駐車場混雑度推定システムのブロック図である。
図2A〜図2Cは駐車場の平面図、図2Dは混雑度のグラフである。
図3Aはプローブ情報送信処理のフローチャート、図3Bは駐車場混雑度推定処理のフローチャート、図3Cは傾向判別処理のフローチャートである。
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)駐車場混雑度推定システムの構成:
(2)プローブ情報送信処理:
(3)駐車場混雑度推定処理:
(4)傾向判別処理:
(5)他の実施形態:
(1)駐車場混雑度推定システムの構成:
図1は、本発明の一実施形態にかかる駐車場混雑度推定システムとしての駐車場混雑度推定サーバ110の構成を示すブロック図である。駐車場混雑度推定サーバ110は、多数の車両(プローブカー)のそれぞれに搭載されたナビゲーション装置10と無線通信を行うコンピュータである。
まず、ナビゲーション装置10の構成について説明する。ナビゲーション装置10は、CPU(Central Processing Unit),RAM(Random Access Memory),ROM(Random Access Read Only Memory)等を備える制御部20と記録媒体30とを備えており制御部20は記録媒体30やROMに記憶されたナビゲーションプログラム21を実行する。
ナビゲーション装置10の記録媒体30には、地図情報30aが記録されている。地図情報30aには、車両が走行する道路上に設定されたノードの位置等を示すノードデータ、ノード間を接続する道路区間の形状を特定するための形状補間点の位置等を示す形状補間データ、道路区間についての各種情報を示すリンクデータ、各駐車場についての駐車場情報等が含まれている。駐車場情報は、少なくとも駐車場の形状(敷地,駐車枠)を示す位置情報と、駐車場の混雑度(空き、混雑、満車のいずれか)を示す混雑度情報とを含んでいる。ナビゲーションプログラム21の機能により制御部20は、混雑度が空きまたは混雑となっている駐車場を目的地とする走行予定経路を公知の経路探索手法によって探索し、当該走行予定経路を図示しない出力装置(ディスプレイ,スピーカ等)にて案内する。また、制御部20は、走行予定経路の案内中に目的地の駐車場が満車となった場合に、混雑度が空きまたは混雑となっている他の駐車場を目的地とする走行予定経路を再度探索する。
車両は、位置センサ41とランプ制御部42と通信部43とを備えている。位置センサ41は、GPS受信部や車速センサやジャイロセンサやカメラ等を含み、これらから出力された信号に基づいて制御部20は車両の現在地を取得する。また、制御部20は、位置センサから得られた車両の航行軌跡と地図情報30aとを用いてマップマッチングを行うことにより現在地を補正する。なお、位置センサ41には車両の外部を撮像するカメラが含まれ、制御部20は、当該カメラによって撮像された風景画像を画像認識処理することにより、車両が駐車場に設けられた駐車枠内に存在しているか否かを判定する。例えば、制御部20は、駐車場枠を区画する2本の平行な白線が左右側方のそれぞれにおいて車両付近にて認識された場合に、車両が駐車場に設けられた駐車枠内に存在していると判定してもよい。
ランプ制御部42は、車両の左右に備えられた方向指示ランプ(不図示)を点灯制御するための回路である。左右の方向指示ランプを同時に点滅させることは、ハザードランプを点灯させることを意味する。ランプ制御部42は、ハザードランプを点灯させているか否かを示す信号を制御部20に出力する。通信部43は、駐車場混雑度推定サーバ110と無線通信を行うための無線通信回路である。通信部43は、ナビゲーション装置10と近距離無線通信または有線通信を行うとともに、携帯電話通信網を介して駐車場混雑度推定サーバ110と遠距離無線通信を行うスマートフォン等の携帯端末であってもよい。
ナビゲーションプログラム21は、プローブ情報送信モジュール21aを含む。プローブ情報送信モジュール21aの機能により制御部20は、駐車が完了したと判定した場合にプローブ情報を駐車場混雑度推定サーバ110に送信する。制御部20は、駐車場の駐車枠内にて駐車行動が行われた場合に、駐車が完了したと判定する。制御部20は、カメラが撮像した風景画像の画像認識処理によって車両が駐車枠内に存在しているか否かを判定する。むろん、制御部20は、地図情報30aの駐車情報が示す駐車枠の位置と現在地との比較に基づいて車両が駐車枠内に存在しているか否かを判定してもよい。駐車行動とは、車両が駐車枠内に存在している状態で、エンジンが停止することであってもよいし、電気自動車の駆動モータの電源がOFFとなることであってもよいし、運転席から運転者が離席することであってもよい。
制御部20は、駐車が完了したと判定した場合、車両IDと駐車場IDと滞在期間とハザードランプの点灯期間と駐車場内軌跡とを示すプローブ情報を駐車場混雑度推定サーバ110に送信する。車両IDは、各車両に固有の情報であり、プローブ情報を送信した車両を識別する識別情報である。駐車場IDとは、各駐車場に固有の情報であり、車両が駐車している駐車場を識別する識別情報である。滞在期間とは、駐車している駐車場に車両が進入した時刻から駐車が完了した時刻までの期間である。ハザードランプの点灯期間とは、ハザードランプの点灯が開始してから終了するまでの期間である。また、プローブ情報は、各期間の長さだけでなく開始時刻と終了時刻も示す。駐車場内軌跡とは、駐車場内における車両の現在地の軌跡であり、滞在期間中の各時刻における車両の位置を示す。車速は、駐車場内軌跡から導出されてもよいし、車速センサ(位置センサ41)の計測結果から得られてもよい。
次に、駐車場混雑度推定サーバ110の構成について説明する。駐車場混雑度推定サーバ110は、CPU,RAM,ROM等を備える制御部120と記録媒体130と通信部143とを備えており、記録媒体130やROMに記憶されたプログラムを制御部120が実行する。通信部143は、車両(通信部43)と無線通信を行うための無線通信回路である。制御部120は、駐車場混雑度推定プログラム121を実行する。記録媒体130は、ナビゲーション装置10の地図情報30aと同様の地図情報130aを記録している。記録媒体130は、履歴情報130bを記録している。履歴情報130bは、上述したプローブ情報を蓄積したデータベースである。
駐車場混雑度推定プログラム121は、出庫待車両検出モジュール121aと混雑度推定モジュール121bとを含む。出庫待車両検出モジュール121aと混雑度推定モジュール121bとを実行する制御部120は、出庫待車両検出部と混雑度推定部とを構成する。
出庫待車両検出モジュール121aは、駐車場敷地内において駐車するために、ハザードランプを点灯させて出庫待行動をとった車両を検出する機能を制御部120に実現させる。出庫待車両検出モジュール121aの機能により制御部120は、各車両から送信されたプローブ情報を取得し、当該プローブ情報を解析することにより出庫待行動をとった車両を検出する。
ここで、出庫待行動をとった車両とは、ハザードランプが点灯した状態で停車した期間が第1基準期間以上となった車両である(第1条件)。さらに、出庫待行動をとった車両とは、ハザードランプが点灯した状態で停車した期間の終了後、第2基準期間以内に駐車を行った車両である(第2条件)。また、ハザードランプが点灯した状態で停車した地点から基準距離以内の地点にて駐車を行った車両である(第3条件)。本実施形態において、制御部120は、第1条件を満足し、かつ、第2条件と第3条件の少なくとも一方を満足する車両が出庫待行動をとった車両であると判定する。ただし、制御部20は、第1〜第3条件のすべてを満足する車両や、第1条件のみを満足する車両を、出庫待行動をとった車両であると判定してもよい。
具体的に、制御部120は、駐車場にて駐車が完了した車両から送信されたプローブ情報に基づいて、ハザードランプの点灯期間と停車期間とを取得する。停車期間とは、滞在期間中において車速が0近傍の範囲内(例えば絶対値が1km/時以下)となった期間であり、プローブ情報が示す駐車場内軌跡から導出できる。制御部120は、ハザードランプの点灯期間と停車期間との間で共通する共通期間の長さが第1基準期間(例えば3分)以上である場合に、第1条件を満足すると判定する。また、制御部120は、ハザードランプの点灯期間と停車期間との共通期間の終了時刻と、駐車時刻との差が第2基準期間(例えば1分)以下である場合に、第2条件を満足すると判定する。駐車時刻とは、駐車が完了した時刻であり、かつ、滞在期間の終了時刻である。
さらに、制御部120は、ハザードランプの点灯期間と停車期間との共通期間の終了時刻から駐車時刻までの間に移動した車両の移動距離を取得し、当該移動距離が基準距離(例えば30m)以下である場合に、第2条件を満足すると判定する。車両の移動距離は、共通期間の終了時刻における現在地から駐車時刻における現在地までの直線距離であってもよいし、共通期間の終了時刻から駐車時刻における現在地の軌跡(駐車場内軌跡の一部)の長さであってもよい。
ここで、第1〜3条件は、駐車をした車両が、駐車を行う前にとった行動についての条件である。プローブ情報は駐車場敷地内にて車両が駐車をするごとに送信されるが、制御部120は、車両が出庫待行動を行った上で車両が駐車を行った否かをプローブ情報ごとに判定できる。制御部120は、出庫待行動をとったか否かを示す情報を対応付けてプローブ情報を履歴情報130bに蓄積する。なお、出庫待行動をとったか否かの判定がナビゲーション装置10において行われてもよく、出庫待行動をとったか否かを示す情報を含んだプローブ情報が駐車場混雑度推定サーバ110に送信されてもよい。
混雑度推定モジュール121bは、出庫待行動をとった車両の検出結果に基づいて駐車場の混雑度を推定する機能を制御部120に実現させる。具体的に、混雑度推定モジュール121bの機能により制御部120は、履歴情報130bに蓄積されたプローブ情報のうち、駐車時刻が、混雑度を推定する対象の対象期間内の時刻となっているプローブ情報を駐車場ごとに抽出する。本実施形態において、対象期間は、現在時刻の直前期間(例えば30分間)であることとする。すなわち、制御部120は、直前期間において駐車場敷地内にて駐車した車両を抽出する。
さらに、混雑度推定モジュール121bの機能により制御部120は、駐車場敷地内に存在した車両のなかから、出庫待行動をとる傾向を有する車両(以下、評価車両)を抽出する。ここで、評価車両とは、過去において出庫待行動をとった回数または確率が判定値以上である車両である。すなわち、制御部120は、直前期間において駐車場敷地内にて駐車した車両のそれぞれについて、当該車両が過去に送信したプローブ情報(駐車場の混雑度が混雑または満車時に限る)を取得し、当該プローブ情報のうち出庫待行動とったことを示す情報が対応付けられたプローブ情報の個数または割合が予め判定値(例えば10個または70%)以上である場合に、当該車両が出庫待行動をとる傾向を有する評価車両であると判定する。なお、制御部120は、評価車両であるか否かを全車両について予め判別しておき、評価車両に該当するか否かを全車両について示す傾向データが履歴情報130bに含まれる。
混雑度推定モジュール121bの機能により制御部120は、駐車場敷地内に存在した車両のなかから、出庫待行動をとる傾向を有する車両を抽出し、当該抽出した車両の台数のうち出庫待行動をとった車両の台数の割合に基づいて駐車場の混雑度を推定する。すなわち、制御部120は、直前期間において駐車場敷地内にて駐車した車両のうち出庫待行動をとる傾向を有する評価車両を傾向データに基づいて抽出し、さらに当該抽出した評価車両のうち直前期間において実際に出庫待行動をとった車両である出庫待車両を抽出する。そして、制御部120は、評価車両の台数に対する出庫待車両の台数の割合である待機割合を算出する。
また、混雑度推定モジュール121bの機能により制御部120は、駐車していない車両の駐車場敷地内における滞在期間が第3基準期間以上である場合に駐車場の混雑度が混雑であると推定し、駐車場の混雑度が混雑である場合において、かつ、出庫待行動をとった車両の台数の割合(待機割合)が閾値以上である場合に駐車場の混雑度が満車であると推定する。具体的に、制御部120は、直前期間において駐車場敷地内にて駐車した車両のそれぞれが送信したプローブ情報に基づいて滞在期間を取得し、当該滞在期間の平均値が第3基準期間(例えば5分)以上であるか否かを判定する。
制御部120は、滞在期間の平均値が第3基準期間未満である場合、駐車場の混雑度を空きと判定する。また、制御部120は、滞在期間の平均値が第3基準期間以上であり、かつ、待機割合が閾値未満である場合、駐車場の混雑度を混雑と判定する。また、制御部120は、滞在期間の平均値が第3基準期間以上であり、かつ、待機割合が閾値以上である場合、駐車場の混雑度を満車と判定する。閾値(例えば5%)は、予め決められた値である。なお、満車の場合に混雑度が最も大きく、空きの場合に混雑度が最も小さい。混雑度推定モジュール121bの機能により制御部120は、推定した混雑度で地図情報130aの駐車場情報を更新する。また、制御部120は、推定した混雑度を示す情報を車両に送信してもよい。これにより、車両のナビゲーション装置10は推定した混雑度を考慮して走行予定経路を探索することができる。むろん、更新後の混雑度を考慮して駐車場混雑度推定サーバ110が走行予定経路を探索し、当該走行予定経路を車両に送信してもよい。
以上説明した本実施形態において、実際に出庫待行動をとる車両が、ある程度出現したことをもって、出庫待ちをしなければいけない程度に駐車場が混雑しているか否かを推定できる。当該推定の結果を出力することで、ユーザは、単に駐車場が混雑しているか否かだけでなく、出庫待ちをしなければいけない程度に駐車場が混雑しているか否を認識できる。また、ハザードランプを点灯させた場合に出庫待行動をとった車両と見なすため、単に停車しただけの車両が出現したことをもって出庫待ちをしなければいけない程度に混雑していると誤って推定する可能性を低減できる。
ここで、駐車場が満車である場合に、駐車場内を巡回しながら空車枠を探すのを諦めて出庫待行動をとると考えられるため、出庫待行動をとった車両の台数または当該車両の割合に基づいて精度よく駐車場の混雑度が満車であると推定できる。また、ある程度駐車場が混雑している場合に、出庫待行動をとった車両の検出結果に基づいて駐車場の混雑度を推定するため、空いている状態等においてたまたまハザードランプを点灯したに過ぎない車両が出現した場合に混雑度が満車であると誤って推定する可能性を低減できる。
図2A〜図2Cはそれぞれ駐車場Pの混雑度が空き、混雑、満車の状態を示す平面図である。図2A〜図2Cにおいて、駐車場Pは、道路Rから進入可能であり、複数の駐車枠fが設けられている。駐車枠fのうち、ハッチングがないものは空車枠であり、ハッチングがあるものは他の車両が駐車している駐車枠である。図2Aのように、空車枠が多い場合、駐車していない車両aは早期に空車枠を発見できるため、駐車場敷地内における滞在期間は短くなる。一方、図2B,図2Cのように、空車枠が少ない場合、駐車していない車両aは早期に空車枠を発見できなくなる、駐車場敷地内における滞在期間は長くなる。
図2Dは、滞在期間と混雑度の関係を示すグラフである。図2Dの横軸は駐車場の混雑度(駐車場敷地内の車両の台数)を示し、左側の縦軸は滞在期間を示し、右側の縦軸は待機割合を示す。駐車場敷地内の車両の台数が増加するほど、徐々に空車枠が埋まっていくため、図2Dにて実線で示すように滞在期間が徐々に長くなっていく。図2Bのように、混雑はしているが空車枠が残っている場合、多くの車両aが駐車場Pを巡回して空車枠を探すため、出庫待ち行動を行う出庫待車両が出現する可能性は小さい。従って、図2Dにて破線で示すように、空車枠が残っている状態では、待機割合はほぼ0のまま維持される。ところが、図2Cに示すように、空車枠が0となり満車となった場合には、空車枠がないことを運転者が認識するため、出庫待車両bが出現することとなる。そのため、急激に待機割合が増加し始める。従って、待機割合の0付近に閾値を設けることにより、精度よく駐車場Pの混雑度が満車か否かを推定できる。
また、制御部120は、駐車場敷地内に存在した車両のなかから、出庫待行動をとる傾向を有する車両を抽出し、当該抽出した車両の台数のうち出庫待行動をとった車両の台数の割合に基づいて駐車場Pの混雑度を推定する。ここで、駐車場敷地内において出庫待ちを行う際にハザードランプを点灯させる傾向を有する運転者もいるが、ハザードランプを点灯させない傾向を有する運転者もいる。このようにハザードランプを点灯させない傾向を有する運転者が運転する車両を、出庫待行動をとった車両の台数の割合の算出に考慮しないようにすることにより、出庫待行動をとった車両の台数の割合に基づいて駐車場Pの混雑度を精度よく推定できる。さらに、混雑度を推定するために各車両が出庫待行動をとったか否かを示す情報(プローブ情報等)を取得するため、過去におけるプローブ情報に基づいて出庫待行動をとる傾向を有するか否かを判定できる。
また、出庫待行動をとった車両とは、ハザードランプが点灯した状態で停車した期間が第1基準期間以上となった車両である。すなわち、ある程度の期間にわたって停車が継続したことをもって出庫待行動をとったと判定できる。突発的な要因等でハザードランプが点灯した状態で短期間だけ停車しに過ぎない車両を、出庫待行動をとった車両から除外できる。また、空車枠を発見した運転者が当該空車枠に駐車する意思を他車両の運転者に示すためにハザードランプを一時的に点灯させたに過ぎない車両を、出庫待行動をとった車両から除外できる。
さらに、出庫待行動をとった車両とは、ハザードランプが点灯した状態で停車した期間の終了後、第2基準期間以内に駐車を行った車両である。すなわち、停車した直後に駐車が行われたことをもって当該停車が出庫待行動であったと判定できる。停車した直後に実際に駐車しなかった場合には、別の目的でハザードランプが点灯した状態で停車していたに過ぎない可能性がある。また、出庫待行動をとった車両とは、ハザードランプが点灯した状態で停車した地点から基準距離以内の地点にて駐車を行った車両である。すなわち、停車した地点の付近で駐車が行われたことをもって当該停車が出庫待行動であったと判定できる。停車した地点の付近にて実際に駐車しなかった場合には、別の目的でハザードランプが点灯した状態で停車していたに過ぎない可能性がある。以上のように別の目的でハザードランプが点灯した状態で停車した車両を、出庫待行動をとった車両から除外できる。
(2)プローブ情報送信処理:
次に、ナビゲーションプログラム21によってナビゲーション装置10が実行するプローブ情報送信処理を説明する。図3Aは、プローブ情報送信処理のフローチャートである。まず、プローブ情報送信モジュール21aの機能により制御部20は、車両が駐車場敷地内に進入したか否かを判定する(ステップS100)。すなわち、制御部20は、車両の現在地が地図情報30aの駐車情報が示す駐車場の敷地内に存在することとなったか否かを判定する。なお、車両に備えられたカメラが撮像した風景画像の画像認識処理によって車両が駐車場敷地内に進入したか否かが判定されてもよい。
次に、プローブ情報送信モジュール21aの機能により制御部20は、滞在期間の計測を開始する(ステップS110)。すなわち、ステップS100の直後において、制御部20は、車両が駐車場敷地内にて滞在している期間である滞在期間の計測を開始する。次に、プローブ情報送信モジュール21aの機能により制御部20は、車両の状態を監視する(ステップS120)。すなわち、制御部20は、滞在期間において、プローブ情報の作成に必要な車両の情報の監視を行う。具体的に、制御部20は、滞在期間の各時刻における現在地(駐車場内軌跡)とハザードランプの点灯有無とを監視する。
次に、プローブ情報送信モジュール21aの機能により制御部20は、駐車が完了したか否かを判定する(ステップS130)。具体的に、制御部20は、駐車場の駐車枠内にて駐車行動が行われた場合に、駐車が完了したと判定する。駐車行動とは、エンジンが停止すること等である。
駐車が完了したと判定しなかった場合(ステップS130:N)、プローブ情報送信モジュール21aの機能により制御部20は、ステップS120に戻って引き続き車両の状態を監視する。一方、駐車が行われたと判定した場合(ステップS130:Y)、プローブ情報送信モジュール21aの機能により制御部20は、滞在期間とハザードランプの点灯期間と駐車場内軌跡と駐車時刻とを確定する(ステップS140)。駐車時刻は、滞在期間の終了時刻を意味し、駐車場内軌跡は滞在期間内における車両の現在位置の軌跡を意味する。
次に、プローブ情報送信モジュール21aの機能により制御部20は、プローブ情報を送信する(ステップS150)。すなわち、制御部20は、車両IDと駐車場IDと滞在期間とハザードランプの点灯期間と駐車場内軌跡を示すプローブ情報を駐車場混雑度推定サーバ110に送信する。
(3)駐車場混雑度推定処理:
次に、駐車場混雑度推定プログラム121によって駐車場混雑度推定サーバ110が実行する駐車場混雑度推定処理を説明する。図3Bは、駐車場混雑度推定処理のフローチャートである。駐車場混雑度推定処理を実行するにあたり、混雑度を推定する対象の駐車場が設定されていることとする。
まず、混雑度推定モジュール121bの機能により制御部120は、平均の滞在期間が第3基準期間以上であるか否かを判定する(ステップS200)。具体的に、制御部120は、履歴情報130bに蓄積されているプローブ情報のなかから、混雑度を推定する対象の駐車場において現在時刻の直前期間(例えば30分間)に駐車が完了したことを示すプローブ情報を抽出する。そして、制御部20は、抽出したプローブ情報が示す滞在期間の平均値が予め決められた第3基準期間(例えば5分)以上であるか否かを判定する。
平均の滞在期間が第3基準期間以上であると判定しなかった場合(ステップS200:N)、混雑度推定モジュール121bの機能により制御部120は、混雑度が空きであると推定する(ステップS210)。すなわち、図2Aのように、駐車場Pに進入した車両aが早期に空車枠を見つけることができる状況であるため、制御部120は、混雑度が空きであると推定する。
平均の滞在期間が第3基準期間以上であると判定した場合(ステップS200:Y)、混雑度推定モジュール121bの機能により制御部120は、待機割合が閾値以上であるか否かを判定する(ステップS220)。具体的に、制御部120は、混雑度を推定する対象の駐車場において現在時刻の直前期間に駐車したことを示すプローブ情報のなかから、出庫待行動をとる傾向を有する車両である評価車両から送信されたプローブ情報を抽出する。そして、制御部120は、当該評価車両の台数である評価台数を取得する。ここで、評価車両とは、出庫待行動をとる傾向を有する車両であり、具体的に過去に送信したプローブ情報のうち出庫待行動とったことを示す情報が対応付けられたプローブ情報の個数または割合が予め判定値(例えば10個または70%)以上である車両である。
制御部20は、直前期間において評価車両から送信されたプローブ情報を抽出すると、当該プローブ情報のうち出庫待行動をとったことを示すプローブ情報を抽出し、さらに出庫待行動をとったことを示すプローブ情報の個数を、出庫待行動をとった車両である出庫待車両の台数として取得する。そして、制御部20は、出庫待車両の台数を評価車両の台数で除算することにより、待機割合を算出する。ここで、出庫待行動をとった車両とは、上述した第1条件を満足し、かつ、第2条件と第3条件の少なくとも一方を満足する車両が出庫待行動をとった車両である。
待機割合が閾値以上であると判定した場合(ステップS220:Y)、混雑度推定モジュール121bの機能により制御部120は、混雑度を満車と推定する(ステップS230)。すなわち、図2Cのように、駐車場Pに進入した車両aの運転者が満車であることを認識した上で出庫待行動をとり始め、出庫待車両bが出現している状況であるため、制御部120は、混雑度が満車であると推定する。
一方、待機割合が閾値以上であると判定しなかった場合(ステップS220:N)、混雑度推定モジュール121bの機能により制御部120は、混雑度を混雑と推定する(ステップS240)。すなわち、図2Bのように、駐車場Pに進入した車両aの運転者が早期に空車枠を見つけることができないが、運転者が満車であることを認識しておらず出庫待行動をとるに至っていない状況であるため、制御部120は、満車までは至らず単に混雑しているものと推定する。以上のように、混雑度を推定すると、制御部120は、新たに推定した結果で地図情報30a,130aにおける駐車場の混雑度を更新する(ステップS250)。
(4)傾向判別処理:
図3Cは、傾向判別処理のフローチャートである。傾向判別処理は、全車両のそれぞれについて出庫待行動をとる傾向を有するか否かを判別し、その判別結果を履歴情報130bの傾向データに登録する処理である。傾向判別処理は、例えば予め決められた時間周期(例えば1週間)ごとに実行される処理である。
まず、制御部20は、車両ごとに過去N月(例えばN=6)の混雑または満車時のプローブ情報を抽出する(ステップS300)。混雑または満車時のプローブ情報とは、プローブ情報の送信時(駐車時刻)における駐車場の混雑度が混雑または満車であったプローブ情報であり、送信時における駐車場の平均の滞在期間が第3基準期間以上であったプローブ情報である。
次に、制御部20は、出庫待行動をとった割合が判定値(例えば70%)以上であるか否かを判定する(ステップS310)。すなわち、制御部20は、ステップS300にて抽出したプローブ情報のうち出庫待行動をとったと判断されるものの個数を、当該抽出したプローブ情報の全個数で除算した割合が判定値以上であるか否かを、車両ごとに判定する。出庫待行動をとった割合が判定値以上であると判定された車両については(ステップS310:Y)、制御部20は、出庫待行動をとる傾向を有する車両であるとして傾向データに登録する(ステップS320)。一方、出庫待行動をとった割合が判定値以上であると判定されなかった車両については(ステップS310:N)、制御部20は、出庫待行動をとる傾向を有さない車両であるとして傾向データに登録する(ステップS330)。
以上説明した傾向判別処理によって傾向データを用意しておくことにより、駐車場混雑度推定処理の際に、各車両が出庫待行動をとる傾向を有するか否かを判定できるようになる。むろん、駐車場混雑度推定処理の際に、プローブ情報を送信した車両を対象に傾向判別処理が行われてもよい。駐車場の混雑度が混雑または満車であったプローブ情報を対象に各車両が出庫待行動をとる傾向を有するか否かを判定するため、混雑度が混雑または満車であった際の車両の傾向を把握できる。そのため、混雑度が混雑または満車であった際に実行される駐車場混雑度推定処理のステップS220において、適切な待機割合を算出できる。また、制御部20は、出庫待行動をとった回数が判定値(10回)以上であると判定された車両について出庫待行動をとる傾向を有する車両であるとして傾向データに登録してもよい。
(5)他の実施形態:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、本発明の効果を損なわない範囲で実施形態の変更が可能である。例えば、出庫待行動をとる傾向を有する車両は、過去において出庫待行動をとった回数または確率が判定値以上である車両でなくてもよい。例えば、制御部120は、車両の乗員数や運転者の情報に基づいて出庫待行動をとる傾向を有する車両か否かを判定してもよい。さらに、そもそも制御部120は、出庫待行動をとる傾向を有するか否かに拘わらず、直前期間に駐車を完了したすべての車両を対象として待機割合を算出してもよい。
前記実施形態では、出庫待行動をとった車両として、実際に駐車が完了した車両を検出したが、実際には駐車を断念した車両の台数も考慮してもよい。例えば、制御部120は、出庫待行動をとったが駐車が完了することなく駐車場から退出した車両の台数が大きいほど混雑度が大きいと推定してもよい。この場合、出庫待行動をとっても駐車が困難となる程度に駐車場が混雑していると判断できる。
さらに、前記実施形態においては、滞在期間を考慮して混雑度が推定されたが、必ずしも滞在期間を考慮して混雑度が推定されなくてもよい。すなわち、制御部120は、待機割合のみに基づいて混雑度を推定してもよく、単に駐車場が満車であるか否かのみを判定してもよい。さらに、制御部120は、待機割合ではなく、出庫待車両の台数が閾値以上であるか否かに応じて駐車場の混雑度を推定してもよい。
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、他にも種々の実施形態を採用可能である。出庫待車両検出部は、出庫待行動をとった車両を検出するセンサを含んでいてもよいし、当該センサの検出結果を示す情報(プローブ情報等)を通信等を介して取得することによって出庫待行動をとった車両を検出してもよい。ハザードランプとは、車両が停車中であることを周囲の車両に伝達するランプであるが、必ずしも左右の方向指示器を同時に点滅させることでなくてもよい。例えば、ハザードランプとは、停止中という文字を示すランプであってもよい。さらに、出庫待車両検出部は、センサによって出庫待行動をとったか否かを検出しなくてもよく、ユーザの操作によって出庫待行動をとったか否かを検出してもよい。例えば、出庫待車両検出部は、ハザードランプを点灯させて出庫待行動をとった場合にユーザから特定の操作を受け付けるようにしてもよい。
混雑度推定部は、出庫待行動をとった車両の検出結果に基づいて混雑度を推定すればよく、出庫待行動をとった車両の台数や割合を詳細に表す数値を混雑度として推定してもよいし、例えば3〜5段階程度に区分された混雑度を推定してもよい。また、混雑度推定部が推定した混雑度は、ユーザに出力されてもよいし、経路の探索に利用されてもよい。例えば、混雑度に応じて選択された駐車場を目的地とする経路がユーザに案内されてもよい。
また、混雑度推定部は、駐車場敷地内に存在した車両のなかから、出庫待行動をとる傾向を有する車両を抽出し、当該抽出した車両の台数のうち出庫待行動をとった車両の台数の割合に基づいて駐車場の混雑度を推定してもよい。ここで、駐車場敷地内において出庫待ちを行う際にハザードランプを点灯させる傾向を有する運転者もいるが、ハザードランプを点灯させない傾向を有する運転者もいる。このようにハザードランプを点灯させない傾向を有する運転者が運転する車両を、出庫待行動をとった車両の台数の割合の算出に考慮しないようにすることにより、出庫待行動をとった車両の台数の割合に基づいて駐車場の混雑度を精度よく推定できる。
さらに、出庫待行動をとる傾向を有する車両とは、過去において出庫待行動をとった回数または確率が判定値以上である車両であってもよい。混雑度を推定するために各車両が出庫待行動をとったか否かを示す情報(プローブ情報等)を取得すれば、過去におけるプローブ情報に基づいて出庫待行動をとる傾向を有するか否かを判定できる。
また、出庫待行動をとった車両とは、ハザードランプが点灯した状態で停車した期間が第1基準期間以上となった車両であってもよい。すなわち、ある程度の期間にわたって停車が継続したことをもって出庫待行動をとったと判定できる。突発的な要因等でハザードランプが点灯した状態で短期間だけ停車しに過ぎない車両を、出庫待行動をとった車両から除外できる。また、空車枠を発見した運転者が当該空車枠に駐車する意思を他車両の運転者に示すためにハザードランプを一時的に点灯させたに過ぎない車両を、出庫待行動をとった車両から除外できる。第1基準期間は、予め決められた固定の期間であってもよいし、例えば駐車場形状や過去における運転者のハザードランプの点灯履歴等に応じて動的に設定される期間であってもよい。
さらに、出庫待行動をとった車両とは、ハザードランプが点灯した状態で停車した期間の終了後、第2基準期間以内に駐車を行った車両であってもよい。すなわち、停車した直後に駐車が行われたことをもって当該停車が出庫待行動であったと判定できる。停車した直後に実際に駐車しなかった場合には、別の目的でハザードランプが点灯した状態で停車していたに過ぎない可能性がある。このように別の目的でハザードランプが点灯した状態で停車した車両を、出庫待行動をとった車両から除外できる。駐車が行われるとは、駐車場内に設けられた駐車枠内にて停車することであってもよいし、駐車場敷地内においてエンジンが停止することであってもよいし、駐車場内において電気自動車の駆動モータの電源がOFFとなることであってもよいし、運転席から運転者が離席することであってもよい。第2基準期間は、予め決められた固定の期間であってもよいし、例えば駐車場形状等に応じて動的に設定される期間であってもよい。
また、出庫待行動をとった車両とは、ハザードランプが点灯した状態で停車した地点から基準距離以内の地点にて駐車を行った車両であってもよい。すなわち、停車した地点の付近で駐車が行われたことをもって当該停車が出庫待行動であったと判定できる。停車した地点の付近にて実際に駐車しなかった場合には、別の目的でハザードランプが点灯した状態で停車していたに過ぎない可能性がある。このように別の目的でハザードランプが点灯した状態で停車した車両を、出庫待行動をとった車両から除外できる。基準距離は、予め決められた固定の距離であってもよいし、例えば駐車場形状や駐車場内に存在する車両の台数等に応じて動的に設定される距離であってもよい。さらに、出庫待行動をとった車両とは、ハザードランプが点灯した状態で停車し、かつ、助手席ドアや後部ドアが開閉した車両であってもよい。すなわち、運転者以外の乗員が空車枠を探すために降車した車両を、出庫待行動をとった車両として見なしてもよい。
さらに、混雑度推定部は、出庫待行動をとった車両の台数または当該車両の割合が閾値以上である場合に駐車場の混雑度が満車であると推定してもよい。ここで、駐車場が満車である場合に、駐車場内を巡回しながら空車枠を探すのを諦めて出庫待行動をとると考えられるため、出庫待行動をとった車両の台数または当該車両の割合に基づいて精度よく駐車場の混雑度が満車であると推定できる。混雑度推定部は、駐車場の混雑度が満車であると推定した場合、他の駐車場へと車両を誘導してもよい。
閾値は、予め決められた値であってもよいし、動的に設定される値であってもよい。例えば、閾値は、運転者が満車であると誤認識しやすい状況であるほど大きい値に設定されてもよい。例えば、駐車場が大きい場合や形状が複雑である場合には、すべての駐車枠を確認することなく運転者が満車であると誤認識して出庫待行動をとる可能性が大きくなる。また、夜間や降雨・降雪時においては見通しが悪くなるため、すべての駐車枠を確認することなく運転者が満車であると誤認識して出庫待行動をとる可能性が大きくなる。このような場合に閾値を大きく設定することにより、空車枠があるにも拘わらず満車であると誤って推定されることを防止できる。さらに、駐車場が付設されている施設の属性に応じて閾値が設定されてもよく、施設の平均的な滞在期間に応じて閾値が設定されてもよい。
また、混雑度推定部は、駐車していない車両の駐車場敷地内における滞在期間が第3基準期間以上である場合に駐車場の混雑度が混雑であると推定し、駐車場の混雑度が混雑である場合において、かつ、出庫待行動をとった車両の台数または当該車両の割合が閾値以上である場合に駐車場の混雑度が満車であると推定してもよい。まず、駐車場敷地内における滞在期間に基づいて駐車場の混雑度が混雑であるか否かを推定し、駐車場の混雑度が混雑である場合に出庫待行動をとった車両の検出結果に基づいて駐車場の混雑度が満車であるか否かを推定できる。すなわち、ある程度駐車場が混雑している場合に、出庫待行動をとった車両の検出結果に基づいて駐車場の混雑度を推定するため、空いている状態等においてたまたまハザードランプを点灯したに過ぎない車両が出現した場合に混雑度が満車であると誤って推定する可能性を低減できる。
駐車場混雑度推定システムを構成する各構成要素は、上述の実施形態のように、1個の装置で実現されてもよいし、2個以上の装置に分かれて存在していてもよい。後者としては、例えば、出庫待車両検出部と混雑度推定部のいずれかが2個以上の装置に分散して実現される構成を採用可能である。
以上のようなシステム、プログラム、方法は、単独の装置として実現される場合や、複数の装置によって実現される場合が想定可能であり、各種の態様を含むものである。例えば、以上のような構成要素を備えたサーバや方法、プログラムを提供することが可能である。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、システムを制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのソフトウェアの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。