以下、図1〜図8を参照して、この発明を電子レジスタに適用した一実施形態について説明する。
この電子レジスタは、図1に示すように、機器ケース1を備えている。この機器ケース1には、入力表示ユニット2、プリンタユニット3、および補助表示器4が搭載されている。
入力表示ユニット2は、図1に示すように、ユニットケース5に入力表示パネル6を設けたものであり、顧客が購入する商品の情報をオペレータが入力表示パネル6のタッチ操作によって入力するように構成されている。この場合、入力表示パネル6は、図示しないが、表示パネルの上面に透明なタッチパネルを配置した構成になっている。
この入力表示パネル6は、図1において、オペレータが入力表示パネル6の表示パネルに表示された情報を見ながら、入力表示パネル6のタッチパネルをタッチ操作して、顧客が購入する商品の情報を入力すると共に、その入力された情報が入力表示パネル6の表示パネルに表示されるように構成されている。ユニットケース5は、機器ケース1上に、その一部分(図1では右側の一部分)を除いて、前下がりに傾斜した状態で配置されている。
この場合、ユニットケース5は、図1〜図3に示すように、ヒンジ機構7によって機器ケース1上に回転可能に設けられている。このヒンジ機構7は、ユニットケース5の下面に半円状に突出して設けられた回転部8aと、機器ケース1上に半円状に窪んで設けられて、ユニットケース5の回転部8aが回転可能に配置される支持部8bと、を備えている。
これにより、ユニットケース5は、図1〜図3に示すように、その下面に設けられたヒンジ機構7の半円状の回転部8aが、機器ケース1の上部に設けられたヒンジ機構7の半円状の支持部8b内で回転移動することにより、図2に示すように、後部(図2では右側部)が競り上がって傾斜するように構成されている。
補助表示器4は、図1〜図3に示すように、表示ケース10に情報を表示する表示部11を設けたものであり、表示ケース10が機器ケース1の背面に設けられた表示収納部12内に出没可能に配置されている。すなわち、この補助表示器4は、表示ケース10を機器ケース1の表示収納部12内から引き上げて機器ケース1の上方に配置させ、この状態で表示ケース10をほぼ水平方向に回転させることにより、表示部11に表示された情報が顧客から見やすい方向を向くように構成されている。
一方、プリンタユニット3は、図1〜図3に示すように、プリンタ装置であり、機器ケース1の内部に設けられた記録紙収納部(図示せず)を開閉可能に覆うプリンタカバー13を備えている。このプリンタカバー13は、機器ケース1上に入力表示ユニット2の上面とほぼ同じ高さで、且つ前下がりに傾斜した状態で配置され、この状態で機器ケース1上の右側つまり入力表示ユニット2と反対側に向けて開閉するように構成されている。
この場合、プリンタユニット3は、図示しないが、記録紙収納部内に収納されたロール状に巻かれた記録紙に印刷情報を印刷するプリンタ部を備えている。このプリンタ部は、印刷情報を記録紙に印刷し、この印刷された記録紙をプリンタカバー13の記録紙排出口13aから機器ケース1の外部に排出するように構成されている。
ところで、機器ケース1の下部には、図1〜図5に示すように、掲示物14を掲示するためのトレイ部材15が、入力表示パネル6の操作側と反対側に位置する機器ケース1の背面1aから出没可能に突出して設けられている。すなわち、このトレイ部材15は、機器ケース1の下面に配置される搭載部16と、機器ケース1の背面1aに接離可能に対応し、掲示物14の下部を機器ケース1の背面1aに押し付けて挟む押え部17と、を備えている。
この場合、機器ケース1の背面1aに配置される掲示物14は、図4および図5に2点鎖線で示すように、広告や宣伝、またはお知らせなどの情報が印刷された紙、それらの情報が印刷されたパネル、あるいはそれらの情報を電気光学的に表示する表示部を備えたタブレット端末や表示装置などである。この掲示物14は、機器ケース1の背面1aから引き出されたトレイ部材15の搭載部16上に配置された状態で、押え部17によって機器ケース1の背面1aに押し付けられて配置されるように構成されている。
搭載部16は、図6および図7に示すように、機器ケース1の背面1a側に位置する外側板部16aと、この外側板部16aの内端部から機器ケース1の前側に向けて突出した内側板部16bと、を備えている。外側板部16aは、図4および図5に示すように、機器ケース1の左右方向における長さが、プリンタユニット3を除く機器ケース1の左右方向の長さとほぼ同じ長さに形成されている。
また、この外側板部16aは、図4および図5に示すように、機器ケース1の前後方向における長さが、補助表示器4の表示ケース10の厚みつまり表示ケース10における機器ケース1の前後方向の長さよりも少し長く形成されている。これにより、外側板部16aは、機器ケース1の左右方向における長さが機器ケース1の前後方向における長さよりも長い長方形の板状に形成されている。この外側板部16aの下面における両側には、ゴム足16cが設けられている。
内側板部16bは、図6および図7に示すように、外側板部16aの内端部における中間部に設けられている。この内側板部16bは、機器ケース1の左右方向における長さが、外側板部16aの左右方向の長さのほぼ半分程度の長さに形成されている。また、この内側板部16bは、機器ケース1の前後方向における長さが、機器ケース1の下部における前後方向の長さのほぼ半分程度の長さに形成されている。これにより、内側板部16bは、ほぼ四角形の平板状に形成されている。
一方、押え部17は、図6および図7に示すように、機器ケース1の背面1a側に位置する搭載部16の外端部、つまり搭載部16の外側板部16aの外端部に起立して設けられている。この押え部17は、板状に形成され、機器ケース1の左右方向の長さが、搭載部16の外側板部16aと同じ長さに形成されている。また、この押え部17は、その上下方向の長さが、入力表示ユニット2のユニットケース5の厚みよりも短い長さで形成されている。
また、このトレイ部材15は、図6および図7に示すように、搭載部16が機器ケース1の下面に設けられた複数のガイド部材18によって機器ケース1の前後方向にスライド可能に取り付けられるように構成されている。この場合、搭載部16の内側板部16bには、複数のガイド部材18によってスライド可能にガイドされる複数のガイド孔20が、機器ケース1の前後方向に沿って互いに平行する2列に設けられている。
これら複数のガイド孔20それぞれは、図6および図7(a)に示すように、その下面における孔縁にガイド凹部21が、トレイ部材15のスライド方向に沿って設けられている。また、複数のガイド部材18は、2列のガイド孔20それぞれに2本ずつ設けられている。すなわち、これら複数のガイド部材18のうち、1つのガイド孔20に対応する2本のガイド部材18は、その間隔がガイド孔20の前後方向の長さのほぼ半分程度の長さに設定されている。
このため、複数のガイド孔20は、図6に示すように、その前後方向の長さが、1つのガイド孔20に対応する2本のガイド部材18の間隔よりも、搭載部16の外側板部16aにおける前後方向の長さ、つまりトレイ部材15がスライドする長さだけ長く形成されている。また、複数のガイド部材18それぞれは、図8(b)に示すように、ガイド孔20の縁部に位置するガイド凹部21内にスライド可能に配置される頭部18aと、ガイド孔20を通して機器ケース1の下面に固定されるねじ軸18bと、を備えている。
すなわち、ガイド部材18の頭部18aは、図8(b)に示すように、その軸方向(上下方向)の長さ(高さ)が、ガイド凹部21の深さとほぼ同じ長さ(高さ)に形成され、ガイド凹部21からトレイ部材15の下側に突出さないように構成されている。また、この頭部18aは、その外径がガイド孔20の長手方向と直交する方向(幅方向)の長さよりも大きく、かつガイド凹部21の幅方向の長さよりも小さく形成されている。
ガイド部材18のねじ軸18bは、図8(b)に示すように、機器ケース1の下面に設けられたねじ孔18cに螺着することにより、機器ケース1の下面に取り付けられている。このねじ軸18bは、機器ケース1の下面から突出する軸方向(上下方向)の長さが、ガイド孔20の深さと同じか、それよりも長く形成されている。また、このねじ軸18bは、その外径がガイド孔20の長手方向と直交する方向(幅方向)の長さとほぼ同じ大きさに形成されている。
これにより、複数のガイド部材18それぞれは、図6〜図8に示すように、ねじ軸18bがトレイ部材15の搭載部16に設けられたガイド孔20を通して機器ケース1の下面のねじ孔18cに螺着して固定され、この状態で頭部18aがガイド孔20の縁部に位置するガイド凹部21内に配置されるように構成されている。
このため、複数のガイド部材18それぞれは、図6〜図8に示すように、ねじ軸18bがガイド孔20をガイドすると共に、頭部18aがガイド凹部21を機器ケース1側に押し付けながらガイドすることにより、トレイ部材15を機器ケース1の前後方向にガイドするように構成されている。
この場合、複数のガイド孔20それぞれには、図6および図7に示すように、ガイド部材18の頭部18aが挿脱可能に挿通する複数の着脱孔22a、22bが上下に貫通して設けられている。これら複数の着脱孔22a、22bそれぞれは、その内径がガイド部材18の頭部18aの外径と同じか、それよりも少し大きく形成されている。
また、これら複数の着脱孔22a、22bのうち、2つの着脱孔22aは、図6および図7に示すように、機器ケース1の前側に位置する複数のガイド孔20の各前端部(図7(a)では左端部)に設けられている。また、他の2つの着脱孔22bは、複数のガイド孔20の前後方向におけるほぼ中間部に設けられている。
この場合、ガイド孔20の各前端部に位置する着脱孔22aとガイド孔20の中間部に位置する着脱孔22bとは、その両者間の距離が、複数のガイド部材18の前後方向の間隔と同じ長さに設定されている。また、ガイド孔20の中間部に位置する着脱孔22bは、機器ケース1の背面1a側に位置するガイド孔20の外端部からの距離が、複数のガイド部材18の前後方向の間隔よりも短く設定されている。
これにより、複数のガイド部材18は、図6および図7に示すように、トレイ部材15が機器ケース1の背面1aから最も引き出されたときに、複数のガイド部材18の各頭部18aが複数のガイド孔20の各着脱孔22a、22b内に配置され、この状態で複数のガイド部材18の各頭部18aが各着脱孔22a、22bを通して複数のガイド孔20から抜け出すことにより、トレイ部材15が取り外せるように構成されている。
また、複数のガイド部材18は、図6および図7に示すように、その各頭部18aが複数のガイド孔20の各着脱孔22a、22b内に配置された状態で、トレイ部材15の押え部17が機器ケース1の背面1aに向けて押し込まれた際に、複数のガイド部材18の各頭部18aが複数のガイド孔20の各着脱孔22a、22bから離脱して、複数のガイド孔20の各ガイド凹部21内に配置されることにより、トレイ部材15が機器ケース1の下面から脱落しないように構成されている。
また、複数のガイド孔20それぞれには、図6〜図8に示すように、複数のガイド部材18の各ねじ軸18bをスライド可能な状態で弾力的に挟む複数の弾性挟持部23が設けられている。すなわち、これら複数の弾性挟持部23は、複数のガイド孔20における長手方向と直交する方向の各両側に位置するガイド凹部21内に互いに対向して設けられたスリット孔23aを備えている。これにより、複数の弾性挟持部23は、各スリット孔23a間に位置するガイド孔20の互いに対向する縁部が各スリット孔23aに向けて弾性変形するように構成されている。
この場合、複数の弾性挟持部23それぞれは、図6〜図8(a)に示すように、ガイド孔20の前後方向における前端部(図7(a)では左端部)に位置する2つの着脱孔22aの両側からトレイ部材15の押え部17側に向けて設けられている。また、これら複数の弾性挟持部23それぞれは、その前後方向の長さがトレイ部材15のスライド長さよりも短い長さで形成されている。これにより、複数の弾性挟持部23は、複数のガイド部材18の各ねじ軸18bが複数のガイド孔20内を相対的にスライドする際に、各ねじ軸18bを両側から弾力的に挟むように構成されている。
さらに、これら複数のガイド孔20のうち、機器ケース1の前側に位置するガイド孔20の前端部(図8(a)では上端部)に位置する2つの着脱孔22aには、図6〜図8(a)に示すように、複数のガイド部材18が各着脱孔22a、22bに到達する際に、トレイ部材15にクリック感を付与するクリック部24が設けられている。
すなわち、これら複数のクリック部24は、図7および図8(a)に示すように、ガイド孔20と着脱孔22aとが交差する箇所に互いに接近する方向に突出して設けられた弾性突起部である。これら複数のクリック部24は、ガイド部材18のねじ軸18bが着脱孔22に到達するときに、互いに弾性変形し、ガイド部材18のねじ軸18bが着脱孔22に嵌合したときに、弾性復帰することにより、トレイ部材15にクリック感を付与するように構成されている。
次に、この電子レジスタの作用について説明する。
まず、機器ケース1の下部にトレイ部材15を取り付ける。このときには、図6に示すように、機器ケース1の下面に設けられた複数のガイド部材18に、トレイ部材15の搭載部16に設けられた複数の着脱孔22a、22bを対応させる。この状態で、複数のガイド部材18を搭載部16の複数の着脱孔22に相対的に挿入させる。
すると、複数のガイド部材18の各頭部18aと各ねじ軸18bとが搭載部16の複数の着脱孔22内に配置される。この状態で、トレイ部材15の押え部17を機器ケース1の背面1aに向けて押し込む。すると、複数のガイド部材18の各頭部18aが相対的にスライドして搭載部16の複数のガイド孔20の各ガイド凹部21内に配置されると共に、複数のガイド部材18の各ねじ軸18bが相対的にスライドして複数のガイド孔20内に配置される。
この状態では、複数のガイド部材18の各頭部18aが複数のガイド孔20の各着脱孔22a、22bから離脱して、複数のガイド孔20の各ガイド凹部21内に配置されていることにより、トレイ部材15が機器ケース1の下面から脱落することがなく、機器ケース1の下面にスライド可能な状態で保持される。
次に、このような電子レジスタを使用する場合について説明する。
この場合には、機器ケース1に対する入力表示ユニット2のユニットケース5の傾きを調整すると共に、補助表示器4の高さおよび向きを調整する。
すなわち、ユニットケース5の傾きを調整する場合には、ユニットケース5の下面に設けられたヒンジ機構7の半円状の回転部8aを機器ケース1の上面に設けられたヒンジ機構7の半円状の支持部8b内で回転移動させて、機器ケース1の後部(図2では右側部)の競り上がりを調整して、入力表示ユニット2の入力表示パネル6をオペレータがタッチ操作し易い角度に傾ける。
また、補助表示器4の高さおよび向きを調整する場合には、補助表示器4の表示ケース10を機器ケース1の表示収納部12内から引き上げて機器ケース1の上方に配置させ、この状態で表示ケース10をほぼ水平方向に回転させる。これにより、表示部11に表示された情報を顧客が見やすい高さでかつ顧客から見やすい方向に向ける。
この状態で、オペレータが入力表示ユニット2の入力表示パネル6をタッチ操作して、顧客が購入する商品の情報を入力すると、その入力された情報が入力表示ユニット2の入力表示パネル6に表示されると共に、補助表示器4の表示部11に表示される。これにより、入力表示ユニット2の入力表示パネル6に表示された情報をオペレータが視認することができると共に、補助表示器4の表示部11に表示された情報を顧客が視認することができる。
そして、このように表示された情報を売上データとしてプリンタユニット3で印刷してレシートを発行する際には、オペレータが入力表示ユニット2の入力表示パネル6をタッチ操作して、プリンタユニット3のプリンタ部(図示せず)を駆動させる。すると、プリンタ部が記録紙(図示せず)に売上データを順次印刷し、この印刷された記録紙をプリンタカバー13の記録紙排出口13aからレシートとして発行する。
ところで、このように入力表示ユニット2の入力表示パネル6に表示された情報をオペレータが視認すると共に、補助表示器4の表示部11に表示された情報を顧客が視認する際には、機器ケース1の背面1aに広告や宣伝、またはお知らせなどの情報が表示された掲示物14を配置して、顧客に見せることができる。
このときには、図4および図5に示すように、トレイ部材15の押え部17を機器ケース1の背面1aの下部から引き出し、トレイ部材15の搭載部16の外端板部16aを機器ケース1の背面1aから突出させる。このときには、機器ケース1の下面に設けられた複数のガイド部材18が、搭載部16に設けられた複数のガイド孔20をガイドするので、トレイ部材15が円滑に引き出される。
すなわち、このときには、複数のガイド部材18の各頭部18aが複数のガイド凹部21内に配置されて複数のガイド孔20の各縁部を機器ケース1の下面に押えながら、複数のガイド部材18のねじ軸18bが複数のガイド孔20内を相対的に移動する。このため、トレイ部材15がガタつくことがなく円滑に引き出される。
そして、機器ケース1の背面1aから引き出されたトレイ部材15の搭載部16の外端板部16a上に掲示物14を配置し、この状態でトレイ部材15の押え部17を機器ケース1の背面1aに向けて押し付ける。これにより、掲示物14の下部がトレイ部材15の押え部17と機器ケース1の背面1aとの間に挟まれ、この状態で掲示物14が機器ケース1の背面1aに立て掛けられて配置される。
このとき、掲示物14が機器ケース1の背面1aよりも大きい場合には、掲示物14が補助表示器4の表示部11を覆い隠すことがないように、掲示物14を補助表示器4と反対側にずらした状態でトレイ部材15上に配置すればよい。この場合、掲示物14が機器ケース1の上方に突出した状態で配置されていても、入力表示ユニット2の傾きを調整する際に、掲示物14が邪魔になることがない。
すなわち、入力表示ユニット2のユニットケース5は、ヒンジ機構7を中心に回転する際に、ユニットケース5の背面部が機器ケース1の背面1aから後方に突出することがない。このため、ユニットケース5が上下方向に回転する際に、ユニットケース5の背面部が掲示物14に当たることがないので、ユニットケース5を上下方向に回転させることができる。これにより、掲示物14がユニットケース5の影響を受けることがなく、掲示物14が機器ケース1の背面1aに配置された状態を良好に維持させることができる。
また、トレイ部材15を機器ケース1から取り外す場合には、トレイ部材15を最大限に引き出す。このときには、機器ケース1の前側つまり機器ケース1の背面1aと反対側に位置する複数のガイド部材18の各ねじ軸18bが、機器ケース1の前側に位置する複数のガイド孔20の各着脱孔22a側に設けられた複数の弾性挟持部23によって弾力的に挟まれる。このため、トレイ部材15の引出力が重くなる。
この状態で、更にトレイ部材15を引き出すと、複数のガイド部材18の各ねじ軸18bが、複数のガイド孔20の各着脱孔22aと複数のガイド孔20との交差部に設けられたクリック部24に当接する。このため、トレイ部材15の引出力が更に重くなる。この状態で、トレイ部材15を更に引き出すと、複数のガイド部材18の各ねじ軸18bが、クリック部24を弾性変形させて乗り越える。これにより、トレイ部材15にクリック感が付与される
このときに、トレイ部材15にクリック感が付与されると、複数のガイド部材18の各ねじ軸18bが複数のガイド孔20の各着脱孔22aに嵌合した状態であることが分かる。このため、複数のガイド部材18が複数のガイド孔20の各着脱孔22a内に配置されることにより、これら複数のガイド部材18の各頭部18aを複数のガイド孔20の各着脱孔22a内から抜き出すことができ、トレイ部材15を機器ケース1の下面から取り外すことができる。
このように、この電子レジスタによれば、操作部である入力表示ユニット2が設けられた機器ケース1と、この機器ケース1にスライド可能に設けられ、入力表示ユニット2の操作側と反対側に位置する機器ケース1の背面1aから出没可能に突出して掲示物14を掲示するためのトレイ部材15と、を備えていることにより、掲示物14を簡単に掲示することができ、これにより広告や宣伝、お知らせなどの情報を顧客に容易にかつ良好に知らせることができる。
この場合、入力表示ユニット2は、ユニットケース5に入力表示パネル6を設けたものであり、顧客が購入する商品の情報をオペレータが入力表示パネル6のタッチ操作によって入力する構成であるから、オペレータが入力表示パネル6に表示された情報を見ながら、入力表示パネル6をタッチ操作して、顧客が購入する商品の情報を入力することができると共に、その入力された情報を入力表示パネル6に表示することができる。
また、この入力表示ユニット2は、機器ケース1上にヒンジ機構7によって上下方向に回転可能に取り付けられていることにより、ヒンジ機構7によって入力表示ユニット2を上下方向に回転させて、機器ケース1に対する入力表示ユニット2の傾きを調整することができ、これにより入力表示パネル6をオペレータが操作しやすることができると共に、入力表示パネル6に表示された情報を見やすことができる。
すなわち、ヒンジ機構7は、ユニットケース5の下面に半円状に突出して設けられた回転部8aと、機器ケース1上に半円状に窪んで設けられて、ユニットケース5の回転部8aが回転可能に配置される支持部8bと、を備えていることにより、ヒンジ機構7の半円状の回転部8aをヒンジ機構7の半円状の支持部8bで支持した状態で良好に回転移動させることができ、これにより機器ケース1に対する入力表示ユニット2の傾きを簡単にかつ良好に調整することができる。
この場合、掲示物14が機器ケース1の背面1aよりも大きく、機器ケース1の上方に突出した状態で配置されていても、入力表示ユニット2の傾きを調整する際に、ユニットケース5の背面部が機器ケース1の背面1aから後方に突出することがない。このため、ユニットケース5が上下方向に回転する際に、ユニットケース5の背面部が掲示物14に当たることがないので、掲示物14が邪魔にならず、掲示物14が機器ケース1の背面1aに配置された状態を良好に維持させることができる。
また、この電子レジスタでは、トレイ部材15が、機器ケース1の下面に配置される搭載部16と、機器ケース1の背面1aに接離可能に対応する押え部17とを備え、搭載部16が機器ケース1の下面に設けられた複数のガイド部材18によってスライド可能に取り付けられていることにより、トレイ部材15を円滑にかつ良好にスライドさせることができる。
すなわち、トレイ部材15は、搭載部16に複数のガイド部材18によってスライド可能にガイドされる複数のガイド孔20が、機器ケース1の前後方向に沿って設けられていることにより、トレイ部材15を機器ケース1の前後方向にスライドさせる際に、複数のガイド部材18が複数のガイド孔20をガイドすることができるので、トレイ部材15を円滑にかつ確実にスライドさせることができる。
この場合、複数のガイド孔20それぞれは、その下面における孔縁にガイド凹部21がスライド方向に沿って設けられ、複数のガイド部材18それぞれは、ガイド凹部21内にスライド可能に配置される頭部18aと、ガイド孔20を通して機器ケース1の下面に固定されるねじ軸18bと、を備えていることにより、頭部18aによってガイド凹部21をガイドすることができると共に、ねじ軸18bによってガイド孔20をガイドすることができ、トレイ部材15を円滑にスライドさせることができる。
すなわち、複数のガイド部材18は、頭部18aがトレイ部材15の下側に突出さないように、頭部18aをガイド凹部21内に配置させることができると共に、この頭部18aによってガイド孔20の縁部を機器ケース1の下面に押えることができる。このため、トレイ部材15をスライドさせる際に、トレイ部材15がガタつくことがなく、円滑にスライドさせることができると共に、トレイ部材15が機器ケース1の下面から脱落しないようにすることができる。
また、このトレイ部材15では、複数のガイド孔20それぞれに複数のガイド部材18の各頭部18aが挿脱可能に挿通する着脱孔22a、22bが上下に貫通して設けられていることにより、複数のガイド部材18の各頭部18aを複数のガイド孔20の各着脱孔22a、22bに対応させて各着脱孔22a、22bから抜き出すことができ、これにより工具を用いずにトレイ部材15を機器ケース1の下面から簡単にかつ容易に取り外すことができる。
すなわち、複数の着脱孔22a、22bのうち、2つの着脱孔22aは、機器ケース1の前側に位置する複数のガイド孔20の各前端部に設けられ、他の2つの着脱孔22bは、複数のガイド孔20の前後方向におけるほぼ中間部で、ガイド孔20の各前端部に位置する着脱孔22aからの距離が、複数のガイド部材18の前後方向の間隔と同じ長さに設定されているので、複数のガイド部材18の各頭部18aを複数のガイド孔20の各着脱孔22a、22bに対応させることができる。
これにより、トレイ部材15は、機器ケース1の背面1aから最も引き出されたときに、複数のガイド部材18の各頭部18aを複数のガイド孔20の各着脱孔22a、22b内に配置し、この状態で複数のガイド部材18の各頭部18aを各着脱孔22a、22bと複数のガイド孔20とから抜き出すことができるので、トレイ部材15を容易に取り外すことができる。
また、このトレイ部材15では、複数のガイド部材18が複数の着脱孔22a、22bに接近する際に、複数のガイド孔20それぞれにガイド部材18をスライド可能な状態で弾力的に挟む弾性挟持部23が設けられていることにより、トレイ部材15をスライドさせる際に、弾性挟持部23によってガイド部材18を弾力的に挟むことができ、これによりトレイ部材15のスライド動作を重くしてトレイ部材15が不用意にスライドしないようにすることができる。
この場合、弾性挟持部23は、複数のガイド孔20における長手方向と直交する方向の各両側に位置するガイド凹部21内にそれぞれスリット孔23aを互いに対向させて設けることにより、これらスリット孔23a間に位置するガイド孔20の互いに対向する縁部を各スリット孔23aに向けて弾性変形させることができ、これによりガイド部材18のねじ軸18bを確実にかつ良好に弾力的に挟むことができる。
また、この弾性挟持部23は、ガイド孔20の前後方向における内端部(図7(a)では左端部)に位置する2つの着脱孔22aの両側からトレイ部材15の押え部17側に向けて設けられていることにより、トレイ部材15を最大限に引き出して、トレイ部材15を機器ケース1から取り外す際に、機器ケース1の前側に位置するガイド部材18のねじ軸18bを弾性挟持部23によって弾力的に挟んで、トレイ部材15の引出力を重くすることができ、これによりガイド部材18が不用意に機器ケース1の前側に位置する着脱孔22aに嵌合しないようにすることができる。
さらに、これら複数のガイド孔20のうち、機器ケース1の前側に位置するガイド孔20の前端部に位置する2つの着脱孔22aには、複数のガイド部材18が各着脱孔22a、22bに到達する際に、トレイ部材15にクリック感を付与するクリック部24が設けられていることにより、ガイド部材18のねじ軸18bが着脱孔22a、22bに到達するときに、トレイ部材15にクリック感を付与することができるので、ガイド部材18のねじ軸18bが着脱孔22aに嵌合した状態であることを判断することができ、これにより容易にトレイ部材15を取り外すことができる。
すなわち、クリック部24は、ガイド孔20と着脱孔22aとが交差する箇所に互いに接近する方向に突出して設けられた弾性突起部であり、ガイド部材18のねじ軸18bが着脱孔22aに到達するときに、互いに弾性変形し、ガイド部材18のねじ軸18bが着脱孔22aに嵌合したときに、弾性復帰することにより、トレイ部材15にクリック感を確実にかつ良好に付与することができ、これによりガイド部材18のねじ軸18bが着脱孔22aに嵌合した状態であることを良好に判断することができる。
以上、この発明のいくつかの実施形態について説明したが、この発明は、これに限られるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
(付記)
請求項1に記載の発明は、操作部が設けられた機器本体と、前記機器本体にスライド可能に設けられ、前記操作部の操作側と反対側に位置する前記機器本体の背面から出没可能に突出して掲示物を掲示するためのトレイ部材と、を備えていることを特徴とする電子機器である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電子機器において、前記操作部は入力表示部であることを特徴とする電子機器である。
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の電子機器において、前記操作部は、前記機器本体上にヒンジ機構によって上下方向に回転可能に取り付けられていることを特徴とする電子機器である。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の電子機器において、前記トレイ部材は、前記機器本体の下面に配置される搭載部と、前記機器本体の前記背面に接離可能に対応する押え部とを備え、前記搭載部が前記機器本体の前記下面に設けられた複数のガイド部材によってスライド可能に取り付けられていることを特徴とする電子機器である。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の電子機器において、前記トレイ部材の前記搭載部には、前記複数のガイド部材によってスライド可能にガイドされる複数のガイド孔が、前記機器本体の前後方向に沿って設けられていることを特徴とする電子機器である。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の電子機器において、前記複数のガイド孔それぞれは、その下面における孔縁にガイド凹部がスライド方向に沿って設けられ、前記複数のガイド部材それぞれは、前記ガイド凹部内にスライド可能に配置される頭部と、前記ガイド孔を通して前記機器本体の下面に固定される軸部と、を備えていることを特徴とする電子機器である。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の電子機器において、前記複数のガイド孔それぞれの所定箇所には、前記ガイド部材の前記頭部が挿脱可能に挿通する着脱孔が上下に貫通して設けられていることを特徴とする電子機器である。
請求項8に記載の発明は、請求項5〜請求項7のいずれかに記載の電子機器において、前記複数のガイド孔それぞれには、前記ガイド部材が前記着脱孔に接近する際に、前記ガイド部材をスライド可能な状態で弾力的に挟む弾性挟持部が設けられていることを特徴とする電子機器である。
請求項9に記載の発明は、請求項7および請求項8に記載の電子機器において、前記複数のガイド孔それぞれには、前記ガイド部材が前記着脱孔に到達する際に、前記トレイ部材にクリック感を付与するクリック部が設けられていることを特徴とする電子機器である。