本発明は、光通信用の光送受信モジュール等の光デバイスに関し、特に、光集積回路型光デバイスの構造に関する。
スマートフォン等を用いたモバイルインターネットサービス、またはデータセンタに集約したサーバを用いたクラウドコンピュータサービス等の普及により、高品質の動画や音声の情報をはじめとする膨大な情報が情報通信ネットワークにより伝送されている。さらに、それらサービスの多様化、拡充、高度化、および利用する個人や法人の増加により、情報通信ネットワークを流れる情報量、すなわちネットワークのトラフィックは年々増加しており、将来のネットワークの伝送容量が既存の情報通信ネットワークの伝送容量を上回ることが予想されている。このような状況を背景に、通信ネットワークの伝送容量を大幅に拡大することが社会的な課題になっている。
光通信の伝送容量を拡大するために、光の位相、または光の位相と強度を2段階以上に変調する多値変調方式を用いて光信号を伝送するデジタルコヒーレント伝送方式が導入されている。このような伝送システムを実現するために、光の位相または強度を高速で多値変調する光変調器や、光の位相または偏波を制御し干渉させることにより光の位相情報を強度情報に変換して光信号を多チャンネルの電気信号に変換する光受信器等の光デバイスが用いられている。
上記したような、複雑かつ高度な光信号処理を行う光デバイスとしては、一般的に、平面基板上で光導波路を構成要素として構成される平面基板形光集積回路が用いられる。
以下の説明では、上記の平面基板型光集積回路を、単に「光集積回路」と称し、平面基板型光集積回路を用いた光デバイスを、「光集積回路型光デバイス」と称する。また、平面基板とそれに搭載された光集積回路とを合わせて、「光回路基板」と称する。
光ファイバ1本あたりの伝送容量を増加させるには、上記のようなデジタルコヒーレント伝送方式に加えて、波長多重通信方式が採用されることが多い。この場合、一つの波長チャネルにつき、送信側に光変調器、受信側に光受信器がそれぞれ1台ずつ用いられるので、例えば40波長の波長多重通信の場合には、それらの光デバイスは、送信側と受信側でそれぞれ40台ずつ必要になる。このように、多数の光デバイスが用いられる光通信システム装置では、とりわけ、光デバイスが小型であることが望まれる。通常、光デバイスはプリント基板の上に搭載されるが、光デバイスが小型であれば、1枚のプリント基板への搭載数が多くなり、光通信システム装置を小型にすることができる。また、同じ大きさの光通信システム装置の場合でも、光デバイスの搭載数が多くなる分、処理能力が向上する。
近年、インジウムリン(InP)といった半導体をベースとした半導体光集積回路や、コアを、シリコンまたはクラッドを石英とするシリコン光導波路により光回路レイアウトが形成されたシリコンフォトニクス光集積回路の研究開発が進展し、実用化の段階に来ている。これらの光集積回路は、光の位相や強度の高速変調、光信号の電気信号変換等、多様で高度な光信号処理機能が実現でき、また、光導波路レイアウトの曲率半径を非常に小さくすることができ、これにより結果として、光集積回路基板のサイズを大幅に小さくすることができる。一般的に、光集積回路基板は1辺が数mm程度の小さいサイズとすることができる。
図12は、半導体またはシリコンフォトニクス光集積回路を用いた従来の光集積回路型光デバイス100の構造の一例を模式的に示す図である。
この光デバイス100は、基本的には、光集積回路基板101および電気回路102をパッケージ(筐体)103に収容することにより、構成される。パッケージ103は、金属、セラミックまたはプラスチック等により形成される。光集積回路基板101がパッケージ103に収容されるのは、プリント基板上への実装、比較的脆弱な光集積回路104の保護、または/および、光集積回路104と電気回路102との配線等に起因する都合によるからである。図12において、光導波路111は、光ファイバ105と接続されている。
なお、図12では、光デバイス100内に電気回路102が備えられる場合について示されているが、光デバイス100を実装するプリント基板上に電気回路102が備えられ、この電気回路102と光デバイス100内の光集積回路104とが電気配線で直接接続される場合があるため、光デバイス100内には電気回路が無い場合もある。
図12において、光デバイス100では、複数本の光ファイバ105が光集積回路104と接続され、外部との入出力を行う。光ファイバ105の各々は、接続部品107によって、集積回路基板101に装着して固定される。このとき、光ファイバ105の各々は、V溝のガラス基板等を用いて所定の間隔(ピッチ)で配列される。
また、パッケージ103を貫通するパッケージ部分の光ファイバ105は、光ファイバ取り出し部120のファイバ固定部108によって固定される。このファイバ固定部108によって、光ファイバ105への引っ張りや曲げが生じ得る外力が抑制され、これにより、接続部品107、および接続部品107と光集積回路基板101との固定部分が保護される。なお、図12において、ブーツ110は、光ファイバ取り出し部120に備えられる。
ファイバ固定部108と光集積回路基板101との相対的な位置誤差や位置変動(温度変動等による)、または/およびパッケージ103と光集積回路基板101との相対的な位置誤差や位置変動(温度変動等による)を光ファイバ105の撓みで調整するために、ファイバ105が接続される接続部品107の後端と、ファイバ固定部108のパッケージ内壁との間は若干の間隔を有する。
一般的に、接続部品107も、数mm程度の長さが必要となり、光集積回路基板101の光入出力端109からパッケージ103の内壁までの寸法Lcは、接続部品107の長さよりも若干長くなる。図12に示した「Lc」の寸法は、光ファイバ105との接続のために必要な寸法である。
パッケージの長さLp、すなわち光デバイス100の一辺の寸法は、図12に示した「Lc」の寸法分だけ長くなるが、光集積回路基板101の長さは数mmと小さいため、光デバイス100の全寸法Lpに占める、パッケージの長さLcの割合は大きくなる。
特許文献1に開示されているように、光集積回路がマルチチップで構成される場合、すなわち、複数の光集積回路基板が接続されて構成される場合、光集積回路基板101に接続部品107が接続される位置は、光集積回路基板109の後端ではなく、前端に配置することにより、パッケージの長さを短縮できる。
図13は、かかる光デバイス200の構成の一例を示す図である。光集積回路204は、光集積回路基板201Aと光集積回路基板201Bとが接合されて構成される。
一般的に、光集積回路をマルチチップで構成する理由は、高速光変調が可能なニオブ酸リチウム結晶型光集積回路と分岐、合流、波長合分波、偏波制御に優れたシリコン基板石英系光集積回路の組み合わせのように、光集積回路基板の種類により機能上の長所と短所があり、長所を利用するためである。
図13では、光集積回路基板201Aは石英系の光集積回路基板であり、光集積回路基板201Bはニオブ酸リチウム結晶型の光集積回路である。
光集積回路基板201Bは、電気回路202と隣接するように配置されている。光集積回路基板201Aの幅に対して、光集積回路基板201Bの幅の方が小さく、光集積回路基板201Aの前端付近、かつ光集積回路基板201Bの側端付近に光集積回路204が無い空間ができるために、ここに接続部品207を配置している。
光ファイバ205は、パッケージ203の側壁203cに設けられたファイバ取り出し部220からパッケージ203の外部に取り出される。
なお、図13では、ファイバ取り出し部220は、パッケージ203の側壁203cに設けられているが、パッケージ203の後壁203bに設けることもできる。この場合、接続部品207を介した光ファイバ205は、180°曲げられて光集積回路基板201Aの上を通るように備えられることから、光ファイバ205が光集積回路204の表面に接触し、状況次第では光集積回路204が破損することもあり得る。そのため、光集積回路204を保護する必要がある。しかし、例えば、光ファイバ205の許容最小曲げ半径が、パッケージ203の幅よりも十分に小さくない場合には、ファイバ取り出し部220をパッケージ203の後壁203bに設けることができないため、パッケージ203の幅を拡大する必要がある。
また、ファイバ取り出し部220は、パッケージ203の前壁203aに設けることもできる。この場合、光ファイバ205が電気回路202の上を通るように備えられることになる。この場合、電気回路202と光ファイバ205とが接触することもあり得ることから、ファイバ取り出し部220が必ずしも前壁203aに設けることができるとは限らない。電気回路202と光ファイバ205との接触を避けるため、パッケージ203の幅は拡大する必要がある場合もある。
なお、図13では、光集積回路204は、マルチチップで構成する場合が示されているが、その必要がない場合でも、複数かつ同一種類の光集積回路基板を接合してマルチチップ構成とし、接続部品207を設置する空間を作り出すことも考えられる。しかし、一般的に、光集積回路基板同士を接合するための製造コストを考えると、それは実用的ではない。また、接合した光集積回路基板をパッケージに実装する際には、温度や湿度が変動することにより、接合部分207に応力がかからないよう工夫する必要があるため、製造コストが割高となる。
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態に係る光集積回路型光デバイス1について説明する。図1は、光集積回路型光デバイス1の構成例を示す図である。
この光デバイス1は、基本的に、平面基板型光集積回路14および電気回路12をパッケージ(筐体)13に収容することにより構成されている。なお、図1では、平面基板型光集積回路14および電気回路12の各内部構成の詳細は省略して示している。また、平面基板型光集積回路14には、便宜上、外部と光の入出力を行うための光導波路の一部だけが示しているが、実際にはそれ以外の光導波路も多数存在することになる。
以下の各実施形態の説明では、平面基板型光集積回路を「光集積回路」と称し(図1の例では、光集積回路14)、平面基板とその表面に搭載された光集積回路とを合わせて、「光回路基板」と称する(図1の例では、光回路基板9)。
光集積回路14は、シリコン光導波路(以下、「光導波路」と略す。)91を含む。この光導波路91は、シリコンで形成された平面基板11と、石英で形成されたクラッドと、シリコンで形成されたコアとを含んで構成されている。
この実施形態の光デバイス1では、複数本の光ファイバ15が光集積回路14に接続され、これにより、光集積回路14は、光ファイバ15を介して、光デバイス外部との間で光の入出力を行うことができる。なお、光集積回路14は、光を入力することのみ、または出力することのみとすることも可能である。
光回路基板9の一端をL字状に形成するための空間領域としての切り欠き部61には、光ファイバ5と光回路基板9とを接続するための接続部品17が設けられている。なお、切り欠き部61において、光ファイバ15の長手方向(図1に示す例では、光集積回路基板11の前端部11aと後端部11dとを結ぶ方向)の長さを「Lk」とする。この「Lk」の長さは、接続部品17よりも若干長くなるように設定される。
パッケージ13は、光デバイス1の外観となるが、この実施形態では、パッケージ13は、概ね長方形状に構成されている。図1に示した例では、パッケージ13において、電気回路12側の端部を「前端部」、それと反対側の端部を「後端部」、他の端部を「側端部」と呼ぶ。なお、図1の例では、パッケージ13において、前端部13aおよび後端部13bの各長さを「Wp」とする。また、光集積回路11において、前端部11aの長さを「Ws」、側端部11cの長さを「Ls」とする。
上述した接続部品17は、複数本の光ファイバ15を、V溝ガラス基板と平面ガラス基板とで挟んで接着剤で固定することにより構成される。光ファイバ15は、パッケージ13の後端部13bを貫通して光デバイス1の外部に取り出される。この貫通部分には、光ファイバ固定部18およびブーツ60を含む光ファイバ取り出し部61が設けられている。
接続部品17は、後述する光入出力端19に対して適切な位置に設けられるように、接着剤により光入出力端面に固定されている。
光ファイバ15は、光ファイバ固定部18によって、パッケージ13の後端部13bで固定される。これにより、光デバイス1の外部で光ファイバ15に力が加わったとしても、その力が、接続部品17にまで加わらないようにすることができる。また、ファイバ固定部18は、光デバイス1の外部からパッケージ13内に空気が入り込まないようにする機能を有する。
図1において、接続部品17の後端部(光回路基板9が装着される端部とは反対側の端部)とパッケージ13の後端部13bとの間には、「Lc」で示した若干の隙間がある。この隙間によって、光ファイバ15の若干の撓みが許容され、これにより、接続部品17とファイバ固定部18との間の位置誤差や、温度変動により生じる接続部品17とファイバ固定部18との間の若干の位置ずれが調整される。
図1において、上述した切り欠き部61の一端面に対応して、光導波路15の入出力端部となる光入出力端部19を含む光入出力部16が備えられる。
光入出力端19は、光回路基板9の後端部11dから「Lk」分だけ、光ファイバ15の長さ方向にそって光回路基板9の前端部11a側にずらして配置される。その結果、図12に示した従来の光デバイス100の場合に比べて、光回路基板9の後端部11dとパッケージ13の後端部13bとの間の間隔Lcは、上述した「Lk」の値分だけ小さくすることができる。なお、「Lk」の値が十分に大きい場合は、上記「Lc」の間隔は、光ファイバ15との接続以外の都合で決まる。
[切り欠き部の形成方法]
次に、上述した切り欠き部61の形成方法について、図1および図2を参照して説明する。図2は、切り欠き部61の形成方法の一例を示す図である。
先ずは、図示しないレーザにより、光集積回路基板11の前端部11a、後端部11d、側端部11b,11cが切り出すとともに、切り欠き部61に相当する切り欠きも大まかに形成する。次に、図2に示すs方向に回転軸81が回転するグラインダ8を用いて、光入出力端19の端面19aとなる切り欠き部61の端面を研磨し、それを平坦な面に加工して切り欠き部61を形成する。この場合、粒径が小さな砥粒から形成される砥石82が用いられる。
なお、切り欠き部61の形成方法は、上記例に限られない。例えば、先ず、砥石を用いた機械的な切断により、長方形に光集積回路基板11を切り出す。次に、比較的粒径の大きな砥粒から形成される砥石を使用して、グラインダ8を用いて切り欠き部61を形成する。最後に、粒径が小さな砥石を用いて、光入出力端19の端面19aを平坦に加工する。
上述した切り欠き部61の形成方法において、光入出力端19と、これと直角方向に形成される切り欠き部61の一端面とに接着剤を充填することで、光回路基板9に対する接続部品18の固定強度を上げることができる。なお、上述した接着剤としては、熱や湿度による膨張が小さいものであることが好ましい。
以上のように、光回路基板9の切り欠きの空間に接続部品15を配置することにより、光デバイス1の長さLpを小さくする、すなわち光デバイス1を小型化することができる。
光集積回路14の中には、比較的長さが長い光素子があり、その長さは、図1に示した「Ls」に近い。これにより、光回路基板9の長さLsが決まってしまう。また、製造時の光回路基板9の取扱やパッケージ13に対する固定や接続部品15を接続する幅の確保などの都合を考慮すると、光回路基板9の幅Wsも、ある程度の寸法を確保する必要がある。従って、光集積回路14のレイアウトを工夫することにより、切り欠き部61を設けない場合と比較して、光回路基板9の寸法、LsおよびWsを大きくすることなく、切り欠き部61を設けることができる。
なお、本実施形態では、接続部品17により光ファイバ15を光回路基板9に装着しているが、光入出力端面と光ファイバ端面との間にレンズを配置し、レンズを用いてそれらの間の光結合を行う場合にも、本実施形態の光デバイス1を適用することができる。
また、本実施形態では、光回路基板9の側端部11bと後端部11dとに対応する領域にL字形の切り欠き部61を形成しているが、前端部11aと側端部11bにかかる領域に切り欠き部61および光入出力端19を設けることも考えられる。この場合、光ファイバ15は、電気回路12の上または電気回路12に接近して配線される。あるいは、光回路基板9の後端部11dの幅方向の中央付近にコの字形の切り欠き部を形成し、後端部11dと平行な端面に光入出力端19を設けて、光ファイバ15を接続する構成もある。
本実施形態では、光入出力端19を後端部と平行に設けているが、側端部11bと平行に設ける構成も考えられる。この場合、光ファイバ取り出し部60は、パッケージの側端部に設けられ、パッケージの幅Wpを小さく効果が得られる。
本実施形態では、光入出力端19を後端部と平行に設けているが、光入出力端19を後端部に対して傾斜させ、これと接続する部分における光ファイバ15の長手方向である長さ方向に対して傾斜させる構成もある。この場合、光ファイバ取り出し部61は、パッケージの後端部13b、側端部、または、後端部13bと側端部とがなす角の部分に設けられ、光ファイバ15は上記長さ方向に対して傾いた状態でパッケージ13から取り出される。このような構成は、光デバイスを含む光伝送システム装置において、光デバイス1の後端部に接近して他のデバイスを実装させる際に有効である。
<第2実施形態>
以下、本発明の第2実施形態である光集積回路型光デバイス2について説明する。図3は、本実施形態の光集積回路型光デバイス2の一例を示す構成図である。本実施形態の以下の説明では、特に記述しない限り、第1実施形態の説明で用いた用語および記号をそのまま用いる。
本実施形態の光デバイス2は、第1実施形態の光デバイス1とほぼ同様の構成を有するものであるが、図3に示した「Lc」の間隔が図1に示したものよりも大きくなっている。
光デバイス2は、基本的に、平面基板型光集積回路24および電気回路22をパッケージ23に収容することにより構成される。なお、図3に示す電気回路22、パッケージ23、および平面基板型光集積回路24は、それぞれ、図1に示した電気回路12、パッケージ13、および平面基板型光集積回路14と同様の構成である。
パッケージ23は、概ね長方形状に構成されており、図3の例でも、図1に示したものと同様に、「Wp」は、パッケージ23の前端部23aおよび後端部23bの各長さを示し、「Ws」は光集積回路21の前端部21aの長さを示す。また、「Ls」は光集積回路21の側端部21cの長さを示す。
図3においても、光回路基板9の一端をL字状に形成するための切り欠き部82が設けられ、切り欠き部82の一端である光入出力端部29には、光ファイバ25をアレイ化して固定した接続部品27が接続されている。この実施形態では、長さ方向における光入出力端29と後端部21dとの間の距離Lkは、実施形態1の図1で示したものよりも長く設定される。
上述した「Lk」の値は、接続部品27の長さと光ファイバ25の最小曲げ半径(曲げ損失や破断等を考慮して許容される最小の半径)とを足した長さを若干上回る長さに設定される。パッケージ23の内部において、光ファイバ25は、接続部品27の後端部付近から最小曲げ半径にて90°曲げられ、光回路基板9の後端部21dとパッケージ23の後端部23bの内壁との間を通って、側端部21cから取り出される。光ファイバ取り出し部62は、後端部21dに近い側壁部分に設けられる。
光回路基板9の後端部21dとパッケージ23の後端部23b(の内壁)との間隔Lcは、光ファイバ25を通せる分だけの間隔は確保される。接続部品27と光ファイバ25を曲げる領域とを切り欠き部82の空間に配置することにより、光回路基板9の後端部21dをパッケージ23の後端部23bに接近させて配置できるので、長さ方向について、パッケージ23の長さLpを小さくすることができる。
また、この実施形態の光デバイス2では、接続部品27の後端部からファイバ固定部28までの間隔は大きくなるように設定し、光デバイス2内の光ファイバ25の長さを長くするようにしている。これにより、接続部品27とファイバ固定部28との相対的な位置変動を許容するための範囲が広くなり、結果として、パッケージ23の材料として、温度または/および湿度による膨張や収縮が大きい材料、すなわち、安価な材料を選択することが可能になり、光デバイス2の低コスト化が実現する。
図4(a)は、図3の光デバイス2がボード91内に実装された場合の構成一例として、パッケージ23の後端部23bをボード91の端部に接近させてそれらの間隔を「Ld」に設定した場合の構成を示している。これは、光ファイバ取り出し部62が、パッケージ23の側端部23cに配置されるからである。また、図4(b)に示す例では、パッケージ23の後端部23bを他のデバイス1000(もう一つの光デバイス2を含む。)に接近させて、これらをボード91内に実装する場合の構成を示している。
さらに、本実施形態の光デバイス2は、単に小型化が実現するだけでなく、光ファイバ25の取り出し位置が異なる複数の光デバイス(例えば、光ファイバ25の取り出し位置が、パッケージ23の側端部23c,23d、前端部23a、後端部23b)を組み合わせることにより、より高密度に光デバイス2をボード91に実装することが可能となる。
なお、本実施形態では、接続部品27からファイバ取り出し部62までの光ファイバ25の配線は、光回路基板の後端部21dとパッケージの後端部23bとの間になるように構成されているが、光集積回路24の上部になるようにすることもできる。
<第3実施形態>
以下、本発明の第3実施形態である光集積回路型光デバイス3について説明する。図5は、本実施形態の光集積回路型光デバイス3の一例を示す構成図である。本実施形態の以下の説明では、特に記述しない限り、第1実施形態の説明で用いた用語および記号をそのまま用いる。
本実施形態の光デバイス3は、第1実施形態の光デバイス1とほぼ同様の構成を有するものであるが、光ファイバ35を直線接続するのではなく、ある程度曲げて接続するように構成されている。
光デバイス3は、基本的に、平面基板型光集積回路34および電気回路32をパッケージ33に収容することにより構成される。なお、図5に示す電気回路32、パッケージ33、および平面基板型光集積回路34は、それぞれ、図1に示した電気回路12、パッケージ13、および平面基板型光集積回路14と同様の構成である。
光ファイバ35は、接続部品37の後端部からパッケージ33の後端部33bまでの間で曲げられており、光ファイバ取り出し部63は、光ファイバ35の長手方向である長さ方向に対して45°下向きに傾けられて配置されている。
図3に示した例では、光ファイバ25は、パッケージ23内で直角に曲げられてパッケージの側端部23cから取り出すように構成されている場合について説明した。しかしながら、接続部品27の長さ、または光ファイバ25の最小曲げ半径により切り欠き部82の長さLkが十分に確保できず、その状況次第では光ファイバ25を曲げてパッケージ23の側端部23cから取り出すことができない場合もあり得る。そのため、図5に示すような上記45°下向きのファイバ35の配置を採用することができるようにすることが好ましい。
このような配置を行うことで、接続部品37の後端部からファイバ固定部38までの間で光ファイバ35を湾曲させるので、第2の実施形態の場合と同様の効果を得ることができる。すなわち、接続部品37とファイバ固定部38との相対的な位置変動を許容するための範囲が広くなり、結果として、パッケージ33の材料として、温度または/および湿度による膨張や収縮が大きい材料、すなわち、安価な材料を選択することが可能になり、光デバイス3の低コスト化が実現する。
また、この光デバイス3でも、第2の実施形態の場合と同様に、より高密度に光デバイス3をボードに実装することが可能となる。例えば図6(a)は、図5の光デバイス3がボード91内に実装された場合の構成一例として、パッケージ33の後端部33bをボード91の端部に接近させてそれらの間隔を「Ld」に設定した場合の構成を示している。図6(b)に示す例では、パッケージ33の後端部33bを他のデバイス1000(もう一つの光デバイス3を含む。)に接近させて、これらをボード91内に実装する場合の構成を示している。
<第4実施形態>
以下、本発明の第4実施形態である光集積回路型光デバイス4について説明する。図7は、本実施形態の光集積回路型光デバイス4の一例を示す構成図である。本実施形態の以下の説明では、特に記述しない限り、第1実施形態の説明で用いた用語および記号をそのまま用いる。
本実施形態の光デバイス4は、第1実施形態の光デバイス1とほぼ同様の構成を有するものであるが、図7に示した切り欠き部84は、光回路基板の後端部41aと側端部41cとの一部を面取している。面取り角をα(図7では、例えば、α=45°)とする。
接続部品47の一端面は、面取り角αに伴って、ファイバ45の長手方向に対して、45°傾いている。
また、切り欠き部84の一端には、光入出力端49が、面取り角αにそって傾斜して形成される。光入出力端49は、その傾斜配置により、光ファイバ45の長さ方向にそった光回路基板9の前端部41a側にずらして配置される。その結果、パッケージ43の後端部43bは、光回路基板9の後端部41dと近接して配置させることができ、パッケージ43の長さ方向の「Lp」の寸法を小さくすることができる。この場合、上記のとおり、光入出力端49が傾斜配置されるので、この光入出力端49の部分における光ファイバ45の入射光は、反射されず、これにより、当該部分での反射戻り光が抑制される。
また、接続部品47が面取りされても、実施形態1で示したものと同様に、パッケージ43の「Lp」の寸法を大きくする必要はない。
一般に、光入出力端49の端面は、平滑(表面粗さが小さい)で平坦な面であることが好ましい。このような光入出力端面は、以下のようにして形成することができる。
先ず、一般的な基板の切断方法により、光回路基板9を長方形に切り出した後、後端部41dと側端部41cとの一部を所定の角度(例えば、α=45°)を付けて切り落とし、切り欠き部84を概ね形成する。
次に、光集積回路基板41の後端部41dに対して面取り角α(例えば、45°)傾けて、光集積回路基板41を固定治具で固定する。そして、研磨手段によって、切り欠き部84の一端面を平坦な面になるように研磨し、光入出力端49の端面49aを形成する。例えば図8は、かかる固定治具により光集積回路基板41を固定した状態で光入出力端49の端面49aを形成する様子を例示している。図8では、基板固定ホルダ85が固定治具として用いられ、複数の光回路基板41が基板固定ホルダ85に装着されている。そして、研磨板または研磨シートが研磨手段86として用いられ、複数の光回路基板41の光入出力端49の各端面49aが一括して研磨されるようになっている。なお、上述した基板固定ホルダ85は、本実施形態の光入出力端49を形成するために新たに作製する必要があるが、研磨装置または研磨手順は、公知のものを採用することができる。
以上のように、切り欠き部の端面が1つのみの平坦面である場合、従来の一般的な研磨装置、研磨方法を用いて形成することができる。すなわち、本デバイスの光回路基板の切り欠き部と光入出力端面を形成するための設備投資を抑えることができる。第1実施形態等で説明した光デバイスの光回路基板のL字形の切り欠き部と光入出力端面は、グラインダ(研削装置)を用いて形成することができるが、表面粗さが小さく、エッジ(基板の厚さ方向の上下の角)のチッピングを十分に小さい光入出力端面を形成できるグラインダは、一般的には、研磨機よりも高価である。
本実施形態の光デバイス4では、切り欠き部84の端面は後端部41dに対して45°だけ傾斜した端面(α=45°)であったが、αの値は変更してもよい。但し、αが25°程度以上の値でなければ、長さ方向において、後端部41dに対する光入出力端面のシフト量が小さく、パッケージ43のサイズを小さくする効果が小さくなる。αが65°程度以上の場合も、パッケージを90°回転させて考えれば同様である。
この実施形態の光デバイス4でも、第2実施形態の光デバイス2のように、接続部品27の後端からパッケージ後端部32bまでの間隔をある程度設けて、その空間において光ファイバ25を曲げて、パッケージ側端部にファイバ取り出し部を設けることもできる。あるいは、第3実施形態の光デバイス3のように、パッケージ後端部にファイバ取り出し部があり、この部分で光ファイバを傾斜させる構成にすることもできる。
<第5実施形態>
第4実施形態の光集積回路型光デバイス4において、光ファイバ取り出し部47の取り付け態様を変更するようにしてもよい。
図9は、本実施形態の光集積回路型光デバイス5の一例を示す構成図である。この光デバイス5の構成は、図7に示したものとほぼ同様である。本実施形態の以下の説明では、特に記述しない限り、第4実施形態の説明で用いた符号および記号をそのまま用いる。
接続部品47Aは、光回路基板の面取り角αにそって、光回路基板と接続され、この接続部品47Aは、切り欠き部84Aに配置されている。
光ファイバ取り出し部64Aは、パッケージ43の後端部43bと側端部43cとが交わる隅に設けられている。このとき、光ファイバ45は、光回路基板の傾斜面に対して、光ファイバの長手方向が垂直になるように構成される。
このように切り欠き部84Aに接続部品47Aを配置することができるので、第4実施形態のものと同様に、光デバイス5の長さ方向の寸法Lpを小さくすることができる。また、この光デバイス5の接続部品47Aは、図7に示したものよりも、標準的な構造を有するものとなるので、光デバイス5の作製コストを低く抑えることができる。
さらに、光デバイス5の構成によって、ボード上で、各種デバイスの配置の自由度が増す。この点で、光デバイスや電気デバイスの高密度なボード実装が実現し得る。
<第6実施形態>
第4実施形態の光集積回路型光デバイス4において、光回路基板の面取り角αを45°の場合について説明した。しかしながら、面取り角αは、変更することができる。例えば、図10は、図8と同様の光デバイス6の構成例であって、面取り角αの変更例の一例として、α=65°の場合の構成を示している。なお、本実施形態の以下の説明では、特に記述しない限り、第4実施形態の説明で用いた符号および記号(Ls、Ws、Lp、Wp、Lc、Lk)をそのまま用いる。
このように構成しても、第4実施形態の場合の効果を得ることができる。例えば、図10に示した切り欠き部84の長さLkは、接続部品47の長さLfより短くなるように設定され、接続部品47の後端部は、光回路基板の後端部41bより前端部41a側に位置する。これにより、光デバイス6でも、第4実施形態のものと同様に、パッケージ43の後端部43bは、光回路基板の後端部41bと近接して配置することができ、パッケージ43の寸法Lpを小さくすることができる。
一般的に、複数本の光ファイバを収容した多心の接続部品は、V溝基板とフラット基板とで光ファイバを挟んで整列させた状態で、接着剤等でそれらを固定するようにしている。しかし、接続部品の幅、すなわち、光ファイバの長手方向に対する直角方向の寸法が小さくなると、V溝基板とフラット基板が剥がれやすくなり、信頼性が低下し得る。
このような観点から、本実施形態の光デバイス6では、接続部品47に接続された補強板70によって、V溝基板とフラット基板が剥がれないようにしている。
<第7実施形態>
第4実施形態の光集積回路型光デバイス4において、光回路基板の面取り角αは、例えば75°にするようにしてもよい。例えば、図11は、図8と同様の光デバイス6の構成例であって、面取り角αの変更例の一例として、α=75°の場合の構成を示している。なお、本実施形態の以下の説明では、特に記述しない限り、第4実施形態の説明で用いた符号および記号(Ls、Ws、Lp、Wp、Lc、Lk)をそのまま用いる。
図11では、光回路基板の面取り角αは、75°とすることで、接続部品47に接続される光ファイバ45の長手方向は、光デバイス6の長さ方向に対して「β」(例えば、β=15°)傾斜している。すなわち、光入出力端49における光の入射方向は、光入出力端49の直角方向に対して、(α―β)(例えば、60°)傾斜している。
例えば、光入出力端49の間隔が125μmの場合、(α―β)=60°傾斜した光入出力端49の光導波路端面または光ファイバ45のコア端面の間隔は、125μm/cos(α―β=60°)=250μmとなる。仮に、β=0°の場合、上記光入出力端49の光導波路端面または光ファイバ45のコア端面の間隔は、125μm/cos(α―β=75°)により、約483μmとなる。
このように、「α」の値が大きくなると、光入出力端49の光導波路端面または光ファイバ45のコア端面の間隔が大きくなるので、光回路基板の光入出力端面や接続部品47の端面を研磨等で形成する場合に、「α」や「β」の角度誤差により、光入出力端面における光導波路や光ファイバ45のコアの間隔に誤差が生じやすくなり得る。
例えば、「α」の誤差が0.1°生じ、α=75°の設計値に対して、実際にはその値が74.9°になった場合、光入出力端面の光導波路または光ファイバ35のコアの間隔の誤差は、約4μmと比較的大きい値となる。一方、α=60°の設計値に対して、実際には59.9°になった場合、光入出力端面の光導波路または光ファイバ35のコアの間隔の誤差は、約0.8μmと小さくすることができる。このように、接続部品47において、光ファイバ45の長手方向に直角な方向に対して、光入出力端面の傾斜角度をαより小さい角度、すなわち(α―β)とすることにより、光デバイス6の作製時に生じ得る誤差(光入出力端面の光導波路または光ファイバ35のコアの間隔の誤差)を小さくすることができる。これにより、光導波路と光ファイバ45との間の接続損失を低減することができる。
また、本実施形態の光デバイス6のような構成では、接続部品47、または/および接続部品47とファイバ固定部との間を通る光ファイバ45を配置するスペースを確保するために、パッケージ43の寸法Wp、すなわち光デバイス6の幅寸法が大きくなるが、このような光デバイス6をボード実装して光伝送装置として採用し得る。
次に、上記各実施形態の光デバイスの変形例について説明する。
第1〜7実施形態において、光ファイバの本数は3本に限られず、任意の本数に変更することができる。例えば、光ファイバを1本としてもよい。また、光ファイバのクラッド径は任意である。例えば、125μm程度でも80μm程度の細さのクラッド径としてもよい。光ファイバのモードフィールド径も任意である。但し、第2実施形態または第3実施形態の光デバイスのような、パッケージ内で光ファイバを湾曲させて配線する場合は、クラッド径は80μm程度に小さくし、モードフィールド径が小さい (NAが大きい)光ファイバを用いるのが好ましい。
第1〜7実施形態において、ファイバ固定部により、光ファイバをパッケージ内に固定するようにしているが、例えば、光デバイスが、光伝送システム装置内部のボードに実装されており、光デバイスを取り扱うのが製造現場の特定の作業者のみなどの場合には、光ファイバをパッケージ内に固定しない場合もある。
第1〜7実施形態では、光集積回路はシリコン導波路を含むが、インジウムリン(InP)といった半導体を含む光集積回路、石英等のガラス材料を含む光集積回路、またはニオブ酸リチウム結晶といった光学結晶を含む光集積回路を用いることもできる。