以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
[第1実施形態]
図1及び図2は、本発明の第1実施形態に係る生産装置の概略構成を示す説明図である。生産装置100は、部品W1を本体部品W2に組み付ける生産装置である。生産装置100は、いわゆるロボットセルであり、図示は省略するが、生産装置100と略同様の構成の生産装置が生産装置100に隣接して配置されている。
生産装置100は、ロボットアーム101と、ロボットアーム101の先端に取り付けられたエンドエフェクタとしてのロボットハンド102と、ロボットハンド102により把持されるツール103と、を備えている。
ロボットアーム101は、多関節(例えば6関節)のロボットアームである。ロボットハンド102は、多指(例えば3指)のロボットハンドである。ツール103は、入力した制御信号に応じて開閉するように構成されたピンセット103aを有するピンセットツールである。
また、生産装置100は、作業部である作業面104aを有する作業台104と、略直方体形状の骨組み構造の枠体105と、を備えている。この作業面104aは平面であり、作業面104aには、ワークW1,W2が直接又は間接的に載置される。なお、作業部が作業面である場合について説明するが、平面形状に限らず、凹凸を有していてもよい。
図1及び図2では、部品W1が、作業面104a上に直接載置されているが、不図示の部品トレイに載置され、間接的に作業面104a上に載置されてもよい。また、図1及び図2では、本体部品W2が、作業面104a上に直接載置されているが、不図示のワーク載置台に載置され、間接的に作業面104a上に載置されてもよい。
また、生産装置100は、第1無線局である無線局111を内蔵したカメラ106を備えている。カメラ106は、ツール103に固定されている。生産装置100は、カメラ106に内蔵された無線局111と無線通信を行うための第2無線局としての無線局112を備えている。これら無線局111,112間の無線通信には、指向性の強いミリ波や光等の電磁波を用いている。
作業台104は、機械強度が要求されるため、アルミ等の金属により強固に形成される。ロボットアーム101の基端は、作業台104の作業面104aに固定されている。なお、ロボットアーム101は、作業台104以外のものに固定してもよく、例えば枠体105や床面、壁面等、他の構造物に固定してもよい。
ロボットハンド102によりツール103を把持し、部品W1をツール103のピンセット103aで把持して、部品W1を本体部品W2に組み付けることができる。このとき、無線局111を内蔵するカメラ106は、ツール103に固定されているので、ツール103がロボットハンド102に把持されることにより、ツール103及びロボットハンド102を介してロボットアーム101に支持されていることになる。
枠体105は、作業台104の作業面104aに固定されている。なお、枠体105は、作業台104以外のものに固定してもよく、ロボットアーム101等の振動が直接伝わらないように、例えば床面に直接固定してもよい。無線局112は、作業台104に対して相対移動不能に配置されており、具体的には、枠体105に支持(固定)されている。
枠体105は、支柱部として、垂直に延びる複数本(例えば4本であり、図1及び図2で図示されているのは2本)の支柱部材121と、各支柱部材121の上端に固定され、各支柱部材121に支持される天部122と、を有している。そして、無線局112は、天部122に支持(固定)されている。
支柱部材121は、例えば金属で形成されている。また、天部122は、例えば梁部材や天板等で構成されており、作業台104の上方に配置されている。この天板は、例えばプラスチック等の非金属板であるのが好ましい。これによりカメラ106から発せられた電磁波(無線信号)は、天部122の天板を通過するため、天板での反射は起きないようになっている。なお、天部122が天板を有しているとしたが、天井の照明等の外乱光の影響がないならば、天板を設けなくてもよい。そのときには、無線局112は天部122の梁部材に直接設置すればよい。
無線局111を有するカメラ106は、ロボットアーム101の動作に応じて位置及び姿勢が変化する。作業台104の作業面104aは、ロボットアーム101の動作に伴うカメラ106(即ち、アンテナ部を有する無線局111)の可動領域よりも下方に位置している。また、枠体105の天部122は、ロボットアーム101の動作に伴うカメラ106(即ち、アンテナ部を有する無線局111)の可動領域よりも上方に位置している。
ここで、図1にはカメラ106の無線局111から無線局112へ電磁波(無線信号)を送信したとき、図2には無線局112からカメラ106の無線局111へ電磁波(無線信号)を送信したときを示している。
本第1実施形態では、カメラ106により撮像する際のロボットアーム101の姿勢が2つの場合について説明する。図1及び図2に示すように、ロボットアーム101が第1姿勢である姿勢P1と第2姿勢である姿勢P2のときに、カメラ106を用いて撮像する。本第1実施形態では、ロボットアーム101は、撮像する際の姿勢P1,P2を保持する。そのロボットアーム101の静止状態のときに無線局111,112間で無線通信を行う。なお、撮像する際のロボットアーム101の姿勢は、2つに限定するものではなく、3つ以上であってもよい。なお、図1及び図2には、各姿勢P1,P2における電磁波(無線信号)の伝送範囲E1〜E4、E10〜E12を仮想的に描いてある。
主制御装置200について説明する。主制御装置200は、ケーブル10を介して無線局112に接続されている。主制御装置200は、画像処理部201と、ロボット制御部202とを有している。主制御装置200は、コンピュータであり、ソフトウェア処理によって各部201,202として機能してもよいし、主制御装置200の各部201,202をハードウェア(回路)で構成してもよい。
画像処理部201は、取得した画像からワークW1,W2等の位置及び姿勢の計測を行う画像処理を実行する。ロボット制御部202は、ロボットアーム101の軌道、ロボットハンド102の開閉及びツール103の開閉を制御する。
ロボット制御部202は、画像処理部201から受信した補正データをもとに、ロボットアーム101の軌道を補正する機能を持つ。また、実際は、有線でロボットアーム101やロボットハンド102、ツール103の制御を行っているが、図1及び図2では制御ケーブルの図示は省略している。
主制御装置200の画像処理部201について説明する。画像処理部201は、ケーブル10及び無線局112を介してカメラ106の無線局111と通信を行う。本実施形態では、カメラリンク規格のデータを通信する。画像処理部201には、画像処理機能があり、カメラ106の無線局111から受信した撮像画像を画像処理することにより、撮像対象であるワークW1,W2の位置及び姿勢を計測する。この計測した位置及び姿勢の情報を用いて、ロボットアーム101の移動量を補正している。
次に、生産装置100を用いた生産工程の概略について説明する。以下で説明していく工程では、主制御装置200が各機器の制御を行う。
まず、組み付け作業の事前準備として、ロボット制御部202は、ロボットハンド102にツール103を把持させる。ロボット制御部202は、ツール103に部品W1を把持させるために、ロボットアーム101を姿勢P1に動作させる。
ツール103に部品W1を把持させるためには、部品W1の位置及び姿勢を正確に計測する必要がある。そのため、カメラ106で部品W1を撮像し、撮像画像を画像処理部201に伝送して画像処理させることにより、部品W1の位置及び姿勢を計測する。
カメラ106の撮像時に使用する無線通信に関する詳細は後述する。ロボット制御部202は、計測した部品W1の位置及び姿勢の情報を用いて、ロボットアーム101が移動すべき位置を算出し、移動させる。そして、ロボット制御部202は、ツール103のピンセット103aを用いて部品W1を把持させる。
ツール103による部品W1の把持作業が完了したら、部品W1を本体部品W2に組み付ける作業に移行する。
ロボット制御部202は、部品W1を本体部品W2に組み付けるために、ロボットアーム101を姿勢P1から姿勢P2に動作させる。部品W1を本体部品W2に組み付けるためには、本体部品W2の位置及び姿勢を正確に把握する必要がある。そのため、カメラ106で本体部品W2を撮像し、撮像画像を画像処理部201に伝送して画像処理させることにより、本体部品W2の位置及び姿勢を計測する。
ロボット制御部202は、本体部品W2の位置及び姿勢の情報を用いて、ロボットアーム101が移動すべき量を算出する。そして、ロボット制御部202は、算出した移動量だけロボットアーム101を移動させてから、部品W1を本体部品W2に組み付ける。
ロボット制御部202は、組み付け作業が完了したら、ロボットアーム101を姿勢P1に動作させ、新たに供給された部品W1をツール103に把持させる。そして、ロボット制御部202は、ロボットアーム101が姿勢P2となるように動作させ、新たに供給された本体部品W2に部品W1を組み付ける。
このように、生産装置100は、部品W1と本体部品W2との組み付け作業を繰り返し実施する工程を行う。
つまり、カメラ106による撮像箇所は、ロボットアーム101が姿勢P1と姿勢P2のときである。これら図1及び図2からもわかるように、カメラ106の撮像姿勢(つまり、ロボットアーム101の姿勢P1,P2)は、工程によって大きく異なる。
次に、無線通信路を含む通信路に関して説明する。第1実施形態では、無線局111と無線局112と間の無線通信に、ミリ波通信等の高速無線通信を用いた場合について説明する。このような高周波の電磁波は光に近い特性を持つので、アンテナから放射される電磁波の指向角が狭く、見通しがよくない(電磁波が届かない)場所では通信しにくいという特徴を持つ。
ここで、アンテナの指向性と指向方向に関して、図3を用いて補足説明する。図3に示すアンテナATは、指向性を有するアンテナである。図3には、アンテナATから発生する電波強度の角度分布を示している。これは、最大放射強度を有する角度の電磁波強度を1とした場合、角度に応じてどの強度になるかを示した分布図である。
一般的にアンテナATから放射される電磁波には、放射の主方向に放射するメインロブMLと、その両側又は片側に生じるサイドロブSLがある。以下、メインロブMLによる放射のみについて説明を行い、サイドロブSLに関する説明は省略する。
θは最大放射強度の半値を維持する角度で、指向角と呼ばれる。一般に、指向性が強い電磁波においては、指向角θ外において急激に電磁波強度が低下するため、この指向角θ以内の領域が通信可能領域として使われている。なお本実施形態においては、指向角θの中点が向く方向を指向方向Dとしている。また、指向性を有するアンテナとは、指向角θの範囲の電磁波が、直接、隣接する生産装置に入らない程度の指向性を有するアンテナをいう。
次に、各機器の構造について詳細に説明する。まず、カメラ106について説明する。図4は、カメラ106の外観を示す斜視図である。図4に示すように、カメラ106は、筐体301を有しており、筐体301の内部に無線局111の第1無線装置である無線装置350が収納されている。
カメラ106は、ステレオカメラであり、少なくとも2つの光学系としてレンズ302,303を有している。筐体301の前面には、レンズ302,303が設けられており、筐体301の上面には、無線局111の第1アンテナ部であるアンテナ部310が配置されている。つまり、カメラ106は、アンテナ部310と、アンテナ部310に接続された無線装置350と、を有する無線局111を備えている。したがって、アンテナ部310は、ツール103に固定されているので、ロボットアーム101に間接的に支持されることになる。
アンテナ部310は、第1送信アンテナである送信アンテナ311と、第1受信アンテナである受信アンテナ312とを有して構成される。なお、本実施形態では、カメラ106は、ステレオカメラ構造をとっているが、これに限定されることはない。
無線局111の無線装置350は、送信アンテナ311から常に電磁波を送信するモードを有する。無線局111の無線装置350は送信アンテナ311を介して、無線局112と無線通信を行う。アンテナ311,312はパッチアンテナ構造とするがこれに限定するものではない。
図5は、カメラ106の構成を示すブロック図である。カメラ106は、撮像素子であるイメージセンサ341,342を有している。イメージセンサ341,342は、レンズ302,303から入射した光を電気信号に変換するものであり、例えば、CMOSイメージセンサやCCDイメージセンサである。なお、本実施形態では、カメラ106は、ステレオカメラであるため、イメージセンサ(撮像素子)を少なくとも2つ有している。
また、カメラ106は、FPGA等で形成された映像回路343,344と、カメラ106全体の制御を司る制御部としての制御回路345と、前述したアンテナ部310を有する無線局111と、を備えている。
各イメージセンサ341,342は、各映像回路343,344からトリガ信号を受信すると、撮像処理を開始し、RAW画像データを示す画像信号を、各映像回路343,344に送信する。各映像回路343,344は、各イメージセンサ341,342から出力された画像信号(RAW画像データ)を、所定の画像フォーマットに形式変換する。そして、各映像回路343,344は、変換した画像データを示す画像信号を無線局111に送信する。なお、なお、第1実施形態では、イメージセンサ341,342により撮像された撮像画像(RAW画像データ)を、所定の画像フォーマットに変換しているが、変換が必要なければそのまま画像信号を無線局111へ送信してもよい。
制御回路345は、マイコン(マイクロコンピュータ)等で構成される。制御回路345は、無線局111から送信された制御信号を受信し、各イメージセンサ341,342が受信可能な型式に変換してから、各イメージセンサ341,342に制御信号を送信する。そして、各イメージセンサ341,342のゲインや読み出し範囲を設定する。また、制御回路345は、各イメージセンサ341,342からの返信信号を受信し、この信号を無線局111が受信可能な型式に変換してから、無線局111に送信する。
無線局111は、無線局112と無線通信を行う機能を持つ。無線局112からの電波を受信し、それを復調して得たデータを映像回路343,344や制御回路345に送信する。また、映像回路343,344や制御回路345からの信号を変調して、無線局112に対して送信する。
図6は、無線局111の構成を示すブロック図である。無線局111は、前述した送信アンテナ311及び受信アンテナ312を有するアンテナ部310と、アンテナ部310に接続された無線装置350と、を有する。
無線装置350は、第1送信機としての送信機351と、第1受信機としての受信機352とを有している。送信機351は、送信アンテナ311を介して無線信号を送信するためのものであり、受信機352は、受信アンテナ312を介して無線信号を受信するためのものである。
送信機351は、通信信号処理回路353、アナログベースバンド変換回路354、RF変換回路355、及びドライバ回路356を有する。通信信号処理回路353は、イメージセンサ341,342から映像回路343,344を介して送信されてくる画像信号や、制御回路345から送信されてくる制御信号を調停し、パケット化して、通信論理層を形成する。アナログベースバンド変換回路354は、通信信号処理回路353から送信されてきた信号を、アナログベースバンド信号に変換する。RF変換回路355は、アナログベースバンド変換回路354から送信されてきたアナログベースバンド信号を変調して、RF信号(無線信号)に変換する。ドライバ回路356は、送信アンテナ311にRF信号を送信する。
受信機352は、LNA(Low Noise Amplifer)回路357、ベースバンド変換回路358、デジタル変換回路359、及び通信信号処理回路360を有する。LNA回路357は、受信アンテナ312からの信号を増幅する。ベースバンド変換回路358は、LNA回路357からのRF信号(無線信号)を復調してベースバンド信号に変換する。デジタル変換回路359は、ベースバンド変換回路358から送信されてきたベースバンド信号をデジタル信号に変換する。通信信号処理回路360は、デジタル変換回路359から送信されてきたデジタル信号をデパケタイジングして、トリガ信号とシリアル制御信号に変換する通信論理層を形成する。
図7は、無線局112の外観を示す斜視図である。図8は、無線局112の構成を示すブロック図である。
無線局112は、図7に示すように、ケーブル10を介して主制御装置200(図1)に接続されている。無線局112は、指向性を有する第2アンテナ部としてのアンテナ部410と、図8に示すように、アンテナ部410に接続された第2無線装置としての無線装置450と、を有している。無線装置450は、アンテナ部310,410を通じて無線装置350と無線通信を行うためのものである。
アンテナ部410は、無線局112が枠体105の天部122(図1)に取り付けられているので、天部122に支持されていることになる。したがって、アンテナ部410は、作業台104(図1)に対して相対移動不能に配置されている。
このアンテナ部410は、第2送信アンテナとしての送信アンテナ411と、第2受信アンテナとしての受信アンテナ412とを有している。アンテナ411,412は、パッチアンテナ構造とするが、これに限定することはない。
図8に示すように、無線装置450は、第2送信機としての送信機451と、第2受信機としての受信機452とを有している。送信機451は、送信アンテナ411を介して無線信号を送信するためのものであり、受信機452は、受信アンテナ412を介して無線信号を受信するためのものである。
送信機451は、図6に示した無線局111の送信機351と同様の回路構成であり、通信信号処理回路453、アナログベースバンド変換回路454、RF変換回路455、及びドライバ回路456を有する。
通信信号処理回路453は、主制御装置200から送信されてくるトリガ信号や制御信号を調停し、パケット化して、通信論理層を形成する。アナログベースバンド変換回路454、RF変換回路455及びドライバ回路456は、送信機351におけるアナログベースバンド変換回路354、RF変換回路355及びドライバ回路356と同様の処理を実行する。これにより、送信機451は、トリガ信号や制御信号を含む無線信号を、送信アンテナ411を介して送信する。
受信機452は、図6に示した無線局111の受信機352と同様の回路構成であり、LNA回路457、ベースバンド変換回路458、デジタル変換回路459、及び通信信号処理回路460を有する。
LNA回路457、ベースバンド変換回路458及びデジタル変換回路459は、受信機352におけるLNA回路357、ベースバンド変換回路358及びデジタル変換回路359と同様の処理を実行する。通信信号処理回路460は、デジタル変換回路459から送信されてきたデジタル信号をデパケタイジングして、画像信号とシリアル制御信号に変換する通信論理層を形成する。これにより、受信機452は、画像信号やシリアル制御信号を含む無線信号を、受信アンテナ412を介して受信する。
無線局112は、図7に示すように、無線装置350と無線装置450との間の無線通信における無線信号の強度を計測する計測部471と、計測部471の計測結果を表示する表示部としてのインジケータ472と、を有している。具体的に説明すると、計測部471は、受信アンテナ412を介して受信機452により受信された電磁波の受信強度を計測する。
インジケータ472は、ユーザが目視可能な位置に無線局112に設置されている。インジケータ472は、複数のLEDで構成されており、LEDの点灯数が多いほど受信電波強度が高いことを表す。
なお、図示は省略するが、無線局111が、計測部471と同様の機能の計測部とインジケータ472と同様の機能の表示部とを有していてもよい。この場合、計測部は、受信アンテナ312を介して受信機352により受信された電磁波の受信強度を計測する。また、表示部は、インジケータに限定するものではなく、例えば各種画像を表示する不図示のモニタであってもよい。
生産装置100は、図1及び図2に示すように、反射板107,108を備えている。各反射板107,108の反射面は、平面状に形成されている。反射板107は、アンテナ部410の指向範囲内の位置であって、ロボットアーム101の複数の姿勢P1,P2のうちの少なくとも1つの姿勢、第1実施形態では姿勢P1でアンテナ部310の指向範囲内に位置するように配置されている。そして、反射板107は、ロボットアーム101が姿勢P1のときに、無線装置350と無線装置450との間で通信可能に無線信号を反射するよう配置されている。即ち、反射板107は、ロボットアーム101が姿勢P1のときに、送信アンテナ311から送信された無線信号を受信アンテナ412に反射し、且つ送信アンテナ411から送信された無線信号を受信アンテナ312に反射するように配置されている。
反射板108は、アンテナ部410の指向範囲内の位置であって、ロボットアーム101の複数の姿勢P1,P2のうちの少なくとも1つの姿勢、第1実施形態では姿勢P2でアンテナ部310の指向範囲内に位置するように配置されている。そして、反射板108は、ロボットアーム101が姿勢P2のときに、無線装置350と無線装置450との間で通信可能に無線信号を反射するよう配置されている。即ち、反射板108は、ロボットアーム101が姿勢P2のときに、送信アンテナ311から送信された無線信号を受信アンテナ412に反射し、且つ送信アンテナ411から送信された無線信号を受信アンテナ312に反射するように配置されている。
本第1実施形態では、反射板107,108は、作業台104の作業面104aに支持されている。反射板107,108の材質は、電波を反射しやすい材質、例えば鉄板、アルミ板等の金属又は金属メッキ板等である。反射板107,108の表面形状に関しては、特殊な加工処理を必要としない平面形状の金属プレートを用いれば、低コストで製作できるので望ましい。
まず、カメラ106から主制御装置200への送信経路について説明する。図1において、ロボットアーム101が姿勢P1の位置にある場合、カメラ106の無線局111から送信された電磁波E1は、反射板107で反射し、反射波E3が生成される。一方、ロボットアーム101が姿勢P2の位置にある場合、カメラ106の無線局111から送信された電磁波E2は、反射板108で反射し、反射波E4が生成される。反射波E3,E4の照射範囲が重なるところに、無線局112が設置さている。
換言すると、反射板107,108は、無線局112のアンテナ部410の指向範囲内の位置であって、ロボットアーム101の姿勢P1,P2で無線局111のアンテナ部310の指向範囲内に位置するように配置されている。詳述すると、反射板107は、ロボットアーム101が姿勢P1のときに、送信アンテナ311から送信された無線信号を受信アンテナ412に反射し、送信アンテナ411から送信された無線信号を受信アンテナ312に反射するように配置されている。また、反射板108は、ロボットアーム101が姿勢P2のときに、送信アンテナ311から送信された無線信号を受信アンテナ412に反射し、送信アンテナ411から送信された無線信号を受信アンテナ312に反射するように配置されている。
これにより、ロボットアーム101が姿勢P1,P2の両方の姿勢で、カメラ106の無線局111から送信された電磁波が、反射板107,108を介して無線局112にて受信される。
ここで、ある撮像箇所において、撮像方向が無線局112の方向であった場合には、反射板を設けなくてもよい。例えば、ロボットアーム101が姿勢P2のときにアンテナ部310とアンテナ部410の指向範囲が互いのアンテナ部に含まれていれば、反射板108は省略してもよい。
無線局112は、カメラ106の無線局111から電磁波(無線信号)を受信して、主制御装置200でデータとして認識可能な信号に復調する。無線局112は、この受信したデータを示す信号をケーブル10経由で主制御装置200に送信する。主制御装置200は、このデータを用いて適宜処理を実施する。
次に、主制御装置200からカメラ106への送信経路について図2を用いて説明する。主制御装置200は、ケーブル10を介して、無線局112にデータを示す信号を送信する。無線局112は、受信した信号を変調し、カメラ106の無線局111に対して電磁波(無線信号)E10を送信する。このとき、送信した電磁波E10の照射範囲に、反射板107と反射板108とが存在するような位置に、無線局112が設置されている。
電磁波E10は反射板107と反射板108で反射し、反射波E11,E12が生成される。ロボットアーム101が姿勢P1の位置にある場合、無線局111は反射波E11を受信する。一方、ロボットアーム101が姿勢P2の位置にある場合は、無線局111は反射波E12を受信する。無線局111はこの受信した電磁波(無線信号)を復調し、受信したデータを用いて適宜処理を実施する。
なお、第1実施形態では、各姿勢P1,P2に対応して、反射板をそれぞれ1枚ずつ設置しているが、各姿勢P1,P2に対応して、反射板をそれぞれ複数枚ずつ設置してもよい。つまり、障害物をさけるように複数の反射板を配置することで、安定した通信路が確保することができる。
ここで、カメラ106のアンテナ部310の設置方向(指向方向)について説明する。アンテナ311,312の指向方向が、カメラ106のレンズ302,303における光軸方向と略平行になるように、各アンテナ311,312を設置する。略平行である最低条件は、送信電磁波又は受信電磁波の指向角内の領域に光軸が入っていることである。
仮にカメラ106の撮像範囲内に障害物が存在した場合、撮像対象を正常に撮像することができないため、カメラ106(即ちイメージセンサ341,342)による撮像の際には、撮像範囲内に障害物が存在しないのが前提である。したがって、ロボットアーム101が姿勢P1,P2では、カメラ106の撮像範囲内には障害物は存在していない。よって、アンテナ部310(アンテナ311,312)の指向方向をレンズ302,303の光軸方向と略平行にすることにより、カメラ106と反射板107,108との間に安定した通信路を確保できる。
当然、無線局112からの指令をカメラ106が受信する場合においても、反射板107,108とカメラ106との間の通信路は安定している。ここで、図2に示すように、無線局112から送信される電磁波の伝送範囲E10は広くなるため、作業台104やロボットアーム101などの金属体でも電磁波が反射される。無線局112は、反射板107,108からの反射波以外も受信する、即ちマルチパスによる通信品質劣化が発生する恐れも考えられる。その際には、受信アンテナ312の指向方向を反射板107,108方向と略平行となるので、受信アンテナ312を狭指向性アンテナとすることで対策できる。
これにより、受信アンテナ312は、反射板107,108からの反射波E11,E12以外の電波を受信しにくくなるので、マルチパスによる通信品質劣化を防ぐことができる。また、作業台104やロボットアーム101の表面に電波吸収体を設けても、不要な反射波が発生しなくなるので、マルチパスによる通信品質劣化を防ぐことが可能である。
次に、無線局112の設置箇所について説明する。第1実施形態では、無線局112が枠体105の上部に設置されている場合について示している。しかし、これに限定されることなく、枠体105の横側(支柱部)に設置しても構わない。この枠体105を使用することにより、専用のジグを設置する必要がないので、コストを削減できる。
また、無線局112が枠体105の天部122に支持(固定)されているので、生産装置上部には金属体等の障害物は存在せず、不要な反射波を生成しないので、マルチパスによる通信品質劣化も抑制できる。また、隣接する生産装置は平面上に配置される。すなわち、上部方向に反射することにより、隣接する生産装置同士での電磁波の干渉を防止する効果もある。
また、生産装置100は、ロボットアーム101の干渉防止や、枠体105に取り付けられた固定カメラのワークディスタンス確保のため、作業エリア(撮像箇所)から枠体105の上面までの距離は長くとられている。
よって、反射板107,108の電磁波の反射方向を生産装置100の上部方向にすることにより、指向角が狭いアンテナを用いて電磁波を照射したときにも、伝播距離が長くなるので電磁波の伝送範囲はより広くなる。これにより、各撮像箇所から伝送される電磁波の重なる領域も広くなるので、無線局112の設置箇所の自由度が増す。
一方、無線局112からの送信に関しても、反射板107,108までの距離が長くなるので、作業エリア近辺での伝送範囲は広くなる。この伝送範囲内に反射板107,108を設置すればよいので、反射板107,108の設置箇所の自由度も広がる。
なお、枠体105が生産装置100の構成として存在しない場合には、別途専用ジグを作業台104に設置し、この専用ジグに無線局112を取り付ければよい。その際、無線局112が専用ジグの上部に設置することがより好適である。
一般的に、生産装置100の立ち上げ時に、撮像位置の微調整を行う。この微調整により、カメラ106の無線局111からの電磁波の指向方向が変化する。
そこで、本第1実施形態では、生産装置100は、反射板107,108の姿勢を調整する調整機構を備えている。この調整機構により、反射板107,108の調整、つまり通信路の調整を短時間で実施できる。
図9は、反射板107(108)及び反射板107(108)の調整機構500を示す斜視図である。まず、前提として、無線局112と反射板107(108)との間の距離は長いため、反射板107(108)のあおり角度によって、反射波の伝送範囲は大きく変化する。よって、第1実施形態では、調整機構500は、反射板107のあおり角度を調整する。
調整機構500は、設置用ジグに取り付ける面501aを有する底板である金属板501を有する。金属板501の中央には取り付け穴(貫通孔)501bが形成されており、金属板501は、作業台104などの固定物にねじを用いて固定される。
金属板501の隅(4隅)にはタップ穴501c、反射板107(108)の隅(4隅)には貫通孔107c(108c)が形成されている。
調整機構500は、金属板501と反射板107(108)との間であって、4隅に配置された4つのコイルばね502を有する。また、調整機構500は、コイルばね502及び反射板107(108)に挿通され、タップ穴501cに螺合するねじ軸と、反射板107(108)に係合するねじ頭とを有する4つのねじ503を有する。
この4隅のねじ503を回転させることにより、反射板107(108)の反射面のあおり角度を調整することができる。本実施形態では、ばね502とねじ503を用いた場合について述べたが、ボールジョイントを用いてもよい。
つぎに、無線局112と反射板107,108の設置手順を説明する。前述したように、カメラ106の撮像箇所は一度決定すれば、工程が変わらない限り変わらない。それゆえ、生産装置100の立ち上げ時に、一度だけ位置及び姿勢を調整すればよい。
調整及び設置手順としては、まず無線局112及び反射板107,108を設置してから、反射板107,108のあおり角度を、調整機構500により調整する。このとき、無線局112のおおまかな設置位置は、事前にシミュレーション等により求めておけばよい。
無線局112を設置した後の反射板107,108の調整方法について説明する。まず、反射板107のあおり角度の調整を行うため、ロボットアーム101を姿勢P1の位置に移動する。そして、カメラ106の無線局111を、前述した、常に電波を送信し続けるモードに設定する。
前述したように、無線局112には、受信感度を表すインジケータ472(図7)が付いている。作業者はこのインジケータ472の表示を見ながら、反射板107のあおり角度を調整すればよい。
例えば、インジケータ472のLEDが5個中4個以上点灯すれば合格という基準を設けておけば、作業者は反射板107のあおり調整が完了したか否かを容易に判断することができる。
次に反射板108のあおり調整を行うため、ロボットアーム101を姿勢P2の位置に移動する。そして、反射板107の調整と同様に反射板108の調整も実施する。反射板108を調整しても、受信感度が合格基準に達しない場合には、無線局112の位置を移動し、反射板107の調整から再度実施する。
以上説明したように、カメラ106の撮像方向に反射板107,108を設けて、反射波を生成することにより、カメラ106の無線局111から無線局112までの電磁波の伝播距離が長くなる。これにより、電磁波の伝送範囲が広くなり、重なり領域が広がるため、無線局112の数を削減することが可能となる。
本第1実施形態によれば、電磁波の強い方向をサーチする必要がなく、サーチに要する時間のロスがなくなり、無線装置350と無線装置450との間での無線通信のリアルタイム性が確保され、生産装置100の生産タクトが向上する。
また、無線局111に対応する無線局112の数を削減することができるので、生産装置100全体としてコストを削減できる。
また、無線局112の数を削減することができるので、無線局112と主制御装置200との間をケーブルで接続する作業も削減でき、生産装置100の立ち上げリードタイムを短縮することができる。
また、反射板107,108に姿勢を調整する調整機構500が設けられているので、反射板107,108の調整、つまりは、通信路の調整を短時間で行うことができる。よって、生産装置100の立ち上げリードタイムを短縮可能である。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る生産装置について説明する。図10及び図11は、本発明の第2実施形態に係る生産装置の概略構成を示す説明図である。生産装置100Aは、部品W1及び部品W3を本体部品W2に組み付ける生産装置である。即ち、本第2実施形態において、上記第1実施形態との違いは、本体部品W2に部品W1だけでなく、部品W3も組み付ける点である。部品W3も、ツール103のピンセットを用いて組み付け作業を行う。なお、本第2実施形態において、上記第1実施形態と同様の構成については、説明を省略する。
本第2実施形態では、ロボットアーム101が3つの姿勢P1,P2,P3のときの撮像箇所でカメラ106を用いてワークW1〜W3を撮像するものである。本第2実施形態では、撮像箇所が3か所である場合について説明するが、これ以上あってもよい。
生産装置100Aは、上記第1実施形態の生産装置100の各部の構成に加え、ロボットアーム101の姿勢P3に対応して、反射板109及び第2無線局である無線局113を更に備えている。即ち、生産装置100Aは、第2アンテナ部及び第2無線装置を有する第2無線局を複数備えている。無線局113は、無線局112と同様の構成である。
本第2実施形態では、無線局113は、枠体105の支柱部である支柱部材121に支持されており、ケーブル11で主制御装置200に接続されている。
図10にはカメラ106の無線局111から無線局112,113へ電磁波(無線信号)を送信したとき、図11には無線局112,113からカメラ106の無線局111へ電磁波(無線信号)を送信したときを示している。なお、図10及び図11には、姿勢P3における電磁波(無線信号)の伝送範囲E21,E23,E30,E31を仮想的に描いてある。
本第2実施形態では、1つの無線局112に対して全撮像箇所からは安定した通信を確保できない場合、第2無線局を複数設置することである。仮に、反射板を用いない場合、第2無線局が3個必要となるが、反射板107〜109を用いることにより、2個に削減できる。
生産装置100Aを用いた生産工程の概略について説明する。以下で説明していく工程では、主制御装置200が各機器の制御を行う。本第2実施形態では、上記第1実施形態で説明した部品W1の本体部品W2への組み付け後に、部品W3を組み付ける作業を実施する。
差異部分である、部品W3の組み付け工程について説明する。ロボットアーム101を姿勢P3に移動させる。部品W3を把持するためには、部品W3の位置及び姿勢を正確に計測する必要がある。そのため、主制御装置200の画像処理部201は、カメラ106で部品W3を撮像した撮像画像を画像処理することにより、部品W3の位置及び姿勢を計測する。
主制御装置200のロボット制御部202は、計測した部品W3の位置及び姿勢の情報を用いて、ロボットアーム101が移動すべき位置を算出し、移動させる。そして、ツール103のピンセットを用いて部品W3を把持する。
把持作業が完了したら、部品W3を本体部品W2に組み付ける作業に移行する。この作業は部品W1の組み付け作業と同様のため、説明は割愛する。組み付け作業が完了したら、主制御装置200は、新たに供給された部品W1を把持し、新たに供給された本体部品W2に部品W1を組み付ける。そして、新たに供給された部品W3を把持し、先ほどの本体部品W2に組み付ける。このように、部品W1と部品W3を本体部品W2に組み付ける作業を繰り返し実施する。
つまり、カメラ106の撮像箇所は、ロボットアーム101が姿勢P1,P2,P3のときである。図10及び図11からもわかるように、カメラ106の撮像姿勢は、工程によって大きく異なる。
次に、無線通信路を含む通信路に関して説明する。ロボットアーム101が姿勢P1,姿勢P2の位置にある場合は、上記第1実施形態で説明したので説明は省略し、ロボットアーム101が姿勢P3の位置にある場合について説明する。
撮像時のカメラ106の位置及び姿勢によっては、反射板109をどのように調整しても、無線局112との安定した通信路を確保できない場合があり得る。例えば、図10に示したように、反射板109と無線局112との間に、障害物110が存在する場合である。
このような場合、ロボットアーム101が姿勢P3の位置にあるときにも安定して通信できる箇所に、別途、無線局113を設置すればよい。このとき、装置立ち上げ時に、ロボットアーム101が姿勢P1,姿勢P2の位置にあるときは無線局112を、姿勢P3の位置にあるときは無線局113を使用することを、主制御装置200に記憶させておけばよい。
ロボットアーム101が姿勢P3の位置にあるときの、カメラ106から主制御装置200への送信経路について図10を用いて説明する。カメラ106の無線局111から送信された電磁波E21は反射板109で反射し、反射波E23が生成される。
この反射波E23の伝送範囲内に、無線局113が設置されている。撮像方向が無線局112方向であった場合には、反射板109を設けなくてもよい。
無線局113は、カメラ106の無線局111から電磁波(無線信号)を受信して、主制御装置200でデータとして認識可能な信号に復調する。無線局113は、この受信したデータを示す信号をケーブル11経由で主制御装置200に送信する。主制御装置200は、このデータを用いて適宜処理を実施する。
ロボットアーム101が姿勢P3の位置にあるときの、主制御装置200からカメラ106への送信経路について図11を用いて説明する。主制御装置200は、ケーブル11を介して、無線局113にデータを示す信号を送信する。無線局113は、受信した信号を変調し、カメラ106の無線局111に対して電磁波(無線信号)E30を送信する。このとき、送信した電磁波E30の伝送範囲に、反射板109が存在するような位置に、無線局113が設置されている。
電磁波E30は反射板109で反射し、反射波E31が生成される。カメラ106の無線局111は反射波E31を受信する。カメラ106はこの受信した電磁波(無線信号)を復調し、受信したデータを用いて適宜処理を実施する。
次に、上記第1実施形態と異なる無線局112,113と主制御装置200との構成について説明する。まず、無線局112,113の構造について説明する。
本第2実施形態では、各無線局112,113がIDをもっており、主制御装置200が各無線局112,113を識別できる。IDは、無線局112,113に設けられたスイッチで変更することが可能である。ただし、スイッチ方式に限定することはなく、無線局112,113内の不揮発メモリ内にIDを保存しておいてもよい。
主制御装置200の内部構成を説明する。前述したように、ロボットアーム101の姿勢によって、使用する無線局112,113が異なってくる。よって、主制御装置200は、どの無線局112,113を使用するか事前に知る必要がある。
この機能について説明する。まず、主制御装置200の画像処理部201が、無線局112,113を選択できる装置を具備する。主制御装置200は、接続されている無線局112,113のIDを把握する機能と、IDを選択して通信相手となる無線局112,113を決定する機能を持つ。
使用する無線局112,113の決定方法について説明する。生産装置100Aの立ち上げ時に、カメラ106の撮像タイミングを主制御装置200に保存する工程があるので、このときに、どの無線局112,113を使用するかを、主制御装置200の記憶装置に保存する。そして、主制御装置200は撮像処理時に、この記憶装置から使用する無線局112,113のIDを読み出し、このIDを持つ無線局112,113に対して通信を行う。
以上説明したように、ある撮像箇所において、無線局112に電磁波を反射できない場合、無線局113を別途配置することにより、安定した通信路を確保することができる。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る生産装置について説明する。図12は、本発明の第3実施形態に係る生産装置における反射板及び反射板の姿勢を調整する調整機構を示す側面図である。また、図13及び図14は、部品トレイに配置した部品をツールを用いて把持する工程の説明図である。なお、本第3実施形態において、上記第1実施形態と同様の構成については、同一符号を付して説明を省略する。
本第3実施形態では、反射板107の代わりに反射板107Bを作業台104の作業面104a(図1)に配置したものである。
図12に示すように、本第3実施形態の反射板107Bは、反射面107aが凹面である。反射面107aが凹面であるため、反射波のビームが広がらず、遠方まで通信が可能となる。これにより、送信局から送信された電磁波の一部しか反射できない場合や、通信相手局との距離が離れている場合に対応可能となる。なお、表面性状は、電波の波長より十分小さければ問題ない。そのため、光の反射板のように鏡面仕上げをする必要がないので、極めて安価に作成できる。
図13(a)〜図13(d)は、部品トレイ120の四隅に位置する部品W1を把持する際の工程を示す説明図である。また、図14(a)は、部品トレイ120の最上列に位置する部品W1を把持する際の工程を示す説明図、図14(b)は、部品トレイ120の最下列に位置する部品W1を把持する際の工程を示す説明図である。
図13(a)〜図13(d)に示す部品トレイ120には、複数の部品W1が格子状に並べて配置され、作業台104の作業面104a(図1)に載置される。そして、複数の部品W1を順次、別々の本体部品W2に組み付けられる。
部品W1を把持する際に部品W1を撮像するロボットアーム101(図1)の姿勢は複数あり、図13では24の姿勢がある。
反射板107Bは、無線局112のアンテナ部410の指向範囲内の位置であって、ロボットアーム101(図1)の複数の姿勢のうち24の姿勢でカメラ106のアンテナ部の指向範囲内に位置するように配置されている。
そして、反射板107Bは、ロボットアーム101が24の各姿勢のときに、無線装置350と無線装置450との間で通信可能に無線信号を反射するように、位置及び姿勢が設定されている。なお、反射板107Bの姿勢は、図12に示す調整機構500で調整すればよい。
以下、部品W1を本体部品W2に組み付ける生産工程について説明する。ただし、部品W1を把持する工程以外は、上記第1実施形態で説明した内容と同一であるため割愛する。
部品W1の把持工程について説明する。部品トレイ120内には部品W1が複数配置されている。まず、部品トレイ120の右上の部品W1を把持し、本体部品W2に組み付ける。組み付け作業が完了したら、部品トレイ120内の1つ下にある部品W1を把持し、同様に組み付け作業を行う。これを繰り返し、左下の部品W1の組み付け作業が完了したら、新たな部品トレイ120が供給され、同様に右上の部品W1の組み付け作業に入る。
このように、把持する部品W1の位置は部品トレイ120内で変化する。各部品W1を把持する際、カメラ106を用いて部品W1を撮像し、画像処理により部品W1の位置及び姿勢を計測する。よって、把持する部品W1の位置が変化するということは、カメラ106の撮像箇所(つまりロボットアームの姿勢)が変化するということである。
カメラ106の無線局111から送信された電磁波E41は反射板107Bで反射され、無線局112(図14)に送信される。前述したように、撮像箇所が変化するので、各撮像箇所から送信される電磁波E41の伝送範囲を全てカバーするような領域は広範なものとなる。つまり、この領域をすべて含むような反射板は巨大なものとなってしまうので、設置するのは困難である。
よって、本第3実施形態では、各撮像箇所から伝送される電磁波E41の一部を反射する反射板107Bを設置している。このように、電磁波E41の一部しか反射できないため、反射波E42の信号強度が減衰することが考えられる。
本第3実施形態では、横長な部品トレイ120を使用している。部品トレイ120の縦方向への移動(図13(a)から図13(b)、図13(c)から図13(d))に対応するために、カメラ106に搭載されたアンテナの指向角を縦方向に広くなるように設計されている。
縦方向の指向角が広くとられるとアンテナゲインが下がり、さらに一部しか反射できないので、平面形状の反射板では、無線局112に伝送される信号強度が弱くなり、正常に通信できない場合がある。そこで、反射板107Bの反射面107aの形状を縦方向に凹型の凹面にすることで、反射波E42の広がりを抑え、アンテナゲインの低減分を補い、より遠方まで電磁波を伝送することができる。また、横方向は、カメラ106に搭載されたアンテナの横方向の指向角をなるべく狭くすることで、アンテナゲインを上げるとともに、アンテナの指向方向を常に無線局112に向けることが可能となる。よって、無線局112における受信電波強度を高くすることができるので、安定して無線通信を行うことができる。
以上説明したように、部品トレイ120内の部品W1の把持工程などの、カメラ106の撮像箇所が毎回異なるような場合にも、安定して無線通信を行うことができる。
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態に係る生産装置について説明する。図15は、本発明の第4実施形態に係る生産装置における反射板及び反射板の姿勢を調整する調整機構を示す側面図である。なお、本第4実施形態において、上記第1実施形態と同様の構成については、同一符号を付して説明を省略する。
本第4実施形態では、反射板107又は反射板108の代わりに反射板150を作業台104の作業面104a(図1)に配置したものである。
図15に示すように、反射板150の反射面150aを凸面としている。反射波の広がり角を大きくできるというメリットがある。これにより、各撮像箇所からの反射波の重なり領域が広くなるため、無線局112の設置箇所の自由度が増す。
なお、本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。
上記第1〜4実施形態では、アンテナ部310がカメラ106に設けられている場合について説明したが、これに限定するものではなく、例えば、ツール103やロボットハンド102、ロボットアーム101等に取り付けられていてもよい。また、上記第1〜第4実施形態では、第1アンテナ部であるアンテナ部310と第1無線装置である無線装置350とが一体に構成されている場合について説明したが、これに限定するものではない。アンテナ部310と無線装置350とが別体に構成されて互いに異なる位置に配置されていてもよい。第2アンテナ部と第2無線装置についても同様である。
また、上記第1〜第4実施形態では、無線装置350が、送信機351と受信機352とを有している場合について説明したが、これに限定するものではなく、無線装置350が送信機351のみで構成されていてもよい。その場合、無線装置450は、受信機452で構成のみされていればよい。そして、アンテナ部310は、送信アンテナ311のみで構成され、アンテナ部410は、受信アンテナ412のみで構成されていればよい。その際、反射板は、送信アンテナから送信された無線信号を受信アンテナに反射するように配置されていればよい。例えば、画像情報を用いてロボットアーム軌道を制御する、いわゆるビジュアルサーボなどを実施するためには、カメラ106は撮影を連続して行う必要がある。このような用途の場合には、上記アンテナ構成でも対応可能である。また、仮に、主制御装置200からカメラ106への通信を実施したい場合には、有線の通信路を確保すればよい。主制御装置200がロボットハンド102を制御するために、ロボットハンド102までは、制御通信路が確保されている。例えば、ロボットハンド102とツール103の掌部にそれぞれ制御通信用接点を設ければ、主制御装置200とカメラ106間の制御通信路を確保できる。
また、逆に、上記第1〜第4実施形態において、無線装置350が受信機352のみで構成されている場合であってもよく、その場合、無線装置450は、送信機451のみで構成されていればよい。そして、アンテナ部310は、受信アンテナ312のみで構成され、アンテナ部410は、送信アンテナ411のみで構成されていればよい。その際、反射板は、送信アンテナから送信された無線信号を受信アンテナに反射するように配置されていればよい。
また、上記第1〜第4実施形態では、枠体105は、直方体型の場合について説明したが、門型、片持ち型等いかなる形状の枠体であってもよい。
また、上記第1〜第4実施形態では、指向性を有する第2アンテナ部に接続された第2無線装置の通信対象として、ロボットアーム101に支持されたカメラ106を前提として説明したが、本発明の無線通信の制御対象は、これらに限定されない。例えば、ツール103やロボットハンド102の制御通信についても本発明は適用が可能である。
また、第1アンテナ部がツール103やロボットハンド102に搭載されており、カメラ106が必要ない場合には、画像処理部201は省略してもよい。その際、無線局112は、ロボット制御部202にインターフェースボードを設けて、ロボット制御部202と直接接続してもよく、これにより、第1アンテナ部に接続された第1無線装置と交信させてもよい。
また、上記第1〜第4実施形態では、画像信号の他、制御信号やトリガ信号の送受信を行うため、各無線装置が送信機と受信機とを有する場合について説明したが、これに限定するものではない。例えば、画像信号は無線通信により送受信を行い、制御信号やトリガ信号は信号線を介して通信を行うように構成した場合には、第1無線装置は送信機のみを有していればよく、第2無線装置は受信機のみを有していればよい。そして、第1アンテナ部は、送信アンテナのみ、第2アンテナ部は、受信アンテナのみ有していればよい。その際、反射板は、送信アンテナから送信された無線信号を受信アンテナに反射するように配置されていればよい。
また、上記第1〜第4実施形態では、第1アンテナ部が、送信アンテナと受信アンテナとを別個に備えている場合について説明したが、これに限定するものではない。第1無線装置の送信機と受信機とを、第1アンテナ部に切り替えて接続するように構成すれば、第1アンテナ部が、送信用と受信用とを兼ねたアンテナ部であってもよい。第2アンテナ部についても同様である。