JP6658925B2 - 回転電機駆動システム - Google Patents

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本発明は、ハイブリッド車両や電気自動車等の車両に搭載されて電動機や発電機として用いられる回転電機駆動システムに関する。
従来、電気自動車用の電動機(以下、「モータ」ともいう。)は、低速から高速まで広い範囲で高トルク及び高効率特性を発揮することが望まれる。このような用途に対して、特許文献1には、電動機のステータ巻線の結線をスター結線(以下、「Y結線」ともいう。)とデルタ結線(以下、「Δ結線」ともいう。)とに切り替えることにより、低速領域と高速領域のそれぞれにおいて最適特性を発揮させる技術が開示されている。
特開2014−54094号公報
ところで、4輪駆動車や重量が大きい中型以上の車両には、強力な登坂能力が必要になる。また、ディーゼルエンジンを搭載する車両は、エンジン始動時においてガソリンエンジン車の倍以上の大トルクが必要になることが多々ある。この際には、必然的に、回転電機への電流通電量を多くしたり、或いは回転電機を大型化をしたりしていた。しかし、回転電機への電流通電量を上げる場合には、銅損や鉄損が大きくなる。また、回転電機を大型化した場合には、エンジンルームのスペースに入らないという問題が生じる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、大トルク化による高効率化を図り得るようにした回転電機駆動システムを提供することを解決すべき課題とする。
本願発明者は、通常、鉄損増加になるため、ステータ巻線に供給される電流には用いられない3次及び3+6n次の高調波電流に着目し、鋭意研究を重ねた結果、所定の高トルク領域だけで、所定の高調波電流を流すようにすれば、大トルク化による高効率化を実現できることを見出し、本発明を完成した。
上記課題を解決するためになされた本発明は、
ステータコア(31)に3相の相巻線(U,V,W)よりなるステータ巻線(35)が巻装されたステータ(30)、及び磁石トルクとリラクタンストルクを発生するロータ(20)を有する回転電機(1)と、前記ステータ巻線に電流を供給して前記回転電機を駆動する駆動装置(40)と、を備えた回転電機駆動システムにおいて、
前記ステータ巻線は、スター結線とデルタ結線とに切り替え可能に構成され、
前記駆動装置は、前記ロータの発生する磁石トルクがリラクタンストルクよりも小さくなる所定の高トルク領域では、前記デルタ結線に切り替えられた前記ステータ巻線に対して電流を供給する。
磁石トルクとリラクタンストルクを併用する回転電機では、磁石磁束をΨ、q軸の電流をIq、d軸の電流をId、q軸のインダクタンスをLq、d軸のインダクタンスをLdとすれば、磁石トルクはΨ×Iq、リラクタンストルクは(Lq−Ld)×Id×Iqで表される。
一般に、リラクタンストルクを利用するときには、磁石の磁力を弱める力を掛けるため、その分が損失となり、低トルク域で電流が小さい状況では、Ψ×Iqを利用した方が効率が良い。また、磁石が焼結ネオジウムなど強力な場合は、磁石トルクを利用した方がトルク自体も大きい場合が多い。このような状況において、低トルク域では磁石磁束Ψを大きくすることが重要となり、Iqの磁束量を増やした分、磁気回路の磁気抵抗を増やし、Ψが減ることは望ましくない。
しかし、電流が大きい場合には、磁石磁束Ψが大きい状態においても、IdとIqの二つの電流が掛かるリラクタンストルクは、電流Iの1次関数である磁石トルクよりも、2次関数であるリラクタンストルクの方が大きくなる。このような状況においては、Lqの磁束を増やし、ΨとLdの磁路となるd軸の磁気抵抗を大きくし、Lqを増加、ΨとLdを低下させることでLq−Ldを大きくする構成が望まれることは明白である。
本発明の構成によれば、駆動装置は、所定の高トルク領域では、デルタ結線に切り替えられたステータ巻線に対して電流を供給し回転電機を駆動する。これにより、デルタ結線されたステータ巻線には、1次波形に対して、3次及び3+6n次(nは1以上の自然数)のうちの1つ又は2以上が合成された高調波波形であって、1次波形が正の値をとる時の電流の総和が負であり、1次波形が負の値をとる時の電流の総和が正である特定高調波波形を重畳させた波形の電流を自然と流すことができる。これにより、上記のLqを増加させることができる。また、このとき、d軸の磁気抵抗は増加し、ΨとLdは低下する。この効果により、回転電機は現状技術よりも大きなトルクを出すことが可能となる。したがって、第二の発明によれば、大トルク化による高効率化を図ることができる。
なお、本発明で用いられる、3次及び3+6n次(nは1以上の自然数)のうちの1つ又は2以上が合成された高調波波形は、低周波の方が振幅が大きいので、より良好な効果を得るためには低周波を用いるのが好ましい。
なお、この欄及び特許請求の範囲で記載された各部材や部位の後の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的な部材や部位との対応関係を示すものであり、特許請求の範囲に記載された各請求項の構成に何ら影響を及ぼすものではない。
実施形態1に係る回転電機の軸方向に沿う模式断面図である。 実施形態1に係るロータ及びステータの1磁極分の部分平面図である。 実施形態1に係る回転電機駆動システムの回路結線図である。 実施形態1の回転電機駆動システムにおいてステータ巻線に流される電流の波形を示す説明図である。 実施形態1の回転電機においてd軸磁路及びq軸磁路の磁束の流れを示す説明図である。 実施形態1の回転電機においてステータ巻線に特定高調波波形電流が流されたときのステータ磁束を示す説明図である。 磁石埋め込み型モータの力行時の制御領域における磁石トルクとリラクタンストルクの状況を示す説明図である。 磁石埋め込み型モータの回生時の制御領域における磁石トルクとリラクタンストルクの状況を示す説明図である。 実施形態1においてステータ巻線がデルタ結線された状態で作動した場合とスター結線された状態で作動した場合の回転数とトルクの関係を示すグラフである。 実施形態2に係る回転電機駆動システムの回路結線図である。 実施形態3に係るロータ及びステータの1磁極分の部分平面図である。 図11のA部の部分拡大図である。 ロータの外周面に流れる磁束の大きさを示す説明図である。 ロータ及びステータの1磁極分を模式的に示す説明図である。 ロータの1磁極と任意の1極歯との配置状態を示す説明図である。 ロータの外周面に流れる磁束の大きさを示す説明図である。 極歯が動いたときに1つの極歯内を通る鎖交磁束の大きさを示す説明図である。 1磁極内に発生する鎖交磁束を示すグラフである。 極歯が動いたときに1つの極歯内を通る鎖交磁束の大きさを示す説明図である。 アークレシオθaが120度の磁石を用いた場合の有限要素法による計算結果を示すグラフである。 アークレシオθa>120度がLq上昇の要件となることを示す説明図である。 アークレシオθa>120度がLq上昇の要件となることを示す説明図である。 実施形態3に係る回転電機駆動システムの回路構成図である。 変形例1のアークレシオθaの範囲を示す説明図である。 図24のB部の部分拡大図である。 変形例2のアークレシオθaの範囲を示す説明図である。 変形例3のアークレシオθaの範囲を示す説明図である。 実施形態4に係るロータ及びステータの1磁極分の部分平面図である。 実施形態4に係るロータ及びステータの1磁極分を模式的に示す説明図である。 実施形態4においてロータから出る磁束を受けているティースの電気角範囲θxを示す説明図である。 実施形態5に係るロータ及びステータの1磁極分の部分平面図である。 比較例1に係るロータの1磁極分の部分平面図である。
以下、本発明に係る回転電機駆動システムの実施形態について図面を参照して具体的に説明する。
〔実施形態1〕
実施形態1に係る回転電機駆動システムは、本発明を回転電機としての車両用電動機に適用したものであり、図1に示すように、回転電機1と、回転電機1を駆動する駆動装置としてのインバータ40と、電源Bとを備えている。そして、回転電機1は、ハウジング10と、ハウジング10に回転可能に支持された回転軸13と、磁石トルクとリラクタンストルクを発生するロータ20と、ステータコア31及びスター結線された3相のステータ巻線35を有するステータ30と、を備えている。
ハウジング10は、有底筒状の一対のハウジング半部材10a,10bにより、両端が閉口した概ね円筒状に形成されている。一対のハウジング半部材10a,10bは、開口部同士が対向する状態でボルト11で締結されることにより一体化されている。回転軸13は、ハウジング10の軸方向両側の壁部に、一対の軸受け12,12を介して回転可能に支持されている。
ロータ20は、ハウジング10に回転可能に支持された回転軸13の軸方向中央部外周に、回転軸13と一体回転可能に嵌合固定されている。このロータ20は、図2に示すように、周方向に配列された複数の磁石収容孔22、第1フラックスバリア25及び第2フラックスバリア26等を有するロータコア21と、各磁石収容孔22にそれぞれ埋設された複数の永久磁石23と、を備えている。
ロータコア21は、中央に貫通孔21aを有する円環状の鋼板を軸方向に複数積層して厚肉円筒状に形成されており、回転軸13の外周に貫通孔21aが嵌合固定されている。このロータコア21の外周部には、軸方向に貫通する複数対の磁石収容孔22が周方向に所定距離を隔てて設けられている。磁石収容孔22は、2個で対をなし外周側に向かうにつれて互いに離間するようにV字状に配置された複数対のもので構成されている。実施形態1では、8対の磁石収容孔22が設けられている。一対の磁石収容孔22,22の間には、径方向に延びる中央ブリッジ24が設けられている。
各磁石収容孔22には、ロータ20の回転軸線Oと直角方向の断面形状が長方形の永久磁石23が1個ずつ収容されている。実施形態1の場合、V字状に配置された一対の磁石収容孔22,22に収容された一対の永久磁石23,23により1つの磁極が形成されている。この場合、8対の永久磁石23,23によって、周方向に極性が交互に異なる複数の磁極が形成されている。実施形態1では、8極(N極:4、S極:4)の磁極が形成されている。なお、ロータ20の1つの磁極において、一対の磁石収容孔22,22及び一対の永久磁石23,23は、ロータ20の回転軸線Oと磁極中心とを通る磁極中心線C1に対して線対称となる状態に配置されている。
ロータコア21の周方向に隣接し極性が異なる2つの磁極の間には、或る1つの磁極間から他の磁極間へ磁束が流れる部位となるq軸コア部27が形成されている。そして、各磁石収容孔22に収容された永久磁石23と周方向に対向するq軸コア部27との間には、磁気的空隙部としての第1フラックスバリア25がそれぞれ磁石収容孔22と連続して一体に設けられている。また、対をなす磁石収容孔22,22のそれぞれの磁極中心側には、それぞれの磁石収容孔22の磁極中心側端部から回転軸線O側に広がる対をなす第2フラックスバリア26,26が設けられている。対をなす第2フラックスバリア26,26の間には、対をなす磁石収容孔22,22の間に形成された中央ブリッジ24が回転軸線Oに向かって延長するように形成されている。
ステータ30は、図2に示すように、ロータ20の外周側に径方向に対向して配置された円環状のステータコア31と、ステータコア31に巻装された3相(U相、V相、W相)のステータ巻線35とを備えている。このステータ30は、ステータコア31の内周面がロータ20の外周面と所定のエアギャップを介して径方向に対向するようにして、ハウジング10の内周に固定されている。この場合、ステータコア31が、一対のハウジング半部材10a,10bによって軸方向に挟持固定されている。
ステータコア31は、複数の電磁鋼板が軸方向に積層されて円環状に形成されている。このステータコア31は、外周側に位置する円環状のバックコア部32と、バックコア部32から径方向内方へ突出し周方向に所定距離を隔てて配列された複数のティース33とを有する。ティース33の突出先端部には、周方向両側へそれぞれ突出する突出部33aが設けられている。隣り合うティース33の周方向に対向する側面同士の間には、ステータコア31の内周面に開口し径方向に延びるスロット34が形成されている。
スロット34は、ロータ20の磁極数(8磁極)に対し、ステータ巻線35の一相あたり2個の割合で形成されており、スロット倍数が2とされている。本実施形態の場合、スロット34の数(スロット数Sn)は、スロット倍数S(Sは正の整数)を2とし、ロータ20の磁極数Mn(Mnは正の整数)を8極とし、相数p(pは正の整数)を3相とすると、Sn=S×Mn×p=2×8×3=48になる。
ステータコア31のスロット34に巻装されたステータ巻線35は、図3に示すように、3相(U相、V相、W相)の相巻線U,V,Wにより構成されている。各相巻線U,V,Wは、それぞれの一端がスター結線されて中性点を形成し、それぞれの他端がインバータ40の各出力端子U1,V1,W1に接続されている。
インバータ40は、合計3つの上アーム素子41と合計3つの下アーム素子41とをもち、各アーム素子41は、それぞれ絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)41a及び還流ダイオード41bにより構成されている。なお、平滑コンデンサ42は、電源B側の交流電流を平滑するためのものである。このインバータ40は、公知のPWM制御インバータと同一の機能を有し、V/F制御やベクトル制御の制御出力信号であるPWM(パルス幅変調)信号により、IGBT41aがオン・オフを繰り返し、三相交流電圧を発生する。このとき、上下アーム素子41のIGBT41aは互いに反転動作をし、同時にオンすることがないように設定されている。なお、インバータ40のIGBT41aのオン・オフ動作は、ロータ20の回転位置を検出する図示しない位置センサの情報に基づいて、図示しないECU(電子制御装置)により制御される。
このインバータ40は、所定の高トルク領域において、下記の制御電流をステータ巻線35に供給する。即ち、実施形態1のインバータ40は、図4に示すように、基本制御波形である1次波形(図4の破線)に、3次及び3+6n次(nは1以上の自然数)(以下、「3次グループ」という。)のうちの1つ又は2以上が合成された高調波波形(図4の実線)であって、1次波形が正の値をとる時の電流の総和が負であり、1次波形が負の値をとる時の電流の総和が正である高調波波形(以下、単に「特定高調波波形」という。)が重畳した波形(図4の一点鎖線)の制御電流を供給する。これにより、Lqが増加することにより、リラクタンストルクを向上させ、大トルク化を図ることが可能となる。
以下、3次グループの高調波を利用したリラクタンストルクの向上について説明する。図5には、ロータ20とステータ30間において、d軸を流れる磁束のd軸磁路が実線で示され、q軸を流れる磁束のq軸磁路が破線で示されている。また、ステータ30に記載された実線矢印は、ステータ巻線35に1次波形電流が流れたときにステータ30に発生するステータ磁束を示し、実線矢印の長さが長いものほど磁束の強さが強いことを表す。
図6には、ステータ巻線35に上記の特定高調波波形電流を流したきにステータ30に発生するステータ磁束が実線矢印で示されている。この場合、周方向に2スロットずつ配置されている各相巻線の周方向両側で互いに径方向逆方向に流れるステータ磁束が発生する。
また、1次波形電流によりq軸上に発生するステータ磁束と、特定高調波波形電流によりq軸上に発生するステータ磁束が、互いに径方向の同じ方向を向き、q軸上で互いに強め合うことによって、d軸磁路上の磁気抵抗が増加し、d軸磁路上での磁束が通り難くなる。よって、特定高調波波形を1次波形に重畳させた波形の電流をステータ巻線35に流すことで、リラクタンストルクを向上させることができる。
なお、実施形態1において、インバータ40から制御電流が供給される所定の高トルク領域とは、ロータ20の発生する磁石トルクがリラクタンストルクよりも小さくなる領域である。以下、磁石トルクとリラクタンストルクの最大値が1:1の磁石埋め込み型モータ(以下、「IPM」という。)を例にとり説明する。このIPMの力行の制御域である90度〜180度において、磁石トルクとリラクタンストルクが1:1の場合には、図7に示すように、制御進角120度で磁石トルクとリラクタンストルクが等しくなる。即ち、力行時、磁石トルクは、制御進角120度〜180度以内で制御するときにリラクタンストルクよりも小さい状態となる。このようなときに、デルタ結線構成は優位となる。磁石トルクとリラクタンストルクの比が違うときに、90度〜120度、240度〜270度の範囲が、それぞれ変わることは言うまでもない。
また、IPMの回生の制御域である180度〜270度において、磁石トルクとリラクタンストルクが1:1の場合には、図8に示すように、制御進角240度で磁石トルクとリラクタンストルクが等しくなる。即ち、回生時の磁石トルクは、制御進角180度〜240度以内で制御するときにリラクタンストルクよりも小さい状態となる。このようなときに、デルタ結線構成は優位となる。
上記の所定の高トルク領域は、トルクをTとし、極対数をpとし、磁石磁束をΨとし、q軸電流をIqとし、d軸電流をIdとし、q軸インダクタンスをLqとし、d軸インダクタンスをLdとしたときに、下記の式1に基づいて設定される。
T=pΨIq+p(Lq−Ld)IdIq ……… 式1
以上のように、実施形態1の回転電機駆動システムによれば、インバータ40は、所定の高トルク領域において、1次波形に特定高調波波形を重畳させた波形の制御電流を回転電機1のステータ巻線35に供給するようにしている。そのため、Lqが増加することにより、リラクタンストルクを向上させることができるので、図9に示すように、高トルク領域において大トルク化による高効率化を図ることが可能となる。
また、実施形態1では、所定の高トルク領域は、ロータ20の発生する磁石トルクがリラクタンストルクよりも小さくなる領域であるため、高トルク領域での高効率化を確実に実現することができる。さらに、所定の高トルク領域は、上記の式1に基づいて設定されるため、容易に設定することができる。
〔実施形態2〕
実施形態2ではインバータが図10に示されるものとなっており、ステータに旋回された巻線がΔ結線となっている。このためリラクタンストルク>磁石トルクの領域での効率アップは望めないが、車両用のインバータの特徴によっては通常のΔ結線とインバータの組み合わせよりも大きな恩赦を得ることができる。モータドライバーのPWM周波数は、民生品、中でも利用者の手元付近で操作されるような民生品の場合は、利用者の満足度を上げるため、可聴域より高い20kHz以上のものを利用する場合も多いが、現行の車両用のインバータのPWM制御においては、そのシステムの堅牢性の確保のため、可聴域以下、特に8・12kHz程度のものが使われることが多い。しかも、高電流領域では最大PWM周波数の半分以下とし、インバータのスイッチング損失を少なくして大電流を流すということが一般に行われる。このような状況では、PWM制御で生み出されたSin波には、インバータの励磁電流により生まれる3次、3(6n−1)次の電流波形が乗りやすい。また、利用領域を伸ばす過変調制御を使用するとなると、モータ端子に掛かる電圧を上げるためにSin波制御とすることをやめる制御とするため、3次、3(6n−1)次の電流波形が乗ることとなる。車両用回転機は発熱を抑えるためmΩオーダーでの巻線設計がされることが多く低ターン数で低インダクタンスのため、Δ結線内の中を通る循環電流の問題が懸念されていた。このため車両用モータではY結線が通例であるか、Δ結線とする場合は3次、3(n−1)次の循環電流に対する逆相の同振幅の電流を流入させ、循環電流を打ち消すのが一般的であったが、本実施形態の、人間の可聴域である20kHz以下のPWM制御を主体とする低周波PWM制御、または過変調制御を行うインバータと繋がっている回転機に、実施形態3、3に示す構成を適用することにより、この3次、3(6n−1)次の循環電流を利用することができるようになる。この効果により、Lq−Ldを増加させ、高トルク域でのトルクを大幅に増加させることができる。
〔実施形態3〕
上記実施形態1では、インバータ(駆動装置)40から供給される電流を制御することにより高効率化を図るようにしていたのに対して、実施形態3では、駆動装置50の電流制御を用いずに高効率化を実現するようにしている点で実施形態1と異なる。即ち、実施形態3の回転電機駆動システムは、ロータ20の各磁極のアークレシオθaが、特定高調波波形を発生させるように電気角で120度以上に設定されている点と、回転電機1のステータ巻線35が、スター結線とデルタ結線とに切り替え可能に構成されている点と、駆動装置50が、所定の高トルク領域では、デルタ結線に切り替えられたステータ巻線35に対して電流を供給する点などで、実施形態1のものと異なる。よって、実施形態1と共通する要素については、同じ符号を付して詳しい説明は省略し、以下、異なる点及び重要な点について図11〜図23を参照して説明する。
実施形態3のステータコア31は、図11に示すように、各ティース33の突出先端部に、周方向両側へそれぞれ突出する突出部33aが設けられていない点で、実施形態1のものと異なる。即ち、各ティース33の突出先端部は、径方向にストレート状に形成されている。
実施形態3のロータ20は、実施形態1と同様に、周方向に極性が交互に異なる8極(N極:4、S極:4)の磁極を形成する8対の永久磁石23を有する。そして、ロータ20の回転軸線Oを中心とした各磁極のアークレシオθaは、3次グループのうちの1つ又は2以上が合成された高調波波形であって、1次波形が正の値をとる時の電流の総和が負であり、前記1次波形が負の値をとる時の電流の総和が正である特定高調波波形を発生させるように電気角で120度以上に設定されている。
ここで、アークレシオθaとは、磁石から磁束が径方向に流れる範囲を示す角度のことをいう。具体的には、アークレシオθaは、図11及び図12に示すように、磁石収容孔22の外周側壁面から第1フラックスバリア25に延長した延長壁面22aとブリッジ28の内周側壁面28aとが交わる交点P1と回転軸線Oとを通る直線L1と、磁石収容孔22の外周側壁面から延長した延長壁面25aとブリッジ28の内周側壁面28aとが交わる交点P2と回転軸線Oとを通る直線L2とがなす角度である。
以下、アークレシオθaが電気角で120度以上に設定される理由について図13〜図22を参照して説明する。図13に示すように、永久磁石23からロータ20の外周面に流れる磁束は、配向されており、一様にロータ20の外側の空気側へ向かい排出される。なお、図13に示す磁束密度の波形は、磁束飽和を起こすように設計された永久磁石23の両サイドのブリッジ28や、永久磁石23の角の磁石成形時に付くR曲面により起こる磁気抵抗の差によって、排出磁束波形が斜めになることが多い。
ここで、図14を参照して回転電機全体として発生する磁束を考える。倍スロットの分布巻きのU相巻線に対する磁束を考える。なお、U相にとって有効な磁束が通る極歯(ティース33)は、図14の網掛けが施されたティース33以外のティース33である。
図15に示すように、U相に鎖交する磁束を考えるため、1極中の任意の1つのティース33を通過する磁束を考える。この場合、ティース33は、先述の磁束分布(図13参照)を持つロータ20の外周面をかすめるように通る。ステータコア31のティース33とロータ20の外周面の距離が近付いた場所は、ロータ20とティース33間の磁気抵抗が低くなり、ティース33が無いときの磁気抵抗の差によりブリッジ28や磁極側面空気等へ漏れていた磁束がティース33に集まるので、図16及び図17に示すように、ティース33の進行角度に対し、磁束は概ね矩形の波形となる。
また、鎖交磁束は、図14の網掛けが施されたティース33以外のティース33の磁束の和となるから、30度等配でずれた5つのスロット34に発生する鎖交磁束の和となる。図18に示すように、2倍スロットの回転電機では、11次・13次高調波が出現して角型性が発生する。n倍スロットの回転電機では、5+6(n−1)次高調波が出現するのは公知である。なお、3相モータに鎖交する磁束により発生する電圧Eu,Ev,Ewは、対称性があるため下記の式で表される。ここで、Emは1次振幅、ωは角速度、tは時間である。
Eu=Em・sin(ωt−0°)+Em・sin3ωt+Em・sin(5ωt−0°)+・・・
Ev=Em・sin(ωt−120°)+Em・sin3ωt+Em・sin(5ωt−240°)+・・・
Ew=Em・sin(ωt−240°)+Em・sin3ωt+Em・sin(5ωt−120°)+・・・
本発明で利用する磁束は、同相の逆起電力を起こすEm・sin3ωtであり、Em・sin3ωtを発生させる必要がある。
また、図19に示すように、各ティース33内を通る磁束の密度を表す矩形波も対称性を持つため当然下記の式で表すことができる。ここで、Amは磁束の1次振幅、a,bは位相ずれである。
Bt=Am・sinωt+Am・sin3ωt+Am・sin(5ωt−a)+Am・sin(7ωt−b)+・・・
ここで、120度の矩形波は、3次グループの高調波を含まない矩形波である。即ち、電気角120度となるアークレシオθaが120度の磁石を使うことはできない。図20は、アークレシオθaが120度の磁石を用いた場合の有限要素法による計算結果であるが、振幅を5倍にした3次高調波の姿を確認することが難しい。このように、アークレシオθaを120度とすると、3次グループの高調波は概ね零となる。
一方、120度でない矩形波は、3次グループの高調波を含む矩形波である。Lqを上げるため、3次グループの高調波電流となる成分で最大のAm・sin3ωtの位相を1次成分から+60度ずらす必要がある。その条件は、アークレシオθa<120[degE]である。しかし、複数のティースの足し合わせにより、基本波の0〜180[degE]の範囲での3次高調波成分の磁束成分は、NSが逆になるため(図21及び図22参照)、アークレシオθa>120[degE]がLq上昇の要件となる。即ち、本発明の数値限定の範囲は、アークレシオθa>120[degE]でΔ結線とすることである。
実施形態3のステータ巻線35は、図23の回路構成図に示すように、スター結線とデルタ結線とに切り替え可能に構成されている。即ち、ステータ巻線35を構成する三相の相巻線U,V,Wは、それぞれの一端が第1インバータ54の各出力端子U1,V1,W1に接続され、それぞれの他端が第2インバータ55の各出力端子U2,V2,W2に接続され、さらに、相巻線U,V,Wのそれぞれの一端は、6個のダイオードDで構成される三相全波整流器56の入力端子R,S,Tに接続されている。
第1インバータ54及び第2インバータ55は、それぞれのDC端子54a,54b及びDC端子55a,55bが、直流電源である車両電池Bに接続され、DC端子54a,54b及び55a,55b間で、各相毎に直列に接続された一対のスイッチング素子Trをオン・オフすることにより転流動作を制御する周知の三相電圧形インバータである。
三相全波整流器56には、正端子56aと負端子56bとの間を短絡する短絡回路57が接続され、この短絡回路57に半導体スイッチ58が設けられている。なお、第1インバータ54と第2インバータ55の動作、及び、半導体スイッチ58の開閉動作は、ロータ20の回転位置を検出する図示しない位置センサの情報に基づいて、図示しないECU(電子制御装置)により制御される。
次に、回転電機1の作動について説明する。
(a)スター結線作動モード
例えば、回転電機を高速回転域で駆動する場合は、半導体スイッチ58をオンすると共に、第1インバータ54を常時オフした状態で第2インバータ55を作動させる。この場合、半導体スイッチ58がオンすることで、三相全波整流器56の正端子56a,56b間が短絡するため、相巻線U,V,Wの各一端が結線されて中性点を形成する。即ち、相巻線U,V,Wの一端が結線されて中性点を形成し、相巻線U,V,Wの他端がインバータに接続される、一般的なスター結線の三相モータと同様の回路構成となる。
ECUは、第2インバータ55を構成する三組の上下スイッチング素子Trに対し、例えば、180度通電で互いに120度位相をずらしてオン・オフ制御する。これにより、スター結線の如く、相巻線U,V,Wの各線間に対して電源電圧が印加されるので、直列導体数√3・M(M=1相当たりの直列導体数)の多巻線仕様の電動機として作動する。
(b)デルタ結線作動モード
例えば、回転電機を低速回転域で駆動する場合は、半導体スイッチ58をオフした状態で、第1インバータ54と第2インバータ55とを同期して作動させる。この場合、半導体スイッチ58がオフすることで、三相全波整流器56の正端子56a,56b間が開放されるため、相巻線U,V,Wの各一端が中性点として結線されることはなく、等価的にデルタ結線と同様の回路構成となる。
ECUは、第1インバータ54を構成する三組の上下スイッチング素子Trと、第2インバータ55を構成する三組の上下スイッチング素子Trに対し、例えば、180度通電で互いに120度位相をずらしてオンオフ制御する。これにより、デルタ結線の如く、相巻線U,V,Wにそのまま電源電圧が印加されるので、直列導体数Mの少巻線仕様の電動機として作動する。
そして、駆動装置50は、ロータ20の発生する磁石トルクがリラクタンストルクよりも小さくなる所定の高トルク領域では、デルタ結線作動モードに切り替えられたステータ巻線35に対して電流を供給する。これにより、磁石磁束Ψを多く出力させることができる。その結果、駆動装置50からの供給電流の平均値が低下し、省電流化することができるので、高トルク領域での高効率化を図ることが可能となる。なお、磁石トルクがリラクタンストルクよりも小さくなる所定の高トルク領域は、上記の実施形態1と同じであるので詳しい説明は省略する。
以上のように、実施形態3の回転電機駆動システムによれば、ステータ巻線35は、スター結線とデルタ結線とに切り替え可能に構成され、駆動装置50は、ロータ20の発生する磁石トルクがリラクタンストルクよりも小さくなる所定の高トルク領域では、デルタ結線に切り替えられたステータ巻線35に対して電流を供給するようにしている。これにより、駆動装置50からの供給電流の平均値が低下し、省電流化することができるので、所定の高トルク領域での効率を向上させることができる等、実施形態1と同様の作用・効果を得ることができる。また、前記特許文献1の場合に比べて、磁石磁束Ψが上がり、同トルク時の電流が低下するので、鉄損や銅損を低減させることができる。
また、実施形態3では、各磁極のアークレシオθaが、電気角で120度以上に設定されているので、3次グループのうちの1つ又は2以上が合成された高調波波形である上記の特定高調波波形の電流を発生させることができる。これにより、実施形態1のような駆動装置50の電流制御を用いることなく、大トルク化による高効率化を実現することができる。また、実施形態3の場合には、実施形態1のようにインバータ40の電流制御により高効率化を図る場合に比べて、より良好な効率向上が望める。
〔変形例1〕
実施形態3において、アークレシオθaを規定する直線L1,L2が通る交点P1,P2は、ロータコア21の構造によって変化する。図24及び図25に示す変形例1の場合には、第1フラックスバリア25の形状が実施形態3のものと異なる。この場合、直線L1が通る交点P1は、磁石収容孔22の外周側壁面から第1フラックスバリア25に延長した延長壁面22aとブリッジ28の内周側壁面28aとが交わる交点である。また、直線L2が通る交点P2は、磁石収容孔22の外周側壁面から第1フラックスバリア25に延長した延長壁面22aとブリッジ28の内周側壁面28aとが交わる交点である。
〔変形例2〕
図26に示す変形例2は、ロータコア21の外周面の磁極と対応する部位に、径方向外側に突出する凸部が設けられているものである。この凸部は、外周面21aと、外周面21aの周方向両端に向かって立ち上がる一対の傾斜面21bにより区画されている。この場合、直線L1が通る交点P1は、一方の傾斜面21bと外周面21aとが交わる交点であり、直線L2が通る交点P2は、他方の傾斜面21bと外周面21aとが交わる交点である。この2本の直線L1,L2によってアークレシオθaが規定される。なお、変形例2のロータ20は、各磁極に、永久磁石23が1つずつ配置されているタイプのものである。
〔変形例3〕
図27に示す変形例3は、各磁極に一対の永久磁石23が配置されている点で変形例2と異なり、ロータコア21の外周面の磁極と対応する部位に、径方向外側に突出する凸部が設けられている点は変形例2と共通している。変形例3の場合、アークレシオθaを規定する直線L1,L2が通る交点P1,P2は、変形例2と同じであるので詳しい説明は省略する。
〔実施形態4〕
実施形態4の回転電機駆動システムは、ステータコア31の各ティース33の突出先端部に、周方向両側へそれぞれ突出する突出部33aが設けられている点で、実施形態3のものと異なり、その他の構成は同じである。よって、実施形態3と共通する要素については、同じ符号を付して詳しい説明は省略し、以下、異なる点及び重要な点について図28、図29及び図30を参照して説明する。
実施形態4では、ステータコア31の各ティース33の突出先端部に、周方向両側へそれぞれ突出する突出部33aが設けられている。これにより、各ティース33のT字形状となった突出先端部の周方向幅αが拡張されている。そして、実施形態4では、ティース33の突出先端部の周方向幅を電気角でαとし、ロータ20から出る磁束を受けているティース33の周方向範囲を電気角でθxとし、永久磁石23のアークレシオを電気角でθaとしたときに、θx=θa+α≧120度を満たすようにされている。
この場合には、ロータ20からの磁石磁束を広範囲に拾えるため、ティース33の鎖交磁束がなだらかに上昇する。そのため、アークレシオθa=120度としても、磁石磁束を広範囲に集め、磁束幅θa+αの台形波に近い形状になり、この矩形波ではない磁束形状が3次グループの高調波電流を作り得る。この時、ロータ20から出る磁束を受けているティース33の電気角範囲θxは、θa+αに広がるため、電気角範囲θxをθa+αに置き換えると、狙いの3次グループの高調波電流を起こし易い。
なお、この現象のため、本発明は突出部33aを有するティース33の磁路が短い方が磁束をコントロールし易いので好ましい形状となる。その他、磁石をネオジウム、サマリウム、アルニコなどの高Br材としたり、磁束の大小をコントロールできる電磁石式、又は磁石と電磁石の併用式としたりして、ティース33の突出先端のT字形状部分を磁束飽和させることで、狙い通りの3次グループの高調波電流を起こすことが可能となる。
また、飽和する条件は、電磁石又は磁石磁束密度Bd[T]×磁石面積Amag[mm]>ステータ30の飽和磁束密度Bs[T]×ステータ面積Ast[mm]となる。この条件を満たせない場合は、電気角範囲θxを、対向面の鉄心ではなく、鉄心角度θa+スロット角度αとして扱う。この条件を満たせない状況としては、ステータコア31にパーメンジュールを利用したり、磁石に残留磁束密度Br[T]の低いフェライト磁石を使用したり、電磁石の励磁電流が少ない場合、残留磁束密度Br[T]が高くても、発生磁束量を、フェライト磁石同等となるように使用量を抑えて設計した場合、などが挙げられる。
以上のように、実施形態4の回転電機駆動システムによれば、駆動装置50は、ロータ20の発生する磁石トルクがリラクタンストルクよりも小さくなる所定の高トルク領域では、デルタ結線に切り替えられたステータ巻線35に対して電流を供給するようにしていることから、所定の高トルク領域での効率を向上させることができる等、実施形態3と同様の作用・効果を得ることができる。
また、実施形態4では、ロータ20から出る磁束を受けているティース33の電気角範囲θxは、θx=θa+α≧120度を満たすようにされている。これにより、電気角範囲θxを、θa+αに広げることができるため、狙いの3次グループの特定高調波波形の電流を容易に起こすことが可能となる。
〔実施形態5〕
実施形態5の回転電機駆動システムは、ロータ20の各磁極に、アークレシオθaが電気角で120度未満に設定された第1磁石23Aと、第1磁石23Aのステータ30側に配置されてアークレシオθaよりも小さいアークレシオθbに設定された第2磁石29とが径方向に重なって配置されている点で、実施形態4のものと異なり、その他の構成は同じである。よって、実施形態4と共通する要素については、同じ符号を付して詳しい説明は省略し、以下、異なる点及び重要な点について図31を参照して説明する。
実施形態5のロータ20は、周方向に極性が交互に異なる複数の磁極を有し、各磁極には、第1磁石23Aと第2磁石29とが径方向に重なった状態に配置されている。第1磁石23Aは、実施形態4と同じV字状に配置された一対の永久磁石23により構成されている。但し、第1磁石23Aのアークレシオθaは、実施形態4のアークレシオθaの範囲外となる、電気角で120度未満に設定されている。
第2磁石29は、第1磁石23Aのステータ30側(径方向外側)の磁極中心線C1上に設けられた磁石収容孔29aに収容されている。この第2磁石29のアークレシオθbは、第1磁石23Aのアークレシオθaよりも小さくされている。また、第2磁石29は、磁極中心線C1に対して線対称となる位置に配置されている。
上記のように構成された実施形態5の場合には、アークレシオθaの第1磁石23Aとアークレシオθbの第2磁石29とが径方向に重なった状態に配置されていることによって、アークレシオθaとアークレシオθbが重なった範囲において位相が反転する。これにより、アークレシオθaが120度未満に小さくなった場合であっても、3次グループのうちの1つ又は2以上が合成された高調波波形である上記の特定高調波波形の電流を発生させることが可能となる。
以上のように、実施形態5の回転電機駆動システムによれば、駆動装置50は、ロータ20の発生する磁石トルクがリラクタンストルクよりも小さくなる所定の高トルク領域では、デルタ結線に切り替えられたステータ巻線35に対して電流を供給するようにしていることから、所定の高トルク領域での効率を向上させることができる等、実施形態3と同様の作用・効果を得ることができる。
また、実施形態5では、ロータ20の各磁極には、アークレシオθaが電気角で120度未満に設定された第1磁石23Aと、第1磁石23Aのステータ30側に配置されてアークレシオθaよりも小さいアークレシオθbに設定された第2磁石29とが径方向に重なった状態に配置されている。これにより、第1磁石23Aのアークレシオθaが120度未満であっても、3次グループのうちの1つ又は2以上が合成された高調波波形である上記の特定高調波波形の電流を発生させることができる。
なお、実施形態5では、第2磁石29は、各磁極に1つずつ配置された永久磁石により構成されているが、第1磁石23Aのように、V字状に配置された一対の永久磁石で構成してもよい。
〔比較例1〕
図32に示す比較例1のように、第2磁石29が第1磁石23Aの反ステータ30側(径方向内側)に配置されている場合には、第1磁石23Aのアークレシオθaが120度未満に設定され、第2磁石29のアークレシオθbがアークレシオθaよりも小さく設定されていても、上記実施形態5のような位相の反転は発生しない。
〔他の実施形態〕
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更することが可能である。
例えば、上記の実施形態では、本発明の回転電機駆動システムを車両用モータに適用した例を説明したが、車両に搭載されて電動機や発電機として使用される回転電機、あるいは両者を選択的に使用し得る回転電機にも、本発明を適用することができる。また、上記の実施形態では、本発明をインナーロータ型の回転電機に適用した例を説明したが、これに代えて、アウタロータ型の回転電機に本発明を適用してもよい。
1…車両用電動機(回転電機)、 20…ロータ、 23…永久磁石、 23A…第1磁石、 29…第2磁石、 30…ステータ、 31…ステータコア、 33…ティース、 33a…突出部、 34…スロット、 35…ステータ巻線、 U,V,W…相巻線、 40…インバータ(駆動装置)、 50…駆動装置。

Claims (5)

  1. ステータコア(31)に3相の相巻線(U,V,W)よりなるステータ巻線(35)が巻装されたステータ(30)、及び磁石トルクとリラクタンストルクを発生するロータ(20)を有する回転電機(1)と、前記ステータ巻線に電流を供給して前記回転電機を駆動する駆動装置(40)と、を備えた回転電機駆動システムにおいて、
    前記ステータ巻線は、スター結線とデルタ結線とに切り替え可能に構成され、
    前記駆動装置は、前記ロータの発生する磁石トルクがリラクタンストルクよりも小さくなる所定の高トルク領域では、前記デルタ結線に切り替えられた前記ステータ巻線に対して電流を供給する回転電機駆動システム。
  2. 前記所定の高トルク領域は、トルクをTとし、極対数をpとし、磁石磁束をΨとし、q軸電流をIqとし、d軸電流をIdとし、q軸インダクタンスをLqとし、d軸インダクタンスをLdとしたときに、下記の式1
    T=pΨIq+p(Ld−Lq)IdIq ……… 式1
    に基づいて設定される請求項1に記載の回転電機駆動システム。
  3. 前記ロータは、周方向に極性が交互に異なる複数の磁極を形成する複数の永久磁石(23)を有し、
    前記永久磁石から磁束が径方向に流れる範囲を示す角度であるアークレシオθaは、3次及び3+6n次(nは1以上の自然数)のうちの1つ又は2以上が合成された高調波波形であって、1次波形が正の値をとる時の電流の総和が負であり、前記1次波形が負の値をとる時の電流の総和が正である特定高調波波形を発生させるように電気角で120度以上に設定されている請求項1〜の何れか一項に記載の回転電機駆動システム。
  4. 前記ロータは、周方向に極性が交互に異なる複数の磁極を形成する複数の永久磁石(23)を有し、
    前記ステータコアは、前記ロータに向かって径方向へ突出し周方向に所定距離を隔てて配列された複数のティース(33)を有し、前記ティースの突出先端部には、周方向両側へそれぞれ突出する突出部(33a)が設けられ、前記ティースの突出先端部の周方向幅を電気角でαとし、前記ロータから出る磁束を受けている前記ティースの周方向範囲を電気角でθxとし、前記永久磁石から磁束が径方向に流れる範囲を示す角度であるアークレシオを電気角でθaとしたときに、θx=θa+α≧120度を満たすようにされている請求項1〜の何れか一項に記載の回転電機駆動システム。
  5. 前記ロータは、周方向に極性が交互に異なる複数の磁極を形成する複数の永久磁石(23,29)を有し、
    各前記磁極には、前記永久磁石から磁束が径方向に流れる範囲を示す角度であるアークレシオθaが電気角で120度未満に設定された第1磁石(23A)と、前記第1磁石の前記ステータ側に配置されて前記アークレシオθaよりも小さいアークレシオθbに設定された第2磁石(29)とが径方向に重なって配置されている請求項1〜の何れか一項に記載の回転電機駆動システム。
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