JP6660015B2 - クリンカーの保管方法 - Google Patents

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Description

本発明は、クリンカーの保管方法に関する。より詳しくは、金属鉄及び鉛を含有するクリンカーからの鉛の溶出を抑制することができる、クリンカーの保管方法に関する。
金属鉄及び鉛を含有するクリンカーの代表的なものとして、鉄鋼ダストから粗酸化亜鉛を回収する還元焙焼法(ウェルツ法)の実施時に、残滓として排出されるクリンカーを挙げることができる。鉄鋼の製錬工程において発生する鉄鋼ダストには、鉄以外に有価金属である亜鉛が比較的多く含まれているため、従来、ロータリーキルンを用いる還元焙焼法、所謂、ウェルツ法により、この鉄鋼ダストから粗酸化亜鉛を回収する工程が広く行われている。
還元焙焼法(ウェルツ法)の実施時に残滓として排出されるクリンカーは、鉄原料として鉄鋼の製錬工程に繰返されるか、或いは、産業廃棄物として埋め立て材に利用される。このクリンカーの主成分は鉄であるが、還元焙焼時に揮発されなかった微量の亜鉛や鉛も残留している。
埋め立て処理用の産業廃棄物としてのクリンカーについては、環境省令により、鉛の溶出基準量が、環境庁告示13号に基づく溶出試験にて0.3mg/l以下であることが義務付けられている。上記の還元焙焼工程から排出されるクリンカーについても、この溶出基準量を十分に下回る管理基準値を定めて、クリンカーからの鉛の溶出が、この管理基準値を超えることがないよう、厳密なクリンカーの品質管理が行われている。
廃棄物からの重金属の溶出を防止するための一般的な手段として、例えば、廃棄物に、外分で0.1〜10重量%のポリ塩化アルミニウム及び/又は含硫酸基ポリ塩化アルミニウムからなる薬剤と少量の水とを加えて混練させ、当該廃棄物に含まれる重金属を中性又はアルカリ性の状態で水に不溶な化合物として安定化し、その溶出を防止する技術が開示されている(特許文献1参照)。
しかしながら、このような重金属の溶出の防止方法は、薬剤を混練するための混練機が必要になる他、薬剤コスト及び混練機の運転コストが多大となる。よって、特に上述した還元焙焼法による亜鉛回収プロセス等の1ヶ月当たり数千トン程度の大量のクリンカーが排出されるような工程への適用については、コスト面での負担が過大となる。
鉛を含有するクリンカーからの鉛溶出を抑制するためのクリンカーの安定化を、特別な設備や工程を必要とせず、薬剤コストや運転コストをかけること無く実施することができる手段が求められていた。
特開平10−216678号公報
本発明は、金属鉄及び鉛を含有するクリンカーからの鉛の溶出を、規定した管理基準値以下に抑制することができて、且つ、低コストで実施可能な、クリンカーからの鉛溶出の抑制手段を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、金属鉄及び鉛を含有するクリンカーの保管に際して、クリンカーの集積体に対して特定の処理を所定のタイミングで加えることにより、当該クリンカーを安定化させて、鉛溶出値を十分に低く抑制できることを見出し、本発明を完成させるに至った。具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(1) 金属鉄及び鉛を含有するクリンカーの保管方法であって、前記クリンカーを山状に積み上げて仮置き用クリンカー集積体とする仮置き工程と、前記仮置き工程完了後、一定期間を経た後に、前記仮置き用クリンカー集積体の表面部と内部とを入れ替えるように撹拌を行う撹拌工程と、を行う、クリンカーの保管方法。
(1)の発明によれば、鉛を含有するクリンカーの鉛溶出値低減のための安定化処理を、従来方法のような特別な設備や工程を必要とせず、又、薬剤コストや運転コストをかけることなく実施できる。これにより、鉛を含有するクリンカーからの鉛溶出値を、規定した管理基準値以下に、更に低コストで更に安定的に抑制することができる。
(2) 前記クリンカーが鉄鋼ダストから粗酸化亜鉛ダストを回収する還元焙焼工程において残滓として発生するクリンカーである(1)に記載のクリンカーの保管方法。
(2)の発明によれば、鉄鋼ダストの還元焙焼工程より発生するクリンカーには還元された金属鉄が多く含まれるという特性を活かして、(1)の発明の鉛溶出の抑制の効果を更に高めることができる。(2)の発明は、上記のクリンカーの「酸化され易い」という特性を活かして、上記クリンカーからの鉛溶出値を、更に低コストで更に安定的に抑制することができる。
又、従来、鉄鋼ダストから粗酸化亜鉛ダストを回収する還元焙焼工程において残滓として発生する上記クリンカーのうち、鉛溶出基準値を上回る不良クリンカーは、これをロータリーキルンに繰返し処理することで対応していた。このような対応は、上記還元焙焼工程における鉄鋼ダストの処理量の減少や処理コストの増加につながる。(2)の発明によれば、不良クリンカーの発生を低減させて、上記還元焙焼工程の生産性の向上にも大きく寄与することができる。
(3) クリンカーに水を散布しながら前記撹拌を行うか、又は、前記撹拌の完了後速やかにクリンカーに水を散布する、(1)又は(2)に記載のクリンカーの保管方法。
(3)の発明によれば、適切なタイミングでクリンカーの集積体に対して散水を行うことによって、(1)又は(2)に記載のクリンカーの保管方法の奏し得るクリンカーからの鉛溶出値の抑制作用を、更に効率良く促進させることができる。この処理は、高価な薬剤等を必要とせず、簡易な散水手段のみで実施可能であるためコスト面での追加負担も少ない。よって、(1)又は(2)に記載のクリンカーの保管方法の従来方法に対するコスト面での優位性を保持したまま、更に好ましい態様で、これらの発明の有利な効果を享受することができる。
(4) 前記水が海水である(3)に記載のクリンカーの保管方法。
(4)の発明によれば、(3)に記載のクリンカーの保管方法で用いる水を海水とした。海水は真水よりも、更に上記鉛溶出の抑制作用を効率良く促進させることができる。又、本発明の方法の適用を必要とする工場等が臨海地域にある場合には、海水の利用も比較的容易であるため、特にこのような臨海地域における実施に際して、本発明のクリンカーの保管方法は、更にコスト面において優れる有利な方法でもある。
(5) 前記一定期間が5〜10日である(1)から(4)のいずれかに記載のクリンカーの保管方法。
仮置き工程完了後、仮置き用クリンカー集積体の表層部に、後述の強固な固結層が形成されるまでには概ね5日間の時間を要する。(5)の発明によれば、表層部に強固な固結層が形成された後、速やかに撹拌を行うことができる。これによれば、この保管方法による鉛溶出値低減の進捗効率を特に高いものとすることができる。
本発明によれば、金属鉄及び鉛を含有するクリンカーからの鉛の溶出を、規定の管理基準値以下に安定的に抑制することができて、且つ、低コストで実施可能な、クリンカーからの鉛溶出の抑制手段を提供することができる。
本発明のクリンカーの保管方法における各工程の実施態様を模式的に示した工程説明図である。 本発明のクリンカーの保管方法によるクリンカーからの鉛溶出値の推移及び溶出量抑制の実態を示すグラフ図である。
以下、本発明のクリンカーの保管方法の好ましい実施態様について説明する。但し、本発明は、以下の実施態様に限定されるものではない。以下においては、先ず初めに本発明のクリンカーの保管方法の好ましい適用対象プロセスとして想定される「鉄鋼ダストから粗酸化亜鉛を回収する還元焙焼工程」の概要について説明する。その後、同工程から排出されたクリンカーを、本発明によって鉛溶出値を抑制可能に安定化させるという、本発明の好ましい実施態様について詳しく説明する。
<還元焙焼工程>
鉄鋼ダストから粗酸化亜鉛を回収する還元焙焼工程を含むプロセスにおいては、鉄鋼ダストや鉄鋼ダストペレット(本明細書においては、これらをまとめて「鉄鋼ダスト」とも言う)が原料となる。鉄鋼ダストは、主に、鉄スクラップを原料として電気炉で溶解処理を行った際に発生するダストであるが、鉄鉱石を原料として高炉で溶解処理を行った際に発生するダスト等、鉄鋼の製錬工程から発生するダストの全てを含む。例えば、鉄スクラップには亜鉛メッキ鋼板も含まれるため、鉄鋼ダストには比較的多量の亜鉛が含まれている。又、高炉においても、鉄スクラップ等のリサイクル原料を投入している。よって、鉄鋼ダストには、比較的多くの亜鉛が含有されている。鉄鋼ダストの化学組成は、亜鉛が18〜35重量%、鉄が15〜30重量%であり、他に、塩素、フッ素、0.2〜2.5重量%の鉛等の不純物を含有する。尚、上記重量%は、いずれも乾燥量基準である。
還元焙焼工程は、固定床式焙焼炉、流動層焙焼炉、回転炉床炉等、いかなる焙焼炉においても実施することができるが、一般的には、ウェルツ法と呼ばれるロータリーキルンを用いた還元焙焼が広く行われている。ロータリーキルン(以降、「RRK」とも称する)による還元焙焼を行う場合、原料とする鉄鋼ダストは、炭素質還元剤とともに、RRK内に投入される。還元焙焼用のRRKの一具体例としては、外径3.3m、長さ50m、外装については厚さ25mmの鋼鉄製で、内側に25〜30mmの厚さで定型耐火物(レンガ)又は不定形耐火物(キャスタブル)によって耐火物層が形成されているものを挙げることができる。還元焙焼を行うRRK内は、燃料重油と上記の炭素質還元剤の燃焼により、最高到達温度が1100〜1200℃程度になるように制御されている。
鉄鋼ダストは、還元焙焼用のRRK内で還元焙焼され、揮発した金属亜鉛はRRK内で再酸化されて固体化した後、粉末状の粗酸化亜鉛ダストとして電気集塵機等によって回収される。一方で、還元焙焼操業によって、揮発せずにRRK中に残った還元焙焼残渣は、クリンカーとしてロータリーキルンの排出端から排出される。以下に詳細を説明する本発明のクリンカーの保管方法は、この還元焙焼工程において残滓として発生するクリンカー(以下、単に「クリンカー」とも言う)を、特に好ましい保管対象として想定する保管方法である。
<クリンカーの保管方法>
図1は、本発明のクリンカーの保管方法における各工程の実施態様を模式的に示した工程説明図である。同図(a)〜(d)に示す通り、本発明のクリンカーの保管方法は、仮置き工程(a)を行った後に、一定の放置期間(b)をおいて、撹拌工程(c)、再積み上げ工程(d)を、順次行う方法である。但し、再積み上げ工程(d)については、必ずしも本発明の実施における必須の工程ではなく、保管場所の面積等の保管条件に応じて、必要に応じて適宜行えばよい。例えば、撹拌工程(c)の後、再積み上げは行わずに、クリンカー集積体をそのまま放置する態様で保管してもよい。又、本発明のクリンカーの保管方法は、更に、クリンカーに水を散布しながら上記の撹拌を行うか、又は、同撹拌の完了後速やかにクリンカーに水を散布する処理を行う方法として行うことがより好ましい。
[還元焙焼工程から排出されるクリンカー]
鉄鋼ダストから粗酸化亜鉛を回収するプロセス内で発生するクリンカーは、通常、空気や水で冷却された後、クリンカー置き場にて山状に積み上げられた状態で保管され、鉄原料として鉄鋼メーカーに出荷されるか、埋め立て処理用として産業廃棄物処理業者に払出される。通常は、保管期間は1〜2ヶ月程度となるが、1〜2ヶ月経過後のクリンカーの鉄含有率は、35〜55重量%程度であることが一般的である。
鉄鋼ダスト中の鉄の化合物形態は三酸化二鉄(Fe)であるが、装入された鉄鋼ダストがロータリーキルンの排出端近くに到達する頃には、還元されて金属鉄(Fe)となる。よって、鉄鋼ダストから粗酸化亜鉛を回収する全体プロセス中の還元焙焼工程における残滓であるクリンカーには、金属鉄が多く含まれている。しかしながら、金属鉄は極めて空気酸化され易いため、排出端から排出されると直ちに、空気に触れた部分から酸化鉄(FeO)に、更に酸化が進むと三酸化二鉄(Fe)へと酸化される。一方で、このクリンカーについては、上述の管理基準値を上回る鉛溶出試験値を示す不良クリンカーが産出されることもある。
本発明のクリンカーの保管方法は、このクリンカーの酸化され易いという特性を活かして、意図的にクリンカー粒子の適切な酸化を促進してクリンカーを安定化し、これにより、上記の不良クリンカーの発生を防ぐことを目的とする。
[仮置き工程]
本発明のクリンカーの保管方法においては、先ず、図1(a)に示す通り、クリンカー1を山状に積み上げて仮置き用クリンカー集積体2とする仮置き工程を行う。
RRKからの排出直後に、山状に積み上げられた仮置き用クリンカー集積体2の表層部は、発熱を伴う急激な空気酸化が進むため、約5日後には、図1(b)に示す通り、表層部に強固な固結層21が形成される。この固結層21が空気遮断層となり、山状に積み上げられた仮置き用クリンカー集積体2の内部の酸化が阻害される。尚、山状に積み上げられた仮置き用クリンカー集積体2の表層部は、酸化が進み三酸化二鉄(赤茶色)になるが、仮置き用クリンカー集積体2において、固結層21が形成された後の、山の内部の酸化の進行は非常に遅く、この部分については、酸化鉄又は金属鉄(黒色)が大部分となる。
[撹拌工程]
仮置き工程完了後、一定期間を経た後に、仮置き用クリンカー集積体2の表面部と内部とを入れ替えるように撹拌する撹拌工程を行う。この撹拌は、図1(c)に示す通り、固結層21を破壊しつつ、仮置き用クリンカー集積体2の表面部と内部とを入れ替えるような態様で行う。この撹拌及び後の再積み上げの作業は、汎用的な建設機械、例えば、通常の油圧ショベル、パワーショベル、バックホー等により実施することができる。この撹拌と後の再積み上げの作業により、クリンカー集積物全体における空気の入れ替えが行われる。
仮置き用クリンカー集積体2を放置する上記の「一定期間」は、特定の期間に限定されないが、仮置き用クリンカー集積体2の表層部の全体に亘って酸化による硬化膜の形成が行き渡った後、できるだけ速やかに行うことが好ましい。具体的には、クリンカーの状態や集積場所の環境にもよるが、上述の通り、仮置き工程完了後、5〜10日を経た後に、撹拌を行うことが好ましい。
図1(c)に示す通り、撹拌工程は、散水手段4によって水5を散布しながら行うか、又は、撹拌の完了後速やかに、散水手段4によってクリンカーに水5を散布する態様で行うことが好ましい。この時、散布する水5は淡水でも海水でもよいが、海水の方がより効率良く酸化を促進し得る点において好ましい。いずれにしても散布した水の付着により金属鉄の酸化、所謂、錆の発生を有意に促進することができる。又、この水の散布を行う散水手段4は、ホースと先端ノズルさえあれば特段の追加設備の設置によらずともよく、簡易に、且つ、低コストで配備することができる。尚、「完了後速やかに」とは、厳密に撹拌完了後の特定の時間内であることを意味しないが、撹拌の完了と同時に、或いは、遅くとも2〜3日以内に行うことによって、保管の初期段階の散水による適切な酸化促進効果を集積体の内部にまで十分に及ぼすことができる。
[再積み上げ工程]
上記の撹拌工程の完了後、図1(d)に示す通り、撹拌されたクリンカーを、必要に応じて、再度山状に積み上げて、保管用クリンカー集積体3とする再積み上げ工程を行うことが好ましい。尚、保管用クリンカー集積体3は、上述の通り、必ずしも再積み上げしたものに限られない。上記の撹拌工程後、再積み上げを行わずに、撹拌後、例えば、概ね平らに広げた状態で放置したまま、撹拌工程後のクリンカーを保管する場合は、この放置された状態のクリンカーを、本発明上の保管用クリンカー集積体とみなすものとする。
尚、保管用クリンカー集積体3におけるクリンカーの安定化の機構の詳細は必ずしも明らかではないが、クリンカー集積体の全体に亘っての、適度な酸化の進行によるものと考えられる。より具体的には、クリンカー粒子の表面に酸化物被膜が形成されて、これが保護膜として作用すること、更には、酸化によってクリンカー粒子の二次固結が進行して粒径の増大と圧壊強度の上昇が起こること等の作用によるものと推定される。
保管用クリンカー集積体3においては、排出直後に山状に積み上げられた仮置き用クリンカー集積体2のように、発熱を伴う急激な空気酸化は起こらない。よって、表層部に強固な固結層が形成されることも無い。又、再度山状に積み上げ直した保管用クリンカー集積体3においては、表層部に強固な固結層が形成されない限り、山の内部でも適度な酸化が進行する。これらの作用により、保管用クリンカー集積体3からの鉛の溶出が抑制されるものと推定される。
尚、再積み上げ工程後の保管用クリンカー集積体3の表面及び内部のそれぞれの酸化の進行程度によっては、必要に応じて、再度、上記態様での、撹拌と再積み上げを繰り返して行ってもよい。又、上記の散水も、上記タイミングで行う他に、適宜、追加的に行うこととしてもよい。保管用クリンカー集積体3の表層部には、内部への水の浸透を阻害する強固な固結層は形成されにくいため、必要に応じて適量の追加的な散水を行うことによって、集積体の内部における適切な酸化を更に促進させることもできる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
実施例1として、以下の態様で本発明のクリンカーの保管方法を実施した。即ち、鉄鋼ダストから粗酸化亜鉛を回収するプロセスにおいて、還元焙焼工程を行うロータリーキルンから排出された残滓であるクリンカーを、図1(a)に示すように、山状に積み上げて仮置き用クリンカー集積体とした。仮置き用クリンカー集積体の積み上げ後、1週間経過後に、図1(c)に示すように当該仮置き用クリンカー集積体の表面部と内部とを入れ替えるように撹拌を行った。十分にクリンカー全体を撹拌した後、図1(d)に示すように、クリンカーを再度山状に積み上げ直して保管用クリンカー集積体とした。そして、上記保管方法の実施の開始時、開始から0.5か月後、及び、開始から1か月後に、それぞれクリンカーのサンプリングを行い、採取された各サンプルについて、鉛溶出値を測定した。0.5か月後、及び、開始から1か月後のサンプリングは、各クリンカー集積体の山の表面から10cmの深さのクリンカーを、5ヶ所サンプリングして行った。又、鉛溶出値は、環境庁告示13号に基づく溶出試験方法により測定した。図2には、測定された鉛溶出値の平均値をプロットした。
(実施例2)
実施例2として、上記の撹拌の処理をクリンカーに海水を散布しながら行ったことの他は、実施例1と同様の手順で、仮置き用クリンカー集積体の積み上げから、撹拌、保管用クリンカー集積体の積み上げまでの一連の作業を行った。クリンカーの鉛溶出値の推移についても、実施例1と同様の方法により測定した。
(比較例)
上記の仮置き用クリンカー集積体を積み上げる工程を実施例1と同様に行った後、上記の撹拌工程は行わずに、この集積体をそのまま保管用クリンカー集積体として放置した。クリンカーの鉛溶出値の推移については、実施例1及び2と同様の方法により測定した。
比較例のクリンカー集積体においては、鉛溶出値が管理基準値である0.1mg/l以下になるのに1ヶ月を要した。これに対して、実施例1及び実施例2においては、0.5ヶ月で管理基準値を満たすことができた。特に、実施例2においては、比較例や実施例1のように1ヶ月経過後に鉛溶出値の低減の割合が鈍ること無く、直線的に低下して、1ヶ月後の鉛溶出値が大幅に低減されていた。以上より、本発明のクリンカーの保管方法は、金属鉄及び鉛を含有するクリンカーからの鉛の溶出を、規定した管理基準値以下に抑制することができて、且つ、低コストで実施可能な、クリンカーからの鉛溶出の抑制手段であることが分かる。
1 クリンカー
2 仮置き用クリンカー集積体
21 固結層
3 保管用クリンカー集積体
4 散水手段
5 水

Claims (5)

  1. 金属鉄及び鉛を含有するクリンカーの保管方法であって、
    前記クリンカーを山状に積み上げて仮置き用クリンカー集積体とする仮置き工程と、
    前記仮置き用クリンカー集積体の表層部の全体に亘って酸化による硬化膜の形成が行き渡った後に、前記仮置き用クリンカー集積体の表面部と内部とを入れ替えるように撹拌を行う撹拌工程と、を行う、クリンカーの保管方法。
  2. 金属鉄及び鉛を含有するクリンカーの保管方法であって、
    前記クリンカーを山状に積み上げて仮置き用クリンカー集積体とする仮置き工程と、
    前記仮置き工程完了後、5〜10日を経た後に、前記仮置き用クリンカー集積体の表面部と内部とを入れ替えるように撹拌を行う撹拌工程と、を行う、クリンカーの保管方法。
  3. 前記クリンカーが鉄鋼ダストから粗酸化亜鉛ダストを回収する還元焙焼工程において残滓として発生するクリンカーである請求項1又は2に記載のクリンカーの保管方法。
  4. クリンカーに水を散布しながら前記撹拌を行うか、又は、前記撹拌の完了後速やかにクリンカーに水を散布する、請求項1から3のいずれかに記載のクリンカーの保管方法。
  5. 前記水が海水である請求項に記載のクリンカーの保管方法。
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