JP6669600B2 - 鉄道車両の状態監視システム - Google Patents

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Description

本発明は、鉄道車両の状態監視システムに関する。
鉄道車両の新車両導入時や新線建設時だけでなく、営業時の車両と軌道の安全性を維持向上するための手段として、以下の背景技術が開示されている。
まず、本技術分野の背景技術として、非特許文献1がある。この非特許文献1には、車輪にひずみゲージを設置した特殊な輪軸(PQ輪軸)を用いて、走行安全性評価に用いる車輪‐レール間で発生する垂直荷重(輪重)とまくら木方向の横荷重(横圧)を計測する方法が記載されている。
次に、本技術分野の背景技術として、非特許文献2がある。この非特許文献2には、周波数応答法を用いて台車の軸箱体に設置された軸箱上下振動加速度から著大輪重を、同じく台車の軸箱体に設置された軸箱左右振動加速度から著大横圧を推定する方法が記載されている。
また、別の背景技術として、非特許文献3がある。この非特許文献3には、車体に設置された車体上下振動加速度から輪重の変動成分(輪重変動)と、車体に設置された車体左右振動加速度から輪軸全体に発生する輪軸横圧(各左右車輪の横圧差)を推定する方法が記載されている。
運輸省鉄道局監修、鉄道総合技術研究所編「在来鉄道運転速度向上試験マニュアル・解説」財団法人鉄道総合技術研究所、1993年5月10日、p67〜76 田中博文・古川敦著「軸箱加速度と軌道検測波形を用いた著大輪重・横圧の管理手法」鉄道総研報告、2008年8月、p35〜40 内田雅夫・矢澤英治著「車体加速度を用いた曲線通過時の横圧・脱線係数等の推定方法」土木学会第48回年次学術講演会、平成5年9月、p226〜227
非特許文献1においては、PQ輪軸の強度やPQ輪軸設置のひずみゲージ信号を車上側に上げるために用いるスリップリング摩耗に課題があり、営業車両への適用が困難である。
非特許文献2と非特許文献3においては、PQ輪軸の代替手段として、軸箱振動加速度(車体振動加速度)から著大輪重・著大横圧(輪重変動・輪軸横圧)を推定する上で、PQ輪軸を準備した上で、軸箱振動加速度(車体振動加速度)と輪重・横圧を同時に測定し、推定式の推定パラメータを最適化しておくという作業が発生するといった課題がある。さらに、PQ輪軸の営業車適用は困難のため、実際に適用する営業車両では、車輪などの経年劣化の影響で推定式に用いる補正係数などが変化することで推定精度が低下するといった課題がある。
本発明は、軌道側輪重・横圧測定装置の測定結果を活用して、車両オペレーション時の走行安全性を高精度且つリアルタイムに評価することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、車両に搭載されて少なくとも振動加速度を検出する車上側センサと、軌道側に配置された軌道側センサの検出出力を基に前記車両がレールを通過した時点の輪重・押圧を測定する軌道側輪重・横圧測定装置と、前記車上側センサの出力信号と前記軌道側輪重・横圧測定装置の測定結果を取り込み、前記車両の状態を監視する状態監視装置とを備え、前記状態監視装置は、前記車上側センサの出力信号と前記軌道側輪重・横圧測定装置の測定結果を基に前記車上側センサの出力信号に対する前記軌道側輪重・横圧測定装置の測定結果の伝達特性を周波数帯域の伝達特性として演算する演算処理部と、前記演算処理部の演算結果を基に前記車両の各車輪と前記レールの間で発生する輪重と横圧を推定する推定処理部とを有することを特徴とする。
本発明によれば、軌道側輪重・横圧測定装置の測定結果を活用して、車両オペレーション時の走行安全性を高精度且つリアルタイムに評価することができる。
実施例1の鉄道車両の状態監視システム全体の構成を示す構成図である。 状態監視装置のハードウェアシステム構成の構成図である。 状態監視システムの輪重・横圧推定処理を説明するためのフローチャートである。 状態監視システムの推定パラメータ演算処理の説明図である。 状態監視システムの推定パラメータ更新処理の説明図である。 状態監視システムの推定結果の判定処理の説明図である。 実施例2の鉄道車両の状態監視システム全体の構成を示す構成図である。 実施例2における状態監視システムの輪重・横圧推定処理を説明するためのフローチャートである。
以下、図面を参照しながら実施例を説明する。なお、各図において、共通な機能を有する構成要素には同一の番号を付与し、その重複する説明を省略する。また、実施例中で説明するセンサ信号は振動加速度センサ信号とひずみセンサ信号にのみ言及しているが、振動加速度センサ信号とひずみセンサ信号の代替信号、あるいは、組合せ信号として変位センサ信号、圧力センサ信号などを適用することも可能である。
図1を用いて本実施例における鉄道車両の状態監視システムの構成を説明する。図1は、実施例1の鉄道車両の状態監視システム全体の構成を示す構成図である。図1において、先頭車両2と図示されない中間車両などで編成車両が構成され、編成車両は左右にあるレール1上を移動する。先頭車両2を含む車両は車体3と台車7で構成され、車体3と台車7は空気ばね6などのサスペンションで支持される。台車7は台車枠8と台車枠8の前後方向にそれぞれ備えた輪軸27から構成され、台車枠8と輪軸27はダンパやコイルばねなどのサスペンションで支持され、輪軸27はレール1を移動するためにそれぞれ左右の車輪9で構成される。先頭車両2の車体3には運転台5と、車両運行中の車両情報(例えば、車両走行速度や車両走行位置、乗客人数、各種機器の稼働状況など)を監視・制御する車両情報制御装置29が搭載され、運転士4は運転台5で運転操作することで編成車両をレール1上で走行させ、車両情報制御装置29で表示される車両情報を監視することで、車両で発生するトラブルなどを把握する。
次に、車体3の床面上に、車上側センサとして、車体3の上下方向と左右方向の振動加速度を検出する車体振動加速度センサ12が設置され、輪軸27の軸受部分である左右の軸箱体に、車上側センサとして、上下方向と左右方向の振動加速度を検出する軸箱振動加速度センサ11が設置される。状態監視装置10は、センサ信号検出処理部13と、推定パラメータ演算・更新処理部14と、輪重・横圧推定処理部15と、判定処理部16と、アラーム処理部17と、データ記録処理部18と、データ伝送処理部19とから構成される。なお、状態監視装置10は、先頭車両2などの輪重500と横圧501を推定する装置として、車両の床下あるいは機器室内などに設置しておけばよい。さらに、状態監視装置10は、その機能を車両情報制御装置29の中に組込んでおいてもよい。なお、図中の輪重500と横圧501は先頭車両2の先頭軸を対象としているが、各車輪で輪重と横圧を推定できるように構成してもよい。
次に、レール1側から測定する軌道側輪重・横圧測定装置20について、編成車両通過時に左右の各レール1に発生する垂直方向の荷重である輪重500と水平まくら木方向の荷重である横圧501を検出するために、左右の各レール1にひずみゲージ21が、軌道側センサとして設置される。軌道側輪重・横圧測定装置20は、センサ信号検出処理部22と、輪重・横圧変換処理部23と、推定パラメータ導出範囲選定部26と、データ記録処理部24と、データ伝送処理部25とから構成される。なお、軌道側輪重・横圧測定装置20は推定パラメータを更新する上で必要な営業路線や車両保守基地内の直線区間や曲線区間に少なくとも1台以上設置しておけばよい。
次に、各処理部間でやりとりされる信号の流れを説明する。軸箱振動加速度センサ11から出力される軸箱振動加速度センサ信号30aと、車体振動加速度センサ12から出力される車体振動加速度センサ信号31aは状態監視装置10のセンサ信号検出処理部13へ入力される。センサ信号検出処理部13から出力される各種電圧信号32aと、車両情報制御装置29から出力される車両情報信号39aと、データ伝送処理部19から出力される軌道側データ伝送信号37aは推定パラメータ演算・更新処理部14へ入力される。推定パラメータ演算・更新処理部14から出力される推定パラメータ信号33aは輪重・横圧推定処理部15へ入力される。輪重・横圧推定処理部15から出力される輪重・横圧推定信号34aは判定処理部16へ入力される。判定処理部16から出力される判定処理結果信号35aはアラーム処理部17へ入力される。アラーム処理部17から出力されるアラーム信号36aはデータ記録処理部18と運転台5へ入力される。ひずみゲージ21から出力されるレールひずみセンサ信号41aは軌道側輪重・横圧測定装置20のセンサ信号検出処理部22に入力される。センサ信号検出処理部22から出力される各種電圧信号42aは輪重・横圧変換処理部23に入力される。輪重・横圧変換処理部23から出力される軌道側輪重・横圧測定信号43aは推定パラメータ導出範囲選定部26に入力される。推定パラメータ導出範囲選定部26から出力される選定処理結果信号46aはデータ記録処理部24に入力される。データ記録処理部24から出力される伝送用軌道側輪重・横圧測定信号44aはデータ伝送処理部25に入力される。データ伝送処理部25から出力される軌道側データ伝送信号45aは状態監視装置10のデータ伝送処理部19に入力される。データ伝送処理部19から出力される軌道側データ伝送信号37aはデータ記録処理部18と推定パラメータ演算・更新処理部14に入力される。
なお、車上側では軸箱振動加速度センサ11と車体振動加速度センサ12以外に、台車枠振動加速度センサと、台車ひずみゲージと、空気ばね6などのサスペンションに設置された圧力計や変位計を用いて輪重・横圧を推定するようにシステム構成してもよい。即ち、車上センサとしては、車両の車体3と、台車7の軸箱と、台車枠8のいずれかに設置される振動加速度センサ、或いは、ひずみセンサ、車体3と台車7のサスペンションの変位センサ、圧力センサ、車体3と台車7の相対変位を測る変位センサを用いることができる。また、軌道側センサとしては、レール1に設置された加速度センサ、或いは、ひずみセンサを用いることができる。
次に、図2を用いて図1の状態監視装置10のハードウェアシステム構成例を説明する。図2は、状態監視装置のハードウェアシステム構成の構成図である。図2において、状態監視装置10は、プロセッサ50を搭載しており、プロセッサ50はCPU(Central Processing Unit)51と、ROM(Read Only Memory)53と、RAM(Random Access Memory)54と、カードコネクタ55と、インターフェース56から構成される。プロセッサ50のCPU51はバス52を介して、ROM53、RAM54、カードコネクタ55、インターフェース56と接続され、カードコネクタ55はメモリーカード57と接続される。インターフェース56は表示部58と、スイッチ59と、設定部60と、車両情報制御装置29と、車両に設置された振動加速度センサ一式61と、軌道側輪重・横圧測定装置20と、運転台5とも接続される。
なお、表示部58は状態監視装置10の表面にLED(Light Emitting Diode)などで装置の稼動状態、アラーム検知状態を表示できるようにしてもよい。さらに、スイッチ59は状態監視装置10の表面にスイッチを設けて、状態監視装置10の状態を初期化できるようにしてもよい。さらに、設定部60は状態監視装置10の表面に各処理部で適用する推定パラメータを設定するためのケーブルを接続するコネクタを設けてもよい。さらに、カードコネクタ55に接続されたメモリーカード57は状態監視装置10の表面などから、直接取り出せるようにしておいてもよい。
次に、図3を用いて鉄道車両の状態監視フローについて説明する。図3は、状態監視システムの輪重・横圧推定処理を説明するためのフローチャートである。図3において、車両電源投入などにより状態監視装置10が起動することで、状態監視装置10は、以下の処理を実行する。まず、センサや推定パラメータなどの初期設定を実施する(S100)。次に、輪重・横圧を推定するための各種振動加速度センサ信号と車両情報制御装置29の車両情報の逐次取得処理を実行する(S101)。次に、輪重・横圧を振動加速度から推定する推定式の推定パラメータを更新するか否かの判定処理を実行する(S107)。なお、具体的な推定パラメータの演算処理と更新処理と、及び、その更新タイミングの一例は後述する。
次に、更新処理が必要な場合、演算処理と更新処理が完了するまでの間、推定パラメータ演算・更新処理を実行し(S102、S108)、更新処理が不要な場合、従来の推定パラメータをそのまま適用する。次に、センサ信号から輪重・横圧の推定処理を実行する(S103)。なお、推定した輪重と横圧から、脱線係数(横圧−輪重比)や輪軸横圧(左右車輪の横圧差)を演算してもよい。次に、推定結果を基に、事前に設定しておいた閾値などを用いた判定処理を実行する(S104)。なお、具体的な判定処理の一例は後述する。
次に、判定処理結果を基に、アラーム発生が必要な場合(S109)にのみ、運転台へ通報するなどのアラーム処理を実行する(S105)。次に、センサ信号と、車両情報と、推定結果とを状態監視装置10内に記録するデータ記録処理を実行する(S106)。次に、状態監視を終了するか否かの判定処理を実行する(S110)。状態監視を継続する場合、再度センサ信号などの取得処理(S101)を実行し、状態監視を終了する場合、状態監視装置10の初期設置用のパラメータなど更新した上で、電源を落すなどの処理を実行し終了する。
次に、図4を用いて推定パラメータ演算処理の一例として片側の車輪の輪重推定パラメータ演算処理内容について説明する。図4は、状態監視システムの推定パラメータ演算処理の説明図である。図4に示す通り、軌道側輪重・横圧測定装置20による軌道側輪重測定波形113は車両が通過した際に大きく変動する。この際に、予め閾値115を設定しておき、軌道側輪重測定波形113が閾値115を超過している範囲116で軌道側輪重測定波形113とその時の軸箱上下振動加速度波形114を記録しておく。なお、軌道側で測定した軌道側輪重測定波形113と車上側で測定した軸箱上下振動加速度波形114の範囲116は、それぞれのタイムスタンプ情報から範囲116を探索すればよい。
次に、記録された軌道側輪重測定波形113と軸箱上下振動加速度波形114をもとに、軸箱上下振動加速度波形114に対する軌道側輪重測定波形113の伝達特性を周波数応答法で演算し、周波数帯域120の伝達特性を輪重推定式として適用するように用いる。なお、周波数帯域120以外の帯域では、例えば、バンドパスフィルタ処理などにより伝達特性の周波数成分を取り除けばよい。次に、その他区間で車両走行中に発生する軸箱上下振動加速度波形121に対して、周波数帯域120の伝達特性の輪重推定式を適用し(124)、車上側で輪重推定波形123を演算処理する(125)。なお、同様に、横圧推定する際には、軸箱左右振動加速度波形から軌道側横圧測定波形を推定する横圧推定式を算出すればよい。さらに、輪軸横圧を推定する際には、車体左右振動加速度を用いて輪軸横圧推定式を算出し、輪重変動を推定する際には、車体上下振動加速度を用いて輪重変動推定式を算出すればよい。
次に、図5を用いて推定パラメータ更新処理の一例として片側の車輪の輪重推定パラメータ更新処理内容について説明する。図5は、状態監視システムの推定パラメータ更新処理の説明図である。図5の縦軸は伝達特性誤差率130、すなわち、ある時点における推定用の伝達特性とその後取得された伝達特性との誤差率である。この誤差率はたとえば、ある周波数範囲における面積比率を用いてもよい。さらには、縦軸を輪重推定結果の2乗平均平方根であるRMS(Root Mean Square)値や最大値で評価してもよい。横軸は時間131を示しており、伝達特性誤差率132は車両が軌道側輪重・横圧測定装置を通過する度に取得される。輪重推定パラメータを更新する方法の1つとして、伝達特性の誤差率の閾値133を予め準備しておき、閾値133を超過した時点で、更新条件が満たされたとして、輪重推定パラメータを最新の推定パラメータに更新した上で、伝達特性誤差率132をリセット134する。なお、閾値133を超過する期間を予め設定しておき、その期間を超過し続けた場合に特性誤差率132をリセットしてもよい。また、特性誤差率130の閾値133を設定せずに、ある特定期間を経過した時点で輪重推定パラメータを最新の推定パラメータに更新してもよい。さらには、ある特定走行距離を走行した時点で輪重推定パラメータを最新の推定パラメータに更新してもよい。さらには、車両保守のタイミングで輪重推定パラメータを最新の推定パラメータに更新してもよい。
次に、図6を用いて判定処理の一例として片側の車輪の輪重推定結果の判定処理内容について説明する。図6は、状態監視システムの推定結果の判定処理の説明図である。図6の縦軸は車両の振動加速度センサ情報から輪重を推定した結果を示す推定輪重(輪重推定)を示し、横軸は時間を示している。輪重推定波形190は時々刻々と輪重・横圧推定処理部15で演算処理され、判定処理部16は、演算処理結果が、予め設定された閾値191を超過したと判定した場合、この時点194でアラーム処理部17がアラーム処理を実施する。なお、輪重推定波形190と同様に、横圧推定波形と脱線係数推定波形、輪軸横圧推定波形にも予め設定された閾値を超過した時点でアラーム処理部17がアラーム処理を実施する。なお、判定処理は輪重推定波形190が閾値191をある一定時間超過し続けた場合にアラーム処理を実施するようにしてもよい。
本実施例によれば、軌道側輪重・横圧測定装置の測定結果を活用して、車両オペレーション時の走行安全性を高精度且つリアルタイムに評価することができる。即ち、車両が軌道側に設置された輪重・横圧測定装置を通過する際に測定した輪重・横圧測定結果を基に、車両側に搭載された状態監視装置が推定パラメータを演算・更新処理することで、持続的に精度の高い輪重・横圧を推定評価することができ、結果として、営業車両オペレーション時の車両走行安全性およびインフラの劣化状態をリアルタイムで監視することが可能となる。また、簡易且つ低コストで鉄道車両の状態監視システムで提供することが可能となる。
実施例2の鉄道車両の状態監視システムの一例を図7に示す。図7は、実施例2の鉄道車両の状態監視システム全体の構成を示す構成図である。以下、図7の構成図のうち、図1の構成図に対する変更点と追加点について説明する。
まず、車上に設置される図1の状態監視装置10は状態監視装置70に置き換えられ、状態監視装置70はセンサ信号検出処理部13と、データ記録処理部18と、データ伝送処理部19と、から構成される。また、新規で地上側状態監視装置71が追加され、地上側状態監視装置71はデータ伝送処理部72と、データ記録処理部73と、データ管理処理部74と、推定パラメータ演算・更新処理部75と、輪重・横圧推定処理部76と、評価処理部77と、から構成される。
次に、各処理部間でやりとりされる信号の流れを説明する。状態監視装置70のセンサ信号検出処理部13から出力される各種電圧信号32aと、車両情報制御装置29から出力される車両情報信号39aはデータ記録処理部18へ入力される。軌道側輪重・横圧測定装置20のデータ伝送処理部25から出力される軌道側データ伝送信号45aと状態監視装置70のデータ伝送処理部19から出力される車上側データ伝送信号81aは地上側状態監視装置71のデータ伝送処理部72へ入力される。データ伝送処理部72から出力される各種データ伝送信号82aと評価処理部77から出力される輪重・横圧推定信号87aはデータ記録処理部73へ入力される。データ記録処理部73から出力される各種データ伝送信号83aはデータ管理処理部74へ入力される。データ管理処理部74から出力される推定パラメータ更新信号84aは推定パラメータ演算・更新処理部75へ入力される。推定パラメータ演算・更新処理部75から出力される推定パラメータ信号85aは輪重・横圧推定処理部76へ入力される。輪重・横圧推定処理部76から出力される輪重・横圧推定信号86aは評価処理部77へ入力される。評価処理部77から出力される輪重・横圧推定信号87aはデータ記録処理部73へ入力され、判定処理結果信号88aが出力される。なお、判定処理結果信号88aは、リアルタイム監視では発見できない長期的な安全性評価の経時変化に活用し、車両異常などの予兆検知などに適用する。また、実施例1のシステム構成と組み合わせて、車上側と地上側でそれぞれ輪重と横圧を状態監視できるようなシステム構成としても良い。
次に、図8を用いて図2の状態監視装置の状態監視フロー図に対する変更点について説明する。図8は、実施例2における状態監視システムの輪重・横圧推定処理を説明するためのフローチャートである。図8において、まず、図2の各種センサ信号、車両情報の管理処理S181が各種センサ信号、車両情報の取得処理S101の後に追加され、各種センサ信号、車両情報の管理処理S181の後に、推定パラメータ更新判定処理S107を実行する。また、図2の判定処理S104が評価処理S180に置き換わり、アラーム判定処理S109とアラーム処理S105が除外されている。図8の状態監視システムでは、地上側にデータを集約し、輪重・横圧推定を実施するため、管理処理S181は軌道側輪重・横圧測定装置20による輪重・横圧測定結果と大量の車両で記録される各センサ信号を各車両と各地点に設置された軌道側輪重・横圧測定装置20の組合せで管理する。
本実施例によれば、車両が軌道側に設置した輪重・横圧測定装置を通過する際に測定した輪重・横圧測定結果と車両側で取得される推定用のセンサ信号を地上側で一括管理し、適宜推定パラメータを演算・更新処理分析することで、持続的に精度の高い輪重・横圧を推定評価する状態監視装置を提供し、営業車両オペレーション時の車両走行安全性およびインフラの劣化状態に係る異常や故障などの予兆を検知することが可能となる。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、上記の各構成、機能等は、それらの一部又は全部を、例えば、集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に記録して置くことができる。
1 レール、2 先頭車両、3 車体、4 運転士、5 運転台、6 空気ばね、7 台車、8 台車枠、9 車輪、10 状態監視装置、11 軸箱振動加速度センサ、12 車体振動加速度センサ、13 センサ信号検出処理部、14 推定パラメータ演算・更新処理部、15 輪重・横圧推定処理部、16 判定処理部、17 アラーム処理部、18 データ記録処理部、19 データ伝送処理部、20 軌道側輪重・横圧測定装置、21 ひずみゲージ、22 センサ信号検出処理部、23 輪重・横圧変換処理部、24 データ記録処理部、25 データ伝送処理部、26 推定パラメータ導出範囲選定部、27 輪軸、29 車両情報制御装置、30a 軸箱振動加速度センサ信号、31a 車体振動加速度センサ信号、32a 各種電圧信号、33a 推定パラメータ信号、34a 輪重・横圧推定信号、35a 判定処理結果信号、36a アラーム信号、37a 軌道側データ伝送信号、39a 車両情報信号、41a レールひずみセンサ信号、42a 各種電圧信号、43a 軌道側輪重・横圧測定信号、44a 伝送用軌道側輪重・横圧測定信号、45a 軌道側データ伝送信号、46a 選定処理結果信号、50 プロセッサ、51 CPU、52 バス、53 ROM、54 RAM、55 カードコネクタ、56 インターフェース、57 メモリーカード、58 表示部、59 スイッチ、60 設定部、61 振動加速度センサ一式、62 軌道側伝送データ情報、500 輪重、501 横圧

Claims (10)

  1. 車両に搭載されて少なくとも振動加速度を検出する車上側センサと、
    軌道側に配置された軌道側センサの検出出力を基に前記車両がレールを通過した時点の輪重・押圧を測定する軌道側輪重・横圧測定装置と、
    前記車上側センサの出力信号と前記軌道側輪重・横圧測定装置の測定結果を取り込み、前記車両の状態を監視する状態監視装置とを備え、
    前記状態監視装置は、
    前記車上側センサの出力信号と前記軌道側輪重・横圧測定装置の測定結果を基に前記車上側センサの出力信号に対する前記軌道側輪重・横圧測定装置の測定結果の伝達特性を周波数帯域の伝達特性として演算する演算処理部と、
    前記演算処理部の演算結果を基に前記車両の各車輪と前記レールの間で発生する輪重と横圧を推定する推定処理部とを有することを特徴とする鉄道車両の状態監視システム。
  2. 請求項1に記載の鉄道車両の状態監視システムにおいて、
    前記推定処理部は、
    前記推定した輪重と横圧を基に脱線係数と輪軸横圧を推定することを特徴とする鉄道車両の状態監視システム。
  3. 請求項1に記載の鉄道車両の状態監視システムにおいて、
    前記演算処理部は、
    前記周波数帯域の伝達特性の演算に用いる輪重・横圧推定パラメータが更新条件を満たした場合、前記輪重・横圧推定パラメータを更新することを特徴とする鉄道車両の状態監視システム。
  4. 請求項1に記載の鉄道車両の状態監視システムにおいて、
    前記演算処理部は、
    前記周波数帯域の伝達特性を演算する際に、前記軌道側輪重・横圧測定装置の測定結果のうち閾値を超えた測定結果と、当該測定結果が得られた時点に記録された前記車上側センサの出力信号を用いることを特徴とする鉄道車両の状態監視システム。
  5. 請求項1に記載の鉄道車両の状態監視システムにおいて、
    前記軌道側輪重・横圧測定装置は
    営業路線、或いは、車両基地内の直線軌道、或いは、曲線軌道に少なくとも1つ以上設置されていることを特徴とする鉄道車両の状態監視システム。
  6. 請求項1〜5のうちいずれか1項に記載の鉄道車両の状態監視システムにおいて、
    前記車上側センサは、
    前記車両の車体と、台車の軸箱と、台車枠のいずれかに設置される振動加速度センサ、或いは、ひずみセンサ、前記車体と前記台車のサスペンションの変位センサ、圧力センサ、前記車体と前記台車の相対変位を測る変位センサであり、
    前記軌道側センサは、
    前記レールに設置された加速度センサ、或いは、ひずみセンサであることを特徴とする鉄道車両の状態監視システム。
  7. 請求項1〜6のうちいずれか1項に記載の鉄道車両の状態監視システムにおいて、
    前記車両に搭載された車両情報制御装置から車両情報を取り込み、前記車上側センサの出力信号と併せて、前記車両情報として、前記車両の走行中の速度、位置、日時、運転方法、乗車状況、各機器稼働状況を記録する記録処理部を更に有することを特徴とする鉄道車両の状態監視システム。
  8. 請求項に記載の鉄道車両の状態監視システムにおいて、
    前記演算処理部は、
    前記車両の走行期間、前記車両の走行距離、或いは、前記車両の車両保守タイミングが前記更新条件を満たした場合、前記輪重・横圧推定パラメータを更新することを特徴とする鉄道車両の状態監視システム。
  9. 請求項8に記載の鉄道車両の状態監視システムにおいて、
    前記演算処理部は、
    前記周波数帯域の伝達特性の誤差率、前記周波数帯域における面積比率、輪重・横圧推定結果の2乗平均平方根値或いは最大値の中から前記輪重・横圧推定パラメータを選択することを特徴とする鉄道車両の状態監視システム。
  10. 請求項1に記載の鉄道車両の状態監視システムにおいて、
    前記状態監視装置は、
    車上側又は地上側のうち少なくとも一方に配置されることを特徴とする鉄道車両の状態監視システム。
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