JP6670597B2 - 両性イオン含有アクリジニウム化合物 - Google Patents

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Description

本発明は、両性イオンを含有する親水性化学発光アクリジニウム化合物に関する。これらアクリジニウム化合物は、それらの親水性の性質のため、固相に対する低い非特異的結合を示し、そしてアッセイ感度を改善するのに潜在的に有用である。
背景
化学発光アクリジニウムエステルは、イムノアッセイ及び核酸アッセイの両方のための極めて有用な標識であることが明らかになっている。アクリジニウムエステルからの光放出は、アルカリ性過酸化水素との反応によって誘発され、この反応は、フェノールエステル結合の開裂、及び発光種である励起状態アクリドンの形成を引き起こす。フェノール脱離基の離脱に続くジオキセタノン中間体の形成が、その反応機構において提案されており、そして励起状態アクリドンへの前駆体であると推定される。アクリジニウムエステルからの光放出の期間は、反応条件にもよるが、通常は数秒以内で完了し、そして照度計を使用して定量的に測定することができる。イムノアッセイにおけるアクリジニウムエステル、9−カルボキシフェニル−N−メチルアクリジニウムブロミドの適用が、Simpson, J.S.A.らによって開示された(Nature vol. 279, pp. 646-647 (1979)。しかしながら、このアクリジニウムエステルは、かなり不安定であり、それによってその商業的有用性を制限している。この不安定性は、フェノールとアクリジニウム環との間の不安定な9−カルボキシフェニルエステル結合の加水分解に起因する。
アクリジニウムエステルにおけるフェノールエステルを安定させる試みにおいて、Lawら(Journal of Bioluminescence and Chemiluminescence, vol. 4, pp. 88-89 (1989)は、このエステル結合を安定させるために2個の隣接メチル基を導入した。得られた立体的に安定化されたアクリジニウムエステルは、DMAE−NHS[2’,6’−ジメチル−4’−(N−スクシンイミジルオキシカルボニル)フェニル10−メチルアクリジニウム−9−カルボキシラート]と略されるが、2個のメチル基を欠くアクリジニウムエステルと同じ光出力を有することが見出された。他方では、先の化合物の安定性は、免疫グロブリンに抱される場合、はるかに優れており、そして37℃、pH7での1週間後でさえ化学発光活性の損失を示さなかった。対照的に、非置換のアクリジニウムエステルは、同じ処理に付された場合、その活性のたった10%を保持するだけであった。
DMAE及びその誘導体の疎水性の性質を緩和するために、Lawらによる米国特許第5,656,426号は、N−メチル基がN−スルホプロピル(NSP)基で置き換えられている、NSP−DMAE−NHSエステルと呼ばれるDMAEの親水性バージョンを開示した。DMAE及びNSP−DMAEの両方とも、現在、Siemens Healthcare Diagnosticsの市販の自動イムノアッセイ分析器ACS:180(商標)及びCentaur(商標)において広く使用されている。
NSP−DMAEの親水性をさらに増大させるために、Natrajanらは、米国特許第6,664,043(B2)号において、フェノールに結合しているポリ(エチレン)グリコール及びアニオン性スペルミン誘導体などの親水性修飾剤を有するNSP−DMAE誘導体を開示した。そのような、NSP−DMAE−HEG−グルタラート−NHSと呼ばれ(NSP−DMAE−HEGと略され)、そしてヘキサ(エチレン)グリコール誘導体(HEG)を含有するアクリジニウムエステルの1つの構造は、以下の図において例示されている。この化合物において、α,ω−ジアミノヘキサ(エチレン)グリコール(ジアミノ−HEG)部分が、アクリジニウムエステルの水溶解度を増大させるために、フェノールに結合している。グルタラート部分が、ジアミノ−HEGの末端に付加され、そして種々の分子の標識化を可能にするためにNHSエステルに変換された。HEGに加えて、スルホン酸基及びカルボキシラート基を有するスペルミンから誘導されたアニオン性修飾剤はまた、米国特許第6,664,043(B2)号において、Natrajanらによって開示された。
最近、Natrajanらは、米国特許第7,309,615(B2)号において、アクリジニウム環のC2及び/又はC7における親水性アルコキシ基(OR)(ここで、Rは、スルホプロピル部分もしくはエチレングリコール部分又はその組合せを含む基である)を含有する、親水性の高量子収率アクリジニウム化合物を記載した。このような化合物からの高められた光出力及びそれらの親水性の性質により、それらはイムノアッセイの感度を改善するのに有用になった。そのような、NSP−2,7−(OMHEG)−DMAE−AC−NHS(HQYAEと略される)と呼ばれる化合物の1つの構造は、以下に例示されている。この化合物及び米国特許第7,309,615(B2)号に記載されている他の化合物は、フェノールに代わってアクリジニウム環に結合しているポリ(エチレン)グリコール又はアニオン性スルホン酸基を含有した。
Figure 0006670597
前述の特許に開示されているアクリジニウムエステルの構造におけるポリ(エチレン)グリコール(PEG)部分及びアニオンの取り込みは、これらのアクリジニウムエステルの親水性の性質を増大させるほか、これらの化合物から誘導される抱合体の非特異的結合を低下させることが意図されている。非特異的結合とは、粒子又はマイクロタイタープレートなどの固相を使用するアッセイにおいて、これらの固相に対するこれらのアクリジニウムエステル抱合体の望ましくない結合相互作用である。これらの望ましくない結合相互作用は、典型的には、アッセイのバックグラウンドを増大させ、それがアッセイにおいてシグナル対バックグラウンド比の正味の低下をもたらし、それによってアッセイ感度が下がる。
タンパク質吸着に抵抗する不活性表面を作り出すためのポリ(エチレン)グリコールの使用は、先行技術において説明されている。例えば、Ostuniらは、J. Am. Chem. Soc. 2000, 17, 5605-5620において、タンパク質吸着に対する抵抗性について自己集合単分子層に結合した多数の官能基を評価し、そしてポリ(エチレン)グリコール官能基が最良の抵抗性を与えるということを観察した。より最近になって、Laddらが、Biomacromolecules 2008, 9, 1357-1361において;及び他の者が、両性イオンで修飾された親水性表面は、タンパク質吸着に対してPEGと同程度に不活性であるということを報告しており、そしてさらに、両性イオンは、PEGの酸化的開裂に対する性向のため、PEGよりも化学的により安定であろうということが仮定されている。幾つかの一般的な両性イオン、例えば、スルホベタイン、カルボキシベタイン、ホスホベタイン及びアミンオキシドなどの構造は、以下の図において例示されている。PEGのように、これらの両性イオンは、通常、所与の構造における正及び負電荷の釣り合いにより、電気的に中性である(R1〜R4は、典型的には、アルキル基である)。
両性イオンの例
Figure 0006670597
窒素原子が第四級であるスルホベタインは、それらの電気的中性を広いpH範囲にわたって維持する。他方では、三置換窒素を有するスルホベタインは、より高いpH(pH>7)において、窒素で脱プロトン化され、それによってその正電荷を中和することができるので、負電荷を獲得することができる。同様に、カルボキシベタインは、より高いpHにおいて電気的に中性であるが、低いpH(pH<5)において、カルボキシラート基でプロトン化されて正味の正電荷を獲得することができる。
プロテオミクスにおける適用のための、両性イオンで修飾された蛍光色素が、最近、米国特許出願第0259333(A1)号においてDratz及びGriecoによって報告されている(2007年11月)。両性イオン色素で標識されたタンパク質は、水溶性であり、そして電気泳動分析をより施しやすいことが観察された。また、上記の著者は、両性イオン色素を使用したタンパク質分析のための方法をクレームしている。
非特異的結合などの化学発光アクリジニウムエステルの特性を改善するために、それに電気的に中性な両性イオン官能基を取り込むことは、先行技術において説明されていない。このような化合物は、米国特許第6,664,043(B2)号及び米国特許第7,309,615(B2)号においてNatrajanらによって記載されているPEG含有アクリジニウムエステルを補完し、そしてアッセイ感度を改善する可能性を有するものである。
当技術分野において、イムノアッセイ等のための改善された化学発光タグに対する必要性が引き続き存在する。したがって、本発明の目的は、固相に対する非特異的結合の減少を示す化学発光アクリジニウム化合物を提供することである。
発明の概要
上述の目的及びその他にしたがって、化学発光アクリジニウム化合物の特性は、分子内に両性イオン基を取り込んで、その親水性を増大させ、結果として固相との非特異的結合を減少させることによって、改善されるということが驚くべきことに見出された。
本発明の一態様において、(i)アクリジニウム核の窒素原子に結合している炭化水素基であって、該炭化水素基は、最大20個までのヘテロ原子で場合により置換されている、炭化水素基、及び(ii)置換炭化水素部分に連結している、アクリジニウム核のC位におけるカルボキシル又はスルホンアミド基を含む、化学発光アクリジニウム化合物が提供され、ここで、このアクリジニウム化合物は、アクリジニウム核のC位、アクリジニウム核のC位、カルボキシルもしくはスルホンアミド基に連結している炭化水素部分、又はアクリジニウム核の窒素原子に結合している炭化水素基に結合している、少なくとも1個の両性イオン官能基を含み;前記アクリジニウム化合物は、前記両性イオン官能基を含まない以外は同一のアクリジニウム化合物と比較して、固相に対する非特異的結合の減少を示す。
一実施態様において、化学発光アクリジニウム化合物は、式(I)で示される以下の構造:
Figure 0006670597

[式中、
は、C1−35アルキル、アルケニル、アルキニル又はアラルキル基であり、それらの各々は、最大20個までのヘテロ原子、又はスルホプロピルもしくはスルホブチル基を含有することができるか、あるいはRは、基−R−Zであり;ここで、Rは、各々が最大20個までのヘテロ原子を場合により含有する、C1−35アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はアラルキル基から選択される二価の基であり;
及びRは、(i)水素、(ii)電子供与基、又は(iii)基−Zから独立して選択され;
Zは、以下の形態:
Figure 0006670597

で示される両性イオン基であり、
Xは、各々出現ごとに独立して、結合、−CH−、酸素、硫黄、−NR−、アミド(−NR(CO)−)、カルバマート(−NRC(O)O−)又はウレア(−NRC(O)NR−)から選択され;
R’及びR”は、各々出現ごとに独立して、各々が最大20個までのヘテロ原子を場合により含有する、C1−35アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はアラルキルから選択され;
は、基−R−Z(ここで、Zは、カルボキシラート(−COO)、スルホナート(−SO )、スルファート(−OSO )、ホスファート(−OP(O)(OR)(O))もしくはオキシド(−O)から選択される)であるか;又は、Zが、オキシド(−O)である場合、Rは、存在しなくてもよく;
nは、各々出現ごとに独立して、1〜12の間の整数から選択され;そして
及びRは、同じか、又は異なり、そして水素、C1−35アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシル(−OR)、アルキルチオール(−SR)又は置換アミノ基(−NR)から選択され;
、R及びRは、水素又は基−(CO)−R15から独立して選択されるが、但し、R、R及びRのうちの2つは、水素であり、そしてR、R及びRのうちの1つは、前記基−(CO)−R15であり;
15は、基−Z又は基−Xであり、ここで、Xは、酸素、硫黄又は−NR−であり、そしてRは、各々が最大20個までのヘテロ原子を場合により含有する、水素、C1−35アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はアラルキルから選択されるか、あるいはRは、基−R−Lであり、ここで、Lは、分析物、分析物類似体又は分析物の結合パートナーとの抱合体を形成するための脱離基であるが;但し、R15が、基−Zであるとき、Xは、各々出現ごとに独立して、結合、−CH−、酸素、硫黄又は−NR−から選択され;
Rは、各々出現ごとに独立して、各々が最大20個までのヘテロ原子を含有する、C1−35アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はアラルキル基から選択され;そして
は、各々出現ごとに独立して、各々が最大20個までのヘテロ原子を含有する、水素、C1−35アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はアラルキル基から選択されるが;
但し、R、R、R、R、R及びRのうちの少なくとも1つは、基Zである]を有するアクリジニウムエステルである。
別の実施態様において、化学発光アクリジニウム化合物は、式(II)で示される以下の構造:
Figure 0006670597

[式中、
は、C1−35アルキル、アルケニル、アルキニル又はアラルキル基であり、これらの各々は、最大20個までのヘテロ原子、又はスルホプロピルもしくはスルホブチル基を含有することができるか、あるいはRは、基−R−Zであり;
及びRは、(i)水素、(ii)電子供与基、又は(iii)基−Zから独立して選択され;
Y及びY’は、R、−R−Z又は−R−Lから独立して選択され;ここで、Lは、分析物、分析物類似体又は分析物の結合パートナーとの抱合体を形成するための脱離基、求電子基又は求核基を含む、誘導体化可能官能基(derivitizable functional group)であり;
Zは、以下の形態:
Figure 0006670597

で示される両性イオン基であり、
Xは、各々出現ごとに独立して、結合、−CH−、酸素、硫黄、−NR−、アミド(−NH(CO)−)、カルバマート(−NHC(O)O−)又はウレア(−NHC(O)NH−)から選択され;
R’及びR”は、各々出現ごとに独立して、各々が最大20個までのヘテロ原子を含有する、C1−35アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はアラルキルから選択され;
は、基−R−Zであり、ここで、Zは、カルボキシラート(−COO)、スルホナート(−SO )、スルファート(−OSO )、ホスファート(−OP(O)(OR)(O))又はオキシド(−O)から選択されるか;あるいは、Zが、オキシド(−O)である場合、Rは、存在しなくてもよく;
nは、各々出現ごとに独立して、1〜12の間の整数から選択され;
Rは、各々出現ごとに独立して、各々が最大20個までのヘテロ原子を含有する、C1−35アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はアラルキル基から選択され;
は、各々出現ごとに独立して、各々が最大20個までのヘテロ原子を含有する、水素、C1−35アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はアラルキル基から選択され;
そしてRは、各々が最大20個までのヘテロ原子を場合により含有する、C1−35アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はアラルキル基から選択される、二価の基であるが;
但し、R、R、R、Y及びY’のうちの少なくとも1個は、前記両性イオン基Zを含む]を有するアクリジニウムスルホンアミドである。
本発明の別の態様において、分析物、分析物類似体又は分析物の結合パートナーに結合している化学発光アクリジニウム化合物を含む分析物の検出のための試薬が提供され、このアクリジニウム化合物は、(i)アクリジニウム核の窒素原子に結合している炭化水素基であって、該炭化水素基は、最大20個までのヘテロ原子で場合により置換されている、炭化水素基、及び(ii)最大20個までのヘテロ原子で場合により置換されている置換炭化水素部分に連結している、アクリジニウム核のC位におけるカルボキシル又はスルホンアミド基を含み、ここで、前記アクリジニウム化合物は、アクリジニウム核のC位、アクリジニウム核のC位、カルボキシルもしくはスルホンアミド基に連結している炭化水素部分、又はアクリジニウム核の窒素原子に結合している炭化水素基に結合している、少なくとも1個の両性イオン官能基を含み;前記アクリジニウム化合物は、前記両性イオン官能基を含まない以外は同一のアクリジニウム化合物と比較して、固相に対する非特異的結合の減少を示す。
本発明のさらなる態様において、巨大分子分析物の検出又は定量のためのアッセイが提供され、このアッセイは、(a)分析物に対して特異的な結合分子に結合している、本発明による化学発光アクリジニウム化合物を含む抱合体を提供すること;(b)固体担体であって、その上に前記分析物に対して特異的な第2結合分子を固定している固体担体を提供すること;(c)上記抱合体、固相、及び分析物を含有していると疑われるサンプルを混合して結合複合体を形成すること;(d)固体担体上に捕獲された結合複合体を分離すること;(e)化学発光誘発試薬を加えることによって、工程(d)からの結合複合体の化学発光を誘発すること;(f)照度計を用いて光放出の量を測定すること;及び(g)放出された光の量を分析物の既知濃度と関連づける標準用量反応曲線と、反応混合物から放出された光の量を比較することによって、分析物の存在を検出するか又は分析物の濃度を計算することを含む。
さらに別の態様において、小分子分析物の検出又は定量のためのアッセイが提供され、このアッセイは、(a)分析物と本発明による化学発光アクリジニウム化合物との抱合体を提供する工程;(b)分析物に対して特異的な結合分子で固定された固体担体を提供する工程;(c)上記抱合体、固体担体、及び分析物を含有していると疑われるサンプルを混合して結合複合体を形成する工程;(d)固体担体上に捕獲された結合複合体を分離する工程;(e)化学発光誘発試薬を加えることによって、工程(d)からの結合複合体の化学発光を誘発する工程;(f)照度計を用いて光の量を測定する工程;及び(g)放出された光の量を分析物の既知濃度と関連づける標準用量反応曲線と、反応混合物から放出された光の量を比較することによって、分析物の存在を検出するか又は分析物の濃度を計算する工程を含む。
さらに別の態様において、小分子分析物の検出のためのアッセイが提供され、このアッセイは、(a)分析物又は分析物類似体で固定された固体担体を提供すること;(b)分析物に対して特異的な結合分子と本発明による化学発光アクリジニウム化合物との抱合体を提供すること;(c)固相、抱合体、及び分析物を含有していると疑われるサンプルを混合して結合複合体を形成すること;(d)固体担体上に捕獲された結合複合体を分離すること;(e)化学発光誘発試薬を加えることによって、(d)の結合複合体の化学発光を誘発すること;(f)照度計を用いて光の量を測定すること;及び(g)放出された光の量を分析物の既知濃度と関連づける標準用量反応曲線と、反応混合物から放出された光の量を比較することによって、分析物の存在を検出するか又は分析物の濃度を計算することを含む。
本発明のこれら及び他の態様は、添付の特許請求の範囲を含む、以下の詳細な説明を参照することによってよりよく理解されるであろう。
本発明の複数の例示的両性イオン含有アクリジニウム化合物の化学構造を示す図である。 本発明の他の例示的両性イオン含有アクリジニウム化合物の化学構造を示す図である。 本発明の別の例示的両性イオン含有アクリジニウム化合物の化学構造を示す図である。 時間の関数としてプロットされた、相対光単位(RLU)%での、対照(NSP−DMAE−HEG)及び例示的両性イオン含有アクリジニウム(NSP−DMAE−Z−NHS)抱合体から放出された光のプロットである。 時間の関数としてプロットされた、相対光単位(RLU)%での、2つの抗体に対する対照(HQYAE)及び例示的両性イオン含有アクリジニウム(NSP−2,7−DMG−DMAE)抱合体から放出された光のプロットである。 時間の関数としてプロットされた、相対光単位(RLU)%での、抗TSH Mabに対する対照(NSP−DMAE−Z)及び例示的両性イオン含有アクリジニウム(ZC6M−AE及びZC8M−AE)抱合体から放出された光のプロットである。
詳細な説明
本発明の主な目的は、両性イオン含有アクリジニウム化合物の構造であって、これらの構造的特徴を欠くアクリジニウム化合物と比較した場合、固相に対する低い非特異的結合を示す、両性イオン含有アクリジニウム化合物の構造を開示することである。本発明の別の目的は、2つの種類の両性イオン修飾のアクリジニウム化合物:(a)アクリジニウム環内に両性イオンを含有するアクリジニウム化合物、及び(b)フェノール脱離基に結合している両性イオンを含有するアクリジニウム化合物を開示することである。本発明の別の目的は、フェノールに結合している両性イオンを有するアクリジニウム化合物からの光放出が、この構造的修飾を持たないアクリジニウム化合物と比較した場合、予想外に速いことを開示することである。本発明のさらに別の目的は、両性イオン含有アクリジニウム化合物が、両性イオンを持たないアクリジニウム化合物と同程度に安定であり、そして同様の量子収率を有するということを実証することである。
本発明による化学発光アクリジニウム化合物は、アクリジニウムエステル、アクリジニウムスルホンアミド等であり得る。一実施態様において、化学発光アクリジニウム化合物は、(i)アクリジニウム核の窒素原子に結合している炭化水素基であって、この炭化水素基は、最大20個までのヘテロ原子で場合により置換されている、炭化水素基、及び(ii)置換炭化水素部分に連結している、アクリジニウム核のC位におけるカルボキシル又はスルホンアミド基を含み、ここで、このアクリジニウム化合物は、アクリジニウム核のC位、アクリジニウム核のC位、カルボキシルもしくはスルホンアミド基に連結している炭化水素部分、又はアクリジニウム核の窒素原子に結合している炭化水素基に結合している、少なくとも1個の両性イオン官能基を含み;前記アクリジニウム化合物は、前記両性イオン官能基を含まない以外は同一のアクリジニウム化合物と比較して、固相に対する非特異的結合の減少を示す。
窒素原子に結合している炭化水素基は、最大20個までのヘテロ原子で場合により置換されており、したがって、それ自体、例えば、スルホプロピルもしくはスルホブチル基が環窒素に結合し、第四級環窒素上に正電荷及び−SO基上に負電荷がある場合、両性イオン基を構成することができる。そのような両性イオン基が存在したとしても、本発明による化合物は、さらに少なくとも1個の両性イオン基を含むであろうことは理解されるであろう。言い換えれば、本発明による化合物は、アクリジニウム核の窒素以外又はそれに加えて、ある原子上に正電荷を含むであろう。
一実施態様において、化学発光アクリジニウム化合物は、式(I)で示される以下の構造:
Figure 0006670597

[式中、
は、C1−35アルキル、アルケニル、アルキニル又はアラルキル基であり、それらの各々は、最大20個までのヘテロ原子、又はスルホプロピルもしくはスルホブチル基を含有することができるか、あるいはRは、基−R−Zであり;ここで、Rは、各々が最大20個までのヘテロ原子を場合により含有する、C1−35アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はアラルキル基から選択される二価の基であり;
及びRは、(i)水素、(ii)電子供与基、又は(iii)基−Zから独立して選択され;
Zは、以下の形態:
Figure 0006670597

で示される両性イオン基であり、
Xは、各々出現ごとに独立して、結合、−CH−、酸素、硫黄、−NR−、アミド(−NR(CO)−)、カルバマート(−NRC(O)O−)又はウレア(−NRC(O)NR−)から選択され;
R’及びR”は、各々出現ごとに独立して、各々が最大20個までのヘテロ原子を場合により含有する、C1−35アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はアラルキルから選択され;
は、基−R−Z(ここで、Zは、カルボキシラート(−COO)、スルホナート(−SO )、スルファート(−OSO )、ホスファート(−OP(O)(OR)(O))もしくはオキシド(−O)から選択される)であるか;又は、Zが、オキシド(−O)である場合、Rは、存在しなくてもよく;
nは、各々出現ごとに独立して、1〜12の間の整数から選択され;そして
及びRは、同じか、又は異なり、そして水素、C1−35アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシル(−OR)、アルキルチオール(−SR)又は置換アミノ基(−NR)から選択され;
、R及びRは、水素又は基−(CO)−R15から独立して選択されるが、但し、R、R及びRのうちの2つは、水素であり、そしてR、R及びRのうちの1つは、前記基−(CO)−R15であり;
15は、基−Z又は基−Xであり、ここで、Xは、酸素、硫黄又は−NR−であり、そしてRは、各々が最大20個までのヘテロ原子を場合により含有する、水素、C1−35アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はアラルキルから選択されるか、あるいはRは、基−R−Lであり、ここで、Lは、分析物、分析物類似体又は分析物の結合パートナーとの抱合体を形成するための脱離基であるが;但し、R15が、基−Zであるとき、Xは、各々出現ごとに独立して、結合、−CH−、酸素、硫黄又は−NR−から選択され;
Rは、各々出現ごとに独立して、各々が最大20個までのヘテロ原子を含有する、C1−35アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はアラルキル基から選択され;そして
は、各々出現ごとに独立して、各々が最大20個までのヘテロ原子を含有する、水素、C1−35アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はアラルキル基から選択されるが;
但し、R、R、R、R、R及びRのうちの少なくとも1つは、基Zである]を有するアクリジニウムエステルである。
一実施態様において、R、R、R及びRのうちの少なくとも1つ又は厳密に1つが、基−L又は−R−Lを含み、ここで、Lは、分析物、分析物類似体又は分析物の結合パートナーとの抱合体を形成するための、脱離基、求電子基又は求核基を含む、誘導体化可能官能基である。いくつかの実施態様において、Lは、以下:
Figure 0006670597

からなる群より選択されるであろう。
ある実施態様において、R15は、以下:
(1)−OH;
(2)−O−N−スクシンイミジル;
(3)−NH−(CH−C(O)−O−N−スクシンイミジル;
(4)−NH−(CH−COOH;
(5)−NH−(CO)−CNH−C(O)−(CH−C(O)−O−N−スクシンイミジル(ここで、i=1〜5である);
(6)−NH−(CO)−CNH−C(O)−(CH−COOH(ここで、i=1〜5である);
(7)−NH−(CO)−CNH(ここで、i=1〜5である);及び
(8)−NH−R−NHR;ならびに
(9)−Z
からなる群より選択されるであろう。
15が−OHである場合について、特に言及することができる。
一実施態様において、R’又はR”は、基−R−Lを含み、ここで、Lは、分析物、分析物類似体又は分析物の結合パートナーとの抱合体を形成するための、誘導体化可能脱離基、求電子基又は求核基である。いくつかの実施態様において、Lは、上記で提供された基から選択されるであろう。一実施態様において、R’又はR”は、一出現で、基−R−C(O)−CHCHCH−C(O)−N−スクシンイミジル、−R−N−マレイミド、−R−C(O)−CH−Br又は−R−C(O)−CH−Iである。
いくつかの実施態様において、R及びRは両方とも、水素である。他の実施態様において、R及び/又はRは、例えば、電子供与基から選択されることができる。典型的な電子供与基は、OR、OH、SR、SH、NH、NRを非限定的に含み;ここで、R及びRは、各々出現ごとに独立して選択され、そして各々が最大20個までのヘテロ原子を含有する、水素 アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール及びアラルキルからなる群より選択される。好ましい電子供与基は、アルコキシル(−OR)である。
いくつかの実施態様において、R及び/又はRは、(i)アルコキシル(−OR)、(ii)基−O−(CHCH−O)−CH(ここで、lは、1〜12の整数である)及び(iii)基−O−Gならびに(vi)基−Zからなる群より選択され得;ここで、Gは、各々出現ごとに独立して、
Figure 0006670597

[式中、R、R10、R1112、R13及びR14は、各々出現ごとに独立して、メチル基又は基−(CHCHO)CHであり、ここで、mは、1〜5の整数である]から選択される分岐基である。
一実施態様において、本発明による化学発光アクリジニウムエステル化合物は、式(Ia)で示される構造:
Figure 0006670597

[式中、R、R、R、R15、R’、R”、X、Z及びnは、式(I)で定義したとおりであり、そしてR’、R”、X、Z及びnは、各々出現ごとに独立して選択される]を有するであろう。
特定の実施態様において、Rは、適切に、アルキル基、スルホプロピル基もしくはスルホブチル基であってもよく、R及びRは、低級アルキル、特にメチルであってもよく、Xは、酸素であってもよく、及び/又はZは、−SOであってもよい。一実施態様において、式(Ia)のアクリジニウムエステルは、以下の構造:
Figure 0006670597

[式中、mは、0〜3の整数であり、そしてR15及びnは、式(I)について先に定義したとおりであり、m及びnは、各々出現ごとに独立して選択される]を有するであろう。一実施態様において、本化合物は、以下の構造:
Figure 0006670597

[式中、nは、各々出現ごとに独立して選択される、1〜12の整数である]を有するであろう。
式(I)の別の代表的アクリジニウムエステル化合物は、式(Ib):
Figure 0006670597

[式中、R、R、R、R、R15、R’、R”、X、Z及びnは、先に定義したとおりである]で示される構造を有する。一実施態様において、式(Ib)で示される化学発光アクリジニウムエステル化合物は、以下の構造:
Figure 0006670597

[式中、mは、0〜3の整数であり、そしてR、R15及びnは、先に定義したとおりである]を有する。一実施態様において、本発明によるアクリジニウムエステル化合物は、以下の構造:
Figure 0006670597

[式中、nは、1〜12の整数である]を有する。以下の構造:
Figure 0006670597

[式中、nは、1〜12の整数である]を有する。式(IB)のさらに別の化合物は、以下の構造:
Figure 0006670597

を有しており、そしてXが、結合(すなわち、Xが全く存在しない)又はメチレン単位−CH−である場合を表している。
式(I)の化学発光アクリジニウムエステル化合物の別の例は、式(Ic):
Figure 0006670597

[式中、n’、m’及びq’は、独立して1〜4の整数であり、そしてR、R、R、R、R、R、R、R’ X及びZは、先に定義したとおりである]で示される構造を有する。一実施態様において、Rは、基−R−Lを含み、ここで、Lは、分析物、分析物類似体又は分析物の結合パートナーとの抱合体を形成するための脱離基である。この実施態様による代表的化合物は、以下の構造:
Figure 0006670597

[式中、R、R、R、R及びRは、先に定義したとおりである]を有する。いくつかの実施態様において、R及びRは、独立して、低級アルキル基、特にメチルであり;Rは、アルキル(例えば、メチル)、スルホプロピル(−CHCHCH−SO )又はスルホブチル(−CHCHCHCH−SO )であり;R及びRは、水素又は基−O−G(ここで、Gは、先のように定義されている)から独立して選択され;そして、R16は、(i)水素、(ii)−C(O)−CHCHCH−C(O)−N−スクシンイミジル、(iii)−R−N−マレイミド(ここで、Rは、独立して、アルキル、アルケニル、アルキニルもしくはアラルキルであり、これらの各々は、最大20個までのヘテロ原子を場合により含むことができる)又は(iv)−C(O)−CH−X(ここで、Xは、臭素(Br)もしくはヨウ素(I)である)から選択される。
一実施態様において、式(Ic)の化学発光アクリジニウム化合物は、以下の構造:
Figure 0006670597

[式中、R及びRは、先のように定義したとおりである]を有する。一実施態様において、R及びRは、水素又は基−O−G(ここで、Gは、本明細書で定義したとおりである)から独立して選択される。
Figure 0006670597

式中、R〜R及びZは、式(I)に対して定義したとおりであるが;但し、Rが、アルキルスルホナート基であるときは、Xは、各々出現ごとに独立して、結合、−CH−、酸素又は−NR−から選択される。
式(Id)のいくつかの化学発光アクリジニウム化合物は、式(Ie):
Figure 0006670597

[式中、R、R、R、R、R15、R’、R”、R、Z及びnは、式(I)で定義したとおりである]で示される構造を有するであろう。式(Ie)の例示的化合物は、以下の構造:
Figure 0006670597

を有し、この化合物は、アクリジニウム核の正に荷電した窒素と釣り合わせるために対イオンAを場合により含む。対イオンの選択に本質的には限定はないが、いくつかの実施態様において、A−は、CHSO 、FSO 、CFSO 、CSO 、CHSO 、ハロゲン化物、CFCOO、CHCOO、及びNO からなる群より選択される。
式(Ie)の例示的化学発光アクリジニウム化合物(図3にも示されている)は、以下の構造:
Figure 0006670597

にしたがって、2個の両性イオン基を有し、本化合物は、アクリジニウム核の正に荷電した窒素と釣り合わせるために対イオンAを場合により含む。
先に記載したアクリジニウムエステルに加えて、本発明はまた、例えば、アクリジニウムスルホンアミドを含む、化学発光を起こすことができる他のアクリジニウム化合物を包含する。いくつかの実施態様において、本発明によるアクリジニウムスルホンアミドは、式(II):
Figure 0006670597

[式中、
は、C1−35アルキル、アルケニル、アルキニル又はアラルキル基であり、それらの各々は、最大20個までのヘテロ原子、又はスルホプロピルもしくはスルホブチル基を含有することができるか、あるいはRは、基−R−Zであり;
及びRは、(i)水素、(ii)電子供与基、又は(iii)基−Zから独立して選択され;
Y及びY’は、R、−R−Z又は−R−Lから独立して選択され;ここで、Lは、分析物、分析物類似体又は分析物の結合パートナーとの抱合体を形成するための脱離基、求電子基又は求核基を含む、誘導体化可能官能基であり;
Zは、以下の形態:
Figure 0006670597

で示される両性イオン基であり、
Xは、各々出現ごとに独立して、結合、−CH−、酸素、硫黄、−NR−、アミド(−NH(CO)−)、カルバマート(−NHC(O)O−)又はウレア(−NHC(O)NH−)から選択され;
R’及びR”は、各々出現ごとに独立して、各々が最大20個までのヘテロ原子を含有する、C1−35アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はアラルキルから選択され;
は、基−R−Z(ここで、Zは、カルボキシラート(−COO)、スルホナート(−SO )、スルファート(−OSO )、ホスファート(−OP(O)(OR)(O))もしくはオキシド(−O)から選択される)であるか;又は、Zが、オキシド(−O)である場合、Rは、存在しなくてもよく;
nは、各々出現ごとに独立して、1〜12の間の整数から選択され;そして
Rは、各々出現ごとに独立して、各々が最大20個までのヘテロ原子を含有する、C1−35アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はアラルキル基から選択され;
は、各々出現ごとに独立して、各々が最大20個までのヘテロ原子を含有する、水素、C1−35アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はアラルキル基から選択され;そして
は、各々が最大20個までのヘテロ原子を場合により含有する、C1−35アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はアラルキル基から選択される、二価の基であるが;
但し、R、R、R、Y及びY’のうちの少なくとも1つは、前記両性イオン基Zを含む]で示される構造を有するであろう。
式(II)のアクリジニウムスルホンアミドのいくつかの実施態様において、Lは、本化合物が、分析物、分析物類似体、分析物の結合パートナーなどと抱合体を形成することができるようにする、官能基であり、そして:
Figure 0006670597

からなる群より選択されうる。
いくつかの実施態様において、R’又はR”は、基−R−Lを含む。他の実施態様において、R’又はR”は、一出現で、基−R−C(O)−CHCHCH−C(O)−N−スクシンイミジル、−R−N−マレイミド、−R−C(O)−CH−Br又は−R−C(O)−CH−Iである。
式(II)の化学発光アクリジニウムスルホンアミド化合物の追加的実施態様において、Rは、メチル、スルホプロピル(−CHCHCH−SO )、スルホブチル(−CHCHCHCH−SO )又は以下の構造:
Figure 0006670597

[式中、R、R’、R”、Z及びnは、式(II)について定義したとおりである]を有する基から選択されるであろう。
及びRの一方又は両方は、例えば、基Zであってもよく、そしてより具体的には、R及びRの一方又は両方は、基:
Figure 0006670597

[式中、nは、1〜12の整数であり、そしてmは、0〜3の整数である]であってもよい。
式(II)の好ましい化学発光アクリジニウムスルホンアミド化合物において、Y’は、各々が最大20個までのヘテロ原子で場合により置換されている、アリール基、又はアルキル−アリール基、又はアリール、アルキル基を含むであろう。そのようなアクリジニウムスルホンアミド化合物の1つは、式(IIb):
Figure 0006670597

[式中、Yは、基−R−Z(ここで、R、R、R及びZは、先で定義したとおりである)を含む]で示される構造を有する。
式(II)の他の化学発光アクリジニウムスルホンアミド化合物は、式(IIc):
Figure 0006670597

[式中、Rは、各々が最大20個までのヘテロ原子を場合により含有する、水素、C1−35アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はアラルキルから選択されるか、あるいはRは、基−R−L(ここで、Lは、分析物、分析物類似体又は分析物の結合パートナーとの抱合体を形成するための脱離基である)であり;n’、m’及びq’は、独立して、1〜4の整数であり、そしてR、R、R、R、R、R’及びZは、先に定義したとおりである]で示される構造を有する。
式(I)に関連して定義された置換基R、R、R、R、R、R’、R”、Z、X、n、mなどの選択は、したがってその選好も含めて、式(II)の相当するパラメーターの選択に等しく適用されるということは理解されるであろう。
本発明の両性イオン含有アクリジニウム化合物は、抗体などのタンパク質に抱合されるとき、低い非特異的結合を示す。非特異的結合とは、前述したように、粒子又はマイクロタイタープレートなどの固相を使用するアッセイにおいて、これらの固相に対する抱合体の望ましくない結合相互作用である。これらの望ましくない結合相互作用は、典型的には、アッセイのバックグラウンドを増大させ、それがアッセイにおいてシグナル対バックグラウンド比の正味の低下をもたらし、それによってアッセイ感度が下がる。本発明の種々の両性イオン含有アクリジニウム化合物の非特異的結合を評価するために、我々は、分析物TSH(甲状腺刺激ホルモン)に対して産生させたマウスモノクローナル抗体(抗TSH Mab)を使用して、これらの化合物の抗体抱合体を調製した。次に、これらの抱合体の非特異的結合を、NSP−DMAE−HEG及びHQYAEを使用して調製した類似抱合体の非特異的結合と比較した。後者の2つの親水性アクリジニウムエステルは、先に述べ、かつ米国特許第6,664,043(B2)号及び米国特許第7,309,615(B2)号にそれぞれ記載されているように、それぞれフェノール及びアクリジニウム環に結合しているヘキサ(エチレン)グリコールを含有する。後者の化合物、HQYAEはまた、米国特許第7,309,615(B2)号に記載されているようにアクリジニウム環内の2個のアルコキシ電子供与基のため、増加した光出力(より高い量子収率)を有する。非特異的結合を、2つの異なる種類の粒子;民間販売業者(Dynal(商標))からの常磁性粒子(PMP)及び磁性ラテックス粒子(MLP)上で測定した。2つの粒子は、それらの固有組成が異なる。PMPは、主に、アミンを含有するシランコーティングを有する酸化鉄粒子からできている。アミンは、グルタルアルデヒドなどの試薬を使用してタンパク質を粒子表面に架橋結合するために使用される。一方、MLPは、磁気分離ができるようにドープした磁鉄鉱を有する多孔質ポリスチレンからできている。本評価で使用されるPMPは、グルタルアルデヒドカップリング化学を使用して、粒子表面上において抗TSH抗体でコーティングされた(固相「PMP」)。本評価のために使用されたMLP(Dynal M280−ストレプトアビジン結合ビオチン化ポリクローナルヤギ抗PTH抗体(固相「M280」)及びDynal M270−ストレプトアビジン結合ビオチン化モノクローナルマウス抗cTnI抗体(固相「M270」))は、ストレプトアビジンを表面上に固定し、次にそれらを使用して、分析物PTH(副甲状腺ホルモン)又はcTNI(心筋トロポニンI)を結合することができるビオチン標識抗体をさらに固定した。ストレプトアビジン−ビオチン結合相互作用は、周知であり、かつアッセイにおいて一般的に使用される。2つの種類の粒子(PMP及びMLP)を、特定期間の間、抱合体の溶液と混合して、そして次に粒子を磁気的に分離し、一回洗浄し、そして次に、粒子と関連する化学発光を測定した(実験の詳細は、実施例18に見出すことができる。)。総化学発光入力と比較したこの化学発光値の比は、非特異的結合部分(fNSB)と呼ばれる。したがって、低い非特異的結合を有する抱合体は、低いfNSB値を有するであろうし、また、(以下でさらに説明される)本発明の両性イオン含有アクリジニウム化合物の例示的実施態様のこれらの値は、対照化合物と共に、以下の表1にまとめられている。
Figure 0006670597
PMP上のNSP−DMAE−HEG及びHQYAEの抱合体は、それぞれ4×10−5及び1.6×10−5のfNSB値を有する。本発明の両性イオン含有アクリジニウムエステルを使用して作製された他の全ての抱合体は、これらの値と同様の又はこれらの値よりも低いfNSB値を有する。例えば、NSP−DMAE−Z及びZC6M−AE由来の抱合体は、それぞれ1.3×10−5及び3.7×10−5のfNSB値を有する。前者のアクリジニウムエステルは、フェノールに結合している両性イオンを含有するのに対して、後者の化合物は、アクリジニウム環内に両性イオンを含有する。したがって、両方の種類の両性イオン修飾は、PMP粒子に対して、fNSBを減少するのに有効である。粒子表面上に抗PTH抗体を有するDynal MLPに関して、NSP−DMAE−HEG及びHQYAEの抱合体は、それぞれ5.2×10−4及び1.5×10−4のfNSB値を有する。両性イオン含有アクリジニウムエステル由来の他の全ての抱合体は、fNSB(1.7×10−4)がHQYAE抱合体のものと同様のZC12−AEを除いて、大幅に低いfNSB値を有する。同様の結果が、抗cTNI抗体が表面上に固定された状態のDynal MLPに関して観察される。したがって、両性イオン含有アクリジニウムエステル抱合体は、これまで試験したMLPに関して著しく低いfNSB値を有し、そして先に論じたようにバックグラウンドシグナルを減少させることによってアッセイ感度を改善する可能性を提供する。
フェノールに結合した両性イオンを有する、NSP−DMAE−Z及びNSP−2,7−DMG−DMAE−Z(DMG=ジメトキシグリセリルオキシ)のアクリジニウムエステル抱合体は、また、予想外に、図3及び図4中のグラフに図示されているように、それぞれNSP−DMAE−HEG及びHQYAE由来の類似抱合体と比較すると、より速い光放出を示す。アクリジニウムエステル、NSP−DMAE−Z−NHSは、NSP−DMAE−HEG−グルタラート−NHSに類似しているが、それは両方のアクリジニウムエステルは、同じアクリジニウム環を含有するが、フェノールに結合している異なる官能基を含有するという点においてである。前者の化合物は、フェノールに結合している両性イオンを含有するのに対して、後者の化合物は、ヘキサ(エチレン)グリコール誘導体を含有する。両性イオン含有化合物、NSP−2,7−DMG−DMAE−Z−NHSは、フェノールに結合している両性イオンを含有することに加えて、アクリジニウム環内に電子供与ジメトキシグリセリルオキシ(DMG)官能基も有する。本化合物からの光出力は、2つの電子供与基のために、HQYAEのそれと同様であり、そして、NSP−DMAE−HEGの光出力よりも高い。
光測定は、照度計上で行い、そして各抱合体から放出された光(相対光単位;RLUとして表される)を種々の時間間隔で測定した。次に、各抱合体から放出された光の合計を使用して、各時間間隔で放出された光%(%RLU)を計算した。図4から明らかなように、NSP−DMAE−HEGの抗TSH Mab(Mab=モノクローナル抗体)抱合体は、完全な光放出に>4秒を必要とするのに対して、NSP−DMAE−Zの抱合体については、光放出は2秒以内で完了する。2つのアクリジニウムエステルのBSA抱合体(BSA=ウシ血清アルブミン)の同様の比較が、両性イオン含有アクリジニウムエステルについて著しく速い光放出を示す。
2つの異なる抗体、抗TSH Mab及び抗HBsAg−Mab(HBsAg=B型肝炎、表面抗原)に対する高光出力アクリジニウムエステル、HQYAE及びNSP−2,7−DMG−DMAEの抗体抱合体からの光放出を、図5で比較する。この場合においても、両性イオン含有化合物は、総光放出の完了が<2秒である、著しく速い光放出を示すのに対し、HQYAE由来の抱合体は、完全な光放出に約4秒かかる。加えて、2つのアクリジニウムエステルの相対化学発光(Rel.CL)は、2つの異なる抗体で同じであることが観察された。したがって、フェノールでの両性イオン導入は、光放出を加速させるが、アクリジニウムエステルの光出力全体を損なわない。
アクリジニウム化合物は、特に、アクリジニウムエステル、NSP−DMAE−HEG及びHQYAEを使用する自動免疫化学機器、例えば、Centaur(商標)及びACS: 180(商標)(Siemens Healthcare Diagnostics)において、非常に有用な化学発光標識である。これら両方の機器は高いスループットを有し、このことは、これらがそれぞれ毎時、多数のイムノアッセイ試験、それぞれ240及び180試験を実施することを実行できるということを意味する。NSP−DMAEから誘導される試薬は、典型的には、それらの化学発光が、0.5%過酸化水素を含有する100mM 硝酸、続いて0.25N 水酸化ナトリウム+界面活性剤の第2溶液を加えることによって誘発されるとき、5秒間にわたって光を放出する。両性イオンがフェノール上に位置する、本発明の両性イオン含有アクリジニウム化合物は、それらの速い光放出(放出された光の合計の≧90%について≦2秒)のおかげで、ADVIA:Centaur(商標)などの自動免疫化学機器で使用されて、アクリジニウムエステル、NSP−DMAE−HEG及びHQYAEを利用する以外は同一の試験と比較して、それらのスループットを増加させることができる。
最後に図6において、両性イオン含有アクリジニウムエステル、ZC6M−AE、ZC8M−AE(これらの構造は図1に示されている)及びNSP−DMAE−Z−NHSの抗TSH Mab抱合体からの光放出の速度論を、NSP−DMAE−HEGのそれと比較した。フェノールでの両性イオン修飾を有するNSP−DMAE−Z抱合体は、先に述べたようにNSP−DMAE−HEGよりも速い光放出を示す一方で、両性イオンがアクリジニウム環内に位置する、ZC6M−AE及びZC8M−AEの2つのアクリジニウムエステル抱合体は、NSP−DMAE−HEGと同様の放出速度論を示す。したがって、アクリジニウム環内の両性イオン導入も、これら2つの事例で観察されるように放出速度論に弊害をもたらすものではない。3つの両性イオン含有化合物、ZC6M−AE、ZC8M−AE及びNSP−DMAE−Zの抗TSH Mab及び抗HBsAg Mab抱合体からの総光出力も、NSP−DMAE−HEGと同様で同等のものであることが観察された。
最初にDMAEについてLawらにより説明されたアクリジニウムエステルの高められた安定性は、商業的な自動免疫分析器でのそれらの有用性を促進する、これらの化合物の別の重要な特徴である。「安定性」とは、本化合物又は抱合体を、典型的には、生理的pH内である6〜9のpH範囲の水溶液中で保存した場合の、RLUの損失により測定する、最小損失化学発光活性を意味する。機構的見地から、フェノールエステルの加水分解は、化学発光アクリジニウムエステルが非化学発光になる主な経路である。安定な抱合体は、アクリジニウムエステル試薬の長期の貯蔵寿命を確実にし、そしてまた、アッセイ性能が、所与の期間にわたって大きく変化しないということを確実にする。本発明の抗TSH抗体の種々のアクリジニウムエステル抱合体(以下でさらに説明する)の安定性は、表2に列挙されている。抱合体の水溶液は、pH7.7の水性緩衝液中で、Centaur(商標)などの市販の自動機器に典型的な4℃か又は37℃のいずれかで保存した。アクリジニウムエステルの加水分解が加速されると予想される37℃でのより厳しい貯蔵条件は、種々のアクリジニウムエステルの相対的安定性の公正な比較を可能にした。光はRLUとして、全ての抱合体について照度計を使用して定期的に記録した。一日目とも呼ばれる最初の時点で測定されたRLUには、100%の値を割り当てた。4週間後の各抱合体からの残りのRLUは、表2に列挙されている。これらの測定に関係する他の詳細は、実施例19に見出すことができる。
Figure 0006670597
表2から、本発明の種々の両性イオン含有アクリジニウムエステル抱合体の化学発光安定性は、NSP−DMAE−HEG及びHQYAEのそれと同等である。37℃で、4週間後、これら2つのアクリジニウムエステルの抱合体は、それらの化学発光活性のそれぞれ75%及び58%を保持する。他の両性イオン含有アクリジニウムエステルの全ての抱合体は、ZC6−AEの抱合体についての52%からNSP−2Z−DMAEの抱合体についての94%までと、同様の安定性を示す。4℃で、4週間後、全てのアクリジニウムエステル抱合体は、化学発光活性の最小損失を示した。
本発明の両性イオン含有アクリジニウム化合物は、分析物の測定又は定量化についてのアッセイにおける標識として有用である。そのようなアッセイで典型的に測定される分析物は、何らかの臨床関連の物質であることが多く、そして大きな巨大分子、例えば、タンパク質、核酸、ウイルス バクテリアなどから、小分子、例えば、エタノール、ビタミン、ステロイド、ホルモン、治療薬などまで幅広い分子に及ぶことができる。「サンドイッチ」イムノアッセイは、典型的には、抗体などの2つの結合分子を使用する、大分子(巨大分子分析物とも呼ぶ)の検出を包含する。1種の抗体を、固相、例えば、粒子、ビーズ、膜、マイクロタイタープレートもしくは任意の他の固体表面に固定又は結合させる。抗体などの結合分子の固相への結合のための方法は、当技術分野において周知である。例えば、抗体を、グルタルアルデヒドなどの架橋分子を使用することによって、表面上にアミンを含有する粒子に共有結合させることができる。この結合はまた、非共有結合性であってもよく、そして固相、例えば、ポリスチレンビーズ及びマイクロタイタープレートの表面への結合分子の単純吸着を含むこともできる。第2抗体は、しばしば標識と呼ばれる化学発光分子又は蛍光分子と共有結合させることが多い。抗体及び他の結合タンパク質などの結合分子の標識化も、当技術分野において周知であり、そして一般的に抱合反応と呼ばれており、そして標識抗体は、抱合体と呼ばれることが多い。典型的に、標識上のアミン反応性部分は、抗体上のアミンと反応して、アミド結合を形成する。抗体と標識との間の他の結合、例えば、チオエーテル、エステル、カルバマート等も周知である。アッセイにおいて、2種の抗体は、巨大分子分析物の異なる領域に結合する。巨大分子分析物は、例えば、タンパク質、核酸、オリゴ糖、抗体、抗体フラグメント、細胞、ウイルス、受容体又は合成ポリマーであり得る。結合分子は、抗体、抗体フラグメント、核酸、ペプチド、結合タンパク質又は合成結合ポリマーであり得る。例えば、葉酸結合タンパク質(「FBP」)は、分析物である葉酸に結合する。様々な分析物に結合することができる合成結合分子も、Mossbach et al. Biotechnology vol. 14, pp. 163-170 (1995)によって開示されている。
固定された抗体及び標識抗体を有する固相が、分析物を含有するサンプルと混合されると、分析物と2種の抗体との間で結合複合体が形成される。この種類のアッセイはしばしば、固相が関与するので、異種アッセイと呼ばれる。それから、結合複合体と関連する化学発光又は蛍光シグナルを測定することができ、そして分析物の存在又は非存在を推測することができる。通常、結合複合体を、シグナル発生前に、過剰量の標識抗体などの残りの結合反応成分から分離する。例えば、結合複合体が、磁性ビーズと結合する場合、磁石を使用してバルク溶液からビーズと結合した結合複合体を分離することができる。一連の「標準」、すなわち既知濃度の分析物を使用することによって、2種の抗体を使用して、「用量反応」曲線を生成することができる。したがって、用量反応曲線は、ある量の測定されたシグナルを分析物の特定濃度と相関させる。サンドイッチアッセイにおいて、分析物の濃度が上昇すると、シグナルの量も増加する。次に、未知のサンプルにおける分析物の濃度を、巨大分子分析物を含有する未知のサンプルによって生成されたシグナルを用量反応曲線と比較することによって計算することができる。
同様に、2種の結合成分はまた、核酸分析物の異なる領域に結合又はハイブリダイズする核酸であることができる。次に、核酸分析物の濃度を、同様の方法で演繹することができる。
小分子分析物、例えば、ステロイド、ビタミン、ホルモン、治療薬又は小ペプチドなどのための別クラスのイムノアッセイは、一般的には競合アッセイと呼ぶアッセイ形式を利用する。典型的には、競合アッセイでは、抱合体は、対象の分析物及び化学発光又は蛍光標識から、2個の分子を共有結合することによって、できている。小分子分析物をそういうものとして使用することができるか、又はその構造を、標識への抱合前に変化させることができる。変化させられた構造を有する分析物は類似体と呼ばれる。標識を分析物と連結させるための化学作用を可能にするために、分析物の構造類似体を使用することがしばしば必要である。時には、分析物の構造類似体を、抗体などの結合分子へのその結合を弱めるか又は高めるために使用する。そのような技術は、当技術分野において周知である。対象の分析物に対する抗体又は結合タンパク質を、しばしば、直接的又はビオチン−アビジン系などの二次的結合相互作用を介するかのいずれかで固相上に固定する。
サンプル中の分析物の濃度は、競合アッセイにおいて、分析物含有サンプル及び分析物−標識抱合体を限定量の固相固定結合分子に対して競合させることによって演繹することができる。サンプル中の分析物の濃度が上昇すると、固相上の結合分子により捕獲された分析物−標識抱合体の量は、減少する。一連の「標準」、すなわち既知濃度の分析物を利用することによって、固相上の結合分子によって捕獲された分析物−標識抱合体からのシグナルを、分析物の濃度と逆相関させる、用量反応曲線を構築することができる。いったん用量反応曲線をこの方法で編み出したら、未知のサンプル中の同じ分析物の濃度を、この未知のサンプルから得たシグナルを用量反応曲線におけるシグナルと比較することによって演繹することができる。
小分子分析物についての競合アッセイの別の形式は、対象の分析物又は分析物類似体、及び化学発光標識又は蛍光標識と抱合している、分析物に特異的な抗体又は結合タンパク質で固定されている固相の使用を伴う。この形式では、抗体−標識抱合体は、固相上の分析物又は分析物類似体との結合相互作用を介して、固相上に捕獲される。次に、サンプル中に存在する対象の分析物は、抗体−標識抱合体に「競合的に」結合し、このようにして抗体−標識抱合体と固相との相互作用を阻害又は置き換える。このようにして、固相上に捕獲された抗体−標識抱合体から生成されたシグナルの量を、サンプル中の分析物の量と相関させる。
これらの方法と関連して使用するための試薬も、本発明によって提供され、そして典型的には、分析物、分析物類似体又は分析物の結合パートナーに結合している化学発光アクリジニウム化合物を含み、このアクリジニウム化合物は、(i)アクリジニウム核の窒素原子に結合している炭化水素基であって、該炭化水素基は最大20個までのヘテロ原子で場合により置換されている、炭化水素基、及び(ii)最大20個までのヘテロ原子で場合により置換されている置換炭化水素部分に連結しているアクリジニウム核のC位におけるカルボキシル又はスルホンアミド基を含み、ここで、前記アクリジニウム化合物は、アクリジニウム核のC位、アクリジニウム核のC位、カルボキシルもしくはスルホンアミド基に連結している炭化水素部分、又はアクリジニウム核の窒素原子に結合している炭化水素基に結合している、少なくとも1個の両性イオン官能基を含み;前記アクリジニウム化合物は、前記両性イオン官能基を含まない以外は同一のアクリジニウム化合物と比較して、固相に対する非特異的結合の減少を示す。
上記にしたがって、巨大分子分析物の検出又は定量のためのアッセイは、本発明の一実施態様によれば、以下の工程:
(a)(i)分析物に対して特異的な結合分子及び(ii)本発明の両性イオン含有アクリジニウムエステル又はスルホンアミド化合物の任意のものを含む抱合体を提供する工程;
(b)固体担体であって、その上に前記分析物に対して特異的な第2結合分子を固定した、固体担体を提供する工程;
(c)上記抱合体、固相、及び分析物を含有していると疑われるサンプルを混合して結合複合体を形成する工程;
(d)上記固体担体上に捕獲された結合複合体を分離する工程;
(e)化学発光誘発試薬を加えることによって、工程(d)からの結合複合体の化学発光を誘発する工程;
(f)照度計を用いて光放出の量を測定する工程;及び
(g)放出された光の量を分析物の既知濃度と関連づける標準用量反応曲線と、反応混合物から放出された光の量を比較することによって、分析物の存在を検出するか又は分析物の濃度を計算する工程
を含む。
別の実施態様において、小分子分析物の検出又は定量のためのアッセイが提供され、それは、
(a)分析物と本発明の両性イオン含有アクリジニウムエステル又はスルホンアミド化合物の任意のものとの抱合体を提供する工程;
(b)分析物に対して特異的な結合分子で固定された固体担体を提供する工程;
(c)上記抱合体、固体担体、及び分析物を含有していると疑われるサンプルを混合して結合複合体を形成する工程;
(d)固体担体上に捕獲された結合複合体を分離する工程;
(e)化学発光誘発試薬を加えることによって、工程(d)からの結合複合体の化学発光を誘発する工程;
(f)照度計を用いて光の量を測定する工程;及び
(g)放出された光の量を分析物の既知濃度と関連づける標準用量反応曲線と、反応混合物から放出された光の量を比較することによって、分析物の存在を検出するか又は分析物の濃度を計算する工程
を含む。
代替的アッセイ形式において、本発明の両性イオン含有アクリジニウム化合物は、また、以下の工程:
a)分析物又は分析物類似体で固定された固体担体を提供する工程;
b)分析物に対して特異的な結合分子と本発明の両性イオン含有アクリジニウムエステル又はスルホンアミド化合物との抱合体を提供する工程;
c)上記固相、抱合体、及び分析物を含有していると疑われるサンプルを混合して結合複合体を形成する工程;
d)固体担体上に捕獲された結合複合体を分離する工程;
e)化学発光誘発試薬を加えることによって、(d)の結合複合体の化学発光を誘発する工程;
f)照度計を用いて光の量を測定する工程;及び
g)放出された光の量を分析物の既知濃度と関連させる標準用量反応曲線と、反応混合物から放出された光の量を比較することによって、分析物の存在を検出するか又は分析物の濃度を計算する工程、
を含むアッセイで、小分子分析物の検出に有用である。
化学発光誘発試薬は、過酸化水素又はペルオキシド塩のいずれかであり得る。
巨大分子分析物は、タンパク質、核酸、オリゴ糖、抗体、抗体フラグメント、細胞、ウイルス、合成ポリマー等であり得る。
小分子分析物は、ステロイド、ビタミン、ホルモン、治療薬、小ペプチド等であり得る。
本アッセイにおける結合分子は、抗体、抗体フラグメント、結合タンパク質、核酸、ペプチド、受容体又は合成結合分子であり得る。
実施例1
ZC3−AE−NHS、化合物1dの合成
a)化合物1a
無水テトラヒドロフラン(10mL)中の2,7−ジヒドロキシアクリジンメチルエステル(0.1g、0.24mmol)、(米国特許第7,309,615号)、3−ジメチルアミノプロパノール(0.112mL、4当量)及びトリフェニルホスフィン(0.252g、4当量)の溶液を、窒素雰囲気下、ジイソプロピルアゾジカルボキシラート(0.188mL、4当量)で処理した。この反応物を室温で16時間撹拌した。溶離剤として酢酸エチルを使用するシリカでのTLC分析は、出発物質を示さず、そして75%酢酸エチル、24%メタノール及び1%トリエチルアミンを使用して、極性生成物(Rf 約0.15)が観察された。次に、溶媒を減圧下で除去し、そして残留物を1N HCl(25mL)と酢酸エチル(25mL)で分液した。生成物を含有する水層を、さらに2回酢酸エチル(2×25mL)で抽出した。次に、酸性水層を、鮮黄色の懸濁液が形成されるまで、2.5%水酸化ナトリウム水溶液を滴下して処理した。この懸濁液を、酢酸エチル(3×25mL)で抽出した。次に、少量のこの溶液を、Phenomenex、C184.6mm×25cmカラム及び1.0mL/分の流速での10→60%B(A=0.05%TFAを含む水、B=0.05%TFAを含むMeCN)の40分間勾配ならびに260nmでのUV検出を使用するHPLCによって分析した。生成物が、Rt=25分で溶離して観察され、それは主要成分であった。酢酸エチル溶液を、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、そして減圧下で濃縮して黄色の粘着性固体を得た。収量=126mg(89%);MALDI-TOF MS 588.3 実測値。
b)化合物1c
イオン性液体[BMIM][PF6](1〜2mL)中の化合物1a(0.126g、0.215mmol)、蒸留した1,3−プロパンスルトン(0.785g、30当量)及び2,6−ジ−tert−ブチルピリジン(0.470mL、10当量)の混合物を、窒素雰囲気下、150℃で24時間加熱した。次に、この反応物を室温に冷ました。少量(1〜2μL)の反応混合物を抜き取り、メタノール(0.1mL)で希釈し、そしてセクション(a)において先に記載した勾配を使用して分析HPLCによって分析した。主要生成物は、Rt=18分にて溶離して観察され、それは、MALDI-TOF MS分析によると(953.5 実測値)、トリアルキル化アクリジニウムエステル生成物1bに一致した。粗反応混合物を酢酸エチル(30mL)と水(30mL)で分液した。生成物を含有する水層を、さらに3回酢酸エチル(3×30mL)で抽出した。水層を減圧下で濃縮して粗アクリジニウムエステル1bを得た。この物質を1N HCl(15mL)に溶解し、そして窒素下、1.5時間還流し、そして次に室温に冷ました。反応混合物のHPLC分析はメチルエステルの完全な加水分解を示し、そして生成物1cがRt=16分にて溶離された。反応混合物を約10mLに濃縮し、そして生成物を、YMC、C18 30×300mmカラム及び20mL/分の溶媒流速でのセクション(a)に記載したのと同じ勾配ならびに260nmでのUV検出を使用する分取HPLCによって精製した。生成物を含有するHPLC画分を合わせ、そして減圧下で濃縮した。収量=116mg(全体で57%);MALDI-TOF MS 941.2 実測値。
c)化合物1d
DMF(3mL)及び水(0.3mL)中のアクリジニウムカルボン酸1c(30mg、32μmol)の部分溶液を、ジイソプロピルエチルアミン(7μL、1.5当量)及びTSTU(19mg、2当量)で処理した。この反応物を室温で激しく撹拌した。24時間後、セクション(a)に記載した勾配を使用する反応混合物のHPLC分析は、溶離Rt=17.5分にて生成物(約20%変換)を示した。次に、反応物を水(2.7mL)で希釈し、それによって清澄な溶液を得て、そして次にさらなるジイソプロピルエチルアミン(10μL、2当量)及びTSTU(50mg、5当量)で処理した。反応物を室温で0.5時間撹拌し、そして次に、HPLCによって分析すると、約40%変換を示した。次に、生成物を、セクション(b)に記載した勾配及びカラムを使用する分取HPLCによって精製した。生成物を含有するHPLC画分を、−80℃で凍結し、そして凍結乾燥して鮮黄色の粉末を得た。収量=11mg(33%);MALDI-TOF MS 1037.4 実測値。
以下の反応は、ZC3−AE−NHS、化合物1dの合成を説明するものである。
Figure 0006670597
実施例2
ZC6−AE−NHS、化合物2dの合成
a)化合物2a
無水テトラヒドロフラン(5mL)中の2,7−ジヒドロキシアクリジンメチルエステル、(30mg、72μmol)、6−ジメチルアミノ−1−ヘキサノール(42mg、4当量)及びトリフェニルホスフィン(75mg、4当量)の溶液を、ジイソプロピルアゾジカルボキシラート(0.06mL、5当量)で処理した。反応物を、窒素雰囲気下、室温で16時間撹拌した。70%酢酸エチル、28%メタノール、2%トリエチルアミンを使用するシリカでのTLC分析が、極性生成物への完全な変換を示した。反応混合物のHPLC分析を、Phenomenex、C18 4.6mm×25cmカラム及び1.0mL/分の流速での10→70%B(A=0.05%TFAを含む水、B=0.05%TFAを含むMeCN)の30分間勾配ならびに260nmでのUV検出を使用して実施した。生成物はRt=25分にて溶離して観察され、それは主要成分であった。生成物を、実施例1、セクション(a)に記載したように単離した。収量=36mg(75%)。
b)化合物2c
イオン性液体[BMIM][PF6](1g)中の化合物2a(36mg、54μmol)、蒸留した1,3−プロパンスルトン(0.2g、30当量)及び2,6−ジ−tert−ブチルピリジン(0.120mL、10当量)の混合物を、窒素雰囲気下、150℃で24時間加熱した。次に、反応物を室温に冷まし、そして酢酸エチル(30mL)と水(50mL)で分液した。生成物を含有する水層を分離し、そして酢酸エチルで2回(2×30mL)洗浄した。セクション(a)に記載した勾配を使用するこの水溶液のHPLC分析は、Rt=19分にて溶離するトリアルキル化生成物への>80%変換を、そしてRt=24分にて溶離する約20%ジアルキル化生成物を示した。粗アクリジニウムエステル生成物2bを含有する水層を、減圧下で濃縮した。残留物を、1N HCl(10mL)に溶解し、そして窒素雰囲気下で2時間還流した。次に、反応混合物を室温に冷まし、そしてHPLCによって分析すると、それはRt=17分にて溶離するアクリジニウムカルボン酸への完全な変換を示した。生成物を、YMC、C18 30×300mmカラム及び20mL/分の溶媒流速でセクション(a)に記載したのと同じ勾配ならびに260nmでのUV検出を使用する分取HPLCによって精製した。生成物を含有するHPLC画分を合わせ、そして減圧下で濃縮して化合物2cを得た。収量=39.4mg(全体で71%);MALDI-TOF MS 1025.1 実測値。
c)化合物2d
15% 水/DMF(4mL)中の化合物2c(39mg、38μmol)の溶液を、ジイソプロピルエチルアミン(0.033mL、5当量)及びTSTU(57mg、5当量)で処理した。反応物を室温で15分間撹拌し、そしてセクション(a)に記載したようにHPLCによって分析した。NHSエステル生成物2dへの完璧な変換を、溶離してRt=18.4分にて観察した。生成物を、YMC、C18 30×300mmカラム及び20mL/分の溶媒流速でセクション(a)に記載したのと同じ勾配ならびに260nmでのUV検出を使用する分取HPLCによって精製した。生成物を含有するHPLC画分を合わせ、−80℃で凍結し、そして凍結乾燥して化合物2dを得た。収量=28mg(66%);MALDI-TOF MS 1120.8 実測値。
以下の反応は、ZC6−AE−NHS、化合物2dの合成を説明するものである。
Figure 0006670597
実施例3
ZC8−AE−NHS、化合物3dの合成
a)化合物3a
無水テトラヒドロフラン(5mL)中の2,7−ジヒドロキシアクリジンメチルエステル、(30mg、72μmol)、8−ジメチルアミノ−1−オクタノール(50mg、4当量)及びトリフェニルホスフィン(75mg、4当量)の溶液を、ジイソプロピルアゾジカルボキシラート(disopropyl azodicarboxylate)(0.06mL、5当量)で処理した。反応物を窒素雰囲気下で16時間撹拌した。少量の反応混合物のHPLC分析を、Phenomenex、C18 4.6mm×25cmカラム及び1.0mL/分の流速での10→100%B(A=0.05%TFAを含む水、B=0.05%TFAを含むMeCN)の30分間勾配ならびに260nmでのUV検出を使用して実施した。生成物を溶離して、Rt=22.5分にて観察され、それは主要成分であった。生成物3aを、実施例1、セクション(a)に記載したように単離した。収量=58mg(定量的)、MALDI-TOF MS 728.6 実測値。
b)化合物3c
イオン性液体[BMIM][PF6](1g)中の化合物3a(58mg、80μmol)、蒸留した1,3−プロパンスルトン(0.291g、30当量)及び2,6−ジ−tert−ブチルピリジン(0.175mL、10当量)の混合物を、窒素雰囲気下、150℃で24時間加熱した。次に、反応物を室温に冷まし、そして酢酸エチル(30mL)と水(30mL)で分液した。生成物を含有する水層を分離し、そして酢酸エチルで2回(2×30mL)洗浄した。セクション(a)に記載した勾配を使用するこの水溶液のHPLC分析は、溶離してRt=1.5分にてアクリジニウムエステル生成物3bを示した(MALDI-TOF MS 1094 実測値)。水層を減圧下で濃縮し、そして回収した褐色の油状物を、窒素下、1N HCl(10mL)中で還流した。2時間後、反応物を室温に冷まし、そしてHPLCによって分析すると、溶離してRt=16分にて生成物を示した。生成物を、YMC、C18 30×300mmカラム及び20mL/分の溶媒流速での10→70%B(A=0.05%TFAを含む水、B=0.05%TFAを含むMeCN)の30分間勾配ならびに260nmでのUV検出を使用する分取HPLCによって精製した。生成物を含有するHPLC画分を合わせ、そして減圧下で濃縮して化合物3cを得た。収量=30mg(全体で39%);MALDI-TOF MS 1082.4 実測値。
c)化合物3d
15% 水/DMF(2mL)中の化合物3c(23mg、21.3μmol)の溶液を、ジイソプロピルエチルアミン(18.6μL、5当量)及びTSTU(32mg、5当量)で処理した。反応物を室温で撹拌した。15分後、少量の反応混合物のHPLC分析を、Phenomenex、C18 4.6mm×25cmカラム及び1.0mL/分の流速での10→60%B(A=0.05%TFAを含む水、B=0.05%TFAを含むMeCN)の40分間勾配ならびに260nmでのUV検出を使用して実施した。生成物を、Rt=29分にて溶離して観察すると、それは主要成分であった。生成物を、YMC、C18 30×300mmカラム及び20mL/分の溶媒流速での10→70%B(A=0.05%TFAを含む水、B=0.05%TFAを含むMeCN)の30分間勾配ならびに260nmでのUV検出を使用する分取HPLCによって精製した。生成物を含有するHPLC画分を合わせ、−80℃で凍結し、そして凍結乾燥して生成物3dを得た。収量=15mg(60%);MALDI-TOF MS 1178.8 実測値。
以下の反応は、ZC8−AE−NHS、化合物3dの合成を説明するものである。
Figure 0006670597
実施例4
ZC12−AE−NHS、化合物4eの合成
a)12−ジメチルアミノ−1−ドデカノール、4a
無水テトラヒドロフラン(10mL)中の12−ブロモ−1−ドデカノール(1g、3.8mmol)の溶液を、テトラヒドロフラン(10mL)中のジメチルアミンの2.0M 溶液で処理した。反応物を室温で3日間撹拌した。溶離剤として25%酢酸エチル、75%ヘキサンを使用するシリカでのTLC分析が、ほとんど出発物質を含まない極性生成物の形成を示した。反応物を酢酸エチル(75mL)で希釈し、そして重炭酸ナトリウム水溶液及び水で2回洗浄した。次に、その酢酸エチル溶液を、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、そして減圧下で濃縮した。収量=1.2g(ロウ)。シリカでのTLC分析(25%メタノール、75%酢酸エチル)は、Rf 約0.1で縞状生成物(streaking product)を示した。この生成物4aを精製せずに使用した。
b)化合物4b
無水テトラヒドロフラン(5mL)中の2,7−ジヒドロキシアクリジンメチルエステル、(30mg、72μmol)、12−ジメチルアミノ−1−ドデカノール(66mg、4当量)及びトリフェニルホスフィン(75mg、4当量)の溶液を、ジイソプロピルアゾジカルボキシラート(0.06mL、5当量)で処理した。2時間後、反応物を、追加のトリフェニルホスフィン 4当量及びジイソプロピルアゾジカルボキシラート 5当量で処理した。30分後、少量を、Phenomenex、C18 4.6mm×25cmカラム及び1.0mL/分の流速での10→100%B(A=0.05%TFAを含む水、B=0.05%TFAを含むMeCN)の30分間勾配ならびに260nmでのUV検出を使用するHPLCによって分析した。生成物を溶離してRt=30分にて観察され、それは主要成分であった。生成物4bを、実施例1、セクション(a)に記載したように単離した。収量=57mg(95%)、MALDI-TOF MS 840.3 実測値。
c)化合物4d
イオン性液体[BMIM][PF6](1mL)中の化合物4b(57mg、68μmol)、1,3−プロパンスルトン(0.250g、30当量)及び2,6−ジ−tert−ブチルピリジン(0.15mL、10当量)の混合物を、窒素下、150℃で24時間加熱した。次に、反応物を室温に冷まし、そして実施例2、セクション(b)に記載したように処理した。セクション(a)に記載した勾配を使用した粗反応混合物のHPLC分析が、Rt=24分で溶離するアクリジニウムエステル生成物4cを示した(MALDI-TOF MS 1206.2 実測値)。粗生成物4cを、1N HCl(10mL)中で4時間還流した。次に、反応物を室温に冷まし、そしてHPLCによって分析すると、Rt=21分で溶離する生成物4dへの約70%変換を示した。生成物を、YMC、C18 30×300mmカラム及び20mL/分の溶媒流速での10→100%B(A=0.05%TFAを含む水、B=0.05%TFAを含むMeCN)の30分間勾配ならびに260nmでのUV検出を使用する分取HPLCによって精製した。生成物を含有するHPLC画分を合わせ、そして減圧下で濃縮して、化合物4dを得た。収量=22mg(全体で27%);MALDI-TOF MS 1193.4 実測値。
d)化合物4e
DMF(3.4mL)及び水(0.6mL)中の化合物4d(22mg、18.4μmol)の溶液を、ジイソプロピルエチルアミン(16μL、5当量)及びTSTU(28mg、5当量)で処理した。反応物を室温で撹拌した。15分後、少量の反応混合物のHPLC分析を、Phenomenex、C18 4.6mm×25cmカラム及び1.0mL/分の流速での10→100%B(A=0.05%TFAを含む水、B=0.05%TFAを含むMeCN)の30分間勾配ならびに260nmでのUV検出を使用して実施した。生成物が、Rt=22分で溶離して観察され、それは主要成分であった。生成物を、YMC、C18 30×300mmカラム及び20mL/分の溶媒流速での10→1000%B(A=0.05%TFAを含む水、B=0.05%TFAを含むMeCN)の30分間勾配ならびに260nmでのUV検出を使用する分取HPLCによって精製した。生成物を含有するHPLC画分を合わせ、−80℃で凍結し、そして凍結乾燥して生成物4eを得た。収量=15.4mg(64%);MALDI-TOF MS 1290.6 実測値。
以下の反応は、ZC12−AE−NHS、化合物4eの合成を説明するものである。
Figure 0006670597
実施例5
ZC3M−AE−NHS、化合物5dの合成
a)化合物5a
無水テトラヒドロフラン(3mL)中の2−ヒドロキシアクリジンメチルエステル(25mg、62.3μmol)(米国特許第7,309,615号でのジヒドロキシ誘導体と同様の方法で合成した)、3−ジメチルアミノ−1−プロパノール(15μL、2当量)及びトリフェニルホスフィン(33mg、2当量)の溶液を、ジイソプロピルアゾジカルボキシラート(25μL、2当量)で処理した。反応物を、窒素下、室温で撹拌した。1時間後、溶離剤として1:1、酢酸エチル/メタノールを使用するシリカでのTLC分析は、Rf 約0.2の極性生成物の完全形成を示した。少量の反応混合物のHPLC分析は、Phenomenex、C18 4.6mm×25cmカラム及び1.0mL/分の流速での10→70%B(A=0.05%TFAを含む水、B=0.05%TFAを含むMeCN)の30分間勾配ならびに260nmでのUV検出を使用して実施した。生成物をRt=25.2分にて溶離し観察すると、それは主要成分であった。反応物を酢酸エチル(25mL)及び1N HCl(25mL)で希釈した。生成物を含むHCl層を分離し、そして酢酸エチルで2回(2×25mL)洗浄した。次に、HCl層を氷中で冷却し、そして懸濁が形成されるまで5%KOH水溶液で処理した。この懸濁液を酢酸エチル(2×25mL)で抽出した。合わせた酢酸エチル抽出物を水(25mL)で洗浄した。次に、それを無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、そして減圧下で濃縮して化合物5aを得た。収量24.5mg(82%);MALDI-TOF MS 487.5 実測値。
b)化合物5c
イオン性液体[BMIM][PF6](0.5mL)中の化合物5a(24.5mg、51.3μmol)、1,3−プロパンスルトン(125mg、20当量)及び2,6−ジ−tert−ブチルピリジン(79μL、7当量)の混合物を、150℃で24時間加熱した。次に、反応物を室温に冷まし、そして少量(1〜2μL)を抜き取り、メタノールで希釈し、そしてセクション(a)に記載したようにHPLCによって分析した。アクリジニウムエステル生成物5bを、Rt=18分にて溶離し観察した(>80%変換;MALDI-TOF MS 731.04 実測値)。反応物を酢酸エチル(25mL)と水(25mL)で分液した。生成物を含有する水層を分離し、そして酢酸エチル(50mL)で1回洗浄した。次に、それを減圧下で濃縮した。残留物を、窒素下、1N HCl 10mL中で2時間還流し、そして室温に冷ました。反応混合物のHPLC分析が、Rt=15分で溶離する生成物5cの完全形成を示した。生成物を、YMC、C18 30×300mmカラム及び20mL/分の溶媒流速での10→70%B(A=0.05%TFAを含む水、B=0.05%TFAを含むMeCN)の30分間勾配ならびに260nmでのUV検出を使用する分取HPLCによって精製した。生成物を含有するHPLC画分を合わせ、そして減圧下で濃縮して化合物5cを得た。収量=32mg(全体で89%);MALDI-TOF MS 717.1 実測値。
c)化合物5d
DMF(3.4mL)及び水(0.6mL)中の化合物5c(32mg、44.6μmol)の溶液を、ジイソプロピルエチルアミン(39μL、5当量)及びTSTU(67mg、5当量)で処理した。反応物を室温で撹拌した。15分後、少量の反応混合物のHPLC分析を、Phenomenex、C18 4.6mm×25cmカラム及び1.0mL/分の流速での10→70%B(A=0.05%TFAを含む水、B=0.05%TFAを含むMeCN)の30分間勾配ならびに260nmでのUV検出を使用して実施した。生成物がRt=17分にて溶離して観察され、それは主要成分であった。生成物を、YMC、C18 30×300mmカラム及び20mL/分の溶媒流速での10→70%B(A=0.05%TFAを含む水、B=0.05%TFAを含むMeCN)の30分間勾配ならびに260nmでのUV検出を使用する分取HPLCによって精製した。生成物5dを含有するHPLC画分を合わせ、−80℃で凍結しそして凍結乾燥した。収量=25mg(69%);MALDI-TOF MS 814.1 実測値。
以下の反応は、ZC3M−AE−NHS、化合物5dの合成を説明するものである。
Figure 0006670597
実施例6
ZC6M−AE−NHS、化合物6dの合成
a)化合物6a
無水テトラヒドロフラン(3mL)中の2−ヒドロキシアクリジンメチルエステル(25mg、62.3μmol)、6−ジメチルアミノ−1−ヘキサノール(18mg、2当量)及びトリフェニルホスフィン(33mg、2当量)の溶液を、ジイソプロピルアゾジカルボキシラート(25μL、2当量)で処理した。反応物を、窒素下、室温で1時間撹拌し、そして次にセクション(a)、実施例5に記載したように処理した。少量の反応混合物のHPLC分析を、Phenomenex、C18 4.6mm×25cmカラム及び1.0mL/分の流速での10→100%B(A=0.05%TFAを含む水、B=0.05%TFAを含むMeCN)の30分間勾配ならびに260nmでのUV検出を使用して実施した。生成物が、Rt=22分にて溶離され観察すると、それは主要成分であった。収量33.5mg(定量的);MALDI-TOF MS 529.5 実測値。
b)化合物6c
イオン性液体[BMIM][PF6](0.5mL)中の化合物6a(33.5mg、63.3μmol)、1,3−プロパンスルトン(155mg、20当量)及び2,6−ジ−tert−ブチルピリジン(97μL、7当量)の混合物を、150℃で24時間加熱した。次に、反応物を室温に冷まし、そして少量(1〜2μL)を抜き取り、メタノールで希釈し、そしてセクション(a)に記載したようにHPLCによって分析した。アクリジニウムエステル生成物6bが、Rt=16分で溶離して観察された(>80%変換;MALDI-TOF MS 773.5 実測値)。反応混合物を、セクション(b)、実施例5に記載したように処理した。アクリジニウムエステル6bを、窒素下、1N HCl 10mL中で2時間還流し、そして室温に冷ました。反応混合物のHPLC分析が、Rt=14分で溶離する生成物6cの完全な形成を示した。生成物を、YMC、C18 30×300mmカラム及び20mL/分の溶媒流速での10→100%B(A=0.05%TFAを含む水、B=0.05%TFAを含むMeCN)の30分間勾配ならびに260nmでのUV検出を使用する分取HPLCによって精製した。生成物を含有するHPLC画分を合わせ、そして減圧下で濃縮して化合物6cを得た。収量=26.8mg(全体で56%)。
c)化合物6d
DMF(3.4mL)及び水(0.6mL)中の化合物6c(26.9mg、35.3μmol)の溶液を、ジイソプロピルエチルアミン(31μL、5当量)及びTSTU(53mg、5当量)で処理した。反応物を室温で撹拌した。15分後、少量の反応混合物のHPLC分析を、Phenomenex、C18 4.6mm×25cmカラム及び1.0mL/分の流速での10→100%B(A=0.05%TFAを含む水、B=0.05%TFAを含むMeCN)の30分間勾配ならびに260nmでのUV検出を使用して実施した。生成物が、Rt=15.4分で溶離して観察され、それは主要成分であった。生成物を、YMC、C18 30×300mmカラム及び20mL/分の溶媒流速での10→100%B(A=0.05%TFAを含む水、B=0.05%TFAを含むMeCN)の30分間勾配ならびに260nmでのUV検出を使用する分取HPLCによって精製した。生成物6dを含有するHPLC画分を合わせ、−80℃で凍結し、そして凍結乾燥した。収量=19.3mg(63%);MALDI-TOF MS 856.2 実測値。
以下の反応は、ZC6M−AE−NHS、化合物6dの合成を説明するものである。
Figure 0006670597
実施例7
ZC8M−AE−NHS、化合物7dの合成
a)化合物7a
無水テトラヒドロフラン(5mL)中の2−ヒドロキシアクリジンメチルエステル(30mg、75μmol)、8−ジメチルアミノ−1−オクタノール(26mg、2当量)及びトリフェニルホスフィン(40mg、2当量)の溶液を、ジイソプロピルアゾジカルボキシラート(30μL、2当量)で処理した。反応物を、窒素下、室温で1時間撹拌し、そして次に、セクション(a)、実施例5に記載したように処理した。少量の反応混合物のHPLC分析を、Phenomenex、C18 4.6mm×25cmカラム及び1.0mL/分の流速での10→100%B(A=0.05%TFAを含む水、B=0.05%TFAを含むMeCN)の30分間勾配ならびに260nmでのUV検出を使用して実施した。生成物が、Rt=24分にて溶離して観察され、それは主要成分であった。収量13mg(31%);MALDI-TOF MS 557.1 実測値。
b)化合物7c
イオン性液体[BMIM][PF6](0.2mL)中の化合物7a(13mg、23.3μmol)、1,3−プロパンスルトン(57mg、20当量)及び2,6−ジ−tert−ブチルピリジン(36μL、7当量)の混合物を、150℃で24時間加熱した。次に、反応物を室温に冷まし、そして少量(1〜2μL)を抜き取り、メタノールで希釈し、そしてセクション(a)に記載したようにHPLCにより分析した。アクリジニウムエステル生成物7bが、Rt=17.4分にて溶離して観察された(>80%変換;MALDI-TOF MS 800.8 実測値)。反応混合物を、セクション(b)、実施例5に記載したように処理した。アクリジニウムエステル7bを、窒素下、1N HCl 5mL中で2時間還流し、そして室温に冷ました。反応混合物のHPLC分析が、Rt=15.3分で溶離する生成物7cの完全な形成を示した。生成物を、YMC、C18 30×300mmカラム及び20mL/分の溶媒流速での10→100%B(A=0.05%TFAを含む水、B=0.05%TFAを含むMeCN)の30分間勾配ならびに260nmでのUV検出を使用する分取HPLCによって精製した。生成物を含有するHPLC画分を合わせ、そして減圧下で濃縮して化合物7cを得た。収量=6.8mg(全体で37%);MALDI-TOF MS 787.8 実測値。
c)化合物7d
DMF(1.7mL)及び水(0.3mL)中の化合物7c(6.8mg、8.6μmol)の溶液を、ジイソプロピルエチルアミン(7.5μL、5当量)及びTSTU(13mg、5当量)で処理した。反応物を室温で撹拌した。30分後、少量の反応混合物のHPLC分析を、Phenomenex、C18 4.6mm×25cmカラム及び1.0mL/分の流速での10→100%B(A=0.05%TFAを含む水、B=0.05%TFAを含むMeCN)の30分間勾配ならびに260nmでのUV検出を使用して実施した。生成物が、Rt=16.5分にて溶離して観察され、それは主要成分であった。生成物を、YMC、C18 30×300mmカラム及び20mL/分の溶媒流速での10→100%B(A=0.05%TFAを含む水、B=0.05%TFAを含むMeCN)の30分間勾配ならびに260nmでのUV検出を使用する分取HPLCによって精製した。生成物7dを含有するHPLC画分を合わせ、−80℃で凍結し、そして凍結乾燥した。収量=5mg(66%);MALDI-TOF MS 885.0 実測値。
以下の反応は、ZC8M−AE−NHS、化合物7dの合成を説明するものである。
Figure 0006670597
実施例8
AZC3−AE−NHS、化合物8dの合成
a)化合物8a
化合物、2−ヒドロキシ−7−メトキシアクリジンメチルエステルを、米国特許第7,319,041(B2)号に記載されている反応を使用して、2−ベンジルオキシ−7−メトキシアクリジン−9カルボン酸及びメチル2,6−ジメチル−4−ヒドロキシベンゾアートから合成した。無水テトラヒドロフラン(5mL)中の2−ヒドロキシ−7−メトキシアクリジンメチルエステル(25mg、0.058mmol)、3−ジメチルアミノ−1−プロパノール(13.6μL、2当量)及びトリフェニルホスフィン(30mg、2当量)の溶液を、ジイソプロピルアゾジカルボキシラート(23μL、2当量)で処理した。反応物を、窒素下、室温で撹拌した。1時間後、それをセクション(a)、実施例5に記載したように処理した。少量の反応混合物のHPLC分析を、Phenomenex、C18 4.6mm×25cmカラム及び1.0mL/分の流速での10→100%B(A=0.05%TFAを含む水、B=0.05%TFAを含むMeCN)の30分間勾配ならびに260nmでのUV検出を使用して実施した。生成物がRt=20分にて溶離して観察され、それは主要成分であった。収量27mg(90%);MALDI-TOF MS 517.9 実測値。
b)化合物8c
イオン性液体[BMIM][PF6](0.5mL)中の化合物8a(27mg、52.2μmol)、1,3−プロパンスルトン(128mg、20当量)及び2,6−ジ−tert−ブチルピリジン(80μL、7当量)の混合物を、150℃で24時間加熱した。次に、反応物を室温に冷まし、そして少量(1〜2μL)を抜き取り、メタノールで希釈し、そしてセクション(a)に記載したようにHPLCによって分析した。アクリジニウムエステル生成物8bが、Rt=15.2分にて溶離して観察された。反応混合物を、セクション(b)、実施例5に記載したように処理した。アクリジニウムエステル8bを、窒素下、1N HCl 10mL中で2時間還流し、そして室温に冷ました。反応混合物のHPLC分析は、Rt=13.5分で溶離する生成物8cの完全な形成を示した。生成物を、YMC、C18 30×300mmカラム及び20mL/分の溶媒流速での10→100%B(A=0.05%TFAを含む水、B=0.05%TFAを含むMeCN)の30分間勾配ならびに260nmでのUV検出を使用する分取HPLCによって精製した。生成物を含有するHPLC画分を合わせ、そして減圧下で濃縮して化合物8cを得た。収量=22mg(全体で56%);MALDI-TOF MS 747.4 実測値。
c)化合物8d
DMF(3.6mL)及び水(0.4mL)中の化合物8c(22mg、29.5μmol)の溶液を、ジイソプロピルエチルアミン(26μL、5当量)及びTSTU(44mg、5当量)で処理した。反応物を室温で撹拌した。30分後、少量の反応混合物のHPLC分析を、Phenomenex、C18 4.6mm×25cmカラム及び1.0mL/分の流速での10→100%B(A=0.05%TFAを含む水、B=0.05%TFAを含むMeCN)の30分間勾配ならびに260nmでのUV検出を使用して実施した。生成物が、Rt=14.6分にて溶離して観察され、それは主要成分であった。生成物を、YMC、C18 30×300mmカラム及び20mL/分の溶媒流速での10→100%B(A=0.05%TFAを含む水、B=0.05%TFAを含むMeCN)の30分間勾配ならびに260nmでのUV検出を使用する分取HPLCによって精製した。生成物8dを含有するHPLC画分を合わせて、−80℃で凍結し、そして凍結乾燥した。収量=17.6mg(70%);MALDI-TOF MS 843.9.0 実測値。
以下の反応は、AZC3M−AE−NHS、化合物8dの合成を説明するものである。
Figure 0006670597
実施例9
AZC6−AE−NHS、化合物9dの合成
a)化合物9a
無水テトラヒドロフラン(3mL)中の2−ヒドロキシ−7−メトキシアクリジンメチルエステル(25mg、0.058mmol)、6−ジメチルアミノ−1−ヘキサノール(17mg、2当量)及びトリフェニルホスフィン(30mg、2当量)の溶液を、ジイソプロピルアゾジカルボキシラート(23μL、2当量)で処理した。反応物を窒素下、室温で撹拌した。2時間後、それをセクション(a)、実施例5に記載したように処理した。少量の反応混合物のHPLC分析を、Phenomenex、C18 4.6mm×25cmカラム及び1.0mL/分の流速での10→100%B(A=0.05%TFAを含む水、B=0.05%TFAを含むMeCN)の30分間勾配ならびに260nmでのUV検出を使用して実施した。生成物が、Rt=22.5分にて溶離して観察され、それは主要成分であった。収量20mg(63%);MALDI-TOF MS 559.8 実測値。
b)化合物9c
イオン性液体[BMIM][PF6](0.5mL)中の化合物9a(20mg、35.9μmol)、1,3−プロパンスルトン(87mg、20当量)及び2,6−ジ−tert−ブチルピリジン(59μL、7当量)の混合物を、150℃で24時間加熱した。次に、反応物を室温に冷まし、そして少量(1〜2μL)を抜き取り、メタノールで希釈し、そしてセクション(a)に記載したようにHPLCによって分析した。アクリジニウムエステル生成物9bが、Rt=15.7分にて溶離して観察された(MALDI-TOF MS 803.9 実測値)。反応混合物を、セクション(b)、実施例5に記載したように処理した。アクリジニウムエステル9bを窒素下、1N HCl 10mL中で2時間還流し、そして室温に冷ました。反応混合物のHPLC分析は、Rt=14.9分で溶離する生成物9cの完全な形成を示した。生成物を、YMC、C18 30×300mmカラム及び20mL/分の溶媒流速での10→100%B(A=0.05%TFAを含む水、B=0.05%TFAを含むMeCN)の30分間勾配ならびに260nmでのUV検出を使用する分取HPLCによって精製した。生成物を含有するHPLC画分を合わせ、そして減圧下で濃縮して化合物9cを得た。収量=18.3mg(全体で65%);MALDI-TOF MS 790.4 実測値。
c)化合物9d
DMF(3.6mL)及び水(0.4mL)中の化合物9c(18.3mg、23.2μmol)の溶液を、ジイソプロピルエチルアミン(20μL、5当量)及びTSTU(35mg、5当量)で処理した。反応物を室温で撹拌した。30分後、少量の反応混合物のHPLC分析を、Phenomenex、C18 4.6mm×25cmカラム及び1.0mL/分の流速での10→100%B(A=0.05%TFAを含む水、B=0.05%TFAを含むMeCN)の30分間勾配ならびに260nmでのUV検出を使用して実施した。生成物が、Rt=16分にて溶離して観察され、それは主要成分であった。生成物を、YMC、C18 30×300mmカラム及び20mL/分の溶媒流速での10→100%B(A=0.05%TFAを含む水、B=0.05%TFAを含むMeCN)の30分間勾配ならびに260nmでのUV検出を使用する分取HPLCによって精製した。生成物9dを含有するHPLC画分を合わせ、−80℃で凍結し、そして凍結乾燥した。収量=14mg(68%);MALDI-TOF MS 887.6 実測値。
以下の反応は、AZC6M−AE−NHS、化合物9dの合成を説明するものである。
Figure 0006670597
実施例10
NSP−2Z−DMAE−NHS、化合物10fの合成
a)化合物10a
無水テトラヒドロフラン(10mL)中の4−ブロモベンジルブロミド(2g、8mmol)の溶液を、テトラヒドロフラン中のジメチルアミン(20mL)mL)の2.0M 溶液で処理した。反応物を室温で3日間撹拌した。次に、反応混合物を、酢酸エチル(75mL)で希釈し、そして飽和重炭酸ナトリウム水溶液 100mLで洗浄した。酢酸エチル層を分離し、そして無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。ヘキサン中の15%酢酸エチルを使用するシリカでのTLC分析は、出発物質を示さず、そしてRf=0.1の極性生成物の形成を示した。その酢酸エチル溶液を減圧下で濃縮して明黄色の油状物を得た。収量=1.63g。
b)化合物10b
無水DMF(20mL)中のイサチン(1.12g、7.6mmol)の溶液を、窒素下、氷浴中で冷却し、そして水素化ナトリウム(0.366g、1.2当量、鉱油中60%分散液)で処理した。反応物を氷浴中で30分間撹拌し、そして次に、化合物10a(1.63g、7.6mmol)をDMF(5mL)中の溶液として、ヨウ化銅(2.9g、2当量)と共に加えた。反応物を窒素下、140℃で24時間加熱した。次に、それを室温に冷まし、酢酸エチル(30mL)で希釈し、そして濾過した。溶離剤として酢酸エチル中の10%メタノールを使用する、濾液のシリカでのTLCは、Rf 約0.1の極性生成物を示した。濾液を減圧下で濃縮した。残留物を10%KOH水溶液 100mLに懸濁し、そして窒素下、4時間還流した。次に、反応混合物を室温に冷まし、そしてpH5になるまで2N HClで酸性化した。黄色の沈殿物が現れ、それを濾過により回収し、そして真空下で乾燥させた。収量=0.6g。この化合物をそのまま次の反応に使用した。
c)化合物10c
無水ピリジン(15mL)中の化合物10b(0.2g、0.714mmol)の懸濁液を、窒素下、p−トルエンスルホニルクロリド(272mg、2当量)で処理した。5分間簡単に撹拌した後、メチル2,6−ジメチル−4−ヒドロキシベンゾアート(128mg、0.714mmol)を加えた。得られた反応物を室温で3日間撹拌した。次に、溶媒を減圧下で除去し、そして残留物を酢酸エチル(40mL)と1N HCl(50mL)で分液した。生成物を含有するHCl層を分離し、そして酢酸エチルで2回(2×40mL)洗浄した。次に、HCl溶液を氷浴中で冷却し、そして黄色の沈殿物が分離するまで5%KOH水溶液を滴下して処理した(pH約8)。この懸濁液を、酢酸エチル(2×50mL)で抽出した。合わせた酢酸エチル抽出物を、水で1回洗浄し、そして無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。次に、溶媒を減圧下で除去し、そして粗生成物を、溶離剤として酢酸エチルを使用するシリカでのフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。収量=95mg(30%);MALDI-TOF MS 443.7 実測値。
d)化合物10e
イオン性液体[BMIM][PF6](0.5mL)中の化合物10c(22mg、49.5μmol)、1,3−プロパンスルトン(120mg、20当量)及び2,6−ジ−tert−ブチルピリジン(81.5μL、7.5当量)の混合物を、150℃で24時間加熱した。次に、反応物を室温に冷まし、そして少量(1〜2μL)を抜き取り、メタノールで希釈し、そしてPhenomenex、C184.6mm×25cmカラム及び1.0mL/分の流速での10→70%B(A=0.05%TFAを含む水、B=0.05%TFAを含むMeCN)の30分間勾配ならびに260nmでのUV検出を使用するHPLCによって分析した。生成物10dが、Rt=17.2分にて溶離して観察された(約40%変換)。反応混合物を、セクション(b)、実施例5に記載したように処理した。アクリジニウムエステル10dを、窒素下、1N HCl 10mL中で2時間還流し、そして室温に冷ました。反応混合物のHPLC分析は、Rt=14.0分で溶離する生成物10eの完全な形成を示した。生成物を、YMC、C18 30×300mmカラム及び20mL/分の溶媒流速での10→70%B(A=0.05%TFAを含む水、B=0.05%TFAを含むMeCN)の30分間勾配ならびに260nmでのUV検出を使用する分取HPLCによって精製した。生成物を含有するHPLC画分を合わせ、そして減圧下で濃縮して化合物10eを得た。収量=14.5mg(全体で44%);MALDI-TOF MS 673.3 実測値。
c)化合物10f
DMF(1.8mL)及び水(0.2mL)中の化合物10e(14.5mg、21.5μmol)の溶液を、ジイソプロピルエチルアミン(18.8μL、5当量)及びTSTU(32mg、5当量)で処理した。反応物を室温で撹拌した。15分後、少量の反応混合物のHPLC分析を、Phenomenex、C18 4.6mm×25cmカラム及び1.0mL/分の流速での10→70%B(A=0.05%TFAを含む水、B=0.05%TFAを含むMeCN)の30分間勾配ならびに260nmでのUV検出を使用して実施した。生成物が、Rt=16.5分にて溶離して観察され、それは主要成分であった。生成物を、YMC、C18 30×300mmカラム及び20mL/分の溶媒流速での10→70%B(A=0.05%TFAを含む水、B=0.05%TFAを含むMeCN)の30分間勾配ならびに260nmでのUV検出を使用する分取HPLCによって精製した。生成物10fを含有するHPLC画分を合わせ、−80℃で凍結し、そして凍結乾燥した。収量=14mg(85%);MALDI-TOF MS 769.5 実測値。
以下の反応は、NSP−2Z−DMAE−NHS、化合物10fの合成を説明するものである。
Figure 0006670597
実施例11
NSP−DMAE−Z−NHS、化合物11fの合成
a)化合物11a
クロロホルム(40mL)中のN,N−ビス(3−アミノプロピル)メチルアミン(1g、6.9mmol)の溶液を、ベンジルオキシカルボニルスクシンイミド(3.78g、2.2当量)で処理した。反応物を室温で16時間撹拌した。酢酸エチル中の15%メタノールを使用する反応混合物のシリカでのTLC分析は、完全反応での極性生成物の形成を示した。反応混合物を、クロロホルム(40mL)で希釈し、そして飽和重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した。次に、それを、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、そして減圧下で濃縮して粘性油状物を得た。それは貯蔵すると凝固してロウ状の固体になった。収量=3.2g;MALDI-TOF MS 414.4 実測値。
b)化合物11b
無水DMF(15mL)中の化合物11a(1.2g、2.9mmol)の溶液を、1,3−プロパンスルトン(0.71g、2当量)で処理した。反応物を窒素下、145℃で1時間加熱した。少量の反応混合物のHPLC分析を、Phenomenex、C18 4.6mm×25cmカラム及び1.0mL/分の流速での10→70%B(A=0.05%TFAを含む水、B=0.05%TFAを含むMeCN)の30分間勾配ならびに260nmでのUV検出を使用して実施した。生成物が、Rt=19.6分にて溶離(約80%変換)、出発物質がRt=21.6分にて溶離して観察された。反応混合物を減圧下で濃縮し、そして回収した油状物を、メタノール(20mL)に溶解した。40%メタノール、60%酢酸エチルを使用するシリカでのTLC分析は、出発物質(Rf 約0.3)から生成物(Rf 約0.2)の完全な分離を示した。上記の反応を、同じ規模で繰り返し、そして合わせた反応混合物を、溶離剤として40%メタノール、60%酢酸エチルを使用するシリカでのフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。収率=1.55g(60%);白色の泡状物;MALDI-TOF MS 536.4 実測値。
c)化合物11c
化合物11b(0.8g、1.49mmol)を、33%HBr/AcOH 15mL中、室温で24時間撹拌した。次に、エーテル(100mL)を加えると、白色の粒状固体が分離した。生成物を沈降させ、そしてエーテルをデカントした。この手順を、エーテルで2回(2×50mL)繰り返した。最後に、生成物を真空下で乾燥させた。回収した粘性油状物を、水 5〜6mLに溶解し、−80℃に凍結し、そして凍結乾燥して、ガラス状固体を得た。収量=0.766g(定量的);MALDI-TOF MS 268.2 実測値。可視化のために25%アンモニア、75%メタノール及びニンヒドリンを使用するシリカでのTLC分析が、Rf 約0.2の単一スポットを示した。
d)化合物11d
DMF(3mL)中のNSP−DMAE(30mg、61μmol、米国特許第6,664,043(B2)号)の溶液を、ジイソプロピルエチルアミン(16μL、1.5当量)及びTSTU(22mg、1.2当量)で処理した。反応物を室温で撹拌した。15分後、少量の反応混合物のHPLC分析を、Phenomenex、C18 4.6mm×25cmカラム及び1.0mL/分の流速での10→70%B(A=0.05%TFAを含む水、B=0.05%TFAを含むMeCN)の30分間勾配ならびに260nmでのUV検出を使用して実施した。生成物がRt=20分にて溶離して観察され、それは主要成分であった。このNHSエステルのDMF溶液(1.5mL)の半分を、DMF(1mL)及び0.15M 重炭酸ナトリウム(1mL)に溶解した化合物11c(50mg、0.187mmol、遊離アミン形態)の溶液に、滴下した。反応物を室温で撹拌した。3時間後、HPLC分析は、12.4分で溶離して、生成物11dへの完全な変換を示した。10→40%B(A=0.05%TFAを含む水、B=0.05%TFAを含むMeCN)の40分間勾配を使用して、生成物をRt=19.2分で溶離した。
生成物を、YMC、C18 30×300mmカラム及び20mL/分の溶媒流速での10→40%B(A=0.05%TFAを含む水、B=0.05%TFAを含むMeCN)の40分間勾配ならびに260nmでのUV検出を使用する分取HPLCによって精製した。生成物11dを含有するHPLC画分を合わせ、そして減圧下で濃縮した。収率=19mg(83%);MALDI-TOF MS 743.2 実測値。
e)化合物11f
メタノール(3.6mL)及び水(0.4mL)中の化合物11d(45mg、60.6μmol)の溶液を、ジイソプロピルエチルアミン(53μL、5当量)及びグルタル酸無水物(35mg、5当量)で処理した。反応物を室温で撹拌した。15分後、少量の反応混合物のHPLC分析を、Phenomenex、C18 4.6mm×25cmカラム及び1.0mL/分の流速での10→70%B(A=0.05%TFAを含む水、B=0.05%TFAを含むMeCN)の30分間勾配ならびに260nmでのUV検出を使用して実施した。生成物11eがRt=14分にて溶離して観察され、それは主要成分であった。次に、溶媒を減圧下で除去した。残留物を、DMF(3.6mL)及び水(0.4mL)に溶解した。この溶液を、ジイソプロピルエチルアミン(106μL、10当量)及びTSTU(182mg、10当量)で処理した。反応物を室温で撹拌した。10分後、HPLC分析は、Rt=15.3分で溶離する生成物11fへの完全な変換を示した。生成物を、YMC、C18 30×300mmカラム及び20mL/分の溶媒流速での10→40%B(A=0.05%TFAを含む水、B=0.05%TFAを含むMeCN)の40分間勾配ならびに260nmでのUV検出を使用する分取HPLCによって精製した。生成物11fを含有するHPLC画分を合わせ、−80℃で凍結し、そして凍結乾燥した。収率=28.7mg(50%);MALDI-TOF MS 955.2 実測値。
以下の反応は、NSP−DMAE−Z−NHS、化合物11fの合成を説明するものである。
Figure 0006670597
実施例12
NSP−2,7−DMG−DMAE−Z−NHS、化合物12hの合成
a)1,3−ジメトキシグリセロール、化合物12a
無水メタノール(100mL)を、水酸化カリウムペレット(25g、0.446mol)で処理し、そしてその懸濁液を、全ての塩基が溶解するまで室温で撹拌した。次に、この溶液を氷浴中で冷却し、そしてエピクロロヒドリン(0.223mol、20.6g)を滴下した。添加の完了後、反応物を室温に温め、そして窒素下、油浴中で、75〜80℃で16時間加熱した。次に、反応物を、室温に冷まし、そして濾過した。濾液を減圧下で濃縮した。回収した油状物を、酢酸エチル(150mL)に溶解し、そして再度濾過し、そして次に減圧下で濃縮した。無色の油状物(21.5g)を回収し、それを真空蒸留によって精製して、1,3−ジメトキシグリセロール、化合物12a 12.9g(50%)を得た。
b)化合物12b
無水ピリジン(20mL)中の1,3−ジメトキシグリセロール、化合物12a(1g、8.3mmol)の溶液を、p−トルエンスルホニルクロリド(2.38g、1.5当量)及び4−ジメチルアミノピリジン(0.253g、0.25当量)で処理した。反応物を窒素下、室温で3日間撹拌した。次に、溶媒を減圧下で除去し、そして残留物を酢酸エチル(100mL)と1N HCl(50mL)で分液した。酢酸エチル層を分離し、そして1n HCl(50mL)で1回、続いて重炭酸ナトリウム水溶液(3×50mL)で洗浄した。次に、それを無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、そして減圧下で濃縮した。粗生成物(2.5g)を、溶離剤としてヘキサン中の20%酢酸エチルを使用するシリカでのフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。収量=1.79g(65%)。
c)化合物12c
無水DMF(6mL)中の2,7−ジヒドロキシアクリジンメチルエステル(0.1g、0.24mmol)、化合物12b(0.4g、1.45mmol)及び炭酸セシウム(0.2g、2.5当量)の溶液を、窒素下、油浴中、90〜100℃で加熱した。5時間後、反応物を室温に冷ました。少量の反応混合物のHPLC分析を、Phenomenex、C18 4.6mm×25cmカラム及び1.0mL/分の流速での10→100%B(A=0.05%TFAを含む水、B=0.05%TFAを含むMeCN)の30分間勾配ならびに260nmでのUV検出を使用して実施した。生成物が、Rt=26.5分にて溶離して観察され、それは主要成分であった。次に、溶媒を減圧下で除去し、そして残留物を、酢酸エチル(50mL)と水(50mL)で分液した。酢酸エチル層を分離し、そして水で2回(2×50mL)洗浄した。次に、それを無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、そして減圧下で濃縮した。粗生成物(0.37g)を、1:1、酢酸エチル/ヘキサンを使用するシリカでの分取TLCによって精製した。精製済み収量=58mg(40%);MALDI-TOF MS 623.1 実測値。
d)化合物12e
化合物12c(58mg、93.25μmol)、蒸留した1,3−プロパンスルトン(1.14g、100当量)及び重炭酸ナトリウム(78mg、10当量)の混合物を、140〜150℃で加熱した。2時間後、反応物を室温に冷ました。少量の反応混合物のHPLC分析は、Phenomenex、C18 4.6mm×25cmカラム及び1.0mL/分の流速での10→100%B(A=0.05%TFAを含む水、B=0.05%TFAを含むMeCN)の30分間勾配ならびに260nmでのUV検出を使用して実施した。生成物12dが、Rt=20分にて溶離して観察され、それは主要成分であった。反応混合物を、1:1、酢酸エチル/ヘキサン 20mLで処理し、そして混合物を短時間超音波処理してガム状物を分散させた。生成物を沈降させ、そして溶媒をデカントによって除去した。粗生成物を真空下で乾燥させ、そして次に、1N HCl 10mLに懸濁し、そして窒素下で3時間還流した。次に、それを、室温に冷まし、そしてHPLCによって分析すると、メチルエステルの完全な加水分解を示し、生成物12eがRt=17.0分で溶離した。生成物を、YMC、C18 30×300mmカラム及び20mL/分の溶媒流速での10→100%B(A=0.05%TFAを含む水、B=0.05%TFAを含むMeCN)の40分間勾配ならびに260nmでのUV検出を使用する分取HPLCによって精製した。生成物12eを含有するHPLC画分を合わせ、そして減圧下で濃縮した。収量=56mg(82%);MALDI-TOF MS 730.9 実測値。
e)化合物12f
DMF(3mL)中の化合物12e(55mg、75.3μmol)の溶液を、ジイソプロピルエチルアミン(20μL、1.5当量)及びTSTU(27mg、1.2当量)で処理した。反応物を室温で撹拌した。10分後、少量の反応混合物のHPLC分析は、Phenomenex、C18 4.6mm×25cmカラム及び1.0mL/分の流速での10→100%B(A=0.05%TFAを含む水、B=0.05%TFAを含むMeCN)の30分間勾配ならびに260nmでのUV検出を使用して実施した。NHSエステルがRt=18分にて溶離して観察され、それは主要成分であった。次に、NHSエステルのDMF溶液を、水(1.68mL)及び0.5M 重炭酸ナトリウム(1.68mL)に溶解した化合物11c(168mg、0.376mmol、2HBr塩)の溶液に滴下した。反応物を室温で撹拌した。30分後、HPLC分析は、12.4分で溶離する生成物12eへの完全な変換を示した。
生成物を、YMC、C18 30×300mmカラム及び20mL/分の溶媒流速での10→100%B(A=0.05%TFAを含む水、B=0.05%TFAを含むMeCN)の40分間勾配ならびに260nmでのUV検出を使用する分取HPLCによって精製した。生成物12fを含有するHPLC画分を合わせ、そして減圧下で濃縮した。収量=63.8mg(86%);MALDI-TOF 979.1MS 実測値。
f)化合物12h
メタノール(4.0mL)中の化合物12f(63.8mg、65.2μmol)の溶液を、ジイソプロピルエチルアミン(57μL、5当量)及びグルタル酸無水物(74mg、5当量)で処理した。反応物を室温で撹拌した。15分後、少量の反応混合物のHPLC分析を、Phenomenex、C18 4.6mm×25cmカラム及び1.0mL/分の流速での10→100%B(A=0.05%TFAを含む水、B=0.05%TFAを含むMeCN)の30分間勾配ならびに260nmでのUV検出を使用して実施した。生成物12gが、Rt=13.5分にて溶離して観察され、それは主要成分であった。次に、溶媒を減圧下で除去した。残留物を、DMF(5.4mL)及び水(0.6mL)に溶解した。この溶液を、ジイソプロピルエチルアミン(114μL、10当量)及びTSTU(200mg、10当量)で処理した。反応物を室温で撹拌した。15分後、HPLC分析は、Rt=14.3分で溶離する生成物12hへの完全な変換を示した。生成物を、YMC、C18 30×300mmカラム及び20mL/分の溶媒流速での10→70%B(A=0.05%TFAを含む水、B=0.05%TFAを含むMeCN)の40分間勾配ならびに260nmでのUV検出を使用する分取HPLCによって精製した。生成物12hを含有するHPLC画分を合わせ、−80℃で凍結し、そして凍結乾燥した。収量=49.3mg(63%);MALDI-TOF MS 1188.9 実測値。
以下の反応は、NSP−2,7−DMG−DMAE−Z−NHS、化合物12hの合成を説明するものである。
Figure 0006670597
実施例13
NSP−DMAE−Z2−NHS、化合物13eの合成
a)化合物13a
無水エーテル(5mL)中の2−クロロエタンスルホニルクロリド(0.126mL、1.2mmol)の溶液を、窒素雰囲気下、氷塩浴中、−5℃に冷却し、そして2,6−ルチジン(0.14mL、1.2mmol)で一度に処理した。反応物を、−5℃で30分間撹拌し、次に室温に温めた。次に、反応物を、グラスウールを通して濾過して、酢酸(5mL)に溶解した11a(0.325g、0.79mmol)の撹拌した溶液に注いだ。4〜5時間後、溶媒を減圧下で除去した。残留物をトルエン(5mL)に懸濁し、そして減圧下で濃縮した。粗生成物を水(50mL)と酢酸エチル(50mL)で分液した。水層を分離し、そしてクロロホルム(50mL)で1回洗浄した。水層を、水酸化アンモニウムでpH9に調整し、そして酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。次に、水層を減圧下で濃縮して白色の固体を得た。収量=0.18g、(43%);MALDI-TOF MS 522.8 実測値)。
少量の生成物のHPLC分析を、Phenomenex PRODIGY、C18 10mm×25cmカラム及び4.0mL/分の流速での10→70%B(A=0.05%TFAを含む水、B=0.05%TFAを含むMeCN)の30分間勾配ならびに260nmでのUV検出を使用して実施した。清浄な生成物がRt=21分にて溶離して、そして出発物質がないことが観察された。
b)化合物13b
化合物13a(78mg、0.15mmol)を、33% HBr/AcOH 5mL中、室温で24時間撹拌した。次に、エーテル(75mL)を加えると、白色の粒状固体が分離した。生成物を沈降させ、そしてエーテルをデカントした。この手順を、エーテルで2回(2×50mL)繰り返した。最後に、生成物を真空下で乾燥させた。収量=48mg(77%)。この物質をそのまま次の反応に使用した。
c)化合物13c
DMF(1mL)中のNSP−DMAE(14mg、28.4μmol、米国特許第6,664,043(B2)号)の溶液を、ジイソプロピルエチルアミン(7.4μL、1.5当量)及びTSTU(10.3mg、1.2当量)で処理した。反応物を室温で撹拌した。30分後、少量の反応混合物のHPLC分析を、Phenomenex、C18 4.6mm×25cmカラム及び1.0mL/分の流速での10→70%B(A=0.05%TFAを含む水、B=0.05%TFAを含むMeCN)の30分間勾配ならびに260nmでのUV検出を使用して実施した。生成物が、Rt=20分にて溶離して観察され、それは主要成分であった。このNHSエステルのDMF溶液を、0.25M 重炭酸ナトリウム(3mL)に溶解した化合物13b(48mg、0.116mmol、HBr塩)の溶液に滴下した。反応物を、室温で撹拌した。30分後、HPLC分析は、12.4分間で溶離する生成物13cへの完全な変換を示した。
生成物を、YMC、C1830×300mmカラム及び20mL/分の溶媒流速での10→60%B(A=0.05%TFAを含む水、B=0.05%TFAを含むMeCN)の40分間勾配ならびに260nmでのUV検出を使用する分取HPLCによって精製した。生成物13cを含有するHPLC画分を合わせ、そして減圧下で濃縮した。収量=19mg(90%)。
d)化合物13e
メタノール(3.6mL)及び水(0.4mL)中の化合物13c(19mg、26.1μmol)の溶液を、ジイソプロピルエチルアミン(22.8μL、5当量)及びグルタル酸無水物(15mg、5当量)で処理した。反応物を室温で撹拌した。30分後、少量の反応混合物のHPLC分析を、Phenomenex、C18 4.6mm×25cmカラム及び1.0mL/分の流速での10→70%B(A=0.05%TFAを含む水、B=0.05%TFAを含むMeCN)の30分間勾配ならびに260nmでのUV検出を使用して実施した。生成物13dが、Rt=14.6分にて溶離して観察され、それは主要成分であった(>80%)。次に、溶媒を減圧下で除去した。残留物を、DMF(3.6mL)及び水(0.4mL)に溶解した。この溶液を、ジイソプロピルエチルアミン(45.6μL、10当量)及びTSTU(79mg、10当量)で処理した。反応物を室温で撹拌した。15分後、HPLC分析は、Rt=15.7分で溶離する生成物13eへの完全な変換を示した。生成物を、YMC、C18 30×300mmカラム及び20mL/分の溶媒流速での10→60%B(A=0.05%TFAを含む水、B=0.05%TFAを含むMeCN)の40分間勾配ならびに260nmでのUV検出を使用する分取HPLCによって精製した。生成物13eを含有するHPLC画分を合わせ、−80℃で凍結し、そして凍結乾燥した。収量=15mg(60%)。
以下の反応は、NSP−DMAE−Z2−NHS、化合物13eの合成を説明するものである。
Figure 0006670597
実施例14
NSP−DMAE−ZCB−NHS、化合物14dの合成
a)化合物14a
MeCN(5mL)に溶解した11a(0.6g、1.45mmol)の溶液を、アクリル酸(1mL、1.45mmol)で処理した。反応物を室温で36時間撹拌した。次に、溶媒を減圧下で除去し、そして粗生成物を、溶離剤として3:2、MeOH:EtOAcを使用するシリカでのフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。生成物を含有する画分を合わせ、そして減圧下で濃縮した。収量=0.432g、(61%);MALDI-TOF MS 486.1 実測値)。
b)化合物14b
化合物14a(0.43g、0.88mmol)を、33% HBr/AcOH 10mL中、室温で24時間撹拌した。次に、エーテル(100mL)を加えると、白色の粒状固体が分離した。生成物を沈降させ、そしてエーテルをデカントした。この手順をエーテルで4回(4×50mL)繰り返した。最後に、生成物を真空下で乾燥させた。次に、それを水(5mL)に溶解し、凍結し、そして凍結乾燥した。収量=0.35g(定量的);MALDI-TOF MS 218.3 実測値。
c)化合物14c
DMF(2mL)中のNSP−DMAE(25mg、51.0μmol、米国特許第6,664,043(B2)号)の溶液を、ジイソプロピルエチルアミン(11.3μL、1.5当量)及びTSTU(18.3mg、1.2当量)で処理した。反応物を室温で撹拌した。30分後、このNHSエステルのDMF溶液を、0.25M 重炭酸ナトリウム(0.8mL)に溶解した化合物14b(80mg、0.2mmol、HBr塩)の溶液に滴下した。反応物を室温で撹拌した。30分後、Phenomenex、C18 4.6mm×25cmカラム及び1.0mL/分の流速での10→70%B(A=0.05%TFAを含む水、B=0.05%TFAを含むMeCN)の30分間勾配ならびに260nmでのUV検出を使用して実施したHPLC分析は、12.0分間で溶離する生成物14cへの完全な変換を示した。
生成物を、YMC、C1830×300mmカラム及び20mL/分の溶媒流速での10→60%B(A=0.05%TFAを含む水、B=0.05%TFAを含むMeCN)の40分間勾配ならびに260nmでのUV検出を使用する分取HPLCによって精製した。生成物14cを含有するHPLC画分を合わせ、そして減圧下で濃縮した。収量=38mg(定量的);MALDI-TOF MS 692.9 実測値。
e)化合物14d
DMF(1.0mL)及びDMSO(2.0mL)中の化合物14c(20mg、29μmol)の溶液を、ジイソプロピルチルアミン(diisopropylthylamine)(8.6μL、2当量)で処理し、DMF(1mL)中のグルタル酸ジスクシンイミジル(38mg、0.117mmol)の撹拌した溶液に滴下した。この反応物を室温で撹拌した。60分後、少量の反応混合物のHPLC分析を、Phenomenex、C18 4.6mm×25cmカラム及び1.0mL/分の流速での10→70%B(A=0.05%TFAを含む水、B=0.05%TFAを含むMeCN)の30分間勾配ならびに260nmでのUV検出を使用して実施した。生成物14dが、Rt=15.0分にて溶離して観察され、それは主要成分であった(>70%)。この生成物を、YMC、C18 30×300mmカラム及び20mL/分の溶媒流速での10→60%B(A=0.05%TFAを含む水、B=0.05%TFAを含むMeCN)の40分間勾配ならびに260nmでのUV検出を使用する分取HPLCによって精製した。生成物14dを含有するHPLC画分を合わせ、−80℃で凍結し、そして凍結乾燥した。収量=4mg(15%);MALDI-TOF MS 905.5 実測値。
以下の反応は、NSP−DMAE−ZCB−NHS、化合物14dの合成を説明するものである。
Figure 0006670597
実施例15
CN−NSP−DMAE−Z3−NHS、化合物15fの合成
a)化合物15a
塩化チオニル(5mL)中のNSP−DMAEメチルエステル(0.223g、0.44mmol)の懸濁液を、窒素雰囲気下、80℃で激しく撹拌しながら加熱した。1時間後、暗色の溶液が形成され、これを室温に冷ました。ヘキサン(50mL)を加え、そして暗褐色の粘着性固体を分離させた。ヘキサンをデカントし、そして残留物をヘキサン(25mL)で一回すすぎ、そして真空下で非常に軽く乾燥させた。この粘着性固体に、無水MeCN(10mL)中のN,N−ジメチルエチレンジアミン(10mL、過剰量)の溶液を加えた。暗褐色の溶液が形成され、これを室温で撹拌した。15分後、少量の反応混合物のHPLC分析を、Phenomenex、C18 4.6mm×25cmカラム及び1.0mL/分の流速での10→70%B(A=0.05%TFAを含む水、B=0.05%TFAを含むMeCN)の30分間勾配ならびに260nmでのUV検出を使用して実施した。生成物15aは、Rt=19分にて溶離して幅広いピーク(abroad peak)として観察された。反応混合物を減圧下で濃縮し、そして残留物をメタノール(5mL)に溶解し、トルエン(15mL)で希釈し減圧下で濃縮して褐色の粘着泡状物を得た。粗収量=0.46g。生成物を、溶離剤としてメタノールを使用するシリカでのフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。収量=0.22g、(87%);MALDI-TOF MS 577.9 実測値。
b)化合物15b
[BMIM][PF6](3mL)中の化合物15a、(0.22g、0.38mmol)、蒸留した1,3−プロパンスルトン(0.465g、10当量、及び2,6−ジ−tertブチルピリジン(0.42mL、5当量)の混合物を、155℃で16時間、激しく撹拌しながら加熱した。次に、それを室温に冷まし、そして酢酸エチル(100mL)を加えた。生成物が沈殿し、そして濾過により回収し、そして酢酸エチル(25mL)及びメタノール(20mL)ですすいだ。次に、粗生成物を、1:1 水/メタノール 50mLを含むRBフラスコに移した。少量の粗反応混合物のHPLC分析を、Phenomenex、C18 4.6mm×25cmカラム及び1.0mL/分の流速での10→40%B(A=0.05%TFAを含む水、B=0.05%TFAを含むMeCN)の40分間勾配ならびに260nmでのUV検出を使用して実施した。生成物が、Rt=33分にて溶離して観察された(約90%変換)。減圧下でこの水溶液を蒸発させて、褐色の固体 0.35gを得た。MALDI-TOF MS 699.2 実測値。この物質をそのまま次の反応に使用した。
c)化合物15c
化合物15b(0.35g、粗)を1N HCl(20mL)に懸濁し、そして窒素雰囲気下で1.5時間加熱還流した。セクション(b)に示したHPLC分析が、Rt=27分間にて溶離する生成物を示した。この反応物を室温に冷ました。生成物15cを、YMC、C18 30×300mmカラム及び20mL/分の溶媒流速での10→60%B(A=0.05%TFAを含む水、B=0.05%TFAを含むMeCN)の40分間勾配ならびに260nmでのUV検出を使用する分取HPLCによって精製した。生成物を含有するHPLC画分を合わせ、そして減圧下で濃縮した。収量=14mg;MALDI-TOF MS 685.7 実測値。
d)化合物15d
DMF(2mL)中の化合物15c(14mg、20μmol)の溶液を、ジイソプロピルエチルアミン(6μL、2当量)及びTSTU(12.3mg、2当量)で処理した。反応物を室温で撹拌した。10分後、少量の粗反応混合物のHPLC分析を、Phenomenex、C18 4.6mm×25cmカラム及び1.0mL/分の流速での10→40%B(A=0.05%TFAを含む水、B=0.05%TFAを含むMeCN)の40分間勾配ならびに260nmでのUV検出を使用して実施した。22分にて溶離するNHSエステルへの完全な変換が観察された。このDMF溶液を、0.25M 重炭酸ナトリウム(1mL)中の化合物11c(46mg、5当量、HBr塩)の撹拌した溶液に滴下した。得られた溶液を室温で撹拌した。15分後、HPLC分析が、Rt=14分にて溶離する主要生成物を示した。
生成物15dを、YMC、C1830×300mmカラム及び20mL/分の溶媒流速での10→60%B(A=0.05%TFAを含む水、B=0.05%TFAを含むMeCN)の40分間勾配ならびに260nmでのUV検出を使用する分取HPLCによって精製した。生成物を含有するHPLC画分を合わせ、そして減圧下で濃縮した。収量=18mg(定量的);MALDI-TOF MS 935.8 実測値。
e)化合物15f
メタノール(1.8mL)及び水(0.2mL)中の化合物15d(18mg、19.2μmol)の溶液を、ジイソプロピルエチルアミン(26μL、5当量)及びグルタル酸無水物(17mg、5当量)で処理した。反応物を室温で撹拌した。15分後、セクション(d)に記載したHPLC分析が、Rt=16.2分にて溶離するグルタル酸誘導体15eへの完全な変換を示した。この反応物をトルエン(5mL)で希釈し、そして減圧下で濃縮した。残留物をDMF(1.8mL)及び水(0.2mL)に溶解し、そしてジイソプロピルエチルアミン(52μL、10当量)及びTSTU(90mg、10当量)で処理した。この反応物を室温で撹拌した。30分後、HPLC分析が、Rt=19分にて溶離する生成物への完全な変換。生成物15fは、YMC、C18 30×300mmカラム及び20mL/分の溶媒流速での10→60%B(A=0.05%TFAを含む水、B=0.05%TFAを含むMeCN)の40分間勾配ならびに260nmでのUV検出を使用する分取HPLCによって精製した。生成物を含有するHPLC画分を合わせ、−80℃で凍結し、そして凍結乾燥した。収量=6.5mg(30%);MALDI-TOF MS 1146.6 実測値。
以下の反応は、CN−NSP−DMAE−Z3−NHS、化合物15fの合成を説明するものである。
Figure 0006670597
実施例16
抗TSH Mabのアクリジニウムエステルでの標識化のための一般手順
抗体の原液(5mg/mL、200μL、1.0mg、6.7nmol)を、0.1M 炭酸ナトリウムpH9(250μL)で希釈して約2.0mg/mL溶液を得た。この溶液に、DMF/水 1:1溶液又はDMSOのいずれかにおける溶液としてアクリジニウムNHSエステル 10当量を加えた。例えば、NSP−DMAE−Z−NHS、11fを使用する場合、これは64μgの添加を必要とし、このアクリジニウムエステルの5mg/mL溶液(12.8μL)として加えた。標識化反応物を4℃で16時間穏やかに撹拌し、そして次に、脱イオン水で4mLに希釈した。次に、これらの希釈溶液を、4mL Centricon(商標)フィルター(MW30,000カットオフ)に移し、そして4000Gで遠心分離して容量を約0.2mLまで減らした。この手順をさらに3回繰り返した。最終的に、濾過された抱合体を、質量スペクトル分析及びRLU測定のために、総容量250μLの水に希釈した。
質量スペクトルを、Voyager DE MALDI-TOF質量分析計に記録し、そして非標識抗体を基準として使用した。抱合体溶液 約2μLを、シナピン酸(sinnapinic acid)マトリックス溶液(HP)2μLと混合し、そしてそれをMALDIプレート上に点在させた。完全に乾燥させた後、質量スペクトルを記録した。非標識抗体及び抱合体についての質量値における差から、AE取り込みの範囲を測定することができた。典型的には、これらの標識化条件下で、約5つのAE標識が、抗体に取り込まれた。
実施例17
化学発光測定
各アクリジニウムエステル標識抗体を、0.1M リン酸ナトリウム、0.15M 塩化ナトリウム、6mM アジ化ナトリウム及び1g/L ウシ血清アルブミン(BSA)からなる緩衝液中、0.2nMの濃度に希釈した。試験した各アクリジニウムエステル−抗体抱合体10μLについての化学発光速度論を、試薬1(0.1M 硝酸及び0.5%過酸化水素)及び試薬2(0.25M 水酸化ナトリウム及び0.05%セチルトリメチル塩化アンモニウム)の各々 300μLを順次添加をして、Berthold Technolgies Autolumat LB953照度計を用いて、標準条件下、10秒ごと(for 10 seconds)0.1秒間隔でまとめた。試験したアクリジニウム化合物の化学発光速度論を、光放出の相対速度ならびに総光出力について比較した。
実施例18
非特異的結合の測定
両性イオン性アクリジニウム化合物を、イムノアッセイにおける標識として、同じイムノアッセイにおいて別個に標識として使用した対照アクリジニウム化合物との比較のために、試験した。Siemens Healthcare Diagnostics ACS:180(登録商標)TSH3アッセイは、ACS:180(登録商標)に適用するためのSiemens Healthcare Diagnosticsによって製造されている商業的に販売されている一連のイムノアッセイのうちの1つである。TSH3アッセイは、サンプル中の分析物TSH(甲状腺刺激ホルモン)の測定のために抗TSH抗体の化学発光アクリジニウム化合物を使用するサンドイッチイムノアッセイである。
TSH3アッセイは2つの抗体を有し、そのうちの一方はアクリジニウム化合物に結合したマウス抗体であり、この組合せはトレーサーと呼ばれ、一方、他方の抗体は常磁性粒子(PMP)に結合し、ここで、この組合せは固相と呼ばれる。このアッセイ例において、両性イオン性アクリジニウム化合物そしてまた対照アクリジニウム化合物の両方とも、同じ抗体の別々の部分に各々結合した。このアッセイ例において、アクリジニウムエステル抱合体すなわちトレーサーが、サンプル中のTSH分析物が非存在の下で試験された場合に、非特異的結合のみが測定された。トレーサーを、0.15M N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸(N-2-hdroxyethylpiperazine-N’-2-ethanesulfonic acid)(HEPES)、0.15M 塩化ナトリウム、7.7mM アジ化ナトリウム、1.0mM エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、12mM t−オクチルフェノキシポリエトキシエタノール(Triton X-100)、5g/L ウシ血清アルブミン(BSA)、0.20g/L アムホテリシンB、0.48g/L 硫酸ゲンタマイシン、1g/L マウスIgG、10mg/L ヒツジIgG、5.0g/L マウス血清、0.05g/L antifoam Bを含有するpH7.7の緩衝液中、2.2nMの濃度に希釈した。このアッセイ例において、3つの固相を、アクリジニウム化合物を用いて試験した:Siemens Healthcare Diagnostics TSH3アッセイ固相、Siemens Healthcare Diagnostics iPTH(無傷副甲状腺ホルモン)アッセイ固相(Dynal M280-ストレプトアビジン結合ビオチン化ポリクローナルヤギ抗PTH抗体)及びSiemens Healthcare Diagnostics TnI(トロポニンI)−ウルトラアッセイ(Dynal M270-ストレプトアビジン結合ビオチン化モノクローナルマウス抗TnI抗体)。
Siemens Healthcare Diagnostics ACS:180(登録商標)は、異なる分析物についての一連のイムノアッセイを実施するように設計された自動ロボット装置である。Siemens Healthcare Diagnostics ACS:180(登録商標)TSH3アッセイについての自動手順は、TSH分析物を含有しない各々の血清サンプル 200μLを別個のキュベットに分注することで開始した。キュベットは、トレーサー、サンプル及び固相を混合するための光学的に透明又は半透明の容器であり、そしてその中で化学発光を測定する。サンプルは、分析物TSHを含有しなかった。次に、ACS:180(登録商標)が、2.2nM(0.22pmol)トレーサー 0.100mL及び0.3g/L 固相 0.225mL(67μg)を、サンプルを含有する各キュベット内に分注し、同量のトレーサー及び固相が、試験される全てのアクリジニウム化合物に使用されるようにした。2つのアッセイ試薬のうちの第1試薬は溶液であり、それは、アクリジニウム化合物と抱合した抗TSH抗体を含有した。両性イオン性アクリジニウム化合物及び対照アクリジニウム化合物の両方を、トレーサーのための標識として別個に試験した。トレーサーを、先に記載した手順を使用し、アクリジニウム化合物及びTSH結合マウス抗体を使用して調製及び精製した。各トレーサーにおける1抗体当たりのアクリジニウム化合物の数は、試験した全てのアクリジニウム化合物についてほぼ同じだった。したがって、各アクリジニウム化合物について測定した非特異的結合におけるいかなる差も、アクリジニウム化合物の構造に関連し得る。各キュベット内のトレーサー、サンプル及び固相の混合物を、37℃で5.0分間加熱した。キュベット内の混合物からの固相の磁気分離、続くキュベットからの流体の除去、及びキュベット内の固相の水での洗浄によって、非結合トレーサーを固相から除去して、固相及びそれに結合している任意のトレーサー以外の全てを除去した。
固相上のアクリジニウム化合物からの化学発光は、Siemens Healthcare Diagnostics ACS:180(登録商標)試薬1及びSiemens Healthcare Diagnostics ACS:180(登録商標)試薬2の各々 0.30mLの順次添加に続く光放出で開始した。Siemens Healthcare Diagnostics ACS:180(登録商標)試薬1は、0.1M 硝酸及び0.5%過酸化水素であった。Siemens Healthcare Diagnostics ACS:180(登録商標)試薬2は、0.25M 水酸化ナトリウム及び0.05%セチルトリメチル塩化アンモニウムであった。次に、各キュベット内の化学発光を相対光単位(RLU)として測定した、各キュベットが一つのアッセイサンプルに対応する。試験される各アクリジニウム化合物についての非特異的結合を、RLUを単位とする化学発光として測定し、RLU数はSiemens Healthcare Diagnostics ACS:180(登録商標)によって測定された。非特異的結合部分を、トレーサー 0.22pmolからの各キュベット内への総化学発光入力に対する非特異的結合化学発光の比率として定義する。非特異的結合部分の最小化が、特定シグナルの測定を最大化し、したがって少量の分析物の測定を改善し、そしてイムノアッセイ性能を高める。このアッセイ例において、両性イオン性アクリジニウム化合物は、より低い非特異的結合部分を有し、したがって、イムノアッセイ性能を高めることが期待されるだろう。
実施例19
アクリジニウム抱合体化学発光安定性の測定
両性イオン性アクリジニウム化合物及び対照アクリジニウム化合物NSP−DMAE−HEG及びHQY−AEの抱合体を、0.15M N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸(HEPES)、0.15M 塩化ナトリウム、7.7mM アジ化ナトリウム、1.0mM エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、12mM t−オクチルフェノキシポリエトキシエタノール(Triton X-100)、5g/L ウシ血清アルブミン(BSA)、0.20g/L アムホテリシンB、0.48g/L 硫酸ゲンタマイシン、1g/L マウスIgG、10mg/L ヒツジIgG、5.0g/L マウス血清、0.05g/L antifoam Bを含有するpH7.7の緩衝液中、0.1nMの濃度に希釈した。次に、全ての抱合体を、密閉したポリエチレンボトル内で4週間、4℃又は37℃のいずれかで保存した。4℃又は37℃のいずれかで保存した各トレーサー 10μLを、Siemens Healthcare Diagnostics ACS:180(登録商標)試薬1及び2を使用するSiemens Healthcare Diagnostics ACS:180(登録商標)と同じ化学発光測定方法を使用する、Bertholdt ALB953化学照度計での化学発光測定のために、定期的に取り除いた。次に、化学発光を、4℃又は37℃のいずれかにおける保存開始時での各トレーサーについて決定した化学発光に対するパーセンテージとして比較した。対照アクリジニウム化合物に対して高められた又は同等の化学発光安定性が、新規アクリジニウム化合物に対する望ましい特性であり、生成物のより長い又は同等の貯蔵寿命、及びより良好又は同等の日毎の結果の再現性を提供するであろう。

Claims (13)

  1. 以下の構造:
    Figure 0006670597

    [式中、
    スルホプロピルもしくはスルホブチル基であるか、あるいはRは、基−R−Zであり;
    及びRは、(i)水素、(ii)電子供与基、(iii)基−Z、(iv)基−O−(CHCH−O)−CH(ここで、lは、1〜12の整数である)、又は(v)基−O−Gから独立して選択され;ここで、該電子供与基は、OR、OH、SR、SH、NH、NRから選択され;
    Yは、R、−R−Z又は−R−Lから選択され;
    Y’は、各々が場合により最大20個までのヘテロ原子を含有してもよい、C 1−35 アリール、アルキル−アリール、アリール−アルキル、−R −Z又は−R −Lから選択され
    Zは、形態:
    Figure 0006670597

    で示される両性イオン基であり、
    Xは、各々出現ごとに独立して、結合、−CH−、酸素、硫黄、−NR−、アミド(−NR(CO)−)、カルバマート(−NRC(O)O−)又はウレア(−NRC(O)NR−)から選択され;
    R’及びR”は、各々出現ごとに独立して、−R −L、又は、各々が場合により最大20個までのヘテロ原子を含有してもよい、C1−35アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール若しくはアラルキルから選択され;
    は、基−R−Z(ここで、Zは、カルボキシラート(−COO又はスルホナート(−SO )から選択される)であ
    nは、各々出現ごとに独立して、1〜12の間の整数から選択され;
    Lは、下記:
    Figure 0006670597

    からなる群より選択され;
    Gは、各々出現ごとに独立して、
    Figure 0006670597

    [式中、R、R10、R11、R12、R13及びR14は、各々出現ごとに独立して、メチル基又は基−(CHCHO)CHであり、ここで、mは、1〜5の整数である]から選択される分岐基であり;
    Rは、各々出現ごとに独立して、各々は場合により最大20個までのヘテロ原子を含有してもよい、C1−35アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はアラルキル基から選択され;
    は、各々出現ごとに独立して、各々は場合により最大20個までのヘテロ原子を含有してもよい、水素、C1−35アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はアラルキル基から選択され;そして
    は、各々は場合により最大20個までのヘテロ原子を場合により含有してもよい、C1−35アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、アリーレン又はアラルキレン基から選択されるが;
    但し、R、R、R、Y及びY’のうちの少なくとも1つは、前記両性イオン基Zを含む]を有する化学発光アクリジニウム化合物。
  2. R’又はR”が、基−R−Lであり、ここで−R−Lは35個以下の炭素原子を含む、請求項1記載の化学発光アクリジニウム化合物。
  3. R’又はR”が、Zの一出現ごとに、基−R−C(O)−CHCHCH−C(O)−N−スクシンイミジル、−R−N−マレイミド、−R−C(O)−CH−Br又は−R−C(O)−CH−Iである(ここで、R’又はR”は35個未満の炭素原子を含む)、請求項1記載の化学発光アクリジニウム化合物。
  4. スルホプロピル(−CHCHCH−SO )、スルホブチル(−CHCHCHCH−SO )又は構造:
    Figure 0006670597

    [式中、R、R’、R”、Z及びnは、請求項1で定義したとおりである]を有する基から選択される、請求項1記載の化学発光アクリジニウム化合物。
  5. 及びRの一方又は両方が、基Zである、請求項1記載の化学発光アクリジニウム化合物。
  6. 及びRの一方又は両方が、基:
    Figure 0006670597

    [式中、nは、1〜12の整数であり、そしてmは、0〜3の整数である]である、請求項5記載の化学発光アクリジニウム化合物。
  7. 以下の構造:
    Figure 0006670597

    [式中、Yは、基−R−Zであり、ここで、R、R、R及びZは、請求項1に定義したとおりである]を有する、請求項1記載の化学発光アクリジニウム化合物。
  8. 以下の構造:
    Figure 0006670597

    [式中、
    は、スルホプロピルもしくはスルホブチル基であるか、あるいはR は、基−R −Zであり;
    及びR は、(i)水素、(ii)電子供与基、(iii)基−Z、(iv)基−O−(CH CH −O) −CH (ここで、lは、1〜12の整数である)、又は(v)基−O−Gから独立して選択され;ここで、該電子供与基は、OR、OH、SR、SH、NH 、NR から選択され;
    Zは、形態:
    Figure 0006670597

    で示される両性イオン基であり、
    Xは、各々出現ごとに独立して、結合、−CH −、酸素、硫黄、−NR −、アミド(−NR (CO)−)、カルバマート(−NR C(O)O−)又はウレア(−NR C(O)NR −)から選択され;
    R’及びR”は、各々出現ごとに独立して、−R −L、又は、各々が場合により最大20個までのヘテロ原子を含有してもよい、C 1−35 アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール若しくはアラルキルから選択され;
    は、基−R −Z (ここで、Z は、カルボキシラート(−COO )又はスルホナート(−SO )から選択される)であり;
    nは、各々出現ごとに独立して、1〜12の間の整数から選択され;
    Lは、下記:
    Figure 0006670597

    からなる群より選択され;
    Gは、各々出現ごとに独立して、
    Figure 0006670597

    [式中、R 、R 10 、R 11 、R 12 、R 13 及びR 14 は、各々出現ごとに独立して、メチル基又は基−(CH CH O) CH であり、ここで、mは、1〜5の整数である]から選択される分岐基であり;
    は、各々出現ごとに独立して、各々は場合により最大20個までのヘテロ原子を含有してもよい、水素、C 1−35 アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はアラルキル基から選択され;
    は、各々は場合により最大20個までのヘテロ原子を場合により含有してもよい、C 1−35 アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、アリーレン又はアラルキレン基から選択され;
    は、各々が最大20個までのヘテロ原子を場合により含有してもよい、水素、 1−35 アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はアラルキルから選択されるか、あるいはRは、基−R−Lあり;n’、m’及びq’は、独立して、1〜4の整数でありそして
    Rは、各々が場合により最大20個までのヘテロ原子を含有してもよい、C 1−29 アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール若しくはアラルキルから選択されるが;
    但し、R 、R 及びR のうちの少なくとも1つは、前記両性イオン基Zを含む]を有する、化学発光アクリジニウム化合物。
  9. 分析物、分析物類似体又は分析物の結合パートナーに共有結合している、請求項1又は8記載の化学発光アクリジニウム化合物から形成される抱合体を含む分析物の検出のための試薬。
  10. 巨大分子分析物の検出又は定量のためのアッセイであって、
    (a)巨大分子分析物に対して特異的な結合分子に共有結合している、請求項1又は8記載の化学発光アクリジニウム化合物を含む抱合体を提供すること、
    (b)固体担体であって、その上に前記分析物に対して特異的な第2結合分子を固定している固体担体を提供すること、
    (c)前記抱合体、固体担体、及び前記分析物を含有していると疑われるサンプルを混合して反応混合物内で結合複合体を形成すること、
    (d)前記反応混合物から前記固体担体上に捕獲された前記結合複合体を分離すること、
    (e)化学発光誘発試薬を加えることによって、工程(d)からの前記結合複合体の化学発光を誘発すること、
    (f)照度計を用いて光放出の量を測定すること、及び
    (g)放出された光の量を前記巨大分子分析物の既知濃度と関連づける標準用量反応曲線と、工程(e)からの結合複合体から放出された光の量を比較することによって、前記巨大分子分析物の存在を検出するか又は前記巨大分子分析物の濃度を計算することを含む、アッセイ。
  11. 提供された小分子分析物の検出又は定量のためのアッセイであって、
    (a)小分子分析物が共有結合した請求項1又は8記載の化学発光アクリジニウム化合物の抱合体を提供する工程、
    (b)前記小分子分析物に対して特異的な結合分子がその上に固定された固体担体を提供する工程、
    (c)前記抱合体、固体担体、及び前記小分子分析物を含有していると疑われるサンプルを混合して反応混合物内で結合複合体を形成する工程、
    (d)前記反応混合物から前記固体担体上に捕獲された前記結合複合体を分離する工程、
    (e)化学発光誘発試薬を加えることによって、工程(d)からの前記結合複合体の化学発光を誘発する工程、
    (f)照度計を用いて光の量を測定する工程、及び
    (g)放出された光の量を前記小分子分析物の既知濃度と関連づける標準用量反応曲線と、工程(e)からの結合複合体から放出された光の量を比較することによって、前記小分子分析物の存在を検出するか又は前記小分子分析物の濃度を計算する工程を含む、アッセイ。
  12. 小分子分析物の検出のためのアッセイであって、
    (a)小分子分析物又は小分子分析物類似体がその上に固定された固体担体を提供すること、
    (b)請求項1又は8記載の化学発光アクリジニウム化合物に共有結合した前記小分子分析物又は前記小分子分析物類似体に対して特異的な結合分子の抱合体を提供すること、
    (c)前記固体担体、前記抱合体、及び前記小分子分析物又は前記小分子分析物類似体を含有していると疑われるサンプルを混合して反応混合物内で結合複合体を形成すること、
    (d)前記反応混合物から前記固体担体上に捕獲された前記結合複合体を分離すること、
    (e)化学発光誘発試薬を加えることによって、(d)の前記結合複合体の化学発光を誘発すること、
    (f)照度計を用いて光の量を測定すること、及び
    (g)放出された光の量を前記小分子分析物又は前記小分子分析物類似体の既知濃度と関連づける標準用量反応曲線と、工程(e)からの結合複合体から放出された光の量を比較することによって、前記小分子分析物又は前記小分子分析物類似体の存在を検出するか又は前記小分子分析物又は前記小分子分析物類似体の濃度を計算することを含む、アッセイ。
  13. Y’が、各々が場合により最大20個までのヘテロ原子を含有してもよい、C 1−35 アリール、アルキル−アリール、−R −Z又は−R −Lから選択される、請求項1記載の化学発光アクリジニウム化合物
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