここでは、第1基地局装置12aのチャネルである「チャネルA」だけが示されている。
図7(b)は、図4(a)に示されたチャネル指示コマンドに応じて更新したスキャンチャネルリストを示す。図7(a)における「チャネルA」が「チャネルB」に更新されている。なお、元々記憶されていた「チャネルA」を消去せずに、新たに指定された「チャネルB」よりも低い優先度にして、優先度(中)として「チャネルA」を保持してもよい。図7(c)は、図5(a)に示されたチャネル指示コマンドに応じて更新したスキャンチャネルリストを示す。図7(b)に対して、「優先度(中)」の「チャネルC」が追加されている。図7(d)は、図5(b)に示されたチャネル指示コマンドに応じて更新したスキャンチャネルリストを示す。図7(c)に対して、「優先度(低)」の「チャネルA」が追加されている。図6に戻る。
選択部52は、制御部60に記憶されたスキャンチャネルリストをもとにチャネルスキャン処理を実行する。具体的には、選択部52は、スキャンチャネルリストにおいて優先度の高い方のチャネルを優先的に設定する。選択部52は、設定したチャネルにおいて基地局装置12、例えば、第2基地局装置12bからの信号を受信した場合、そのときのチャネルを選択して制御部60に報告する。制御部60は、報告を受けつけると、第2基地局装置12bに対して位置登録要求およびグループ登録要求を送信する。その結果、端末装置10は、第2基地局装置12bのチャネルを使用しながら、第2基地局装置12bとの通信を実行する。その結果、第1基地局装置12aを使用しているグループ1の複数の端末装置10のうち、スキャンに成功した端末装置10は、第1基地局装置12aの代わりに第2基地局装置12bを使用して通信する。そのため、第1基地局装置12aのチャネル不足が発生する可能性が軽減される。
以上の構成による通信システム100の動作を説明する。図8は、通信システム100におけるスキャンチャネルリストの更新手順を示すシーケンス図である。第1端末装置10aは、第1基地局装置12aにグループ登録要求を送信し(S10)、第1基地局装置12aは、第1端末装置10aにAckを送信する(S12)。第1基地局装置12aは、グループ毎の位置登録数を管理装置16に追加する(S14)。管理装置16は、第1基地局装置12aにおいて、位置登録数が許容値より大きくなったグループを特定する(S16)。
管理装置16は、特定したグループ宛のチャネル指示コマンドを第1基地局装置12aに送信し(S18)、第1基地局装置12aは、管理装置16にAckを送信する(S20)。第1基地局装置12aは、特定したグループに含まれた第1端末装置10aにチャネル指示コマンドを送信する(S22)。第1端末装置10aは、スキャンチャネルリストを更新する(S24)。第1端末装置10aは、第1基地局装置12aにAckを送信する(S26)。なおS18において、管理装置16から第1基地局装置12aに対して、チャネル指示コマンドを送信しているが、管理装置16と基地局装置12とを一体的に構成したような場合には、管理装置16から第1端末装置10aにチャネル指示コマンドを直接送信すればよい。
本実施例によれば、グループを指定してチャネル指示コマンドを送信するので、通話発生確率が高くなりうるグループを別の基地局装置に移動させることができる。また、通話発生確率が高くなりうるグループが別の基地局装置に移動されるので、チャネルを占有する時間が長くなる可能性を低減できる。また、チャネルを占有する時間が長くなる可能性が低減されるので、チャネル不足の発生を抑制できる。また、グループを指定してチャネル指示コマンドを送信するので、通信の成立しやすさを考慮した効率的なチャネルスキャンを実行させることができる。
また、各基地局装置におけるグループ毎の位置登録数を使用して、チャネルの優先度に関する情報を生成するので、処理を簡易にできる。また、位置登録数が許容値よりも大きくなったグループに対して、チャネルの優先度に関する情報を生成するので、チャネル不足の要因となりうるグループを別の基地局装置に移動させることができる。また、特定したグループに属する端末装置の数が少ない別の基地局装置ほど、当該別の基地局装置で使用されるチャネルの優先度を高くするので、チャネル不足が発生しにくい別の基地局装置にグループを移動させることができる。また、登録された端末装置の数、あるいは1チャネルあたりの端末装置の数が少ない別の基地局装置ほど、別の基地局装置で使用されるチャネルの優先度を高くするので、構成の自由度を向上できる。また、チャネル指示コマンドに、特定したグループを識別するための識別情報を含めるので、グループを指定することができる。
また、端末装置は所属しているグループに対するチャネルの優先度に関する情報を受信すると、当該情報をもとにチャネルをスキャンするので、通信の成立しやすさを考慮した効率的なチャネルのスキャンを実行できる。また、実際の通信条件等を加味したチャネルスキャンがなされるので、通信を成立させやすくできる。また、管理装置側のみ設定すればよいので端末装置を回収してデータを書き直す作業を不要にできる。また、実際の状況に合わせて運用できる。また、端末装置と通信システムの通信プロトコルに影響せず、環境やデータをメンテナンスできる。
(実施例2)
次に、実施例2を説明する。実施例2も、実施例1と同様に、基地局装置が複数設置されているとともに、そのうちのいずれかに端末装置が接続して無線通信を実行する通信システムに関する。また、管理装置は、特定したグループに対してチャネル指示コマンドを生成し、基地局装置を介して、特定したグループに含まれた端末装置に送信する。実施例1では、各基地局装置に対するグループ毎の位置登録数に応じて、チャネル指示コマンドが生成される。一方、実施例2では、特定したグループの端末装置が接続される基地局装置の数が少なくなるように、チャネル指示コマンドが生成される。実施例2に係る通信システム100、管理装置16、端末装置10は、図1、図2、図6と同様のタイプである。ここでは、実施例1との差異を中心に説明する。
グループ通話の特徴は、1つの基地局装置12内における同一のグループに含まれた端末装置10において1つのチャネルが使用されることである。そのため、基地局装置12を使用するグループ数が1つしかなければ、通話に使用されるチャネルは1つだけである。しかしながら、グループ通話は、複数の基地局装置12をまたぐ場合もある。複数の基地局装置12をまたいだグループ通話が発生すると、1つのグループで2以上のチャネルが使用される。
図9に、通信システム100によるグループ通話の一例を示す。ここでは、第1端末装置10a、第2端末装置10b、第3端末装置10cが同一のグループに含まれている。また、第1端末装置10aは第1基地局装置12aに接続され、第2端末装置10bは第2基地局装置12bに接続され、第3端末装置10cは第3基地局装置12cに接続される。そのため、このグループに対して3つのチャネルが使用されている。さらに、第1端末装置10aから第3端末装置10cは、第1通信可能エリア20aに位置している。この状況において、すべての端末装置10が第1基地局装置12aに接続するようにチャネル指示コマンドを送信すれば、3つのチャネルを使用している状態から、1つのチャネルを使用する状態になる。その結果、チャネル不足が軽減される。
図2の記憶部34は、図10に示すデータベースを記憶する。図10は、記憶部34に記憶されるデータベースのデータ構造を示す。「使用基地局装置数」は、「グループ番号」に示されたグループが使用している基地局装置12の数を表す。「許容値」は、グループ通話で使用できる基地局装置12の数の上限を示す。図2に戻る。特定部42は、図10に示されたデータベースを参照することによって、複数の基地局装置12に登録されたグループ、特に「使用基地局装置数」の値が「許容値」を超えたグループを特定する。図10において、グループ1とグループ3が特定される。
生成部32は、図3(a)のデータベースを参照することによって、特定部42において特定したグループが使用している基地局装置12を探索する。さらに、生成部32は、探索結果をもとに、端末装置10を集めたい基地局装置12を選択する。生成部32は、探索結果に含まれた複数の基地局装置12のうち、選択した基地局装置12以外の基地局装置12に送信すべきチャネル指示コマンドを生成する。チャネル指示コマンドのフォーマットは、図4(a)−(b)、図5(a)−(b)に示される通りである。その際、図10に示す例では、「対象グループ」には、「1」あるいは「3」が入力される。送信部38は、選択した基地局装置12以外の基地局装置12にチャネル指示コマンドを送信する。基地局装置12は、特定したグループに含まれた端末装置10に対してチャネル指示コマンドを送信する。なお、図5(b)のフォーマットが使用されると、接続していた第1基地局装置12a以外を使えない端末装置10は、引き続き第1基地局装置12aを使うことになる。
生成部32は、所定の基地局装置12に登録された特定のグループを別の基地局装置12に移すために、次のように優先度を決定する。図10において、グループ1の使用基地局装置数は「3」である。ここで、グループ1が、第1基地局装置12a、第2基地局装置12b、第3基地局装置12cの3つを使用しており、各基地局装置12におけるグループ1の位置登録数が「20」、「5」、「10」であると想定する。生成部32は、グループ1の使用する基地局装置12の数を減らすために、グループ1の位置登録数が最も少ない第2基地局装置12bを移動元の基地局装置12として特定する。また、生成部32は、第2基地局装置12b以外の基地局装置12を移動先候補に選択する。さらに、生成部32は、第2基地局装置12bに登録されたグループ1の端末装置10に対して、第1基地局装置12aまたは第3基地局装置12cへの登録変更を行うために、チャネル指示コマンドを生成する。
チャネルスキャンの優先度を決める第1の方法では、移動先候補を対象にして、グループ1の位置登録数が多い順に優先度を高くする。例えば、生成部32は、グループ1の位置登録数が最も多い第1基地局装置12aの優先度を「1」、2番目に多い第3端末装置10cの優先度を「2」に設定する。この方法は、通信システム100全体のチャネルや移動先の基地局装置12のチャネルに比較的余裕がある場合に適している。
優先度を決める第2の方法では、移動先候補を対象にして、グループ1の位置登録数が少ない順に優先度を高く設定する。例えば、生成部32は、グループ1の位置登録数が最も少ない第3基地局装置12cの優先度を「1」、2番目に少ない第1基地局装置12aの優先度を「2」に設定する。この方法は、通信システム100全体のチャネルや移動先の基地局装置12のチャネルの余裕が少ない場合に適している。
優先度を決める第3の方法では、移動先候補を対象にして、基地局装置12毎の位置登録数に応じて優先度を設定する。例えば、移動先候補である第1基地局装置12aの位置登録数が「50」、第3基地局装置12cの位置登録数が「20」であるとする。生成部32は、位置登録数の最も少ない第3基地局装置12cの優先度を「1」、位置登録数が2番目に少ない第1基地局装置12aの優先度を「2」に設定する。
なお、前述の優先度を決める第1の方法〜第3の方法の他に、グループ毎に定められた所定のルールを用いて優先度を決めてもよい。例えば、グループ1が第1基地局装置12a、第2基地局装置12b、第3基地局装置12cの3つを使用しており、これを2つに減らしたい場合を想定する。その場合、生成部32は、「グループ1に対して、第1基地局装置12aを優先度1、第2基地局装置12bを優先度2とする」等のルールを設定しておき、それをもとにチャネル指示コマンドを生成してもよい。このように、生成部32は、特定部42において特定したグループを登録した基地局装置12の数を少なくするように、チャネルの優先度に関する情報を生成する。
また、上述の例では、図10に示す許容値が「2」であるが、それ以外の値を用いても、もちろんよい。例えば、許容値が「1」の場合は、図12に示すデータベースにおいて、第2基地局装置12bに加えて、その次に位置登録数が少ない第3基地局装置12cを移動元の基地局装置12として特定する。そして、第2基地局装置12bに登録されたグループ1の端末装置10に対して、第1基地局装置12aへの登録変更を行うためのチャネル指示コマンドを送信し、第3基地局装置12cに登録されたグループ1の端末装置10に対して、第1基地局装置12aへの登録変更を行うためのチャネル指示コマンドを送信する。このような処理を行うことにより、グループ1の端末装置10のすべてが、第1通信可能エリア20aに位置している場合は、グループ1の使用する基地局装置12の数を1つにすることができる。
本実施例によれば、グループを登録した基地局装置の数を少なくするように、チャネルの優先度に関する情報を生成するので、通信システム全体で使用されるチャネルの数を少なくできる。また、通信システム全体で使用されるチャネルの数が少なくなるので、チャネル不足の発生確率を低減できる。また、グループを登録した基地局装置の数を少なくするように、チャネルの優先度に関する情報を生成するので、チャネルを効率的に利用できる。
(実施例3)
次に、実施例3を説明する。実施例3も、これまでと同様に、基地局装置が複数設置されているとともに、そのうちのいずれかに端末装置が接続して無線通信を実行する通信システムに関する。また、管理装置は、特定したグループに対してチャネル指示コマンドを生成し、基地局装置を介して、特定したグループに含まれた端末装置に送信する。これまでの説明では、特定したグループに対するチャネル指示コマンドが生成される。一方、実施例3では、特定したグループのうち、指定したエリアに存在する端末装置に対するチャネル指示コマンドが生成される。実施例3に係る通信システム100、管理装置16、端末装置10は、図1、図2、図6と同様のタイプである。ここでは、これまでとの差異を中心に説明する。
グループ通話では、多くの端末装置10が1つのチャネルを使用すれば、使用されるチャネル数は最も少なくなる。したがって、通信システム100内に散らばった同一グループに含まれる端末装置10を、同一グループに含まれる端末装置10が多く登録されている基地局装置12に可能な限り集めることによって、通信システム100全体として使用するチャネル数が減少する。
図11に、通信システム100によるグループ通話の一例を示す。ここでは、第1端末装置10a、第2端末装置10b、第3端末装置10c、第4端末装置10d、第5端末装置10eが、同一のグループ(グループ1)に含まれている。本実施例において、管理装置16は、図13で示されるようなエリア毎のマップを保持する。図13に、管理装置16において定義されるエリアの構成を示す。前述の第1通信可能エリア20aから第3通信可能エリア20cの中に、「エリアA−1」等のエリアが定義される。つまり、エリアは、通信可能エリア20を細分化した領域であるといえる。
図14は、記憶部34に記憶される別のデータベースのデータ構造である。これは、図13で示した各々のエリアに位置する端末装置10が、初期状態で使用するチャネルを示す図である。例えば、「エリアA−1」では、チャネルAが使用されるが、「エリアA−2」では、チャネルBが使用される。このような各エリアと各チャネルとの対応関係を示すデータベースは、グループ毎に異なっていてもよいし、全グループ共通であってもよい。このため初期状態としては、図11に示すように、第1端末装置10a(エリアA−1)は第1基地局装置12aに接続され、第2端末装置10b(エリアA−2)は第2基地局装置12bに接続され、第3端末装置10c(エリアB−3)は第3基地局装置12cに接続され、第4端末装置10d(エリアA−3)は第3基地局装置12cに接続され、第5端末装置10e(エリアC−1)は第1基地局装置12aに接続されている。さらに、第1端末装置10a、第2端末装置10b、第3端末装置10c、第5端末装置10eは、第1通信可能エリア20aに位置している。
図2の記憶部34は、図10に示されたデータベースに加えて、図12に示されたデータベースも記憶する。図12は、記憶部34に記憶されるデータベースのデータ構造を示す。これは、各基地局装置12におけるグループ1の位置登録数を示す。
本実施例では、グループ1の使用基地局装置数の許容値が、「1」であるものとする。このため、3つの基地局装置12に散らばっているグループの端末装置10を1つの基地局装置12に集約することを試みる。実施例2で述べた方法を用いると、図12において、グループ1の位置登録数が最も多い基地局装置12である第1基地局装置12aを使用するように、生成部32が、第2基地局装置12bおよび第3基地局装置12cを使用している端末装置10へのチャネル指示コマンドを生成する。また、送信部38は、第2基地局装置12bおよび第3基地局装置12cを使用する端末装置10に対してチャネル指示コマンドを送信する。第1通信可能エリア20aに位置する4つの端末装置10(第1端末装置10a、第2端末装置10b、第3端末装置10c、第5端末装置10e)は、チャネルスキャン処理の結果、第1基地局装置12aを使用することになる。しかし、第4端末装置10dは、第1通信可能エリア20aに位置しないため、引き続き第3基地局装置12cを使用する。その結果、グループ1が3つのチャネルを使用している状態から、2つのチャネルを使用する状態に変更される。このような一連の処理において、第4端末装置10dは、無駄なチャネルスキャン動作を行っているといえる。
本実施例では、管理装置16は、端末装置10がどのエリアに位置しているかを確認し、グループおよびエリアを指定したチャネル指示コマンドを生成する。図15は、通信システム100におけるスキャンチャネルリストの更新手順を示すシーケンス図である。管理装置16は、第1基地局装置12aにエリア取得要求を送信し(S50)、第1基地局装置12aは、第1端末装置10aに位置確認要求を送信する(S52)。
第1端末装置10aは、第1基地局装置12aに位置情報を送信し(S54)、第1基地局装置12aは、管理装置16にエリア情報更新を送信する(S56)。管理装置16は、エリア情報更新を受信することによって、端末装置10からの位置情報(緯度、経度など)を取得し、端末装置10のエリアを判定する。また、管理装置16は、判定したエリア情報を保持する。なお、管理装置16がエリア取得要求を送信する代わりに、端末装置10が定期的に基地局装置12に対して位置情報を送信してもよい。管理装置16は、第1端末装置10aが存在するエリアに関する情報を第1端末装置10aに保存させるために、エリア情報保存要求を第1基地局装置12aに送信し(S58)、第1基地局装置12aは、第1端末装置10aにエリア情報保存要求を送信する(S60)。ここで、第1端末装置10aが存在するエリアに関する情報は、保持したエリア情報(例えば、エリア「B−3」という情報)に相当する。第1端末装置10aは、エリア情報を保存する(S62)。
管理装置16は、第1基地局装置12aにチャネル指示コマンドを送信し(S64)、第1基地局装置12aは、管理装置16にAckを送信する(S66)。第1基地局装置12aは、第1端末装置10aにチャネル指示コマンドを送信する(S68)。第1端末装置10aは、保存しているエリアと、チャネル指示コマンドに含まれたエリアとが一致しているかを判定し(S70)、一致している場合にスキャンチャネルリストを更新する(S72)。第1端末装置10aは、第1基地局装置12aにAckを送信する(S74)。
なお、管理装置16における端末装置10のエリアの判定は、特定部42においてなされる。つまり、特定部42は、端末装置10からの位置情報と、図13に示すマップとをもとに、特定部42において特定したグループに属する端末装置10が位置するエリアも特定する。
生成部32において生成されるチャネル指示コマンドの例を図16(a)−(b)を使用しながら説明する。図16(a)−(b)は、通信システム100において送受信される信号のフォーマットを示す。図16(a)のように、チャネル指示コマンドの「対象グループ」に加えて「対象エリア」が指定される。つまり、生成部32は、特定部42において特定したグループに属し、かつ特定部42において特定したエリアに位置する端末装置10に使用させたいチャネルの優先度に関する情報を生成する。管理装置16は、チャネル指示コマンドを作成する際に、通信可能エリア20と、対象エリアと、指定する優先チャネルとの関係を考慮する。例えば、対象エリアが、第1通信可能エリア20aに含まれる「A−1」、「B−1」、「C−1」、「B−3」のいずれかである場合は、第1基地局装置12aの使用するチャネルAを優先チャネルとして指定するチャネル指示コマンドを作成するが、対象エリアがその他のエリアである場合は、チャネルAを優先チャネルとして指定するチャネル指示コマンドは作成しない。
このようなチャネル指示コマンドを受信した端末装置10は、「対象グループ」に含まれており、かつ「対象エリア」に位置している場合、スキャンチャネルリストを更新する。一方、当該端末装置10は、「対象グループ」あるいは「対象エリア」に対応していない場合、スキャンチャネルリストを更新しない。ここで、該当エリアに位置しているか否かは、グループおよびエリアを考慮したチャネル指示コマンドに含まれる対象エリアが、「エリア情報保存要求」メッセージを受信して保存したエリア情報と一致するか否かで判定される。このような処理を行うことで、第1通信可能エリア20aに位置する4つの端末装置10(第1端末装置10a、第2端末装置10b、第3端末装置10c、第5端末装置10e)に第1基地局装置12aを使用させることが可能になる。その一方、第4端末装置10dの位置するエリアA−3を指定したチャネル指示コマンドは生成されないため、第4端末装置10dが無駄なチャネルスキャン動作を行う問題が解消される。
図16(b)は、図16(a)に次の候補を追加した場合のフォーマットである。端末装置10は、チャネル指示コマンドに含まれるいくつかのチャネルについて、受信状態を計測し、受信状態の最もよいチャネルを選択してもよい。あるいは、端末装置10は、優先度の高い順にチャネルをスキャンし、その中で受信感度がしきい値以上になる最初のチャネルを選択してもよい。実際の環境下では、受信状態が刻々と変化する場合も考えられ、管理装置16で把握しきれない環境を端末装置10が判断することによって最適な通信環境に移動できる。
これまでは、図15に示したシーケンスにしたがって、基地局装置12から端末装置10に対して、端末装置10の位置するエリア情報(エリア番号)を通知し、端末装置10に保存させていたが、これ以外の方法を用いてもよい。例えば、管理装置16は、図13に示すエリアマップの情報を適当なタイミングで端末装置10に報知しておく。エリアマップの情報として、例えば、各エリアを1つまたは複数の矩形領域の組合せで近似し、各々の矩形領域の対頂点の座標値(緯度、経度)を用いることができる。端末装置10は、各エリアのエリア番号と、各エリアに対応する座標値の組合せとを対応させて内部の記憶部に記憶する。端末装置10は、チャネル指示コマンドを受信した際に、コマンドに含まれる対象エリアのエリア番号に対応する矩形領域の座標値を読み出し、端末装置10内部のGPS取得部から取得した位置情報(緯度、経度)が、エリア番号に対応する矩形領域のいずれかに含まれるか否かを判定してもよい。
本実施例によれば、特定したグループに加えて、特定したエリアもチャネル指示コマンドに含めるので、グループに加えてエリアも指定できる。また、グループに加えてエリアも指定されるので、チャネルの優先度に関する情報を通知する対象を限定できる。このため、使用する基地局装置を変更できない場所に位置する端末装置が、無駄なチャネルスキャン動作をすることを防ぐことができる。また、例えば、あるエリアで突発的な災害等が発生した場合に、そのエリアを対象エリアとし、災害等の復旧関係者が使用するグループ以外のグループを対象グループとしてチャネル指示コマンドを作成することにより、災害等の復旧に関係しないグループを、多少通信環境の悪い他の基地局装置に移すことが容易にできる。このため、通信を最も必要とする災害等の復旧関係者に対しては、良好な通信環境を提供できる。このように、その時々の状況に応じて、通信の緊急性や必要性がより高いグループを優先させて、システム全体の使用チャネル配分を最適化できる。また、チャネルの優先度に関する情報を通知する対象を細かく制御できるため、通信システムのチャネルのみならず、端末装置の動作を含めたシステム全体のリソースを効率的に使用することができる。
(実施例4)
次に、実施例4を説明する。実施例4も、これまでと同様に、基地局装置が複数設置されているとともに、そのうちのいずれかに端末装置が接続して無線通信を実行する通信システムに関する。これまでの管理装置は、特定したグループに対してチャネル指示コマンドを生成し、基地局装置を介して、特定したグループに含まれた端末装置に送信する。一方、実施例4では、特定した端末装置10に対してチャネル指示コマンドを生成し、基地局装置を介して、端末装置に送信する。特定のグループを対象にしたチャネル指示コマンドの代わりに、特定の端末装置10を対象にしたチャネル指示コマンドを用いるため、通信システム100全体で使用されるチャネルがさらに細かく制御される。実施例4に係る通信システム100、管理装置16、端末装置10は、図1、図2、図6と同様のタイプである。ここでは、これまでとの差異を中心に説明する。本実施例では、実施例3で用いた例と同様に、グループ1の端末装置10を可能な限り、第1基地局装置12aに移動させる例を用いて説明する。
図15に示したシーケンスにおいて、管理装置16は、端末装置10からエリア情報更新を受けた後、当該端末装置10の位置するエリア情報を記憶部34に保持する。図17は、記憶部34に記憶されるデータベースのデータ構造を示す。図示のごとく、例えば、グループ1に含まれる端末装置10を識別するための端末装置番号とエリア情報が対応づけられて記憶される。なお、エリア情報の代わりに、緯度・経度が記憶されてもよい。
図2の生成部32は、チャネル指示コマンドに対象グループを含めるのではなく、端末装置番号を含める。つまり、生成部32は、特定部42において特定したグループに属する特定の端末装置10を識別するための端末装置番号をチャネル指示コマンドに含める。図18(a)−(b)は、第1通信可能エリア20aに位置する第1端末装置10aに対して送信されるチャネル指示コマンドを示す例である。図18(a)では、図4(a)と比較して、「対象グループ」の代わりに「端末装置番号」が含まれる。図18(b)は、図18(a)に次の候補を追加した場合のフォーマットである。第1通信可能エリア20aに位置する他の端末装置10に対しても、端末装置番号は異なるが、図18と同様なチャネル指示コマンドが送信される。
このようなチャネル指示コマンドを受信した端末装置10は、チャネル指示コマンドに含まれるいくつかのチャネルについて、受信状態を計測し、受信状態の最もよいチャネルを選択してもよい。あるいは、端末装置10は、優先度の高い順にチャネルをスキャンし、その中で受信感度がしきい値以上になる最初のチャネルを選択してもよい。実際の環境下では、受信状態が刻々と変化する場合も考えられ、管理装置16で把握しきれない環境を端末装置10が判断することによって最適な通信環境に移動できる。
図11に示す例において、管理装置16は、第4端末装置10dが、第1基地局装置12aでのチャネルを使用することは困難な位置に存在すると判定し、第4端末装置10dに対しては、図18(a)−(b)に示すチャネル指示コマンドを送信しない。そのため、第4端末装置10dは、基地局装置12を変更しない。
実施例3で述べた方法では、同じエリアに位置する同じグループの端末装置10すべてに対して、一律に同じチャネル指示コマンドが適用される。一方、本実施例の方法では、同じエリアに位置する同じグループの端末装置10に対して、異なるチャネル指示コマンドを適用させることができる。例えば、エリアB−3にグループ1の端末装置10が多数存在し、それらがすべて第3基地局装置12cに接続しており、他のグループも含めて第3基地局装置12cに接続している端末装置10の数が増加したため、第3基地局装置12cとの通信が成立しにくくなっている状況を想定する。実施例3と同様に、エリアB−3に位置するグループ1の端末装置10すべてを、相対的に通信が成立しやすい第1基地局装置12aに移動させてもよいが、それらの端末装置10のうちの一部のみを第1基地局装置12aに移動させることができる。例えば、グループ1のうちで、より重要な役割のユーザ(管理者、司令者等)が使用する端末装置10を特定し、その端末装置10に対して、第1基地局装置12a移動させるチャネル指示コマンドを適用してもよい。その場合は、管理装置16の記憶部34に、端末装置番号(端末装置の識別子)と、各々の端末装置10を使用するユーザの重要性とを対応させたデータベースを記憶する。このような処理を行うことにより、システム全体のチャネルが不足している状況であっても、グループの指示命令系統に与える影響がなるべく少なくなるように、端末装置10にチャネルを使用させることができる。
あるいは、端末装置10の送信能力/受信能力に応じて、チャネル指示コマンドを作成してもよい。例えば、エリアB−3にグループ1の端末装置10が多数存在し、それらがすべて第3基地局装置12cに接続しており、エリアB−3において、第3基地局装置12cの電界強度の方が、第1基地局装置12aの電界強度よりも強いと仮定する。また、エリアB−3から発信された電波に対して、第3基地局装置12cの受信能力の方が、第1基地局装置12aの受信能力よりも高いと仮定する。また、グループ1の端末装置10は、1種類ではなく、受信能力(最低受信感度など)や送信能力(送信出力値など)が異なる複数のモデルが混在しているものとする。このような状況で、システム全体の最適化の観点から、エリアB−3に位置するグループ1の端末装置10の一部を第1基地局装置12aに移動させる必要が生じた場合、それらの端末装置10のうちから、受信能力が相対的に高い端末装置10を選び、それらに対して、第1基地局装置12aに移動させるようなチャネル指示コマンドを適用してもよい。同様に、送信能力が相対的に高い端末装置10に対して、第1基地局装置12aに移動させるチャネル指示コマンドを適用してもよい。
あるいは、管理装置16が、基地局装置12を経由して、各々の端末装置10が受信可能な基地局装置12の電波に関する情報(電波状況)を収集し、それに応じて、チャネル指示コマンドを作成してもよい。上述の例と同様に、エリアB−3に位置するグループ1の端末装置10の一部に対して、第1基地局装置12aを使用するように変更する場合、第1基地局装置12aからの電波を受信した信号強度が所定値よりも高い端末装置10を特定し、その特定した端末装置10に対して、第1基地局装置12aを使用させるようなチャネル指示コマンドを適用してもよい。また、エリアB−3に位置するグループ1のうちから、第1基地局装置12aからの電波を受信した信号強度が高い順に所定数の端末装置10を特定し、その特定した端末装置10に対して、第1基地局装置12aを使用させるチャネル指示コマンドを適用してもよい。また、実測した信号強度と端末装置10の最低受信感度との差、または、最低受信感度に対する実測した信号強度の倍率を算出し、その値が大きい端末装置10ほど優先的に、第1基地局装置12aを使用させるチャネル指示コマンドを適用するようにしてもよい。
また、上述した端末装置10の位置、端末装置10を使用するユーザ、端末装置10の受信能力、端末装置10の送信能力、端末装置10における電波状況、などを2つ以上組み合せて総合的に、チャネル指示コマンドの対象となる端末装置10を特定してもよい。例えば、これらを任意に組み合せて指標を算出し、その指標の大きさに基づき、チャネル指示コマンドの対象となる端末装置10を特定してもよい。
本実施例によれば、チャネル指示コマンドに特定したグループに属する端末装置を識別するための識別情報を含めるので、端末装置を指定できる。また、端末装置が指定されるので、チャネルの優先度に関する情報を通知する対象を限定できる。例えば、使用する基地局装置を変更しても、通信の成立のしやすさに関して悪影響がないと予想される端末装置に対してのみ、チャネルの優先度に関する情報を通知することができる。また、使用する基地局装置を変更できない場所に位置する端末装置や、基地局装置の変更にともなって必要な受信能力/送信能力を備えていない端末装置を特定し、それらをチャネルの優先度に関する情報を通知する対象にしないため、端末装置の無駄なチャネルスキャン動作を防ぐことができる。また、端末装置を使用するユーザの重要度(グループにおける重要度)に応じて、チャネルの優先度に関する情報を通知する対象を制御できるため、システム全体のリソースが限られている場合であっても、グループ内の指示命令系統になるべく影響を与えないように、リソースを配分して端末装置に使用させることができる。このため、グループのコミュニケーションや組織運営を円滑に行うことができる。また、チャネルの優先度に関する情報を通知する対象を細かく制御できるため、通信システムのチャネルのみならず、端末装置の動作を含めたシステム全体のリソースを効率的に使用することができる。また、管理装置において端末装置の位置情報を管理するので、各端末装置におけるエリア情報の保存および、エリア判定の処理を不要にできる。
(実施例5)
次に、実施例5を説明する。実施例5も、これまでと同様に、基地局装置が複数設置されているとともに、そのうちのいずれかに端末装置が接続して無線通信を実行する通信システムに関する。また、管理装置は、特定したグループに対してチャネル指示コマンドを生成し、基地局装置を介して、特定したグループに含まれた端末装置に送信する。実施例5は、実施例1の変形例に相当する。実施例1では、各基地局装置に対するグループ毎の位置登録数に応じて、チャネル指示コマンドが生成される。一方、実施例5では、各基地局装置に対するグループ毎のビジー数に応じて、チャネル指示コマンドが生成される。
このような実施例5の課題は、次のように示される。各基地局装置または通信システム全体における端末装置の位置登録数の増加にともなって、グループ内の端末装置の数が増加し、各グループの通話発生確率が高くなる可能性がある。また、通話発生確率が高くなると、基地局装置のチャネルが占有されるので、基地局装置のチャネル不足によって通話チャネルが割り当てられない状態(以下、「ビジー」という)の発生確率が増加する。実際にビジーが発生してしまった基地局装置12では通話の確立が困難な状況に陥ってしまう。実施例5では、実施例1との差異を中心に説明する。
実施例5に係る通信システム100は、図1と同様に示される。基地局装置12は、位置登録要求およびグループ登録要求を受信した場合、端末装置10に対し、グループ通話を含めた使用許可を送信する。基地局装置12は、端末装置10からの位置登録要求を受信した場合、端末装置10に対して使用許可を送信する。これによって、例えば、第1端末装置10aと第1基地局装置12aが接続され、第1基地局装置12aにおいて、第1端末装置10aが含まれたグループに対して設定されたチャネルが、第1端末装置10aと第1基地局装置12aとに使用される。一方、基地局装置12は端末装置10からの通話要求を受けた際、端末装置10が通話で使用するチャネルが不足していた場合、端末装置10に対し、使用不許可を送信する。その際、基地局装置12は、第1端末装置10aが含まれたグループに対するチャネル不足をビジー発生としてカウントする。ビジー発生回数(以下、「ビジー発生数」という)は管理装置16で保持されてもよい。基地局装置12は、ネットワーク14を介して管理装置16に、グループ毎のビジー発生数を送信する。
管理装置16は、ネットワーク14を介して基地局装置12から、グループ毎のビジー発生数を受信することによって、各基地局装置12に対するグループ毎のビジー発生数を保持する。グループ毎のビジー発生数は、各基地局装置12を利用する端末装置10の移動にともなって変化する。また、管理装置16は、各基地局装置12に対するグループ毎のビジー発生数の許容値を保持するとともに、各基地局装置12について、隣接の基地局装置12の情報、チャネルの情報を保持している。
管理装置16は、各基地局装置12に対するグループ毎のビジー発生数と許容値とを比較し、1つの基地局装置12においてビジー発生数が許容値よりも大きいグループを特定する。また、管理装置16は、当該1つの基地局装置12に隣接した他の基地局装置12の中で、特定したグループのビジー発生数が最も少ない他の基地局装置12のチャネルを選択する。さらに、管理装置16は、当該1つの基地局装置12において特定したグループに含まれた端末装置10のチャネルを変更させるためのチャネル指示コマンドを生成する。当該1つの基地局装置12は、特定したグループに対して、チャネル指示コマンドを送信する。チャネル指示コマンドを受信した端末装置10は、チャネル指示コマンドに応じてチャネルスキャンを実行する。
実施例5に係る管理装置16は、図2と同様に示される。受信部36は、各基地局装置12からのグループ毎のビジー発生数を受信する。受信部36は、グループ毎のビジー発生数を記憶部34に記憶させる。記憶部34は、図3(a)の代わりに、図19に示すデータベースを記憶する。また、記憶部34は、図3(b)−(c)に示すデータベースも記憶する。図19は、本発明の実施例5に係る記憶部34に記憶されるデータベースのデータ構造を示す。図19は、各基地局装置12におけるグループ番号、各基地局装置12に対する単位時間(例えば、1時間)あたりのグループ毎のビジー発生数、許容値を示すデータベースである。グループ番号、グループ毎のビジー発生数は、受信部36により書き込まれる。一方、許容値は、単位時間あたりのグループ毎のビジー発生の上限しきい値に相当する。なお、図19のデータベースには、基地局装置12毎のグループ登録数の情報も記録されている。図2に戻る。
取得部40は、図19に示されたデータベースから、グループ番号、グループ毎のビジー発生数を基地局装置12毎に取得する。特定部42は、取得部40において取得したグループ毎のビジー発生数と許容値とを比較することによって、許容値を超えたビジー発生数に対応したグループ番号および基地局装置12を特定する。つまり、特定部42は、端末装置10とチャネルを使用して通信する基地局装置12に登録されたグループ毎のビジー発生数に応じて、グループを特定する。例えば、図19において、第1基地局装置12aの「グループ1」のビジー発生数「5」、第2基地局装置12bの「グループ2」のビジー発生数「3」が許容値「2」を超えている。そのため、特定部42は、第1基地局装置12aの「グループ1」と第2基地局装置12bの「グループ2」とを特定する。
生成部32は、特定部42において特定したグループに対するチャネルの優先度を決定する。例えば、生成部32は、特定したグループのビジー発生数が許容値以下である他の基地局装置12を対象にして、そのグループのビジー発生数を比較し、ビジー発生数が少ない順に、優先度を高く設定する。前述のごとく、図19では、第1基地局装置12aのグループ1が特定されている。その場合、生成部32は、第2基地局装置12bにおけるグループ1のビジー発生数と、第3基地局装置12cにおけるグループ1のビジー発生数とを比較する。第2基地局装置12bのビジー発生数は「0」、第3基地局装置12cのビジー発生数は「1」であるので、生成部32は、第2基地局装置12bの優先度を最も高い「1」に設定する。また、生成部32は、第3基地局装置12cの優先度を「2」に設定する。また、図19では、第2基地局装置12bのグループ2が特定されている。その場合、生成部32は、第1基地局装置12aと第3基地局装置12cとにおけるグループ2のビジー発生数を比較して、第3基地局装置12cの優先度を「1」に設定し、第1基地局装置12aの優先度を「2」に設定する。
このように、生成部32は、特定部42において特定したグループに属する端末装置10に使用させたいチャネルの優先度に関する情報を生成する。その際、生成部32は、処理対象の基地局装置12(グループのビジー発生数が許容値を超えた基地局装置12)とは別の基地局装置12で使用されるチャネルの優先度を高くする。特に、生成部32は、特定部42において特定したグループに属する端末装置10の数が少ない別の基地局装置12ほど、当該別の基地局装置12で使用されるチャネルの優先度を高くする。また、生成部32は、特定部42において特定したグループを識別するための識別情報をチャネル指示コマンドに含める。ここで、ビジー発生数は、ビジー数とも呼ばれ、各基地局装置12において通信が成立しなかった回数に相当する。
これまでの説明では、処理対象のグループのビジー発生数が少ない基地局装置12ほど、優先度が高くされているが、別の方法を用いてもよい。例えば、生成部32が、図19に示すデータベースを使用して、基地局装置12毎のビジー発生数に応じて優先度を決める例を説明する。まず、グループ1に関して、ビジー発生数が許容値以下である、第2基地局装置12bと第3基地局装置12cを処理対象の基地局装置12として特定する。第2基地局装置12bのビジー発生数の合計は、「0+3+2+1+1=7」、第3基地局装置12cのビジー発生数の合計は、「1+1+1+1=4」である。そのため、ビジー発生数の最も少ない第3基地局装置12cの優先度が「1」、ビジー発生数が2番目に少ない第2基地局装置12bの優先度が「2」になる。つまり、生成部32は、基地局装置12毎のビジー数が少ない別の基地局装置12ほど、当該別の基地局装置12で使用されるチャネルの優先度を高くする。
また、基地局装置12に登録されたグループの数に応じて、優先度を決定してもよい。図19に示す例において、グループ1に関して、ビジー発生数が許容値以下である第2基地局装置12bと第3基地局装置12cを処理対象の基地局装置12として特定する。第2基地局装置12bに登録されたグループ数は「5」であり、第3基地局装置12cに登録されたグループ数は「4」である。グループ通話を行う通信システムにおいて、2つの基地局装置12の持つチャネルがほぼ同じ場合、基本的には、グループ数の多い基地局装置12の方が、ビジー発生数が多くなる可能性が高いため、グループ数の少ない基地局装置12ほど優先度を高くする。また、基地局装置12の1チャネルあたりの登録グループ数を算出し、その値が少ない基地局装置12ほど優先度を高くしてもよい。つまり、生成部32は、基地局装置12に登録されたグループ数、あるいは1チャネルあたりのグループ数が少ない別の基地局装置12ほど、当該別の基地局装置12で使用されるチャネルの優先度を高くする。
本実施例によれば、各基地局装置におけるグループ毎のビジー発生数を使用して、チャネルの優先度に関する情報を生成するので、チャネルの優先度に関する情報の精度を向上できる。また、各基地局装置におけるグループ毎のビジー発生数を使用して、チャネルの優先度に関する情報を生成するので、処理を簡易にできる。また、ビジー発生数が許容値よりも大きくなったグループに対して、チャネルの優先度に関する情報を生成するので、チャネル不足の要因となりうるグループを別の基地局装置に移動させることができる。また、特定したグループに属する端末装置の数が少ない別の基地局装置ほど、当該別の基地局装置で使用されるチャネルの優先度を高くするので、チャネル不足が発生しにくい別の基地局装置にグループを移動させることができる。また、登録された端末装置の数、あるいは1チャネルあたりの端末装置の数が少ない別の基地局装置ほど、別の基地局装置で使用されるチャネルの優先度を高くするので、構成の自由度を向上できる。
(実施例6)
次に、実施例6を説明する。実施例6も、これまでと同様に、基地局装置が複数設置されているとともに、そのうちのいずれかに端末装置が接続して無線通信を実行する通信システムに関する。また、管理装置は、特定したグループに対してチャネル指示コマンドを生成し、基地局装置を介して、特定したグループに含まれた端末装置に送信する。実施例6は、実施例2の変形例に相当する。実施例2では、位置登録数をもとに特定したグループの端末装置が接続される基地局装置の数が少なくなるように、チャネル指示コマンドが生成される。一方、実施例6では、単位時間における1チャネルあたりの平均ビジー発生数をもとに特定したグループの端末装置が接続される基地局装置の数が少なくなるように、チャネル指示コマンドが生成される。実施例6では、実施例2との差異を中心に説明する。
生成部32は、所定の基地局装置12に登録された特定のグループを別の基地局装置12に移すために、次のように優先度を決定する。図10において、グループ1の使用基地局装置数は「3」である。ここで、グループ1が、第1基地局装置12a、第2基地局装置12b、第3基地局装置12cの3つを使用しており、各基地局装置12におけるグループ1のビジー発生数が「20」、「5」、「10」であると想定する。生成部32は、グループ1の使用する基地局装置12数を減らすために、グループ1のビジー発生数が最も多い第1基地局装置12aを移動元の基地局装置12として特定する。あるいは、チャネル当りのビジー発生数、ビジー発生割合(発生確率)、混雑度などが最も大きい基地局装置12を特定してもよい。また、生成部32は、第2基地局装置12b以外の基地局装置12を移動先候補に選択する。さらに、生成部32は、第2基地局装置12bに登録されたグループ1の端末装置10に対して、第1基地局装置12aまたは第3基地局装置12cへの登録変更を行うために、チャネル指示コマンドを生成する。
チャネルスキャンの優先度は、例えば、移動先候補を対象にして、グループ1のビジー発生数が少ない順に優先度を高く設定する。例えば、グループ1のビジー発生数が最も少ない第2基地局装置12bの優先度を「1」、2番目に少ない第3基地局装置12cの優先度を「2」とする。また、第2基地局装置12bの優先度を「1」、第3基地局装置12cの優先度を「2」、第1基地局装置12aの優先度を「3」として、チャネル指示コマンドを送ってもよい。
また、グループ毎に定められた所定のルールを用いて優先度を決めてもよい。例えば、グループ1が第1基地局装置12a、第2基地局装置12b、第3基地局装置12cの3つを使用する状況を想定する。この場合、基地局装置12を2つに減らしたい場合には、「グループ1に対して、第1基地局装置12aを優先度1、第2基地局装置12bを優先度2とする」等の所定のルールを設定しておき、それに基づいてチャネル指示コマンドを送信してもよい。
グループ通話は、あるグループに属する端末装置10が発呼した場合に、そのグループに属する他のすべての端末装置10に着呼する特性を備えている。このため、グループ通話システムにおける1つのグループに属する端末装置10は、相互に通信接続がなされる可能性の高い端末装置10の組合せの集合であるといえる。本実施例で説明した処理は、通信接続がなされる可能性が高い端末装置10の組合せ(端末装置10の集合)を特定し、特定した端末装置10の集合をなるべく少数の基地局装置12に配置する処理であるともいえる。すなわち、グループ通話に限らず、通信接続がなされる可能性が高い端末装置10の組合せを検出し、それらを同一の基地局装置12に配置する、あるいは、なるべく少数の基地局装置12に配置する処理を他の通話形式に適用することも可能である。
本実施例によれば、ビジー発生数をもとに、グループを登録した基地局装置の数を少なくするように、チャネルの優先度に関する情報を生成するので、通信システム全体で使用されるチャネルの数を少なくできる。また、通信システム全体で使用されるチャネルの数が少なくなるので、チャネル不足の発生確率を低減できる。また、グループを登録した基地局装置の数を少なくするように、チャネルの優先度に関する情報を生成するので、チャネルを効率的に利用できる。
(実施例7)
次に、実施例7を説明する。実施例7も、これまでと同様に、基地局装置が複数設置されているとともに、そのうちのいずれかに端末装置が接続して無線通信を実行する通信システムに関する。また、管理装置は、特定したグループに対してチャネル指示コマンドを生成し、基地局装置を介して、特定したグループに含まれた端末装置に送信する。実施例7は、実施例3の変形例に相当する。実施例3では、特定したグループのうち、指定したエリアに存在する端末装置に対するチャネル指示コマンドが生成される。一方、実施例7では、端末装置の位置情報を用いて、ある基地局装置12に登録された特定のグループをビジー発生数の少ない基地局装置に集めるようなチャネル指示コマンドを生成する。実施例7では、実施例3との差異を中心に説明する。
図20のごとく、各基地局装置12がカバーするエリアに対応してエリアA−1〜A−3、B−1〜B−3、C−1が定められているとする。図20は、本発明の実施例7に係る通信システム100によるグループ通話の一例を示す。ここでは、グループ1の端末装置10がそれぞれ、第1基地局装置12a、第2基地局装置12b、第3基地局装置12cを使用している状態を示す。本図において各エリアの円で囲まれた数字は、そのエリアに位置するグループ1の端末装置10の台数を示す。エリアA−1に100台、エリアB−1に20台、エリアB−3に10台、エリアC−1に10台の端末装置10が位置している。初期状態におけるエリアと基地局装置12との関係は上記の通りなので、第1基地局装置12aに100台、第2基地局装置12bに30台、第3基地局装置12cに10台が登録されている。
このような状況において、図2の記憶部34は、図21に示されたデータベースも記憶する。図21は、本発明の実施例7に係る記憶部34に記憶されるデータベースのデータ構造を示す。これは、各基地局装置12におけるグループ1のビジー発生数を示す。
上述したように、実施例6における管理装置16は、グループ1の基地局装置使用数の上限が2であるので、3つの基地局装置12に散らばっているグループ1の端末装置10をビジー発生数の少ない上位2つの基地局装置12に集約する。具体的には、管理装置16は、第1基地局装置12aまたは第3基地局装置12cを使用することが示されたチャネル指示コマンドを送信するように第2基地局装置12bに対して指示する。第2基地局装置12bを使用する端末装置10に対してチャネル指示コマンドを送信する結果、グループ1は、第1基地局装置12aと第3基地局装置12cを使用する状態になり、3つのチャネルを使用している状態から、2つのチャネルを使用する状態になる。一方、本実施例では、ビジー数だけでなく、位置登録数も考慮して、移動先候補の優先順位を決定する。具体的には、管理装置16が、基地局装置12に登録されたグループの位置登録数が所定の条件(例えば、15台以下)を満たすかを判定し、所定条件を満たす場合に、実施例6とは異なる方法でチャネルスキャンの優先度を決定する。これにより、実施例6の方法よりもさらに、グループの使用する基地局装置12を減らすことができる。すなわち、無線システムの使用リソースをさらに減らすことができる。
次に、管理装置16におけるチャネル指示コマンド生成処理について、図22のフローチャートを用いて説明する。図22は、本発明の実施例7に係る管理装置16によるチャネル指示コマンドの生成手順を示すフローチャートである。まず、ステップS100において、特定部42は、処理対象のグループを設定する。通信システム100を使用する全グループの中から順に1つのグループを選び処理対象グループとすればよい。次に、ステップS110において、生成部32は、処理対象グループが使用する基地局装置12の数が許容値を超えているか否か判定する。許容値を超えている場合は、ステップS120に進み、許容値を超えていなければ、ステップS220に進む。図10に示す例では、グループ1の使用する基地局装置12の数「3」は許容値「2」を超えているので、処理対象グループがグループ1である場合は、ステップS120に進む。
ステップS120では、処理対象グループが使用する基地局装置12の中から、移動元の基地局装置12および移動先候補の基地局装置12を特定する。前述したように、ビジー発生数、チャネルあたりのビジー発生などが最も多い基地局装置12を選べばよい。ビジー発生数に基づいて判定すると、図21に示す例では、移動元の基地局装置12は、第2基地局装置12bになる。また、移動先候補の基地局装置12は、第1基地局装置12aと第3基地局装置12cになる。ステップS130では、移動元の基地局装置12に対応するエリアから、処理対象エリア(第1の処理対象エリア)を1つ選択する。図20において、第2基地局装置12bに対応するエリアは、エリアA−2、エリアB−1、エリアB−2、エリアC−1である。この中から順次1つずつ選択すればよい。
ステップS140では、処理対象エリアにおいて、移動先候補の基地局装置12のうち、2つ以上の基地局装置12を利用可能であるか否かを判定する。2つ以上の移動先候補の基地局装置12を利用可能な場合は、ステップS150に進み、そうでない場合は、ステップS170に進む。第3端末装置10cが位置するエリアC−1では、第1基地局装置12aと第3基地局装置12cの両方を使用することが可能である。したがって、処理対象エリアがC−1である場合は、ステップS150に進むことになる。ステップS150では、処理対象エリアで使用可能な移動先候補の基地局装置12の中で、処理対象グループに属する位置登録数が所定条件を満たす基地局装置12が存在するか否かを判定する。所定条件としては、例えば、位置登録数が所定数以下(例えば、15台以下)という条件を用いればよい。所定条件を満たす基地局装置12が存在する場合はステップS160に進み、存在しない場合は、ステップS170に進む。図21に示す例では、第3基地局装置12cのグループ1の位置登録数が10台であり、所定条件を「15台以下」とすると、所定条件を満たすため、ステップS160に進む。
ステップS160では、ステップS150において所定条件を満たす基地局装置12に対応するチャネルの優先度を実施例6の場合よりも下げて、エリア毎にチャネル指示コマンドを生成する。具体的に説明すると、エリアC−1を対象にしたチャネル指示コマンドの生成において、実施例6の方法を用いると、2つの移動先候補のうち、ビジー数が少ない第3基地局装置12cの優先度が、第1基地局装置12aの優先度よりも最も高くなる。一方、本実施例では、ステップS150における所定条件を満たす基地局装置12の優先度を所定条件を満たさない基地局装置12の優先度よりも下げる。第3基地局装置12cは所定条件を満たし、第1基地局装置12aは所定条件を満たさないので、第1基地局装置12aの優先度が、第3基地局装置12cの優先度よりも高くなる。このようなチャネル指示コマンドの例を図23(a)−(b)に示す。図23(a)−(b)は、本発明の実施例7に係る通信システム100において送受信される信号を示す。このような処理を行うことで、エリアC−1に位置し、第2基地局装置12bに位置登録されている端末装置10を第1基地局装置12aに移動させることができる。また、図23(b)では、次候補になる優先チャネルがチャネル指示コマンドに付加される。図22のステップS160からステップS180に進む。
ステップS170では、実施例6と同様に、エリア毎にチャネル指示コマンドを生成する。エリアA−2、エリアB−1、エリアB−2に対しては、ステップS170が実行され、実施例6と同様にチャネル指示コマンドが生成される。ステップS170からステップS180に進む。ステップS180では、新たな(未処理の)処理対象エリアを選択可能であるかを判定し、選択可能であれば、ステップS130に戻って処理を繰り返す。選択可能でなければ、ステップS190に進む。ステップS190では、ステップS120で特定した移動先候補の基地局装置12の中で、処理対象グループに属する位置登録数が所定条件を満たす基地局装置12が存在するか否かを判定する。所定条件として、ステップS150で用いた条件と同じものを用いればよい。所定条件を満たす基地局装置12が存在する場合はステップS200に進み、存在しない場合は、ステップS210に進む。図21に示す例では、第3基地局装置12cのグループ1の位置登録数が10台であり、所定条件を「15台以下」とすると、所定条件を満たすので、ステップS200に進む。
ステップS200では、ステップS190の判定結果を用い、所定条件を満たす基地局装置12に対応し、かつ移動元基地局装置12に対応せず、かつ複数の基地局装置12でカバーされるエリア(第2の処理対象エリア)を特定する。具体的に説明すると、所定条件を満たす第3基地局装置12cに対応するエリアは、エリアA−3、エリアB−2、エリアB−3、エリアC−1である。このうち、エリアB−2とエリアC−1は、移動元の基地局装置12に対応するため除外され、エリアA−3は、1つの基地局装置12にしか対応しないため除外される。この結果、エリアB−3が特定される。ステップS200からステップS210に進む。
ステップS210では、ステップS200で特定した第2の処理対象エリアを対象にしてチャネル指示コマンドを生成する。この際に、ステップS190における所定条件を満たす基地局装置12の優先度を、所定条件を満たさない基地局装置12の優先度よりも下げる。第3基地局装置12cは所定条件を満たし、第1基地局装置12aは所定条件を満たさないため、第1基地局装置12aの優先度が、第3基地局装置12cの優先度よりも高くなる。このようなチャネル指示コマンドの例を図24(a)−(b)に示す。図24(a)−(b)は、本発明の実施例7に係る通信システム100において送受信される別の信号を示す。これらを使用することにより、エリアB−3に位置し、第3基地局装置12cに位置登録されている端末装置10を第1基地局装置12aに移動させることができる。図22のステップS220では、新たな(未処理の)処理対象グループを設定可能か否か判定する。設定可能であれば、ステップS100に戻って処理を繰り返し、設定不可能であれば、処理を終了する。管理装置16は、以上の処理によりエリア毎にチャネル指示コマンドを生成し、記憶部にそれらを記憶する。
本実施例によれば、端末装置の位置情報を用いて、ある基地局装置に登録された特定のグループをビジー発生数の少ない基地局装置12に集めるので、チャネル不足の発生を抑制できる。
(実施例8)
次に、実施例8を説明する。実施例8も、これまでと同様に、基地局装置が複数設置されているとともに、そのうちのいずれかに端末装置が接続して無線通信を実行する通信システムに関する。実施例8は、実施例4の変形例に相当する。実施例4では、特定した端末装置に対してチャネル指示コマンドを生成し、基地局装置を介して、端末装置に送信する。特定のグループを対象にしたチャネル指示コマンドの代わりに、特定の端末装置を対象にしたチャネル指示コマンドを用いるため、通信システム全体で使用されるチャネルがさらに細かく制御される。一方、実施例8では、実施例4と同様の処理において、実施例7と同様に、ビジー数だけでなく、位置登録数も考慮して、移動先候補の優先順位を決定する。つまり、実施例8は、実施例4に実施例7を組み合わせた構成に相当する。
なお、端末装置10の位置情報を用いて、使用する基地局装置12を移動させるグループを決定してもよい。例えば、以下に示す(1)〜(3)の条件を満たすグループを特定し、そのグループに対して、実施例6〜実施例8で説明した手法を用いて、使用する基地局装置12を変更する処理を行うことができる。
(1)グループ全体の端末装置10のうち、所定数以上の端末装置10または所定割合以上の端末装置10が、比較的混雑度の低い基地局装置12(1つ以上の移動先候補の基地局装置12)に登録されている。
(2)移動先候補の基地局装置12がカバーするエリアに位置し、かつ他の基地局装置12に登録されている端末装置10が存在する。
(3)移動先候補の基地局装置12がカバーしないエリアに位置する端末装置10が少ない(所定数以下の端末装置10または所定割合以下)。
管理装置16は、(1)および(2)の条件を満たすグループ、または(1)〜(3)の条件を満たすグループを検出し、当該グループに対して、実施例6〜実施例8の手法を用いて、チャネル指示コマンドを生成し、基地局装置12に送信させる。このような処理を行うことにより、システム全体のチャネル使用量を効率的に減らすことができる。なお、その際に、図10で示す許容値を用いずに、グループの使用する基地局装置12の数が2以上であるグループを対象に、上記の条件を満たすグループを検出して処理を行ってもよい。
また、端末装置10の位置情報を用いて、下記の(1)〜(3)のうちのどのチャネル指示コマンドを使用するかを判定してもよい。
(1)図4(a)−(b)、図5(a)−(b)に示すような対象グループを指定するチャネル指示コマンド
(2)図23(a)−(b)、図24(a)−(b)に示すような対象グループおよびエリアを指定するチャネル指示コマンド
(3)図18(a)−(b)に示すような対象端末装置10を指定するチャネル指示コマンド
例えば、ある基地局装置12に登録されている、あるグループの端末装置10が1つのエリアに位置する場合は、(1)を用いればよい。また、同一のエリアに位置する複数の端末装置10のうちの一部の端末装置10を対象にして、チャネル指示コマンドを送信したい場合は、(3)を用いればよい。
本実施例によれば、ビジー数だけでなく位置登録数も考慮して移動先候補の優先順位を決定するとともに、特定の端末装置を対象にしたチャネル指示コマンドを使用するので、システム全体で使用されるリソースをさらに細かく制御できる。
(実施例9)
次に、実施例9を説明する。実施例9は、基地局装置が複数設置されているとともに、そのうちのいずれかに端末装置が接続して無線通信を実行する通信システムに関する。その際、管理装置は、チャネル指示コマンドを生成し、基地局装置を介して端末装置あるいはグループに送信する。特に、実施例9では、基地局装置の混雑度を示す指標を算出し、その指標に応じて、チャネル指示コマンドが生成される。ここでは、これまでとの差異を中心に説明する。
図25は、本発明の実施例9に係る管理装置16の構成を示す。管理装置16は、図2の構成における生成部32に指標算出部44がさらに含まれる。取得部40は、基地局装置12の位置登録数、基地局装置12のグループ登録数、基地局装置12のチャネル数を図3に示すデータベースから取得する。指標算出部44は、取得されたデータに基づいて、混雑度を示す指標を基地局装置12毎に導出する。指標算出部44は、式(1)または式(2)にしたがって、第i基地局装置12iの混雑度を示す指標Z[i]を算出する。
式(1)において、N[i]は第i基地局装置12iにおける位置登録数であり、G[i]は第i基地局装置12iにおけるグループ登録数であり、C[i]は第i基地局装置12iのチャネル数である。また、α1、α2は、「0」以上の定数であり、少なくとも一方は「0」より大きい。γ1、γ2は、0より大きい定数である。式(1)は、α1、α2を重み係数として、1チャネルあたりの位置登録数と、1チャネルあたりのグループ登録数を加重平均しているといえる。1チャネルあたりの位置登録数が多く、かつ1チャネルあたりのグループ登録数が多いほど、混雑度Z[i]は大きな値となる。グループ通話の場合、基本的にはグループ登録数が多いほど、チャネル不足の可能性が高くなるが、グループ登録数が同程度である基地局装置12を比べた場合、位置登録数が多いほど、チャネル不足の可能性が高くなるといえる。したがって、混雑度Z[i]を算出することにより、チャネル不足の予想を高い精度で行うことができる。またγ1、γ2を調整することにより、位置登録数とグループ登録数という2つの要素が、混雑度に及ぼす影響力を調整することができる。また、γ1=γ2=1として、べき乗演算を行わないようにしてもよい。
式(2)において、μ1、μ2は、「0」以上の定数であり、少ないとも一方は「0」より大きい。またμ1、μ2を調整することにより、位置登録数とグループ登録数という2つの要素が、混雑度に及ぼす影響力を調整することができる。また、μ1=μ2=1として、べき乗演算を行わないようにしてもよい。
混雑度Z[i]の値が大きいと、例えば、端末装置10が発呼した場合に、空きチャネルがない等の理由により、端末装置10と基地局装置12間の通信が成立しない可能性が高い。一方、混雑度Z[i]の値が小さい基地局装置12ほど、端末装置10と基地局装置12間の通信が成立する可能性が高いといえる。このため、混雑度Z[i]が小さいほど、第i基地局装置12iのチャネルに関するチャネルスキャンの優先度を高く設定すればよい。そのため、生成部32は、指標算出部44において算出した指標に応じて、チャネルの優先度に関する情報を生成する。なお、本実施例では、指標算出部44が指標を算出したが、他の方法を用いることもできる。例えば、各基地局装置12または他の装置が、各基地局装置12の混雑度を示す指標を算出し、取得部40がその指標を取得するようにしてもよい。その場合は、管理装置16の指標算出部44を省略することができる。
また変形例として、指標算出部44は、式(3)または式(4)にしたがって、第i基地局装置12iの混雑度を示す指標Z[i]を算出してもよい。
式(3)において、B[i]は第i基地局装置12iにおける単位時間あたりのビジー発生数であり、D[i]は第i基地局装置12iに登録された端末装置10の数であり、C[i]は第i基地局装置12iのチャネル数である。式(3)は、α1、α2を重み係数として、1チャネルあたりのビジー発生数と、1チャネルあたりの位置登録数を加重平均しているといえる。1チャネルあたりのビジー発生数が多く、かつ1チャネルあたりの位置登録数が多いほど、混雑度Z[i]は大きな値となる。またγ1、γ2を調整することにより、ビジー発生数と位置登録数という2つの要素が、混雑度に及ぼす影響力を調整することができる。式(4)は、式(3)と同様に示される。
また、式(3)および式(4)において、第i基地局装置12iに登録された端末装置10の数D[i]の代わりに、第i基地局装置12iに登録されたグループ数G[i]を用いてもよい。この場合は、1チャネルあたりのビジー発生数が多く、かつ1チャネルあたりのグループ数が多いほど、混雑度Z[i]は大きな値となる。グループ通話が多い無線システムでは、グループ数G[i]を用いるのがよい。また、1チャネルあたりのビジー発生数と、1チャネルあたりの位置登録数と、1チャネルあたりのグループ数の3つの要素を用いて、混雑度を算出してもよい。式(3)と同様に、3つの要素の重み付き加算値を算出してもよい。また、式(4)と同様に、3つの要素の乗算値を算出してもよい。
また、端末装置10の位置における電界強度あるいは端末装置10の受信電力を考慮して、チャネルの優先度を決定してもよい。例えば、基地局装置12を移動させる候補の端末装置10の位置における電界強度が大きいほど、大きな値となる指標を基地局装置12毎に算出し、その指標が大きいほど、チャネルの優先度を高くする。例えば、第1基地局装置12aに登録されているグループ1の第1端末装置10aおよび第2端末装置10bを第2基地局装置12bまたは第3基地局装置12cに移動させる場合を想定する。なお、説明を明瞭にするために、ここでは、第1端末装置10aを端末装置Aと示し、第2端末装置10bを端末装置Bと示す。
端末装置Aの位置における第2基地局装置12bの電界強度をE(2,A)、第3基地局装置12cの電界強度をE(3,A)とする。また、端末装置Bの位置における第2基地局装置12bの電界強度をE(2,B)、第3基地局装置12cの電界強度をE(3,B)とする。基地局装置12毎に移動候補の端末装置10の電界強度の合計を算出し指標とする。第2基地局装置12bの指標S[2]は、S[2]=E(2,A)+E(2,B)であり、第3基地局装置12cの指標S[3]は、S[3]=E(3,A)+E(3,B)である。なお、各端末装置10の位置における電界強度(受信電力)の合計を算出する他に、平均値、中央値などの代表値を算出し、それを用いて指標を算出してもよい。すなわち、複数の端末装置10の位置における電界強度(受信電力)を集約した値を算出し、それを用いて指標を算出してもよい。また、移動候補の端末装置10の電界強度(受信電力)の最小値または下位X%に相当する値を、基地局装置12毎に算出し、それを用いて指標を算出してもよい。
ここで下位X%に相当する値とは、電界強度の高い順に端末装置10を並べた場合に、下位X%の順位に該当する端末装置10の電界強度である。最小値を使う場合は、E(2,A)< E(2,B)であるとすると、S[2]=E(2,A)となる。E(3,A)> E(3,B)であるとすると、S[3]=E(3,B)となる。そして、S[2]>S[3]であるとすると、第2基地局装置12bのチャネルスキャン優先度を第3基地局装置12cよりも高くする。なお、各位置における電界強度(受信電力)のデータは、端末装置10から位置情報と受信電力の情報を逐次受信し、それを利用すればよい。あるいは、過去に端末装置10などの計測装置から受信した情報を蓄積し、各地点の電界強度を示すデータベースを作成し、それを用いてもよい。また、実測ではなく、基地局装置12からの距離や地形を考慮したシミュレーションによって、各地点の電界強度または受信電力を推定し、各地点の電波状況を示すデータベースを作成してもよい。
また、混雑度と電界強度の両方を考慮した指標を算出し、それに応じてチャネルの優先度を決定してもよい。例えば、混雑度Z[i]が小さいほど、かつ移動候補の端末装置10の位置のおける電界強度が大きいほど、大きな値となる指標S[i]を、当該グループに属する端末装置10を移動させる移動先候補の基地局装置12のそれぞれについて算出してもよい。さらに、指標S[i]が大きいほど、チャネルの優先度を高くすればよい。
本実施例によれば、各基地局装置の混雑度を示す指標を位置登録数を使用しながら生成するので、チャネル不足の予想精度をさらに向上できる。すなわち、通信の成立しやすさに関する予測精度をさらに向上できる。また、各基地局装置の混雑度を示す指標に応じて、チャネルの優先度に関する情報を生成するので、システム全体のチャネルを有効に利用でき、通信が成立しやすい通信システムを提供できる。また、各基地局装置の混雑度を示す指標をビジー発生数を使用しながら生成するので、チャネル不足の予想精度をさらに向上できる。
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
本実施例1乃至9において、リソースとしてチャネルを使用する。しかしながらこれに限らず例えば、リソースは、コンピュータのシステムを構成し、稼動させるためのハードウエア、ソフトウエアであってもよい。本変形例によれば、構成の自由度を向上できる。