以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、実施の形態の乾燥装置10の縦断面を模式的に示した図である。図2は、図1のA−A断面を模式的に示した図である。図3は、実施の形態の乾燥装置10の燃焼装置30の構成の概略を模式的に示した図である。図4は、実施の形態の乾燥装置10のメインバーナ31およびパイロットバーナ32の断面を模式的に示した図である。なお、図1は、被乾燥物Wを乾燥室20に投入する投入口側から乾燥装置10を見たときの図である。
図1に示すように、乾燥装置10は、被乾燥物Wを収容する乾燥室20と、乾燥室20に供給する燃焼ガスを発生させる燃焼装置30と、燃焼装置30で発生した燃焼ガスと希釈用空気Dとの混合気を乾燥用気体Gとして乾燥室20に通風させる通風ダクト80と、乾燥用気体Gを通風ダクト80、乾燥室20を通過させてから外部に排出するように通流させる排気ファン40とを備える。
乾燥室20は、筐体状の外装ケーシング50内に設けられる。具体的には、乾燥室20は、図1に示すように、その中心軸を水平横向き(図1の紙面に垂直な方向)にした状態で外装ケーシング50内に設けられた円筒状の外郭形成部材21内に形成される。
円筒状の外郭形成部材21には、図1に示すように、外装ケーシング50の一方の上部角部に対応する部分に、乾燥用気体Gを乾燥室20内に導入する乾燥用気体入口22が形成されている。また、外装ケーシング50の上部角部に対向する下部角部に対応する部分に、乾燥室20内から乾燥用気体Gを排出する乾燥用気体出口23が形成されている。
乾燥用気体入口22および乾燥用気体出口23は、外郭形成部材21の中心軸方向(以下、外郭形成部材軸方向という)に沿う方向に所定の長さに亘って形成されている。
外郭形成部材21の外郭形成部材軸方向の両端は、図2に示すように、開口されている。そして、外郭形成部材21の外郭形成部材軸方向の一端は、被乾燥物Wを投入する投入口24として、外郭形成部材21の外郭形成部材軸方向の他端は、被乾燥物Wを取り出す取出口25として機能する。なお、被乾燥物Wとしては、特に限定されるものではないが、例えば、衣類、シーツ、タオルなどが挙げられる。
投入口24の外郭形成部材軸方向の外側には、例えば、鉛直上下方向にスライド可能な投入ドア60が設けられている。この投入ドア60は、例えば、鉛直上下方向にスライド可能に、外装ケーシング50に取り付けられている。投入ドア60の閉鎖時は、投入口24は、投入ドア60によって覆われ、外部から乾燥室20内に被乾燥物Wを投入できない状態となる。
被乾燥物Wの投入は、例えば、乾燥装置10の投入側に設けられている投入コンベア(図示しない)を経由し行われる。乾燥装置10は、投入コンベアから出力された投入開始信号を受信し、被乾燥物Wを投入口24を介して乾燥室20内に投入する投入工程を開始する。投入コンベアが投入終了に係る信号を検出した場合は、投入コンベアは、投入終了信号を乾燥装置10へ出力する。乾燥装置10は、投入終了信号を受信すると、投入工程を終了して乾燥工程を開始する。
なお、投入コンベアの設置がない場合の被乾燥物Wの投入は、作業者により行われる。この場合、投入開始信号、投入終了信号、乾燥工程を開始するための信号は、例えば、操作パネルなどの入力装置を作業者が操作することで、乾燥装置10へ入力装置から出力される。
取出口25の外郭形成部材軸方向の外側には、例えば、取出ドア61が設けられている。この取出ドア61は、支持部材62によって、例えば、外郭形成部材軸方向の外側に向かって移動可能に支持されている。取出ドア61の開放時は、取出口25から乾燥室20内の被乾燥物Wを外部に取り出せる。なお、投入ドア60および取出ドア61の構成は、特に限られるものではない。また、乾燥装置10は、投入ドア60の開閉を検出する開閉検出センサ63や取出ドア61の開閉を検出する開閉検出センサ64を備える。
被乾燥物Wの乾燥室20内から外部への取り出しは、乾燥装置10の取出ドア61付近に設けられている排出コンベア(図示しない)を経由し行われる。乾燥装置10が温度や時間をトリガに乾燥工程の終了を判断し、被乾燥物Wを排出コンベア上に自動で取り出す。乾燥終了に係る信号を検出した乾燥装置10は、排出コンベアへ排出開始信号を出し、規定時間の排出工程を終了後、取出ドア61を閉じ、次の工程を行うために待機する。乾燥装置10から出力された待機信号を受信した投入コンベアは、次に乾燥する新たな被乾燥物Wの投入を開始する。
なお、排出コンベアの設置がない場合の被乾燥物Wの取り出しは、作業者により行われる。この場合、排出開始信号、排出終了信号、待機信号は、例えば、操作パネルなどの入力装置を作業者が操作することで、乾燥装置10や投入コンベアへ入力装置から出力される。
乾燥装置10は、投入、乾燥、冷却、排出、待機の一連の工程を繰り返し行うことで洗濯ラインの設備を形成している。なお、後述するが、乾燥装置10の一連の工程に冷却工程を含まない場合もある。
乾燥室20内には、円筒状の回転ドラム70が設けられている。回転ドラム70は、複数の貫通孔71が形成された板状部材を円筒状することで形成される。回転ドラム70の外郭形成部材軸方向の両端は、図2に示すように、開口されている。
回転ドラム70は、その中心軸が外郭形成部材21の中心軸と同軸となるように配置される。そして、回転ドラム70は、回転ドラム70の中心軸を回転軸として電動モータ(図示しない)によって回転駆動されるように設けられている。
被乾燥物Wは、投入ドア60を開いた状態で投入口24を介して回転ドラム70内に投入される。乾燥工程において回転ドラム70を回転させることにより、乾燥室20内の被乾燥物Wを転動させて、被乾燥物Wに乾燥用気体Gが均等に当たるように構成されている。
乾燥室20には、乾燥室20内の乾燥用気体Gの温度を検出する温度検出センサ26が備えられている。温度検出センサ26は、例えば、乾燥室20内の乾燥用気体入口22に近い位置に設けられている。なお、温度検出センサ26は、乾燥室温度検出部として機能する。
通風ダクト80は、図1に示すように、内部に乾燥用気体通路81を有する筒状のダクトである。通風ダクト80は、例えば、乾燥用気体入口22が位置する側の外装ケーシング50の外側に沿って上方向(鉛直上方向)に延設されている。
そして、通風ダクト80の下流側の端部80aは、乾燥用気体入口22に向けて直角に屈曲させて外装ケーシング50内に挿入され、外装ケーシング50に接続されている。これによって、通風ダクト80は、乾燥用気体入口22を介して乾燥室20内に連通する。すなわち、乾燥用気体通路81は、乾燥用気体Gを、上方に向けて通流させ、外装ケーシング50内の上方側から乾燥室20内に導入するように形成されている。
通風ダクト80の上流端80bは、外気を通風ダクト80内に導入できるように開口されている。なお、上流端80bに複数の貫通孔を有する板状部材を備える構成であってもよい。上流端80bから通風ダクト80内に導入された外気は、希釈用空気Dとして機能する。
また、通風ダクト80の上流端80bよりも下流側には、温度検出センサ27が備えられている。この温度検出センサ27は、燃焼装置30で発生した燃焼ガスが燃焼装置30よりも上流端80b側(上流側)に逆流したことを検出するためのセンサである。温度検出センサ27は、例えば、通風ダクト80内の燃焼装置30よりも上流端80b側に備えられている。
下流側の乾燥用気体通路81には、例えば、複数のダンパ82が備えられている。ダンパ82は、乾燥用気体通路81の方向に直交する軸心82aを回転軸として揺動可能に設けられている。
そして、ダンパ82の先端の開き状態を変更調節することで、乾燥用気体Gの通流量を調整できる。また、ダンパ82によって乾燥用気体Gの流れ方向を制御することができる。なお、図示していないが、乾燥用気体Gの流れを整流するために、乾燥用気体入口22を、例えば、複数の貫通孔を有する整流板で覆ってもよい。
また、外装ケーシング50内には、乾燥室20の乾燥用気体出口23から排出される使用済みの乾燥用気体Gを上方へ導く乾燥用気体排出通路51が形成されている。乾燥用気体排出通路51は、外装ケーシング50内を通路形成部材52によって区画することで形成されている。外装ケーシング50の上部壁には、乾燥用気体排出通路51に対して吸引作用を発揮できるように排気ファン40が設けられている。
乾燥用気体排出通路51の一部には、通路を塞ぐように通路断面に亘ってフィルタ53が設けられている。フィルタ53は、乾燥用気体排出通路51を流れる使用済みの乾燥用気体Gから糸くずや塵埃等を除去する。
このような構成の通風ダクト80において、排気ファン40の吸引作用によって、通風ダクト80の上流端80bから吸引された希釈用空気Dは、メインバーナ31およびパイロットバーナ32の周囲を通り、燃焼装置30で発生した燃焼ガスと混合し、乾燥用気体Gとなる。そして、乾燥用気体Gは、乾燥用気体通路81、乾燥室20、乾燥用気体排出通路51を通り乾燥装置10の外部に流出する。
排気ファン40の出口は、図2に示すように、排気管41と連通している。また、排気ファン40の出口には、排気ファン40から流出する使用済みの乾燥用気体Gの温度を検出する温度検出センサ45が備えられている。なお、温度検出センサ45は、ファン出口温度検出部として機能する。
排気管41は、排気ファン40から排出された使用済みの乾燥用気体Gを大気中に放出する。排気管41には、流量調整弁42が備えられている。
また、排気管41には、流量調整弁42よりも上流側で分岐するように分岐管43が連結されている。この分岐管43には、流量調整弁44が備えられている。分岐管43は、図2に示すように、外装ケーシング50、外郭形成部材21を貫通している。分岐管43の先端部43a(下流端部)は、投入ドア60と回転ドラム70との間の隙間に突出している。
分岐管43の先端部43aは、鉛直方向に対して取出口側に傾いている。先端部43aは、例えば、外郭形成部材軸方向に沿って取出口側に傾いている。先端部43aの先端開口は、例えば、投入ドア側の回転ドラム70の開口72の周面72aよりも、外郭形成部材21の中心軸側に位置する。なお、先端部43aは、投入ドア60や回転ドラム70に接触することない。また、先端部43aは、例えば、傾斜している。なお、分岐管43の先端部43aの形状は、これに限られるものではなく、先端部43aから回転ドラム70内に乾燥用気体Gを噴出できる構成であればよい。
使用済みの乾燥用気体Gは、回転ドラム70内に、外郭形成部材軸方向に沿って取出口側の方向に、先端部43aの先端開口から噴出される。換言すれば、使用済みの乾燥用気体Gは、回転ドラム70内に、回転ドラム70の開口72の上部側から下方斜め方向に噴出される。これによって、回転ドラム70内の被乾燥物Wを取出口25に向かって移動させることができる。
なお、流量調整弁42、44の弁開度を調整することで、大気中に放出される乾燥用気体Gの流量と、回転ドラム70内に戻される乾燥用気体Gの流量を調整できる。また、ここでは、排気管41に流量調整弁42、分岐管43に流量調整弁44を備えた構成を示しているが、少なくとも分岐管43に流量調整弁44を備えていればよい。すなわち、排気ファン40から流出する使用済みの乾燥用気体Gの一部を、条件によって分岐管43に流量調整可能に流すことができるように構成されていればよい。
次に、燃焼装置30について説明する。
燃焼装置30は、図3に示すように、メインバーナ31と、パイロットバーナ32と、メインバーナ31に混合気を供給するメイン混合気供給系統90と、パイロットバーナ32に混合気を供給するパイロット混合気供給系統100と、制御装置110とを備える。
メインバーナ31は、乾燥室20に供給される、被乾燥物Wを乾燥する熱源となる燃焼ガスを発生させる。メインバーナ31は、図1に示すように、通風ダクト80の上流側の端部に設けられる。なお、メイン混合気供給系統90は、メイン供給系統として機能し、パイロット混合気供給系統100は、パイロット供給系統として機能する。
パイロットバーナ32は、メインバーナ31に隣接して配置され、メインバーナ31とともに通風ダクト80の上流側の端部に設けられる。パイロットバーナ32は、図4に示すように、パイロットバーナ32の火炎34がパイロットバーナ32の燃焼筒内に臨むように配置されている。また、パイロットバーナ32は、パイロットバーナ32の着火源となるイグナイタ35cを備える。
このようにパイロットバーナ32を配置することで、メインバーナ31を着火する際、パイロットバーナ32の火炎33からメインバーナ31に火移りが可能となる。このように、パイロットバーナ32は、メインバーナ31の着火源となる。例えば、パイロットバーナ32は、メインバーナ31が消炎している際に燃焼し、メインバーナ31の着火源となる。なお、パイロットバーナ32においても、乾燥室20に供給する燃焼ガスを発生させる。
また、燃焼装置30には、メインバーナ31およびパイロットバーナ32に火炎が形成されているか否かを検出する火炎検出センサ35が備えられている。火炎検出センサ35は、例えば、一つ設けられている。この場合、火炎検出センサ35が火炎が形成していることを検出したときには、メインバーナ31またはパイロットバーナ32、メインバーナ31およびパイロットバーナ32が燃焼状態にある。
ここで、火炎検出センサ35は、非接触式検出器であっても、接触式検出器であってもよい。非接触式検出器としては、例えば、火炎から放出される放射線を検出する光学式火炎検出器などが使用される。接触式検出器としては、例えば、火炎導電現象や火炎整流現象を利用して火炎の有無を検出するフレームロッドなどの挿入式火炎検出器などが使用される。なお、火炎検出センサ35は、火炎の有無を検出できるものであればよく、その検出方式は、特に限定されるものではない。
ここで、図4に示すように、メインバーナ31は、混合気導入筒31a、炎孔板31b、燃焼筒31cを備える。
混合気導入筒31aは、配管99と連結された筒体である。混合気導入筒31aには、ミキサ96で形成された混合気が配管99を介して導入される。
炎孔板31bは、混合気導入筒31aの上方に配置され、複数の炎孔31dを有する。この炎孔31dは、炎孔板31bを貫通するように形成されている。混合気導入筒31a内に導入された混合気は、炎孔31dから燃焼筒31c内に噴出される。
燃焼筒31cは、例えば、炎孔板31bの周囲から上方側に伸びる筒体で構成される。炎孔31dから噴出された混合気は、燃焼筒31c内および燃焼筒31cの下流側において燃焼する。燃焼状態においては、図4に示すように、燃焼筒31c内および燃焼筒31cの下流側に火炎33が形成される。
パイロットバーナ32は、混合気導入筒32a、炎孔板32b、燃焼筒32cを備える。
混合気導入筒32aは、配管109と連結された筒体である。混合気導入筒32aには、ミキサ106で形成された混合気が配管109を介して導入される。
炎孔板32bは、混合気導入筒32aの上方に配置され、複数の炎孔32dを有する。この炎孔32dは、炎孔板32bを貫通するように形成されている。混合気導入筒32a内に導入された混合気は、炎孔32dから燃焼筒32c内に噴出される。
燃焼筒32cは、例えば、炎孔板32bの周囲から上方側に伸びる筒体で形成される。炎孔32dから噴出された混合気は、燃焼筒32c内および燃焼筒32cの下流側において燃焼する。燃焼状態においては、図4に示すように、燃焼筒32c内および燃焼筒32cの下流側に火炎34が形成される。
メイン混合気供給系統90は、図3に示すように、ファン91、燃料供給源92、遮断弁93、94、流量調整弁95、ミキサ96を備える。ファン91とミキサ96は、例えば、配管97で連結されている。配管97には、ファン91から吐出された燃焼用空気が流れる。また、ファン91出口近傍の配管97には、燃焼用空気の流量を調整する流量調整弁97aが備えられている。この流量調整弁97aは、例えば、バタフライ弁などで構成される。また、配管97、98には、流量を設定するための流量設定弁120、121が備えられている。
燃料供給源92とミキサ96は、配管98で連結されている。配管98には、例えば、遮断弁93、94、流量調整弁95が備えられている。そして、配管98には、燃料供給源92から供給されたガス燃料が流れる。
流量調整弁95は、例えば、遮断弁93と遮断弁94との間に備えられている。流量調整弁95と配管97との間には、図3に示すように、配管97内を流れる空気流の静圧を流量調整弁95に伝達する圧力伝達管95aが設けられている。なお、配管97と圧力伝達管95aとの連結部は、流量調整弁97aとミキサ96との間に位置する。
流量設定弁120は、圧力伝達管95aと配管97との連結部と、ミキサ96との間に設けられている。流量設定弁121は、遮断弁94とミキサ96との間に設けられている。流量設定弁120、121は、例えば、オリフィス、バルブなどで構成される。
ミキサ96とメインバーナ31は、配管99で連結されている。配管99には、ミキサ96内で混合された空気と燃料の混合気が流れる。
パイロット混合気供給系統100は、図3に示すように、ファン101、燃料供給源102、遮断弁103、104、流量調整弁105、ミキサ106を備える。ファン101とミキサ106は、例えば、配管107で連結されている。配管107には、ファン101から吐出された燃焼用空気が流れる。また、ファン101出口近傍の配管107には、燃焼用空気の流量を調整する流量調整弁107aが備えられている。この流量調整弁107aは、例えば、バタフライ弁などで構成される。また、配管107、108には、流量を設定するための流量設定弁122、123が備えられている。
燃料供給源102とミキサ106は、配管108で連結されている。配管108には、例えば、遮断弁103、104、流量調整弁105が備えられている。そして、配管108には、燃料供給源102から供給されたガス燃料が流れる。
流量調整弁105は、例えば、遮断弁103と遮断弁104との間に備えられている。流量調整弁105と配管107との間には、図3に示すように、配管107内を流れる空気流の静圧を流量調整弁105に伝達する圧力伝達管105aが設けられている。なお、配管107と圧力伝達管105aとの連結部は、流量調整弁107aとミキサ106との間に位置する。
流量設定弁122は、圧力伝達管105aと配管107との連結部と、ミキサ106との間に設けられている。流量設定弁123は、遮断弁104とミキサ106との間に設けられている。流量設定弁122、123は、例えば、オリフィス、バルブなどで構成される。
なお、パイロット混合気供給系統100における燃料供給源102とメイン混合気供給系統90における燃料供給源92とが同一の供給源であってもよい。
ミキサ106とパイロットバーナ32は、配管109で連結されている。配管109には、ミキサ106内で混合された空気と燃料の混合気が流れる。
ここで、ファン91、101は、外気を吸引し、配管97、107を介してミキサ96、106側へ燃焼用空気を吐出する。
流量調整弁95、105は、例えば、均圧弁やゼロガバナなどで構成される。流量調整弁95、105は、一次圧をもって供給されたガス燃料を二次圧に減圧して排出する調圧装置である。流量調整弁95、105は、一次圧のガス燃料を、圧力伝達管95a、105aを介して導入された検出圧力に応じた二次圧に減圧して排出する。
すなわち、流量調整弁95、105は、ガス導入口(図示しない)から導入されたガス燃料を減圧してガス吐出口(図示しない)から排出するものであるが、ガス吐出口から排出されるガス燃料の圧力が検出圧力に依存して変化する。
例えば、検出圧力が上昇側に圧力変動したときには、その圧力変動に伴って燃料の二次圧が上昇側に変動して検出圧力になるように調整される。すなわち、燃焼用空気の流量の増加に応じて燃料の流量も増加する。
検出圧力が減少側に圧力変動したときには、その圧力変動に伴って燃料の二次圧が減少側に変動して検出圧力になるように調整される。すなわち、燃焼用空気の流量の減少に応じて燃料の流量も減少する。
このように、流量調整弁95、105を備えることで、燃焼用空気の流量が変化しても、メインバーナ31やパイロットバーナ32に供給される混合気の当量比はほぼ一定に維持される。
なお、混合気における空気比は、被乾燥物Wとしての繊維や布が燃焼ガス中のNOxにより黄色や褐色に変色するのを防止するため、例えば、1.3〜1.6程度に設定される。すなわち、この混合気は、当量比が0.63〜0.77程度の希薄予混合気である。
遮断弁93、94、103、104は、燃料の流れを遮断する。ここでは、安全性を考慮して、配管98、108のそれぞれに2つの遮断弁を備えている。
ミキサ96、106は、導入された燃焼用空気と燃料を混合する。ミキサ96、106としては、例えば、ベンチュリーミキサなどを使用することができる。なお、ベンチュリーミキサを使用した場合、混合促進を図るため、燃料は、ベンチュリーミキサ内の流路におけるスロート部に供給されることが好ましい。
制御装置110は、例えば、乾燥装置10に備えられた、各種センサなどの各種機器からの信号などを取得して処理し、各構成部の動作を制御する。この制御装置110は、例えば、演算装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)やランダムアクセスメモリ(RAM)などの記憶手段、出入力手段などを主に備えている。CPUでは、例えば、記憶手段に格納されたプログラムやデータなどを用いて各種の演算処理を実行する。
出入力手段は、外部機器から電気信号を入力したり、外部機器に電気信号を出力する。具体的には、出入力手段は、例えば、温度検出センサ26、27、45、火炎検出センサ35、開閉検出センサ63、64、イグナイタ35c、排気ファン40、流量調整弁42、44、95、97a、105、107a、ファン91、101、遮断弁93、94、103、104、回転ドラム70の電動モータ(図示しない)などと各種信号の出入力が可能に接続されている。また、出入力手段は、例えば、メインスイッチなどを備える操作パネルなどの入力装置(図示しない)と各種信号の出入力が可能に接続されている。この制御装置110が実行する処理は、例えば、コンピュータ装置などで実現される。
制御装置110は、例えば、温度検出センサ26、27、45、火炎検出センサ35、開閉検出センサ63、64、入力装置からの出力信号に基づいて、イグナイタ35c、排気ファン40、流量調整弁42、44、95、97a、105、107a、ファン91、101、遮断弁93、94、103、104、回転ドラム70の電動モータ(図示しない)などを制御する。
なお、上記した実施の形態では、メイン混合気供給系統90において、ミキサ96において燃料と燃焼用空気を混合する形態を有しているが、メインバーナ31の混合気導入筒31a内において燃料と燃焼用空気を混合する形態であってもよい。この場合、燃焼用空気と燃料はそれぞれ混合気導入筒31a内に供給される。
また、パイロット混合気供給系統100において、ミキサ106において燃料と燃焼用空気を混合する形態を有しているが、パイロットバーナ32の混合気導入筒32a内において燃料と燃焼用空気を混合する形態であってもよい。この場合、燃焼用空気と燃料はそれぞれ混合気導入筒32a内に供給される。
また、上記した燃焼装置30では、ファン91の下流側にミキサ96を備えているが、この構成に限られない。例えば、ファン91の吸気口の上流側にミキサ96を備えてもよい。この場合、ファン91の吸気口からは、ミキサ96において混合された燃焼用空気と燃料との混合気が吸気される。
次に、乾燥装置10の作用について説明する。
図5は、実施の形態の乾燥装置10の作用を説明するためのフローチャートである。
乾燥装置10は、例えば、メインスイッチを備える操作パネルなどの入力装置(図示しない)からの運転開始に係る信号を入力することで作動を開始する。具体的には、制御装置110は、運転開始信号を入力すると、図5に示すように、投入ドア60を開く(ステップS197)。
なお、運転開始に係る信号を入力した際、制御装置110は、流量調整弁42を開き、流量調整弁44を閉じる。これによって、排気ファン40から排出された使用済みの乾燥用気体Gは、大気中に排出される。
続いて、制御装置110は、被乾燥物Wを投入口24を介して乾燥室20内に投入するための処理を実行する(ステップS198)。具体的には、前述したように、例えば、乾燥装置10の投入側に投入コンベア(図示しない)を備える場合、制御装置110は、投入コンベアから出力された投入開始信号を入力し、被乾燥物Wを投入口24を介して乾燥室20内に投入する投入工程を開始する。また、制御装置110は、投入コンベアから投入終了信号を入力すると、投入ドア60を閉じる。
なお、乾燥装置10の投入側に投入コンベアを備えない場合、制御装置110は、例えば、入力装置から投入開始信号を入力すると投入工程を開始する。そして、制御装置110は、入力装置から投入終了信号を入力すると、投入ドア60を閉じる。
続いて、制御装置110は、開閉検出センサ63からの信号に基づいて、投入ドア60が閉じられているか否かを判定する(ステップS199)。投入ドア60が閉じられていることで、回転ドラム70内に新たな乾燥すべき被乾燥物Wが投入された状態であることとなる。
ステップS199の判定において、投入ドア60が閉じられていないと判定した場合(ステップS199のNo)、制御装置110は、ステップS199の判定を繰り返す。
ステップS199の判定において、投入ドア60が閉じられていると判定した場合(ステップS199のYes)、制御装置110は、火炎検出センサ35からの信号および遮断弁103、104の開閉情報に基づいて、パイロットバーナ32が燃焼しているか否かを判定する(ステップS200)。なお、火炎検出センサ35からの信号に基づいて火炎が検出され、かつ遮断弁103、104が開いていると判定した場合には、パイロットバーナ32が燃焼していると判定する。
なお、乾燥装置10の投入側に投入コンベアを備えない場合、制御装置110は、火炎検出センサ35からの信号および遮断弁103、104の開閉情報の入力処理のトリガ信号として、入力装置から入力された乾燥工程を開始するための信号をトリガ信号としてもよい。
ステップS200の判定において、パイロットバーナ32が燃焼していないと判定した場合(ステップS200のNo)、制御装置110は、プレパージを行うために、排気ファン40、ファン91、ファン101を所定時間作動させる(ステップS201)。
プレパージ終了後、制御装置110は、パイロットバーナ32を着火するための制御を行う(ステップS202)。パイロットバーナ32を着火するための制御では、制御装置110は、ファン101を所定の回転数で駆動する。なお、パイロットバーナ32においては、流量調整弁107aは所定の開度に調整されている。ファン101の回転後、制御装置110は、遮断弁103、遮断弁104を開き、イグナイタ35cを作動させる。これによって、ミキサ106に、パイロットバーナ32に供給する燃焼用空気および燃料が導入される。ミキサ106で形成された混合気は、配管109を通りパイロットバーナ32に供給され、イグナイタ35cによって着火される。そして、火炎34が形成される。
続いて、制御装置110は、火炎検出センサ35からの信号および遮断弁103、104の開閉情報に基づいて、パイロットバーナ32が燃焼しているか否かを判定する(ステップS203)。
ステップS203の判定において、パイロットバーナ32が燃焼していないと判定した場合(ステップS203のNo)、制御装置110は、異常検知と判断し、遮断弁103、104を閉じて運転を停止する。
ステップS203の判定において、パイロットバーナ32が燃焼していると判定した場合(ステップS203のYes)、制御装置110は、メインバーナ31を着火するための制御を行う(ステップS204)。また、前述したステップS200の判定において、パイロットバーナ32が燃焼していると判定した場合(ステップS200のYes)にも、制御装置110は、ステップS204の処理を行う。
なお、メインバーナ31が着火されると乾燥工程に入る。メインバーナ31を着火するための制御では、制御装置110は、ファン91を所定の回転数で駆動するとともに、流量調整弁97aを調整する。これと同時に、制御装置110は、遮断弁93、遮断弁94を開く。これによって、ミキサ96に、メインバーナ31に供給する燃焼用空気および燃料が導入される。ミキサ96で形成された混合気は、配管99を通りメインバーナ31に供給され、パイロットバーナ32の火炎34によって着火される。そして、火炎33が形成される。
続いて、制御装置110は、火炎検出センサ35からの信号および遮断弁103、104の開閉情報に基づいて、メインバーナ31が燃焼しているか否かを判定する(ステップS205)。なお、火炎検出センサ35からの信号に基づいて火炎が検出され、かつ遮断弁93、94が開いていると判定した場合には、メインバーナ31が燃焼していると判定する。
ステップS205の判定において、メインバーナ31が燃焼していないと判定した場合(ステップS205のNo)、制御装置110は、異常検知と判断し、遮断弁93、94を閉じて運転を停止する。
ステップS205の判定において、メインバーナ31が燃焼していると判定した場合(ステップS205のYes)、制御装置110は、パイロットバーナ32を消炎するための制御を行う(ステップS206)。
パイロットバーナ32を消炎するための制御では、制御装置110は、遮断弁103、遮断弁104を閉じる。これによって、パイロットバーナ32に形成された火炎34は消炎する。なお、この際、制御装置110は、ファン101も停止させる。
続いて、制御装置110は、温度検出センサ26からの信号に基づいて、乾燥室20内の乾燥用気体Gの温度が、所定の温度範囲内の上限値(以下、単に上限値という。)または所定の温度範囲内の下限値(以下、単に下限値という。)に達したか否かを判定する(ステップS207)。
ここで、乾燥用気体Gの所定の温度範囲は、乾燥室20内の被乾燥物Wを適正に乾燥するために適した温度範囲である。上記したように、この所定の温度範囲内において、上限値および下限値が設定されている。そして、この上限値と下限値との間に設定温度が存在する。この設定温度は、例えば、入力装置によって予め設定される。そして、ステップS207の判定では、上限値、下限値を基準に判定がなされる。
ステップS207の判定において乾燥室20内の乾燥用気体Gの温度が上限値または下限値に達したと判定した場合(ステップS207のYes)、制御装置110は、バーナ出力を調整する(ステップS208)。
ここで、バーナ出力の調整において、例えば、パターンAおよびパターンBの調整パターンを有し、少なくともこのいずれかのパターンの処理が実行される。なお、(1)パターンAの処理を実行するか、(2)パターンBの処理を実行するかは、例えば、設定温度条件によって決定される。
(1)パターンAの処理
まず、パターンAの処理について説明する。パターンAの処理は、例えば、設定温度が120℃を超える高温設定の場合に実行される。このパターンAにおけるバーナ出力の調整は、原則、メインバーナ31のターンダウン比の範囲で出力の調整を行う。そして、メインバーナ31のターンダウン比の範囲で出力調整ができない場合、メインバーナ31のON−OFF制御を行う。
(1−1)上限値に達したときのパターンAの処理
ステップS207の判定において乾燥室20内の乾燥用気体Gの温度が上限値に達したと判定した場合(ステップS207のYes)、制御装置110は、バーナ出力を調整する(ステップS208)。
制御装置110は、乾燥室20内の乾燥用気体Gの温度が上限値に達したと判定した場合、制御装置110は、流量調整弁97aを調整して燃焼用空気の流量を減少させる。この際、流量調整弁95を備えているため、燃焼用空気の流量の減少に対応して、燃料の流量も減少する。すなわち、ターンダウン比の範囲で出力の調整を行う。
一方、制御装置110は、上記したターンダウン比の範囲で出力の調整を所定時間行っても乾燥室20内の乾燥用気体Gの温度が上限値に達していると判定した場合、メインバーナ31のON−OFF制御を行う。なお、メインバーナ31のON−OFF制御とは、メインバーナ31の燃焼(ON)とメインバーナ31の消炎(OFF)を繰り返し行うことをいう。なお、ONの時間およびOFFの時間は、一定であっても、一定でなくてもよい。
メインバーナ31のON−OFF制御を行う際、制御装置110は、遮断弁93および遮断弁94の双方を開閉制御する。すなわち、メインバーナ31をON(燃焼)させる際には、制御装置110は、遮断弁93および遮断弁94を開く。一方、メインバーナ31をOFF(消炎)させる際には、制御装置110は、遮断弁93および遮断弁94を閉じる。
すなわち、メインバーナ31をON−OFF制御するには、メインバーナ31に供給される燃料をON−OFF制御することとなる。燃料のON−OFF制御とは、メインバーナ31への燃料の供給(ON)とメインバーナ31への燃料の供給の遮断(OFF)を繰り返し行うことをいう。
メインバーナ31のON−OFF制御については、後に詳しく説明するが、メインバーナ31が消炎している間(OFF時)は、パイロットバーナ32は燃焼している。再度メインバーナ31を燃焼させる際、パイロットバーナ32の火炎によって、メインバーナ31は着火する。そして、パイロットバーナ32は、メインバーナ31とともに燃焼し、所定時間後、消炎される。また、メインバーナ31を消炎するときには、メインバーナ31の消炎前に、パイロットバーナ32を燃焼させる。そして、メインバーナ31は、パイロットバーナ32とともに燃焼し、所定時間後、消炎される。なお、パイロットバーナ32を燃焼させる際には、ステップS202およびステップS203の処理と同じ処理が施される。
(1−2)下限値に達したときのパターンAの処理
また、ステップS207の判定において乾燥室20内の乾燥用気体Gの温度が下限値に達したと判定した場合(ステップS207のYes)、制御装置110は、バーナ出力を調整する(ステップS208)。
制御装置110は、乾燥室20内の乾燥用気体Gの温度が下限値に達したと判定した場合、制御装置110は、ターンダウン比の範囲で出力の調整の調整を行う。すなわち、制御装置110は、流量調整弁97aを調整して燃焼用空気の流量を増加させる。この際、燃焼用空気の流量の増加に対応して、流量調整弁95によって燃料の流量も増加する。
(2)パターンBの処理
次に、パターンBの処理について説明する。パターンBの処理は、例えば、設定温度が120℃以下の低温設定の場合に実行される。このパターンBにおけるバーナ出力の調整は、メインバーナ31のON−OFF制御によって行う。なお、メインバーナ31のON−OFF制御は、パターンAで説明したON−OFF制御と同様である。
(2−1)上限値に達したときのパターンBの処理
ステップS207の判定において乾燥室20内の乾燥用気体Gの温度が上限値に達したと判定した場合(ステップS207のYes)、制御装置110は、バーナ出力を調整する(ステップS208)。
制御装置110は、乾燥室20内の乾燥用気体Gの温度が上限値に達したと判定した場合、制御装置110は、パイロットバーナ32を燃焼させた状態で、メインバーナ31を消炎させる(メインバーナ31のON−OFF制御のOFF時)。メインバーナ31を消炎するための制御では、制御装置110は、遮断弁93、遮断弁94を閉じる。これによって、メインバーナ31に形成された火炎33は消炎する。なお、パイロットバーナ32を燃焼させる際には、ステップS202およびステップS203の処理と同じ処理が施される。
(2−2)下限値に達したときのパターンBの処理
また、ステップS207の判定において乾燥室20内の乾燥用気体Gの温度が下限値に達したと判定した場合(ステップS207のYes)、制御装置110は、バーナ出力を調整する(ステップS208)。
制御装置110は、乾燥室20内の乾燥用気体Gの温度が下限値に達したと判定した場合、制御装置110は、ステップS204の処理と同様の処理を施し、パイロットバーナ32の火炎34によってメインバーナ31を着火する(メインバーナ31のON−OFF制御のON時)。
ステップS208の処理後、制御装置110は、ステップS207の判定を行う。
ステップS207の判定において乾燥室20内の乾燥用気体Gの温度が上限値または下限値に達していないと判定した場合(ステップS207のYes)、制御装置110は、温度検出センサ45からの信号に基づいて、排気ファン40の出口における使用済みの乾燥用気体Gの温度が所定温度(例えば、90℃)以上であるか否かを判定する(ステップS209)。
ここで、乾燥室20内の乾燥用気体Gの温度が上限値または下限値に達していないとは、乾燥用気体Gの温度が、上限値および下限値を除く所定の温度範囲内にあることである。また、排気ファン40の出口における使用済みの乾燥用気体Gの温度が90℃以上となるときには、被乾燥物Wの含水率が所定値以下となり、乾燥状態と判定できる。
なお、乾燥工程(ステップS204)に入ってから、所定時間が経過しても、排気ファン40の出口における使用済みの乾燥用気体Gの温度が所定温度以上に達しない場合には、異常検知と判断し、遮断弁93、94を閉じて運転を停止する。
ステップS209の判定において、排気ファン40の出口における使用済みの乾燥用気体Gの温度が所定温度よりも低いと判定した場合(ステップS209のNo)、制御装置110は、ステップS209の判定を繰り返す。
ステップS209の判定において、排気ファン40の出口における使用済みの乾燥用気体Gの温度が所定温度以上であると判定した場合(ステップS209のYes)、制御装置110は、パイロットバーナ32を着火するための制御を行う(ステップS210)。なお、パイロットバーナ32を着火するための制御は、ステップS202およびステップS203における処理と同じである。
続いて、制御装置110は、メインバーナ31を消炎するための制御を行う(ステップS211)。なお、メインバーナ31が消炎されると冷却工程に入る。このように、乾燥工程から冷却工程への移行のときに、パイロットバーナ32を燃焼させてメインバーナ31を消炎する。
ここでは、冷却工程を備えた作用について説明しているが、冷却工程を備えなくてもよい。例えば、被乾燥物の特性に応じで、冷却工程が不要となることがある。冷却工程を備えない場合、メインバーナ31の消炎後、ステップS213の排出処理が実行される。この冷却工程の有無の設定は、例えば、入力装置などによって設定される。
このように、乾燥工程から冷却工程への移行のとき、または乾燥工程から排出工程への移行のときに、パイロットバーナ32を燃焼させてメインバーナ31を消炎する。
冷却工程においてメインバーナ31を消炎するための制御では、制御装置110は、遮断弁93、遮断弁94を閉じる。これによって、メインバーナ31に形成された火炎33は消炎する。なお、この際、ファン91および排気ファン40は、冷却工程に必要な回転数で作動し続ける。この場合においても、パイロットバーナ32の保炎が妨げられることなく燃焼し続ける。
続いて、制御装置110は、回転ドラム70内の被乾燥物Wを取り出し可能な温度まで冷却するために行われる冷却工程に必要な所定時間が経過したか、および温度検出センサ26からの信号に基づいて、乾燥室20の温度が所定の温度まで冷却されているかという冷却終了条件を満たすか否かを判定する(ステップS212)。
ステップS212の判定において、冷却終了条件を満たしていないと判定した場合(ステップS212のNo)、制御装置110は、ステップS212の判定を繰り返す。なお、冷却終了条件を満たしていない場合とは、冷却工程に必要な所定時間が経過しておらず、さらに乾燥室20の温度が所定の温度まで冷却されていない場合である。
ステップS212の判定において、冷却終了条件を満たしていると判定した場合(ステップS212のYes)、制御装置110は、乾燥室20の回転ドラム70内から被乾燥物Wを排出するための排出処理を行う(ステップS213)。なお、冷却終了条件を満たしている場合とは、冷却工程に必要な所定時間が経過し、さらに乾燥室20の温度が所定の温度まで冷却されている場合である。
なお、乾燥室20の温度が、例えば、40℃以下の場合には、ステップS212の所定時間に0を設定して冷却終了条件を満たすものと判定する。この場合は、メインバーナ31の消炎処理(ステップS211)後、直ちにステップS213の排出処理を実行する。
排出処理において、制御装置110は、流量調整弁42を調整するとともに、流量調整弁44を開く。これによって、排気ファン40から排出された使用済みの乾燥用気体Gの一部は、分岐管43を流れ、先端部43aの先端開口から回転ドラム70内に噴出される。先端開口から噴出された乾燥用気体Gによって、回転ドラム70内の被乾燥物Wは、取出口25に向かって移動する。排気ファン40から排出された使用済みの乾燥用気体Gの残部は、排気管41を通り大気中に排出される。なお、排出処理では、投入ドア60および取出ドア61は、開かれている。
ここで、排出処理の際、パイロットバーナ32は燃焼状態にあるが、発生する熱量が少ないため、乾燥室20内の温度の上昇はほとんどない。そのため、排出処理の際にパイロットバーナ32が燃焼状態にあっても、被乾燥物Wなどに弊害を及ぼすことなく、被乾燥物Wを取り出すことができる。
排出処理に入った後、制御装置110は、開閉検出センサ64からの信号に基づいて、取出ドア61が閉じられているか否かを判定する(ステップS214)。取出ドア61が閉じられていることで、被乾燥物Wの回転ドラム70内からの取出処理が完了したことを判定できる。
ステップS214の判定において、取出ドア61が閉じられていないと判定した場合(ステップS214のNo)、制御装置110は、ステップS214の判定を繰り返す。
ステップS214の判定において、取出ドア61が閉じられていると判定した場合(ステップS214のYes)、制御装置110は、乾燥装置10の運転を終了するか否かを判定する(ステップS215)。
ここで、乾燥装置10の運転を終了する場合とは、例えば、設定された回数の乾燥処理を行った場合などがある。また、入力装置などから、運転終了に係る信号が入力した場合などがある。これらに該当しない場合は、制御装置110は、ステップS215の判定において「No」と判定する。
ステップS215の判定において、乾燥装置10の運転を終了すると判定した場合(ステップS215のYes)、制御装置110は、パイロットバーナ32を消炎するための制御を行う(ステップS216)。そして、制御装置110は、パイロットバーナ32を消炎し、運転を終了する。
なお、パイロットバーナ32を消炎するための制御は、ステップS206における処理と同じである。
ステップS215の判定において、乾燥装置10の運転を終了しないと判定した場合(ステップS215のNo)、制御装置110は、次の被乾燥物Wの投入に係る信号の入力を待つための待機状態となる(ステップS217)。
ここで、次の被乾燥物Wの投入に係る信号としては、例えば、投入コンベアから、次の新たに乾燥する被乾燥物Wがあることに係る信号などがある。また、次の被乾燥物Wの投入に係る信号としては、例えば、投入開始信号、投入終了信号であってもよい。さらに、次の被乾燥物Wの投入に係る信号としては、入力装置などから入力された、投入開始信号、投入終了信号などがある。
続いて、制御装置110は、待機状態と規定されている時間内に、次の被乾燥物Wの投入に係る信号の入力があるか否かを判定する(ステップS218)。
ステップS218の判定において、待機状態と規定されている時間内に、次の被乾燥物Wの投入に係る信号の入力がないと判定した場合(ステップS218のNo)、制御装置110は、ステップS216の処理を行った後、運転を終了する。
ステップS218の判定において、待機状態と規定されている時間内に、次の被乾燥物Wの投入に係る信号の入力があったと判定した場合(ステップS218のYes)、制御装置110は、ステップS197〜ステップS199の処理を行い、続いてステップS200の判定を行う。
なお、ステップS218において、次の被乾燥物Wの投入に係る信号が、投入終了信号のときには、すでに投入ドア60は開いているため、ステップS197の処理を実行する必要はない。
ここで、乾燥装置10の運転を終了しないと判定した場合、パイロットバーナ32は、燃焼状態にある。そのため、ステップS200の判定においてはYesとなり、ステップS204に進む。このように、運転開始に係る信号の入力によって作動を開始し、一連の処理を施した後、連続して再度一連の処理を施す場合には、プレパージ(ステップS201)を行う必要がない。
なお、一連の処理とは、冷却工程を備える場合には、被乾燥物Wを回転ドラム70内に投入してから、乾燥工程、冷却工程を経て、被乾燥物Wが回転ドラム70から排出されるまでの処理をいう。また、一連の処理とは、冷却工程を備えない場合には、被乾燥物Wを回転ドラム70内に投入してから、乾燥工程を経て、被乾燥物Wが回転ドラム70から排出されるまでの処理をいう。
なお、冷却工程を備える場合において、連続して再度一連の処理を施すときには、乾燥工程から冷却工程への移行のときに燃焼したパイロットバーナ32は、冷却工程後乾燥した被乾燥物Wを回転ドラム70から取り出し、新たに乾燥する被乾燥物Wを回転ドラム70に投入し、再度乾燥工程に移行するまで継続して燃焼している。
また、冷却工程を備えない場合において、連続して再度一連の処理を施すときには、乾燥工程から被乾燥物Wの取り出し処理への移行のときに燃焼したパイロットバーナ32は、乾燥した被乾燥物Wを回転ドラム70から取り出した後、新たに乾燥する被乾燥物Wを回転ドラム70に投入し、再度乾燥工程に移行するまで継続して燃焼している。
すなわち、乾燥装置10では、メインバーナ31を燃焼させて被乾燥物Wを乾燥させる乾燥工程から、乾燥した被乾燥物Wを冷却する冷却工程への移行のときに、またはメインバーナ31を燃焼させて被乾燥物Wを乾燥させる乾燥工程から、被乾燥物Wを乾燥室20から外部へ取り出す排出工程への移行のとき、パイロットバーナ32を燃焼させてメインバーナ31を消炎し、乾燥すべき新たな被乾燥物Wを乾燥室20へ投入する投入工程を行って再度乾燥工程へ移行するまでパイロットバーナ32の燃焼を継続させている。
なお、連続して再度一連の処理を施す場合にプレパージが不要なのは、排気ファン40やファン91が駆動し、パイロットバーナ32が燃焼状態にあるため、可燃性ガスが乾燥装置10内に滞留していることはなく、安全上問題がないからである。
ここで、上記した一連の処理において、例えば、乾燥工程中に、制御装置110が、開閉検出センサ63および開閉検出センサ64からの信号に基づいて、投入ドア60または取出ドア61が開いていることを検出した場合、制御装置110は、メインバーナ31の燃焼を停止させてもよい。この場合、制御装置110は、遮断弁93、遮断弁94を閉じる。これによって、メインバーナ31に形成された火炎33は消炎する。なお、この際、ファン91および排気ファン40は作動を続けるが、パイロットバーナ32の保炎を妨げないように、制御装置110は、ファン91および排気ファン40の回転数を減少させる。
このように、乾燥工程中に投入ドア60または取出ドア61が開いていることを検出した場合でも、パイロットバーナ32の燃焼状態は維持される。そのため、その後、投入ドア60および取出ドア61が閉じられたことを検出し、乾燥工程を再開する場合においても、プレパージをすることなく、メインバーナ31に着火することができる。
パイロットバーナ32が燃焼中における排気ファン40の回転数は、乾燥工程中においては、乾燥性能を損なわない回転数にし、冷却工程中においては、冷却性能を損なわない高い回転数に設定するのが望ましい。投入工程中、排出工程中、待機中、乾燥工程途中の投入ドア60または取出ドア61が開いている間に行われるパイロット燃焼時の排気ファン40の回転数は、パイロットバーナ32の保炎を妨げないように、かつ、燃焼の安全性を確保できる、最小の回転数に設定することが望ましい。その結果、ファンの駆動用電力の低減、および騒音の低減が図れる。
また、上記した一連の処理において、制御装置110が、温度検出センサ27からの信号に基づいて、通風ダクト80内の燃焼装置30よりも上流端80b側の温度が所定温度を超えたと判定した場合には、異常検知と判断し、遮断弁93、94、104、103を閉じて運転を停止する。
例えば、燃焼装置30で発生した燃焼ガスが通風ダクト80内を逆流する場合などに、通風ダクト80内の燃焼装置30よりも上流端80b側の温度が所定温度を超える。
上記した燃焼装置30によれば、乾燥室20内の乾燥用気体Gの温度が上限値に達したときのバーナ出力の調整においてパターンAの処理を行うことで、メインバーナ31を低燃焼させても、乾燥室20内の乾燥用気体Gの温度が上限値となる場合、メインバーナ31のON−OFF制御することで、乾燥室20内の乾燥用気体Gの温度が上限値を超えることなく、乾燥用気体Gの温度を所定の温度範囲内に維持できる。
また、メインバーナ31のON−OFF制御を備えることで、メインバーナ31の低燃焼時よりも低温度範囲で被乾燥物Wの乾燥が可能となる。
また、メインバーナ31をON−OFF制御することで、メインバーナ31およびパイロットバーナ32を備えた燃焼装置30としてのターンダウン比(TDR)を大きくすることができる。ターンダウン比は、燃焼装置30において燃焼させる最大燃料流量M1と燃焼装置30において燃焼させる最小燃料流量M2との比(M1:M2)である。換言すると、ターンダウン比は、燃焼装置30において発生する最大出力(最大熱量)Q1と燃焼装置30において発生する最小出力(最小熱量)Q2との比(Q1:Q2)である。
次に、上記した乾燥装置10の作用のステップS208におけるメインバーナ31のON−OFF制御について説明する。すなわち、本実施形態の乾燥装置10におけるプレパージを伴わないメインバーナ31のON/OFF燃焼動作について説明する。なお、比較のため、プレパージを伴うメインバーナ31のON/OFF燃焼動作についても説明する。
図6は、プレパージを伴わないメインバーナ31のON/OFF燃焼動作を示すタイムチャートである。すなわち、図6に示されたタイムチャートは、本実施形態の乾燥装置10におけるメインバーナ31のON/OFF燃焼動作である。図7は、プレパージを伴うメインバーナ31のON/OFF燃焼動作を示すタイムチャートである。なお、図6および図7の横軸は時間である。
なお、ここでは、図6および図7に示すように、乾燥室20内の乾燥用気体Gの温度が上限値に達した時から下限値に低下するまでをトリガ温度ONとしている。また、乾燥室20内の乾燥用気体Gの温度が、下限値に達した時から上限値に上昇するまでをトリガ温度OFFとしている。
図6および図7において、トリガ温度の欄に示されている破線は、温度変化を視覚的に示したものである。すなわち、破線が右上がりのときは温度が上昇し、破線が右下がりのときは温度が低下していることを示している。
図6に示すように、プレパージを伴わないON/OFF燃焼動作では、メインバーナ31による燃焼によって乾燥室20内の乾燥用気体Gの温度が上限値に達した際(時間Tb)、メインバーナ31を消炎するために、パイロットバーナ32を燃焼させる。
メインバーナ31は、時間Tbから時間Tcの間、パイロットバーナ32とともに燃焼する。そして、メインバーナ31は、時間Tcに消炎する。
乾燥室20内の乾燥用気体Gの温度が下限値に達した際(時間Td)、パイロットバーナ32の火炎によってメインバーナ31に着火し、メインバーナ31を燃焼させる。パイロットバーナ32は、時間Tdから時間Teの間、メインバーナ31とともに燃焼する。そして、パイロットバーナ32は、時間Teに消炎する。
このように、プレパージを伴わないON/OFF燃焼動作では、メインバーナ31を消炎する際、メインバーナ31は、パイロットバーナ32と所定時間燃焼した後、消炎される。また、パイロットバーナ32を消炎する際、パイロットバーナ32は、メインバーナ31と所定時間燃焼した後、消炎される。このように、メインバーナ31とパイロットバーナ32とをオーバラップさせて燃焼させることで、プレパージを省略することができる。
このプレパージを伴わないON/OFF燃焼動作では、乾燥室20内の乾燥用気体Gの温度が低下したときに、即座にメインバーナ31に着火することができる。また、メインバーナ31が消炎しているときでも、パイロットバーナ32が燃焼しているので、乾燥室20内の乾燥用気体Gの温度の低下が緩慢である。
一方、図7に示すように、プレパージを伴うON/OFF燃焼動作では、メインバーナ31による燃焼によって乾燥室20内の乾燥用気体Gの温度が上限値に達した際(時間Ti)、メインバーナ31を消炎する。その際、パイロットバーナ32も消炎している。
乾燥室20内の乾燥用気体Gの温度が低下すると(時間Tj)、プレパージを行う。プレパージは、時間Tjから時間Tkの間行われる。
続いて、メインバーナ31を燃焼させるために、パイロットバーナ32を燃焼させる(時間Tk)。パイロットバーナ32を所定時間燃焼させた後(時間Tl)、メインバーナ31を燃焼させる。
パイロットバーナ32は、時間Tlから時間Tmの間、メインバーナ31とともに燃焼する。そして、パイロットバーナ32は、時間Tmに消炎する。
そして、メインバーナ31による燃焼によって乾燥室20内の乾燥用気体Gの温度が上限値に達した際(時間Tn)、メインバーナ31を消炎する。その際、パイロットバーナ32も消炎している。
このように、図7に示すプレパージを伴うON/OFF燃焼動作では、メインバーナ31およびパイロットバーナ32がともに非燃焼の状態を有するため、再度パイロットバーナ32を燃焼させる前に、プレパージが必要となる。そのため、パイロットバーナ32に再着火するまで時間がかかる。また、メインバーナ31とパイロットバーナ32を同時に消炎しているので、上限値からの温度低下が速い。
上記したように本実施の形態の乾燥装置10によれば、従来の乾燥装置には備えられていないパイロットバーナ32を備えることができる。このパイロットバーナ32をメインバーナ31が消炎しているときに燃焼させることで、パイロットバーナ32は、メインバーナ31を着火する際の着火源となる。
そのため、消炎されたメインバーナ31に着火する場合、メインバーナ31の着火前におけるプレパージが不要となる。これによって、本実施の形態の乾燥装置10では、従来の乾燥装置においてメインバーナ31を着火する前に毎回行われていたプレパージを省略し、このプレパージのために使われる時間を短縮することができる。そのため、本実施の形態の乾燥装置10では、作業効率の向上を図ることができる。
また、本実施の形態の乾燥装置10では、運転開始に係る信号の入力によって作動を開始し、一連の処理を施した後、連続して再度一連の処理を施す場合、パイロットバーナ32は燃焼状態にあり、メインバーナ31を燃焼させて次の乾燥工程に入る前に、プレパージは不要となる。
そのため、被乾燥物Wを乾燥するための一連の処理を繰り返し行う場合、初回の一連の処理に入る前のみプレパージを行えばよい。そして、以後の一連の処理間のプレパージは不要となる。これによって、一連の処理を繰り返し行う場合には、乾燥装置10の作動時間を短縮することができ、作業効率の向上を図ることができる。
特に、多量の衣類を洗濯する洗濯ラインに設置される衣類乾燥装置に、本実施の形態の乾燥装置10を採用した場合、プレパージを省略できることによる顕著な作業効率の向上を図ることができる。
また、本実施の形態の乾燥装置10では、パイロットバーナ32を燃焼させることで、メインバーナ31のON−OFF制御が可能となる。この場合においても、メインバーナ31を着火する前にプレパージを行う必要はない。
このように、メインバーナ31のON−OFF制御が可能となるため、燃焼装置30におけるターンダウン比を大きくすることができる。これによって、燃焼装置30の負荷を広い範囲で調整することができる。ターンダウン比を大きくできることで、例えば、従来の乾燥装置では不可能であった低温の条件下での乾燥が可能となる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。