以下、この発明をより詳細に説明するため、この発明を実施するための形態について、添付の図面に従って説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る火力配分装置1a,1b,1cを備えた火力配分システムの構成を示すブロック図である。図1に示す火力配分システムは、火力配分装置1a、火力配分装置1bおよび火力配分装置1cを備え、火力配分装置1aは火器2aに搭載され、火力配分装置1bは火器2bに搭載され、火力配分装置1cは火器2cに搭載されている。火器2a、火器2bおよび火器2cは、部隊を構成しており、ネットワーク3を介して互いに接続されている。ネットワーク3は、例えば、無線通信ネットワークである。なお、ネットワーク3は、有線通信ネットワークであってもよい。火力配分装置1a、火力配分装置1bおよび火力配分装置1cは、互いに独立した非同期のそれぞれのタイミングで自身を搭載する火器に目標を割り当てるか否かを判定する。
部隊を構成する火器2a、火器2bおよび火器2cのうち、任意の火器が第1の火器である。また、第1の火器に搭載された火力配分装置が通信接続を行う他の火力配分装置を搭載する火器が第2の火器である。例えば、図1において、第1の火器が火器2aである場合、火器2bおよび火器2cが第2の火器となる。第2の火器は、一般には複数存在するが、第1の火器とともに部隊を構成する火器であれば、1つであってもよい。
図1には、3つの火器2a〜2cおよび3つの火力配分装置1a〜1cを示したが、4つ以上の火器で部隊が構成されてもよく、2つの火器で部隊が構成されてもよい。
図2は、実施の形態1に係る火力配分装置1の構成を示すブロック図である。火力配分装置1は、図1に示した火力配分装置1a、火力配分装置1bおよび火力配分装置1cを総称したものである。火力配分装置1は、第1の火器に搭載されたセンサ部4から目標の観測データを入力して、自身を搭載する第1の火器に目標を割り当てる。
センサ部4は、覆域内に存在する目標を探知し、探知した目標を任意のサンプリング間隔で観測することによって、目標の観測時刻、位置、移動速度、移動方向および大きさを含む観測データを生成する。センサ部4は、例えば、レーダに代表されるセンサ装置によって実現される。目標とは、第1の火器を含む部隊にとって脅威となる物体であり、例えば、航空機または飛翔体である。
火力配分装置1は、情報送信部10、情報受信部11、火器情報取得部12、目標情報取得部13、目標情報記憶処理部14、火器情報記憶処理部15および火力配分実行部16を備える。情報送信部10は、図1に示したネットワーク3を介して第2の火器に搭載されている火力配分装置1へ情報を送信し、情報受信部11は、ネットワーク3を介して第2の火器に搭載されている火力配分装置1から情報を受信する。
火器情報取得部12は、第1の火器に関する火器情報を取得する。火器情報は、第1の火器の状態および性能を示す情報であり、例えば、第1の火器の位置、射程、速力、弾種、目標割り当て数の上限、残弾数および防護対象の位置が含まれる。
火器情報取得部12は、目標への対処が完了したか否かを判定し、対処完了結果を生成する。火器情報取得部12によって取得された火器情報は火器情報記憶処理部15に出力され、火器情報取得部12によって生成された第1の火器の対処完了結果は目標情報記憶処理部14に出力される。
目標情報取得部13は、センサ部4によって生成された目標の観測データから目標情報を取得する。目標情報は目標の状態を示す情報である。例えば、目標情報取得部13は、目標の観測データに含まれる情報から、目標の観測時刻、位置、移動速度、移動方向および種類を含む目標情報を生成する。目標情報取得部13によって取得された目標情報は、目標情報記憶処理部14に出力される。
目標情報記憶処理部14は、図2に示すように、目標情報記憶部14aおよび目標情報処理部14bを備える。目標情報記憶部14aは、目標情報取得部13によって取得された目標情報、情報受信部11によって受信された第2の火器の目標情報、第1の火器による目標への対処完了結果および第2の火器による目標への対処完了結果を記憶する。目標情報処理部14bは、情報送信部10を用いて、第2の火器に搭載された火力配分装置1に対して第1の火器の目標情報および第1の火器の対処完了結果を送信する。
例えば、目標情報処理部14bは、目標情報記憶部14aに記憶された情報を参照し、第1の火器の目標情報が更新された場合、情報送信部10を用いて、第2の火器に搭載された火力配分装置1に更新後の目標情報を送信する。目標情報処理部14bは、第1の火器が目標に火力を発射して目標への対処が完了したと判定した場合に、この対処の内容である対処完了結果を、情報送信部10を用いて、第2の火器に搭載された火力配分装置1に送信する。
火器情報記憶処理部15は、図2に示すように、火器情報記憶部15aおよび火器情報処理部15bを備える。火器情報記憶部15aは、火器情報取得部12によって取得された第1の火器に関する火器情報、火力配分実行部16から入力した第1の火器の火力配分結果、および情報受信部11によって受信された第2の火器に関する火器情報および第2の火器の火力配分結果を記憶する。第1の火器の火力配分結果とは、第1の火器に割り当てられた目標を表す情報である。火器情報処理部15bは、情報送信部10を用いて、第2の火器に設けられた火力配分装置1に対して第1の火器に関する火器情報および第1の火器の火力配分結果を送信する。
例えば、火器情報処理部15bは、火器情報記憶部15aに記憶された情報を参照し、第1の火器に関する火器情報が更新された場合、情報送信部10を用いて、第2の火器に搭載された火力配分装置1に更新後の火器情報を送信する。また、火器情報処理部15bは、火器情報記憶部15aから第1の火器の火力配分結果を読み出して、情報送信部10を用いて、第2の火器に搭載された火力配分装置1に対して第1の火器の火力配分結果を送信する。
火力配分実行部16は、目標情報記憶処理部14に記憶された目標情報および対処完了結果と火器情報記憶処理部15に記憶された火器情報および火力配分結果とに基づいて、目標に対する火器ごとの有効度を算出し、目標に対する第1の火器の有効度、目標に対する第2の火器の有効度および第2の火器が目標への対処を開始するまでの待機時間に基づいて、目標を第1の火器に割り当てるか否かを判定する。この判定が火力配分処理である。第1の火器に目標を割り当てる火力配分結果が得られると、火力配分実行部16は、この火力配分結果を火器情報記憶処理部15に出力する。火力配分実行部16による火力配分処理は、原則として一定時間ごとに反復実行される。
火力配分実行部16は、図2に示すように、目標リスト生成部16a、有効度算出部16b、火器設定部16c、目標割り当て部16d、待機時間判定部16eおよび追加目標割り当て部16fを備える。また、待機時間判定部16eは、優先順位算出部16e−1および待機時間比較部16e−2を備える。
目標リスト生成部16aは、目標情報記憶部14aに記憶された目標情報および目標の対処完了結果、および火器情報記憶部15aに記憶された火器情報および火力配分結果に基づいて、いずれの火器にも割り当てられていない目標を抽出し、抽出した目標を脅威度の順に設定したリストを生成する。脅威度とは、火器または防衛対象に及ぼす予測被害に関する指標値であり、目標リスト生成部16aによって目標の位置および移動速度および火器の防衛対象の位置に基づいて算出される。脅威度が高い目標であるほど、早い対処が要求される。
なお、有効度算出部16b、火器設定部16c、目標割り当て部16d、待機時間判定部16eおよび追加目標割り当て部16fによって実行される、後述する一連の処理が、目標の火力分配処理である。有効度算出部16b、火器設定部16c、目標割り当て部16d、待機時間判定部16eおよび追加目標割り当て部16fは、目標リスト生成部16aによって生成された目標リストの先頭に設定された目標から順に火力配分処理を行う。以下、1つの目標に対する火力分配処理の内容について説明する。
有効度算出部16bは、目標情報記憶部14aに記憶された目標情報、および火器情報記憶部15aに記憶された火器情報に基づいて、火力配分対象の目標に対する火器ごとの有効度を算出する。有効度は、火器に目標が割り当てられてから、この火器が目標を撃墜するまでに要する時間であり、予測会合時間および撃墜確率に基づいて算出される。予測会合時間は、目標へ火力を発射してから目標と火力が会合するまでの時間である。撃墜確率は、火器が目標を撃墜することができる確率である。予測会合時間および撃墜確率は、火器情報、目標の位置、移動速度および種類に基づいて有効度算出部16bによって算出される。
有効度は、火器の火力配分結果には依存しない値であり、火器間の通信に遅延があっても、以下の条件が満たされていれば、任意の目標に対する有効度に大きな乖離は生じないと考えられる。火器のセンサ覆域が十分に広く、火力配分装置1で認識された目標情報に大きな差がない場合、もしくは火器間での目標情報の通信に大きな不具合が生じていない場合に加え、火器情報が固定されているか、もしくは、火器の位置が変動する場合であっても時間に対する変動が小さい場合には、任意の目標に対して算出される有効度に大きな乖離は生じない。
火器設定部16cは、有効度算出部16bによって算出された目標に対する火器ごとの有効度のうち、目標に対する有効度が最も高い火器を、目標の対処を担当する火器に設定する。以下、目標の対処の担当として設定された火器を、この目標の“担当火器”と記載する。また、火器が対処を担当するように設定された目標を、この火器の“担当目標”と記載する。なお、担当火器は、目標に対する火器の割り当て候補であり、最終的な目標の割り当ては、目標割り当て部16dまたは追加目標割り当て部16fによって行われる。
目標割り当て部16dは、火器設定部16cによって目標に対して設定された担当火器に関する火器情報に基づいて、第1の火器が目標に対する担当火器であり、かつ、第1の火器に割り当てが可能な場合に、この目標を第1の火器に割り当てる。なお、第1の火器に割り当てが可能な場合とは、第1の火器が目標に対処可能であり、かつ、第1の火器の目標割り当て数の上限に関する制約が満たされる場合である。
待機時間判定部16eは、火器設定部16cによって目標に対して設定された担当火器に関する火器情報に基づいて、この目標の担当火器が第2の火器である場合、第2の火器が上記目標の対処を開始するまでの待機時間が基準値よりも長いか否かを判定する。
待機時間判定部16eは、図2に示すように優先順位算出部16e−1および待機時間比較部16e−2を備える。
優先順位算出部16e−1は、担当火器の火力配分結果および全ての担当目標についての、目標の対処の優先順位を算出する。なお、担当火器の火力配分結果は、担当火器から割り当てが既に通知された目標を示している。優先順位は、目標の脅威度に基づいて優先順位算出部16e−1によって算出される。
待機時間比較部16e−2は、優先順位算出部16e−1によって算出された担当火器についての目標の優先順位を上記待機時間とみなし、優先順位の値と閾値との大小関係に基づいて上記待機時間が長いか否かを判定する。すなわち、待機時間判定部16eでは、第2の火器における目標への対処の優先順位に基づいて、第2の火器が目標の対処を開始するまでの待機時間の長さが判定される。
追加目標割り当て部16fは、待機時間判定部16eによって目標の待機時間が長いと判定された場合に、第1の火器への割り当てが可能な場合、この目標を第1の火器に割り当てる。ただし、この目標に第1の火器が対処可能であり、かつ、第1の火器の目標割り当て数の上限に関する制約が満たされる場合に、この目標を第1の火器に割り当てが可能であるものとする。
次に動作について説明する。
図3は、実施の形態1に係る火力配分方法を示すフローチャートである。
目標情報記憶処理部14が、目標情報取得部13によって取得された目標情報、情報受信部11によって受信された第2の火器の目標情報、第1の火器による目標への対処完了結果および第2の火器による目標への対処完了結果を記憶し、情報送信部10を用いて、第2の火器に設けられた火力配分装置1に対して第1の火器の目標情報および第1の火器の対処完了結果を送信する(ステップST1)。
火器情報記憶処理部15が、火器情報取得部12によって取得された第1の火器に関する火器情報、第1の火器の火力配分結果、および情報受信部11によって受信された第2の火器に関する火器情報および第2の火器の火力配分結果を記憶し、情報送信部10を用いて、第2の火器に設けられた火力配分装置1に対して第1の火器に関する火器情報および第1の火器の火力配分結果を送信する(ステップST2)。
火力配分実行部16が、目標情報記憶処理部14に記憶された目標情報および対処完了結果、および火器情報記憶処理部15に記憶された火器情報および火力配分結果に基づいて目標に対する火器ごとの有効度を算出し、第1の火器への割り当てが可能な場合、第1の火器の有効度が最も高い目標または有効度が最も高い第2の火器が対処を開始するまでの待機時間が基準値よりも長い目標を、第1の火器に割り当てる。
(ステップST3)。
次に、目標情報記憶処理部14の動作の詳細について説明する。
図4は、目標情報記憶処理部14の動作を示すフローチャートであり、図3のステップST1の処理の詳細を示している。
目標情報記憶処理部14が備える目標情報記憶部14aは、目標情報取得部13により取得された第1の火器の目標に関する目標情報、および情報受信部11により受信された第2の火器の目標に関する目標情報を入力して、入力した目標情報を記憶する(ステップST1a)。この目標情報には、目標の観測時刻、位置、速度および種類が含まれる。
目標情報記憶部14aは、火器情報取得部12により取得された第1の火器の対処完了結果、および情報受信部11により受信された第2の火器の対処完了結果を入力し、入力した対処完了結果を記憶する(ステップST2a)。対処完了結果とは、火器が目標に火力を発射して火器情報取得部12によって目標への対処が完了したと判定されるまでの対処内容を示す情報である。
目標情報記憶処理部14が備える目標情報処理部14bは、目標情報記憶部14aに記憶された情報を参照して、第1の火器の目標情報が更新されたか否か、または第1の火器による目標への対処が完了したか否かの判定を行う(ステップST3a)。ここで、第1の火器の目標情報が更新されず、および、第1の火器による目標への対処が完了していないと判定した場合(ステップST3a;NO)、目標情報処理部14bは、図4の処理を終了する。この後、ステップST1aからの処理が周期的に実行される。
第1の火器の目標情報が更新された、または第1の火器による目標への対処が完了したと判定した場合(ステップST3a;YES)、目標情報処理部14bは、更新された第1の火器の目標情報または第1の火器の対処完了結果を情報送信部10に出力する。情報送信部10は、目標情報処理部14bから入力した目標情報または対処完了結果を、ネットワーク3を介して第2の火器に搭載された火力配分装置1に送信する(ステップST4a)。第2の火器に搭載された火力配分装置1が備える目標情報記憶部14aが、情報受信部11によって受信された第1の火器の目標情報または対処完了結果を記憶する。
次に、火器情報記憶処理部15の動作の詳細について説明する。
図5は、火器情報記憶処理部15の動作を示すフローチャートであり、図3のステップST2の処理の詳細を示している。
火器情報記憶処理部15が備える火器情報記憶部15aは、火器情報取得部12により取得された第1の火器に関する火器情報、および情報受信部11により受信された第2の火器に関する火器情報を入力して、入力した火器情報を記憶する(ステップST1b)。火器情報には、火器の位置、射程、速力、弾種、目標割り当て数の上限、残弾数および防護対象の位置が含まれる。
火器情報記憶部15aは、火力配分実行部16による第1の火器の火力配分結果および情報受信部11により受信された第2の火器の火力配分結果を入力して、入力した火力配分結果を記憶する(ステップST2b)。火力配分結果は、火器に割り当てられた目標を示す情報である。
火器情報記憶処理部15が備える火器情報処理部15bは、火器情報記憶部15aに記憶された情報を参照して、第1の火器に関する火器情報が更新されたか否か、または第1の火器に目標が割り当てられたか否かの判定を行う(ステップST3b)。第1の火器に関する火器情報が更新されず、第1の火器に目標が割り当てられなかったと判定した場合(ステップST3b;NO)、火器情報処理部15bは図5の処理を終了する。この後、ステップST1bからの処理が周期的に実行される。
第1の火器に関する火器情報が更新された、または第1の火器に目標が割り当てられたと判定すると(ステップST3b;YES)、火器情報処理部15bは、更新された第1の火器に関する火器情報または第1の火器の火力配分結果を情報送信部10に出力する。情報送信部10は、火器情報処理部15bから入力した火器情報または火力配分結果を、ネットワーク3を介して第2の火器に搭載された火力配分装置1に送信する(ステップST4b)。第2の火器に搭載された火力配分装置1が備える火器情報記憶部15aが、情報受信部11によって受信された第1の火器に関する火器情報または火力配分結果を記憶する。
次に、火力配分実行部16の動作の詳細について説明する。
図6は、火力配分実行部16の動作を示すフローチャートであり、図3のステップST3の処理の詳細を示している。
火力配分実行部16が備える目標リスト生成部16aは、目標情報記憶部14aおよび火器情報記憶部15aに記憶された情報を参照して、未だに割り当てされていない目標が脅威度の順に設定された目標リストを生成する(ステップST1c)。
火力配分実行部16が備える有効度算出部16bは、目標リスト生成部16aによって生成された目標リストに設定された目標のうち、未処理の目標が残っているか否かを判定する(ステップST2c)。目標リストに設定された全ての目標について処理が完了したと判定すると(ステップST2c;NO)、有効度算出部16bは、処理を終了する。
目標リストに設定された目標に未処理の目標があると判定した場合(ステップST2c;YES)、有効度算出部16bは、未処理の目標のうち、目標リストの最も上位にある目標を処理対象とみなし、この目標に関する目標情報を目標情報記憶部14aから取得する(ステップST3c)。有効度算出部16bは、処理対象の目標に関する目標情報、および火器情報記憶部15aに記憶された火器情報に基づいて、処理対象の目標に対する火器ごとの有効度を算出する(ステップST4c)。これによって、処理対象の目標に対する第1の火器の有効度および第2の火器の有効度が得られる。
次に、火力配分実行部16が備える火器設定部16cは、有効度算出部16bによって算出された火器ごとの有効度に基づいて、有効度が最も高い火器を、処理対象の目標の担当火器に設定する(ステップST5c)。火器設定部16cによって設定された担当火器を示す情報は、目標割り当て部16dおよび待機時間判定部16eに出力される。
目標割り当て部16dと、待機時間判定部16eが備える優先順位算出部16e−1とは、火器設定部16cによって設定された担当火器が第1の火器であるか否かを判定する(ステップST6c)。
担当火器が第1の火器ではなく、第2の火器である場合(ステップST6c;NO)、優先順位算出部16e−1は、第2の火器に対して処理対象の目標(担当目標)とは別に既に割り当てられている目標および上記担当目標について、第2の火器が目標に対処する優先順位を算出する(ステップST7c)。例えば、優先順位算出部16e−1は、目標リストにおける、第2の火器に既に割り当てられた目標および上記担当目標の順位(脅威度)に基づいて、脅威度が高い目標の優先順位が高くなるように、目標ごとの優先順位を算出する。
続いて、待機時間比較部16e−2は、優先順位算出部16e−1によって算出された担当火器(第2の火器)における目標の優先順位が基準値よりも大きいか否かを判定する(ステップST8c)。基準値とは、待機時間の長さに対応する目標の優先順位に関する閾値であり、待機時間比較部16e−2に事前に設定される。待機時間比較部16e−2は、目標の優先順位が基準値以下であると判定すると(ステップST8c;NO)、図6の処理を終了する。
目標割り当て部16dは、目標の担当火器が第1の火器であると判定すると(ステップST6c;YES)、第1の火器への割り当てが可能である場合に限り、処理対象の目標を第1の火器に割り当てる(ステップST9c)。また、追加目標割り当て部16fは、待機時間比較部16e−2によって目標の優先順位が基準値よりも大きい、すなわち、待機時間が長いと判定された場合(ステップST8c;YES)、第1の火器への割り当てが可能である場合に限り、処理対象の目標を第1の火器に割り当てる(ステップST9c)。
次に、火力配分処理の具体的な内容を説明する。
図7は、火器a,b,cに向かって目標A,B,C,Dが飛来した状況を示す概念図である。図7において、火器a,b,cのそれぞれの目標割り当て数の上限値が“3”であり、待機時間の長さの判定に用いられる閾値(以下、待機時間の閾値と記載する)が“6”であると仮定する。例えば、待機時間比較部16e−2は、目標の優先順位が6よりも大きければ、待機時間が長いと判定する。さらに、火器a,b,c間の通信には遅延があるものとする。
図7に示すように、火器a,b,cで構成される部隊に向かって、目標A,B,C,Dが飛来している。目標A,B,C,Dについては、全ての火器(火器a,b,c)から対処可能である。目標A,B,C,Dのいずれも火器に割り当てられていない場合、目標リスト生成部16aが、目標の脅威度の順に並べた目標リストを生成する。
例えば、火器aに最も近い目標Aの脅威度が最も高く、目標リストの上位から“A→B→C→D”であった場合、目標Aから順に火力配分処理が行われる。
有効度算出部16bは、目標Aに対する火器ごとの有効度を算出する。目標Aに対する有効度が最も高い火器が火器aであった場合、火器設定部16cは、目標Aの担当火器を火器aに設定する。
図8Aは、図7の火器aについて、割り当て済み目標がなく、担当目標が目標Aである火力配分を示す図である。図8Aに示すように、火器aには、担当目標として設定された目標Aの他に割り当てられた目標がなく、目標の割り当て数の上限未満であるので、目標割り当て部16dは、火器aへの割り当てが可能と判断し、火器aに対して目標Aを割り当てる。
一方、火器bおよび火器cのそれぞれに搭載された火力配分装置1が備える待機時間判定部16eは、第2の火器である火器aが目標Aの担当であり、火器aにおける目標Aの優先順位が図8Aに示すように“1”であり、待機時間の閾値以下であることから、待機時間は長くないと判定する。これにより、火器bに搭載された火力配分装置1が備える追加目標割り当て部16fは、第1の火器である火器bに目標Aの割り当てを行わず、火器cに搭載された火力配分装置1が備える追加目標割り当て部16fは、第1の火器である火器cに目標Aの割り当てを行わない。
図8Bは、図7の火器aについて、割り当て済み目標が目標A,B,Cで、担当目標が目標Dである火力配分を示す図である。前述した処理の手順が繰り返されて目標Bおよび目標Cへの火力配分が行われ、有効度が最も高い火器aに対して目標Bおよび目標Cが割り当てられる。目標Dに対する火器ごとの有効度のうち、有効度が最も高い火器が火器aであった場合、火器設定部16cは、図8Bに示すように、目標Dの担当火器を火器aに設定する。
図8Bに示すように、火器aに目標Dを割り当てると、火器aにおける目標の割り当て数の上限値“3”を超えてしまう。このため、火器aに搭載された火力配分装置1が備える目標割り当て部16dは、第1の火器である火器aが目標Dの担当火器に設定されても火器aに目標Dを割り当てない。
さらに、火器bおよび火器cのそれぞれに搭載された火力配分装置1が備える待機時間判定部16eは、第2の火器である火器aが目標Dの担当火器であって、火器aにおける目標Dの優先順位が“4”であり、待機時間の閾値以下であることから、待機時間は長くないと判定する。このため、火器bに搭載された火力配分装置1が備える追加目標割り当て部16fは、第1の火器である火器bに目標Dの割り当てを行わず、火器cに搭載された火力配分装置1が備える追加目標割り当て部16fは、第1の火器である火器cに目標Dの割り当てを行わない。
結果として、目標A,B,Cが火器aに割り当てられるが、目標Dは、いずれの火器にも割り当てられないことになる。以下、この火力配分結果の妥当性について述べる。
図7に示す状況において、目標Dを火器cに割り当てたと仮定する。この場合、火器cは目標Dへの対処を開始する。一方、火器間の通信に遅延があるため、火器cに目標Dが割り当てられたことを示す通知は、火器aおよび火器bのそれぞれに搭載された火力配分装置1に遅延して受信される。
例えば、火器aが目標Aへの対処を完了した後に、火器aに搭載された火力配分装置1が、次の火力配分処理を行うタイミングまでに火器cからの上記通知を受信していなかった場合、即座に火器aに目標Dを割り当てて、火器aが目標Dへの対処を開始する。
このとき、目標Dの対処を火器aおよび火器cの両方が行うので、オーバーシュートが発生する。
一方、前述したように目標Dがいずれの火器にも割り当てられなかった場合、火器aが目標Aへの対処を完了した後、火器aに搭載された火力配分装置1が、次の火力配分処理を行うタイミングで目標Dを火器aに割り当てて、火器aが目標Dへの対処を開始する。
このように火器間の通信状況が悪く遅延が生じている場合であっても、火力配分装置1は、目標のオーバーシュートを防ぎつつ、全ての目標に対処することができる。
図9は、火器a,b,cに向かって目標A,B,C,D,E,F,Gが飛来した状況を示す概念図である。図9において、火器a,b,cのそれぞれの目標割り当て数の上限値が“3”であり、待機時間の閾値が“6”であると仮定する。例えば、待機時間比較部16e−2は、目標の優先順位が6よりも大きければ待機時間が長いと判定する。さらに、火器a,b,c間の通信には遅延があるものとする。
図9に示すように、火器a,b,cで構成される部隊に向かって、目標A,B,C,D,E,F,Gが飛来している。目標A,B,C,D,E,Fについては、全ての火器(火器a,b,c)から対処可能であり、目標Gは、火器aと火器cのみが対処可能であるものと仮定する。目標A,B,C,D,E,F,Gのいずれも火器に割り当てられていない場合、目標リスト生成部16aが、目標の脅威度の順に並べた目標リストを生成する。例えば、火器aに最も近い目標Aの脅威度が最も高く、目標リストの上位から“A→B→C→D→E→F→G”であった場合、目標Aから順に火力配分処理が行われる。
有効度算出部16bは、目標Aに対する火器ごとの有効度を算出する。目標Aに対する有効度が最も高い火器が火器aであった場合、火器設定部16cは、目標Aの担当火器を火器aに設定する。目標A,B,C,D,E,F,Gに対する有効度が最も高い火器が、火器aであった場合、前述と同様の手順で火力配分処理が行われて、火器aには、目標A、目標Bおよび目標Cが割り当てられ、目標D、目標Eおよび目標Fはいずれの火器にも割り当てられない。
図10は、図9の火器aについて、割り当て済み目標が目標A,B,Cであり、担当目標が目標D,E,F,Gである場合を示す図である。目標Gに対する有効度が最も高い火器が火器aであった場合、火器設定部16cは、目標Gの担当火器に火器aを設定する。火器aに搭載された火力配分装置1が備える目標割り当て部16dは、目標Gの担当火器が火器aに設定されているが、火器aに目標Gを割り当てると、火器aにおける目標の割り当て数の上限値“3”を超えてしまう。このため、目標割り当て部16dは、目標Gの担当火器が火器aであっても、第1の火器である火器aに目標Gを割り当てない。
目標Gへの対処が可能な残りの火器である火器cに搭載された火力配分装置1が備える待機時間判定部16eは、第2の火器である火器aが目標Gの担当火器であるが、火器aにおける目標Gの優先順位が“7”であって、待機時間の閾値“6”よりも大きいため、待機時間が長いと判定する。これにより、火器cに搭載された火力配分装置1が備える追加目標割り当て部16fは、第1の火器である火器cに目標Gを割り当てる。
結果として、目標A,B,Cが火器aのみに割り当てられ、目標Gは火器cのみに割り当てられ、目標D,E,Fがいずれの火器にも割り当てられないことになる。以下、この火力配分結果の妥当性について述べる。
図9に示す状況において、目標D,E,Fは、いずれの火器にも割り当てられないが、火器aによる目標への対処が適切に行われると若干のタイミングの遅れはあるが、火器aに搭載された火力配分装置1によって、目標D,E,Fは、火器aに割り当てられ、対処される。一方、火器cは、目標Gへの対処を開始する。火器cに搭載された火力配分装置1は、第1の火器である火器cによる目標Gへの割り当てが行われると、火力配分結果を第2の火器である火器aおよび火器bに搭載された火力配分装置1に送信する。
火器間の通信の遅延によって、火器aおよび火器bに搭載された火力配分装置1では、火器cからの火力配分結果が遅延して受信される。その間、火器aは、目標A,B,C,Dへの対処を順次開始する。このとき、火器aが目標Gへの対処を開始するまでの時間は十分に長いため、火器aに搭載された火力配分装置1は、火器aが目標Gへの対処を開始する前の時点で、火器cに目標Gが割り当てられたことを示す火力配分結果を受信する。
火器aに搭載された火力配分装置1は、上記火力配分結果を受信すると、第1の火器である火器aに対して目標Gを割り当てない。これにより、火器aによる目標Gへの対処が開始されないため、目標Gは火器cのみが対処する。この結果、目標Gに対するオーバーシュートが回避される。このとき、火器間で目標の対処に要する負荷が分散されるため、火器間での残弾数の不均衡化も抑制される。
以下、火力配分装置1の機能を実現するハードウェア構成について説明する。
図11Aは、火力配分装置1の機能を実現するハードウェア構成を示すブロック図である。図11Bは、火力配分装置1の機能を実現するソフトウェアを実行するハードウェア構成を示すブロック図である。図11Aおよび図11Bにおいて、ネットワークインタフェース100は、火力配分装置1と図1に示したネットワーク3との間のインタフェースである。第1の火器に搭載された火力配分装置1は、ネットワークインタフェース100およびネットワーク3を介して、第1の火器が備えるモジュールまたは第2の火器に搭載された火力配分装置1と通信接続されている。信号路101は、例えばバス回路であり、ネットワークインタフェース100、センサ102、処理回路103またはプロセッサ104およびメモリ105を互いに接続する。センサ102は、図2に示したセンサ部4であり、レーダに代表されるセンサ装置によって実現される。
火力配分装置1における、情報送信部10、情報受信部11、火器情報取得部12、目標情報取得部13、目標情報記憶処理部14、火器情報記憶処理部15、および火力配分実行部16の機能は処理回路によって実現される。すなわち、火力配分装置1は、図3に示したステップST1からステップST3までの処理を実行する処理回路を備える。この処理回路は、専用のハードウェアであってもよく、メモリに記憶されたプログラムを実行する、例えば、ワークステーションまたはメインフレームにおけるコンピュータが備えるCPU(Central Processing Unit)であってもよい。
処理回路が、図11Aに示す専用のハードウェアの処理回路103である場合、処理回路103は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化されたプロセッサ、並列プログラム化されたプロセッサ、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field−Programmable Gate Array)またはこれらを組み合わせたものが該当する。情報送信部10、情報受信部11、火器情報取得部12、目標情報取得部13、目標情報記憶処理部14、火器情報記憶処理部15および火力配分実行部16の機能を別々の処理回路で実現してもよいし、これらの機能をまとめて1つの処理回路で実現してもよい。
処理回路が、図11Bに示すプロセッサ104である場合、情報送信部10、情報受信部11、火器情報取得部12、目標情報取得部13、目標情報記憶処理部14、火器情報記憶処理部15および火力配分実行部16の機能は、ソフトウェア、ファームウェアまたはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせによって実現される。ソフトウェアまたはファームウェアは、プログラムとして記述されてメモリ105に記憶される。
プロセッサ104は、メモリ105に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、情報送信部10、情報受信部11、火器情報取得部12、目標情報取得部13、目標情報記憶処理部14、火器情報記憶処理部15、および火力配分実行部16の機能を実現する。すなわち、火力配分装置1は、プロセッサ104によって実行されるときに、図3に示したステップST1からステップST3までの処理が結果的に実行されるプログラムを記憶するためのメモリ105を備える。これらのプログラムは、情報送信部10、情報受信部11、火器情報取得部12、目標情報取得部13、目標情報記憶処理部14、火器情報記憶処理部15、および火力配分実行部16の手順または方法をコンピュータに実行させるものである。メモリ105は、コンピュータを、情報送信部10、情報受信部11、火器情報取得部12、目標情報取得部13、目標情報記憶処理部14、火器情報記憶処理部15および火力配分実行部16として機能させるためのプログラムが記憶されたコンピュータ可読記憶媒体であってもよい。
メモリ105には、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically−EPROM)、SSD(ソリッドステートドライブ)などの不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVDなどが該当する。
また、情報送信部10、情報受信部11、火器情報取得部12、目標情報取得部13、目標情報記憶処理部14、火器情報記憶処理部15、および火力配分実行部16の機能について一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。例えば、情報送信部10、情報受信部11、火器情報取得部12および目標情報取得部13は、専用のハードウェアとしての処理回路で機能を実現する。目標情報記憶処理部14、火器情報記憶処理部15、および火力配分実行部16は、プロセッサ104が、メモリ105に記憶されたプログラムを読み出して実行することで機能を実現してもよい。このように、処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアまたはこれらの組み合わせによって上記機能のそれぞれを実現することができる。
以上のように、実施の形態1に係る火力配分装置1は、目標情報記憶処理部14に記憶された目標情報および対処完了結果と火器情報記憶処理部15に記憶された火器情報および火力配分結果とに基づいて目標に対する火器ごとの有効度を算出し、第1の火器の有効度が最も高い目標または有効度が最も高い第2の火器が対処を開始するまでの待機時間が基準値よりも長い目標を、第1の火器に割り当てる。
火器間で目標に対する有効度には大きな乖離が生じないため、有効度が最も高い火器がどれであるかという認識は、火器間で概ね一致する。そこで、火力配分装置1では、原則としては目標に対する有効度が最も高い第1の火器に、この目標を割り当てる。
しかし、部隊を構成する火器のうち、対処すべき目標の負荷が集中した火器がある場合、火器間で負荷の分散を図る必要がある。そこで、火力配分装置1では、有効度が最も高い第2の火器の待機時間が基準値よりも長い目標を第1の火器に割り当てる。
有効度が最も高い第2の火器であっても、目標の対処を開始するまでの待機時間が長い場合、第2の火器に搭載された火力配分装置1は、火器間の通信における遅延を考慮しても、この目標が第1の火器に割り当てられたことを示す火力配分結果を受信する可能性が高い。この火力配分結果を受信すると、第2の火器に搭載された火力配分装置1は、第1の火器に割り当てられた目標が第2の火器の担当目標であっても、この目標を第2の火器に割り当てない。これにより、火力配分装置1は、火器間の通信状態が悪い状況においても、目標の撃ち漏らしおよびオーバーシュートを低減できる。
実施の形態1に係る火力配分装置1において、火力配分実行部16が、第2の火器における目標への対処の優先順位に基づいて第2の火器が目標への対処を開始するまでの待機時間の長さを判定するので、簡易な演算で待機時間の長さを判定することができる。
実施の形態2.
図12は、この発明の実施の形態2に係る火力配分装置1Aの構成を示すブロック図である。図12において、図2と同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。火力配分装置1Aは、図1に示した火力配分装置1a、火力配分装置1b、および火力配分装置1cを総称したものである。火力配分装置1Aは、第1の火器に搭載されたセンサ部4から目標の観測データを入力して、自身を搭載する第1の火器に目標を割り当てる。
火力配分装置1Aは、情報送信部10、情報受信部11、火器情報取得部12、目標情報取得部13、目標情報記憶処理部14、火器情報記憶処理部15、火力配分実行部16Aおよび遅延時間評価部17を備えている。火力配分実行部16Aは、目標リスト生成部16a、有効度算出部16b、火器設定部16c、目標割り当て部16d、待機時間判定部16gおよび追加目標割り当て部16fを備える。待機時間判定部16gは、優先順位算出部16e−1、時間変換部16g−1および待機時間比較部16g−2を備える。
待機時間判定部16gは、遅延時間評価部17により算出された通信遅延時間の見積り値を判定の基準値として、第2の火器が目標への対処を開始するまでの待機時間の長さを判定する。ここで、上記待機時間は、優先順位算出部16e−1により算出された目標の優先順位を時間に変換した値である。時間変換部16g−1は、第2の火器における目標への対処の優先順位から第2の火器の目標の割り当て数の上限値を減じた値に対して目標一つあたりの対処が完了するまでの所要時間の標準値を乗算することで、上記優先順位を時間に変換する。待機時間比較部16g−2は、時間変換部16g−1により算出された待機時間と上記通信遅延時間の見積り値との大小関係に基づいて上記待機時間が長いか否かを判定する。
遅延時間評価部17は、情報受信部11と第2の火器に搭載された火力配分装置1との間の通信状況に基づいて、火器間の通信遅延時間の見積もり値を算出する。通信遅延時間の見積もり値は、第2の火器ごとに算出される。ただし、火器間の通信状況が一様である場合、第2の火器ごとの通信遅延時間の見積もり値を平均した値を使用してもよい。
情報送信部10、情報受信部11、火器情報取得部12、目標情報取得部13、目標情報記憶処理部14、火器情報記憶処理部15、火力配分実行部16Aおよび遅延時間評価部17の機能を実現する処理回路は、図11Aに示した専用のハードウェアである処理回路103であってもよい。また、情報送信部10、情報受信部11、火器情報取得部12、目標情報取得部13、目標情報記憶処理部14、火器情報記憶処理部15、火力配分実行部16Aおよび遅延時間評価部17の機能を実現する処理回路は、図11Bに示した、メモリ105に記憶されたプログラムを実行するプロセッサ104であってもよい。
さらに、情報送信部10、情報受信部11、火器情報取得部12、目標情報取得部13、目標情報記憶処理部14、火器情報記憶処理部15、火力配分実行部16Aおよび遅延時間評価部17の機能について一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。
次に動作について説明する。
図13は、火力配分実行部16Aの動作を示すフローチャートであり、実施の形態1で説明した図3のステップST3の処理の詳細を示している。図13のステップST1dからステップST7dまでの処理は、図6のステップST1cからステップST7cまでの処理と同じであるので説明を省略する。
ステップST8dにおいて、時間変換部16g−1は、優先順位算出部16e−1によって算出された、担当火器における目標への対処の優先順位を時間に変換する。例えば、時間変換部16g−1には、目標一つあたりの対処が完了するまでの所要時間の標準値が事前に設定されている。時間変換部16g−1は、担当火器における目標への対処の優先順位から、担当火器における目標割り当て数の上限値を減算し、減算で得られた値に対して上記所要時間の標準値を乗じた値を算出する。この算出値が、担当火器が目標への対処を開始するまでの待機時間である。
なお、時間変換部16g−1は、対象の目標の優先順位までの範囲で、担当火器による目標への対処のシミュレーションを実行して、対象の目標の対処が開始されるまでの待機時間を算出してもよい。例えば、時間変換部16g−1は、目標情報記憶部14aに記憶された目標情報、および火器情報記憶部15aに記憶された火器情報に基づいて、目標が等速直線運動し、かつ目標の撃墜確率が1であると仮定したシミュレーションを実行することにより、上記待機時間を算出する。
次に、待機時間比較部16g−2は、遅延時間評価部17から通信遅延時間の見積り値を待機時間の基準値とみなして入力して、時間変換部16g−1によって算出された待機時間が上記基準値よりも長いか否かを判定する(ステップST9d)。
上記待機時間が上記基準値以下であると判定すると(ステップST9d;NO)、待機時間比較部16g−2は、図13の処理を終了する。
目標割り当て部16dは、目標の担当火器が第1の火器であると判定すると(ステップST6d;YES)、第1の火器への割り当てが可能である場合に限り、処理対象の目標を第1の火器に割り当てる(ステップST10c)。また、追加目標割り当て部16fは、待機時間比較部16g−2によって上記待機時間が上記基準値よりも大きい、すなわち待機時間が通信遅延時間の見積り値よりも長いと判定された場合(ステップST9d;YES)、第1の火器への割り当てが可能であれば、処理対象の目標を第1の火器に割り当てる(ステップST10c)。
実施の形態1で示した図9の状況を例に挙げて、実施の形態2における火力配分処理について説明する。火器a,b,cのそれぞれの目標割り当て数の上限値が“3”であると仮定する。また、火器a,b,c間の通信には遅延があるものとする。火器a,b,cで構成される部隊に向かって、目標A,B,C,D,E,F,Gが飛来している。目標A,B,C,D,E,Fについては、全ての火器(火器a,b,c)からの対処が可能であり、目標Gは、火器aと火器cのみが対処可能であるものと仮定する。
以下、目標A,B,Cは火器aのみに割り当てられ、目標D,E,Fはいずれの火器にも割り当てられていない状況であるものと仮定する。
図9の状況において目標Gに対する火器aの有効度が最も高い場合、火器設定部16cは、火器aを目標Gの担当火器に設定する。火器aに搭載された火力配分装置1Aが備える目標割り当て部16dは、第1の火器である火器aが目標Gの担当火器であるが、火器aに目標Gを割り当てると、火器aにおける目標の割り当て数の上限値“3”を超えてしまう。このため、目標割り当て部16dは、目標Gの担当火器が火器aであっても、第1の火器である火器aに目標Gを割り当てない。
一方、目標Gへの対処が可能な残りの火器である火器cに搭載された火力配分装置1Aが備える待機時間判定部16gは、第2の火器である火器aが目標Gの担当火器であるが、火器aにおける目標Gの待機時間が通信遅延時間の見積もり値よりも長いと判定したものと仮定する。これにより、火器cに搭載された火力配分装置1Aが備える追加目標割り当て部16fは、第1の火器である火器cに目標Gを割り当てる。
結果として、目標A,B,Cが火器aのみに割り当てられ、目標Gは火器cのみに割り当てられ、目標D,E,Fがいずれの火器にも割り当てられないことになる。
図9の状況において、目標D,E,Fはいずれの火器にも割り当てられないが、火器aによる目標への対処が適切に行われると若干のタイミングの遅れはあるが、火器aに搭載された火力配分装置1Aによって、目標D,E,Fは、火器aに割り当てられ、対処される。一方、火器cは、目標Gへの対処を開始する。火器cに搭載された火力配分装置1Aは、第1の火器である火器cによる目標Gへの割り当てが行われると、火力配分結果を、第2の火器である火器aおよび火器bに搭載された火力配分装置1Aに送信する。
火器間の通信の遅延によって火器aおよび火器bに搭載された火力配分装置1Aでは、火器cからの火力配分結果が遅延して受信される。その間、火器aは、目標A,B,C,Dへの対処を順次開始する。このとき、目標Gの待機時間が通信遅延時間の見積もり値よりも長いため、火器aに搭載された火力配分装置1Aは、火器aが目標Gへの対処を開始する前の時点で、火器cに目標Gが割り当てられたことを示す火力配分結果を受信する。
火器aに搭載された火力配分装置1Aは、上記火力配分結果を受信すると、第1の火器である火器aに対して目標Gを割り当てない。これにより、火器aによる目標Gへの対処が開始されないため、目標Gは火器cのみが対処する。この結果、目標Gに対するオーバーシュートが回避される。このとき、火器間で目標の対処に要する負荷が分散され、火器間での残弾数の不均衡化も抑制される。
以上のように、実施の形態2に係る火力配分装置1Aにおいて、火力配分実行部16Aが、火器間の通信遅延時間の見積もり値を待機時間の基準値とするので、火器間の通信の遅延に起因したオーバーシュートの発生を回避できる。
実施の形態2に係る火力配分装置1Aにおいて、火力配分実行部16Aが、第2の火器における目標への対処の優先順位から第2の火器の目標の割り当て数の上限値を減じた値に対して目標一つあたりの対処が完了するまでの所要時間の標準値を乗じた値を、待機時間として使用する。これにより、火力配分実行部16Aは、簡易な演算で上記待機時間を算出することができる。
実施の形態2に係る火力配分装置1Aにおいて、火力配分実行部16Aは、第2の火器による目標への対処のシミュレーションを行うことにより、待機時間を算出する。これにより、火力配分実行部16Aは、正確な待機時間を算出することができる。
実施の形態3.
図14は、この発明の実施の形態3に係る火力配分装置1Bの構成を示すブロック図である。図14において、図2と同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。火力配分装置1Bは、図1に示した火力配分装置1a、火力配分装置1b、および火力配分装置1cを総称したものである。火力配分装置1Bは、第1の火器に搭載されたセンサ部4から目標の観測データを入力して、自身を搭載する第1の火器に目標を割り当てる。
火力配分装置1Bは、情報送信部10、情報受信部11、火器情報取得部12、目標情報取得部13、目標情報記憶処理部14、火器情報記憶処理部15および火力配分実行部16Bを備えている。火力配分実行部16Bは、目標リスト生成部16a、有効度算出部16b、火器設定部16c、目標割り当て部16d、待機時間判定部16e、支援火器候補抽出部16h、支援火器決定部16iおよび追加目標割り当て部16fを備える。
火力配分実行部16Bは、対象の目標に対する有効度が最も高い第2の火器の待機時間が基準値よりも長い場合、対象の目標を割り当て可能な支援火器候補が第1の火器を含めて複数存在するときに優先度を火器ごとに評価して、支援火器のうち、第1の火器の優先度が最も高いと評価された場合に、対象の目標を第1の火器に割り当てる。
支援火器は、火器設定部16cによって設定された対象の目標の担当火器以外の火器のうち、上記対象の目標への対処が割り当てられる火器である。支援火器候補は、支援火器に決定される可能性がある火器である。優先度は、支援火器候補のうち、支援火器として決定されるべき優先度合いを示す値である。
なお、優先度は、火器間の通信に遅延があっても、全ての火器に搭載された火力配分装置1Bどうしで齟齬がないように評価可能な値であり、例えば、火器ごとに付与された数値の識別子、有効度算出部16bによって火器ごとに算出された目標に対する有効度、または火器の残弾数が利用される。
支援火器候補抽出部16hは、待機時間比較部16e−2による待機時間の長さの判定結果、目標情報記憶部14aに記憶された目標情報、および火器情報記憶部15aに記憶された火器情報に基づいて、対象の目標を割り当て可能な支援火器候補を抽出する。支援火器候補抽出部16hによって抽出された支援火器候補を示す情報は、支援火器決定部16iに出力される。
支援火器決定部16iは、支援火器候補抽出部16hによって抽出された支援火器候補が第1の火器を含めて複数存在する否かを判定する。支援火器候補抽出部16hによって支援火器候補が複数存在すると判定した場合、支援火器決定部16iは、対象の目標を割り当てる優先度を支援火器候補ごとに評価して、支援火器候補のうち、第1の火器の優先度が最も高いと評価した場合に、対象の目標を第1の火器に割り当てる。
情報送信部10、情報受信部11、火器情報取得部12、目標情報取得部13、目標情報記憶処理部14、火器情報記憶処理部15および火力配分実行部16Bの機能を実現する処理回路は、図11Aに示した専用のハードウェアである処理回路103であってもよい。また、情報送信部10、情報受信部11、火器情報取得部12、目標情報取得部13、目標情報記憶処理部14、火器情報記憶処理部15および火力配分実行部16Bの機能を実現する処理回路は、図11Bに示した、メモリ105に記憶されたプログラムを実行するプロセッサ104であってもよい。
さらに、情報送信部10、情報受信部11、火器情報取得部12、目標情報取得部13、目標情報記憶処理部14、火器情報記憶処理部15および火力配分実行部16Bの機能について一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。
次に動作について説明する。
図15は、火力配分実行部16Bの動作を示すフローチャートであり、実施の形態1で説明した図3のステップST3の処理の詳細を示している。図15のステップST1eからステップST8eまでの処理は、図6のステップST1cからステップST8cまでの処理と同じであるので説明を省略する。
ステップST9eにおいて、支援火器候補抽出部16hは、火器設定部16cによって設定された対象の目標の担当火器以外の火器のうち、上記対象の目標の割り当てが可能な火器である支援火器候補を抽出する。例えば、図9に示した状況において担当火器が火器aである場合、火器bが対象の目標への対処が可能であり、かつ、対象の目標を割り当てても火器bの目標割り当て数の上限を超えない場合、火器bは支援火器候補として抽出される。
支援火器候補抽出部16hは、待機時間比較部16e−2によって担当火器である第2の火器が対象の目標への対処を開始するまでの待機時間が基準値よりも長いと判定された場合に、目標情報記憶部14aに記憶された目標情報および火器情報記憶部15aに記憶された火器情報に基づいて、対象の目標を割り当て可能な支援火器候補を抽出する。
火器が対象の目標に対処可能であるか否かは、対象の目標に関する目標情報およびこの火器に関する火器情報に基づいて判定可能である。一方、火器の目標割り当て数の上限に関する制約が満たされるか否かは、火器のその時点における火力配分結果、より具体的には火器に割り当て済みの目標の数を示す情報が必要である。ただし、火器間の通信に遅延がある場合、第1の火器に搭載された火力配分装置1Bでは、第1の火器以外についての正確な情報が不明となる。この場合、火力配分装置1Bは、火器間の通信により現時点で得られている最新の火力配分結果に基づいて、火器の目標割り当て数の上限に関する制約を満たすか否かを判定する。
しかし、火器間の通信に遅延があると、火力配分装置1Bが受信した最新の火力配分結果が、現在の火力配分結果とは異なる可能性がある。この場合、支援火器候補として抽出された第2の火器が、実際には対象の目標を割り当てることができない可能性がある。対象の目標を割り当てることができない第2の火器が支援火器に決定されると、対象の目標がどの火器にも割り当てられない事態を招く。
前述の事態を回避するため、支援火器候補抽出部16hは、第2の火器の目標割り当て数の上限値から一定の値k(kは正の整数)を減じた値を基準として、対象の目標を第2の火器に割り当て可能か否かを判定する。これにより、対象の目標へのオーバーシュートの可能性は増えるが、撃ち漏らしを低減することができる。
ステップST10eにおいて、支援火器決定部16iは、支援火器候補抽出部16hによって抽出された支援火器候補が一つであるか否かを判定する。
支援火器候補が複数あると判定した場合(ステップST10e;NO)、支援火器決定部16iは、支援火器候補の優先度を評価し、評価結果に基づいて1つの支援火器候補を抽出する(ステップST11e)。なお、支援火器候補の優先度を評価する目的は、支援火器候補を1つの候補に絞ることである。支援火器候補を1つの候補に絞ることにより、対象の目標に割り当てられる火器を1つに絞ることができる。これにより、複数の火器が同一の目標に割り当てられたオーバーシュートを回避することができる。
前述したように、優先度は、火器間の通信に遅延があっても、全ての火器に搭載された火力配分装置1Bどうしで齟齬がないように評価可能な値である。優先度は、火器ごとに付与された数値の識別子であってもよい。識別子は、部隊を構成する全ての火器に対して互いに異なる支援火器候補を1つの候補に絞ることができるよう異なる数値が付与される。例えば、支援火器決定部16iが、識別子が最小の支援火器候補を選択することで、支援火器候補を1つの候補に絞ることができる。
優先度は、有効度算出部16bによって算出された対象の目標に対する有効度であってもよい。例えば、支援火器決定部16iが、有効度が最も高い支援火器候補を選択することで、支援火器候補を1つに絞ることができ、効率よく目標に対処する火力配分を行うことができる。なお、有効度は、火器間の通信に遅延があっても、火力配分装置1Bどうしで齟齬が少ないと考えられる。
優先度は、火器の残弾数であってもよい。例えば、支援火器決定部16iが、残弾数が最も多い支援火器候補を選択することで、部隊を構成する火器間で残弾数の平均化を図ることができる。なお、残弾数は、火器間の通信で得られる値であり、通信の遅延によって火力配分装置1Bどうしで齟齬が発生する可能性がある。ただし、残弾数の時間に対する変動が小さければ、火力配分装置1Bどうしでの齟齬は微小になると考えられる。
また、優先度は、互いに異なる優先度が統合された値を最終的な優先度として使用してもよい。さらに、有効度または残弾数を優先度に使用しても支援火器候補が1つに絞られない場合、上記識別子を優先度として使用して支援火器候補を1つに絞り込んでもよい。
ステップST11eで支援火器候補が1つに絞られるか、支援火器候補が1つであった場合(ステップST10e;YES)、支援火器決定部16iは、支援火器候補が第1の火器であるか否かを判定する(ステップST12e)。支援火器候補が第2の火器であると判定した場合(ステップST12e;NO)、火力配分実行部16Bは、図15の処理を終了する。
一方、支援火器候補が第1の火器であると判定した場合(ステップST12e;YES)、支援火器決定部16iは、第1の火器を支援火器に決定して、支援火器を示す情報を追加目標割り当て部16fに出力する。追加目標割り当て部16fは、支援火器決定部16iから入力した支援火器を示す情報に基づいて、対象の目標を第1の火器に割り当てる(ステップST13e)。
実施の形態1で示した図9の状況を例に挙げて、実施の形態3における火力配分処理について説明する。火器a,b,cのそれぞれの目標割り当て数の上限値が“3”であり、待機時間の閾値が“6”であると仮定する。また、火器a,b,c間の通信には遅延があるものとする。火器a,b,cで構成される部隊に向かって、目標A,B,C,D,E,F,Gが飛来しており、目標A,B,C,D,E,F,Gは、全ての火器(火器a,b,c)から対処可能であると仮定する。以下、目標A〜Fは火力配分処理が完了しており、目標A,B,Cは火器aのみに割り当てられ、目標D,E,Fはいずれの火器にも割り当てられていない状況であるものと仮定する。
図9の状況において目標Gに対する火器aの有効度が最も高い場合、火器設定部16cは、火器aを目標Gの担当火器に設定する。
火器aに搭載された火力配分装置1Bが備える目標割り当て部16dは、第1の火器である火器aが目標Gの担当火器であるが、火器aに目標Gを割り当てると、火器aにおける目標の割り当て数の上限値“3”を超える。このため、目標割り当て部16dは、目標Gの担当火器が火器aであっても、第1の火器である火器aに目標Gを割り当てない。
一方、目標Gへの対処が可能な残りの火器である火器bおよび火器cに搭載された火力配分装置1Bが備える待機時間判定部16eは、第2の火器である火器aが目標Gの担当火器であるが、火器aにおける目標Gの優先順位が基準値よりも大きく、待機時間が長いと判定する。
このとき、実施の形態1に係る火力配分装置1では、火器bに搭載された火力配分装置1が備える追加目標割り当て部16fが、第1の火器である火器bに目標Gを割り当て、火器cに搭載された火力配分装置1が備える追加目標割り当て部16fが、第1の火器である火器cに目標Gを割り当てることになる。この場合、火器bおよび火器cが目標Gに重複して対処するオーバーシュートが発生する。
これに対して、実施の形態3に係る火力配分装置1Bでは、支援火器候補抽出部16hによって支援火器候補として火器bおよび火器cが抽出されると、支援火器決定部16iが、火器bおよび火器cの優先度を評価して、火器bおよび火器cのいずれか1つを支援火器に決定する。部隊を構成する火器a,b,cの全てにおいて優先度の評価結果に齟齬がなければ、同じ火器が支援火器に決定される。従って、火器bおよび火器cのいずれかが支援火器に決定されて、支援火器が目標Gに割り当てられるので、オーバーシュートが発生しない。
以上のように、実施の形態3に係る火力配分装置1Bにおいて、火力配分実行部16Bが、対象の目標に対する有効度が最も高い第2の火器の待機時間が基準値よりも長い場合に、対象の目標を割り当て可能な支援火器候補が第1の火器を含めて複数存在するか否かを判定する。火力配分実行部16Bは、支援火器候補が複数存在すると判定したときに優先度を火器ごとに評価して、第1の火器の優先度が最も高いと評価された場合に、対象の目標を第1の火器に割り当てる。第2の火器による対処の待機時間が長い目標であっても支援火器が一つに絞られるため、火力配分装置1Bは、対象の目標のオーバーシュートを低減できる。
実施の形態3に係る火力配分装置1Bにおいて、火力配分実行部16Bが、対象の目標を割り当て可能な火器が第1の火器を含めて複数存在するか否かを判定するときに、第2の火器の割り当て済みの目標の数を、第2の火器の目標割り当て数の上限値から一定の値kを減じた値と比較した結果に基づいて、対象の目標を第2の火器に割り当て可能か否かを判定する。これにより、火力配分装置1Bは、対象の目標の撃ち漏らしを低減できる。
実施の形態3に係る火力配分装置1Bにおいて、火力配分実行部16Bは、火器ごとに付与された数値の識別子を優先度として使用する。この優先度を使用することによって、火力配分実行部16Bは、簡易な演算で支援火器を1つに絞り込むことができる。
実施の形態3に係る火力配分装置1Bにおいて、火力配分実行部16Bは、火器ごとの割り当て判定対象の目標に対する有効度を優先度として使用する。この優先度を使用することによって、火力配分実行部16Bは、効率よく目標に対処する火力配分を行うことができる。
実施の形態3に係る火力配分装置1Bにおいて、火力配分実行部16Bは、火器ごとの残弾数を優先度として使用する。この優先度を使用することによって、火力配分実行部16Bは、火力配分で火器間の残弾数の平均化を図ることができる。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において、実施の形態のそれぞれの自由な組み合わせまたは実施の形態のそれぞれの任意の構成要素の変形もしくは実施の形態のそれぞれにおいて任意の構成要素の省略が可能である。