JP6656766B2 - フィルタベント用充填剤、及びフィルタベント装置 - Google Patents

フィルタベント用充填剤、及びフィルタベント装置 Download PDF

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Description

本発明は、X型ゼオライトを造粒してなるフィルタベント用充填剤、及び放射性ヨウ素を処理するフィルタベント装置に関する。
従来、原子力発電所等の原子力施設には、放射性ヨウ素を除去するためのフィルタが設置されている。原子力施設で発生した放射性ヨウ素を含有する蒸気は、上記フィルタに通流されて放射性ヨウ素を吸着・除去した後、原子力施設外に排出される。この工程は非常に重要であるため、フィルタによる放射性ヨウ素の吸着効果について研究・開発が行われており、そのようなフィルタとして、ゼオライトを利用した放射性ヨウ素吸着剤が幾つか開発されている。その一つとして、アルミナに対するシリカのモル比が15以上であるゼオライトに銀を担持させた放射性ヨウ素吸着剤があった(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1は、銀の担持量を少量としながら、放射性ヨウ素除去効率が向上するとされている。
特開昭60−225638号公報
特許文献1に開示されている吸着剤は、ゼオライトの結晶構造を利用したものであり、孔のサイズによる分子篩効果を利用して放射性ヨウ素を選択的に吸着させている。この吸着剤は、放射性ヨウ素の吸着について一定の効果があると考えられる。しかし、放射性ヨウ素を確実に外部に漏洩させることがないよう、より高性能な放射性ヨウ素吸着剤を開発することが求められている。
また、原子力施設において、原子炉事故等の異常事態(シビアアクシデント)が発生すると、放射性ヨウ素を含む大量の放射性物質が広範囲に飛散するため、原子炉事故は未然に防止しなければならないが、万が一事故が発生した場合は、速やかに対処しなければならない。そこで、原子炉に異常事態が発生した場合、原子炉の内部圧力を減圧するフィルタベントを原子炉建屋に設置する計画が進められている。ところが、上記の特許文献1に記載の放射性ヨウ素吸着剤は、フィルタベント等が必要な異常事態に対応することは想定していない。また、原子炉事故は、原子炉内で発生する水素が原因の一つとされているが、この水素に対処することについても、特許文献1には何ら記載されていない。異常事態が発生した場合にも使用可能な放射性ヨウ素吸着剤について、今後さらなる研究開発が必要である。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、従来よりも効果的に放射性ヨウ素を吸着し得るシビアアクシデントにも対応可能なフィルタベント用充填剤、及びフィルタベント装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明に係るフィルタベント用充填剤の特徴構成は、
X型ゼオライトを造粒してなるフィルタベント用充填剤であって、
前記X型ゼオライトが有するイオン交換サイトの一部が銀で置換され、残部が鉛、ニッケル、及び銅からなる群から選択される少なくとも一種の金属で置換され、
前記イオン交換サイトのうち、銀で置換されたイオン交換サイト(a)と、銀以外の金属で置換されたイオン交換サイト(b)との構成比率(a/b)が、60/40〜80/20に設定されていることにある。
本発明のフィルタベント用充填剤は、基剤としてX型ゼオライトを造粒したものを使用する。ゼオライトには多様な種類のものが存在し、その結晶構造は夫々異なるが、結晶構造ごとに均一な細孔径を有するという特性がある。この特徴的な細孔径により、ゼオライトは分子篩(モレキュラーシーブ)や分子の選択的な吸着等に利用されている。
本発明に係るフィルタベント用充填剤では、ゼオライトの中でも比較的大きな細孔径を有するX型ゼオライトを用いており、X型ゼオライトのイオン交換サイトの一部が銀で置換され、残部が鉛、ニッケル、及び銅からなる群から選択される少なくとも一種の金属で置換されている(このようなゼオライトを本明細書では「AgMXゼオライト」と称する。)。さらに、このAgMXゼオライトが効果的に放射性ヨウ素の吸着能を発揮するための構成としては、X型ゼオライトのイオン交換サイトのうち、銀で置換されたイオン交換サイト(a)と、銀以外の金属で交換されたイオン交換サイト(b)との構成比率(a/b)を、60/40〜80/20に設定する必要があることも判明した。ここで、上記構成比率は、AgMXゼオライトに含まれる銀原子の数と、銀原子以外の金属原子の数との比率(原子比)に相当する。原子炉事故のような異常事態(シビアアクシデント)が起こった場合、放射性ヨウ素が周辺に飛散しないように、事故発生直後から迅速に処理することが重要である。そこで、上記の範囲に構成比率(原子比)を設定したAgMXゼオライトから構成されるフィルタベント用充填剤を使用すれば、確実に放射性ヨウ素を吸着し、原子炉施設外への放射性ヨウ素の飛散を防止することができる。なお、鉛、ニッケル、及び銅は、銀と比較すると安価な物質である。このため、X型ゼオライトが有するイオン交換サイトの一部を鉛、ニッケル、及び銅からなる群から選択される少なくとも一種の金属で置換して得られるAgMXゼオライトは、コスト的に見ても有利である。
本発明に係るフィルタベント用充填剤において、
前記X型ゼオライトが有するイオン交換サイトの一部が銀で置換され、残部が鉛で置換されていることが好ましい。
本構成のフィルタベント用充填剤は、銀で置換されたイオン交換サイトと鉛で置換されたイオン交換サイトとを備えることになるため、低コストでありながら、放射性ヨウ素の吸着効果に優れたフィルタベント用充填剤とすることができる。
本発明に係るフィルタベント用充填剤において、
前記銀の含有量が17〜26重量%に設定されていることが好ましい。
本構成のフィルタベント用充填剤は、銀の含有量が17〜26重量%に設定されているので、放射性ヨウ素の吸着効果に優れたフィルタベント用充填剤とすることができる。
上記課題を解決するための本発明に係るフィルタベント装置の特徴構成は、
連続的に放射性ヨウ素を処理するフィルタベント装置であって、
上記の何れか一のフィルタベント用充填剤の前段に、X型ゼオライトが有するイオン交換サイトの略全てを銀で置換した銀含有充填剤が配置されていることにある。
フィルタベント装置は原子炉の外部に設置されるため、フィルタベント装置内のAgMXゼオライトは、通常は常温の状態にある。ここで、シビアアクシデントが発生し、放射性ヨウ素及び水素を含む高温の蒸気がフィルタベント装置に流入すると、蒸気がAgMXゼオライトの表面で冷却され、水分凝縮が生じる。これにより、フィルタベント装置内では相対的に水素濃度や酸素濃度が高くなり、水素爆発の危険性が高まることとなる。
そこで、本発明に係るフィルタベント装置では、AgMXゼオライトで構成されるフィルタベント用充填剤の前段に、X型ゼオライトが有するイオン交換サイトの略全てを銀で置換した(このようなゼオライトを本明細書では「AgXゼオライト」と称する。)銀含有充填剤を配置する構成とした。このようにAgXゼオライトとAgMXゼオライトとの二段構成とすれば、フィルタベント装置に水素を含む高温の蒸気が流入すると、前段のAgXゼオライトにおいて、蒸気の大半が凝縮して水分が取り除かれるため、後段のAgMXゼオライトでは水分凝縮は殆ど起こらず、相対的な水素濃度や酸素濃度の上昇を回避することができる。しかも、前段のAgXゼオライトは、放射性ヨウ素だけでなく水素も良好に吸着できるため、相対的な水素濃度の上昇が抑制される。このため、水素爆発の危険性が低減する。また、後段のAgMXゼオライトを通過するガスは水素濃度が既に低減されたものとなっている。従って、本構成のフィルタベント装置であれば、シビアアクシデントの初期段階から水素及び放射性ヨウ素を効果的に低減することができる。また、所定時間経過後、仮に、前段のAgXゼオライトの処理能力が低下してきても、後段のAgMXゼオライトは水素の存在下でも放射性ヨウ素を吸着できるため、長時間に亘ってシビアアクシデントへの対応が可能となる。このように、フィルタベント装置において、AgXゼオライト、及びAgMXゼオライトを二段階で設置すれば、フィルタベント装置内での水素濃度の上昇を抑制できるとともに、周辺環境に放射性ヨウ素が飛散することを確実に防止し、安全性をより向上させることができる。
図1は、第一実施形態に係るフィルタベント装置を備える沸騰水型炉の概略構成図である。 図2は、第二実施形態に係るフィルタベント装置を備える沸騰水型炉の概略構成図である。 図3は、実施例1のフィルタベント用充填剤に係るAgMXゼオライトに水素を含むガスを通流させたときの温度変化の様子を示したグラフである。 図4は、実施例2のフィルタベント用充填剤に係るAgMXゼオライトに水素を含むガスを通流させたときの温度変化の様子を示したグラフである。 図5は、実施例3のフィルタベント用充填剤に係るAgMXゼオライトに水素を含むガスを通流させたときの温度変化の様子を示したグラフである。 図6は、比較例1のフィルタベント用充填剤に係る銀−鉛ゼオライトに水素を含むガスを通流させたときの温度変化の様子を示したグラフである。
以下、本発明のフィルタベント用充填剤に関する実施形態を図1〜図6を参照して説明する。ただし、本発明は、以下に説明する構成に限定されることを意図しない。
上記のとおり、原子炉施設においてシビアアクシデントが発生した場合、周辺環境に放射性ヨウ素が飛散するとともに、水素爆発が起きる危険性が高い。そのため、シビアアクシデントに備えて、原子炉の内部圧力を減圧するフィルタベント装置を原子炉建屋に設置する計画が進行中である。本発明者らは、X型ゼオライトのイオン交換サイトを、銀や、銀以外の金属(鉛、ニッケル、銅)で置換したゼオライトをフィルタベント用充填剤としてこのフィルタベント装置に設置すれば、放射性ヨウ素の飛散及び水素爆発を確実に防止できると考えた。
<AgMXゼオライト>
まず、本発明のフィルタベント用充填剤のベースとなるX型ゼオライトについて説明する。ゼオライトはケイ酸塩の一種であり、構造の基本単位は四面体構造の(SiO4−及び(AlO5−であり、この基本単位が次々と三次元的に連結して結晶構造を形成する。基本単位の連結の形式によって種々の結晶構造が形成され、形成される結晶構造ごとに固有の均一な細孔径を有する。この均一な細孔径を有するため、ゼオライトには分子篩や吸着、イオン交換能といった特性が備わることとなる。本発明のフィルタベント用充填剤は、ゼオライトの一種であるX型ゼオライトをベースとするものであり、特に13X型ゼオライトを好適に使用することができる。13X型ゼオライトは工業的に広く用いられているゼオライトであり、その組成は、Na86[(AlO86(SiO106]・276HOである。この13X型ゼオライトのイオン交換サイトであるナトリウムサイトの一部を銀で置換し、残部を鉛、ニッケル、及び銅からなる群から選択される少なくとも一種の金属、好ましくは鉛で置換することにより、本発明のフィルタベント用充填剤が調製される。このようなフィルタベント用充填剤を本明細書では「AgMXゼオライト」と称する。
AgMXゼオライトは、優れた放射性ヨウ素吸着能を有しており、本発明では、この性質を利用して原子炉施設外への放射性ヨウ素の飛散を防止している。上述のように、AgMXゼオライトは、13X型ゼオライトが有するイオン交換サイトの一部が銀で置換され、残部が鉛、ニッケル、及び銅からなる群から選択される少なくとも一種の金属、好ましくは鉛で置換されたものであり、鉛、ニッケル、及び銅は、銀と比較すると安価であるから、AgMXゼオライトをフィルタベント用充填剤に使用することは、コスト的に見ても有利である。
AgMXゼオライトは、13X型ゼオライトのイオン交換サイトのうち、銀で置換されたイオン交換サイト(a)と、銀以外の金属で交換されたイオン交換サイト(b)との構成比率(a/b)が、60/40〜80/20、好ましくは65/35〜75/25の範囲に設定されるように調製される。ここで、上記構成比率は、AgMXゼオライトに含まれる銀原子の数と、銀原子以外の金属原子の数との比率(原子比)に相当する。上記構成比率(a/b)が60/40より小さい場合、銀で置換されたイオン交換サイトが不足するため、放射性ヨウ素の吸着効果が不十分となる。一方、上記構成比率(a/b)が80/20より大きい場合、AgMXゼオライト中に占める銀の割合が多くなるため、水素との反応が顕著となる。その結果、反応熱によってAgMXゼオライトが過熱され易くなり、安全性も低下する虞がある。なお、銀は高価な材料であるため、銀の含有率を高くし過ぎるとコスト面で不利となる。従って、上記の範囲となるように、13X型ゼオライトのイオン交換サイトを、銀及び銀以外の金属(鉛、ニッケル、銅)で置換すれば、AgMXゼオライトの過熱を防止しながら、放射性ヨウ素を安定して吸着可能なフィルタベント用充填剤とすることができる。特に、13X型ゼオライトのイオン交換サイトを、銀及び鉛で置換したものは、低コストでありながら、放射性ヨウ素の吸着効果に優れたフィルタベント用充填剤とすることができる。
ちなみに、上記のように調製したフィルタベント用充填剤(AgMXゼオライト)は、銀の含有量が17〜26重量%に設定されている。このような範囲に銀の含有量を設定した場合、フィルタベント用充填剤に含まれる銀によるイオン交換サイトの機能、及び銀以外の金属(鉛、ニッケル、銅)によるイオン交換サイトの機能がバランスよく効果的に発揮され、シビアアクシデントが発生した場合であっても、安全性を維持しながら確実に放射性ヨウ素の飛散を回避することができる。
フィルタベント用充填剤は、AgMXゼオライトを適切な形状、例えば、粒状タイプやペレットタイプに成形したものが好適に使用される。粒状タイプの場合、粒子サイズは、4×100mesh(JIS K 1474−4−6)、好ましくは10×20mesh(JIS K 1474−4−6)に調整される。ここで、粒子サイズを表す「mesh」について説明すると、例えば「10×20mesh」とは、粒子が10meshの篩を通過するが20meshの篩は通過しないこと、すなわち、粒子サイズが10〜20meshであることを意味する。粒子の硬度は、20%以上(JIS K 1474−4−7)に調整される。さらに、粒子の水分含有量は、150℃下において3時間乾燥減量したときの水分含有量として15重量%以下、好ましくは12重量%以下に調整される。
ペレットタイプの場合、ペレット長は、1cm以下、好ましくは0.8cm以下に調整される。ペレット径は、3mm以下、好ましくは2mm以下に調整される。ペレットタイプの硬度、及び水分含有量は、粒状タイプのものと同様の範囲に調整することができる。このように調整されたフィルタベント用充填剤を使用すれば、上記の優れた放射性ヨウ素吸着能をより効果的に発揮させることができる。
ところで、フィルタベント用充填剤は過酷な環境(高温、高圧、高湿度)に曝されるため、ある程度の高い強度(形状保持性)が求められる。そこで、本発明に係るフィルタベント用充填剤は、摩耗度が10%以下(ASTM D−4058)、好ましくは5%以下(ASTM D−4058)、より好ましくは3%以下(ASTM D−4058)となるように調整される。これにより、フィルタベント等の過酷な条件下に置かれても、フィルタベント用充填剤はその形状を維持し、高い放射性ヨウ素吸着能を発揮し続けることができる。
<AgXゼオライト>
本発明のフィルタベント装置では、後述の実施形態で説明するように、上記AgMXゼオライトの前段にX型ゼオライト中のナトリウムサイトの略全てを銀でイオン交換したAgXゼオライトを配置する。AgXゼオライトのベースとなるX型ゼオライトは、AgMXゼオライトと同様に、13X型ゼオライトが好適に使用される。銀でイオン交換された13X型ゼオライトは、元の13X型ゼオライトよりも細孔径のサイズが小さくなる。具体的には、銀でイオン交換される前のナトリウムサイトを有する13X型ゼオライトの細孔径(約0.4nm)は、水素分子(分子径:約0.29nm)を捕捉するには大き過ぎるサイズであるが、ナトリウムサイトを銀でイオン交換すると、水素分子がぴったりと収まる最適な細孔径(約0.29nm)となる。その結果、銀でイオン交換された13X型ゼオライトは、放射性ヨウ素だけでなく、水素分子についても高効率で効果的に吸着することが可能となる。
<フィルタベント装置>
[第一実施形態]
上記のように調製したAgMXゼオライト、及びAgXゼオライトを用いた本発明のフィルタベント装置に関して説明する。図1は、本発明の第一実施形態に係るフィルタベント装置50を備える沸騰水型炉100の概略構成図である。沸騰水型炉100は、図1に示すように、フィルタベント装置50、原子炉建屋3、原子炉格納容器4、及び原子炉圧力容器5から構成されている。フィルタベント装置50は、フィルタベント用充填剤1、及びフィルタベント部2を備えている。本実施形態のフィルタベント部2は、スクラバー方式によるウェットベントシステムを採用している。フィルタベント装置50は、原子炉に事故が起こり、原子炉格納容器4が損傷した場合に備えて、原子炉建屋3の外側に設置されている。原子炉格納容器4の内部圧力が上昇した場合、図1の実線矢印で示すように、原子炉格納容器4内の蒸気が配管6を通じてフィルタベント装置50へ送られる。フィルタベント装置50においては、蒸気中の放射性ヨウ素がフィルタベント部2によって捕集され、その後、フィルタベント用充填剤1を通って排気筒から外部に排出される。
フィルタベント用充填剤1は、図1に示すように、ケース7に収納され、フィルタベント部2の後段に接続されている。ケース7は、原子炉格納容器4から発生した水蒸気やガスが通流するため、耐熱性や耐蝕性を有する材料で構成することが好ましい。ケース7の材質として、例えば、ステンレス鋼やチタン合金が挙げられ、その他にアルミニウム合金等を使用することも可能である。ケース7は、蒸気やガスが内部を通流できるよう、微小な孔が複数設けられている。このようなケース7の中にフィルタベント用充填剤1を充填することで、フィルタベント用充填剤1の取り扱いを容易なものとしている。ここで、原子炉施設は安全面に最大限の注意が必要であるため、人による作業はできる限り簡単且つ短時間で行うことが望まれる。この点、本実施形態では、ケース7にフィルタベント用充填剤1を充填した簡単な構成であるから、フィルタベント用充填剤1を交換する場合、ケース7から取り出して新品のものに取り替えるという単純な作業で済ませることができる。そのため、作業員の負担を軽減することができ、安全性を確保することができる。
ところで、シビアアクシデントが発生した場合、原子炉施設からは放射性ヨウ素だけでなく、大量の水素も発生し、これらは原子炉格納容器4から排出される蒸気に含まれることになる。原子炉施設内に水素が残留すると、水素爆発が起きる危険があるため、放射性ヨウ素の処理と併せて水素の処理も確実に行う必要がある。AgMXゼオライトは、水素の存在下であっても放射性ヨウ素を吸着することができるため、AgMXゼオライトからなるフィルタベント用充填剤1をケース7に充填し、これをフィルタベント部2の後段に設置してフィルタベント装置50を構成すると、放射性ヨウ素がAgMXゼオライトによって次々と吸着され、蒸気中の放射性ヨウ素が除去されると考えられる。ところが、フィルタベント部2は原子炉建屋3の外部に設置されているため、フィルタベント部2の下流に配置されているケース7内のAgMXゼオライト(フィルタベント用充填剤1)は、通常は常温の状態にある。この状態において、水素を含む高温の蒸気がフィルタベント装置50に流入すると、蒸気がケース7内に侵入したときにフィルタベント用充填剤1の表面で冷却され、水分凝縮が生じる。これにより、フィルタベント装置50では相対的に水素濃度や酸素濃度が高くなり、水素爆発の危険性が高まることとなる。このため、フィルタベント用充填剤1を単独でフィルタベント装置50に適用した場合、特にシビアアクシデントの初期段階において、状況によっては安全性が低下する場合がある。
そこで、本発明では、放射性ヨウ素だけでなく、爆発性の高い水素についても確実に除去するための最適なフィルタベント装置の構成を着想するに至った。そのような構成として、本実施形態では、図1に示すように、本発明のAgMXゼオライトからなるフィルタベント用充填剤1の前段に、13X型ゼオライトが有するイオン交換サイトの略全てを銀で置換して調製されたAgXゼオライトからなる銀含有充填剤8を配置する形態とした。このように、ケース7内において、銀含有充填剤8(AgXゼオライト)とフィルタベント用充填剤1(AgMXゼオライト)とを二段で構成すれば、フィルタベント装置50において水素を含む高温の蒸気がケース7に流入しても、蒸気は前段の銀含有充填剤8において大半が凝縮して水分が取り除かれるため、後段のフィルタベント用充填剤1では水分凝縮は殆ど起こらず、相対的な水素濃度や酸素濃度の上昇を回避することができる。しかも、前段の銀含有充填剤8は、放射性ヨウ素だけでなく水素を良好に吸着できるため、相対的な水素濃度の上昇が抑制される。このため、水素爆発の危険性が低減する。また、後段のフィルタベント用充填剤1を通過するガスは水素濃度が既に低減されたものとなっている。従って、本実施形態のフィルタベント装置50であれば、シビアアクシデントの初期段階から水素及び放射性ヨウ素を効果的に低減することができる。また、所定時間経過後、仮に、前段の銀含有充填剤8の処理能力が低下しても、後段のフィルタベント用充填剤1は水素の存在下でも放射性ヨウ素を吸着できるため、長時間に亘ってシビアアクシデントへの対応が可能となる。このように、フィルタベント装置50において、フィルタベント部2、銀含有充填剤8、及びフィルタベント用充填剤1を連続的に配置し、夫々の機能を分担させることにより、水素及び放射性ヨウ素を高効率且つ効果的に吸着することが可能となる。その結果、フィルタベント装置50内での水素濃度の上昇を抑制できるとともに、周辺環境に放射性ヨウ素が飛散することを確実に防止し、安全性をより向上させることができる。
[第二実施形態]
図2は、本発明の第二実施形態に係るフィルタベント装置50を備える沸騰水型炉100の概略構成図である。上記の第一実施形態では、フィルタベント装置50において、フィルタベント用充填剤1及び銀含有充填剤8を収納するケース7が原子炉格納容器4に直接隣接しない位置、すなわち、フィルタベント部2の下流側に配置した。これに対し、第二実施形態では、図2に示すように、フィルタベント装置50において、銀含有充填剤8及びフィルタベント用充填剤1を収納するケース7が原子炉格納容器4と隣接する位置に設置するようにした。このとき、原子炉格納容器4から排出される蒸気には、放射性ヨウ素の他に水素も含まれ、蒸気は図2の実線矢印で示すように、配管6を通じてフィルタベント装置50に送られる。第二実施形態では、フィルタベント部2による処理の前に、蒸気がケース7内の銀含有充填剤8を通流し、その次にフィルタベント用充填剤1を通流する。このようにフィルタベント装置50を構成した場合、フィルタベント部2へ蒸気を送る前に放射性ヨウ素の吸着及び水素の処理が行われるため、銀含有充填剤8及びフィルタベント用充填剤1を収容するケース7から出てきたガスは負荷が低減されたものとなり、フィルタベント部2によってスムーズに処理することが可能となる。
[別実施形態]
上記の第一実施形態ないし第二実施形態は、いずれも沸騰水型炉についての実施形態であったが、本発明のフィルタベント用充填剤1は、加圧水型炉においても適用可能である。沸騰水型炉と同様に、シビアアクシデントにより原子炉が損傷した場合の対策として、フィルタベント用充填剤1と銀含有充填剤8とをケース7に収納してフィルタベント部2の後段に接続するように配置したフィルタベント装置50を加圧水型炉に設置することもでき、また、フィルタベント装置50において、銀含有充填剤8及びフィルタベント用充填剤1を収納したケース7を、加圧水型炉の原子炉格納容器4と隣接する位置に設置することもできる(図示せず)。さらに、本発明のフィルタベント用充填剤1は、上記の各実施形態で説明したフィルタベント部2がスクラバー方式となっているウェットベントシステムだけでなく、例えば、メタルファイバーフィルタやサンドフィルタと組み合わせたドライベントシステムにも適用可能である。
本発明のフィルタベント用充填剤について、その性能を確認するため、フィルタベント用充填剤において、X型ゼオライトのイオン交換サイトのうち、銀で置換されたイオン交換サイト(a)と、銀以外の金属で置換されたイオン交換サイト(b)との構成比率(a/b)を適切に設定したもの(実施例1〜3)、並びに銀で置換されたイオン交換サイト(a)を、銀以外の金属で置換されたイオン交換サイト(b)に対して過剰に設定したもの(比較例1)を準備し、夫々に水素を含むガスを通流させたときの温度変化を測定した。
[実施例1]
銀濃度63.2g/L、及び鉛濃度42.2g/Lの硝酸塩混合水溶液を調製し、この混合水溶液に適量の13X型ゼオライトを投入し、室温に維持して約1日間攪拌することにより、イオン交換処理を行った。イオン交換処理を終えた13X型ゼオライトを濾別し、純水で洗浄後、乾燥させてAgMXゼオライトを得た。このAgMXゼオライトをフッ酸と硝酸との混合液で加熱溶解後、ICP発光分光分析装置(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製のICP発光分光分析装置 iCAP−6200Duo)で銀及び鉛の含有量を分析したところ、銀の含有量(乾燥重量)は23.6重量%、鉛の含有量は15.8重量%であった。13X型ゼオライトのイオン交換サイトを構成する銀及び鉛の比率(原子比)は、74/26であった。
[実施例2]
銀濃度52.6g/L、及び鉛濃度52.6g/Lの硝酸塩混合水溶液を調製し、この混合水溶液に適量の13X型ゼオライトを投入し、室温に維持して約1日間攪拌することにより、イオン交換処理を行った。イオン交換処理を終えた13X型ゼオライトを濾別し、純水で洗浄後、乾燥させてAgMXゼオライトを得た。このAgMXゼオライトをフッ酸と硝酸との混合液で加熱溶解後、ICP発光分光分析装置で銀及び鉛の含有量を分析したところ、銀の含有量(乾燥重量)は19.7重量%、鉛の含有量は19.3重量%であった。13X型ゼオライトのイオン交換サイトを構成する銀及び鉛の比率は、66/34であった。
[実施例3]
銀濃度63.8g/L、及び銅濃度42.1g/Lの硝酸塩混合水溶液を調製し、この混合水溶液に適量の13X型ゼオライトを投入し、室温に維持して約1日間攪拌することにより、イオン交換処理を行った。イオン交換処理を終えた13X型ゼオライトを濾別し、純水で洗浄後、乾燥させてAgMXゼオライトを得た。このAgMXゼオライトをフッ酸と硝酸との混合液で加熱溶解後、ICP発光分光分析装置で銀及び銅の含有量を分析したところ、銀の含有量(乾燥重量)は25.4重量%、銅の含有量は4.7重量%であった。13X型ゼオライトのイオン交換サイトを構成する銀及び銅の比率は、76/24であった。
[比較例1]
銀濃度78.9g/L、及び鉛濃度26.3g/Lの硝酸塩混合水溶液を調製し、この混合水溶液に適量の13X型ゼオライトを投入し、室温に維持して約1日間攪拌することにより、イオン交換処理を行った。イオン交換処理を終えた13X型ゼオライトを濾別し、純水で洗浄後、乾燥させて銀−鉛ゼオライトを得た。この銀−鉛ゼオライトをフッ酸と硝酸との混合液で加熱溶解後、ICP発光分光分析装置で銀及び鉛の含有量を分析したところ、銀の含有量(乾燥重量)は28.2重量%、鉛の含有量は10.0重量%であった。13X型ゼオライトのイオン交換サイトを構成する銀及び鉛の比率は、84/16であった。
[温度変化測定試験]
続いて、実施例1〜3で調製したAgMXゼオライト、及び比較例1で調製した銀−鉛ゼオライトに対し、水素を含むガスを通流させたときの温度変化を測定した。試験条件は、次のとおりである。
[実施例1〜2]
約150℃に加熱した実施例1〜2のAgMXゼオライトに対し、(A)通流開始から10分までの間は、ドライエアーのみを通流させ、(B)通流開始後10分から40分までの間は、ドライエアー、水蒸気、及び水素の混合ガスを通流させ、(C)通流開始後40分から50分までの間は、ドライエアーのみを通流させた。図3は、実施例1のAgMXゼオライトに水素を含むガスを通流させたときの温度変化の様子を示したグラフである。図4は、実施例2のAgMXゼオライトに水素を含むガスを通流させたときの温度変化の様子を示したグラフである。
[実施例3]
約150℃に加熱した実施例3のAgMXゼオライトに対し、(A)通流開始から10分までの間は、ドライエアーのみを通流させ、(B)通流開始後10分から58分までの間は、ドライエアー、水蒸気、及び水素の混合ガスを通流させ、(C)通流開始後58分から70分までの間は、ドライエアーのみを通流させた。図5は、実施例3のAgMXゼオライトに水素を含むガスを通流させたときの温度変化の様子を示したグラフである。
[比較例1]
約150℃に加熱した比較例1の銀−鉛ゼオライトに対し、(A)通流開始から10分までの間は、ドライエアーのみを通流させ、(B)通流開始後10分から40分までの間は、ドライエアー、水蒸気、及び水素の混合ガスを通流させ、(C)通流開始後40分から50分までの間は、ドライエアーのみを通流させた。図6は、比較例1の銀−鉛ゼオライトに水素を含むガスを通流させたときの温度変化の様子を示したグラフである。
実施例1のフィルタベント用充填剤に係るAgMXゼオライトは、図3に示すように、ドライエアーのみを通流させた(A)の期間は約150℃を維持した状態にあった。(B)の期間に混合ガス(体積百分率で、ドライエアー(27.0%)、水蒸気(68.0%)、及び水素(5.0%)を含む)を通流させた。このときのAgMXゼオライトに対する混合ガスの接触時間を0.20秒に設定した。すると、試験開始から10分から25分くらいの間でAgMXゼオライトの温度が徐々に上昇した。この温度上昇は、AgMXゼオライトにおける銀ゼオライト部が水素を吸着する際に発生する吸着熱や、水素と酸素との多少の反応による反応熱が原因であると推測できる。しかし、その後は、温度が緩やかに下降し、(C)の期間では、通流開始時の約150℃まで温度が下がった。
実施例2のフィルタベント用充填剤に係るAgMXゼオライトは、図4に示すように、ドライエアーのみを通流させた(A)の期間は約150℃を維持した状態にあった。(B)の期間に混合ガス(体積百分率で、ドライエアー(44.0%)、水蒸気(50.0%)、及び水素(6.0%)を含む)を通流させた。このときのAgMXゼオライトに対する混合ガスの接触時間を0.34秒に設定した。すると、試験開始から10分経過後直ぐに温度上昇した。これは、実施例1のAgMXゼオライト(図3)と同様に、実施例2のAgMXゼオライトにおいても、銀ゼオライト部が水素を吸着する際に発生する吸着熱や、水素と酸素との多少の反応による反応熱が生じるためであると推測できる。しかし、その温度上昇の程度は僅かであり、その後は上昇した温度を維持し、(C)の期間でも、温度変化が見られないまま、通流開始時の約150℃付近になった。
実施例3のフィルタベント用充填剤に係るAgMXゼオライトは、図5に示すように、ドライエアーのみを通流させた(A)の期間は約150℃を維持した状態にあった。(B)の期間に混合ガス(体積百分率で、ドライエアー(89.3%)、水蒸気(8.2%)、及び水素(2.5%)を含む)を通流させた。このときのAgMXゼオライトに対する混合ガスの接触時間を0.29秒に設定した。すると、試験開始から15分経過後から徐々に温度上昇したものの、緩やかに通流開始時の150℃付近まで下降した。その後、通流開始後30分、50分、及び55分が経過したときに温度上昇が見られたが、直ぐに通流開始時の約150℃に戻った。これは、実施例1〜2のAgMXゼオライト(図3〜4)と同様に、実施例3のAgMXゼオライトにおいても、銀ゼオライト部が水素を吸着する際に発生する吸着熱や、水素と酸素との多少の反応による反応熱が生じるためであると推測できる。(C)の期間でも、温度変化が見られないまま、通流開始時の約150℃付近になった。
比較例1のフィルタベント用充填剤に係る銀−鉛ゼオライトは、図6に示すように、ドライエアーのみを通流させた(A)の期間は約150℃を維持した状態にあった。(B)の期間に混合ガス(体積百分率で、ドライエアー(40.0%)、水蒸気(55.0%)、及び水素(5.0%)を含む)を通流させた。このときの銀−鉛ゼオライトに対する混合ガスの接触時間を0.31秒に設定した。すると、試験開始から10分経過後、温度が急激に上昇した。そして、(C)の期間では、温度が急激に下降した。このような急激な温度変化は、比較例1の銀−鉛ゼオライトにおいては、銀ゼオライト部が次々と水素を吸着して継続的に吸着熱が発生していること、さらには水素と酸素とが反応することにより反応熱が発生していること等が影響していると推測される。
このように、X型ゼオライトのイオン交換サイトのうち、銀で置換されたイオン交換サイト(a)と、銀以外の金属で置換されたイオン交換サイト(b)との構成比率(a/b)を適切に設定した実施例1〜3のAgMXゼオライトに水素を含むガスを通流させた場合、AgMXゼオライトには大きな温度変化は見られなかった。このことから、実施例1〜3のAgMXゼオライトは、水素吸着の際に生じる吸着熱や、水素と酸素との反応による反応熱が小さい、つまり、水素吸着能が小さいと判断できる。これに対し、銀で置換されたイオン交換サイト(a)を、銀以外の金属で置換されたイオン交換サイト(b)に対して過剰に設定した比較例1の銀−鉛ゼオライトは、水素等を通流させた場合、温度が急激に上昇し、水素の通流を止めてからは急激に温度が下降した。このことから、比較例1の銀−鉛ゼオライトは、水素吸着によって生じる熱が大きい、つまり、水素吸着能が大きいと判断できる。
以上の試験結果から、本発明に係るAgMXゼオライトであれば、水素を含むガスを通流させた際の温度変化が僅かであるため、AgMXゼオライトが過熱して安全性が低下するという懸念は生じないと考えられる。ちなみに、実施例1〜3のAgMXゼオライトに対して、本試験とは別に放射性ヨウ素吸着試験を行ったところ、いずれも97%以上の高い吸着率を示す結果となった。このため、本発明のAgMXゼオライトを含むフィルタベント用充填剤を、AgXゼオライトを含む銀含有充填剤とともにフィルタベント装置に配置すると、前段の銀含有充填剤によって大部分の水素及び放射性ヨウ素を吸着した後、後段のフィルタベント用充填剤によって前段で吸着されなかった微量の放射性ヨウ素を確実に吸着することが可能となる。このように、本発明のフィルタベント装置であれば、周辺環境への放射性ヨウ素の飛散を確実に防止しながら、フィルタベント装置内での水素濃度の上昇を抑制できるため、安全性をより向上させることが可能となる。
本発明のフィルタベント用充填剤、及びフィルタベント装置は、原子力発電所等の原子力施設において利用されるものであるが、当該原子力施設の周辺に存在する施設(住宅、店舗、学校等)の安全を守る用途で利用することも可能である。また、原子炉を具備した船舶、研究施設、工場等において利用することも可能である。
1 フィルタベント用充填剤
2 フィルタベント部
3 原子炉建屋
4 原子炉格納容器
5 原子炉圧力容器
6 配管
7 ケース
8 銀含有充填剤
50 フィルタベント装置
100 沸騰水型炉

Claims (3)

  1. 水素の存在下でも放射性ヨウ素を吸着するX型ゼオライトを造粒してなるフィルタベント用充填剤であって、
    前記X型ゼオライトが有するイオン交換サイトの一部が銀で置換され、残部が鉛で置換され、
    前記イオン交換サイトのうち、銀で置換されたイオン交換サイト(a)と、鉛で置換されたイオン交換サイト(b)との構成比率(a/b)が、60/40〜80/20に設定され、
    摩耗度が10%以下(ASTM D−4058)であるフィルタベント用充填剤。
  2. 前記銀の含有量が17〜26重量%に設定されている請求項1に記載のフィルタベント用充填剤。
  3. 連続的に放射性ヨウ素を処理するフィルタベント装置であって、
    請求項1又は2に記載のフィルタベント用充填剤の前段に、X型ゼオライトが有するイオン交換サイトの全てを銀で置換した銀含有充填剤が配置されているフィルタベント装置。
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