JP6660147B2 - トナーおよびトナーの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、及びトナージェット法の如き画像形成方法に用いられるトナーおよびトナーの製造方法に関する。
電子写真法において、トナー画像を定着させる方法としては、いくつか開発されているが、現在一般的な方法は、トナー画像に加熱されたローラあるいはフィルムのような加熱体を直接密着させる方法である。この方法は、加熱体の表面に転写材上のトナー画像を、当接する加圧部材により加圧下で接触しながら通過することにより定着を行うものであり、トナー画像を融着する際の熱効率が極めて高く、迅速で良好な定着を可能にする。
近年、電子写真法を用いたプリンターや複写機は、高速化や省エネルギー化が求められている。省エネルギーを達成するためには、多くのエネルギーを使用している定着工程のエネルギーを低下させることが重要である。つまり、少ない熱量でトナー画像を転写材上に融着させる必要がある。また、高速化を達成しようとすると、定着時にはトナーに与えられる熱量と圧力はさらに小さくなる。したがって、省エネルギー化や高速化を実現させるためには、少ない熱量で瞬時に溶融してトナー自身が軟化し、軽圧であっても転写材上に定着するような低温定着性トナーが必要であることが示唆される。
しかし、単純にトナーの軟化温度を下げたものを用い低温定着性の向上を達成しようとすると、耐熱保存性が著しく低下してしまうというトレードオフが生じる。そこで、このトレードオフを解消する手段として可塑ワックスをはじめとする結晶性材料が知られている。これは、結晶性材料のシャープメルト性を利用し、保存時はトナー形態を維持し、定着時のみトナーを軟化させるというものである。この効果を実現させるためには、保存時は結晶性材料が十分に結晶化してバインダーから相分離し、定着時は結晶性材料が溶融し、バインダーを可塑してトナーを軟化させた相溶状態にすることが必要となる。要するに、低温定着性と耐熱保存性を両立させるためには、結晶性材料の結晶状態を制御することが必要となる。
特許文献1では、可塑ワックスを用い、結着樹脂を可塑させたトナーを作製し、低温定着性を達成している。
特許文献2では、エステルワックスを用いた粉砕トナーが記載されている。この件では、エステルワックスの可塑効果により低温定着性を達成し、外添剤の被覆率を制御することにより耐熱保存性を達成している。
特許文献3は、多官能性のエステルワックスを用い、長期安定性に優れたトナーが記載されている。特許文献3に記載のトナーは、そのエステルワックス中のエステル基が増え、結合できる直鎖アルキル基が増えたことにより、分子量が増加する。
特開2001−281909号公報 特開2013−156616号公報 特開2001−11762号公報
特許文献1に開示されている可塑ワックスは、低融点でなおかつ溶解度の高い材料であるため、結着樹脂に対する相溶性の高い構造を持つということは結晶化しづらい材料であることを示す。よって、得られるトナーの結晶状態は相溶状態のままであり、保存時のトナーは軟化状態となっている。したがって、耐熱保存性としては未だ課題があり、低温定着性との両立には、改善の余地がある。
特許文献2に開示されている粉砕トナーでは、結晶性材料の結晶状態を制御するまでには至っていない。これは粉砕製法の性質上、溶融混練後に高温状態から室温までの冷却時間が非常に短く、結晶状態として相溶状態が維持され、トナーが軟化されたままになってしまいやすいからである。無機微粒子からなる外添剤は、将来更なる低温定着性を目指したとき、外添剤自身の持つ硬度により、低温定着効果を抑制する可能性がある。したがって、低温定着性と耐熱保存性をより高度に両立するためには、さらなる工夫が求められる。
特許文献3に開示されているトナーでは、さらに分子量が増加すると、結晶性材料は相溶性が低下する傾向にある。これは、結晶性材料が結着樹脂中を動きづらく、ポリマー鎖間に入り込めないからである。したがって、トナー中において、相分離状態にある材料であるため、耐熱保存性は向上するが、定着時に相溶しづらいために低温定着性への効果は薄く、さらなる工夫が求められる。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、高い可塑能力を持つ材料を使用して低温定着性を達成しつつ、一方で耐熱保存性をも満たすトナーを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明によるトナーの製造方法は、
重合性単量体の重合体である結着樹脂、着色剤、及び可塑剤を含有するトナー粒子を有するトナーの製造方法であって、
該製造方法が、
該重合性単量体、該着色剤、及び該可塑剤を含む重合性単量体組成物を調製し、該重合性単量体組成物を水系媒体に加える工程、
該水系媒体中で該重合性単量体組成物を造粒して該重合性単量体組成物の粒子を形成する工程
該重合性単量体組成物の粒子に含まれる該重合性単量体を重合させて該結着樹脂を生成する工程、並びに
該結着樹脂を生成する工程の後の、1.0℃/分以下の速度による冷却工程
を含む懸濁重合法を用いて該トナー粒子を得る工程
を有し、
該結着樹脂が、スチレンアクリル樹脂であり、
該可塑剤が、テレフタル酸ジエステル構造を有し、
温度35℃における該可塑剤の溶解度が、5(g/100gの該重合性単量体)未満であり、
該トナーが、下記式(1)、及び(2)を満たすことを特徴とする。
式(1) T1−T2>10
式(2) T1−T3≧20
(式(1)、及び(2)中、T1は、示差走査熱量分析において、トナーを昇温速度10℃/分で0℃から180℃まで加熱して測定されるガラス転移温度(℃)を示す。T2は、トナーを180℃まで加熱し溶融し放冷した後に、示差走査熱量分析において、トナーを昇温速度10℃/分で0℃から180℃まで加熱して測定されるガラス転移温度(℃)を示す。T3は、示差走査熱量分析において、トナーを昇温速度10℃/分で0℃から180℃まで加熱し、10分間180℃で保持させ、その後に降温速度10℃/分で0℃まで冷却し、再度10℃/分の昇温速度で0℃から180℃まで加熱して測定されるガラス転移温度(℃)を示す。)
本発明によれば、低温定着性と耐熱保存性を両立させたトナーを提供することが可能である。
本発明者らは、テレフタル酸ジエステル構造の可塑剤を用い、トナーの製造方法として、懸濁重合法を用いることにより、低温定着性と耐熱保存性の両立が可能であることを見出し、本発明に至った。
本発明の作用効果について、本発明者らは、以下のように考察している。
低温定着性と耐熱保存性との両立を達成するためには、結晶性材料の結晶状態が定着時と耐熱保存時とで異なっていることが必要である。まず、定着時には、結晶性材料が溶融して結着樹脂を可塑し、トナーのガラス転移温度を下げ、軟化させる。このときの結晶状態を相溶状態と呼ぶ。そして、耐熱保存時には、定着時とは逆で、軟化しないようにトナーのガラス転移温度が下がらないようにしておかなければならない。そのためには、結着樹脂を可塑しないよう、再結晶化により、結晶状態を相分離状態に変化させる必要がある。
本発明のトナーに含まれる可塑剤はテレフタル酸ジエステル構造を有する。本構造は、その内部に芳香環を持つために、結着樹脂(例えば、スチレンアクリル樹脂)に対しての可塑効果が高い。また、直線性の構造であるために、結晶化しやすい構造でもある。したがって、低温定着性と耐熱保存性の両立のために適度な結晶状態をつくることが可能となる。
また、上記の可塑剤は、温度35℃における該可塑剤の溶解度が、5(g/100gの該重合性単量体)未満である。すなわち、本発明で用いている可塑剤は、溶解度の低いものを使用している。溶解度の低さは、造粒時における可塑剤の分散性に影響がある。溶解度を高くすると、造粒時に油滴中において微分散し過ぎてしまう。この場合、相溶状態から相分離状態へと結晶状態を変化させるには、実用的ではない程の時間を要してしまう。したがって、溶解度の低いものを用いることにより、適度にトナー間で可塑剤が分散し、実用的な冷却工程において、結晶状態を変化させることが可能となる。
さらに、本発明では溶解度の低い可塑剤を用いているので、高温状態で溶融させほぼ完全に結着樹脂と相溶した状態から冷却させると、その冷却速度だけで、可塑剤の結晶状態を変えることができる。例えば、溶融状態から一気に室温まで急激に冷却させると、トナー内部の結晶状態はスチレン-アクリル樹脂であれば、溶融時の相溶した状態で維持されてしまう。よって、結着樹脂のガラス転移温度が低下した状態のトナーとなり、耐熱保存性の効果がみられない。一方、冷却速度を遅く緩やかにした場合の結晶状態は、結着樹脂と相分離した状態のものができる。よって、結着樹脂のガラス転移温度は、耐熱保存性を満たす温度まで戻ることができる。
本発明では、懸濁重合法を用いてトナー粒子を作製する。これは、トナー粒子作製工程の重合工程では、高温状態で反応を進めるため、可塑剤が溶融し、トナー間で可塑剤が均一に分散したトナーを得られる。なおかつ、重合反応終了時から室温まで冷却する工程は、比熱容量の高い水系媒体を介しているため冷めにくく、冷却速度は緩やかとなる。よって、結晶状態を相溶状態から相分離状態へと変化させることが可能となる。したがって、低温定着性を満たしつつ、耐熱保存性をも満たすことが可能となる。
本発明では、製法または冷却条件による結晶状態の変化を表わす方法として、180℃加熱の前後におけるガラス転移温度の変化を測定した。
式(1) T1−T2>10
式(1)中のT1は、示差走査熱量分析において、本発明で作製したトナーを昇温速度10℃/分で0℃から180℃まで加熱して測定されるガラス転移温度(℃)を示す。T2はT1と同じトナーを180℃で十分に加熱し溶融したものを高温から急激に室温静置して冷却したものを、示差走査熱量分析において、昇温速度10℃/分で0℃から180℃まで加熱して測定されるガラス転移温度を示す。そして、式(1)に示すように、これらの差は結晶状態を示す。T1−T2の値が10℃以下の場合、トナー中の結晶状態は相溶状態であり、加熱前から既に結着樹脂が可塑されていたことになる。T1−T2の値が10℃より大きい場合、十分に相溶した状態からであっても、可塑剤が相分離した状態であり、耐熱保存性に効果があることを示す。
式(2) T1−T3≧20
式(2)中のT3は、T1と同じトナーを、示差走査熱量分析において、昇温速度10℃/分で0℃から180℃まで加熱し、10分間180℃で保持させ、その後に降温速度10℃/分で0℃まで冷却したものを、再度10℃/分の昇温速度で0℃から180℃まで加熱して測定されるガラス転移温度を示す。T1−T3の値が20℃未満の場合、用いている可塑剤の結着樹脂に溶け込む能力(可塑能力)が小さいために、低温定着性への効果が薄い。T1−T3の値が20℃以上であれば、可塑能力が高いために、低温定着性の向上が見られる。
次に、本発明におけるトナーの製造方法において用いることができる材料を説明する。結着樹脂は、重合性単量体を重合することによって生成される。結着樹脂としては、スチレンアクリル樹脂、ポリエステル樹脂が挙げられ、スチレンアクリル樹脂が好ましい。
(重合性単量体)
本発明のトナーを懸濁重合法で製造する際に用いられる重合性単量体としては、以下のものが挙げられる。
例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチル、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレンの如きスチレン系単量体や、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチルの如きアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きメタクリル酸エステル類、その他、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド。
これらの重合性単量体の中でも、スチレンまたはスチレン誘導体と他の重合性単量体とを混合して使用することが、トナーの現像特性および耐久性の点から好ましい。そして、これら重合性単量体の混合比率は、所望する重合体微粒子のガラス転移温度を考慮して、適宜選択すればよい。
(極性樹脂)
トナー粒子には、極性樹脂を加えてもよい。水系媒体に懸濁した着色剤分散液中に極性樹脂が存在する場合、水に対する親和性の違いから、極性樹脂が水系媒体と着色剤分散液との界面付近に移行しやすいため、トナー粒子の表面に極性樹脂が偏在することになる。その結果、トナー粒子はコア−シェル構造を有する。
また、シェルに用いる極性樹脂に、溶融温度の高いものを選択すれば、低温定着を目的として結着樹脂をより低温で溶融するような設計とした場合でも、トナーの保存中におけるブロッキングの発生を抑制することができる。
極性樹脂としては、ポリエステル系樹脂が好ましい。テレフタル酸ジエステル構造を有する可塑剤の可塑効果は、結着樹脂に対してよりも、ポリエステル系樹脂に対する方が低い。このため、極性樹脂としてポリエステル系樹脂を用い、当該ポリエステル系樹脂がトナー粒子の表面に偏在してシェルを形成した際に、当該シェルによる遮蔽性の効果が期待でき、より耐熱保存性を良化させることができる。
ポリエステル系樹脂としては、下記に挙げる酸成分単量体とアルコール成分単量体とを縮合重合した樹脂を用いることができる。
酸成分単量体としては、以下のものが挙げられる。
テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、しょうのう酸、シクロヘキサンジカルボン酸、及び、トリメリット酸。
アルコール成分単量体としては、以下のものが挙げられる。
エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンのアルキレングリコール類及びポリアルキレングリコール類、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、グリセリン、トリメチロールプロパン、及びペンタエリスリトール。
極性樹脂は結着樹脂100.0質量部に対して1.0質量部以上20.0質量部以下を含有されることが好ましく、より好ましくは2.0〜10.0質量部を含有されることである。
(分散剤)
水系媒体中でトナー粒子を製造する場合、水系媒体中に分散安定剤を添加することが好ましい。分散安定剤としては、例えば、界面活性剤、有機分散剤、無機分散剤などが挙げられる。これらの中でも、無機分散剤は、超微粒子が生成しにくく、また、重合温度を変化させても、トナー粒子製造の安定性が低下しにくく、洗浄して除去することも容易であり、分散安定剤がトナー粒子に残留することによる悪影響が生じにくい。そのため、分散剤の中でも、無機分散剤が好適である。
無機分散剤としては、例えば、以下のものが挙げられる。
リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛などのリン酸多価金属塩;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの炭酸塩、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの無機塩;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの無機水酸化物;シリカ(酸化ケイ素)、アルミナ(酸化アルミニウム)などの無機酸化物;ベントナイトなど。
分散安定剤として無機分散剤を用いる場合、そのまま水系媒体中に添加して用いてもよいし、無機分散剤の粒子を生成しうる化合物を用いて水系媒体中で調製して用いることもできる。水系媒体中で調製して用いる場合、より細かい無機分散剤の粒子を得やすい。
無機分散剤として、例えば、水不溶性のリン酸三カルシウムを用いようとする場合、水系媒体中で、高速撹拌下、リン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液とを混合して、リン酸三カルシウムを生成させることができる。このようにして、より均一で細かなリン酸三カルシウムの粒子を得ることができる。リン酸三カルシウムのように酸またはアルカリに可溶な無機分散剤は、重合終了後に酸またはアルカリを加えて無機分散剤を溶解させることにより、取り除くことができる。
無機分散剤は、重合性単量体100.0質量部に対して0.2質量部以上20.0質量部以下を使用することが好ましい。
(着色剤)
発明のトナーにおいて使用される着色剤としては、従来から知られている種々の染料や顔料等、公知の着色剤を用いることができる。
イエロー用着色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、55、74、83、93、94、95、97、98、109、110、154、155、166、180,185が挙げられる。
マゼンタ用着色顔料としては、C.I.ピグメントレッド3、5、17、22、23、38、41、112、122、123、146、149、178、179、190、202、C.I.ピグメントバイオレット19、23が挙げられる。かかる顔料を単独で使用しても、染料と顔料を併用しても良い。
シアン用着色顔料としては、C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:3又はフタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1以上5個以下置換した銅フタロシアニン顔料が挙げられる。
黒色着色剤としては、カーボンブラック、アニリンブラック、アセチレンブラック、チタンブラック及び上記に示すイエロー/マゼンタ/シアン着色剤を用い黒色に調色されたものが利用できる。
(離型剤)
本発明のトナーは離型剤を含有しても良い。離型剤としては、以下のものが挙げられる。
低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物;脂肪族炭化水素系ワックスのブロック共重合物。
離型剤の分子量分布としては、メインピークが分子量400以上2400以下の領域にあることが好ましく、430以上2000以下の領域にあることがより好ましい。これによって、トナーに好ましい熱特性を付与することができる。離型剤の添加量は、結着樹脂100.0質量部に対して総量で2.5質量部以上40.0質量部以下であることが好ましく、3.0質量部以上15.0質量部以下であることがより好ましい。
(架橋剤)
また、重合性単量体を用いてトナー粒子を製造する場合、耐高温オフセット性の点から、少量の2個以上の重合性官能基を有する重合性単量体を併用することが好ましい。高温オフセットとは、定着時において溶融したトナー粒子の一部が定着器(熱ローラーや定着フィルムなど)の表面に付着し、これが後続の転写材(紙など)を汚染する現象のことである。2個以上の重合性官能基を有する重合性単量体としては、2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物が好適に用いられ、例えば、以下のものが挙げられる。
ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンなどの芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレートなどの二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホンなどのジビニル化合物;3個以上のビニル基を有する化合物など。
2個以上の重合性官能基を有する重合性単量体を使用する場合、その使用量は、重合性官能基を1つ有する重合性単量体100.00質量部に対して0.01質量部以上1.00質量部以下であることが好ましい。
(開始剤)
上記重合体微粒子の製造において使用する重合開始剤としては、過酸化物系重合開始剤、アゾ系重合開始剤など様々なものが使用できる。
使用できる過酸化物系重合開始剤としては、有機系としては、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネート、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシケタール、ケトンパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、ジアシルパーオキサイドが挙げられる。無機系としては、過硫酸塩、過酸化水素などが挙げられる。具体的には、以下のものが例示される。t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ヘキシルパーオキシアセテート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネートなどのパーオキシエステル;ベンゾイルパーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド;ジイソプロピルパーオキシジカーボネートなどのパーオキシジカーボネート;1,1−ジ−t−ヘキシルパーオキシシクロヘキサンなどのパーオキシケタール;ジ−t−ブチルパーオキサイドなどのジアルキルパーオキサイド;その他としてt−ブチルパーオキシアリルモノカーボネート等。
また、使用できるアゾ系重合開始剤としては、以下のものが例示される。
2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等。
なお、必要に応じてこれら重合開始剤を2種以上同時に用いることもできる。この際使用される重合開始剤の使用量は、重合性単量体100.0質量部に対し0.100質量部以上20.0質量部以下であることが好ましい。
(荷電制御剤)
また、本発明のトナーは、荷電特性の安定化を目的として、必要に応じて荷電制御剤を含有させることができる。含有させる方法としては、トナー粒子内部に添加する方法と外添する方法がある。荷電制御剤としては公知のものを利用することができるが、内部に添加する場合には重合阻害性が低く、水系分散媒体への可溶化物を実質的に含まない荷電制御剤が特に好ましい。具体的な化合物としては、以下のものが挙げられる。
ネガ系荷電制御剤として、以下のものが挙げられる。
サリチル酸、アルキルサリチル酸、ジアルキルサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸の如き芳香族カルボン酸の金属化合物、アゾ染料あるいはアゾ顔料の金属塩または金属錯体、スルホン酸又はカルボン酸基を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーン。
また、ポジ系荷電制御剤として、四級アンモニウム塩、該四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、ニグロシン系化合物、イミダゾール化合物が挙げられる。
これらの電荷制御剤の使用量としては、結着樹脂の種類、他の添加剤の有無、分散方法を含めたトナーの製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではない。内部添加する場合は、好ましくは重合性単量体100.0質量部に対して0.1〜10.0質量部、より好ましくは0.1〜5.0質量部の範囲で用いられる。また、外部添加する場合は、好ましくはトナー100.0質量部に対して0.005〜1.0質量部、より好ましくは0.01〜0.3質量である。
(外添剤)
本発明のトナーには、流動性向上剤が外部添加されていることが画質向上のために好ましい。流動性向上剤としては、ケイ酸微粉体、酸化チタン、酸化アルミニウムの如き無機微粉体が好適に用いられる。これら無機微粉体は、シランカップリング剤、シリコーンオイルまたはそれらの混合物の如き疎水化剤で疎水化処理されていることが好ましい。上述の如き外添剤は、トナー粒子100.0質量部に対して0.1〜5.0質量部使用することが好ましく、0.1〜3.0質量部使用することがより好ましい。
(可塑剤)
本発明のトナーに用いる可塑剤は、テレフタル酸ジエステル構造の化合物である。これは、テレフタル酸の芳香族部位がスチレン系樹脂に対して高い相溶性を持っている。その一方で、直鎖アルキル基を持つ高級アルコール部位の結晶性の高さが、適度な結晶状態をつくりだし、高い低温定着性と耐熱保存性の両立されたものになるからである。
前記高級アルコール成分とは、一般的に、炭素数6以上のアルコールを意味する。前記炭素数は、12〜30が好ましく、14〜22が特に好ましい。
好ましい高級アルコールの具体例としては、以下のものが挙げられる。
ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、ペンタデシルアルコール、1−ヘキサデカノール、1−ヘプタデカノール、ステアリルアルコール、ノナデシルアルコール、1−エイコサノール、ヘンエイコサノール、ベヘニルアルコール、1−テトラコサノール、1−ヘキサコサノール、1−ヘプタコサノール、モンタニルアルコール、1−トリアコンタノール。
可塑剤の融点は、70〜95℃であることが好ましい。融点が70℃以上である場合、低温では溶融しにくい状態であるために、耐熱保存性に対しての効果が十分にある。一方、融点が95℃以下である場合は、相溶性が高いために、結着樹脂を軟化させる効果(可塑効果)が高い。よって、低温定着性への効果が十分にある。融点を制御する方法としては、高級アルコールの炭素数を変化させる方法が挙げられる。炭素数が増えると、融点が上昇する。
温度35℃における可塑剤の重合性単量体100gに対する溶解度は5(g/100gの該重合性単量体)未満である。より好ましくは、2(g/100gの該重合性単量体)未満である。溶解度が5(g/100gの該重合性単量体)以上である場合、高温状態において、可塑剤がトナー中で微分散し過ぎてしまい、冷却工程で相分離させるためには、実用的ではない時間が必要になってしまう。したがって、耐熱保存性に対しての効果が低下する。溶解度の制御は、高級アルコールの炭素数で行う方法が挙げられる。炭素数が減ると、溶解度も増加する。
可塑剤の分子量は、重量平均分子量(以後、Mwと表記)400〜2000であることが好ましい。低分子量であるために、結晶化速度が早い。Mwが400以上の場合、低融点成分が増加しすぎたりせず、耐熱保存性が向上しやすくなる。Mwが2000以下の場合、結晶化速度が遅すぎたりせず、冷却工程内にガラス転移温度が戻りやすくなる。
可塑剤の溶解度パラメーター(SP)値は、7.5〜10.5の範囲であることが好ましい。7.5以上の場合、用いる重合性単量体または結着樹脂に対する親和性が高くなり、低温定着性が向上しやすくなる。SP値が10.5以下の場合、親水性が増加しすぎて造粒時に可塑剤が粒子表面に移行しやすくなりにくく、耐熱保存性が向上しやすい。
可塑剤の含有量は結着樹脂100.0質量部に対して、1.0質量部以上20.0質量部以下が好ましい。1.0質量部以上の場合、低温定着性の効果が十分にみられる。20.0質量部以下の場合は、耐熱保存性に必要な結晶状態が相分離状態になるための再結晶化に要する時間が長くなり過ぎることもない。そのため、他と同様の冷却工程で比較しても、耐熱保存性の効果が低下することもない。
(トナーの製造方法)
トナーの製法としてはいくつか公知の手法がある。例えば、粉砕製法を本発明に用いた場合、高温で混練するため、可塑剤を結着樹脂中に均一に分散させることは可能である。しかし、製法上、混練直後、急激に室温に開放されるために、混練物は急冷されることになる。すると、トナー中の結晶状態が高温時における相溶状態から相分離状態へと変化できないので、耐熱保存性を向上させることができない。よって、本発明の効果を得るためには、懸濁重合を行うことが好ましい。これは、粉砕製法と同様に懸濁重合においても高温状態で反応を進める点と粉砕製法とは違い水系媒体を介した手法である故に冷却が緩やかな点が好ましいからである。以下、詳細を述べる。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
懸濁重合法によるトナー粒子の作製では、重合性単量体、着色剤及び可塑剤を含有する重合性単量体組成物を水系媒体に加え、該水系媒体中で該重合性単量体組成物を造粒して重合性単量体組成物の粒子を形成する。そして、該重合性単量体組成物の粒子に含まれる重合性単量体を重合して結着樹脂を生成し、トナー粒子が得られることが好ましい。
具体的に説明すると、まず、トナー粒子の主構成材料となる重合性単量体に、着色剤と本発明規定範囲の可塑剤を加える。
次に、ホモジナイザー、ボールミル、コロイドミル、超音波分散機の如き分散機を用いてこれらを均一に溶解あるいは分散させた重合性単量体組成物を調製する。このとき、上記重合性単量体組成物中には、必要に応じて多官能性単量体や連鎖移動剤、また荷電制御剤や離型剤、さらに他の添加剤(例えば、顔料分散剤や離型剤分散剤)を適宜加えることができる。
次いで、上記重合性単量体組成物を、予め用意しておいた分散安定剤を含有する水系媒体中に投入し、高速攪拌機もしくは超音波分散機の如き高速分散機を用いて懸濁させ、造粒を行う。重合開始剤は、重合性単量体組成物を調製する際に他の添加剤とともに混合してもよく、水系媒体中に懸濁させる直前に重合性単量体組成物中に混合してもよい。また、造粒中や造粒完了後、すなわち重合反応を開始する直前に、必要に応じて重合性単量体や他の溶媒に溶解した状態で加えることもできる。
重合反応は、造粒後の懸濁液を温度50〜95℃に加熱し、懸濁液中の重合性単量体組成物の粒子が粒子状態を維持し、かつ粒子の浮遊や沈降が生じることがないよう、撹拌しながら行う。
上記重合開始剤は、加熱によって容易に分解し、遊離基(ラジカル)を生成する。生成したラジカルは重合性単量体の不飽和結合に付加し、付加体のラジカルを新たに生成する。そして、生成した付加体のラジカルはさらに重合性単量体の不飽和結合に付加する。このような付加反応を連鎖的に繰り返すことによって重合反応が進行し、前記重合性単量体に由来する結着樹脂を主構成材料とするトナー粒子が形成される。この高温状態においてトナー粒子を作製することにより、常に可塑剤が溶融した状態であり、結着樹脂を相溶し、適度に結晶性材料が分散された状態になっている。
重合反応の後半あるいは重合反応終了後に、減圧や昇温の如き公知の方法を用いて蒸留を行ってもよい。蒸留工程を行うことで、残存する未反応の重合性単量体を除去することができる。
続いて、反応終了後から室温まで冷却する工程に進む。この工程において、前工程の時点で相溶状態にあった結晶性材料を相分離状態へと変化させる。まず、懸濁重合法において、結晶状態を変化させることが可能な理由としては、水系媒体を介した手法であることが挙げられる。これは、水の持つ比熱容量が高いために、反応容器内のトナースラリーが冷めにくく、急激な温度変化が抑制されるからである。その冷却速度としては、1.0℃/分以下が好ましく、より好ましくは0.5℃/分である。
具体的な冷却速度の制御方法としては、蒸留直後に蒸留装置の熱源から反応容器を離して、室温以下の水浴や氷浴をすれば、冷却速度が大きくなり、一方で放冷や温度の高い水浴にすれば冷却速度は緩やかになる。
冷却されたトナースラリーは、濾過、洗浄、乾燥を行うことにより、トナー粒子を得る。
(T1、T2、T3の測定方法)
示差走査熱量分析装置「Q2000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、トナー 3mgを精秤し、アルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用いる。昇温速度10℃/分で0℃から180℃まで加熱して測定を行う。この昇温過程で、温度20℃〜100℃の範囲において比熱変化が得られる。このときの比熱変化が出る前のベースラインと変曲点における接線との交点温度を、T1(℃)とする。
また、トナーを180℃に温めたホットプレート上で溶融混練し、放冷したものをT1と同様に、示差走査熱量分析において、トナーを昇温速度10℃/分で0℃から180℃まで加熱して測定を行う。この昇温過程で、温度20℃〜100℃の範囲において比熱変化が得られる。このときの比熱変化が出る前のベースラインと変曲点における接線との交点温度を、T2(℃)とする。
さらに、得られた値より、T1とT2との差を計算し、製法による結晶状態の違いの指標とした。
T3の値は、分析装置上にて、昇温速度10℃/分で180℃まで加熱し、10分間180℃で保持させる。その後、降温速度10℃/分で0℃まで冷却させる。そして、再度10℃/分の昇温速度で0℃から180℃まで加熱して測定を行う。このときの比熱変化が出る前のベースラインと変曲点における接線との交点温度を、T3(℃)とする。この値とT1との差を計算し、可塑能力の指標とした。
(可塑剤の溶解度測定)
温度35℃における前記可塑剤の重合性単量体に対する溶解度は、35℃に保持した重
合性単量体100g中に溶解する可塑剤の量(g/100gの該重合性単量体)を測定した。
(融点の測定方法)
可塑剤の融点は、示差走査熱量分析装置「Q2000」(TA Instrument
s社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジ
ウムの融解熱を用いる。
具体的には、可塑剤 1mgを精し、アルミニウム製のパンの中に入れ、リファレン
スとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定温度範囲30〜200℃の間で、昇温速
度10℃/分で測定を行う。尚、測定においては、一度200℃まで昇温させ、続いて3
0℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。この2度目の昇温過程での温度30〜200
℃の範囲におけるDSC(Differential Scanning Calori
metry)曲線の最大の吸熱ピーク温度を、本発明の可塑剤の融点とする。
(冷却速度の測定方法)
蒸留工程終了後、四つ口容器の外に温度データロガー「TR−71wf」(T&D社製)を固定し、フッ素樹脂被覆センサをスラリー内に入れ、一定間隔でスラリー温度変化を測定・記録した。この蒸留直後から30℃までの変化率を冷却速度(℃/分)とする。
(分子量の測定方法)
可塑剤の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
まず、室温で、可塑剤をテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マイショリディスク」(東ソー(株)製)で濾過してサンプル溶液を得る。尚、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置:高速GPC装置「HLC−8220GPC」[東ソー(株)製]
カラム:LF−604の2連
溶離液:THF
流速:0.6mL/分
オーブン温度:40℃
試料注入量 :0.020mL
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソー(株)製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
(SP値の計算方法)
本発明におけるSP値は、Fedorsの式(3)を用いて求めた。ここでのΔei,及びΔviの値は著「コーティングの基礎科学」54〜57頁、1986年(槇書店)の表3〜9による原子および原子団の蒸発エネルギーとモル体積(25℃)」を参照にした。
δi=[Ev/V](1/2)=[Δei/Δvi](1/2) 式(3)
Ev:蒸発エネルギー
V:モル体積
Δei:i成分の原子または原子団の蒸発エネルギー
Δvi:i成分の原子または原子団のモル体積
例えば、ヘキサンジオールは、原子団(−OH)×2+(−CH2)×6から構成され、計算SP値は下記式で求められる。
δi=[Δei/Δvi](1/2)=[{(5220)×2+(1180)×6}/{(13)×2+(16.1)×6}](1/2)
SP値(δi)は11.95となる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、これは、本発明を何ら限定するものではない。
(可塑剤の製造例)
脂肪酸成分と高級アルコール成分とを、表1に記載の組み合わせで、触媒(有効量)とともに反応容器内に入れ、窒素気流下、温度240℃でエステル化反応させた後、水分離器により共沸脱水を行った。炭酸水素ナトリウムで十分に洗浄した後、乾燥してベンゼンを留去した。生成物をベンゼンで再結晶、洗浄、精製して可塑剤1〜10を得た。
Figure 0006660147
(トナー1の製造例)
・顔料分散ペーストの作製
スチレンモノマー 39.0質量部
銅フタロシアニン(C.I.Pigment Blue 15:3(大日精化工業(株)製)) 6.5質量部
上記材料を容器中で予備混合した後に、それを温度20℃以下に保ったまま、ビーズミルで4時間分散処理し、顔料分散ペーストを作製した。
・トナー粒子の作製
還流管、攪拌機、温度計および窒素導入管を備えた四つ口容器中に、下記の材料を投入し、60℃に加温した後、エム・テクニック(株)の精密分散・乳化機(商品名:クレアミックス)を用いて回転数13000rpmの条件で撹拌した。
イオン交換水 700.0質量部
0.1mol/LのNaPO水溶液 1000.0質量部
1.0mol/LのHCl水溶液 24.0質量部
これに1.0mol/LのCaCl水溶液 85質量部を添加して、無機分散剤としてのCa(POを含む分散媒体(水系媒体)を調製した。
次に、下記材料を60℃に加温し、溶解および分散させて混合物を得た。
上記顔料分散ペースト 45.5質量部
スチレンモノマー 39.0質量部
n−ブチルアクリレート(アクリル酸n−ブチル) 22.0質量部
飽和ポリエステル樹脂(テレフタル酸とプロピレンオキサイド変性ビスフェノールAとの共重合体、酸価:13mgKOH/g、Mw:14500) 4.0質量部
テレフタル酸ジステアリル(Mw:690、SP値:9.1) 10.0質量部
さらに、温度60℃に保持しながら、重合開始剤としてパーブチルPV(10時間半減期温度54.6℃(日油(株)製))6.0質量部を加えて溶解させて、重合性単量体組成物を調製した。
上記分散媒体に、上記重合性単量体組成物を投入した。その後、温度60℃で窒素雰囲気とし、上記精密分散・乳化機を用いて回転数12000rpmの条件で10分間撹拌し、重合性単量体組成物の粒子を形成した。その後、パドル撹拌翼で撹拌しつつ、70℃で5時間反応させた後、85℃で5時間攪拌し、重合を終了させた。
続いて、還流管を取り外し、蒸留装置を取り付けた。その後、イオン交換水を300質量部添加し、蒸留を開始した。その後、蒸留装置から四つ口容器を離し、温度データロガーを取り付け放冷した。このときの温度測定結果より冷却速度は0.3℃/分であった。その後、トナースラリーを含む容器内に塩酸を添加してCa(POを溶解し、除去した。さらに、濾別、洗浄および乾燥を行ってトナー粒子を得た。
得られたトナー粒子を分級し、以下の操作によって疎水性シリカ微粒子を外添することにより、トナーを得た。
すなわち、ヘキサメチルジシラザンでシリカ微粒子の表面を処理した後、シリコーンオイルで処理することによって、一次粒子の数平均粒径9nm、BET比表面積180m/gの疎水性シリカ微粒子を得た。この疎水性シリカ微粒子1.0質量部および分級後の上記トナー粒子100質量部を三井ヘンシェルミキサ(三井三池化工機(株)製)で混合し、疎水性シリカ微粒子をトナー粒子に外添し、トナー1を得た。
(トナー2〜23の製造例)
表2に示すように、材料や条件を変更した以外は、トナー1と同様にしてトナー2〜23を得た。
(比較トナー1〜5の製造例)
表2に示すように、材料や条件を変更した以外は、トナー1と同様にして比較トナー1〜5を得た。
(比較トナー6の製造例)
スチレン−n−ブチルアクリレート共重合体(Tg:57℃、Mw:21000) 100.0質量部
銅フタロシアニン(C.I.Pigment Blue 15:3、大日精化工業(株)製) 5.0質量部
パラフィンワックス(商品名:HNP−7、日本精鑞(株)製) 3.0質量部
ベンジル酸ホウ素化合物(商品名:LR−147、日本カーリット(株)製) 1.6質量部
テレフタル酸ジステアリル 10.0質量部
上記材料を三井ヘンシェルミキサ(三井三池化工機(株)製)を用いて予備混合した後、二軸式押し出し機で溶融混練し、室温環境にて冷却した。このときの冷却速度は、60℃/分であった。その後、ハンマーミルを用いて粒径1〜2mm程度に粗粉砕した。
次いで、エアージェット方式による微粉砕機で微粉砕した。
さらに、得られた微粉砕物を多分割分級装置で分級して、トナー粒子を得た。
トナー1の製造例と同様にしてトナー粒子に疎水性シリカ微粒子を外添し、比較トナー6を得た。
(比較トナー7の製造例)
トナー1の可塑剤1をパラフィンワックスに変更した以外はトナー1と同様にして、比較トナー7を得た。
Figure 0006660147
〔実施例1〕
(耐熱保存性の評価)
5gのトナー1を容積100mLのポリカップに量り採り、これを内部温度55℃の恒温槽内にて7日間静置した。同様に、5gのトナー1を容積100mLのポリカップに量り採り、これを25℃に調整された室内にて7日間静置した。その後、ポリカップを静かに取り出し、ゆっくりと回転させたときのトナーの流動性を、55℃で静置したトナーと25℃で静置したトナーとで比較し、目視により評価した。判定基準は以下のとおりである。
(評価基準)
A:25℃で静置したトナーと比較して、55℃で静置したトナーの流動性が同等である。
B:25℃で静置したトナーと比較して、55℃で静置したトナーの流動性がやや劣るが、ポリカップの回転に伴い徐々に流動性が回復する。
C:55℃で静置したトナーは、軽微に凝集し融着した塊状物が見られるが、軽く指で押すと崩れる。
D:55℃で静置したトナーは、凝集し融着した塊状物が発生し、軽く指で押しても崩れない。
E:55℃で静置したトナーが流動しない。
(低温定着性の評価)
画像評価は、市販のカラーレーザープリンタ〔 HP Color LaserJet 3525dn]を一部改造して評価を行った。改造は一色のプロセスカートリッジだけの装着でも作動するよう改良した。また、定着器を任意の温度に変更できるように改造した。
このカラーレーザープリンタに搭載されていたブラックトナー用のプロセスカートリッジから中に入っているトナーを抜き取り、エアーブローにて内部を清掃した。その後、プロセスカートリッジに各トナー(300g)を導入し、トナーを詰め替えたプロセスカートリッジをカラーレーザープリンタに装着し、以下の画像評価を行った。
転写材にベタ画像(トナーの載り量:0.9mg/cm)を形成し、温度23℃、相対湿度50%の環境下で、プロセススピードを150mm/秒に設定し、定着温度(定着ローラの表面温度)を5℃刻みに変えて定着可能領域の下限温度を評価した。なお、定着温度は定着ローラの表面を非接触の温度計を用いて測定した値である。転写材は、LETTERサイズの普通紙(XEROX 4200、XEROX社製、75g/m)を用いた。
本発明において、コールドオフセットが発生しない最低温度を定着下限温度とした。なお、コールドオフセットとは画像の一部が定着ローラに溶融・付着し、後続の画像を汚染する現象である。判定基準は以下のとおりである。
(評価基準)
A:定着下限温度が130℃未満
B:定着下限温度が130℃以上135℃未満
C:定着下限温度が135℃以上140℃未満
D:定着下限温度が140℃以上145℃未満
E:定着下限温度が145℃以上
以上の評価方法および評価ランクに基づき、トナーの評価を行ったところ、実施例1のトナー1は耐熱保存性、低温定着性ともにランクAであった。評価結果を表3に示す。
〔実施例2〜23〕
実施例1のトナーをトナー1からそれぞれトナー2〜23に変更した以外は、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表3に示す。
〔比較例1〜7〕
実施例1のトナーをトナー1から比較トナー1〜7に変更した以外は、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表3に示す。
Figure 0006660147

Claims (3)

  1. 重合性単量体の重合体である結着樹脂、着色剤、及び可塑剤を含有するトナー粒子を有するトナーの製造方法であって、
    該製造方法が、
    該重合性単量体、該着色剤、及び該可塑剤を含む重合性単量体組成物を調製し、該重合性単量体組成物を水系媒体に加える工程、
    該水系媒体中で該重合性単量体組成物を造粒して該重合性単量体組成物の粒子を形成する工程
    該重合性単量体組成物の粒子に含まれる該重合性単量体を重合させて該結着樹脂を生成する工程、並びに
    該結着樹脂を生成する工程の後の、1.0℃/分以下の速度による冷却工程
    を含む懸濁重合法を用いて該トナー粒子を得る工程
    を有し、
    該結着樹脂が、スチレンアクリル樹脂であり、
    該可塑剤が、テレフタル酸ジエステル構造を有し、
    温度35℃における該可塑剤の溶解度が、5(g/100gの該重合性単量体)未満であり、
    該トナーが、下記式(1)、及び(2)を満たすことを特徴とするトナーの製造方法。
    式(1) T1−T2>10
    式(2) T1−T3≧20
    (式(1)、及び(2)中、T1は、示差走査熱量分析において、トナーを昇温速度10℃/分で0℃から180℃まで加熱して測定されるガラス転移温度(℃)を示す。T2は、トナーを180℃まで加熱し溶融し放冷した後に、示差走査熱量分析において、トナーを昇温速度10℃/分で0℃から180℃まで加熱して測定されるガラス転移温度(℃)を示す。T3は、示差走査熱量分析において、トナーを昇温速度10℃/分で0℃から180℃まで加熱し、10分間180℃で保持させ、その後に降温速度10℃/分で0℃まで冷却し、再度10℃/分の昇温速度で0℃から180℃まで加熱して測定されるガラス転移温度(℃)を示す。)
  2. 該可塑剤の融点が、70〜95℃である、請求項1に記載のトナーの製造方法。
  3. 該可塑剤の含有量が、結着樹脂100.0質量部に対して、1.0質量部以上20.0質量部以下である、請求項1又は2に記載のトナーの製造方法。
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