JP6662733B2 - 積層体フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、ポリプロピレン系の基材層にアルミニウム層を形成した積層体フィルムに関する。
近年、プラスチックフィルムに真空下で金属を蒸着させた金属蒸着プラスチックフィルムは、その優れた装飾性、ガスバリヤー性、光線遮断性等が活用されて、既存の金銀糸、建築材料等の素材から食品を主な対象とする包装材に至る広い範囲に用途が拡大されている。特にアルミニウム蒸着プラスチックフィルムは包装材用途を中心に広範囲に使用されている。
特許文献1には、ポリプロピレン系組成物を主原料として形成されるフィルム基材の少なくとも片面に金属が蒸着されてなる金属蒸着フィルムが開示されている。ポリプロピレン系組成物がプロピレンのホモポリマーおよびエチレン−プロピレンのコポリマーからなり、コポリマーは特定の極限粘度を有し、ホモポリマーとコポリマーとの極限粘度比、極限粘度比とそれらの重量比、コポリマー中のエチレン含有量、コポリマーの組成物中の含有量、ホモポリマーのアイソタクティックペンタッド分率(mmmm分率)、組成物全体のQ値(Mw/Mn)が規定されている。
特許文献2には、230℃で測定したときの溶融張力(MS)とメルトフローレイト(MFR)の関係が特定の関係を満たすポリプロピレンを含み、ポリプロピレンに相溶して、延伸時に可塑化効果を具備させうる添加剤を配合した二軸延伸ポリプロピレンフィルムの基層に金属蒸着層が設置された金属蒸着二軸延伸ポリプロピレンフィルムが開示されている。
特開2000−1769号公報 特開2004−168040号公報
ポリプロピレン系樹脂の基材層にアルミニウム膜を蒸着した積層体フィルムでは、剛性とアルミニウム膜の蒸着強度の両方を向上させることが求められている。しかしながら、一般的に、剛性の高いポリプロピレン樹脂を基材層として用いると、蒸着強度が低下するというトレードオフの関係にあり、両者を同時に向上させることは困難であった。
これまでは特許文献1に記載のように、剛性に優れるポリプロピレン系樹脂と蒸着強度に優れるポリプロピレン系樹脂をブレンド、もしくは積層して、所望する物性のフィルムを得る検討が行われてきた。しかし、成形性などの面から、単一の樹脂からなる単層構造において、剛性と蒸着強度を両立することが望まれていた。
このため、特許文献2ではmmmm分率が70〜90%のホモポリプロピレン若しくはエチレン・プロピレン共重合体を使用することが提案されている。
また、積層体フィルムをロール状で保管する際、非蒸着面からブリードアウトする物質が蒸着された金属層表面を汚染することがある。特に低分子量成分が付着すると除去が困難であり、金属フィルムの汚染や外観が損なわれてしまうという問題がある。
本発明の第一の目的は、基材層の剛性と蒸着層との密着性とを両立した積層体フィルムを提供することにある。
また、本発明の第二の目的は、ブリードアウトを抑制してロール状で保管する際の金属フィルムの汚染や外観劣化を抑制した積層体フィルムを適用することにある。
本発明では、以下の態様が提供される。
(A) 下記要件(1)〜(3)を満たす、ホモポリプロピレン及びα−オレフィン含量が10mol%以下のプロピレン・α−オレフィン共重合体の少なくとも一方を含む基材層と、
前記基材層と接する厚さ50nm〜300nmのアルミニウム層と、
を有する積層体フィルム:
(1)mmmm値が97%以上である;
(2)GPCによって求められる分子量分布(Mw/Mn)が3.0未満である;
(3)メルトフローレート(230℃、2.16kg)が1〜100g/10分である。
(B) 前記基材層に含まれるホモポリプロピレン及び/又はプロピレン・α−オレフィン共重合体が、下記要件(4)、(5)の少なくとも一方を満たす、(A)に記載の積層体フィルム:
(4)結晶化溶離分別(CEF)の半値幅が5℃未満である;
(5)デカン溶出成分量が2.0質量%未満である。
(C) 前記基材層の厚さが1μm〜300μmである、(A)又は(B)に記載の積層体フィルム。
(D) さらに、前記基材層に接してなるコア層と、前記積層体フィルムのすくなくとも一方の表面に形成されるシール層とを有する、(A)〜(C)のいずれかに記載の積層体フィルム。
(E) 前記コア層と前記シール層の少なくとも一方が、前記要件(1)〜(3)を満たすホモポリプロピレン及びα−オレフィン含量が10mol%以下のプロピレン・α−オレフィン共重合体の少なくとも一方を含む、(D)に記載の積層体フィルム。
(F) 前記アルミニウム層が、蒸着膜である(A)〜(E)のいずれかに記載の積層体フィルム。
(G) 前記基材層が、無延伸フィルムである、(A)〜(F)いずれかに記載の積層体フィルム。
本発明に係る基材層上にアルミニウム層を設けた積層体フィルムは、基材層の剛性と蒸着層との密着性とを両立した積層体フィルムとなる。
更に、ロール状で保管する際にアルミニウム層と接する層が本発明に係るホモポリプロピレン若しくはプロピレン・α−オレフィン共重合体であることで、該層からのブリードアウトが抑制され、アルミニウム層の汚染が抑制できる。
実施例で使用した剥離強度測定用サンプルの上面図(a)、断面図(b)、剥離の態様を説明する図(c)である。 コロナ処理により基材層表面に接着基(酸素官能基)の生成の機構を説明する図。 量子化学計算による、ポリプロピレンホモポリマーに関するモデル計算例を説明する図。
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態のみに限定されるものではない。
本発明では、mmmm分率が97%以上であり、かつGPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィ)によって求められる分子量分布(Mw/Mn)が3.0未満のホモポリプロピレンまたはα−オレフィン含量が10mol%以下のプロピレン・α−オレフィン共重合体の少なくとも一方を含む基材層に、厚さ50nm〜300nmのアルミニウム層を設けた積層体フィルムに関する。
mmmm分率は、13C−NMRスペクトルにおけるPmmmm(プロピレン単位が5単位連続してアイソタクチック結合した部位における第3単位目のメチル基に由来する吸収強度)およびP(プロピレン単位の全メチル基に由来する吸収強度)の吸収強度から下記式により求められる。PmmmmおよびP13C−NMRスペクトルにおけるピーク面積に相当する。
mmmm分率(%)=(Pmmmm/P)×100
上記の分子量分布の狭いホモポリプロピレンまたはプロピレン・α−オレフィン共重合体は、メタロセン触媒を用いて製造される。
メタロセン触媒としては、シクロペンタジエニル骨格を分子内に持つメタロセン化合物を含む重合触媒が好ましく用いられる。
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を分子内に含むメタロセン化合物としては、その化学構造から下記一般式[I]で表されるメタロセン化合物(D1)および下記一般式[II]で表される架橋型メタロセン化合物(D2)の二種類を例示することができる。これらの中では、架橋型メタロセン化合物(D2)が好ましい。
Figure 0006662733
〔上記一般式[I]および[II]において、Mはチタン原子、ジルコニウム原子またはハフニウム原子を示し、Qはハロゲン原子、炭化水素基、アニオン配位子、または孤立電子対で配位可能な中性配位子であり、jは1〜4の整数であり、jが2以上の時は、Qは互いに同一でも異なっていてもよく、CpおよびCpは、互いに同一か又は異なっていてもよく、Mと共にサンドイッチ構造を形成することができるシクロペンタジエニルまたは置換シクロペンタジエニル基である。ここで、置換シクロペンタジエニル基は、インデニル基、フルオレニル基、アズレニル基およびこれらが一つ以上のハイドロカルビル基で置換された基も包含し、インデニル基、フルオレニル基、アズレニル基の場合はシクペンタジエニル基に縮合する不飽和環の二重結合の一部は水添されていてもよい。一般式[II]においてYは、炭素原子数1〜20の2価の炭化水素基、炭素原子数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SO−、−Ge−、−Sn−、−NR−、−P(R)−、−P(O)(R)−、−BR−または−AlR−を示す(但し、Rは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、水素原子、ハロゲン原子または窒素原子に炭素原子数1〜20の炭化水素基が1個または2個結合した窒素化合物残基である。)。〕
本発明において好適に用いられる重合触媒は、本出願人によって既に国際公開(WO01/27124)されている下記一般式[III]で表される架橋性メタロセン化合物、並びに、有機金属化合物、有機アルミニウムオキシ化合物およびメタロセン化合物と反応してイオン対を形成することのできる化合物から選ばれる少なくても1種以上の化合物、さらに必要に応じて粒子状担体とからなるメタロセン触媒であることが好ましい。
Figure 0006662733
上記一般式[III]において、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14は水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基から選ばれ、それぞれ同一でも異なっていてもよい。このような炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デカニル基などの飽和の、またはアリル基等の不飽和の、直鎖状脂肪族炭化水素基;イソプロピル基、tert−ブチル基、アミル基、3−メチルペンチル基、1,1−ジエチルプロピル基、1,1−ジメチルブチル基、1−メチル−1−プロピルブチル基、1,1−プロピルブチル基、1,1−ジメチル−2−メチルプロピル基、1−メチル−1−イソプロピル−2−メチルプロピル基などの分岐状脂肪族炭化水素基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基などの脂環族炭化水素基;フェニル基、トリル基、ナフチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、アントラセニル基などの芳香族炭化水素基;ベンジル基、クミル基、1,1−ジフェニルエチル基、トリフェニルメチル基などの芳香族炭化水素基で置換された脂肪族炭化水素基;メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、フリル基、N−メチルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N−フェニルアミノ基、ピリル基、チエニル基などのヘテロ原子含有炭化水素基等を挙げることができる。ケイ素含有基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、トリフェニルシリル基などを挙げることができる。また、RからR12の隣接した置換基は互いに結合して環を形成してもよい。このような置換フルオレニル基としては、ベンゾフルオレニル基、ジベンゾフルオレニル基、オクタヒドロジベンゾフルオレニル基、オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル基、オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル基などを挙げることができる。
本発明に用いるメタロセン化合物としては、前記一般式[III]において、シクロペンタジエニル環に置換するR、R、R、Rは水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基であることが好ましく、RおよびRが炭素数1〜20の炭化水素基であることがより好ましく、RおよびRが水素原子であり、RおよびRが炭素数1〜5の直鎖状または分岐状アルキル基であることが特に好ましい。
また、前記一般式[III]において、フルオレン環に置換する、RからR12は水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基であることが好ましい。炭素数1〜20の炭化水素基としては、前述の炭化水素基を例示することができる。RからR12の隣接した置換基は互いに結合して環を形成してもよい。好ましい態様は、R、R11が同時に水素原子ではないフルオレン環であり、より好ましい態様はR、R、R10及びR11が同時に水素原子ではないフルオレン環である。
本発明に用いるメタロセン化合物としては、前記一般式[III]において、シクロペンタジエニル環とフルオレニル環を架橋するYが第14族元素であることが好ましく、炭素、ケイ素、ゲルマニウムがより好ましく、炭素原子がより好ましい。
また、Yに置換するR13、R14は相互に同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよい炭素数1〜20の炭化水素基であり、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基から選ばれる。このような置換基としては、メチル基、エチル基、フェニル基、トリル基などが好ましい。なお、R13、R14は、RからR12の隣接した置換基またはRからRの隣接した置換基と互いに結合して環を形成してもよい。
前記一般式[III]において、Mは好ましくは第4族遷移金属であり、さらに好ましくはチタン原子、ジルコニウム原子またはハフニウム原子である。また、Qはハロゲン、炭化水素基、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子から同一または異なる組合せで選ばれる。jは1〜4の整数であり、jが2以上の時は、Qは互いに同一でも異なっていてもよい。ハロゲンの具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、炭化水素基の具体例としては前述と同様のものなどが挙げられる。アニオン配位子の具体例としては、メトキシ、tert−ブトキシ、フェノキシなどのアルコキシ基、アセテート、ベンゾエートなどのカルボキシレート基、メシレート、トシレートなどのスルホネート基等が挙げられる。孤立電子対で配位可能な中性配位子の具体例としては、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィンなどの有機リン化合物、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類等が挙げられる。Qは少なくとも1つがハロゲンまたはアルキル基であることが好ましい。
前記の好ましい架橋メタロセン化合物としては、ジメチルメチレン(3−tert−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、1−フェニルエチリデン(4−tert−ブチル−2−メチルシクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、[3−(1’,1’,4’,4’,7’,7’,10’,10’−オクタメチルオクタヒドロジベンゾ[b,h]フルオレニル)(1,1,3−トリメチル−5−tert−ブチル−1,2,3,3a−テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド、ジメチルメチレン(3−tert−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)(1,1,4,4,7,7,10,10−オクタメチルオクタヒドロジベンゾ[b,h]フルオレニル)ジルコニウムジクロリド等を例示することができる。
なお、本発明に用いるメタロセン触媒において、前記一般式[III]で表わされるメタロセン化合物とともに用いられる、有機金属化合物、有機アルミニウムオキシ化合物、およびメタロセン化合物と反応してイオン対を形成する化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物(共触媒)、さらには必要に応じて用いられる粒子状担体については、本出願人による前記公報(WO01/27124)や特開平11−315109号公報中に開示された化合物を制限無く使用することができる。
プロピレン・α−オレフィン共重合体としては、プロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとの共重合体であって、ランダム共重合体であっても、ブロック共重合体であってもよい。共重合体中のα−オレフィンの含量は5mol%以下である。α−オレフィンの含量が5mol%を超えると、破断強度、初期弾性率が低いため実用性に乏しい。
α−オレフィンとしては、例えば、エチレン、炭素数4〜20のα−オレフィンが挙げられる。炭素数4〜20のα−オレフィンとしては、具体的には1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラドデセン、1−ヘキサドデセン、1−オクタドデセン、1−エイコセン、4−メチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、ジエチル−1−ブテン、トリメチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、エチル−1−ペンテン、プロピル−1−ペンテン、ジメチル−1−ペンテン、メチルエチル−1−ペンテン、ジエチル−1−ヘキセン、トリメチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ヘキセン、ジメチル−1−ヘキセン、3,5,5−トリメチル−1−ヘキセン、メチルエチル−1−ヘプテン、トリメチル−1−ヘプテン、エチル−1−オクテン、メチル−1−ノネンなどが挙げられる。これらは一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。これらの中でも、エチレンおよび炭素数4〜8のα−オレフィンが好ましく、エチレンがより好ましい。
また、本発明で使用する原料としては、上記要件を満たすホモポリプロピレン及びプロピレン・α−オレフィン共重合体の少なくとも一方を含んでいればよく、上記のホモポリプロピレンとプロピレン・α−オレフィン共重合体とを混合した組成物を使用することもできる。さらに、本発明の効果を損なわない範囲であれば、上記の要件を満たさないメタロセン系のプロピレン系(共)重合体や、従来触媒を使用したプロピレン系(共)重合体をブレンドして用いてもよい。上記要件を満たすホモポリプロピレン及びプロピレン・α−オレフィン共重合体の少なくとも一方は原料組成物中に70質量%以上含まれていることが好ましく、この量はホモポリプロピレン及びプロピレン・α−オレフィン共重合体の両方を含む場合は合計量である。より好ましくは、ホモポリプロピレンを単独で使用する。
本発明で使用するホモポリプロピレンまたはプロピレン・α−オレフィン共重合体は、以下の(1)〜(3)の要件を満たすものである。
(1)mmmm分率が97%以上。
(2)GPCによって求められる分子量分布(Mw/Mn)が3.0未満。
(3)メルトフローレート(230℃、2.16kg)が1〜100g/10分。
(1)の高立体規則性と(2)の分子量分布を同時に達成するには、上記の通りメタロセン系触媒を使用して原料ポリマーを製造する。
(3)のメルトフローレート(MFR)は、得られる原料ポリマーの分子量を適宜調整することで達成できる。また、ホモポリプロピレンにプロピレン・α−オレフィン共重合体を適宜配合することでMFRを調整することもできる。MFRが1g/10分未満では後述するフィルム化工程での押し出しが困難となる。MFRが100g/10分を超えると、フィルムの強度が保てず破断し、巻き取りが困難となる。MFRは、5g/10分以上が好ましく、70g/10分以上がより好ましい。また、MFRは、10g/10分以下が好ましく、40g/10分以下がより好ましい。
また、本発明で使用するホモポリプロピレンまたはプロピレン・α−オレフィン共重合体は、デカン可溶分が少ないことが好ましく、1質量%以下であることがより好ましい。
さらに、本発明で使用するホモポリプロピレンまたはプロピレン・α−オレフィン共重合体は、結晶化溶離分別(CEF)の半値幅が、5℃以下であることが好ましい。
本発明に係る積層体フィルムでは、この様にして得られるホモポリプロピレン及びプロピレン・α−オレフィン共重合体の少なくとも一方(ポリプロピレン系樹脂成分という)が、基材層を形成する主原料として用いられる。
該基材層は、上記ポリプロピレン系樹脂成分のみで構成されていてもよいし、必要に応じて適宜選択される任意成分を添加した樹脂組成物として構成されていてもよい。この様な任意成分として、具体的には、上記ポリプロピレン系樹脂以外のポリマー組成物、酸化防止剤、充填剤、滑剤、ブロッキング防止剤等を挙げることができる。これら、任意成分は、本発明の目的を損なわない範囲の含有量で基材層原料に適宜含有させることができる。なお、得られる金属蒸着積層体フィルムにおける、金属蒸着層の蒸着強度、金属蒸着面への印刷性、金属蒸着面を介して他の素材を積層した場合のラミネート強度に代表されるラミネート性等を低下させないためには、脂肪酸及び脂肪酸形成基を含有する誘導体等は用いないことが望ましい。
任意成分として用いられる酸化防止剤として、具体的には、分子量が500以上のリン系およびフェノール系のものが特に望ましい。
より具体的には、テトラキス−〔メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6,−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、6−〔4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)4,4’−ビフェニレン−ジフォスフォナイト、トリス−(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト等を挙げることが出来、これらを単独で、または二種以上を併用することが可能である。
また、上記酸化防止剤の含有量は、ポリプロピレン系樹脂成分100質量部に対して0.03〜0.30質量部程度が適当である。上記酸化防止剤を基材層原料に含有させれば、基材層成形時および積層体フィルム使用時の安定性の向上にきわめて有効である。
また、充填剤としては、具体的には、炭酸カルシウム、シリカ、クレー、タルク、ハイドロタルサイト、ゼオライト類等の無機充填剤、ポリメチルシルセスキオキサン、ポリメチルメタクリレート架橋体、ポリスチレン架橋体等の有機充填剤のいずれも用いることができる。
これら上述した任意成分の適量とポリプロピレン系樹脂成分とを混合することにより、本発明の積層体フィルムにおける基材層を成形するための原料組成物が得られる。混合方法としては、各成分が均一に分散する方法であればいずれでも良いが、リボンブレンダー、ヘンシェルミキサー(商品名)等で混合し、その混合物を押出機等で溶融混練する方法が好ましい。
このような原料組成物から本発明に係る積層体フィルムの基材層が成形されるが、その成形法として、例えば、通常のT−ダイ法またはインフレーション法等が挙げられる。これらの方法では、無延伸、一軸延伸或いは二軸延伸フィルムとして基材層が得られる。
また、テンター方式による逐次二軸延伸法やチューブラー方式による同時二軸延伸法等で製造した延伸フィルムを基材層として用いることができる。
これらのフィルムの中では、無延伸フィルム(CPP)を基材層として用いることが特に好ましい。
本発明に係る積層体フィルムにおける基材層の厚さは特に限定されるものではなく、基材層自体を作製する際の成形性や金属蒸着した積層体フィルムとする際の作業性あるいは、積層体フィルムの用途等により適宜選択することができる。たとえば、基材層自体の成形性の点では、基材層の厚みは1〜300μmが好ましく、10〜100μmがより好ましい。コア層としての機能を持たせる場合は、コア層に必要な厚み分を加味する。
この様にして得られる基材層を、そのまま後述の金属蒸着に供することもできるが、必要に応じて、空気中または窒素、酸素等のガス雰囲気下におけるコロナ放電処理、火炎処理等の表面処理により基材層の表面のぬれ性を向上させてから金属蒸着に供しても良い。ぬれ性を向上させることで、蒸着層の密着性がさらに向上する。
本発明に係る積層体フィルムは、該基材層の少なくとも一方の面にアルミニウム層が蒸着されたものである。
アルミニウム層の厚みは、20nm〜500nmであり、50nm〜200nmが好ましい。
また、アルミニウム蒸着面については、上記基材層の両面とすることも片面のみとすることも可能である。さらに、基材層各面について、全面にアルミニウム層が設けられていてもよいし部分的に設けられていてもよい。また、アルミニウム層の表面にさらに着色することも可能である。
基材層にアルミニウム層を蒸着膜として形成する方法として、例えば、長尺の基材層(通常ロール巻形態)に蒸着を施す場合には、次に示す様な一般的公知な真空蒸着法を挙げることができる。ロール巻き基材層の繰り出し部、蒸着部、及び巻取り部を備えた真空蒸着装置内の真空度を所定の値(例えば、1.3mPa)以下にし、この装置内でアルミニウムを容器中またはフィラメント状で加熱してアルミニウムを溶解蒸発させ、蒸着分子を繰り出された基材層表面に連続的に蒸着させて巻き取る。このような真空蒸着装置を使用する方法はバッチ式であって生産性を向上させる必要から、最近では幅広、長尺巻化しており、蒸着用の原反フィルムの高速蒸着性や巻姿等に対する要求もより厳格になっている。
本発明に適用可能な蒸着法として、真空蒸着法以外に、例えば、スパッタリング法や、イオンプレーティング法が挙げられる。
また、本発明に係る積層体フィルムとしては、さらに、基材層に接してなるコア層と、積層体フィルムの少なくとも一方の表面に形成されるシール層とを有するものが挙げられる。コア層は、基材層のアルミニウム層の形成される面と対向する面に形成され、シール層は該コア層の表面あるいは基材層に対してアルミニウム層が形成される面側に形成することができる。また、コア層とシール層の両方を基材層のアルミニウム層の形成される面と対向する面に同層に形成してもよい。
コア層とは、積層体フィルムに剛性を付与するためのものである。
コア層としては、材料自体の剛性が高いものを使用する際は、フィルムは比較的薄くても所望の剛性を与えることができ、材料が低剛性である場合は、フィルムを厚くすることによりフィルムの剛性を高めることになる。ホモポリプロピレン重合体が好適であるが、プロピレン−エチレン共重合体を適用することもできる。コア層の厚みは、特に制限はないが、1〜1000μmであることが好ましく、1〜500μmであることがより好ましい。本発明における基材層は、剛性が高いためいわゆるコア層が有する機能も兼ね備えることができる。その場合は、基材層を、コア層の好適な厚み分を考慮した範囲の厚みとすることが好ましい。
シール層とは、本発明に係る積層体フィルムを包装材料として使用する際に、シール層同士又は他の材料と接着させてシールするための層である。特に熱融着によるヒートシールに適した層である。
シール層、特にヒートシール用のシール層としては、シール層そのものが溶融して密着性を発揮するため、他の層よりも融点の低い材料を用いる。
シール層の厚みとしては、特に制限はないが、1〜100μmであることが好ましく、1〜50μmであることがより好ましい。
上記コア層とシール層の少なくとも一方は、基材層に使用されるホモポリプロピレン及びα−オレフィン含量が10mol%以下のプロピレン・α−オレフィン共重合体の少なくとも一方を含むことが好ましい。特にロール状に保管する場合に、アルミニウム層と接する層が、本発明に係るホモポリプロピレン及びα−オレフィン含量が10mol%以下のプロピレン・α−オレフィン共重合体の少なくとも一方であれば、ブリードアウト成分が少なく、アルミニウム層の汚染を抑制することができる。これは、積層体フィルムが基材層とアルミニウム層の二層構成の場合も同様である。
コア層及びシール層は、基材層と同様に押出成形により形成することができ、共押出により基材層、コア層、シール層の三層を同時に形成してもよい。また、基材層にアルミニウム層を蒸着形成してから、コア層、シール層を形成してもよい。
また、コア層若しくはシール層は積層体フィルムの全面に形成してもよいし、一部に形成してもよい。
また、本発明に係る積層体フィルムは、上記以外の層を更に有していてもよい。例えば、アルミニウム層表面に保護層としてのトップコート層などが挙げられる。
トップコート層は、アルミニウム層への擦り傷や、クラックなどの欠陥発生を抑制し、蒸着中のピンホールなどの欠陥を被覆してガスバリヤー性の向上を図ることができる。更に、トップコート層の組成を選択することで、印刷性やラミネート性の二次加工性を向上させることができる。
本発明において、メタロセン触媒により重合された高立体規則性のポリプロピレンによりなる基材層の表面とアルミニウム薄膜との間の密着強度が高い理由として、以下が考えられる。
立体規則性が高い方が、コロナ処理過程以降において、酸素ラジカル或いはそれにより誘起されるラジカル成分により、β開裂酸化が進行しやすい。その過程を図2に示した。
図2において、ステップ1は酸素ラジカルの生成過程を示しており、コロナ処理により雰囲気中の酸素から三重項酸素ラジカルが生成する(1)。ステップ2では三重項酸素ラジカルにより3級炭素に結合する水素が引き抜かれ、さらにOHラジカルが生成する(2−1)。さらにOHラジカルも同様に水素引き抜きに寄与する(2−2)。ステップ3では水素が引き抜かれた3級炭素は酸素、さらにOHラジカルにより分解される(3)。最後にステップ4として主鎖分解により生成した不飽和結合にOHラジカルが作用してOH基が生成(4−1)、主鎖分解により生成したカルボニル部分にOHラジカルが作用してCOOH基が生成(4−2)する。ステップ4では式(4−1)の反応が主に進行し、接着基としてOH基が生成する。
β開裂酸化の進行のし易さは、ポリプロピレンの3級炭素に結合する水素の脱離エネルギーの違いに由来する。量子化学計算により、ポリプロピレンホモポリマーに関してモデル計算を行ったところ、図3に示した3モデルの反応の活性化自由エネルギーは、高立体規則性であるTriad−Iモデルの場合に最も低いことがわかった。
すなわち、高立体規則性である場合の方が、図2に記したステップ2における、水素の引き抜き行程が進みやすいことを意味する。そして、以降のステップ3、4が進行し、酸素官能基の形成に至る。また、途中で生成するラジカルも、ステップ2における酸素ラジカルと同様に機能し、3級炭素からの水素の引き抜きを引き起こす。この過程も同様に立体規則性が高い場合に進行しやすい。β開裂酸化反応は、コロナ放電に晒されたフィルムの最表面において、進行することに加えて、フィルムの内部にも進行すると考えられる。
そのため立体規則性が高いフィルムの方が、最表面近傍(最表面及び深さ数nmの領域)の酸化度合が高いことになる。
アルミニウムは、酸素との親和性が高いため、より酸化度合が高いフィルムの表面と高い結合性を示す。立体規則性の高い方が表面近傍の酸化度合が高いために、アルミニウム薄膜との密着強度が高いものと考えられる。フィルム表面近傍の酸化度合はXPS法により酸素量(atomic%)を求めることで確認できる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。以下に、各物性の測定方法について記載する。
(1)分子量分布(Mw/Mn)
分子量分布(Mw/Mn)は、Waters社製ゲル浸透クロマトグラフAlliance GPC−2000型を用い、以下のようにして測定した。
分離カラムは、TSKgel GNH6−HTを2本およびTSKgel GNH6−HTLを2本であり、カラムサイズはいずれも直径7.5mm、長さ300mmであり、カラム温度は140℃とした。移動相にはo−ジクロロベンゼンおよび酸化防止剤としてBHT0.025質量%を用い、1.0ml/分で移動させた。試料(プロピレン単独重合体)濃度は15mg/10mLとし、試料注入量は400μLとし、検出器として示差屈折計を用いた。標準ポリスチレンは、東ソー社製を用いた。
(2)IPF(mmmm分率)
プロピレン単独重合体のIPF(mmmm分率)は、A.zambelliらのMacromolecules,8,687(1975)に示された帰属により定められた値であり、13C−NMRにより、下記条件で測定し、IPF=(21.7ppmでのピーク面積)/(19〜23ppmでのピーク面積)とした。
〈測定条件〉
種類 JNM−Lambada400(日本電子(株)社製)
分解能 400MHz
測定温度 125℃
溶媒 1,2,4−トリクロロベンゼン/重水素化ベンゼン=7/4
パルス幅 7.8μsec
パルス間隔 5sec
積算回数 2000回
シフト基準 TMS=0ppm
モード シングルパルスブロードバンドデカップリング
(3)メルトフローレート(MFR)
プロピレン単独重合体のメルトフローレート(MFR)を、ASTM D1238に準拠し、230℃、2.16kg荷重で測定した。
(4)融点(Tm)
DSC測定により求めた。DSC測定の詳細については下記に示す。
(5)n−デカン可溶分
1g程度のポリマー試料(このときの正確な質量をaとする)を、n−デカン200mlと、試料量に対し約1%のBHT(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン)とともに、三角フラスコに入れる。180℃に加熱し、2時間以上撹拌溶解する。試料が完全に溶解したことを確認し、1昼夜放冷する。その後、マグネチックスターラーで1時間撹拌しながらポリマーを析出させる。吸引瓶とロート(325メッシュスクリーン)にて、析出したポリマーを吸引ろ過する。ろ液を蒸発乾固させてn−デカン可溶部を回収した。n−デカン可溶分の回収量をbとする。
n−デカン可溶分は次式によって算出する。
n−デカン可溶分(%)=(b/a)×100
a:ポリマー試料の質量(g)、b:n−デカン可溶分の回収量(g)
なお、通常はデカン不溶部とろ別したろ液に多少のアセトンを加えてデカン可溶部を析出させるが、今回の使用ではデカン可溶部を目視で確認することができなかった。そのため、上記の方法によりデカン可溶部を得た。
(6)CEF(Crystallization Elution Fractionation)半値幅
下記条件で降温後、昇温時に観測されるピークの半値幅を求めた。
装 置: ハイスループット組成分布分析装置、CEF(Polymer Char社製)
検出器(内蔵): IR5型赤外分光光度計(Polymer Char社製)
検出波長: 濃度センサー:CH ・a 3.42μm(2,920cm−1
メチルセンサー:CH ・a 3.38μm(2,960cm−1);
メーカー非公表
カラム:CEFカラム(Polymer Char社製)、長さ150mm、容量2.2mL
移動相:o−ジクロロベンゼン(ODCB)、BHT添加
試料濃度:16mg/8mL
溶解条件:150℃,60min(N雰囲気下)
注入量:0.2mL
降温条件:95℃→−20℃,1.0℃/min,流量:0.012mL/min
昇温条件:−20℃→140℃,4.0℃/min,流量:1.0mL/min
(7)弾性率
JIS K6781に準じて試験サンプルを作製した。精密万能試験機(メーカー:島津製作所、型番:島津オートグラフAG−500NX)を使用して、以下の条件により、みかけ弾性率を求めた。みかけ弾性率は、引張り応力をかけた際の初期勾配より算出した。
掴み具形状:フラット
測定温度:23℃
試験速度:200mm/min
つかみ具間:80mm
ロードセル容量:500N
(8)蒸着強度
図1に示す試験サンプル(寸法100mm×15mm)を以下の手順で作製した。図1において、(a)は上面図、(b)は断面図を示す。また、(c)は剥離時の断面図である。
まず、アルミニウム膜2を蒸着したポリプロピレンフィルム1(アルミ蒸着フィルム)のアルミニウム面にアイオノマーフィルム3(タマポリ社製 品番:HM52、厚み:30μm、片面:コロナ処理)を、そのコロナ処理面がアルミニウム面と接するように積層した。
次に、アイオノマーフィルム上からサンプル長手方向の中央部に10mm幅でシール接着した。なお、アルミニウム膜2にはシール予定部分に沿って予め切り込み5を作製しておいた。
シール温度:100℃
下部ヒーター温度:室温
シール圧力:0.2MPa
シール時間:1s
24時間後に以下の条件でアイオノマーフィルム3とアルミ蒸着フィルムとを剥離し、剥離に必要な力を測定した。この際に、アルミニウム膜2は、ヒートシール部4ではアイオノマーフィルム3に接着したまま、ポリプロピレンフィルム1から剥離する(図1(c))ため、アルミニウム膜2のポリプロピレンフィルム1に対する接着の強度を評価することができる。
(9)結晶化度
ポリプロピレン系樹脂の結晶化度は以下の装置を用いて測定した融解熱量(ΔH)を100%結晶状態のホモポリプロピレンの仮想融解熱量(ΔH0)と比較して算出した。
装置名:パーキンエルマー社製 Diamond DSC
測定条件:30℃〜230℃
1st昇温温度:10℃/min
降温速度:10℃/min
2nd昇温速度:10℃/min
サンプル容器:通常パン
測定雰囲気:窒素
サンプル重量:約5mg
結晶化度Xc(%)は以下の式により算出した。
結晶化度Xc=ΔH/ΔH0 × 100
ΔH0=207.1 J/g
(10)酸化度合(酸素量測定)
以下のXPS装置を用いてコロナ処理後の基材層表面の酸素量を測定した。
装置名:KRATOS社製 AXIS−NOVA
X線源:単色化 AlKα(1486.6eV)
分析領域:700×300μm
TOA=30deg
(実施例1〜4、比較例1〜6)
表1に示す物性を有するホモプロピレン若しくはプロピレン・α−オレフィン共重合体を用いて、厚さ30μmの基材層を押出成形により成形した。
まず、攪拌機(メーカー名:プラテック、型番:SKD-15)を使用して以下の条件により、樹脂パウダーと添加剤を混合した。
添加剤処方
・リン系酸化防止剤[トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト] 0.1質量部、
・加工安定剤[スミライザー(登録商標)GP(6-[3-(3-t-butyl-4-hydroxy-5-methylphenyl)propoxy]-2,4,6,8,10-tetra-t-butyldibenz[d,f] [1.3.2]dioxaphosphepyne)、住友化学製] 0.06質量部、
・ハイドロタルサイト: MgAl(OH)12CO・3HO 0.03質量部
得られた樹脂パウダーを単軸押し出し機(メーカー名:ジーエムエンジニアリング、型番:GMZ−50)を使用して以下の条件により、造粒した。
スクリュー回転数:80rpm
樹脂温度:240℃
得られた樹脂ペレットを単軸フィルム押し出し成形機(メーカー名:田辺プラスティック、型番:VS40−25)を使用して以下の条件により、フィルム成形した。
スクリュー回転数:80rpm
樹脂温度:230℃
得られたフィルムをコロナ処理機(メーカー名:春日電機、型番:HFSS−201、電極幅:500mm))を使用して以下の条件により、コロナ処理した。
ライン速度:19m/min
放電電力:670W/m 335W=5A×67V
得られるフィルム表面の濡れ張力:42dyn
次に成形した基材層にアルミニウム層(厚み70nm)を蒸着により形成した。
フィルムを蒸着機(メーカー名:アルバック、型番:EBH−6)
真空度:26.7mPa(2×10−4 Torr)
電力:160A
蒸着速度:4.7nm/s
厚み:70nm
得られたフィルムの物性を表1に併せて示す。表中、Etはエチレン、Buはブチレンを示す。
Figure 0006662733
(実施例5、比較例7)
実施例2、比較例6で用いたポリマー用いてシール層を押出成形により形成した。簡易評価としてPETフィルム上にアルミニウム層を形成し、そのアルミニウム層とシール層とを全面に加重(100kg/m)をかけて接触させて室温下に保存してアルミニウム層の表面張力の変化を評価した。表面張力の測定は、JISK6768に準拠して行った。試験時間に対する表面張力の経時変化の結果を表2に示す。
Figure 0006662733
本発明に係るPPポリマーを用いた場合、ロール状に巻き取って保管した場合の、アルミニウム層へのブリードアウトが少なく、長期に高い濡れ性が維持できる。この結果、包装材として適した積層体フィルムの提供が可能となる。
本発明に係る積層体フィルムは、基材層の剛性を高めても、基材層とアルミニウム層との密着性に優れる。また、ロール状で保管する際に、本発明に係るPPポリマーはブリードアウトが少なく、アルミニウム層表面への影響が少ない。この結果、ロール状で供給された積層体フィルムから、各種包装材料、意匠材料など幅広い分野に適用することができる。
1.基材層(ポリプロピレンフィルム)
2.アルミニウム膜
3.アイオノマーフィルム
4.ヒートシール部
5.切り込み

Claims (7)

  1. 下記要件(1)〜(3)を満たす、ホモポリプロピレン及びα−オレフィン含量が10mol%以下のプロピレン・α−オレフィン共重合体の少なくとも一方を含む基材層と、
    前記基材層と接する厚さ50nm〜300nmのアルミニウム層と、
    を有する積層体フィルム:
    (1)mmmm値が97%以上である;
    (2)GPCによって求められる分子量分布(Mw/Mn)が3.0未満である;
    (3)メルトフローレート(230℃、2.16kg)が1〜100g/10分である。
  2. 前記基材層に含まれるホモポリプロピレン及び/又はプロピレン・α−オレフィン共重合体が、下記要件(4)、(5)の少なくとも一方を満たす、請求項1に記載の積層体フィルム:
    (4)結晶化溶離分別(CEF)の半値幅が5℃未満である;
    (5)デカン溶出成分量が2.0質量%未満である。
  3. 前記基材層の厚さが1μm〜300μmである、請求項1又は2に記載の積層体フィルム。
  4. さらに
    前記基材層に接してなるコア層と、
    前記積層体フィルムのすくなくとも一方の表面に形成されるシール層と
    を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層体フィルム。
  5. 前記コア層と前記シール層の少なくとも一方が、前記要件(1)〜(3)を満たすホモポリプロピレン及びα−オレフィン含量が10mol%以下のプロピレン・α−オレフィン共重合体の少なくとも一方を含む、請求項4に記載の積層体フィルム。
  6. 前記アルミニウム層が、蒸着膜である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層体フィルム。
  7. 前記基材層が、無延伸フィルムである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の積層体フィルム。
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