JP4010890B2 - シリンジ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリンジに関する。
【0002】
【従来の技術】
シリンジは、先端側に縮径した口部を有する外筒と、この外筒の基端開口から外筒内に挿入されたガスケットと、このガスケットに連結された押し子(プランジャロッド)とを備えている。
【0003】
このシリンジは、組み立て後、滅菌され、無菌的に薬剤を封入し、包材で包装して無菌を維持した状態で出荷される。そして、使用時には、その包材を開封して使用する。すなわち、包材を開封しても、外筒の内周面は、無菌性が維持されている。
【0004】
しかしながら、従来のシリンジでは、ガスケットの基端側に位置する外筒の内周面は、包材を開封すると同時に、外筒の基端開口から入った外気に接触する。よって、例えば液体を外筒内に吸入(吸引)するときのように、押し子を先端方向へ押してから基端方向へ引く操作をすると、外筒の内周面の外気に一旦接触した部分に液体が接触することとなり、内部の無菌性を維持できない場合があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、押し子を押したり引いたりする操作を行っても、内部の無菌性を確実に維持することができるシリンジを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)〜(5)の本発明により達成される。また、下記(6)〜(13)であるのが好ましい。
【0007】
(1) 先端側に液体が出入り可能な口部を有する外筒と、
前記外筒内で摺動し得るガスケットと、
前記ガスケットに連結され、前記ガスケットを前記外筒の長手方向に移動操作する押し子と、
前記外筒の基端開口を封止し、前記押し子を挿通する挿通孔を有する封止部材と、
前記ガスケットの基端側に位置する前記外筒と前記ガスケットと前記封止部材とで囲まれる空間と、外部とを連通させるように、前記押し子の内部に形成された通気路と、
前記通気路を塞ぐように設置され、気体は通過させるが細菌は通過させないフィルターとを備え、
前記押し子を先端方向に移動させたとき、その外周面が前記挿通孔の少なくとも一部と密着しつつ摺動するとともに、外気が前記空間に前記通気路を通って流入するよう構成されていることを特徴とするシリンジ。
【0008】
(2) 前記封止部材の少なくとも前記挿通孔付近の部位は、弾性材料で構成されている上記(1)に記載のシリンジ。
【0009】
(3) 前記ガスケットに、その基端面に開放する中空部が形成され、
前記押し子の先端部に、前記中空部内に挿入されるヘッド部を有し、前記通気路の先端開口部は、前記ヘッド部に形成されている上記(1)または(2)に記載のシリンジ。
【0010】
(4) 前記フィルターは、前記通気路の先端開口部に設けられている上記(3)に記載のシリンジ。
【0011】
(5) 前記押し子をその長手方向に移動させたとき、空気が前記ヘッド部と前記ガスケットとの隙間を通って前記空間と前記通気路との間を流通する上記(3)または(4)に記載のシリンジ。
【0012】
(6) 前記封止部材は、板状の外筒フランジと一体的に形成されたものである上記(1)ないし(5)のいずれかに記載のシリンジ。
【0013】
(7) 前記封止部材は、弾性材料で構成され、前記外筒フランジは、硬質材料で構成され、両者は、二色成形により一体的に形成されたものである上記(6)に記載のシリンジ。
【0014】
(8) 前記ガスケットの先端側に位置する前記外筒と前記ガスケットとで囲まれる空間に収納された薬剤を備える上記(1)ないし(7)のいずれかに記載のシリンジ。
【0015】
(9) 前記口部は、開封可能な膜で封止されている上記(1)ないし(8)のいずれかに記載のシリンジ。
【0016】
(10) 前記押し子は、その長さが可変である上記(1)ないし(9)のいずれかに記載のシリンジ。
【0017】
(11) 前記押し子の長さが長い状態を維持する維持手段を有する上記(10)に記載のシリンジ。
【0018】
(12) 前記押し子は、本体部と、該本体部の基端側に、前記押し子の長手方向に移動可能に設置された操作部とを有する上記(10)または(11)に記載のシリンジ。
【0019】
(13) 前記押し子の長さが短い状態では、前記操作部の先端部が前記封止部材または前記外筒の基端部に当接することにより、前記ガスケットを前記外筒の胴部の先端部まで押し切れず、
前記押し子の長さが長い状態とすることにより、前記ガスケットを前記外筒の胴部の先端部まで押し切れるようになる上記(12)に記載のシリンジ。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のシリンジを添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0021】
図1は、本発明のシリンジの実施形態における分解状態を示す縦断面図、図2は、図1に示すシリンジの組み立て状態(使用前の状態)を示す縦断面図、図3は、図1に示すシリンジの組み立て状態(使用時の状態)を示す縦断面図、図4は、図3に示すシリンジにおけるガスケット付近を拡大して示す縦断面図、図5は、図3に示すシリンジにおける外筒の基端部付近を拡大して示す縦断面図である。なお、説明の都合上、図1〜図5中の左側を「先端」、右側を「基端」という。
【0022】
本実施形態のシリンジ1は、シリンジ内部に予め薬剤100が収納されたプレフィルドシリンジであって、外筒(シリンジ外筒)2と、外筒2内で摺動し得るガスケット3と、ガスケット3を外筒2の長手方向に移動操作する押し子(プランジャロッド)4と、外筒2の基端開口を封止する封止部材(シールリング)14と、フィルター15とを備えている。
【0023】
外筒2は、先端側に底部21を有する有底筒状(円筒状)の部材で構成され、底部21の中央部には、外筒2の胴部に対し縮径した縮径部22が一体的に形成されている。この縮径部22により、液体が出入り可能な口部が構成される。縮径部22の基端部外周には、雄ネジ(ルアーロックネジ)が形成されていても良い。
【0024】
縮径部22の先端には、弾性材料で構成された膜11が装着され、縮径部22の内腔23を気密的に封止している。
【0025】
また、縮径部22の外側には、キャップ12が嵌合され、固定されている。このキャップ12の先端には、開口121が形成されており、この開口121の縁部と縮径部22の先端面との間で膜11の外周部を挟持することにより、膜11が気密(液密)的に固定される。
【0026】
なお、縮径部22と膜11とキャップ12とは、それぞれ、互いに接着剤による接着または融着がなされていても良い。
【0027】
膜11は、両頭針のような針体により刺通可能なものである。この場合、膜11は、針体により刺通可能なものであれば、その形態は膜状に限らず、例えばブロック状のもの(栓体)であってもよい。
【0028】
膜11の構成材料としては、例えば、後述するガスケット3の構成材料として挙げたものを用いることができる。
【0029】
外筒2および後述する外筒フランジ13の構成材料としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、ポリカーボネート、アクリル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリアミド(例えば、ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン6・10、ナイロン12)のような各種樹脂が挙げられるが、その中でも、成形が容易であるという点で、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、ポリエステル、ポリ−(4−メチルペンテン−1)のような樹脂が好ましい。
【0030】
なお、外筒2の構成材料は、内部の視認性を確保するために、実質的に透明であるのが好ましい。
【0031】
また、外筒2の外周面には、シリンジ1内の液体(輸液、薬液等)の液量を把握することができるように、目盛り(図示せず)が形成されているのが好ましい。
【0032】
図3に示すように、外筒2の基端外周には、板状の外筒フランジ13が設置されている。押し子4を外筒2に対し相対的に移動操作する際などには、この外筒フランジ13に指を掛けて操作を行うことができる。外筒フランジ13の中心部には、円形の孔131が形成されている。
【0033】
図1に示すように、本実施形態では、外筒フランジ13は、外筒2と別個の部材で構成されており、外筒2に基端部に装着(固定)されたものである。外筒フランジ13の外筒2に対する固定方法としては、特に限定されず、外筒2の基端部外周に突出形成された小フランジ24に、外筒フランジ13に設けた爪部(図示せず)を係止させる方法や、融着(熱融着、高周波融着、超音波融着等)、接着(接着剤や溶媒による接着)等の方法や、これらを併用した方法等が挙げられる。なお、外筒フランジ13は、外筒2と一体的に形成されていてもよい。
【0034】
図5に示すように、外筒フランジ13の孔131の内周側には、外筒2の基端開口を気密的に封止する封止部材14が設置されている。この封止部材14は、全体が弾性材料で構成され、その中心部には、後述する押し子4の本体部5の円筒部51を挿通する挿通孔142が形成されている。
【0035】
封止部材14を構成する弾性材料としては、特に限定されず、例えば、天然ゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、シリコーンゴムのような各種ゴム材料や、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリオレフィン系、ポリスチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、あるいはそれらの混合物等が挙げられるが、これらの中でも、熱可塑性ポリウレタン系エラストマー(例えば、武田バーディシェウレタン工業(株)製:エラストラン ET680等)、ポリスチレン系エラストマー(例えば、三菱化学(株)製:ラバロン MJ4300等)であるのが特に好ましい。
【0036】
挿通孔142の内周部には、挿通孔142の内面より中心部に向かって突出するリング状の凸部141が、全周にわたって形成されている。この凸部141が押し子4の円筒部51の外周面に対し密着しつつ摺動し、気密性を確保する。
【0037】
また、封止部材14の外周面は、外筒フランジ13の孔131の内周面に気密的に密着しているとともに、外筒2の基端開口の内周面にも気密的に密着している。これにより、封止部材14は、外筒2の基端開口をほぼ気密的に封止することができる。
【0038】
このような封止部材14は、封止部材14を構成する弾性材料と、外筒フランジ13を構成する比較的硬質な材料とを用いて二色成形することにより、外筒フランジ13と一体的に形成されたものであるのが好ましい。これにより、封止部材14を容易に製造することができるとともに、シリンジ1の組み立ても容易となる。
【0039】
このような封止部材14を設置したことにより、外気が外筒2内に入らず、内周面25に外気が接触しないので、外筒2内の無菌性を高いレベルで維持することができる。
【0040】
また、シリンジ1の組み立てに際し、押し子4の装着後、非無菌環境でシリンジ1を包装しても、シリンジ内部の無菌性を保てるため、包装工程の無菌性が不要となり、よって、製造、組み立てに有利であるという利点もある。
【0041】
また、封止部材14は、後述するガスケット3および押し子4が外筒2から抜けるのを防止する機能も有している。
【0042】
なお、封止部材14は、別個に製造されて外筒2の基端開口に装着されたものであってもよい。また、封止部材14は、全体が弾性材料で構成されていなくてもよく、少なくとも挿通孔142付近の部位が弾性材料で構成されていればよい。
【0043】
図4に示すように、外筒2内には、弾性材料で構成されたガスケット3が収納されている。ガスケット3の自然状態での外径は、外筒2の内径より大きくなっており、ガスケット3が外筒2内に挿入された状態では、ガスケット3の弾性により、その外周部が外筒2の内周面25に密着(圧接)する。
【0044】
ガスケット3の外周部には、複数のリング状の凸部31、32が全周にわたって形成されている。この凸部31、32が外筒2の内周面25に対し密着しつつ摺動することで、気密性(液密性)をより確実に保持するとともに、摺動性の向上が図れる。
【0045】
本実施形態では、ガスケット3の長手方向に沿って2つの凸部31、32が形成されている。すなわち、ガスケット3の基端部と先端部のそれぞれに、凸部31、32が形成されている。
【0046】
なお、本発明では、凸部31、32の形成位置や個数、断面形状等は、これに限定されるものではない。
【0047】
また、ガスケット3には、その基端面に開放する中空部33が形成されている。この中空部33には、後述する押し子4のヘッド部54が挿入(嵌入)される。
【0048】
ガスケット3の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、天然ゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、シリコーンゴムのような各種ゴム材料や、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリオレフィン系、ポリスチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、あるいはそれらの混合物等の弾性材料が挙げられる。
【0049】
図2に示すように、このシリンジ1では、ガスケット3の先端側に位置する外筒2と、ガスケット3とで囲まれる空間27内には、予め薬剤100が収納されている。
【0050】
薬剤100としては、液体でも固体でもよいが、本実施形態では、固体の薬剤100が収納されている。この薬剤100は、縮径部22よりシリンジ1内に注入した薬液を凍結乾燥してなるものであり、一定の形状に固化されている。
【0051】
このような薬剤100の具体例としては、ビタミン剤(総合ビタミン剤)、各種アミノ酸、ヘパリンのような抗血栓剤、インシュリン、抗生物質、抗腫瘍剤、鎮痛剤、強心剤、静注麻酔剤、抗パーキンソン剤、潰瘍治療剤、副腎皮質ホルモン剤、不整脈用剤、補正電解質、タンパク分解酵素阻害剤、トロンボキサン合成阻害剤等が挙げられる。なお、本発明では、これらに限定されないことは言うまでもない。
【0052】
ガスケット3には、ガスケット3を外筒2内で長手方向に移動操作する押し子4が連結(装着)されている。
【0053】
図1に示すように、押し子4は、本体部(押し子本体)5を有している。この本体部5は、円筒部51を有している。前述したように、円筒部51の外周面は、封止部材14の凸部141と密着しつつ摺動する。
【0054】
円筒部51の先端には、鍔状をなす第1のフランジ52と、第1のフランジ52の基端側付近に位置する第2のフランジ53とが形成されている。
【0055】
第2のフランジ53の先端側に位置する円筒部51と、第1のフランジ52とで、ヘッド部54が構成される。図4に示すように、このヘッド部54は、ガスケット3の中空部33内に挿入されている。ガスケット3の中空部33の開口付近の内周部には、内側に突出する係合部34が形成されており、この係合部34は、第1のフランジ52と、第2のフランジ53との間に挿入している。これにより、係合部34と、第1のフランジ52および第2のフランジ53とが係合して、ガスケット3と押し子4(本体部5)とが連結状態になっている。
【0056】
図3に示すように、円筒部51の基端には、外部に開放する基端開口部511が形成されている。また、円筒部51の先端には、先端開口部512が形成されている。すなわち、先端開口部512は、ガスケット3の中空部33内に位置している。このような構成により、円筒部51の内腔は、ガスケット3の基端側に位置する外筒2とガスケット3と封止部材14とで囲まれる空間26と、外部とを連通させる通気路(流路)513として機能する。
【0057】
押し子4を押圧してガスケット3を先端方向へ移動(摺動)させると、外気(外部の空気)は、基端開口部511より吸入され、通気路513、先端開口部512、および、ヘッド部54とガスケット3との隙間を通って、空間26に流入する。逆に、押し子4を引いてガスケット3を基端方向へ移動(摺動)させると、前記と逆の経路を通って、空間26内の空気が外部に流出する。このようにして、空間26内の空気は、外部に自由に出入りするので、押し子4を押したり引いたりする操作の際、空間26内の圧力が増減することはない。したがって、空間26内の圧力がガスケット3の移動を妨げるように作用することがないので、押し子4の移動操作を軽い力で行うことができる。
【0058】
図4に示すように、ガスケット3が外筒2内に挿入され、外筒2の内径に規制されることにより少し変形(縮径)した状態では、ガスケット3の中空部33の内周面と、ヘッド部54との間には、隙間が形成される。そして、押し子4をその長手方向に移動させたとき、空気は、図4中の矢印で示すように、このようなヘッド部54とガスケット3との隙間を通って、空間26と通気路513との間を流通する。
【0059】
なお、第1のフランジ52および第2のフランジ53の周方向の一部に切欠きを形成し、ヘッド部54とガスケット3との隙間が大きい個所を設けて、流路を拡大することとしてもよい。
【0060】
円筒部51の先端開口部512には、気体は通過させるが細菌は通過させないフィルター15が設置されており、通気路513を塞ぐように位置している。フィルター15の外周部は、先端開口部512に対し、例えば融着(熱融着、高周波融着、超音波融着等)、接着(接着剤や溶媒による接着)等の方法により全周に渡り固定されている。
【0061】
前記のようにして外気が空間26に流入するときには、外気中の細菌は、フィルター15を通過する際に除去される。よって、空間26に外気が流入しても、外筒2内に細菌が入ることはなく、外筒2内の無菌状態を維持することができる。
【0062】
なお、フィルター15は、円筒部51(通気路513)の途中に設置されていてもよいが、先端開口部512に設置することにより、容易に製造(組み立て)することができる。
【0063】
また、通気路513の先端開口の形成個所は、ガスケット3の中空部33に位置するような個所でなくてもよい。例えば、円筒部51の第2のフランジ53の基端側付近の管壁に側孔を形成し、この側孔を介して通気路513と空間26とが連通するような構成であってもよい。この場合には、円筒部51の先端が封止されていてもよい。
【0064】
図1に示すように、円筒部51の基端側には、円筒部51と同様の円筒から図中上側と下側の管壁を切り欠いて形成されたような一対の腕部55が基端方向に向かって突出形成されている。一対の腕部55は、それらの間に形成された長手方向に延びるレール部56によって連結されている。一対の腕部55およびレール部56の横断面形状は、全体として略H字状をなしている。
【0065】
レール部56の基端部には、ほぼ直角3角形の凸部57が図中上下にそれぞれ形成されている。凸部57の斜面は、基端側に向けられている。
【0066】
また、凸部57の先端側には、間隔を置いて、ほぼ直角3角形の凸部58が図中上下にそれぞれ形成されている。凸部58の斜面は、先端側に向けられている。
【0067】
凸部57と凸部58との間には、それらに挟まれるようにしてほぼ4角形の凹部59が形成されている。
【0068】
本実施形態では、押し子4は、このような本体部5と、本体部5の基端側に、押し子4の長手方向に移動可能に設置された操作部(押し子操作部)6とで構成されており、その長さ(全長)が可変(伸縮可能)になっている。
【0069】
操作部6は、円筒部51より内外径が大きい円筒部61を有しており、該円筒部61の基端には、フランジ状(板状)の指当て部62が形成されている。シリンジ1の使用状態(図3に示す状態)では、この指当て部62を指等で押圧することにより押し子4を先端方向へ移動操作する。
【0070】
円筒部61の内側に位置する指当て部62からは、図中上下一対の腕部63、63がそれぞれ先端方向へ向かって突出形成されている。すなわち、腕部63、63は、円筒部61の内側に位置している。腕部63、63の先端部には、互いの方へ(内側に)向かって突出するほぼ4角形の嵌合部631、631がそれぞれ形成されている。
【0071】
図2に示すように、シリンジ1の組み立て状態では、両嵌合部631の間には、本体部5のレール部56が挿入されている。両嵌合部631の間の隙間の大きさは、レール部56の幅(厚さ)とほぼ同じになっている。操作部6は、両嵌合部631がレール部56を挟みつつレール部56上を摺動することにより、本体部5に対し長手方向に移動可能になっている。この移動により、押し子4の長さは、図2に示す短い状態と、図3に示す長い状態との間で変化(伸縮)する。
【0072】
本実施形態では、押し子4の長さが可変であることにより、図2に示すシリンジ1の使用前の状態でのシリンジ1の全長を短くすることができ、シリンジ1の輸送中や保管中にスペースを縮小することができる。
【0073】
図2に示す状態から、操作部6を本体部5に対し基端方向に移動させると、両嵌合部631がそれぞれ両凸部58の斜面に沿って摺動することにより両腕部63が開くように弾性変形しつつ、両嵌合部631がそれぞれ両凸部58を乗り越えて両凹部59内に挿入(嵌入)し、図3に示す状態となる。この状態では、両嵌合部631と両凹部59との係合(嵌合)により、押し子4は、その長さが長い状態を維持(保持)することができる。このように、凸部57、58、凹部59および腕部63によって、押し子4の長さが長い状態を維持する維持手段が構成される。
【0074】
図2に示すシリンジ1の使用前の状態では、押し子4は、その長さが短い状態とされるとともに、ガスケット3は、薬剤100の基端側に位置している。この状態では、操作部6を先端方向へ押圧しても、操作部6(円筒部61)の先端部が封止部材14(または外筒フランジ13)の基端面に当接することにより、ガスケット3をそれ以上先端方向へ移動させることはできず、ガスケット3を外筒2の胴部の先端部(底部21)まで押し切ることはできない。よって、シリンジ1の使用前(輸送中、保管中等)に、誤って押し子4(操作部6)が押されるような力が作用した場合であってもガスケット3が先端方向へ移動することがない。これにより、次のような利点がある。
【0075】
▲1▼固化した状態の薬剤100が、移動したガスケット3に押されて崩れるおそれがないので、薬剤100の形状を壊さずに保管することができ、製品の美観を確実に保持することができる。
【0076】
▲2▼本実施形態と異なり、ガスケット3が先端方向に移動したとすると、崩れて粉末状になった薬剤100がガスケット3の外周面と外筒2の内周面25との間に入り込む場合がある。その場合、その後に輸液を吸入して薬剤100を溶解させても、ガスケット3の外周面と外筒2の内周面25との間に入り込んだ薬剤100が溶けずに残り、その結果、薬剤100の投与量に狂いを生じる。これに対し、本実施形態では、このような事態の発生を確実に防止することができる。
【0077】
▲3▼本実施形態と異なり、使用前にガスケット3が先端方向に移動可能であると、押し子4が誤って押圧されたとき、特に薬剤100が液体の場合には、その液体(薬剤100)の圧力が高まり、液体が膜11を破って縮径部22から漏れたり、液体が外筒2の内周面25とガスケット3との間から空間26へ漏れたりする恐れがある。これに対し、本実施形態では、このような事態の発生を確実に防止することができる。
【0078】
そして、このような本実施形態のシリンジ1では、使用時には、図3に示すように、押し子4の長さが長い状態とすることにより、押し子4の長さが十分に長くなり、ガスケット3を外筒2の胴部の先端部(底部21)まで押し切れるようになる。すなわち、図3に示す状態から押し子4をさらに先端方向へ押圧移動させると、ガスケット3の先端面は、底部21の内面に接触(当接)するとともに、操作部6(円筒部61)の先端部は、封止部材14(または外筒フランジ13)の基端面に接触(当接)しない状態となる。
【0079】
押し子4の構成材料としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、ポリカーボネート、アクリル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリアミド(例えば、ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン6・10、ナイロン12)のような各種樹脂が挙げられるが、その中でも、成形が容易であるという点で、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ−(4−メチルペンテン−1)のような樹脂が好ましい。
なお、本発明では、押し子4は、その長さが可変でないものであってもよい。
【0080】
次に、シリンジ1の使用方法の一例について説明する。以下に説明する方法は、シリンジ1に、有底筒状のホルダー本体と両端にそれぞれ鋭利な針先が形成された両頭針(針管)とを有する両頭針付ホルダー(図示せず)を接続し、ボトル(瓶)状またはバッグ状をなす輸液容器(図示せず)に薬液を混注する場合の例である。
【0081】
[1] まず、図2に示す使用前のシリンジ1の縮径部22を両頭針付ホルダーを介して輸液容器の口部に接続する。すなわち、輸液容器の口部を封止する栓体に両頭針付ホルダーの一方の針先を刺通し、他方の針先を開口121より挿入して膜11に刺通する。これにより、ガスケット3の先端側に位置する外筒2とガスケット3とで囲まれる空間27と、輸液容器内部とが両頭針を介して連通する。
【0082】
[2] 次いで、押し子4を長い状態とした後、押し子4を基端方向に引いてガスケット3を基端方向に摺動させることにより、輸液を空間27内に導入(吸入)する。
【0083】
[3] 次いで、シリンジ1に揺動または振動を与え、空間27内に導入された輸液に薬剤100を溶解または分散させ、薬剤100の有効成分を含む薬液とする。また、必要に応じ、シリンジ1を両頭針付ホルダーから一旦取り外してから、シリンジ1に揺動または振動を与える操作を行ってもよい。
【0084】
[4] 薬剤100を溶解または分散させたら、押し子4を先端方向に押圧し、ガスケット3を先端方向に摺動させる。これにより、空間27内の薬液が両頭針を通って排出され、輸液容器内の輸液に配合される。
【0085】
このように、本実施形態のシリンジ1のようなプレフィルドシリンジを用いた場合には、薬剤100の混注または注射を行う際、前述したように操作を無菌的に行うことができ、感染のリスクを低減できるとともに、容器の移し替えがなく、薬剤のコンタミネーションや取り違えを確実に防止することもできる。
【0086】
以上、本発明のシリンジを図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、シリンジを構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
【0087】
本発明では、外筒先端部の口部の構成は、図示の構成に限らず、例えば、口部を封止する膜を有さないものや、口部に注射針を装着して使用するものであってもよい。
【0088】
また、本発明のシリンジは、予め収納された薬剤を有さない、通常のシリンジにも適用することができるのは言うまでもない。
【0089】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、押し子を押したり引いたりする操作を行い、ガスケットを先端方向および基端方向に摺動させても、内部の無菌性を確実に維持することができる。また、押し子の操作を軽い力で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のシリンジの実施形態における分解状態を示す縦断面図である。
【図2】図1に示すシリンジの組み立て状態(使用前の状態)を示す縦断面図である。
【図3】図1に示すシリンジの組み立て状態(使用時の状態)を示す縦断面図である。
【図4】図3に示すシリンジにおけるガスケット付近を拡大して示す縦断面図である。
【図5】図3に示すシリンジにおける外筒の基端部付近を拡大して示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 シリンジ
11 膜
12 キャップ
121 開口
13 外筒フランジ
131 孔
14 封止部材
141 凸部
142 挿通孔
15 フィルター
2 外筒
21 底部
22 縮径部
23 内腔
24 小フランジ
25 内周面
26、27 空間
3 ガスケット
31、32 凸部
33 中空部
34 係合部
4 押し子
5 本体部
51 円筒部
511 基端開口部
512 先端開口部
513 通気路
52 第1のフランジ
53 第2のフランジ
54 ヘッド部
55 腕部
56 レール部
57、58 凸部
59 凹部
6 操作部
61 円筒部
62 指当て部
63 腕部
631 嵌合部
100 薬剤
Claims (5)
- 先端側に液体が出入り可能な口部を有する外筒と、
前記外筒内で摺動し得るガスケットと、
前記ガスケットに連結され、前記ガスケットを前記外筒の長手方向に移動操作する押し子と、
前記外筒の基端開口を封止し、前記押し子を挿通する挿通孔を有する封止部材と、
前記ガスケットの基端側に位置する前記外筒と前記ガスケットと前記封止部材とで囲まれる空間と、外部とを連通させるように、前記押し子の内部に形成された通気路と、
前記通気路を塞ぐように設置され、気体は通過させるが細菌は通過させないフィルターとを備え、
前記押し子を先端方向に移動させたとき、その外周面が前記挿通孔の少なくとも一部と密着しつつ摺動するとともに、外気が前記空間に前記通気路を通って流入するよう構成されていることを特徴とするシリンジ。 - 前記封止部材の少なくとも前記挿通孔付近の部位は、弾性材料で構成されている請求項1に記載のシリンジ。
- 前記ガスケットに、その基端面に開放する中空部が形成され、
前記押し子の先端部に、前記中空部内に挿入されるヘッド部を有し、前記通気路の先端開口部は、前記ヘッド部に形成されている請求項1または2に記載のシリンジ。 - 前記フィルターは、前記通気路の先端開口部に設けられている請求項3に記載のシリンジ。
- 前記押し子をその長手方向に移動させたとき、空気が前記ヘッド部と前記ガスケットとの隙間を通って前記空間と前記通気路との間を流通する請求項3または4に記載のシリンジ。
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