しかしながら、作業員がケーソンの天端を移動しながら行う中詰材の高さ管理方法は、作業員が直接計測を行うものであるため、作業効率が良くなかった。又、光ケーブルや小型のオートレッドを利用する方法は、計測装置を隔室の数だけ設置する必要があるため、コストが増大するという問題があった。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ケーソンの隔室内に投入する中詰材の高さ管理を、コストを抑制しながら効率よく行うことにある。
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
(1)水底に着底したケーソンに設けられた複数の隔室に対し、作業船に設置された投入手段を利用して中詰材を投入する際の支援を行う中詰材投入支援システムであって、前記投入手段により前記ケーソンの上方から投入されて前記隔室内に落下するまでの間の、中詰材の水平方向の落下範囲を計測する、少なくとも1つの落下範囲計測手段と、該落下範囲計測手段と通信可能に接続され、前記落下範囲計測手段による計測結果、及び、予め設定される、前記投入手段により一回に投入される中詰材の体積に基づいて、前記複数の隔室毎に中詰材の堆積高さを算出する制御手段と、該制御手段による算出結果を表示する表示手段と、を含む中詰材投入支援システム(請求項1)。
本項に記載の中詰材投入支援システムは、少なくとも1つの落下範囲計測手段、制御手段及び表示手段を含んでいる。落下範囲計測手段は、作業船に設置されたクレーン等の投入手段により、ケーソンに設けられた複数の隔室に中詰材が投入される際に、ケーソンの上方から投入されて隔室内に落下するまでの間の、中詰材の水平方向の落下範囲を計測するものである。この落下範囲計測手段による中詰材の落下範囲の計測は、投入手段による一回の投入作業の間に、複数回行われる。又、落下範囲計測手段は、その計測性能やケーソンの大きさ等に応じて、ケーソンに設けられた全隔室への中詰材の落下を計測するために必要な数が含まれる。なお、落下範囲計測手段によって計測する中詰材の落下範囲は、水平方向に連続した平面の位置情報として計測してもよく、水平方向に点在する複数の位置情報が集合したものとして計測してもよい。
制御手段は、落下範囲計測手段と通信可能に接続され、落下範囲計測手段から計測結果を取得する。又、制御手段には、投入手段によって一回の投入作業で投入される中詰材の体積(総量)が予め設定される。この中詰材の体積は、例えば、投入手段がグラブバケツを備えたクレーンである場合には、グラブバケツ一掴み分の中詰材の体積となる。そして、制御手段は、取得した落下範囲計測手段による計測結果と、予め設定された、一回の投入作業で投入される中詰材の体積とに基づいて、ケーソンの複数の隔室毎に、中詰材の堆積高さを算出する。すなわち、中詰材の落下範囲が判明することで、中詰材が落下した隔室が判明し、その判明した隔室内に、一回の投入作業で投入される体積分の中詰材が投入されたことになる。このため、制御手段は、中詰材の投入作業毎に、各隔室に投入された中詰材の体積を累積していき、この累積した体積を、隔室の深さ方向と直交する断面積で除することで、ケーソンの複数の隔室毎の、中詰材の堆積高さを算出するものである。そして、表示手段は、制御手段により算出された、ケーソンの複数の隔室毎の、中詰材の堆積高さ等を表示する。
上記のような構成により、本項に記載の中詰材投入支援システムは、作業員が直接計測作業を行うことなく、ケーソンの複数の隔室内の、中詰材の堆積高さを算出及び表示するため、中詰材の高さ管理が効率よく行われることとなる。更に、ケーソンの複数の隔室毎に、中詰材の堆積高さを計測する装置を設置する必要はなく、単純な構成であるため、コストが抑制される。又、表示手段により表示される内容を確認しながら、投入手段による中詰材の投入作業が行われることで、ケーソンの傾きを防止するように、複数の隔室内に均等に中詰材が投入されるような中詰材の投入位置が、容易に把握されるものとなる。
(2)上記(1)項において、前記制御手段は、前記落下範囲計測手段による計測結果に基づいて、前記ケーソンに対する前記落下範囲の相対座標を算出し、該相対座標に基づいて、前記複数の隔室の中から、中詰材が投入された少なくとも1つの隔室を判別すると共に、該中詰材が投入された少なくとも1つの隔室の、中詰材の堆積高さを更新するものである中詰材投入支援システム(請求項2)。
本項に記載の中詰材投入支援システムは、制御手段が、落下範囲計測手段により計測された、中詰材の水平方向の落下範囲に基づいて、ケーソンに対する中詰材の落下範囲の相対座標を算出する。すなわち、制御手段は、平面視のケーソンの寸法情報(ケーソンの長さ及び幅、各隔室の長さ及び幅等)、及び、落下範囲計測手段とケーソンとの位置関係を事前に把握し、これらの情報を利用して、落下範囲計測手段による計測結果を、ケーソンに対する中詰材の落下範囲の相対座標へと変換する。この際、落下範囲の相対座標は、落下範囲計測手段の計測結果に応じて、複数の位置座標が集合したものであってもよく、連続した平面を表す座標であってもよい。更に、制御手段は、算出した落下範囲の相対座標に基づいて、ケーソンに設けられた複数の隔室の中から、中詰材が投入された少なくとも1つの隔室を判別する。すなわち、隔室の寸法を含むケーソンの寸法情報から、平面視のケーソンにおける各隔室の、ケーソンに対する相対座標が把握され、これら各隔室の相対座標と、中詰材の落下範囲の相対座標とを比較することで、中詰材が投入された隔室が判別される。これにより、中詰材が投入された隔室が、正確に把握されることとなる。
又、制御手段は、中詰材が投入された少なくとも1つの隔室の、今回の投入作業において投入された中詰材の体積を算出し、それを前回の投入作業までに堆積された中詰材の体積に累積して、累積結果を隔室の断面積で除することで、中詰材の堆積高さを更新する。この際、中詰材が投入されなかったと判別された隔室については、中詰材の堆積高さを更新しない。これにより、中詰材が投入されたと判別された隔室についてのみ、中詰材の堆積高さを更新することとなるため、不要な計算は行わずに、中詰材の高さ管理に必要な情報を効率よく算出するものとなる。
(3)上記(2)項において、前記制御手段は、中詰材が投入された隔室を複数判別した場合に、前記投入手段により一回に投入される中詰材の体積あたりの、前記中詰材が投入された複数の隔室毎の、中詰材の投入量の体積比率を算出するものである中詰材投入支援システム(請求項3)。
本項に記載の中詰材投入支援システムは、制御手段が、一回の投入作業中に中詰材が投入された隔室を複数判別した場合、すなわち、中詰材の落下範囲の相対座標が、ケーソンの複数の隔室の相対座標と重なっていた場合に、それら複数の隔室毎に、投入された中詰材の体積比率を算出する。この際の体積比率とは、投入手段により一回の投入作業で投入される中詰材の体積あたりの、中詰材が投入されたと判別された複数の隔室毎の、各隔室への中詰材の投入量の体積比率である。
ここで、上述したように、落下範囲計測手段による中詰材の落下範囲の計測は、投入手段による一回の投入作業の間に、複数回行われる。又、中詰材の落下範囲は、投入手段の態勢の変化や、作業船の揺動等の影響によって、一回の投入作業中に刻々と変化する。このため、落下範囲計測手段により計測される中詰材の落下範囲は、一回の投入作業中であっても、計測の度に変化する。そこで、例えば、一回の投入作業の間に行われた、落下範囲計測手段による複数回の計測の結果に、1つの隔室(仮に隔室Aとする)に中詰材が投入されたと判別される測定結果と、その1つの隔室A及びそれに隣接する隔室(仮に隔室Bとする)の2つの隔室に中詰材が投入されたと判別される測定結果との、2パターンの測定結果が含まれている場合を例にして説明する。
まず、隔室Aにのみ中詰材が投入されたと判別される測定結果が得られた場合、すなわち、計測された中詰材の落下範囲の全てが、隔室Aの相対座標と重なっている場合は、その隔室Aに対して紐付けられる関連値として、計測された中詰材の落下範囲の面積(又は落下範囲に含まれる計測された位置情報(点)の数)を算出して保存する。そして、隔室Aにのみ中詰材が投入されたと判別される測定結果が得られる度に、計測された中詰材の落下範囲の面積(落下範囲に含まれる計測された位置情報の数)を算出して、隔室Aの関連値に累積していく。一方、2つの隔室A、Bに中詰材が投入されたと判別される測定結果が得られた場合、すなわち、計測された中詰材の落下範囲が、隔室A、Bの双方の相対座標と重なっている場合は、中詰材の落下範囲のうち、隔室Aの相対座標と重なっている領域の面積(又はその領域に含まれる計測された位置情報(点)の数)と、隔室Bの相対座標と重なっている残りの領域の面積(又はその領域に含まれる計測された位置情報(点)の数)とを算出する。そして、隔室Aの相対座標と重なっている領域の面積(その領域に含まれる計測された位置情報の数)を、上述した隔室Aの関連値に累積し、隔室Bの相対座標と重なっている領域の面積(その領域に含まれる計測された位置情報の数)を、隔室Bに対して紐付けられる関連値として保存、累積する。すなわち、隔室A、Bの双方に中詰材が投入されたと判別される測定結果が得られる度に、隔室A、Bの相対座標と重なっている夫々の領域の面積(又は夫々の領域に含まれる計測された位置情報(点)の数)を算出して、隔室A、Bの各々の関連値に累積していく。
上記のような面積(位置情報の数)の累積を、一回の投入作業中に行われる、落下範囲計測手段による複数回の計測の全てについて行い、最終的に得られた隔室Aの関連値と、最終的に得られた隔室Bの関連値との相対比を、上述した体積比率として利用する。具体的には、制御手段に予め設定される、一回の投入作業で投入される中詰材の体積を、隔室A、Bの関連値の相対比に従って2つに分け、隔室Aの関連値に対応する一方の体積を、隔室Aに投入された中詰材の体積として採用し、隔室Bの関連値に対応するもう一方の体積を、隔室Bに投入された中詰材の体積として採用するものである。このような計算を制御手段によって行うため、中詰材の落下範囲が刻々と変化する場合であっても、中詰材が投入された複数の隔室毎の、中詰材が堆積した高さを、正確に算出するものである。更に、上記のような計算を、中詰材が投入された隔室に加えて、平面視のケーソンの周縁よりも外側の範囲について行うこととすれば、ケーソンの何れの隔室にも投入されずに、ケーソン周辺の水中等へ落下した中詰材の体積も把握されるため、各隔室に堆積した中詰材の高さを、より正確に算出するものとなる。なお、上述した体積比率の算出方法は一例であり、一回の中詰材の投入作業中に行われる、落下範囲計測手段による複数回の計測結果を利用したものでああれば、他の算出方法であってもよい。
(4)上記(1)から(3)項において、前記落下範囲計測手段を複数含み、前記制御手段は、平面視での前記ケーソン及びその周辺の範囲を、前記複数の落下範囲計測手段の各々が担当する複数の領域に分割し、該領域毎に該領域を担当する落下範囲計測手段による計測結果を利用するものである中詰材投入支援システム。
本項に記載の中詰材投入支援システムは、落下範囲計測手段を複数含むものであり、ケーソンに設けられた全隔室への中詰材の落下を計測するように、落下範囲計測手段同士が離間して設置される。又、制御手段は、平面視におけるケーソン及びその周辺の範囲を、複数の落下範囲計測手段の各々が担当する複数の領域に分割する。例えば、落下範囲計測手段を2つ含む場合は、平面視におけるケーソン及びその周辺の範囲を、一方の落下範囲計測手段に比較的近く、その一方の落下範囲計測手段により計測を担当する1つの領域と、他方の落下範囲計測手段に比較的近く、その他方の落下範囲計測手段により計測を担当する残りのもう1つの領域との、2つの領域に仮想的に分割する。
そして、制御手段は、ケーソンの複数の隔室毎に中詰材の高さを算出する際に、分割した複数の領域毎に、各領域を担当する落下範囲計測手段による計測結果を利用する。すなわち、上述した落下範囲計測手段が2つである例に基づいて説明すると、制御手段は、分割した一方の領域については、その領域を担当する一方の落下範囲計測手段による計測結果を採用し、分割したもう一方の領域については、その領域を担当する他方の落下範囲計測手段による計測結果を採用する。換言すれば、一方の落下範囲計測手段により計測された、その落下範囲計測手段が担当する領域内で投入された中詰材の落下範囲と、他方の落下範囲計測手段により計測された、その落下範囲計測手段が担当するもう一方の領域内で投入された中詰材の落下範囲とを統合して、平面視におけるケーソン及びその周辺の範囲に投入された中詰材の落下範囲として利用する。
これにより、複数の落下範囲計測手段による計測結果のうち、異なる落下範囲計測手段により計測された中詰材の重複する落下範囲が、重複して利用されることが防止される。更に、複数の落下範囲計測手段を利用しているにも関わらず、各落下範囲計測手段による計測結果を統合して利用するため、結果の統合後は、1つの落下範囲計測手段を使用した場合と同様の計算方法で、ケーソンの複数の隔室毎の、中詰材の堆積高さを正確に算出するものとなる。なお、複数の落下範囲計測手段は、実際には、各々が担当する領域を超える範囲まで計測を行い、制御手段が各落下範囲計測手段から計測結果を取得した後に、制御手段によって、各計測結果の中の、その計測を行った落下範囲計測手段が担当する領域を超える部分に対してマスクをかけて利用されることにより、上記の方法が実現される。
(5)上記(1)から(4)項において、前記表示手段は、前記ケーソンの前記複数の隔室の平面配置図を表示すると共に、前記落下範囲計測手段により計測された中詰材の水平方向の落下範囲と、前記複数の隔室毎の中詰材の堆積高さとを、前記平面配置図に重ねて表示するものである中詰材投入支援システム(請求項4)。
本項に記載の中詰材投入支援システムは、表示手段が、ケーソンに設けられた複数の隔室を示す平面配置図を表示し、更に、中詰材の水平方向の落下範囲と、複数の隔室毎の中詰材の堆積高さとの双方を、ケーソンの隔室を示す平面配置図に重ねて表示するものである。
すなわち、落下範囲計測手段により計測された中詰材の落下範囲を、平面配置図に示された複数の隔室に重ねて表示することで、クレーン等の投入手段を操作するオペレータや作業管理者が、表示手段に表示された内容から、ケーソンの何れの隔室に中詰材が投入されているのかを、直感的に把握するものとなる。中詰材の落下範囲の表示は、一回の投入作業中に行われる、落下範囲計測手段による複数回の計測結果を経時的に表示するものとし、この際、各回の計測結果が所定時間(例えば数秒)ずつ残るように表示してもよく、計測時から経過した時間に応じて色分けして表示してもよい。更に、表示手段は、平面配置図に示された複数の隔室に、各隔室内の中詰材の堆積高さを重ねて表示するため、投入手段のオペレータや作業管理者により、各隔室内の中詰材の堆積高さが一目で把握される。これにより、複数の隔室内に均等に中詰材が投入されるように、次に中詰材を投入すべき隔室が、容易に把握されるものとなる。
(6)上記(1)から(5)項において、前記落下範囲計測手段が、前記ケーソンに隣接する既設ケーソン上、或いは、前記ケーソンに、該ケーソンの平面視の周縁よりも外側に突出して設けられた張り出し足場上に設置されている中詰材投入支援システム(請求項5)。
本項に記載の中詰材投入支援システムは、落下範囲計測手段が、ケーソンに隣接する既設ケーソン上、或いは、ケーソンに設けられた張り出し足場上に設置されるものである。すなわち、防波堤や護岸等を構築するためのケーソンは、複数連続して据付けられるため、新設するケーソンの近傍には既設ケーソンがあることが多く、この既設ケーソンを落下範囲計測手段の設置場所に利用するものである。この際、既設ケーソンの天端は、新設するケーソンの天端と基本的に同じ高さであるため、既設ケーソン上に落下範囲計測手段を設置することで、新設するケーソンの隔室に対して、ケーソンの上方から投入される中詰材の落下範囲が、適切な距離及び高さの位置から計測される。
一方、隣接する既設ケーソンが存在しない場合や、既設ケーソン上に設置した落下範囲計測手段から離間した適切な位置に、別の落下範囲計測手段をするための既設ケーソンが存在しない場合等は、新設するケーソンに、このケーソンの平面視の周縁よりも外側に突出した張り出し足場を設け、この張り出し足場上に落下範囲計測手段を設置する。これにより、落下範囲計測手段の設置に適した既設ケーソンが存在しない場合であっても、意図的に設けた張り出し足場上から計測を行うため、中詰材の落下範囲を適切に計測するものとなる。
(7)上記(1)から(6)項において、前記落下範囲計測手段がレーザ距離計である中詰材投入支援システム(請求項6)。
本項に記載の中詰材投入支援システムは、落下範囲計測手段がレーザ距離計であることで、レーザ光を利用して中詰材の落下範囲を計測する。ここで、レーザ距離計は、前方の水平方向の扇状の範囲に、分解能に応じた角度毎にレーザ光を照射し、計測対象物(中詰材)に反射したレーザ光を受光して、レーザ距離計から計測対象物までの距離や方角を計測するものである。この際、レーザ距離計から照射されるレーザ光は、水平方向に広がって落下する土砂等の中詰材の、レーザ距離計に対向する外側の部分のみで、全てが反射されるのではなく、土砂等の粒子の隙間を通って、水平方向に広がる中詰材の略全域において反射される。その結果として、レーザ距離計は、中詰材の水平方向の落下範囲を、水平方向に点在する複数の位置情報が集合したものとして計測することとなる。更に、レーザ距離計は、扇状の範囲照射による計測を、1秒あたりに複数回行うものであるため、投入手段による中詰材の一回の投入作業中に行われる、中詰材の落下範囲の計測回数が増加する。これにより、中詰材の落下範囲の計測が精度良く行われ、延いては、各隔室の中詰材の堆積高さが精度良く算出されるものとなる。
(8)水底に着底したケーソンに設けられた複数の隔室に対し、作業船に設置された投入手段を利用して中詰材を投入する際の支援を行う中詰材投入支援方法であって、少なくとも1つの落下範囲計測手段を利用して、前記投入手段により前記ケーソンの上方から投入されて前記隔室内に落下するまでの間の、中詰材の水平方向の落下範囲を計測する計測工程と、該計測工程における計測結果、及び、前記投入手段により一回に投入される中詰材の体積に基づいて、前記複数の隔室毎に中詰材の堆積高さを算出すると共に、該算出結果を表示手段へ表示する堆積高さ算出工程と、を含む中詰材投入支援方法(請求項7)。
(9)上記(8)項において、前記堆積高さ算出工程は、前記計測工程における計測結果に基づいて、前記ケーソンに対する前記落下範囲の相対座標を算出して表示する座標算出工程と、該座標算出工程において算出した相対座標に基づいて、前記複数の隔室の中から、中詰材が投入された少なくとも1つの隔室を判別する判別工程と、該判別工程において判別した少なくとも1つの隔室の、中詰材の堆積高さを更新して表示する更新工程と、を含む中詰材投入支援方法(請求項8)。
(10)上記(9)項において、前記堆積高さ算出工程は、前記判別工程において、中詰材が投入された隔室として複数の隔室を判別した場合に、前記投入手段により一回に投入される中詰材の体積あたりの、前記中詰材が投入された複数の隔室毎の、中詰材の投入量の体積比率を算出する体積比率算出工程を含む中詰材投入支援方法(請求項9)。
(11)上記(8)から(10)項における、前記計測工程において、前記落下範囲計測手段を複数利用して計測を行い、前記堆積高さ算出工程において、平面視での前記ケーソン及びその周辺の範囲を、前記複数の落下範囲計測手段の各々が担当する複数の領域に分割し、該領域毎に該領域を担当する落下範囲計測手段による計測結果を利用する中詰材投入支援方法。
(12)上記(8)から(11)項における、前記堆積高さ算出工程において、前記ケーソンの前記複数の隔室の平面配置図を表示すると共に、前記落下範囲計測手段により計測された中詰材の水平方向の落下範囲と、前記複数の隔室毎の中詰材の堆積高さとを、前記平面配置図に重ねて表示する中詰材投入支援方法(請求項10)。
(13)上記(8)から(12)項において、前記落下範囲計測手段を、前記ケーソンに隣接する既設ケーソン上、或いは、前記ケーソンに、該ケーソンの平面視の周縁よりも外側に突出して設けた張り出し足場上に設置する中詰材投入支援方法(請求項11)。
(14)上記(8)から(13)項において、前記落下範囲計測手段としてレーザ距離計を利用する中詰材投入支援方法(請求項12)。
そして、(8)から(14)項に記載の中詰材投入支援方法は、各々、上記(1)から(7)項の中詰材投入支援システムを用いて実行されることで、上記(1)から(7)項の中詰材投入支援システムと同等の作用を奏するものである。
本発明は上記のような構成であるため、ケーソンの隔室内に投入する中詰材の高さ管理を、コストを抑制しながら効率よく行うことが可能となる。
以下、本発明を実施するための形態を、添付図面に基づき説明する。なお、図面の全体にわたって、同一部分又は対応する部分は同一符号で示している。
図1は、本発明の実施の形態に係る中詰材投入支援システム10の構成を概略的に示している。中詰材投入支援システム10は、作業船40に搭載された投入手段42によって、新設するケーソン30の複数の隔室32内に中詰材50(図5及び図6参照)を投入する際の、支援を行うためのものである。図1(b)には、ケーソン30に横付けした状態の作業船40として、ジブ44とジブ44の先端からワイヤを介して吊り下げられるグラブバケツ46とを備えるクレーン(投入手段)42を搭載した、ガット船40を図示しており、ガット船40の船倉には中詰材50が積み込まれている。
具体的に、中詰材投入支援システム10は、落下範囲計測手段12、制御手段14及び表示手段16を含んでいる。本実施例では、落下範囲計測手段12として2つの落下範囲計測手段12A、12Bを、表示手段16として2つの表示手段16A、16Bを、夫々含んでいる。落下範囲計測手段12は、ガット船40のクレーン42によって、ケーソン30の上方から隔室32へ投入される中詰材50の、水平方向の落下範囲を計測するためのものであり、本実施例では、落下範囲計測手段12としてレーザ距離計12を用いている。又、図1の例において、レーザ距離計12は、レーザ距離計12Aとレーザ距離計12Bとの2台が設置されている。一方のレーザ距離計12Aは、ケーソン30に隣接する既設ケーソン38上に設置されており、他方のレーザ距離計12Bは、ケーソン30に設けられた、ケーソン30の平面視における周縁よりも外側(図1(b)における右側)へ突出した張り出し足場34上に設置されている。
ここで、2台のレーザ距離計12A、12Bの設置位置は、2台のレーザ距離計12A、12Bによって、少なくともケーソン30の平面視範囲の全てを計測範囲としてカバーできるような位置であればよい。更に、レーザ距離計12の性能やケーソン30の大きさ等に応じて、ケーソン30の平面視範囲の全てを計測範囲としてカバーできれば、レーザ距離計12の設置台数が1台であってもよく、3台以上であってもよい。又、中詰材投入支援システム10で利用するレーザ距離計12としては、例えば、ジック株式会社のLMシリーズのレーザ距離計が挙げられる。その一例として、型番LMS511のレーザ距離計の性能は、計測距離が40m、計測範囲が水平190°の扇状範囲、分解能が0.167°、計測回数が1秒間に25回である。
制御手段14は、詳しくは後述するが、レーザ距離計12により計測された、中詰材50の水平方向の落下範囲に基づいて、ケーソン30の各隔室32内に堆積された中詰材50の堆積高さ等を算出し、算出した結果を表示手段16に表示させるものである。制御手段14には、演算装置を備える各種のコンピュータが利用可能である。又、表示手段16は、制御手段14の算出結果等を表示するものであり、本実施例では2つの表示手段16A、16Bが設置されている。2つの表示手段16A、16Bは、基本的に同じ表示内容を表示する。表示手段16には、例えば、液晶画面等のPC用のディスプレイが利用される。そして、本実施例では、制御手段14と表示手段16Aとを兼ねた管理者用PCとして、無線LANのアクセス機能を備えたノート型PCやタブレット型PC等が、ケーソン30に隣接した既設ケーソン30上に設置されている。又、ガット船40のクレーン42のオペレータが参照する表示手段16Bとして、無線LANのアクセス機能を備えたノート型PCやタブレット型PC等が、ガット船40のクレーンオペレータ室48に設置されている。
更に、図1の例では、無線LANアクセスポイント22が3箇所に構築され、又、2つのメディア変換器20が設置されている。本実施例におけるメディア変換器20は、レーザ距離計(落下範囲計測手段)12が備える通信規格(RS−232Cシリアル通信等)を、イーサネット(登録商標)規格に変換するものである。そして、無線LANアクセスポイント22Aとメディア変換器20Aとは、レーザ距離計12Aの近傍、すなわち既設ケーソン38上に設けられており、レーザ距離計12Aとメディア変換器20Aとの間が、シリアルケーブルで接続され、メディア変換器20Aと無線LANアクセスポイント22Aとの間が、LANケーブルで接続される。又、無線LANアクセスポイント22Bとメディア変換器20Bとは、レーザ距離計12Bの近傍、すなわち張り出し足場34上に設けられており、レーザ距離計12Bとメディア変換器20Bとの間が、シリアルケーブルで接続され、メディア変換器20Bと無線LANアクセスポイント22Bとの間が、LANケーブルで接続される。
一方、無線LANアクセスポイント22Cは、表示手段16Bの近傍、すなわちガット船40のクレーンオペレータ室48近傍に設置されている。そして、無線LANアクセスポイント22A、22B、22Cの間は、相互に無線LAN通信が可能に設定されている。更に、制御手段14及び表示手段16Aを構成する、無線LANのアクセス機能を備えたノート型PCやタブレット型PC等が、近傍に設置された無線LANアクセスポイント22Aと無線LAN通信を行い、表示手段16Bを構成する、無線LANのアクセス機能を備えたノート型PCやタブレット型PC等が、近傍に設置された無線LANアクセスポイント22Cと無線LAN通信を行うように設定される。このような構成により、レーザ距離計12A及び12Bと制御手段14との間が、通信可能に接続され、かつ、制御手段14と表示手段16Bとの間が、通信可能に接続される。
無線LANアクセスポイント22には、汎用の無線LAN中継器等が用いられ、メディア変換器20には、落下範囲計測手段12が備える通信規格からイーサネット規格に変換することが可能な、各種のメディアコンバータ等が用いられる。なお、落下範囲計測手段12がイーサネット規格に対応していれば、メディア変換器20は不要となり、落下範囲計測手段12と無線LANアクセスポイント22との間をLANケーブルで接続すればよい。又、図1(a)に示す各構成要素間を結んでいる線は、その線種が破線である場合に、構成要素間が無線で接続されていることを示し、その線種が実線である場合に、構成要素間が有線で接続されていることを示している。
続いて、図2に示すフロー図に沿って、図3から図7を参照しながら、上述した中詰材投入支援システム10を用いて実行する、本発明の実施の形態に係る中詰材投入支援方法について説明する。なお、中詰材投入支援システム10は、図1に示した構成のものを使用することとする。又、図3に示すケーソン30の構成は、図1(b)に示したケーソン30の構成と異なるが、以降は、図3に示すケーソン30の隔室32に対して、中詰材50を投入する場合を例にして説明する。
S10(機材設置):中詰材投入支援システム10の各構成要素を設置する。特に、レーザ距離計12は、ケーソン30の隔室32に投入される中詰材50の落下範囲を、適切に計測できる位置に設置する。例えば、レーザ距離計12を2台設置する場合は、図1(b)に示したように、レーザ距離計12Aを既設ケーソン38上に設置し、レーザ距離計12Bを張り出し足場34上に設置する。そして、メディア変換器20A及び無線LANアクセスポイント22Aをレーザ距離計12Aの近傍に設置し、メディア変換器20B及び無線LANアクセスポイント22Bをレーザ距離計12Bの近傍に設置する。更に、制御手段14及び表示手段16Aを、作業管理者が管理を行う場所(図1(b)の例では既設ケーソン38上)に設置し、表示手段16Bをガット船40のクレーンオペレータ室48内に設置し、無線LANアクセスポイント22Cを表示手段16Bの近傍に設置する。
S20(情報登録):制御手段14に対し、中詰材50の投入を支援するために必要な、各種の情報を登録する。具体的には、ケーソン30の寸法情報、レーザ距離計12A及び12Bとケーソン30との位置関係、クレーン42により一回に投入される中詰材50の体積(グラブバケツ46の一掴み分の体積)、レーザ距離計12A及び12Bの夫々が担当する計測領域等を登録する。ケーソン30の寸法情報には、図3に示すように、ケーソン30の長さs、ケーソン30の幅t、隔室32の長さu、隔室32の幅v、隔壁の図3における横方向の厚みw、隔壁の図3における縦方向の厚みx、外壁の図3における横方向の厚みy、外壁の図3における縦方向の厚みzが含まれる。又、本実施例では、平面視のケーソン30の、図3に示す分割線Lよりも左側の領域を、レーザ距離計12Aが担当する計測領域として登録し、分割線Lよりも右側の領域を、レーザ距離計12Bが担当する計測領域として登録する。なお、図3に示すケーソン30の構成は一例であり、ケーソン30に設けられた隔室32の数等は、図3の例と異なっていてもよい。各レーザ距離計12A、12Bの担当する計測領域についても同様である。
S30(表示及び計測開始):制御手段14により、例えば、図4に示すような画面構成の表示を、表示手段16A、16Bの双方に表示させる。ここで、図4に示す画面構成について説明すると、符号60で示されるのは、ケーソン30の複数の隔室32の平面配置図であり、この平面配置図60に示されるケーソン及び隔室の形状や配置は、上記S20において登録されたケーソン30の寸法情報に基づいている。そして、例えば、平面配置図60に符号32a、32b、32cで示されている隔室表示は、図3に示されているケーソン30の隔室32A、32B、32Cに夫々対応している。更に、平面配置図60の隔室表示に重ねて、ケーソン30の複数の隔室32毎の、中詰材50の堆積高さが表示される。図4の例は、何れの隔室32にも未だ中詰材50が投入されていない状態を示しており、全ての隔室表示において、中詰材50の堆積高さが「00.0m」と表示されている。
又、符号62で示されるのは、中詰材50が投入されている等の投入判定を示す表示領域である。符号64及び66で示されるのは、レーザ距離計12A及び12Bと制御手段14との接続状況を示す表示領域である。すなわち、表示領域64の上側に表示された「装置1」がレーザ距離計12Aに対応し、例えば、レーザ距離計12Aと制御手段14とが接続されている状況では、表示領域64の左側を点灯、右側を消灯させ、レーザ距離計12Aと制御手段14とが接続されていない状況では、表示領域64の左側を消灯、右側を点灯させる。同様に、表示領域66の上側に表示された「装置2」がレーザ距離計12Bに対応し、表示領域66の左右の点灯及び消灯を切り替えることで、レーザ距離計12Bと制御手段14との接続状況が示される。
又、符号68で示されるのは、中詰材投入支援システム10を用いて計測を開始する場合や、中断していた計測を再開する場合に操作する計測開始ボタンであり、符号70で示されるのは、計測を中断する場合や終了する場合に操作する計測終了ボタンである。
そして、図4のような表示を表示手段16A、16Bに表示させた後、ガット船40のクレーン42により、ケーソン30の隔室32に対して中詰材50の投入を開始するタイミングで、中詰材投入支援システム10を用いた計測を開始する。例えば、作業管理者によって、表示手段16Aに表示された計測開始ボタン68を操作することで、計測が開始される。
S40(レーザ計測):図5及び図6に例示されるように、レーザ距離計12(12A、12B)により、クレーン42のグラブバケツ46から投入される中詰材50に対して、レーザ光12aを照射することで、ケーソン30の上方から隔室32内に落下するまでの間の、中詰材50の水平方向の落下範囲を計測する。この際、レーザ距離計12A、12Bの設置位置と中詰材50が投入された位置との関係に応じて、レーザ距離計12A、12Bの何れか一方で、中詰材50の落下範囲を計測してもよく、レーザ距離計12A、12Bの双方で、中詰材50の落下範囲を重複して計測してもよい。レーザ距離計12A、12Bによる計測は、クレーン42による中詰材50の一回の投入作業中に、複数回行う。この際、例えば、レーザ距離計12として、上述したジック株式会社製のLMS511を用いるとすれば、1秒間に25回の計測が行われる。なお、レーザ距離計12では、レーザ距離計12から計測対象物である中詰材50までの距離と、レーザ距離計12から中詰材50までの方角とが、水平方向に広がって落下する中詰材50の、略全域にわたって計測される。このため、レーザ距離計12の計測結果は、中詰材50に含まれる土砂等の位置を示す、複数の位置情報が集合したデータとなる。なお、本工程S40が、中詰材投入支援方法の「計測工程」に相当する。
S50(堆積高さ算出):制御手段14により、ケーソン30の複数の隔室32内に堆積した中詰材50の堆積高さを、隔室32毎に算出する。具体的に、本工程S50は、下記の如きS60からS110で構成される。なお、本工程S50が、中詰材投入支援方法の「堆積高さ算出工程」に相当する。
S60(中詰材投入座標算出・表示):上記S40において計測された中詰材50の落下範囲に基づいて、制御手段14により、ケーソン30に対する、中詰材50の落下範囲の相対座標を算出する。具体的に、制御手段14は、レーザ距離計12A、12Bから夫々の計測結果を取得し、上記S20において登録されたケーソン30の寸法情報や、レーザ距離計12A、12Bとケーソン30との位置関係等に基づいて、レーザ距離計12A、12Bの夫々の計測結果を、ケーソン30に対する相対座標へと換算する。すなわち、レーザ距離計12A、12Bの夫々により計測された、中詰材50の落下範囲を示す複数の位置情報が集合したデータを、ケーソン30に対する複数の相対座標が集合したデータへと換算する。そして、レーザ距離計12Aに係る、複数の相対座標が集合したデータから、図3に示す分断線Lよりも図中左側の領域に含まれる相対座標のみを抽出する。同様に、レーザ距離計12Bに係る、複数の相対座標が集合したデータから、図3に示す分断線Lよりも図中右側の領域に含まれる相対座標のみを抽出する。
更に、レーザ距離計12Aに係る抽出後の相対座標と、レーザ距離計12Bに係る抽出後の相対座標とを統合して、平面視のケーソン30の全範囲において計測された、中詰材50の水平方向の落下範囲を示す、複数の相対座標が集合したデータとして使用する。すなわち、例えば、中詰材50の落下範囲の全体が、図3に示す分断線Lよりも図中左側の領域に含まれる場合は、その落下範囲がレーザ距離計12A、12Bの双方によって計測されたとしても、制御手段14によって、レーザ距離計12Aによる計測結果のみが使用される。又、中詰材50の落下範囲が分断線Lを跨いでいる場合は、制御手段14によって、落下範囲のうち、分断線Lよりも図3中左側の領域に含まれる範囲について、レーザ距離計12Aによる計測結果が使用され、分断線Lよりも図3中右側の領域に含まれる範囲について、レーザ距離計12Bによる計測結果が使用される。
上記のように中詰材50の落下範囲の相対座標を算出した後、制御手段14により、表示手段16A、16Bに中詰材50の落下範囲を表示させる。すなわち、ケーソン30を表す図4に示した平面配置図60を、ケーソン30に対する座標系として見立て、算出した中詰材50の落下範囲の相対座標を利用して、平面配置図60に重ねて中詰材50の落下範囲を表示する。ここで、クレーン42のグラブバケツ46は、2つのバケツを、下方が開放するように軸着した構造を有している。よって、グラブバケツ46から投入される中詰材50は、グラブバケツ46が開き始めたときには、開いたグラブバケツ46の隙間から落下し、グラブバケツ46がある程度開いた後は、2つのバケツの各々から落下する。すなわち、中詰材50は、クレーン42による一回の投入作業中に、グラブバケツ46の隙間から纏まって落下する、図6に符号50Aで示したような状態から、2つのバケツから2つに分かれて落下する、図6に符号50Bで示したような状態へと変化する。
そして図7には、上記のように落下状態が変化する中詰材50の、落下範囲表示50aの表示例を示している。図7の例では、レーザ距離計12により計測された中詰材50の落下範囲表示50aを、所定時間中の計測結果毎に色分けして表示し、更に、レーザ距離計12によって計測されたタイミングから、前記の所定時間よりも長い時間、色分けした各々の表示が残るようにしている。図7(a)には、初めは1つに纏まっていた落下範囲表示50aが、徐々に2つに分かれていく様子が示されており、図7(b)には、2つに分かれた落下範囲表示50aのみが表示されている。なお、本工程S60が、中詰材投入支援方法の「座標算出工程」に相当する。
S70(中詰材落下の隔室判別):上記S60で算出した結果に基づき、制御手段14により、ケーソン30の複数の隔室32の中から、クレーン42による一回の投入作業中に、中詰材50が落下した隔室32を判別する。すなわち、上記S60では、ケーソン30に対する、中詰材50の落下範囲の相対座標を算出しているため、この算出した相対座標と、隔室32の寸法を含むケーソン30の寸法情報とから、中詰材50が落下した隔室32を判別する。この際、中詰材50の一部が、ケーソン30の何れの隔室32にも落下せずに、ケーソン30周辺の水中等に落下したことが判明した場合は、ケーソン30の周辺領域全体を、仮想的な1つの隔室(以下、「仮隔室」とする)に見立て、この仮隔室を中詰材50が落下した1つの隔室32として判別してもよい。図7に示した例の場合、中詰材50の落下範囲表示50aが、平面配置図60の隔室表示32a、32b、32cと重なっているため、ケーソン30の隔室32A、32B、32Cに、中詰材50が落下したことが判別される。なお、本工程S70が、中詰材投入支援方法の「判別工程」に相当する。
S80(判別した隔室数判定):制御手段14により、上記S70において判別した、中詰材50が落下した隔室32が、複数であるか否かを判定する。そして、判別した隔室32が複数である場合(YES)は、S90へ移行し、判別した隔室32が1つである場合(NO)は、S100へ移行する。なお、上記S70において、1つ以上の隔室32と、ケーソン30周辺を示す仮隔室とに、中詰材50が落下したと判別された場合は、中詰材50が落下した隔室32が複数であるとして、S90へ移行する。
S90(隔室毎の中詰材投入量の体積比率算出):上記S70において判別した隔室32が複数である場合、制御手段14により、複数の隔室32毎に、中詰材50の投入量の体積比率を算出する。一例として、図7の例のように、隔室32A、32B、32Cの3つの隔室32に中詰材50が落下した場合について説明する。本実施例では、レーザ距離計12により、中詰材50の水平方向の落下範囲を、複数の位置情報が集合したデータとして計測し、その計測結果を、ケーソン30に対する、複数の相対座標が集合したデータへ変換している。そして、この集合データに含まれる複数の相対座標の各々は、ケーソン30に対する隔室32A、32B、32Cの相対座標の、何れかと重なることになる。
そこで、中詰材50の落下範囲を示す集合データに含まれる複数の相対座標のうち、隔室32Aと重なる複数の相対座標の数と、隔室32Bと重なる複数の相対座標の数と、隔室32Cと重なる複数の相対座標の数とを算出する。この計算を、クレーン42による一回の投入作業中に行われた、レーザ距離計12による全ての計測の度に行う。更に、得られた計算結果を、隔室32A、32B、32C毎に累積していき、最終的に得られた隔室32A、32B、32Cの夫々に係る累積結果を、隔室32A、32B、32Cの関連値として保存する。このように保存した隔室32A、32B、32Cの関連値同士の比率が、隔室32A、32B、32C毎の、中詰材50の投入量の体積比率となる。なお、上記S70において、1つ以上の隔室32と、ケーソン30周辺を示す仮隔室とに、中詰材50が落下したと判別された場合は、1つ以上の隔室32と仮隔室との夫々に対する、中詰材50の投入量の体積比率を、上記と同様の方法で算出すればよい。又、本工程S90が、中詰材投入支援方法の「体積比率算出工程」に相当する。
S100(各隔室に投入された中詰材体積算出):制御手段14により、クレーン42による一回の投入作業中に各隔室32に投入された、中詰材50の体積を算出する。ここで、上記S80において、中詰材50が落下した隔室32が1つであると判定されている場合は、上記S70で判別されたその1つの隔室32に、クレーン42によって一回の投入作業で投入される、全ての中詰材50が投入されたことになる。従って、上記S20において登録された、クレーン42により一回に投入される中詰材50の体積を、上記S70で判別された1つの隔室32に対して投入された、中詰材50の体積として採用する。
一方、上記S80において、中詰材50が落下した隔室32が複数であると判定されている場合は、上記S90において算出した、中詰材50が落下した複数の隔室32毎の、中詰材50の投入量の体積比率を利用する。すなわち、図7の例の場合には、上記S90において、中詰材50が落下した隔室32A、32B、32Cの関連値を保存している。このため、上記S20において登録された、クレーン42により一回に投入される中詰材50の体積を、隔室32A、32B、32Cの関連値間の比率に従って3つに分ける。そして、3つに分けた体積のうち、隔室32Aの関連値の比率に基づく体積を、隔室32Aに投入された中詰材50の体積として採用し、隔室32Bの関連値の比率に基づく体積を、隔室32Bに投入された中詰材50の体積として採用し、隔室32Cの関連値の比率に基づく体積を、隔室32Cに投入された中詰材50の体積として採用する。
なお、1つ以上の隔室32と、ケーソン30周辺を示す仮隔室とに、中詰材50が落下している場合には、クレーン42により一回に投入される中詰材50の体積を、1つ以上の隔室32と仮隔室との関連値間の比率に従って分け、少なくとも、1つ以上の隔室32の関連値の比率に基づく体積を、その1つ以上の隔室32に投入された中詰材50の体積として採用すればよい。すなわち、クレーン42により一回に投入される中詰材50の体積のうち、1つ以上の隔室32に投入された中詰材50の体積を算出すればよく、仮隔室に投入された(ケーソン30の周辺に落下した)中詰材50の体積の算出は任意である。これは、ケーソン30の周辺に落下した中詰材50の体積を算出しなくとも、上記のような計算により、クレーン42により一回に投入される中詰材50の体積から、ケーソン30の周辺に落下した中詰材50の体積を減算した体積が、1つ以上の隔室32に投入されたという処理がなされるためである。なお、ケーソン30の周辺に落下した中詰材50の体積を算出して、管理することとしてもよい。
S110(隔室毎の中詰材の堆積高さ更新・表示):制御手段14により、ケーソン30に設けられた複数の隔室32毎の、中詰材50の堆積高さを更新する。ここで、制御手段14は、ケーソン30の複数の隔室32毎に、各隔室32内に堆積された中詰材50の総体積及び堆積高さを保存している。例えば、ケーソン30が図3に示すような構成である場合、ケーソン30は12個の隔室32を備えているため、制御手段14は、12個の隔室32夫々の、堆積された中詰材50の総体積及び堆積高さを保存している。そして、図7の例のように、12個の隔室32のうち、隔室32A、32B、32Cの3つの隔室32に中詰材50が投入された場合、上記S100において算出した、隔室32A、32B、32Cの夫々に投入された中詰材50の体積を、前回の投入作業までに隔室32A、32B、32Cの夫々に堆積された中詰材50の総体積に加算する。これにより、例えば、今回の中詰材50の投入作業が、ケーソン30に対する初めての投入作業である場合は、隔室32A、32B、32Cの夫々に堆積された中詰材50の総体積が、上記S100において算出した、隔室32A、32B、32Cの夫々に投入された中詰材50の体積と等しくなり、隔室32A、32B、32C以外の残りの隔室32の、夫々の中詰材50の総体積は、ゼロのままである。
続いて、制御手段14により、今回の投入作業によって中詰材50の体積が加算された隔室32A、32B、32Cの夫々に堆積されている、中詰材50の堆積高さを算出する。すなわち、各隔室32A、32B、32C内の中詰材50の総体積を、上記S20において登録された寸法情報から算出される、各隔室32A、32B、32Cの深さ方向と直交する断面積で除することで、各隔室32A、32B、32C内の中詰材50の堆積高さを算出する。そして、前回の投入作業後に保存していた各隔室32A、32B、32C内の中詰材50の堆積高さを、上記のように算出した各堆積高さへと更新する。更に、表示手段16により平面配置図60に重ねて表示している、12個の隔室32内に堆積された中詰材50の堆積高さ表示のうち、隔室32A、32B、32C内の中詰材50の堆積高さ表示を、更新後の堆積高さへと更新して表示する。なお、本工程S110が、中詰材投入支援方法の「更新工程」に相当する。
S120(計測継続の判定):中詰材投入支援システム10を用いた計測を継続するか否かを判定する。すなわち、中詰材50の投入作業を続けて行う場合は、中詰材投入支援システム10を用いた計測を継続する必要がある(YES)ため、上記S40へ復帰する。一方、ケーソン30の各隔室32内に、計画通りの量の中詰材50を投入した場合や、中詰材50の投入作業を中断する場合等(NO)は、例えば、作業管理者等によって、表示手段16に表示された計測終了ボタン70を操作することで、中詰材投入支援システム10を用いた計測を、終了或いは中断する。なお、中断後に計測を再開する場合は、上記S30から始めればよい。
さて、上記構成をなす本発明の実施の形態によれば、次のような作用効果を得ることが可能である。すなわち、本発明の実施の形態に係る中詰材投入支援システム10は、図1に示すように、少なくとも1つの落下範囲計測手段12、制御手段14及び表示手段16を含んでいる。落下範囲計測手段12は、作業船40に設置されたクレーン等の投入手段42により、ケーソン30に設けられた複数の隔室32に中詰材50が投入される際に、ケーソン30の上方から投入されて隔室32内に落下するまでの間の、中詰材50の水平方向の落下範囲を計測する(図2のS40)ものである(図5、図6参照)。この落下範囲計測手段12による中詰材50の落下範囲の計測は、投入手段42による一回の投入作業の間に、複数回行われる。又、落下範囲計測手段12は、その計測性能やケーソン30の大きさ等に応じて、ケーソン30に設けられた全隔室32への中詰材50の落下を計測するために必要な数が含まれ、図1の例では2つの落下範囲計測手段12A、12Bが含まれている。なお、落下範囲計測手段12によって計測する中詰材50の落下範囲は、水平方向に連続した平面の位置情報として計測してもよく、水平方向に点在する複数の位置情報が集合したものとして計測してもよい。又、一回の投入作業の間の、中詰材50の落下範囲の計測回数が多いほど、中詰材50の落下範囲は高精度に把握可能となる。
制御手段14は、図1の例ではメディア変換器20及び無線LANアクセスポイント22を介して、落下範囲計測手段12と通信可能に接続され、落下範囲計測手段12から計測結果を取得する。又、制御手段14には、投入手段42によって一回の投入作業で投入される中詰材50の体積(総量)が予め設定される(図2のS20)。この中詰材50の体積は、図1の例のように、投入手段42がグラブバケツ46を備えたクレーン42である場合には、グラブバケツ46一掴み分の中詰材50の体積となる。そして、制御手段14は、取得した落下範囲計測手段12による計測結果と、予め設定された、一回の投入作業で投入される中詰材50の体積とに基づいて、ケーソン30の複数の隔室32毎に、中詰材50の堆積高さを算出する(図2のS50)。すなわち、中詰材50の落下範囲が判明することで、中詰材50が落下した隔室32が判明し、その判明した隔室32内に、一回の投入作業で投入される体積分の中詰材50が投入されたことになる。このため、制御手段14は、中詰材50の投入作業毎に、各隔室32に投入された中詰材50の体積を累積していき、この累積した体積を、隔室32の深さ方向と直交する断面積で除することで、ケーソン30の複数の隔室32毎の、中詰材50の堆積高さを算出するものである。そして、表示手段16は、制御手段14により算出された、ケーソン30の複数の隔室32毎の、中詰材50の堆積高さ等を表示する(図4参照)。
上記のような構成により、本発明の実施の形態に係る中詰材投入支援システム10は、作業員が直接計測作業を行うことなく、ケーソン30の複数の隔室32内の、中詰材50の堆積高さを算出及び表示するため、中詰材50の高さ管理を効率よく行うことができる。更に、ケーソン30の複数の隔室32毎に、中詰材50の堆積高さを計測する装置を設置する必要はなく、単純な構成であるため、コストを抑制することができる。又、表示手段16により表示される内容を確認しながら、投入手段42による中詰材50の投入作業を行うことで、ケーソン30の傾きを防止するように、複数の隔室32内に均等に中詰材50を投入するような中詰材50の投入位置を、容易に把握すること可能となる。
更に、本発明の実施の形態に係る中詰材投入支援システム10は、図1(b)に示すように、落下範囲計測手段12が、ケーソン30に隣接する既設ケーソン38上、或いは、ケーソン30に設けられた張り出し足場34上に設置されるものである。すなわち、防波堤や護岸等を構築するためのケーソン30は、複数連続して据付けられるため、新設するケーソン30の近傍には既設ケーソン38があることが多く、この既設ケーソン38を落下範囲計測手段12の設置場所に利用するものである。この際、既設ケーソン38の天端は、新設するケーソン30の天端と基本的に同じ高さであるため、既設ケーソン38上に落下範囲計測手段12を設置することで、新設するケーソン30の隔室32に対して、ケーソン30の上方から投入される中詰材50の落下範囲を、適切な距離及び高さの位置から計測することができる。
一方、隣接する既設ケーソン38が存在しない場合や、既設ケーソン38上に設置した落下範囲計測手段12から離間した適切な位置に、別の落下範囲計測手段12をするための既設ケーソン38が存在しない場合等は、新設するケーソン30に、このケーソン30の平面視の周縁よりも外側に突出した張り出し足場34を設け、この張り出し足場34上に落下範囲計測手段12を設置する。これにより、落下範囲計測手段12の設置に適した既設ケーソン38が存在しない場合であっても、意図的に設けた張り出し足場34上から計測を行うため、中詰材50の落下範囲を適切に計測することができる。
又、本発明の実施の形態に係る中詰材投入支援システム10は、図1の例のように、落下範囲計測手段12を複数含む場合、ケーソン30に設けられた全隔室32への中詰材50の落下を計測するように、落下範囲計測手段12A、12B同士が離間して設置される。又、制御手段14は、平面視におけるケーソン30及びその周辺の範囲を、複数の落下範囲計測手段12A、12Bの各々が担当する複数の領域に分割する。図1のように2つの落下範囲計測手段12A、12Bを含む場合は、平面視におけるケーソン30及びその周辺の範囲を、一方の落下範囲計測手段12Aに比較的近く、その落下範囲計測手段12Aにより計測を担当する1つの領域と、他方の落下範囲計測手段12Bに比較的近く、その落下範囲計測手段12Bにより計測を担当する残りのもう1つの領域との、図3に示す分断線Lによって分けられるような、2つの領域に仮想的に分割する。
そして、制御手段14は、ケーソン30の複数の隔室32毎に中詰材50の高さを算出する際に、分割した複数の領域毎に、各領域を担当する落下範囲計測手段12による計測結果を利用する。すなわち、図1の例に基づいて説明すると、制御手段14は、分割した一方の領域については、その領域を担当する一方の落下範囲計測手段12Aによる計測結果を採用し、分割したもう一方の領域については、その領域を担当する他方の落下範囲計測手段12Bによる計測結果を採用する。換言すれば、一方の落下範囲計測手段12Aにより計測された、その落下範囲計測手段12Aが担当する領域内で投入された中詰材50の落下範囲と、他方の落下範囲計測手段12Bにより計測された、その落下範囲計測手段12Bが担当するもう一方の領域内で投入された中詰材50の落下範囲とを統合して、平面視におけるケーソン30及びその周辺の範囲に投入された中詰材50の落下範囲として利用する。
これにより、複数の落下範囲計測手段12による計測結果のうち、異なる落下範囲計測手段12により計測された中詰材50の重複する落下範囲を、重複して利用することを防止することができる。更に、複数の落下範囲計測手段12を利用しているにも関わらず、各落下範囲計測手段12による計測結果を統合して利用するため、結果の統合後は、1つの落下範囲計測手段12を使用した場合と同様の計算方法で、ケーソン30の複数の隔室32毎の、中詰材50の堆積高さを正確に算出することができる。なお、複数の落下範囲計測手段12は、実際には、各々が担当する領域を超える範囲まで計測を行い、制御手段14が各落下範囲計測手段12から計測結果を取得した後に、制御手段14によって、各計測結果の中の、その計測を行った落下範囲計測手段12が担当する領域を超える部分に対してマスクをかけて利用されることにより、上記の方法が実現される。
又、本発明の実施の形態に係る中詰材投入支援システム10は、制御手段14が、落下範囲計測手段12により計測された、中詰材50の水平方向の落下範囲に基づいて、ケーソン30に対する中詰材50の落下範囲の相対座標を算出する(図2のS60)。すなわち、制御手段14は、平面視のケーソン30の寸法情報(図3に示すケーソン30の長さs及び幅t、各隔室32の長さu及び幅v等)、及び、落下範囲計測手段12とケーソン30との位置関係を事前に把握し(図2のS20)、これらの情報を利用して、落下範囲計測手段12による計測結果を、ケーソン30に対する中詰材50の落下範囲の相対座標へと変換する。この際、落下範囲の相対座標は、落下範囲計測手段12の計測結果に応じて、複数の位置座標が集合したものであってもよく、連続した平面を表す座標であってもよい。更に、制御手段14は、算出した落下範囲の相対座標に基づいて、ケーソン30に設けられた複数の隔室32の中から、中詰材50が投入された少なくとも1つの隔室32を判別する(図2のS70)。すなわち、隔室32の寸法を含むケーソン30の寸法情報から、平面視のケーソン30における各隔室32の、ケーソン30に対する相対座標が把握され、これら各隔室32の相対座標と、中詰材50の落下範囲の相対座標とを比較することで、中詰材50が投入された隔室32を判別することができる。これにより、中詰材50が投入された隔室32を、正確に把握することが可能となる。
又、制御手段14は、中詰材50が投入された少なくとも1つの隔室32の、今回の投入作業において投入された中詰材50の体積を算出し(図2のS100)、それを前回の投入作業までに堆積された中詰材50の体積に累積して、累積結果を隔室32の断面積で除することで、中詰材50の堆積高さを更新する(図2のS110)。この際、中詰材50が投入されなかったと判別された隔室32については、中詰材50の堆積高さを更新しない。これにより、中詰材50が投入されたと判別された隔室32についてのみ、中詰材50の堆積高さを更新することとなるため、不要な計算は行わずに、中詰材50の高さ管理に必要な情報を効率よく算出することができる。
更に、本発明の実施の形態に係る中詰材投入支援システム10は、制御手段14が、一回の投入作業中に中詰材50が投入された隔室32を複数判別した場合、すなわち、中詰材50の落下範囲の相対座標が、ケーソン30の複数の隔室32の相対座標と重なっていた場合に、それら複数の隔室32毎に、投入された中詰材50の体積比率を算出する(図2のS90)。この際の体積比率とは、投入手段42により一回の投入作業で投入される中詰材50の体積あたりの、中詰材50が投入されたと判別された複数の隔室32毎の、各隔室32への中詰材50の投入量の体積比率である。
ここで、上述したように、落下範囲計測手段12による中詰材50の落下範囲の計測は、投入手段42による一回の投入作業の間に、複数回行われる。又、中詰材50の落下範囲は、投入手段42の態勢の変化や、作業船40の揺動等の影響によって、一回の投入作業中に刻々と変化する。このため、落下範囲計測手段12により計測される中詰材50の落下範囲は、一回の投入作業中であっても、計測の度に変化する。そこで、例えば、一回の投入作業の間に行われた、落下範囲計測手段12による複数回の計測の結果に、図7の例のように、1つの隔室32Aに中詰材50が投入されたと判別される測定結果、その隔室32Aとそれに隣接する隔室32B又は隔室32Cとの、2つの隔室32に中詰材50が投入されたと判別される測定結果、及び、隔室32Aとそれに隣接する隔室32B及び隔室32Cとの、3つの隔室32に中詰材50が投入されたと判別される測定結果の、3パターンの測定結果が含まれている場合を例にして説明する。
まず、隔室32Aにのみ中詰材50が投入されたと判別される測定結果が得られた場合、すなわち、計測された中詰材50の落下範囲の全てが、隔室32Aの相対座標と重なっている場合は、その隔室32Aに対して紐付けられる関連値として、中詰材50の落下範囲に含まれる計測された位置情報(点)の数(又は落下範囲の面積)を算出して保存する。そして、隔室32Aにのみ中詰材50が投入されたと判別される測定結果が得られる度に、中詰材50の落下範囲に含まれる計測された位置情報の数(落下範囲の面積)を算出して、隔室32Aの関連値に累積していく。一方、2つの隔室32A、32B(又は32C)に中詰材50が投入されたと判別される測定結果が得られた場合、すなわち、計測された中詰材50の落下範囲が、隔室32A、32B(32C)の双方の相対座標と重なっている場合は、中詰材50の落下範囲のうち、隔室32Aの相対座標と重なっている領域に含まれる計測された位置情報(点)の数(又はその領域の面積)と、隔室32B(32C)の相対座標と重なっている残りの領域に含まれる計測された位置情報(点)の数(又はその領域の面積)とを算出する。
そして、隔室32Aの相対座標と重なっている領域に含まれる計測された位置情報の数(その領域の面積)を、上述した隔室32Aの関連値に累積し、隔室32B(32C)の相対座標と重なっている領域に含まれる計測された位置情報の数(その領域の面積)を、隔室32B(32C)に対して紐付けられる関連値として保存、累積する。すなわち、隔室32A、32B(32C)の双方に中詰材50が投入されたと判別される測定結果が得られる度に、隔室32A、32B(32C)の相対座標と重なっている夫々の領域に含まれる計測された位置情報の数(又は夫々の領域の面積)を算出して、隔室32A、32B(32C)の各々の関連値に累積していく。更に、3つの隔室32A、32B、32Cに中詰材50が投入されたと判別される測定結果が得られた場合は、中詰材50の落下範囲のうち、各隔室32A、32B、32Cの相対座標と重なっている領域に含まれる計測された位置情報(点)の数(又はその領域の面積)を算出し、各隔室32A、32B、32Cの関連値に累積していけばよい。
上記のような位置情報の数(面積)の累積を、一回の投入作業中に行われる、落下範囲計測手段12による複数回の計測の全てについて行い、最終的に得られた隔室32A、32B、32Cの夫々の関連値間の相対比を、上述した体積比率として利用する。具体的には、制御手段14に予め設定される、一回の投入作業で投入される中詰材50の体積を、隔室32A、32B、32Cの関連値の相対比に従って3つに分け、隔室32Aの関連値に対応する体積を、隔室32Aに投入された中詰材50の体積として採用し、隔室32Bの関連値に対応する体積を、隔室32Bに投入された中詰材50の体積として採用し、隔室32Cの関連値に対応する残りの体積を、隔室32Cに投入された中詰材50の体積として採用するものである。このような計算を制御手段14によって行うため、中詰材50の落下範囲が刻々と変化する場合であっても、中詰材50が投入された複数の隔室32毎の、中詰材50が堆積した高さを、正確に算出することが可能となる。更に、上記のような計算を、中詰材50が投入された隔室32に加えて、平面視のケーソン30の周縁よりも外側の範囲(仮隔室)について行うこととすれば、ケーソン30の何れの隔室32にも投入されずに、ケーソン30周辺の水中等へ落下した中詰材50の体積も把握することができるため、各隔室32に堆積した中詰材50の高さを、より正確に算出することができる。
又、本発明の実施の形態に係る中詰材投入支援システム10は、落下範囲計測手段12がレーザ距離計12であることで、図5及び図6に示すように、レーザ光12aを利用して中詰材50の落下範囲を計測する。ここで、レーザ距離計12は、前方の水平方向の扇状の範囲に、分解能に応じた角度毎にレーザ光12aを照射し、計測対象物(中詰材50)に反射したレーザ光を受光して、レーザ距離計12から計測対象物までの距離や方角を計測するものである。この際、レーザ距離計12から照射されるレーザ光12aは、水平方向に広がって落下する土砂等の中詰材50の、レーザ距離計12に対向する外側の部分のみで、全てが反射されるのではなく、土砂等の粒子の隙間を通って、水平方向に広がる中詰材50の略全域において反射される。その結果として、レーザ距離計12は、中詰材50の水平方向の落下範囲を、水平方向に点在する複数の位置情報が集合したものとして計測することとなる。更に、レーザ距離計12は、扇状の範囲照射による計測を、1秒あたりに複数回行うものであるため、投入手段42による中詰材50の一回の投入作業中に行われる、中詰材50の落下範囲の計測回数が増加する。これにより、中詰材50の落下範囲の計測を精度良く行うことができ、延いては、各隔室32の中詰材50の堆積高さを精度良く算出することが可能となる。
又、本発明の実施の形態に係る中詰材投入支援システム10は、図4及び図7に示すように、表示手段16が、ケーソン30に設けられた複数の隔室32を示す平面配置図60を表示し、更に、中詰材50の水平方向の落下範囲表示50aと、複数の隔室32毎の中詰材50の堆積高さとの双方を、ケーソン30の隔室32を示す平面配置図60に重ねて表示するものである。すなわち、落下範囲計測手段12により計測された中詰材50の落下範囲を、平面配置図60に示された複数の隔室32に重ねて表示することで、クレーン等の投入手段42を操作するオペレータや作業管理者が、表示手段16に表示された内容から、ケーソン30の何れの隔室32に中詰材50が投入されているのかを、直感的に把握することができる。中詰材50の落下範囲表示50aは、一回の投入作業中に行われる、落下範囲計測手段12による複数回の計測結果を経時的に表示するものとし、この際、各回の計測結果が所定時間(例えば数秒)ずつ残るように表示してもよく、計測時から経過した時間に応じて色分けして表示してもよい。更に、表示手段16は、平面配置図60に示された複数の隔室32に、各隔室32内の中詰材50の堆積高さを重ねて表示するため、投入手段42のオペレータや作業管理者により、各隔室32内の中詰材50の堆積高さが一目で把握される。これにより、複数の隔室32内に均等に中詰材50が投入されるように、次に中詰材50を投入すべき隔室32を、容易に把握することができる。