JP6654210B2 - 焼結用型の作製方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば放電プラズマ焼結法に用いられる焼結用型の作製方法に関するものである。
従来、この種の焼結用型にあっては、ダイおよび上下のパンチからなり、素材として、下記の表1に示すような諸物性を有する黒鉛(以下、「Gr又はグラファイト」ともいう。)を焼結してなるGr焼結体や、二硼化チタン(以下、「TiB」ともいう。)を焼結してなるTiB焼結体、あるいは、窒化チタン(以下、「TiN」ともいう。)を焼結してなるTiN焼結体からなる構造のものが知られている。
この表1において、Grは機械強度が低くて高圧力条件における焼結処理に応用することが難しく、やむを得ない場合、型肉厚を厚くして機械強度を増すことができるものの、製品寸法の精度や製造コストに問題が生じ易く、一方、TiB及びTiNは機械強度、例えば曲げ強度がGrより2.5倍以上、硬さはGrより2.5倍以上高い材料であることから、焼結用型の小型化が図れ、かつ、電気的特性ではTiB及びTiNの電気抵抗率はGrより小さいことから、Grより電気を通し易く、ダイ及びパンチにおける温度分布は小さくできる。
特開2016−132612
しかしながら上記従来構造のうち、型素材として、Gr焼結体を用いたGr型の場合、焼結温度1,900℃以上で加圧加熱して焼結すると型が変形し、型の変形により成形品の寸法精度が低下したり、他の焼結に再利用することができないことがあり、また、型素材として、TiB焼結体を用いたTiB型の場合、超高温高圧条件以下で長く使用すると、TiB結晶の粒子が大きく成長し、型の機械的強度が低下することがあり、また、TiB型からの成形品の離型が難しいことがあり、また、型素材として、TiN焼結体を用いたTiN型の場合、TiN型からの成形品の離型は良好であるが、膨張係数が高くて熱伝導率も低いという不都合を有している。
本発明はこのような不都合を解決することが目的とするもので、本発明のうち、請求項1記載の方法の発明は、放電プラズマ焼結用型の作製方法であって、純度99.9%以上、平均粒子サイズ63μm以下、最大粒子サイズ100μm以下である二硼化チタン(以下、「TiB」ともいう。)粉末と純度99.9%以上、平均粒子サイズ53μm以下、最大粒子サイズ100μm以下である窒化チタン(以下、「TiN」ともいう。)粉末とを二硼化チタン粉末16.5重量%以上95.5重量%以下、窒化チタン粉末4.5重量%以上83.5重量%以下の混合割合とした混合粉末(以下、「TiB−TiN混合粉末」ともいう。)を、放電プラズマ焼結法(以下、「SPS法」ともいう。)を用いて、焼結温度1,500℃以上2,000℃以下、焼結圧力20MPa以上100MPa以下である焼結条件下で焼結された相対密度は理論密度の90%以上最大100%であり、曲げ強度は400MPa以上である二硼化チタン窒化チタン焼結体(以下、「TiB−TiN焼結体」ともいう。)からなる型を作製することを特徴とする焼結用型の作製方法にある。
又、請求項記載の方法の発明は、上記焼結条件下の焼結雰囲気は、真空雰囲気であることを特徴とするものであり、又、請求項記載の方法の発明は、上記焼結条件下の焼結雰囲気は、不活性ガス雰囲気であることを特徴とするものである。
本発明は上述の如く、請求項1記載の方法の発明にあっては、放電プラズマ焼結法を用いて作製することにより短時間焼結が可能となり、焼結用型のコスト低減を図ることができ、例えば、約2,000℃程度の温度、約400MPa程度の高圧の焼結条件での放電プラズマ焼結用型として長時間に使用したとしても、型の結晶粒子成長、型の変形や破損等はなく、型の変形による成形品の寸法精度の低下や型破損による製品量産効率の悪化を防ぐことができ、他の高温高圧等における長時間焼結に再利用することもでき、かつ、上記二硼化チタン粉末と窒化チタン粉末との混合割合として、二硼化チタン粉末16.5重量%以上95.5重量%以下、窒化チタン粉末4.5重量%以上83.5重量%以下であるから、焼結体の硬さの低下を防ぐことができ、TiB粒子の成長による曲げ強度の低下を防ぐことができ、さらに、上記二硼化チタン粉末は、純度99.9%以上、平均粒子サイズ63μm以下、最大粒子サイズ100μm以下であるから、焼結体粒子の成長に伴う機械的強度の低下や不純物による高温特性の劣化を防ぐことができ、かつ、焼結速度の低下を防ぐことができ、短時間で緻密な焼結体を得ることができ、さらに、上記窒化チタン粉末は、純度99.9%以上、平均粒子サイズ53μm以下、最大粒子サイズ100μm以下であるから、焼結体への不純物の影響を無視することができ、粒子の成長を抑制し、焼結体の機械的強度の低下を防ぐことができ、さらに、上記焼結の条件は、焼結温度1,500℃以上2,000℃以下、焼結圧力20MPa以上100MPa以下であるから、焼結反応速度の低下や量産効率の悪化を防いで生産コストの低減を図ることができ、短時間で緻密な焼結体を得ることができ、機械的強度の低下を防ぐことができ、高品質の焼結用型を作製することができ、さらに、上記二硼化チタン窒化チタン焼結体の相対密度は理論密度の90%以上最大100%であるから、型内部隙間への応力集中に伴う型割れを防ぐことができ、さらに、上記二硼化チタン窒化チタン焼結体の曲げ強度は400MPa以上であるから、機械的強度を維持して加工し易い焼結体を得ることができる。
又、請求項記載の方法の発明にあっては、上記焼結条件下の焼結雰囲気は、真空雰囲気であるから、酸化反応を防ぐことができ、高品質の焼結用型を作製することができ、請求項記載の方法の発明にあっては、上記焼結条件下の焼結雰囲気は、不活性ガス雰囲気であるから、酸化反応を防ぐことができ、高品質の焼結用型を作製することができる。
本発明の実施の形態例の焼結用型の説明斜視図である。 本発明の実施の形態例の放電プラズマ焼結法の説明図である。 本発明の実施の形態例の放電プラズマ焼結法の拡大説明図である。 本発明の実施の形態例の焼結用型のX線回折パターン図である。 本発明の実施の形態例の焼結用型のSEMによる組織写真である。 本発明の実施の形態例の焼結用型のSEMによる結晶粒子サイズの組成依存性を示す図である。 本発明の実施の形態例の焼結用型の曲げ強度の組成依存性を示す図である。 本発明の実施の形態例の焼結用型のEDSによる結晶粒界組成分析を示す図である。 本発明の実施の形態例の焼結用型の硬度評価結果を示す図である。 本発明の実施の形態例の放電プラズマ焼結用型の電気抵抗の組成存性を示す図である。 本発明の実施の形態例の焼結中の写真を示す図である。
図1及至図11は本発明の実施の形態例を示し、Mは焼結用型であって、図1の如く、ダイM及び上下のパンチM・Mから構成され、この場合、ダイM及び上下のパンチM・Mのいずれにあっても、二硼化チタン(以下、「TiB」ともいう。)粉末と窒化チタン(以下、「TiN」ともいう。)粉末との混合粉末(以下、「TiB−TiN混合粉末」ともいう。)を、放電プラズマ焼結法(以下、「SPS法」ともいう。)を用いて焼結した、二硼化チタン窒化チタン焼結体(以下、「TiB−TiN焼結体」ともいう。)により作製されている。
この場合、焼結用型Mの作製において、例えば、パンチM・Mの作製にあっては、図2、図3の如く、黒鉛(以下、「Gr又はグラファイト」ともいう。)からなるダイDおよびダイDの穴Dに挿入された上下のグラファイトからなるパンチP・Pにより構成されるグラファイト製の焼結型Sを用意し、このダイDの穴DとパンチP・Pにより形成されれる空間に焼結材料としてのTiB−TiN混合粉末Wを充填し、例えば、密閉構造のチャンバーC内に焼結型Sを配置し、上部電極PU、下部電極PDおよび上部電極PUまたは下部電極PDを上下加圧作動させる加圧機構K、上部電極PUおよび下部電極PD間にパルス電流を流すパルス電源ユニットU、制御ユニットG等を備えてなる通電加圧焼結機Tを用意し、通電加圧焼結機Tを用いて、上記グラファイトからなる焼結型S内に充填されたTiB−TiN混合粉末WをパンチP・Pにより加圧を加えながらパルス電流を流して焼結材料としてTiB−TiN混合粉末W及び焼結型Sの自己発熱効果(ジュール発熱効果)により焼結する放電プラズマ焼結法により作製され、焼結して焼結用型Mを作製するように構成されている。尚、ダイMの作製にあっては、例えば、図2、図3のダイDの穴Dに図示省略の中子を装入して上記同様に焼結してリング状に作製したり、又は、円筒状に焼結後ダイMに穴を追加加工により形成して作製することもある。この焼結用型Mの形状や構造は上記実施の形態例に限られるものではない。
ここにおいて、上記二硼化チタン粉末と窒化チタン粉末との混合割合として、二硼化チタン粉末16.5重量%以上95.5重量%以下、窒化チタン粉末4.5重量%以上83.5重量%以下である。その理由は、二硼化チタン粉末16.5重量%未満、あるいは、窒化チタン粉末83.5重量%を超えた場合、焼結体の硬さが下がってしまい、TiN粒子も成長し、曲げ強度の低い層状構造の燒結体ができてしまうことになり、又、二硼化チタン粉末95.5重量%を超え、あるいは、窒化チタン粉末4.5重量%未満になると二硼化チタンの粒子が大きく成長し、それに伴って曲げ強度が小さくなるからである。すなわち、焼結体の硬さの低下を防ぐことができ、TiB粒子及びTiN粒子の成長による曲げ強度の低下を防ぐことができるからである。
又、上記二硼化チタン粉末は、純度99.9%以上、平均粒子サイズ63μm以下、最大粒子サイズ100μm以下である。その理由は、純度99.9%未満のものを用いると焼結体への不純物含有量が多くなり、不純物の種類によって焼結反応は促進されるが焼結体粒子が成長してしまい、粒子の成長に伴って機械的強度の低下や不純物による高温特性劣化が著しくなり、高温高圧の焼結条件下での利用ができず、又、平均粒子サイズ63μmを超えるものを用いると焼結速度が遅くなってしまい、短時間で緻密な焼結体を得ることができず、又、最大粒子100μmを超える粒子が存在すると焼結体の機械的強度が低下するからである。すなわち、焼結体粒子の成長に伴う機械的強度の低下や不純物による高温特性の劣化を防ぐことができ、かつ、焼結速度の低下を防ぐことができ、短時間で緻密な焼結体を得ることができるからである。
又、上記窒化チタン粉末は、純度99.9%以上、平均粒子サイズ53μm以下、最大粒子サイズ100μm以下である。その理由は、純度99.9%未満のものを用いると焼結体への不純物含有量が多くなり、不純物の種類によって焼結反応は促進されるが焼結体粒子が成長してしまい、粒子の成長に伴って機械的強度の低下や不純物による高温特性劣化が著しくなり、高温高圧の焼結条件下での利用ができず、又、平均粒子53μmを超えるものを用いると同じTiN添加量でもTiN粒子の数が少なくなり、TiN粒子数が少なくると、TiB粒子同士の接触粒子数が増えるのでTiB2粒子の成長を促進する原因となり、又、100μmを超える粒子が存在すると機械的強度が下がってしまうからである。すなわち、TiB粒子の成長を抑制し、焼結体の機械的強度の低下を防ぐことができるからである。
又、上記焼結の条件は、焼結温度1,500℃以上、好ましくは1,700℃以上、2,000℃以下、焼結圧力20MPa以上100MPa以下、好ましくは30MPa以上80MPa以下である。その理由は、焼結温度が1、500℃未満になると焼結体の焼結速度は極端に遅くなり、製造コストが高くなってしまい、焼結温度が2,000℃を超えると焼結速度が速くなるが焼結体の結晶粒子のサイズが大きく成長し、機械的強度が低下してしまうことになり、又、焼結圧力が20MPa未満になると焼結体の緻密化時間が極端に長くなり、製造コストが高くなってしまい、焼結圧力が100MPaを超えると緻密化時間短くなるものの黒鉛の型割れが生じてしまい、焼結体の生産歩留まりが非常に悪くなるからである。すなわち、焼結反応速度の低下や量産効率の悪化を防いで生産コストの低減を図ることができ、短時間で緻密な焼結体を得ることができ、機械的強度の低下を防ぐことができ、高品質の焼結用型を作製することができるからである。
又、上記二硼化チタン窒化チタン焼結体の相対密度は理論密度の90%以上最大100%である。その理由は、相対密度が90%未満の焼結体(10%以上の隙間の焼結体)にあっては、焼結用型として応用できず、型内部隙間への外部応力以上の応力の集中は型の割れ原因になるからである。すなわち、型内部隙間への応力集中に伴う型割れを防ぐことができるからである。
又、上記二硼化チタン窒化チタン焼結体の曲げ強度は400MPa以上である。その理由は、機械的強度を維持して加工し易い焼結体を得ることができるからである。
又、この場合、上記焼結条件下の焼結雰囲気は、真空雰囲気、例えば10Pa以下とされている。その理由は、真空雰囲気とすることにより、酸化反応を防ぐことができ、高品質の焼結用型を作製することができるからである。尚、上記焼結条件下の焼結雰囲気として、不活性ガス雰囲気とすることにより、酸化反応を防ぐことができ、高品質の焼結用型を作製することができるからである。
この実施の形態例は上記構成であるから、図1、図2、図3の如く、グラファイトからなるダイDの穴DおよびグラファイトからなるパンチP・Pにより構成されるグラファイト製の焼結型Sの空間に焼結材料としてのTiB−TiN混合粉末Wを充填し、密閉構造のチャンバー内に焼結型Sを配置し、加圧構造K,パルス電源ユニットU及び制御ユニットGからなる通電加圧焼結機Tにより、上記焼結型Sに充填されたTiB−TiN混合粉末WをパンチP・Pにより圧力を加えながらパルス電流を流して焼結材料としてのTiB−TiN粉末W及び焼結型Sの自己発熱効果(ジュール発熱効果)により焼結する放電プラズマ焼結法により作製され、しかして、TiB−TiN焼結体からなる焼結用型Mを作製することになるから、作製された焼結用型Mにおいては、放電プラズマ焼結法により作製することにより短時間焼結が可能となり、焼結用型Mのコスト低減を図ることができ、例えば2,000℃の高温、約400MPa程度の高圧の焼結条件でプラズマ焼結用型として長く使用したとしても、焼結用型Mの変形がきわめて少なく、型素材の結晶粒子の成長による機械強度の低下もなく、焼結用型Mの変形による成形体の精度の低下や型破損による製品量産効率の悪化を防ぐことができ、他の焼結に再利用することもできる。
ここにおいて、焼結温度1,500℃、圧力20MPaの低温低圧の焼結条件下で作製されたTiB−TiN焼結体の相対密度は理論密度の90%となり、焼結温度2,000℃、圧力100MPaの高温高圧焼結条件下で作製されたTiB−TiN焼結体の相対密度の平均は100%(焼結温度2,000℃、圧力60MPaの高温高圧焼結条件下で99%)となることが確認された。この理論密度とは成形体中に全く空隙がないと仮定したときの密度をいい、結晶構造を用いて計算され、計算においては、結晶構造の大きさおよび結晶構造を構成するすべての原子の重量を利用して計算され、又、相対密度とは焼結後の成形体の密度をアルキメデス法などで密度測定方法によって測定した値を理論密度の割合として表すものである。
この場合、上記二硼化チタン粉末と窒化チタン粉末との混合割合として、二硼化チタン粉末16.5重量%以上95.5重量%以下、窒化チタン粉末4.5重量%以上83.5重量%以下としているから、焼結体の硬さの低下を防ぐことができ、TiB粒子及びTiN粒子の成長による曲げ強度の低下を防ぐことができる。
又、二硼化チタン粉末は、純度99.9%以上、平均粒子サイズ63μm以下、最大粒子サイズ100μm以下としているから、焼結体粒子の成長に伴う機械的強度の低下や不純物による高温特性の劣化を防ぐことができ、かつ、焼結速度の低下を防ぐことができ、短時間で緻密な焼結体を得ることができ、又、この場合、上記窒化チタン粉末は、純度99.9%以上、平均粒子サイズ53μm以下、最大粒子サイズ100μm以下であるから、焼結体への不純物の影響を無視することができ、粒子の成長を抑制し、焼結体の機械的強度の低下を防ぐことができる。
又、この場合、上記焼結条件は焼結温度1,500℃以上、好ましくは1,700℃以上、2,000℃以下、焼結圧力20MPa以上100MPa以下、好ましくは30MPa以上80MPa以下としているから、焼結反応速度の低下や量産効率の悪化を防いで生産コストの低減を図ることができ、短時間で緻密な焼結体を得ることができ、機械的強度の低下を防ぐことができ、高品質の焼結用型を作製することができ、又、この場合、上記二硼化チタン窒化チタン焼結体の相対密度は理論密度の90%以上最大100%であるから、型内部隙間への応力集中に伴う型割れを防ぐことができ、又、この場合、上記二硼化チタン窒化チタン焼結体の曲げ強度は400MPa以上であるから、機械的強度を維持して加工し易い焼結体を得ることができる。
又、この場合、上記焼結条件下の焼結雰囲気は、真空雰囲気であるから、酸化反応を防ぐことができ、高品質の焼結用型Mを作製することができる。なお、上記焼結条件下の焼結雰囲気を不活性ガス雰囲気とすることにより、同じく、酸化反応を防ぐことができ、高品質の焼結用型Mを作製することができる。
作製されたTiB−TiN焼結体からなる焼結用型Mは、図4のX線回折パターン図によれば、いずれのピークはTiB結晶とTiN結晶に同定していることが分かり、ここに、X線回折パターンの測定にあっては、放電プラズマ焼結法を用いてTiB−TiNバルクサンプルを作製し、そのバルクサンプルを粉砕して結晶相同定のためのX線回折用サンプルとし、株式会社リガク製のUltimaIVのX線回折装置を用い、回折角度(2θ)を10°〜85°範囲で測定を行った。その結果、TiBとTiNの二相であることが分かった。
又、図5のTiB−TiN焼結体のSEMによる組織写真によれば、TiNを含まないTiB粉末とTiBを含まないTiN粉末からできている焼結体に対して、上記TiB−TiN焼結体からできている焼結体の結晶粒子の方が細かくなっていることが分かる。
又、図6のSEM写真を用いて評価した焼結体のTiBまたはTiNの結晶粒子サイズのTiB−TiN焼結体組成依存性を示す図によればTiB結晶の粒子サイズはTiN混合割合が増えれば小さくなる。同様にTiN結晶の粒子サイズはTiB混合割合が増えると小さくなることが分かる。
又、図7の曲げ強度の組成依存性を示す図によれば、TiB−TiN混合物はTiBまたはTiNの混合割合増加によって曲げ強度がTiNを含まないTiBの曲げ強度400MPa以上高くなることが分かる。この曲げ強度の組成依存性の測定にあっては、放電プラズマ焼結法を用いて作製したTiB−TiN混合物からなる成型体をワイヤー放電加工により長さ36mm、幅3mm、厚み4mmを切断してサンプルを得て、その後曲げ試験機により曲げ試験を測定した。曲げ試験機の測定にはA&D製RTG−1310を用いた。
又、図8のTiB−TiN焼結体のTiB及びTiNの結晶粒界における組成分析を示すEDS写真によりTiB結晶からTiN結晶の硼素が明確に拡散し、同様にTiN結晶からTiB結晶への窒素が若干拡散していることを確認できる。TiB−TiN混合粉末から作製する焼結体の曲げ強度の増加は組織におけるTiB結晶およびTiN結晶の微細化およびそれらの粒子間の硼素及び窒素の拡散によって実現している。
又、図9に示すTiB−TiN混合物の硬度の組成依存性を示す図から、TiN混合割合が増えると硬度は低下するが、TiBを含まないTiN結晶の2,200HV以上であることが分かる。この硬度の組成依存性の測定にあっては、放電プラズマ焼結法を用いて作製したTiB−TiN焼結体をワイヤー放電加工により、直径30mm、厚み30mmに切断してサンプルを得て、その後サンプルの上下面を鏡面研磨仕上げてから硬さ試験機によりサンプル硬さの組成依存性を測定した。硬さ試験にMATSUZAWA製VMT−7Sを用いた。
又、図10の電気抵抗の組成性を示す図によれば、TiB−TiN焼結体は電気伝導性であることが分かる。この電気抵抗の組成依存性の測定にあっては、放電プラズマ焼結法を用いて作製したTiB−TiN混合粉末からなるTiB−TiN焼結体をワイヤー放電加工により長さ30mm、直径6mmに切断してサンプルを得て、その後、四端子法によりサンプルの電流と電圧の関係の組成依存性を測定した。電流と電圧の測定には、ADCMT製6242直流電圧電流電源及びモニターを用い、各温度における電流、電圧のプロットからサンプルの電気抵抗を測定した。
[実施例1]
純度99.9%、平均粒子サイズ63μm以下のTiB粉末および純度99.9%、平均粒子サイズ53μm以下のTiN粉末から秤量・混合した二硼化チタン粉末50重量%、窒化チタン粉末50重量%の混合割合のTiB−TiN混合粉末Wを用い、図11の如く、放電プラズマ焼結法を用いて、焼結したTiB−TiN焼結体からなる焼結用型Mを作製した。焼結後の型寸法は、ダイMにあっては、外径50mm、内径20.05mm、高さ40mm、各パンチM・Mにあっては、それぞれ外径20.00mm、長さ25.00mmである。焼結条件は、焼結温度1,900℃、圧力40MPa、焼結時間20分及び焼結雰囲気は真空雰囲気である。作製した焼結用型Mの相対密度は98%であった。
[焼結例1]
この実施例1で作製したTiB−TiN焼結体をワイヤー放電加工により仕上加工して焼結用型Mを作製し、この焼結用型Mを用い、焼結用型M内に焼結材料を充填しない状態(ブランク焼結)で、真空雰囲気、温度1,900℃、圧力20MPa、焼結時間60分の焼結条件で焼結テストを試みた。上記焼結条件で3サイクルを繰り返し行ったが焼結前後のTiB−TiN混合物成形体から作製した型の割れや型寸法変形はないことを確認した。
[比較例1]
市販の黒鉛型を用い、黒鉛型内に焼結材料を充填しない状態(ブランク焼結)で、焼結例1に記載した焼結条件と同じ焼結条件で3セットの型で焼結テストを試みた。上記焼結条件で3サイクルを繰り返し行ったが焼結前後の黒鉛型割れはないことを確認したが変形に関して、パンチ直径0.330mm太くなり、パンチ長さ0.790mm短くなり、一方大内径は0.335mm大きくなることを確認した。
[実施例2]
純度99.9%、平均粒子サイズ63μmのTiB粉末および純度99.9%、平均粒子サイズ53μm以下のTiN粉末から秤量・混合した二硼化チタン粉末50重量%、窒化チタン粉末50重量%の混合割合のTiB−TiN混合粉末Wを用い、放電プラズマ焼結法を用いて、焼結したTiB−TiN焼結体からなる焼結用型Mを作製した。焼結後の型寸法は、ダイMにあっては、外径50mm、内径20.05mm、高さ40mm、各パンチM・Mにあっては、それぞれ外径20.00mm、長さ25mmである。焼結条件は、焼結温度2,000℃、圧力60MPa、焼結時間30分及び焼結雰囲気は真空雰囲気である。作製した焼結用型Mの相対密度は99%であった。
[焼結例2]
この実施例2で作製した焼結体からなる焼結用型Mを用い、焼結用型M内に焼結材料を充填しない状態(ブランク焼結)で、真空雰囲気、温度2,000℃、圧力400MPa、焼結時間30分の焼結条件で焼結テストを3セットで試みた。上記焼結例1と同様に、上記焼結条件で3サイクルを繰り返し行った後焼結後の型割れや焼結前後の型寸法変化を確認した。3セットにおいても変形および割れがないことを確認した。
[比較例2]
黒鉛型を用い、黒鉛型内に焼結材料を充填しない状態(ブランク焼結)で、焼結例2と同じ焼結条件で焼結テストを試みた。上記焼結条件で3サイクルを繰り返し行った焼結例1と同様に焼結後の型割れや焼結前後の型寸法変化を確認した。焼結圧力80MPaで割れが発生することを確認した。
[実施例3]
純度99.9%、平均粒子サイズ63μm以下のTiB粉末および純度99.9%、平均粒子サイズ53μm以下のTiN粉末から秤量・混合した二硼化チタン粉末50重量%、窒化チタン粉末50重量%の混合割合のTiB−TiN混合粉末Wを用い、放電プラズマ焼結法を用いて、焼結したTiB−TiN焼結体からなる焼結用型Mを作製した。焼結後の型寸法は、ダイMにあっては、外径50mm、内径20.05mm、高さ40mm、各パンチM・Mにあっては、それぞれ外径20.00mm、長さ25mmである。焼結条件は、焼結温度2,000℃、圧力60MPa、焼結時間30分及び焼結雰囲気は真空雰囲気である。作製した焼結用型Mの相対密度は99%であった。
[焼結例3]
この実施例3で作製した焼結体からなる焼結用型Mを用い、焼結用型M内に焼結材料としてのタングステン粉末を充填し、真空雰囲気、焼結温度2,000℃、圧力400MPa、焼結時間15分の焼結条件で焼結テストを試みた。上記焼結条件で3サイクルを繰り返し行ったが焼結前後の型の割れ、型寸法変形や型からのタングステン焼結体の離型について問題がないことを確認した。
[比較例3]
TiB型を用い、TiB型内に焼結材料としてのタングステン粉末を充填し、焼結例3と同じ焼結条件で焼結テストを試みた。上記焼結例3と同様に焼結前後の型割れ、型寸法変形や型からのタングステン焼結体の離型を確認した。型の変形や割れがなかったが、焼結体が型に付着することを確認した。
尚、本発明は、上記実施の形態例に限られるものではなく、例えば、放電プラズマ焼結法以外の焼結法に用いられる焼結用型に適用することもあり、又、焼結用型MのダイM及び上下のパンチM・Mの形状等は適宜変更して設計される。
以上の如く、所期の目的を充分達成することができる。
W TiB−TiN混合粉末
M 焼結用型

Claims (3)

  1. 放電プラズマ焼結用型の作製方法であって、純度99.9%以上、平均粒子サイズ63μm以下、最大粒子サイズ100μm以下である二硼化チタン(以下、「TiB」ともいう。)粉末と純度99.9%以上、平均粒子サイズ53μm以下、最大粒子サイズ100μm以下である窒化チタン(以下、「TiN」ともいう。)粉末とを二硼化チタン粉末16.5重量%以上95.5重量%以下、窒化チタン粉末4.5重量%以上83.5重量%以下の混合割合とした混合粉末(以下、「TiB−TiN混合粉末」ともいう。)を、放電プラズマ焼結法(以下、「SPS法」ともいう。)を用いて、焼結温度1,500℃以上2,000℃以下、焼結圧力20MPa以上100MPa以下である焼結条件下で焼結された相対密度は理論密度の90%以上最大100%であり、曲げ強度は400MPa以上である二硼化チタン窒化チタン焼結体(以下、「TiB−TiN焼結体」ともいう。)からなる型を作製することを特徴とする焼結用型の作製方法
  2. 上記焼結条件下の焼結雰囲気は、真空雰囲気であることを特徴とする請求項記載の焼結用型の作製方法。
  3. 上記焼結条件下の焼結雰囲気は、不活性ガス雰囲気であることを特徴とする請求項記載の焼結用型の作製方法。
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