以下、本発明の一実施形態に係る光走査装置及び画像形成装置について図面に基づいて説明する。なお、以下では、方向関係についてはXYZ直交座標軸を用いて説明する。X方向が左右方向(+Xが右、−Xが左)、Y方向が前後方向(+Yが前、−Yが後)、Z方向が上下方向(+Zが上、−Zが下)に各々相当する。また、以下の説明において、「シート」との用語は、コピー用紙、コート紙、OHPシート、厚紙、葉書、トレーシングペーパーや画像形成処理を受ける他のシート材料或いは画像形成処理以外の任意の処理を受けるシート材料を意味する。
[画像形成装置の全体構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る光走査装置323を備えた画像形成装置1を概略的に示す図である。ここでは、画像形成装置1として複写機を例示するが、画像形成装置は、プリンター、ファクシミリ装置、或いは、これらの機能を備える複合機であってもよい。
画像形成装置1は、略直方体形状の筐体構造を有する装置本体10と、装置本体10上に配置される自動原稿給送装置20とを備える。装置本体10の内部には、スキャナ装置25と、シートにトナー像を形成する画像形成部30と、前記トナー像をシートに定着させる定着部60と、画像形成部30へ搬送されるシートを貯留する給紙部40と、シートを給紙部40から画像形成部30及び定着部60を経由してシート排出口10Eまで搬送する搬送経路50とが収容されている。
自動原稿給送装置20は、装置本体10の上面に回動自在に取り付けられている。自動原稿給送装置20は、装置本体10における所定の原稿読取位置(第1コンタクトガラス241が組み付けられた位置)に向けて、複写される原稿シートを自動給送する。一方、ユーザーが手置きで原稿シートを所定の原稿読取位置(第2コンタクトガラス242の配置位置)に載置する場合は、自動原稿給送装置20は上方に開かれる。自動原稿給送装置20は、原稿シートが載置される原稿トレイ21と、自動原稿読取位置を経由して原稿シートを搬送する原稿搬送部22と、読取後の原稿シートが排出される原稿排出トレイ23とを含む。
スキャナ装置25は、装置本体10の上面の自動原稿給送装置20から自動給送される原稿シートの読取用の第1コンタクトガラス241、又は手置きされる原稿シートの読取用の第2コンタクトガラス242を通して、原稿シートの画像を光学的に読み取る。スキャナ装置25内には、光源、移動キャリッジ、反射ミラー等を含む走査機構と、撮像素子とが収容されている(図略)。走査機構は、原稿シートに光を照射し、その反射光を撮像素子に導く。撮像素子は、前記反射光をアナログ電気信号に光電変換する。前記アナログ電気信号は、A/D変換回路でデジタル電気信号に変換された後、画像形成部30に入力される。また、スキャナ装置25は、後述の光走査装置323の一部を構成し、第1コンタクトガラス241又は第2コンタクトガラス242を通して、シートに形成された画像の濃度を検出可能に構成されている。
画像形成部30は、フルカラーのトナー画像を生成しこれをシート上に転写する処理を行うもので、タンデムに配置されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(Bk)の各トナー像を形成する4つのユニット32Y、32M、32C、32Bkを含む画像形成ユニット32と、該画像形成ユニット32の上に隣接して配置された中間転写ユニット33と、中間転写ユニット33上に配置されたトナー補給部34とを含む。
各画像形成ユニット32Y、32M、32C、32Bkは、感光体ドラム321(像担持体)と、この感光体ドラム321の周囲に配置された、帯電器322、光走査装置323、現像装置324、一次転写ローラー325及びクリーニング装置326とを含む。
感光体ドラム321は、Y方向(前後方向)に延びる円筒体からなり、その軸回りに回転し、静電潜像及びトナー像を担持する周面(ドラム周面)を有する。なお、以下の説明において、各画像形成ユニット32Y、32C、32M、32Bkに備えられる感光体ドラム321を特に説明する場合には、画像形成ユニット32Yに備えられる感光体ドラムを「第1感光体ドラム321Y」と称し、画像形成ユニット32Cに備えられる感光体ドラムを「第2感光体ドラム321C」と称し、画像形成ユニット32Mに備えられる感光体ドラムを「第3感光体ドラム321M」と称し、画像形成ユニット32Bkに備えられる感光体ドラムを「第4感光体ドラム321Bk」と称する。
帯電器322は、感光体ドラム321のドラム周面を均一に帯電させる。現像装置324は、感光体ドラム321上に形成された静電潜像を現像するために、感光体ドラム321のドラム周面にトナーを供給する。一次転写ローラー325は、中間転写ユニット33に備えられている中間転写ベルト331を挟んで感光体ドラム321とニップ部を形成し、感光体ドラム321上のトナー像を中間転写ベルト331上に一次転写する。クリーニング装置326は、クリーニングローラー等を有し、トナー像転写後の感光体ドラム321の周面を清掃する。
光走査装置323は、感光体ドラム321のドラム周面上に静電潜像を形成する。本実施形態の光走査装置323は、各色用に準備された複数の光源を有する入射光学系と、これら光源から発せられた光ビームを偏向する光偏向部と、光偏向部により偏向された光ビームを各色の感光体ドラム21のドラム周面に結像及び走査させる結像光学系とを含む。この光走査装置323については、後記で詳述する。
中間転写ユニット33は、中間転写ベルト331、駆動ローラー332、従動ローラー333及びテンションローラー334を備える。中間転写ベルト331は、これらローラー332、333、334及び上述の一次転写ローラー325に架け渡された無端ベルトである。中間転写ベルト331の外周面には、複数の感光体ドラム321からトナー像が、同一箇所に重ねて転写される(一次転写)。
駆動ローラー332の周面に対向して、二次転写ローラー35が配置されている。駆動ローラー332と二次転写ローラー35とのニップ部は、中間転写ベルト331に重ね塗りされたフルカラーのトナー像をシートに転写する二次転写部35Aとなる。駆動ローラー332又は二次転写ローラー35のいずれか一方のローラーに、トナー像と逆極性の二次転写バイアス電位が印加され、他方のローラーは接地される。なお、従動ローラー333は、中間転写ベルト331の周回に応じて従動するローラー、テンションローラー334は中間転写ベルト331に所定の張力を付与するローラーである。
トナー補給部34は、イエロー用トナーコンテナ34Y、マゼンタ用トナーコンテナ34M、シアン用トナーコンテナ34C、及びブラック用トナーコンテナ34Bkを含む。これらトナーコンテナ34Y、34C、34M、34Bkは、それぞれ各色のトナーを貯留するものであり、YMCBk各色に対応する画像形成ユニット32Y、32M、32C、32Bkの現像装置324に、図略の供給経路を通して各色のトナーを補給する。
給紙部40は、画像形成処理が施されるシートを収容する2段の給紙カセット40A、40Bを備える。これら給紙カセット40A、40Bは、装置本体10の前方から手前方向に引出可能である。給紙カセット40A、40Bは、自動給紙用に設けられたカセットであるが、装置本体10の右側面10Rには、手差し給紙用の給紙トレイ46も設けられている。
給紙カセット40A(40B)は、複数のシートが積層されてなるシート束を収納するシート収容部41と、前記シート束を給紙のためにリフトアップするリフト板42とを備える。給紙カセット40A(40B)の右端側の上部には、ピックアップローラー43と、給紙ローラー44とリタードローラー45とのローラー対とが配置されている。ピックアップローラー43及び給紙ローラー44の駆動により、給紙カセット40A内のシート束の最上層のシートが1枚ずつ繰り出され、搬送経路50の上流端へ搬入される。一方、給紙トレイ46に載置されたシートは、同様にピックアップローラー461及び給紙ローラー462の駆動によって、搬送経路50へ搬入される。
搬送経路50は、給紙部40から画像形成部30を経由して定着部60の出口までシートを搬送する主搬送路50Aと、シートに対して両面印刷を行う場合に片面印刷されたシートを画像形成部30に戻すための反転搬送路50Bと、主搬送路50Aの下流端から反転搬送路50Bの上流端へシートを向かわせるためのスイッチバック搬送路50Cと、主搬送路50Aの下流端から装置本体10の左側面10Lに設けられたシート排出口10Eまでシートを水平方向に搬送する水平搬送路50Dとを含む。
主搬送路50Aの、二次転写部35Aよりも上流側には、レジストローラー対51が配置されている。シートは、停止状態のレジストローラー対51にて一旦停止され、スキュー矯正が行われる。その後、画像転写のための所定のタイミングで、レジストローラー対51が駆動モーター(図略)で回転駆動されることで、シートは二次転写部35Aに送り出される。この他、主搬送路50Aには、シートを搬送するための搬送ローラー52が複数配置されている。他の搬送路50B、50C、50Dも同様である。
搬送経路50の最下流端には、排紙ローラー53を備えた排紙ユニット530が配置されている。排紙ローラー53は、装置本体10の左側面10Lに配置される図略の後処理装置に、シート排出口10Eを通してシートを送り込む。なお、後処理装置が取り付けられない画像形成装置では、シート排出口10Eの下方にシート排出トレイが設けられる。
定着部60は、シートにトナー像を定着させる定着処理を施す定着装置であって、加熱ローラー61、定着ローラー62、加圧ローラー63、定着ベルト64、誘導加熱ユニット65及び搬送ローラー対66を含む。定着ローラー62に対して加圧ローラー63が圧接され、定着ニップ部が形成されている。加熱ローラー61及び定着ベルト64は誘導加熱ユニット65によって誘導加熱され、その熱を前記定着ニップ部に与える。シートが定着ニップ部を通過することで、シートに転写されたトナー像が当該シートに定着される。
[光走査装置の詳細構成]
次に、光走査装置323の構成について、図1に加えて図2乃至図5を参照して詳細に説明する。図2は、光走査装置323の副走査断面の構成を示す光路図である。図3は、光走査装置323の内部構成を模式的に示す斜視図である。図4は、光走査装置323による感光体ドラム321の露光態様を説明するための模式的な斜視図である。図5は、光走査装置323に備えられる光源71を示す斜視図である。
光走査装置323は、イエロー画像描画用のレーザー光ビームであるイエロー光ビームLY、シアン画像描画用のレーザー光ビームであるシアン光ビームLC、マゼンタ画像描画用のレーザー光ビームであるマゼンタ光ビームLM、及び、ブラック画像描画用のレーザー光ビームであるブラック光ビームLBkにて各々、イエロー用の第1感光体ドラム321Y、シアン用の第2感光体ドラム321C、マゼンタ用の第3感光体ドラム321M及びブラック用の第4感光体ドラム321Bkのドラム周面3211を、主走査方向D1に走査し、当該ドラム周面3211に静電潜像を形成する。なお、光走査装置323による感光体ドラム321に対する走査の主走査方向D1は、感光体ドラム321が延びる軸方向となるY方向(前後方向)と一致する方向である。
光走査装置323は、各色の光ビームの光路に各々配置される入射光学系70、4色で共用される1つの光偏向部80、及び結像光学系90と、これらを収容する光学ハウジング100とを含んで構成される。
入射光学系70は、光学ハウジング100内に収容され、各色の光ビームを後述の光偏向部80を構成するポリゴンミラー82の偏向面821に入射させるための光学系である。入射光学系70は、光源71と、コリメータレンズ72と、シリンドリカルレンズ73とを含む。
光源71は、ポリゴンミラー82の偏向面821に照射する複数の光ビームを出射するマルチビーム方式の光源である。図5に示すように、光源71は、円柱状のプラグ部材711の先端面711Aに、光ビームを出射するレーザーダイオード(LD)からなる4個の発光部LD1、LD2、LD3、LD4が所定の配列方向D3に一定の主走査ピッチP1及び副走査ピッチP2を有して配列されてなる、モノリシックマルチレーザーダイオードである。本実施形態では、4個の発光部を備えたモノリシックマルチレーザーダイオードを例に説明するが、同一チップ上に発光部が2個以上配置されているモノリシックマルチレーザーダイオードであればよい。
図3を参照して、コリメータレンズ72は、光源71の各発光部LD1、LD2、LD3、LD4から出射されて拡散する光ビームを平行光に変換するレンズである。シリンドリカルレンズ73は、コリメータレンズ72による平行光を主走査方向D1に長い線状光に変換してポリゴンミラー82の偏向面821に結像させるレンズである。
図2乃至図4を参照して、光偏向部80は、光学ハウジング100内に収容され、コリメータレンズ72により結像された光ビームを反射して偏向走査するもので、ポリゴンモーター81とポリゴンミラー82とを備える。ポリゴンモーター81は、モーター本体811と回転軸812とを含む。ポリゴンモーター81において回転軸812は、モーター本体811から突出してZ方向(上下方向)に延びる軸部である。ポリゴンモーター81は、モーター本体811に駆動電流が入力されると、回転軸812が軸心回りに回転するように構成されている。
ポリゴンミラー82は、正六角形の各辺に沿って6つの偏向面821が形成された多面鏡である。ポリゴンミラー82において、偏向面821には、光源71の各発光部LD1、LD2、LD3、LD4から出射され、コリメータレンズ72及びシリンドリカルレンズ73を通過した各光ビームLB−1、LB−2、LB−3、LB−4が照射される。ポリゴンミラー82は、回転軸812に回転一体に設けられ、回転軸812の回転に連動して当該回転軸812回りに矢印R2方向に回転しつつ、偏向面821に照射される各光ビームLB−1、LB−2、LB−3、LB−4を反射して偏向走査させる。このポリゴンミラー82により偏向走査された各光ビームLB−1、LB−2、LB−3、LB−4にて、感光体ドラム321のドラム周面3211を主走査方向D1に走査することができる。
結像光学系90は、光学ハウジング100内に収容され、ポリゴンミラー82により偏向走査された各光ビームLB−1、LB−2、LB−3、LB−4を、感光体ドラム321のドラム周面3211に結像及び走査させる。図2に示すように、結像光学系90は、第1走査レンズ91と、第2走査レンズ92Y、92C、92M、92Bkと、イエロー光ビームLYを反射させるイエロー用反射ミラー93Y1、93Y2と、シアン光ビームLCを反射させるシアン用反射ミラー93C1、93C2と、マゼンタ光ビームLMを反射させるマゼンタ用反射ミラー93M1、93M2、93M3と、ブラック光ビームLBkを反射させるブラック用反射ミラー93Bkと、を含む。
第1走査レンズ91は、入射光ビームの角度と像高とが比例関係となる歪曲収差(fθ特性)を有するレンズであって、主走査方向D1に沿って延びる長尺のレンズである。第1走査レンズ91は、光学ハウジング100内において、ポリゴンミラー82の偏向面821に対向するように配置されている。第1走査レンズ91は、ポリゴンミラー82の偏向面821によって反射された各光ビームLB−1、LB−2、LB−3、LB−4を集光する。
第2走査レンズ92Y、92C、92M、92Bkはそれぞれ、第1走査レンズ91と同様に、歪曲収差(fθ特性)を有するレンズであって、主走査方向D1に沿って延びる長尺のレンズである。第2走査レンズ92Yは、第1走査レンズ91を通過したイエロー光ビームLYを集光し、第1感光体ドラム321Yのドラム周面3211上に結像させる。第2走査レンズ92Cは、第1走査レンズ91を通過したシアン光ビームLCを集光し、第2感光体ドラム321Cのドラム周面3211上に結像させる。第2走査レンズ92Mは、第1走査レンズ91を通過したマゼンタ光ビームLMを集光し、第3感光体ドラム321Mのドラム周面3211上に結像させる。第2走査レンズ92Bkは、第1走査レンズ91を通過したブラック光ビームLBkを集光し、第4感光体ドラム321Bkのドラム周面3211上に結像させる。なお、第2走査レンズ92Y、92C、92M、92Bkは、同一の構成を有するため、第2走査レンズ92と総称することもあり、図3ではその総称の第2走査レンズ92を示している。
イエロー用反射ミラー93Y1、93Y2は、第1走査レンズ91を通過したイエロー光ビームLYの結像光路上において、イエロー光ビームLYを反射させる。シアン用反射ミラー93C1、93C2は、第1走査レンズ91を通過したシアン光ビームLCの結像光路上において、シアン光ビームLCを反射させる。マゼンタ用反射ミラー93M1、93M2、93M3は、第1走査レンズ91を通過したマゼンタ光ビームLMの結像光路上において、マゼンタ光ビームLMを反射させる。ブラック用反射ミラー93Bkは、第1走査レンズ91を通過したブラック光ビームLBkの結像光路上において、ブラック光ビームLBkを反射させる。なお、イエロー用反射ミラー93Y1、93Y2と、シアン用反射ミラー93C1、93C2と、マゼンタ用反射ミラー93M1、93M2、93M3と、ブラック用反射ミラー93Bkとは、同一の構成を有するため、反射ミラー93と総称することもあり、図3ではその総称の反射ミラー93を示している。
図2を参照して、ポリゴンミラー82の偏向面821によって反射されたイエロー光ビームLYは、第1走査レンズ91にて集光された後、イエロー用反射ミラー93Y1にて反射されて第2走査レンズ92Yを通過し、その後イエロー用反射ミラー93Y2にて反射されて第1感光体ドラム321Yのドラム周面3211上に結像される。ポリゴンミラー82の偏向面821によって反射されたシアン光ビームLCは、第1走査レンズ91にて集光された後、シアン用反射ミラー93C1にて反射されて第2走査レンズ92Cを通過し、その後シアン用反射ミラー93C2にて反射されて第2感光体ドラム321Cのドラム周面3211上に結像される。ポリゴンミラー82の偏向面821によって反射されたマゼンタ光ビームLMは、第1走査レンズ91にて集光された後、マゼンタ用反射ミラー93M1、93M2にて反射されて第2走査レンズ92Mを通過し、その後マゼンタ用反射ミラー93M3にて反射されて第3感光体ドラム321Mのドラム周面3211上に結像される。ポリゴンミラー82の偏向面821によって反射されたブラック光ビームLBkは、第1走査レンズ91及び第2走査レンズ92Bkにて集光された後、ブラック用反射ミラー93Bkにて反射されて第4感光体ドラム321Bkのドラム周面3211上に結像される。
また、本実施形態の光走査装置323は、図3に示すように、第1集光レンズ94A及び第2集光レンズ94Bと、第1BD(Beam Detect)センサ95A及び第2BD(Beam Detect)センサ95Bと、を備える。
第1集光レンズ94A及び第2集光レンズ94Bは、ポリゴンミラー82による感光体ドラム321のドラム周面3211に対する有効走査領域の範囲外の光路上に設置され、ポリゴンミラー82の偏向面821によって反射された各光ビームLB−1、LB−2、LB−3、LB−4を、第1BDセンサ95A及び第2BDセンサ95Bに結像させるレンズである。
第1BDセンサ95A及び第2BDセンサ95Bは、感光体ドラム321のドラム周面3211に対して、基準発光部となる発光部LD1による光ビームLB−1の照射を開始させるタイミングである書き出しタイミングの同期を取るために、光ビームLB−1を検出する。基準発光部である発光部LD1以外の残余発光部となる発光部LD2、LD3、LD4については、発光部LD1に対する各発光部LD2、LD3、LD4の発光開始タイミングが、主走査ピッチP1に応じて設定されている。この発光開始タイミングの詳細については、後述する。各発光部LD1、LD2、LD3、LD4から出射される各光ビームLB−1、LB−2、LB−3、LB−4による、感光体ドラム321のドラム周面3211に対する主走査方向D1に沿った走査によって描画される主走査ラインSLについて、第1BDセンサ95Aは走査開始側に配置され、第2BDセンサ95Bは走査終了側に配置されている。第1BDセンサ95A及び第2BDセンサ95Bは、フォトダイオード等からなり、光ビームLB−1を検知していないときはハイレベルの信号を出力し、光ビームLB−1がその受光面を通過している間はローレベルの信号を出力する。
図4に示すように、光源71の各発光部LD1、LD2、LD3、LD4から4本の各光ビームLB−1、LB−2、LB−3、LB−4が、ポリゴンミラー82の偏向面821に向けて出射される。ポリゴンミラー82は、ポリゴンモーター81によって回転軸812回りに矢印R2の方向に高速回転する。あるタイミングでは、4本の各光ビームLB−1、LB−2、LB−3、LB−4は、ポリゴンミラー82の1つの偏向面821に照射され、当該偏向面821で感光体ドラム321のドラム周面3211へ向かう方向に屈折反射される。ポリゴンミラー82の回転に伴い、4本の各光ビームLB−1、LB−2、LB−3、LB−4は、感光体ドラム321のドラム周面3211を主走査方向D1に沿って走査する。これにより、感光体ドラム321のドラム周面3211には、4本の主走査ラインSLが描画される。各光ビームLB−1、LB−2、LB−3、LB−4は、スキャナ装置25によって入力された画像データに応じて変調されているので、画像データに応じた静電潜像が感光体ドラム321のドラム周面3211に形成されることになる。
ここで、光源71において、4個の各発光部LD1、LD2、LD3、LD4は、前述のように、主走査ピッチP1及び副走査ピッチP2を有して所定の配列方向D3に沿って配列されている。このため、各発光部LD1、LD2、LD3、LD4が同一の発光開始タイミングで発光された場合、各光ビームLB−1、LB−2、LB−3、LB−4の感光体ドラム321のドラム周面3211上におけるビームスポットの位置は、主走査ピッチP1に応じて主走査方向D1に異なる位置となり、且つ、副走査ピッチP2に応じて副走査方向D2に異なる位置となる。すなわち、4本の各光ビームLB−1、LB−2、LB−3、LB−4は副走査方向D2に、光ビームLB−1、LB−2、LB−3、LB−4の順番で並べられた状態で、主走査方向D1に沿った4本の主走査ラインSLを描画する。従って、各光ビームLB−1、LB−2、LB−3、LB−4に応じた4本の主走査ラインSLの副走査方向D2のビームピッチ、つまり、描画する画像の解像度(dpi)は、4個の各発光部LD1、LD2、LD3、LD4の副走査ピッチP2に依存することになる。なお、副走査方向D2は、主走査方向D1に直交する方向であり、感光体ドラム321の回転方向R1に沿った方向となる。
各光ビームLB−1、LB−2、LB−3、LB−4に応じた4本の主走査ラインSLの副走査方向D2のビームピッチは、光源71を回転させることにより調整することができる。詳しくは、プラグ部材711の先端面711Aに対する法線のうち中央を通る法線Sを回転軸として、矢印R3の方向に光源71を回転させることにより、4個の各発光部LD1、LD2、LD3、LD4の副走査ピッチP2を見かけ上変更することができる。すなわち、法線Sの軸回りに時計方向に光源71を回転させると、4本の主走査ラインSLの副走査方向D2のビームピッチが大きくなり、逆に、反時計方向に光源71を回転させると、4本の主走査ラインSLの副走査方向D2のビームピッチが小さくなる。従って、画像の設定解像度に応じたビームピッチは、光源71の回転調整によって得ることができる。
また、上述したように、本実施形態では、画像形成装置1において原稿シートの画像読み取りに用いられるスキャナ装置25は、光走査装置323の一部を構成する。スキャナ装置25は、後述の補正モードにおいてシート上に形成される特定パターンの画像(以下、「パッチ画像」という)の画像濃度に関する濃度関連情報を、後述の制御部200に入力する情報入力部としての機能を有する。補正モードにおいてスキャナ装置25は、第1コンタクトガラス241又は第2コンタクトガラス242を通して、シートに形成されたパッチ画像の画像濃度を検出可能であり、その検出した画像濃度を濃度関連情報として制御部200に入力する。
[画像形成装置の電気的構成について]
次に、画像形成装置1の電気的構成について、図6を参照して説明する。図6は、画像形成装置1の電気的構成を示すブロック図である。画像形成装置1は、当該画像形成装置1の各部の動作を統括的に制御する制御部200と、操作部230とを備える。
制御部200は、CPU(Central Processing Unit)、制御プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)、CPUの作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)等から構成されている。操作部230は、タッチパネル、テンキー、スタートキー及び設定キー等を備え、画像形成装置1に対するユーザーの操作や各種の設定を受け付ける。
制御部200は、CPUがROMに記憶された制御プログラムを実行することにより画像形成装置1の各部を制御し、当該画像形成装置1による画像形成動作を制御する。本実施形態では、制御部200は、光走査制御部210と、画像形成制御部220とを備えている。画像形成制御部220は、主として感光体ドラム321を含む画像形成ユニット32、中間転写ユニット33及び定着部60の動作を制御する。画像形成制御部220の制御には、感光体ドラム321の軸回りの回転動作、帯電器322のオンオフ動作、現像装置324での現像バイアスの印加動作、一次転写ローラー325及び二次転写ローラー35での転写バイアスの印加動作、中間転写ユニット33における中間転写ベルト331の回転動作、定着部60での定着処理動作の制御が含まれる。
光走査制御部210は、光走査装置323の光走査動作を制御する制御部として機能する。光走査制御部210は、記憶部211と、LD駆動制御部212と、ポリゴンミラー駆動制御部213と、モード切替制御部214と、発光タイミング補正制御部215とを含む。
記憶部211は、光源71の各発光部LD1、LD2、LD3、LD4のうちの一の発光部を基準発光部とし、当該基準発光部以外の残余発光部の前記基準発光部に対する、主走査ピッチP1に応じて設定された発光開始タイミングを記憶する。本実施形態では、各発光部LD1、LD2、LD3、LD4のうち、配列方向D3の一方端に配置された発光部LD1が基準発光部として設定され、当該発光部LD1以外の発光部LD2、LD3、LD4が残余発光部として設定されている。記憶部211は、基準発光部である発光部LD1に対する、主走査ピッチP1に応じて設定された発光部LD2、LD3、LD4の各々の発光開始タイミングを記憶する。
光走査装置323には、光源71の各発光部LD1、LD2、LD3、LD4を駆動するドライバーであるLD駆動部71Aが備えられている。LD駆動制御部212は、記憶部211に記憶された、発光部LD1に対する発光部LD2、LD3、LD4の各々の発光開始タイミングを参照し、スキャナ装置25からの画像データに基づく発光制御信号をLD駆動部71Aに与える。LD駆動制御部212により発光制御信号が与えられたLD駆動部71Aは、当該発光制御信号に従って、発光部LD1を発光させて光ビームLB−1を出射させるとともに、各発光部LD2、LD3、LD4を前記発光開始タイミングに基づき発光させて各光ビームLB−2、LB−3、LB−4を出射させる。
また、光走査装置323には、ポリゴンミラー駆動部82Aが備えられている。ポリゴンミラー駆動制御部213は、ポリゴンミラー82を回転動作させるための回転制御信号をポリゴンミラー駆動部82Aに与える。ポリゴンミラー駆動制御部213により回転制御信号が与えられたポリゴンミラー駆動部82Aは、当該回転制御信号に従って、ポリゴンミラー82のポリゴンモーター81による回転動作を制御する。
<光走査装置の光走査動作について>
ここで、光走査装置323の光走査動作について、図7を参照して説明する。図7は、光走査装置323による光走査動作を説明するための図である。図7(A)は、画像データを構成する各画素に対する各発光部LD1、LD2、LD3、LD4の発光動作を説明するための図である。図7(B)は、LD駆動制御部212がLD駆動部71Aに与える発光制御信号の波形図である。また、図7(C)は、発光部LD2、LD3、LD4において設計位置に対して主走査方向D1に位置ずれが発生した状態での、各発光部LD1、LD2、LD3、LD4の発光動作を説明するための図である。
図7(A)では、画素GPa、画素GPb、画素GPc及び画素GPdによって構成される画像データに対応した静電潜像を、感光体ドラム321のドラム周面3211に形成させるときの、各発光部LD1、LD2、LD3、LD4の発光動作が示されている。図7(A)に示す例において、画素GPbは、画素GPaに対して主走査方向D1及び副走査方向D2に1画素分下流側にずれた位置に配置され、画素GPcは、画素GPaに対して主走査方向D1にのみ2画素分下流側にずれた位置に配置され、画素GPdは、画素GPaに対して主走査方向D1に3画素分下流側に副走査方向D2に1画素分下流側にずれた位置に配置されている。なお、画像の解像度が例えば600(dpi)である場合、1画素のサイズは約42μmとなる。
本実施形態では、発光部LD1から出射される光ビームLB−1によって、画素GPaにおける副走査方向D2の上流側領域部分GP11と、画素GPcにおける副走査方向D2の上流側領域部分GP12とが走査される。また、発光部LD2から出射される光ビームLB−2によって、画素GPaにおける副走査方向D2の下流側領域部分GP21と、画素GPcにおける副走査方向D2の下流側領域部分GP22とが走査される。また、発光部LD3から出射される光ビームLB−3によって、画素GPbにおける副走査方向D2の上流側領域部分GP31と、画素GPdにおける副走査方向D2の上流側領域部分GP32とが走査される。また、発光部LD4から出射される光ビームLB−4によって、画素GPbにおける副走査方向D2の下流側領域部分GP41と、画素GPdにおける副走査方向D2の下流側領域部分GP42とが走査される。
すなわち、本実施形態では、各発光部LD1、LD2、LD3、LD4の各々から出射される各光ビームLB−1、LB−2、LB−3、LB−4によって感光体ドラム321のドラム周面3211に描画される各主走査ラインSL1、SL2、SL3、SL4における、副走査方向D2のビームピッチが1/2画素分に相当するように、各発光部LD1、LD2、LD3、LD4の副走査ピッチP2が設定されている。
更に、感光体ドラム321のドラム周面3211に対する、各発光部LD1、LD2、LD3、LD4の各々から出射される各光ビームLB−1、LB−2、LB−3、LB−4のビームスポットの位置が、光ビームLB−2が光ビームLB−1と主走査方向D1に同じ位置であり、光ビームLB−3及びLB−4が光ビームLB−1に対して主走査方向D1に1画素分下流側にずれた位置となるように、発光部LD1に対する各発光部LD2、LD3、LD4の発光開始タイミングが主走査ピッチP1に応じて設定されている。これらの各発光部LD2、LD3、LD4の発光開始タイミングが、記憶部211に記憶されている。
各発光部LD2、LD3、LD4の発光開始タイミングについて、図7(B)を参照して、より具体的に説明すると、次の通りである。まず、発光部LD1の発光動作を実行させるときに用いられる発光制御信号は、画素GPaにおける副走査方向D2の上流側領域部分GP11を走査するために、タイミングt11から発光を継続する発光動作期間T11が設定され、画素GPcにおける副走査方向D2の上流側領域部分GP12を走査するために、タイミングt12から発光を継続する発光動作期間T12が設定されたものである。
上記のような発光部LD1の発光制御信号に対し、発光部LD2の発光動作を実行させるときに用いられる発光制御信号は、画素GPaにおける副走査方向D2の下流側領域部分GP21を走査するために、タイミングt21から発光を継続する発光動作期間T21が設定され、画素GPcにおける副走査方向D2の下流側領域部分GP22を走査するために、タイミングt22から発光を継続する発光動作期間T22が設定されたものである。ここで、発光部LD2のタイミングt21及びタイミングt22は、画素GPa及び画素GPcに対する発光部LD2の発光開始タイミングである。発光部LD2の発光開始タイミングとなるタイミングt21及びタイミングt22は、発光部LD2の光ビームLB−2が発光部LD1の光ビームLB−1と共同して画素GPa及び画素GPcを走査するように、発光部LD1のタイミングt11及びタイミングt12に対し、主走査ピッチP1に応じて遅延したタイミングとされる。
発光部LD3の発光動作を実行させるときに用いられる発光制御信号は、画素GPbにおける副走査方向D2の上流側領域部分GP31を走査するために、タイミングt31から発光を継続する発光動作期間T31が設定され、画素GPdにおける副走査方向D2の上流側領域部分GP32を走査するために、タイミングt32から発光を継続する発光動作期間T32が設定されたものである。ここで、発光部LD3のタイミングt31及びタイミングt32は、画素GPb及び画素GPdに対する発光部LD3の発光開始タイミングである。発光部LD3の発光開始タイミングとなるタイミングt31及びタイミングt32は、発光部LD3の光ビームLB−3が、画素GPa及び画素GPcに対して主走査方向D1に1画素分下流側に配置された画素GPb及び画素GPdを走査するように、発光部LD1のタイミングt11及びタイミングt12に対し、主走査ピッチP1に応じて遅延したタイミングとされる。
発光部LD4の発光動作を実行させるときに用いられる発光制御信号は、画素GPbにおける副走査方向D2の下流側領域部分GP41を走査するために、タイミングt41から発光を継続する発光動作期間T41が設定され、画素GPdにおける副走査方向D2の下流側領域部分GP42を走査するために、タイミングt42から発光を継続する発光動作期間T42が設定されたものである。ここで、発光部LD4のタイミングt41及びタイミングt42は、画素GPb及び画素GPdに対する発光部LD4の発光開始タイミングである。発光部LD4の発光開始タイミングとなるタイミングt41及びタイミングt42は、発光部LD4の光ビームLB−4が、画素GPa及び画素GPcに対して主走査方向D1に1画素分下流側に配置された画素GPb及び画素GPdを走査するように、発光部LD1のタイミングt11及びタイミングt12に対し、主走査ピッチP1に応じて遅延したタイミングとされる。
ところで、画像形成装置1において、感光体ドラム321を経年劣化により交換することがある。感光体ドラム321の交換後においては、当該感光体ドラム321に対する各発光部LD1、LD2、LD3、LD4の配置位置が設計位置に対してずれてしまう場合がある。この場合には、図7(C)に示すように、基準発光部である発光部LD1の感光体ドラム321のドラム周面3211上における照射位置に対する、発光部LD2、LD3、LD4のドラム周面3211上における照射位置(図中の実線で示す位置)が、設計位置(図中の破線で示す位置)に対して主走査方向D1にずれてしまう。なお、発光部LD1に対する各発光部LD2、LD3、LD4の主走査方向D1への位置ずれ量は、発光部LD1からの主走査方向D1への離間距離に応じて、発光部LD2、発光部LD3、発光部LD4の順番に大きくなる。
発光部LD2、LD3、LD4において設計位置に対して主走査方向D1に位置ずれが発生した状態で、LD駆動制御部212が、記憶部211に記憶された、発光部LD1に対する発光部LD2、LD3、LD4の各々の発光開始タイミングを参照し、スキャナ装置25からの画像データに基づく発光制御信号をLD駆動部71Aに与えると、感光体ドラム321のドラム周面3211に形成される静電潜像の画素に位置ずれが生じてしまう。
そこで、本実施形態の光走査装置323において、光走査制御部210は、記憶部211に記憶された、発光部LD1に対する各発光部LD2、LD3、LD4の発光開始タイミングを、補正するための補正モードを実行可能とされている。具体的には、光走査制御部210は、モード切替制御部214と、発光タイミング補正制御部215とを含む。
モード切替制御部214は、通常モードと補正モードとを切替える制御を実行する。通常モードは、スキャナ装置25からの画像データに応じた静電潜像を感光体ドラム321のドラム周面3211に形成させるためのモードである。モード切替制御部214によって通常モードとされると、LD駆動制御部212は、記憶部211に記憶された、発光部LD1に対する発光部LD2、LD3、LD4の各々の発光開始タイミングを参照し、画像データに基づく発光制御信号をLD駆動部71Aに与える。LD駆動制御部212により発光制御信号が与えられたLD駆動部71Aは、前述したように、当該発光制御信号に従って、発光部LD1を発光させて光ビームLB−1を出射させるとともに、各発光部LD2、LD3、LD4を前記発光開始タイミングに基づき発光させて各光ビームLB−2、LB−3、LB−4を出射させる。
一方、補正モードは、記憶部211に記憶された、発光部LD1に対する各発光部LD2、LD3、LD4の発光開始タイミングを補正するためのモードである。モード切替制御部214によって補正モードとされると、発光タイミング補正制御部215は、パッチ画像をシートに形成すべく、当該パッチ画像に対応した静電潜像を感光体ドラム321のドラム周面3211に形成させる制御を実行する。本実施形態では、発光タイミング補正制御部215は、感光体ドラム321のドラム周面3211における主走査方向D1に対応したシートの長手方向の、両端部間にわたって延びる帯状のパッチ画像が形成されるように、感光体ドラム321のドラム周面3211に静電潜像を形成させる制御を実行する。なお、シート上に形成されたパッチ画像の画像濃度が、スキャナ装置25によって測定される。
<光走査装置の補正モードにおける制御動作について>
光走査装置323の補正モードにおける制御動作について、図8を参照して説明する。図8は、光走査装置323の補正モードにおける制御動作を示すフローチャートである。光走査装置323において、ユーザーの補正モードを実行する指示信号が操作部230を介して入力されると、補正モードの実行が開始される。まず、ステップs1では、モード切替制御部214は、通常モードから補正モードへと切り替える制御を実行する。
次に、ステップs2では、発光タイミング補正制御部215は、基準発光部である発光部LD1と、残余発光部である各発光部LD2、LD3、LD4のうちの1つの第1残余発光部との2つの発光部の各々から出射される各光ビームの、感光体ドラム321のドラム周面3211におけるビームスポットの位置を、副走査方向D2に同じ位置とする第1制御を実行する。
前記第1残余発光部は、各発光部LD2、LD3、LD4のうちの、いずれの発光部であってもよいが、本実施形態では、基準発光部である発光部LD1が配置される配列方向D3の一方端とは反対の他方端に配置された発光部LD4を、前記第1残余発光部とする。光源71において、発光部LD1に対する各発光部LD2、LD3、LD4の主走査方向D1への位置ずれが発生していた場合、その位置ずれ量は、前述の如く、発光部LD1から主走査方向D1に最も離間した発光部LD4が最大となる。このため、補正すべき発光開始タイミングの変化量も、残余発光部の中で位置ずれ量が最も大きな発光部LD4が最大となる。従って、残余発光部の中で発光部LD1から主走査方向D1に最も離間した発光部LD4を第1残余発光部とすることによって、この発光部LD4における位置ずれ量に応じた発光開始タイミングの変化量の算出精度が高くなり、発光部LD4における発光開始タイミングの変化量に基づく各発光部LD2、LD3、LD4の発光開始タイミングの補正精度が向上する。
また、ステップs2における発光タイミング補正制御部215の制御動作について、具体的に説明すると、発光タイミング補正制御部215は、画像形成制御部220を制御して感光体ドラム321の回転速度を調整する(通常モード時の回転速度に対して3/4の回転速度に調整する)ことにより、発光部LD1及び発光部LD4の各々から出射される各光ビームLB−1、LB−4の、感光体ドラム321のドラム周面3211におけるビームスポットの位置を、副走査方向D2に同じ位置とする第1制御を実行する。すなわち、第1制御では、発光部LD1及び発光部LD4の各々から出射される各光ビームLB−1、LB−4の多重露光による走査となるように、感光体ドラム321の回転速度が調整される。更に、発光タイミング補正制御部215は、画像形成制御部220を制御して、感光体ドラム321の回転速度に応じて中間転写ベルト331の回転速度をも調整する。
次に、ステップs3では、発光タイミング補正制御部215は、LD駆動制御部212にLD駆動部71Aを制御させて、第2制御を実行する。具体的には、発光タイミング補正制御部215は、発光部LD1から光ビームLB−1を出射させるとともに、記憶部211に記憶された発光部LD4に対応した発光開始タイミングを基準に、複数の異なる開始タイミングで発光部LD4から光ビームLB−4を出射させ、前記各開始タイミングに応じて感光体ドラム321におけるドラム周面3211のそれぞれ異なる領域に静電潜像を形成させる。これにより、感光体ドラム321におけるドラム周面3211の各領域に形成された静電潜像に対応したパッチ画像が、前記各開始タイミングに応じてシート上のそれぞれ異なる領域部分に形成される。
ステップs3において発光タイミング補正制御部215が実行する第2制御について、図9乃至図11を参照して詳細に説明すると、次の通りである。図9乃至図11は、補正モードにおいて実行される第2制御を説明するための図である。図9は、光源71の各発光部LD1、LD2、LD3、LD4に位置ずれが生じていない場合における図である。図10は、光源71の各発光部LD1、LD2、LD3、LD4に位置ずれが生じている場合における図である。図11は、パッチ画像が形成されたシート300の状態を示す図である。
ステップs3において発光タイミング補正制御部215が実行する第2制御は、図11に示すように、感光体ドラム321のドラム周面3211における主走査方向D1に対応したシート300の長手方向の、両端部間にわたって延びる帯状のパッチ画像を形成させる制御である。
図11に示す例では、中間転写ベルト331の移動方向に対応した搬送方向H1に搬送されるシート300において、搬送方向H1の上流から下流に向かって並んだ状態で、第1領域部分A1、第2領域部分A2、第3領域部分A3、第4領域部分A4、及び第5領域部分A5がそれぞれ設定されている。各領域部分A1、A2、A3、A4、A5には、複数の画素からなる画素群によって構成されるパッチ画像G11、G12、G13、G14、G15がそれぞれ形成される。以下では、シート300における第1領域部分A1に形成されるパッチ画像G11を第1パッチ画像G11と称し、第2領域部分A2に形成されるパッチ画像G12を第2パッチ画像G12と称し、第3領域部分A3に形成されるパッチ画像G13を第3パッチ画像G13と称し、第4領域部分A4に形成されるパッチ画像G14を第4パッチ画像G14と称し、第5領域部分A5に形成されるパッチ画像G15を第5パッチ画像G15と称する。なお、シート300において、第1乃至第5パッチ画像G11乃至G15は、搬送方向H1に互いに接していてもよいし、離れていてもよい。
図9(A)及び図10(A)を参照して、第1領域部分A1に形成される第1パッチ画像G11を構成する画素群の各画素GP1aは、タイミングt11で発光部LD1から出射された光ビームLB−1と、タイミングt11に対して遅延したタイミングt41aで発光部LD4から出射された光ビームLB−4との多重露光による走査によって、感光体ドラム321のドラム周面3211に形成された静電潜像に対応したものである。ここで、発光部LD4による発光の開始タイミングであるタイミングt41aは、記憶部211に記憶された発光部LD1に対する発光部LD4の発光開始タイミングよりも早いタイミングであって、ビームスポットの位置が主走査方向上流側に1/2画素分ずれることを想定したタイミングである。
図9(B)及び図10(B)を参照して、第2領域部分A2に形成される第2パッチ画像G12を構成する画素群の各画素GP1bは、タイミングt11で発光部LD1から出射された光ビームLB−1と、タイミングt11に対して遅延したタイミングt41bで発光部LD4から出射された光ビームLB−4との多重露光による走査によって、感光体ドラム321のドラム周面3211に形成された静電潜像に対応したものである。ここで、発光部LD4による発光の開始タイミングであるタイミングt41bは、記憶部211に記憶された発光部LD1に対する発光部LD4の発光開始タイミングよりも早いタイミングであって、ビームスポットの位置が主走査方向上流側に1/4画素分ずれることを想定したタイミングである。
図9(C)及び図10(C)を参照して、第3領域部分A3に形成される第3パッチ画像G13を構成する画素群の各画素GP1は、タイミングt11で発光部LD1から出射された光ビームLB−1と、タイミングt11に対して遅延したタイミングt41で発光部LD4から出射された光ビームLB−4との多重露光による走査によって、感光体ドラム321のドラム周面3211に形成された静電潜像に対応したものである。ここで、発光部LD4による発光の開始タイミングであるタイミングt41は、記憶部211に記憶された発光部LD1に対する発光部LD4の発光開始タイミングと同一のタイミングである。
図9(D)及び図10(D)を参照して、第4領域部分A4に形成される第4パッチ画像G14を構成する画素群の各画素GP1cは、タイミングt11で発光部LD1から出射された光ビームLB−1と、タイミングt11に対して遅延したタイミングt41cで発光部LD4から出射された光ビームLB−4との多重露光による走査によって、感光体ドラム321のドラム周面3211に形成された静電潜像に対応したものである。ここで、発光部LD4による発光の開始タイミングであるタイミングt41cは、記憶部211に記憶された発光部LD1に対する発光部LD4の発光開始タイミングよりも遅いタイミングであって、ビームスポットの位置が主走査方向下流側に1/4画素分ずれることを想定したタイミングである。
図9(E)及び図10(E)を参照して、第5領域部分A5に形成される第5パッチ画像G15を構成する画素群の各画素GP1dは、タイミングt11で発光部LD1から出射された光ビームLB−1と、タイミングt11に対して遅延したタイミングt41dで発光部LD4から出射された光ビームLB−4との多重露光による走査によって、感光体ドラム321のドラム周面3211に形成された静電潜像に対応したものである。ここで、発光部LD4による発光の開始タイミングであるタイミングt41dは、記憶部211に記憶された発光部LD1に対する発光部LD4の発光開始タイミングよりも遅いタイミングであって、ビームスポットの位置が主走査方向下流側に1/2画素分ずれることを想定したタイミングである。
発光部LD1及び発光部LD4の各々から出射される各光ビームLB−1、LB−4の多重露光による走査の場合、光ビームLB−1により描画される主走査ラインSL1と、光ビームLB−4により描画される主走査ラインSL4とは、重なったものとなる。そして、発光部LD4による発光の開始タイミングに応じて、主走査ラインSL1、SL4上における、発光部LD1及び発光部LD4の各々から出射される各光ビームLB−1、LB−4の重なり長さが変化する。この各光ビームLB−1、LB−4の重なり長さが長いほど、シート300上に形成されたパッチ画像の画像濃度が高くなる。
光源71の各発光部LD1、LD2、LD3、LD4に位置ずれが生じていない場合、発光部LD1及び発光部LD4の各々から出射される各光ビームLB−1、LB−4の重なり長さは、発光部LD4による発光の開始タイミングが記憶部211に記憶された発光部LD4の発光開始タイミングとされたときに、最も長くなる(図9(C)参照)。従って、このときにパッチ画像の画像濃度が最も高濃度となる。そして、発光部LD4による発光の開始タイミングの、前記発光開始タイミングに対するずれ量が大きくなるほど、各光ビームLB−1、LB−4の重なり長さが短くなる(図9(A),(B),(D),(E)参照)。従って、発光部LD4による発光の開始タイミングの、前記発光開始タイミングに対するずれ量が大きくなるほど、パッチ画像の画像濃度が低くなる。
一方、光源71の各発光部LD1、LD2、LD3、LD4に位置ずれが生じている場合、図10に示すように、発光部LD1及び発光部LD4の各々から出射される各光ビームLB−1、LB−4の重なり長さが最も長くなるときの、発光部LD4による発光の開始タイミングは、発光部LD4の設計位置(図中の破線で示す位置)に対する位置ずれ量に応じて、記憶部211に記憶された発光部LD4の発光開始タイミングからずれたタイミングとなる。図10に示す例では、発光部LD4による発光の開始タイミングが、前記発光開始タイミングよりも早いタイミングであって、ビームスポットの位置が主走査方向上流側に1/4画素分ずれることを想定したタイミングであるときに、発光部LD1及び発光部LD4の各々から出射される各光ビームLB−1、LB−4の重なり長さが最も長くなる(図10(B)参照)。従って、このときにパッチ画像の画像濃度が最も高濃度となる。
次に、ステップs4では、スキャナ装置25は、シート300上における第1乃至第5領域部分A1乃至A5の各々に形成された、第1乃至第5パッチ画像G11乃至G15の画像濃度をそれぞれ検出し、その検出した画像濃度を濃度関連情報として取得する。スキャナ装置25は、濃度関連情報として取得した画像濃度を、発光タイミング補正制御部215に入力する。
原稿シートの画像読み取りに用いられるスキャナ装置25は、補正モードにおいてシート300上に形成された第1乃至第5パッチ画像G11乃至G15に対し、シート300の略全域にわたって画像濃度の検出が可能である。すなわち、スキャナ装置25は、主走査方向D1に対応したシート300の長手方向の、両端部間にわたって延びる帯状の第1乃至第5パッチ画像G11乃至G15における全域の画像濃度を、検出可能である。このようなスキャナ装置25を濃度関連情報の取得のための装置として用いることによって、後述の第3制御において発光タイミング補正制御部215は、スキャナ装置25による実測値に基づき、感光体ドラム321のドラム周面3211における主走査方向D1の走査位置毎に、残余発光部としての発光部LD2、LD3、LD4の発光開始タイミングを補正することができる。このため、発光部LD2、LD3、LD4の発光部LD1に対する発光開始タイミングを、高精度に補正することができる。
次に、ステップs5では、発光タイミング補正制御部215は、スキャナ装置25から入力された濃度関連情報としての画像濃度に基づいて、主走査方向D1に対応したシート300の長手方向の両端部間にわたる全域において、パッチ画像の画像濃度が最も高濃度となる発光部LD4の開始タイミングを認識する。すなわち、発光タイミング補正制御部215は、感光体ドラム321のドラム周面3211における主走査方向D1の走査位置毎に、パッチ画像の画像濃度が最も高濃度となる発光部LD4の開始タイミングを認識する。以下では、パッチ画像の画像濃度が最も高濃度となる発光部LD4の開始タイミングを「発光部LD4の補正候補開始タイミング」と称する。
図11に示す例では、主走査方向D1に対応したシート300の長手方向において、中央領域AA2では、第2領域部分A2に形成された第2パッチ画像G12の画像濃度が最も高濃度となる。従って、この中央領域AA2に対応した、感光体ドラム321のドラム周面3211における主走査方向D1の走査位置においては、第2パッチ画像G12の形成時における発光部LD4の開始タイミングが、発光部LD4の補正候補開始タイミングとなる。また、中央領域AA2に対してシート300の長手方向一方側に隣接した領域AA1では、第3領域部分A3に形成された第3パッチ画像G13の画像濃度が最も高濃度となる。従って、この領域AA1に対応した、感光体ドラム321のドラム周面3211における主走査方向D1の走査位置においては、第3パッチ画像G13の形成時における発光部LD4の開始タイミングが、発光部LD4の補正候補開始タイミングとなる。また、中央領域AA2に対してシート300の長手方向一方側とは反対の他方側に隣接した領域AA3では、第3領域部分A3に形成された第3パッチ画像G13の画像濃度が最も高濃度となる。従って、この領域AA3に対応した、感光体ドラム321のドラム周面3211における主走査方向D1の走査位置においては、第3パッチ画像G13の形成時における発光部LD4の開始タイミングが、発光部LD4の補正候補開始タイミングとなる。
光源71から出射される光ビームによって感光体ドラム321のドラム周面3211を主走査方向D1に走査する際に、感光体ドラム321は主走査方向D1に延びるドラム回転軸回りに回転している。このため、光ビームによって主走査方向D1に走査していたとしても、感光体ドラム321のドラム回転軸の軸方向両端部で副走査位置が異なってしまう。また、光ビームの主走査ラインSLが副走査方向D2に湾曲している場合もある。こうした場合、感光体ドラム321のドラム周面3211における主走査方向D1の走査位置毎に、発光部LD4の補正候補開始タイミングが異なる場合がある。
そこで、ステップs5に続くステップs6では、発光タイミング補正制御部215は、発光部LD4における主走査方向D1の走査位置毎の補正候補開始タイミングが、それぞれ異なるタイミングであるか否かを判断する。発光部LD4において、主走査方向D1の走査位置毎に補正候補開始タイミングが異ならない、すなわち同一であると判断した場合にはステップs7に進む。一方、発光部LD4において、主走査方向D1の走査位置毎に補正候補開始タイミングが異なると判断した場合にはステップs8に進む。
ステップs7では、発光タイミング補正制御部215は、感光体ドラム321のドラム周面3211における主走査方向D1に一定の発光部LD4の補正候補開始タイミングに基づいて、主走査ピッチP1に応じて発光部LD2及び発光部LD3の各々の補正候補開始タイミングを算出する。このようにして算出された発光部LD2及び発光部LD3の各々の補正候補開始タイミングは、発光部LD2及び発光部LD3の各々の設計位置に対する位置ずれ量に応じて、記憶部211に記憶された発光部LD2及び発光部LD3の各々の発光開始タイミングからずれたタイミングとなる。ステップs7において、発光部LD2及び発光部LD3の各々の補正候補開始タイミングが算出されると、ステップs9に進む。
ステップs8では、発光タイミング補正制御部215は、感光体ドラム321のドラム周面3211における主走査方向D1の走査位置毎に異なる発光部LD4の補正候補開始タイミングに基づいて、主走査ピッチP1に応じて発光部LD2及び発光部LD3の各々の補正候補開始タイミングを算出する。このようにして算出された発光部LD2及び発光部LD3の各々の補正候補開始タイミングは、感光体ドラム321のドラム周面3211における主走査方向D1の走査位置毎に、発光部LD2及び発光部LD3の各々の設計位置に対する位置ずれ量に応じて、記憶部211に記憶された発光部LD2及び発光部LD3の各々の発光開始タイミングからずれたタイミングとなる。
ステップs9では、発光タイミング補正制御部215は、前述の如くに算出された各発光部LD2、LD3、LD4の補正候補開始タイミングを、補正後の新たな発光開始タイミングとして認識し、その新たな発光開始タイミングを記憶部211に記憶させる。本実施形態では、ステップs5からステップs9に至るまでの制御動作が、補正モードにおいて発光タイミング補正制御部215が実行する第3制御となる。
以上のように、本実施形態の光走査装置232では、記憶部211に記憶された発光開始タイミングを補正するための補正モードにおいて、光走査制御部210の発光タイミング補正制御部215は、発光部LD1(基準発光部)及び発光部LD4(第1残余発光部)の各々から出射される各光ビームLB−1、LB−4のビームスポットの位置を副走査方向D2に同じ位置とする第1制御、複数の異なる開始タイミングで発光部LD4から光ビームLB−4を出射させてシート300上にパッチ画像を形成させる第2制御、前記パッチ画像の画像濃度が最も高濃度となる発光部LD4の開始タイミングに基づき各発光部LD2、LD3、LD4の発光開始タイミングを補正する第3制御を実行する。これによって、発光部LD1に対して各発光部LD2、LD3、LD4に位置ずれが生じた場合に、当該各発光部LD2、LD3、LD4の発光部LD1に対する発光開始タイミングを、高精度に補正することができる。
また、本実施形態の画像形成装置1は、発光部LD1に対して各発光部LD2、LD3、LD4に位置ずれが生じた場合に、当該各発光部LD2、LD3、LD4の発光開始タイミングを高精度に補正することが可能な光走査装置323を備えている。このため、各発光部LD2、LD3、LD4に位置ずれが生じた場合には、高精度に補正された新たな発光開始タイミングで各発光部LD2、LD3、LD4から出射された各光ビームにより、画像データを構成する各画素を走査することができる。この結果、感光体ドラム321のドラム周面3211に形成される静電潜像の画素に位置ずれが生じることを、可及的に抑止することができる。従って、画像形成装置1にて形成される画像における画素ずれの発生も抑止される。よって、高品質の画像を形成することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変形実施形態を採ることができる。
(1)上記の実施形態では、残余発光部である発光部LD2、LD3、LD4の発光開始タイミングを補正する第3制御において発光タイミング補正制御部215が参照する濃度関連情報を取得する情報入力部として、スキャナ装置25を用いる構成について説明したが、本発明はこの構成に限定されるものではない。濃度関連情報を取得する情報入力部としては、ユーザーの操作を受け付ける操作部230であってもよい。
この場合、第2制御において、発光タイミング補正制御部215は、第1乃至第5領域部分A1乃至A5の各々について、主走査方向D1に沿って複数の領域に区画された領域毎に、その領域を識別するための識別情報(例えば番号)が付与された第1乃至第5パッチ画像G11乃至G15を、シート300上に形成させる。そして、操作部230は、第1乃至第5パッチ画像G11乃至G15が形成されたシート300上の第1乃至第5領域部分A1乃至A5のうちの一の領域部分を、主走査方向D1に沿って区画された領域毎に、前記識別情報に基づき選定するユーザーによる選定操作を受け付ける。
具体的には、ユーザーは、第1乃至第5パッチ画像G11乃至G15が形成されたシート300を目視にて確認し、第1乃至第5領域部分A1乃至A5のうち、画像濃度が最も高濃度と考えられる一の領域部分を主走査方向D1に沿って区画された領域毎に選定する。そして、ユーザーは、選定した領域に付与されている識別情報を操作部230に入力する選定操作を行う。操作部230は、ユーザーの選定操作による選定指示を濃度関連情報として発光タイミング補正制御部215に入力する。このように、操作部230にて受け付けられたユーザーの選定操作による選定指示によって、残余発光部である発光部LD2、LD3、LD4の発光開始タイミングを補正する第3制御において発光タイミング補正制御部215が参照する濃度関連情報を取得することができる。
(2)上記の実施形態では、補正モードにおいて、発光タイミング補正制御部215が、感光体ドラム321の回転速度を調整することにより、発光部LD1及び発光部LD4の各々から出射される各光ビームLB−1、LB−4の、感光体ドラム321のドラム周面3211におけるビームスポットの位置を、副走査方向D2に同じ位置とする第1制御を実行する構成について説明したが、本発明はこの構成に限定されるものではない。補正モードにおいて、発光タイミング補正制御部215は、ポリゴンミラー駆動制御部213にポリゴンミラー駆動部82Aを制御させて、ポリゴンミラー82の回転速度を調整することにより第1制御を実行するよう、構成されていてもよい。ポリゴンミラー82の回転速度の調整により、発光部LD1及び発光部LD4の各々から出射される各光ビームLB−1、LB−4の、感光体ドラム321のドラム周面3211におけるビームスポットの位置を、同じ位置とすることができる。
(3)上記の実施形態では、光源71の各発光部LD1、LD2、LD3、LD4が、主走査ピッチP1及び副走査ピッチP2を有して所定の配列方向D3に沿って配列される構成について説明した。この構成では、各発光部LD1、LD2、LD3、LD4が同一の発光開始タイミングで発光された場合、各光ビームLB−1、LB−2、LB−3、LB−4の感光体ドラム321のドラム周面3211上におけるビームスポットの位置は、主走査ピッチP1に応じて主走査方向D1に異なる位置となり、且つ、副走査ピッチP2に応じて副走査方向D2に異なる位置となる。このため、発光部LD1に対する各発光部LD2、LD3、LD4の発光開始タイミングを補正するに際し、発光タイミング補正制御部215は、発光部LD1及び発光部LD4の各々から出射される各光ビームLB−1、LB−4の、感光体ドラム321のドラム周面3211におけるビームスポットの位置を、副走査方向D2に同じ位置とする第1制御を実行する必要がある。
これに対し、光源71の各発光部LD1、LD2、LD3、LD4の各々から出射される各光ビームLB−1、LB−2、LB−3、LB−4での走査方式が多重露光走査方式に、予め設定されていてもよい。多重露光走査方式の光走査装置323は、各光ビームLB−1、LB−2、LB−3、LB−4の感光体ドラム321のドラム周面3211上におけるビームスポットの位置が同じ位置となるように、構成されている。このような多重露光走査方式の場合には、補正モードにおいて、発光タイミング補正制御部215は、各光ビームLB−1、LB−4の、感光体ドラム321のドラム周面3211におけるビームスポットの位置を、副走査方向D2に同じ位置とする第1制御の実行を省略する。このため、補正モードにおいて、発光部LD1に対する各発光部LD2、LD3、LD4の発光開始タイミングを補正する補正制御動作に要する時間を短縮することができる。