JP6668578B2 - 薬剤容器用栓体、薬剤容器用栓体の製造方法、薬剤容器用栓部材およびそれを用いた薬剤収納済薬剤容器 - Google Patents

薬剤容器用栓体、薬剤容器用栓体の製造方法、薬剤容器用栓部材およびそれを用いた薬剤収納済薬剤容器 Download PDF

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Description

本発明は、薬剤容器用栓体、薬剤容器用栓体の製造方法、薬剤容器用栓部材およびそれを用いた薬剤収納済薬剤容器に関するものである。
従来より、ゴム栓により封止された容器内に薬剤が収納された状態の医療用容器が多く提供されている。そして、医療用容器に用いられるゴム栓が容器に収納される薬剤に及ぼす影響についても検討されてきている。影響としては、薬剤の変性、薬剤含有量の減少などの点が検討されている。具体的には、ゴム栓表面への薬剤吸着、ゴム栓内部への薬剤収着に起因するゴム栓への薬剤収着、さらには、ゴム栓素材からのゴム栓形成成分の溶出などである。そして、このような問題が生じやすい薬剤としては、インスリン、成長ホルモン、エリスロポエチン、顆粒球コロニー刺激因子、抗体、ワクチン等のタンパク質製剤、カルシトニン等のペプチド製剤、ニトログリセリン、硝酸イソソルビド、塩酸ニカルジピンなどが知られている。
薬剤容器、いわゆるバイアル瓶用のゴム栓としては、特開2014−79373(特許文献1)のように、ゴム栓の薬剤と接する部分に不活性フィルムを積層したものが提案されている。この特許文献1では、ゴム栓に積層する不活性フィルムとして、フッ素系樹脂またはオレフィン系樹脂が例示されている。さらに、この特許文献1には、フランジ天面または不活性フィルム積層面を、非反応性シリコーンまたは反応性シリコーンで表面コートすることも開示されている。
また、実開平2−147131(特許文献2)には、熱可塑性エラストマーの栓体内部に、自己密閉性を有するゴム芯体部が封入一体化された輸液用器用複合ゴム栓が開示されている。
特開2014−79373 実開平2−147131
特許文献1のものも有効であるが、不活性フィルムを用いるものであり、ゴム栓が固くなる場合があり、また、このようなゴム栓は、複数回、注射針などの穿刺部材が穿刺されることがあり、穿刺跡より薬剤が漏れる場合があった。また、特許文献2のようなもの、特に、特許文献2の図面に示されているものは、作図は可能であるが、実際に、熱可塑性エラストマーの栓体の適切な位置にゴム芯体部を配置させることは、極めて困難であった。
本発明の目的は、ゴム材と熱可塑性エラストマーの両者を用いる薬剤容器用栓体であって、薬剤吸着、ゴム栓素材からのゴム栓形成成分の溶出がなく、かつ、医療用針の穿刺が良好でありかつ抜去後においても良好なシール性を有し、使用するゴム材からなる板状部材が栓体内において良好な位置に保持可能な薬剤容器用栓体、その製造方法、薬剤容器用栓部材およびそれを用いた薬剤収納済薬剤容器に関するものである。
上記目的を達成するものは、以下のものである。
(1) ゴム製板状部材と、前記ゴム製板状部材の上面に密着した熱可塑性エラストマー製の上部形成部と、前記ゴム製板状部材の下面に密着した熱可塑性エラストマー製の下部形成部とを有し、前記ゴム製板状部材の全体が前記上部形成部と前記下部形成部により被包されている薬剤容器用栓体であって、
前記下部形成部は、前記ゴム製板状部材の前記下面に密着した底板部と、前記底板部の周縁部から前記上部形成部方向に延びる複数の下部脚部とを有し、前記上部形成部は、前記ゴム製板状部材の上面に密着した上板部と、前記上板部の周縁部から前記下部形成部方向に延び、前記下部形成部の前記脚部間を補填するように形成された複数の上部脚部を備え、さらに、前記上部脚部は、前記ゴム製板状部材の下面方向に延び、前記ゴム製板状部材の下面の周縁部と密着する内側延出部を有している薬剤容器用栓体。
(2) 前記下部形成部は、前記底板部の側面に形成された切欠部を有し、前記上部形成部の前記上部脚部は、前記切欠部を補填している上記(1)に記載の薬剤容器用栓体。
(3) 前記下部形成部の前記下部脚部は、前記下部脚部の側面より前記下部脚部の内側に延びる凹部を有し、前記底板部の前記切欠部の側部は、前記下部脚部の前記凹部方向に延び前記凹部と一体化しており、前記上部形成部は、前記下部形成部の前記下部脚部の凹部および前記底板部の前記切欠部を補填している上記(2)に記載の薬剤容器用栓体。
(4) 前記下部形成部の前記下部脚部は、前記下部脚部の両側面より前記下部脚部の内側に延びる凹部を有し、前記底板部の前記切欠部の両側部は、前記下部脚部の前記凹部方向に延び前記凹部と一体化しており、前記上部形成部は、前記下部形成部の前記下部脚部の凹部および前記底板部の前記切欠部を補填している上記(2)に記載の薬剤容器用栓体。
(5) 前記下部脚部の前記凹部は、前記下部脚部の下端から上端まで延びている上記(3)または(4)に記載の薬剤容器用栓体。
(6) 前記下部形成部は、前記上部形成部方向に延びる3ないし5の上部脚部と、前記複数の下部脚部間により形成された3ないし5の下部脚部間空隙を有し、前記上部形成部は、前記下部脚部間空隙を補填するように形成された3ないし5の上部脚部を備えている上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の薬剤容器用栓体。
(7) 前記上部形成部の前記上板部の刺通抵抗および前記下部形成部の前記底板部の刺通抵抗は、前記ゴム製板状部材の刺通抵抗より小さい上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の薬剤容器用栓体。
(8) 前記ゴム製板状部材の肉厚は、前記栓体の中央部の肉厚の1/10〜4/5である上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の薬剤容器用栓体。
(9) 前記上部形成部の前記上板部の肉厚は、前記栓体の中央部の肉厚の1/6〜5/6である上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の薬剤容器用栓体。
(10) 前記下部形成部の前記底板部の肉厚は、前記栓体の中央部の肉厚の1/6〜5/6である上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の薬剤容器用栓体。
また、上記目的を達成するものは、以下のものである。
(11) 熱可塑性樹脂製の筒状部材と、前記筒状部材の一端部内に固着され、前記一端部を閉塞する薬剤容器用栓体とからなる薬剤容器用栓部材であって、前記薬剤容器用栓体が、上記(1)ないし(10)のいずれかに記載の薬剤容器用栓体である薬剤容器用栓部材。
また、上記目的を達成するものは、以下のものである。
(12) 開口部を有する薬剤容器本体と、前記薬剤容器本体の前記開口部に装着され、前記開口部を封止する上記(11)に記載の薬剤容器用栓部材と、前記薬剤容器本体内に収納された薬剤とを備える薬剤収納済薬剤容器。
また、上記目的を達成するものは、以下のものである。
(13) ゴム製板状部材と、前記ゴム製板状部材の上面に密着した熱可塑性エラストマー製の上部形成部と、前記ゴム製板状部材の下面に密着し、かつ前記上部形成部と固着した熱可塑性エラストマー製の下部形成部とを有し、前記ゴム製板状部材の全体が前記上部形成部と前記下部形成部により被包されている薬剤容器用栓体を金型を用いた射出成形により製造する薬剤容器用栓体の製造方法であって、
前記製造方法は、前記ゴム製板状部材を準備する板状部材準備工程と、
前記ゴム製板状部材の下面と前記金型内面間に空隙が形成されるように、前記ゴム製板状部材の周縁部を金型のキャビティ内の複数の部位にて保持し、前記キャビティ内の複数の部位により保持された板状部材を下部形成部成形用金型内に入れ、前記板状部材の周縁部および底部に熱可塑性エラストマー溶融物を射出する下部形成部成形工程と、前記板状部材および前記下部形成部を上部形成部成形用金型内に入れ、かつ、前記下部形成部成形工程における前記ゴム製板状部材の保持部位を取り除き、当該部位を空隙とした状態にて、前記ゴム製板状部材を有する下部形成部の上部、周縁部および前記空隙に熱可塑性エラストマー溶融物を射出する上部形成部成形工程とを行う薬剤容器用栓体の製造方法。
(14) 前記下部形成部成形工程は、前記板状部材に熱可塑性エラストマー溶融物が直接当接しないように、前記板状部材の周縁の外部より熱可塑性エラストマー溶融物の射出を行うものである上記(13)に記載の薬剤容器用栓体の製造方法。
(15) 前記上部形成部成形工程は、熱可塑性エラストマー溶融物が、前記下部形成部成形工程において形成された下部形成部に当接した後、前記ゴム製板状部材の上面に流入するように射出を行うものである上記(13)または(14)に記載の薬剤容器用栓体の製造方法。
本発明の薬剤容器用栓体は、ゴム製板状部材と、ゴム製板状部材の上面に密着した熱可塑性エラストマー製の上部形成部と、ゴム製板状部材の下面に密着した熱可塑性エラストマー製の下部形成部とを有し、ゴム製板状部材の全体が上部形成部と下部形成部により被包されている薬剤容器用栓体である。下部形成部は、ゴム製板状部材の下面に密着した底板部と、底板部の周縁部から上部形成部方向に延びる複数の下部脚部とを有し、上部形成部は、ゴム製板状部材の上面に密着した上板部と、上板部の周縁部から下部形成部方向に延び、下部形成部の脚部間を補填するように形成された複数の上部脚部を備え、さらに、上部脚部は、ゴム製板状部材の下面方向に延び、ゴム製板状部材の下面の周縁部と密着する内側延出部を有している。
この薬剤容器用栓体は、十分な柔軟性を維持し、薬剤吸着、ゴム栓素材からのゴム栓形成成分の溶出がなく、さらに、複数回の穿刺を行っても、良好な再シール性を有する。ゴム製板状部材は、下部形成部と上部形成部間に位置しており、かつ、上部形成部の上部脚部は、ゴム製板状部材の下面方向に延びる下部内側延出部を有するため、ゴム製板状部材は、栓体内において良好な位置に保持されている。
また、本発明の薬剤容器用栓部材は、熱可塑性樹脂製の筒状部材と、筒状部材の一端部内に固着され、一端部を閉塞する薬剤容器用栓体とからなる薬剤容器用栓部材であって、薬剤容器用栓体が、上記の薬剤容器用栓体となっている。
この薬剤容器用栓部材は、十分な柔軟性を維持し、薬剤吸着、ゴム栓素材からのゴム栓形成成分の溶出がなく、さらに、複数回の穿刺を行っても、良好な再シール性を有する。ゴム製板状部材は、下部形成部と上部形成部間に位置しており、かつ、上部形成部の上部脚部は、ゴム製板状部材の下面方向に延びる下部内側延出部を有するため、ゴム製板状部材は、栓体内において良好な位置に保持されている。
また、本発明の薬剤収納済薬剤容器は、開口部を有する薬剤容器本体と、薬剤容器本体の開口部に装着され、開口部を封止する上記の薬剤容器用栓部材と、薬剤容器本体内に収納された薬剤とを備えている。
この薬剤収納済薬剤容器は、薬剤吸着、ゴム栓素材からのゴム栓形成成分の溶出がなく、さらに、複数回の穿刺を行っても、良好な再シール性を有する。ゴム製板状部材は、下部形成部と上部形成部間に位置しており、かつ、上部形成部の上部脚部は、ゴム製板状部材の下面方向に延びる下部内側延出部を有するため、ゴム製板状部材は、栓体内において良好な位置に保持されている。
また、本発明の薬剤容器用栓体の製造方法は、ゴム製板状部材と、ゴム製板状部材の上面に密着した熱可塑性エラストマー製の上部形成部と、ゴム製板状部材の下面に密着し、かつ上部形成部と固着した熱可塑性エラストマー製の下部形成部とを有し、ゴム製板状部材の全体が上部形成部と下部形成部により被包されている薬剤容器用栓体を金型を用いた射出成形により製造する薬剤容器用栓体の製造方法である。本発明の製造方法は、ゴム製板状部材を準備する板状部材準備工程と、ゴム製板状部材の下面と金型内面間に空隙が形成されるように、ゴム製板状部材の周縁部を複数の部位にて保持するゴム製板状部材部分保持工程と、部分保持工程により保持された板状部材を下部形成部成形用金型内に入れ、板状部材の周縁部および底部に熱可塑性エラストマー溶融物を射出する下部形成部成形工程と、板状部材および下部形成部を上部形成部成形用金型内に入れ、かつ、ゴム製板状部材を保持する部位を取り除き、空隙とした状態にて、ゴム製板状部材を有する下部形成部の上部、周縁部および空隙に熱可塑性エラストマー溶融物を射出する上部形成部成形工程とを行うものである。
この製造方法によれば、下部形成部と上部形成部間の良好な部位にゴム製板状部材が位置する上述した薬剤容器用栓体を良好に製造することができる。
図1は、本発明の実施例である薬剤容器用栓体の正面図である。 図2は、図1に示した薬剤容器用栓体の平面図である。 図3は、図1に示した薬剤容器用栓体の底面図である。 図4は、図1のA−A線断面図である。 図5は、図2のB−B線断面図である。 図6は、図1に示した薬剤容器用栓体の斜視図である。 図7は、図1に示した薬剤容器用栓体の構成部を示す斜視図である。 図8は、図1に示した薬剤容器用栓体の下部形成部の平面図である。 図9は、図1に示した薬剤容器用栓体の上部形成部の底面図である。 図10は、本発明の他の実施例の薬剤容器用栓体の斜視図である。 図11は、図10に示した薬剤容器用栓体の構成部を示す斜視図である。 図12は、本発明の実施例である薬剤容器用栓部材の正面図である。 図13は、図12に示した薬剤容器用栓部材の縦断面図である。 図14は、本発明の実施例である薬剤収納済薬剤容器の正面図である。 図15は、図14に示した薬剤収納済薬剤容器の平面図である。 図16は、図14に示した薬剤収納済薬剤容器の底面図である。 図17は、図14のC−C線断面図である。 図18は、本発明の他の実施例である薬剤収納済薬剤容器の正面図である。 図19は、本発明の他の実施例である薬剤収納済薬剤容器の縦断面図である。 図20は、本発明の薬剤容器用栓体の製造方法を説明するための説明図である。 図21は、本発明の薬剤容器用栓体の製造方法を説明するための説明図である。 図22は、本発明の薬剤容器用栓体の製造方法を説明するための説明図である。 図23は、本発明の薬剤容器用栓体の製造方法を説明するための説明図である。 図24は、本発明の薬剤容器用栓体の製造方法を説明するための説明図である。 図25は、本発明の薬剤容器用栓体の製造方法を説明するための説明図である。 図26は、本発明の薬剤容器用栓体の製造方法を説明するための説明図である。 図27は、本発明の他の実施例の薬剤容器用栓体の斜視図である。 図28は、図27に示した薬剤容器用栓体の底面図である。 図29は、図28のD−D線断面図である。 図30は、図27ないし図29に示した薬剤容器用栓体の製造方法を説明するための説明図である。 図31は、図27ないし図29に示した薬剤容器用栓体の製造方法を説明するための説明図である。
本発明の薬剤容器用栓体について、図面に示した実施例を用いて説明する。
本発明の薬剤容器用栓体1は、図1ないし図7に示すように、ゴム製板状部材4と、ゴム製板状部材4の上面41に密着した熱可塑性エラストマー製の上部形成部2と、ゴム製板状部材4の下面42に密着した熱可塑性エラストマー製の下部形成部3とを有し、ゴム製板状部材4の全体が上部形成部2と下部形成部3により被包されている。
そして、下部形成部3は、ゴム製板状部材4の下面に密着した底板部31と、底板部31の周縁部から上部形成部2方向に延びる複数の下部脚部32a,32b,32c,32dとを有する。上部形成部2は、ゴム製板状部材4の上面に密着した上板部21と、上板部21の周縁部から下部形成部方向に延び、下部形成部3の下部脚部間(空隙33a,33b,33c,33d)を補填するように形成された複数の上部脚部22a,22b,22c,22dを備える。さらに、上部脚部22a,22b,22c,22dは、ゴム製板状部材4の下面42方向に延び、ゴム製板状部材4の下面42の周縁部と密着した内側延出部25a,25b,25c,25dを有している。
本発明の薬剤容器用栓体1は、ゴム製板状部材4と、射出成形された熱可塑性エラストマー製の上部形成部2と、同様に射出成形された熱可塑性エラストマー製の下部形成部3とにより形成されている。そして、ゴム製板状部材4は、その全体が上部形成部2と下部形成部3により被包されており、栓体1の外面に露出しないものとなっている。
ゴム製板状部材4としては、図7に示すような円盤状のものが好適である。
板状部材4の肉厚は、0.5〜5mmが好ましく、特に、1〜3mmが好ましい。また、ゴム製板状部材4の肉厚は、栓体1の中央部の肉厚の1/10〜4/5であることが好ましく、特に、1/6〜1/5であることが好ましい。また、板状部材4の直径は、5〜15mmが好ましく、特に、9〜13mmが好ましい。板状部材4の直径は、板状部材4の配置部における栓体の直径の1/2〜5/6であることが好ましく、特に、2/3〜3/4であることが好ましい。
ゴム製板状部材4としては、医療用針の刺通が可能であり、かつ、刺通後に抜去されてもシール性を保持するものが使用される。ゴムとしては、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、シリコーンゴム等の各種ゴム材料を加硫処理もしくは架橋処理したものが挙げられる。特に、弾性特性を有し、γ線滅菌、電子線滅菌、高圧蒸気滅菌が可能などの観点からジエン系ゴムの架橋物が好ましい。
下部形成部3は、図1ないし図7に示すように、ゴム製板状部材4の下面に密着した底板部31と、底板部31の周縁部から上部形成部2方向に延びる複数の下部脚部32a,32b,32c,32dと、脚部間空隙33a,33b,33c,33dを備えている。そして、底板部31と複数の下部脚部32a,32b,32c,32dにより、板状部材4の収納部が形成されている。さらに、底板部31は、図7および図8に示すように、周縁部に設けられた複数(この実施例では、4つ)の円弧状の切欠部(側面切欠部)34を備えている。また、図7および図8に示すように、切欠部34は、脚部間空隙33a,33b,33c,33dの全体に延びるものとなっている。そして、載置された板状部材4の周縁部は、部分的に(側面切欠部34部分にて)、底板部31より突出している。このため、この部分において、底板部31より板状部材4の底面が露出するものとなっている。
さらに、この実施例の下部形成部3では、下部脚部32a,32b,32c,32dは、下部脚部32a,32b,32c,32dの側面(この実施例では、両側面)より下部脚部の内側に延びる凹部35を有している。そして、底板部4の切欠部34の側部(この実施例では両側部)は、下部脚部の凹部35方向、言い換えれば、下部脚部の内側に延びている。そして、底板部31の切欠部34の側部(この実施例では、両側部)は、下部脚部の凹部35と一体化している。
さらに、この実施例の下部形成部3では、下部脚部32a,32b,32c,32dの側面に設けられた凹部35は、下部脚部の下端から脚部の上端まで、延びるものとなっている。この実施例では、凹部35は、下部脚部32a,32b,32c,32dの両側部の内側にそれぞれ形成されている。なお、一方のみであってもよい。また、底板部31の切欠部34の両側部もそれぞれ、下部脚部内に延びるものとなっている。このため、下部脚部32a,32b,32c,32dは、切欠部34間により形成された接続部により、底板部31に連結された形態となっている。なお、下部脚部の凹部35は、下部脚部32a,32b,32c,32dの両側部の内側に設けることが好ましいが、一方の側部のみに設けてもよい。なお、このような凹部35を設けることにより、成形時におけるゴム板脱落を防止することができる。また、底板部31の切欠部34の側部は、両側部が下部脚部の内側に延びることが好ましいが、一方のみ延びるもの、延びる部分を持たないものであってもよい。
また、この実施例では、図1、図4に示すように、底板部31の底面と下部脚部32a,32b,32c,32dの下面は、同一平面を形成している。なお、底板部31の底面が、下部脚部32a,32b,32c,32dの底面より、若干窪むものとしてもよい。また、底板部31の切欠部34における直径は、ゴム製板状部材4の直径より若干小さいものとなっている。このようにすることにより、上部形成部2の一部が、切欠部34部分にて、ゴム製板状部材4の下面に延びるものとなり、栓体1内で、ゴム製板状部材4の位置固定が確実なものとなる。切欠部における底板部31の直径とゴム製板状部材4の直径差は、1〜4mmが好ましく、特に、1.5〜3mmが好ましい。また、両者の中心は、実質的に同じ位置にあることが好ましい。また、底板部31の直径(具体的には、切欠部以外の部分の直径、脚部内面が形成する円の直径)は、ゴム製板状部材4の直径とほぼ同じものとなっている。
この実施例の栓体1では、下部形成部3は、4つの下部脚部32a,32b,32c,32dと、同様に4つの脚部間空隙33a,33b,33c,33dを有しているが、脚部および脚部間空隙の数としては、3〜5が好ましい。脚部と脚部間空隙の外周占有比率は、脚部:脚部間空隙(後述する上部脚部)が、1:4〜4:1が好ましく、特に、1:2〜2:1が好ましい。
この実施例の栓体1では、下部脚部の方が、脚部間空隙(上部脚部)より大きいもの(外周占有率が高いもの)となっており、脚部:脚部間空隙(上部脚部)が、ほぼ5:4となっている。しかし、このようなものに限定されるものではなく、例えば、図10および図11に示す実施例の薬剤容器用栓体1aのように、下部形成部3aが備える下部脚部32a,32b,32c,32dの方が、上部形成部2aが備える上部脚部22a,22b,22c,22d(脚部間空隙33a,33b,33c,33d)より小さいものであってもよい。
この実施例の薬剤容器用栓体1aでは、上述した栓体1と同様に、底板部31は、側面切欠部を備えている。しかし、この実施例の薬剤容器用栓体1aでは、下部形成部3aが備える下部脚部32a,32b,32c,32dは、上述した栓体1が備える凹部を持たないものとなっており、切欠部も凹部に延びる部分を持たないものとなっている。なお、栓体としては、下部脚部32a,32b,32c,32dに凹部を備え、底板部31の切欠部が凹部内に延びないものであってもよい。また、栓体としては、下部脚部32a,32b,32c,32dに凹部を備えず、底板部31の切欠部が脚部の内側まで延びるものであってもよい。
底板部31の肉厚は、1〜6mmが好ましく、特に、2〜4mmが好ましい。また、底板部31の肉厚は、栓体1の中央部の肉厚の1/6〜5/6であることが好ましく、特に、1/3〜1/2であることが好ましい。また、底板部31の直径(最大径部分の直径)は、12〜24mmが好ましく、特に、14〜20mmが好ましい。下部脚部32a,32b,32c,32dの底板部31の上面31aからの突出高さは、1〜6mmが好ましく、特に、2〜4mmが好ましい。また、脚部の半径方向の肉厚は、0.5〜5mmが好ましく、特に、1〜3mmが好ましい。また、下部形成部3の最大径部分の外径は、12〜24mmが好ましく、特に、14〜20mmが好ましい。
上部形成部2は、図1ないし図7に示すように、ゴム製板状部材4の上面に密着した上板部21と、上板部21の周縁部から、下部形成部方向に延び、下部形成部3の脚部間空隙33a,33b,33c,33dを補填するように形成された複数の上部脚部22a,22b,22c,22dを備える。これにより、脚部間空隙33a,33b,33c,33dは、隙間なく上部脚部形成材料により充填された状態となっている。また、上部形成部2を単体で見た場合、上部脚部22a,22b,22c,22d間には、上部脚部間空隙26a,26b,26c,26dを有している。
また、この実施例では、図1、図4に示すように、底板部31の底面と下部脚部32a,32b,32c,32dは、同一平面を形成している。なお、底板部31の底面が、下部脚部32a,32b,32c,32dの底面より、若干窪むものとしてもよい。
そして、上述したように、下部形成部3の底板部31は、側面切欠部34を有しており、上部脚部22a,22b,22c,22dは、この底板部31の切欠部34を補填する内側延出部(下部内側延出部)25a,25b,25c,25dを有している。内側延出部25a,25b,25c,25dの先端部は、ゴム製板状部材4の下面の周縁部に接触している。そして、内側延出部25a,25b,25c,25dの先端部の上面は、ゴム製板状部材4の下面の周縁部に密着している。よって、ゴム製板状部材4は、周縁部において、部分的に上板部21と、内側延出部25a,25b,25c,25dにより、挟持された状態となっている。また、上板部21の上面には、環状リブ23が設けられており、その内部には、凹部24が形成されている。
上部脚部22a,22b,22c,22dの形成材料は、下部形成部3の下部脚部32a,32b,32c,32d間の空隙を補填するとともに、下部脚部32a,32b,32c,32dの内側に形成された凹部35、底板部31の側面に形成された切欠部34にも充填された状態となっている。よって、上部形成部2の上部脚部22a,22b,22c,22dは、下部形成部3の下部脚部の内側に食い込んだ状態となっている。このため、上部形成部2と下部形成部3の形態的にも組み合った状態となっており、かつ両者の接触面積は広く、分離しにくいものとなっている。また、栓体1は、内部に実質的に空隙を持たないものとなっている。
そして、上部形成部2は、栓体1の上面形態の全体、側面形態の一部、底面形態の一部を形成している。底部形成部3は、栓体1の下面形態の大半部分、側面形態の一部を形成している。
上板部21の肉厚は、1〜6mmが好ましく、特に、2〜3mmが好ましい。また、上板部31の肉厚は、栓体1の中央部の肉厚の1/6〜5/6であることが好ましく、特に、1/3〜1/2であることが好ましい。また、上板部21の直径(最大径部分の直径)は、12〜24mmが好ましく、特に、14〜20mmが好ましい。上部形成部2の高さは、2〜8mmが好ましく、特に、3〜6mmが好ましい。
また、この実施例では、図1、図3および図4に示すように、栓体1の底面、言い換えれば、下部形成部の底板部31の底面、下部脚部32a,32b,32c,32dの底面、上部形成部2の上部脚部22a,22b,22c,22dの底面は、同一平面を形成している。なお、上部脚部22a,22b,22c,22dの底面が、他の部分の底面より、若干窪むもの、逆に、若干突出するものであってもよい。
上部形成部および下部形成部に用いられる熱可塑性エラストマーとしては、オレフィン系エラストマー(ポリエチレンエラストマー、ポリプロピレンエラストマー)、アミド系エラストマー(ポリアミドエラストマー)、スチレン系エラストマー(例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンコポリマー、スチレン−イソプレン−スチレンコポリマー、スチレン−エチレンブチレン−スチレンコポリマー)、ポリウレタン、ウレタン系エラストマーなどの熱可塑性エラストマーが好適に使用できる。
そして、栓体1における上部形成部2の上板部21の刺通抵抗は、ゴム製板状部材4の刺通抵抗より小さいものであることが好ましい。また、栓体1における下部形成部3の底板部31の刺通抵抗は、ゴム製板状部材4の刺通抵抗より小さいものであることが好ましい。このようにすることにより、栓体1の全体として、刺通抵抗の低いものとすることができる。上部形成部2の上板部21の刺通抵抗は、ゴム製板状部材4の刺通抵抗の1/3〜2/3であることが好ましい。同様に、下部形成部2の底板部21の刺通抵抗は、ゴム製板状部材4の刺通抵抗の1/3〜1/2であることが好ましい。
上部形成部および下部形成部に用いられる熱可塑性エラストマーとしては、同じエラストマーもしくは同種のエラストマーを用いることが好ましい。なお、上部形成部および下部形成部に用いられる熱可塑性エラストマーとしては、相溶性を有するものであれば、使用可能である。
また、この実施例の薬剤容器用栓体1は、ゴム製板状部材4を金型内に入れ、熱可塑性エラストマー溶融物を射出して下部形成部3を成形した後、熱可塑性エラストマー溶融物を射出して上部形成部2を形成することにより作成されている。このようにすることにより、完成した栓体1において、最初に成形した部位の変形が少ないものとすることができる。なお、下部形成部と上部形成部の形成順序は逆であってもよい。
そして、上部形成部および下部形成部に用いられる熱可塑性エラストマーとして相溶性を有するものを用いることにより、後に射出される形成部の形成時に、上部形成部および下部形成部は固着する。そして、ゴム製板状部材4を被包する上部形成部および下部形成は、冷却後若干収縮するため、ゴム製板状部材4は、冷却後の上部形成部および下部形成部の収縮により、ゴム製板状部材4と密着するとともに、ゴム製板状部材4を若干圧迫するものとなる。
ゴム製板状部材4は、上部形成部および下部形成部により全体が被包されるため、上部形成部および下部形成部に用いられる熱可塑性エラストマーと固着性を持たないものであってもよい。なお、ゴム製板状部材4を表面処理、表面皮膜形成などの表面加工により、上部形成部および下部形成部に用いられる熱可塑性エラストマーと固着性を有するものとしてもよい。
表面処理としては、プラズマ放電処理、コロナ放電処理等の放電処理、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、エチレンイミン化合物、アミン化合物、RFL(レゾルシンフォルマリンラテックス)などの表面改質処理剤に表面処理などが利用できる。
次に、本発明の薬剤容器用栓体の製造方法について、図20ないし図26を用いて説明する。
本発明の薬剤容器用栓体の製造方法は、ゴム製板状部材と、ゴム製板状部材の上面に密着した熱可塑性エラストマー製の上部形成部と、ゴム製板状部材の下面に密着し、かつ上部形成部と固着した熱可塑性エラストマー製の下部形成部とを有し、ゴム製板状部材の全体が上部形成部と下部形成部により被包されている薬剤容器用栓体を金型を用いた射出成形により製造する薬剤容器用栓体の製造方法である。
本発明の製造方法では、ゴム製板状部材を準備する板状部材準備工程と、ゴム製板状部材の下面と金型内面間に空隙が形成されるように、ゴム製板状部材の周縁部を金型のキャビティ内の複数の部位にて保持し、キャビティ内の複数の部位により保持された板状部材を下部形成部成形用金型内に入れ、板状部材の周縁部および底部に熱可塑性エラストマー溶融物を射出する下部形成部成形工程と、板状部材および下部形成部を上部形成部成形用金型内に入れ、かつ、下部形成部成形工程におけるゴム製板状部材の保持部位を取り除き(具体的には、退避させ)、当該部位を空隙とした状態にて、ゴム製板状部材を有する下部形成部の上部、周縁部および空隙に熱可塑性エラストマー溶融物を射出する上部形成部成形工程とを行うものである。
本発明の製造方法では、最初に、ゴム製板状部材を準備する板状部材準備工程が行われる。
ゴム製板状部材4としては、図7に示すような円盤状のものを準備する。板状部材4の肉厚は、0.5〜5mmが好ましく、特に、1〜3mmが好ましい。また、板状部材4の直径は、5〜18mmが好ましく、特に、9〜13mmが好ましい。ゴムとしては、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、シリコーンゴム等の各種ゴム材料を加硫処理もしくは架橋処理したものが挙げられる。特に、弾性特性を有し、γ線滅菌、電子線滅菌、高圧蒸気滅菌が可能などの観点からジエン系ゴムの架橋物が好ましい。
次に、下部形成部成形工程を行う。
下部形成部成形工程では、最初に、図20に示す様に、ゴム製板状部材4の下面と金型内面間に空隙が形成されるように、ゴム製板状部材の周縁部を複数の部位にて保持するゴム製板状部材部分保持を行う。具体的には、ゴム製板状部材の下面と金型内面間に空隙が形成されるように、ゴム製板状部材の周縁部を金型のキャビティ内の複数の部位にて保持する。
図20に示す様な栓体成形用金型100を準備する。栓体成形用金型100は、板状部材4の保持機能を備えた下部形成部底部成形用金型110と、下部形成部側部成形用金型120とを備える。下部形成部底部成形用金型110は、筒状金型本体111と、筒状本体111内に移動可能に配置されたコア112と、筒状本体111とコア112間に移動可能に配置された複数(具体的には、4つ)の板状部材保持用ピン113a,113b,113cを備えている。そして、板状部材保持用ピン113a,113b,113cの先端には、内部段部により形成された保持部114a,114b,114cが設けられている。
そして、上記の板状部材保持用ピン113a,113b,113cの保持部114a,114b,114cに、ゴム製板状部材4を装着することにより、ゴム製板状部材の下面と金型内面間に空隙が形成される。言い換えれば、ゴム製板状部材4の下面と金型内面間(コア112の先端面間)に空隙を有する状態にて、ゴム製板状部材の周縁部が、複数の保持用ピン113a,113b,113cによりゴム製板状部材が保持されたものなっている。これにより、ゴム製板状部材部分保持工程が終了する。
次に、ゴム製板状部材部分保持工程により保持された板状部材4を下部形成部成形用金型内に入れ、板状部材の周縁部および底部に熱可塑性エラストマー溶融物を射出する。
この工程では、図21に示すように、下部形成部底部成形用金型110に保持された板状部材4を下部形成部側部成形用金型120内に挿入する。図20に示す様に、下部形成部底部成形用金型110を下部形成部側部成形用金型120方向に移動させ、図21に示す様に、下部形成部側部成形用金型120内に、板状部材保持用ピン113a,113b,113cに保持された板状部材4を収納させるとともに、下部形成部側部成形用金型120を下部形成部底部成形用金型110と当接させる。
図21に示す様に、下部形成部側部成形用金型120と下部形成部底部成形用金型110間には、下部形成部形成空間が形成される。そして、ゴム製板状部材4の下面と下部形成部底部成形用金型110間の空隙は、下部形成部形成空間の一部を構成する。下部形成部側部成形用金型120は、内面に、下部形成部側部形状形成面101を備えている。また、この実施例では、下部形成部側部成形用金型120は、筒状の金型本体121と、その内部に配置された柱状コア122を有するものとなっている。なお、下部形成部側部成形用金型120は、一体物であってもよい。図21に示す状態では、ゴム製板状部材4は、下面および側部が複数の板状部材保持用ピン113a,113b,113cに保持され、上面は、下部形成部側部成形用金型120、具体的には、柱状コア122の下面に当接した状態となっている。ゴム製板状部材4は、複数の板状部材保持用ピン113a,113b,113cと下部形成部側部成形用金型120(柱状コア122)により挟持されている。
そして、図21に示す状態にて、熱可塑性エラストマーの溶融物をゲート123より、上記の金型内空間に注入する。これにより、図22に示す様に、下部形成部3が形成される。そして、板状部材4は、側面にて、当接する下部形成部3の脚部の内面にて保持された状態となっている。これにより、下部形成部成形工程が終了する。そして、図21に示す状態における下部形成部側部成形用金型120を離脱させる。離脱は、例えば、柱状コア122を図21に示す状態に保持し、筒状の金型本体121のみを後退させ、下部形成部3より離脱した後、柱状コア122を後退させることにより行うことができる。これにより、図23に示す様に、下部形成部底部成形用金型110は、板状部材4と下部形成部3を保持したものとなる。
なお、下部形成部成形工程は、板状部材4に熱可塑性エラストマー溶融物が直接当接しないように、板状部材4の周縁の外部より熱可塑性エラストマー溶融物の射出を行うことが好ましい。このために、この工程で使用する金型では、下部形成部側部成形用金型120の下面であり、下部形成部3の脚部形成部の上面となる位置にゲート123が設けられている。これにより、ゲート123より注入される樹脂が、ゴム製板状部材4に直接当接することなく、下部形成部3に一度流入した後、接触する。このため、ゴム製板状部材4の注入樹脂による変形が生じにくい。
次に、上部形成部成形工程を行う。この工程では、図23に示すように、上部形成部成形用金型130を準備する。上部形成部成形用金型130は、内面に、上部形成部外面形成面103を備えている。そして、図23のように、板状部材4と下部形成部3を保持した下部形成部底部成形用金型110を、準備した上部形成部成形用金型130方向に移動させ、図24に示す様に、内部に、板状部材4を保持した下部形成部3を収納させるとともに、上部形成部成形用金型130を下部形成部底部成形用金型110と当接させる。
そして、図23に示す様に、下部形成部底部成形用金型110の筒状金型本体111を残し、コア112および複数の板状部材保持用ピン113a,113b,113cを離脱させ、代わりに、柱状コア115を挿入する。これにより、図24に示す様に、キャビティ内内には、ゴム製板状部材の保持部位の取り除き(具体的には、板状部材保持用ピン113a,113b,113cの退避)により、形成された空隙を有する。このようにして、下部形成部底部成形用金型110と上部形成部成形用金型130間(キャビティ内)には、上部形成部形成空間104が形成される。また、この実施例では、上部形成部成形用金型130は、ゲート133を有する金型本体131と、その内部に配置された脱型用柱状部132を有するものとなっている。なお、上部形成部成形用金型130は、一体物であってもよい。
そして、図24に示す状態にて、熱可塑性エラストマーの溶融物をゲート133より、上記の金型内の上部形成部形成空間104に注入する。これにより、図24に示す様に、上部形成部2が形成され、栓体1が完成する。板状部材4は、下部形成部3と上部形成部2間に全体が包まれた状態となる。これにより、上部形成部成形工程が終了する。
そして、上部形成部成形工程は、熱可塑性エラストマー溶融物が、下部形成部成形工程において形成された下部形成部3に当接した後、ゴム製板状部材4の上面に流入するように射出を行うことが好ましい。
この工程で使用する金型では、図24に示す様に、上部形成部成形用金型130下面かつ周縁部であり、下部形成部3のいずれかの脚部(具体的には、下部脚部32b)の上方となる位置にゲート133が設けられている。このため、ゲート133より注入される樹脂が、ゴム製板状部材4に直接当接することなく、下部形成部3の脚部に当接した後、上部形成部形成空間104内に拡散する。このため、ゴム製板状部材4の注入樹脂による変形が生じにくい。さらに、ゴム製板状部材4の上部に注入された樹脂圧が、ゴム製板状部材4に均等に負荷され、ゴム製板状部材4を下部形成部3の底板部31に押しつけるように作用するため、より、ゴム製板状部材4の変形および移動を規制する。また、下部脚部32bは、図7および図4に示す様に、底板部31と連結されているため、十分な剛性を有するため、射出樹脂による変形も生じにくい。よって、この工程において、ゴム製板状部材4および下部形成部3の変形は少ない。
さらに、この工程で使用する上部形成部成形用金型130および上述した下部形成部側部成形用金型120は、下部形成部底部成形用金型110に対するそれぞれのゲート123,133の位置が、下部形成部底部成形用金型110の上方かつ同じ延長線上に位置するものとなっている。このため、同じ射出機により、下部形成部および上部形成部の射出成形を行うことができる。
そして、図26に示すように、下部形成部底部成形用金型110を後退させた後、上部形成部成形用金型130の脱型用柱状部132を前進させることにより、栓体1は、上部形成部成形用金型130より離脱する。
なお、本発明の薬剤容器用栓体としては、図27ないし図29に示すような薬剤容器用栓体1bであってもよい。図27は、この実施例の薬剤容器用栓体の斜視図であり、図28は、この実施例の薬剤容器用栓体の底面図であり、図29は、図28のD−D線断面図である。
この実施例の薬剤容器用栓体1bと上述した薬剤容器用栓体1との相違は、底面に鍵状凹部38を有する点のみである。
この実施例の薬剤容器用栓体1bも上述した薬剤容器用栓体1と同様に、ゴム製板状部材4と、ゴム製板状部材4の上面41に密着した熱可塑性エラストマー製の上部形成部2と、ゴム製板状部材4の下面42に密着した熱可塑性エラストマー製の下部形成部3bとを有し、ゴム製板状部材4の全体が上部形成部2と下部形成部3bにより被包されている。
そして、図27ないし図29に示すように、栓体1bの下面には、上方に延びる鍵状凹部38が、複数形成されている。この実施例では、鍵状凹部38は、下部形成部3bの下面に形成されている。なお、鍵状凹部38は、上部形成部2の下面に設けてもよい。
鍵状凹部38は、底面より上方に延びる部分と上方(垂直上方)に延びる部分の上部より水平に延びる部分を備えている。このため鍵状となっている。この実施例では、水平に延びる部分は、上方に延びる部分より、外面方向に延びるものとなっている。なお、水平に延びる部分は、上方に延びる部分より、内側に延びるものであってもよい。
また、この実施例における鍵状凹部38は、栓体1b(具体的には、下部形成部3b)の下面の外縁より若干内側となる位置に設けられている。このため、鍵状凹部38は、下部形成部3bの側面には露出しないものとなっている。しかし、鍵状凹部としては、栓体1b(具体的には、下部形成部3b)の下面の外縁付近から上方に側面を部分的に削り取るように上方に延び、かつ上方に延びる部分の上部より栓体の内側に延びる部分を備えるものであってもよい。
また、この実施例の栓体1bでは、下面に、複数の鍵状凹部38が形成されている。特に、この実施例では、複数(具体的には、2〜5個)の鍵状凹部38からなる鍵状凹部群が、栓体1bの中心軸に対して等角度となるように形成されている。鍵状凹部群の数としては、3以上が好ましい。なお、鍵状凹部38は、複数であることが好ましいが、1つのみであってもよい。
そして、この実施例の薬剤容器用栓体1bは、上述した薬剤容器用栓体1とほぼ同様の方法により製造される。図30および図31は、図27ないし図29に示した薬剤容器用栓体の製造方法を説明するための説明図である。
この実施例の薬剤容器用栓体の製造方法においても、ゴム製板状部材を準備する板状部材準備工程と、ゴム製板状部材の下面と金型内面間に空隙が形成されるように、ゴム製板状部材の周縁部を金型のキャビティ内の複数の部位にて保持し、キャビティ内の複数の部位により保持された板状部材を下部形成部成形用金型内に入れ、板状部材の周縁部および底部に熱可塑性エラストマー溶融物を射出する下部形成部成形工程と、板状部材および下部形成部を上部形成部成形用金型内に入れ、かつ、下部形成部成形工程におけるゴム製板状部材の保持部位を取り除き(具体的には、退避させ)、当該部位を空隙とした状態にて、ゴム製板状部材を有する下部形成部の上部、周縁部および空隙に熱可塑性エラストマー溶融物を射出する上部形成部成形工程とを行う。
そして、この実施例の薬剤容器用栓体の製造においても、上述した金型とほぼ同じものを用いる。この実施例の薬剤容器用栓体に用いる金型100aと上述した金型100との実質的な相違は、鍵状凹部を形成するための鍵状突出部117の有無である。
図30に示すように、金型100aにおける下部形成部底部成形用金型110aは、上述した金型100と同様の板状部材4の保持機能を備えるとともに、筒状金型本体111aの上面に形成された複数の鍵状突出部117を備えている。この鍵状突出部117は、栓体1aの底面に上述した鍵状凹部38を形成するためのものである。鍵状突出部117は、筒状金型本体111aの環状内縁付近に形成されている。特に、この金型100aでは、鍵状突出部117は、複数(具体的には、4つ)の板状部材保持用ピン113a,113b,113c間に位置するように設けられている。
鍵状突出部117は、筒状金型本体111aの上面から上方(具体的には、垂直上方)に延びるシャフト部と、シャフト部の先端部より水平方向に延びる屈曲部とを備えている。この実施例では、屈曲部は、筒状金型本体111aの外縁方向に延びるものとなっている。なお、屈曲部は、筒状金型本体111aの内縁方向に延びるものであってもよい。
そして、この実施例の薬剤容器用栓体の製造においても、図30に示すように、ゴム製板状部材4の下面と金型内面間に空隙が形成されるように、ゴム製板状部材の周縁部を複数の部位にてゴム製板状部材を保持する。そして、図21、図22と同様に、保持された板状部材4を下部形成部成形用金型内に配置し、板状部材の周縁部および底部に熱可塑性エラストマー溶融物を射出し、下部形成部を射出成形する。そして、図23と同様に、下部形成部上部底部成形用金型を離間させ、下部形成部底部成形用金型が、板状部材4と下部形成部3を保持したものとする。そして、図24および図25と同様に、下部形成部底部成形用金型に保持された板状部材4と下部形成部3を、上部形成部成形用金型内に配置し、熱可塑性エラストマー溶融物を射出し、上部形成部を射出成形する。
そして、図31に示すように、上部形成部底部成形用金型130aと下部形成部底部成形用金型110aを離間(例えば、上部形成部底部成形用金型130aの上方への移動)することにより、成形された栓体1bは、下部形成部底部成形用金型110aに形成された鍵状突出部により保持されているため、上部形成部底部成形用金型130aに追従することなく露出する。このため、この実施例では上部形成部底部成形用金型130aは、上述の上部形成部成形用金型130が備えていたような脱型用柱状部132を持たないものとなっている。
次に、本発明の薬剤容器用栓部材10について、図12および図13に示す実施例を用いて説明する。
本発明の薬剤容器用栓部材10は、熱可塑性樹脂製の筒状部材5と、筒状部材5の一端部内に固着され、一端部を閉塞する薬剤容器用栓体1とからなる。薬剤容器用栓体1としては、上述したものが用いられている。
栓部材10は、図12および図13に示すように、熱可塑性樹脂製の筒状部材(環状キャップ)5と、筒状部材(環状キャップ)5に装着された薬剤容器用栓体1とからなる。栓部材10は、栓体(ゴム栓)1とキャップ5との組み合わせからなる。
筒状部材(環状キャップ)5は、栓体1の装着部を有する筒状本体部51と、筒状本体部51の下端側部より外方に突出する突出部(環状突出部)53と、突出部(環状突出部)53の下面より下方に突出する融着用リブ54とを備える。
筒状部材(環状キャップ)5は、図13に示すように、開口部55を備える円盤状上板部52を備える。環状リブ54は、突出部(フランジ)53の外縁より若干内側となる位置より、下方に延びる環状リブとなっている。
栓体1は、上面の一部が開口部55にて露出する状態にて、筒状本体部51に収納されている。そして、この実施例では、栓体1は、筒状本体部51の内面に接触する部分にて固着されている。このような形態は、形成された栓体1が金型内に収納された状態にて、栓体の外面を形成する熱可塑性エラストマーと相溶性のある樹脂を射出成形することにより、得ることができる。
筒状部材(環状キャップ)は、上記の通り、栓体の外面を形成する熱可塑性エラストマーと相溶性のある熱可塑性樹脂により形成されている。筒状部材(環状キャップ)の形成材料である熱可塑性樹脂は、栓体に使用される熱可塑性エラストマーによっても相違するが、例えば、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンコポリマー、ポリプロピレンとポリエチレンもしくはポリブテンの混合物)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート)、ポリアミド、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデンなど等が挙げられる。
また、筒状部材(環状キャップ)は、後述する薬剤容器の開口部の形成材料(後述する図14の実施例では容器本体6、図19の実施例では容器本体14)と相溶性の高いもの、特に好ましくは、同じもしくは同系統の樹脂を用いることが好ましい。また、筒状部材(環状キャップ)の形成材料は、薬剤容器の開口部の形成材料(後述する図14の実施例では容器本体6、図19の実施例では容器本体14)の形成材料より、融点の低いものが好ましい。
次に、本発明の薬剤収納済薬剤容器20について、図14ないし図17に示す実施例を用いて説明する。
本発明の薬剤収納済薬剤容器20は、開口部61を有する薬剤容器本体6と、薬剤容器本体6の開口部61に装着され、開口部61を封止する薬剤容器用栓部材10と、薬剤容器本体6内に収納された薬剤7とを備える。
この実施例の薬剤容器20は、容器本体部60と管状開口部61を一体に有する容器本体6を備え、ポート部として、栓体1を備える薬剤容器用栓部材10が用いられている。薬剤容器用栓部材10は、容器本体6の管状開口部61に融着されている。薬剤容器20は、容器本体6内に充填された薬剤7を備える。
容器本体6は、図14ないし図17に示すように、上端に開口を有するほぼ円筒状の管状開口部61と、管状開口部61と連続し、かつ下方に延びる扁平筒状上部62と、筒状上部62と連続し、かつ下方に延びる扁平筒状胴部63と、筒状胴部63と連続し、かつ下方に延びる扁平筒状下部64とを備える。
管状開口部61は、ほぼ同一内径にて所定長延びる筒状部である。この実施例では、管状開口部61は、栓体1を備える薬剤容器用栓部材10と共同して、ポート部を構成する。
管状開口部61は、側面部より外方に突出する栓部材固着部(フランジ部)71を備える。この実施例のものでは、栓部材固着部71の上面は環状平坦部となっている。また、容器本体6は、閉塞した下面部68を有しており、この下面部68には、下方に突出する突出部69が形成されている。突出部69は、吊下用部材8の装着保持部として機能する。この実施例の吊下用部材8では、折り曲げることにより、薬剤容器の吊下が可能となる。
容器本体6は、筒状上部62の長軸側(長軸を挟んで対向する)の正面および裏面にそれぞれ設けられた上部中央部62a、62bを備え、上部中央部は、上端から下端に向かって肉厚が徐々に薄くなっている。そして、この実施例の容器本体6は、扁平筒状上部62の長軸側の両端部に設けられた2つの上部側部を備えている。2つの上部側部は、管状開口部61に向かって急激に近接するものとなっている。また、上部側部は、外方に向かって略円弧状に突出する湾曲部となっている。
また、容器本体6は、扁平筒状上部62の下端と連続し、かつ下方に延びる扁平筒状胴部63を備える。また、扁平筒状胴部63は、上部側部の下端と連続し、下方にのびる2つの胴部側部66a,66bを備えている。胴部側部66a,66bは、外方に向かって略円弧状に突出する湾曲部となっている。
また、容器本体6は、扁平筒状胴部63の下端と連続し、かつ下方に延びる扁平筒状下部64を備える。また、扁平筒状下部64は扁平筒状下部64の長軸の両端に設けられた2つの下部側部65a,65bと連続し、下部側部65a,65bは胴部側部66a,66bの下端と連続し、閉塞した下面部68まで延びるものとなっている。扁平筒状下部64は、図4に示すように、下方(下面部68)に向かって幅が減少するとともに、厚さも徐々に薄くなるように形成されている。
容器本体6は、熱可塑性樹脂により形成されている。容器本体6の形成材料である熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンコポリマー、ポリプロピレンとポリエチレンもしくはポリブテンの混合物)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート)、ポリアミド、ポリ塩化ビニリデン、 ポリフッ化ビニリデンなど等が挙げられる。この中でも、耐熱性に優れたポリプロピレン系樹脂が最も好ましい。
容器本体6の内容積としては、50〜1600mlが好ましく、突出部69の直径は2〜5mm程度が好ましい。また、容器本体6の容器本体部60の厚さは、0.1〜0.5mmが好ましく、容器本体6の容器本体部60の幅は、60〜150mm、容器本体6の容器本体部60の長さは110〜250mmであることが好ましい。
次に、薬剤容器20のポートについて、説明する。
この実施例の薬剤容器20では、ポートは、排出ポートである。
ポートは、上述した容器本体6の管状開口部61と、これに固着された薬剤容器用栓部材10により構成されている。薬剤容器用栓部材10は、栓体1と筒状部材5とを備える。栓体1、筒状部材5は、上述した通りである。
筒状部材(環状キャップ)5は、図17に示すように、筒状本体部51および突出部(環状突出部)52の下面が、フランジ部71の栓部材固着部71の上面環状平坦部と向かい、かつ、融着用リブが溶融し、フランジ部71の上面環状平坦部(封止部材固着部)に固着している。
本発明の薬剤容器としては、図18に示すような軟質バッグタイプの薬剤容器30であってもよい。
そして、この実施例の薬剤容器30としては、下部に位置する排出ポートとして、上述した管状部材9と栓体1を備える薬剤容器用栓部材10とからなるものが用いられている。また、この実施例の薬剤容器30では、上部に位置する混注ポートとしても、上述した管状部材9と栓体1を備える薬剤容器用栓部材10とからなるものが用いられている。なお、薬剤容器30としては、排出ポートのみを備えるものであってもよい。
ポートの具体的内容については、上述した薬剤容器20と実質的に同じである。なお、この実施例の薬剤容器30では、軟質容器82が用いられている。管状部材9は、軟質容器82と別部材により形成され、固着部97、98により、軟質容器82に固定されている。
また、この実施例の軟質容器(容器本体)82は、シート状筒状体により形成されている。容器本体82には、内部収納部を区画し、解除可能な区画部を構成する仕切部89が形成されており、第1の薬液室91と第2の薬液室92に区画されている。また、この薬剤容器30は、容器本体82の第1の薬液室91に、管状部材9が取り付けられている。そして、第1の薬液室91には、第1の薬液が収納され、第2の薬液室92には第2の薬液が、収納されている。また、この実施例の容器本体82は、上部シール部85,下部シール部86,側部シール部87,88を備えている。
仕切部89は、容器本体82を横方向全体に横切る剥離可能な仕切用弱シール部89aと、弱シール部89aの両端部の分岐部内に設けられた実質的に剥離不能な強シール部89bを備えている。また、薬剤容器30の容積は、内部に収納する薬剤の種類等によって異なるが、通常は、第1の薬液室の容積が、50〜5000ml程度であることが好ましく、第2の薬液室の容積が、50〜5000ml程度であることが好ましい。
それぞれの薬液室に収納される薬剤としては、薬液、散剤などが考えられる。特に、本発明の薬剤容器では、第1の薬液は、薬液であることが好ましい。第2の薬液は、薬液もしくは散剤いずれであってもよい。好ましくは、薬液である。第1の薬液および第2の薬液の組合せとしては、例えば、アミノ酸電解質液とブドウ糖液、ブドウ糖液と重曹液等の組み合わせが挙げられる。
そして、この実施例の薬剤容器30では、管状部材9と容器本体82内との連通を阻害する剥離可能な連通阻害弱シール部98が設けられている。このため、管状部材(排出ポート)9は、容器本体82内の空室93と連通するものの、第1の薬液室121と連通しないものとなっている。上述した弱シール部89a、98は、シート材を帯状に熱シール(熱融着、高周波融着、超音波融着等)することにより形成される。
本発明の薬剤収納済薬剤容器としては、図19に示すようなバイアル瓶タイプの薬剤容器40であってもよい。
そして、この実施例の薬剤容器40においても、ポートとして、上述した管状開口部16と栓体1を備える薬剤容器用栓部材10とからなるものが用いられている。また、この実施例の薬剤容器40では、内部に薬剤18を収納した容器本体14を備えており、容器本体14は、本体部15とその上部に位置する管状開口部16を備える。管状開口部16は、上述した薬剤容器20と同様に、容器本体と一体に形成されている。そして、管状開口部16のフランジ部19の上面には、栓体1を備える薬剤容器用栓部材10が、融着されている。この容器におけるポートの具体的内容については、上述した薬剤容器20と実質的に同じである。
以下、本発明の具体的な実施例について説明する。
(実施例1)
1)ゴム製板状部材の準備
ブチルゴムを用いて、図7に示す形状の円盤状ゴム板を作製した。ゴム板の作製は、ブチルゴムに添加剤を配合した加硫性ゴム組成物をプレス成形し、加硫することにより行った。得られたゴム板の形状は、外径11mm、肉厚1mmであった。
2)下部形成部の射出成形
上記の円盤状ゴム板を図20ないし図25に示す様な金型に装着した後、熱可塑性エラストマーであるスチレン系熱可塑性エラストマー[ラバロン(登録商標)PJ6300C、三菱化学株式会社製]を射出成形することにより、下部形成部を作成した。ゴム板下部における下部形成部の厚さは、2.5mmであった。
3)上部形成部の射出成形
上記のように円盤状ゴム板の下部に下部形成部を形成した後、図20ないし図25に示す様な金型内に、スチレン系熱可塑性エラストマー[ラバロン(登録商標)PJ6300C]を射出成形することにより、上部形成部を作成した。ゴム板上部における上部形成部の厚さは、6.3mmであった。このようにして、本発明の薬剤容器用栓体を作成した。薬剤容器用栓体の外径は、16mm、中央部の肉厚は、9.8mmであった。
4) 上記のようにして作成した本発明の薬剤容器用栓体を筒状部材形成用金型(図示せず)内に配置した後、上記の熱可塑性エラストマーと相溶性を有する熱可塑性樹脂であるポリプロピレン[ノバテック(登録商標)PP、日本ポリプロ株式会社製]を射出成形することにより、薬剤容器用栓体の外周部を被包する筒状部材(キャップ部)を形成し、本発明の薬剤容器用栓部材を作成した。
(実験)
実施例1の薬剤容器用栓体および薬剤容器用栓部材について、下記の試験を行った。
(実験1:溶出物試験)
日本薬局方に記載されている「7.03 輸液用ゴム栓試験」に基づき、試験を実施した。実施例1の薬剤容器用栓体からは、溶出物は検出されなかった。
(実験2:リシール性試験)
実施例1の薬剤容器用栓部材を10mlの水を入れたポリプロピレン製のバイアル容器の開口部にヒートシールにより固着した後、高圧蒸気滅菌(109℃、12min)することにより、液体充填済み薬剤容器を複数個作成した。4つの薬剤容器用栓部材を下に向けた状態で、輸液セット用の樹脂製の薬剤排出用針(外径約4mm)を刺通し、24時間後に抜去し、抜去後の液漏れの有無を確認したところ、いずれの薬剤容器からも液漏れは確認されなかった。同様に、4つの薬剤容器用栓部材を下に向けた状態で、注射針(18G)を刺通し、24時間後に抜去し、抜去後の液漏れの有無を確認したところ、いずれの薬剤容器からも液漏れは確認されなかった。
1 薬剤容器用栓体
2 上部形成部
22a,22b,22c,22d 上部脚部
25a,25b,25c,25d 内側延出部
3 下部形成部
32a,32b,32c,32d 下部脚部
4 ゴム製板状部材
6 薬剤容器本体
8 薬剤
10 薬剤収納済薬剤容器

Claims (15)

  1. ゴム製板状部材と、前記ゴム製板状部材の上面に密着した熱可塑性エラストマー製の上部形成部と、前記ゴム製板状部材の下面に密着した熱可塑性エラストマー製の下部形成部とを有し、前記ゴム製板状部材の全体が前記上部形成部と前記下部形成部により被包されている薬剤容器用栓体であって、
    前記下部形成部は、前記ゴム製板状部材の前記下面に密着した底板部と、前記底板部の周縁部から前記上部形成部方向に延びる複数の下部脚部とを有し、前記上部形成部は、前記ゴム製板状部材の上面に密着した上板部と、前記上板部の周縁部から前記下部形成部方向に延び、前記下部形成部の前記脚部間を補填するように形成された複数の上部脚部を備え、さらに、前記上部脚部は、前記ゴム製板状部材の下面方向に延び、前記ゴム製板状部材の下面の周縁部と密着する内側延出部を有していることを特徴とする薬剤容器用栓体。
  2. 前記下部形成部は、前記底板部の側面に形成された切欠部を有し、前記上部形成部の前記上部脚部は、前記切欠部を補填している請求項1に記載の薬剤容器用栓体。
  3. 前記下部形成部の前記下部脚部は、前記下部脚部の側面より前記下部脚部の内側に延びる凹部を有し、前記底板部の前記切欠部の側部は、前記下部脚部の前記凹部方向に延び前記凹部と一体化しており、前記上部形成部は、前記下部形成部の前記下部脚部の凹部および前記底板部の前記切欠部を補填している請求項2に記載の薬剤容器用栓体。
  4. 前記下部形成部の前記下部脚部は、前記下部脚部の両側面より前記下部脚部の内側に延びる凹部を有し、前記底板部の前記切欠部の両側部は、前記下部脚部の前記凹部方向に延び前記凹部と一体化しており、前記上部形成部は、前記下部形成部の前記下部脚部の凹部および前記底板部の前記切欠部を補填している請求項2に記載の薬剤容器用栓体。
  5. 前記下部脚部の前記凹部は、前記下部脚部の下端から上端まで延びている請求項3または4に記載の薬剤容器用栓体。
  6. 前記下部形成部は、前記上部形成部方向に延びる3ないし5の上部脚部と、前記複数の下部脚部間により形成された3ないし5の下部脚部間空隙を有し、前記上部形成部は、前記下部脚部間空隙を補填するように形成された3ないし5の上部脚部を備えている請求項1ないし5のいずれかに記載の薬剤容器用栓体。
  7. 前記上部形成部の前記上板部の刺通抵抗および前記下部形成部の前記底板部の刺通抵抗は、前記ゴム製板状部材の刺通抵抗より小さい請求項1ないし6のいずれかに記載の薬剤容器用栓体。
  8. 前記ゴム製板状部材の肉厚は、前記栓体の中央部の肉厚の1/10〜4/5である請求項1ないし7のいずれかに記載の薬剤容器用栓体。
  9. 前記上部形成部の前記上板部の肉厚は、前記栓体の中央部の肉厚の1/6〜5/6である請求項1ないし8のいずれかに記載の薬剤容器用栓体。
  10. 前記下部形成部の前記底板部の肉厚は、前記栓体の中央部の肉厚の1/6〜5/6である請求項1ないし9のいずれかに記載の薬剤容器用栓体。
  11. 熱可塑性樹脂製の筒状部材と、前記筒状部材の一端部内に固着され、前記一端部を閉塞する薬剤容器用栓体とからなる薬剤容器用栓部材であって、前記薬剤容器用栓体が、請求項1ないし10のいずれかに記載の薬剤容器用栓体であることを特徴とする薬剤容器用栓部材。
  12. 開口部を有する薬剤容器本体と、前記薬剤容器本体の前記開口部に装着され、前記開口部を封止する請求項11に記載の薬剤容器用栓部材と、前記薬剤容器本体内に収納された薬剤とを備えることを特徴とする薬剤収納済薬剤容器。
  13. ゴム製板状部材と、前記ゴム製板状部材の上面に密着した熱可塑性エラストマー製の上部形成部と、前記ゴム製板状部材の下面に密着し、かつ前記上部形成部と固着した熱可塑性エラストマー製の下部形成部とを有し、前記ゴム製板状部材の全体が前記上部形成部と前記下部形成部により被包されている薬剤容器用栓体を金型を用いた射出成形により製造する薬剤容器用栓体の製造方法であって、
    前記製造方法は、前記ゴム製板状部材を準備する板状部材準備工程と、
    前記ゴム製板状部材の下面と前記金型内面間に空隙が形成されるように、前記ゴム製板状部材の周縁部を金型のキャビティ内の複数の部位にて保持し、前記キャビティ内の複数の部位により保持された板状部材を下部形成部成形用金型内に入れ、前記板状部材の周縁部および底部に熱可塑性エラストマー溶融物を射出する下部形成部成形工程と、前記板状部材および前記下部形成部を上部形成部成形用金型内に入れ、かつ、前記下部形成部成形工程における前記ゴム製板状部材の保持部位を取り除き、当該部位を空隙とした状態にて、前記ゴム製板状部材を有する下部形成部の上部、周縁部および前記空隙に熱可塑性エラストマー溶融物を射出する上部形成部成形工程とを行うことを特徴とする薬剤容器用栓体の製造方法。
  14. 前記下部形成部成形工程は、前記板状部材に熱可塑性エラストマー溶融物が直接当接しないように、前記板状部材の周縁の外部より熱可塑性エラストマー溶融物の射出を行うものである請求項13に記載の薬剤容器用栓体の製造方法。
  15. 前記上部形成部成形工程は、熱可塑性エラストマー溶融物が、前記下部形成部成形工程において形成された下部形成部に当接した後、前記ゴム製板状部材の上面に流入するように射出を行うものである請求項13または14に記載の薬剤容器用栓体の製造方法。
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